幼馴染のA (ニャン吉)
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プロローグ

「○○○。俺!絶対に中学で日本一の投手になって青道高校の野球部に入るから!○○○も青道に入れよ!○○○が東京に引っ越すのは寂しいけど絶対に行くから!」

「うん。私は青道高校に入るよ。だからたっ君も日本一の投手になってね!私!東京で待ってるから。」

 

 

・・・あれから3年が経ち中学で最後の大会

「全国大会決勝!

1-0の好ゲーム!

今年から行われるU-15野球世界大会の日本代表に選ばれた投手と野手の大会

日本代表エースで3番打者の永島匠と日本代表4番打者でショートを守る大澤優人の今大会最後の直接対決!

最終回2アウトランナー無し!

この2人の勝負で全てが決まります。」

こうして俺の中学野球最後の大会は優勝で終わった。

この後に行われた世界大会でも決勝でアメリカと対決。

日本の打線は爆発!

俺もエースとしてしっかりと相手を抑え

8対0で俺達は優勝した。

 

そんなある日のこと

俺はあの時の約束を果たす為にスカウトが来なくてもいいように勉強をしていた。

「たくみ!青道高校のスカウトの人が来てるわよ!」

よっしゃ!そう思いながら俺は返事をして階段を降りて行った。

 

「初めまして。永島匠君。私は青道高校野球部副部長の高島です。」

「初めまして。」

「今回私達の青道高校野球部は貴方にスカウトをと思い来させていただきました。」

「はい。」

「全国大会でのピッチングと世界大会でのピッチングを見させていただきました。貴方の最速140㌔を上回る一試合平均130㌔台後半のキレの良いストレートにキレの良い変化をするフォークにスライダー、チェンジアップにシンカー。そして1番素晴らしいと思ったのがエースとしての流れを引き戻すピッチング。準決勝のキューバ戦。私は貴方の底力を見た気がします。6回まで別の投手が投げていましたが捕まり2点リードされて尚満塁。後2、3点は覚悟がいる場面で貴方はリリーフ。その後貴方は強気のピッチングでノーヒットに抑えチームに勢いを与える。そして最終回遂に打線が爆発して3-2の逆転勝利。この姿を見て将来の青道のエースを貴方に見せて欲しいと私達は思いました。ぜひ青道高校野球部に来てください。」

「えーと。元々行く気だったのですが1度練習の見学をしたいのですがいいですか?」

「本当にですか!わかりました。日程は今後お電話しますのでお願いします。」

 

・・・本日!練習の見学当日!

新潟から電車で東京へ向かっている。

そんな中で俺は高島さんを見つけた。

「高島さん。お久しぶりです。」

「あら。永島君。久しぶり。同じ電車とは偶然ね。」

「そうですね。・・・えっと、隣にいるのは?」

「そうね。紹介するわ。沢村栄純君。永島君と同じ投手よ。そして沢村君。これは永島匠君。貴方達と同級生でU-15野球日本代表エースピッチャーをやっていた子よ。」

「なぬ!エリート!俺は負けねぇ!」

「そ、そうね。・・・うるさい子でごめんね。それと沢村君は面白い球を投げるわよ。」

「へぇー。それと高島さん。沢村の親みたいですね。」

「やめてちょうだい。こんなにうるさい子は嫌よ。」

「おい!うるさいとはなんだ。」

とこんな感じの賑やかな雰囲気のまま青道高校野球部の部室前に到着した。

今、選手達はフリーバッティングをしていた。

俺はその設備に流石だなと思っていると隣で沢村と高島さんと一緒に会話をしていた。

「どう?これが我が校が誇るグラウンド設備よ。あっちには雨天練習場もあるしグラウンドもAとBの2面あるわ。それにウチの半数は寮で生活しているわ。」

そんな話を聞いていると隣で沢村がキョロキョロしだした。

「別にときめいてなんかねーぞ!ちょっと驚いただけだ!

第一こんな金かけなくても野球はできんだよ!

どーせ選手だってうまい奴ばっか集めてんだろ?

永島みたいによ!

だったらうまくて当たり前じゃねーか・・・

ていうか!

こういう何でも揃ったエリート集団には死んでも負けたくねぇ。」

と言い切った。

「沢村。」

「なんだよ。永島!うまくて当たり前なんてふざけんなよ。初めからうまいわけないだろ!」

「いいのよ。永島君。確かに沢村君の言う通りウチの部員の約半数は他県出身者・・・いわゆる野球留学というやつだわ。確かに野球留学に対する批判は多い。けど私はそうは思わない。」

沢村反応してるよ。

「俺もそう思いませんね。

今の高校野球は日本が世界一だって言われてんだぜ。

知ってるだろ?

プロの選手だって沢山メジャーに挑戦してるだろ?」

「そうね。彼らは誰よりも上手くなりたい。

その一念だけでわずか15歳の少年が親元を離れより厳しい環境で己の能力を磨き鍛え上げる。

私はね。

そういう覚悟を持った選手達を心の底から尊敬してるわ。」

とせっかく高島さんが感動的な話をしているのにAグラウンドの方から

バッティングピッチャーを批判する声が聞こえる。気分悪い。

「沢村君。永島君。彼のバッティングは見ておいた方がいいわ・・・

高校通算

42本塁打を誇る怪物

東清国

一応今年のドラフト候補生よ。」

と高島さんが教えてくれた。

見てみると確かに良いバッティングしてるよ。

あのお腹が勿体ない。

と思っているとチャレンジャー沢村の一言

「あんな身体でプロ行くって!?

マジでありえねえ。

絶対止めた方がいいって。

見てみろよあの腹!

ただのオッサンじゃねーか!

なぁ!永島!」

えっ!俺かよ。

怒ってるよ。あの人。

と思っているといつの間にか一打席勝負する事になった。

「永島君。貴方も沢村君の後にマウンドに立ちなさい。」

「いいですね。ドラフト候補生のレベルがわかるってことですよね。」

「まぁそういう解釈でいいわ。誰か永島君とキャッチボールしてくれないかしら。」

「俺がやります。」

「丹波君。お願いね。永島君。彼は丹波秀一郎。ウチの次期エース候補よ。」

「えっと。お願いします。丹波先輩。」

「よろしく。始めるぞ。」

こうして俺は丹波さんとキャッチボールを始めた。

少しして沢村が三振をとって戻って来た。

「永島君。貴方の番よ。丹波君もありがとね。」

「丹波先輩。ありがとうございます。」

そう言って俺はキャッチャーの下へ向かった。



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再会

「永島だったよな?」

「はい。御幸先輩。自分はストレートに自信がありますが変化球もあまり打たれないと思いますよ。」

「へぇー。自信あるんだな?」

「そりゃあそうですよ。10種類以上投げれる変化球の中でもキレのある最高の変化球を使ってましたので。」

「わかった。ならサインを確認するぞ。」

「はい。」

そう言ってサインの確認を確認しマウンドに戻って言った。

1球目は最近練習で試合に使えるレベルまであがったSFFだった。

打席に立っている打者には打ち頃にに見える真ん中高めだったがボールを打とうとしたタイミングでボールが沈み空振り

2球目はインコース高めにボール球のストレート

3球目はアウトローギリギリへのシンカー

4球目はアウトローから少し外れたボール球になるシンカー

5球目はド真ん中にストレート。これはファールにされる。

6球目は緩急のスライダーをインコース低めへ。だがこれもファールにされた。この先輩の意地を感じた。

7球目。その意地に答えようと御幸先輩のサインに首を振りフォークを要求。

そのフォークは真ん中にいったように見えるが御幸先輩が捕球しようとした時にはボールは御幸先輩の股の下を抜けていた。

これで三振だ。

 

side沢村

「沢村君。彼のピッチングは見ておきなさい。」

「えっ?」

「彼がなんで貴方達の代の日本代表のエースピッチャーになれたかがわかるわ。」

「それってどういう意味だ?」

「見てなさい。」

そう言われたので俺は永島のピッチングを見ていた。

あんなの俺には投げれない。変化球もストレートもあの自在に操れるコントロールも。でも最後の球には驚いた。捕手が取れない球を投げたのだ。

「あれはなんだ?最後のボールは?」

「あれが彼の伝家の宝刀フォークボールよ。周りは高速フォークと呼んでいるわ。」

side永島

「あれが彼の伝家の宝刀フォークボールよ。周りは高速フォークと呼んでいるわ。」

「ハッキリ言うとあれはフォークじゃ無いですよ。ねえ御幸先輩。」

「そうだな。なんだよ。あれは完全にVスライダーじゃねえか?回転あるしよ。でも落ち方はフォークって」

「いやー高島さんが言っていたように伝家の宝刀なんで。でも仕組みは簡単ですよ。御幸先輩。」

「どういう事なの?」

「いやー俺って背が高いじゃないですか?確か今は189cmなんですよ。そして俺のフォークは腕が1番高い所にあがったらボールを放すんです。すると角度がつくんでフォークのように落ちるんですよ。」

と俺は伝えた。

そしてしばらくして見学が終わった。

とりあえず家へ電話すると近くのコンビニへ行きなさいと言われてので向かう事にした。

待つこと10分

目の前には3年ぶりに会う幼馴染の春乃がやって来た。

「もしかして春乃?」

「ごめんね。少し遅くなっちゃた。久しぶりだねたっ君。青道の野球部の見学に行ったんでしょ?」

「そうだよ。なんで知ってるの?」

「昨日の昼頃にたっ君のお母さんから私のお母さんに電話があったんだ。明日たっ君が青道の見学に行くから!泊めてあげてって。」

「なるほど。だからお泊まりセットを持つように言われたのか。」

「うん。それと今日家の近くでお祭りがやってるの。一緒に行こう。」

「おう!行くか!」

そう言って俺は久しぶりに再開し幼馴染の家へ向かって荷物を置かせて貰った。

・・・あれ?ここは?

「お母さん!なんで私の部屋なの?」

「そうですよ。春香おばさん!なんで男女で同じ部屋なんですか?」

「そうよ。私達は年頃の男女なのよ。間違いがおこったらどうするのよ。」

「間違いって何がおこるのかしら春乃?」

「えっ・・・えっと。」

「なんか春乃が困ってるな。」

「そうね。春乃は弄るのは楽しいでしょ?」

「おばさんも昔から変わりませんね。」

「私は私だもの。変わらないわよ。」

「私は少し変わって欲しいよ。お母さん。」

「で春乃。間違いって何かしら?」

「その話はもういいでしょ!たっ君も止めてよ。」

「そしたら俺にこのイジリが来るだろ?」

「昔からそだよね。助けてくれてもいいじゃん。」

「だってねえ。おばさん。」

「あら。わかってくれるの?匠君。」

「はい。」

「「弄られてる時の春乃は可愛い」」

「わかってるじゃないの。匠君。成長したわね。」

「いえいえ。伊達にU-15の日本代表エースピッチャーはやってませんよ。」

「なるほど。」

「それは関係ないよね?たっ君。」

「それが関係あるんだよ春乃。」

「そうなの?私もソフトボールやってたけど関係ないと思うんだけど?」

「ピッチャーはいかにバッターを弄り倒すかが大切なんです!」

「それはどういう意味なのかな?」

「おばさん。近い。簡単に言うと敢えて狙い通りの球を投げたり外してみたり予想外の変化量をさせてみたり。ですよ。」

「できるの?」

「俺はU-15日本代表エースピッチャーですよ。同じ変化球でも変化量の違うものを覚えるのは当たり前です。」

「なるほど。それが匠君の弄る極意なのね。」

「はい。昔見たお笑い番組のエ○タの神様で思いついて練習しましたよ。」

「まさか。そんなところがヒントになんて。やるわね匠君。」

「いえいえそれ程でも。」

そんな感じで会話をしてその後に祭りへ行き翌日実家へ帰ったのだ。

携帯の番号とメアドを交換して。

しばらくして俺は青道高校に合格した。

その1か月後に春乃から合格したと連絡があり後は入学式ヲ待つだけとなった。



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初練習前日

初練習は入学式の前日だった為入学式二日前に東京駅にやって来た。

そこで

「あれ?沢村じゃん。お前結局青道にしたのか?」

「そうだよ!わりーか!俺!絶対に永島には負けないからな!」

「へぇーいいね。・・・高島さん来た。行くぞ!」

「おう!それと永島。俺の事は栄純って呼んでくれ。」

「了解栄純。俺の事も匠でいいぜ!」

「なら匠!変化球教えてくれ。」

「やだ。」

「なんでだ!」

「お前馬鹿そうだから!(笑)」

「てめぇー」

「うるさいわ。沢村君。久しぶりね。二人共。車は用意できてるから行きますよ。」

そう言って俺と栄純は高島さんが運転する車で青道高校へ向かうのであった。

「グラウンドの場所はわかるわね。これから寮除き場所を案内するわ。」

「了解です。」

「はい!」

東京言われ少し歩いていると

「ここが寮よ。永島君。貴方の部屋はこの109号室よ。沢村君は101号室ね。それと明日の練習は06時30分からよ。遅刻しないでね。」

そう言われ俺は部屋へ向かう事にした。

表札の所に

御幸一也

と書いてあった。

「失礼しまーす」

そう言って俺はドアを開けた。

「同室者ってお前だったのか。永島!久しぶりだな!」

「お久しぶりです。御幸さん。」

「やっぱりお前デカイな。背伸びた?」

「伸びましたよ。2cm。191cmになりました。」

「すげ。そうだ。この部屋は他の部屋と違って3年生がいねえからな。2人だけだ。だから俺の使ってない方の二段ベッドを使ってくれ。」

「了解です。それと今から少し受けて貰えないですか?新しく試合で使えるか試したい変化球があるんで。」

「おいおい。どうせなら試合で使う使わない関係無く全部投げてくれよ。」

「わかりました。全部投げましょう。」

「そうこなくっちゃな。」

そう言って俺と御幸先輩はジャージに着替えて室内練習場へ行った。

室内練習場へ行くと中には丹波さんや他の先輩質がいた。

「こんにちは!今年からこちらの野球部に入部する永島匠です。ポジションはメインはピッチャーですがどこでも出来ます。よろしくお願いします!」

そう言うと奥からなんかオーラが飛び出てる先輩がやってきた。

「俺は野球部キャプテンの結城哲也だ。よろしく。」

「俺は伊佐敷純だ。よろしく!」

「あいつはスピッツ先輩って読んであげてよ。それと俺は小湊亮介。よろしく。」

「おい!誰がスピッツだ!こら!」

「うるさいぞ。純。それと永島と御幸は何をしに来た?」

「御幸先輩に球を受けてもらおうと思って部屋で聞いたらOKが出たので来ました。」

「そうか。・・・俺が打席に立ってもいいか?永島の球を見てみた。と言うよりU-15のエースの球を見たい。 」

「俺は構いません。ただ練習中の変化球も投げるように言われたので危なかったら避けて下さい。」

「わかっている。」

そう言って俺は御幸の所へ行きキャッチボールを始めた。

肩が温まったのでブルペンへ行くと御幸先輩の後ろに丹波がスピードガンを持って行き。

「スピードを見たい。」と言ったので

「初球!ストレート行きマース」と言って全力のストレートを投げた。

この感じはいいストレートがいった。と思っていると。

後ろにいる丹波さんが変な顔をしていた。

それに気づいた御幸が聞いてみるとなんと148㌔出ていたらしい。

それに驚きつつも御幸先輩が座ったので御幸先輩にひとつひとつ投げる球種を言いながら投げていった。

今、試合で使えると思っている8種類の変化球と使えるか試している変化球1つ、練習中の変化球3つを投げた。

結果

フォークは御幸が取れなかった。

スライダー・SFF・チェンジアップ・シンカー・高速スライダー・パーム・ドロップカーブはなんとか御幸は捕球した。俺の中では完璧なボールだった。

試し投げしたシンキングファストはキレが少し甘い気がした。

練習中のナックル・ナックルカーブ・ワンシームはこれまでの変化球に比べて物足りない気がした。

1通り投げ終えると御幸先輩がフォークの捕球の練習に付き合ってくれと言ってきた。

その後フォークを20球投げて先輩に終わりましょうと言ってダウンをして終わった。

「先輩!フォークは負担が大きいので練習とは言えあまり沢山投げたくないです。」

「いやー悪い悪い。なんか取れないのが悔しくてな。」

「それは知りませんよ。それとフォークを試合で使うのはしばらく封印します。」

「なんでだよ。」

「先輩が取れないからです。確実に取れるようになるまでは封印します。」

「そうか。中学の時のチームメイトは取れるまでに何年くらいかかった?」

「2年です。」

「2年かよ。どんだけフォーク!やばいんだよ。でも俺は今月中には取れるようになってやる。楽しみにしてろよ。」

「期待せずに待ってます。それより早く部屋に戻りましょう。」

「わかってるって。」

「質問ですがいいランニングコースありますか?」

「どうしてだ?」

「毎朝の日課なんで。」

「ちなみに何キロ?」

「10キロ位です。」

「10キロ位走れるランニングコースか。・・・すぐそこの河川敷にランニング出来る所があって確か10キロ位走れるはずだけど?」

「ホントですか?ありがとうございます。明日から早速走りに行きます。」

「はいよ!頑張って〜」

「はい。それと長旅で疲れたので今日はもう寝てもいいですか?」

「おう。いいぞ。俺もそろそろ寝るしな。」

「そうですか。おやすみなさい。」

こうして俺の初練習前日は終わるのであった。



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初日

翌朝

俺はいつもと同じ様に04時00分に起きてランニングに出掛けた。

走っていると結城先輩を見つけたので声を掛けた。

「おはようございます。結城先輩」

「永島か。おはよう。朝早いな。」

「いえ。これが日課なんです。」

「いい心掛けだ。それと今度は本気の一打席の勝負をしてみたい。いいか。」

「もちろんです!もし結城先輩から三振を奪えれば一軍に近づきますから。」

「言ってくれるな永島。それなら俺も負けられないな。キャプテンとして。」

「ならそのキャプテンを自分のフォークで仕留めて見せます!御幸先輩も今月中に取れるようになってくれると言っていたので。」

「確かにあのフォークを御幸が取れるようになって試合でいつでも使えれば最高だな。」

「当たり前です!」

「それは心強いな。今日から初練習だな。最初はキツイだろうが頑張れよ。」

「はい。それではまた練習の時にお願いします。」

こうして俺は結城先輩とランニングを終えてからグラウンドへ向かうのだった。

・・・

初練習の時の自己紹介の時

・・・まだ栄純が来ていなかった。

自分の番になったので

「北陸シニアから(あ〜こいつ遅刻したのに列に紛れ込もうとしてるぞ〜)」・・・

御幸先輩が栄純を売りやがった。

「初日から遅刻とはいい度胸だな・・・小僧」

「えっ」

「しかもバレないように忍び込もうとするその腐った根性

練習が終わるまで走っとれい!!」

「ひい〜すべてが裏目に!!」

と栄純が言っており先輩の方では

ガッチリした先輩が紙に「自業自得」と書いており

ヤンキーぽい先輩は何かを発していた。

だが監督の言葉には続きがあった。

「それからこの男の同室の上級生・・・どさくさに紛れそこに並んでる大馬鹿者お前らもだ。」

と監督が言った時に俺は思った。

栄純。馬鹿だな。

「さっきの奴自己紹介を最初から始めろ!」

と監督が言ったので

「はい!北陸シニア出身永島 匠!ポジションはメインは投手ですがどこでも出来ます!守備でもバッティングでもピッチングでも誰にも負けないようになります!」

そして少しして最後の自己紹介になると俺のライバルがいた。

「横浜シニア出身大澤優人!希望ポジションはショート!その他どこでも出来ます!バッティングには自信があります!誰にも負けません!」

と言っていた。

優人とは敵になって甲子園で戦いたかったけど同じチームも悪くないと思った。

自己紹介の後は先輩達はバッティング1年は守備練習だった。

二時間ほど練習して俺は優人と東条、金丸の所へ向かった。

「久しぶり!優人!信二!秀明!」

「びっくりしたぜ匠!なんせ優人と匠の2人がここに来るとは思わなかったからよ。」

「そうだね。僕も匠がいるなら投手は諦めた方がいいかな。」

「おいおい秀明、冗談はよせよ。高校野球は投手1人じゃあ勝てねえよ。」

「冗談だよ。あの日本代表に選ばれる為に必死に習得した変化球とコントロールがあるからね。」

「日本代表ではチェンジアップとはスライダーしか使わなかっただろ。」

「流石に二つは間に合わなかったけどスライダーだけが間に合ったからね。いまはこの二つに縦スライダーを身に付けたからね。流石にストレートのスピードはそんなに上がらなかったけど。」

「いやいや秀明の球は打ちづらいぜ。チェンジアップはとくに。」

「優人頑張って言っても冗談にしか聞こえねえよ。でもなんで2人までここに来たんだ?」

「俺は結城先輩には憧れて来たんだ。秋の大会を見に来たんだが結城先輩を超えたいから目の前に目標がある学校にした。匠はどうなんだ?」

「俺か?俺は幼馴染との約束があったからだよ。」

「約束?」

「そう。そいつはさ高校野球が昔から好きな奴でな。同じ高校に入って甲子園で優勝しようと約束したんだ。」

「へぇー。誰なんだ?」

「マネージャーだよ。」

「「「へっ・・・」」」

「何か?」

「いやいや」

「何でも」

「ないぜ。」

「それよりも早く食堂へ行こうぜ。」

「あっあーそうだな。」

こうして俺達4人は食堂へ向かうのだった。



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朝飯の後は能力テストだった。

「行こうぜ秀明!投手のテストを受けるだろ?」

「うん。外野のも受けるけどね。」

「俺は全部受けることになってるよ。」

「大変だね。」

「秀明も変わらないだろ。」

「僕は二つだけだからね。」

「俺は・・・でもテスト自体は多くねえよ。それに優人は投手以外全部だから捕手もやるみたいだぜ。」

「確かにあの強肩を活かしたいよね。」

「だな。・・・早く行こうぜ!そろそろ始まる。」

「待ってくれー匠!」

「おっ!栄純じゃん。行くか。」

と行こうとしたところ栄純は監督に謝っておらず参加するなと言われてチャンスを貰ったが生かせずに終わった。

「秀明」

「何かな?匠」

「俺の考えてること分かるか?」

「わかるよ。」

「「馬鹿だね。」」

「それよりも早く行こうぜ!」

こうして俺達はテストを受けに行ったのだった。

 

side片岡鉄心監督

「今年の1年は豊作ですね片岡監督。」

「そうですね。ですが沢村君。彼をホントに投手をやめさせる気ですか?」

「約束だからな。今は走らせとけ。」

「そうですか。」

「それにしても監督!あの日本代表を経験してる4人はさすがの一言に着きますね。永島匠は遠投こそ2位ですが投手としてコントロールに変化球、キレのあるストレートは相当なものですよ。バッティングに関してもミートはこの4人の中では一番下ですがそれでも1年生の中では5番目!かなりの選手です。」

「そうですね。それに日本代表の4番打者にしてショートを守る。大澤優人。彼は足が早くパワーもミートも既に永島君同様に一軍でもやっていけるレベルにあります。それに2人には劣りますが金丸君に東条君。彼らも相当の選手ですね。」

「そうだな。だが!今は1年を全員、走らせておけ!」

「わかりました。」

sideback

 

「どうだった?匠。」

「遠投は負けたよ。降谷にね。」

「確か120mでしょ。匠も110mだし十分だよ。俺なんて88だよ。」

「何の話だよ。匠、秀明。」

「優人に信二。肩の強さで負けたって話だよ。」

「ああ。聞いたぞ。降谷だっけ?」

「そうそうそいつ。」

「確かあいつらは北海道から来たみたいだな。」

「すげえな。オレも新潟からだけど驚きだよ。」

「匠の場合は幼馴染みを追いかけてな。」

「なっ!別にいいだろ!」

「悪いとは言ってねえよ。」

「それよりも明日は入部してすぐなのに部活無いだろ。自主錬でもしようぜ」

「悪い!信二!俺はパス。」

「どうしたんだよ。匠。・・・まさか」

「匠。そのまさかなのか?」

「おい!まさかってなんだよ!」

「優人。わからないの?」

「なんだよ。」

「はぁー。」

「優人。」

「なっ!なんだよ。」

「バカでありがとう。」

「なっ!バカとはなんだ!バカとは!」

「まさか優人にこんな弱点があるなんてな。」

こうして俺達は話を終えて部屋へ戻るのであった。

だが。

部屋に戻ると

「おい!永島!お前、明日デートなんだってな!」

「なっ!・・・信二!覚えてろよ!」

こうして御幸先輩の倉持先輩直伝の技を食らって終わったのだった。



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昇格

あの後何とか時間に間に合うように起きれた俺は春乃との待ち合わせ場所に向かうのだった。

20分早く付くと春乃がもういた。

「早いな春乃。」

「えっとね。楽しまで目が早く覚めちゃってね。」

「そうか。良かった。」

そう言って俺は春乃に手を出して

「あんまり俺さ東京の事がわからないからいろいろ教えてくれよな。春乃。」

と言うと春乃が

「仕方ないわね。今日は私がいろいろ教えてあげる。」

そう言って俺の手を握ってくれた。

最初に行ったのが

「春乃。」

「なっ。何かな?」

「なんでいきなり漫画喫茶なんだ?」

「えっとね。中学の時の友達に聞いたらここで楽しみなさいって言われたんだよ。」

「・・・その娘は変態なんだな。まぁいいか。春乃。カラオケに行こうぜ!」

「カラオケ。うん。安い所が近くにあるよ。」

そう言ってまた俺の手を引っ張って向かうのであった。

カラオケに着いてから俺は春乃と暫く歌い続けていました。

 

それからしばらくして

公式戦で丹波さんが後半打たれすぎてしまい2軍又は1年生から使える選手を探すことになった。

俺は1番センター

秀明は3番で投手スタート

優人は4番ショート

信二は5番サードだった。

 

初回から秀明はコーナーを変化球とストレートの組み合わせで投げていき2回まで無失点に抑えた。さらに打者としても2塁に進んだ俺をホームへ返すタイムリーヒットと活躍。それにより秀明は2軍昇格。

3回からは秀明と変わって俺が投手に入りセンターにはまた別の人が入る。。

俺は5回までをストレート中心の決め球にシンカーを使いノーヒットピッチングをして打者としても2本のツーベースヒットに一つの盗塁があり、俺は1軍行きが決まった。

だが俺の次に投げた降谷と言う投手は凄かった。

たった1球。

たった一球のストレートを投げただけで1軍が決まった。

 

試合も6回に入り優人と信二も1軍入りと2軍入りを決めてから交代になった結果、先輩から点を取れるメンバーがいなくなり他のメンバーが諦めかけた所から栄純がマウンドにたった。

8回からは特に速くないムービングのストレートのみしか持たない栄純だったが2軍の先輩達はそれを見抜けずに凡打の山。だが元レギュラーの増子先輩は栄純の球質に気付いておりホームラン。

そのまま栄純は最後まで投げきり増子先輩以外にはまともな当たりを許すこと無く試合を2失点で終えて2軍行きが決まったのだ。

驚いたのはこの後半、振り逃げでも塁に出た栄純を代打で出てタイムリーを打った小湊春一のバッティング技術は凄いと思ったね。

試合は5対20で負けることになった。

結果として1軍へ行った選手は

俺と優人、降谷の3人は昇格で増子先輩は復帰。

2軍へ行った選手は

秀明と信二、栄純と春一の4人になった。

 



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7話

あの試合から数日が経ち俺は

「御幸さん!そろそろ座って下さい。」

「おう!」

一軍のブルペンにいた。

そこで片岡監督に指示された球を投げていた。

ここ最近100球投げたら終わりを繰り返している。

そしてしばらくして

 

関東大会1回戦

青道(東京)-横浜港北学園(神奈川)の試合に出ていた。

俺は9番ピッチャーで優人は8番レフトで出場していた。

最初の1巡は変化球中心

2巡目はストレートと緩急

3巡目はストレートとシンカーを中心に低めに集めるピッチング。

そして最終回

「なんと青道高校!今年入ったばかりの1年生ピッチャー永島が無失点のピッチングで8対0!横浜港北学園は永島の前に二塁を踏むことが出来ません。これが世界を知る者と知らざる者の差なのか?今だに横浜港北学園は2本しかヒットが出ておらず攻略の糸口を見つけておりません。さあどうする!」

「それにしても永島君は素晴らしい武器を持っていますね。あのキレのいいストレートにチェックゾーンを超えてから落ちる落差のあるフォークそれにあのシンカーも変化量、タイミング共に素晴らしいですね。」

「そうですね。しかしレフトを守る大澤君も素晴らしいですよ。この試合はホームラン1本にツーベースを2本も打ってますね。守備でもライン際の難しいフライを見事なスライディングキャッチ。ショートをやっていたからこその機動力を見せてくれました。」

「はい。今年の青道は本当に素晴らしい選手が入りましたね。」

そして最終回

ツーアウトランナー無し

2ストライク

0ボール

「さあ横浜港北学園最後の打者になってしまうのか?

それとも底力を見せて1点返すのか?」

追い込んでからの俺の最後の球はど真ん中から落ちるフォーク

「最後はフォークで横浜港北能力3番の横溝!三振!永島君は強打の横浜港北を寄せ付けない圧倒的なピッチングを見せてくれました。」

「御幸君のあのレベルの高いリードに期待以上の球を投げる永島君。永島君は青道高校の救世主になるかも知れませんね。」

「そうですね。そして青道の次の相手ですがこの試合に勝ったチームとの試合になります。永島君が出場するのかも楽しみの一つですね。」

 

と寮に帰ってから部長が録画していたものを見てすごく恥ずかしい思いをした俺だった。

 

少しして

「結城。集めろ。」

「はい!集合!」

「「「「はい!」」」」

主将の声で監督の前に集まり話を聞く

「明日の試合。先発は丹波。お前だ。エースは俺だと世間にアピールしろ。はい!

それと4番までは今日と同じで行く。

5番に大澤がレフト6番にサード増子7番に御幸で8番にライトで永島。最後に丹波。5番以降のメンバーと打順はこうなる。

白洲に坂井。お前達もいつでも行けるように準備しておけ。」

「「はい。」」

「それと明日の相手だが今日と同じく打撃のチームだ。丹波!お前のピッチングで黙らせろ。」

「はい。」

「それと降谷。最後の方で投げさせるから準備しておけ。」

「・・・はい。」

「以上だ。明日に向けて早めに寝ておけ。」

「「「「はい!」」」」



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8話

試合は山梨学園高校

5回までは0対0の投手戦だったが6回に突然、丹波さんが崩れだし7点取られる。そこで6回途中からワンアウトランナー満塁の場面で川上さんが緊急登板をする。川上さんの初球はライトの定位置より少し深い所に飛んでいきサードランナーはタッチアップの準備をする。

「青道の緊急登板の川上!初球を二番バッターの内藤にライト方向へフライを打ち上げた。

永島!打球の落下地点に着くのが速い!

ここからはライト永島の肩とサードランナー松本の足の勝負だ。

永島の肩は前回の試合を見てもらって分かる通りかなりの強さを誇りますが松本の足も相当な物があります。」

と言っている間に俺は捕球してから投げる為の体勢に入る。

松本さんも体勢を低くして走る大勢に入り

・・・捕球した!

俺は捕球してから最短でホームへ送球

この送球はいい感じだ。

でも松本さんもスタートがよかった。

そして俺の送球がホームに着くのと松本さんのスライディングが同時だった。

「・・・・・・アウト!」

間一髪俺の送球でアウトを取ることが出来た。それを確認してベンチに戻ると純さんが

「永島!ナイススローだ!」

「あざっす!練習の時に純さんが送球を教えてくれたおかげです!」

「そうか!」

「はい!」

「永島。助かったよ。ありがとう。」

「川上さんも良かったですよ。川上さんの球威のおかげであそこまでしか飛びませんでしたから。」

と川上さんと純さんと話ながらベンチに戻ると監督が

「永島。よくやった。それと倉持!後輩の永島がこの場面であの送球を見せたんだ。塁に出て相手投手を塁上から掻き回してこい!」

「はい!」

と言って倉持さんは打席に経つ。

 

 

side倉持

へっ!ここで永島がサイコーの送球を見せたんだ。俺もあいつに負けてらんねえよな。

相手の投手の中田は左のオーバーハンド球速はそこまで速くないが変化球に定評がある。本来なら左投手には右打席がセオリーだが今回は何が何でも塁に出る!だから敢えて左打席に入る。

 

sideout

 

倉持さんは左打席に入った。

3球でツーストライクワンボールになる。

そこからストライクになんとか喰らいつき8球目のアウトローギリギリのボールをサードの前に絶妙ボテボテを打つ。

足の速い倉持さんはセーフになる。

そして打席に入るのは小湊亮介さん。

はっきり言うと塁に倉持さんがいる状態での亮介は嫌だ。なぜなら

「おっと中田。一塁の倉持を気にしすぎて小湊相手にストライクをとることが出来ません。」

結果的にフォアボールでランナーが一二塁になり3番の純さんの打順に。

変化球を振らされ三振になるが4番の結城が初球のあまいコースに来たストレートを見逃さずにフェンス直撃のツーベース。これが走者一掃のタイムリーツーベース。

5番に入った大澤

この打席に入る前にあいつは俺に

「匠。お前の好送球を俺は無駄にしないぜ!」

そう言って打席に入りライト前にヒットを打ち出塁する。

 



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9話

このまま試合は進んでいき現在8対5で負けている。

あの後、川上さんが1点取られるも何とか3点差まで追いつく。

そして8回からのマウンドには降谷が立つ。

side御幸

正直に言うとまだコントロールも甘いため荒れれば大変だが全くデータが無い為高めのストレートをスイングさせてしまう。

いや高めのストレートは圧力で振らせてしまう。

これは永島には無いこのチームで降谷しか持たない武器だ。

8回は高めのストレートがよく決まり三者連続三振。

最終回

ストレートは相手も3・4・5番打者の為当てられはするものの三者連続三振に何とか仕留めた。

だがなんとか抑えたと同時に降谷の変化球が無いという弱点が見えるようになった試合でもあるのだった。

sideout

 

最終回を投げきった降谷にキャプテンの結城さんが

「降谷よく投げた。あとは俺たちに任せろ!」

そう言ってネクストバッターボックスに入る。

純さんは何とかライト前で塁に出る。

そして結城先輩と優人に連続で敬遠をした。

ノーアウトランナー満塁の場面で増子先輩だ。

だがストレートは1球も来ず最後はカーブでホームゲッツーを食らう。

ツーアウトランナー23塁で御幸先輩が打席に

だがここでも敬遠をくらう。

そして打席には俺が立つ。

初球はストレートをインハイに決められ

2球目はアウトローにカーブ。

これでツーストライク。

追い込まれる。

その後

スライダーが外れ

5球目にインローに少し球威の落ちたストレートが投げられた。

俺はそれを見逃さずに打ち右中間に打球が飛んでいく。

その当たりの間に結城先輩と優人が本塁へ御幸先輩はホームへ戻れずツーアウト二三塁。

ここで降谷に代田で坂井さんが出るも2球目のインハイを打ち上げサードフライで試合は負けで終わる。

 

こうして関東大会は終わりを告げるのであった。

 

side東条

この試合と前の試合を見ていて思った。

1年の中で匠と優人は別格だ。

高校生としてまだ公式戦が二試合目なのに関わらず主力として活躍していた。

前の試合の匠のピッチングは勿論

優人のバッティング。

俺はエースナンバーを貰えない。それを直感的に感じた。

でも俺は負けたくない。匠や優人がもう既に試合に出ているのに一緒に日本代表として戦った仲間に置いていかれるのは嫌だ。

だから決めた。

投手を諦める訳では無い。

だからこそ俺は外野でレギュラーを取りたいと思う。

 

side金丸

やっぱりすげえよ。匠と優人は。

あいつらは守備も打撃も凄いのは日本代表として一緒にプレイしたからこそわかる。

それに今日の試合を見ていてやっぱり優人は内野が向いていると俺は思う。

・・・いや、確実に夏の大会では優人は内野手として試合に出ているはずだ。

だからこそ俺も守備位置の選択肢を増やさねえとな。

そうだな。まずは外野と一塁手だな。今のサードの他にこの二つでレギュラーになれるようになってやるぜ!

sideout

 

こうして日本代表を経験した東条と金丸は青道で生き残る為。

自分自身が後悔しないために新しいポジションの練習にも参加を始めるのだ。

だがあと2人いたのだ。決意をした1年生が



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10話

side小湊春市

やっぱりあの2人は凄いや。

でも負ける気は無い。絶対に秋・・・いや夏から試合に出れるようになってやる!

それにまだ兄貴にも勝ててないどころか実力は眼中に入っていないからね。

足りない所は分かってる。

まずはパワーをかなり付けないと。他にも走力に肩力も強くしないとあの2人には勝てないからね!

 

side沢村

おいおいなんだよ!

匠が凄いのは知ってたし優人が凄いのも知ってたけどよ!

俺はあいつらを裏切ってここに来たんだ!

それに降谷もすげえよ!

でも俺は負けねえ!

絶対にエースに俺はなるんだ!絶対になるんだ!

クリス先輩にいろいろ教えて貰って俺は絶対にエースになるんだ!

あいつらの為に・・・違う!

俺は匠に勝ちたいんだ!エースに俺はなる!

 

と2人も更に努力を始めるのだった。

 

side御幸

降谷のストレートだけのピッチングだとやっぱり打たれるか。

それにしてもあの2人はホントにバケモンだな。

きっと沢村は今頃『俺はエースになるんだ!』

とか考えてるぜ。うししし

でも関東大会負けちまったな。

でもあと2ヶ月で夏の大会も始まる。

アイツらが凄いのは分かったし丹波さんもエースが取られるかもな。

 

sideout

 

試合翌日の監督室にて

 

「素晴らしい選手が二人も入りましたね。監督。」

「ああ。あの2人は既に次の代の主力。・・・イヤ。今年からも主力として使えるな。」

「それにしても問題は丹波ですよ!昨日のピッチングはやはり。」

「だが奴はこのチームに必要なピッチャーだ。夏まであと2ヶ月でどうなるか。それに永島と大沢は想像以上だった。それに恐らく内野の方が向いているであろう大沢は外野でもあのレベルのプレーが出来る。永島も前の試合は6回までと思っていたが想像以上で変えることも出来ないほど圧倒された。降谷はこれから変化球を覚えてコントロールが多少付けばやっていけるだろう。」

「ですね。でも監督。二軍にいる彼らの同級生の東条君に金丸君、小湊君に沢村君も二軍の練習でレベルアップしています。」

「ああ。だからこそ次の二軍の試合に永島と大沢、降谷の3人を同伴させる。」

「どういう事ですか?」

「高校で2人には更に経験を積んで貰い降谷には沢村と同じくクリスに付いてもらう。」

「クリス君ですか。それはいいかもしれませんね。それに2人に経験を積ませると言うのもいいと思います。ポジションはどこで出せばいいですか?」

「ダブルヘッダーの時は初戦を永島に5回まで投げてもらいその後はセカンドで大沢と二遊間を組んでもらう。二試合目は永島をセンター、大沢をレフトに使ってくれ。それと初戦の六回以降は降谷で頼む。二試合目は野球をベンチから見せてくれ。小湊春市にはセカンドの他に外野も経験させてくれ。勿論セカンドを優先するが。二試合目は外野をあの2人に追加でライトに東条。初戦はセンターで頼む。金丸もサードで二試合使い続けてくれ。」

「わかりました。打順は何かありますか?」

「そこは練習を見て自由にしてくれ。」

「わかりました。大沢君と永島君に経験を積ませ降谷君は二試合目を丸々ベンチで野球の勉強をさせる。小湊君を外野も経験させてくれ東条君と金丸君をフルで使うですね。沢村君はどうしますか?」

「使えるなら使ってくれ。ダメなようなら使わなくていい。それと一軍の試合がある場合は2人は一軍を優先する。」

「わかりました。それにしても監督が選手にここまで期待するのは珍しいですね。」

「そうだな。だがあの2人にはそれだけの実力がある。あとは経験を多く積ませたい。壊れない様に俺達大人が彼らを見ながらな。」

「わかりました。疲労等がかなり溜まった場面では変えてもいいですか?」

「そうしてくれ。」

 

こうして期待の1年生が7人のしばらくの間の起用法が決まるのであった。



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11話

あの後1週間が経ち一軍はオフで二軍の練習試合に大沢、永島、降谷が同行する形で帝東と二試合の練習試合が始まる。

打順(青道オンリー)

1 セカンド 小湊春市 1年

2 センター 東条秀明 1年

3 ピッチャー 永島匠 1年

4 ショート 大沢優人 1年

5 サード 金丸信二 1年

6 ファースト 前園健太 2年

7 レフト麻生 2年

8 ライト 森 2年

9 キャッチャー 狩場 1年

 

リリーフ

降谷 暁

 

スタメンの殆どが1年生に埋められているのだ。

 

side帝東ベンチ

「監督!青道は俺たちを舐めてるんですか!スタメンの殆どが1年じゃないですか!」

「そうだな。片岡監督も思いっきりが良すぎるな。・・・いいかお前ら!こいつらに1点もやったらダメだ!1年がメインで帝東に勝とうとすることがいかに難しいか教えてやれ!」

 

と帝東ナインは気合いを入れて試合に望むが永島が投げている間は二塁すら踏めずに降谷に変わる。

対する帝東は青道の二軍を止めることが出来ずに5回で早くも12失点。

エースが投げていないはいえ点を取られまくるのであった。

が青道は降谷に変わってから降谷のストレートはストライクに入らずフォアボールを連発、ストライクを取りに行くと帝東の選手に強打。最悪のピッチングになっている。

結局試合は20対10で勝ちはしたが降谷は課題が多く残る試合となった。

 

お昼を終えて二試合目は

1 センター 永島

2 セカンド 小湊

3 ライト 東条

4 レフト 大沢

5 ファースト 前園

6 サード 金丸

7 ショート高木

8 キャッチャー 狩場

9 ピッチャー 沢村

 

なんと二試合目は前園以外が全員1年となってしまった。

帝東は初戦とは違いレギュラーメンバーで試合に望んだ。

帝東のピッチャーは向井太陽

コントロールはいいがそれだけの印象がある投手なのだ。

そして、そんな投手に永島、大沢は抑えられるはずがなくこの2人を抑えることなく最終回までいってしまった。それでも要所は抑えていたため大荒れすることはなく三失点に留める。

対する沢村は初回をなんとか抑えるもその後は抑えきれずに3回三失点。その後・・・7回まで投げていると8回に突然打たれ出した。

長打はないものの外野と内野の間にヒットを打っていく。

沢村の弱点である軽い球はミートするだけでも外野まで飛んでいく。

アウトは取れるもののこの回に3失点して高島さんに交代を出されライトを守っていた東条が投手に入りレフトの大沢がライト、沢村に変わって麻生がレフトに入る。

その後は安定した変化球で内野ゴロを打たせてとる東条のピッチングで抑えて負けはしたが試合は終了した。

 

side沢村

「沢村くん。なぜあの回に交代させられたか分かるかしら?」

「打たれるようになったからです。」

「それもあるけど違うわ。貴方はなぜ打たれるようになったのか分かっていないわ。鈴白さん。分かるかしら?」

「はい。沢村くん。打たれるようになったのはね、えっと・・・」

「変化球が無いからだろ!」

「違うと思います。あのね。初回からずっと同じようなコースばかりに投げていたからだと思うの。ですよね高島さん?」

「そうよ。鈴白さん。あっています。狩場君は何を考えてリードしていたのかしら?」

「はい。最初は沢村の強気を使ってインコースを攻めようと思ったんですが思うように決まらなかったので取り敢えず低めに集めようと思いました。それに回を重ねる事に少しずつコントロールが出来るようになってきたのでインコースに構えると球が浮くので低めに構えるしかありませんでした。」

「そうなのね。ありがとう狩場君。沢村くん。貴方は自分の武器が何だと思ってるの?」

「俺の武器ですか?」

「そうよ。貴方の永島君や東条君にも無い貴方だけの武器。」

「自分だけの武器。」

「まずはそれを自覚しなさい。そしてそれを活かせるようになりなさい。これが今の貴方の一つの課題よ。」

「自分の武器を活かせるようにする。・・・永島と東条の武器は何ですか?」

「なぜ知りたいのかしら?」

「自分だけの武器が二人のと違うんですよね!ならそれを聞いて参考にと思って。」

「そう。貴方なりに考えたのね。いいわ。教えましょう。でもそれぞれ一つずつよ。2人にはそれ以外の武器もあるからそれは自分で見つけなさい。」

「はい。」

「まず永島君はあの打者に分かっていても当てさせないフォークボールよ。。東条君は変化球の出し入れね。でもこれは2人の持つ武器の中の一つに過ぎないわ。他は自分で見つけなさい。それとあなたの武器は2つ。それを探しなさい。」

「はい。」

こうして今日は終わりを告げるのであった。



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12話

俺の武器ってなんだろう?

俺には永島みたいな変化球も東条みたいなコントロールも降谷みたいなストレートも無いし。

と考えながら歩いていると目の前に優人が見えたので聞いてみることにした。

「優人!」

「どうした?栄純。」

「俺の投手としての武器って何かな?」

「栄純の武器か?・・・死ぬほどバカなこと?」

「どういう意味だ?」

「だって栄純は何を考えているのかが分からない。いや、何も考えていないよな。」

「だってどこに投げても打たれる時は打たれるだろ!」

「それはそうだけど。・・・なんて説明したものかな?ストレートに意味を感じないんだよ。匠はどんな打者相手でも意味の無いボールは投げないよな。」

「意味のある球?何だよそれ!」

と俺が言うと優人がしゃがんでグラウンドに絵を描き始めた。

それを見て俺もしゃがむ。

優人の書いて絵を見て

「栄純。例えばだけど匠が哲さんのインハイにストレート。アウトローにシンカーを少し外してインローにドロップカーブを投げたとする。そしたら栄純。お前ならどこに投げる。」

「俺はど真ん中にストレートだ!」

「違うぜ栄純。」

と当然後ろから声が聞こえた。

「俺ならアウトハイにギリギリ外すストレートで反応次第だけどインローに高速フォーク。もしくはアウトローにスローチェンジアップだ。」

「何でだよ。」

「優人なら分かるんじゃないか?そもそも優人が説明してたんだし。」

「まぁそうだな、栄純。アウトローのスローチェンジアップはタイミングを外して三振に抑えるためだ。インローのフォークは対角線に投げる事で打者は当てにくくなるからだ。」

「何でだ?」

「今までも対角線にしか投げていないだろ。」

「確かに!」

「まぁこれはあくまで配球だ。リードとなると話は変わってくる」

「リードと配球?なんだそれは?」

「まずはそこからか。配球はあくまで予定だ。こう攻めたいってな。リードは試合中の流れや打者の調子を見て作るものだ。相手の反応を見てな。」

「さっぱりわからん!」

「なら御幸さんに聞けよ。そこはキャッチャーの仕事だから。」

そう言って匠はブルペンの方へと走って行った。

 

匠が離れてから優人が

「やっぱり匠はすげえよ。俺はアイツに打者としてしか勝てないのかもな。」

「どうしたんだ優人?」

「アイツは・・・アイツのピッチングは全てに意味がある。意味の無い球を投げないんだよ。それに世界大会の決勝の時にあいつが投げていて負ける事は無いと俺は確信しちまった。でもそんなアイツと野球をまた一緒にやりたいとも思っちまった。アイツとバッテリーを組めるキャッチャーはリードが楽しいんだと思うぞ。それと俺はお前の武器をホントは知ってるぜ。」

「なんだよ。」

「負けず嫌いな所にムービングファストだな。でももしかしたらアイツは他にも見つけてるかもしれないぜ。」

そう言って優人は「俺も自主練してくる。」

と言って室内練習場へ向かうのだった。



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13話

「御幸さん。お待たせしました。」

「構わないぜ。俺も今来たところだ。」

と御幸先輩は用意を終えて立っていた。

暫くして立ち投げでしっかりと肩を作り

「御幸さん。座って下さい。試したいボールがあります。完成しているかを確かめる意味で。」

と俺は御幸先輩に伝える。

 

side御幸

「御幸さん。座って下さい。試したいボールがあります。完成しているかを確かめる意味で。」

俺はそれを聞いて思った。

こいつはまだまだ上へと行こうとしている。なら俺も負けていられないと。

「いいぜ。何を投げるんだ?」

「シンキングファストです。最近自主練の時に試していたんですけどそろそろ受けてもらいたいと思ったので。」

「分かった。でもまずはストレートから順番に行くぞ。」

と俺が伝えると匠はモーションに入る。

 

いつも通りの力強いフォームから投げられる斬れ味抜群の回転のかかったストレート。

変化が遅くストレートと大差ないスピードで一気に曲がる高速スライダー

ストレートに比べかなり球速が落ち変化量の大きいスライダー

低めへしっかりコントロールされたSFF

真ん中から急激に尚且つ大きく落ちる高速フォーク

かなりスピードを落としゆっくりと大きく落ちるパーム

変化量は小さいがバット一つ分滑るように斜めに曲がるシンカー

そして最後はストンと落ちる大きなドロップカーブ

これらを投げ終えてから匠が最後に

「御幸さん。シンキングファスト行きます。」

そう言ってしっかりと確認しながら腕を振りに入る。

 

まっすぐの軌道。

これは失敗か。

と思ったら横に滑るようにシンキングファストが曲がり始めた。

他の変化球に比べたらインパクトは小さいが十分武器になる。

俺はそう確信したと同時に恐ろしい奴だとも思った。多くの変化球を高い精度で投げ込むことの出来るコントロールに伝家の宝刀高速フォーク。

150㌔に迫るMAXスピードを持つストレートに俊足強肩を使ったフィールディング。

今まで雑誌では優人と二人合わせて投の天才永島匠、打の天才大沢優人って呼ばれていたけど間違いなく2人は努力の天才だ。しかもその努力に天才級のセンスだからな。

 

 

「御幸さん。どうでした?」

「おっとそうだった。やっぱりお前すげえよ。何であんなタイミングで変化させられるんだ?」

「握りを変えてみました。」

「なるほどな。」

「クリス先輩にアドバイスをもらいながらですけどね」

「そうか‼︎クリス先輩に‥あの人は野球に詳しからな」

「そうですね。俺は誰よりも野球のスキルと知識を持たないと誰にも勝てなかったので」

「嘘だろ‥150近い球速に左右上下緩急と使いこなせる変化球を持つお前が」

「今でこそ高い評価を貰っていますが元々は平均以下の球速にコントロールのダメピでしたからね。」

「そうかよ・・・信じられねえな」

「御幸さん」

「なんだよ」

「貴方にだけは教えますよ。俺がここを選んだ理由を。誰にも言わないで下さいよ。誰かにバレたらもう二度と信用しませんから」

「おう」

 



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