東方転生録 (のんびり+)
しおりを挟む

第1章 転生編~古代都市~
プロローグ


どうも初めまして、のんびり+です
初めて書いた小説なので駄文にミス等ありますが暖かい目で見てあげて下さい。
それでは、のんびりしていってね!



 今から綴られるのは、平々凡々な青年が体験した、二度目の人生。雨宮琥珀と言う人間の、転生緑である。

 

 

 

 

『東方転生録』

 

 

 

 

 

 

 

 

 俺の名は雨宮琥珀(あめみやこはく)

 

 どこにでもいるような普通の高校三年生で、その日、いつも通り家に帰り、親は仕事でいなかったので近くのコンビニに飯を買いに行った。

 

 ――ここから。この日から、すべてが変わり、すべてが始まったのだ。

 

 コンビニに行った俺は、今日食べるであろう飯をレジに持っていった。俺から弁当を受け取った店員は、バーコード認証をして「温めますか?」と聞いてきた。

 俺はいつも通りに「お願いします」と答えようとしたのだが。

 

 その時、パァン! と破裂音のようなものが店内に鳴り響いた。

 

 音のした方を見ると、黒ずくめで顔にマスクとサングラスをかけた男が、右手を上に上げている。右手には拳銃が握られていた。

 

 この状況で何を思い浮かべるか?

 

 そう、強盗である。

 

 男は慌ただしく、俺の前にいる店員にむかって銃を突き付けながら言った。

 

「さっさと金をこのバッグに入れろッ! 妙なマネはするなよ!?」

 

 店員は額から汗を流し、慌てた様子でバッグを受け取り金をいれようとしていた。

 普通、急に強盗が目の前に現れたら混乱してしまうだろう。しかも拳銃持ちだ。普通なら、撃たれないように怯えながら目立たない努力をするだろう。

 

 だが何を思ったのか、俺は強盗がバッグを渡した瞬間、強盗の顔面にむかって思いっきり殴り掛かっていた。

 

 何故そうしたのかは分からない。

 

 ただ無意識に、反射的に、俺は殴り掛かっていた。

 

 とっさの事に驚いたのか強盗は倒れこんだ。

 

 俺はすぐさま強盗の銃を蹴って、

 

「早く警察を呼んでッ!!」

 

 声を張り上げる。

 

「……っのクソガキがぁ!!」

 

 強盗は立ち上がり、俺に叫びながら突進してくる。

 

 そして、男のタックルをもろにくらった俺は吐血し、倒れる。

 強盗の手を見ると、赤く血で塗れたナイフが握られていた。

 

 ……息が出来ない。

 ……体の感覚が消えていく。

 

 ――ちくしょう。

 

 そうして、どんどん意識が遠退いていく。

 目蓋(まぶた)が重い……。

 ……俺は、死ぬんだな。

 

 不思議と死への恐怖は無く、冷静で落ち着いている。

 やがて俺は、目蓋の重さに耐えられずに目を閉じる。

 ほんの少しのこの世への未練……もう少し生きたい。

 それが、俺の人生で最後の願いだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 次に目を覚ますと、俺はベッドに横たわっていた。

 知らない天井が目に入る。

 

「……あれ?」

 

 ゆっくりと上体を起こして、辺りを見回して見る。

 殺風景な部屋で、家具はベッドだけ、床の赤いカーペット以外はベッドも天井も何もかもが真っ白だ。

 

 次第に意識がはっきりしてくる。

 

「俺は……コンビニで……強盗に……」

 

 記憶も次々に甦る。そんな中、俺の脳内では疑問が湧き出て止まらなかった。

 

 何故、俺はこんな所にいるのか……。奇跡的に生きていた?

 

 ――いや、あり得ない。

 

 あのナイフは俺の心臓を確かに貫いていた。

 

 俺は確かに俺は死んだ……はず。

 

 なら何故俺はここで寝ている?

 

 本当に死んだなら、俺が今ここで寝てる訳が無い。

 それに見た所、ここは病院って雰囲気じゃ無いしな。

 

 そうして自問自答を繰り返していると突如、

 

「その事については私から説明させていただきます」

 

 ――ッ!?

 

 い、今起きた事をありのまま話すぜ!?

 俺が何故ここにいるのか考えていたら不意に声がして、そこを見ると頭に葉っぱの輪みたいなののせて宙に浮いている幼女がいたんだ!

 何をいってるのかわからないかもしれねぇが、俺も現状の理解が出来ねぇ!

 催眠術とか超スピードとかそんなチャチャなもんじゃ断じてねぇ!もっと恐ろしいものの片鱗を見たぜ。

 

「別に私は時止めて無いですよ?」

 

 何ッ!?

 い、今起こった――

 

「ハイハイストップしてください!話が進みませんから!」

 

 また俺が暴走しようとしたら幼女に止められた。

 

 俺は混乱する頭を落ち着かせ、幼――

 

「私は幼女ではありません!! ネロとお呼びください」

 

 ……ネロの話を聞く。

 

 

 

 ~少女説明中~

 

 

 

 話を要約するとこうだ。

 

 ネロは神様でここは神様達が暮らす場所……らしい。

 ネロの部下が俺の大事な書類に間違えた情報を書いたらしく、本当は俺じゃなく店員が死ぬハズだった。

 慌てたネロはとにかくまず俺をここに回収して謝罪する、と言う流れだ。

 

 

「本当に申し訳ありませんでした! 謝って許されることではありませんが謝らせて下さい!!」

 

 ネロが申し訳なさそうに頭を下げる。

 

「まあまあ、落ち着けって」

 

「……随分と冷静ですね」

 

「いやだってさー、急にそんなこと言われても実感ないっていうかさ、とにかく怒ってないから気にすんなよ」

 

「ありがとうございます」

 

「で、俺はどうなんの?」

 

「とりあえずは転生でもさせようかと……」

 

「転生?」

 

「ハイ、悪いのは完全にこちらなので」

 

「転生って具体的には?」

 

「ハイ、あなたに行きたい世界を選んでいただこうかと……」

 

「それって二次元の世界とかも行けんのか?」

 

「そうですね、可能です」

 

 ネロは、俺に自分で行きたい世界を選んで良いと言うのだ。

 

「なん……だと……!?」

 

 うーん、どうしよう。これは悩む……。多分今まで生きてきた中で一番悩んでる。……よし、これでいこう!

 

「ネロ! 心が読めるなら俺が行きたい世界候補も分かるよな?」

 

「ハイ、わかりますが」

 

「世界候補のくじ引き作ってくれよ!」

 

「そんな決め方で大丈夫ですか?」

 

「大丈夫だ、問題ない」

 

 

 

 ~くじ引き制作中~

 

 

 

「ようし、いくぞ!」

 

 緊張と期待を胸に、箱の中に手を入れ直感で漁る。

 

「これだ!」

 

 一枚引いてネロに渡す。

 

「どれどれ。琥珀さんがいく世界は……東方projectの世界ですね」

 

 東方Project。確か弾幕シューティングゲームだっけか。

 

「東方の世界なら能力も決めないとですね」

 

「うーん、能力か……。よし、くじ引きゴー!」

 

「またですか!?」

 

 

 

 ~くじ引き制作中~

 

 

 

「いくぜ!」

 

 能力が懸かっている分、緊張も期待もさっきよりでかい。

 

 覚悟を決め紙を一枚引き、ネロに渡した。

 

「どれどれ……琥珀さんの能力は、「嘘を本当にする程度の能力」ですね」

 

「イエーイ!」

 

 何か良さげな能力が手に入ってか、上機嫌。というか、嘘を本当にするってさ、全然「程度」じゃないよね!

 

「気にしたら負けです。では、転生を開始します」

 

「おう」

 

 ネロが手をかざすと、俺の体が光り消えていく。

 

「じゃあな、ネロ」

 

「ハイ、いってらっしゃい」

 

 そうして意識がなくなった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あ、いつの時代に送るか言うの忘れちゃいました……」

 

 白の部屋に一つ、そんな声がポツリと響いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




はい、お疲れ様でした!
次回は琥珀くんの転生生活ですね
次回ものんびりしていってね


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

1話 琥珀、都市に行く

今回は軽い能力説明と都市に行くまでです。
のんびりしていって下さいね。


「うぅ……ここは?」

 

 俺が起きたら辺り一面に木、どうやら森らしい。

 

「あ、やべ、時代分からないじゃん」

 

 ネロに聞くの忘れてた。うっかりしてたぜ、もういいや。

 

 それより大事なのはここがどこなのかということ。

 

 俺は東方を詳しくは知らないが、確か妖怪とか神とかがいた気がする。

 

 だとするとまずい。

 

 このまま夜になったら妖怪に襲われる可能性大だな。

 

 ……まあ、初っぱなからそんな不幸無いよな。

 

 しかしだ、このままじっとしてても仕方ない。

 という事で、探検しようそうしよう!

 

 そうして探検に行こうとした瞬間、ズドン!! と後ろから大木が倒れたような音が聞こえた。

 

 嫌な予感がする……。

 

 後ろゆっくり振り向くとそこには、全長十メートルはあるであろうムカデのような何かがよだれを垂らしながらこちらを見つめていた。

 

 馬鹿な!? この俺がいきなり化け物と遭遇するなんて! 今日は厄日だわ!

 

 いろいろと文句を言いたいが、今やることは一つ。

 

「逃げるんだよォォォ!!」

 

「キシュァァアアァァアーー!!」

 

「馬鹿ッ! こっちくんな! しっし!」

 

「シュリュァァアアアアーー!!」

 

 そうして俺は逃げた。

 

 ただただ逃げまくった。

 

 そして、何とかあの化け物は振り切ったが、

 

「日が暮れちまった……」

 

 仕方ない今日はここで野宿しよう。

 

 幸い、寝込みを襲われる事はなかった。

 

 朝になり、目映い太陽の光が森に降り注ぐ。

 そんな中、俺は決心する。

 

「修行しよう!」

 

 このままではここで生きていけない、そのために強くならねば!

 

 そうして修行が始まった。

 

 

 

 琥珀君の修行コーナー!

 修行其の一!

 能力トレーニング!

 

「よし、まずは能力を扱えるようになるぞ!」

 

 俺の能力は「嘘を本当にする程度の能力」だったっけ。

 

 名前だけなら十分強い……というよりチートだな!

 

 よし、まずは使ってみよう。

 

「【俺は空を飛べる】という嘘を【本当】にッ!」

 

 俺が言った瞬間、フワッと浮遊感がする。

 

「う……うぉぉ! 浮いてる! 俺浮いてるよ!?」

 

 ほんの数センチだが、確かに浮いている。

 

 感動! なんだろうこの心地良さは!? 最高にハイってやつだ!

 

「でも、まだまだ練習が必要だな。……よし、次だ」

 

 

 修行其の二!

 霊力トレーニング!

 

「この世界には霊力、妖力、神力といったものを種族ごとに持っていた筈」

 

 ……でもどうしたら使えるんだ?

 力んでみたけど何も出ない。……もしかしたら!

 ある一つの仮定が脳裏をよぎった。早速試してみようと、深呼吸をして。

 

「かぁ! めぇ! はぁ! めぇ! 波ぁぁぁぁ!!」

 

 掛け合いと共に体の前に力強く押し出された両手! しかし、特に何も起きず。虚しさと儚さが残る結果となってしまった。

 

「……よし、能力使おう」

 

【俺は霊力を使える】という嘘を【本当】に。

 

 俺はもう一度集中して、掌に力を込める。

 

 すると(てのひら)から青白い球が出てきた。

 

「これが霊力か」

 

 だが、球はすぐに消えてしまった。

 

「これも練習あるのみだぜ!」

 

 

 修行其の三!

 筋力と体力トレーニング!

 

「基本中の基本だな。目標としては能力無しでも鬼に勝てるくらいか……よしッ!」

 

 とりあえず能力使おう。

 

 ん?頼りすぎ?知らんな☆

 

【俺の筋力は鬼以上】という嘘を【本当】に。

 

「どれどれ」

 

 俺は地面に向かって思いっきり拳を降り下ろした。

 拳が地面に触れた瞬間。轟く爆音、舞い上がる土煙。

 

「え!?」

 

 俺の立っていた足場がなくなり自由落下運動をする。とっさに覚えたての空中浮遊を(おこな)った。

 

 ……なんていう事でしょう。拳を降り下ろした場所には、深さ六~八メートルのクレーターが。

 

「…………」

 

 圧倒的☆破壊力。人に向けたら危ないね! 取り扱い注意だな。

 

 

「よし次は体力だな」

 

【俺の体力は百キロ全力で走っても息が切れない程】という嘘を【本当】に。

 

「ステンバーイ、ステンバーイ……ゴッ!!」

 

 俺は走った。全力で走った。

 

 いつまでたっても息が切れないのでやめた。

 

「ビューティフォー」

 

 よしこの調子で頑張るぞ!

 

 

 

 

 ***

 

 

 

 

 あれから何年たったかな?

 確か能力で不老不死になったのが……何年前だっけ?

 相当昔だったような……まぁいいや。

 

 あれから俺は、毎日欠かさずトレーニングをしていた。

 

 お陰で霊力はうなぎ上りで、この間ゴルフボールくらいの霊力の球をワゴン車程の大きさの岩にぶつけたら木っ端微塵になった。

 

 能力もこの前まではあまり大きな嘘は本当にできなかったが、今は天気は勿論、地震等の災害も起こせるし、逆に嘘で無効にもできる。

 

 というか基本的に俺に本当に出来ない嘘はない……のかな? 一応、俺にも吐けない嘘はあるが。まあ良い。

 

 で、今は旅をしながら修行もしてるってわけだ。

 

「あーぁ、暇だな~」

 

 そんな事を考えていると

 

「~~~~!!」

 

「ん? 今の悲鳴はなんだ?」

 

 かなり小さいが、確かに聞こえた。女の人の叫び声だ。

 だいぶ前にあげておいた聴力が役にたったぜ。

 俺は悲鳴が聞こえた方に急いだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ――迂闊だった。

 

 ここら一帯が妖怪の縄張りだと知っていたのに。

 気を抜きすぎていた。妖怪など恐れるに足りないと。

 

 今、私の前には数十匹の妖怪の群れ。

 弓矢は弾き飛ばされ足は挫いてしまった。

 

「ここまでかしら……」

 

 私はこのまま、妖怪共に食われるのだろうか。

 

 ……嫌だ。

 

 でも逃げる術がないのも確か。

 

 そうしてる間に妖怪の一匹が飛びかかってきた。

 

 もうダメだ。私はここで死ぬのだろう。

 皆からは“都市の頭脳”と呼ばれ慕われた私も、最期は誰にも気付かれずにひっそりと醜い妖怪の餌になる。……失笑だわ。

 

 そうして、私は目を閉じた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ――俺が急いで悲鳴の方角に走って行くと、座り込んでいる女性と今まさに飛びかかっている狼のような妖怪を捉えた。だが、助け出すには遠すぎる。

 

「間に合わないッ! ならば、」

 

【俺が時を止められる】という嘘を【本当】に。

 

「ザ・ワールド!! 時よ止まれ!!」

 

 瞬間、世界から色が抜け落ち、俺以外の全てのものは動きを止める。

 昔憧れていた時止めも、最早お茶の子さいさいだ。

 

「危なかったぜ」

 

 そして、俺は座り込んでいる女性をお姫様抱っこしてこの場を離れる。

 

 安全な場所まで来ると、

 

「そして時は動き出す」

 

 俺が言うと、世界に色が戻り再び動き始める。

 

「あの、大丈夫……ですか?」

 

 俺は女性に声をかけた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 私は目を閉じ、この後襲りくるだろう痛みに備える。

 

 

 ……?

 

 何時まで経っても痛みが来ない。

 これは……人は死ぬ間際、時が止まったように感じるという現象?

 

 すると、

 

「あの、大丈夫……ですか?」

 

 声が聞こえる。……人の声。

 

 私は驚いて目を開けた。目の前には黒髪に黒目、整った顔立ちをした青年が私を心配そうに見ていた。

 

「ええ、大丈夫よ」

 

「それは良かった」

 

 私が答えると、青年は安心したように言った。

 

 私は少し戸惑ったが、今の状況を落ち着いて考える。

 

「あなたが私を助けてくれたの?」

 

「ん? ああ、悲鳴が聞こえたから大急ぎでな」

 

「そう、ありがとう。……あなたが来なかったら私は――」

 

「いいって、いいって。そういうのは要らないぜ」

 

 そう言って青年は強引に話を変えた。

 

「そうだ、自己紹介がまだだったな。俺は雨宮琥珀だ」

 

「私は……八意永琳(やごころえいりん)よ」

 

「そうか、よろしくなえーりん!」

 

 琥珀と名乗った青年は私に微笑みながら言った。何時の間にか敬語じゃなくなってるし。

 

「……えぇ。よろしくね、琥珀」

 

 この不思議な青年は何者なのか。

 さっき挫いた足の痛みもないし。この青年が治した? 一体いつ?

 

 ……疑問は残るが、とりあえず都市へ帰ろう。

 そう思い、私は気付く。

 お姫様抱っこされてる!?

 

「あ、あなた! なんて事してんのよ!?」

 

「え? な、何が?」

 

「相手の了承を得ずお姫様抱っこなんて……! セクハラよセクハラ!」

 

「えぇ!? いやだってこれは――」

 

「問答無用!」

 

 私の拳が、琥珀の顔面にめり込んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「じゃ、都市に行きましょう」

 

「都市?」

 

 永琳が早く行こうという感じで言う。

 え、なにそれ。

 俺はそんなもの知らない。

 

「あなた都市を知らないの?」

 

「あぁ、ずっと旅してたからな」

 

「なら案内するわ」

 

「ああ、すまん」

 

 そうして俺は永琳について行く。

 

 暫く歩くと、どうやら着いたようだ。何やらでかい某巨人マンガに出て来る壁のようなものがみえてきて、近付くと門の近くにいた人達がよってきた。

 

「八意様、ご無事だったのですね!」

 

 ()()()? もしかしてえーりんって偉い人?

 

「ん? おい、なんだ貴様!! 八意様から離れろ!!」

 

「あぁ俺は――」

 

「黙れ小僧!」

 

「こいつに何もされませんでしたか? 八意様」

 

 いや、話聞けよ。思わず溜め息を吐いた。

 

「貴様からは話を聞く必要がありそうだ。こっちへ来い!」

 

 そう言うと、男は俺の腕を掴み歩き始めた。

 

「ちょっと、落ち着こう! な?」

 

 しかし男は、俺の声を無視して歩みを続ける。

 あぁ、どうしよう!? ヘルプミー! えーりーん!!

 

 俺がそう思った矢先、

 

「大丈夫よ。彼が私を助けてくれたの。通して頂戴」

 

「は、はい。八意様が言うなら」

 

 永琳の一言で俺を取り巻いていた奴等はあっさりと道を開ける。

 

「行くわよ琥珀」

 

「あ、ああ。ありがとう」

 

 永琳に促され中に入るとそこには、某蒼いロボットが出てくるアニメの未来のような都市が広がっていた。

 

「この都市発展しすぎだろ……作ったやつは天才をブッチギリに超越してるな」

 

「私はそんな大層なもんじゃないわよ?」

 

「……え? これ永琳が作ったの?」

 

「主な計画や設計は私よ」

 

「……そうか」

 

 絶句したぜ。

 

 そして。俺は永琳に連れられ、高層ビル群の中でも特に高いビルに入っていった。

 

 永琳はここで待ってろと言って奥の部屋に入って行く。

 

 それから暫くすると永琳が出てきて言う。

 

「琥珀、入って頂戴。粗相のないようにね」

 

 言われるがまま中に入ると、奥に誰かが座っていた。

 

「私は月夜見だ。お主が琥珀か?」

 

 唐突に、月夜見と名乗った青い髪の少女が言った。

 

「あぁ、そうだ」

 

「ちょ!? 琥珀、敬語使いなさいよ!」

 

「ハハ、良い良い。私に気を使わないのはお主くらいだ」

 

「じゃ、俺は気楽にいくぜ」

 

「時に琥珀よ、お主住む所がないのだろう?」

 

「ああ」

 

「ならば永琳の所に住まわせてもらえ」

 

「え!? 月夜見様!」

 

「なんだ? 別にいいじゃないか。それともなんだ、見られて困るものでもあるのか?」

 

「そ、それは……琥珀はどうなの?」

 

「別に俺はいいが」

 

 永琳は諦めたらしい。

 

「分かりましたよ、私が引き取ります」

 

「決まりだな」

 

 こうして俺は永琳にお世話になることになりました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




設定でおかしい所があっても目を瞑って頂けると幸いです。
えーりんの名前ですが、えーりんは琥珀に気を使って呼びやすい方で名乗ったと言う独自設定です。
いやー少し都合が良すぎかな?まぁいいのだー。
では次回ものんびりしていってね♪


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

2話 永琳宅にお世話になっていつの間にか軍の総隊長

もし見にくかったり、誤字脱字等有りましたら報告お願いします。
難しいですね小説って。
では第2話、のんびりしていってね。


 

 どうも、俺だ。琥珀だ。

 

 今俺は永琳の家にいる。

 

 因みにこの家に来てからもう十数年が経った。

 

 え? 展開が早い? 知らんな☆

 

 永琳は二十分前くらいに月夜見の所に行った、何でも大事な会議らしい。

 

 俺はというと今から軍に行くところだ。

 

 というのも、俺が永琳の家にお世話になってしばらくたって永琳が

 

「琥珀、あなた今日から軍に行きなさい」

 

 という訳で軍に行って、なんか体力テストみたいなのやってたら軍の総隊長が

 

「貴様、我と勝負しろ!!」

 

 って言ってきたから勝負して、なんかデコピンしたら気絶しちゃって、気がついたら総隊長になってた。

 

 え? 説明が雑? だって俺もよくわかんないもん。

 

 まあそんな感じで、今日も軍で訓練だ。

 

 

 ~少年移動中~

 

 

「「おはようございます!! 隊長!!」」

 

「あい、おはよー。じゃ今日も訓練やるぞ!」

 

「「おぉぉぉー!!」」

 

 さて、俺は見回りでもしようかな。

 

 ~少年見回り中~

 

 俺が壁周辺の見回りをしていると、背後から声をかけられた。

 

「お疲れ様です。隊長」

 

「あぁ、お疲れ」

 

 振り向くと、茶髪のショートをなびかせる少女が一人。彼女の名は黄昏心咲(たそがれみさき)。軍の副隊長だ。

 

「南は問題ありませんでした」

 

「そうか、ありがとう」

 

「いえいえ」

 

 ここ最近妖怪の活動が盛んで、前は三日に一度見かける程度だったが、最近は一日で多い時は五回程見かける。

 

「じゃ最後は東か」

 

「はい! 私も行きます」

 

「ありがとうな」

 

 東側に着くと、二手に分かれ見回った。

 そして、東エリアの見回りが終わろうとした時。

 

「……心咲」

 

「はい、いますね」

 

「数は……十七か、いくぞ」

 

「はい!」

 

 俺たちが構えた直後。異形のものが叫びながら飛びかかって来た。

 

「「GYAAAAAAA!!」」

 

「遅ぇよ」

 

 俺は妖怪共の後ろに回りこんで一体ずつ手刀を打ち込んだ。

 

 すると妖怪共は真っ二つになって倒れていく。

 

 何体か心咲の方に行ったが問題ないだろう。

 

 心咲の能力は「制限する程度の能力」だ。

 

 その名の通り、心咲が制限したいものを制限できる。生半可な実力では心咲に勝つのはまず無理だ。

 

 どうやら心咲は妖怪達の動きを制限したらしい。そのまま、満足に動けない妖怪達を間髪入れず刀で切り裂いた。

 

「終わったか」

 

「はい」

 

「よっしゃ心咲、飯でも食べに行こうぜ」

 

「え? い、いや、いいんですか? 私がご一緒しても?」

 

 何故か顔を赤くして慌ててる。

 

 なんか不味いこと言ったか?

 

「心咲は嫌か?」

 

「い、いえいえ!! 是非ご一緒させていただきます!! いやさせて下さい!!」

 

 心咲……! お前、そんなにお腹空いてたのか。

 

「おう、じゃあ行こうぜ」

 

「はい♪」

 

 

 

 

 

 

 ~一方都市では~

 

 月夜見の部屋には、二人分の話し声があった。

 

「……して、永琳。どうだ? 計画の方は?」

 

「はい、このまま行けば半年後には実行できます」

 

「そうか」

 

「では私はこれで」

 

「あぁ、頼んだぞ」

 

 

 

 

「はぁー」

 

 後半年か……。

 

 私は家に向かう途中に、溜め息を吐きながら今日の会議の内容を思い出す。

 

 まずは琥珀に話さなきゃね。

 

 ~永琳帰宅中~

 

「ただいま」

 

「おかえりー、飯できてるぞ」

 

「そう、頂くわ」

 

「あいよ」

 

「「いただきます」」

 

 ~少年少女食事中~

 

「「ごちそうさまでした」」

 

「ねぇ琥珀」

 

「ん?」

 

「話があるわ」

 

「なんだ?」

 

「最近穢れが増えてきているのは知ってるでしょ?」

 

「あぁ、それがどうした?」

 

「これ以上穢れが増えると都市を穢れから守れきれない、だから都市の住人を月に移住させることにしたの」

 

「そうか」

 

「あなたも来るでしょ?」

 

「あぁ、そうだな。……行ければな」

 

「……え? 今何て?」

 

 最後に何か言ったようだがうまく聞き取れなかった。

 

「いや、何でもない。それより永琳、風呂入ってくれば?」

 

「えぇ、そうするわ」

 

 そう言って私は風呂場へと向かう。

 

 もしかしたらと思ってたけど、杞憂だったわね。良かった、来てくれて。

 

 

 




今回は短かかったですね
イヤーちょっと恋愛要素出してみたけどダメダメですね
もっと上手くかけるようになりたい
次回か次々回くらいに月面計画です
話は短くなったり長くなったりするかもです
では次回ものんびりしていってね


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

3話 月面計画と人妖大戦

どうも、のんびりです
イヤー、この話で都市編は終わるんですが諏訪大戦書いた方がいいですかねー?
そんなに長く過去編やるわけにも…ウーン悩んでも仕方ないので
とにかく今回ものんびりしていってね


 ちゃおっす、毎度お馴染みの琥珀です。

 なんて言ってる場合じゃなかった。

 

 今日は“月面計画”実行の日だ。

 

 もうロケットへの乗り込みは始まっている。

 

 都市の上層部が先に乗り込んでいて、今から俺と永琳もロケットに乗る。

 

 だが、俺と永琳が乗ろうとした瞬間、

 

 ビーーーーービーーーーーーー!!

 

 都市の妖怪探知機が雄叫びをあげる。

 どうやら、俺がお月様へ行くのはもう少し遅くなりそうだ。

 

「悪い永琳、先に行っててくれ」

 

 俺は永琳に言って妖怪達の元へ行こうとしたのだが。

 

「何を言ってるの!?」

 

 永琳は慌てて俺の着物の裾を掴み、俺を引き止めた。

 

「永琳、俺は妖怪共をくい止めに行く。お前は先に乗って――」

 

「ダメよ! 早く乗って!」

 

 俺の言葉を掻き消すように言うと、袖を掴んだままロケットへと歩き始めた。

 

 どうしたんだ永琳のやつ? こんなに慌ただしい永琳は見たことないな。

 まあ、俺を心配してくれるのは嬉しいんだが、だからと言って俺が行かないのはやっぱり駄目だと思う。

 

「大丈夫だ、別に死にに行く訳じゃない」

 

「でも! もしもの事があったら――」

 

「永琳!」

 

 今度は俺が声を張って永琳の言葉を掻き消した。

 

「落ち着けよ、らしくないぜ?」

 

 一呼吸の間を置いて続ける。

 

「安心しろって、サクッと妖怪倒してスパッと帰ってくるから。それとも何か、お前は俺を信じてくてないのか?」

 

 そこまで言うと、裾を掴んでいた永琳の手が離れた。そして、不安気な表情は変わらないが、いつも通り冷静に永琳は言った。

 

「分かったわ。あなたを信じる。ただ一つ約束して頂戴」

 

「何だ?」

 

「絶対に帰ってきなさい。破ったら針千本じゃ済まないわよ?」

 

「それは……守るしかないな。じゃあ、行ってくる!」

 

 そう永琳に告げ、俺は全速力で都市の門に向かった。

 

 そこで俺が見たものは、数えきれない程の妖怪と、血溜まりに横たわる軍の兵士達。

 息がある者達は少なかった。

 

「おい! お前ら!」

 

 兵士達の元へ駆け寄ると、俺に気付いた兵士が驚いた様子で言う。

 

「隊長! どうして……もうロケットに乗ったハズでは?」

 

「馬鹿野郎!部下を置いて先に行く訳ねぇーだろ!」

 

「隊長……すみません。私がいながら、私が不甲斐ないばかりに」

 

 心咲が申し訳無さそうに言った。

 

「気にするな! 後は俺が引き受ける、お前らは行け!」

 

 そうして俺は皆が都市へ行くのを確認し、妖怪退治を執行しようとしたのだが。

 

「……お前も行け」

 

「隊長が戦うなら私も戦います!」

 

「隊長命令だ」

 

「こればかりは譲れません!」

 

 心咲は澄んだ瞳で俺を見て言う。

 ……やれやれだぜ。命令違反はご法度だぞ?

 

「なら命令変更だ、死ぬなよ!!」

 

「はい!!」

 

「行くぞ!!」

 

 能力発動。

 

【この周辺にいる妖怪にかかる重力は百倍になる】嘘を【本当】に!

 

 直後、付近にいた妖怪共は重力に押し潰された。

 だが、潰されたのはほんの氷山の一角。千か万か、まだまだ後に控えた妖怪の軍勢が、我先にと津波のように押し寄せる。

 

「俺も久々に全開だぜ!!」

 

「「「GYAAAAAAA!!」」」

 

「フッ!」

 

 妖怪の群れに突っ込むと、短いく息を吹き拳を振るう。轟音と共に前方にいた妖怪共が肉片へと変わった。

 

「まだまだぁ! ザ・ワールド!!」

 

 能力で時を止め、ナイフを大量に生成、四方八方に勢い良く発射させる。

 

「そして時は動き出す」

 

 妖怪は次々とナイフをその身に受け倒れていった。

 

 

 ……よし。後もう少し、時間を稼げれば俺達の勝ちだ。何としても乗り切る。この防衛戦を!

 

「隊長、敵弾幕です!」

 

 眼前の軍勢から、視界を覆い尽くす程の妖力弾がとんでくる。

 ――が、

 

「無駄無駄無駄ァ!!」

 

 俺はその妖力弾の倍近い霊力弾で相殺、そのまま余った霊力弾が妖怪を蹴散らす。くそ、流石に体力の消耗が激しい。

 

「ハァハァ、心咲は……」

 

 地に方膝を着きそうになるのを堪え、ふと心咲の方を見ると、やられたフリをして倒れていた妖怪が立ち上がり、背後から心咲を切り裂こうとするのが見えた。

 

「ッ!」

 

 俺は即座に霊力弾をぶつけて攻撃を阻止する。

 

「……大丈夫か? 心咲」

 

「……っはい。ありがとう、ございます」

 

 心咲は肩で息をしながら俺に応じた。

 大分疲弊してるな……。ロケットは? まだ終わらんのか?

 

 都市を見ると丁度、最後のロケットが飛びだとうとしていた。

 

「よし、引き上げるぞ!」

 

「はい!」

 

 妖怪共の足止めを振り切ってロケットにたどり着き、ロケットに乗ろうした瞬間。最後の悪あがきといわんばかりに、倒れていた妖怪共が一斉に俺にまとわりついてきた。最後の力を振り絞った、妖怪共の命を賭しての嫌がらせだ。

 

「なっ!? ちくしょう」

 

「隊長!? 待ってて下さい、すぐにそいつらを――」

 

「来るな!!」

 

「しかし!」

 

「クッ、どうやらここまでのようだ……的な感じだ」

 

「ふざけてる場合じゃないでしょ馬鹿!!」

 

 ロケットのドアが閉まり、俺は外へと弾き飛ばされる。

 それにしても、敬語じゃない心咲って珍しい。

 

「~~! ~~!」

 

 心咲が泣きながら何か叫んでる。

 ハハ、永琳との約束も破っちまったな。

 

「じゃあな心咲。達者でな」

 

 飛び立ったロケットに向かい呟く。

 

「いい加減に離れろ!!」

 

 妖怪を振り払い、着地。

 

 ――と同時に空から轟音が鳴り響く。

 

 見上げると、心咲が乗っているロケットからミサイルらしきものが落ちてきた。

 

「おいおいマジかよ……」

 

 俺は時を止め、その場を離れるが、疲れているからか、あまり遠くに行けず時が動き出してしまう。

 

「チィ!」

 

 俺は咄嗟に霊力で簡易結界を作る。その後、激しい閃光と衝撃に襲われ、俺は気を失ってしまった。

 

 

 

 

 

「隊長! 隊長!」

 

 妖怪にしがみつかれ落ちていく隊長。

 その時、隊長は笑顔で何か呟いていたが聞こえなかった。

 

「うぅ……ぅ……隊長! ……どうしてこんな事に!」

 

 私が嘆いていると、下から少し衝撃がした。みてみると、軍事用核ミサイルがこの真下――つまり隊長がいた場所に落とされていた。

 

「何故ミサイルが!?」

 

「へへっ、そりゃ妖怪に追ってこられたら困るからなぁ」

 

 後ろを向くと、ニヤニヤと気味の悪い笑みを浮かべる軍の兵士がいた。

 

「そんなっ……わざわざミサイルを落とさなくてもいいでしょう!? あそこには隊長もいるのよ!?」

 

「いくらあいつが化物でも、どーせ妖怪に殺されてましたよ。だから弔ってやったんです」

 

 兵士は笑みを崩さずに言った。

 

「ッ! なんて事を……」

 

「それに、隊長は危険なんですよ、あんな化物がここにいると、一体いつ寝首を掻かれるか分かったもんじゃないでしょ?」

 

 兵士は淡々と語る。

 私の中では怒りが膨れ上がる一方だ。

 そして、

 

「あぁ、そういえば心咲さん隊長の事好きでしたもんね。どーです? 隊長は死んだんだから俺と付き合いませんか? 悪いようにはしませんよ?」

 

「この下衆が!!」

 

 私は怒りと悲しみで頭が真っ白になってしまった。

 

 ……気がつくと、苦痛に歪んだ顔で倒れている兵士の姿があった。兵士は窒息死したようだ。これを私が? ……私の能力を使えば造作もない。私がやったんだ。

 

「隊長……」

 

 もう、訳が分からない。

 ロケットの入り口で独り、私は声を殺して泣く事しか出来なかった。

 

 

 

 

 




ついに古代都市編終了です
あっさりしてましたね
うーん次回は諏訪大戦編…やろうかな
……やるか( ^∀^)
ただ、ガッツリではなくトントン拍子で進んでくと思います
そこは許して下さい
それでは次回ものんびりしていってね


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第一回キャラ紹介

どうもうp主ののんびり+です
今回は軽いキャラ紹介です
うp主独自解釈がありますm(。≧Д≦。)m
まぁ軽く流して大丈夫です



名前・雨宮琥珀(あめみやこはく)

 

種族・人間(能力で不老不死

 

能力・嘘を本当にする程度の能力

 

名前の通り基本的にどんな嘘も本当にできる

嘘で能力も作れるが、まだ作っていない

 

見た目・黒髪に黒目で顔は整っている、身長は170㎝、体重62㎏、見た目は18くらい

 

服は能力で作った黒い着物で帯は赤い

 

性格・マイペースでポジティブ、優しく気は利く方、天然

 

滅多に怒らないが怒ると顔は変わらないが後ろにゴゴゴとでてきそうな威圧感が出る

 

好きな物・団子、のんびりできる所、幻想郷、いい人

 

嫌いな物・面倒事、クズい奴、酒(酔いやすい

 

二つ名・真っ黒くろすけ、幻想郷の守護神

 

 

 

 

名前・八意永琳(やごころえいりん)

 

種族・月人

 

能力・あらゆる薬を作る程度の能力

 

見た目・いつもの永琳さんでございますはい、身長は165㎝、体重■■

 

性格・優しく温厚だが怒るとすごい怖い(琥珀さん体験談)天才

 

好きな物・琥珀の料理、未知の物、琥珀が読んでいた漫画(○ョジ○

 

嫌いな物・面白みがないこと

 

二つ名・月の頭脳、ブッチギリの天才

 

 

 

 

 

名前・月夜見(つくよみ)

 

種族・神

 

能力・月と夜を司る程度の能力

 

見た目・髪は水色のロング、目は青、身長は156㎝、体zーー

 

性格・真面目、カリスマ性、いい人

 

好きな物・饅頭

 

嫌いな物・たくあん

 

二つ名・月の神、夜姫

 

 

 

名前・黄昏心咲(たそがれみさき)

 

種族・月人

 

能力・あらゆるものを制限する程度の能力

 

名前の通り心咲の制限したいものを制限できる

(相手の動き、能力、時間や空間等)

 

見た目・髪は茶色、目はグレー、身長は164㎝、体重^^

 

性格・明るくのんびり屋、緊張しやすい、天然

 

好きな物・うどん、琥h――

 

嫌いな物・ハムスター(小さい時になんかあったらしい

 

二つ名・ヴァルキリー、優しい隊長

 

 

 

とりあえずはこんな感じでしょうかね

 

尺が大分余ったので番外編やりまーす

 

「キャラ紹介で紹介したキャラ達で王様ゲーム」

 

琥珀「いや、マジで?」

 

永琳「私はいいわよ」

 

月夜見「私も問題ないぞ?」

 

心咲「王様ゲームってあの……王様の命令は絶対っていう……あの!?」

 

琥珀「そうだぞ、そんな悪魔の遊戯をやろうと――」

 

永琳「じゃいくわよ」

 

琥&心「「え、ちょ――」」

 

「「「「王様だーれだ」」」」

 

琥珀「って俺かよ、じゃ2番の人は嫌いな物を教えてくれ」

 

心咲「はい、ハムスターですね」

 

永琳「ハムスターってあの?」

 

月夜見「何故あんなキュートな動物が嫌いなのだ?」

 

心咲「実は小さい時ハムスターに噛まれてトラウマになっちゃったんです」

 

「「そーなのかー」」

 

月夜見「よし、次いこう!」

 

「「王様だーれだ」」

 

月夜見「……と私か、ならば2番は3番に壁ドンしてくれ」

 

琥珀「マジで……?3番は誰だ?」

 

心咲「わ、私です……ね」

 

琥珀「……許せ心咲」

 

琥珀は心咲を壁際に立たせ、両手をドン!と壁につける

 

心咲「――ッ!うぅぅ……」

 

心咲は両目を回して気絶した。効果は抜群だ!

 

琥珀「大丈夫か!?心咲!」

 

心咲「ら、らいひょうふへふ(だ、大丈夫です)

 

うp主「あ、次で最後っす」

 

琥珀「はえーな」

 

「「「「王様だーれだ」」」」

 

永琳「僕がキラ(王様)だ」

 

琥珀「永琳テンションたけーなw」

 

永琳「じゃ1番は私の薬の実験台になって頂戴」

 

琥珀「ドンマイ1番……ってまさか……俺かよ!!??に、逃げるんだぁ、勝てる分けないよッ」

 

ガシッ

 

永琳「どこへ行くんだぁ?」超笑顔

 

琥珀「やめろぉ……やめてくれぇ!ノーーーーン!!」

 

アーーーーーーーー!

 

 

 

 

うp主「あの後琥珀君は朝まで気絶してたそうな」

 

 

 

~茶番終わり~

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




ちょっとテンション高めでしたw

琥珀「お前の茶番に俺を巻き込むなっての」

ごめんちゃいw

琥珀「おい!」

それでは次回も

「「のんびりしていってね」」


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第2章 大昔編~諏訪大戦~
第4話 諏訪の国の神様


ハイどうものんびり+です
先ず報告です
プロローグの最初の場面を改変させていただきました。
すみません許して下さい
後、前回古代編は早く終わらすと言ったな――あれは嘘だ
少し余裕ができたのでまぁ順を追っていこうと思います
では今回も、のんびりしていってね


「…………うぅ……」

 

 パチッと目蓋(まぶた)を勢い良く開く。

 

「あれ? ……何がどうなったし」

 

 俺の視界は真っ暗で何も見えない。

 

「ふぁぁぁ」

 

 俺は背筋を伸ばしながら大きく欠伸(あくび)をする。どうやらある程度のスペースはあるようだ。

 そして、まだ寝ぼけ半分の頭で何があったのかを思い出す。

 

「そうか、俺はミサイルにぶっ飛ばされて……」

 

 今まで気を失っていたらしい。

 

「取り敢えず俺に光をぉ」

 

 真っ暗だと目覚め悪いじゃん?

 真っ暗だということはここは洞窟とかの可能性が高い。

 

「んー、能力使うか」

 

 俺は能力で【俺が地上にいる】嘘を【本当】にしてみた。

 

「ビンゴ! 楽しいビンゴ! ヘイ!」

 

 俺は無事地上に出られた……太陽の光はええのう。

 軽く周りを見渡してみる。ここは安定の森のようだ。

 

「どうしようかな」

 

 とにかく突き進め、ということで俺は勘を頼りに歩きだした。

 

 

 ~少年移動中~

 

 

 暫く歩いてたら森を抜けて開けた土地に出た。

 目の前には、たくさんの人々が賑わっていた。

 村にでも出たかな。

 

 俺が入り口で考えていると声をかけられる。

 

「よう、兄ちゃん」

 

「こんにちは」

 

「おめぇ見ねぇ顔だな」

 

「あぁ、えっと、旅の者です」

 

「ほう、旅人とは珍しい。ここは諏訪の国だ。まぁゆっくりしていきな」

 

「ありがとうございます」

 

「あぁそうだ、ここを見てくならまずは諏訪大社に行きなよ」

 

「何から何まですみません」

 

 俺は言われた通り諏訪大社を目指した。

 

「こんなに長くする必要があったのか?」

 

 地味に長い階段を上がり終え一息ついていると。

 

「誰だお前は!」

 

 正面を向くと、俺の腰くらいの背で、謎の帽子を被っている金髪の幼女がいた。

 

「あーえっと、俺は旅の者で名前は雨宮琥珀だ。君は?」

 

「……私は洩矢諏訪子(もりやすわこ)。この諏訪の国を治める祟り神さ」

 

「そうか、よろしくな諏訪子」

 

「……あぁ、よろしくね琥珀」

 

 俺達は握手を交わす。

 

 

 

 

 

 私は、今日も神社でゴロゴ……、暇をもて余してたら何やら気配を感じた。

 誰かくる? わざわざここまで来るなんて珍しい。

 そう思って階段を見ていると、黒い着物を身に付けた男が登ってきた。

 見たこともない男だ。村の人じゃない。

 私は少し警戒しつつ尋ねてみた。

 

「誰だお前は!」

 

 男は私を見て微笑みながら言った。

 

「あーえっと、俺は旅の者で名前を雨宮琥珀だ。君は?」

 

 名を聞かれたので一応答えた。

 

「……私は洩矢諏訪子、この諏訪の国を治める祟り神さ」

 

 私が名乗ると男は相変わらず微笑みながら近寄って来て

 

「そうか、よろしくな諏訪子」

 

 手を差し出して来る。

 私は驚いていた。

 

 大抵の人は私を祟り神だと知ると恐怖したりするのだが、目の前の男は特に変わった様子もなく、笑顔で手を差し出してきた。

 

 改めて男を見る。

 私は人を見る目はある方だ。

 特に、良い奴と悪いヤツの違いはすぐ分かる。

 

 男からは邪気が感じられない。どうやら悪い奴ではなさそうだ。

 

 それならばと、私も琥珀という男に手を差し出し言った。

 

「……あぁ、よろしくね琥珀」

 

 

 

 

 

 ――俺は諏訪子に誘われて今は社の中でお茶を頂いている。

 因みに、お茶を淹れてくれたのは東風谷香葉(こちやかよ)という巫女さんだ。

 

 そして、お茶を飲みながら俺は、諏訪子からこの諏訪の国について話を聞いていた。

 

「ふーん、ミシャグジ様ねぇ」

 

「そうだよ」

 

「あ、お茶おかわり持ってきますね」

 

「ありがとう」

 

「あ、そうだ琥珀」

 

「ん?」

 

「あんた住む所に困ってるんだろ?」

 

「まぁな、今日ここに来た身だしな」

 

 俺が答えると、諏訪子は「じゃあさ」と続けた。

 

「じゃあさ、この諏訪大社に住んじゃいなよ」

 

 それは思いがけない、とてもありがたい提案だった。

 

「え? 良いのか!?」

 

「私は大歓迎さ、香葉も良いだろ?」

 

「勿論ですよ」

 

 香葉さんが言うと諏訪子は再びこちらに向き直り、俺の返事を待つ。

 

「おぉ、ありがとう、諏訪子、香葉さん!」

 

 折角だしお世話になろう。俺は暫くここで厄介になる事にした。

 

「よし! 早速琥珀の歓迎会だー!!」

 

「「おー!」」

 

 

 ――この時、諏訪子達は知らなかった……琥珀の酒癖の悪さを……。だが同時に琥珀も知らない……諏訪子の料理の味を――。

 

 

 

 

 

 

 




ハイ、キャラ紹介見た方なら分かると思いますが琥珀君
酒癖が悪いですw
はてさて、どーなることやら
実を言うとこの話ミスって一回消えたんですよw
なんとか戻せて良かった( ;∀;)
消えた時の俺氏
「WRYYYYYYYYYY(泣」でしたねw
後、評価してくださった方ありがとうございます!!
その時の俺氏
「WRYYYYYYYYYY(喜」でしたねw
良ければ感想、評価をしていってみて下さいね?
泣いて喜ぶと思うので。
それでは次回も、のんびりしていってね


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第5話 宴会と大和からの挑戦状

はい、いつもニコニコあなたの隣に這い寄る混沌、のんびり+です
今回は大和から例の手紙が
果たして諏訪の国の命運は?
今回ものんびりしていってね


 いつもニコニコあなたの隣に這い寄る混沌、雨宮琥珀ただいま参上! ……と、挨拶はこんなもんで良いだろう。

 

 今俺はおつかい中だ。

 何でも俺の歓迎会で使う食材が不足してるとのこと。

 それで諏訪子に「村を見て回る良い機会だし、買い物行って来てよ」と頼まれたのだ。

 

 ……でも俺一応今回の主役だよね?

 

 歓迎する人におつかいを頼むとは……諏訪子、恐ろしい子!

 おっといかん、店を通り過ぎるとこだった。

 

「すみません、お肉下さい」

 

「あいよ~、毎度ありー!」

 

 後は野菜っと……。

 

 ~少年買い物中~

 

 ふぅやっと着いた……。

 

「ただいま~帰ったぞー」

 

「ありがとうございます、琥珀さん」

 

 香葉さんが出迎えてくれた。

 

「お安い御用さ」

 

「あ、琥珀お帰りー」

 

 バタバタと何故かカエルの顔のエプロンを着けた諏訪子も駆けつける。

 

「琥珀は休んでてよ、料理は私と香葉がやるから」

 

「え!?」

 

 諏訪子が腕捲りをして言うと、香葉さんが驚愕の声を上げた。

 

「あ、あの。諏訪子様も料理を作るのですか?」

 

「そうさ、何か問題でも?」

 

「いや、問題しかない気が……」

 

 二人は小声で何か話しているようだが。会話の内容が気になる。

 

「どうしたんだ?」

 

「あぁいえ、何でもありません。琥珀さんはのんびりしていて下さい」

 

「そうか? じゃあお言葉に甘えて」

 

 俺は料理が出来るまでゆっくり休む事にした。

 

 ~少年休憩中・少女料理中~

 

 日も暮れてきた頃。ついに料理が運ばれてきた。

 

 豪勢で美味しそう……だが、その中にいくつか未知の物体が紛れていた。

 

「じゃ乾杯しよう!」

 

 諏訪子が言う。俺は自分の酒が入っているコップを手に持つ。

 

「それじゃ琥珀の歓迎会を始めるよ、乾杯ー!」

 

「「乾杯ー!」」

 

 ガチャンと音がし、そのままコップを口元へ運び一口飲んだ。思わず「ぷはぁ」と息を漏らす。

 

 因みにテーブルの上にはナイフやフォーク、コップがあるが、それは俺の能力で出した。

 我ながら便利な能力だと思う。

 

 さて、では俺も頂くとしようかな!

 

 先ず目の前にある美味しそうなスープを頂こうかな。

 俺は茶碗を持ち上げ、ずずずっとスープを(すす)った。

 

「これは……!」

 

 このスープ、あっさりしていて尚且(なおかつ)薄すぎない、野菜の旨味がギリギリ限界まで高められている。

 

「旨い!」

 

「フフ、ありがとうございます」

 

 作ったのは香葉さんか。

 

 さすが香葉さん! 俺に出来ない事を平然とやってのける!! そこに痺れる憧れるぅ!!

 

「ねえ琥珀、私の作ったのも食べてよ」

 

 そう言って、諏訪子は黒いドロドロとした物体を差し出してきた。

 

「……えっと、諏訪子さん。……これは?」

 

「私特製オムレツさ」

 

 ……オムレツ? 俺が知っているオムレツとは、黄色いふわとろの卵焼きのようなものだが。目の前にあるのは黒いジェル状のナニカだ……。

 

 ……マジか。これを食べろと……?

 

「どうしたの? 冷めないうちに召し上がれ!」

 

 屈託(くったく)のない笑みで言う諏訪子。

 

 現時点で俺に残された選択肢は三つ。

 

 一、香葉さんに助け船を送る。

 

 二、見た目ではなく味にかける。

 

 三、現実は非情。

 

 よし、先ず一だ!

 

 もうあなたしかいない! 助けて香葉さーん!!

 

 そう思いを込めて香葉さんを見ると、

 

『琥珀さん、こればかりは私にはどうする事も出来ません。大丈夫、何事も挑戦ですよ!』

 

 と言わんばかりの目と顔をしている。

 

 Oh、ノー。

 一はダメ、なら二だ。

 二はかなりの博打だが……いけるか?

 

 考えていると、急に俺の鼻が異常を訴える。

 なッ!? 何だこれは! 痛い……鼻が痛い!

 まさか……匂い! 諏訪子の暗黒オムレツの匂いだというのか!?

 正直匂いでこれなら味も……。

 

 二もダメ。それが何を示すか。火を見るより明らかだ。

 

 俺に突き付けられた答えは三!! 現実は非情なり!!

 

「ええい、ままよ!」

 

 パクッと。それを口に入れた瞬間、形容し難い感覚に襲われた。甘い、苦い、辛い、しょっぱい。そのどれにも当てはまらない味。俺の味覚が麻痺していく。

 意識が、遠退いていく――。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「――さん、はくさん、琥珀さん」

 

「……は!? ここは……」

 

 目を覚ますとそこには、心配そうに俺の顔を見つめる諏訪子と香葉さんの姿が。

 

「俺は、一体……」

 

「諏訪子様の料理を食べたら急に気絶したんですよ」

 

 そうだ、俺は諏訪子のオムレツを食べて……。

 う、頭痛が……。

 

「琥珀、大丈夫?」

 

「大丈夫だ、問題ない」

 

「良かった……いやーごめんね。琥珀なら大丈夫だと思ったんだけど」

 

「普通無理ですよ、諏訪子様の料理を食べて気絶しないなんて」

 

 香葉さんは口を押さえて笑って言う。

 というか、二人共まさか俺で実験してた?

 

「あーうー、香葉は平気なのになー」

 

 ……ん? おかしいな、味覚だけじゃなく聴覚ももってかれたか?

 

「諏訪子、今なんて言った?」

 

「え? 「あーうー、香葉は平気なのになー」って言ったんだけど」

 

 ――空耳じゃなかった! え、嘘!?

 

「香葉さん平気なの!?」

 

「はい、何故か私は平気なんですよね」

 

 マジかよ。香葉さん何者だよ……。

 あれで気絶しないなんて人間には無理だろ。

 香葉さん……恐ろしい子!!

 

「さぁ、琥珀も起きたし続きやろう」

 

「そうだな」

 

 こうなったらやけ飲みだ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 翌日、神社は半壊しており、琥珀は二日酔い。

 何故か目が虚ろな諏訪子と香葉は語る……。

 

「もう琥珀に酒を進めるのはやめよう」

 

 ――――と。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 あれから数ヶ月が経った。あの半壊した神社は俺の能力で直しといた。二人は俺が神社を壊したと言うのだが、記憶が曖昧で良く覚えていない。

 

 今、俺は諏訪子と遊○王をしている最中だ。

 ん? カード? 能力に決まってんだろ!

 

「私のターン! くらえ琥珀! ダイレクトアタック!」

 

「甘いぜ! トラップ発動!」

 

「読んでたよ、カウンタートラップ発動!」

 

「ダニィ!?」

 

「わっはっは、粉砕! 玉砕! 大喝采!!」

 

「ちくしょう……もう一回だ!」

 

「上等!」

 

 と、盛り上がっていると――

 

「大変ですよ、諏訪子様!!」

 

 香葉さんが慌てた様子で走ってきた。

 

「どうしたんだい香葉?」

 

「さっき手紙が届いてですね、送って来たのは大和の国からなんですよ!!」

 

「何だって!?」

 

 二人とも慌てているようだ。

 

「取り敢えず読ませておくれ」

 

 そう言って諏訪子は、深刻な様子で手紙に目を通す。

 手紙を読み終えた諏訪子は、目に見えて落ち込んでいた。

 

「なんて書いてあったんだ?」

 

 俺は尋ねてみる。

 

 諏訪子の話を聞いてまとめると、「戦争だ。勝ったらお前の国をもらう。拒否権はない」という感じっぽい。

 

 諏訪子(いわ)く、神は信仰がないと消滅してしまうらしい。

 つまりこの戦争に負ければ諏訪子は消え、国も奪われるということだ。

 

「もうダメだ……お終いだ……私も……国も……」

 

 諏訪子らしからない台詞だった。

 

「諏訪子、諦めるなよ」

 

「だって、大和の国だよ!? 向こうとうちじゃ戦力が違い過ぎる……勝てる訳ないよ!」

 

「だからって諦めるな!」

 

 あまりに弱気な諏訪子に、俺はつい大声で言う。ビクッと肩を震わせる諏訪子に、俺は続けて言った。

 

「お前が諦めたら、お前自身だけじゃない、国や民達、香葉さんはどうなるんだ!? ……諦めたらそれまでだ。だけど諦めない限りどんなに小さくても希望はある。 やらずに後悔するより、やって後悔だろ」

 

「うぅ……琥珀ぅ……」

 

 諏訪子は目から涙を流す。

 

「…………」

 

 だが確かに今のままではキツいな……。

 よし! これは俺の出番だろ!

 

「諏訪子、香葉さんちょっと出掛けて来る」

 

「「え?」」

 

 二人は同時に疑問を発し、顔を見合わせる。すると諏訪子が聞いてきた。

 

「どこに行くの?」

 

「決まってんだろ?大和の国だよ」

 

「「え!?」」

 

 今度は二人同時に驚きの声を上げる。

 

「じゃあ、行ってきます」

 

 少しでも二人を安心させてやりたい。

 その為にと、大和の国へ向かった。

 

 

 

 

 

 




お疲れ様です。
ハイ、大和来ましたね
琥珀「次回は俺が大和に行く所だな」
うんうnーヘアッ!?
いつの間に…
琥珀「そんなに驚くなよ」
いやぁついつい…それよりは琥珀君締めの挨拶を
琥珀「おう、それでは皆さん、次回も」
「「のんびりしていってね!」」


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第6話 大和と交渉?

はい、どうものんびり+です
今回は前回の流れ通りです
では今回ものんびりしていってね


 どうも琥珀だ。

 

 俺は今大和の国へ向かっている。理由は大和と交渉をするためだ。

 

 何とか諏訪子の負担を減らしてやりたい。ということで今大和へと続く道のりを歩いてる訳だが……、大和遠い。

 

 その間暇なので、少し自己紹介をしようと思う。

「え? 何故急に?」と思われた方もいると思うが、そこは作者の都合もとい皆に俺の事をよく知ってもらいたいからだ。決して文字数稼ぎとか設定後付けとか、そういう不純な理由ではない。

 

 では、改めて。俺は言わずと知れたこの作品の主人公、雨宮琥珀だ。

 能力は「嘘を本当にする程度の能力」。

 年齢は……億は越えてると思う。

 強さは……そうだな。大妖怪の妖力を霊力に変換した数を千とすると私の霊力は、五十三万ですよ。

 嘘です、調子乗りました。でも万は越えてると思う……十万くらい?

 都市でも修行してたからな、後は勝手に増えた。

 肉体は最初は能力で強化してたけど、〈能力封じ〉対策として能力なしでも鬼と闘えるくらいまで鍛えた。

 

 めちゃめちゃ時間かかったなぁ……。

 

 因みに俺は転生者だが、長い間を生きてる内に記憶がどんどん薄れていって今分かるのはここが東方の世界という事だけだ。

 だから登場人物やら出来事は……記憶にないぜ!

 

 え? 忘れすぎ? 億単位で生きてみろ、絶対忘れっから。

 

 ……と、俺が独りで自己紹介をしていると目の前にでっかい門が見えてきた。やっと着いたか。

 

 俺が門の近くに行くと、

 

「おい! 貴様何者だ!?」

 

 門番らしき人が俺を見るなり持っていた槍で威嚇しながら聞いてきた。

 

「私だ」

 

「……誰だ?」

 

はい、すっとぼけ作戦失敗。そりゃそうだわな。

 

「すまない。俺は諏訪の者だ、手紙の件で話がある」

 

「そうか、諏訪の者か。今案内を呼ぶ」

 

 暫くすると案内人らしき人が来て、俺はその人についていく。

 するとでかい屋敷のような所に連れられ、部屋の前に案内された。案内人は振り返り言う。

 

「この部屋の中です」

 

「ありがとうございます」

 

 俺は案内人の人に一礼し、部屋に入る。

 そこには、なんか神々しいオーラを放つ人……いや神達がいた。

 

「貴方が諏訪の使いですね、どうぞ座って下さい」

 

 俺は言われた通り近くにあった座布団の上に腰を下げる。

 

 ……て、あれ?あの奥にいるの月夜見じゃね?

 

「今日は良くお越し下さいました。私は天照(あまてらす)と申します」

 

「これはご丁寧にどうも、私は雨宮琥珀です」

 

 うぉぉ、丁寧な話言葉普段使わないからわかんねー!

 国語の授業ちゃんとやれば良かった……。いや、何年前の話だよ!

 独りでノリツッコミしちゃったよ!

 

「それで今回のご用件はなんでしょう?」

 

 俺は再び声を掛けられ我にかえり、今回の用件を伝える。

 

「今回は手紙の件で此処に来ました」

 

「戦の事ですね」

 

「はい」

 

 どうしよう……諏訪子の負担を減らそうと此処に来たが。正直何も考えてなかった……。

 もしかして俺って馬鹿? いや、そんな筈ないか。

 そんな事より! 考えろ俺! 何かいい案を……。

 脳細胞をフル稼働させて思案していると、突如、雷に打たれたような衝撃が俺を襲った。これが神のお告げか……。目の前にいっぱいいるけど。

 

「こちらから提案です。洩矢の神、洩矢諏訪子とそちら大和の神から一人選んでもらい一騎討ちという形で闘っては頂けませんか?」

 

 ざわざわと、俺が提案を言うと周りの神達が反応を示した。

 

 やっぱダメ? いい提案だと思ったんだけどなー。

 でもまあ、向こうにとってメリットがないから。普通そんな提案は通らないか。

 ……仕方ない。ここは、挑発作戦でいこう!

 

「勿論飲んでくれますよねぇ? 強い者は弱者の言う事を聞いてくれますよねぇ?」

 

「しかしその案を受け入れてもこちらにはメリットが――」

 

「メリット? 何それ美味しいの? 甘えてもらっては困りますよ。ただでさえこちらの勝機が薄いんですよ? メリットなんざあるわけないでしょう」

 

「ならばその案は飲めませ――」

 

「え? 飲めないの? あ! ひょっとして飲んだら負けちゃう? 負けちゃうか! 何だそうかー負けちゃうの。所詮、大和は数だけで他はたいしたことないね。貧弱! 貧弱ぅ!」

 

「貴方いいかげんに――」

 

「うるさいぜ! 俺は案をどうするか聞いてるんだぜ? さっさと決めやがれこのマヌケ! ウスノロ! うすらトンカチ!」

 

 プチンッ。

 あれ? 今何かが切れる音が……。

 すると、先程までとは全く違う、爽やかな微笑を浮かべた天照が言った。

 

「上等ですよ? ……神奈子、あなたが行きなさい」

 

「え? 私ですか?」

 

「そうです。洩矢をぶっ潰してあげなさい」

 

 天照は優しい笑みのままえげつない事を言う。ありゃあ相当怒ってるな。

 

「はぁ……分かりました」

 

 神奈子と呼ばれた神は困った様子ながらも承諾(しょうだく)した。

 勝った……計画通り!

 

「決戦日時は一ヶ月後。場所は近くの平原。時間は午後の六時。異義は?」

 

「ない。では、失礼する」

 

 そうして俺の交渉(とは名ばかりのただの挑発)は何とか一騎討ちに持ち込めた……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ムッキー! イラつきますねあの琥珀とかいうヤツ!」

 

 琥珀が去った後の部屋に、そんな声が響く。

 

「姉さん落ち着いて!」

 

「須佐之男はイラつかないの!?」

 

 須佐之男(すさのお)と呼ばれた男の神は苦笑いを浮かべて、姉であろう天照をなだめる。

 

「琥珀のヤツ……まさか諏訪の国にいるとは……」

 

 月夜見は少し驚いた様子で呟く。

 

「天照様、何故私を選んだのですか?」

 

 神奈子が不思議そうに天照に尋ねた。

 

「え? そうねぇ……勘よ」

 

「え?」

 

「なんとなーくね。神のお告げってやつ? 神奈子なら大丈夫でしょ、軍神の実力を

 見せてあげなさい!そんであの男をギャフンと言わせるのよ!」

 

「はぁ……」

 

 神奈子は若干困った顔をして頷いた。

 

「「やれやれ……」」

 

 月夜見と須佐之男の声が重なった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おーい。諏訪子、香葉さん、帰ったぞー」

 

「あ、琥珀ぅー!」

 

 諏訪子が俺を見るなり飛び付いて来て。頭がみぞにジャストミートした。

 

「グハッ!」

 

「お帰りなさい琥珀さん」

 

 香葉さんも近寄って来る。

 

「か……香葉さん」

 

 片腕を香葉さんに伸ばすが、力が入らず地面に落ちた

 

「ふぇぇぇん、心配したよぉぉ」

 

 諏訪子は抱きついたまま泣いてしまった。

 

 ……ヤベ、鼻血出そう。

 

 俺は鼻を押さえながら立って、

 

「とりあえず、話をしよう」

 

 諏訪子達に状況説明をする。

 

 

 

 

「……という訳だ」

 

「つまり、私と八坂神奈子が一騎討ちって事?」

 

「あぁ」

 

「頑張って下さいね!諏訪子様!」

 

「そうだね、せっかく琥珀がくれたチャンスだしね」

 

「だが神奈子ってヤツ、結構強いぜ」

 

「そうだろうね、軍神と呼ばれる程だし……今の私じゃ勝てないかも」

 

「だったらやっぱり修行だな!」

 

「琥珀、手伝ってくれる?」

 

「勿論だぜ!」

 

「じゃあ早速明日からね」

 

「了解」

 

 

 

 

 こうして、互いに一騎討ちということで決定し、諏訪子は修行に励むのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




はい、ちょっと都合が良すぎるかもですが関係ないぜー!
琥珀「いやあるだろ」
だって、僕文才ないし。それに君もメタかったぞ!
琥珀「え、なんて?」
……なんでもないです。
あ、因みにメリットとかチャンスとかの英語やマジ等の言葉はもう伝わってるということにしておいて下さい
琥珀「ご都合主義乙」
うるさいぜ
それでは次回も
「「のんびりしていってね」」


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第7話 諏訪大戦~その後

はい、どうものんびり+です
実は今日上映の「君の名は」見たんですよ~
琥珀「ほほう、どうだったんだ?」
いや、あれは感動しましたよ~
設定もよくできてたし
琥珀「てめえ1人だけいい思いしやがって…俺も連れてけ」
だが断る
琥珀「この野郎」
では今回も
「「のんびりしていってね」」


「準備はいいか?」

 

「うん」

 

「なら行くか」

 

 さて、あれから一ヶ月が経った。今の時刻は午後五時十分程。

 で、今から約束の平原へと向かっている。

 

 俺が大和と交渉(挑発)したあの日から一ヶ月、俺は諏訪子の修行を手伝っていた。この一ヶ月で随分と強くなったと思う。

 一ヶ月前の諏訪子は戦闘経験が浅く、俺と闘う度にボロボロになっていたが、今は俺もたまに苦戦を強いられる。

 いや、これって結構すごいんだぜ? 自分で言うのもあれだけど俺強いですよ? ……何か恥ずかしい。

 

 まあ、兎に角諏訪子は成長したってことだ。

 だがそれでもあの神奈子に勝てるかは分からん。っと、もう着くみたいだ。

 近付くにつれて空気がピリピリしてきた。奴さんも気合い充分て事か。

 平原には神奈子の他に天照や月夜見、後男の神一人がいた。

 

「よし、行ってこい諏訪子」

 

「うん」

 

「大丈夫だ、自分を信じろ。それにお前は一人じゃないだろ?」

 

「……全く、格好つけちゃって」

 

「うっせ」

 

「行って来るよ」

 

「ああ」

 

 さぁて、俺は応援ぐらいしか出来ないが、頑張れ諏訪子。俺は諏訪子の背中を見つめながら呟いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 今日は遂に一騎討ちの日。大丈夫、あれだけ特訓したんだ、負けない!

 そう言って自分に言い聞かすが、ガチガチに緊張して手も震えている。

 

「大丈夫だ、自分を信じろ、それにお前は一人じゃないだろ?」

 

 琥珀の声が聞こえる。

 そうだ、自分を信じなきゃ。それに私だけじゃない。琥珀が見守っていてくれる。香葉が待ってくれている。

 

「行って来るよ」

 

 私は神奈子の元へと向かった。

 

 

 

 

 

 

 

「あんたが諏訪子だね」

 

「そういうあんたは神奈子だね」

 

 暫くの沈黙。

 

「この石を投げて地面についたら開始でいいね?」

 

「ああ、いいよ」

 

 神奈子が足元の石を拾って開始の合図を言ってきた。

 私は警戒を強めて了承する。

 私の返事を聞いた神奈子は、持っていた石を天に向かって放り投げた。

 

 ――――――――――――コツンッ。

 

「「勝負!!」」

 

 瞬間、私と神奈子の拳が交差し、轟音が鳴り響いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ――――ハァ、ハァ、ハァ……。

 戦闘開始からどの位経ったのか……、体感時間では、もう数時間は経ったのではと思う。

 今の私はもう満身創痍で立っているのもやっとだ……。

 神奈子は肩で息をし疲弊しているが、まだ私よりは余裕があるように見えた。

 

「……やるじゃないか諏訪子」

 

「……そりゃどうも」

 

 私の「坤を創造する程度の能力」と神奈子の「乾を創造する程度の能力」とでは、どうやら私に分が悪いらしい。

 私愛用の武器である「洩矢の鉄の輪」も、神奈子が出した植物の蔓に触れたら錆びてしまった。

 

 つまる所私の負け――と少し前の私なら思ってただろうね。

 でも今は違う。琥珀が教えてくれた。諦めなければどんなに小さくても可能性はある。神奈子に一泡吹かせてやるんだ!

 私は残された力を振り絞った。

 

「ハァァ!」

 

 能力を発動し、神奈子の立っている地面を押し上げる。

 

「クゥッ」

 

 神奈子はバランスを崩しいて空に舞った。私はすぐに神奈子へ接近し思いっきり拳を突きだす。

 

「ッ! まだまだァ!」

 

 神奈子は私の攻撃に素早く反応し、正拳突きを放って来た。

 勢い良く私と神奈子の拳がぶつかり合って、私と神奈子は互いの衝撃で吹き飛ぶ。

 

 猛スピードで地面に叩きつけられる。

 意識が朦朧とし遠退いて行く。

 

 そんな中私が最後に見たのは、ボロボロに成りながら立ち上がる神奈子の姿だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ――あれから激しい闘いが繰り広げられた。

 そして、とうとうこの闘いにも終止符が打たれた。

 

 勝者は神奈子だ。

 

 諏訪子もよく闘った、食らい付いて行った、だが神奈子はそれを上回っていた。完敗だ。

 

 これで国は大和の支配下に置かれるのだろう。

 

 詳しい事は後日と言うことで解散になった。

 

 俺は諏訪子をおぶって諏訪大社に帰っている途中だ。

 

 

「ねぇ、琥珀」

 

「ん?」

 

 気が付いたらしい、諏訪子が言う。

 

「私、負けちゃったよ……」

 

「そうだな……でもいい闘いだったぞ?」

 

「……でも、私が負けちゃったから国が……」

 

「それは仕方がないさ。お前は頑張ったんだろ? 全力で闘ったんだろ? なら良いじゃないか、誰も文句を言わないし言わせない。俺も香葉さんも気にしてないさ」

 

「うぅ……ごめんね琥珀」

 

「謝るなよ……まぁお疲れ様、少し休んでろ」

 

「ぅ……うん」

 

 背中越しで表情は見えないが泣いているのだろう。嗚咽がすぐ後ろから漏れている。

 

 そりゃ悔しいよな。

 

 本当にお疲れ様、諏訪子。

 

 俺はそんな事を思いながら諏訪大社へと歩いて行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ‐翌日‐

 

 神奈子が諏訪大社に来た。

 

 今後の事については話し合いをするらしい。

 

 因みに今、神奈子は民達に“私が新しい神だ”報告をしに行ってる。

 

 そろそろ帰ってくるハズ……おぉ来た来た。

 

 ん? 何だか様子がおかしいな。

 

 まぁ中で話を聞こう。

 

 

 ~少年少女会議中~

 

 

 神奈子の話を聞くに、どうやら民達は諏訪子もとい祟りを恐れていて神奈子を信仰する訳にはいかない。という感じらしい。

 

「どうしたらいいんだ」

 

 諏訪子も神奈子も切羽詰まってる感じだ

 

 ウーン、なんかいい案は……!?

 

 なんだ、また急に神のお告げが……。

 

「なぁ、提案いいか?」

 

「何だい?」

 

 神奈子が聞いてくる。

 

「いやあのさ、それなら表向きの為政を神奈子がやって、実際に政を執り仕切るのは諏訪子って事にすればいいんじゃね?」

 

「「それだ!」」

 

 諏訪子と神奈子の声が重なる。

 

 これなら諏訪子も神奈子も信仰を得られてハッピーエンドだぜ。

 表で神奈子、裏で諏訪子、互いに支え合うことで信仰を保つ。

 まぁWin‐Winの関係ってやつか。

 

 こうして諏訪大戦は幕を閉じ、その後の諏訪の国の事も決まり一件落着。

 

 因みに俺の案が採用され、諏訪子と神奈子で国を支え合うことになってから社の名前を「守矢神社」に改めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そして今、俺は何をしているかというと……。

 

「「乾杯ー!!」」

 

 今、大和の国で打ち上げ中だぜ!

 守矢神社にいる俺たちもお呼ばれしたんだぜ!

 テンションが高いのは酒を飲んだからだぜ!

 

「ーーーー♪ ーーーー♪」

 

 お? カラオケやってら。

 

「琥珀歌いなよ~」

 

「そうよ~歌っちゃいなよ~」

 

 諏訪子と天照が真っ赤な顔で言ってくる。

 

 二人共酔いすぎだろ。

 

「あぁいいぜ! マイクカモーン」

 

 まあ、俺も結構酔ってるけど。

 

 

 

 

 ~少年少女フィーバー中~

 

 

 

 

 

「~~~~♪」

 

 俺が歌い終わると、

 

「「ヒューヒュー! アンコール! アンコール!」」

 

「仕方がない、もういっちょ行くぜぇぇぇ!!」

 

「「イエーーーイ!」」

 

「~~~♪ ~~~♪」

 

 そうして時は流れていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ――翌日、例の如く半壊した大和の屋敷を琥珀が能力で直し、琥珀達は守矢神社に帰りましたとさ。

 

 大和勢は語る。

 

「琥珀は酔うとテンションが荒ぶるね」

 

「酔ったあいつは喜怒哀楽が激しすぎる」

 

「琥珀って意外に歌上手いわね」

 

 

 ――と。

 

 

 

 

 

 

 

 

 




はい、次回で諏訪大戦編完結です
歌は著作権が怖くて歌詞載せられないw
所で、章と話を分けてみました
見易いですかね?
もしアドバイス(批判含む)、ご意見、ご要望あれば気軽にお願いします
それでは次回も
のんびりしていってね


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第8話 旅立ち

はいどうも、のんびり+です
今回で諏訪大戦編完結です
では今回ものんびりしていってね




 

 どうも、琥珀だ。

 この前、大和での宴会からさらに一ヶ月程が経った。あれからは特に何事もなく平和な毎日だ。

 で、今何をしているかというと、

 

「王手ですね」

 

「うわぁ~マジかよ。今度こそ勝てると思ったのに」

 

 みんなで将棋だぜ。

 この守矢の中で最強は香葉さんだ。

 次に神奈子で、俺と諏訪子がどっこいどっこいだな。

 道具とルールは安定の私だ。

 

「香葉! 次は私とだよ、今日こそ勝ってみせる!」

 

「フフ、神奈子様相手なら手加減は無用ですね」

 

 盛り上がってんなー。

 ……待って香葉さん、その言い方だと俺に手加減してたって事じゃ……。

 

 まぁ、今日も平和だなぁ。でも何時までもここに居座る訳にもいかない。

 俺はこの世界を見て回るという使命がある(結構前に適当に目的を作った)。

 

 しかし、旅に出ようと思っても良いタイミングがない。

 急に出てく訳にもいかないし……。う~ん……。いや待てよ?

 

 俺旅に出る宣言

 ↓

 お別れ会

 ↓

 流れに乗って出発

 

 これだ!

 よし、明日辺り言うか。

 

 

 

 ‐翌日‐

 

 

「なぁ、ちょっと話がある」

 

 俺は早速、昨日の作戦を決行させるべく話を持ち掛けた。

 

「どうしたんだい?」

 

「そんな改まっちゃってどうしたんですか?」

 

「何さ?」

 

 三人が疑問符をつけて聞いて来る。

 

「いや、実は俺そろそろ旅に出ようかと……」

 

「「!?」」

 

「急にどうしたの!? 此処が嫌になった!?」

 

 諏訪子が不安そうな顔で必死になって言う。

 

「いやいや、そういう訳じゃなくてだな」

 

「じゃあどうしてまた?」

 

 ここで神奈子のナイスアシスト。

 

「何時までここにいる訳にもいかないし、俺は旅人(今作った)だからな」

 

「そうかい。寂しくなるねぇ……」

 

 感慨深く言う神奈子。

 

「ここでの騒ぎの八割は琥珀さんが原因でしたからね」

 

 香葉さんは微苦笑して言う。

 

「嫌だよぉ~……うわぁぁん!」

 

「仕方がないさ諏訪子、琥珀の意思を尊重しよう?」

 

「そうですよ。別れは涙ではなく笑顔で、ですよ」

 

 その二人の姿は、悲しむ子を自分の悲しみを押し殺して慰める親子のようだ。

 ……罪悪感が半端無いんですけど。

 

「そういう事なら宴会でもしましょうよ」

 

「そうだね、こういう時こそ明るくいかなくちゃね」

 

「じゃあ、今夜辺りやろうか」

 

 香葉さんの前向きな発言のお蔭で、何とか良い雰囲気に持ってこれた。

 

「皆……ありがとう」

 

 あれ? 目から汗が……おかしいな、はは。

 

「パーっと行こう!」

 

「「オー!」」

 

 諏訪子の掛け声に、俺達の声が重なり合った。

 

 

 ~そして夜~

 

 

「じゃあ皆! 今までありがとう! 乾杯!!」

 

「「乾杯!!」」

 

 酒は飲みすぎないようにと……。

 

「「よーし琥珀ー飲むぞ!!」」

 

 え、ちょ、おま――――。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ――――朝起きたら昨日の記憶がなく、何故か皆も居なかった。

 

「ウーン、一体何があったんだ?」

 

 いつもなら酔うと辺り滅茶苦茶なのに珍しくどこも壊れてはいなかった。

 

「んー、まあいっか」

 

 見送られるとマジで泣くと思うからさっさと行くか。

 

「雨宮琥珀はクールに去るぜ」

 

 荷物をまとめて外に出ると、見慣れた三人の姿があった。

 

「お前ら……何で」

 

「そりゃ、琥珀の事だから」

 

「さっさと行くかって言うと思ってね」

 

「先回りしてたんですよ」

 

 うぅ……助けて、マジで泣かせにかかってるよぉ!

 

「にしても琥珀、昨日は随分と激しかったねぇ」

 

 ……え? 神奈子、今何て言ったの?

 

「そうだねぇ」

 

「琥珀さんは本当に酒に弱いですね」

 

「昨日って俺何かしたっけ?」

 

「「秘密だよ~」」

 

 え、何? 何か寒気が……。

 

 ま、まぁきっと大丈夫だ問題ない(錯乱)。

 

「っとそうだ」

 

 今日の為に皆に内緒で作ったのだ。

 

「まず諏訪子」

 

 諏訪子にはエメラルドを使用した指輪。

 

「ありがとう!」

 

「神奈子にはこれだ」

 

 神奈子には花柄のブレスレット。

 

「ありがとうね、琥珀」

 

「これは香葉さんに」

 

 香葉さんにはカエルとヘビの髪飾り。

 

「ありがとうございます!」

 

 良し、じゃあ行くか。

 

「じゃ皆、俺そろそろ――」

 

「まぁ焦るなって」

 

「私達からも送りもの」

 

 え?

 

「琥珀さん、目を瞑って下さい」

 

「……? おう」

 

 俺は言われた通り目を瞑る。

 すると、俺の両ほっぺたとおでこに柔らかいものが……これって、まさか!

 

「お、お前ら」

 

 目を開けると、いたずらっ子のような憎めない笑みを浮かべた三人が、

 

「「「いってらっしゃい!」」」

 

 ……やれやれだぜ。

 

「あぁ、行って来る」

 

 俺は真っ赤な顔を隠すように三人を背にして歩きだす。

 

 こうして、俺は諏訪の国を後にした。

 

 

 

 




はい、お疲れ様でした
次回は聖徳太子よろしく、あの人の章ですね
では次回ものんびりしていってね


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第2回キャラ紹介

どうも、のんびり+です
先ず報告です、前回のキャラ紹介のとき名前を直してなかったので修正しました
因みにキャラ紹介は新キャラが出る度やると思います
それでは今回も、のんびりしていってね


名前・洩矢諏訪子(もりやすわこ)

 

種族・神

 

能力・坤を創造する程度の能力

簡単に言うと地を操れるという事(らしいです

 

見た目・いつもの諏訪子様でございます

カエルの目見たいのが付いた帽子がトレードマーク

身長は150㎝程で体重hーーー

 

性格・威厳を見せようと努力しているが、事実上ただのかわいい幼zゲフンゲフン

少女である。元気で明く、行動的な一面も

 

好きな物・香葉さんの料理、平穏

 

嫌いな物・疲れる事、なす

 

二つ名・ケロちゃん、土着神の頂点

 

 

 

 

名前・東風谷香葉(こちやかよ)

 

種族・人間

 

能力・霊力を扱う程度の能力

霊力を扱う事ができる(弾幕は勿論結界もok)

 

見た目・髪は緑で目はグレー、服装は勿論脇があいている巫女服(守矢ver

身長は161㎝、体z…

 

性格・優しくて落ち着いているが天然どじっ子属性付き

 

好きな物・地味な事(例えばマイ○ラの整地的な)、平穏

 

嫌いな物・運動、辛いもの

 

二つ名・静かな巫女さん、諏訪大社のボス(琥珀発信

 

 

 

 

 

名前・天照(あまてらす)

 

種族・神

 

能力・太陽を司る程度の能力

小さな疑似太陽を作る事も可能で

簡単に言えばジョ○ョに出てくる波紋のようなもの

太陽の力を身につける事も可能

 

見た目・髪は赤っぽく腰ぐらいまである(後ろで縛ってある)、目も赤っぽい

赤を基調とした着物を来ていて身長は164㎝で体~~

 

性格・基本は落ち着いていて大人っぽいが、挑発に乗りやく、怒ると口調が若干崩れる、ツンデレ?

 

好きな物・お茶、ようかん

 

嫌いな物・グレープフルーツ

 

二つ名・太陽神、紅い姫

 

 

 

 

名前・須佐之男(すさのう)

 

種族・神

 

能力・災害を操る程度の能力

嵐や地震等の災害を起こせる

 

見た目・髪は黒で肩ぐらいまで伸びてる(一応注意男です)、目も黒、紫色の着物を着ている、身長は170㎝で体重は60㎏

 

性格・冷静だが活発な一面も、頭はキレる、意外に短気

 

好きな物・将棋、林檎

 

嫌いな物・退屈

 

 

 

 

名前・八坂神奈子(やさかかなこ)

 

種族・神

 

能力・乾を創造する程度の能力

簡単に言うと天を操れること(らしいです

 

見た目・いつもの神奈子さんですねはい

身長は164㎝で体z(ピチュン

 

性格・真面目で冷静だがたまにボケに回る、負けず嫌い

 

好きな物・鮭だー

 

嫌いな物・ズル、トマト

 

二つ名・オンバシラ神奈子、坂好きの神様

 

 

 

 

 

 

 

 

 

はい、うp主ののんびり+です。

 

琥珀「待て……お前がいると言うことは、まさか」

 

ああ、そのまさかだよ。

 

琥珀「にーげるんだ――」

 

逃がす訳ないだろうこのマヌケがァ(ガシッ

 

琥珀「はなせ!」ジタバタ

 

今回の茶番は、

 

「大和勢+琥珀でババ抜き」※負けたら罰ゲーム

 

琥珀「ちくしょう、罰はやだ!」

 

天照「勝って貴方をボコる!」

 

須佐之男「やるからには負けん」

 

神奈子「いつでもいいよ!」

 

※月夜見は休み

 

順番

 

琥珀

天照

須佐之男

神奈子

 

スタート!!

 

琥珀「行くぜ」バッ

 

琥珀「!?」

(いきなりジョーカーかよ!)

 

天照(かかったなアホがッ!)ニヤニヤ

 

須・神((分かりやす!? 二人共顔に出過ぎ……))

 

 

 

そうして時は流れて行き、

 

須佐之男「よっしゃ上がり」

 

神奈子「私も上がりっと」

 

須佐之男「そんでもって……」

 

神奈子「残ったのは……」

 

須・神「あの二人ですよねぇ」

 

琥珀「ぐぬぬ」

 

天照「んぎぎ」

 

N+「残ったのは天照と琥珀! というのも二人はポーカーフェイスが下手だっ!! すぐに顔に出るため神奈子と須佐之男は終始『チョロワロタ』という感じだった! 果たして勝つのは琥珀か!? それとも天照か!?」

 

天照「どうやら少々貴方を見くびっていたようね……」

 

琥珀「お互い様だぜ…まさかここまでやるとはなぁ……」

 

「「だが、勝つのは俺(私)だ!」」

 

天照(フフ、勝つのは私よ! 見せてあげるわ、私の奥儀を!)

 

琥珀「じゃ、引かせてもらうぜ! あばよ天照――ッ!? こ、これは!?」

 

天照「どうしたの? 早く引きなさいよ」

 

琥珀(早く引け? 俺も引きたいが引けない! これは……これがあいつの奥の手!)

 

天照(さぁどうするのかしら? 我が奥儀)

 

天照の奥儀! 琥珀が手を出せない必殺技!

 

……その名も、

 

『2枚の内1枚をちょっとあげる!!』バァァン

 

琥珀(どうする? 可能性は2つに1つ)

 

天照(さぁ来なさい、琥珀!)

 

琥珀「行くぜ!! 天照!!」

 

天照「受けて立つわ!! 琥珀!!」

 

琥珀「震えるぞハート! 燃え尽きるほどヒート! うっおぉぉぉぉ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

天照「――さて琥珀……覚悟はいい?」

 

琥珀「お、落ち着けぇ! 話せば分かる!」

 

天照「だが断る、全てを焼き尽くせ!灼熱に焼かれて(ライジング・サン)!!」

 

琥珀「イワァァァァァァァァァック」ピチュン

 

天照「フゥー、スッとしたぜぇ」

 

須・神「「やれやれだぜ」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




はい、キャラ紹介恒例茶番ですね
キャラについてはうp主の自己解釈と設定です
それでは次回ものんびりしていってね


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

ぶらりのんびり旅
第9話 旅と出会い


はいどうも、のんびり+です
皆様のおかげでUA500突破ですありがとうございます
後、今回から新章と言ったな、あれは嘘だ
章はもう少々お待ち下さい(しょう だけに、ププ
琥珀「寒いぜ、オラァ!!」
ヘブッ
琥珀「それでは今回ものんびりしていってね」



 どうも琥珀だ。

 俺が諏訪子達と別れてから数ヶ月が経った。

 あれから人に会ってない。

 

 どういう事かもう理解しただろうか?

 

「ここ……どこ!?」

 

 現状を説明しよう。

 今はもう夜になってしまった。辺り一面は木と木と木! 森って漢字の出来上がり! そして自分が今どこにいるかも分からない。

 

「ハァ……迷子になっちゃったよ……」

 

 悩んでも仕方がない、寝よう。

 

 ‐翌日‐

 

 さて、まぁ旅だし気長に行くか。

 俺のアビリティ、『前向き』を発動し歩き始める。

 

 そうそう、最近思ったんだが……。

 俺も武器が欲しいと思ってな、色々考えたんだ。

 だって、武器欲しくね? という訳で俺は考えた。

 

 何か奇抜で、使い勝手良い武器はないかと。

 そんな時、俺は槍を持った妖怪に襲われてな? ビビッと来たのさ。

 

 奇抜で使い勝手が良い武器、恐らく誰しも一回は使った事がある。

 ――文房具さ!

 

 ……いや、「ダメだコイツ……早く何とかしないと……」みたいな目で見ないで?

 

 めっちゃ傷つくから。

 それに、舐めてると痛い目みるぜ?

 

 基本的に能力で出してるが大きさは俺の意思で自由自在。特に三角定規は良いぞ。防御も攻撃も出来てバランスが良い。

 

 後さっき能力について触れたが、実は俺の能力で試しに一つ「能力」を作ってみた。それはな? ……ってあれ?

 

 俺が独りごと(説明)しながら森を歩いていると、目の前に金髪の少女が傷だらけで倒れていた。

 

「おい、どうしたんだ?」

 

 声を掛けてみるが反応がない。

 

「仕方がないか」

 

 とりあえず傷を治してと。

 俺は少女が起きるまで見張っている事にした。

 

 ~数時間後~

 

 もう日が暮れて来たな。森がオレンジに色づいてきた。

 

「う、ぅぅん」

 

 少女の唸り声がする。どうやら目が覚めたようだ。

 

「おい、大丈夫か?」

 

「……!?」

 

 俺が声を掛けると、少女は大急ぎで飛び起きた。

 

「何があったんだ?」

 

 少女に聞いてみる。

 

「あ、貴方は……」

 

 少女はキョロキョロと辺りを見回した後、警戒しながら尋ねて来た。

 

「ん? あぁゴメンよ、俺は雨宮琥珀だ」

 

「……そう。私は八雲紫(やくもゆかり)よ」

 

 少女は、変わらず警戒しながらも自己紹介してくれた。

 

 名は紫というらしい。

 

「ねぇ、貴方は人間なの?」

 

「あぁ、そうだぞ」

 

 俺が答えると少女は慌てた様子で言った。

 

「なら早くここから離れなさい!」

 

「え? 何で?」

 

「もうすぐ妖怪が出るわよ! 殺されてしまうわ!」

 

 紫も妖怪なのに優しいなぁ。

 

 そんな事を思っていると、茂みから声が聞こえた。

 

「へへ、やっとこさ見つけたぜ~紫ちゃぁん」

 

 するとぞろぞろと妖怪が出てきて、俺と紫は完全に包囲されてしまった。

 

「お? ラッキー、人間がいるぜ~!」

 

「本当だ! あぁぁらら、可哀想な人間」

 

「最近ストレス溜まってたからなぁ。なぶり殺しにして喰ってやんよ」

 

 妖怪共が口々に何か言ってるが気にしないでおこう。

 

「く、能力も満足に使えない……ここまでか……」

 

 紫が額に汗をつくりながら呟いた。

 

 えーと、ちょっと待って。状況整理しよう。

 

 さっきの妖怪共の言葉と紫の言葉を聞く限りでは、

 紫が追われてた。

 ↓

 俺が発見。

 ↓

 見つかった。

 て感じか。

 

 ならばここは妖怪共には撤退して頂こう。

 

 

「なぁ妖怪共、さっさとここを去るってなら見逃すぞ」

 

 俺が言うと、複数の笑い声が森に鳴り響く。

 

「アッハッハハハハ! こりゃ傑作だ」

 

「人間が何か言ってるぜ!」

 

「恐怖で頭がおかしくなっちまったかぁ?」

 

 ……やれやれ。やっぱ駄目かな。

 

「貴方何行ってるの!? 良いからさっさと逃げて、私が時間を稼ぐから!」

 

 そう言って紫は俺の前に進み出た。

 紫は本当に優しいな。余計守りたくなったぜ。

 

「なぁ紫、お前コイツらに追われてたのか?」

 

「え? 何を」

 

「追われてたんだろ?」

 

「え、ええそうよ。私の能力は使い勝手が良いからアイツらそれを利用して人間を捕まえまくるって……」

 

 ほほう……それは良くないな。

 ちょっと脅すか。

 俺は霊力を一割程出して、

 

「もう一度言う、さっさとここを去れ」

 

「何だコイツァ!?」

 

「構わねぇ、やっちまえぇ!!」

 

 妖怪共が突っ込んで来た。

 

 やれやれ。

 

「仕方がないなぁ」

 

 さっき説明中だった能力をみせるときだな。

 

 妖怪共は全員俺を円の中心にするように突っ込んで来る。

 後もう数cmでぶつかるという所で――能力発動。

 瞬間、妖怪共は全員元の位置に戻っていた。

 

「「……は?」」

 

 妖怪共はまだ何が起きたか理解していないようだ。

 

 これが俺の新しい能力。

 

「あらゆるものを(なかったこと)にする程度の能力」だ。

 

 まぁ、元の能力とあんまり変わらんが反対にした感じか?

 

 今のは妖怪共が『移動』した事を『(なかったこと)』にした。

 

 嘘を本当にする力と全てを嘘にする力か。

 

 ……後者に至っては「どこの【大嘘憑き(オールフィクション)】だよ!」て感じだが……。でも俺めだかボッ○スで一番好きなの球磨川さんだからね。

 

 あ、でも能力は決してパクった訳じゃ無い。

 

 最初は「本当を嘘にする程度の能力」にしようとしたんだけど、何か使い勝手悪そうだったから直したんだ。

 

 それが今の能力という訳だ。

 

 さて、無駄話しは置いといて。

 

「クソ、臆するなァ! かかれぇ!」

 

 また来たよ……やれやれ、学習能力ないのかな。しょうがない。

 

「お前ら、最期に言っとくぞ? 俺はただ正当防衛しただけだ」

 

 三角定規を具現化し、円を書くように振り回す。

 妖怪の群れは上と下が真っ二つに別れて崩れていった。

 

「フゥ……」

 

「あ、あの……」

 

 武器を消して一息吐いていると、紫ちゃんが近付いて来た。

 

「ありがとうございました!」

 

「いや、気にしなくて良いさ」

 

「あの、お願いがあるんですけど……」

 

「ん?」

 

「私を……私を弟子にして下さい!!」

 

「……へ?」

 

 

 

 

 琥珀、師匠になる。

 

 

 

 




はい、どうもお疲れ様です
能力についてですけど、本当に無意識でした
後々「あれ?これ球磨川じゃね?」ってなったんですよ
文房具はまぁ…斬新な武器を探してたら「これで良くね?」
って感じです
神子さんはやるとしてもすぐ終わると思いますです
ご意見ご要望があれば気軽にどうぞ
次回ものんびりしていってね


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第10話 二人旅

どうも、のんびり+です
俺は今、一日3本投稿という未知の領域へと辿り着いたぞ!
琥珀「どーせ暇何だろ?」
黙れ小僧!
それでは今回ものんびりしていってね


 どうも、琥珀だ。

 

 俺は今何をしているかと言うと、

 

「行きます!」

 

「来い!」

 

 紫と組み手中だ。

 

 俺が紫に弟子入りされてから三日が経った。

 何故弟子入り何かしたのかと聞いてみたら、「師匠のように強くなりたいんです!」との事だ。

 

 あのまま放って置くのも可哀想なので了承した。

 

「駄目だ、目で追うだけでは攻撃は避けられないぞ、相手の動きを予想しろ」

 

「ハイ!」

 

 

 ~少女修行中~

 

 

「さて今日はこの辺で良いか」

 

「ハァ、ハァ、ありがとうございました」

 

「おう、じゃ飯にするか」

 

「ハイ!」

 

 

 

 

 

 

 ***

 

 

 

 

 

 

 

 俺達は旅をしながら修行を続けていた。紫と出会ってから一年程経過。早いものだなあ。

 

 いつも通り森を歩いていると、

 

「師匠、村があるよ!」

 

「お? 本当だ、ここで少し休ませてもらおう」

 

 俺達は村へと歩を進める。

 

 村の入り口辺りまで来て俺は目の前の光景に驚いた、恐らく紫もだろう。

 何故なら、その村は人間と妖怪で賑わっていたからだ。

 

「何だ……この村は……」

 

「こんな村があるなんて……」

 

 俺達が呆けていると、

 

「お? あんた達旅の人かい? ゆっくりしていってね」

 

「え? あぁ、ありがとう」

 

 近くにいた妖怪に声を掛けられ正気に戻る。

 

「紫、とりあえず宿を探そう」

 

「は、はい」

 

 丁度良い宿があったのでそこに泊めてもらう事にした。

 

「驚いたわ、まさか人間と妖怪が共存しているなんて……」

 

「そうだな、そんなの見た事無かったからな」

 

 実に興味深いと、俺達は一日村を巡っていた。

 

 ここの人達(妖怪含む)はすごく優しくて良い人達だった。互いに助け合って共存していた。

 ここの人は妖怪を畏れていないし、妖怪は人を襲ったりしない。

 まさに理想郷と言っても過言ではない所だ。

 

 日が暮れてきたので宿に帰ってくると、ふと紫が口を開いた。

 

「師匠」

 

「ん?」

 

「師匠は、人間と妖怪は共存出来ると思う?」

 

「うーん、難しいだろうな。この村や俺と紫みたいな例外があっても共存はそう簡単出来る事じゃないだろうな」

 

「そう……」

 

 

 

 ‐翌日‐

 

 俺達が村を出ようとした時、事件は起きた。

 

 ドゴン!! と爆弾が炸裂したかのような衝撃。

 

「何だ!?」

 

 俺は轟音により目が覚めた。

 何やらただ事ではない雰囲気だったので急いで外に向かう。

 

 そこで俺達が目にしたのは、燃え上がる家々、崩壊した建造物、そして迫る妖怪の軍団。

 

「ハッハー、いい気分だ」

 

「妖怪が人間(エサ)と仲良くやってんじゃねえよ」

 

「こんな村ぶっ壊してやらぁ」

 

「や、止めてくれ!!」

 

 村長さんが妖怪に止めるように呼び掛けるが、

 

「うっせぇよ、ジジイ! 近寄んな!!」

 

 妖怪は鬱陶しそうに村長さんを叩く。

 

「うぉぉ」

 

 村長さんは押されて尻餅をついてしまった。

 

 妖怪は村長さんに唾を吐き捨て一言。

 

「気安く触るんじゃねぇよジジイ! ムカつくから殺してやるよ」

 

 

 

 ――妖怪の言葉を聞いた瞬間、俺の中の何かが音をたてて切れた。

 

 

 

「死ねェェェ!!」

 

 妖怪が拳を降り下ろす――が、その拳は一人の青年によって片手で受け止められる。

 

「……あぁぁん?」

 

 妖怪は青年を睨みつける。

 しかし青年は知らん顔で言った。

 

「紫、村の皆を頼む」

 

「ええ!」

 

 紫が村長さんを連れて行くのを見送って青年は喋った。

 

「テメぇら、何しにここに来た?」

 

「何だ? テメーは? 俺を誰だと――」

 

「質問しているのは俺だ。何しに来た?」

 

 刹那、妖怪達を言いようのない寒気が襲った。

 砂漠から急に北極に飛ばされたように、唐突で、凍えるような寒気が。

 

「ず、図に乗るなよ人間風情がぁー!」

 

 先頭にいた妖怪が青年に飛び掛かる。

 

 他の妖怪もそれに続こうとするが、その妖怪は木っ端微塵になった。

 比喩ではなく、文字通りの意味でだ。

 

 それを目の当たりにした妖怪達を支配した感情は、恐怖。

 

 先頭にいた妖怪はここら一帯で敵無しと言われた大妖怪だった。

 そんな妖怪が目の前で一瞬にして“消された”のだ。

 

 最早、妖怪達は正常な判断など出来ずに青年へ向かって行った。

 そして、青年の両手にはいつの間に出した二つの三角定規。

 雄叫びを挙げていた妖怪の群れは、青年の一撃で全滅した。

 

「別に妖怪が人を襲うのが悪いとは言わねえ。だが、娯楽で人を殺すのは許せないな。テメぇらみてえなのがいるから人と妖怪の共存が難しいんだ。テメぇら何かよりここにいる妖怪達の方が万倍良いやつらだよ、襲う相手を間違えたな」

 

 青年は血溜まりの中、独り静かに呟いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 ――今日は突如聞こえた轟音で目が覚めた。

 外に行くと、一目で村が襲われたと判断出来た。

 

 破壊された村を見た私は、言い様のない怒りに支配された。

 

 そして、私は師匠から村の人達を頼むと言われた。

 師匠は、いつも優しい師匠とは別人のような鋭い目で妖怪共を見据えている。遠目でみている私も足がすくみそうになってしまう。

 

 

 師匠は妖怪共をあっという間に片付けてしまった。

 すると村が、始めから何も無かったかのように元に戻った。

 

 師匠が『村への襲撃』を『嘘』(なかったこと)にしたらしい。

 

 相変わらず規格外だ。

 

 私達が村を出るとき、お礼をたくさん持って来られたが師匠が全部断った。

 

 こうして私達は村を後にした。

 

 この村で過ごしてから、私は人間と妖怪の共存について考えるようになった……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 因みに、後々この村が人間と妖怪が共存する場所で「人里」と呼ばれるようになるが、それはまた先の話……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




ハイお疲れ様です
皆さん気付きましたか?
嘘を本当にする時は【】本当を嘘にする時は『』
分けて見ました
プロローグから少しいじったので暇だったら見てみて下さいね
アドバイス等有りましたら気軽にどうぞ
次回ものんびりしていってね


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第3章 寄り道編~都で会った太子様~
第11話 別れと出会い


どうも、のんびり+です
お気に入りありがとうございます
これからも宜しくお願いします
では今回も、のんびりしていってね


 俺と紫が出会ってどのくらい経ったか……。

 かなりの年月が経ったと思う。

 

 今の紫はもう出会った時のような少女ではなく、大人の女性という言葉が似合う程に成長した。

 

 言葉使いは胡散臭いけどな。……まぁ自分の意図を悟られるなって教えたの俺だけど。後俺には普通にタメ口だ。

 

 いやぁ成長したなぁ……。師匠として嬉しいぜ。

 

 という感じで今日も旅をしているぜ。

 

 昼食を食べ終わった時、紫が話しがあると言う。

 

「琥珀。私、そろそろ独り立ちするわ」

 

「そうか」

 

「あんまり驚かないのね」

 

「まぁ、いつかは来ると思ってたからなぁ」

 

「それで琥珀にお願いがあるの」

 

 紫が珍しく真剣な顔をして言う。

 

「ん? どうした、そんなに改まって」

 

「私の夢に協力して欲しいのよ」

 

「夢?」

 

「えぇ。いつか貴方と一緒に人と妖怪が共存する村へ行ったじゃない?」

 

「あぁ、懐かしいなぁ」

 

「それでね。私の夢はズバリ、人と妖怪が共存出来る場所を創る事よ」

 

「……またデカイ夢だな」

 

「琥珀……協力してくれる?」

 

 心配そうに俺の顔を覗く。

 

「ハハ、そんな不安そうな顔すんなよ。協力してやっから」

 

「そうよね、いくら貴方でもこんな……え?」

 

「いや、協力するよ」

 

「いいの!?」

 

 心機一転、紫は目を輝かせ頬を緩ませた。

 

「あぁ、確かにその夢は実現は難しい。そんなのは無理だって笑う奴もいるだろう。だがお前は真剣に考えている、覚悟もある。それにお前がそんな必死こいて頼んでんのに断るのも後味悪いからな」

 

「ありがとう! 貴方がいれば百人力よ!」

 

 えらく興奮した様子で言う紫に、俺もつられて微笑する。

 

「そんな大層なもんじゃねぇよ」

 

「じゃあ琥珀、早速お願い。私の式になって」

 

「だが断る」

 

「えー、何でよ~」

 

「俺は誰かの下に就いたり縛られるのが嫌いなのさ。お前が良く知ってるだろ?」

 

「ブー、琥珀のけち」

 

 紫はわざとらしく頬を膨らませ拗ねる素振りをとった。

 

「はいはい、ワロスワロス」

 

「じゃ別のお願いよ。貴方には私の理想郷に適していると思う“場所”と“人”。後は私の式になってくれそうな人を探して欲しいわ」

 

「多いな……まぁ良いぜ。後その“人と妖怪が共存出来る場所”って長いからそこの名前でも決めちゃおうぜ」

 

「確かにそうね。じゃ琥珀決めちゃって頂戴」

 

「俺かよ!? お前の夢なんだからお前が決めろよ」

 

「えぇー、良いじゃない。琥珀が決めてよ、お願い!」

 

「お願いし過ぎだろ……やれやれ」

 

 うーん、どうするか……。俺ネーミングセンス無いんだよ?

 えっと、まずキーワードを絞り出すんだ。

 人と妖怪の共存、夢、理想郷、夢のような場所……幻想的……理想郷……。お!

 ――きたこれ!

 

「フッフ、決まったぞ」

 

「何々?」

 

「人と妖怪が共存出来る理想郷。その名も……『幻想郷』だ!」

 

 紫は何度かその名を呟き、

 

「幻想郷……良いわね! 気に入ったわ♪」

 

 笑顔で賛同してくれた。良かった、どうやらお気に召したようだ。

 

「じゃあ私は行くわね」

 

「あぁ、またな」

 

「えぇ、また会いましょう」

 

 そう言い残すと、紫は目玉がギョロつく空間――紫はスキマと呼んでいた――を開いて入って行く。スキマは紫が入ると同時にきれいサッパリと消え去った。

 

 さて、久しぶりの独り旅か……。

 俺は特に行く宛てもなく歩き出した。

 

 

 

 ~少年ぶらり旅中~

 

 

 

 さて、紫と別れてから三日程経つが。俺は都(?)という場所に来ている。

 さっき偶々見つけた。

 

 で、俺は今団子屋に来ている。実は、お団子は私の大好物なのだよ。

 

「ハイよ、みたらし三本お待ちどう」

 

「ありがとうございます」

 

 俺は団子を一口……。うん、エクセレント!

 

「あのすみません、ここで有名な事とか場所はありますか?」

 

 俺は団子を堪能して、ついでに、都観光の為に何か情報を得られないか(こころ)みた。

 

「ん? あんた旅の人かい。有名って言ったら太子様だね」

 

「太子様?」

 

「あぁ、あそこに屋敷があるだろう? あそこに行くと会えるよ、あの御方はよく民の話を聞いてるからね」

 

 団子屋からでも見える大きな屋敷を指差しておじさんは言う。

 なるほど、早速行ってみようかな。

 

「ありがとうございました」

 

 団子を食べ終えた俺は、のんびり屋敷へと歩き始めた。

 

 屋敷に近付くと

 

「貴方も太子様に相談ですね」

 

 と半ば強引に中に連れられた。

 

 太子様とやらがいる部屋へ入ると、そこには老若男女が九人、異口同音に一人の少女に愚痴を溢すというかぶっかけている光景が広がっていた。

 

 俺は残された最後の座布団の上に腰を下ろし、その光景を眺めていた。

 

 あの人が例の太子様か?

 

 目の前には、床が一段上がったような所に座り心地が良さそうな座布団を敷いて座っている少女、耳にはヘッドホンのようなものを装備している。

 

 俺が来てから数十分。やっと気が済んだのか、人が続々と帰って行った。

 

 便乗して俺も帰ろうとすると、

 

「待って下さい」

 

 太子様と呼ばれる少女から声を掛けられた。

 

「はい?」

 

「貴方は終始黙って居ましたが、どうしてですか?」

 

「いや、俺は旅人でしてここに太子様って人がいると聞いて見に来たんです」

 

「そうでしたか。良ければ旅のお話、聞かせてはもらえませんか?」

 

「良いですけど……そんなに面白いもんじゃありませんよ?」

 

 俺はどこから話そうか迷ったが、取り敢えず話を始める事にした。

 

 

 

 

 

 

 

 ――私の名は豊聡耳神子(とよさとみみのみこ)

 民達には太子様と呼ばれている。

 

 私は今日も国を少しでも良くしようと、民達の相談を聞いていた。

 

「もっと領地を~~」

 

「この前なんて~~」

 

 私が話(これ愚痴ですよね)を聞いていると、部屋にここらでは見かけない真っ黒な着物に赤い帯をした青年が入って来た。

 

 青年は腰を下ろすと、物珍しそうに辺りを見渡していた。

 

 一体彼は何がしたいんだろうか。

 

 そう思いつつ私は彼の“本質”を見てみた。

 

 すると驚いた事に、彼には欲がほとんど無かった。

 

 領地、金銭等、ここにいる者達が持っている欲を彼は持っていなかった。

 

 私は彼に興味を持った。

 

 彼なら参考になる考えを聞けるかも。

 彼なら私の話を聞いてくれるかも。

 

 するといつの間にか話は終わって民達は帰って行く。

 

 彼が腰を上げると私は彼に声を掛けた。

 

 話を聞くと彼は旅人らしい。

 

 彼はどんな旅をしてきたのか、気になったので聞いてみることにした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 俺は自己紹介をして神子に旅の事を話している。

 因みに敬語はいいと言われたので今はタメだ。

 

「そんでさ、紫の奴何て言ったと思う?」

 

「何て言ったんですか?」

 

「「師匠、頭の中に爆弾が……!?」だってよ」

 

「あっはははは、紫さんは面白い方ですね」

 

 俺は旅の事を片っ端から話した。

 

 ふと外を見るともう日が暮れていた。

 

「やッべ、もうこんな時間だ」

 

「なら家に泊まれば良いですよ」

 

 神子が願ってもない提案を持ち出す。

 

「え、良いのか?」

 

「はい、勿論です」

 

「神子、ありがとう!」

 

「良いって事ですよ」

 

 今夜は神子の屋敷に泊めてもらう事になった。

 




乙です
太子様来ましたね
ここは短いと思いますが許してにゃん♪
琥珀「うっぷ、気持ち悪い事と声と顔すんなよ」
LP4000→LP0
琥珀「おえ、気持ち悪い」
もう止めて!私のLPはもう0だ!オーバーキル、ダメ絶対
琥珀「知らんな」
では次回も
「「のんびりしていってね」」


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第12話 来訪者

どうものんびり+です
前回言った通りこの章は短いです
後、此処での人間関係や出来事は自己解釈とオリジナル展開です
では今回ものんびりしていってね


前回のあらすじ

俺は神子の屋敷に泊めてもらう事になった。

 

にしてもでかい屋敷だな。神子ってそんなに偉いの?

でも太子様って呼ばれているくらいだからな。

 

「この部屋です」

 

俺が神子の事について考えていると、俺が今日泊めてもらえる部屋に着いたようだ。

 

「あぁ、ありがとう」

 

「食事の時間になったら知らせますので」

 

「了解」

 

そう告げて神子は去って行った。

 

「フゥ」

 

俺は一息ついて椅子に腰掛ける。

いやぁ、宿を探す手間が省けたぜ。神子に感謝だな。

それにしても、これからどうするか。神子は旅の行き先が決まるまでここにいても良いと言ってくれたが……。

 

「お言葉に甘えて、暫くここに居座ろうかなぁ」

 

ピシャッと、障子が開かれる音がした。

見てみるとそこには、変わった帽子のような物を頭に乗せた少女がいた。

 

「む、そなたが琥珀だな? 我の名は物部布都(もののべのふと)じゃ」

 

「そうか。もう知ってる感じだが、俺は雨宮琥珀だ。よろしくな布都」

 

「うむ、よろしく頼むぞ琥珀」

 

俺は布都と握手をする。

 

「そうじゃ、我は食事の時間だから琥珀に教えに来たのじゃ」

 

「そうか、分かった」

 

俺は布都についていった。

案内されたのは、どこか屋形船を思わせる少し広めの部屋だった。

等間隔に配置された黒い机の上に赤いお盆、その上には豪勢な料理が揃えられている。神子ともう一人知らない少女が席に着いていた。

 

「それでは皆揃った様ですし頂きましょう」

 

「「いただきます」」

 

~少年少女食事中~

 

「「ごちそうさまでした」」

 

食後。お茶を飲み終えた俺は、やはり気になるので少女へ訪ねてみた。

 

「なぁ、君もここの人なの?」

 

「ん? あぁ名乗って無かったな。私は蘇我屠自古(そがのとじこ)だ、よろしく」

 

「雨宮琥珀だ、よろしく」

 

屠自古と握手する。

 

その後、俺は神子と少し話をして部屋に戻った。

 

 

 

***

 

 

 

俺が此処に泊めてもらって三日が経つ。

 

分かった事は、まず布都と屠自古は何故か仲が悪い。詳しくは知らないが過去に何かあったらしい。

神子は、どうやら最近人の死について不満を持っていて、よくその事について相談される。

 

まあ、そんなこんなで時は過ぎていった。

 

ある日、俺が暇潰しに散歩をしていたら少女から声を掛けられた。

その少女は、水色の髪をしていて、ここらではみない服を着た少女だった。

 

「すみません、太子様に会いたいのですがどこに行けば会えますか?」

 

「神子に? だったら案内するよ、そこに泊めてもらってるんだ」

 

俺は少女を神子の所に案内する事にした。

 

「俺は雨宮琥珀だ。お前は?」

 

「私は霍青娥(かくせいが)という者です」

 

「そうか、よろしくな青娥」

 

「こちらこそ」

 

 

~少年少女移動中~

 

 

「神子、居るか?」

 

「どうしました? 琥珀」

 

「お前にお客さんだ」

 

俺は青娥を神子に会わせると、また散歩に戻った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――ある日、琥珀が客を連れて来た。

 

「初めまして太子様、霍青娥という者です」

 

「どうも、豊聡耳神子です」

 

私は名乗る。

客というのは青娥という少女だった。

 

「早速ですが、私に何用ですか?」

 

「はい。実は私は仙人なのですが、風の噂で貴方の事を聞きましてね……。

豊聡耳様、道教をやってみませんか?」

 

「道教?」

 

青娥は私に道教を薦めてきた。

道教に従えば不老不死になれる、と青娥は言う。

 

青娥は私が人の死に不満を持っている事を知っているのかいないのか、だが私は道教に興味が湧いた。

 

本当に不老不死になれるのか……。

だが道教をやろうにも問題があった。

 

「確かに魅力的な話ですが、その道教は国の統治には不向きです」

 

道教は超人的な能力を得られるが、民達がそんな力を手にしたらどうなるか……。あまり良い事は想像できない。

 

すると青娥がある提案をしてきた。

 

「ならば、表向きには仏教を信仰させるというのはいかがでしょう?」

 

という提案だ。

 

確かにそれなら国も安定するだろう。

私は、青娥の提案を飲む事にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

青娥が神子に会いに来て数日後、国では仏教が広まっていった。

そして仏教が広がると同時に、神子は道教の研究を開始した。

 

 

 

 

 




どうもお疲れ様です
多分次回で終わりです
早い!
アドバイス等ありましたらお願いします
それでは次回ものんびりしていってね


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第13話 眠った神子と旅立つ俺

はい、のんびり+です
キャラ紹介と本編を分けました
どうでしょうか?
この章はこの話で終わりです
では今回ものんびりしていってね


 

神子が道教の研究を始めて二ヶ月程が経った。

国では見事に仏教が広まり信者は多い。

 

そんな中神子は、道教に従い超人的な能力の発揮に成功していた。

主に超回復等だ。常人なら回復に時間が掛かる病気や怪我も一日もすれば元通り。

そして、神子が特に力を入れているのは不老不死についてだ。

 

「お疲れ様、神子」

 

「ありがとうございます、琥珀」

 

「研究もいいがあまり躍起になるなよ?」

 

「分かってますって」

 

神子の話によると布都も道教を研究しているらしい。

 

何だろう、置いてけぼり感がヤバい。

皆がワイワイ新しいゲームやってて、俺だけ古いゲームやってる並みだぜ。

俺もやってみるか……いや、俺には関係ないか。

それに、俺まで道教を始めたら屠自古が孤立してしまう!

 

俺がいく訳にはいかねぇ(使命感)。

 

そんな感じで、神子達が道教の研究をして、俺は団子屋に行く。

そんな日々が淡々と続いていた。

 

 

因みに、琥珀は約二ヶ月ずっと団子屋に通ったので、店のおじさんとはとても仲が良くなった。

琥珀が「いつもの」と言ったのなら、みたらし団子三本と温かいお茶が運ばれる。

都の人達からは親しみを込めて“団子キラー琥珀”、“団子愛好家”の名で呼ばれている(本人は知らない)。

 

 

 

 

 

だがそんなある日。

 

俺が神子の様子を見に行くと、神子は気分が悪そうに倒れていた。

 

「おい、神子、意識はあるか?」

 

俺は神子に駆け寄る。

 

「ぅぅ、琥珀」

 

よし、意識はある。

俺は急いで人を呼んだ。

 

 

 

 

 

 

 

――我が廊下を歩いていると琥珀の声が聞こえた。

 

部屋に行くと、布団に寝かされた太子様が目に入った。何やら気分が悪そうじゃ。

 

「琥珀、太子様はどうしたのじゃ?」

 

「これだよ」

 

そう言って琥珀が見せたのは、

 

「それは……丹砂(たんさ)か!」

 

丹砂(硫化水銀、猛毒)、道教では不老不死をもたらすと言われていたものじゃ。

 

 

 

 

 

 

 

太子様が倒れてから数日が経過した。

日に日にやつれていく太子様を見るのは辛かった。

そんなある日、太子様が言った

 

「布都……このままでは私の身体がもたないでしょう……だから私は尸解仙(しかいせん)になろうと思います……」

 

尸解仙……。つまり太子様は、一度死んだ上で仙人になる事を決めたようじゃ。

 

「太子様が逝くというなら、我も御供するのじゃ!」

 

「布都……良いのですか? 貴女も一度死ぬのですよ?」

 

「……確かに死ぬのは怖いが、でも我は太子様を信じてるのじゃ!」

 

「――話は聞かせてもらいました」

 

そんな声と共に、屠自古が部屋に入って来た。

 

「太子様、私もご一緒させて頂きます」

 

「ですが屠自古……」

 

「大丈夫です。それとも太子様は私一人を残して逝ってしまうのですか?」

 

「屠自古……すみません……」

 

「太子様が謝る必要はありません」

 

予想外じゃ……まさか屠自古も来るとは。

 

………………。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

今日は神子達が尸解仙になるために一度死ぬ日だ。

 

いくら仙人になって復活すると言っても、人が死ぬ所は見たくないな……、しかも知り合いのは尚更だ。

 

俺は三人から依代を預かっている。

 

尸解仙は一度死んで、依代に仙人として復活する。

 

その後の依代が真の肉体となり、肉体は依代の物質になる。

 

簡単に言うと、依代と肉体が入れ替わる。

 

そして、依代は腐敗しない物が望まれる。

 

神子からは宝剣、布都からは皿、屠自古からは壺を預かっている。

 

「琥珀、すみません……」

 

神子が弱々しく言う。

 

「気にするな」

 

「屠自古、布都、準備は良いですか?」

 

「はい、いつでも」

 

「我も大丈夫じゃ」

 

二人の返事を聞くと、神子は深く呼吸をして、微笑むように言った。

 

「それでは琥珀、またいつか会いましょう」

 

「あぁ。またな神子、布都、屠自古」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――――こうして豊聡耳神子、物部布都、蘇我屠自古の三人は眠りについた。

 

だが、琥珀は知らなかった。

 

布都が屠自古の壺にある()()をした事を。その細工の所為で、屠自古は尸解仙として蘇る事が出来ずに亡霊になる事を。

物部一族は蘇我氏に滅ぼされており、布都が屠自古を恨んでいた事を。

神子達が蘇った時は布都と屠自古の関係は良好になっているが、それはまた先の話である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

俺もそろそろ旅を再開するか……。

 

思い立ったが吉日、早速都を後にしようとする。

 

「おっと、あそこ寄っとくか」

 

俺は思い出したように呟き、向かう……団子屋へ。

 

「おっちゃん、俺は旅に出るぜ」

 

「そうかい、旦那が居なくなるのは寂しいね……よっしゃ団子持ってきな!」

 

「え?良いのか?」

 

「あぁ、俺からの細やかな贈り物よぉ」

 

「おっちゃん……ありがとう!世話になったな!」

 

「あぁ、気をつけててな!」

 

 

 

 

 

 

 

 

こうして俺は都を後にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




お疲れ様でした
以上で太子編終了です
次回は特に決めてませんね
次回ものんびりしていってね


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第3回 キャラ紹介

はい、どうものんびり+です
毎度恒例のキャラ紹介です
今回から種族も入れて見ました
今までの紹介も種族入れたので見てみて下さいね
それでは今回ものんびりしていってね

9月2日すみません、青娥さん抜けてました


名前・雨宮琥珀(あめみやこはく)

 

種族・人間(能力で不老不死

 

能力・嘘を本当にする程度の能力

その名の通り、どんな嘘も本当に出来る

 

あらゆるものを嘘にする程度の能力

琥珀本来の能力で創られた能力

あらゆる概念や事象を(なかったこと)に出来る

 

武器・文房具(巫山戯てはない、多分)

本人曰く「奇抜で性能も申し分ない」らしい

主に定規を使う

大きさは琥珀の意志で自由自在

 

見た目・相変わらずで黒髪、黒目、黒い着物に赤い帯をしている

 

性格・相変わらずでのんびりしてる?

 

好きな物・団子

 

嫌いな物・面倒事

 

二つ名・真っ黒くろすけ、正直な嘘つき者

 

 

 

名前・八雲紫(やくもゆかり)

 

種族・スキマ妖怪

 

能力・境界を操る程度の能力

物事には境界があり、その境界を操る事が出来る

例、空間の境界を弄って離れた場所をつなげれられる(スキマ)

 

見た目・はい、紫さんすね 身長は163㎝、体z(メメタァ

 

性格・胡散臭い、嘘つき(どっかの誰かさんの影響)、頭脳明晰、マイペースで温厚だが怒ると普段のまったり感が抜ける

 

好きな物・甘い物、幻想郷

 

嫌いな物・梅干し、幻想郷の平和を脅かす者

 

二つ名・スキマ妖怪、ゆか☆りん(琥珀発信

 

 

名前・豊聡耳神子(とよさとみみのみこ)

 

種族・聖人

 

能力・十人の話を同時に聞くことが出来る程度の能力

人間以外にも神霊の話も聞くことが出来て、その者の欲等の

本質を読み取る事が出来る

 

見た目・いつもの神子さんだぞー、お馴染みの髪型に和の字が入ったヘッドホン(耳あて)を着用

 

性格・丁寧で礼儀正しく几帳面(某イカゲーでは細かい所を徹底的に塗るタイプ

責任感が強い、以外にお茶目

 

好きな物・清く正しいもの

 

嫌いな物・理不尽

 

二つ名・聖徳道士、地獄耳の神子(琥珀発ry

 

 

名前・物部布都(もののべのふと)

 

種族・自称尸解仙の道士

 

能力・風水を操る程度の能力

風水とは気の流れのことで、特に環境により流れる気を差す

周囲の環境に手を加えて気の流れを変えて運気等を操作出来る

 

見た目・布都ちゃんですね、頭の烏帽子がトレードマーク

 

性格・素直、騙され易い、お人好し、思い込み激しい、見栄っ張り、アホの子ボソッ

 

好きな物・昼寝

 

嫌いな物・騒音

 

二つ名・古代日本の尸解仙、お調子者の布都(ry

 

 

名前・蘇我屠自古(そがのとじこ)

 

種族・亡霊

 

能力・雷を起こす程度の能力

落雷を引き起す事が可能

 

見た目・屠自古だぜ、紐がついた烏帽子のような物を被っていて、濃緑色のロングスカートのワンピースを着ている

 

性格・ガラが悪く情に脆くて怒りっぽい、怒ると文字どおり雷が落ちる(笑)

 

好きな物・栗

 

嫌いな物・敷き詰められた文字

 

二つ名・神の末裔の亡霊、姉御(笑)(ry

 

 

 

名前・霍青娥(かくせいが)

 

種族・邪仙

 

能力・壁をすり抜けられる程度の能力

 

見た目・青娥さんですね。髪、目、服まで青。ワンダフォー

 

好きな物・面白い事

 

嫌いな物・面倒事

 

二つ名・壁抜けの邪仙、青娥娘々

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

うp主「さぁてと、ではキャラ紹介恒例の茶番と洒落込もうぜ?」

 

琥珀「僕もう疲れたよ……」

 

うp主「慈悲はない」

 

琥珀「この人でなし!」

 

うp主「それでは今回は

 

『紹介したキャラで双六』です」

 

 

琥珀「チィ、毎回俺が殺られるオチは勘弁だぜ」

 

紫「フフ、負けないわよ?」

 

神子「やるからには勝ちにいきますよ」

 

布都「我が1番だと言うことを証明するのじゃ」

 

屠自古「……頑張る」

 

順番

 

琥珀

神子

布都

屠自古

 

 

ルール

 

ゴールすればクリア

 

気絶したら脱落

 

 

琥珀「よっしゃ行くぜ、っと6だ。へへ、ラッキー」6

 

紫「次は私ね、4まずまずね」4

 

神子「いきますよ、5ですか」5

 

布都「行くのじゃ、2……ん?何か書いてあるの?」

 

『876543257×3557896643=?制限時間20秒』

 

布都「へ? なんじゃこれはぁ!?」

 

神子「その問題を解けば良いのでしょうか?」

 

布都「そ、そんなの……」

 

3、2、1……不正解!

 

パカッ←布都の下の床が抜ける=落ちる(脱落)

 

布都「あぁぁぁんまぁりだあああぁぁぁ~!!」

 

「「……」」

 

琥珀「まぁ、いい奴だったよ」

 

布都の犠牲を目の当たりにして、

此処にいる者は悟った。

 

((うp主(あのバカ)普通(まとも)なゲームさせるはずがないっ!))

 

屠自古「く、頼むぞ……6かよし」6

 

~2周目~

 

琥珀「頼むぞ。3――ってげげ!?」9

 

『屠自古に後ろから10秒抱きつけ』

 

「「……」」

 

琥珀「……あの、屠自古……さん?」

 

屠自古「……し、仕方がない、琥珀には借りもある……」

 

琥珀「……じゃ、すみません」

 

ダキッ

 

屠自古「~~っ!?」

 

琥珀(何だ。この生き地獄は! うぅ、紫と神子の視線が痛い、屠自古すまない)

 

屠自古(が、我慢だ、落ち着け私! でもちょっと良いかも……じゃない! 私は何を血迷い事を!?)

 

紫、神子(何この空気、重い……でも屠自古いいなぁ……って違う!! 私は何を!?)

 

~10秒経過~

 

琥珀「よ、よし、すまないな屠自古」

 

屠自古「……」

 

琥珀「屠自古?」ズイッ←顔を近付ける

 

屠自古「――!? イヤーーーー!!」ゴロゴロピシャン!

 

琥珀「え、ちょ、うわああぁぁ!」ビリビリ

 

屠自古「は!? 琥珀、大丈夫?」

 

琥珀「大丈夫……じゃない、問題だ」プスプス

 

屠自古「ごめんね、驚いちゃってつい」

 

琥珀「大丈夫だ、気絶はしてないぜ」

 

紫「じゃ次は私ね、また4……え?」8

 

『琥珀ぅぅ! 君がッ泣くまで殴るのをやめない! 60秒(全力でね☆』

 

「「………」」

 

紫「……琥珀」

 

琥珀「紫よ、お前は悪くない。これが運命ならありのまま受け入れよう。やれぇぇぇ!!」

 

紫「ッ! はぁぁぁぁ!!」ダッ

 

紫「琥珀ぅぅぅぅ!」ドゴッバキッ

 

ベキッボカッボゴォメキャメメタァ

 

紫「君がッ」ボゴォ

 

紫「泣くまで」ドゴッ

 

紫「殴るのをやめないッ!」ドッガァァン

 

琥珀「ウゲェ!」メキャァ

 

紫「ハァ、ハァ、大丈夫? 琥珀?」

 

琥珀「……俺は、気絶、しない!」

 

神子「さすが琥珀ですね」

 

屠自古「琥珀って人間、だよね?」

 

琥珀「あぁ人間だぜ」

 

神・屠(いや、明らかに「俺は人間をやめるぞーー」済みでしょう)

 

神子「ゴホン、次は私ですね。6ですね」11

 

『後6マス進める』

 

神子「ちゃんとこういうのもあるんですね、ラッキーです」17

 

神子「次に3マス以上で上がりです!」

 

屠自古「流石太子様!私達に出来ない事を(ry」

 

屠自古「私のターン、5か。ん?」

 

『一番進んでる人とジャンケン。負けた方が脱落』

 

神子「屠自古……」

 

屠自古「わかっています太子様、加減はしません」

 

「「いざ尋常に……勝負!」」

 

「「最初はグー、ジャンケン」」

 

「「ポンッ!」」

 

「「……」」

 

屠自古「さらばです、太子様」パカッヒューン

 

神子「貴方の分まで頑張ります屠自古!」

 

~3周目~

 

琥珀「僕はこれから、自分の『運』を乗り越える、6」15

 

『親方、空からロードローラーがッ!』

 

ヒュゥゥゥゥ

 

理不尽! 彼はそう思った!

 

琥珀「……THE・END(おしまい)ってか」

 

ドグシャァァァァ!!!!

 

 

シィィィン

 

 

紫、神(……えげつねぇ……)

 

紫「……行くわよ、神子」

 

神子「受けて立ちます」

 

紫「6ね」14

 

神子「行きます、2……惜しい」19

 

~ファイナルラウンド~

 

紫「フフ、ゲームはどうなるか最後まで分からないわね、6。

ゲームクリアよ」バァァン

 

神子「うぅ、負けてしまいました」

 

 

 

 

 

 

茶番双六

 

1位八雲紫

 

2位豊聡耳神子

 

脱落者

 

雨宮琥珀

 

蘇我屠自古

 

物部布都

 

 

 

 

 

 

 

 




はい、お疲れ様です
琥珀「今回俺死にかけたんですけど」
え!?生きてる!
琥珀「勝手に殺すな!」
ごめんごめん
琥珀「まったく」
それでは次回も
「「のんびりしていってね」」


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

ぶらりのんびり旅②
第14話 迷ったら勘でいけ


はい、どうものんびり+です
先ずは報告です
すみません、キャラ紹介は章の最後に持ってくる事にしました
次にキャラ紹介に種族を追加しました
私の都合でこれからも奇行に走ると思いますが温かい目で見てくれると幸いです
後、茶番で分かりにくい表現等あれば報告お願いします
うp主は進化するッ!少しでも面白くして見せるッ!
というわけで今回も、のんびりしていってね


はい、どうも琥珀だ

 

俺は今、いつも通り行く宛もなくぶらり旅。

そしていつも通り……。

 

「迷ったぁぁぁ!」

 

もう同じ所をぐるぐる回ってるだけだよ。

俺って迷い属性でも持ってるのかな?

まぁ迷っちゃったら仕方ない、のんびりいこう。

 

「俺は、この木の棒が倒れた方角に行くぞ!」

 

俺は迷った時はこの手でやり過ごす。

 

カランっと棒が倒れる。

 

「よし、あっちか」

 

俺は棒の言う通りに倒れた方向へと歩き出す。

 

 

~少年ぶらり旅中~

 

「~~♪~~♪」

 

俺が鼻歌を歌いながら歩いていると

 

「そこの者、止まれ!」

 

急に怒鳴られた。

声の方を見ると、白い髪に獣耳、白い尻尾(もふりたい)をした少女がいた。

 

「ん?なんだい?」

 

「これ以上この山に踏み込む事は許さん、去れ」

 

「え?何で?」

 

「二度は言わぬ、去らぬなら斬る」

 

そう言って彼女は腰にさした刀に手をかける。

 

「え?ちょ、落ち着こ?」

 

「最終警告だ」

 

「いや、だからさ」

 

「望み通り斬ってやろうッ!」

 

彼女が殺気全開で斬りかかって来た。

 

「やれやれッ」

 

俺は次々と繰り出される彼女の剣を最小限の動きで避ける。

 

「チィ、ちょこまかとっ!」

 

「取り敢えず落ち着こうぜ?」

 

「すぐに軽口叩けなくしてやるッ!」

 

聞く耳持たずか、仕方ない。

 

「ごめんよっ」

 

「なっ!?」

 

俺は彼女の後ろに回り込んで手刀を彼女の首に落とす。

すると彼女は意識を失い倒れていく。

 

「おっと」

 

俺は彼女を受け止める。

 

「どうするか……この山に彼女の知り合いがいるか」

 

俺は彼女を抱っこして山へと入って行った。

 

 

 

 

 

 

 

「おい、貴様!止まれ!」

 

……何か囲まれたんですけど。

 

「ん?おい、あの侵入者が抱いている奴」

 

「あれは、今日見回り担当の白狼天狗じゃないか!」

 

「まさか、人質か!?」

 

「何!?卑怯な!」

 

……何かどんどん俺が悪者になってない?

 

「なぁ、お前ら何か勘違いしてないか?」

 

「黙れ!貴様のような者の言葉など聞かん!」

 

もう何なの?この山の人達……いや人ではないが……。

血気盛ん過ぎだろ、俺はただ旅をしてただけなのに。

 

「俺は別にこの山を襲ったりしねーよ、唯通りたいだけだ」

 

「五月蝿い!黙ってろ侵入者!」

 

……泣きそう。会話すら出来ないよ。ハァ、どうすればいいんだ。

 

俺がそんな事を考えているとでかい妖力が二つ近付いてくる。

 

「何事ですか?」

 

空を見上げると、俺と同じように黒い着物を着ていて、風に黒いロングヘアーをなびかせて、黒い瞳で俺達を見て、黒くて大きな翼を広げた少女の姿があった。

 

が、問題がある。彼女の着物は裾が短くミニスカートのようになっている。

そして彼女は今空にいる、お分かり頂けただろうか?

 

「あ、あの、一回降りた方が良いぞ?……その、見えそうだぞ?」

 

俺が言うと理解できたのか顔を赤くしながら降りてきた。

 

「ゴホン、失敬」

 

必死で恥ずかしさを紛らわしてる、あら可愛い。

 

俺がそんな事を思っていると

 

「琥珀?」

 

また声がした。

 

まぁ、妖力の気配で察してたけど。

 

「よ、久しぶり……か?紫」

 

「何で琥珀が此処に?」

 

俺と紫が話ているとさっきの少女がどういう事か聞いてきた。

立ち話も悪いというわけで、さっきの少女の家まで連れて行ってもらう事になった。因みに天狗達は少女が説得してくれた、もっとも「問題ない」としか言ってなかったけど。ひょっとしてすごく偉い人なのか?

そんな事を考えながら、俺は少女の家に向かう。

 

 

「それで、これはどういう状況だ?」

 

マジで理解不能なので説明してもらおう。

 

 

~少女説明中~

 

 

なるほど、理解した。

つまりこういう事だ。

 

紫は幻想郷設立に向けて頑張っていた。

そして偶々発見したこの「妖怪の山」

紫はこの山を幻想郷に招こうと思った。

 

そして例のミニスカ少女の名は空覇(くうは)

天狗達の長で「天魔様」と呼ばれている。

 

紫は幻想郷の事を空覇に話ていた。

するとそこに天狗が侵入者の報告をしに来た。

あまりに騒がしいので様子を見に行く事にした。

そこにいたのが俺。

 

 

という事らしい

 

「なるほどねぇ、つまりこの山の頂点が空覇で、紫は空覇に許可を取ってたと」

 

「ん?違うよ琥珀、この山の頂点は私じゃないよ」

 

「え?」

 

因みに空覇の素は以外に軽いぜ。

 

「この山の頂点は鬼さ」

 

「鬼?」

 

「ああ……丁度来たね」

 

 

「おぉぉい空覇、いるかー?」

 

「入っていいよ、戦鬼(せんき)

 

すると、勢い良く扉が開き、茶髪の肩まで伸びた髪に二本の短い角、赤い瞳に白い半袖とスカートに身を包んだ少女が入って来た。

 

 

 

 

 

――ゲフン、更に理解した。

 

どうやら妖怪の山は少し前に鬼達から襲撃を受けて今では鬼達が頂点にいるらしい。

 

その鬼達を束ねるのが彼女、戦鬼である。

因みにその下には鬼の四天王がいるみたいだ。

訳ありで今は二人しかいないらしいが。

 

 

 

後戦鬼だが、鬼達からは鬼子母神と呼ばれているらしい。

 

彼女は何やら山が騒がしいので、天魔である空覇の家に来たようだ。

 

 

「なるほど……して琥珀よ」

 

「ん?」

 

「ちょっと儂と手合わせしないか?」

 

「え?」

 

「ちょっと戦鬼何言ってるの?琥珀は人間なのよ?貴方と戦ったらボロボロになっちゃうでしょ?」

 

「あら空覇、琥珀を甘く見たら駄目よ?あれでも私の師匠ですもの」

 

「ほう、紫の師匠か……ますます興味が湧いたぞ!」

 

紫の奴火に油注ぎやがったよ。

 

「よし、早速やろう」

 

ガシッ!

 

戦鬼は俺の首筋の着物を掴み歩いていく。

 

「え、ちょ、」

 

ズルズル……。

こうして俺は引きずられ、無理矢理戦う事になってしまった。

 

 

 

 

 

 

 




はいどうもお疲れ様です
というわけで次回は戦鬼vs琥珀ですね
次回ものんびりしていってね


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第15話 鬼と手合わせ

はい、のんびり+です
皆さんご存知だと思いますが
うp主は戦闘描写苦手です
it俺クオリティ
それでは今回ものんびりしていってね


ハァ、どうしてこうなった……。

 

今、俺は戦鬼に連れられて広場に来た。

周りには俺と戦鬼が闘う事を知った鬼達がいっぱいだ。

やれやれだぜ……

すると、「戦鬼様、私達にも闘わせてくれよ!」

 

人だかり、いや鬼だかりから二人の鬼がそんな事を言って乱入してきた。

 

「む?勇義に萃香か、良いぞ」

 

「ヨッシャー!」

 

「じゃ私からいくよ」

 

そう言って金髪に赤い1本の角、でかい盃を持った鬼が近付いてくる。

 

「私の名は星熊勇義(ほしぐまゆうぎ)だ、よろしくな」

 

「雨宮琥珀だ、よろしく」

 

「さぁやろうか」

 

「そのでっかい盃置いたらどうだ?」

 

「だってアンタ人間だろ?ハンデさ」

 

「ハンデは必要ないぜ?」

 

俺はなんか悔しかったので闘気を勇義に向けて放つ。

 

「ッ!……確かに必要無さそうだね、なら全力でいくよ!」

 

勇義は大きく赤い盃を置いて構える。

 

「では開始の合図は儂が務めよう

両者用意はいいな?」

 

「「あぁ、いいぜ(よ)」」

 

「では、――――始め!」

 

開始と共に勇義が猛スピードで突っ込んでくる

 

「ハァ!」

 

繰り出される右ストレートをかわし

腕を掴む。

そのまま勢いを利用して地面に叩きつける。

まぁ一本背負いだ。

 

「カハッ」

 

勇義は苦しそうな顔をするがすぐに元に戻し体制を整える。

 

「フフ、アンタ強いねぇ」

 

「それほどでもないさ」

 

「でも負けないよ!」

 

今度は上段の蹴り。

俺は後ろに下がりかわす。

追撃の回し蹴りが飛んできた。

俺は手で足を弾いて威力を殺す。

「なっ!」

驚いて隙が出来る。

俺はその隙を逃さず勇義の懐に入りボディブローを叩き込む。

「ガハッ!」

勇義の体が一瞬浮く

その間に1回転して回し蹴りを勇義の腹に繰り出す。

「ッ!」

勇義は声にならない悲鳴をあげながらくの字になって吹っ飛んでいく。

 

バキッバキッバキッ

 

木を何本かへし折った所で止まった。

 

「ゲホッゴホッ、はは参ったねぇ強すぎるよアンタ」

 

「ま、伊達に何年も修行してないぜ」

 

そう言って勇義は気を失った。

 

勇義vs琥珀

 

勝者琥珀

 

 

「うわああぁぁぁぁ!!」

 

「!?」

 

突如、鬼だかりから歓声が上がる

 

「あの野郎、勇義の姉さんを倒しちまいやがッたーー!」

 

「なんて奴だ!」

 

「いいねえ、盛り上がって来たぜ!」

 

どうやら鬼達もだいぶ盛り上がってる様だ。

 

「さて、次は私だね」

 

今度は、小柄で2本の角を生やして瓢箪を持った鬼が近付いてくる。

 

「私は伊吹萃香(いぶきすいか)、よろしく頼むよ」

 

「琥珀だ、よろしく頼むよ」

 

「さて二人共、準備はいいかい?」

 

「「大丈夫だ、問題ない」」

 

「それでは試合――開始!」

 

と同時、萃香が霧になって消えた。

 

「!」

 

いきなり霧になるとは……。

十中八九能力だな。

そしてやることと言えば……

 

「そこッ!」

 

俺は後ろに蹴りを繰り出す。

そこにはいつの間に後ろに回った萃香の姿が。

 

「ガッ!」

 

ビンゴ(当り)!」

 

萃香の顎に俺の蹴りが直撃。

 

「くっ!」

 

萃香はまたもや霧になって消える。

萃香は恐らく脳震盪を起こしている。

暫く霧になって回復狙いだろう。

だが、このチャンスを逃してやる程俺は甘くない。

萃香の『霧化』を(なかったこと)にする。

 

「ッ!?何で――」

 

「そこだ!」

 

俺は萃香の後ろに回り込んで手刀を放つ。

 

「クハッ」

 

萃香はそのまま無気力に倒れていった。

俺は萃香を抱き上げ、木に寄りかからせておく。

 

 

萃香vs琥珀

 

勝者琥珀

 

 

「うおおぉぉぉ!?」

 

「あの人間萃香さんも倒しやがった!」

 

「俺は、この瞬間に対する心の準備ははしてきたつもりだ、だがやはり信じられねぇぜ、汗がふき出す!」

 

 

 

「まさかあの二人を倒すとは、やるのぉ儂も久しぶりに本気をだすか」

 

戦鬼から膨大な妖力が放出される。

 

「よし、良いぞかかってこい!琥珀」

 

戦鬼は構えをとり言う。

 

「ならお言葉に甘えて」

 

瞬間、琥珀は戦鬼の背後にいた。

――【今戦鬼の背後にいる】嘘を【本当】に。

 

「何!?」

 

「遅いぜ!」

 

琥珀の右ストレートが戦鬼の顔目掛けて飛んでいく。

戦鬼は即座に後ろに飛んで衝撃を和らげる。

 

「クッ……ハァ!」

 

戦鬼は直ぐに体制を立て直して琥珀に突っ込んでいく。

右、左と繰り出される拳を琥珀も拳を繰り出し相殺。

 

「――ラッシュの速さ比べか?」

 

琥珀が言うと同時、両者目にも止まらぬラッシュを繰り出す。

あまりの速さに腕が何本もあるように見える。

 

「オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラ!」

 

「無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄!」

 

徐々に琥珀が押し始める、そして

 

「無駄ァ!」

 

琥珀の拳が戦鬼の腹にめり込む。

 

「カハッ」

 

「まだまだ!」

 

琥珀は戦鬼の腕を掴み、戦鬼をハンマー投げのように振り回して空に投げる。

そしてつかさず追撃、今度は蹴りのラッシュを戦鬼に繰り出す。

 

「ッ!」

 

戦鬼は手をクロスしガードするが

 

「無駄無駄無駄無駄!」

 

琥珀の蹴りラッシュが戦鬼のガードを崩し戦鬼に叩き込まれる

 

WRYYYYYYYY(ウリィィィィィィィ)!」

 

琥珀のかかと落としが戦鬼を捉える

戦鬼は猛スピードで地面に落下

 

ドゴオオォォォォン!

 

戦鬼が落ちた所には小さなクレーターが出来て土煙が舞う

 

「出てこいよ戦鬼、もう様子見は良いじゃないか?」

 

「……バレてたか」

 

土煙が晴れると、無傷の戦鬼が出てきた。

口元は楽しそうにつり上がっている。

 

「琥珀になら儂の本気を出しても大丈夫そうだな」

 

「カモン、戦鬼?」

 

手招きして挑発する。

 

「行くぞ!」

 

戦鬼が琥珀に向かって飛び掛かる。

琥珀は迎え撃つ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その後、激しい激闘の末に勝ったのは琥珀だ。

決まり手は、琥珀の蹴りをくらって動けない戦鬼に琥珀が繰り出した霊力の極太レーザーだ。

 

 

 

 

「驚いたね…戦鬼と闘って勝って帰って来るとは……」

 

空覇は驚いた様子で言う。

 

「そりゃ琥珀ですもの、仕方ない事だわ」

 

「琥珀って人間……だよね?」

 

空覇の質問に紫は笑みを浮かべて答える。

 

「琥珀みたいな人を通称“人間やめちゃった勢”と言うのよ」

 

「言わねーよ!?」

 

「いやぁ、本気でやって勝てなかったのは琥珀が初めてじゃ」

 

因みに、俺と戦鬼との手合わせで妖怪の山が半分程消し飛んだが能力で修正済みだ。にしても俺に半分程力を出させたのは戦鬼ぐらいだぞ……いやー強かった。

 

「よし、琥珀!宴会じゃ!」

 

「え?何で?」

 

「鬼は喧嘩と酒が好きだからじゃ!」ガシッ

 

「えぇぇ」ズルズル

 

「フフ、鬼は強い者は大好きだぞ、お主ようにな」ボソッ

 

「え?」

 

「何でもない、行くぞ!」

 

「ハイハイ」ズルズル

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――その後、何者かによってもう一度山が消し飛んだのはここだけの話。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




はいどうもお疲れ様です
どうでしたか?心配だ
次回ものんびりしていってね


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第16話 山を超えたら花畑

はい、どうものんびり+です
UA1000突破です!ありがとうございます!
評価してくれる方々ありがとうございます!
近いうちに記念企画で茶番をやろうかな?
アイディアがあれば気軽にどうぞ
それでは今回ものんびりしていってね



はいどうも、琥珀だ

うぅ、頭が痛い。

昨日鬼達に酒を大量に飲まされたからか……。

まったく散々だったぜ、鬼とはケンカとか酒飲み対決とか挑まれるし鴉天狗の(あや)とか言う奴からは質問攻めに遭うし……後は……後……あれ?俺が酔いしれてから記憶がない。

……ま、いいや。

俺は今空覇の家にいる。

昨日泊めてもらったからだ。

紫は目的は果たしたと言ってまたどっか行った。

 

「さーて、俺も旅を再開するか」

 

天狗に鬼とイレギュラーな存在があったが元々俺はこの山を通りたかっただけだ。

山通るだけでこんなに疲れるとはな。

さて、じゃみんなに挨拶していくか。

 

「おーい、空覇ー」

 

「ん?どうした?」

 

「早速だが俺は旅を再開するぜ」

 

「そうか……もうちょっとゆっくりしてけば良いのに」

 

「俺は思ったら行動に移す男だぜ」

 

「まったくその通りだ」

 

「またな、世話になった」

 

「あぁ、次来た時はゆっくりしていってよ」

 

「おう」

 

そして俺は空覇と別れた。

後は鬼達か……

俺は鬼達がいる場所に向かう。

 

「おーい、戦鬼ー」

 

「ん?おぉ琥珀、どうした?」

 

戦鬼の他に勇義と萃香もいた。

 

「旅に出るから挨拶しに来た」

 

「そうか……また会おうぞ!」

 

「あぁ」

 

「琥珀!また手合わせしような!」

 

勇義が嬉々として言う。

 

「良いぜ、精々腕を磨いとけよ?」

 

「また酒飲み対決やろうね!」

 

萃香も笑顔で言う。

 

「次も負けないぜ」

 

「「またね(な)!」」

 

「あぁ、またな」

 

こうして俺は妖怪の山を後にした。

 

「さーて、またのんびり旅と行きますか」

 

 

~少年ぶらり旅中~

 

 

「くるくる~時計の針~♪」

 

俺が歌を口ずさみながら歩いていると

 

「ん?おぉぉ、綺麗だなぁ」

 

目の前には、一面が向日葵で覆い尽くされた花畑が広がっていた。

 

「自然で出来た物じゃない、誰かが育ててるんだろう」

 

向日葵の一つ一つが活き活きとしていて、まるで輝いているようだった。

 

「これだけの数を誰が……ひょっとして君かい?」

 

「あら、気付いてたの?」

 

すると、緑の髪に日傘を持った少女が現れる。

 

「まぁな、さっきから見られてる気がしてな」

 

「……」

 

「俺は別に花畑を荒らしに来た訳じゃないぞ?殺気をしまってくれ」

 

「それは出来ない相談だわ」

 

「……何で?」

 

「だって貴方からは強者の匂いがするもの♪」

 

あぁ、コイツあれだ

鬼達と同じ戦闘狂(バトルジャンキー)パターンだ

 

「やれやれだぜ……」

 

「フフ、私は風見幽香(かざみゆうか)、精々楽しませて頂戴ね?」

 

「雨宮琥珀だ、よろしく頼むよ」

 

自己紹介が終わった瞬間、幽香が仕掛けた。

手に持っている日傘を琥珀に向かって降り下ろす。

が、琥珀はいつの間にか手に持っている六十cm程の物差し(でかい線引き)

で幽香の攻撃を受け止める。

 

「フフ、足下がお留守よ?」

 

幽香が言うと琥珀の足は植物の蔓に掴まれてしまった。

 

「!」

 

「もらった!」

 

幽香の日傘の先端から極太レーザーが琥珀に向かって放たれた。

轟音が響き、琥珀がいた場所は地面は小さなクレーターが出来ていて、地面が所々焼け焦げている。土煙で辺りは視界が悪い。

 

「次にお前は「案外呆気ないわね」と言う」

 

「案外呆気ないわね……ッ!?」

 

突如幽香の背後から声がする。

刹那、幽香の背中を強い衝撃が襲う。

 

「くっ!」

 

幽香は数十メートル吹き飛ばされるが空中で体制を整える。

幽香は先程まで自分がいた場所を見るが誰もいない。

疑問に思っていると。

 

「またまたやらせていただきました!」

 

今度は幽香の頭上から声がする。

 

「!」

 

幽香は咄嗟に頭の上で腕をクロスさせ防御の姿勢をとる。

すると幽香の頭上から琥珀のかかと落としが炸裂、幽香は地面に叩きつけられた。

 

(どういう事?あいつは二回も私に気付かれずに背後を取った……

姿を消せる能力?……いや、瞬間移動か)

 

「へぇ、当り」

 

「……貴方は心が読めるのかしら?」

 

「いや読めないさ、ただ予想しただけ」

 

「フフ、いい勘してるわね」

 

「ありがとうよ」

 

(瞬間移動か……厄介ねぇ……フフ)

 

「フフフ、アハハハハ!」

 

(楽しそうに笑いやがる……だから戦闘狂(バトルジャンキー)との闘いは苦手なんだ……そういや戦鬼が言ってたな、「お主も相当な闘い好きじゃな!だってお主、闘ってる時ずっと笑っておったぞ?」……俺も人の事言えないかもな)

 

「楽しいわね?琥珀」

 

「いいや、まったく」

 

「そんな顔して言われても説得力ないわよ?」

 

「……やれやれだぜ!」

 

 

 

 

 

 

 

それから俺と幽香は笑いながら殴り合ったり蹴り合ったりしていた。

どれ程闘っていたか……。

最後は俺と幽香のレーザーの撃ち合いで幕を閉じた。

勝者は俺だ。

今気絶してしまった幽香を幽香の家に連れていっている。

 

「これか……」

 

幽香の家は花畑をしばらく歩くと辿り着いた。

この西洋の屋敷が幽香の家のようだ。

 

「勝手にお邪魔しまーす」

 

俺は家に入って幽香を近くのソファーに寝かせた。

 

「さて、どうするか……」

 

外を見るともう夕暮れ時だ。

俺が此処に来た時は昼間だったのに……。

どんだけ闘ってたんだよ……。

 

「うーん、今夜は野宿か……」

 

「家に泊まっていけば良いじゃない」

 

「え?」

 

いつの間にか起きてた幽香が言う。

 

「良いのか?」

 

「良いのよ」

 

「即答!?……じゃあお言葉に甘えて」

 

「良し!」

 

「?」

 

「ゴホン、じゃあ今ご飯にするわね」

 

「手伝おうか?」

 

「大丈夫よ、待ってて♪」

 

そう言うと幽香はキッチンへと向かった。

いやぁ、最初は唯の戦闘狂(バトルジャンキー)かと思ったがいい奴じゃないか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「今日も暇ねぇ」

 

私は今日もいつも通りに起き、いつも通りに花の世話をしていた。

 

「面白い事の一つや二つ起きないかしら」

 

そんな事を言っていると花畑の入口辺りから気配がした。

 

「私の願い事が叶ったわね」

 

私は気配を消して入口へと向かった。

 

「くるくる~時計の針~♪」

 

入口へ行くと奇妙な歌を歌っている人間がいた。

 

(歌上手いわね……)

 

すると人間は花畑を見ると近付いていった。

 

「綺麗だなぁ」

 

人間は花畑に見惚れているようだ。

私も花達が誉められるのは嬉しい、花達も嬉しいようだ。

 

「これだけの数を誰が……ひょっとして君かい?」

 

人間が言う。

私は気配を消しているのに……気付くなんてそこらの奴等では無理だ。

フフ、そそるわねぇ。

私は気配を出して聞いてみる。

 

「気付いてたの?」

 

「まぁな」

 

やはり気付いていた。

フフ、いいわねぇ。

彼は強い。

私の勘が言っている。

 

「私は風見幽香、精々楽しませて頂戴ね?」

 

「雨宮琥珀だ、よろしく頼むよ」

 

私は琥珀と名乗った人間に向かって日傘を降り下ろした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あれから私は琥珀と長い間闘っていた。

楽しい。

その感情が私の心を満たしていた。

どんなに攻撃を受けても私の笑顔は絶えなかった。

最後に私の十八番(おはこ)、『マスタースパーク』を琥珀に撃つ。

すると琥珀も青白いレーザーを撃ってきた。

二つの光線はしばらく拮抗していたが、段々私が押され始めて最後は琥珀のレーザーに飲まれた。

 

 

次に目を覚ますと私は自分の家のソファーに寝ていた。

琥珀が運んでくれたのだろうか。

雨宮琥珀と名乗った人間。

私を初めて敗かした人。

私の心を満たしてくれた人。

そう考えると何だか動悸が早くなって顔が熱くなってきた。

私はどうしてしまったのだろうか……。

 

「さて、どうするか……」

 

琥珀の声が聞こえた。

何故か動悸はさらに激しくなり、顔は熱を帯びた。

 

「うーん、今夜は野宿か……」

 

――!琥珀が家を出て行ってしまう。

そう考えると何故だか途方もない喪失感が私を襲った。

もっと此処にいて欲しい……そう思った。

 

「家に泊まっていけば良いじゃない」

 

「え?良いのか?」

 

「良いのよ」

 

「即答!?……じゃあお言葉に甘えて」

 

「良し!」

 

私は琥珀に見えないようにガッツポーズをとる。

唯琥珀が家に泊まると言うことが堪らなく嬉しかった。

 

「ご飯にするわね」

 

「手伝おうか?」

 

「大丈夫よ、待ってて♪」

 

上機嫌な私は鼻歌を歌いながらキッチンへと向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




はい、お疲れ様でした
幽香さんにも白羽の矢が立ちましたねぇ
では次回ものんびりしていってね


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第4章 おとぎ話編~竹取物語~
第17話 絶世の美女?


はい、どうものんびり+です
今回から新章です
では今回も、のんびりしていってね


どうもおはよう、こんにちは、こんばんわ

琥珀だ。

俺は今森にいる。

幽香にお世話になったのは一週間程前の事。

別れる幽香がめっちゃ悲しそうにしてたのはよく覚えている。

因みに幽香は結構前から紫と面識があったらしい。

だから幻想郷の事も知っていた。

そして俺が今何処に向かっているかと言うと都だ。

風の噂で聞いたのだがなんでも都にはめっちゃ上手い団子があるらしい。

後ついでに絶世の美女とか言う人がいるらしい。

俺は噂の真相を確かめるべく都に行くのだ。

 

「お?見えてきたな」

 

都の中は人々が賑わっていて騒がしい。

 

「さぁて、団子屋は何処だ?」

 

俺はそばにいた人に尋ねてみた。

 

「すみません、ここらで美味しい団子屋は何処ですか?」

 

「ん?それならそこの角を右に行った所がオススメだよ」

 

「ありがとうございました」

 

さて、行くか。

俺は言われた通りに角を右に進んで団子屋を探す。

そして発見!

フフ、舌が唸るぜ!

 

「おじさん、みたらし団子三本とお茶頂戴」

 

「あいよ」

 

それではご賞味しますかね。

 

パクっ

 

ッ!

 

「フォルテッシモ!」

 

新しいご馳走の発見は!

星の発見にも等しいものだ!

みたらしのこの甘さ!

団子の質!

 

究極の甘味(アルティミット・スウィーツ)みたらし団子の誕生だァ!

 

……ふぅ、満足出来たぜ。

おじさんにここの事を聞いてみよう。

 

「おじさん、此処で有名な事って何かない?」

 

「ん?そうだねぇ、貴族の間じゃ絶世の美女の話題で持ちきりだよ」

 

「絶世の美女ねぇ……」

 

「何でも“なよ竹のかぐや姫”って言うらしい」

 

「なるほど、これお勘定ね」

 

「毎度ありぃ」

 

かぐや姫ねぇ……。

ちょっと見に行って見るか。

……あの人に聞いてみるか。

 

「あの、すみませんちょっとお聞きしたいのですが」

 

「ん?私にか?」

 

「はい、かぐや姫に会いたいのですが」

 

「おぉ、お主もかぐや姫に会いに行くのか!」

 

「え?」

 

「私も今から行く所なのだよ」

 

「あ、そうだったんですか」

 

と言う訳で俺は目の前の貴族の人について行く事にした。

この貴族、名を藤原不比等と言うようだ。

 

すると立派な屋敷に辿り着いた。

門の前には貴族と思われる人がたくさん。

……むさ苦しい。

すると

 

「何だあの貧乏臭を漂わせる奴は」

 

「あのような庶民がかぐや姫に会おうなど何と無礼な……」

 

「場違いだと言う事に気付いて無いのか」

 

……ムカついた、普通にムカついた。

俺は立場が高いからと言って人を見下す奴は大嫌いだ。

イライラする……押さえろ俺。

 

「フン、あんな貧乏人とかぐや姫が釣り合う訳なかろうに」

 

「金や権力で人の価値は計れないし、少なくともあんた達よりは人が出来てるつもりだ」

 

……と、独り言を言ってみたり。

 

「何じゃとー!?」

 

「おい庶民!今何と言った!?」

 

「自分の立場が分からんのか愚か者がッ!」

 

「い、嫌だなぁ僕は何も言ってませんよ。貴方達のような貴族様に無礼な事など」

 

「分かれば良いのじゃ」

 

何とかなった……。

何て茶番を繰り広げていると、

 

「次の方々どうぞ」

 

と言われたので屋敷の中に入る。

そのままある部屋に案内された。

部屋に入ると、黒く長い髪に黒い瞳、整った顔立ちに上品な着物に身を包んだ少女の姿が。

 

「どうぞお座り下さい」

 

俺は近くの座布団に腰を下ろす。

まぁ絶世の美女と言うだけはあるな。

 

「おお、何と美しい」

 

「かぐや姫、どうぞ私と結婚を」

 

貴族達の口説きタイムだ。

貴族達の口からどんどん言葉が紡がれる。

これが本当のマシンガントークってか。

そんな事を思っていると、

 

「皆さんの気持ちは分かりました、今から貴方達に難題を出します。見事難題をクリアすれば私はその人とご結婚致します」

 

「「うおぉぉぉぉ!」」

 

貴族が雄叫びを上げる。

五月蝿い。

 

「多治比嶋殿は仏の御石の鉢を持ってきて下さい」

 

「分かりました」

 

「阿部御主人殿は火鼠の皮衣を持ってきて下さい」

 

「分かりました」

 

「大伴御行殿は龍の頸の五色の玉を持ってきて下さい」

 

「分かりました」

 

「右上麻呂殿は燕の子安貝を持ってきて下さい」

 

「分かりました」

 

「藤原不比等殿は蓬莱の玉の枝を持ってきて下さい」

 

「分かりました」

 

「そこのお方は風見幽香の花畑から花を五本持ってきて下さい」

 

「え?何で?」

 

「「!?」」

 

え?何?何か貴族達とかぐや姫が驚いてるけど……

俺何か変な事言った?

 

「貴方は私に求婚しに来たのではないのですか?」

 

「いや別に、ちょっと見てみたかっただけ」

 

「貴様!かぐや姫に何と言う無礼な口を!」

 

「構いませんよ、私は」

 

かぐや姫はコホンと咳払いをして、

 

「貴方の名は?」

 

「雨宮琥珀だ」

 

「ッ!?……では琥珀殿、貴方にも難題を受けてもらいます」

 

「え? 何で?」

 

「クリアしたらお教えしましょう」

 

何故か俺も巻き込まれた。

でも幽香の花畑の花ねぇ。

まさか旅に出てまた会うことになるとは……。

俺はそんな事を思いながら屋敷を後にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

私の名は蓬莱山輝夜(ほうらいさんかぐや)

人からはかぐや姫と呼ばれている。

今日も私に求婚しに来る貴族がたくさんいる。

まったく、私はあんた達と結婚する気はないっつーの!

私が心の中で愚痴っていると、貴族達が入ってきた。

あれ? 一人だけ何か雰囲気が違うわね……。

顔も整ってるし……案外良いのでは……?

……いやいやいや、何考えてんのよ私!?

毎日変な人から求婚されておかしくなってしまったかしら……。

貴族達は飽きる事なく私を誉めたり自分の偉さを主張してくる。

鬱陶しい事この上ない。

でもあの人は唯じっと座ってるだけ……。

やはりあの人は何かが違う。

貴族達が一通り喋り終わると私は彼等に難題を出すことにした。

 

“仏の御石の鉢”

 

“火鼠の皮衣”

 

“龍の頸の五色の玉”

 

“燕の子安貝”

 

“蓬莱の玉の枝”

 

“風見幽香の花畑の花”

 

「え? 何で?」

 

思わず驚いてしまった。

私に軽口を叩いたのは彼くらいよ……。

しかも彼は私を見てみたかっただけと言う。

ますます興味深い。

私は彼に名を聞いてみる。

 

「雨宮琥珀だ」

 

それを聞いて、私は耳を疑った。

雨宮琥珀。……それは遠い昔に私達が地上から月に行く際、ロケットを迫り来る妖怪共から守ったと言われる英雄の名前と同じだったからだ。

私の教師である八意永琳から話を聞いて存在を知った。

彼の事を話す永琳はとても楽しそうだった。

いつからか私の彼に対する“興味”は“憧れ”に変わっていた。

会うことは叶わなくても会いたいと思った。

そんな私の憧れの人の名を彼は言った。

地上の人が知るはずのない名を彼は言った。

これは確かめねば……。

思考が追い付かないが、分かる事はある。

“もし彼が英雄、雨宮琥珀”ならこの難題をクリア出来るはず。

誰もいない部屋で、私は一人笑みをこぼした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




はいお疲れ様です
竹取物語開始です
それでは次回ものんびりしていってね


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第18話 かぐや姫と月の英雄

はい、どうものんびり+です
お気に入り登録10件突破&UA1000突破!
うp主は発狂してました。記念企画はこの章のキャラ紹介の時にやる予定です
こんな茶番をやってほしい等要望ありましたら気軽にお願いします
それでは今回ものんびりしていってね


はい、どうも琥珀だ。

俺は今かぐや姫から難題を出されている。

まぁ、一日もかからないお使いみたいなもんだけど。

難題を言い渡されたのが昨日だ。

ま、サクッと終わらせよう……。

で、俺が今何処に向かっているかと言うと

 

「おじさん、みたらし団子三本とお茶をくれ」

 

「お?昨日の兄ちゃんかい?あいよ!」

 

パクッ。

 

「やっぱこれだねぇ♪みたらし団子!」

 

旨い……旨いよ!

俺がみたらし団子の余韻に浸っていると、

 

「ワン!ワンワンワン!!」

 

「ハア、ハア、来るな!私のそばに近よるなぁぁぁぁぁ!」

 

野良犬と必死においかけっこする少女を発見した。

 

「やれやれだぜ……」

 

このまま見て見ぬふりするのは俺のプライドが許さん。

 

「おい嬢ちゃん、ちょっとこっちにおいで」

 

「ハア、ハア、分かった!」

 

少女を俺の後ろに行かせる。

犬が追いかけて来るが、

 

「へいワンちゃん、おいかけっこはお仕舞いだぜ?」

 

俺は犬に少しだけ威圧感を出す。

 

「……!キャイン!キャイン!」

 

犬は文字通り尻尾を巻いて逃げて行った。

 

「もう大丈夫だぜ、嬢ちゃん」

 

「あ、ありがとう!」

 

「怪我はないか?」

 

「うん!大丈夫!」ぐぅぅぅ

 

少女のお腹から唸り声がする。

少女の顔は耳まで真っ赤だ。

俺が出来る事は……。

俺は少女の肩にそっと手を置いて、

 

「団子、奢るぜ?」

 

と言う訳で俺と少女の二人でスウィーツタイムだ。

 

「びゃあ゛ぁぁうまいぃぃ」

 

「お兄さんて変人?」

 

グサッ。

琥珀は千のダメージ(心理)を受けた。

 

「……俺は変人じゃあないぜ!」

 

「ふーん、ま良いや、助けてもらったし団子奢ってもらったし、ありがとう!」

 

パァァ。

琥珀のHP(心理) は五千回復した。

 

「なぁに、大した事ないさ」

 

「そうかな……私は藤原妹紅(ふじわらのもこう)!お兄さんは?」

 

「俺は雨宮琥珀だ、よろしくな妹紅」

 

「よろしくね琥珀!」

 

藤原妹紅、俺の隣にいる黒髪の少女はそう名乗った。

 

 

~少年少女一服中~

 

 

「ふぅーじゃあそろそろ行こっかな」

 

「……ねぇ琥珀」

 

「ん?何だ?」

 

「その……私と……友達になってくれる?」

 

妹紅は顔を伏せてモジモジとした様子で言う。

俺はそんな妹紅が可愛らしく、笑みを溢す。

 

「フフ、あぁ良いぞ、俺と妹紅は友達だ」

 

「ッ!……うん!またね琥珀!」

 

「ああ、またな妹紅」

 

こうして俺は妹紅と別れた。

 

「さぁて、腹ごしらえは済んだし……お次はお使いと行きますか」

 

俺は人目につかない場所まで行って空を飛んだ。

此処から幽香の花畑まで約六十㎞……

さっさと終わらすか……

 

 

~少年移動中~

 

 

「到着っと」

 

俺の目の前には相変わらず綺麗な花畑が。

 

「あら琥珀、いらっしゃい」

 

「よぉ幽香、最近ぶり」

 

「立ち話もなんだから家に上がって来なさいよ」

 

「悪いな、お邪魔しますっと」

 

 

俺は幽香に訳を話した……ら、何故か幽香が不機嫌になった。

 

 

「あの、幽香……さん?」

 

「何よ」

 

俺から顔を反らし、声のトーンを低くして喋る幽香。

 

「あの……何で怒ってるの?」

 

「別に、琥珀はそのかぐや姫とか言う奴と結婚するんでしょ?お幸せに」

 

「いや、別に俺は結婚しないぞ?採ってこいって言われただけで」

 

「え?」

 

バッとこちらに振り返り、目を見開いてフリーズする幽香。

 

「おーい、幽香さーん?」

 

暫くすると幽香は、急に口角を吊り上げ、さっきとは一変し上機嫌な声色で言った。

 

「な~んだ、それならそうと早く言いなさいよ♪」

 

……何だろう、今の幽香を可愛いと感じたのは俺だけか?

 

「それで向日葵を五本貰いたいんだけど」

 

「分かったわ、ちょっと待ってて頂戴」

 

そう言って幽香は外に出ていった。

しばらくして幽香は五本の向日葵を手にして帰って来た。

 

「はい、どうぞ」

 

「ありがとうな、幽香」

 

「良いのよ、琥珀だからね」

 

「ん?何か言ったか?」

 

「いいえ、何も」

 

……何でこんな上機嫌なんだろう。気になるが、今はさっさと向日葵を届けよう。

 

「兎に角、ありがとうな幽香」

 

「えぇ、また来てね」

 

「ああ、またな」

 

そして俺は幽香の所を後にした。

 

 

~少年移動中~

 

 

さて、後はこれをかぐや姫に届ければお仕舞いだ。

俺はかぐや姫に会うため屋敷へ向かった。

 

「さぁて、かぐや姫の部屋は……」

 

俺が昨日行った部屋の前まで行くと複数の気配を感じる。

……かぐや姫の他に誰かいるな……。

俺は気配を消して様子を探る事にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――私は例の“彼”について考えていた。

彼と言うのは“雨宮琥珀”の事だ。

彼は本当にあの月の英雄なのか……。

この名は月人でもない限り知らない筈の名前。

彼は一体何物なのか……。

彼が帰って来るのが楽しみだ。

私がそんな事を思ってると襖が開いて翁が入ってきた。

翁は幼かった私を拾って育ててくれた人だ。

 

「輝夜、帝様がお見えになったぞ」

 

「分かりました」

 

帝、この都のお偉いさんにそんなの居たっけな……。

すると部屋には部下を何人か引き連れて帝が入ってきた。

見た目は、すぐに裕福な暮らしをしていると分かる感じだ。

 

「お初にお目にかかるぞ、かぐや姫」

 

「こんにちは、帝様」

 

あぁ、面倒くさい、早く帰りなさいよね、まったく……。

 

「早速だがかぐや姫、今回私が此処に来たのは他でもない、私と結婚してはもらえぬか?」

 

「残念ですが貴方のご期待に答える事は出来ません」

 

「フム……何故じゃ?」

 

「私は貴方の事を何も知りませんし、今初めて会ったばかりじゃないですか……」

 

普通に考えてわかりなさいよ!

て言うか初対面の人に良く結婚してくれ何て言えるわね。

精神が図太い通り越して無神経だわ!

 

「それだけか?良いじゃないか別に」

 

は?

何言ってるの?

この人気は確かなの?

 

「私はそなたに惚れた、だから結婚して欲しいのだ」

 

「いえ、しかし……」

 

開き直って来たよこのおっさん。

自己中ね、自分第一って感じがするわ。

私はそういうタイプは大嫌いよ。

 

「よし、言い方を変えよう、私のものになれかぐや姫よ」

 

「……お断りさせて頂きます」

 

無い……。

こいつだけはマジで無い。

 

 

「そうか……なら無理にでもなってもらおうか!」

 

「なっ!?」

 

帝が言った瞬間

待機していた部下が私を取り押さえ、口にハンカチを当てられた。

 

「~~~っ!~~っ!」

(この感じ、薬か!)

 

「クックック、その薬は惚れ薬のようなものだ!すぐにお前は私のものになる!」

 

「!?~~~~っ!~~~~~っ!」

(嫌だ!それだけは嫌だ!誰か助けて!)

 

「クック、無駄だ、助け等来ないわ!あのジジイには眠ってもらった」

 

「~~!~~!」

(こんな奴等に遅れをとるなんて、平和ボケし過ぎたかな…)

 

嫌よ!こんな奴に……こんな奴に!

視界がじんわりとぼやける。

私の目からは涙が流れていた。

 

「クックック、そろそろか?」

 

帝が近付いて来る。

逃げたいのに逃げられない。

これから私はなにをされるのだろう。

考えるだけで気分は最悪だ。

私の動悸はどんどん早くなり、体が火照ってきた。

薬の効果かしら……。

どんどん頭が真っ白になっていく。

考える事が出来ない。

帝の手が私に迫る。

 

後数メートル

 

……嫌!

 

後数センチ

 

……嫌!!

 

後数ミリ

 

……嫌だ!!!

 

私が目を閉じた瞬間

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「そっから先はさせねぇぞ?」

 

「な!?貴様いつの間に――」

 

「テメー少しやり過ぎだ、この馬鹿野郎!」

 

「ふげぇぇっ!」

 

ドスンと重い音が響く。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――――え?

私が目を開けるとそこには、黄色い綺麗な花を五本持って黒い着物に身を包んだ青年の姿があった。

 

「帝様!?貴様――」

 

「五月蝿い」

 

「グハッ」バタンッ

 

「なっ!?貴様――」

 

「だから五月蝿い」

 

「フゲッ」ドタンッ

 

「うぅ……貴様!この帝にこんな事をして許されると思っているのか!?」

 

「は?」

 

「私は欲しいものは全部手にして来たのだ!それをお前のような庶民(クズ)が!この帝を殴ったな!?この帝の邪魔をしたな!?万死に値するぞ!」

 

「――おい」

 

「貴様!口の聞き方に気を――ひっ」

 

琥珀の出す殺気は、私に向けられている訳でも無いのに、まるで体中を針で刺されるように肌に伝わり、薄着で冬の外に出るように冷たかった。

 

「テメぇな、何でも自分の思い通りに行くと思ったら大間違いだぞ?

それと一つ教えといてやる……俺がお前にしたことは、テメーがかぐや姫にしたことと比べればな、プランクトンより小さいぜ?」

 

「何ぃ!?く、お前らこの男を――」

 

「テメーの部下は全員寝てるぜ?」

 

「何ぃ!?……良し貴様!金をやろう!だからこの場をされ!」

 

「ハア?……救えないぜ?おっさん?

 

……最後に一言、二度とかぐや姫の前に姿を表すな」

 

「こんな事……こんな庶民(クズ)に!この帝がぁぁ!!」

 

「……もうお前喋んな」

 

「ブベッ!」

 

バキィィィィィ!!!

 

帝は襖を壊して庭まで吹っ飛んで行った。

 

まあ、ちっとも可哀想とは思わんが。

 

「これに懲りてもうちょっとましな人間に成って欲しいものだ……」

 

「ハア、ハア、琥珀……」

 

「大丈夫か?かぐや姫――!?」

 

私は考えるより先に琥珀に抱きついていた。

とてつもない“恐怖”から解放されて“安堵”した。

気が付くと涙が溢れていた。

私は泣いてしまった。

琥珀は私が泣き止むまで頭を撫でてくれた。

琥珀の手はとても温かくて、安心出来た。

 

「改めてお礼をするわ、本当にありがとう!貴方が来なかったら私は……」

 

考えるだけで鳥肌が……。

 

「ああいう何でも自分の思い通りにするって輩の執着は凄いからな……

まったく……困ったもんだ」

 

琥珀はさっきの琥珀とは打って変わってとても温かかった。

 

「ねぇ琥珀、ちょっとこっち来て」

 

「ん?何だ?」

 

「あっち向いて」

 

「だからどうした?」

 

私は琥珀の頬にキスをした。

 

「……へ?」

 

「フフ、お礼よ」

 

「お前なぁ……」

 

「フフ、それより琥珀、貴方が持ってる花」

 

「あ、ああ、ほれ、幽香からもらって来た」

 

琥珀はそっぽを向いて花を差し出した

 

「あれれ~琥珀照れてる?」

 

「別に」

 

ふむふむ、琥珀は照れやすいっと……。

私は密かに心にメモしとく。

 

琥珀から話を聞くと、何と風見幽香とは友人だと言う。

私はそれとなく月について聞いてみた。

 

「ね、ねぇ琥珀」

 

「ん?」

 

「月に人っていると思う?」

 

「月?……あぁ、懐かしいな……元気かな永琳」

 

「!」

 

私は確かに聞いた。

永琳……私の教師の名だ。

と言う事は……。

 

「貴方は本当に月の英雄、雨宮琥珀!」

 

「え?何それ初耳なんですけど……」

 

「そんな事だろうと思ったわ……あ、そうだ……永琳の話聞きたい?」

 

「あぁ頼むぜ」

 

「そうねぇ…あ!こんな事があったのよ、――――」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――月の英雄、雨宮琥珀。

私は彼に“興味”を抱き、いつしか“憧れ”へと変わった。

 

私は蓬莱の薬と言う、飲めば不老不死になれる薬を永琳に頼んで作らせ服用した、

そして私は咎人として地上に追放された。

 

地上での生活は慣れれば暇なものだった。

それでも私は彼の名を忘れた事はなかった。

するとある日、英雄の名を名乗る青年と出会った。

私は彼が本物かどうか気になった。

不思議と偽者だとは疑わなかった。

それから私は彼の事を考えるようになった。

 

そして今日、私は生まれて初めて恋をした。

……いや、“した”と言うより気が付くと“してた”。

言葉で表すのは難しいが、私を助けてくれた彼の強さに、暖かさに、優しさに惹かれたのだと思う。

 

恋という感情は初めてだったがすぐに分かった。

この“暖かさ”が恋なのだろう。

私の英雄への“思い”は“想い”へ変わった。

 

 

 

 

 

 

 

フフ、これからよろしくね?

 

 

――蓬莱山輝夜()が惚れた雨宮琥珀(英雄さん)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




はい、お疲れ様でした
最近ゆうかりんに輝夜とどんどん落としていきますね
恋愛多めになってきました…これで良いのか?
うp主はリア充では無いので、ハーレムとか恋とか疎いです
そんなうp主ですが、温かく見守って上げて下さい
アドバイス、ご要望あれば気軽にどうぞ
それでは次回も、のんびりしていってね


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第19話 妹紅の苦悩と月の使者

はい、どうものんびり+です
今日はプールに行って来たんですよ
そしたら日焼けが…
ゴホン、それでは今回も
のんびりしていってね


どうも、琥珀だ

俺は今輝夜と雑談中だ。

これが最近の日課になっている。

俺が輝夜に聞いて分かった事は、俺は月では英雄らしい。

輝夜は月人だが、蓬莱の薬という薬を飲んで穢れをもたらしたため、罪として地上に追放されたって感じだ。

俺は旅の出来事を話しているだけだが

俺と輝夜が雑談していると人の気配が近付いて来る。

俺は気配を消して隠れた。

 

ガラッ

 

「かぐや姫!」

 

襖を開けて入ってきたのは確か……多治比嶋とか言う貴族だ。

 

「仏の御石の鉢を持って来ましたぞ!」

 

どうやら難題の品を持って来たらしい。

あれが本物ならあいつは輝夜と結婚出来る。<

……本物ならな。

 

「駄目ですね、これは偽物です、本物はもっと光り輝いている筈です」

 

「!」

 

はい、撃沈。

どんまい。

これで後四人になったな。

 

 

~数週間経過~

 

 

あれから、俺と輝夜が雑談していると偶に貴族が来るようになった。

ある者は

 

「かぐや姫!火鼠の皮衣です」

 

「着火」

 

あっさり燃えた。

 

不合格。

 

またある者は

何でも海に龍の頚の五色の玉を探しに行き、途中で大嵐に見舞われて捜索を断念したらしい。勿論、不合格。

 

さらにある者は

燕の子安貝を探す途中で足を滑らせ5m程の木から落下。

腰を打ってしまい断念。

腰はまだ治らないらしい。

 

という事で残るは藤原不比等のみ。

 

そしていつも通り輝夜と話をしていると。

 

「お、来たな」

 

「どうせまた偽物よ」

 

「もしかすると……かもよ?」

 

「変な事言わないでよ!」

 

俺は気配を消して隠れた。

暫くすると襖が勢い良く開かれた。

 

「かぐや姫!難題の品をお持ちしましたぞ!」

 

不比等の手には、蓬莱の玉の枝が。

その見た目はまさに、俺が輝夜から聞いたまんまだ。

根は白銀、茎は黄金、実は白玉(真珠)。

 

「こ、これは……」

 

輝夜も言葉を失っている。

……あれ?マジで?

 

「さあかぐや姫!私と結婚して下さい」

 

不比等の顔を見ると『勝った…計画通り』と言いそうなドヤ顔をしていた。

輝夜の顔は青ざめ、汗が激流の如く流れている。

そしてチラチラとこっちを見てくる、まるで

『どうしよう!琥珀!』と言ってるようだ。

いや、どうも出来ないんですけど……。

すると複数の気配がこちらに近付いて来る。

 

「不比等様!私達はお代を頂いていません」

 

まるで“自分職人やってます”という格好をした人が六人、部屋に入ってきた。

 

「お主等は……」

 

「なるほど、不比等殿、貴方はこの人達に偽物を造らせたのですね?」

 

「ぐぅ!」

 

すると不比等は走って屋敷の外へと逃げて行ってしまった。

 

「あぁ!お代!」

 

「貴方達、私からの些細なお礼です、助かりました」

 

輝夜は中々の大金を職人達にあげた。

 

「おぉ、ありがとうございます」

 

職人達はお礼を言って去って行った。

 

「お疲れだな?」

 

「本当よ……ヒヤヒヤしたわぁ」

 

「あっはは、お前めっちゃ焦ってたなw」

 

「だって本物かと思ったんだもん!」

 

こうして、五人の貴族の挑戦は終わった

さて、そろそろ帰りるか……。

 

「じゃあな輝夜」

 

「えぇ、またね琥珀」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

私は今団子屋に向かっている。

というのも、私の友達に会う為だ。

その友達と言うのが琥珀だ。

私と琥珀は数週間前に知り合った。

私が犬に追われている所を助けてもらったのが始まりだ。

その日から、私と琥珀は団子屋で会うようになった。

この時の私はとても幸せだった。

私は友達と呼べる人が居なかった。

私は父上、藤原不比等の隠し子だ。

だから私の存在はあまり知られていない。

同じ貴族の子達からは“異端者”と呼ばれていた。

そんな私に出来た初めての友達。

それが琥珀だ。

琥珀はとても面白いし優しい。

私は琥珀に会うのが楽しみだった。

 

だが、最近は団子屋に行っても琥珀が居ない事が多くなった。

前は行けばほぼ確実に会えたのに、今では偶に会えるくらい。

そして琥珀が居ない時はある人の所に行ってるからだ……。

そいつの名は輝夜。

前に琥珀が話してくれた。

何処かで聞いたと思ったら、父上が求婚しに行った相手もかぐや姫……輝夜だ。

その時から、私は輝夜に不満を持つようになった。

私から琥珀を、父上を奪っていった輝夜に……。

 

そしてある日、琥珀と団子屋で別れた後、

私はこっそり琥珀を尾行してみる事にした。

暫くついてくと、琥珀は屋敷の中に入っていった。

私もバレないように屋敷の中に入り、

近くにあった茂みに身を隠した。

 

すると部屋に一人の男が入っていった。

父上!

少し驚いたが、暫く様子を見る事にした。

父上が凄い嬉しそうにしている。

求婚が成功したのだろうか……。

私が考えているとそこに六人の男達がやって来た。

すると父上は悔しそうな顔をして部屋を走り去って行った。

父上、失敗しちゃったのかな……。

私はこっそりと屋敷を後にした。

 

私は家に帰る途中、見てしまった

父上がさっきの六人の男達を殴ったり蹴ったりして、お金を奪うのを。

嘘だ……父上はこんな事しない!

私は何だかそこに居てはいけない気がして

無我夢中で走った。

家が遠回りになるように。

 

私は家の前まで来ていた。

家に入ろうとするとさっきの父上の姿がフラッシュバックする。

私は首を横にブンブンと振って扉を開けた。

きっとさっきのは悪い夢で、家にはいつもの優しい父上がいる。

そう思って家に入った。

 

「ただいま」

 

バチンッ!

 

瞬間、私の頬に衝撃が走る。

私は殴られたのだ………父上に。

 

「この馬鹿が!もう夕方じゃないか!どこほっつき歩いてんだ!」

 

「父上……?」

 

「ええい、五月蝿い!」

 

バキッドゴッ!

父上の拳が私の顔やら腕やらに強く当たる。

 

 

「痛い!止めてよ父上!」

 

「俺に口答えするな!」

 

バキッドゴッ!

父上の拳はさらに激しさを増した。

 

父上が座っていた所を見ると

酒の大瓶が3本程転がっていた。

父上はお酒なんて普段飲まないのに。

 

それから私は暫く父上に殴られたり蹴られたりした。

 

 

~数日後~

 

 

その日から父上は変わってしまった。

毎日酒を飲んでは私に暴言、暴行をするようになった。

以前の優しい父上はもう、そこには居なかった。

 

そして逃げるように団子屋へ向かった。

すると琥珀がいた。

私は嬉しくて堪らなかった。

しかし、団子を食べ終わると琥珀は言った。

 

「悪い妹紅、暫く会えそうに無い」

 

私が訳を聞くとどうにも輝夜絡みのようだ。

 

 

……輝夜。

 

 

――アイツのせいだ。

 

アイツが私の幸せを奪った。

 

アイツが私の日常を壊した。

 

アイツが父上をおかしくした。

 

アイツが琥珀を奪っていく。

 

アイツが……アイツが!

 

全部アイツが悪いんだ!!

 

この日から私は

輝夜を憎むようになった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

俺はいつも通りに輝夜に会いに行った。

すると輝夜が話があると言い出した。

 

「で、話って何だ?」

 

「琥珀、貴方に頼みがあるのよ……」

 

「頼み?」

 

「ええ、実はね……次の満月の日に月から私を迎えに人が来るわ」

 

「……成る程、そいつ等からお前を守れって事か?」

 

「ええ、頼めるかしら?」

 

「……一つ気になるな、お前の話だとお前は罪を犯したから追放されたんだろ?何故わざわざお前を連れ戻すんだ?」

 

「……恐らくこの事は月の科学者達の独断よ、私は死なない……つまり彼奴等(科学者)にとって私は最高の実験体(モルモット)よ」

 

「……ok任せろ、俺が責任を持ってお前を守る。絶対にだ」

 

「……そ、そう、ありがとう」カァァ

 

「……?まぁ次の満月まで1週間ちょっとある、大丈夫だろ」

 

「そうね、でも月を舐めない方が良いわよ?」

 

「分かってるって、これでも元隊長さんだぜ?」

 

「そう言えばそうね」

 

さて、そう言う事なら準備を整え無くちゃな

っと、その前に行く所があったな。

 

 

俺が団子屋へ行くと

 

「琥珀!」

 

妹紅がいた。

……にしても、さっきまで凄い暗い感じだったが大丈夫か?

 

「よぉ妹紅、待たせたな」

 

俺と妹紅は雑談をしながら団子を食べた。

さて、此処で言わなくちゃな……。

 

「妹紅、あのな」

 

「?」

 

「すまないが暫く会えそうに無いんだ」

 

「え?」

 

すると妹紅は目に見えるように落ち込んでしまった。

 

「……何で?」

 

「うーん、輝夜を守る為さ」

 

「そう……」

 

めっちゃ落ち込んでる。

罪悪感に押し潰されそう……。

ごめんな、妹紅。

俺は妹紅と別れて、早速準備に取り掛かる。

 

「さてと、始めるか」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




はい、お疲れ様でした
アドバイス、ご意見ご要望あれば気軽にどうぞ
それでは次回も、のんびりしていってね


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第20話 輝夜護衛大作戦

はい、どうものんびり+です
今回は月の迎えが来る所ですね
それでは今回も、のんびりしていってね


どうも、琥珀だ

俺は今輝夜の屋敷に居る。

そして今日の夜は満月。

つまり月からの迎えが来る日だ。

後もう少しで日が沈む。

 

「さぁて、もうすぐだな」

 

「そうね……」

 

「よし、最終確認といこうか」

 

先ず、迎えに来る奴等の中には永琳がいるらしい。

永琳の事だから間違いなく輝夜側につく筈だ。

 

そして輝夜にはちゃんと逃走経路を用意してある。

この都を抜けた所には、人々から“迷いの竹林”と呼ばれる所がある。

俺は其処にいたある兎妖怪と取引をして、

俺が用意した隠れ家までの案内を頼んである。

 

そして俺の役目は月人の足止めだ。

 

っと、夜になったな……。

 

「そろそろ来るな……」

 

「えぇ」

 

「手筈通り頼むぜ?」

 

「分かってるわ、貴方も気を付けてね?」

 

「あぁ、気を付けるよ……来たぜ」

 

空から円盤型のUFOのような物体が降りて来た。

物体はフヨフヨと着陸する。

すると物体の中から人が何人か出て来た。

俺は彼奴等の死角に気配を消して隠れている。

すると懐かしい声が聞こえてくる。

 

「さぁ輝夜、帰るわよ」

 

「永琳には悪いけど、私は帰らないわ」

 

「輝夜……」

 

「お願いよ永琳、分かって頂戴!」

 

「……分かったわ、貴女がその気なら……協力してあげるわ」

 

「ありがとう!永琳!じゃあ“行くわよ!”」

 

輝夜から作戦開始の合図が出た

よし、行くぜ!

 

「八意永琳!貴様裏切る気か!?」

 

「裏切る……?何を勘違いしているの?私は最初(はな)から輝夜の味方よ!」

 

「チィ、構わん!武力行使を許可する!無理にでも連れて行く!」

 

「永琳こっちよ!」

 

「!分かったわ」

 

「逃がさん!」

 

「いいや、意地でも逃がすさ」

 

「「!」」

 

輝夜は計画通りに永琳と竹林に向かったな……。

よし、問題ない。

 

「さてと、お前達!さっさと月に帰れ!」

 

「悪いが茶番に付き合ってる時間はない、やれ」

 

すると月人達が腰から変わった銃を構えて撃ってきた。

レーザー銃か?

俺は高速で一度空に跳び、すぐに元の位置に戻った。

あまりの速度で残像が見える程だ。

奴等にはレーザーが俺をすり抜けたように見えた筈だ。

 

「「!」」

 

「馬鹿な!?一体何が!?」

 

「さて、後二回チャンスをやろう、月に帰りな」

 

「チィ、狼狽(うろた)えるな!銃が駄目なら刀だ!」

 

今度は刀を抜いて斬り掛かってくる

 

「やれやれだぜ……」

 

俺は向かってくる刀身を避けて刀身に手刀をいれる。

すると刀は砕け散って使い物にならなくなった。

 

「な!?」

 

「さあ最終警告だぜ、月に帰れ」

 

「くっ……!……フフフ、月の科学力は世界一ィィィ!!」

 

すると男はカプセルのような物を地面に投げた。

すると煙が発生して男の周りに充満する。

煙が晴れるとそこには、ガトリングガンを装備した男の姿が。

 

「フハハハ!死ねいィィィ!」

 

すると1秒間に数百という弾丸が俺に向かってくる。

 

「仏の顔も三度までだ……。

 

無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄ァ!!」

 

俺は向かってくる弾丸を手で弾き飛ばす。

暫くすると弾切れのようだ、弾丸の嵐は収まった。

 

「……!クソ、化物め!」

 

「俺は人間だっつーの!さて、ではお前達には退場してもらおうか」

 

俺はこの場にいる月人全員に手刀をいれる。

月人は気を失った。

俺は月人達を奴等が乗ってきた物に入れる。

【月人達が今月に居る】嘘を【本当】にする。

すると目の前の乗り物と共に月人は消えた。

よし、ミッションコンプリート!

 

俺は輝夜と合流するために竹林へと向かった。

 

 

~少年移動中~

 

 

到着!

……?屋敷に細工されてる、輝夜かな?

まぁいい、皆は中か。

 

「おーい、俺だー」

 

すると中から永琳が出てきて――バチンッ!

 

ビンタされた。

 

「貴方……私が、どれ程心配したか……分かってるの……?」

 

永琳の目からは涙が流れていた。

女を泣かすなんて……俺は酷い奴だな。

 

「私との、約束も破って……!」

 

「……すまない」

 

「連絡くらいしてくれれば良いのに……!」

 

「……すまない」

 

「この馬鹿!」

 

永琳は俺の胸にそっと寄り添って来た。

 

「本当に悪かった、今まで心配かけたな」

 

俺は謝って永琳の頭を撫でる事しか出来なかった。

 

 

暫くすると永琳も落ち着いたようだ。

 

「ごめんなさい取り乱して……私らしくなかったわね」

 

「いや、普段は見れない永琳を見れたぜ!」

 

「本当に相変わらずね、琥珀」

 

「それが俺だ」

 

永琳と談笑していると

 

「コホン、お邪魔して悪いけどそろそろ皆で話をしましょう?」

 

輝夜がやって来て言った。

 

「それもそうね」

 

「わかったぜ」

 

俺は部屋に向かった。

 

部屋に着くと、一人の少女が座敷の上で寝転がっていた。

 

「あ、そうだ、てゐありがとうな」

 

「別に良いよ、約束さえ守ってくれたらね」

 

その少女の名は因幡てゐ(いなばてい)

俺が迷いの竹林に行った時に出会った兎妖怪だ。

話を聞くと彼女は迷いの竹林を全て把握していると言う。

俺は彼女に隠れ家の設置と案内役を頼んだ。

すると彼女は「連れの兎達に知恵を授けて欲しい」と言う。

永琳が来れば容易いと思い、俺はてゐと約束をした。

 

そして今に至る。

 

「という訳で永琳!頼むぜ!」

 

「何が“という訳で”よ……まぁ良いわよ、それくらい」

 

「ありがとう!」

 

さっすが永琳だぜ!頼りになる!

 

「そう言えば輝夜、この屋敷に細工したか?」

 

「えぇしたわよ、私の能力を使ったわ」

 

「輝夜の能力?」

 

「えぇ、「永遠と須臾を操る程度の能力」よ」

 

成る程、つまり輝夜は永遠(限りなく永い時間)と須臾(限りなく短い時間)を操れる訳だ。

 

「その能力でこの屋敷に“永遠”を付属させたのか」

 

「何で分かるのよ……」

 

「勘だ」

 

「さて、それじゃ私は出掛けて来るわ」

 

「永琳、何処に行くんだ?」

 

「ちょっとした謝罪よ」

 

「そうか」

 

「行ってくるわ」

 

「行ってらっしゃい」

 

さて、暇だし何かやろうかな……。

 

「輝夜、ゲームしようぜ」

 

「えぇ、良いわよ」

 

俺は能力でTVとWiiUを出現させる。

ソフトは……マリ〇カートでいいや。

 

「「!?何これ!?」」

 

輝夜とてゐは目を輝かせて聞いてくる。

 

「フフ、何、そんな難しくは無いさ」

 

 

~少年少女ゲーム中~

 

 

あれから俺らは永琳が帰って来るまでの数時間ずっとゲームをしてた。

輝夜はどハマりしたようで夢中になってた。

俺は輝夜に色んなソフトとゲーム機をプレゼントしといた。

輝夜は嬉しそうだ。

めでたしめでたしっと。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

この琥珀の行為によって、輝夜はゲーム愛好家に……。

皆からは“引き籠もり”と呼ばれるようになるのは此処だけの話。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




裏話

永琳「この馬鹿!」

琥珀(すまない永琳…俺は駄目な奴だ…取り敢えず頭を撫でて見よう…!
これは…帽子のせいで撫でにくい!…後ろ側を撫でてよう)




はい、お疲れ様でした
次回で竹取物語完結ですね
それでは次回も
のんびりしていってね


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第21話 竹取物語その後

はい、どうものんびり+です
今回で完結です
それでは今回も、のんびりしていってね


 

‐月人が地上に来る少し前‐

 

私は、今輝夜の屋敷に居る。

バレないようにこっそり入って、今は輝夜達がいる隣の部屋にいる。

私は輝夜が憎い。

だから何とかアイツに復讐したい。

だから私は、アイツの情報を集める事にした。

私が琥珀と輝夜の話に聞き耳をたてていると

“月の都”

“蓬莱の薬”

“不老不死”

“月からの迎え”等

理解し難い言葉が聞こえてくる。

私は混乱したが、全て本当という事にした。

今の私には余裕が無いからだ。

今のキーワードと話から推測するに、

“輝夜は月人で、蓬莱の薬という不老不死の薬を飲んで、地上に追放されて、今日日が暮れたら月からの迎えが来る”という事だ。

私が情報整理をしていると、いつの間にか日が暮れていた。

もしも話が本当ならその“月人”と言うのがやってくる筈だ。

暫くすると、空から見たことも無い物体が降りて来た。

私は半信半疑だったが、それを見てしまった以上私の半疑は消え去った。

でも、その真実をそんな簡単に受け入れる事が出来ず、私は少しの間放心状態になる。

……!いけない、いけない。

私はこれから起きる事を見届けなければならない。

すると、物体の中から綺麗な女の人が出てきて輝夜と話しをしている。

暫く話しが続いて、輝夜が女性と一緒に走り出した。

同時に、琥珀がまるで最初からそこにいたかのように現れた。

すると、月人が手に変わった形の物を持って琥珀に向かって光線が放たれた。

危ない!

私は思わず叫びそうになるが、唯の杞憂だったようだ。

琥珀の身体を光線がすり抜けていった。

私は目を見開いて驚く。

一体何が起こったのか、検討もつかない。

次に月人達が刀を振りかざして琥珀に襲いかかるが、琥珀は流れるように刀を躱して刀身をへし折って行く。

無駄がない滑らかな動きに私は思わず見惚れてしまった。

それを見た月人達の隊長らしき人が謎の掛け声と共に何かを地面に投げつけ、煙で辺りが包まれる。そして出て来たのは、いかにもヤバそうな隊長らしき人の姿。

次の瞬間、凄まじい連射音と余多の金属の弾が琥珀へと向かう。

それを琥珀は、超高速の手捌きでもろともしない。

そして音が鳴り止むと同時に月人達は次々に倒れていった。

琥珀が月人達を物体へ乗せると、まるで月人達は此処に居なかったように消えていった。

それを確認した琥珀は、まるで何事も無かったかのように手を頭の後ろに組んで去って行く。

 

 

――圧巻。私の頭はもうオーバーヒート寸前だ。

私は今日一日で、とんでも無い事を見て、知った。

この事実を何とか受け入れるしかない。

私は何だか疲れてしまってその場に無気力に寝転がる。

 

「ハァ……」

 

私は大きく溜め息をつく。

部屋に入って来るそよ風が涼しくて、私の眠気を誘う。

だが、私の目的は輝夜への復讐だ。

私は気を引き締めて立ち上がる。

ふと外を見ると、さっき輝夜と話していた女性が屋敷へ入って来た。

私は反射で死角へと隠れる。

女性は隣の部屋に入っていった。

 

「……い………せん」

 

「…か……で……か」

 

良く聞こえないが、話をしているのは女性とお爺さん。

そして蓬莱の薬という言葉と女性の謝罪の言葉。

恐らく、女性は謝罪をしに来て、お詫びに蓬莱の薬をお爺さんにあげる

……という事だろう。

暫くすると女性は去っていった。

私も長居する訳にも行かない。

私は誰にも見つからないようにこっそり屋敷を後にした。

 

 

‐翌朝‐

 

 

私はまた屋敷に来ていた。

するとお爺さんが蓬莱の薬を誰かに渡していた。

するとその誰かは屋敷を去って、森へと歩いていった。

私はお爺さんが薬をあの人にあげた、又は捨てるように頼んだと仮定して

その人の後を追うことにした。

 

そして数時間。

男は近くの木に寄り掛かって昼寝をしていた。

…………今のうちに。

私はこっそり男に近付き、薬を奪うと、急いでその場を立ち去った。

そして少し離れた場所まで来ると、もう大丈夫だと安心して座り込む。

 

「ハァ、ハァ……この薬は、不老不死の薬……」

 

私は小さな栓を開けて、薬を口へと近付けていく。

そして私は、薬を一気に飲み干した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

俺は今“永遠亭”にいる。

この永遠亭とは、この隠れ家……屋敷の名前だ。

この屋敷は輝夜の能力で永遠になっている。

外部の干渉を受けずに形を保ち続ける。

だから永遠亭。

皆は気に入ってくれたようだ。

俺のネーミングセンスも捨てた物じゃないぜ。

さてと

 

「じゃ皆、また会おうぜ」

 

「ええ、何時でも来なさい、歓迎するわ」

 

「またゲームしましょうね!」

 

「またねー」

 

俺は皆から見送られて永遠亭を後にした。

さてと……また旅を始めるか。

俺は行く宛もなく、今日も旅に出る。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




はい、お疲れ様でした
今回は妹紅会でしたね
アドバイス、ご意見ご要望等ありましたら御願いします
それでは次回も、のんびりしていってね


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第4回キャラ紹介

はい、どうものんびり+です
何時も通りキャラ紹介の後に茶番ですが、お気に入り10件突破UA1000突破の記念
で茶番やります。
皆様、本当にありがとうございます!
これからも宜しくお願いします!
それではのんびりしていってね♪


名前・空覇(くうは)

 

種族・天狗

 

能力・空気を操る程度の能力

空気の速度を操り突風を巻き起こしたり、空気に含まれる酸素や水素等も操れる

また、空気には気分や雰囲気という意味もあり操る事が出来るらしい

 

見た目・裾が短い黒い着物に黒髪ロングストレート、黒目に黒い翼

身長は166㎝でtーーーー

 

性格・普段は真面目だが、親しい人や休憩中等は結構砕ける

ON・OFFの切り替えが激しい

 

好きな物・お茶と休息

 

嫌いな物・気を張り続ける事

 

 

二つ名・天魔様、漆黒の翼(笑)

 

 

 

名前・戦鬼(せんき)

 

種族・鬼

 

能力・上昇させる程度の能力

力、気温等、あらゆるものを上昇させる事が出来る

 

見た目・ブラウンの髪に2本の角、赤い瞳。服は白い体操着みたいな感じ(半袖半ズボン)身長は167㎝で体zーー

 

性格・戦闘民族、元気で明るい

 

好きな物・酒、喧嘩

 

嫌いな物・嘘つき者、卑怯者

 

二つ名・鬼子母神、鬼神

 

 

名前・星熊勇儀(ほしぐまゆうぎ)

 

種族・鬼

 

能力・怪力乱神を持つ程度の能力

力が強い、何か凄い!

 

見た目・勇義さんですね。金髪ロングに1本角、角には黄色い星印。手には赤くて大きい盃(星熊盃)身長は165㎝程体重はーー

 

性格・活発で素直、負けず嫌い

 

好きな物・酒、喧嘩

 

嫌いな物・臆病者、卑怯者

 

二つ名・語られる怪力乱神、ほっしゃん(琥珀発信

 

 

名前・伊吹萃香(いぶきすいか)

 

種族・鬼

 

能力・密と疎を操る程度の能力

様々なものを萃(あつ)めたり疎(うと)めたり(散らしたり)出来る

 

見た目・萃香さんですね。薄い茶色の髪に長い2本の角、自前の瓢箪(伊吹瓢)身長は150㎝程体zーー

 

性格・衝動的で好奇心旺盛、陽気

 

好きな物・酒!飲まずにはいられないッ!

 

嫌いな物・否定される事

 

二つ名・小さな百鬼夜行、酔いどれ娘

 

 

名前・射命丸文(しゃめいまるあや)

 

種族・鴉天狗

 

能力・風を操る程度の能力

その名の通り風を操る。まさに天狗

 

見た目・文ですよー。黒髪のボブに赤い瞳、頭には赤い山伏風の帽子(頭襟)白いポンポンはお好みで、身長は163㎝程でtーー

 

性格・真面目で融通が利かない。頭はキレて非好戦的。茶化して来る事が多い。

 

好きな物・面白そうな事

 

嫌いな物・面倒事

 

二つ名・伝統の幻想ブン屋、駄ブン屋

 

 

名前・風見幽香(かざみゆうか)

 

種族・妖怪

 

能力・花を操る程度の能力

花を咲かせたり、向日葵の向きを変えたり出来る

(可愛らしい能力だが、幽香さんの強さは可愛くnーーー)

 

見た目・幽香さんだー。緑の髪に白いカッターシャツとチェックが入った赤のロングスカートを着用。身長は162㎝程で体重……

 

性格・マイペースな気分屋。優しい。(ドSっぽい所がある)

 

好きな物・花、面白い事

 

嫌いな物・退屈

 

二つ名・四季のフラワーマスター、ゆうかりん

 

 

名前・蓬莱山輝夜(ほうらいさんかぐや)

 

種族・月人

 

能力・永遠と須臾を操る程度の能力

永遠とは不変であり永遠を持つものはいつまでも変わる事がなく、干渉される事もない。須臾は認識出来ない程の僅かな時間。一瞬を集めて自らの時間にする事が出来て、須臾の中にいる輝夜を認識する事は出来ない(プッチさんみたい…)

 

見た目・輝夜だ。ロングの黒髪で、服は上がピンクで大きめの白いリボンが胸元にあしらわれている。身長は156㎝程t

 

性格・天真爛漫で好奇心旺盛

 

好きな物・面白い事、ゲーム

 

嫌いな物・退屈、面倒

 

二つ名・永遠のお姫様、ニート姫

 

 

名前・藤原妹紅(ふじわらのもこう)

 

種族・蓬莱人(人間)

 

能力・老いる事も死ぬ事も無い程度の能力

不老不死。だが普通の人間と変わらない為、痛みを感じるし空腹もある

 

見た目・妹紅だ。黒髪は白髪になり、上は白のカッターシャツで下は赤いもんぺのようなズボンを履いている。身長は158㎝程でtーー

 

性格・気が強い。親切。

 

好きな物・干し柿、筍

 

嫌いな物・毒キノコ(経験談)

 

二つ名・蓬莱の人の形、もこたん

 

 

名前・因幡てゐ(いなばてい)

 

種族・妖怪兎

 

能力・人間を幸運にする程度の能力

他人に幸運を与える事が出来る。自分も幸運になれる様子。

 

見た目・てゐだー。うさうさうさ。癖っ毛の短めの黒髪にウサミミ、ウサ尻尾。

 

性格・お調子者で悪戯好き

 

好きな物・悪戯

 

嫌いな物・退屈

 

二つ名・幸運の素兎、悪戯兎

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

N+「はい、お疲れ様でした」

 

琥珀「此処からは茶番だぜ」

 

N+「今回は特別に、此処で紹介したキャラ以外にも、今まで紹介したキャラ達も出るかもです!」

 

琥珀「それは豪華だな」

 

N+「それではお気に入り10件突破&UA1000突破記念茶番!」

 

「「のんびりしていってね」」

 

 

 

 

 

注意・キャラ達の関係は私仕様。

これが茶番の良いところ!

 

 

 

~オリジナルねむり姫~

 

事の始まりは、琥珀が何時ものように団子を食べていると……

 

妹紅「琥珀ー!」

 

琥珀「ん? どうした妹紅? そんな慌てて」

 

妹紅「これを見てくれよ!」

 

そう言って妹紅は琥珀に紙を渡す。

 

琥珀「何々……『記念企画!演劇大会!優勝チームには望みの品をプレゼント!byのんびり+』だと?」

 

妹紅「うん。その大会に出ようよ!」

 

琥珀「お前そんな欲しいものあったのか?」

 

妹紅「それは秘密。それに優勝したら極上の団子を貰えるかも」

 

琥珀「良し、早速人を集めよう」

 

そうして琥珀は役をやってくれそうな人達を探した。

そして――

 

 

上で紹介したキャラ達。

 

妹紅「皆、集まってもらってありがとう!」

 

輝夜「それで? 劇って何をやるのよ」

 

妹紅「それだが……ねむり姫をやろうと思う!」

 

文「お姫様が100年寝て王子様のキスで目覚める話ですね!」

 

妹紅「そのとーり!」

 

空覇「それで配役は決まってるの?」

 

妹紅「それは……これだ!」バン!

 

琥珀→王子様

 

輝夜→ねむり姫

 

戦鬼→王様

 

空覇→お妃様

 

幽香→魔女

 

妹紅→魔女

 

残り→魔女、門番、ナレーター、モブキャラ

 

勇義「後半雑過ぎだろ!?」

 

琥珀「……あのー妹紅さん」

 

妹紅「どうしたの? 琥珀」

 

琥珀「いや、さっきねむり姫は王子様のキスで目覚めるって言ってたけど……」

 

妹紅「ああ、勿論きっちりやってもらうよ」

 

輝夜「!?」ボフン

 

妹紅「それでは練習開始!」

 

 

こうして皆は、劇に向けて練習に取り組んだ。

 

そして本番の日。

 

 

司会「次はチーム“もこたんず☆”によるねむり姫です!」

 

 

 

文「これはある国の話です。ある日、王子様とお妃様の間に子供が産まれました。そしてお祝い会を開くことになりました」

 

戦鬼「いやー、めでたいの!」

 

空覇「まったくだわ」

 

勇義「よぉ、めでたいねぇお二人さん」

 

戦鬼「おぉ、お主は魔女ではないか」

 

勇義「赤ちゃんにプレゼントをあげようと思ってね」

 

空覇「まぁ、ありがとう」

 

文「魔女は赤ちゃんに優しい心をプレゼントしました」

 

萃香「私もやるよ」

 

文「次の魔女は美しさをあげました」

 

てゐ「幸運を授けよう」

 

文「魔女達は赤ちゃんにどんどん贈り物をしました。そして11番目の魔女が贈り物をした瞬間、パーティーに呼ばれなかった13番目の魔女が現れました」

 

幽香「フフ、よくも私を呼ばなかったわね! その赤子に呪いをかけてあげるわ! その赤子は15歳になったら死ぬ!」

 

文「そう言って魔女は去って行きました」

 

空覇「あぁ、何て事……」

 

妹紅「まだ慌てるような時間じゃない」

 

文「12番目の魔女が出てきて言いました」

 

妹紅「呪いは消せないが、何とか死なないようにしてみよう。その子は100年眠るだけだ!」バァァン

 

文「何て事があったのも14年前、明日、姫は15歳になる日です」

 

輝夜「明日まで後5分……2、1」

 

文「そして、15歳になった姫は眠りに就いてしまいました。姫だけではなく、王様やお妃様等、城にいる人達も一緒に眠ってしまいました。そして城はいばらに覆われてしまいました。そして姫はねむり姫と呼ばれ、その姿を一目見ようと人が押し寄せましたが、いばらに遮られて姫を見ることは出来ませんでした。そんなある日、王子様がねむり姫の噂を聞いてやって来ました」

 

琥珀「やれやれだぜ……」

 

文「すると不思議な事にいばらは道を開けました。王子様はねむり姫の所まで行きました。」

 

琥珀「おぉ、何と美しい」

 

文「姫を見てあまりの美しさに、王子様はねむり姫の唇にディープキスをぶちかましました」

 

琥珀・輝夜「「!?」」

 

琥珀(何を言ってるんだ!?台本と話が違うぞ、あの鳥頭め!)

 

輝夜(練習では頬だったのに……頬だけで心臓が飛び出そうだったのに!)

 

文(フフ、2人共焦ってますねぇ。さあ琥珀さん、男の見せ場ですよ)ニヤ

 

琥珀(あの野郎、楽しんでやがる……)

 

輝夜「琥珀、どうするのよ!」ボソ

 

琥珀「いや、そんな事言われてもわかんねぇよ!」ボソ

 

文「王子様の唇がねむり姫の唇へと近付いていきます」

 

琥珀・輝夜「「!」」

 

琥珀「チィ!しゃーねー、輝夜、我慢しろよ?」

 

輝夜「へ?」

 

ズキュゥゥゥゥゥン

 

輝夜「!」(これは……布?)

 

琥珀(薄い布を具現化してさらに透明化……完璧だ、これでキスをした事にならない……はず)

 

「「うおぉぉぉぉお!? やりやがったーー!?」」

 

観客席から歓声が上がる

 

「「見せつけやがって!」」

 

「「野郎ぶっ殺してやらぁぁ!」」

 

琥珀(何か俺に怒りの矛先が……)

 

文「するとねむり姫は目を覚ましました。さらに眠っていた城の人達も目を覚ましました。そして、ねむり姫と王子様は結婚し、幸せに暮らしましたとさ。お仕舞い」

 

パチパチパチ

 

 

そして、チーム“もこたんず☆”は優勝したとさ。

めでたしめでたし。

 

 

 

 

―裏話―

 

琥珀「あーやくん!」

 

文「な……何ですかねぇ……」

 

琥珀「あれはどういう事かな?」

 

文「いやぁ、盛り上げようとしただけですよー」

 

琥珀「そうかー」

 

文「はい! ……あれ? 体が動かない!」

 

琥珀「お仕置きだ」

 

文「ひぃー!ま、待って下――」

 

琥珀「ロードローラーだァッ!!」

 

文「ギャーー!!」

 

ドグシャァアアアア!

 

琥珀「フゥ、スッとしたぜ」

 

輝夜「……」ポー

(布越しでも唇の感触が……)

 

幽香(良かった……本当にキスしなくて……)

 

永琳「輝夜、てゐ、帰るわよ」

 

てゐ「わかったー」

 

空覇「文、私達も帰るわよ」

 

文「うぅ……天魔様……私はもう駄目です……ぅ」カクッ

 

空覇「やれやれだぜ……」

 

 

戦鬼・勇義・萃香「琥珀ー!手合わせしてくれー!」

 

琥珀「やれやれだぜ……」

 

こうして、皆仲良く暮らしましたとさ。

めでたしめでたし。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

N+「はい、お疲れ様でした」

 

琥珀「疲れた……」

 

N+「だが君にはまだ働いてもらうぜ」

 

琥珀「なん……だと!?」

 

N+「今日は2本立てじゃー!」

 

琥珀「なんだってー!?」

 

N+「それではもう1本」

 

「「のんびりしていってね」」

 

 

 

 

『皆で人狼ゲーム』

 

N+「という事で人狼ゲームです。簡単なルール説明です。

まず、大きく村人チームと人狼チームに別れます。

村人は人狼を全員追放したら勝ち。人狼は村人の数を自分達と一緒にしたら勝ち。細かくはググって下さい」

 

琥珀「読者の皆様に苦労をかけるな!この馬鹿!」

 

N+「そ……そんなぁ(´・ω・`)」

 

琥珀「で? 誰がやるんだ?」

 

N+「メンバーは、僕、琥珀、紫、永琳、輝夜、妹紅、文、萃香、勇義だよ。

因みに僕は司会さ」

 

琥珀「成る程」

 

琥珀達は円になるようにテーブルを囲って椅子に座っている。

 

N+「それではやっていこう。先ず、それぞれの役割が手元のカードに書いてある、確認をどうぞ」

 

皆は一斉に下を向いて確認する。

 

N+「それでは開始します。……最初の夜がやって来ました。全員机に伏せて下い」

 

全員伏せた事を確認。

 

N+「人狼の人は起きて下さい」

 

すると2人、起き上がる。2人は目で互いを確認する。

 

N+「人狼はまた伏せてください」

 

2人は再び目隠しを装着して伏せる。

 

N+「次に占い師は起きて下さい」

 

すると1人、目隠しを外す。

 

N+「占いたい人を1人指定して下さい」

 

すると占い師は1人を指差す。

司会はその人が人狼かどうかをジェスチャーで教える。

 

N+「それでは占い師は伏せて下さい」

 

目隠しをした事を確認。

 

N+「夜が明けました。全員起きて下さい」

 

全員起き上がる。

 

N+「これから追放会議を始めます。追放する人を1人選んで下さい。会議の時間は10分、それでは開始」

 

 

琥珀「フゥー」

 

勇義「さーて、人狼には出て来たもらおうか、鬼は嘘が嫌いでね」

 

永琳「そういう貴方が人狼だったりして」

 

勇義「私は違うぞ! 市民だ」

 

文「うーん、まだ誰が人狼かは分かりませんね……」

 

永琳「因みに、私は占い師よ!」

 

「「!」」

 

文「待って下さい!私が占い師です!」

 

「「!」」

 

紫「いきなり始まったわね」

 

琥珀「どちらかが嘘をついてるって事か……」

 

永琳「貴方……人狼か狂人でしょ?」

 

文「違います! 私は正真正銘占い師です!」

 

永琳「皆はどう思うかしら?」

 

妹紅「文……怪しい……」(あやだけにな)

 

文「え!? 私は嘘吐いてないのにー!」

 

N+「会議の時間は終了です。追放する人を1人選んで下さい。せーの」

 

バッ

 

文→4人

 

永琳→2人

 

勇義→2人

 

N+「多数決により文脱落!」

 

文「そんなー」

 

文にはゲームから抜けてもらって見学。

 

N+「さて、夜がやって来ました。全員机に伏せて下さい」

 

全員が伏せた事を確認。

 

N+「人狼の人は起きて、襲撃する人を1人決めて下さい」

 

人狼2人は1人を指定。

その人にもゲームから抜けてもらう。

 

N+「人狼は伏せて下さい。占い師は起きて下さい」

 

N+「伏せて下さい」

 

N+「朝になりました。全員起きて下さい」

 

全員起き上がる。

 

N+「それでは会議を始めて下さい」

 

 

琥珀「襲われたのは妹紅か……」

 

輝夜「これで2人消えたわね……霊媒師はいる?」

 

全員首を横にふる。

 

輝夜「なら確認が出来ないわね……」

 

萃香「まぁ、状況確認をしようよ」

 

紫「そうね……分かっているのは永琳か文が人狼か狂人って事ぐらいね」

 

永琳「私は占い師よ、偽者はあっち」

 

勇義「永琳、誰を占ったんだ?」

 

永琳「紫よ、市民だったわ」

 

紫「!」

 

琥珀「……この中に絶対人狼がいるんだよなぁ」

 

紫「この中に能力者は永琳だけかしら?」

 

勇義「どうだろうね……」

 

輝夜「……勇義、怪しい」

 

勇義「!」

 

琥珀「確かに……なんかさっきから引っ掛かるんだよな」

 

勇義「く! お前らグルになって私をハメようとしてんだろ!」

 

永琳「そーやって抵抗する所がさらに……」

 

N+「終了です。追放する人を1人選んで下さい。せーの」

 

バッ

 

勇義→4人

 

輝夜→2人

 

N+「勇義追放ー!」

 

勇義「チィ」

 

 

N+「さて夜になりました。全員伏せて下さい」

 

全員伏せる。

 

N+「人狼は起きて襲撃する人を1人指定して下さい」

 

人狼は1人を指定。

そして、

 

N+「人狼チームの勝利!」

 

琥珀「やったぜ!」

 

紫「ナイスプレイだったわよ永琳」

 

永琳「フフ、まあね」

 

文「だから私が本物だって言ったのにー」

 

勇義「いや、アンタ凄い怪しいからね」

 

 

役者バラし

 

琥珀→人狼

紫→人狼

永琳→狂人(裏切り者)

文→占い師

輝夜、妹紅、萃香、勇義→市民

 

 

 

N+「それでは負けた市民チームには罰があるぜ」

 

諏訪子「おーい、のんびりー!」

 

N+「お、きたきた」

 

琥珀「もう分かったわ……」

 

諏訪子「じゃ皆、私特製肉じゃが……召し上がれ」

 

「「…orz」」

 

琥珀・紫・永琳「「ドンマイ」」

 

 

 

 

 

そして翌日。

肉じゃが(?)を食べた者達は全員永琳にお世話になりました。

永琳は語る。

 

「料理で倒れるなんてあり得ないわよ、未知の領域ね」

 

――――と。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




はい、お疲れ様でした。
茶番難しい…どうしたら面白い茶番がかけるんだ…
それでは次回も、のんびりしていってね


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第5章 西行寺編~死を呼ぶ桜~
第22話 またまた出合い


はい、どうも、のんびり+です
今回から新章です。
※注意
オリ展開と独自解釈

それでは今回も、のんびりしていってね



はいどうも、琥珀だ。

俺はいつも通り旅をしている。

都を出てから数ヵ月

結局妹紅にはあれ以来会ってない(団子屋で別れた時)

まあ、仕方ないか……。

と、もう日が暮れてしまう。

今日も野宿かな……。

俺がそんな事を考えていると

 

「ん?あれは……」

 

少し先の所に大きな屋敷がある事を確認した。

 

「行ってみるか……」

 

やはり旅では出逢いが無いとね。

袖触れあうも多少の縁、

泊めてもらうのも多少の縁だぜ。

俺は屋敷に向かう事にした。

 

~少年移動中~

 

さて、到着。

俺は屋敷の門の前まで来ていた。

 

「すみませーん、旅の者ですがー、どなたかいらっしゃいますかー?」

 

俺は声を張って言う。

……すると

 

「!」

 

門の向こう側から強い殺気が向けられる。

 

「やれやれ、俺は何もしてないぜ?」

 

すると門が開いて、そこには、長い白い髪を後で纏めて、険しい顔に刀を二本構えた老人が立っていた。老人の隣でふよふよしてるのは何だろう……。

すると老人が言う。

 

「貴様、何者だ?」

 

「俺は旅の者です、此処に泊めてもらおうと思って」

 

ガキンッ!

 

金属と金属がぶつかり合う音が響く

琥珀は瞬時に線引きを出して応戦

 

「……何のつもりだ?」

 

「儂は此処の護衛も任されている、怪しい者を中に通す訳にもいかない」

 

「成る程、素晴らしい心がけだが、俺は唯の旅人だぜ?」

 

「関係ない、貴様を斬る!」

 

「やれやれだぜ……」

 

老人は流れるように次々と斬撃を繰り出す。

琥珀はそれを躱したり受けたりして捌いていく。

 

「お主、剣術はまだまだ未熟じゃな」

 

「これ定規だけどな」

(全く恐ろしい爺さんだ、こんなキレイで隙が無い剣捌き見た事ない)

 

「考え事とは余裕だな」

 

老人の剣のスピードがぐんぐん上がってく。

 

「やれやれ、元気な爺さんだな」

 

俺は反射神経と動体視力で老人の剣を捌く。

 

「ほう、まだ捌くか、それにその武器(えもの)……儂の楼観剣を受けても斬れないとは……やるな」

 

「そりゃどうも、じゃ、もう止めよ?」

 

「だが断る」

 

さらに剣のスピードが上がる。

老人の剣は超高速で、恐らく常人には見ることは不可能だろう。

さらに老人の剣を受ける毎に、剣圧で辺りの木が斬れていく。

 

(マジかよ……)

 

俺は老人の剣を同じく超高速で捌く。

 

「……お主、人間か?唯の人間に儂の剣が捌ける筈がない」

 

「あぁ、俺は人間だぜ?爺さんに一つ教えてやるぜ、そりゃ前例が無いだけで決めつけるのは早いぜ?井の中の蛙大海を知らずってな」

 

「はっは、ぬかしおる、ならば儂の一太刀受けてみよ!」

 

老人は刀を2本とも鞘に収めて、長い方の楼観剣と言う刀に手をかざす。

居合い斬りの構えだ。

 

「いいぜ、来いよ爺さん」

 

俺は脱力し、備える。

 

「行くぞッ!」

 

老人は凄まじいスピードで接近、刀を抜いて斬りかかる。

琥珀もそれを向かえ撃つ。

 

 

2人は交差して暫く静止する。

 

 

「峰打ちだ、安心しなってね」

 

「フッ……見事」

 

そう言い、老人は崩れ落ちた。

 

「やれやれ、何だよこの爺さん……居合い斬りにしても速すぎだろ、

飛天×剣流でも習ってたのかな?」

 

俺は爺さんを担いで屋敷に入る事にした。

不法侵入じゃないよ?多分。

……何だ?

何だか嫌な気配がする。

気味の悪いナニカがねっとりへばり憑いて来るような……。

歩く度にそんな気配がより一層深くなる……。

そして屋敷の庭を見ると今は春だからか、桜の木が沢山あった。

だがそんな綺麗な桜に囲まれても嫌な気配はとれない、それ所か強くなる一方だ。

そしてそんな桜の中で俺は見た……。

()()を。

 

「ッ!」

 

【俺はあらゆる現象、事象、概念に干渉されない】嘘を【本当】に!

俺は反射で能力を使用した。

自分の勘が言っている。

アレはヤバイと。

 

周りの桜よりも少し大きく、美しい桜の形をした()()が、嫌な気配の元凶だ。今分かった、嫌な気配の正体は……

「死」だ。

 

今能力を使わなかったら俺は死んでいただろう。

俺は能力で“不老不死”だが“不死”に誤りがある。

実は、俺は老いる事はなく死ぬ事も無いが、死なないのは寿命での話しだ。

もう分かっただろう……俺は寿命以外なら死ぬ……。

そして()()からは「死」の気配が尋常じゃない程に溢れ出ている。

 

「何なんだよ、アレ……」

 

「あら、お客さん?」

 

俺が考え事をしていると後ろから声がした。

振り返るとそこには、ピンクの髪をした少女が立っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




はい、お疲れ様です
今回は短めでしたね
それでは次回も、のんびりしていってね


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第23話 西行妖

はい、どうものんびり+です
基本は毎日更新を心がけてますが厳しいです
琥珀「頑張ろう?」
無理☆
琥珀「巫山戯るな!」
それでは今回も
「「のんびりしていってね」」



~前回のあらすじ~

 

俺は、旅をしているとある屋敷を発見する。

泊めてもらおうと思って屋敷に行くと、白髪の老人から歓迎(物理)された。

俺は爺さんを担いで屋敷に入り、庭にある桜のような化け物を発見。

すると後ろから声がして振り返ると、ピンクの髪をした少女の姿が……。

 

 

「あら、貴方が担いでいるのは妖忌ね?」

 

「?俺は旅の者だが…」

 

「貴方には()()()()()ようね…」

 

「……アレのか?」

 

「そうよ、まあそれは後で話すとして……お腹減ったわ~」

 

「へ?」

 

「貴方何か作って~」

 

「俺!?」

 

「泊めてあげるから~」

 

「むぅ、そういう事なら」

 

俺は料理を作る為に厨房へ向かう。

俺は料理なら香葉さんに教えてもらったから多少はできる……。

……香葉さんと会ったのも何千年も前の事何だよな……。

さて、俺はしんみりするのは嫌いだからな、早速取り掛かろう。

 

 

~少年料理中~

 

 

完成!

 

「おーい、出来たぞー」

 

俺は料理を順番に置いていく。

あの爺さんも起きたようだな。

ま、話しは後回しにして今は夕食を食べよう。

 

「「いただきます」」

 

さて、先ずは魚の煮付けでも。

……うん、旨い

俺も上達したもんだ……。

 

「ねぇ貴方」

 

「ん?そういえば自己紹介がまだだったな、俺は雨宮琥珀だ」

 

「私は西行寺幽々子(さいぎょうじゆゆこ)よ、宜しく」

 

「儂は魂魄妖忌(こんぱくようき)じゃ、宜しくの」

 

「宜しくな、幽々子に妖忌、それで幽々子俺に用か?」

 

「えぇ、おかわり頂戴」

 

「へ?」

 

幽々子の皿にあった筈の料理は何処にも無い。

……そんなまさか。

 

「お前、もう食い終わったの?」

「?えぇ、そうよ?」

 

マジかよ……。

まだ二分くらいしか経ってないよ?

どんなマジックだよ……。

 

「よ、よし、今持ってくる」

 

少し多めに作っといて良かった……

俺はそう思い厨房へ向かう。

 

ーーというやりとりも三回目。

「何言ってんの?」て思うじゃん?

俺が聞きてーよ!

俺の結論から言うとあいつはヴァニラ・〇イスのスタ〇ド、クリー〇だよ。

簡単に言うとあいつの腹はブラックホールにでも繋がっているのだろうそうだろう。

 

「ハイよ」

 

「ありがとう~」

 

これで終わりだ――料理が。

流石にもう来ないだろ……。

あれ?俺今フラグ建てた?

 

「フゥー、ご馳走さま」

 

良かった!

大丈夫だった。

 

「琥珀殿、風呂が空いてますぞ」

 

「そうか、じゃお先に失礼するぜ」

 

 

~少年入浴中~

 

 

フゥー、スッとしたぜぇ。

風呂は命の洗濯よってな。

幽々子はさっき入って、今は妖忌が入浴中だ。

幽々子が出たら早速トークタイムだ。

 

 

~少女入浴中~

 

 

さて、皆揃ったし始めよう。

 

「単刀直入に聞くぜ、()()は何だ?」

 

勿論あの化け物の事だ。

 

「それについては儂から話そう。……幽々子様の父上様は有名な歌人だったのだ。そして父上様は大層な桜好きだった。

父上様が歳をとり、死期が近付いて来ると父上様は桜の木の下で死にたいと言ったのだ。そして父上様は望み通りに桜の木の下で最期を迎えた。

だがそこからだ――父上様を慕っていた者達は次々とその桜の下で死んでいった。

その内、あの桜は人の精気吸って妖怪になってしまった……。そしてあの桜が咲くと、桜自らが人を死に誘うようになった……」

 

「成る程……死に誘う妖怪桜か」

 

「うむ、儂達は“西行妖”と呼んでいる」

 

「西行妖……」

 

「だがそれだけでは無い、あの桜の影響で幽々子様にも変化があった」

 

「何?」

 

「私の能力に変化があったのよ。私は元々「死霊を操る程度の能力」を持っていたわ。でも、あの桜の影響で「死を操る程度の能力」に変わっちゃったっぽいのよねぇ」

 

「そして幽々子様はその能力を制御出来ていない。故にあの桜と同じく、人を死に誘う存在になってしまった……」

 

「そうだったのか……」

 

辛いだろう……。

自分の周りの人が死んでいくのは……。

怖いだろう、悲しいだろう、寂しいだろう……。

今正気でいられるのが奇跡に等しい……。

俺だったら気が狂うだろうな……。

幽々子は強い、それこそ十や二十の少女とは思えない程に……。

きっと妖忌が支えてくれたのだろうな……。

待てよ?

 

「妖忌は何故影響を受けない?」

 

「儂もよく分からんが、儂が半人半霊だからだろう。半分が人でもう半分は霊……既に半分死んでいるからな」

 

「そうか」

 

「ねぇ、琥珀は何で影響を受けないの?」

 

「俺は能力で干渉されないんだ」

 

「へぇ~」

 

「それはどのような能力なのじゃ?」

 

「「嘘を本当にする程度の能力」と「あらゆるものを(なかったこと)にする程度の能力」だ」

 

「何と規格外な……! そうだ琥珀殿! その能力で西行妖の存在を(なかったこと)に出来ますか?」

 

「……そうだな、やってみよう」

 

 

 

外に出て、俺は西行妖に近付いていき、

そして触れる。

 

「ッ! ……化け物が……」

 

「琥珀殿?」

 

「妖忌、幽々子、悪いな。俺にはコイツは消せない……」

 

「「!」」

 

「俺の能力にもデメリットがある……。

基本的に嘘を本当にしたり真実(あらゆるもの)(なかったこと)にしたり出来るのは俺の力に比例する。つまり俺の力と同等、又はそれ以上のものに俺の能力は効かない……」

 

「つまり……」

 

コイツ(化け物)妖力()は俺と同等かそれ以上って事だ」

 

「! ……そうか」

 

「すまないな、役に立てなくて」

 

「いいや、大丈夫じゃ」

 

「……」

 

「幽々子?」

 

「ねぇ琥珀、封印は出来ないの……?」

 

「それなら出来ない事は無い。ただ、封印の鍵になる媒体が必要だ」

 

「そう」

 

「さぁ、もう中に入りましょう」

 

「あぁ、そうだな……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――この時、俺は知らなかった。

 

これから起こる悲劇を……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 




はい、お疲れ様です
この章もあまり長く無いです
ご意見ご要望等ありましたら気軽にどうぞ
批判も募集します(アドバイスとして
それでは次回も、のんびりしていってね


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第24話 成功の為の犠牲

はい、どうものんびり+です
この章はもう終わりますね
それでは今回も、のんびりしていってね


 

 

 

 

俺の目の前には、血溜まりに沈む幽々子の姿。

瀕死状態の妖忌。

猛威を振るう西行妖。

 

「……テメーだけは許さねぇぞ……」

 

 

 

 

 

 

 

 

ーー事の始まりは数時間前に遡る。

 

俺は妖忌と協力して朝ごはんを作っていた。

昨日の食べっぷりを魅せられた後だから俺も多めに作っている。

 

「幽々子様ー!朝食が出来ましたぞー!」

 

「えぇ、今行くわ~」

 

妖忌が幽々子を呼ぶ。

幽々子が寝室から起きて来る。

 

「それでは頂きましょう」

 

「「いただきます」」

 

俺は味噌汁をゆっくり飲む。

味噌のやさしい味がする、旨い。

次に鮭だー!

……………うん、旨い。

この程よいしょっぱさでご飯が進む。

俺はチラッと幽々子を見てみる。

すると驚いた事に、まだ食べ終わって無かった!

普通の人なら全然大丈夫だが、幽々子の場合はもうお代わりが来る所だ。

まだ出会って間もないがこれは分かる。

 

「幽々子、何かあったのか?」

 

俺は幽々子に聞いてみる事にする。

 

「いいえ~何も無いわよ~?」

 

幽々子特有のまったりした笑顔と言葉を向けられる。

 

「そうか、なら良いんだ…」

 

何も問題は無い筈……なのに俺は何か嫌な予感がした。

それも、あの桜と関係しているような……。

俺は不安になるが、自分に大丈夫だと言い聞かせた。

 

 

 

朝食を食べ終わると、幽々子は居間でのんびりと、妖忌は素振りをしている様だ。

……そうだ、いい事思いついた。

 

「妖忌、俺に稽古をつけてくれないか?」

 

「何故じゃ?…お主はもう十分強いではないか」

 

「いや、妖忌も言ってただろ?俺は武器の扱いがてんで駄目なんだよ」

 

「フム、そういう事なら」

 

「イエス!」

 

俺は妖忌に稽古をつけてもらう事にした。

 

 

~少年稽古中~

 

 

「まだ無駄な動きが多いぞ!もっと無駄なくしなやかに!」

 

「おう!」

 

あれから数時間、俺はみっちり鍛えてもらった。

妖忌は教えるのが上手いので、俺はどんどん動きが良くなっていった。

 

「そろそろ昼食の時間故、ここまでにしよう」

 

「あぁ、ありがとうな妖忌」

 

俺達は昼食を作る為に屋敷に戻った。

ーーとほぼ同時の事だった。

あの()()()()が俺達を包み込んだ。

 

「ッ!コイツは……!」

 

「琥珀殿!」

 

「あぁ!」

 

俺達はすぐに元凶の元に向かった。

俺達が“その場所”に辿り着くと、そこには、

昨日までは満開ではなかったのに、妖しい桜を満遍なく身に付けた西行妖があった。そして西行妖から漏れ出す尋常じゃ無い程膨大な妖力。

俺は直感で分かった。

コイツは(西行妖)は今、目覚めたのだと。

 

「コイツはヤバイな……どうする?妖忌」

 

「……こうなってしまってはもう儂達に出来る事はーー」

 

「あるわよ」

 

突如として聞こえる第三者の声、俺が後ろを向くと幽々子の姿があった。

だが、その顔はいつもの呑気な顔では無く、凄く真剣で切なげだった。

そして手には何故か短刀が握られている。

 

――まさか!

 

「幽々子!」

 

「琥珀、私の策は分かったわね?」

 

「やめろ幽々子!」

 

「琥珀、私はね、最期に貴方に会えて良かった」

 

「幽々子…」

 

幽々子は、俺の言葉を無視して言葉を紡ぎ続ける

 

「久し振りに楽しかったわ……でもね、私は嫌だった。

お父様が愛した桜が人を殺すだけの怪物になってしまった事が……

そして私自身も同じような存在になってしまった事が……

もう耐えられないわ……誰かが死ぬのは……誰かが傷つくのは……耐えられないのよ!」

 

幽々子の目からは、大粒の雫が数滴流れ落ちた。

幽々子は今まで我慢していた事を全て晒したようだった。

 

俺は止められなかった。

幽々子の覚悟を見てしまったから。

 

幽々子は短刀を自分の首筋に当てて、言った。

 

「後は宜しくね、琥珀」

 

ザシュッッ

 

幽々子は笑顔でそう言って、首を切った。

辺りに鮮血が降り注ぐ。

幽々子は地面に落ちていった。

 

「!……クソ、何だよ……」

 

俺は言い様の無い悲しみと怒りに襲われた。

幽々子の策はすぐに分かった……。

恐らくだが、「自分を媒体にしてアイツ(西行妖)を封印してくれ」

という事だろう。

 

本当に強い奴だよ……お前は。

自分の命を犠牲にしてまでもお前はその選択を選んだ。

俺は弱い。

お前みたいに強く無い。

……けど

 

「お前の覚悟(勇気)、確かに受け取ったぜ!」

 

お前の頼みは絶対に成功させる!

 

 

 

「妖忌、暫くアイツの相手を頼む!」

 

「分かった!」

 

俺は幽々子の体を鍵として、術式を組み立てる。

急げ!早く!

俺は一刻も早く術式を完成させるべく、目を閉じ集中力を高める。

もう少し……。

 

「グハッ!」

 

「ッ!」

 

俺が目を開けると、妖忌が西行妖の枝に腹を貫かれていた。

 

「妖忌!」

 

「ッグ……琥珀殿……早く、封印を……」

 

「あぁ、今完成したぜ!……おい、この化け桜、テメーだけは許さねぇぞ!」

 

「■■■■■!」

 

西行妖は、まるで断末魔を叫ぶように枝を大量に俺に向かわせる

 

「残念だが、もう手遅れだ」

 

瞬間、西行妖の周りに魔方陣が出現。

西行妖は、痺れたように動けなくなる。

 

「あばよ」

 

目映い光が辺りを覆い尽くす。

 

光が消えると、そこには枯れ木のように佇む1本の桜の木。

封印成功だ。

 

「大丈夫か?妖忌」

 

俺はすぐに能力で妖忌の傷をなくす。

 

「すまない、大丈夫だ」

 

封印は成功したが、その場にあるのは“喜び”では無く“喪失感”だ。

物事の成功の裏には、必ずと言って良いほど犠牲が付き物だ。

……俺等の犠牲は、大きすぎた。

 

 

「すみません」

 

俺が感傷に浸っているとそんな声がする。

俺が声の方向を見ると、緑の髪に変わった帽子、手に笏を持った少女の姿。

 

「……誰だ?あんた」

 

俺は警戒しながら聞いてみる。

 

「申し遅れました、私は四季映姫(しきえいき)・ヤマザナドゥという者です

要するに、私は地獄の閻魔です」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――話しを聞くと、此処に来たのは幽々子の事で話しがあったようだ。

話しの内容を簡潔に言うと。

 

幽々子は亡霊になったらしい、そして珍しい事に恨み等の感情は無く、生前の記憶が無いらしい。さらに珍しい事に、亡霊は暫くすると幽霊になって転生したり地獄に行ったりするらしいが、幽々子は自分を認識しておらず幽霊になる事は無い。

但し、もし西行妖の封印が解けて自分の死体を見てしまうと幽霊になってしまう様だ。まあ戸々からが本題だが、幽々子の能力はうってつけだった……冥界の管理に。だから幽々子に、冥界の白玉楼と言う場所で冥界の管理をさせるとの事だ。

 

「そうか……」

 

俺は、幽々子がいると聞くだけで嬉しかった。

記憶は仕方がない。

幽々子が居るんだ、小さな犠牲だ。

これから創れば良いだけだ。

 

「話しは以上です」

 

「あぁ、ありがとな」

 

映姫はそう言って去って行った。

 

「妖忌、俺達も行こうぜ」

 

「うむ、善は急げじゃ」

 

そうして俺達は白玉楼へと向かった。

 

 

 

 

 

 




はい、お疲れ様でした
アドバイスご意見ご要望あればどうぞ
それでは次回も、のんびりしていってね


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第25話 紫は月に行きたいらしい

はい、どうものんびり+です
最近寝るのが遅い…
体調管理に気を付けたいです
それでは今回も、のんびりしていってね


 

 

どうも、琥珀だ

俺は今から冥界にあると言う“白玉楼”と言う場所に向かう所だ。

 

「琥珀殿、早速向かおう」

 

「ああ分かった、能力で一気に行くからな?」

 

「うむ」

 

【俺達が白玉楼に居る】嘘を【本当】に

 

すると、目の前の景色は急に変わった。

空は曇天。周りは殺風景で、正面には上へと続く長そうな石階段。

俺達は階段を登ることにした。

灯篭がぼんやりと道を照らす。

きっとこの階段を登りきったら幽々子に会える。

間違いない、俺の勘が言っている。

 

 

 

やっと登りきった。

随分と長い階段だったな……。

階段を登りきって先ず目につくのは立派な屋敷だ。

奥には桜も見える。

此処が暗いからか、桜が光を放っているように見えた。

俺達が周囲の観察をしていると、正面から誰かが近付いて来る。

ピンクの髪に手には扇子、

俺達は誰なのかがすぐに分かった。

 

「あら~?お客さん?」

 

「幽々子!」「幽々子様!」

 

俺達は幽々子に駆け寄った。

 

「貴方達……私の知り合い?」

 

「ああ」「ええ」

 

「そう、わざわざありがとうね~、立ち話もなんだから中に行きましょう」

 

俺達は屋敷へと入って行った。

 

 

 

 

「っと、こんな感じだ」

 

「分かったわ~、琥珀に妖忌ね~」

 

俺達は各々自己紹介を済ませた。

西行妖の事は言わない方が良いだろう。

……ん?西行妖?

……そうだ!

 

「悪い幽々子、妖忌、すぐに戻る」

 

俺は一度地上に戻る。

何故かと言うと、西行妖を移動させようと思った、

白玉楼に。

あれは地上に置いておくには危険過ぎる。

封印が不意に解かれる事が無いようにする為にも。

もしもがあった時を考えて、白玉楼にあった方が良いだろう。

 

 

さて、早速移動させるか。

俺は西行妖が埋められている地面を掘り起こす。

後は能力で移動……。

 

出来た。

妖忌が気付いてくれるだろう……。

後は頼むぞ?妖忌?

俺はゲスい笑みを浮かべる。

 

……気配がする。

この気配は……。

 

俺は某吸血鬼スタンド使いと同じポーズを取る。

 

「八雲紫!貴様、見ているな!」シュゴォォォ

 

「……何で分かるのよ」

 

すると、空間が歪みスキマの中から呆れ顔をした紫が出てきた。

 

「気配で分かるぜ、で?何か用か?」

 

「いや、あのね、協力して欲しい事が……」

 

「何だよ?」

 

「次の満月、月に攻め込むわ」

 

「……何故だ?」

 

「そうね……いくつかあるけどやはり、科学力ね」

 

「……辞める気は?」

 

「無いわ」

 

紫は胡散臭い癖に変な所で頑固だからな……。

 

「……いくつか条件だ、先ず月から少しでも()()()()すぐに帰るんだ」

 

「分かったわ」

 

「次に、連れてく奴は最低限の数で良い、出来れば強い奴な」

 

「良いの?」

 

「ああ、無駄な戦力と犠牲は要らないからな」

 

「分かったわ」

 

「最後に、あっち()こっち(地上)も誰も死なないようにする」

 

「貴方は変わらないわね、分かったわ」

 

「良し、満月に成ったら行くぜ、じゃ」

 

「待って琥珀、今日は朝早くから貴方を探したけど今まで見つける事が出来なかったわ……何処にいたの?」

 

「うーん……お前も来るか?」

 

「え?」

 

俺は紫ごと能力で移動。

 

「おーい、待たせたな」

 

「琥珀殿……と誰じゃ?」

 

「私は八雲紫と申します」

 

「これはこれは、儂は魂魄妖忌じゃ」

 

「あら~琥珀、お帰り~」

 

「ああ」

 

「ん~?貴女は~?」

 

「私は八雲紫よ、宜しくね」

 

「私は西行寺幽々子よ~宜しくね」

 

握手。

 

何だろう、掴み所が無い二人の夢の共演だ。

凄いね。

 

この後、紫と幽々子はすぐにウマが合い今は2人仲良く酒を交わしている。

 

「琥珀~肴ある~?」

 

「今作ってやるよ」

 

今夜は、皆で仲良く酒を飲んだ。っと。

あれ?作文?




はい、お疲れ様でした
短いです
長くして欲しかったらガンガン言って下さい
それでは次回も、のんびりしていってね


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第26話 月には団子だろ?

はい、どうものんびり+です
月って綺麗ですよね!たまにオレンジっぽい月とか赤っぽい月を見掛けると興奮します!誰得情報でした
それでは今回も、のんびりしていってね


俺は夜空を見上げる。

夜空は無数の星達に装飾されておりとても綺麗だ。

中でも強い存在感を放つのは、まるで黄金に輝く満月だ。

……お月見したい。

ふとそんな事を考えてみたり。

 

「琥珀、行くわよ」

 

「分かった」

 

今宵は満月。

今から月に殴り込みだ。

俺は紫が月に繋げた道を行く。

 

「あいつら元気かな~」

 

あいつらとは俺が軍に居た頃の部下達だ。

久し振りだな、億振りだぜ。

俺は密かにワクワクしつつ月へと向かった。

 

 

 

 

――月面着陸!

地球は青かった!

 

と言う訳で月に来た。

今回の1番の目的は月の科学だ。

俺の仕事は紫達の護衛と戦いの被害縮小だ。

良し、やるか。

 

すると何やら警報のような音が鳴り響く。

流石月だ、もう感ずかれたらしい。

 

「来るぞ!」

 

俺は皆に注意を促す。

 

暫くすると沢山の気配が近付いて来る。

俺も警戒を強める。

集団が目の前まで来た。

集団の先頭には三人の少女がいた。

1人は薄紫の髪のポニーテールの少女。

1人は金髪ロングの少女……

そして1人は

 

「……心咲」

 

「貴方、何故私の名を……ッ!」

 

心咲は急に目を見開いて驚いている。

 

「貴方……その姿は……隊長の……!」

 

「心咲さん、隊長ってあの月の英雄、雨宮琥珀ですか!?」

 

「でもそのお方は亡くなったのでは……?」

 

薄紫の子と金髪の子も驚いている。

そう言えば俺って英雄って呼ばれているんだっけ。

 

暫くすると3人は俺を殺意満々な目で見てきた。

 

「貴方が何故隊長を知っているかはどうでもいい、唯、あの人の姿を偽った貴方を私は許さない!」

 

「よくもぬけぬけと……月の英雄を愚弄したな!?」

 

「生きては帰さないわよ……?」

 

……え?

俺何か悪い事した?

 

「かかれ!」

 

心咲が言うと集団が雄叫びをあげて突進してくる。

 

「……やれやれだぜ、紫、俺がこいつら何とかするからさっさと終わらせろ!」

 

「分かったわ!」

 

俺は向かって来た集団一人一人に打撃を浴びせる。

集団は次々に倒れていき、僅か数分で全滅。

 

「貴方のその強さ……隊長を思い出させる……本当に頭にくる!」

 

すると心咲が斬りかかって来た。

 

「おい、心咲!俺だよ!琥珀だって!」

 

俺は剣を躱しながら必死に弁解する……が

 

「黙れ!この偽者がッ!」

 

火に油でしたぁ……。

 

「援護します!心咲さん!」

 

すると薄紫の子が加勢に来た。

 

「愛宕様の火!」

 

すると薄紫の子の肩から先にかけて炎が彼女を覆う。

あの炎は不味い、俺の勘が言っている。

 

「やれやれ」

 

俺は1度距離を取ってその合間に武器を具現化。

両腕には少し大きめの2つの三角定規。

 

「しょうがないから少し寝ててくれ」

 

「貴方がね」

 

背後から気配。

金髪の子だ。

――瞬間移動系能力だと仮説。

 

すると金髪の子には扇子が持たれている。

あれも不味いな。

俺は能力で彼女の背後に移動。

扇子を回避。

 

「なッ!?」

 

「油断大敵だぜ?金髪ちゃん」

 

俺は彼女の背中に斬撃を繰り出す。

 

「カハッ!」

 

彼女はそのまま倒れて行く。

俺は彼女が地面につく前にキャッチ。

そのまま寝かせる。

 

「次は誰だ?」

 

「姉さん!……貴様ァ!」

 

今度は薄紫の子が突進してくる。

 

「一つ教訓だ、どんな時にも冷静にな?」

 

俺は怒りで単調になった攻撃を躱し、彼女の腹に打撃を一撃繰り出す。

 

「ガッ!」

 

そのままキャッチアンドリリース。

残るは心咲だけだ。

 

「よくも二人を……許さん!」

 

瞬間、体の異変に気付く。

動けない。

“制限”されたか……。

 

「相変わらずな能力だ……なら俺も正当防衛だ」

 

俺は能力を使用。

【心咲は今すぐ寝る】嘘を【本当】に。

 

「ッ!」

 

心咲はそのまま倒れて行く。

勿論キャッチ。

そして寝かせる。

 

「フゥ……終わった」

 

「琥珀ー!こっちは大丈夫よ!」

 

向こう側も終わったようだ。

良し帰ろう。

 

「また来るぜ、心咲」

 

最後に言い残し、俺は地上に帰った。

今夜はお月見だな。

 

 

 

 




はい、どうもお疲れ様でした
何か雑になってしまってすみません
疲れが…
琥珀「言い訳すんなし」
あ、はい、すみません
琥珀「分かればよし」
それでは次回も、のんびりしていってね


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第5回キャラ紹介

はい、どうものんびり+です!

~雑談~
時に皆さん、皆さんは東方BGMで好きな曲はありますか?
琥珀「お前はどうなんだよ?」
いや、BGM聞きながらこれやってたんですが、メイドと血の懐中時計って良い曲ですよね
琥珀「そうか、俺は妹紅のテーマとか良いと思うぜ」
月まで届け、不死の煙か、良い曲だよね
琥珀「て言うか東方のBGMは大体良曲だろ?」
それなw
それでは皆さん、今回も
「「のんびりしていってね」」


名前・魂魄妖忌(こんぱくようき)

 

種族・半人半霊

 

能力・剣術を扱う程度の能力

唯の剣術と思わない方が身の為

妖忌は剣の達人で、斬れないものは殆ど無く、1説では時を斬った事もあるらしい

 

見た目・調べよっか?ーーって痛い!ごめん嘘だって!ゴホン、長い白髪を後ろで纏めており、身体には傷痕が多々ある。二刀流である。

 

性格・冷静で真面目

 

好きな物・座禅、平穏

 

嫌いな物(苦手)・伝言

 

二つ名・白玉楼の庭師、二刀流の老人

 

 

名前・西行寺幽々子(さいぎょうじゆゆこ)

 

種族・亡霊

 

能力・死霊を操る程度の能力

元々幽々子が持っていた能力

具体的な使用は無いが、冥界の管理に適しているらしい

その名の通りに死霊を操るなら確かに冥界管理に適していると言える

 

死を操る程度の能力

幽々子が西行妖の影響で覚醒させた能力

西行妖と同じで生物の死を操ると言う何とも危険な能力

生前は制御が出来なかったが、亡霊になってからは制御が出来るようだ

 

 

見た目・幽々子さんどす。ピンクの髪をしていて、大食いなのにスリムな身体である

 

性格・のほほんとしていて温厚

 

好きな物・食べる事

 

嫌いな物・束縛

 

二つ名・亡霊の姫君、ダイ〇ン

 

 

名前・四季映姫・ヤマザナドゥ(しきえいき・やまざなどぅ)

 

種族・閻魔

 

能力・白黒はっきりつける程度の能力

文字通りの能力。この能力を使って判決を下すとされ、1度はっきりつけられた罪状は覆せない。

 

見た目・ヤマ☆ザナ☆ドゥ!実は背は結構高いらしい。緑の髪に笏がトレードマーク

 

性格・潔癖で真面目、完璧主義者…慌てると面白い

 

好きな物・はっきりする事

 

嫌いな物・優柔不断

 

二つ名・楽園の最高裁判長、説教閻魔

 

 

名前・綿月依姫(わたつきのよりひめ)

 

種族・月人

 

能力・神霊の依代となる程度の能力

八百万の神をその身に宿し、力を使役する事が可能

 

見た目・依姫ですー。薄紫のポニーテールに赤い瞳

 

性格・真面目でプライドが高い

 

好きな物・柑橘系

 

嫌いな物・不真面目

 

二つ名・神霊の依り憑く月の姫、依り所(仮)

 

 

名前・綿月豊姫(わたつきのとよひめ)

 

種族・月人

 

能力・海と山を繋ぐ程度の能力

海が月、山が幻想郷らしい

どこでも移動可能で、月と幻想郷を行き来出来る事がミソだ

 

見た目・豊姫です!髪も目も金です

 

性格・自由人でマイペース

 

好きな物・桃

 

嫌いな物・面倒事

 

二つ名・海と山を繋ぐ月の姫、桃姫

 

 

おまけ

西行妖(さいぎょうあやかし)

 

種族・妖怪

 

能力・死を操る程度の能力

幽々子と同じ

 

概要・人の精気を吸って妖怪と化した桜

その妖力は凄まじく、修業前の琥珀と同等以上。

琥珀によって封印され、白玉楼に移された。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

N+「お疲れ様でしたー!この後は恒例の茶番になります。のんびりしていってね」

 

茶番「対決! 幽々子」

 

 

 

 

今は秋。

皆は秋と言えば何を思い浮かべるだろうか?

山を染め上げる紅葉?

よく、秋と言えば良く食欲の秋と言うが、春夏秋冬食欲全開の奴もいた。

冥界に。

 

 

N+「さぁやって来ました! 第1回幽々子と大食い対決!

実況は私、のんびり+が務めさせて頂きます!

おーっと、どうやら始まるようです!

今大会のルールは、琥珀チーム3人vs幽々子で、先にギブアップした方の負けになります!琥珀チームは3人の内1人がギブした場合、2人目に受け継ぎになり、1度ギブしたらもう参加は出来ません!」

 

 

妖忌「それでは始め!」

 

N+「始まったー!」

 

 

琥珀・幽々子「ガツガツ」

 

N+「両選手勢い良くスタート!

琥珀選手、以外と幽々子選手についていってる! 凄いぞ!」

 

琥珀(ちょ……キツい……幽々子は……って! 早!? ラーメンもう3杯目!?)

 

N+「おーっと琥珀選手ペースダウンだー!

幽々子選手の勢いはおさまる事を知らない! 凄過ぎるー!」

 

琥珀「あの、もう無理っす……」

 

N+「ここで琥珀選手ダウン! 映姫選手にバトンパスだ!」

 

映姫「仕方が無いですね」

 

N+「お!? 早い! 映姫選手意外にも早い! そしてめっちゃ行儀が良い!」

 

N+「一方幽々子選手は……何と! もう10杯目!次元が違う!」

 

映姫「琥珀さんが私に繋いだバトン……ここで絶やさせない!」

 

N+「ッ! ここで映姫選手のスピードアップが来た! あの映姫選手が! 唯ラーメンをすする事に命(体重増加)をかけている!」

 

琥珀「映姫……ッ!」

 

映姫「ガツガツ」

 

N+「此処で琥珀選手と合わせて7杯目だァ!」

 

映姫「……ッ!ゲホゴホッ!」(むせた)

 

琥珀「映姫ッ!」映姫の元に駆け寄る。

 

映姫「皆さん……後は……頼み……ま……す……」カクッ

 

琥珀「映姫ぃーー!!」

 

豊姫「映姫! あなたの覚悟……私が引き継ぐ!」

 

N+「琥珀チーム最後の1人、豊姫の登場だァ!」

 

豊姫「ガツガツ」

 

N+「こ、これは! 早い! 早いぞ! 豊姫選手!」

 

幽々子「フゥ、ちょっと休憩」

 

N+「ここで幽々子選手のインターバルだ! 追い付くならここしか無い!」

 

琥珀「いける……いけるぞ! 豊姫!」

 

豊姫「ガツガツ」

 

N+「後2杯で幽々子選手に追い付くぞー!」

 

豊姫(琥珀の意志を……映姫の覚悟を……私が繋ぎ止める!)ガツガツ

 

N+「つ……ついに!」

 

琥珀・豊姫「「いっけぇぇぇぇぇ!!」」

 

N+「追い付いたァァァァ!」

 

琥珀チーム「「「ヨッシャーー!」」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

第1回幽々子と大食い対決!

 

結果

 

琥珀チーム

17杯

 

幽々子

32杯

 

 

 

 




はい、お疲れ様でした
ご意見ご要望有ればお願いします
それでは次回も、のんびりしていってね


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

ぶらりのんびり旅③
第27話 紫の手伝い


はい、どうものんびり+です
今回ものんびり会です
それでは今回も、のんびりしていってね


 

俺は今ある空間の中に居る。

その空間とは、一言で言うと“時間の概念が無い空間”だ。

この空間内にいる間は、外からの時間の影響を受けない。

そして俺が何でこの空間に居るかと言うと……

修業だ。

 

幽々子との一件で俺は自分の無力さを知った。

俺が不甲斐ないばかりに幽々子は死んでしまった(冥界でピンピンしてるけど)

兎に角、俺はもう辛い思いはしたく無いしさせたく無い。

だから俺はもっと強くなろうと思ったのだ。

この空間に入ってどのくらい経ったか……。

分からないが相当長い事此処に居たのは確かだ。

もう良いかな?

目標としては西行妖に負けないぐらいだけど……。

 

考えても仕方が無いので、俺は外に出る事にする。

 

だが、ただでは出れないこの空間!

俺は自分の成長が分かるようにこの空間に細工した。

この空間から出る為には、修業前の俺の霊力の限界を越えなければならない。

これで俺がどれだけ成長したかが分かる。

 

「フフ、行くぜ!」

 

俺は独り意気込んで、霊力を半分程開放する。

すると急に周りが真っ白になり、気付くと森の中に居た。

 

つまり、今の半分の力で前の限界を越えたのだ。

 

「流石俺!」

 

前よりも格段にパワーアップしている!

 

「んっんー、実にいい気分だ、歌の1つでも歌いたい」

 

「歌えば良いじゃない」

 

「そうだな、1番琥珀!孤独月!泣かない約束した♪って違う!紫!急に来んな!」

 

「えー、ちょっとくらい良いじゃないかぁ」

 

「何でやねん!……はぁ、で?何の用だ?」

 

「流石琥珀ね、ナイスツッコミよ」

 

「まぁな」

 

「で、用なんだけどね、簡単に言うと、陰陽師とかの相手しといてくれない?」

 

「陰陽師ねぇ……それまた何で?」

 

「有望株を見つけたのよ」

 

「ふ~ん、まあ良いぜ、肩慣らしに丁度良い」

 

「ありがとう、じゃ行ってらっしゃい」

 

地面がスキマに変化し、琥珀はそのまま落下する。

 

「イテキマース」

 

琥珀はスキマの彼方へと消えていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――と言う訳で、急に草原に飛ばされました。

そして眼前には、十数人の陰陽師らしき人達とぼろぼろの九つの黄金の尻尾を持つ少女の姿が。

 

紫が言ってたのはあいつか……。

 

俺は少女を背に、陰陽師達の前に立ち塞がる。

 

「何だ貴様は!?」

 

「何、通りすがりの旅人さ」

 

「そこを退け!邪魔立てするなら貴様諸とも叩きのめすぞ!」

 

「大人がこぞって少女に乱暴するのを見逃せと?残念、俺はそんなに酷くは無い」

 

「ならば貴様も妖怪と見なす!くたばれぃぃ!」

 

陰陽師の1人が杖のような物を琥珀目掛けて降り下ろす。

 

パシッ

 

琥珀はそれを片手で受け止める。

 

「!」

 

「やれやれ……全員少しお昼寝タイムだ」

 

そこからは一瞬だった。

 

電光石火の如く琥珀は陰陽師一人一人に手刀を浴びせる。

 

琥珀のお仕事修了。

 

「紫、出てきて良いぞ」

 

琥珀が独り呟く。

 

「ありがとう、琥珀」

 

と、いつの間に居たのか紫が現れる。

 

「じゃあな、後は自分でやっとけ」

 

「えぇ、ありがとう」

 

俺はそう言うと、その場から去って行った。

 

 

 




はい、どうもお疲れ様でした
短いですね…
もし、「おい、テメー唯でさえ下手な文なんだから量くらい積めや」
と言う方はどんどん言って下さい
頑張りますので!
それでは次回も、のんびりしていってね


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第28話 紫の手伝い②

はい、どうものんびり+です
今回ものんびりやっていきますよ
それでは今回も、のんびりしていってね



どうも、琥珀だ

俺は今日も旅をしている。

それにしても最近髪が伸びてしまった。

肩ぐらいまであるぞ……。

よし、切ろう。

 

俺がハサミを具現化して髪を切ろうとした時、

 

「琥珀殿、お話があります」

 

突如として背後から聞こえる声。

バサッ。

……前髪切りすぎちゃった☆

 

「……誰だ?俺の散髪の邪魔をしたのは!」

 

俺が後ろを向くと、九つの黄金の尻尾をなびかせる少女の姿。

 

「ん?君は……!あの時の!」

 

思い出した。

紫に頼まれて助けた狐の妖怪だ。

かれこれ2、3年前かな?

 

「はい、八雲藍(やくもらん)と申します、宜しくお願いします」

 

「俺は琥珀だ、宜しくな藍」

 

「はい、宜しくお願いします」

 

俺と藍は握手を交わす。

 

「後、敬語外して良いぞ?俺は堅苦しいのは苦手なんだ」

 

「……分かった、これで良いな?」

 

「ああ」

 

「では用件を言おう、紫様が手伝って欲しい事があるようだ」

 

「やれやれ……分かった、行こうか」

 

俺は藍についていく。

 

 

 

 

 

 

「来たわね」

 

俺は藍に連れられ紫の所までやって来た。

 

「で?何の用だ?」

 

「琥珀……貴方、女の子みたいよw」

 

紫が目から涙を出して大笑いしている。

 

「言うな!切ろうとしてたら藍が来たんだ!」

 

「まあ用と言うのはね」

 

急に本題に入るスタイルである。

 

「幻想郷を囲う結界を張ろうと思うわ」

 

「……結界ね……成る程」

 

幻想郷の事は紫と念入りに計画を作っている。

そして計画では、幻想郷の場所が決まったら結界を張ると言う順だ。

 

結界は2つ張る予定で、1つは“幻と実体の境界の結界”。

これは一言で言うと、“現実の世界”と“幻想郷”を隔離しようと言うものだ。

理由は省くが、まあ1つとしては人と妖怪の共存と言うのが大きい。

幻想郷は人と妖怪が共存出来る場所だ。

だから今の“場所”を“幻想郷”に変える必要がある。

要するに“人と妖怪が共存出来る専用の場所”を創る。

さらに付け加えると、この結界により、現実世界で忘れられたもの。

つまり幻想になったものを自動的に幻想郷に送り込む。

これにより、現実世界での生活が厳しくなった妖怪達を幻想郷に引き込む。

これがこの結界の役割だ。

 

もう1つは“博麗大結界”。

この結界の役割は、現実世界と幻想郷との行き来をほぼ不可能にする事だ。

これにより、幻想郷の秩序を守り、現実世界からの幻想郷への介入を阻止する。

まあ、ほぼ不可能と言うだけで完璧にと言う訳では無い。

例えば、能力を使ったり、力ずくで破壊したり……。

だがそんな芸当が出来る者は少ない、相当な手練れで無くては先ず無理だ。

そしてこの結界を張る上で大切な事がある。

それは、博麗の巫女、博麗神社とその周辺の木々だ。

博麗の巫女と協力し、博麗神社周辺の木々を境界とし、結界を張る。

因みに、まだ博麗神社も無ければ博麗の巫女も居ない。

 

「分かった」

 

「ありがとう、じゃあ配置について」

 

紫の言葉で、俺と藍はそれぞれ場所へと向かう。

結界は幻想郷全体を囲う必要がある。

だから規模もそれなりだ。

 

俺は配置につくと、目を瞑り、手を前へかざす。

すると、そこから蒼い線のようなものが、円を描くように走り出す。

やがて蒼い線は、幻想郷を1周する。

すると蒼い線の他に紫色の線も現れ、再び円を描くように幻想郷を1周する。

そんな状況が暫く続く。

すると、線がどんどん光を帯び始める。

光は強くなっていき、やがて辺り一面を光が包み込んだ。

目を開けると、確かに“幻想郷”が目の前にあった。

「成功だな」

俺は問題が無い事を確認して、紫の元に向かった。

 

 

 

「成功して良かったわ」

 

「そうですね」

 

「お疲れー」

 

「ああ、全くだ」

 

「そうね」

 

「何だ何だ?この程度で音をあげるとは情けないぞ?」

 

「「貴方(琥珀)が異常なのよ(なんだ)」」

 

息ピッタリだね。

良い事だ。

 

「後は博麗大結界ね……」

 

「どうすんだよ?」

 

「後でで良いじゃない?」

 

「そうだな」

 

「琥珀、そろそろ髪戻したら?」

 

「あ!忘れてたぜ」

 

俺は急いで髪を元に戻す。

 

「また琥珀の変な髪を見たいわねぇ」

 

「そうですね」

 

「絶対に見せないからな!」

 

 

そしてこの日は、紫と藍と一緒にご飯を食べて、お酒を飲みました。っと

あれ?作文?

 

 

 




はい、お疲れさまでした。
短めでも、良いんじゃないかな(開き直り
それでは次回も、のんびりしていってね


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

ぶらりのんびり旅~西洋の紅い屋敷~
第29話 海外来ました


はい、どうものんびり+です。
懺悔コーナー
評価して下さった方、わざわざありがとうございます。
私はアドバイスに従い今日は編集と勉強してました。
私はまだまだヒヨコですが、少しずつ上達していけたら良いと思います。
それでは今回も、のんびりしていってね


「出来たな……」

 

俺は独り呟く。

俺は今、とある森の中にいる。

何故1人でこんな所にいるのかと言うと、博霊神社を創る為だ。

昨日の夜、紫から

 

「琥珀、博霊神社創っといてくれない?」

 

――と、唐突に言われたからだ。

やれやれだぜ。俺は愚痴りつつも、今さっき能力で博霊神社を創り終えた所だ。

 

「これで文句ないだろ?」

 

俺が言うと

 

「ええ、流石琥珀ね」

 

目の前にスキマが現れ、紫が顔を覗かせる。

 

「それで?肝心の巫女はどうするんだ?」

 

神社があっても巫女さんが居なくては意味が無い。

というか神社なら奉る神様も必要だろ……。

 

「巫女は私が何とかするわ、それから……」

 

紫は笑顔で右手人差し指を俺に向けて言う。

 

博霊神社(ここ)の神様は貴方よ!」

 

「……はい?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――という訳で博霊神社の神になったった琥珀だ。

俺は巫女さんが見つかる迄は旅を続ける。

巫女さんが見つかり次第、俺は巫女さんの先生だ。

俺がそんな事を考えて歩いていると、俺は森を抜けた。

そして、目の前には一面の青が広がっている。

 

「……海か」

 

俺はついに海まで来たぞ!

ちょっとした喜びを味わいながら俺は空へと飛翔した。

 

「海外突入だー!」

 

俺は真っ直ぐと飛んで行く。

 

 

――暫く飛ぶと、少し先に大陸を発見した。

 

俺は大陸に速度をあげて向かう。

そして、

 

「上陸!」

 

俺は地上に降りた。

降りた場所は皆大好き森の中だよ。

俺は、初海外旅を楽しもうと歩き出した。

 

 

 

 

……しかし、俺は重大な失敗(ミス)をした。

忘れていたのだ。自分の性質(スキル)を。

 

もう日は沈みかけていて、うっすらと星が見える。

そんな空を見上げながら、俺は言う。

 

「俺……迷うの好きだよな……」

 

どうして俺は迷うんだ?

妖怪のせいなのか?

俺はそんな馬鹿らしい事を考えてながら、森の中を彷徨っていた。

かれこれ数時間……疲れた。

暫く歩くと、俺は森を抜ける事に成功した。

 

「やったね」

 

俺は森を抜けた達成感に浸る。

この喜び……例えるなら二度寝できるくらい嬉しい。

 

俺が辺りを見回すと、少し先に大きくて、それはそれは紅い屋敷があった。

 

「何だ?あの真っ赤な屋敷は……でもラッキー!」

 

あそこに泊めてもらおうと思い、俺は歩を屋敷に進めた。

 

門の前まで来ると、門の横には門番であろう緑を基調としたチャイナドレスに、頭には星の中に龍の文字が入った帽子を被った女性がいた。

 

「あの、すみません」

 

俺は女性に声を掛けるが反応が無い。

 

「あの!すみません!」

 

俺は少し声を上げて言う――が、反応はやはり無い。

俺は不審に思い、女性に近付いて見る。

女性の顔を覗いて見ると、女性はグッスリとした面持ちで熟睡中のようだ。

 

「立ったまま寝てるよ、この人」

 

俺は少し呆れ気味に言う。

すると女性は唸り声をあげながら、パチリと目を開いた。

 

「うぅん……貴方は?」

 

女性は俺を見るなり尋ねて来た。

 

「俺は旅の者だ。出来ればこの屋敷に泊めてもらいたいのだが……」

 

「……貴方、人間ですよね?」

 

女性が聞いてきたので

 

「ああ、そうだ」

 

俺は答える。

妖怪だと思って警戒したのかな?

もっとも、この女性は妖怪のようだが。

 

「待ってて下さい、今確認を取って来るので」

 

そう言って女性は屋敷へと姿を消した。

暫くすると女性が帰って来た。

 

「許可が下りましたので案内しますね」

 

どうやら泊めてくれる様だ。

此処の主人はよっぽど優しいんだな。

俺は女性について行った。

 

屋敷は外見だけでは無く、内側も見事に真っ赤っか。

此処の主人は赤が好きなのかな?

すると、ある部屋の前まで案内される。

 

「この先にお嬢様が居りますので、どうか粗相の無いようお願いしますね」

 

「分かった、ありがとうな」

 

俺に言うと女性は去って行った。

俺はドアをノックする。やっぱノックは大事。

すると中から返事が聞こえた。

俺はドアを開けて中に入った。

すると中には、大きなソファーに腰かけた少女の姿があった。

ピンクの衣服にナイトキャップを被り、背中に生えた悪魔羽は、少女が人間では無い事を露にしている。

 

「まあ座れ」

 

少女が言う。

見た目は幼いが、中々の威厳がある。

俺はもう一つのソファーに座る。

 

「お前、今晩此処に泊めてほしい様だな」

 

少女が言う。

 

「ああ、その通りだ」

 

俺は粗相の無いようにと言われた事を思い出す。

敬語忘れてた……。

 

「ならば条件がある」

 

少女はそんな事気にしない様に言った。

 

「お前の血をもらおうか」

 

少女は口元の牙をちらつかせて言う。

 

「ああ、分かった」

 

俺は了承する。すると、少女は少し驚いた様に目を丸くする。

しかし、直ぐに元に戻し、俺に近寄って来る。

 

「では頂こうか」

 

少女の牙が俺の首に刺さる。そこからチュウチュウと音をたてて吸血をし始める。

……何だろう。何か変な気分になるな。

 

暫くすると、少女は満足そうな顔をしてソファーに戻った。

そして言った。

 

「貴方……行く宛はあるの?」

 

何時の間にか口調が外れていた。

これが少女の素のようだ。

 

「いいや、無いぞ」

 

「……なら此処に住まない?」

 

俺は驚いた。何故急にそんな事を言い出すのか。

しかし、行く宛が無いのは本当なので、断る理由は無い。

 

「じゃあ、暫く世話になるな?」

 

「フフ、ええ。私はレミリア・スカーレットよ、貴方は?」

 

少女は笑みを作り、俺の名を尋ねた。

 

「俺は雨宮琥珀だ。宜しくな、レミリア」

 

「ええ、宜しく」

 

 

 

こうして俺は、暫くの間この屋敷に世話になる事になった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




裏話

レミリア(――!?美味しい!何この味、癖になるわね。もうちょっと、もうちょっと)

琥珀(結構吸うな。食べ盛りだからかな?)



はい、お疲れ様でした。
アドバイス、ご意見、ご要望あればおねがいします!
それでは次回も、のんびりしていってね


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第30話 地下の少女

はい、どうものんびり+です。
この話にはオリジナル成分が含まれてます。(ずっと前から)
今回も、のんびりしていってね。


俺が目を覚まして、最初に目に入ったのは赤い天井だった。

俺は昨日から、この紅魔館で世話になる事になった。

俺はベッドから出て、大きく背伸びをする。

そして、俺はタンスの中にある燕尾服を着用する。

何故なら、昨日レミリアからこんな事を言われたからだ。

 

「そうだ琥珀、この紅魔館に居る間貴方にやってもらいたい事があるわ。一つは、貴方には執事をやってもらうわ、明日からね。

もう一つは、偶にで良いから血を提供してくれると助かるわ」

 

という訳で、今日から執事だ。頑張るぞい!

俺は朝食を作る為にキッチンへ向かう。

 

今日の朝食は無難にクロワッサンとベーコンエッグだ。

手抜きじゃあ無いぞ。決して。

俺は朝食が出来た事を知らせる為にキッチンを後にする。

 

「美鈴、朝食だぞ」

 

「……はぁい」

 

ドアの向こうから気の抜けた声がする。

まだ眠たいんだろう。

その彼女の名は紅美鈴(ほんめいりん)。此処の居眠り門番だ。

俺は美鈴の部屋を去り、次の目的地に向かう。

 

「失礼するぞ」

 

俺は大きめの木のドアを開けて中に入る。

先ず目に付くのは、ただでさえ広いこの部屋全体を覆い尽くす無数の本棚。

そんな光景に少し気後れしながら、俺は歩き出す。

 

「パッチェー、こあー、朝食出来たぞー」

 

「その呼び方はやめなさい!今行くわー」

 

本棚の奥の方から声が響く。

此処に居るのは、研究大好き魔女ことパチュリー・ノーレッジとその使い魔の小悪魔(こあくま)、二人共名前が長いので、俺はパッチェとこあというニックネームを付けた。

二人共気に入っているようだ。

 

俺は用を済ませてキッチンへ戻ろうとパッチェの図書館を後にする。

だが、俺がふと横を見ると、其処には地下へ続く階段が見えた。

レミリアからはただの倉庫だと言われたが……気になる。

何というか、こう、引き寄せられる感じだ。

俺は何かに誘われる様に地下へと降りて行った。

 

階段を下ると、鉄で出来た如何にも頑丈そうなドアがあった。

そのドアを開ける為には南京錠を解かなくてはならなかった。

俺は能力で南京錠を解除。

ギギギという重苦しい音と共にドアを開け、中を見る。

正面には赤いベッド、部屋には白い綿が散乱していて、所々に壊れた人形が置いてあった。俺が部屋を物色していると幼い声が聞こえた。

 

「あなたはだれ?」

 

俺が前を見ると、ベッドの奥から少女が出てきた。

金髪にナイトキャップ、背中には宝石のような物がついた翼。

どこかレミリアに似た感じがする。

 

「俺は此処の居候さ。琥珀って呼んでくれ、君は?」

 

俺が尋ねると少女は微笑んで答えた。

 

「私はフランドール・スカーレット!フランって呼んでね」

 

スカーレット……つまりこの少女はレミリアの妹か?

でもそんな事俺は聞かされていない。

それに何故この部屋を秘密にした?

これは裏がありそうだ。

 

「なあフラン、お前ずっと此処に居たのか?」

 

「うん、そうだよ……かれこれ二百年くらいかな?」

 

一体何があったのか、俺が聞こうとした時、フランの言葉で遮られる。

 

「ねえ琥珀、私ね、ここ最近暇だったの。だから遊んで?」

 

……仕方ない。俺は先ずフランと遊ぶ事にした。

 

「ああ良いぞ、何して遊ぶんだ?」

 

俺が言うとフランは嬉しそうな顔をして言った。

 

「琥珀を壊すの!」

 

そう言ってフランは右手を前に差し出し、何かを握り潰すように手を握る。

 

その瞬間、俺は頭が真っ白になって地面へと仰向けに倒れる。

 

――あれ?一体何が……。

 

体が動かない。体が熱い。息がしずらい。

するとフランが顔に笑みを浮かべながら近付いて来た。

 

「キャハハ、真っ赤だ!真っ赤!」

 

その様子を一言で言うなら、狂っていた。

 

「琥珀、ホラホラ、もっと叫んで?もっと楽しませてよ!」

 

そう言ってフランは左手を俺の腹に突き刺す。

 

「ガハッ……グッガアァァ!」

 

俺は苦痛に顔をしかめ、うめき声を上げる。

 

「フフ、良いよ琥珀、その調子!」

 

そう言ってフランは、俺の血で染まった自分の左手をペロリと舐める。

 

「うぅぅん!美味しいよぉ、琥珀の血ぃ」

 

フランは惚けた顔で言う。その顔と声は見た目に添わぬ色気を醸し出している。

――このままでは不味い。俺は能力を使い、傷を癒すとフランから距離をとる。

 

「わー!すごい!元に戻っちゃった!」

 

フランは拍手をしながら楽しそうに言う。

 

「……やれやれ、これが原因か」

 

今のフランの異常性。これがフランの秘密であろう。

話は後でレミリアから聞くとして、今は

 

「悪いが正当防衛だからな?」

 

フランをどうにかしなくては。

 

 

 




はい、どうもお疲れ様でした。
次回ものんびりしていってね。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第31話 地下の少女②

はい、どうものんびり+です。
今回も、のんびりしていってね。


此処はある屋敷の地下。そこには、激しい爆発音のような轟音と、少女の笑い声が響いていた。

 

「キャハハ、楽しいねぇ!琥珀!」

 

「いや、全然」

 

俺はフランから繰り出される激しい弾幕の群れを、右へ左へと移動しながら躱す。

 

「フフ、ならこれはどう?」

 

フランの手には、ねじ曲がった杖のような物が握られている。

すると、その杖のような物は炎を帯び大きな剣の様になる。

そしてフランは、その剣を振り回しながら俺へと飛び掛かって来た。

俺は即座に武器(物差し)を出して、フランの炎の剣を向かい撃つ。

ガキン!と金属がぶつかり合う音が響き渡る。

俺はそのまま右足を隙だらけのフランのボディに叩き込む。

グエッ!と苦しそうな声を上げながらフランは上へと吹っ飛んで行き、あまりの勢いに天井の壁にめり込んだ。

ガラガラと天井の壁が一部崩れ、フランは壁達と一緒に地に落ちる。

 

「おっと、いけないいけない」

 

俺は能力で、壁の破壊を(なかったこと)にする。

泊めてもらっている屋敷を壊す訳にはいかない。

 

俺が壁を直すと、フランはゆっくりと立ち上がり、鋭く紅い眼差しで俺を見据え言った。

 

「もう頭きた!お前何か要らない!壊してやる!」

 

すると右手を前に差し出した。

あの構えは、先程俺を一瞬にしてボロ雑巾に変えた技だ。恐らくフランの能力だろう。能力には能力で対応だ。俺はフランよりも早く能力を使った。

 

【あらゆる現象、事象、概念に干渉されない】嘘を【本当】に。

 

これは俺が西行妖の時にも使った(効力)だ。

これで俺には、如何なる現象だろうが事象、概念だろうが干渉されない。まあ、無敵状態という事だ。

基本的に一度吐いた嘘(使った能力)は、効果を持続させる事も消す事も出来る。西行妖の時に一度使って、その時に効果を消したのだが……。

今回のような事が起きない為にもこの効果は持続させるべきだな。

俺がそう決心し終わると、フランの右手は握りしめられた。

――が、俺に異状は無い。

するとフランは目を見開いて言う。

 

「……何で壊れないの?」

 

「“防いだ”からな」

 

俺が言うと、フランは口を尖らせ、不機嫌そうに言った。

 

「……あっそ。……気に入らないわね、貴方」

 

正直、今俺は滅茶苦茶傷付いた。

だって気に入らないって……。

だが、今は(ヘコ)んでいる暇は無い。

 

フランは異常だ。

狂気に満ちていると言っても過言では無い。

元々こんな感じなのか、普段は違うのか。

どっちにしろ、今のフランには少々“教育”が必要だ。

俺はフランに問いてみた。

 

「なあフラン、お前はさっきから“壊す”と頻繁に言っているが……壊すって何だ?」

 

俺が言うと、フランは変わらぬ面持ちで言った。

 

「別に、壊したいから壊すのよ。普通の事でしょ?」

 

「……お前は壊す事に罪悪感を感じるか?」

 

するとフランは不思議そうな顔をして言った。

 

「何で?感じた事なんて無いわ」

 

……これは難しいな。

俺が思うにフランは、純粋で無知、それでいて情緒不安定。

さて、どうしたものか……。

俺がどうしようか迷っていると、突如として声が聞こえてきた。

 

「琥珀……これはどういう事かしら?」

 

……やっべぇ。レミリアの事忘れてた。

俺がゆっくりと後ろを見ると、そこには明らかに怒った様子のレミリアの姿があった。

 

「えっと……これはだな……」

 

何て言えば良いんだ?

俺は必死に言葉を探す。

 

「あっ!お姉様!」

 

するとフランは、俺の事など忘れた様に嬉しそうにレミリアに駆け寄る――が、「駄目よ、フラン」

レミリアの言葉でフランは停止する。

 

「……ごめんなさい、お姉様」

 

そう言ってフランはベッドに戻って座ってしまった。

俺はレミリアに「行きましょう」と言われ、地下を後にした。

 

 

 

 

――此処は紅魔館のリビング。

長方形のテーブルの左右の背もたれ付きの椅子に美鈴やパチュリー、小悪魔といった紅魔館メンバーに琥珀、そして奥にはレミリアが座っていた。

 

 

「こうなってしまっては仕方ないわね……」

 

レミリアが口を開いた。

 

「貴方にも話しておくわ、私達姉妹の過去を」

 

そしてレミリアは語り出した。

 

 

 

 

 

 

 




はい、お疲れ様です。
次回ものんびりしていってね!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第32話 小さな姉妹

はい、どうものんびり+です。
頭痛が引きました!
訂正。フラン達の歳を百では無く二百にしました。特に意味は無いですが。
と言う事で、今回ものんびりしていってね。


紅魔館の一室で、レミリアが語り出した。

 

「先ず、簡単にあの子の紹介をするわね」

 

レミリアは一息置いて言う。

 

「あの子の名はフランドール・スカーレット。私の妹よ」

 

そして、レミリアは顔つきを変えて言った。

 

「まあ、簡潔に言うわ……先ずあの子の能力は「あらゆるものを破壊する程度の能力」。そしてあの異常性は生まれ持ってのもの。それがあの子を地下へ閉じ込めた理由よ」

 

レミリアが言うと、琥珀は少し考える仕草をした後に、レミリアに続けるように促した。

 

「それじゃ、あの子を閉じ込めるに至った経緯でも話しましょうか」

 

 

そして、私は話す。過去にあった私達の物語りを。

 

 

――今から二百と数年前。私は当時五歳程だった。

私達が住むこの屋敷は紅魔館と呼ばれ、ここら一帯の人間や妖怪に恐れられていた。と言うのも、私のお父様ノーブル・スカーレットはその強さとカリスマ性から紅い王(スカーレットキング)として名を知らしめていた。

私はお父様から、スカーレット家の者は皆強く気高くなければならない、とよく教えられた。そしてお母様であるローズ・スカーレットからは、美しくおしとやかであるようにと言われ育てられた。私もいつかお父様とお母様のように、強く美しい存在になりたいと思っていた。そんなある時、私に妹ができた。

名はフランドール・スカーレット。お母様そっくりの金髪に、背中の宝石のような羽が綺麗な子だった。私は自分に妹ができた事が嬉しかった。

フランはすくすくと育っていき五歳になる頃、私は十歳になっていた。

だが、私には一つ心配な事があった。それはフランの異常性だった。

フランは情緒不安定で、普段からその片鱗が見て伺えた。

例えば、ある三日月の夜、妖怪が三匹紅魔館に侵入した事があった。

妖怪達はこの紅魔館に、肝試し感覚で侵入したのだろう。

私とフランが庭を散歩していると、妖怪達は急に襲いかかって来た。

するとフランが開いた右手を前に出して握りしめる仕草をする。

すると妖怪の一匹が、まるで水を限界以上に入れられた水風船の様に破裂した。

フランは返り血を全身に浴びて真っ赤に染まる。

そしてもう一度右手を前に出して言った。

 

玩具(オモチャ)は一つでいいよ」

 

妖怪は叫ぶ暇も無く、爆発四散した。

残った妖怪はへなへなと座り込んでしまった。その顔に絶望を宿して。

そこからは見てられなかった。

拷問なんてものが可愛く見えた。フランはあらゆる手段で妖怪を弄って叫ばせた。

妖怪の指を折る。腕を、脚を。目を片方だけ抜き取る。

その抜き取った目を妖怪自身に食べさせたりもしていた。

フランが遊び終わる頃には、妖怪は原型を留めておらず、バラバラの肉片と赤い血だけがその場に残っていた。そしてフランは私に、血塗れの笑顔で言った。

 

「面白い玩具だったね、お姉様」

 

その時私はフランを再認識した。その残酷な異常性を。

 

 

――そして事件は起こる。

事の始まりは些細な事だ。

フランのお母様への反抗。

どこの家庭でもあるような痴話喧嘩。

だが、違うのはその家庭が家だった事だ。

フランの勉強部屋にお母様が行ったきり帰って来ない。

私は様子見の為にフランの部屋に行った。

そしてドアを開けて私が見たものは、

血溜まりに倒れるお母様と、退屈そうにベッドに座るフランの姿だった。

 

「あ、お姉様!」

 

フランは私を見ると、私に駆け寄って来た。

目の前の光景にまともな思考が出来ない私だったが、私は一つフランに聞いてみた。

 

「……ねえ、フラン。お母様は……どうしたの?」

 

するとフランは、一度お母様を見て言った。

 

「えっとね、邪魔だったから殺しちゃった」

 

私はどういう事態か理解した。

その時私がフランに初めて恐怖を覚えた。

 

すると、異状に気付いたお父様がやって来た。

お父様は部屋の光景を見て驚きの表情を見せた。

そして、暫く考え込んだ後言った。

 

「……フラン、これはお前がやったのか?」

 

「うん」

 

「……何故だ?」

 

「邪魔だったから」

 

瞬間、乾いた破裂音が響く。

お父様の掌がフランの頬を叩いた音だ。

そして、お父様はゆっくりと言った。

 

「フラン、自分が何をしたか理解出来るか?」

 

するとフランは、お父様を睨み付けて言った。

 

「――お前も要らない」

 

するとフランは右手を前に出す。

危ない!と私が言うより早く聞こえた爆発音。

そこを見ると、左腕を無くしたお父様と、壊れた床、不機嫌そうなフラン。

私はもう何が何だかついていけなかった。

そこから、フランとお父様の“戦闘”が始まった。

親子喧嘩なんて生温(なまぬる)いものじゃ無い。

正真正銘の殺し合いだ。

殺意の籠った弾幕。蹴り。殴り合い。

私は唯呆然と、その様子を傍観する事しか出来なかった。

 

 

 

 

そして聞こえる大きな爆発音。

そこには煙が充満していて、何がどうなっているのかは確認出来ない。

暫くすると煙が晴れて、私が見たのは、ボロボロに倒れるフランとそれを見下すお父様の姿。

 

「すまないローズ、フラン。こうなったのは私の責任だな」

 

お父様は悲しそうに言う。

 

「フラン、本当にすまない」

 

お父様がフランにとどめを刺そうとする。

このままだとフランが死んでしまう。

それを悟った私の体は、私の意思とは関係無しに動いた。

 

 

 

――温かい液体の感触。

気が付くと私は……、私の腕は、お父様の胴体を貫いていた。

 

「あれ?……何これ……?」

 

血。お父様の。何で私の腕はお父様のお腹を貫通してるの?

何で?どうして?

 

私はお父様から腕を抜いて、ふらふらと後ずさる。

お父様は寂しそうな顔で私の瞳を覗いて、そのまま倒れて行った。

 

それっきり、お父様は動く事は無かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――それから数ヵ月後。

私はフランと相談し、フランを地下へと幽閉した。

フランは反対せずに地下へと行った。

 

私は誓った、必ず強くなると。

 

それから私は紅魔館の主として、強く気高い吸血鬼になるために努力を重ねた。

 

そして数年もすれば、私は紅い悪魔(スカーレットデビル)と呼ばれる様になる。

そして、私に挑んできた妖怪を門番にしたり、紅魔館の一部を魔女に提供したりした。

 

 

そして月日は流れて行き、現在。

 

 

 

「これが大まかな私達の過去よ」

 

そう言って私は、紅茶を少しだけ(すす)った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 




お疲れ様でした。
最近、1話から頑張って編集中です。疲れました。良かったら見直してみて下さい。
アドバイス、ご意見、ご要望あればおねがいします!
それでは次回も、のんびりしていってね。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第33話 フランと勉強

はい、どうものんびり+です。
今回ものんびりしていってね。


レミリアから過去の出来事を聞かされた俺は、昼食を作る為に再びキッチンに居た。昼食は炒飯(チャーハン)にしよう。

俺は五目炒飯調理の為、料理番組で良くやるようにフライパンを大きく振るった。

するとフライパン内の炒飯は勢い良く空を舞って、俺の顔面目掛けてダイビング。

 

「ちょっ!?タンマ!」

 

俺は急いで時間停止(ザ・ワールド)する。

あっぶねぇ、見よう見まねで出来る程甘くは無かったぜ。

俺は空中で停止したままの炒飯をフライパンに入れて時間を再生する。

……これも練習しておこう。

そうして俺は炒飯を皿に盛り付けた。

 

 

 

 

 

 

 

そして、昼食を食べ終わった俺は、食器を洗いながら考える。

フランの事だ。やっぱり知ったからには見て見ぬふりは出来ない。

それが俺だぜ。と言う事で、フランを何とか普通の子にして上げたい!

俺は手を拭いて、洗い終わったピカピカの皿を見ながら決心する。

 

 

 

 

――時は熟した。我、夜戦に突入す!

時刻は午後零時。今夜は満月、まさに絶好の団子日和だぜ。

地下へ続く階段を降りると、大きな鉄製のドア。

朝と同じように南京錠を解除して中に入る。

部屋を見ると、赤いベッドに座ったフランの姿が目に入った。

 

「やあフラン、また会ったね」

 

「あら、琥珀じゃない……どうしたの?」

 

フランはベッドから立ち上がって聞いて来た。

良かった、朝はいきなり爆破されたけど今は大丈夫そうだ。

俺はフランの質問に答える。

 

「フランさ、外に行きたいと思う事無いか?」

 

するとフランは少し曇った表情で言う。

 

「それはあるけど……ダメだよ。私は此処から出ちゃダメなんだ」

 

そんなフランに、俺は笑みを浮かべた顔で言う。

 

「フラン、俺は手伝うぞ。お前が此処から出るのを」

 

俺が言うとフランは驚いた様子で俺を見た。俺は続ける。

 

「俺に出来る限りの事はする。どうだ?やってみないか?」

 

「……私に出来るかな?」

 

細い声でフランが言う。

いくら狂気があると言っても、フランはまだ幼い少女だ。寂しいに決まっている。

俺はフランの頭に手を優しく置いて言う。

 

「きっと出来るさ。お前に変わる気があればな」

 

俺が言うと、フランは少しの沈黙の後に、顔を上げて言った。

 

「……やるよ。私、変わるよ!」

 

「よし、頑張ろう!」

 

 

そしてフランの、目指せ良い子計画が始まった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――あれから一ヶ月。俺は、フランに毎晩色んな事を教えた。

能力の制御、やって良いこと悪い事。破壊しか知らないフランに、俺が知る遊びを教えたりもした。そして今日は、俺がフランに与えた試練(テスト)の日だ。

今回は特別ゲストとして、レミリアを呼んである。これでレミリアに認めてもらえれば計画成功だ。

 

「フラン、準備は良いか?」

 

「うん、良いよ」

 

「よし、先ずは能力制御からだ」

 

これは、マネキンの手の上に乗ったビー玉を破壊でクリアだ。

一ヶ月前はマネキンごと粉々でしたよ、はい。

それではご覧下さい!フランのビフォーアフターを!

(あのBGMをイメージ。)

 

「……きゅっとしてドカン」

 

何と言う事でしょう。一ヶ月前はこれでマネキンは爆発四散していましたが、今爆発したのは小さなビー玉だけ。見事成功です。

 

「やったよ!琥珀!」

 

フランは無邪気に跳び跳ねて喜んでいる。

……癒されるわぁ。

 

次は道徳の問題。ぶっちゃけこれが出来れば問題は無いと思う。

俺が考えたテスト用紙をフランに渡す。

内容としては、主に思いやりについて確かめるものだ。

 

暫くして、テスト用紙を回収し、レミリアと一緒に見てみた。

結果は、合格だ。

何と言う事でしょう。

一ヶ月前のフランだったら、殺したり壊したりして解決するような問題も出したが、どれもなるべく平和的に解決する方法が書かれていた。

俺はレミリアを見る。

するとレミリアは目に涙を溜めて言った。

 

「フラン……貴女も成長したわね」

 

分かるぞレミリア。俺も教えた身として感動しているよ。

俺はレミリアに例の確認を取る。

そしてフランに告げた。

 

「フラン、この一ヶ月良く頑張った。……合格おめでとう!」

 

「……え?私――」

 

「合格よ、フラン。良く頑張ったわ」

 

被せる様にレミリアが言った。

 

「じゃ、じゃあ……」

 

「ただし、外出の時は私も一緒よ?」

 

そしてフランは、レミリアに抱きついた。

満面の笑みを浮かべて。

 

――俺はお邪魔だな。

雨宮琥珀はクールに去るぜ。

 

そうして俺は、地下を後にした。

 

 

 

 

 




お疲れ様でした。
イヤー、最近地の文を増やしていますが、どうでしょう?
なるべく努力してますが……むずかしいですね。
私には難し過ぎる!
……愚痴です。
次回で紅魔館は終わりです。
それでは次回も、のんびりしていってね。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

のんびり日常~幻想郷~
第34話 琥珀帰還


はい、どうものんびり+です。
今回ものんびりしていってね。


俺は鼻歌を歌いながら今日の夜ご飯を作っていた。

 

「っと、こんなもんか」

 

今日の夜はサイコロステーキだよ、俺特製のタレを付けて召し上がれ。

俺が料理が乗った皿を持って運ぼうとした時だ。

俺が良く知る気配がした。

 

「――何だ紫?また用事か?」

 

「……やっぱりバレるのね」

 

そんな声と共に俺の正面にスキマが表れ、中から紫が出て来る。

 

「久しぶりね、琥珀」

 

「まだ半年ぐらいだろ?」

 

「あら、それもそうね」

 

「で?何か用か?」

 

「あら、用が無かったら会いに来ちゃダメなの?」

 

「いや、そういう訳じゃ――」

 

「それで本題だけど」

 

紫が被せて言う。コイツ本当に人をおちょくるの好きだよな。

 

「博麗の巫女に適任な子を見つけたわ」

 

「……そうか」

 

「じゃ、待ってるわね」

 

そう言い残して、紫はスキマに消えた。

 

「さて、俺もそろそろ(さと)帰りしなきゃな」

 

料理を運びながら、俺はそう呟いた。

 

 

 

 

 

 

夜ご飯を食べ終わった所で、俺は皆に言った。

 

「皆、急だけど俺明日此処を出てくよ」

 

「――何で!?」

 

言ったのはフランだった。

例のテスト以降、俺はフランになつかれまくっていた。

お兄様!って呼ばれてるからね。可愛いよね。

俺はフラン、もとい皆に訳を話す。

幻想郷に帰り、博麗の巫女の面倒を見なくてはいけない事を。

すると、俺の訳を聞き終わったフランがレミリアに何か言っている。

そして今度はレミリアが皆に何か言っている。

暫くして、レミリアが俺に言った。

 

「ねえ琥珀、その幻想郷と言う所は人も妖怪も受け入れるのでしょう?」

 

「ああ、そうだ」

 

「なら、私達もその幻想郷に行って住んでも良いのよね?」

 

「……え?ま、まあ、お前らが良いなら……」

 

「じゃ、決定ね!」

 

今度はフランが嬉しそうに言う。

 

「良いのか?そんな簡単に決めて」

 

「良いのよ、吸血鬼は気まぐれなのよ」

 

レミリアは微笑んで言う。

 

「やれやれ、分かったよ」

 

仕方が無い。では紅魔館組の幻想郷入り……幻想入りとでも言うか、幻想入りを歓迎して……。俺は左腕を後ろに回し、右手を腹の前に持ってきてお辞儀しながら言う。

 

「ようこそ幻想郷へ。此処は全てを受け入れる所だ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――そして朝が来た。

紅魔館は、此方(こっち)の準備が整い次第俺の能力で移動させる事になった。

俺は皆に別れを告げ、能力で幻想郷へと帰還する。

すると目の前には、半年前に俺が創った博麗神社。

……と、箒を手に掃除をする、紅白の脇が丸見えの巫女服を着て、頭には大きな赤いリボンを着けた中学生くらいの少女が。

少女は俺を見ると少し驚いた表情を見せたが、すぐに元に戻り俺に駆け寄って言った。

 

「貴方が琥珀さんですね!?」

 

「え?お、おう」

 

「お待ちしてました!どうぞ中へ!」

 

俺はぐいぐいと背中を押されて社内へと連れられた。

 

 

俺と少女が向かい合うように座る。

そして少女が言った。

 

「初めまして琥珀さん!私は博麗霊陽(はくれいれいひ)と申します!」

 

「あ、ああ、俺は雨宮琥珀だ。宜しくな」

 

俺は少女、霊陽の元気さに気圧されつつ自己紹介する。

 

「はい、宜しくお願いします!」

 

俺は霊陽と握手を交わす。

 

「で、霊陽は誰から俺の事を聞いたんだ?紫か?」

 

「はい、紫さんが捨て子だった私を拾って下さったんです。そして紫さんから幻想郷の事やこの神社の事、貴方の事など色々と聞かされました」

 

……捨て子か。

博麗の巫女と言う役職上、それは妥当なのかもしれない。

けれど、霊陽は寂しかった筈だ。

少しでも楽になって欲しい。

そう思った俺は、霊陽に言った。

 

「霊陽、今日から俺とお前は同じ屋根の下で暮らす家族だ、遠慮はすんなよ?」

 

「……はい!ありがとうございます!」

 

霊陽は眩しい笑顔でそう言った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




はい、お疲れ様でした。
短くてすみません!
次回も、のんびりしていってね。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第35話 博麗大結界

はい、どうも、のんびり+です。
今回も、のんびりしていってね。


 

俺と霊陽の同居生活が始まって早三ヶ月。

俺は霊陽に出来る限りの事を教えた。

霊力の使い方、戦闘の基礎、美味しい団子の作り方等々。

霊陽は非常に飲み込みが早く、戦闘は大妖怪と互角くらい、団子はそこらの団子屋を軽く凌駕(りょうが)していた。マジ旨い。

そして、俺と霊陽の関係も深まった。

変な意味じゃ無いぞ?あれだぞ?家族的なあれだぞ?

それに霊陽が俺に惚れる訳無いじゃん。

 

「琥珀さーん、そろそろですよ!」

 

「ああ、今行くよ」

 

俺は霊陽に声を掛けられて外に向かう。

何故なら今日は、ついに博麗大結界を張る日だ。

もう少しで紫達がやって来る。

 

 

 

「私達は此処にいます♪」

 

「知ってた。はよ来いや」

 

何故かハイなテンションで、紫と籃がスキマから現れる。

 

「それじゃ、早速やっていきましょう!」

 

紫が張り切った様子で言う。

あれ?紫ってこんなキャラだっけ?

……まあそれは置いとこう。

今回の主役は霊陽と紫なので、俺と籃は軽くサポート役だ。

 

「それじゃ霊陽、準備は良い?」

 

「はい、いつでも!」

 

博麗大結界の展開が始まった。

 

 

 

――あれから数時間。

空が茜色になる頃、ようやく結界が完成したらしい。

紫と霊陽は額から汗を垂れ流し、軽く背伸びをした後に、安堵の溜め息を溢した。

 

「やっっと終わったわぁぁ」

 

紫が解放感に溢れて言った。

 

「疲れましたぁぁ」

 

霊陽もくたくたになって言う。

二人の気持ちは察せる。

何時間も此処で結界を組んで霊力、妖力を注ぎ続けたのだ。そりゃ疲れるわ。

さて、今度は俺の出番だ。

約束を果たさないとな。

 

「俺はちょっと出掛けるぞ」

 

そう皆に告げて、俺は能力を使ってその場所に向かった。

 

 

 

 

――こちらはもう夜で、俺は紅色の月を見上げた後、屋敷へと歩を進める。

門の前には、何時も通り突っ立ったまま動かない門番の姿。

全く、全然変わらないな。

俺はその緑のチャイナドレスの門番まで近付き、耳元で叫んだ。

 

「美鈴!起きないと定規で滅多刺しにすんぞ!」

 

「――ひゃい!?それだけは勘弁を!ってあれ?」

 

間抜けな声と共に美鈴は顔を勢い良く上げる。

実は俺が紅魔館にいた頃、小妖怪共が襲って来た事があり、俺と美鈴で応戦したのだが、その時に俺が投げた数本の定規が誤って美鈴に刺さってしまった事がある。

美鈴(いわ)く、メチャクチャ痛かったらしく、これは俺と美鈴の秘密と言う事になっている。

 

「あれ?琥珀さんじゃないですか、何でまた……」

 

「何寝惚けてるんだ?俺が此処に来る理由は一つだろ?」

 

「……あ!幻想郷の事ですね!」

 

美鈴はしてやった顔をして言う。

一体何をドヤッているのか。

 

「ささ、どうぞ琥珀さん中へ」

 

「おう」

 

俺は紅魔館の中へと向かった。

俺はレミリアの部屋の前に行って、ドアをノックする。

中から返事があったので、ドアを開けて中に入ると、レミリアとフランがお茶会をしていた。

 

「あぁ!お兄様だ!」

 

フランは俺を見るや否や、嬉しそうに俺に抱きついて来る。

 

「元気にしてたか?フラン」

 

「うん!」

 

俺はフランの頭を撫でながら言う。

甘い少女の香りがする。癒されるわぁ。

 

「琥珀、此処に来たのは幻想郷の事でしょ?」

 

俺が癒されているとレミリアが紅茶を啜った後に言った。

 

「ああそうだ。もうやって良いのか?」

 

「ええ、私達の生活には何ら変わり無いもの」

 

「じゃ、いくぞ」

 

俺は能力で、紅魔館ごと幻想郷の一部へと移動する。

美鈴はいきなり光景が変わって驚いている事だろう。

 

「お兄様、折角だから一緒にお茶しましょう?」

 

「……それもそうだな」

 

俺はソファーに腰を掛けて、そのまま朝まで紅魔館で談笑していた。

 

 

 

 

 

 




お疲れ様でした。
皆さんに楽しんで見て頂けるように頑張ってはいるものの、難しいですね。
もっと頑張らなくては……。
それでは次回も、のんびりしていってね。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第36話 幻想郷巡り

はい、どうものんびり+です。
今回も、のんびりしていってね。


今の時刻は朝の七時程。俺は霊陽に淹れてもらったお茶を啜りながら思った。

暇だな。

まあ、俺は平穏で暇がある生活を送りたい人だから別に良いけど……やっぱり暇だ。何かやること無いかな。何時もだったらぶらぶら旅をするけど……そう言えば俺って幻想郷の事あんまり知らないな。

……やること決定!

俺はお茶を飲み干し、霊陽に言う。

 

「霊陽、俺は旅に出るぜ!」

 

 

――そして、今は適当に森の中をぶらついている。

いやー、旅って良いな!

まあ自分の神社ほったらかしにしてふらつく神もどうかと思うが。

でも神って名だけで俺はれっきとした人間なんだよな。

霊陽に俺は人間って言ったときは目を点にして驚いたけど。

俺、人間だもん。

そして暫く歩いていたら、木がどんどん少なくなっていき、気付くと人々が賑わう町のような所に出た。確か紫が人里と言ってたな。

そして、俺は何かにとり憑かれたようにある場所を探し始める。

数十分歩き回ってようやく見つけた。

俺はベンチに腰掛け店主に言う。

 

「おっちゃん、みたらし三本と緑茶くれ」

 

やはりこういった所に来たときは団子を食べなくては。

団子が旨い町は良い町と決まっているのだからな!

 

「お待ちどう!」

 

おっちゃんはみたらし団子が乗った皿を俺の横に置き、遅れてお茶を置いた。

 

「ほう……」

 

俺は団子を観察する。団子は綺麗な球体で、もちもち感を見事に演出している。

そしてその団子をやさしく包み込む、光沢を放つみたらし。

今まで俺が食べた団子で一番だったのは、輝夜の所の都で食べた団子だ。

もう数千年も前の事だがあの味は忘れない。

だが目の前の団子……これはひょっとするかも。

俺は串を掴み、ゆっくりと団子を口に運ぶ。

先端の団子をパクりと口に入れ、咀嚼(そしゃく)する。

――瞬間、琥珀の中に潜む団子愛が、とてつも無い冒険を生んだ!

 

「ッ!トレッビアァァン!

何だこの味は!?舌の上で深く絡み合うハーモニーィ!」

 

この団子、想像以上に旨い!

これは都の団子よりも……或いは……。

 

「お母さん、あの人面白いよ!」

 

「こら!目を会わせちゃ駄目よ!」

 

俺を見た親子連れの人が足早に去って行った。

近くの通行人も俺を見ながらコショコショと何かを話しながら通り過ぎて行く。

そして俺は気付く。自分が何をしたのかを。

白昼堂々、急に大声を上げながら立ち上がって叫んでたら変人だと思われるのが普通だろう。

……恥ずかしい。

俺は顔を真っ赤にしながら黙々と団子を食べた。

 

――気を取り直して、俺はこの町を観光する為に町を歩いていた。

 

「キャァァ!」

 

すると突如として聞こえた女性の悲鳴。

俺は声の方向を見る。そこには何やら人だかりが出来ていた。

 

「何だ?」

 

俺は事態を知る為に人だかりへ向かう。

人と人の間を掻い潜って先頭へ行くと、そこには黒い着物を着た中年の男が数人と、刀を首元に当てられて身動きが取れない女性。

どうやら強盗のようだ。

やれやれ、幻想郷が出来て最初の事件は人間の強盗。

妖怪絡みじゃ無いくても人が人を襲ってちゃ意味がないよ。全く……。

俺はこの事件解決の為に男達に歩み寄る。

 

「ん?何だテメーは!?動くんじゃねぇ!」

 

女性に刀を突きつけた男が、人質が見えないのか?と言わんばかりに刀を強調して言う。

 

「お前達、こんな馬鹿な事さっさとやめるんだ。今なら痛い目見ずにすむぞ?」

 

俺が呆れ半分で言うと、男達は笑いながら言った。

 

「何だ?コイツは、正義のヒーロー気取りかよ!」

 

そして男の一人が大げさに歩いて近付いて来た。

 

「お前みたいなひょろい奴に何が出来るんだ?」

 

男達は見た目は大柄で筋肉もついている。

(はた)から見れば、一般人がプロレスラーに挑むようなものだろう。

すると人だかりから声がする。

 

「兄ちゃん!無理するな!」

 

「そうよ!危ないわ!」

 

どうやら皆俺を心配してくれているようだ。

やはり此処は良い町だった。

そんな様子を見て、男は腕を上げながら言った。

 

「おいおい、無傷で帰れると思うなよ?」

 

そして男の拳が俺の顔面に叩き込まれた。

人だかりからは悲鳴が聞こえた。

これから俺が男のサンドバックにされると思っているのだろうか。

実際の所痛くも痒くも無いのだが。

そして男がもう一発拳を繰り出して来たので、俺は男の腹に右手の小指で突きを入れる。そして男はそのまま崩れ落ちる。

 

「……何!?」

 

男達は目の前の光景が信じられないと言う顔をしている。

そんな男達に、優しい俺は再び忠告をする。

 

「もう一度言う。コイツを連れてさっさと帰るんだ」

 

すると男達は苦い顔をしつつも言う。

 

「フン、いい気になるなよ?」

 

「そいつは我ら四天王の中でも最弱よ!」

 

……何コイツ等。

 

「次は俺が行くぜ!」

 

そう言って、一番背が高い男が出て来た。

て言うか、何でトーナメント戦みたいになってんだよ。

 

「俺は四天王最速の男、ハイブリッドだ!行くぜ!」

 

男は俺に猛ダッシュで接近して来る。

かかと落としが来たので、俺は脚を掴んで、そのまま後ろに叩き付ける。

 

「ひでぶっ」

 

男はそのまま気絶した。

 

「何!?まさかハイブリッドがやられるとはッ!」

 

「くっ!こうなったら二人で行け!」

 

その声と共に、少し太った男と、頭に緑のハートマークのハチマキをした金髪の男が立ちはだかる。

 

「四天王一の力持ち、ミニバン!」

 

太った男が言う。

 

「四天王一の格闘家、セダン!」

 

続いて金髪の男。

 

「「行くぞッ!」」

 

二人が同時に飛び掛かって来た。

だから何なの?この鉄板ヒーローものみたいなノリ。

 

「喰らえッ!高速突風蹴り(ハイスピードハリケーンキック)!」

 

と、金髪の男が何か叫びながら俺に飛び蹴りを放つ。

俺は横に飛び蹴りを躱して、金髪男の首に手刀を打っておく。

そのまま男は背中から地面へと着地し、白目を剥いて気絶した。

 

WRYYYYYY(ウリィィィィィ)!」

 

すると太った男が両手を前に出しながら突進して来た。

俺は男と両手を掴み合い、男のでこに頭突きをかます。

 

「うげぇぇ!」

 

男はそのまま仰向けで地面に倒れ込んだ。

俺は残った最後の一人を睨みつける。

 

「ひぃっ!お助けーー!」

 

男は刀を放り投げて、一目散に逃げて行った。

 

「凄いな!アンタ!」

 

人だかりから歓声が上がった。

 

「あの、ありがとうございました!」

 

すると、人質にされていた女性が駆け寄って来て、お辞儀をして言う。

 

「いや、たいしたこと無いさ」

 

一件落着だな。

俺は男達を能力で自宅に帰して、この場を去ろうとした。

 

「待てッ!強盗!」

 

すると後ろから怒鳴られる。

振り返ると、白髪のロングヘアーに赤いもんぺのような物を履いた少女と、青のメッシュが入った銀髪ロングに変わった青い帽子、上下が一体になっている青い服を着た少女がいた。

 

「強盗め!今なら痛い目見ずにすむぞ!さっさと降参しろ!」

 

白髪の少女が言う。

あ、これあれだ。誤解パターンだ。

俺は誤解を解くために言った。

 

「お嬢さん達、何か勘違いしてないか?強盗ならもう片付けたぜ?」

 

すると銀髪少女が俺を指差して言った。

 

「とぼけるな!強盗は黒い着物を着た男だと情報が入っている!」

 

そう言えばそうだった。

……俺って良く理不尽なめに合うよな。

 

「えっとだな、俺は本当にちが――」

 

「問答無用!」

 

俺が言うより早く、白髪少女が迫り来る。

少女の蹴りや拳を避けながら俺は釈明(しゃくめい)を続ける。

 

「強盗は俺が追っ払ったの!俺は何年間もこの着物で統一してんの!あ、ずっとこの着物じゃなくてちゃんと一日ずつ新しいからな!」

 

「五月蝿い!そしてどうでも良い!」

 

少女は攻撃を止める気配無しだ。

俺は一度距離を取って、どうするべきか考える。

……仕方ない。少し眠ってもらうか。

白髪の少女が再度飛び掛かって来る。

 

――すると、さっきの人質の女性が大の字になって俺の前に現れた。

白髪少女は驚き、攻撃を止めた。

 

「妹紅さん!落ち着いて下さい!この人が言ってる事は本当です!」

 

女性は言う。俺を庇ってくれたようだ。ありがとう!

――そして、聞き間違いじゃ無ければ、さっき妹紅って聞こえたんだが。

 

「え?そうなのか?」

 

「はい!私はこの人に助けられたんです!」

 

「あの、ちょっと良いか?白髪ちゃん」

 

「ん?何だ?私はまだお前を信用して無いぞ!」

 

「いや、あの、君の名前は?」

 

俺が聞くと、少女は言った。

 

「……藤原妹紅だが?」

 

――――マジかよ。

 

 




はい、お疲れ様です。
それでは次回も、のんびりしていってね。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第37話 幻想郷巡り②

はい、どうものんびり+です。
今回も、のんびりしていってね。


「……藤原妹紅だが?」

 

白髪の少女が、何で名前なんか聞くんだよって感じの目をして言う。

だが問題は彼女の名前だ。

藤原妹紅――それはさっきの団子屋での回想に出てきた、輝夜がいた都で俺が知り合った黒髪の少女の名前だ。しっかりと覚えている。だが、彼女は黒髪で人間なのだ。此処にいる筈が無い。……彼女が人間ならだけども。

俺は考えても仕方ないと思い、聞いてみた。

 

「なあ、妹紅ってさ、人間?」

 

すると妹紅は面倒臭そうに言う。

 

「私は蓬莱人だ」

 

その説明は一般人には分から無いだろうが、俺には充分だ。

蓬莱人……つまりは不老不死。もしも俺が知ってる妹紅が何らかの原因で蓬莱人に成ったのだとしたら。

俺は妹紅が俺を覚えているか聞いてみた。

 

「妹紅、俺を覚えているか?俺だ、雨宮琥珀だ」

 

俺が言うと、妹紅は少し顔をしかめて、その後で驚愕の表情しながら言った。

 

「……琥珀って、あの、団子好きの、あの琥珀?」

 

「ああ、俺だ。覚えてたか……にしても大きくなったなぁお前!あの頃はまだ小学生くらいだったのに」

 

俺が懐かしそうに言うと、妹紅は嬉しそうに俺に抱きついて来た。

 

「琥珀ー!久しぶり!会えて嬉しいよ!」

 

「ちょ、急に抱きつくなっての!」

 

俺と妹紅が騒いでいると、銀髪の少女が困ったように言う。

 

「えっと、これはどういう状況だ?」

 

すると妹紅が俺から離れて、興奮気味で少女に言う。

 

「慧音!この前言っただろ?私の初めての友達の事!」

 

すると少女が思い出したように相槌を打つ。

 

「あぁ、琥珀と言う人物の事か、……その人が?」

 

「ああ、間違い無い」

 

「……強盗は?」

 

「琥珀はそんな事しないさ、嘘つきだけど」

 

妹紅が言った後、慧音と呼ばれる少女が俺に近付いて言った。

 

「琥珀さん、私の早とちりで誤解してしまった。申し訳無い」

 

「いや、良いさ、誤解が解けて良かった」

 

俺が言うと妹紅が続けざまに言った。

 

「取りあえず、慧音の家に行こう!良いだろ?慧音」

 

「まあ、私は良いが――」

 

「よし、なら決定だな。行こう琥珀、あっちだ」

 

慧音と言う少女の言葉を遮って妹紅が言う。

そして俺は、妹紅に手を引かれて慧音の家に向かう事になった。

 

 

 

 

 

 

――そして俺、妹紅と慧音の三人は、居間でちゃぶ台を囲むように座っていた。

最初に口を開いたのは、慧音と言う少女だ。

 

「改めて、私は上白沢慧音(かみしらさわけいね)と言う者で、普段は寺子屋の教師をしている。よろしく頼む」

 

「俺は雨宮琥珀、よろしくな。馴れ馴れしくしてくれて結構だ」

 

俺も自己紹介する。

それから始まる雑談タイム。

妹紅の昔話し、慧音と妹紅の関係、俺の旅の事。

そして時間はあっと言う間に過ぎて、俺はそのまま此処に泊まる事になった。

俺から言ったんじゃなくて、妹紅が泊まれば良いと押しきったのだ。

そうして俺は慧音宅に一晩お世話になり、翌朝、朝食を食べてまた旅に出た。

まだ旅の途中だからね。仕方ないね。

まあ幻想郷にいる限り、また何時でも会えるから大丈夫だ。

そして暫く森を歩いていると、前方に大きな縦穴を発見した。

 

「え?何ここ、危ないなぁ」

 

俺は縦穴を覗いて見るが、底は見えない。相当深いようだ。

此処で俺のイ〇ディアナ・ジョーンズ宜しく!冒険心が騒ぐ。

 

「よし、行くぜ!」

 

そして俺は穴にダイブする。

あの独特の浮遊感を味わいながら暫く落下して、地面へと着地。

それなりの高さ故か、俺の着地地点は軽くへこんでいる。

辺りは真っ暗で良く見えない。

俺は能力で見える事にして歩き始める。

 

 

「待って、貴方って人間よね?」

 

暫く歩いた所で、後ろから声を掛けられる。

後ろを向くと、金髪のポニテに茶色のリボンをした少女が立っていた。

 

「ああ、人間だぞ。君は?」

 

俺が聞くと少女は

 

「私は黒谷(くろだに)ヤマメ。土蜘蛛さ」

 

と言った。

俺も自己紹介をする。

 

「俺は雨宮琥珀だ、宜しくな、ヤマメ」

 

俺が手を差し出すとヤマメは少し驚いたように言う。

 

「琥珀は私が怖く無いの?人間でしょ?私は妖怪だよ?」

 

そんなヤマメに笑って答える。

 

「別に怖く無いさ。怖がる理由が無い」

 

するとヤマメも笑って言った。

 

「琥珀は面白いね、宜しく!」

 

俺とヤマメは握手をする。

そしてヤマメに聞かれる。

 

「琥珀は何で此処に居るの?」

 

「面白そうだったから」

 

するとヤマメは大笑いして言う。

 

「琥珀は本当に面白いね!じゃあ此処がどういう場所か知らないの?」

 

「知らんな」

 

「じゃあ、私が案内してあげるよ」

 

そして、俺は此処をヤマメに案内してもらう事になった。

 

 

 

 

 

 




お疲れ様でした。
今回から名前の紹介の雰囲気を変えて見ました。
それでは次回も、のんびりしていってね。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第38話 幻想郷巡り③

はい、どうものんびり+です。
今回も、のんびりしていってね!


 

 

ヤマメに先導されて暫く歩いていると、目の前に明かりが見えて来た。

良く見るとそこには、大小様々な建物が建ち並ぶ大きな都市のようなものが。

 

「凄いなぁ、にしてもこんな地下深くにこんな場所があったとは……」

 

「フフ、此処は旧都って言うんだ」

 

俺が感心していると、ヤマメが振り返って言った。

 

「旧都?」

 

「そう、それで、この地下空間全体をひっくるめて旧地獄って言うんだ」

 

「それって此処が元は地獄だったって事か?」

 

「そういう事になるね。此処には地上から自ら来た妖怪や忌み嫌われた妖怪、地霊や怨霊とかがいるんだ」

 

「へぇ~」

 

俺がヤマメに説明してもらっていると、すぐに旧都へ続く橋の前まで来ていた。

その橋には一人の少女の姿があった。

 

「……ヤマメ、誰よソイツ?妬ましいわね」

 

「フフ、此処に冒険しに来た人間だよ」

 

「俺は琥珀だ、宜しくな……えっと」

 

「パルスィよ。水橋(みずはし)パルスィ」

 

「そうか、宜しくなパルスィ」

 

「……馴れ馴れしいわね、妬ましい」

 

えぇぇ、さっきから嫉妬し過ぎじゃ無いですか?

 

「あの、ヤマメ」

 

俺がヤマメに聞こうとすると、こちらの意図を察したように言う。

 

「大丈夫、パルスィはいつも嫉妬してるから」

 

……それで良いのか?

 

「パルスィ、通って良いでしょ?」

 

「……まあ、ヤマメが一緒なら大丈夫でしょう。妬ましい」

 

「ありがと、じゃ琥珀、行こう」

 

「あぁ、じゃあなパルスィ」

 

俺はパルスィに別れを告げて、旧都に入る。

すると再び、ガイドさんヤマメの解説が始まった。

 

「此処がさっき言った旧都ね。此処ら一帯は鬼達が取り締まっているわ」

 

「鬼?」

 

「ええ、結構前に地上から此処にやって来たの」

 

鬼と言えば、妖怪の山にいた戦鬼や勇義、萃香達を思い出す。

あいつ等が此処に来たのかな。

俺が都市を観察しながらそんな事を思っていると、ある看板を発見した。

甘味処と書かれた看板を。

 

「ヤマメ、あそこ行こうぜ!」

 

俺はヤマメを誘って甘味処へゴーイング。

ヤマメはきな粉団子と言う団子とお茶。俺は安定のみたらしとお茶だ。

それにしても此処は団子の種類が豊富だな。きな粉、紫いも、黒ゴマ……。

後でもう一回来よ。

そう決心した俺は、取りあえず団子を頬張る。

 

「うん、良い甘さ加減だな」

 

里の団子程では無いものの、団子は旨い!

この団子も良い味を出している。

俺が団子をパクパクと食べて、最後の一串を掴んで食べようとした瞬間だった。

 

「ぐわあぁぁぁ!!」

 

急に何者かが俺目掛けて吹っ飛んで来て、俺もろとも倒れ込む。

 

「急に何だよ……」

 

俺はゆっくりと立ち上がり、気付いてしまった。

さっきまで持っていた串が無い事に。

そして見てしまった、地面にべっちょりとくっ付いた、俺の団子の姿を。

 

「次ィ!誰かかかって来いやァ!」

 

正面には、そう叫んでガッツポーズをする妖怪の姿。

俺は理解する。

あいつ等の喧嘩のせいで、俺の団子が見るも無残な姿になったのだと。

……よし、お仕置きが必要だな。

 

「どうした!?誰も居ねえのか!?」

 

「俺がやる」

 

俺はお仕置き執行の為に、妖怪へと歩みを進めた。

 

「ちょ、琥珀!止めときなって!相手は鬼だよ!?」

 

ヤマメが心配そうに言う。

俺は一言

 

「大丈夫だ、問題無い」

 

そう告げて、妖怪のすぐ目の前まで行く。

 

「おい人間、容赦はしないぜ?」

 

「必要無いね、団子の仇は取る」

 

「威勢が良いねぇ!サービスだ、先ににー発殴らせてやるよ。ほら、腹を出してやる」

そう言って鬼は両手を挙げて、どうぞポーズを取る。

(へへ、人間の一撃なんぞ効かんわ!すぐに戦意喪失させてやる)

 

「じゃあ、遠慮無く」

 

俺は軽く鬼の腹にボディーブローを放つ。

 

「――ぎゃっ!」

 

鬼は叫ぶ暇無く、その場に倒れてしまった。

 

「仇は取ったぞ。団子」

 

俺はその場を去ろうとする。

すると

 

「待ってくれ!アンタ、次は俺と闘ってくれ!」

 

と、見ていた観客からのリクエスト。

仕方なく俺は相手をして気絶させる。

するとまたまた闘ってくれと挑戦が来る。

で勝ったらまた挑戦のループ状態になってしまった。

そのまま暫く闘っていると、見覚えがある顔が。

 

「何だい、恐ろしく強い人間がいるって言うから来てみたら琥珀じゃないか」

 

「久しぶりだな、勇義。やっぱ鬼ってお前らだよな。後闘い疲れたから鬼達を帰らせてくれ、頼む」

 

すると、勇義は大きな赤い盃を他の鬼に持たせて言う。

 

「良いよ、私と闘って勝ったらね」

 

「やれやれ、変わらないなぁ」

 

「フフ、行くよ!」

 

「ああ」

 

勇義の拳が、琥珀に向けて繰り出された。

 

 

 

 




お疲れ様でした。
終わりが雑って思いました?私にはどうする事も出来ぬのです。
それでは次回も、のんびりしていってね!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第39話 幻想郷巡り④

はい、どうものんびり+です。
今回も、のんびりしていってね。


 

「ほらほら、もっと飲みなよ琥珀!」

 

「いや、そろそろガチ酔いに突入するんだが」

 

「関係無い、いけ」

 

「え?ちょ――」

 

 

 

 

 

 

 

……うぅ、気持ち悪いよ。

俺は確か、久しぶりに勇義と会って、闘って勝って、飲み会に誘われて、酒をガブ飲みさせられて……その後が思い出せない。

……待って、マジ気持ち悪い。頭痛と吐き気が……ヤバイ。

勇義の奴、俺がこんなになるまで飲ませやがって、後でマヨネーズそのまま飲ませてやろうか……何か可哀想だから止めよう。

 

俺がフラフラと千鳥足で歩いていると、「貴方、大丈夫?」と声を掛けられた。

俺が見ると、赤髪のおさげに赤目、黒いネコ耳を生やした少女が俺を見据えていた。

 

「ああ、大丈夫……と言いたいが大丈夫じゃ無いな」

 

俺が言うと少女は微笑を浮かべて言った。

 

「素直なのは良い事よ。ここで少し休んでいきなさい」

 

「良いのか?」

 

(妖怪)の好意は素直に受け取っときなさい」

 

「そうか、ありがとう」

 

俺は少女に従い、目の前の大きな西洋風の屋敷で暫く休む事にした。

屋敷の中は、黒と赤の市松模様に彩られた床や、カラフルに光る床に設置されたステンドグラスが特徴的だった。

俺は大きなソファーに座って、少女が水を持って来るのをじっと待つ。

暫くすると、少女はコップ一杯の水を持って帰って来た。

俺は水を一気に飲み干し、フゥっと溜め息を溢す。

 

「ありがとう、だいぶ楽になった」

 

「いえ、どうって事無いわよ」

 

すると急に、強い睡魔に襲われる。

勝手に他人の家で寝るのは図々しいが、俺の体はもう寝る気満々だ。

そのまま、俺の意識は途切れてしまった。

 

 

パチッと、勢い良く目を開ける。

結構寝ていた気がするな。

俺はゆっくりと立ち上がり、大きく背伸びをする。

そしてまたソファーに腰かけた。

すると、誰かがこっちに近付いて来る。

薄紫のボブに赤い瞳、そして胸元には黄色い複数のコードで繋がれた赤い目玉が一つ。そして少女は、向かい合わせになっているソファーに座って言う。

 

「具合はどうですか?」

 

「大丈夫、すこぶる快調さ。ありがとうな」

 

「いえ、大した事ありませんよ。私は古明地さとり、貴方は?」

 

「俺は雨宮琥珀だ、宜しくなさとり」

 

俺が言うと、さとりは怪しい目付きで言った。

 

「琥珀さん、貴方の心が読めないのは何故ですか?」

 

心が読めない?

心を読むのが彼女の能力なのだろうか。

 

「俺には能力が効かないようにしてるんだ」

 

「成る程、心が読めない事は初めてだったから気になってしまって」

 

さとりは相変わらず警戒した様子で言う。

 

「……今なら心が読めると思うぞ?一時的に解除したからな」

 

「……何故そんな事を?」

 

「だって、ずっと警戒されたまま話すのも何か、な?」

 

 

 

 

――そう言って、目の前にいる男、雨宮琥珀は微笑を浮かべた。

私は物心ついた時から、常に心を読んで……まあ私が読みたく無くても読んでしまうのだけど、そうやって生活してきた。心が読めない人には会った事が無かったので、私は不安だった。

目の前の男が何を考えているのか分からない、それが怖かった。

すると、男は心を読める状態にしたと言う。

変わった人間だなと思いながら彼の心を読む。

 

(……もう心読まれてんのかな?何か恥ずかしいな、自分の考え筒抜けって。

いや、落ち着け俺。それじゃあ俺が何か変な事考えている奴みたいじゃないか!

俺はそんな奴じゃ無い!清く正しく美しい人間なのだッ!)

 

と、一人コントのような心を読んで、私は思わず吹き出してしまう。

 

「ッフフ」

 

「え?何?俺の心そんなに変だった!?」

 

「いえ、ただ面白い人ですね、琥珀さんは」

 

「良く言われるぜ」

(本当は言われた事無いけど、後さん付けはいらないぜ、さとり)

 

「なあさとり――」

 

「言わなくても分かってますよ、琥珀」

 

「……そうでした」

 

 

私は、このまま暫く琥珀と談笑していた。

 

 

 

 




はい、お疲れ様でした。
最近時間が無くてキツい。
それでは次回も、のんびりしていってね!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第40話 幻想郷巡り⑤

はい、どうものんびり+です!
今回も、のんびりしていってね!


 

 

 

俺は今、この地霊殿と呼ばれる屋敷のある部屋で、此処の主人であるさとりと雑談中だ。俺はさとりから、この地霊殿について少し教えてもらった。

此処には、主人であるさとりと妹のこいしと言う子が居るらしい。

そしてこの屋敷の至る所にペット達がいる。まさに動物園状態なのだ。

因みに、さっき俺を助けてくれた赤髪の少女もペットらしい。

火焔猫燐(かえんびょうりん)、通称お燐と言うのが少女の名前のようだ。

後でお礼に行かないと。

そしてもう一人、霊烏路空(れいうじうつほ)、通称お空と言う子もいるらしいね。賑やかだね。

 

俺がさとりと話していると、ふと後ろに気配を感じる。

……紫じゃ無いな。

俺は右手で顔を覆って、左手の人差し指を気配に向けて言う。

 

「きさま!見ているなッ!」

 

「……琥珀?とうとう壊れましたか?」

 

さとりがジト目で俺を見てくる。

 

「いや違うって!あそこに気配が……」

 

すると、俺が指差した場所には、まるで最初からそこに居たかのように少女が現れた。薄く緑がかった癖のある灰色のセミロングに緑の瞳、そして胸元にはさとりと同じような青色の閉じた目玉。

すると、さとりが驚いたように言った。

 

「こいし!あなた何時の間に帰って来てたのよ?」

 

すると少女はニコニコしながら言う。

 

「んー?さっきだよー。お姉ちゃんを探してたら誰か居たから驚かせようとしたらバレちゃった」

 

こいし、つまりこの少女がさとりの妹のようだ。

 

「琥珀……あなたどうしてこいしが居るって分かったのかしら?」

 

さとりが聞いて来たので、俺は自慢気に言ってやった。

 

「フッフッフ、気配探知は昔から得意なのぜ!」

 

「昔って、あなたまだ二十歳(はたち)くらいでしょう?」

 

「いや、もう何千何万と生きてるぞ?」

 

「……どうやら本当のようですね、驚きました」

 

さとりは呆れたように言う。

 

「何?何でそんな顔すんの?」

 

「いや、貴方が色々と規格外過ぎて疲れただけですよ(反応に)」

 

「そうか……」

 

「ねえお兄さん」

 

こいしが俺の隣に座って言う。

 

「琥珀で良いぜ、何だ?」

 

「じゃあ琥珀は何で此処に来たの?」

 

「それはな――――」

 

 

俺は暫く、さとりとこいしに俺の今までの話をした後に、お空と少し話をして(お空はちょっとドジッ子だった)、お燐にお礼を言って地霊殿を後にした。

 

そろそろ地上が恋しい(二日地底)ので、俺は地上に戻る事にした。

俺が旧都の外れ、橋の所まで行くと、パルスィ、ヤマメ、後見たこと無い桶に入っている緑髪のツインテールの少女が居た。

 

「あ!琥珀じゃないか!」

 

俺に気付いたヤマメが手を振りながら言った。

 

「よお、ヤマメにパルスィ……と桶少女!元気か?」

 

俺が言うと桶少女は頬を膨らませて言った。

 

「誰が桶少女よ!私はキスメよ!覚えときなさい!」

 

「そうか、宜しくなキスメ」

 

「琥珀はもう地上に戻るの?」

 

ヤマメが尋ねて来た。

 

「ああ、そろそろ地上が恋しいからな」

 

「何よ、妬ましいわね」

 

「えぇ……そんな事言われましても」

 

「琥珀、また遊びに来てね!」

 

「ああ、勿論だ」

 

俺は三人に別れを告げて、元来た場所まで戻り、飛んで地上を目指した。

縦穴から出ると、眩しい光が俺を照らした。

今は丁度昼のようだ。

 

「さて、博麗神社に帰るか」

 

俺は鼻歌を口ずさみながら、博麗神社へと向かった。

 




はい、お疲れ様でした!
ご意見あれば気軽にどうぞ!
それでは次回も、のんびりしていってね!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第6章 宵闇編~闇夜の異変~
第41話 異変


はい、どうものんびり+です!
今回も、のんびりしていってね!


 

俺は博麗神社の縁側に腰掛け、茶を啜りながら青い空を仰ぎ見る。

 

「平和だなぁ」

 

「そうですねぇ」

 

霊陽も居間で茶を飲みながら、俺の意見に同意する。

こういうほのぼのしたの良いよな。

俺はしみじみとそう思う。

平穏無事が何よりだぜ。

俺がもう一度茶を啜ろうとした時だった。

 

「おーい!博麗の巫女様!居ますか?」

 

そんな声が聞こえて来た。

 

「いってら、霊陽」

 

「はい、行ってきます!」

 

――私は琥珀さんにそう告げて、社の外に向かう。

そこには、若干くたびれた着物を来た男性が一人居た。

 

「巫女様!至急里の方まで来て頂けませんか?」

 

男性が不安そうに言う。

分かってはいたが、良い事では無いようだ。

 

「分かりました、すぐに行きます」

 

私が言うと、男性は石階段を降りて行く。

私も準備に取りかかる。

社内に戻り、装備を整える。

お祓い棒にお札……良し。

 

「頑張れよー」

 

ほのぼのオーラを纏った琥珀さんからの応援が聞こえる。

 

「はい!頑張ります!」

 

私は空を飛んで人里へと向かった。

里の入り口に着地する。

そこには慧音さんと妹紅さんが私を待ってくれていた。

 

「待っていたよ、霊陽」

 

「慧音さん、今度は何があったんですか?」

 

「それは私の家に着いてから話そう」

 

私は二人について行く。

慧音さんと妹紅さんには何かと会う機会が多いので、実は結構仲良しだったりする。

 

家に着くと、慧音さんがお茶を出してくれた。

そして、再び今回の件について聞いてみる。

 

「それで、今回は何があったんですか?」

 

「最近、里での失踪事件が相次いでいるんだ」

 

「失踪ですか?」

 

「ああ。聞いた話だと、夜が明けて友人に会いに行っても居ないと言う事だ」

 

「そんな報告が毎日来るんだ。これはもう“異変”だろ」

 

妹紅さんが真剣な面持ちで言う。

異変……そのままの意味で、通常では無い現象や状況の事を指して使われる言葉だ。

 

「実はもう一つ報告があってな。友人数人で畑仕事の最中に急に黒い霧のようなものが現れて、その霧が消えると居た筈の友人は消えてしまったと言う。残ったのは血塗れの着物だけだったそうだ」

 

「……二つとも同一犯でしょうか?」

 

妹紅さんが難しそうに言う。

 

「それはまだ分からないな。地道に調べるしかない」

 

「そうですか、なら今は二つの事件を分けて考えた方が良いですね」

 

「そうだな、なら私と妹紅は夜の失踪を調べる。霊陽は黒い霧について頼む」

 

「分かりました」

 

そうして、私達の異変調査が始まった。

その日、私は里の周辺を調査してみたが、特に手掛かりを掴む事が出来ずに、そのまま夜になってしまった。

 

 




はい、どうもお疲れ様でした!
短いですねすみません。
オリジナル異変です!
アドバイス等ありましたら気軽にどうぞ!
それでは次回も、のんびりしていってね!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第42話 主犯

はい、どうものんびり+です。
今回も、のんびりしていってね!


空を見上げると、既に日は落ちて、青黒い空を光の粒達が照らしていた。

私は、今日一日中例の異変について捜査していたのだが、特に手掛かりを掴む事が出来ないままだった。

 

「ふぅ、また明日ですね」

 

誰に言う訳でも無く呟く。

そして、博麗神社に帰る為に飛ぼうとした時だった。

 

「――れ!――けて!誰か助けて!」

 

そんな叫び声が聞こえた。

と同時に、私の体は反射的に声の方向へと向かっていた。

 

「誰かいませんかー?」

 

私は呼び掛けながら声の主を探す。

……もうだいぶ近い筈なんだけどな。

いくら探しても人っ子一人見つからない。

すると、近くの茂みがガサガサと揺れた。

私は警戒しながら茂みを見つめる。

そして、茂みから人影が二人出て来た。

その人影は――

 

「妹紅さんに慧音さんじゃないですか!」

 

「ん?霊陽じゃないか、どうしてここに?」

 

妹紅さんが聞いてきた。

 

「私は神社に帰ろうとしたらSOS反応をキャッチしたので、二人は何故?」

 

私が聞くと、慧音さんが言った。

 

「実はな、例の失踪について調べていたら、急に黒い霧のようなものが通行人を飲み込んで去って行ったから後を追って来たんだ」

 

黒い霧?それは私が調査している異変と同じ特徴だ。

つまり。

 

「二つ共同一犯って事ですか」

 

「そう考えるのが妥当だろうな」

 

妹紅さんが腕を組んで言う。

 

「だが、単体なのか複数なのかはまだ判らないな」

 

慧音さんが顎に手を当てながら言う。

確かに、今分かっているのは、主犯は黒い霧を使う事と人を襲うという事だけだ。

私が異変の主犯について考えていると、ふとある臭いがした。

この錆びた鉄のような独特の臭いは……。

私は臭いを辿って歩いて行く。

茂みを掻い潜って、ついに臭いの元まで来た。

そこにあったのは、引き裂かれた着物、ぶちまけられた臓物、大きな血溜まり。

血はまだ固まっていない為、まだ新しいものだと言える。

考えられるのは、私が聞いた、助けを求めていた人だろう。

だが、目の前の()()は、着物が無ければ人かどうかも判らない程に、ぐちゃぐちゃで原形を留めていなかった。

 

「――うぷっ」

 

急に吐き気に襲われる。

こういう光景を見るのは初めてでは無いが、耐性がある訳では無い。

 

「こりゃ酷いな」

 

遅れて登場した妹紅さんが苦い顔をして言う。

 

「これも異変の主犯の仕業か……」

 

すると、どこからともなく女性の声がした。

 

「貴方達ね?私の事を嗅ぎ回っているのは」

 

「ッ!お前が異変の主犯か!?どこにいる!?」

 

妹紅さんが警戒を強めて言う。

 

「異変?何よそれ?」

 

「とぼけるな!ここ最近里の人を襲っているのは貴様だろう!」

 

慧音さんが怒りを込めて言うと、声の主は笑いながら言った。

 

「襲う?勘違いしないで欲しいわ。私は食事をしているだけよ?」

 

すると、急に黒い霧が目の前に現れて、次第に晴れていく。

そこには、私より少し高いくらいで、金髪ボブに赤い目をして黒のロングスカートを身につけた少女が一人佇んでいた。そして少女は一言。

 

「これ以上私の邪魔をするなら、貴方達も消すわよ?」

 

そう告げて、少女は闇の中へと消えていった。

 

 

 

 

 

 




はい、どうもお疲れ様でした!
今日はちょっと時間が取れなくて雑になっていました、すみません!
もっと頑張ります!
何度も言いますが、アドバイス等ありましたら気軽にお願いします!
それでは次回も、のんびりしていってね!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第43話 宵闇の大妖怪

はい、どうものんびり+です。
今回も、のんびりしていってね!


 

「どうだ?異変の方は?」

 

夕食を食べていると、琥珀さんがお茶を啜って聞いてきた。

 

「主犯は判ったんですけど、まだ退治は出来てません」

 

「何なら俺も手伝うぞ?」

 

「いえ、ここは私に任せて下さい!」

 

「そうか、まあ頑張れ」

 

「はい!」

 

私は大きく返事をして、食器を片付ける。

そして皿を洗いながら、異変解決への気持ちを強める。

 

「もうこれ以上、被害は出させない」

 

私はそっと呟いた。

 

 

 

 

 

*****************

 

 

 

 

―翌朝―

 

私は今日も里周辺を調査していた。

と言っても、おそらく主犯は夜行性だから見つかる可能性は低い。

だから私は、罠を仕掛けながら調査を進めていた。

罠と言うのは、対象が私が仕掛けた結界に踏み込んだ瞬間、対象の動きを一時的に封じ込めると言うものだ。

まあ分かり易く言うと、某ハンターゲームのシビレ罠のようなものだ。

え?どうして私がモン〇ン知っているかって?

細けぇ事ぁ良いんですよ!

私が離れていても、結界が発動したかは何時でも判るので、対象が結界に掛かったらすぐに向かう事が出来る。

名付けて、例の金髪の主犯を一狩りしようぜ!大作戦です!

私は罠をいくつか仕掛けた後、一旦里に向かう事にした。

 

慧音さんの家に行くと、慧音さん達から役割分担をしようと告げられた。

 

「して、私は一体どんな役割ですか?」

 

私が聞くと、慧音さんが内容の説明を始める。

 

「何、簡単な事だ。まず私は里を、次に霊陽は里周辺の森を、そして妹紅は妖怪の山や迷いの竹林周辺をそれぞれ守る。目的は変わらず、主犯の退治と被害防止だ」

 

「成る程、分かりました」

 

「少しでも異常があればすぐに伝える事」

 

「分かりました。確かにあの妖怪とー対一(サシ)で勝負は危険ですからね」

 

「ああ、あいつの妖力……ありゃそこらの大妖怪よりもよっぽど強力だな」

 

妹紅さんが苦い顔で言う。

 

「それじゃ皆、また後で」

 

「はい」「ああ」

 

私が慧音さん家を後にした時は、既に空は夕焼けになっていた。

私は里を出て、再び調査を始める。

それにしても、この異変のせいで最近は神社に帰れない事が多い。

大体いつも丑三つ時で、たまに朝帰りの日もある。

そのお蔭で、私は全然休め無いし、琥珀さんと話す機会も少なくなってしまった。

 

「はぁぁ」

 

自然と溜め息が溢れる。

いけない、いけない。

私はこの異変を一刻も早く解決しなければならないのだ。

 

「メンタルリセット!」

 

私は自分の頬を両手で叩く。

乾いた破裂音がして、頬がじんじんと熱を帯びる。

 

「よし!」

 

私が気合いを入れ直した瞬間、結界が発動した。

 

「――!掛かった!」

 

私は空を飛んで、結界の元に急いだ。

 

 

空を飛んでいると、暗闇の中、青白い光を放つ所を発見する。

私の仕掛けた結界だ。

結界のすぐ近くに着地して、結界に囚われて苛立った様子の彼女を見つけた。

そしてすぐ近くには、気絶している男性の姿。

私は空に向かって霊力で作った弾を撃つ。

これで、慧音さんか妹紅さんが来てくれる筈だ。

 

「この邪魔くさい結界を張ったのはアンタね?」

 

金髪の少女が怒りに満ちた声で言う。

 

「はい、そうですよ。まんまと引っ掛かってくれましたね」

 

「言ったわよね?次邪魔したら消すって」

 

「ええ、言いましたね。それが何か?」

 

「……消される覚悟は出来たかしら?」

 

「安心してください。私、消されるつもり何て有りませんから」

 

「安心して頂戴。絶対に消してあげるから」

 

彼女がそう言うと、結界の効力がきれて、辺りは暗闇に包まれた。

 

「冥土の土産に教えてあげるわ。私は宵闇の大妖怪、ルーミアよ」

 

「退治のついでに言っときます。私は博麗の巫女、博麗霊陽です」

 

するとルーミアの手には、何時の間にか漆黒の大剣が握られていた。

私は左手にお札を、右手にお祓い棒を構える。

 

「フフ、闇の中で私に勝てるとでも?」

 

直後、私の視界は黒に満たされた。

 

 

 

 

 

 

 




はい、どうもお疲れ様でした!
アドバイス等有りましたら気軽にお願いします!
次回も、のんびりしていってね!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第44話 宵闇の大妖怪②

はい、どうものんびり+です。
投稿遅れてすみませんでした!
時間が無くてですね……。
それでは今回も、のんびりしていってね!


私の視界はまるで目を瞑っている時のように真っ黒で何も見えない。

そんな中でルーミアさんの声が聞こえる。

 

「闇の中で私に勝てるかしら?フフ、精々もがきなさい」

 

高笑いをするルーミアさんに、私も負けじと反論する。

 

「ルーミアさんこそ見えてませんよね?立場は同じですよ」

 

私が言うと、ルーミアさんはさらに笑って返した。

 

「あんたバカ?私が自分の能力で自分の首を絞めるアホな訳無いでしょ?私にはあんたの位置も動きも丸分かりよ」

 

刹那、後ろから嫌な感じがしたので、私は即座に上へ飛んだ。

 

「へぇ、良い勘してんじゃない。まあ、寿命が少し延びただけだけど」

 

そんな声が闇から聞こえる。

真っ暗でよく分からないが、どうやらルーミアさんの攻撃が来ていたらしい。危ない危ない。

私は気を引き締めて、再びお札とお祓い棒を構える。

するとまた、嫌な感じが四方八方からしてくる。

私は勘を頼りに攻撃を避けて行く。

 

「お返しです!」

 

ルーミアさんがいるであろう場所に向かって、私はお札を数枚投げつける。

 

「随分と厄介な勘だこと」

 

だが私の放ったお札はルーミアさんに全て躱されてしまった。

やはり、この闇の中ではルーミアさんの圧倒的有利だ。

私はルーミアさんの攻撃を避けながら、この状況をどう打開すれば良いのか考えを巡らせる。

 

「考え事とは余裕ね?」

 

攻撃の数と速度が上がった。

すると、流石に全ては避けきれず、所々で攻撃がかすり始める。

それでも何とか勘で躱していく――が、私が正面から来た攻撃を避けた先には、既に予知してたかのように次の攻撃が飛んで来ていた。

 

「しまっ――」

 

私は闇の中なのに反射で目を瞑った。

だが、その攻撃は私に当たる事は無かった。

目を瞑った直後、私は大きな衝撃と熱風に襲われた。

その衝撃がルーミアさんの攻撃を相殺したのだ。

私が目を開けると、さしこむ月明かりに照らされた草むらと木々達が見える。闇は晴れていた。

 

「悪い、待たせたな霊陽!」

 

そんな声と共に、妹紅さんが私に駆け寄って来る。

 

「妹紅さん遅いですよ!」

 

私が言うと、妹紅さんは顔の前で合掌しながら言う。

 

「本当に悪かったって!ここに来る途中で男が気絶してたから起こしてたんだって!」

 

「あの人ですね、ありがとうございます」

 

「何、良いって事よ!」

 

「お喋りはもう良いかしら?」

 

痺れを切らしたルーミアさんが漆黒の大剣を担いで言った。

私と妹紅さんはすぐにルーミアさんへ体を向ける。

 

「妹紅さん、気を付けて下さい。ルーミアさんは闇を操ります」

 

「闇?そりゃ大層なこったな」

 

「一人だろうが二人だろうが変わらないわ。まとめて始末してあげる」

 

ルーミアさんの妖力がさらに上昇していく。

彼女を倒すには……これしか無い。

私は妹紅さんに告げた。

 

「妹紅さん、ルーミアさんを少しの間お願い出来ますか?」

 

「分かった。どうする気だ?」

 

「私はもうお札を使いきってしまったので戦うのは少し厳しいです。

だから私は私に出来る事をします。――ルーミアさんを封印します!」

 

「成る程……任された!」

 

「お願いします!」

 

そして、妹紅さんはルーミアさんの元へ向かって行った。

私も早くしなくては。

私はルーミアさん封印の準備に取り掛かった。

 

 

 

 

 

 

 




はい、お疲れ様でした!
この章ももう終わりますね。
まだ記念茶番の要望お待ちしてますのでよろしければお願いします!
それでは次回も、のんびりしていってね!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第45話 宵闇異変

はい、どうものんびり+です!
いやぁ、最近忙しくて中々投稿出来ませんでした。
こんな私ですが、これからもお願いします!
それでは今回も、のんびりしていってね!


私の目の前では、妹紅さんとルーミアさんの激闘が既に始まっていた。

私はルーミアさん封印の為に準備を始める。

頭に手を伸ばし、リボンをほどく。

私が今から行う封印は、ルーミアさんの力の封印だ。

その為には、ルーミアさんの力を封印する依代が必要となる。

今の私に残された物は、このリボンくらいだ。

私は急いで術式をリボンに組み込んでいく。

ルーミアさん程の力を封印となると、私もそれ相応の力を使う。

でも、今はそんな事言ってる場合じゃ無い。

妹紅さんが闘ってくれている今の内に。

 

「あんた、そこで何をしているの?」

 

ルーミアさんが持っていた大剣が、私に向かって飛んで来た。

 

「――ッ!?」

 

術式に集中していたので、私は反応が遅れてしまった。

もう間に合わない!

 

「危ない!」

 

大剣が目と鼻の先に来た所で、私は妹紅さんに弾かれて何とか助かった。

 

「ありがとうございます、妹紅さん」

 

「気にするな、霊陽はそれに集中してくれ」

 

そう言って妹紅さんは再びルーミアさんに向かって行った。

私も作業を再会する。

もう少しだ!

 

 

もう少し……。

 

 

……出来た!

待っていて下さい!妹紅さん!

 

 

 

 

 

 

 

 

――肌寒い風にざわめく木々達、外から聞こえる鈴虫達のうるさい程の鳴き声は、まるで俺に何かを必死に伝えようとしている様だった。

先程から妙な胸騒ぎがする。

霊陽は朝に出掛けてから帰って来ない。

ここ最近では珍しい事では無い。

だが、俺は何故だか急に不安になって、霊陽を探す事にした。

まあ大丈夫だとは思うが、念には念をだ。

それに俺も霊陽を手伝ってやりたいしな。

そうして俺は霊陽を探す為に神社を後にした。

 

 

 

 

 

「妹紅さん!出来ました!」

 

霊陽の声が聞こえた。

どうやらルーミア封印の準備が整った様だ。

 

「良し、やっちまえ霊陽!」

 

私は後ろに飛んでルーミアから距離をとる。

私が飛んだ瞬間、霊陽がリボンを投げつける。

リボンはルーミア目掛けて飛んでいき、リボンから展開された魔方陣がルーミアを取り囲んだ。

 

「この私が、こんな奴等に遅れをとるとはね」

 

ルーミアは歯をくいしばって悔しがっている。

ざまあ見ろってんだ。

 

「――でもね、私はただで敗けるつもりは無いわ」

 

ルーミアは魔方陣に拘束されつつも、霊陽に向かって手を伸ばした。

ただの悪あがきに過ぎない。

私はそう思った。

 

その時、気付くべきだったのだ。

 

先程ルーミアが放った大剣が、霊陽のすぐ後ろにあった事に。

 

ルーミアが手を伸ばした瞬間、大剣が宙に浮いた事に。

 

そして――

 

「霊陽ぃ!後ろだぁぁ!」

 

私は全力で叫んだ。

でも、間に合わなかった。

大剣は意思を持った様に霊陽に突進して、その刃は霊陽の体を貫いた。

霊陽はそのまま、その場に倒れた。

霊陽の傷口からは、霊陽の血が流れ続けていた。

 

「フフ、ざまあ見なさい。霊陽だったかしら」

 

そのままルーミアは、眩い光に包まれていった。

光が収まると、ルーミアがいた場所には小さな少女が眠っていた。

 

「……霊陽……霊陽!」

 

私は霊陽に駆け寄って霊陽の上体を起こす。

霊陽に刺さっていた大剣はいつの間にか無くなっていた。

恐らくルーミアが封印されたからだろう。

霊陽を起こす時、私の手には温かい液体の感触があった。

その感触が私の不安を煽る。

 

「……霊陽?」

 

不安と混乱の混じったか細い声で霊陽の名を呼ぶ。

 

「も……こ……さん」

 

力無い目で私を見つめて、力無い声で私の名を呼ぶ。

そんな霊陽の姿に、私の目には知らず知らずの内に涙が溜まっていた。

霊陽は続けた。

 

「私……もう……すぐ……死ぬと……思い……ます」

 

何でそんな事言うんだよ?

声に出したいが声が出せない。

 

「伝言……頼め……ますか?」

 

「……あぁ、何だ?」

 

涙ぐんだ声で霊陽に聞くと、霊陽は最後の力を振り絞った様に笑って言った。

 

「こ……さんに……だい……っきて…………」

 

そうして、霊陽は目を閉じた。

霊陽の体がだんだんと冷たくなっていく。

私の視界は涙で歪んでぐにゃぐにゃだ。

私は霊陽を抱き締める。

力一杯抱き締める。

そして、私はとうとう耐えきれずに泣き叫んだ。

その泣き声は、夜の静かな森の中に響き渡った。

肌寒い風にざわめく木々達、辺りから聞こえる鈴虫達のうるさい程の鳴き声は、まるで霊陽の死をひたすらに嘆いている様だった。

 

 

 

 

 

森を歩いていると気配がしたので行って見ると、そこには血塗れの霊陽を抱き締めて涙を流す妹紅の姿。

俺は直感的に分かってしまった。

胸騒ぎの正体を、妹紅の涙の理由を。

 

「妹紅……霊陽は……」

 

俺が言うと、妹紅は涙を啜りながら言った。

 

「琥珀、霊陽からの伝言だ」

 

「……何だ?」

 

「「大好き」だってさ」

 

「……そうか」

 

気が付くと、俺の目からも涙が流れていた。

すると、うなり声が聞こえた。

 

「う……うぅん……ここは、どこなのだー?」

 

声の方向を見ると、金髪の髪に赤い瞳、黒いロングスカートを着た少女がいた。

すると妹紅は、霊陽を優しく寝かせた後、怒りに満ちた様子で少女に迫った。

 

「テメェ、よくも霊陽をッ!」

 

「おい妹紅!落ち着けって」

 

俺は大の字になって少女の前に立った。

 

「どいてくれ琥珀!そいつが、そいつが霊陽をッ!」

 

「お姉さんは誰なのだー?」

 

妹紅が言うと、少女は腕を広げ首を傾げながら言った。

 

「とぼけるなッ!妹紅だ!状況が悪いからしらばっくれようとしても無駄だぞ!」

 

「本当に知らないのだ。お姉さんは私の事を知ってるのかー?」

 

少女の言葉を聞いた妹紅はその場に膝をついた。

 

「そうか……お前、記憶が……」

 

妹紅の目からは再び涙が流れていた。

 

「……妹紅」

 

俺はそっと妹紅を抱き締めた。

妹紅の手は力強く俺の背中を掴む。

俺はただ、妹紅の頭を撫で続けた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

霊陽が死んでから一ヶ月が経った。

あの異変は「宵闇異変」と名付けられ、霊陽が解決したと伝えられた。

あの後すぐに紫も来て、あの場は泣き声に包まれた。

あれから今日まで、特に目立った事も無く、平和に時は流れていった。

紫は今、二代目の巫女を探すのに奮闘中だ。

まあ、こんなもんかな。

俺はその場に立ち上がり、笑顔で言う。

 

「じゃあな、霊陽」

 

そして、俺は霊陽の墓を後にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




はい、お疲れ様でした!
これでこの章も終わりですね。
それでは次回も、のんびりしていってね!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第6回 キャラ紹介

はい、どうものんびり+です。
キャラ紹介です!
*今回から紹介項目は、名前、種族、能力、好きなものとさせて頂きます。
と言うのも、キャラ多すぎて涙目です。
「そこまでして紹介する意味あんの?」
と思う人もいるでしょう。
まあ、紹介しといて見たい人は見ると言った形ですね。
それでは今回も、のんびりしていってね!


名前・八雲藍(やくもらん)

やくもらん

種族・妖獣(九尾の狐)

 

能力・式神を操る程度の能力

 

好きなもの・紫様、橙

 

 

 

名前・紅美鈴(ほんめいりん)

 

種族・妖怪

 

能力・気を使う程度の能力

 

好きなもの・お昼寝

 

 

 

名前・ パチュリー・ノーレッジ

 

種族・魔女(魔法使い)

 

能力・火、水、木、金、土、日、月を操る程度の能力

(魔法を使う程度の能力)

 

好きなもの・研究

 

 

 

名前・小悪魔(こあくま)

 

種族・悪魔

 

能力・なし

 

好きなもの・パチュリー様

 

 

 

名前・レミリア・スカーレット

 

種族・吸血鬼

 

能力・運命を操る程度の能力

 

好きなもの・紅魔館メンバー

 

 

 

名前・フランドール・スカーレット

 

種族・吸血鬼

 

能力・ありとあらゆるものを破壊する程度の能力

 

好きなもの・紅魔館メンバー+琥珀

 

 

 

名前・博麗霊陽(はくれいれいひ)

 

種族・人間

 

能力・霊力を扱う程度の能力

 

好きなもの・琥珀、紫

 

 

 

名前・上白沢慧音(かみしらさわけいね)

 

種族・ワーハクタク

 

能力・歴史を食べる(隠す)程度の能力(人間時)、歴史を創る程度の能力(ハクタク時)

 

好きなもの・将棋

 

 

 

名前・黒谷(くろだに)ヤマメ

 

種族・土蜘蛛

 

能力・病気(主に感染症)を操る程度の能力

 

好きなもの・運動

 

 

 

名前・水橋(みずはし)パルスィ

 

種族・橋姫

 

能力・嫉妬心を操る程度の能力

 

好きなもの・静かな所

 

 

 

名前・火焔猫燐(かえんびょうりん)

 

種族・火車

 

能力・死体を持ち去る程度の能力

 

好きなもの・さとり様

 

 

 

名前・古明地(こめいじ)さとり

 

種族・覚妖怪

 

能力・心を読む程度の能力

 

好きなもの・読書(最近はミステリー推し)

 

 

 

名前・古明地こいし

 

種族・覚妖怪

 

能力・無意識を操る程度の能力

 

好きなもの・遊ぶ事

 

 

 

名前・霊烏路空(れいうじうつほ)

 

種族・地獄鴉(八咫鴉)

 

能力・核融合を操る程度の能力

 

好きなもの・さとり様

 

 

 

名前・キスメ

 

種族・釣瓶落とし

 

能力・鬼火を落とす程度の能力

 

好きなもの・平穏

 

 

 

名前・ルーミア

 

種族・妖怪

 

能力・闇を操る程度の能力

 

好きなもの・のんびりする事(封印済み時)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

はい、以上キャラ紹介でした!

後は茶番です!

これを記念茶番とさせていただきます。

申し訳ありません、一本作っている時間が無くて。

まあ兎に角、今までありがとうございました!

これからも宜しくお願いします!

それでは、のんびりしていってね!

 

 

 

 

『ドッキリ仕掛けて見た』

 

 

 

 

 

これは、ある夜の日の事だった。

私はいつも通り部屋で紅茶を啜っていた。

幻想郷に来てから数ヵ月。

特に問題も無く、平和な日々が続いていた。

 

「退屈ねぇ。パチェの所に行こうかしら」

 

私は退屈しのぎの為に大図書館に向かう事にした。

部屋を出て、図書館へと続く道を歩いていると、突き当たりでフランと遭遇した。

 

「あら、フランじゃない。どうしたの?」

 

私はフランに普通に話し掛けた。

するとフランは、私の目を見て言う。

 

「邪魔。どいて」

 

――え?

困惑する私をよそに、フランはそのまま去って行った。

フランが立ち去って暫く、私の頭の中は真っ白だった。

そして、フランの言葉が何度も繰り返し反響する。

「邪魔。どいて」

今までそんなキツい言い方をされた事は無かった。

……ついに私はフランに嫌われてしまったのだろうか。

……何で?私は何もしてないのに。

気付くと、私の頬を涙が伝っていた。

 

 

 

 

 

 

 

「お疲れ様、フラン。どうだった?」

 

「うん、効果はあった筈だよ。でもやっぱり少し辛いかな」

 

「と言いつつもキレッキレだったぜ?」

 

「もう、お兄様ったら、止めてよ」

 

「はは、悪いな。けど暫く頼むぜ?どうだ、案外面白いだろ?」

 

「そうだね、あんなお姉様は中々見れないからね。任せてよ!」

 

紅魔館の一室に、二人の笑い声が響いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

「――で、私にどうすれば良いか聞きたい訳ね?」

 

「……うん」

 

私は先程の事をパチェに相談する事にした。

パチェなら何か良いアイディアがあるかも知れない。

しかし、私に返って来たのは

 

「悪いけど、私にはどうすれば良いなんて分からないわ。まあ、私はフラン自身に聞くのが一番だと思うけど」

 

と言う言葉だった。

 

「ハァ……」

 

私は溜め息を吐きながら図書館を後にした。

 

 

私は何故フランに嫌われてしまったのだろうか。

考えても答えは出てこない。

私は途方に暮れながら部屋へと向かっていた。

――すると、再びフランとはちあわせた。

 

「……フラン……」

 

私が呟くと、フランは舌打ちをして言った。

 

「何?用でもあんの?私出来るだけあんたと話したく無いから早くして」

 

その言葉をトリガーに、私の心の壁が崩れた。

 

「何でそんな事言うの?私が何をしたって言うのよ!」

 

流したくも無いのに涙が溢れる。

そんな私にフランはお構い無しに言う。

 

「何もしてないよ。唯あんたが嫌いなだけ、ウザいんだよね」

 

私は、尊厳やプライドを全て捨てて心の内を叫んだ。

 

「私はフランが大好きよ!だからフランに嫌われるのは凄く辛いの!どうしたら私を好きになってくれるかな!?私、頑張るから!言ってよ!お願い!」

 

とうとう私は、その場に座り込んでしまった。

止めどなく溢れる涙を拭い続ける。

 

 

――すると、ふいに肩を後ろから叩かれる。

私が後ろを見ると、そこには琥珀がいた。

 

「…………琥珀?」

 

私の視界は涙で歪んで良く見えない。

私は涙を拭って、もう一度琥珀を見てみる。

琥珀は看板のようなものを持っていて、そこには大きく

『ドッキリ大成功』の文字が書かれていた。

 

暫く放心状態になる。

そして事態を把握した。

今日の事は全て、琥珀の仕込んだドッキリだったのだと。

 

瞬間、私の中で何かがキレた。

 

「ねえ琥珀、向こうで二人きりでお話しましょう?」

 

恐らく今の私は自分でも清々しい程の笑顔の事だろう。

私は琥珀を引きずって、地下へ向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




はい、お疲れ様でした!
次回も、のんびりしていってね!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第7章 紅魔郷編~紅霧異変~
第46話 スペルカードルール


はい、どうものんびり+です。
先ず一言、遅れてすみませんでしたぁ!
謝罪しときます!
それでは気を取り直していきましょう。
設定はオリジナル、良いですね?
今回も、のんびりしていってね!


宵闇異変から数百年後。

季節は夏。

俺は博麗神社の縁側にいた。

ここは俺のお気に入りの場所だ。

神社周辺から響くセミの鳴き声、風が吹く度に揺れる風鈴の音、俺が今食べているスイカ、俺は今夏を満喫している所だ。

 

「満喫するのは良いけど、後にしてくれる?」

 

「えぇ……ケチだなぁ」

 

「もうすぐ紫も来るわよ」

 

「じゃあ皆でスイカ食べようぜ」

 

「それもそうね、麦茶でも持って来るか……」

 

少女はそう言って台所へ向かった。

少女の名は博麗霊夢(はくれいれいむ)

六代目博麗の巫女だ。

代が交代したのは丁度十年程前。

当時まだ七歳だった霊夢に、俺は歴代の巫女達と同じように色んな事を教えた。

霊夢は飲み込みが早く、戦闘面では申し分無い。

まあちょっとサボり癖が強いが。

料理も意外と出来る。

意外と言うのは、霊夢は結構がさつで大雑把だから料理は苦手だと思っていたからだ。

 

「あんた今失礼な事考えてたでしょ?」

 

「滅相もございませんよ、霊夢様」

 

キリッとした決め顔で言う。

危ない危ない、霊夢は怒らせると怖いからな。

勘が鋭いのも霊夢の特徴だ。

この前トランプのババ抜きで七連敗して、罰ゲームで一日メイド服を着せられてこき使われたのは良い思い出だ。

 

「じゃあ紫も来たし、始めましょうか」

 

「はぁ、貴方達二人は何で分かるのかしらねぇ」

 

「気配で分かる」「勘で分かるわよ」

 

「そうだったわね」

 

スキマから紫が呆れ顔して出てきた。

俺も最初は霊夢が紫の気配を察知出来るのには驚いた。

紫の存在を認識出来る奴なんて滅多にいないからな。

 

「あ、琥珀。スイカ頂戴」

 

「はいはい」

 

「じゃあ前回の続きね」

 

「そうねぇ、決闘で勝敗を着けるのは良いけど」

 

「その決闘の内容が問題だよなぁ」

 

俺達が何の話をしているか……簡単に言うと、最近何かと物騒なんだ。

妖怪は年々凶暴化していて、幻想郷で許される範囲を越えて人間を襲うようになった。

逆に人間も、退治屋だと言い張って害の無い小妖怪を無闇に退治したりしている。

それについ半年くらい前には、吸血鬼が妖怪を引き連れて幻想郷を攻め落としに来た事もあった。

そいつらは俺が全員まとめてお灸をすえて故郷に返してやったがな。

そこで、何とかこの状況を改善しようと、紫と霊夢、俺で話し合っている最中だ。

その中で出てきた案が、決闘で勝敗を着け、敗者が勝者の言うことを聞くと言う者だ。

決闘の役目は、幻想郷内で起こる揉め事の解決、人間と妖怪が対等に戦える事、強い妖怪同士が闘う時に必要以上の力を出さないようにする事、などなどだ。

だが、それに当てはまる決闘のルールをどうすれば良いか……それを今考えている。

 

「うぅん……決闘と言えば(さむらい)同士の一騎討ちとか銃の早撃ち対決とか?」

 

「確かにテンプレだけど、皆が皆刀や銃を持っている訳じゃ無いわ。それにこの決闘ルールは貴方が一番の鍵になると言っても過言じゃ無いのよ?霊夢」

 

「だよなぁ、博麗の巫女である霊夢が率先してやらなきゃなぁ」

 

「えぇ……私の武器って言ったらお札とかお祓い棒とか陰陽玉とかよ?」

 

「お札と陰陽玉は飛び道具じゃねーか」

 

「そうねぇ。早撃ち対決には出来ないわね、それよりも避け合う闘いになりそうだわ」

 

紫は扇子で顔を隠しながら笑って言った。

……避け合う……ねぇ……。

 

「あら、もうこんな時間ね。また明日来るわ」

 

そう言って、紫はスキマの中に消えていった。

周辺からはカナカナとひぐらしの鳴き声が聞こえる。

時間はもう夕暮れ時だ。

 

「あ、そうだ琥珀、ちょっと野菜とお肉買って来てくれる?」

 

「ん?あぁ、良いぜ」

 

霊夢にお使いを頼まれたので、俺は人里に瞬間移動する。

俺が里に着いた瞬間、俺の顔目掛けてボールが飛んで来た。

 

「――うお!?っぶねぇ」

 

俺はすぐにボールを躱す。

 

「あ!すみません!」

 

すると一人の少年が走って近付いて来た。

少年が来た方には、七人程の少年少女がいる。

恐らくドッジボールか何かで遊んでいたのだろう。

 

「ほら、ボール」

 

俺は少年にボールを拾ってあげる。

 

「ありがとう!」

 

少年は嬉しそうにボールを持って走っていった。

やはりドッジボールのようだ。

皆でボールを避け合っている。

その笑顔から、とても楽しいと言う事が伝わって来る。

 

「楽しいか?ドッジボール」

 

「うん!楽しいよ!お兄さんもやる?」

 

「え?」

 

「皆!お兄さんもやるってー!」

 

「「うぇーーい!」」

 

それから俺は、半ば無理矢理ドッジボールに参加。

俺一人vs子供達でも見事に勝利。

容赦が無いって?当たり前だ。だって俺だぞ?

 

「お兄さん強いなぁ!」

 

「まあな」

 

「慧音先生にも負けちゃったしなぁ」

 

「お前達は慧音の所の生徒か?」

 

「うん!今日も慧音先生とドッジボールやったんだけど負けちゃったんだ」

 

「……なあ、俺も一緒に闘ってやろうか?」

 

「え?良いの!?」

 

「ああ、ただし俺は外野だが」

 

「いや、良いよ!お兄さんがいれば百人力だ!」

 

「じゃあお兄さん!明日寺子屋でね!」

 

「あいよ」

 

子供達と別れた俺は、神社に帰ると霊夢に遅いとぶっ叩かれた。

 

 

―翌日―

 

俺は約束通りに寺子屋に行った。

寺子屋前では、子供達と慧音が既に準備を終わらせて待っていた。

 

「……助っ人って琥珀だったのか」

 

「フッフッフ、覚悟しろよ慧音?」

 

「くっ、上等だ!」

 

そして、俺と子供達vs慧音のドッジボール対決が始まった。

試合開始から数分、慧音の容赦ない攻撃により子供達の半分が外野送りになった。

 

「やい慧音!大人気無いぞ!」

 

「えぇ!?特大ブーメランじゃないか!」

 

そして、内野が三人になった時だ。

 

「後三人……行ける」

 

「――と、思うじゃん?」

 

「何!?しまった!」

 

慧音が気を抜いた瞬間、少年の絶妙なパスが俺に回って来た。

慧音はワンテンポ遅れている為、俺が投げたボールに当たる

 

「――と、思うだろ?」

 

「何!?てか俺のパクんな!」

 

慧音は間一髪の所で上に飛んで回避した。

俺が投げたボールはそのまま飛んで行き、その先には内野の少年がいた。

手加減はしてあるので当たってもケガはしないと思うが、かなりのスピードで飛んでいるボールは少年からしたら怖い筈だ。

 

「ひっ!」

 

「大丈夫だ!ボールは味方だ!怖れるな、少年!」

 

「で、でも」

 

「勇気を出せ!」

 

「っ!」

 

俺が言うと、少年は両手を前に突き出した。

ボールは少年の手に当たり跳ね返る。

ボールが飛んだ先にはまだ空中にいる慧音。

――勝った、計画通り。

 

「くっ、ここまでか」

 

ボールは慧音に当たって、見事子供達の勝利になった。

 

「やったー!慧音先生に勝ったー!」

 

子供達は嬉しそうにバンザイしたりガッツポーズをとったりしている。

 

「負けたよ、皆良い動きだったぞ」

 

「そうだな、良くやったぞ少年」

 

「あ、ありがとうお兄さん!」

 

「良いって事よ……そろそろ帰らないと不味いな」

 

「また何時でも来てくれて構わないぞ、琥珀」

 

「ああ、サンキュー。……なあ慧音、楽しかったか?」

 

「え?ああ、楽しかった。こんなに動いたのは久々だったよ」

 

「……もし、もっとボールが増えたらどうだ?」

 

「ボールが?」

 

「ああ、互いに無数のボールを投げ合って当たったら負け」

 

「うぅん……難しそうだがそれも楽しそうだな」

 

「そうか、ありがとうな」

 

俺は皆に別れを告げて神社に戻る。

神社には既に紫がいた。

 

「琥珀、遅刻よ?」

 

「許してヒヤシンス」

 

「琥珀、あんた一週間団子抜きにされたいの?」

 

「遅れて大変申し訳ありませんでした」

 

「分かれば良いのよ」

 

……霊夢、恐ろしい子。

 

「それじゃ、前回の決闘の続きね」

 

紫が麦茶を飲んで言う。

俺の頭の中には、決闘の大体のルールが出来上がっていた。

 

「なあ、提案良いか?」

 

「良いわよ、何か良い案が出たの?」

 

「まあな。先ず霊夢、お前昨日言ったよな?武器はお札とかだって」

 

「ええ、そうよ?あんたが教えたんでしょうが」

 

「それもそうだった。紫、お前妖力を飛ばして攻撃は出来るよな?」

 

「ええ、出来るわよ。妖力を使った攻撃は基本中の基本だもの。幻想郷中の妖怪でも出来ない方が珍しいわ」

 

「だよな。そこでだ!俺は霊力や妖力を使った弾幕戦を提案する!」

 

「弾幕戦?」

 

「そうだ。ルールは単純明快、弾を撃ち合って力尽きた方の負け」

 

「……成る程。悪く無いわね」

 

「……もう少し細かいルールを付け加えれば……いけるかもね」

 

「……弾幕なら技って言うのもありね。所謂(いわゆる)必殺技ね」

 

「お、良いなそれ。その必殺技っての、回数制限あっても良いかもな」

 

こうして、俺達が出せる限りのアイディアを並べ、決闘のルールは以下の通りになった。

 

 

 

一、決闘の美しさに意味を持たせる。

 

一、意味の無い攻撃はしない。

 

一、(あらかじ)め技の名前とその意味を体現した技をいくつか考えておき、それぞれの技名を契約書形式で記したカードを使って闘う。

 

一、カードを使う回数を宣言する。

 

一、カードを使う際にはカード宣言をする。

 

一、体力が尽きるか、全ての技を攻略された場合負けとする。

 

一、このルールで闘い負けたら(いさぎよ)く負けを認め、余力があっても闘うことは許されない。

 

大まかなルールは以上。

また、この決闘の名を“スペルカードルール”と名付ける。

 

 

 

 

 




はい、お疲れ様でした!
スペルカードルールまで来ました。
何か気になる事があればお願いしますです。
それでは次回も、のんびりして行ってね!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第47話 久々の異変

はい、どうものんびり+です!
最近冷えてきましたねぇ。
今回も少し雑になってしまいました。
琥珀「またかよ、この⑨が!」
酷いよ!うぅ……!
琥珀「はいはい嘘泣き乙」
くっそ、何故バレたし。
琥珀「それでは今回も」
「「のんびりしていってね! 」」



スペルカードルール制定から一週間。

文に頼んで新聞に載せてもらったから、もう結構知れ渡っている筈だ。

だが、これと言った進展も無く、相も変わらずのんびりした日々が続いている。

因みに、俺は今イメチェン中である。

なんと!今の俺の服装は黒の半袖半ズボンと言ったスタイリッシュな格好なのだ!

俺が着物以外を着るってレアだぞ?

…………あれ?今まで結構着てたかな、着物以外……。

 

「暑いわねぇぇ……」

 

すると、何ともだらしなさげな霊夢の声が聞こえる。

無理もないな、多分今の気温三十度以上はある。

 

「仕方無ねぇな、琥珀さんがそうめん作ってやるよ」

 

「助かるわぁー」

 

「棒読みで言われてもなぁ……」

 

「私にもそうめんくれよ!」

 

俺と霊夢の会話に、急に第三者が介入して来た。

まあ、一人しかいないよな。

俺が後ろを見ると、縁側から一人の少女が上がって来た。

黒い三角帽を被り、黒の服に白いエプロン、下着は長めのドロワーズを着用。

金髪の髪を片側だけおさげにしていて、黄色の瞳が特徴的な少女。霧雨魔理沙(きりさめまりさ)だ。

 

「よっす、霊夢に琥珀」

 

魔理沙は明るい笑顔で挨拶をし、当然のようにあぐらを組んで座る。

ここはもう第二の家のような感覚なのだろう、遠慮は一切無い。

 

「お前いつも急に来るよな」

 

「まあな、私は気まぐれ何だぜ。知ってるだろ?」

 

「ああ、よ~く知ってるよ」

 

俺は三人分のそうめんを作る為に台所へ向かった。

 

俺はそうめんを作りながら、魔理沙の事を思い出していた。

霊夢が博麗の巫女になってまだ間もない頃から、魔理沙は此処に良く来ていた。

最初は偶々通りかかっただけの神社だったらしいが、どうやら此処が気に入ったようで頻繁に来るようになった。

霊夢とは十年程の付き合いで、まさに字の如く親友だ。

聞いた話だと魔理沙は親父さんとは絶縁状態にあるらしく、今は魔法の森にある霧雨魔法店で一人暮らし中だとか。

 

「よし、そうめん出来た」

 

俺は三人分のそうめんを霊夢と魔理沙の元に運んだ。

 

 

 

 

 

昼食を食べ終わり、三人仲良く駄弁っている時の事だった。

 

「そういえば琥珀はどうなんだ?スペカ出来たのか?」

 

「うぅん、まあ出来たっちゃ出来たよ」

 

「ほう、霊夢もか?」

 

「まあね。出来てるわよ」

 

「魔理沙も出来てるんだろ?」

 

「良く分かったな」

 

「俺は技名が厨二っぽくて人前で言えないんだが……」

 

「琥珀らしいな。だが!私が思うに技名より火力が大事だと思うんだぜ」

 

「まあ、それも大事だけど美しさとかも必要だからねぇ」

 

「…………ちょっと待って。あれ何?」

 

俺が外を見るとあら不思議。

何故だか空一面が紅い霧で覆われていた。

しかもこの霧……僅かだが妖気を帯びている。

普通の人間なら体調を崩し兼ねない。

 

「これは……異変だな!」

 

魔理沙が興奮気味に言う。

 

「はぁ……ちゃっちゃと終わらせましょうか」

 

霊夢は装備を整える。

 

「お、頑張って来いよ?二人共」

 

「何言ってんの?あんたも来るのよ?」

 

「え?」

 

「よっしゃ、行こうぜ!」

 

そう言って勢い良く箒にまたがり空に飛翔する魔理沙。

俺も強引に連行される。

何で俺まで……。

こうして俺達の、久々の異変解決活動が始まった。

 

 

 

 

 

 

 

 




はい、どうもお疲れ様でした。
それでは次回も、のんびりしていってね!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第48話 異変解決活動

はい、どうものんびり+です!
注意。
はい、いつもの事ですが、オリジナル展開と独自解釈(設定)が含まれます。
特に、スペカですね。
至らぬ点が多いと思いますが、温かい目で見てくれると嬉しいです。
それでは今回も、のんびりしていってね!


 

視界はこの紅い霧のせいで良いとは言えない。

そんな空を、俺達三人は飛んでいた。

 

「全く、何で俺まで……」

 

「琥珀、いつまでグチグチ言ってんだよ!男らしく無いぜ」

 

「そりゃすみませんね。でも俺はあんま関与しないからな?」

 

そう、異変解決は博麗の巫女の仕事だからな。

甘やかすのは良くない。

 

「あんた、本当に役立たずな神様ね」

 

霊夢が冷たい視線を送って言う。

俺の豆腐のように脆い心に、霊夢の言葉の矢が突き刺さる。

 

「えぇい、うるさい!俺の事は関係無いだろうが!」

 

「で、霊夢。今はどこに向かってるんだ?」

 

魔理沙のお蔭で話題は異変に変わる。

ナイス魔理沙!

 

「そんなの、いつもの勘よ」

 

当然と言った表情で霊夢は答える。

だが事実、霊夢の勘は良く当たる。

あまりに当たるもんだから、俺は霊夢が「勘を当てる程度の能力」を持っているのでは?と疑った程だ。

でも、そうポンポン当たる訳無いよな。

異変の時や戦闘時の勘は対したもんだが、それ以外は並だ。

 

「琥珀、私の勘は常時変わらずよ?」

 

すみません前言撤回。

霊夢さん半端ねぇっすマジ。

 

俺達が呑気な会話を繰り広げていると、何者かに呼び止められる。

呼び止めたのは、三人の少女達だった。

 

「チルノちゃん!止めようよ!皆忙しそうだよ!」

 

緑の髪の少女が注意するが、返って来るのは大丈夫と言う返事だけ。

緑の髪の少女は大妖精。名前では無いらしいが。良く大ちゃんと呼ばれている。

そして大ちゃんがさっき言っていた、水色の髪に青いリボンをした少女。

名をチルノと言う。

チルノはある意味で有名人で、ある意味でとは、チルノはやんちゃでお馬鹿と言う事。

多分、幻想郷のほとんどの人達が知っている事だ。

大ちゃんとチルノは良く一緒にいる為、どちらか一方を見かけたらもう一方もいると考えた方が良い。

 

「ふっふっふ、やいお前ら!アタイとショーブしろ!」

 

「そうなのだー!」

 

ルーミアも一緒に戦うようだ。

……仕方無い。

ここは俺がやるしか無いみたいだな。

 

「俺にやらせてくれ。お遊びはここまでって事を教えてやる」

 

「そんな無茶しやがってフラグ建てて大丈夫か?」

 

「大丈夫だ、問題無い」

 

「そう。じゃ、先行ってるわよ?」

 

霊夢と魔理沙は先に進んだ。

俺は三人を見据え、宣言する。

 

「悪いが時間が無いからな、三対一で良いぜ。カードは二枚だ」

 

「良いよ!アタイは三枚!」「三枚なのだー!」

 

回数宣言を終えて、各々(おのおの)臨戦態勢(りんせんたいせい)に入る。そして、俺のカード宣言によって戦いが始まった。

 

 

 

「ふう、俺の勝ちだな!」

 

「くっそーー!悔しいぃ!」「悔しいのだー!」

 

「ふ、悪いな。じゃあ、さらばだ!」

 

チルノとルーミアコンビを瞬殺した俺は、霊夢と魔理沙の二人に合流する為に、紅魔館へ向かった。

ん?何で紅魔館かって?あの方向にあるものって言ったら紅魔館ぐらいだからな!

 

 

 

 

 

私の勘を頼りに進むと、何とも怪しい真っ赤な館を発見した。

この紅い霧と言う状況でこの館、怪しいと言わざるを得ない。

さらに館に近付くと、門の前に人影を見つけたので降りてみる。

すると、チャイナドレスを着た怪しい奴が構えを取って言った。

 

「来ましたね、博麗の巫女!さあ、どこからでも掛かって来なさい!」

 

との事なので、

 

「魔理沙、お願い」

 

「任せろ!恋符「マスタースパーク」!」

 

魔理沙の宣言と共に、鮮やかな色をした光線が奴に向かって放たれ、直撃。魔理沙の勝ちだ。

 

「さあ、次だ!」

 

「そうね、行きましょう」

 

私達は館の中へと進んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




はい、お疲れ様でした!
回数宣言はカットする場面が多々あると思いますがご了承下さい。
アドバイス、ご意見などありましたら是非ともお願いします!
それでは次回も、のんびりしていってね!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第49話 異変解決活動②

はい、どうものんびり+です!
投稿遅れてすみません!
それでは今回も、のんびりしていってね!


 

 

館の中に入ると、外装だけでは飽きたらず内装も見事に真っ赤だった。

それにしても随分と広い玄関ホールだ。

ここの主はさぞお金持ちなのだろう……羨ましい!

 

「で、どうする?霊夢」

 

魔理沙の声で我に返る。

そうだ、嫉妬してる場合じゃ無い。

さっさとこのかったるい異変を解決しなければ……。

 

「そうね……それじゃ手分けして異変の主犯を探しましょうか」

 

「そうだな、じゃあ私はあっちを探すぜ!」

 

そう言い残して魔理沙は右側の廊下へ進んだ。

魔理沙の姿が見えなくなり、私も主犯探しを始めようとした時だった。

 

「この紅魔館へようこそいらっしゃいました」

 

丁寧なおもてなしの言葉が空間に響いた。

正面の階段の踊り場には、いつの間にか一人の少女が佇んでいた。

青と白を基調としたメイド服に、頭にはカチューシャを装備している銀髪ボブの少女。多分、見た目通りここのメイドさんだろう。

まあ、丁度良い。

こいつに主の所まで案内してもらおう。

 

「ねえあんた。ちょっと私をあんたの主の所まで連れてってくれる?」

 

私が言うと、メイドは一体いつから持っていたのかナイフを数本構えて告げた。

 

「申し訳ありませんがそれは出来ません。貴女が来たら相手をしろと言い付かっておりますので」

 

やれやれ、私は平和主義者なのに……仕方無い。

 

「なら力尽くで連れてってもらいましょう。ルールは分かるわね?」

 

「ええ勿論」

 

メイドが宙に跳ねてナイフを投げるモーションに入る。

単純な攻撃。避けるのは容易い。

私はメイドがナイフを投げる前に(ふところ)に入ってやろうとする。

――が、私がまばたきをして目を開けた瞬間、何故かすぐ目の前にナイフがあった。

 

「は!?」

 

思考が止まってしまう。

だが、ナイフに驚いて転んだ事が功を奏して私は無傷で済んだ。

……危なかった。もし転ばなかったら今頃私の顔面にはナイフがぶっ刺さっていた事だろう。

私は立ち上がって、メイドを見据える。

 

「あらあら。大丈夫ですか?フフ」

 

メイドはクスクスと笑いながら再びナイフを構える。

……このメイド、やってくれるわね。

私もお札を構え、メイドに言ってやる。

 

「負けても恨まないでね、メイド」

 

 

 

 

 

「ん?何だ?」

 

広く長い廊下を飽き飽きしながら歩いていると、大きな扉が見えた。

他の普通の部屋の扉よりも大きなその扉は、扉の向こう側の空間の大きさを私に想像させる。

私は少しわくわくしながら、その扉を開ける。

私の目に写ったのは、この大きな部屋一杯に設けられた本棚にびっしりと敷き詰められた本だった。

 

「こりゃ凄いぜ」

 

目の前の光景に驚きと興奮を感じつつも、ゆっくりと本棚に近付き、本を一冊手に取って見る。

本には、私が知っている魔法から知らない魔法の情報が細かく記載されていた。

 

「へぇ、こりゃ知らなかった!……あ、これも!」

 

私はいつの間にか本に夢中になっていた。

すると、誰かに肩を叩かれる。

全く、今良い所だから邪魔しないで欲しいのに。

私は不機嫌な眼差しで後ろにいる奴を見た。

 

「何よ、その目は」

 

紫髪の少女は怪訝な顔をして言う。

どうやらまだ私の気持ちを察して無い様だ。

やれやれ。

私は溜め息をして紫髪に教えてやった。

 

「あのな、私は今真剣に本を読んでんだよ。人様の邪魔はするなって教わんなかったか?」

 

私が言うと、紫髪は相変わらず怪訝な顔をして言う。

 

「貴女もね、勝手に人様の部屋に浸入して勝手に本を読むなって教わんなかったの?」

 

正論を叩き込まれた。だが、これで終わる私じゃ無いぜ!

 

「じゃあ、お邪魔しまーす!本読みまーす!……これで文句無いな?」

 

「大有りよ、あんたバカ?」

 

やれやれ、話しが通じない奴だ。

仕方無い。

私は懐から小さな八卦炉(はっけろ)を取り出し、紫髪に突き付けて言う。

 

「これ以上話しても埒が明かない。こいつでサクッと決めようぜ」

 

「埒が明かないのはあんたのせいででしょうが。まあ、別に問題無いけどね」

 

すると、紫髪が持っていた魔導書が宙に浮いてペラペラと勝手にページがめくれる。私はカードの回数宣言の後に付け足して言った。

 

「普通の魔法使い、霧雨魔理沙だ」

 

「パチュリー・ノーレッジよ」

 

言い終わると同時。

私とパチュリーの色とりどりの弾幕が展開された。

 

 

 

 

 




はい、お疲れ様でした!
それでは次回も、のんびりしていってね!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第50話 異変解決活動③

はい、どうものんびり+です。
ちょと早いですが、ハッピーハロウィン!
お菓子くれなきゃふてくされちゃうぞ!
琥珀「勝手にしてろよ」
なんだと?貴様、言葉を選んだ方が良い……泣くぞ?
琥珀「どうぞ」
うわぁぁん!
琥珀「それでは今回も、のんびりしてってくれ」



俺が紅魔館に着いた頃には、どうやら既に戦闘中のようで、霊力、魔力が館の中で荒ぶっているのが感じられた。

俺もぼちぼち参加しようと思い歩き始めると、聞き覚えのある声に呼び止められる。白いシャツに黒のミニスカを着たそいつは、慌ただしそうに続けた。

 

「あややや!琥珀さんですよね!?雰囲気変わりましたね!」

 

そう言いながら手に持っているカメラで俺をパシャパシャと撮り始める。

 

「えぇい撮るな、鬱陶しい!」

 

「いやぁ、着物じゃない琥珀さんもレアですから」

 

「そうか?にしてもお前は何でここにいるんだよ?文」

 

「それは勿論、こんな美味しいネタを逃す訳無いじゃ無いですかぁ」

 

文は得意気に笑って言う。

どうやらこの異変の事を新聞にしたい様だ。

 

「そうか、頑張れよ~」

 

俺は興味なさげな相槌を打つと再び館に向かって歩みを進める。

だがどうゆう訳か、文も俺の後を付いてくる。

 

「……何で付いてくんだよ?」

 

「それは勿論、琥珀さんに付いてけば新しいネタに出会えるかも知れないじゃ無いですか」

 

「そーですか」

 

俺は文と共に館へ入って行った。

 

 

 

 

 

「メイド秘技「操りドール」!」

 

持ち手が赤と青に分かれたナイフが私に向かって降り注ぐ。

私がナイフを見切り、避けようとした瞬間、緑のナイフがいつの間にか紛れていた。

 

「っ危ないわね!」

 

危機一髪の所で何とか回避に成功する。

私は隙を作らまいと、すぐに反撃のお札を投げる。

 

「っ甘い!」

 

メイドもうまくお札を躱す。

私とメイドは、共に後一回ずつ当たれば負けと言うギリギリの戦いを繰り広げていた。

 

「中々やるわね、メイド」

 

「貴女もね、巫女」

 

「私は巫女じゃなくて霊夢よ」

 

「私だってメイドじゃなくて咲夜よ」

 

暫く沈黙が続くと、私とメイドの声が重なった。

 

「「これで終わりよ!」」

 

どうやら考える事は同じらしい。

私とメイドは再び同時に宣言する。

 

「メイド秘技「殺人ドール」!」

 

「夢符「封魔陣」!」

 

そして、私とメイドの弾幕が激突した。

 

 

 

 

 

「日符「ロイヤルフレア」」

 

パチュリーが宣言すると、赤い弾幕が次々と展開される。

 

「くぅ、キツいぜ」

 

私は何とか弾と弾の間を渡り、パチュリーの弾幕を躱していく。

 

「へぇ、やるじゃない」

 

「当たり前だ、私がこの程度でやられる訳無いぜ!」

 

と、口では強がっているものの、正直めっちゃ危なかった。

後少し時間が長かったら間違い無く私は被弾していた。

だが、今のでパチュリーのスペカは残り一枚。

……私もだけど、そんなの関係無い!

 

「じゃあこれはどう?」

 

そう言って、パチュリーは最後のカード宣言をした。

 

「火水木金土符「賢者の石」」

 

宣言と共に、四方八方から密度の濃い弾幕が私に迫り来る。

右、左、上、下とギリギリの所で弾幕を躱していく……が。

私が弾幕を避けた先には別の弾幕が既に展開済み。

完全に袋の鼠……負けた。

 

私が負けを覚悟した時、不意にパチュリーの鮮やかな弾幕が消え失せた。

 

「ゲホッ、ゴホッ」

 

激しく咳き込む声が響く。

パチュリーを見ると、手を口に当てて苦しそうに咳きを繰り返していた。

 

――チャンスだ。

私は小さな弾幕を一つ出して、パチュリーに向かって飛ばす。

弾はふよふよと力無く飛んで行き、パチュリーの肩に触れるとシャボン玉のように破裂した。

 

「これで私の勝ちだな」

 

「パチュリー様!」

 

すると、さっきから奥の本棚に隠れていた奴が飛び出して来た。

 

「大丈夫ですか!?今お薬を持って来ます!」

 

そう言ってそいつはバタバタと走って行く。

 

「今度は体調を万全にしとけよ?このままじゃ私が納得いかないからな」

 

私はパチュリーにそう言い残し、本棚から本を一冊取ってから部屋を後にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




裏話
パチェ「この“火水木金土符”って長いわね……」
こあ「大丈夫ですよ!格好良いですから!」
パチェ「そう言う問題じゃ無いでしょ」

咲夜「はぁ……」
レミ「どうしたの?咲夜」
咲夜「お嬢様……いえ、スペカの名前が思いつかなくて」
レミ「スペカ?……そうだ!咲夜メイドだし、メイド秘技とか良くない?」
咲夜「流石お嬢様!それでいきましょう!」


はい、お疲れ様でした!
弾幕ごっこって書くの難しいですね。
まあ、私には全ての文章自体が難しいですけどね!
それでは次回も、のんびりしていってね!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第51話 異変解決

はい、どうものんびり+です!
始めに、今回オリジナル要素有りです。
それでは今回も、のんびりしていってね!



「私の勝ちよ、咲夜」

 

私は、床に倒れて気絶しているメイドに勝ち誇って告げた。

かなりギリギリだったが、私にかかればどうって事無い。

私は此処に来た目的……異変の主犯を探す為に階段を上がって行く。

本当はメイドに案内させたかったのだが、気絶中では仕方が無い。

何時も通り自分の勘を頼るしか無さそうだ。

 

勘を頼りに真っ赤な廊下を歩き続け、ようやく辿り着いた。

もはや勘など必要無い程、この先の部屋からは強力な妖気が感じられる。

私はドアノブに手をかけ、勢い良くドアを開こうとした所で誰かに名を呼ばれ、ドアノブから手を離して声の方向に視線を飛ばす。

そこには、魔理沙が本を片手に持ちながら歩いて来る姿があった。

 

「魔理沙、遅かったわね」

 

「そうか?お前とそんな変わらないだろ?」

 

魔理沙は私の隣に来ると、ドアへと体を向ける。

 

「さて、この先か?」

 

「ええ、覚悟は良い?」

 

「勿論だぜ!」

 

私は再びドアに手をかけ、今度こそ勢い良くドアを開ける。

先ず目に入ったのは、幼女二人。次に黒髪の少女と茶髪の少女。

四人は赤いソファーに座っていて、ソファー前には紅茶とクッキーが置いてある丸テーブル。……お茶会?

 

「あなた達、ノックも無しに部屋に入るのは無神経で無くて?」

 

紫髪の幼女が私達を見ながら言う。

 

「そりゃ悪かったわね、お嬢ちゃん」

 

全く悪びれる事無く紫髪に返す。

 

「全く……それで?何の用よ」

 

「霧。迷惑。やめて」

 

「何で片言なのよ!」

 

紫髪はソファーから立って私達の前に佇み、咳払いをして言った。

 

「残念だけど、霧を晴らす訳にはいかないわ。そんなに迷惑なら、力ずくで止めてみれば?」

 

「ああ、上等だぜ!覚悟しろよチビッ子」

 

私の代わりに魔理沙が答える。

私もお札を取り出し、臨戦態勢に入る。

そこで、ソファーに座っている茶髪の少女が言った。

 

「待て、そこの紅白!琥珀は来ていないのか?」

 

「琥珀ならその内来るんじゃ無いの」

 

……すっかり琥珀の事を忘れていた。

あの馬鹿、一体どこで油売ってんのかしら……。

 

「さて、それじゃあ始めましょうか」

 

紫髪の言葉で、私は意識を敵に向ける。

 

「待ってお姉様!私もやる!」

 

今度は金髪幼女の声で、またまた気が抜ける。

今日は随分と締まらないわね。

 

「さて、今度こそ始めましょうか。フラン、準備は良い?」

 

「バッチリだよ!お姉様!」

 

「行くわよ、魔理沙」

 

「おう!」

 

互いの準備が整い、部屋には沈黙と緊張感が漂う。

そして、まさに弾幕を展開しようと言う時だった。

 

「悪い、遅れたな」

 

ドアが開くと音に続いて、そんな声が部屋に響いた。

こんな状況でこんな呑気な奴は一人しかいない。

私は、到着が遅かった事への苛立ちと、今日何回もムードを壊された苛立ちを両足に乗せて、そいつ目掛けてドロップキックをお見舞いするのだった。

 

 

 

 

 

部屋に入った瞬間、顔面にドロップキックをくらった。

 

「グハッ!!」

 

俺は思わずして尻餅をつく。

 

「いってぇ。いきなり何すんだ!霊夢!」

 

俺は立ち上がると、キックをしてきた霊夢に不満をぶつける。

 

「何って……憂さ晴らし?」

 

さも当然と言う様に霊夢は答える。

 

「何故!?」

 

「五月蝿い」

 

「理不尽!?」

 

これ以上言うとまたキックをもらいそうなので止めておこう。

 

「琥珀、随分と遅かったじゃ無いか!待ちわびたぞ」

 

すると、ソファーの方からそんな声がした。

そこには、戦鬼がクッキーを食べている姿が見えた。

 

「戦鬼?久しぶりだなぁ!」

 

本当に久しぶりだ。

もう数百年は会って無いだろう。

 

「会いたかったぞー、琥珀ー!」

 

戦鬼はソファーから立つと、俺の方に走って抱き付いて来る。

 

「せ、戦鬼!?」

 

戦鬼の予想外の行動に戸惑っていると、

 

「琥珀、お前そいつと知り合いか?」

 

魔理沙が戦鬼を指差しながら聞いてきた。

 

「ああ、まあな。……で、戦鬼は何故此処に?」

 

俺が尋ねると、戦鬼は抱き付くのを止めて言う。

 

「それは、琥珀に会いたかったからじゃ」

 

「……そうか」

 

何て返せば良いのか分からないので、とりあえず相槌を打っておく。

 

「久しぶりだね、琥珀」

 

またまたソファーから声がする。

見ると、今度は紅茶が入ったティーカップを持った空覇の姿。

 

「空覇までいんのかよ。久しぶりだな!」

 

空覇とは五十年ぶりくらいか……。

 

「空覇は何で此処に?」

 

一応聞いてみる。

 

「簡単よ。家で戦鬼とお茶をしていたら急に空が赤くなって、戦鬼が面白そうだと言うから一緒にこの館に来て、此処にいれば琥珀に会えるかもと言う事であなたを待ってたのよ」

 

成る程。

空覇の適切な返答のお蔭で謎は解けた。

 

「琥珀、話は済んだかしら?」

 

「ああ、アイムオーケーだ」

 

「琥珀と戦うのは久しぶりじゃなぁ!ワクワクすっぞ!」

 

「私は初めてね」

 

そう言えば、確かに空覇と戦うのは初めてだ。

 

「霊夢、魔理沙、俺は戦鬼と空覇を引き受けよう」

 

「分かったわ。こっちも行くわよ、魔理沙」

 

「ああ、何時でも良いぜ!」

 

「やっとね、行くわよフラン」

 

「うん!」

 

そして、全員考える事は同じな様で、その場にいる全員の声が重なった。

 

「霊符「夢想封印」!」

 

「恋符「マスタースパーク」!」

 

「嘘符「有象無象」!」

 

「紅符「スカーレットマイスタ」!」

 

「QED「495年の波紋」!」

 

「空符「波紋旋風」!」

 

「鬼神「全方滅却」!」

 

 

そして、眩い閃光の後、凄まじい轟音が全てを包み込んだ。

 

 

 

 

 

 

 

「――いやぁ、異変解決おめでとうございます!」

 

フラッシュを炊きながら文が喝采する。

あの、激しいスペカのぶつかり合いで館は見事に崩壊。

その後の弾幕戦で、俺達異変解決チームは何とか勝利!

無事、異変解決だ。

今回の異変は“紅霧異変”と名付けられ、文々。新聞にはその全貌が載る事となった。

 

まあ、

 

「一件落着だな!」

 

「琥珀、紅魔館の修理……よろしくね!」

 

俺はレミリアに頼まれ、半壊した紅魔館を元に戻してから博麗神社に戻るのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 




はい、お疲れ様でした!
紅魔郷終わりです!
サクッとし過ぎ?知らんな☆
いや、本当にすみません。私ではこれが限界です。
気になった事、不満などありましたらお願いします!
それでは次回も、のんびりしていってね!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第7回キャラ紹介

はい、どうものんびり+です!
ルビが大変な事になっていた……(´・ω・`)
何かおかしくなっちゃうのでルビが使えません……orz
まあ、取り敢えず、今回ものんびりしていってね!


名前・博麗霊夢(はくれいれいむ)

 

種族・人間

 

能力・空を飛ぶ程度の能力、霊気を操る程度の能力

因みに、霊夢さんはあらゆるものから()()事が出来るそうです。

 

好きなもの・お金、平穏な生活

 

 

 

名前・霧雨魔理沙(きりさめまりさ)

 

種族・人間(職業・魔法使い)

 

能力・魔法を使う程度の能力

光と熱に関する魔法を使う……らしい。

 

好きなもの・キノコ、バナナ

 

 

 

名前・チルノ

 

種族・妖精

 

能力・冷気を操る程度の能力

氷の妖精らしい能力ですね。

 

好きなもの・遊ぶ事

 

 

 

名前・大妖精

 

種族・妖精

 

能力・不明

 

好きなもの・平穏

 

 

 

名前・十六夜咲夜(いざよいさくや)

 

種族・人間

 

能力・時間を操る程度の能力

その名の通り。凄いですねー。

 

好きなもの・お嬢様の観察

 

 

 

すみません!

後、前回の琥珀達のスペカの説明を簡単に……。

 

嘘符「有象無象」

実体のある弾幕と無い弾幕の嵐!

実体の無い弾幕を避けようとすると実体のある弾幕に当たってしまうぞ!

 

 

空符「波紋旋風」

前後左右から竜巻状のような弾幕が発生!

そこから米粒弾幕乱射!おー怖い怖い!

 

 

鬼符「全方滅却」

自分を中心として全方位に大きな弾幕、その後に続いて小さな弾幕を乱射!

レッツ気合い避け!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

はい、お疲れ様ッした!

で、茶番なんですが、注意。

 

今回は番外編です。

あくまで“もしも”の話ですのでお願いします。

注意

※キャラ崩壊

※キャラ崩壊

※ヤンデレ

以上が苦手な方は即刻ブラウザバックして下さい。

 

 

 

 

 

『もしも、大妖精がヤンデレだったら』

 

 

――チルノちゃんの事が好き。

私が初めてその事に気付いたのは、もう何年も前の事だ。

私と彼女との出会いは本当に偶然で、私の彼女への第一印象は“お馬鹿さん”だった。

でも、何かとウマが合った私と彼女は良く行動を共にするようになって、私は次第に彼女に惹かれていった。

彼女の声が、笑顔が、とても恋しく感じて、彼女がどうしようもなく欲しいと思った。

もっともっと彼女と一緒にいたい!

もっと彼女と話したい!

もっと私を……私だけを見て欲しい!

……そんな彼女への独占欲だけが、私の中で大きく膨れていった。

 

だが、彼女と私の間に割って入って来る邪魔者がいた。

彼女は、その可愛らしいルックスと明るい性格から、結構モテる。

もちろん、私達が通っている寺子屋にもそんな奴等がいた。

その中に一人、無海道明(むかいどうあきら)と言う人間がいた。

彼もまた陽気な人物で、チルノちゃんとはすぐに仲良くなり、私も表面上は仲が良いふりをしておいた。

そして、私達は良く三人でツルむようになった。

 

 

明がチルノちゃんに好意を寄せているのは明白だった。

まあ、チルノちゃんと話す度に顔を赤くさせていたら誰でも分かると思うけど。

 

そして、ある晴れた日の午後。

寺子屋の授業から解放され、帰ろうとした時の事。

 

「悪いな、だい。ちょっとチルノと二人にしてくれるか?」

 

明は私にそう言って、チルノちゃんと一緒に教室を出て行く。

………………まさか。

暫く考えて、最悪の予想が浮かび上がる。

そして、悪い予想に限って当たってしまうものだ。

時間にして十分程すると、二人は教室に帰って来た。

……恋人繋ぎをして。

明は緊張が解けて安堵に満ちた、チルノちゃんは逆に顔を赤くして緊張に満ちた表情をしている。

 

「二人共、ひょっとして……」

 

必死に笑顔を作って、震える声で真相を尋ねる。

 

「ああ!今日から俺とチルノは恋人だ!」

 

「うぅ……は、恥ずかしくなんて無いもん」

 

耐え難い、残酷な現実が、私に突き付けられた。

……駄目だ。

チルノちゃんにお前は相応しく無い。

お前じゃあチルノちゃんを幸せに出来ない!

お前なんかいなくなれば良い!

お前なんか――

 

「どうした?だい」

 

明の声で正気に戻る。

私とした事が……少し取り乱し過ぎた。

 

「ううん、何でも無いよ!」

 

……そうだ。問題無い。

大丈夫、私とチルノちゃんとの間に割って入って来る邪魔者は消せば良い。

ちょっとだけ我慢してね? チルノちゃん。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その日の夜。

私は早速行動に出た。

 

「――さてっと。後はそこら辺に捨てとけば勝手に妖怪に食べられてくれるかな……」

 

私は、頭から血を流して動かない明を森の奥に放り投げる。

これで邪魔者は消えたかな。

静かに通り過ぎていく涼風が心地良い。

……後はチルノちゃんだけ。

私は、チルノちゃんを探して暗い森の奥へと歩を進めるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アタイは、たまたま見つけた大きな木の大きな枝に腰掛けて夜空を眺めていた。星達の光に照らされる夜空が綺麗で、見ているととても落ち着いた。

そして、アタイはふと今日の出来事を思い出してみる。

明の事を。

明とアタイは、今日から恋人同士。

前々から面白い奴だと思っていた。

……異性として意識した事も……無い訳じゃ無い。

……だから、友達としても異性としても明に好意を寄せていたアタイには、明からの告白を断る理由何て無かった。

大ちゃんも喜んでくれてたし、明日が楽しみだなぁ。

っと、そろそろ寝ようかな。

そう思った矢先だった。

ガン!!!! と、頭に強い衝撃を感じる。

私は考える暇も無く、意識を失ってしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

起きると同時に、頭部に鈍い痛みが走る。

 

「あ、起きた? チルノちゃん」

 

聞き覚えのある声で、意識がすぐに覚醒する。

アタイの目には大ちゃんの姿が写る。

 

「……大ちゃん?」

 

天井は岩。

ここは……洞窟かどこかだろうか……?

アタイは、どうやら仰向けで寝ている状態のようだ。

アタイが体を起こそうとすると、手足が動かせない事に気付く。

何かで拘束されているからみたいだ。

 

「大ちゃん、ここはどこなの?」

 

考えても仕方が無いので、大ちゃんに聞いてみる。

 

「ふふ、それは秘密」

 

でも、大ちゃんは笑ってあしらう。

アタイが望む答えは返って来ない。

 

「じゃあ、何でアタイは拘束されてるの?」

 

ならば次の疑問をぶつけるのみ。

すると、今度は答えが返って来た。

 

「ふふ、それはね? 今からチルノちゃんを教育する為だよ」

 

「……え? な、何言ってんの? 大ちゃん……」

 

「チルノちゃんを教育するんだよ! もう私しか見えないように、私無しじゃ生きていけないように……」

 

色々と理解不可能だったけど、一つ感じた事がある。

それは、大ちゃんへの恐怖だ。

このままでは不味いと、アタイの本能が告げる。

アタイは急いで逃げ出そうとするけど、拘束具のせいで身動きが取れない。

 

「どうしたの? チルノちゃん」

 

「――っ嫌!」

 

怖い。大ちゃんが怖い。逃げなきゃ!

でも、依然として状況は変わりない。

 

「誰か!! 助けて!! 誰か!! ――――明ぁ!!」

 

がむしゃらに助けを求める。

だけどその行為が、状況を更に悪くした。

 

「ふふ、無駄だよチルノちゃん。明は来ない。きっと今頃は妖怪のお腹の中だと思うよ? っふふ」

 

「…………今、何て……?」

 

「だーかーらー、明は今頃妖怪のお腹の中だってばー! あっははは」

 

大ちゃんの笑い声が空間に響く。

その笑い声は、この世のなにものより不気味で恐ろしかった。

 

「怖いの? チルノちゃん」

 

恐怖、悲しみ、絶望が湧き出て止まらない。

息苦しい……喉が、目が熱い。

力が入らない。

 

「大丈夫だよ、チルノちゃん」

 

耳元で大ちゃんの声が聞こえる。

その声は驚く程優しく、アタイを安心させるものだった。

 

「私はずっと……ずぅっと、チルノちゃんと一緒だよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




はい、お疲れ様でした!
もしもの話ですよ?(しつこい)
この作品には珍しいバッドエンドです。
それでは次回も、のんびりしていってね!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第52話 異変再び

はい、どうものんびり+です!
今回は番外編ですので悪しからず。
※自己解釈、オリ設定はここでは当たり前!良いね?
それでは今回も、のんびりしていってね!



今夜の月は、紅かった。

その大きく紅い美しい真円を見ていると、私の決心もより一層強くなる。

そして思い出す。

あの日の屈辱を……。

 

「……行け」

 

私の指示で、部下の妖怪共が次々に雄叫びを上げ走る。

 

「さぁ。パーティーの始まりだ」

 

私の声は、静かな夜の闇へと溶けていった。

 

 

 

 

 

私がワイングラス(赤ワイン入り)片手に部屋でくつろいでいると、何やら外が騒がしい事に気付く。

 

「……うるさいわね……何事かしら?」

 

私は騒ぎの真相を確かめるべく、部屋を出て玄関ホールへと向かう。

 

「あ、お姉様!」

 

道中でフランと遭遇した。

 

「フランも気になるのね?」

 

「うん。それに、何か面白い事かも知れないよ!」

 

フランはわくわくした様子で言う。

本当に面白い事なら良いのだけど……何か嫌な予感がする。

面白いとは逆の、嫌な事が起こる予感が……。

 

「行こ、お姉様!」

 

「ええ」

 

私達は再び玄関ホールを目指し、歩を進める。

 

 

そして、私の嫌な予感は、見事に的中してしまった。

 

 

玄関ホールには、無数の異形のものの残骸があり、鉄の臭いが充満していた。

 

「これは……」

 

思考を巡らせてみる。

雑魚妖怪が殴り込みに来るのは前にもあったが、ここ最近ではそんな事無かった。どうして今になってこの紅魔館を襲うのか?

 

外からはまだ騒がしい音が聞こえて来る。

ここで考えるより、外に行った方が良さそうだ。

 

「行きましょう、フラン」

 

隣を見るとフランはいない。

次に玄関の扉の方に視線を移すと、フランの服の赤がちらっと見えた。

どうやらもう行ってしまったようだ。

私もフランに続いて外に出た。

 

外にも、残骸と血が散らばっていた。

そして、咲夜、パチェ、美鈴が(いま)だに妖怪共と格闘していた。

 

「咲夜、これは何事?」

 

私は、一番近くにいた咲夜に今の状況説明を頼む。

丁度、妖怪共は全滅したようだった。

 

「お嬢様!……それが、」

 

そう言って、咲夜は庭の奥を見つめた。

私も一緒に見つめてみる。

 

そして私はこの騒ぎの原因を理解する。

すると、ソイツはこちらに歩み寄って来た。

 

「これはこれは、レミリア嬢。ごきげんよう」

 

ソイツは赤いコートを身に纏った、背が高い男。

 

「何がごきげんようだ、お前、どうしてここに来た」

 

「随分と辛辣(しんらつ)だな。それに私が来る理由くらい分かるだろ?」

 

そう言って目の前の男、ブロード・レッドロイドは不敵な笑みを見せる。

コイツは少し前に吸血鬼異変と呼ばれる異変を起こした張本人だ。

だが、この男とスカーレット家はかなり前から関わりがある。

何せ、この紅魔館は元々あの男のものだったのだ。

あの男はその昔、お父様と並んで恐れられた吸血鬼だ。

そしてある時、お父様との闘いに敗れ家を追い出されたと聞いている。

 

だが、お父様が死んだ事を知ったあいつは、この紅魔館を奪おうと前に襲って来た事がある。

それが吸血鬼異変。

紅魔館を襲うと同時に、この幻想郷を支配しようとしたが、それが琥珀の目に止まり異変は解決された。

 

……のだが、この様子だとまた性懲りもなくリベンジしに来たようだ。

全く呆れる精神だ。

……あ…………。

ここで、思い出す。

つい昨日、魔理沙が来た時に言った言葉を。

 

“琥珀、今外の世界に遊びに行ってんだよ。一人だけズルいよなぁ”

 

「どうしたレミリア嬢?顔が青いぞ」

 

相変わらず気持ちの悪い薄ら笑いを顔に貼り付けて、ブロードは言う。

 

「黙れ、私は至って健康だ」

 

どうしましょう!?

まさかの琥珀不在!?

あえぇ何で!?琥珀不在何で!?

 

外見は冷静でも、内心は驚く程焦っていた。

あの男、ブロードはお父様と並んで恐れられた吸血鬼。

その力は凄まじく、更に、今のブロードはその昔よりも遥かにパワーアップしている。

詰まる所、この幻想郷でブロードに勝てるのは少人数だろう。

今から助けを呼ぶ時間は無いし、私のプライドがそれを許さない。

でも、琥珀なら勝手に助けてくれるから私の中では困った時の信頼度が極めて高い。

でも、そんな琥珀も今はいない。

 

緊張と焦りからか、喉が渇き、手汗が(にじ)む。

 

「大丈夫ですよ、お嬢様」

 

気付くと、咲夜が隣にいた。

いや、咲夜だけじゃ無くパチェも美鈴もフランも。

 

「皆……」

 

――そうだ。

私がこんな腑抜けじゃあ、皆に示しがつかない。

私はレミリア・スカーレット。

紅魔館の主なのだから。

 

 

「準備は良いか?諸君」

 

ブロードの言葉で、私達は一斉に構える。

あいつにスペルカードルールで闘う気は無い。

これは、本気の闘いだ。

 

「では始めるか?」

 

ブロードは腰に差してあったレイピアを抜く。

それに対抗するように、私はグングニルを具現化させる。

 

先程まで吹き付けていた風が、ピタリと止んだ。

風からの戦闘開始許可をもらい、私は全体を使ってグングニルを投げつける!

 

が、あっさり避けられる。

当たるとは思っていなかったが、こうも簡単に避けられるとやはり悔しい。

 

私が再びブロードを見た時には、奴は既にナイフに囲まれていた。

無数のナイフがブロード目掛けて降り注ぐ。

 

しかし、ブロードはレイピアを振るいナイフを全て弾き飛ばした。

 

息つく間も無く、続けて赤い球体がブロードに降り注ぐ。

 

が、やはり当たらない。

 

「ふむ。魔法使いを先に消すか」

 

ブロードが何か呟いたと思った次の瞬間、奴はパチュリーの目の前にいた。

私でも、奴の動きが見えなかった……。

 

「パチュリー!!」

 

私が叫んだ時にはもう遅く、パチュリーの体をレイピアが貫通した。

 

吐血し、額から汗をだらだらと流すパチュリーの姿が写る。

 

「まず、一人」

 

空から落ちてくるパチュリーを受け止める。

 

「パチュリー!しっかり……して……」

 

パチュリーの腹部周辺は既に赤く染まっていて、それが私を焦らした。

 

「――カハッ!……ゴホッ!」

 

とても苦しそうに咳き込むパチュリー。

私の手に、その生暖かい液体が触れる。

 

「……よくも……パチュリーを……!」

 

私の中で、大きな怒りが込み上げた。

 

「貴様あ”あ”ぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 

頭が真っ白になり、気付いたらブロードに向かって飛んでいた。

 

「怒りに身を任せた攻撃か……。それは三下がやる事だ」

 

ブロードの蹴りが私の腹に叩き込まれた。

 

「――ッ!?」

 

腹部が熱い。

喉も。

血の味がする。

気持ち悪い。

 

直後、背中に衝撃。

 

私の意識は、その衝撃に一瞬で刈り取られた。

 

 

「お姉様!」

 

「戦闘中に余所見は駄目だろ」

 

何時の間にかフランの背後にはブロードがいた。

フランが声を上げる間も無く、その小さな体に先程レミリアが受けた蹴りが繰り出される。

 

「――お前は、体術が得意だったな」

 

今度は美鈴の後ろにブロードはいた。

 

「そうですね、得意です――よ!」

 

美鈴の回し蹴りはブロードに掴まれる。

 

そのまま投げ飛ばされる。

 

だが、受け身を取ってすぐに立ち上がる。

 

その頃には、ブロードは再び美鈴の背後にいた。

 

「随分と背後を取るのがお好きなようで」

 

「ああ、大好きさ」

 

軽口を叩きながらも、美鈴は裏拳を放つ。

 

だが、ブロードは掌で容易に受け止め、軽口を返す。

 

パシッと拳が掌に当たる音が聞こえるとほぼ同時に、美鈴の次の攻撃は始まっていた。

 

右上段の蹴り、左の正拳突き、右の突き、左の足払い。

 

流れるように繰り出される美鈴の攻撃は、全ていなされた。

 

そして今度は、ブロードの肘鉄が美鈴を捉える。

 

「カハッ……!」

 

「悪く無い動きだが、まだ甘い」

 

そのまま回し蹴りをくらい、美鈴は吹き飛ばされ、紅魔館の壁に受け止められた。

 

「おっと、館は傷つけ無いように注意しなければ……」

 

そう独り呟き、ブロードは(きびす)を返す。

 

「残るは二人か」

 

ブロードはフランと咲夜に向かって歩き始めた。

 

「咲夜、援護は任せたよ!」

 

「了解です!妹様」

 

フランは、真紅に輝く剣を握り締めブロード目掛けて飛翔した!

 

続けて咲夜も、手にナイフを絡ませて走る!

 

間合いに入ると、フランはその真紅の剣を渾身の力で降り下ろした。

 

そしてブロードはその細いレイピアで、フランの一撃を受け止めた。

 

二人の間で火花が散る。

 

その隙に、ブロードの背後に現れた咲夜は手に持ったナイフを投げつける。

 

ナイフは一瞬でブロードのすぐ側に迫る。

 

だが、ナイフは当たらない。

 

ブロードはフランの剣を弾き、即座に宙に飛ぶ。

 

「ふむ。君は……時を止める事が出来るようだ」

 

着地したブロードが、咲夜を見据えて言った。

 

咲夜は答えずに、黙ってブロードを睨み付ける。

 

だが、ブロードは構わず言葉を紡ぐ。

 

「その能力、実に厄介だ。だから私も能力を使う事にする」

 

そう言って、ブロードはその場で、誰に向かってでも無く、レイピアを突き出す。

 

「――え?」

 

フランの声だった。

その素っ頓狂な声に、咲夜はフランに視線を向け、驚愕した。

 

フランの腹からは、鋭いレイピアが血を纏って突き出ていた。

勿論、フランの背後には誰もいない。

レイピアが引き抜かれると、フランは無気力に倒れた。

 

「妹様!!」

 

咲夜は慌ててフランに駆け寄る。

途中、ブロードは咲夜に攻撃しなかった。

 

「妹様!!」

 

「ゲホッ!……大丈夫……こ、ぐら……い」

 

「これが、私の能力だ」

 

ふと、ブロードが言った。

 

「私は「結合させる程度の能力」を使える。今のは私とフランドール嬢にある空間を結合、もとい繋げたまで」

 

気付けばブロードは咲夜のすぐ後ろまで来ていた。

 

「――!」

 

咲夜が立ち上がり振り向こうとした時、ブロードに両手首を掴まれ、咲夜は自由を奪われた。

 

 

 

 

 

目を覚ますと、紅い月が目に入った。

その月は、今まで見た月の中でも一位二位を争う美しさで、思わず見とれてしまった。

 

「離せ!!」

 

その叫びで、私は正気に戻る。

……今の声は咲夜!?

 

咲夜の危機を感じとった私は、急いで体を起こそうとする。

 

――っ痛!

 

でも、起こそうとすると激しい痛みに襲われ、思うように動けない。

それでも体を捻って咲夜のいる方を向く。

 

そこには、両手首を押さえられ、身動きが取れない咲夜の姿が写った。

 

「さ……や!!」

 

喋ろうとするだけでも痛みが走る。

苦しい。

咳き込み、血が出る。

 

折れた骨が肺に刺さっているのか……。

 

「さて、血を吸うのは今日は初めてだ。しかも咲夜嬢の血を吸えるとは……吸血鬼冥利に尽きる」

 

「っ!離せ!」

 

咲夜の抵抗虚しく、ブロードの拘束は解ける気配は無い。

人間と吸血鬼の力とでは差があり過ぎる。

 

 

私は、無力だ。

目の前で……家族が傷つけられて、守る事も出来ないっ!

何が……誇り高き吸血鬼だ!何が……紅魔館の主だっ!

 

悔しい涙が溢れた。

自分の無力さを痛感し、悔しくて、自分が憎くて、情けなくて!

 

咲夜の首筋に、ブロードの口が近付いていく。

 

そして、白く鋭い牙が、咲夜の首に突き刺さっ――――

 

 

「やめろ」

 

 

そんな声が聞こえたと思った途端、ブロードが消えた。

 

直後、私の後ろから聞こえる何かが壊れる音。

 

首だけ動かして見ると、紅魔館の玄関が壊れて破壊の跡は奥まで続いていた。

 

それを認識すると、体が軽くなるのを感じる。

 

どうやら、体の傷が全快したようだ。

 

私は立ち上がり、再び咲夜の方に目を向ける。

そして、思わず安堵と喜びが混じった笑みが浮かぶ。

 

「まったく……遅すぎよ、琥珀」

 

 

 

 

 

 

 

 

遅すぎとレミリアから言われたので、反射的に謝る。

 

「すみませんでした!!」

 

我ながら綺麗なお辞儀だ。

百点!

 

「六十点よ。咲夜のお辞儀を見習いなさい」

 

心を読まれたか、レミリアが言う。

マジか……自信あったのに。

 

「ゴホン。それより咲夜、大丈夫か?」

 

俺は咲夜に安否を問う。

ついさっき幻想郷に帰って来たばっかだが、神社に帰る途中、やけに騒がしいと思って紅魔館に来てみれば悪い意味での騒ぎの最中だった。

 

変態野郎が咲夜を押さえつけていたのだ!

 

俺は何とか危機一髪、咲夜の純潔を守る事に成功した。

 

が、どうやらこれは唯の痴漢騒ぎでは無さそうだ。

紅魔館メンバーは皆ボロボロで、命に関わる傷を負ってる奴もいた。

取り合えず皆の怪我を治して、状況を知ろう。

 

「咲夜、何があったんだ?」

 

咲夜に聞くと、簡潔に説明してくれた。

 

前に異変を起こした馬鹿吸血鬼がまたやって来たらしい。

困ったもんだ。

迷惑極まりない。

 

「お兄様~!!」

 

すると、フランが飛び付いて来た。

俺は優しく受け止める。

 

「よしよし、もう大丈夫だ。俺が来たからには皆には指一本触れさせ無い」

 

「これはこれは、正義のヒーロー気取りか?」

 

壊れた玄関から、……えっと……ブ、ブロード(?)が歩いて来る。

 

「別に?唯、仲間を守るだけだ。悪い?」

 

「私はこの日を楽しみにしていた」

 

……え?無視?

ブロードは話を続ける。

 

「私が貴様に受けた屈辱を、晴らす!」

 

奴はレイピアを突く構えを取る。

あいつの能力は……確か何でも繋げちゃうやつだったな。

 

奴がレイピアを宙に突き出す。

……が、何も起きない。

 

「っ!?……何故だ……?」

 

奴は自分の能力が発動しない事に驚いているようだ。

 

「……能力が発動しないのは、俺がお前の能力を(なかった事)にしたからだ」

 

「――なっ!?」

 

目に見えて戸惑っているブロードに向かって、歩みを進める。

二回に渡る襲撃、皆を痛め付けた事。

ちょっとイラッと来た。

 

「……さて、覚悟は出来たか?俺は出来てる」

 

「ほざけ、人間の小僧!」

 

ブロードが俺に向かって来る。

そして俺の後ろに回り込むと、蹴りを出して来た。

 

俺は更にこいつの後ろに回り込み、

 

「まず、パッチェの分!」

 

蹴り上げる!

まだだ。

空に上がるブロードより高く飛び、ブロードが上がって来た所に、

 

「これはレミリアの分!」

 

肘鉄!

今度は猛スピードで落下していく。

俺は地上に先回りし、落ちてきたブロードに、

 

「美鈴の分!」

 

回し蹴り!

更に追撃!

吹っ飛んで行くブロードの足を掴み、

 

「フランの分!」

 

地面に叩き付ける!

 

「そして、」

 

俺はブロードを掴んだままハンマー投げのようにグルグル回って、

 

「咲夜の分だ!」

 

適当に投げる!

 

そしてお帰り頂こう。

【ブロードが幻想郷にいない嘘を本当に】

 

これであいつは里帰り出来た筈だ。

もう来ないで欲しいな……。

これだけやられてまた来たらそういう奴(マゾ)だと解釈しよう。

 

 

壊れた紅魔館も元に戻し、万事解決。

 

「ありがとう、琥珀」

 

珍しく、レミリアが素直に礼を言う。

明日は曇りのち雨かな?

 

「今失礼な事考えたでしょう?」

 

「いえ、滅相も御座いません」

 

「嘘だっ!!!!」

 

「う、嘘なんか吐いて無いぞ」

 

「嘘だよっ!!!!」

 

「え?ちょ、あの……!そうだこれ、外の世界のお土産です」

 

ビニール袋を取って渡す。

 

「皆でスウィーツタイムにしようぜ!」

 

「やった!スウィーツタイム!」

 

フランが喜んで目を輝かせている。

 

「し、仕方無いわね。別に外の世界のお菓子に興味があるとかじゃなくて小腹が空いたからよ」

 

勝った……計画通り。

 

 

 

このまま俺は、皆とお茶会をした。

神社に帰ったのは、結局次の日の朝だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




はい、お疲れ様でした!
五千字初めて越えました(笑)
後、無駄にテンション高めでした。

それでは次回も、のんびりしていってね!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第8章 妖々夢編~そして春は訪れる~
第53話 冬が長いよ


はい、どうものんびり+です。
まず一言、遅れてすみません!
にしても、仕様が新しくなりましたね。慣れない。
注意
独自解釈。自己設定。
それでは今回も、のんびりしていってね!


俺は今現在、こたつに籠城中である。

と言うのも、もうとっくに春が来て良い時期なのに、外は未だに白い粉雪がしんしんと降って止まない。この事実から言える事は一つ。

 

「霊夢、そろそろ異変解決行って来てよ」

 

「嫌よ。私は相棒(こたつ)から離れたく無いの」

 

数日前から霊夢に異変解決を促すも、霊夢は何かと理由つけて動かない。

でも、そろそろ活動しないとまずいのも確かだ。実際、冬が長いせいで迷惑しているのは俺達だけじゃ無い。

 

「霊夢、気持ちは分かる。だがな、お前が異変を解決しない限りこの冬は続くんだ。それは嫌だろ?」

 

何とか霊夢の説得を続行。だが、お茶を啜り終えた霊夢から返って来たのは、

 

「じゃあ、あんたがやれば良いじゃない」

 

と言う、何とも冷めた返答だった。

仕方無い。()くなる上は……

 

「宜しい。ならば勝負に負けた方が行く……と言うのはどうだ?」

 

「良いわよ」

 

霊夢は即答し、構える。

その鋭い瞳は俺の目を見据えて動かない。気合い充分。行くぜっ!!

 

「「最初はグー、じゃんけん――」」

 

俺の攻撃はパー。それに対し、霊夢が自信満々で出した手は……チョキだった……。

 

「なん……だと……!?」

 

敗北に打ち(ひし)がれる俺に、霊夢は満面の笑みで「いってらっしゃい」と声を掛けるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「ハアァ~」

 

深い溜め息を吐かずにはいられなかった。白くなった息が流れていく。

まさか負けるとは思わなかった……雨宮琥珀、渾身の失敗!

しかし、負けは負け。俺がやるしか無い訳で、俺は今、人里にやって来た所だ。

手がかりがあれば良い……と言うのは建前で、本当の目的は……

 

「おっちゃん、甘酒とみたらし団子」

 

「おお!琥珀の兄ちゃんじゃねえか、最近来なかったから嫌われたと思ったよ」

 

「ふっ、そんな事はありえん。ただの杞憂だぜ」

 

注文から程なくして、俺の元に湯気を立てる甘酒とみたらし団子が三本運ばれる。

甘酒の入った湯飲みを持つと、俺の手全体にじんわりと温もりが伝わる。

そして、ゆっくりと甘酒を啜り、含み、飲み干す。

 

「うめぇ~」

 

冬の甘酒はうまいと改めて実感する。

次にみたらしの串を手に取る。

 

「……おっちゃん、タレはどうした?」

 

「前回の要望通り、少し甘めに」

 

「団子は?」

 

「それも要望通り、もっちり感を少し上げてある」

 

一口、団子を口に入れ、咀嚼(そしゃく)し、飲み込む。

 

「パーフェクトだおっちゃん」

 

「感謝の極み」

 

そうして、俺が団子に舌鼓(したつづみ)を打っていると、

 

「あら、琥珀じゃない」

 

そんな声がしたので視線を向けるとそこには一人の少女が佇んでいた。

 

「何だアリスか」

 

少女の名はアリス・マーガトロイド。

金髪に赤いリボンがヘアバンドのように巻かれていて、青のワンピースのようなノースリーブにロングスカートを着用、その肩にはケープのようなものを羽織っている。……と言うのがいつもの姿だが、今は青のロングコートに白いマフラーと言った服装だ。

 

「何だとは失礼ね」

 

アリスの青い瞳が不満そうに俺を見つめる。

 

「悪気は無いって、団子食うか?」

 

「頂くわ」

 

アリスは満足そうに微笑み、俺の隣に座った。

 

「アリスは何でここにいんだ?」

 

「ただの買い物よ。全く、こうも寒いと何をするにも面倒臭いわ」

 

「激しく同意」

 

「で、琥珀は?」

 

「異変解決に駆り出されました」

 

「あら、じゃあこの冬も今日で終わりね」

 

「何その俺への信頼感!?」

 

アリスが当たり前の顔して言うので俺は驚いた。

と言うか、軽くプレッシャーが掛かった。

アリスは俺を無視して話を進める。

 

「何か当てはあるの?」

 

「ん~今の所は無いな。アリスは何か知ってるか?」

 

アリスはう~んと唸ってから言った。

 

「琥珀は春度って知ってる?」

 

「あぁ、春度が足りないと春が来ない」

 

「で、何者かがその春度を奪っている……てとこかしら」

 

「そうだな……」

 

言いつつ俺は、もう一度今回の異変について考えてみた。

春を奪う。どこのどいつが何の目的でそんな事をするんだ?

暫く考えてみたが、やはり分からなかった。

 

「じゃあ、私は行くわ。団子ご馳走さま」

 

「おう、じゃあの」

 

アリスが去った後も少し考えてみたが、結果は変わらず。

俺はとりあえずぶらぶらと歩き始めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

聞き込みをしながらぶらつく事一時間程。

収穫は無い。お家帰りたい。

 

「あぁ!琥珀しゃまだぁ!」

 

そんな声がしたと思ったら、急に誰かに抱き着かれる。

 

「うぉ!?って、橙じゃないか」

 

抱き着いて来たのは橙だった。

橙は、茶髪に猫耳、上は赤いノースリーブの下に白いシャツを、下にフリルの赤いスカートを着て、黒く先端部分が白い尻尾を二本携えた少女いや……幼女である。

藍の式神で、普段はマヨヒガに暮らしている。

因みに、俺や藍に対しては甘えん坊モードで接して来る。

 

「琥珀しゃま~♪」

 

橙は嬉しそうに俺の腹辺りに頬擦りをしている。

……可愛いなあ。

頭を撫でてあげる。髪がサラサラだ。

――っていかん!自分を失うな!

グイッと、優しく橙を引き離す。

 

「すまんな橙。俺は異変調査中何だ。また後でな」

 

「チッ、琥珀しゃま悩殺失敗。もっと撫でて欲しかった……」

 

「……?橙、何か言ったか?」

 

「いえ、何でもないでしゅよ。琥珀しゃま、頑張って下しゃい!」

 

「おう、ありがとうな」

 

橙から元気をもらって、俺は再び異変解決に勤しむのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 




はい、お疲れ様でした。
それでは次回も、のんびりしていってね!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第54話 冬が長いよ②

はい、どうものんびり+です。
ちょっと独自解釈がログインします。
今回ものんびりしていってね!


 

橙と別れて暫く、俺は空を飛んでいた。

地上よりも空から探したら方が早いんじゃね?と言う安直な考えで。

時々冷たい風と雪が俺に吹き付ける。

異変の調査も、能力で暖かくしていないと出来たもんじゃ無い。

 

その時、不意に行く手を遮る人影が現れた。

その人影も俺に気付いたらしく、近寄って来る。

 

「ん?レティじゃ無いか」

 

そこにいたのはレティ・ホワイトロック……レティだった。

薄紫のショートボブに白いターバンのようなものを巻き、ゆったりとした服装をしていて、首には白いマフラーをしている。

レティは雪女の類らしく、冬になると良く見掛ける。

 

「やっぱり琥珀だったのね」

 

レティは軽く微笑みながら言う。

心無しか機嫌が良さそうだ。

 

「何か良いことでもあったか?」

 

少し聞いてみる。

レティは相変わらず微笑んで、

 

「今年の冬は長いのよ。良いことだわ」

 

「俺は早く春になって欲しいんだが……」

 

そう言えば、レティなら今回の異変について何か知っているかもしれない。

 

「レティはこの冬の長さ、もとい異変の主犯に心当たりあるか?」

 

試しに尋ねてみたが、返って来たのはまさかの一言。

 

「今回の異変の黒幕は――私だ」

 

「お前だったのか、全く気付かなかったぞ。じゃあ退治しよ」

 

俺はスペカをわざとらしく取り出し、レティに弾幕発射の用意をする。

するとレティは慌てた様子で弁解し始めた。

 

「嘘よ嘘!真に受けないでよ!」

 

「悪いな、俺のイタズラ心が(うず)いて」

 

俺は片手を顔の前まで持ってきてもう一度謝っておく。

レティも何も知らないらしい。

 

「あなたが動き始めたのなら、この冬も今日で終わりね。今の内にこの冬を満喫しとくわ」

 

そう言い残して、レティはどこかに行ってしまった。

俺も再び、雪が舞う灰空を彷徨い始める。

 

 

 

暫く浮遊していると、またまた人影が現れた。

今度は誰だ?

 

「春……もう春なのに、……春……」

 

ぶつぶつと呪文のように何かを呟く少女。それは、春を告げる妖精リリー・ホワイトだった。

金髪ロングで、赤いラインの入った白いワンピースに揃いのとんがり帽子を着ている。

 

「よ、リリー」

 

俺は軽く挨拶をする――が、

 

「……春……春ぅぅぅぅぅ!!!!」

 

直後、リリーは急に声のボリュームを上げ、弾幕を乱射し始めた。

 

「おわ!?ちょ、リリー、落ち着けって!」

 

俺の声は届いていないのか、弾幕は止まない。

リリーは春になると興奮状態になる時があるが……こんな酷かったっけ?

 

結局リリーは、散々弾幕を撒き散らした後に、再びぶつぶつ呟きながら去って行った。

……調査再会。

俺はまたぶらぶらと空の旅に出る。

 

 

 

 

 

ぼーっと空を飛んでいると、ふと音楽が聞こえてきた。

聞いていて愉快、そして心地良いメロディー。こんな演奏が出来るのは幻想郷広しと言えどプリズムリバー三姉妹ぐらいだろう。

俺は音が聞こえた方角へと進んでみた。

 

案の定、そこにいたのは三姉妹だった。

三人も俺に気付いて声を掛ける。

 

「あら、琥珀」

 

最初に声を掛けてきたのは三姉妹の長女、ルナサだ。

金髪のショートに金色の瞳。円錐状で返しのある黒い帽子を被り、白シャツの上から黒いベストのようなものを着用している。下は膝くらいまでの黒の巻きスカートを履いている。

 

「久しぶりね、琥珀」

 

続いて喋り掛けてきたのは三姉妹の次女、メルランだった。

全体的にウェーブがかかった水色の髪。薄いピンクシャツの上にこれまた薄ピンクのベストのようなものを着て、上同様に薄ピンクのフレアスカートを履いている。

 

「何してるの~?」

 

最後に言ったのは三姉妹の三女、リリカ。

薄い茶色っぽいショートヘアで、白シャツの上から赤のベストのようなものを着ている。下は赤いキュロットだ。

 

「俺は異変調査だ。皆はどうしたんだ?」

 

俺が聞くとルナサが答えた。

 

「私達はお呼ばれしたの。これからお屋敷で演奏よ」

 

「お屋敷って……」

 

すぐそこに見えるのは、冥界へと続く扉。周りには結界が張られている。

冥界の屋敷と言えば、俺が知ってるのは幽々子の所ぐらいだ。

そして俺は理解する。

 

……この異変の黒幕は、幽々子か。

春を集めてやる事は……あれしか無いよなぁ。

 

思わず溜め息が出た。

 

「琥珀もお屋敷に行くの?」

 

メルランが尋ねてきたのでそうだと返答する。

 

「って事は、ついに決心したんだね?」

 

すると、リリカが嬉しそうにそう言った。

 

「私達は大歓迎よ、琥珀」

 

「うんうん。琥珀の歌と私達の演奏。鬼に金棒よ!」

 

ルナサとメルランもリリカに便乗し、話が勝手に進んでいく。

 

「いや、だから俺は演奏隊に入る気は無いっての!てか、俺が入ると演奏隊ってよりバンドチームになるだろ」

 

俺が言うと、ルナサが無視して言う。

 

「バンドチーム『プリズムソウル』なんてどう?」

 

「「良いね!」」

 

「いや良く無えよ。俺の話を聞け」

 

やれやれだ。

だが、異変の黒幕を知れた点では感謝だな。

 

「俺は白玉楼に行くが……皆も来るか?」

 

俺が聞くと、ルナサが首を横に振って

 

「私達はもう少し練習してから行くわ」

 

ルナサが言うとメルランとリリカも頷く。

 

「分かった。じゃあな、多分また後で会うけど」

 

一旦三人に別れを告げ、俺は一人、白玉楼に向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




お疲れ様でした!
それでは、次回ものんびりしていってね!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第55話 冬が終わったよ

はい、どうものんびり+です。
何か凄く疲れまぢた。
それでは今回も、のんびりしていってね!


辺りは薄暗く、それを照らす灯籠が階段に沿って続いている。

久しぶりに来たが、あまり変わった様子は無さそうだ。

 

「さて、急がないとな」

 

俺の予想が当たっていた場合――というか多分確実に当たるなこれ。

面倒な事になる前に解決しないと……。

俺は足早に階段を登り始める。この階段は相変わらず無駄に長い。登るのも一苦労だ。せっせと歩を進め始めて数分、やっと階段を登りきった。謎の達成感を覚える。にしても――――

 

「君は……」

 

俺の目の前には、銀髪のボブカットに黒いリボンを付け、白いシャツの上からは青緑色のベストを着込んだ少女が佇んでいた。何か見覚えが…………あれ。

 

「お前……妖夢か?」

 

「……へ?」

 

俺が言うと、少女は文字通り、鳩が豆鉄砲をくらったような顔をした。

すると少女は不思議そうに尋ねてきた。

 

「貴方……私を知っているの?」

 

やっぱりか! どおりで見覚えがある訳だ。

 

「覚えてないか? 琥珀だよ」

 

「…………え?」

 

俺が言うと、妖夢は何かを思い出すように(うつむ)き、急に顔を上げたと思ったら――

 

「す、すみませんでしたぁぁ!!!!」

 

綺麗なお辞儀に合わせて声を張り上げる。

 

「いやいや、そんな謝んなくても大丈夫だって」

 

俺は大丈夫だと言うが、妖夢には聞こえていないのかお辞儀とすみませんをリピートし続ける。さっきまで白かった顔は青ざめていた。余程ショックだったんだろう。別に俺は気にしてないんだが……。

 

昔、白玉楼に遊びに行った時、妖忌に頼まれて小さな少女の面倒を見ていた事があった。その少女の名が妖夢。暫く見ない内に大きくなったもんだ。

 

「妖夢、気にするな! 俺は気にしてない」

 

いつまでも謝られると話が進まないので、俺は妖夢をあやす事にする。

 

「で、でも」

 

尚もおろおろと慌ただしい妖夢に、もう一度、力強く言い聞かせる。

 

「気にするな!」

 

「……はい」

 

渋々といった感じながら、何とか妖夢の説得に成功。

 

「あ、そうだ妖夢。妖忌はいるか?」

 

「いえ、師匠は随分と前に消えてしまいました。忽然と」

 

「……え? マジ?」

 

「マジです」

 

想定外の事実。まさかの妖忌失踪。

久しぶりに顔合わせしたかったんだが……仕方無いか。

 

「じゃあ良いや。幽々子の所まで連れてってくれ」

 

俺は言いながら歩き出すが、妖夢は動こうとしない。

 

「琥珀さん。私は幽々子様から、此処に来た者は通すなと言い付けられています」

 

そう言うと妖夢は、静かに二本のうち一本の刀に手をかざし、居合い抜きの構えをとり、鋭い目つきで俺を見据える。その姿と雰囲気からは妖夢の覚悟がひしひしと伝わってくる。

 

「……一騎討ちか?」

 

妖夢が頷くのを見て、俺も妖夢の刀くらいの物差しを具現化し、構えをとらずに妖夢を嘱目(しょくもく)する。

 

互いに動きを見せないままの状態が続く。俺と妖夢を取り囲む空間は静寂に包まれ、フゥーと息を吐く音が聞こえた――――刹那、妖夢は動いた。

 

俺の懐に入り込み、刀を引き抜く。

引き抜かれた刀は、鈍い光を放ちながら俺へと迫る。

 

俺は妖夢の手を掴み、そのまま後ろへと放り投げる。

 

「なっ!?」

 

妖夢は驚きの声と共に地へ落ちた。

 

「まだまだツメが甘いな」

 

後ろを振り向き、トドメを刺そうと物差しを振り上げた。

しかし、妖夢は既に立ち上がっていた……手を大の字に広げて。

 

「……何のつもりだ?」

 

俺の問い掛けに、妖夢は軽い笑みを溢して言った。

 

「背中の傷は、剣士の恥です」

 

「見事!」

 

俺は振り上げていた物差しを、軽く妖夢の頭にぶつける。

 

「勝負ありだな」

 

「完敗です」

 

妖夢は少し悔しそうに呟く。

 

「まあそんな落ち込むな。それじゃ、幽々子の所に連れてってくれ」

 

俺が再度お願いすると、妖夢は快く案内してくれた。

 

 

 

 

 

「久しぶりね~琥珀」

 

開口一番、幽々子が微笑んで言った。

 

「あぁ、久しぶりだな幽々子」

 

俺も同じように返事を返し、早速本題へ入る。

 

「さて幽々子。どうして俺が来たか分かるかな?」

 

謎なぞのように明るめに聞くと、

 

「私に会いたくなっちゃったのね~」

 

満面の笑みで見当違いな事を口走る幽々子。

冗談なのか本気で言ってるのか……。よし、おちょくってやる。

 

「正解! どうしても幽々子に会いたくなっちゃったんだ。愛してるぜ」

 

「あらあら、嬉しいわね~。私もよ」

 

ウィンクをしながら言う幽々子。駄目だ。埒が明かん。早く話を進めよう。

 

「冗談はおいといて、今春を集めているのはその桜の封印を解く為だろ?」

 

俺は幽々子の後ろにある桜の木を見ながら問う。幽々子も桜の木を一見すると、肯定の言葉を述べた。

 

「ええ、興味が湧いたの。この封印を解いたらどうなるのか」

 

幽々子はこの桜……西行妖に封印されているのが自分だという事実を知らない。それは俺と妖忌で知らせないようにしたからなのだが……。

妖夢は知っているのか?

この桜の木がどんなものかを。

 

「妖夢、お前はこの桜の木がどんなものか知っているか?」

 

俺が聞くと妖夢は首を(かし)げながら、

 

「えっと……詳しくは分かりませんね」

 

弱々しくそう言い放つ。

妖忌……何やってんだよ!

俺は妖忌を問い質したい衝動を抑え、言葉を紡ぐ。

 

「良いか幽々子。この桜の木はな?と~っても恐ろしい妖怪なんだぞ?

後な、封印を解いたら大変なんだぞ?」

 

ゆっくりと大袈裟に言って聞かせる……が、幽々子はニコニコとしていて、真面目に話を聞いている様子は無い。

こうしてる間にも春は奪われていく一方な訳で。

俺はやもえず最後の手段を執行する。

 

「よろしい。ならば戦争だ」

 

「良いわよ~。後、私は“琥珀限定ルール”を使用するわ」

 

マジかよ。幽々子はもう知ってんのか。

琥珀限定ルール。俺が強すぎるという理由で生まれた新ルール。

そのルールは理不尽なもので、俺は相手から言い渡された条件下で闘う必要がある。所謂、強制縛りプレイで拒否権は無いってやつだ。

 

「ん~じゃあ琥珀は、スペルは一枚だけ、能力使用禁止!」

 

「うぃっす」

 

「それじゃあ、いくわよ!」

 

幽々子の声と共に、弾幕が形成されていく。

そして、その弾幕達は、俺目掛けて一斉に飛翔した。

 

「おうおう、綺麗な弾幕だな」

 

「ありがとうね」

 

弾幕をギリギリまで引き付け、ギリギリの所で躱す!

グレイズうまうま。

 

「桜符「完全なる黒染の桜‐開花‐」」

 

ここで幽々子のスペルカードが発動する。

 

「っぶねえ!」

 

急に大きな玉が襲い掛かってくるが、無事に回避。

と思っていると、今度は蝶々のような弾幕が迫っていた。その蝶々は更に分裂、小さな弾幕も追加される。

中々に厄介な弾幕だが、

 

「――よし、クリア!」

 

幽々子のスペカを何とか避けきる。

今度は俺のターンだ。

 

「いくぜ幽々子!包囲「オール・オーバー・ザ・ワールド」!!」

 

俺の宣言により、弾幕が形成される。

幽々子を取り囲むように青白い弾幕が形成される。更にその周りからは三角定規がびっしりと展開され、弾幕で出来た大きな円形が完成する。

 

「避けきれるかな?」

 

そして、青白い弾幕が次々に幽々子へと襲い掛かる。

遅れて定規弾幕も不規則に発射され、大変な事に。

これを攻略するには、幽々子狙いの青白い弾幕をうまく引き付けるのがコツだが、今の幽々子はそれに気付いていない。そして――――

 

「私の負けよ~」

 

「いよし!」

 

俺は何とか幽々子に勝利し、春を取り返す事に成功。

幻想郷も今頃は、雪が止んで桜も咲いているだろう。

 

「一件落着だな」

 

「ねえ琥珀。もう帰るの?」

 

ふと、幽々子が言った。

 

「私達はこれからお花見をやるのよ。琥珀もどう?」

 

そういえば……。プリズムリバー三姉妹もそろそろ来るだろう。特に断る理由も無いな。

 

「おし、いっちょ花見といくか!」

 

「妖夢。ご飯は大丈夫でしょうね?今日は食べるわよ~」

 

幽々子が言った瞬間、妖夢の顔が引き()るのを俺は見逃さなかった。

俺はそっと妖夢の肩に手を置き、

 

「俺も手伝うぜ、料理」

 

「……ありがとう、ございます……!」

 

妖夢が感激した所で、

 

「「「お邪魔しまーす」」」

 

プリズムリバーも到着したようだ。

 

「皆揃ったわね~。それじゃあ屋敷に行くわよ」

 

「よし、サクッと片付けるぞ! 妖夢!」

 

「はい!」

 

俺が屋敷に向かおうと歩み始めると、ルナサが隣にやって来て言う。

 

「琥珀、歌は任せるわ」

 

どうやら、ルナサはまだ諦めていないようだ。

 

「「プリズムソウル結成だよ!」」

 

訂正。全員諦めていないようだ……。

 

「俺は入らないっての!……歌は良いけど」

 

「「「本当!?」」」

 

三姉妹の声が重なる。嬉しそうにしやがって…やれやれだぜ。

 

「ほらほら早く~」

 

「あぁ、――ってか、押さなくても大丈夫だって!」

 

いつの間にか後ろにいた幽々子に急かされ、皆で屋敷に向かう。

 

 

 

そうして俺達は、淡いピンク色の桜の木の下、料理を食べ、歌を歌い、お花見を堪能するのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




はい、お疲れ様でした。
妖々夢完結です!
それでは次回も、のんびりしていってね!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第8回キャラ紹介

はい、どうものんびり+です。
今回ものんびりしていってね!


名前・ブロード・レッドロイド

 

種族・吸血鬼

 

能力・結合させる程度の能力

普通にチートですよね。

 

好きなもの・A型の血

 

 

 

名前・アリス・マーガトロイド

 

種族・魔法使い

 

能力・魔法を扱う程度の能力、人形を操る程度の能力

人形だからって侮ると痛い目見ます。

 

好きなもの・蓬莱人形、上海人形

 

 

名前・(ちぇん)

 

種族・妖獣(化け猫)

 

能力・妖術を扱う程度の能力

化け猫の時は人を驚かす程度の能力らしい。

 

好きなもの・藍様、紫様

 

 

名前・レティ・ホワイトロック

 

種族・妖怪(雪女の一種)

 

能力・寒気を操る程度の能力

冬はもの凄いらしい。けど、冬以外はほぼ無力らしい。

 

好きなもの・冬、アイス

 

 

名前・リリー・ホワイト

 

種族・妖精

 

能力・春が来たことを伝える程度の能力

春告精らしい能力ですね。

 

好きなもの・春

 

 

名前・ルナサ・プリズムリバー

 

種族・幽霊

 

能力・手足を使わずに楽器を演奏する程度の能力、鬱の音を演奏する程度の能力

鬱の影響を受けすぎると本当に鬱になってしまうとか。

 

好きなもの・音楽

 

名前・メルラン・プリズムリバー

 

種族・幽霊

 

能力・手足を使わずに楽器を演奏する程度の能力、躁の音を演奏する程度の能力

躁の影響を受けすぎると、まともに会話が出来なくなったり、突然踊り出したい気分になるとか。

 

好きなもの・音楽

 

 

名前・リリカ・プリズムリバー

 

種族・幽霊

 

能力・手足を使わずに楽器を演奏する程度の能力、幻想の音を演奏する程度の能力

幻想の音は自然界に存在しない、外の世界で「死んだ」音との事。この音のお陰で三姉妹の演奏時に鬱や躁の影響が無いとの事。

 

好きなもの・音楽

 

 

名前・魂魄妖夢(こんぱくようむ)

 

種族・人と幽霊のハーフ

 

能力・剣術を扱う程度の能力

とりあえず斬っちゃう系女子

 

好きなもの・剣の稽古

 

 

 

 

 

はい、お疲れ様です。

これからは番外編です。

後、今回の番外編は前編後編に分けます。本当にすみません!

それではのんびりしていってね!

 

 

 

「勘違いから始まる琥珀争奪戦! 前編」

 

事の発端は、異変解決後の白玉楼での宴会。

酔った幽々子の一言だった。

 

「そう言えば琥珀、あれ本当なの?」

 

歌い疲れて休んでいる時、幽々子が尋ねてくる。

 

「あれってなんだよ?」

 

「私の事を「愛してるぜ」って言ってたじゃないのよ~」

 

「ブッ!!」

 

思わず飲んでいたお茶を吹き出してしまう。幽々子の奴、あれがジョークだと分からなかったのか?

俺があれは嘘だと返そうとした時、同じく休憩中だった三姉妹が会話に食い付いて来た。

 

「ちょっと琥珀、それ本当!?」

 

三姉妹が揃って俺に詰め寄る。こいつら……酔ってるな。

 

「いや落ち着け、あれは――」

 

「そうなのよ~。琥珀ったら私にメロメロなの」

 

俺の声は幽々子に掻き消された。

ゆ、幽々子ォ! テメー、絶対あれ嘘だって分かっててからかってやがるな!?

 

すると、三姉妹の質問の矛先は俺から幽々子に変わり、幽々子は無い事ばかりを吹き込んでいる。

そろそろネタバレしないとこれが事実になり兼ねない。

 

「待て待てお前ら! 確かに俺は幽々子に愛してると言ったが、あれは嘘だ!」

 

「「「照れ隠しー? 琥珀、かっわいいー!!」」」

 

俺は弁明するものの、全く信じてもらえず。

やがて――――

 

「「「お邪魔しましたー! お幸せにー!」」」

 

「違うぞー! 誤解だー!」

 

結局、誤解を解く前に宴会はお開きになった。

 

「幽々子、お前なぁ」

 

「まあまあ、良いじゃな~い」

 

幽々子もすっかり酔いが回っていて、もうまともな話は出来そうにない。

 

「……ハァ、まあ大丈夫か」

 

明日になれば皆忘れてるかも知れないし、きっと嘘だって事も薄々勘づいてる筈だ。

 

「じゃあ俺も帰るよ。またな」

 

「琥珀さん、今日はありがとうございました」

 

「いやいや、一人で幽々子用の料理はキツイだろ? 気にすんな」

 

「はい、幽々子様の事、これからもお願いします!」

 

「…………」

 

本当に大丈夫だろうか。

 

俺は不安ながらも、神社へと帰る事にした。

 

 

 

 

そして翌日。

俺が縁側でお茶を飲んでいる時だった。

 

「ちょっと琥珀! これ本当なの!?」

 

急に、後ろから霊夢の慌てた様な声が届く。

振り向くと、新聞を持った霊夢がこちらに駆け寄って来るのが見えた。

 

「一体どうしたってんだよ?」

 

「これよ! これ!」

 

そう言って霊夢は俺に新聞を押し付け、指を差して言う。

そこに目をやると、

 

『雨宮琥珀、西行寺幽々子と交際か』

 

大きく、そう書かれた文字が見えた。

 

「は!? 何じゃこりゃ!?」

 

俺は驚愕しつつも続きに目を通す。

 

『昨日、雨宮琥珀と白玉楼在住の西行寺幽々子が結婚を前提に交際していた事が判明した。雨宮琥珀から愛の告白をして交際を開始。詳しい事は調査中』

 

と、まだ続いている。

まさかこんな事態に発展するとは……しかも尾ひれが付いてる!

 

「これは真っ赤な嘘だ!! 信じるなよ霊夢!」

 

「……本当に?」

 

「勿論だ!」

 

「……まあ確かに。あんたが交際なんてね」

 

良し。霊夢説得成功。次!

 

【俺が今文の後ろにいる】嘘を【本当】に。

 

そして景色が変わり、目の前には青空と文。どうやら新聞配達中のようだ。

俺は素早く文の首根っこを掴む。

 

「え? って琥珀さん!?」

 

「やあ文ちゃん。お話しようか」

 

再び博麗神社に瞬間移動。

文を離して早速事情聴取だ。

――と、忘れてた。

 

『今日、文々。新聞が作られた』事実を『嘘』にする。これで少しでも情報の拡散を防ぐ。

 

「さて文ちゃん。まず新聞の事なんだけどさ……誰から聞いたのかな?」

 

文を恐がらせないように笑顔で聞く。

 

「ひっ! ……えと、あの、その、……昨日ルナサさん達が話してるのを聞きまして……」

 

ぶるぶると小動物のように震えて答える文。笑顔が足りないか。

 

「じゃあさ、結婚を前提に交際ってのは誰から?」

 

更に笑顔で尋ねる。

 

「ひぃ!! ……それは、……ルナサさん達の話を聞いた私の憶測です……」

 

顔を真っ青に汗をだらだら流して答える文。嘘は吐いていないようだが、お仕置きが必要だ。

 

まあでも、それは後回しにしてまずは交際が嘘だと言う事を説明しなければ!

 

俺がそう決心した矢先、ドンドンと母屋(おもや)の玄関が叩かれる音がした。

 

「はーい!」

 

玄関に向かって、扉を開ける。そこにいたのは――

 

「幽香に輝夜、戦鬼? どうしたんだよ、揃いも揃って」

 

皆笑顔だが、謎の怒りのようなオーラを纏った三人の少女達だった……。

 

 

 

 

 

 

 

 




はい、どうもお疲れ様でした。
後半に続く!
それでは次回も、のんびりしていってね!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

【番外編】勘違いから始まる琥珀争奪戦! 後編

はい、どうものんびり+です!
今回は番外編の後編です!前編は第8回キャラ紹介を参照下さい。
それでは今回も、のんびりしていってね!




こちら琥珀。現在、俺の眼前には三人の少女が沈黙中。よし、何とかコミュニケーションを試みろ! 了解!

 

「あー、どうしたんだよ。三人共、俺に用か? 珍しいメンバーだな、ハハハ」

 

最初に応じたのは幽香だった。

 

「ええ、そうよ。琥珀に用があるの」

 

驚く程爽やかな笑顔で幽香は言う。だが何故だろう。全く笑っている気がしない。何と言うか……凍った笑顔っていう感じがする。

幽香の笑顔に、俺は無意識に身震いしていた。

 

そして、幽香に続くように輝夜と戦鬼も口を開く。

 

「私もそこの緑と同じよ。久し振りね、琥珀」

 

「儂も同じく。久し振りじゃな、琥珀」

 

幽香同様に、二人の笑顔も冷めていた。……一体どうしたらこんな冷たい笑顔が出来るのか。俺には分からない。

とりあえず、挨拶を返しとこう。

 

「おう、久し振りだな三人共。まあ戦鬼は少し前に会ってるけど」

 

「儂の中では久し振りなんじゃよ」

 

俺が戦鬼と会ったと言った時、幽香と輝夜の笑みの影が深くなったのを、俺は見逃さなかった。何か不味い事を言っただろうか? 分からない。

でも、ここで立ち話するより中の方が良いよな。

 

「まあ三人共。上がってくれよ」

 

そう言って玄関を去ろうとして、右肩と両手首を掴まれた。そして、静かに三人の声が聞こえる。

 

「待って、琥珀」

 

「上がる必要は無いわ」

 

「今から白玉楼に行くのだが、琥珀も来てくれ」

 

そして返答を言う暇もなく、俺は無理矢理に白玉楼へと連行されてしまった。

 

 

 

 

 

 

こちら琥珀。現在、白玉楼の居間にお邪魔している。そして居間には、俺の他に幽香、輝夜、戦鬼、幽々子が沈黙中。

……これはどういう状況だ?

何で白玉楼? まあ、丁度良いか。幽々子にも誤解を解くのを協力してもらおう。

 

そして、俺が幽々子に話し掛けようとした時、動きを見せたのは幽香だった。

 

「私は風見幽香よ。幽々子って呼んで良いかしら?」

 

「良いわよ~。宜しくねぇ、私も幽香って呼ぶわ。二人は?」

 

「私は輝夜よ。宜しくね幽々子」

 

「儂は戦鬼。宜しくの幽々子」

 

「輝夜に戦鬼ね、宜しく~」

 

クラス替え後の女生徒達の会話のように、和やかに行われる自己紹介。だが何故だろう。幽々子以外の三人からは、そんな和やかさとは真逆の、見るものを戦慄させる雰囲気が滲み出ていた。

 

そして、始まった。始まってしまったのだ。惨劇が……。

 

「さて、そろそろ本題に入りましょうか」

 

湯飲みを机に置いて、幽香はあっさりと、引き金を引いた。

 

「幽々子は、琥珀と交際してるの?」

 

「――ゲホっ!」

 

思わずに、お茶を吹き出してしまう。

この時、俺の中で全て繋がった。何故三人が訪ねて来たのか。何故白玉楼に来たのか。そう、俺と幽々子の尋問! これが狙いか!

まあ、それは結果として誤解を解くのに繋がるから助かる。ならば俺も参加しよう。

 

「その事何だがな――」

 

「「「琥珀」」」

 

俺の言葉は、三人に上書きされて消える。

そして、

 

「「「少し黙って」」」

 

「はい」

 

俺は無意識に返事していた。……いや、無意識では無く本能か。俺の中の生存本能が逆らうなと警告してくるのだ。

 

「「「で、幽々子。どうなの?」」」

 

三人の冷たい笑みを一斉に浴びた幽々子は、俺にとって最悪の返答をしてくれた。

 

「あぁあれ、本当よ~」

 

幽々子ォォォ!!!! おま、何て事をぉ! 頼むからこれ以上、事態を悪化させるなぁ!

 

そんな俺の心の叫びは、誰にも届かず。俺はただ、もうどうでも良いとお茶を啜るのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

――時は、異変解決の為、琥珀が白玉楼に来た頃に遡る。

 

 

私の前には、妖夢を連れた琥珀がいた。

琥珀は私の古くからの友人。最近は顔も見て無かったので、異変解決の為とは言え、久し振りの再会は素直に嬉しかった。

 

そんな(おり)、琥珀がやけに明るくどうしてここに来たのか私に尋ねてきた。

それは異変解決の為。分かりきっている事。でも、それじゃあつまらない。私は琥珀をからかってみる事にした。

 

「私に会いたくなっちゃったのね~」

 

私が言うと、琥珀は驚いたような呆れたような表情する。その後、何を思ったのか急に笑顔になり、

 

「正解! どうしても幽々子に会いたくなっちゃったんだ。愛してるぜ」

 

……私は驚いていた。琥珀の言った愛してると言う言葉に。

分かっている。ただの冗談で、本気じゃ無いのは百も承知。

でも、それでも……嬉しかった。

私は今まで琥珀をそういう目で見た事が無かった。ただの友人。それが琥珀。でも、その時私は、初めて琥珀を異性として認識した。

そしたら、何だか恥ずかしくて、でも、琥珀ならありかもって、そう思った。

 

「あらあら、嬉しいわね~。私もよ」

 

この言葉は――嘘では無く私の本心。まあ、琥珀は気付いてないみたいだけど。

……琥珀は、本当は私の事をどう思っているのだろう?

私はふと、そんな疑問を抱いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

私がくつろいでいると、さっきまで元気に歌っていた琥珀がやって来た。琥珀は相変わらず歌がうまい。

 

そうして琥珀を見ていると、先程の疑問が再び湧いてきた。お酒が入っていた私は、自分でも驚く程にあっさりと疑問を口にしていた。

 

「そう言えば琥珀、あれって本当なの?」

 

「あれって何だよ?」

 

「私の事を「愛してるぜ」って言ってたじゃないのよ~」

 

「ブッ!!」

 

盛大にお茶を吹き出す琥珀。そんな琥珀を見ていると、何だかとても微笑ましい。

 

「ちょっと琥珀! それ本当!?」

 

いつの間にか、三姉妹が目を輝かせて琥珀に詰め寄っていた。琥珀は顔を赤らめつつ弁解している。それを見た私は何を思ったのか、

 

「そうなのよ~。琥珀ったら私にメロメロなの」

 

気付けば、そんな事を口走っていた。

一体何を言って……何言ってんの私!? どうしよう!? 早く嘘って言わなきゃ!

 

琥珀から私にターゲットを変更した三姉妹に、今のは嘘だと言おうとして、私は言葉を飲み込んだ。

……どうせ後で嘘ってバレるなら、少しぐらい。

 

私は詰め寄る三姉妹に、琥珀の告白を盛った話や、私達の出会いを少し変えた話をした。

 

私から見た琥珀は、古くからの友人……()()()

どうしてかは分からないけど、あの告白――嘘の告白――から私は、琥珀の事を、異性として意識していた。

 

 

 

 

 

 

翌朝、私は後悔に襲われた。

昨日はちょっとやり過ぎたかもしれない。大丈夫かな、もしかしたら琥珀に嫌われたかも。

 

……琥珀に嫌われた? そう思うと、途方も無く辛い。嫌だ、嫌われたくない。

どうして私は、こうも強く琥珀にすがるのか。固執するのか。分からない。何だか昨日から分からない事だらけだなぁ。

 

 

そうして、私が琥珀についての考えを払拭(ふっしょく)出来ずにいると客が訪れた。

此処に客なんて珍しいと思いつつ居間に行くと、琥珀と少女三人が座布団(ざぶとん)の上に鎮座していた。

 

その時私は、琥珀の顔をまともに見れない事に気付く。

それと同時に、琥珀が他の女の子と一緒にいる事が不愉快だと感じる。

 

私も座布団に座り、少女達をざっと見渡す。すると、何やらただならぬ気配を醸し出している事に気付き、確信する。

根拠は無いけど、この少女達は皆、琥珀の事が好きなんだ。それだけははっきりと分かる。何故分かるのか。

 

……それは、同類だから。

昨日から考えていたモヤモヤの正体が、たった今、やっと分かった。

成る程。初めてだったから分からなかった。

 

――これが恋か。

 

悩みの種が解消されて良かった。私は心底安心して、溜め息を一つ吐く。でも、大変なのはこれから。

ライバル多そうだから、頑張らないとね!

 

「幽々子は、琥珀と交際してるの?」

 

幽香が私に笑顔で尋ねる。

琥珀が何か言おうとするも、呆気なく撃沈。

 

「「「で、幽々子。どうなの?」」」

 

三人が私に注目する。

これは、挑戦状と受け取って良いのよね?

 

「あぁあれ、本当よ~」

 

望むところよ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――お茶って美味しいなーと、しみじみ思う。

本当お茶って美味しい。俺ってお茶以外の飲み物飲んだ事あるかな? あ、結構あるわ。

 

とまあ、他愛もない話は置いとこう。

 

こちら琥珀。現在、何故かは知らんが皆は“琥珀クイズ”なるものに興じている。何でもクイズに一番正解した者には、一日俺と過ごす券が発行されるらしい。わーすごいなー。

 

 

そして、待つこと二時間半。

 

「儂の、勝ちじゃーー!!!!」

 

「「「むぅ……」」」

 

勝者は戦鬼か。他の三人はというと、既にグロッキー状態だ。

 

「それじゃあ琥珀! いつか使わせてもらうぞ!」

 

「ああ、分かった」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そしてその後で、琥珀と幽々子で交際は嘘だったと弁解。幻想郷に広まった誤解は鳴りを潜めた。

 

だが、琥珀争奪戦はまだ、始まったばかりなのだ……。

 

 

 

 

 

 




はい、お疲れ様でした。
それでは次回も、のんびりしていってね!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第9章 萃夢想編~宴会と夏の始まり~
第56話 酒は飲んでも呑まれるな


はい、どうものんびり+です。
皆さん、あけましておめでとうございます!
今年もよろしくお願いします!
えぇ、まず活動報告でも言いましたがもう一度。
遅れてすみません!
それでは今回も、のんびりしていってね!



「はいお水。あんた大丈夫? 顔がブルーベリー色の巨人みたいになってるわよ」

 

「大丈夫とは言えないな……後その例え酷くね?」

 

霊夢が持ってきてくれた水を一気に仰ぐ。気持ち的に、少しは楽になった気がする。

二日酔いと言うのはいつまで経っても慣れないものだ。

何故俺が二日酔いになっているのかと言うと、それは最近かなり頻繁に行われている宴会が関係しているのだろう。

数日前から、何故か定期的に宴会が開かれているのだ。その回数と言ったらもう今までの比では無い。まあそんな事もあり、昨日はかなり飲まされた。いや、呑まされたの方が正しいか。酒は飲んでも呑まれるなとは良く言ったものである。

 

「にしても霊夢。お前も結構飲んでたよな。大丈夫なの?」

 

「当たり前でしょ、私はそんな柔じゃないもの」

 

霊夢は胸を張って誇らしそうに言ってみせる。羨ましいよ、今だけは。

因みに、俺は酒そのものはあんまり嫌いではない。むしろ好きな部類だ。ただ知っての通り、俺は酒に極度に弱い。だから嫌いと言うよりは苦手なのだ。

 

と、話がずれてしまった。

えー、つまり最近の宴会の多さは異常だと。これは異変なんじゃないかと。そういう事ですよ。

え? 宴会程度で大袈裟だって?

いやいや落ち着け。勿論、俺だって根拠はある。実は、宴会が頻繁に開かれるようになってから、妖気を含んだ霧をみるようになった。

まあ、今回の異変――謎の霧や宴会――を起こしている主犯は分かってるんだが。俺が解決しても意味がない。他の誰かが動くのを待とう。別にそんな迷惑な異変でもないし。

 

俺は座敷の上に横になり、そのまま意識が途切れるのを待った。

 

 

 

 

 

「はいお酒。あんた大丈夫? 顔が蜘蛛男みたいになってるわよ?」

 

「大丈夫とは言い難い。後何だその例えは、普通に「顔が赤いわよ?」とかで良いだろ!」

 

「えぇ~、だって普通じゃつまらないじゃない?」

 

そう言って霊夢は持っていた盃を傾け、酒を飲み干した。こいつ今ので六杯目だよな。大丈夫なのか?

 

「にしても熱いな……外の空気でも吸いに行くか……」

 

俺はふらつきながらも立ち上がり、縁側へと足を向ける。

縁側に着くと、涼しい夜風が俺を包み込む。それがとても心地良い。

縁側に腰を下ろす。後ろの方からは、遠目ながらも賑やかで楽しそうな皆の声が聞こえてくる。

 

「はぁ、解決はまだ先かな……」

 

皆の声を聞いてる内に、そんな言葉が口を()いて出た。

 

「隣空いてる?」

 

暫く縁側に座ったまま夜空を眺めている時、不意にそんな声がした。

 

「あぁ、空いてるぞ」

 

俺が答えると、お言葉に甘えてとそいつは隣に座る。

 

「ねえ、琥珀は気付いてたよね?」

 

「あぁ。最初から」

 

「流石だねぇ」

 

隣から無邪気な笑い声がした。俺も自然と笑みを溢す。

 

「因みに、これはいつまで続けるつもりだ?」

 

俺の問いに、隣からうーんと唸り声がする。そして何か思いついたのかポンと手を叩く音が響いた。

 

「琥珀が私のお願いを聞いてくれたら止めるよ」

 

唐突の提案に、今度は俺が唸る。唸り声を上げ考えついた結論は、

 

「一つだけならな」

 

ここは妥協する事にしよう。

 

「イエェェェイ!」

 

すると、そんなに嬉しかったのか隣からは歓喜の咆哮が上がった。

正直、これ以上異変が続くと俺は二日酔いにフルボッコにされてしまう。ならば、ここは妥協する他ないだろう。皆の為にならなくとも、俺の為になるのだ。……そう言うと俺がめっちゃ自己中みたいだな。

 

「交渉成立だね。じゃあ、はい」

 

俺は差し出された盃を受け取る。これを飲んだら俺の意識は完全に途切れるだろう。

 

「萃香、頼みがある」

 

「ん? どうしたの?」

 

「もしも俺が倒れたら、霊夢の元まで運んで「薬求む」と伝えてくれ」

 

「任された! それじゃあ、乾杯!」

 

掛け声に合わせ酒を飲む。

酒を全部飲み終わる頃には、視界はぼやけ、思考も鈍っていた。

永琳からもらった酔い止め、後は頼んだぞ。

やがて、俺の意識は闇へと沈んでいった。

 

「琥珀?」

 

隣を見ると、顔を真っ赤にして伸びている琥珀がいた。まさか本当に倒れるとは。でもまあ、前の時みたいに暴れられるよかましかな。

私は琥珀を担いで、騒ぎの中心地へと向かった。

 




はい、お疲れ様でした。
それでは次回も、のんびりしていってね!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第57話 すれ違い?

はい、どうものんびり+です。
遅れましたが、お気に入り160突破ありがとうございます!
後どのくらい続くかは分かりませんが(今年の夏くらいまで続くかも?)これからもよろしくお願いします!
それでは今回も、のんびりしていってね!


「おーい、霊夢ー」

 

私は声を飛ばし霊夢を呼び出した。

すると今までの騒ぎは急速に静まり、視線が次々と私に注がれる。

釘付けと言う言葉が正しいだろう。皆は私を見つめたまま、まるで時間が止まってしまっているかのように動かない。

そんな空気に呑まれ、私はただ突っ立っている事しか出来ない。

今この空間には、さっきまでの賑やかな雰囲気ではなく、気まずい緊張感が漂っていた。

 

「えっと、霊夢に用があるんだけど……」

 

このまま黙っていたらいつまでも続きそうな沈黙に耐え兼ね、私は笑い掛けながら言った。

すると、酔って顔が赤い霊夢が私に歩み寄る。そして私のすぐ目の前で止まると一言。

 

「……あんた誰? 何で琥珀を担いでんの?」

 

そんな霊夢の言葉に、他数人も頷き興味深そうにこちらを見ていた。

確かに、一応皆とは初対面だしその疑問はもっともだろう。

 

「でも、あんたの妖気……どっかで……」

 

一方霊夢は、顎に指を当ててそんな事をぽつりと呟いた。流石は博麗の巫女と言った所か。このままだと私が異変の主犯だとバレるのも遠くはないだろう。

 

「あっ、そうよ。最近こんな妖気を感じてたのよね。それも宴会の度に。そもそもおかしいと思ったわよ、こんな頻繁に宴会って。つまり今までの出来事は異変! そしてあんたはその主犯ね!」

 

いや、確かに遠くないとは言ったけど……早すぎるでしょ。てか逆に何で今まで気付かなかったのよ。

 

「えー。ゴホン、その通りさ。私は伊吹萃香。よろしくね」

 

と、バレてしまっては仕方無い。自己紹介くらいしておこう。

 

「……ふーん。で、萃香。用件は? わざわざ退治されに来たの?」

 

霊夢は笑いながら、しかし鋭い目付きで言った。どうやらかなり警戒されてしまったらしい。

これ以上ここにいるのは得策ではない。そう思った私は、さっさと用を済ませて帰ろうと思い、琥珀を下ろし霊夢に告げた。

 

「私の用は対した事じゃないよ。琥珀が倒れちゃってね、それを運んで来ただけさ」

 

私が言うと、霊夢は貼り付けていた笑みを消し、先程よりも警戒を強め尋ねてきた。

 

「……あんたが倒したの?」

 

その質問に対し、私は頭を巡らせる。まあ確かに、原因は私が勧めた酒にあるんだし、私がやったと言う事になるんだろう。

そんな結論に至った私は、霊夢に応える。

 

「そうだね、私がやった。いやぁ、まさかあの程度で倒れるとは思わなくてさ」

 

あまり量はなかったのだが。琥珀は本当に酒に弱いと言う事を再確認させられた。

ふと霊夢に目をやると、その顔は驚愕と言うに相応しかった。目を見開き、口はポカーンと開けっぱなし。次に辺りを見回すと、やはり皆も霊夢同様に驚愕の表情をしている。

そんなに驚く事だろうか? 皆も琥珀が酒に弱いのは承知の筈だし。

 

「……どうしてわざわざ琥珀を運んで来たの?」

 

恐る恐ると言う感じで、霊夢は口を開いた。

妙な質問をするものだ、と思ったけど一応答えておく。

 

「そりゃ、放っておくのも悪いし。……あっ」

 

言ってる途中で、私は琥珀から何かを頼まれた事を思い出す。

……何だっけ? 度忘れしちゃった。

確か三文字で……くから始まって……りで終わるものだった気がする。

――分かった!

 

「後さ、鎖持ってきてくんない?」

 

「く、鎖?」

 

霊夢は訝しげに私を見つめ、確認するかのように言った。

私は頷くと、もう一度霊夢に催促する。

 

「そう、鎖。持ってきてよ」

 

「……何に使うの?」

 

霊夢に言われ、私にも疑問が沸いた。そう言えば、琥珀は鎖何て何に使う気だったのか。

 

「霊夢、そいつ怪し過ぎるぜ」

 

ここで、話を聞いていた魔理沙が動いた。

 

「話すだけ無駄だろ。そいつは異変の主犯で、私達の目的は異変解決。簡単だろ?」

 

「まあ、それもそうね」

 

話は決まったらしく、霊夢は札を、魔理沙は八卦炉を構え私を見据えた。

何故だろう。何だか壮絶なすれ違いをしてる気がするけど、そんな事はどうでも良い! 鬼として、売られた喧嘩は買うしかないじゃない!

 

「やろうってかい。良いよ、大歓迎さ。鬼の力ってのを魅せてやるよ!」

 

 

そうして、戦いの幕は切っておとされた。

 

 

 

 

 

「……どうしてこうなった」

 

俺の目の前に広がる光景に、そんな事を言ってしまった。

何故だか知らんが、萃香を始めとした皆が、ボロボロになりながら倒れていた。いや、寝ているのか。

にしても頭が痛い。くっ、早く薬を……!

俺は薬を求め、痛む頭を押さえながら台所へと向かった。

 

 

 




はい、お疲れ様でした!
勘違いって難しいですね!
それでは次回も、のんびりしていってね!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

【茶番】ドッキリ仕掛けてみた②

はい、どうものんびり+です。
予定よりだいぶ……というかものっそい遅れてしまいすみませんでした!
今回は茶番回です。遅れた分を早く取り戻そうと思い、とりあえず更新しようという魂胆でございます。
それでは今回も、のんびりしていってね!


俺は今、霊夢にドッキリを仕掛けるべく思考を巡らせていた。

何故ドッキリをやろうと思ったのか。理由は簡単。暇だから。

さて、どうしたものか。一応三つ程アイデアがあるのだが……。

暫く考えた(のち)に、俺はある一つのプランを決行することにした。

 

 

「……暑い」

 

私はもう何度目か分からない単語を口にして、ふと空を見上げた。

青い空に、もこもこと大きな入道雲。太陽の日射しは容赦なく地上に降り注いでいる。

私はもうこれ以上、こんな炎天の(もと)で庭掃除などやる気にはならなかった。

こうなったらみたらし団子で琥珀を買収して、琥珀に庭掃除をやらせようかな……。よし、そうしよう。

私は持っていた竹箒(たけぼうき)を玄関前に立て掛け、琥珀のいる居間へ向かった。

 

「琥珀ー! あんたに良いお仕事があるの……よ……え?」

 

居間にいた筈の琥珀の姿はなく、代わりに見慣れない少年の姿があった。

黒の半袖半ズボンの格好をした少年は、どことなく琥珀に似ている。

……迷子? だとしたらこのまま放っておく訳にもいかないし……。

考えていても仕方ないので、とりあえず少年に質問する事にした。

 

「あなたの名前は?」

 

「僕は雨宮一(あめみやはじめ)です」

 

少年は微笑みながら言った。……なんだろう。なにか引っ掛かる。

私は得体の知れない違和感を覚えつつも、質問を続ける。

 

「一はどうしてここにいるの?」

 

「はい、兄に用があって来たんですが……留守のようですね」

 

一はまだ何か言っているが、もう私には聞こえなかった。

雨宮という苗字に、兄。私の中ではある一つの仮定が出来上がっていた。

そして私は、その仮定を証明するべく一に尋ねた。

 

「ねえ、あなたのお兄さんってひょっとして……」

 

私が言い終わるより先に、一は答えた。

 

「はい、僕の兄は雨宮琥珀です」

 

……やっぱりね。全く、琥珀のやつ弟がいるなら教えてくれても良いのに。

 

「驚きましたか?」

 

不意に、一が笑顔のまま聞いてきた。本当に琥珀に似てる。

 

「そりゃ驚いたわよ。琥珀のやつ何にも言わないんだもの」

 

「はは、兄さんらしいです」

 

「じゃあちょっと待ってて、麦茶持ってくるわ」

 

私は台所から麦茶とコップを持って居間に戻る。

私が麦茶を注いだコップを一に渡すと、一は笑みを崩さずに言った。

 

「やっぱり霊夢さんは優しいですね。聞いていた通りです」

 

「え? そう? 普通だと思うけど。ってか聞いていたってまさか……」

 

一は頷いて続ける。

 

「はい、兄から。霊夢さん、普段は突っ張ってるけど本当は優しくて良い人なんだって」

 

「琥珀が?」

 

「えぇ」

 

自分が影で褒められていると知って、素直に嬉しかった。が、その反面凄く恥ずかしかった。恐らく今の私の顔は、

 

「霊夢さんの顔、耳まで真っ赤ですよ」

 

「う、うっさいわね! 今日は暑いから、そのせいよ!」

 

思わずそっぽを向いて、私はただ(まく)し立てる。

 

「はは、じゃあ僕はそろそろ帰りますね」

 

その言葉に振り返ると、一は立ち上がり、伸びをしながら縁側へと向かっていた。

 

「待たなくても良いの?」

 

「はい。急ぎの用でもありませんし、ツンデ霊夢も見れましたし」

 

「そう……って! ツンデ霊夢って何よ!?」

 

「はは、お達者で!」

 

私の問いに答える事なく、一は夏空に飛び立って行った。

……全く、とんだ来客だったわね。

そうして空のコップを片そうとした直後、玄関の戸が開く音と共に聞き慣れた声が響く。

 

「ただいまー」

 

「おかえり。あんたに客が来てたわよ」

 

すると何故か、琥珀が吹き出した。今の会話のどこに笑う要素があったのか。……可哀想に、最近暑かったから。

 

「っふふ、ツンデ霊夢」

 

――私は確かに聞いた。今、ツンデ霊夢って……。本日二度目の衝撃が、私を襲う。まさか……ね。

 

「今お前はこう思っただろ、「まさかね」と!」

 

「なっ!?」

 

「ふふ、青ざめたな。さあネタばらしだ! さっきの一ってやつな、あれ実は俺なんだよ」

 

くっ! 一つのドッキリで二度も私を驚かすなんて……!

 

「はは、いやー面白かった」

 

「全く、今回限りにしてよね」

 

「分かったって……多分」

 

「あっ、そうそう。琥珀、ちょっと庭掃除代わってくれない?」

 

「いやだ」

 

ここで即答するのが琥珀。まさに外道。しかし私にはとっておきがある。さあ、私の掌の上で踊ると良いわ!

 

「みたらし団子を三本つけるわよ?」

 

さあ、イエスと言うのよ!

 

「だが断る」

 

意外にも、返答は明らかな拒絶だった。

 

「な、なんで……」

 

「この雨宮琥珀の好きな事の一つは、絶対的確信を持った相手の予想を覆すことだ。五本ならやる」

 

やはり琥珀は琥珀。チョロかった。

 

その後、私達は人里の甘味処で、午後の優雅な一時を過ごしたのだった。

 




はい、お疲れ様でした。
ちょっと変な感じでしたが大目にみて下さいお願いします。
ここで、前置きで言えなかった朗報を。
評価バーに色がついてました! ありがとうございます!
転生録が始まって半年以上経過です! ここまでやってこれたのも皆さんのお陰です!本当にありがとうございましす!
以上報告でした!
それでは次回も、のんびりしていってね!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第10章 永夜抄編~夜明けのこない夜はない~
第58話 二つの異変


はい、どうものんびり+です。
今回から永夜抄やっていきます!
安定のオリジナル設定、独自解釈です!
今回も、のんびりしていってね!


 最初に目に写ったのは、見慣れた天井だった。どうやら寝てしまっていたようだ。私はあくびをしながらソファから立ち上がり、部屋の明かりを点けた。

 まだ頭がボーッとする。私は確か夜ご飯を作ろうとしたけど眠たくて……。何かまだ眠たいな。

 きっと昨日寝るのが遅くなったからだ。

 というのも、昨日は博麗神社に宴会に行っていたのだが、萃香とかいう鬼と戦っていたせいで全く寝れなかったのだ。

 

「とりあえず、夜ご飯にしよう。……いや、もう夜食か」

 

 私は目元を擦りながらキッチンへ向かった。夜食は太るって聞いた事があるが……仕方ない。私は腹ペコなのだから。

 さてと、(きのこ)スープで良いか。私が調理に取り掛かろうとした時だ。

 

「魔理沙! いるー?」

 

 そんな声と共に扉をドンドンと叩く音が聞こえた。この声は――

 

「アリスか?」

 

 私は玄関に行きドアを開けた。案の定、そこにはアリスが何か困ったような顔をして佇んでいた。

 

「なんだよアリス。こんな夜中に、私に何か用か?」

 

 私が言うと、アリスは溜め息を吐き、今度は呆れたような顔をして言う。

 

「あなたまだ気付いてないの?」

 

「え? 何が?」

 

 私の返答に、アリスはまた溜め息を吐いて、私に告げた。

 

「異変よ」

 

 

 

 

「んで、何なんだ? 異変って」

 

「……あなた随分とお気楽ね。異変が起きてるってのに」

 

「そんな事言ったって、しょうがないだろ。夜ご飯食べてないんだよ」

 

「……まあ良いわ。で、異変って言うのは――」

 

 茸スープを食べながら、私はアリスの話に耳を傾ける。

 

「月が変なのよ。本来なら満月の筈の月が少し欠けているみたいなの」

 

「ふむふむ。それで?」

 

「いやだから、月がおかしいのよ。偽物の月って言ったところかしら」

 

「……え? まさかその月がなんちゃらってのが異変なのか!?」

 

 あまりに拍子抜けだったので、つい聞き返してしまった。

 

「人間にとっては大した事ないかも知れないけど、妖怪にとっては死活問題なのよ」

 

 真剣な顔で迫られ、私は仰け反りながら相槌を打つ事しか出来なかった。

 

 

 

 

 月明かりに照らされた薄暗い森の中を、私はアリスと二人で歩いていた。森の中は静まり返っていて、二人分の足音と話し声がいやに大きく聞こえる。

 

「それで、異変について心当たりはないのか?」

 

「ないわ」

 

 即答だった。おいおいアリスさん、そんなんで大丈夫か。頼むぜ全く。

 

「おかしいわね……」

 

 私の右隣からポツリと、そんな声がした。

 

「どうしたんだ?」

 

 私が尋ねると、アリスは(いぶか)しげな面持ちで答えた。

 

「月が動いてないのよ」

 

「え?」

 

 言われて私は反射的に月に視線を移す。アリスが言った通り少しだけ欠けた大きな月があるが、私には何がおかしいのかさっぱり分からない。

 

「間違いないわ。月が止まってる……いや、正しくは夜が」

 

 さっきからぶつぶつと呟くアリスに、何が何だかちんぷんかんぷんな私は聞いてみた。

 

「アリス、要するにどういう事だ?」

 

 するとアリスは立ち止まり、

 

「要するに、今回の異変は“欠けた月”と“止まった夜”の二つって事よ」

 




はい、どうもお疲れ様でした。
今回は魔理沙とアリス、もとい「禁呪の詠唱チーム」が主役です。
後、章の名前が中二っぽいのは気にしないで下さい!
それでは次回も、のんびりしていってね!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第59話 屋台で聞き込み

はい、どうものんびり+です。
引き続きオリ設定、独解です。
後、今回の話は凄く短いです。
それでは今回も、のんびりしていってね!



「じゃあ博麗神社に行ったけど、霊夢も琥珀もいなかったのか?」

 

「えぇ、だからあなたの所に行ったの」

 

 成る程。あの二人も異変解決に向かっているのか? だとすれば負けられないぜ!

 

「よーしアリス! さっさと犯人の尻尾を掴んで異変を解決してやろうぜ!」

 

 意気揚々としてアリスに語り掛けるが、

 

「それが出来れば苦労しないわ」

 

 涼しい顔で正論を返されてしまった。全く、アリスはつれないなあ。

 心中そう思っていると、今歩いている道の先から何やら明かりが見えた。

 

「なあアリス、あそこ行ってみないか?」

 

 明かりを指さしてアリスに言うと、アリスは「えぇ」と頷いた。

 

 

 

 

 

 明かりの元に着くと、そこには一つの屋台と、二人の妖怪の姿があった。

 

「何だ、ミスティアの屋台だったのか」

 

「あ、魔理沙さん。こんばんは」

 

 ミスティアと呼ばれた――蘇芳色(すおういろ)の和服に同色の三角巾、紺色のエプロンにたすき掛けを身に付けた――少女は、私達を見ると律儀に会釈をした。

 

「こんばんは、魔理沙さん」

 

 続いて、カウンターと向かいあうように置かれた簡素な木製ベンチに腰かけた少女も挨拶した。緑のショートヘアに二本の触覚、白シャツの上につけている燕尾状に分かれたマントが特徴的な少女だ。

 

「ねえ、魔理沙さん。隣の人は?」

 

 その緑髪の少女が私をみて魔理沙に尋ねた。

 

「ん? あぁ、こいつはアリス・マーガトロイド。クールビューティーな魔法使いだぜ」

 

「何がクールビューティーよ」

 

 すると、緑髪の少女は私に笑顔を向けて言う。

 

「どうもアリスさん。私はリグル・ナイトバグです」

 

 リグルのすぐ後にミスティアと言うらしい少女も続いて言った。

 

「どうも、ミスティア・ローレライです。八目鰻(やつめうなぎ)の屋台をやっています」

 

「リグルにミスティアね。よろしく」

 

 互いに挨拶が済んだところで、魔理沙が本題を切り出した。

 

「時にお二方。今起こっている異変について何か知っている事はないか?」

 

「異変って……月の事ですか?」

 

「そうだ。後、夜が止まってるのもな」

 

 魔理沙の言葉を受け、ミスティアとリグルは顔を見合わせて悩んでいるようだ。

 暫く悩んだ末にミスティアが言った。

 

「すみません、私もリグルも特に知っている事はないですね」

 

「そうか。分かった、ありがとうな」

 

 魔理沙はそう言うと、「またな」と手を振りながら歩き出した。

 

「それじゃあ、もう行くわね」

 

 二人に別れを告げると、私も魔理沙に続く。

 私達は再び、異変解決を目指し歩を進めた。

 




はい、お疲れ様でした。
前置きでも言いましたが、短くてすみません。多分今までで一番短いです。
不満があれば遠慮なく言って大丈夫です……。
それでは次回も、のんびりしていってね!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第60話 目指せ迷いの竹林

はい、どうものんびり+です!
この話を書こうと思ったら風邪になって予定より遅れてしまいました。
風邪ってしんどいですよね。皆さんもお気をつけ下さい。
それでは今回も、のんびりしていってね!


 私達が今いる場所は“迷いの竹林”と呼ばれており、一度入れば人間はおろか妖精ですら迷うといわれている。流石に私の勘をもってしても、ここの攻略は厳しいだろう。だから私はあまりここに来たくなかったのだが……仕方ない。さっき聞いた話によると、この竹林のどこかに今回の異変を起こしたら奴らがいるらしいのだ。ここで逃げたら博麗の巫女の名が(すた)る。

 それにしても……。

 軽く周囲を見回すが、ずっと同じような景色が続いていて自分が今どこにいるのか分からない。確かに、これでは迷うのも頷ける。

 

「ねえ琥珀、あんたは迷ってないのよね?」

 

 一応聞いておこうと思い、私は琥珀に尋ねる。だが、返事がない。ただの(しかばね)のようだ。

 

「……琥珀?」

 

 振り返ると、ついさっきまで私の後ろを歩いていた琥珀の姿がない。本当に、跡形もなく、忽然と消えてしまったのだ。

 ……まずい。非常にまずい。

 別に琥珀の心配をしている訳じゃない。そんなのはするだけ無駄だ。

 では何かと言うと、私は今、この広大な竹林の中に一人取り残された事になる。

 つまり、ここの土地に詳しい人と出会えなければ、私はこの竹林から脱出する事が出来ないのだ!

 

「何で……こんな事に……」

 

 身体中から力が抜けて。ペタリと地面に手と膝を付き、目を閉じる。すると、私が寝室の布団の上にいる姿が浮かび上がった。本来ならば今頃、私はいつも通りに寝ている筈なのだ。

 そう思うと、異変を起こした奴らに対して苛立ちを覚える。それは徐々に怒りへと変わり、気が付けば私は夜の竹林を駆けていた。

 私の当初の目的は異変解決だったのだが、今は違う。私の目的は、異変を起こした奴らをコテンパンにする事だ。こういうのを一般的に逆ギレと言うのだろうが、知ったこっちゃないわ!

 今の私は蒸気機関車だ。闘志という名の燃料を燃やし、私は走る。主犯共に怒りの鉄槌(てっつい)を下す為に!

 

 

 

 

「……あー? 何だこりゃ?」

 

 眼前に広がる光景は異常だった。本来なら目の前には人里がある筈なのに、どういう訳かそこには()()()()のだ。人の姿がないのは夜中だから当然かも知れないが、それどころか建物もない。私の目には、更地しか写っていなかった。

 

「大変だぞアリス! 第三の異変発生だ!」

 

 私は隣にいるアリスに大声で言った。しかし、アリスは焦っている様子はなく、至って冷静沈着だった。

 

「大丈夫よ魔理沙、これは異変じゃないわ。これは恐らく――」

 

「貴様ら、何者だ!?」

 

 突如、そんな声が響く。私もアリスも一気に声の方向へ向き直り身構えた。

 するとそこには、提灯(ちょうちん)と思わしき明かりと、その明かりに照らされた見覚えのある顔があった。

 

「なんだよ、慧音先生か」

 

「なんだ、魔理沙達だったのか。すまない、こんな時だから警戒していてな」

 

 こんな時と言うのは異変の事だろう。そうだ、異変と言えば。

 

「慧音先生よ、ここにある筈の人里なんだが……」

 

 私が言うと、慧音は「あぁ」と頷きタネを明かしてくれた。

 

「私の能力を使ってな。今は一時的に人間の里を見えなくしている。何が起こるか分からないからな、念には念をだ」

 

 ……そうか、慧音の能力は歴史を食べる事。その力で人里の歴史を食べて見えなくしているのか。

 

「ところで慧音。今回の異変について何か知らないかしら?」

 

 アリスの質問に、慧音は「あぁ、一応な」と言って続けた。

 

「この異変を起こした奴らなら“迷いの竹林”にいる筈だ。ただし、断言は出来ない。あくまで可能性が高いだけだ」

 

「いいや、構わないさ。ありがとうな慧音」

 

「いや、役に立てて良かった。それにしても、少し前に霊夢からも同じ質問をされたな」

 

 慧音は微笑しながらそう言った。

 

「え? 霊夢も来たのか?」

 

「あぁ、ほんの少し前にな」

 

 ……まずい。このままだと霊夢が先に異変を解決しちゃうじゃないか! それは私のプライドが許さないぜ!

 

「悪い慧音、もう行くぜ! 急げアリス、あいつらに先越されるぞ!」

 

「え? ちょっと魔理沙!」

 

 私は箒に股がり、大急ぎで迷いの竹林を目指して飛び立った。

 

 




はい、お疲れ様でした。
風邪が治った後だからか、テンションが高い気がしますね。
何かアドバイス、ご意見ありましたらお願いします。
これ久々に言いましたね。
それでは次回も、のんびりしていってね!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第61話 屋敷に突入

はい、どうものんびり+です。
何だか久しぶりな気がしますね。この度は投稿が半端じゃないくらい遅れてしまい、申し訳ありませんでした!
私からも言いたい事はたくさんありますが、前置きが長くなってしまいますので割愛させて頂きます。
後、今回から字下げ仕様でやっていきたいと思います。過去話も編集中ですが、追いつくのはまだ先ですね。

それでは今回も、のんびりしていってね!


 ぼんやりと夜空を見上げながら歩いていると、不意に浮遊感がした。足場を失った俺の体は、必然的に下へと落ちる。まさにあっという間の出来事だった。

 

 導かれたのは、無数の目玉がギョロつく薄暗い空間。スキマである。

 相変わらず不気味な所だ。

 しかし紫が接触してきたという事は、何かしら手がかりを掴んだのだろう。異変の調査を始める前に神社で、何か分かったら連絡すると言ってたし。

 

「琥珀、よく来てくれたわ」

 

 背後からの声に振り向けば、フリルの傘をさした紫の姿があった。

 

「いや、強制的に来させられたんだが」

 

「それはそうとね、琥珀」

 

 一拍置いて、紫は続けた。無視すんなよこら。

 

「この竹林の奥で怪しい屋敷を見つけたわ」

 

 この竹林にある屋敷なんざ、一つしかない。永遠亭だ。

 

「成る程。で、どうして俺にその事を?」

 

 ダメ元で聞いてみた。答えは予想通り、

 

「これから一緒に乗り込むからでしょ、当然ね」

 

 思わず深い溜め息が漏れた。……いつも俺の意見が当たり前のように無視されているのは腑に落ちないが、まあ良い。話し合いで解決に越した事ないが、もしも腕ずくでの解決になった場合、今回の相手は中々に手強い。

 それは紫も薄々感づいているようだ。だから俺を落としたのだろう。

 

「それじゃあ、早速行くわよ」

 

 言葉に次いで、再び浮遊感がした。――直後、頭部に鈍い痛み。何か硬いものとぶつかったかと思えば、俺はそのまま地面へと放り出された。

 

「痛ッ! うぅ……」

 

 すると切実な唸り声が聞こえた。どうやらさっき、運悪く人とぶつかってしまったようだ。

 紫の奴め、まさか頭から落とされるとは思わなかったぞ。

 仰向けの状態から起き上がると、頭を抑えてうずくまっている被害者に近付く。

 

「すまん、大丈夫か?」

 

「……あ、はい。私は大丈夫です」

 

 そう言って少女は頭を(さす)りながら立ち上がった。

 

 その少女は、腰程の薄紫色の長髪で、白のブラウスに赤いネクタイを締め、その上に黒のブレザーを着用という出で立ちをしていた。

 頭に付いている――ヨレヨレの――白く長い耳に赤い瞳は、兎を連想させる。

 

「あなたこそ、お怪我はありませんか?」

 

「あぁ。大丈夫だ、問題ない」

 

「それは良かったです」

 

 少女はホッと胸を撫で下ろした。

 だが次の瞬間、少女を取り巻く空気が変わった。目の前の少女は、まるで別人のように目の色を変えて尋ねた。

 

「ところで、あなた何者ですか?」

 

 少女は自身の後ろにある屋敷を一瞥(いちべつ)して、質問を続行する。

 

「この屋敷に何か用でも?」

 

 鋭い眼光を放つ赤い瞳が、俺の一挙手一投足を見逃すまいと細心の注意を払っている。

 見ない顔だが、屋敷の門番らしい。さて、どうするかな。……下手な事を言って余計に警戒されるよりは、正直に用件を伝えた方が良いか。

 

「自己紹介が遅れたな、俺は雨宮琥珀ってもんだ」

 

 俺が名乗ると、少女の眉がピクリと動いて。

 

「あなたが雨宮琥珀? 本物ですか!?」

 

 やけに興奮した様子で聞いてきた。先程までの警戒心はもうない。

 

「あぁ、そうだが」

 

「本当ですか! いや、失礼しました」

 

 咳払いをすると、今度は少女が自己紹介を始めた。

 

「申し遅れました。私、地上では鈴仙(れいせん)優曇華院(うどんげいん)・イナバと名乗らせてもらっています。好きな様に呼んで下さい」

 

 地上では、ね。これは分かってきたぞ。

 

「じゃあウドンゲって呼ばせてもらうけど、ウドンゲは月からこっちに来たのか?」

 

「はい。私は月の兎、玉兎(ぎょくと)です。月では軍に所属していました」

 

 成る程。やはり月の出身か。にしても、どうして地上に来たんだろうな。

 俺がそう考えてる間にも、ウドンゲは話し続ける。

 

「やっぱり師匠の話は本当でした。本当に雨宮琥珀さんその人とお会い出来るなんて、最近まで夢にも思いませんでしたよ」

 

 そうか、確か俺は月だと大昔に戦死したとされる英雄って事になってんだっけ。

 ウドンゲが言う師匠ってのは恐らくは永琳の事か。

 

 今の話でこの子については大体分かった。だが、今はウドンゲと悠長に立ち話をしてる場合じゃない。早く永琳の元へ事情を聞きに行かねば。

 

「ウドンゲ、悪いが屋敷に入れてもらって良いか? 永琳に用があるんだ」

 

 ウドンゲの話に少し強引に割り込んで、俺はここへ来た本来の目的を説明した。

 

「あ、すみません! 私とした事がつい」

 

 ウドンゲはばつが悪そうな顔をすると、すぐに門を開けて道を譲った。

 

「どうぞ。師匠から、琥珀さんとその同行者は通して良いと言われていますので」

 

「あらそう。じゃあ私も大丈夫ね」

 

 ウドンゲが言い終わると、今の今まで傍観を決め込んでいた紫がスキマから現れた。全く、人を餌に様子見して安全だと分かったらこれだよ。何だか、俺の扱いがどんどん雑になってる気がする。

 

「何してるの、行くわよ琥珀」

 

 急な紫の登場に一驚(いっきょう)するウドンゲに「失礼するわね」と一言挨拶を済ませ、紫はスタスタと歩み始める。

 

「はいはい分かったよ。それじゃあな、ウドンゲ」

 

「あっ、はい」

 

 俺の言葉にハッとして、ウドンゲは慌てて頭を下げた。そんなウドンゲを尻目に、俺も紫の後を追う。

 後ろから、再び門が閉まる音が鳴り響いた。

 

 

 

 




はい、お疲れ様でした。
永夜抄は琥珀達と魔理沙達の視点で進めようと思います。
後、前置きで言えなかった朗報ですが、転生録一周年突破です!ありがとうございます!これからも頑張ります!
次回の投稿は早くしたいですね。
それでは次回も、のんびりしていってね!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第62話 永夜の真相

はい、どうものんびり+です。
少し遅いですが、新年明けましておめでとうございます!今年もよろしくお願いします!
えー、またまた投稿が遅れてしまいました。本当、もう、すみません。気づいた方もいると思いますが、タグに不定期更新を追加しました。私としてもこのタグだけは使いたくなかった……のですがまあ仕方ないですね。
後、永夜抄は次回で終わりそうです。今回でもいけそうだったのですが、私お馴染みストーリーがごちゃごちゃになっちゃった&早く更新しなきゃ(迫真)という 訳で、はい。
とりあえず前置きはここまでにして。

それでは今回も、のんびりしていってね!


 門から屋敷へと続く道を歩いていると、前を行く紫が足を止めた。

 すると、砂利を踏む足音がこちらに向かって来ている事に気づいた。その――赤と青のツートンカラーの――特徴的なナース帽とドレスを身につけた人物は、俺と紫の前まで来ると静かに言った。

 

「そろそろ来る頃だと思っていたわ。そちらの方は初顔合わせね」

 

 紫を見ると、永琳は名だけを言い、紫もまた名を言った。

 

「さて、立ち話も何だし中へいきましょう」

 

 

 

 屋敷の中の客間と思わしき部屋に案内されると、早速話し合いへ移る。

 

「そうね。まあ順を追って説明すると――」

 

 そして、永琳は今回の異変に至るまでを語りだした。

 

 まず、きっかけはあのウドンゲだ。

 少し前に、てゐが竹林に倒れていたウドンゲを見つけ、その後この永遠亭で保護する事となった。地上で行き場がなかったウドンゲが、永琳に泣きついたらしい。もっとも、永琳は最初から追い出す気はなかったようだが。

 兎に角、こうしてウドンゲは永遠亭にやってきた。

 ここからが本題だ。

 なんでも、玉兎は特殊な意志の疎通方法を持っていて、どんなに離れていても――厳密にどの程度までかは分からないが、少なくとも地上から月までなら――他の玉兎の考えている事が分かるらしい。会話も出来る者は出来る(ウドンゲは出来るようだ)との事。まあ一種のテレパシーみたいなものだろ。ある日ウドンゲはそのテレパシーによって、次の満月に月の民がこの地上にやって来る事を知る。ウドンゲがその旨を永琳に伝えて、今回の異変に発展したという訳だ。

 月の民が地上に来るのは、永琳と輝夜にとっては都合が悪いし――逃げ隠れしている身だし――望むところではない。そこで永琳は、秘術によって一晩だけ月の民がこちらに来られないようにした。

 つまり、永琳がかけた秘術こそ今回の“欠けた月”の正体だったという訳だ。

 そして、欠けた月の原因を探る為に俺達(異変解決者)が夜を止めた。

 

 実質的に、二つの異変が生まれるような状況になってしまったと。まあ、永夜の真相はこんな感じだ。

 

「なるほど、理解した。だけど永琳、一つ言っておきたい事がある」

 

「何かしら?」

 

「実を言うとだな、お前が秘術とやらをかけなくても月の連中はここには来られないぞ」

 

 俺の言葉に、永琳は一瞬だけぽかーんと間の抜けた顔をした。

 やった、珍しいもんが見られたぜ。

 

「どうして?」

 

 永琳の問いに、俺は簡素に答える。

 標準回答としては、この幻想郷には既に結界が張られている為、外界からの侵入は出来ないから。括弧(かっこ)、絶対ではないのと一部例外を除く。

 

「あら、そうだったの。骨折り損のくたびれ儲けね」

 

 まあそうゆうこったな。互いに謎は解けたし、無事に解決か?

 

「あなたが秘術を解いてくれさえすればね」

 

 紫が永琳を見ると、永琳は頷き、

 

「そうね、すぐに術を解除するわ」

 

 よし、もう大丈夫だ。永琳が術を解いて、俺達が止まっていた夜を元に戻せば、全ては元通り。万事解決だな。

 永琳が一旦、術を解除する為に部屋を空ける。俺と紫はすっかり脱力して、永琳の帰りを待っていた。

 

 ここまま何事もなく、無事に異変解決かと思われた直後だった。屋敷の門辺りから爆発音が届いた。何事かと思ったが、音はそれっきりだった。

 門ではウドンゲが見張りをしている。誰かがここまで来て交戦したのか。一体誰が……何て大体想像つくな。

 ふと気になり紫の方を見ると、大して慌てもせずくつろいでいた。紫は俺の言わんとすることを見通して口を開いた。

 

「成るように成るわ。きっと大丈夫よ」

 

「まあ、せやな」

 

 俺も何だか疲れたし、後は任せた。頑張れ誰か。応援してるぞ。

 圧倒的他力本願! だがこれで良い!

 そして、俺は畳に寝転び、ほとぼりが冷めるのを待つ事にした。

 

 

 

「あー、特に手がかりは見つからないな」

 

「そうね、闇雲に探しても見つからないようになってるんでしょ。迷いの竹林って言うくらいだし」

 

 私とアリスは広大な夜の竹林を、ただひたすらに歩き回っていた。時々空を見上げると、やはり欠けた月が寸分たりとも動かずそこに居座っているのが見えた。

 竹林で捜索を始めて数十分もしくは一時間程だろうか。目新しい発見はない。

 それに、私の疲労もピークに達している。昨日の今日でこれだからな。勘弁して欲しいぜ、全く。

 何よりも、時間が余り残されてはいない。この異変は、何としても夜の間に解決しなくてはならない筈だ。

 アリスの言うように、この状況は妖怪にとっては死活問題だし、寝て起きても夜のままだったら人里がパニックになる。だから、この異変は何とか夜明け前に解決しなければならないのだ。

 異変現象が解消されていないところを見ると、霊夢達も手詰まりのようだし、私達がやるしかないぜ!

 

「……待って魔理沙」

 

 不意にアリスが歩みを止めた。その目線は正面に広がる淡い夜闇を見つめていた。一体どうしたのかと思っていると、私にもやっと理由が分かった。

 誰か近づいて来る気配。かなり速い、走ってるのか。

 私の手が自然と八卦炉にのびる。

 そして、

 

「来るわよ!」

 

 闇に紛れた黒い影が、こちらに向かって走って来るのがついに見えた。

 

「おい、そこのお前! 止まれ! 撃つと動く!」

 

「魔理沙、それを言うなら動くと撃つよ」

 

 あれ、そうだっけ? まあそんなんどうでも良い!

 せっかくの警告を無視したこと、後悔しても遅いぜ!

 

 くらえ! 恋符「マスタースパーク!」

 

 八卦炉から七色の光が、人影目掛けて飛び出す。だが、飛んで躱され、七色の光は標的に当たることなく竹林の彼方へ消えていった。

 

 そして今度は、空中の影から弾幕が繰り出される。赤い光が束になって降りかかるも、被弾はしない。

 

 影が着地し、私と向き合う形となる。そこで丁度月明かりによって、そいつの正体が明かされた。

 弾幕の感じから薄々分かってはいたが。

 

「こんなところで会うとはな、霊夢」

 

「退きなさい、魔理沙。私は急いでるの」

 

 私の言葉を無視して、霊夢は言った。

 

「嫌だと言ったら?」

 

「実力行使よ」

 

「良いぜ、来いよ」

 

 私は再び八卦炉を構えた。霊夢も体勢を作る。

 互いに譲る気はないらしい。

 久し振りだな、霊夢と戦うのは。

 (たぎ)る! 今度は勝たせてもらうぜ!

 

 そして、どちらともなく勝負の火蓋(ひぶた)を切って、夜の竹林は鮮やかな弾幕に彩られるのだった。

 

 

 

 




はい、お疲れ様でした。
内容は多分大丈夫だと思いますが、おかしなところがあっても私クオリティという事で流しちゃって下さい。

それでは次回も、のんびりしていってね!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第63話 夜明け

「何だこれ?」
「どうしたんだい?」
「いえ、この転生録ってやつなんですけど……」
「……嫌な事件だったね。前回更新したのが2018年1月11日、今日が2018年9月8日。約8ヶ月の間がある。まだ、投稿ペースが決まってないんだろ?」

嘘だっ!!!!
もう止めて、本当。自虐ネタとか無理でしたわ。センチメンタルですわ。

はい、どうものんびり+です。
えぇ、大変久しぶりでございます。私の事を覚えてない方の為に自己紹介すると、私はのんびり+と申します。よろしくお願いします。
それで、永夜抄なんですが、ようやく終わります。永かった……(現実時間)。
それで、久しぶりの投稿とあって、少しハイになって書いてたので、ご了承下さい。

それでは今回も、のんびりしていってね!


 竹林を縦横無尽に駆け回るは、二人の異変解決者。方や魔法使い、方や巫女。

 この、なんだか不格好だけど良き理解者であり好敵手だろう二人の対決は、より苛烈を極めてきていた。

 

 そんな二人の決闘を遠巻きに見ながら、私も後を追って竹林を進む。

 色鮮やかな弾幕に、月明かりに照らされる竹林は、なんだかとても幻想的で、こんな時でなければもっとのんびり眺められたのにな、と少し残念に思っていると、私はそれを見付けた。

 それとは、屋敷。古い作りのようで趣がある、シンプルな屋敷だった。それなのに、何故かそこだけ時間が止まっているかのように年季が感じられない。

 こんな辺鄙(へんぴ)な所に普通の人間が住んでいるとも思えない。

 

「霊夢! 魔理沙! 悪いけど続きはまた今度にして」

 

 あの屋敷に異変の主犯がいると踏んだ私は、戦闘中だった二人の間に割って入り、事情を説明した。

 

「なるほどねぇ。よっしゃ、さっさと異変解決しようぜ!」」

 

「私は主犯をぶっ飛ば……じゃなくて退治出来れば良いわ」

 

 二人共、異変解決に闘志を燃やしたところで、私達は先程の場所まで戻って来ていた。

 

「あの屋敷か」

 

「古い日本家屋って感じね」

 

 屋敷に向かって歩き出す二人に続いて、私も周囲を警戒しつつ歩を進める。

 

 屋敷の門前。そこには、固く閉ざされた門を守る番兵(ばんぺい)のように、一人の――兎を連想させる――少女が静かに佇んでいた。

 

「この屋敷に用があるのなら、今はお引き取りを。また日を改めておいで下さい」

 

 門前の少女は私達を見てキッパリと言い放つ。

 だが、当然この異変解決者達には無意味な頼みで。

 

「あー? 日を改めてだぁ? 何寝言抜かしてんだ、私達はまさに「今」用があるんだぜ。通さないってんなら、無理にでも通してもらうぜ」

 

 八卦炉を取り出すと、魔理沙は不敵に微笑んだ。

 そんな魔理沙に次いで、霊夢も札を数枚手に取る。

 

「あんたに今ある選択肢は二つよ。大人しく門を開けて退治されるか、面倒な事に門を守ろうとして退治されるか。私としては最初の選択をオススメするわ。抵抗されるだけ手間が増えるもの」

 

「えぇ……、どっちみち退治されるんですね……。ですが、師匠からこの門を任せられた者として、ここを譲る訳には――」

 

「恋符『マスタースパーク』!」

 

 門番の台詞を遮って、魔理沙が叫んだ。 

 七色の光。轟音と衝撃。

 門の通行券を賭けた戦いは、開始の合図すらなく決着した。

 

「よ〜し、行こうぜ。霊夢、アリス」

 

「魔理沙あんた、中々にえげつない事するわね」

 

「ん〜? そうか?」

 

 無自覚なのがまた恐ろしいと、私は思った。

 

 そして、魔理沙によって無残にも木っ端微塵になってしまった門を潜ると、予想していた通り大きな庭が広がっていた。屋敷まで続いている石畳の道、一面に敷き詰められた五色砂利、小さいながら池と架け橋もある。

 

「ほぉ、立派なもんじゃないか。この屋敷がこの外観を保っていられるのも残り僅かか」

 

 石畳の上を歩きながら、魔理沙があくまで残念そうに言った。荒らす気満々ね、白々しい。

 

「待っていたわ、異変解決者!」

 

 玄関に近づいて来た時、不意に戸が開いた。

 そこにいたのは、長い黒髪に桜色の着物を着た一人の少女であった。

 

 

 

 私が廊下を歩いている時、ある部屋から漏れてきた話し声が気になり歩を止めた。

 ちょっとした興味で聞き耳を立てると、どうやら今起きている異変についての話らしい。

 私達が月を隠し、異変に気付いた解決者が夜を止めた。というあらましだけど。

 しかし、この異変、そもそも私達が月を隠す必要がなく、その為解決者が夜を止める必要がない。つまり、起こらなくて良い不毛な異変だったのだ。

 丁度今、永琳が術を解除して月を元に戻すらしい。そうなれば当然、残りの異変は止まった夜だけになるが……あら不思議! その異変を起こしているのは異変解決者じゃありませんか!

 このネタは看過できないと、私は思う。

 最近かなり退屈してたし、丁度良い。憐れな異変解決者には、私の暇潰しの相手になって貰おうかしらね!

 

 私は永琳に気付かれないように、こっそりと玄関前まで来た。

 ここで私の遊び相手を待ち伏せてやろうと思ったからだ。

 さあ、来なさい!

 直後、爆音が外から鳴り響く。

 ……随分と派手な登場じゃないの。良いわ、そう来なくっちゃ! さぁ、私を楽しませて頂戴!

 

「ほぉ、……か。この……いられるのも……僅かか」

 

 次第に、話し声がこちらに向かって来る。

 そして、満を持して、私は玄関の戸を開け放った。

 

「待っていたわ! 異変解決者!」

 

 

 

 

 永遠亭のとある一室。そこには、輝夜を始めとした永遠亭の住人達、琥珀を始めとした異変解決者達がそれぞれ集っていた。

 

「ようこそ異変解決者! あなた達がここに集められた理由は明白だけど、一応私の方から説明を補足するわ」

 

 いや、全然明白じゃないんだけど。そう思った解決者一行だが、口を挟むと面倒そうなので黙って話を聞く。

 

「そう、あなた達には今から、私とゲーム勝負をしてもらうわ!」

 

「ゲーム勝負……?」

 

 やっぱりか、輝夜様らしいわ。永遠亭の住人達はそう思った。別にいつもの事だし、私達が口を挟む必要もないか。そう考えた住人達は、テーブルを囲んでお茶とお煎餅でひと休みしていた。

 

「ルールは簡単よ。あなた達が勝てば、私の能力で夜を飛ばして本来の時間に戻す。負けたら、この屋敷の掃除と壊した門の修理をしてもらうわ!」

 

 この時、霊夢とアリスは「正直面倒だな」と思っていた訳だが、一人乗り気な者もいた。

 

「へっ、上等じゃねぇか!」

 

 声を上げたのは魔理沙だ。自信ありげな笑みを浮かべ立ち上がると、輝夜の元まで近づく。

 

「私がやる。一瞬で終わらせてやるよ」

 

「あら、それは楽しみね。一瞬で終わるように頑張って頂戴」

 

 二人は無言で火花を散らしながら、テレビの前へと座り込み、コントローラーを手にした。テレビ画面には、『キャラクターを選択して下さい』という文字と共に、様々な個性的キャラが待機している。

 

 魔理沙はタンクトップの大柄な筋肉質の男、輝夜はゴスロリ姿の少女を選択した。

 

「ふっ、始まる前から結果が見えてくるぜ」

 

「そうね、私にもハッキリと見えるわ。……あなたの敗北という未来がね!」

 

 正直言ってかなり臭い二人の宣戦布告が行われ、ヒートアップする第一戦。

 ステージも市街地に決まり、プレイヤーもキャラクターもゲーム開始を待つのみとなった。

 そして、ついに戦いが始まる。

 画面には『FIGHT!』という表示が現れ、ゴングの音が鳴った。

 

「オラオラオラオラオラァ!」

 

 先に仕掛けたのは魔理沙だった。行動可能となった瞬間、凄まじい速度で弱攻撃ボタンを連打する。

 

「ふふ、読みやすい手だこと」

 

 しかし、輝夜は別段焦る事なく、まるで予知していたかの様に安安とガード。

 そこから、相手のコンボが途切れたほんの瞬刻の合間に、ジャンプをして攻撃を回避し、背後に回る。

 

「本当のコンボってやつを魅せてあげるわ!」

 

 カチカチカチ! 輝夜の右親指が踊る様にコントローラーの上を舞った。

 弱攻撃、強攻撃、必殺技を綺麗に組み込んだコンボが炸裂する。

 ゴスロリの少女の回し蹴りによって、タンクトップの大柄な男はビルの壁にめり込んだ。

 

「危なかったわ、コンボ切らないと倒しちゃうところだった。まだ始まったばかりなんだから、少しは楽しませて頂戴ね」

 

「クッ……! 今に見てやがれ!」

 

 歯ぎしりしながら、魔理沙は画面を睨みつける。

 ……強い! 魔理沙は内心、かなりの危機感を抱いていた。

 今のコンボ、マジでわざと切りやがった。あのまま続けていたら、今頃は『LOSER』の表示と共に私は地に這いつくばっていただろう。

 ……面白れぇ! 絶対に勝ってやる!

 

 輝夜は、今ので魔理沙は戦意を喪失したと思っていた。それは仕方ない、むしろ当然とも言えた。確かに、普通の者ならば、もうゲームを投げていたかも知れない。

 ――しかし、魔理沙は違った。

 逆だった。魔理沙の闘志は衰えるどころかその激しさを増していた。

 

「ほらほら、さっさと掛かって来なさい。また返り討ちにしてあげるわ」

 

「へっ、抜かしやがれ!」

 

 魔理沙はキャラを操作し、壁から脱出させる。そして、またまた輝夜に向かって行ったと思えば、二段ジャンプで通り抜け、路地裏へと消えて行った。

 

「なっ……⁉」

 

「ふん、いくら私でもそんな馬鹿正直にいかないぜ」

 

 え、いつもいってるじゃん。

 魔理沙の背後でゲームを見守る少女二人と青年一人はそう思ったが、口には出さなかった。

 

 魔理沙は輝夜から離れたところで、次の作戦を考えた。

 このまま真正面からぶつかっても、輝夜には勝てない。うまく不意を突く必要がある。

 パワーはこちらの方が上。上手くこちらの攻撃を当てられれば、勝算はある……!

 幸い、ここは物陰が多い。身を隠すにはもってこいだ。ならば、待てば良い。

 奴が来るのを待つ。それで良い。それがベストだ。

 ふっふっふ、覚悟するんだな輝夜よ。年貢の納め時だぜ!

 

 ――なんて、考えてるんでしょう。どうせね。

 時を同じくして、輝夜は魔理沙の後を追って路地裏を探索していた。

 魔理沙の目的は明白、入り組んだ地形に私をおびき寄せての不意打ち。なんて単純明快なのかしら! 挑発に乗らずに作戦を立て実行したのは、まあ褒めてあげるわ。でも、甘いわね。

 流石と言うべきであろうか、輝夜は魔理沙の考えを既に把握していた。その上で、わざと相手の策に乗ったのだ。理由は簡単だ。

 自分が負ける訳がない。輝夜はそう信じて疑わなかった。

 例え不意打ちを一発もらったとしても、二発目はあり得ない。さあ、どこからでも掛かって来なさい。

 

 そして、輝夜の勘は外れた。

 確かに読み通りだった。頭上からの奇襲。反応が遅れて一発もらってしまったが、問題はない。一先ず距離を置いてから仕掛けよう。

 そう思い後退させようと操作する輝夜だが、何故か反応がない。

 

「――まさか、クリティカルヒット⁉」

 

 会心の一撃とも言えるその攻撃が及ぼすダメージは通常より高く、また、一時的に相手の動きを奪うこともある。

 輝夜が受けた攻撃は、まさにそのクリティカルヒットである。

 

「こいつはツイてる。お陰様で、デカいのお見舞い出来そうだ」

 

 空かさず溜めのモーションに入る魔理沙。

 ――不味い‼ 動け、動け、動け!

 輝夜は必死にボタンを連打するが、ゴスロリ少女は地面に片膝をついたまま動かない。

 

「ふっ、弾幕でもゲームも、やっぱり必要なのは火力だな!」

 

 そして、魔理沙の操作により繰り出される最大出力の攻撃、フルチャージパンチが炸裂。

 ゴスロリ少女は瀕死状態になり吹き飛んだ。

 

 勝った……計画通り……!

 魔理沙はほくそ笑む。これで良いのだと。

 残り時間は約三分。このゲームはタイムオーバー時点で決着が着かなかった場合、体力ゲージが少ない方が負けとなる。つまり、魔理沙は残り時間を逃げ切れば勝ちとなるのだ。

 正直逃げ切りで勝つのは微妙だが、そんなことも言ってられない。ここで調子に乗って追撃すれば打ち負かされるのは目に見えている。ならば、手段は一つ。逃げるんだよぉ〜スモーキー!

 

 そう踵を返そうとした瞬間だった。

 

「――いつから私が吹き飛ばされたと錯覚していた?」

 

 そんな声が背後から聞こえた。そして、異変に気づく。――馬鹿な、動かない⁉

 

「残像よ。私が技を使った。行動可能になった時点でね」

 

 背後から近寄る足音。

 

「正直、ギリギリだったわ。行動不能が解けるのがコンマ一秒遅かったらどうなっていたか」

 

 汗が滲む。不味い不味い不味い!

 

「身動きを封じるのは私にかかればお茶の子さいさいよ。お陰で、もうPP残ってないけど」

 

 どうする、ここで負ける訳には……!

 

「どんな気分? 例えるならそう、水の中に一分しか潜ってられない男が、限界一分目にやっと呼吸しようとした瞬間。グイィ! っと更に足を捕まえられて、水中に引きずり込まれる気分に似てるってのは……どうかしら?」

 

「くっ……!」

 

「技が解けるのに後三秒……解けたと同時に、あなたに攻撃するわ」

 

「なに?」

 

「掛かって来なさい。ガンマン風に言うなら、「抜きな。どっちが早いか勝負しようぜ」ってやつよ」

 

 ――三。

 

 ……こいつ、ふざけてんのか?

 だが、ありがたい。その慢心が命取りだぜ!

 

 ――二。

 

 大人しく今私に攻撃していれば勝敗は決したろうにな。

 このチャンス、必ずモノにする!

 

 ――一。

 

「勝った! くらえぇ!」

 

 動ける様になると同時に、魔理沙は振り向き渾身の蹴りを繰り出す。

 しかし、その蹴りは空を切り、輝夜に当たることはなかった。

 

「どうして私が待ったかわかる? 火力不足だからよ。火力不足を補う為に何が出来るか……わかるでしょ?」

 

 いつの間にか魔理沙の懐へと入り込んだ輝夜。

 

 ……そうか、こいつの狙いは最初(ハナ)から、カウンターだったのか……!

 

「無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄ァ‼」

 

 目にも止まらぬ連続ラッシュ。

 魔理沙もといタンクトップの大柄な男の体力ゲージは瞬く間に減っていき……。

 

『WINNER!』

 輝夜の画面には、勝者を示す英単語が刻まれたのだった……。

 

 

 

 

「良し、ラスト一往復だ」

 

「さっさとやりましょ。もう眠たいわ……」

 

 霊夢、アリスと共に、濡らした雑巾で廊下を駆ける。

 

 結局、ゲーム勝負の末に私達は全敗。約束通り、掃除と修理を請け負う事になってしまった。

 

「良し、これで全部だな」

 

 もう疲れた。足腰にもかなり疲労が溜まっている。

 

「あら、終わったの? じゃあ次は門の修理ね。よろしく〜」

 

 ひょっこりと顔を出した輝夜は、そう言って手をひらひらさせながら部屋へ戻って行く。

 ……くそ! もう帰りたいのに。

 悔しい……! 悔しい……‼ 悔しい……!!!!

 

「私だって帰りたいわよ。ほら、早くしましょう」

 

「あぁ……そうだな」

 

 アリスに背を押され、渋々と移動を始める。

 外へ出ると、空はうっすらと明るさを帯び始めていた。

 勝負には負けたが、どうやら楽しませて貰った礼として輝夜の能力で時間を進めてくれたらしい。

 

「お、来たな。安心しろ、あの黒焦げた門だったらしき何かは、俺が元の状態に戻しておいた」

 

 門前には、琥珀が工具箱を片手に既に待機していた。

 

「ありがとう。じゃあ、そのまま頑張ってね」

 

「え、ちょっと待った霊夢さん。何でめちゃくちゃ自然に帰ろうとしてんの。何その仕事の進み具合確認して「じゃ、お先に」って帰ろうとする上司みたいなノリ」

 

「琥珀、あまりうるさくしないの。全くもう」

 

「え、ちょっと待ってよアリスさん。何でお前まで自然な感じで帰ろうとしてんの。何その「全く、この子ったら手がかかるわね」って微笑みながら手を繋ぐスーパーの帰り道みたいなノリ」

 

 琥珀達の騒がしい談笑を聞きながら、私も門前まで向かう。

 

 やれやれ、とんだ一夜だったな。今日はゆっくり休みたいものだぜ。

 とりあえず、家に帰ったら茸スープ飲んで寝よう。そうしよう。

 

 そんな事を考え、ふともう一度空を見る。

 空に座り込んだかの様な月はもういないし、空の色も黒から青へと染まっていく。

 竹林が風に揺れる。竹と竹の間からは、少し眩しい朝日が私達を照らしている。

 

 

 ――夜が明けた。

 

 




はい、お疲れ様でした。
結構強引に終わらせにかかりました(笑)。いや本当許して下さいこれでも頑張りました。
霊夢とアリスのゲーム対決は書く余裕がなかったので割愛。
輝夜とゲーム対決という流れは決めてました。だいぶ手こずりましたが、永夜抄終わりました〜!
次回からどうするか、悩んでます。本当はもっと投稿する予定だったんですけどね(笑)!笑い事じゃないですすみません。
なんとか早く投稿したいです。頑張ります。

それでは次回も、のんびりしていってね!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第11章 忘却の彼方編〜シークレット・メモリー〜
第9回キャラ紹介


はい、どうものんびり+です。
結構早めに投稿出来た気がします、嬉しい。
今回はいつも通り、キャラ紹介からの茶番です。
というか、ぶっちゃけタイトルはキャラ紹介ですけどメインは茶番になっている気がします(笑)。まあ、別に良いんですけどね!

それでは今回も、のんびりしていってね!



 名前・ミスティア・ローレライ

 

 種族・夜雀

 

 能力・歌で人を狂わす程度の能力

 後、人間を鳥目にする事も出来るらしい。

 

 好きなもの・Jポップ、ロック

 

 

 名前・リグル・ナイトバグ

 

 種族・妖怪(妖蟲)

 

 能力・蟲を操る程度の能力

 

 好きなもの・ホタル

 

 

 

 名前・鈴仙・優曇華院・イナバ

 

 種族・妖獣(玉兎)

 

 能力・狂気を操る程度の能力

 

 好きなもの・人参ステーキ

 

 

 

 はい、キャラ紹介は以上てす。

 やはり、物語が進むにつれて登場キャラが増えて紹介するキャラも少なくなってきましたね。まあ、まだまだ出てないキャラもたくさんいるんですけどね(笑)。

 

 では、いつも通りに茶番回です!

 今回は、二周年記念&お気に入り350件突破記念茶という事で、数話の茶番になります。

 それでは今回も、のんびりしていってね!

 

 

 

『雨宮琥珀の喪失』

 

 

 

 ある日の昼下り。

 私はいつもの通りに、暑い中、境内の掃除をこなしていた。

 

「おぉ、霊夢。お疲れ〜」

 

 と、そこに何とも気楽な調子の琥珀が歩いて来た。

 ……殴りたい、その笑顔。

 

「え? 何か今殺気感じたんだけど……」

 

「気のせいでしょ。私は別に「人が暑い中掃除してんのに、呑気にくつろぎやがって」何て思ってないわよ」

 

「そうかそうか、すまんな。霊夢が掃除してる間に縁側でかき氷食べて。いや、悪いなぁ」

 

 とりあえず、ムカついたから琥珀の鳩尾(みぞおち)に握り拳をぶち込んでおいた。

 悶絶する琥珀をよそに、掃除の続きに取り掛かる。

 

「で、あんたはわざわざ私に殴られる為に来た訳?」

 

 竹箒を動かしながらの私の質問に、琥珀は立ち上がって言う。

 

「いや、ちょっと人里に用があってな。少し出掛けて来るわ」

 

 そう言い残して、琥珀は階段を降り始めた。が、その直後。

 

「――あっ、ヤベ」

 

 何やらリアルガチでヤバそうな声と共に、琥珀が視界から消える。

 

「ちょっと、どうしたの?」

 

 駆け寄ってみると、階段のかなり下側に横たわる琥珀を発見した。どうやら足を踏み外した様だ。

 あーぁ、全く本当にドジ何だから。まあ、かき氷の天罰よ。

 

「もう、大丈夫? しっかりしてよね」

 

 琥珀のいる所まで降りるが、いつまで経っても微動だにしない。

 

「ねえ、どうしたの? 用があるんじゃないの」

 

 どうせ、そうやって動かないふりで私を心配させて驚かせたいだけでしょ。あんたの手口なんてバレバレよ。

 私の問い掛けにも答えず、琥珀はうつ伏せになったままだ。

 

「……だったら、いつまでもそうして寝てれば。私は掃除があるの」

 

 そう告げて、私は階段を(のぼ)り始める。

 しばらく上ってから振り向いて見るが、琥珀が動いた様子はない。

 

 おかしいわね……。いつもなら「わぁー、待ってくれ! 霊夢、そんな冷たくしないでくれよ〜!」とか言って追いかけて来そうなものだけど。

 ……ハァ、本当に面倒なんだから。

 仕方がないと、私はもう一度琥珀の元まで戻る。

 

「ほら、いつまでその体勢でいるつもり? 肩貸してあげるから、さっさと起きなさいよ」

 

 多少強引に、琥珀の腕を掴んで私の肩に回す。だが、琥珀はぐったりとしたまま起き上がる気配はない。

 

「ねぇ、演技なんでしょ? 疲れるから早く自分で立ってよね」

 

 そうだ、演技に決まっている。こういう演技だけは無駄に上手いんだから。

 

「琥珀! あんた聞いてんの?」

 

「……うぅ……あれ?」

 

 すると、ようやく琥珀が立ち上がった。

 良かった、やっぱり無事だった。

 ……って、別に心配なんてしないけどね。肩だってわざわざ貸してやったのに、もう自分でさっさと起きなさいな!

 私は琥珀から離れる為、階段を三段上がってから声を掛けた。

 

「やっと満足した? 全く、それじゃあ私は掃除に戻るから、あんたもさっさと――」

 

「あの、すみません」

 

 突如、私の話を遮って琥珀が声を上げた。

 そして――

 

「あなたは僕の事をご存知なんですか? なら教えて下さい、僕は誰なんでしょうか? あなたと僕は、知り合いなんですか?」

 

「…………はぁ!?」

 

 琥珀は私に、そんな意味不明な質問を投げかけたのだった。

 

 

 

 




はい、どうもお疲れ様でした。
一回やってみたかったんですよ、この茶番。
一体、琥珀はどうしてしまったのでしょうか!?
次回へ続く!

それでは次回も、のんびりしていってね!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

雨宮琥珀の喪失②

はい、どうものんびり+です!
書いてるとノッてきちゃって、前後編で終わらせるのは無理だと判断しました(笑)。
後何話続くか分かりませんが、頑張りますので!
今回は視点変更が多いかも知れません、ご了承下さい。

それでは今回も、のんびりしていってね!


 

 声が聞こえた。

 真っ暗な視界に光が射し込んだかの様に、僕は目覚めた。

 少しだけ頭が痛い。

 起き上がろうと手を付くと、石の手触り。何故と思うより先に、熱で反射的に手を引っ込める。この強い日射しに長時間晒されていたのだろう、熱いのも当然だ。でも、どうして僕は外に?

 顔を上げると、自分が今いる所が分かった。石段だ。何故だか僕は、石段の上で寝ていた? そこまで考えて、僕の思考は止まった。

 ……待て。もっと大事なものがあるだろう。何故僕がこんな所で寝ていたのかなんてこの際どうでも良い。

 僕は誰だ? どうしてだ、何で自分の名前も分からないんだ。自分がどんな人間なのか、全く思い出せない。僕は誰で、ここはどこで、僕は……。

 

「やっと満足した?」

 

 驚いて振り返る。

 そこには、紅白の巫女服と思われるものを身に着けた、一人の少女の姿があった。

 年は僕と同じくらいだろうか。脇とへそが丸見えな衣装はどうかと思うが、不覚にも見惚れそうになってしまう。こんな状況だと言うのに。

 気を取り直そう。

 彼女の口ぶりからして、初対面という感じではなかった。少なくとも、僕と彼女は知り合いと見て良い。しかし、僕は彼女と会った事がない。

 彼女の顔も名前も知らない……それどころか自分の名前も知らないのだけれど。

 そうだ、それならば彼女に聞くしかない。恐らく、彼女は僕を知っているのだ。なら、聞くしかない。

 

「全く、それじゃあ私は掃除に戻るから、あんたもさっさと――」

 

「あの、すみません」

 

 一拍置いて、質問をまとめる。

 

「あなたは僕の事をご存知なんですか? なら教えて下さい、僕は誰なんでしょうか? あなたと僕は、知り合いなんですか?」

 

 僕が聞くと、彼女は眉をひそめ、不満を隠しもせずにぶつけてきた。

 

「…………はぁ!? あんた何言ってんの、そうやっていつも変なイタズラして、流石に怒るわよ?」

 

 もう怒ってるじゃありませんか、とは今の彼女には言えなかった。今にも襲いかかりそうな睨み具合に、僕はたじろいでしまう。

 

「いえ、イタズラではありませんが……」

 

「その喋り方は何よ。どうせ敬語にすれば騙せるとかいう浅はかな考えでしょ」

 

 彼女が言う騙すとかイタズラとかは何なのだろうか。彼女は何か勘違いしてる気がする。それとも、僕は彼女を騙す様な行いをしてしまったのだろうか。とにかく弁解せねば。

 

「いえ、初対面の方に崩した喋り方は出来ません。あなたの方が年上かも知れませんし――」

 

 僕が言った途端、彼女の右ストレートが僕の頬を(かす)めた。

 

「次は当てるわよ」

 

「……すみませんでした」

 

 年の話がまずかったのだろうか。年上に見られて怒ったのだろうか。だとすれば悪い事をした。女の子はデリケートなのだ、気を付けよう。

 彼女の方はというと、顎に手を当て思案にふけっているようだった。

 すると、突然、想像だにしない事が起こった。

 何と、急に空中に裂け目が出来たかと思えば、そこから金髪でフリルのついたドレスの様な服を着た綺麗な女性が顔を覗かせたのだ。何を言っているのか分からないと思うが、僕も何が起きたのか分からなかった。

 そして、僕が茫然自失としている間に、彼女(巫女さん)と僕はその裂け目へと吸い込まれてしまったのだった……。

 

 

 

 

* * *

 

 

 

 

 

「これは頭部外傷による一時的な記憶障害、分かりやすく言うのなら記憶喪失ね」

 

 迷いの竹林の奥地、普通の人間ならばまず近寄ろうとしない……もとい近寄れない所にある屋敷。ある一件以来、永遠の術を解き、外部と関わり合う様になった永遠亭に、霊夢と琥珀は訪れていた。

 

 

 

 

 

* * *

 

 

 

 

 

 一時間程前の博霊神社。

 突然起こった事故と、それによる琥珀の異変。

 

「僕は誰なんでしょうか?」

 

 私は困惑した。

 最初こそは冗談だと思っていた。突然、自分が誰か分からない、私の事も覚えてない、なんだなんて。イタズラ好きドッキリ好きの琥珀の事だから、どうせまたその(たぐい)だろうと。

 しかし、様子がおかしい。

 持ち前の鋭い勘が働く。

 今の琥珀は、私が知る琥珀ではなく、明らかに別人なのだと。

 ……仮に、だ。仮に、もしかしたら、万が一にも、琥珀が本当に何もかもを忘れてしまったとしたら。

 正直言って、かなり危機的な状況だ。何がマズイって、色々あってパッとは出てこないけれど、日常生活は当然として果ては幻想郷の危機と言っても過言ではない……かも知れないのだ!

 情報管理や治安維持をはじめ、琥珀は間違いなく重役。

 一刻も早く手を打たなければ……! でも、どうしたら? こういうのに詳しい人って誰かいたかしら……。そうだ、まずは紫に――!

 

「霊夢、状況は把握したわ! さぁ、早く行くわよ!」

 

 突如として空中に現れたスキマから、珍しく慌てた様子の紫が私の腕を掴んだ。

 

「わぁっ!? って紫! あんた、行くってどこに?」

 

 ドンピシャのタイミングで現れた紫に感謝しつつ聞く。

 

「この間行った屋敷に、医術の心得がある人がいるでしょ」

 

 問答してる合間に、私と目を点にして紫を見る琥珀はスキマへと吸い込まれ、紫の言う屋敷へと連れて行かれたのだった。

 

 

 

 そして現在、永遠亭のある一室にて、琥珀の現在の状況を説明した私は、永琳の返答に凍りついた。

 琥珀が、記憶喪失? ドッキリじゃなくて、本当に!?

 正直、心のどこかではまだ琥珀が演技をしているのではないかと思っていた。しかし、永琳の言葉を聞いて、私は認めざるを得なかった。琥珀の今の状態は演技でもなんでもなく、真実なのだと。

 

「まさか、琥珀がこんな事になるなんてね。想像だにしてなかったわ。世の中、なんでもあり得るものね」

 

 診断結果を下した永琳自身も、かなり驚いているのが分かった。

 まあ、驚くのも無理ないと言うか、琥珀を知る人なら当然と言うか。鬼の正拳突き喰らってもピンピンしてる様な奴が、階段を滑り落ちて記憶喪失って。笑い話にもならないわ。少なくとも今は。

 

「でも! どうせすぐ治るんでしょ?」

 

 その言葉には、治るに決まっていると言う根拠がない確信と、更に言えば治って欲しいと言う願望めいたものが含まれていた。

 

「それは分からないわ」

 

 しかし、永琳はキッパリと言い放つ。

 

「確かに、すぐに治る可能性もあるわ。でも逆に、いつまで経っても治らない可能性もある。不安定なのよ、記憶障害ってのは」

 

「それじゃあ、二度と治らないかも知れないって訳!?」

 

 つい動揺してしまうも、それを(なだ)めて永琳は説明を続けた。

 

「いいえ、記憶が戻る事に関しては私が保証するわ。最悪、記憶を元に戻す薬でも作れば良いもの」

 

「そんな薬あるの?」

 

「私を誰だと思っているのよ、無ければ作れば良い。それだけよ」

 

 何だか頼もしい永琳の言葉に胸を撫で下ろす。

 良かった、治るのね。

 

「ただ、今日から薬を作り始めても多く見積もって一月は掛かるわ」

 

「結構掛かるのね」

 

「えぇ。だから、それまではそっちで何とかして頂戴。記憶が戻るキッカケがあれば、琥珀も何か思い出すかも知れないわ。色々試してみたら? それで治れば万々歳。治らなければ、一月後にまた来なさい」

 

 そして、永琳にお礼を言うと、私と琥珀は部屋を後にした。

 

 

 

 

* * *

 

 

 

 

 

「なるほどね……おおよその事は分かったわ。けど、一月は少し長いわね」

 

 外で待っていた紫に事情を説明してる内に、霊夢達は再び博霊神社へと帰って来た。

 

「記憶が戻るキッカケがあれば、何か思い出すかもって。永琳が言ってたわ」

 

 薬が出来るまでの合間に、試せる事はやっておきたい。

 でも、一体何をすれば……。

 

「あ、あの……」

 

 その時、ずっと黙って話を聞いていた琥珀が口を開いた。

 

「霊夢さんに紫さん、僕の為に何だか色々考えて下さっている様で、本当にありがとうございます」

 

 そう言うと、琥珀はペコリと頭を下げた。

 そんな琥珀を見た霊夢と紫は、呆然と互いに顔を見合わせて、自分達が知っている琥珀と今の琥珀との違和感に戸惑う。

 

「別に、大した事してないわよ。そんなに(かしこ)まらなくても……」

 

「いえ! そんな事ありません! あなた方がいてくれてとても心強いです」

 

 自分が何者か、ここはどこか、何もかもが分からない事尽くしの琥珀にとって、霊夢と紫は自分が今頼る事の出来る唯一の人物なのだ。

 二人が自分の為に頑張ってくれているなのに、当の本人が任せっきりなのは羞恥の極み!

 

「すみません、良ければですが、僕に幻想郷を案内して頂けませんか? どこがどこやらさっぱりなんです。それに、どこかに記憶を呼び覚ますヒントがあるかも知れません」

 

 自分なりに現在の状況を踏まえて、今一番して欲しいと思った事を提案した。

 

「……じゃあ、霊夢。案内役はあなたに任せたわ。私は少し用があるから、ここら辺でお(いとま)するわね」

 

 紫はウィンクをしてスキマの中へと消えて行った。

 

「えっと、では霊夢さん。よろしくお願いします」

 

 霊夢に向き直り、琥珀が爽やかな笑顔でお辞儀をする。

 

「良いわよ別に。……よろしくね」

 

 霊夢は蒸気した顔を隠す様にそっぽを向いて、無愛想に呟くのだった。

 

 

 




はい、どうもお疲れ様でした!
記憶喪失物って結構鉄板ですよね。
どう書けば良いか、まだ纏まってないけど、ノリと勢いでやってきたのが私です! 私が信じる、私を信じろぉぉぉ!!

それでは次回も、のんびりしていってね!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

雨宮琥珀の喪失③

はい、どうものんびり+です。
少しばかり投稿が遅れてしまいました。
前よりかはマシなので許して下さい(真顔)。
いつまで続くか分からないこの茶番ですが、どうか最後までお付き合い下さいね(笑)。 
多分⑤以上は続くと思います。章も作っちゃいました(テヘペロ)。
()が鬱陶しいと思った方、すみませんでした(泣)。
それでは今回も、のんびりしていってね!


 僕の提案を快く受け入れてくれた霊夢さんが、咳払いを一つする。

 

「この際だから、きちんと自己紹介して上げるわ」

 

「ありがとうございます」

 

 僕がお礼を言うと、霊夢さんは「ふん」と鼻を鳴らして言った。

 

「……改めて、博麗霊夢よ。博麗の巫女をやっているわ。ここは博麗神社と言って、この幻想郷ではかなり重要な所でもあるの」

 

「博麗の巫女……幻想郷……」

 

 印象的な単語が無意識に反芻(はんすう)される。

 先程、紫さんと霊夢さんからおおよその事は教えて貰っていた。

 ここは幻想郷と言う、人間や妖怪や神が共存する場所なのだと。そして、僕は雨宮琥珀と言う人間で、この幻想郷の管理者の一人であり、博麗神社の神主なのだと。

 他にも、この世界の大体の事情は聞いている。……だけど、正直な所、理解が追い付いていない。

 記憶を失っただけでも混乱しているのに、いきなりそんな非現実的な世界の話をされて、誰が信じようか。少なくとも僕にはまだ、頭の中を整理する時間が必要だった。

 

「さて、それじゃあ行くわよ」

 

「あ、はい。よろしくお願いします」

 

 階段を降り始める霊夢さんに続いて、僕は歩を踏み出した。

 

 最初に案内してくれる場所は人里と言うらしい。

 その道中で、霊夢さんが説明半分暇潰し半分で、僕に人里の話を教えてくれた。

 

「そうね、後はあんた行きつけの団子屋にも連れてってあげるわ。あの団子さえあれば、あんたは私に従順だったのよ」

 

「そ、そんなに美味しいお団子なんですか」

 

「そう言えば、あんたは今日、人里に用があるって出掛けようとしてたわ。その時にドジ踏んだのよ」

 

「そうなんですか? 何用だったんでしょう……」

 

 そうこうしている内に、目的地に着いた様だ。

 瓦屋根の家がたくさん並んだ住宅地、甘味処や食事処、客を呼び込む商人の声、人が賑わう大通り……。まるで商店街の様だ。

 夏の午後の日差しとごった返す人達から発せられる熱気に、軽く汗が滲んだ。

 

「何立ち止まってるんの、早く行くわよ」

 

 霊夢さんの後に続き、人垣の間を縫って大通りを進んでいく。

 

「お、琥珀のあんちゃんじゃねぇの! どうよ、昼飯まだなら寄ってきな!」

 

「おぉい、琥珀の坊主! 団子どうだ、新作あるぞー!」

 

「琥珀の旦那、たまにはこっちにも顔見せてくれよー!」

 

 

 途中、たくさんの人に声を掛けられた。

 当然だが、誰一人として僕は知らない。曖昧にお茶を濁すしかなかった。

 それにしても、僕(雨宮琥珀)は随分と人望がある様だ。霊夢さん曰くそれなりに顔も広いらしいし。僕は一体、どういう人間だったのだろうか……。

 霊夢さんは僕(雨宮琥珀)の事を、「ちゃらんぽらんで年中お団子ばかり食べている変人」と評していたけど……。尊大な肩書きと人物像が全く以て合致しない。

 

「ちょっと、あんた! 何ボーっとしてんのよ、(はぐ)れるわよ」

 

「あっ、すみません!」

 

 いつの間にか人混みの先へと行ってしまった霊夢さんへ追い付こうと、歩みを速める。すると、すれ違った通行人と衝突してしまった。

 

「っ痛ぇな……!」

 

「すみません! 大丈夫ですか?」

 

 尻もちを付いた通行人に手を差し出すが、すぐに叩かれてしまった。

 

「てめぇどこ見て歩いてんだよオラァ!?」

 

 胸倉を掴まれる。

 少し驚いたけど、冷静に謝罪した。

 

「僕の不注意でした、すみません」

 

「んだとオラァ!? 謝れば済むとでも思ってんのかァ!?」

 

 僕の言葉は彼には届かない様で、矢継ぎ早に文句が浴びせられる。

 周りの人達も異変に気付いた様で、軽い人だかりが出来てしまっている。

 マズい、悪目立ちしてしまっているではないか……!

 霊夢さんも見失ってしまったし、一体どうすれば。

 

「人の話聞いてんのかよオラァ⁉」

 

 再び目の前の彼に意識が戻る。

 どうしよう……。この人は、言ったら悪いがかなり面倒な人そうだし、しばらく離してもらえそうにない。僕の不注意が招いた結果とは言え、とても付き合ってはいられない。少し強引かも知れないけど、やむなし。

 

「あの、もう離して下さい。これ以上やるとあなたの方が加害者になりますよ」

 

 そう言って、僕は胸倉を掴んでいた彼の手を振りほどく。

 

「……あ? 何開き直ってんだよテメェオラァ⁉」

 

 どうやら僕の行動が彼の逆鱗に触れてしまったらしい。最早、何を言っているのか聞き取れない。辛うじて彼の語尾であろう「オラァ」だけは聞き取れた。

 

「テメェ……俺の事を舐めてんだろ? そんな礼儀知らずのガキによぉ……俺が世間の厳しさを、教えてやるぜオラァー!!」

 

「――!?」

 

 直後、彼は大きく振りかぶった右腕を僕目掛けて打ち込んできた。

 咄嗟の事に、僕は反射的に目を瞑ってしまう。

 しかし、僕を襲う痛みはない。

 どうしたんだと目を開けて見れば、いつの間にか駆け付けていた霊夢さんが、彼の拳を間一髪で受け止めていた。

 

「全く、何やってんのよあんたは……」

 

 呆れた様に僕を見る霊夢さんだったが、とても頼もしく思えた。「すみません、助かりました」とお礼を告げる。

 

「んだぁ、この女!? 離しやがれオラァ!」

 

 彼がまた声を荒げるが、霊夢さんを見た途端に黙り込んでしまった。どうしたんだろう、まるで蛇に睨まれた蛙のような雰囲気だ……。

 

「まだ暴れ足りないなら、相手するけど」

 

 霊夢さんが声のトーンを落として言った。

 僕に向けられた言葉ではないのに、悪寒が走った。さっき彼が蛙になった理由が分かった気がする。

 

「いや、もう良い! 悪かったな」

 

 彼は青ざめた顔色に引き攣った笑みを浮かべ、そそくさと去って行ってしまった。

 

「はぁ、あんまり面倒な事は起こさないでくれる?」

 

 こちらを振り返った霊夢さんが、ジットリとした目で訴えた。

 

「すみませんでした……」

 

 僕が謝ると、霊夢さんは気にした風もなく歩き出した。

 

「もう良いわ。ほら、さっさとしなさいな」

 

「あっ、はい!」

 

 霊夢さんの隣まで行って、僕は何気なく霊夢さんの手を取った。

 

「――は!? ちょ、なに?」

 

「いえ、また逸れてしまわないように手を繋いでみました。……嫌でしたか?」

 

「……別に、好きにすれば」

 

 霊夢さんの表情は顔を背けてしまっていて分からない。けれど、照れ臭そうに言う霊夢さんを見て、僕は平静を保つのに精一杯だった。

 次第に大きく、速くなっていく心臓の鼓動が、霊夢さんにも聞こえていないか心配だった。蝉の声が甲高く鳴り響いた。きっと大丈夫な筈だ、と思った。

 

 




はい、お疲れ様でした。
なんだか「甘いな〜」と思っている方もいるかと存じます。
ここ最近ラブコメ要素が不足している気がしてならないので、今回の茶番にはしっかりとねじ込んでいきます。
それでは次回も、のんびりしていってね!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

雨宮琥珀の喪失④

はい、どうものんびり+です。
引き続き茶番いきます!
それでは今回も、のんびりしていってね!


 

「そうね、まずは約束通り団子屋に連れて行ってあげるわ」

 

 という事で、僕達がまず赴いたのは、僕(雨宮琥珀)の行きつけだった団子屋さんだった。

 外観はシンプルで、店先には木製の看板が掲げられており、ベンチも備え付けられていた。

 

「おぉ、琥珀の旦那と博麗の嬢ちゃん! いらっしゃい!」

 

 優しそうな男性が元気な声で話し掛けてきた。向こうは愛想良く接客してくれるが、僕は実質この店に来るのは初めてだ。世間話をし始めた親父さんにどう対応するか思索する僕を見兼ねてか、霊夢さんが「みたらし団子とお茶。二人前ね」と、品を注文してくれた。

 

「あいよ! ちょっとだけ待ってな」

 

 そう言って親父さんは一旦この場を離れた。

 

「あんたね、適当に相槌打つくらい出来ないの?」

 

「いや、なんだか気後れしてしまうというか、どう話せば良いかわからないというか……」

 

 情けないわねと、霊夢さんは首を振る。

 

「あんたがアホな事はこの幻想郷では常識としてまかり通っているわ。だから、今更あんたが変な発言したり奇行に走ったりした所で、別に誰も気にしないわ」

 

 えぇ……、励ましてくれているのかも知れないが、なんか複雑な気持ち。というか、僕(雨宮琥珀)は変人って幻想郷では共通認識なの? 僕(雨宮琥珀)って本当にどんな人だったの?

 

「あいよ、お待ちどう!」

 

 再び、親父さんが団子とお茶を持って戻って来た。

 団子を見るや否や、自然と頬が緩み、涎が口内に溢れ返った。お腹では腹の虫が早くそいつを寄越せと言わんばかりに喚き散らす。

 記憶がなくても、体は覚えていたという事なのだろう。

 霊夢さんから聞いていた通り、僕(雨宮琥珀)は本当に団子が好きな様だ。

 僕の意思を振り切って先行しようとする右手を理性で抑えつつ、一串手に取る。黄金に輝くみたらしのタレ、程良くついた焦げ目。食べる前から美味しいと分かる。

 ゴクリと生唾を飲み込んで、僕は団子を一つ、口へと運んだ。

 

「――っ!」

 

 思わず声を上げそうになった。予想以上、想像以上だ。

 とろける様な甘さ、咀嚼する度に愛しい弾力、鼻を突き抜ける優しい香り、そして後を引く余韻……。美味い――美味すぎる!

 気が付けば、僕の分の団子は既に無くなっていた。

 あれ、いつの間に全部食べてしまったんだろうか。

 

「あんたねぇ、もう少し味わって食べなさいよ」

 

 隣を見ると、霊夢さんはまだ一串目を食べ終わったばかりだった。それからお茶を飲んで一息吐いてから、二串目に手を伸ばし、団子を一つパクリ。

 

「……何よ」

 

 目が霊夢さんの持つ団子から離れてくれない。背けようとしても、首どころか黒目すら動かないだと!? くっ、どうしたんだ僕! 動け、動け、動け!

 

「……仕方ないわね。特別よ?」

 

「――ファ!?」

 

 つい、間抜けな声が出てしまった。

 霊夢さんの行動がどういった意味を持つのか、気づくのに数秒を要し、意味を理解すると同時に、今度は脳内が混乱状態に陥った。

 霊夢さんが団子の串をこちらに向けてきた。つまり、俗に言う「あ〜ん」をしてくれるという事だろう。霊夢さんはさっき団子を一つ食べている。つまり、僕がそれを食べれば間接キスが成り立つ。

 ――ヤバイって。

 そんな、ハードル高くない? そこまでいくと最早走り高跳びだよ。

 

「ちょっと、早くしなさいよ」

 

「え!? あ、はい! すみません」

 

 僕は考える事を止め、差し出された団子を一つ口に含んだ。

 途端に顔が熱くなり、味覚は失われた。

 味を感じる事なく団子を飲み込んで、お茶を飲み干す。

 あー、緊張した。霊夢さんはそうでもないのかな?

 チラッと隣を見やると、心なしか霊夢さんの顔が紅潮している気がした。

 

 団子屋さんを後にして、人里巡りを再開した。

 通りを暫く歩いていると、他と比べて大きな建物が前方に確認出来た。

 

「霊夢さん、あの建物は?」

 

「寺子屋よ。あんたが人里に来た時は大体顔を見せていたようね」

 

 僕の質問に霊夢さんが答えて間もなく、寺子屋の入り口付近までやってきた。すると、入り口前で腕組みをしていた女性が声を上げた。

 

「遅いぞ琥珀! 遅刻じゃないか! またどこかほつき歩いてたんじゃないだろうな?」

 

 へ? 誰?

 

「あら慧音、こいつと何か約束でもしてたの?」と霊夢さんが尋ねる。

 

「あぁ、今日は琥珀が特別講師をしてくれる日でな。時々、やってもらってるんだ。琥珀の授業は人気でな。ほら、行くぞ琥珀」

 

 慧音さん(?)は僕の手を取ると、建物の中へと進んで行った。

 僕は抗う事が出来ず、現状の理解も出来ないまま、「これから何が始まるんです?」と誰に言う訳でもなく思うのだった。

 

 




はい、どうもお疲れ様でした!
ノルマ(ラブコメ要素の挿入)達成ですね。
このペースでいくと終わるのはまだまだ先になりそうです。
まあ、たまには長い茶番があっても良いよね……。

それでは次回も、のんびりしていってね!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

雨宮琥珀の喪失⑤

はい、どうものんびり+です。
皆様におかれましては、いかがお過ごしでしたでしょうか。
私は一応元気にしておりました。
はい、もう……ね、なんと言えば良いのか。言葉がまとまりませんがね…。
ただ一つ言える事としては、私は絶対に失踪したりはしませんのでご安心ください!必ず完結させます!(それがいつになるのかは知りませんが)
本当に久しぶりの投稿となってしまい、私が蒸発したと思っていた方もいると思います。お待たせしてしまい誠に申し訳御座いませんでした。
久しぶりに書いたので違和感とかあるかも知れませんが、ご容赦ください。
まぁ、長々と前書きを書いてしまいましたが、それも一旦区切らせて頂いて。
それでは今回も、のんびりしていってね!



「慧音、ちょっと待って」

 

 釈明(しゃくめい)する余地(よち)なく寺子屋の中へ連れられて行く僕の代わりに、霊夢さんが慧音さんへ声を掛けてくれた。

 

「うん? どうしたのだ霊夢?」

 

「まあ、今は少し面倒な事が起きてるのよ」

 

「面倒な事?」

 

 慧音さんは僕に視線を移し、その後もう一度霊夢さんに目を向けた。

 

「どういう事だ?」

 

 首を(かし)げて聞く慧音さんに、霊夢さんは「ここじゃなんだし、場所を変えましょ」と言って寺子屋の中へと歩き出した。

 僕は霊夢さんに感謝して、慧音さんは未だ不思議そうにしながら霊夢さんの後を追うのだった。

 

 

 

 

 

 僕達三人は、寺子屋の空き教室にいた。

 入り口近くの畳の上に、僕と霊夢さんが隣同士、慧音さんが向かい合う形で腰を下ろす。そして、霊夢さんが口を開いた。

 

「単刀直入に言うわ。琥珀は今、記憶喪失なのよ」

 

「……記憶喪失だと?」

 

「えぇ、この琥珀には自分に関する記憶も幻想郷での記憶も、今はないの」

 

 慧音さんは目を見開いて僕に顔を向ける。僕は肯定の(うなづ)きでもって返した。

 

「一大事じゃないか! この事が知れたら厄介な事になるぞ!」

 

「だから最初に言ったでしょ? 面倒な事が起きてるって」

 

 慧音さんは再び僕に目を向け、そして、ひと呼吸置いて言った。

 

「……すまない、取り乱してしまって。私は上白沢慧音という者だ。この寺子屋で教師をしている。よろしく頼む」

 

「ご丁寧にどうも。僕は……雨宮琥珀というらしいです。霊夢さんの説明通り、僕には記憶がありません。きっとあなたとも知り合いなのでしょうけど……」

 

「いや、気にするな。琥珀は悪くない」

 

 慧音さんは優しい笑みを浮かべて、そう言葉を掛けてくれた。とても誠実で優しい方なんだなと、慧音さんに対する僕の印象が定まった所で、霊夢さんが言う。

 

「それで、琥珀は今日この寺子屋に特別講師で呼ばれてたんでしょ?」

 

「あぁ、そうだったんだが……、流石に状況が状況だ。生徒達には私から『琥珀は都合が合わなくて今日は来られない』とでも言っておくから、今の内に霊夢達は寺子屋を出て行ってくれ」

 

「そうしてくれると助かるわ。ありがとう慧音」

 

「なに、困った時はお互い様だ」

 

 慧音さんの心遣いに有り難く乗っかろうと、僕と霊夢さんが立ち上がろうとした瞬間だった。

 

「あー! 慧音先生と琥珀めっけー!」

 

 ダンッ! と勢い良く障子を開けて、少女の声が響き渡った。

 

「チルノちゃん、勝手に開けたりしたら駄目だよ! 大切な話かも知れないのに……」

 

 遅れて、もう一人の少女も姿を見せる。

 チルノと呼ばれた青髪ショートヘアの活発そうな子は、「大ちゃんたら心配性(しんぱいしょう)だなー」と言って無邪気(むじゃき)に笑っている。

 もう一方で大ちゃんと呼ばれた緑髪ポニーテールの子は、「だって……」と青い顔をしている。

 

「どうしたの大ちゃん? そんな顔して」

 

「う、後ろ……」

 

「後ろがどうしたのさ〜」

 

 そう言って振り返ったチルノの真正面に、仁王立(におうだ)ちをする慧音さんの姿があった。

 

「チルノ、先生が行くまで教室で待機だと言った筈だが?」

 

「だだだ、だって、先生達が遅いからアタイが呼んで来てあげようと思って!」

 

「その気遣いは良いが、さっき大妖精が言った通り私達は大切な話をしていたんだ。そこに断りもなくいきなり入って来るのは頂けないな」

 

 慧音さんが一歩踏み出した瞬間、チルノは脱兎の如く駆け出して、僕の背後にやって来た。

 

「琥珀ー助けてー!」

 

「えぇ!?」

 

「こらっ! チルノ! こっちに来なさい!」

 

「嫌だ嫌だ嫌だー!」

 

 僕を間に挟んで、慧音さんとチルノは激しい攻防を繰り広げる。

 僕は一体どうすれば良いんだ……? 

 唖然としていると、いつの間にか霊夢さんが僕の背後にいて、チルノの襟首(えりくび)を引っ掴んでいた。

 

「うわぁー!? 離せー! バカ巫女ー!」

 

「すまない霊夢、助かった」

 

 霊夢さんは呆れ顔でチルノを慧音さんに引き渡し、慧音さんはチルノと大妖精を連れて一旦部屋を後にした。

 

「ハハハ……騒がしい子でしたね」

 

「まったくよ」

 

 その間に寺子屋を出てしまおうとも考えたが、チルノ達に僕が来ている事を知られた以上、無断で出るのも難しい訳で。

 

「すまない、少しだけで良いから授業をして貰えないだろうか?」

 

 数分後、帰って来た慧音さんは僕に深々と頭を下げた。

 

「生徒達は琥珀の授業を心待ちにしていてな……。もう誤魔化(ごまか)すのも難しいんだ。頼む、一時間だけで良いんだ」

 

「まぁ、僕としても力になってあげたいと思いますけど……」

 

「任せてくれ。バックアップは私達が全身全霊を持ってやらせて貰う」

 

 慧音さんが霊夢さんの横に並んで言った。

 霊夢さんは溜め息を吐きながらも、「仕方ないわねぇ」と協力の姿勢を示してくれた。

 

「わかりました。僕も何とかやってみようと思います。援助の程よろしくお願いします」

 

 そして、僕達は授業の準備を整えてから、生徒達の待つ教室へと向かうのだった。




はい、お疲れ様でした。
今更ですけど、この番外編かなり長くなりそうな予感(笑)
次話も何とか年内に出したいです…!
それでは次回も、のんびりしていってね!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

雨宮琥珀の喪失⑥

はい、どうものんびり+です!
明けましておめでとうございます!
今年もよろしくお願いします!
いやぁ、年明けに出したかったのですが、まあ年明けくらいのんびりしても…良いですよ…ね?
それでは今回も、のんびりしていってね!


 僕達三人は、本日の教材を抱えて生徒達が待つ教室の前まで来ていた。

 

「それにしても、良くこんなものがあったわね」

 

 霊夢さんは自分達が持つプリントに目を落として、呆れた様な感心した様な声を発した。

 

「あぁ、以前の授業の時に琥珀が置いて行ったんだ。次の授業で使えるかもとな」

 

「まぁ確かに、実際助かってるからムカつくわね」

 

 と、霊夢さんが僕にジト目を向けるので、僕は「あはは……」と曖昧(あいまい)に笑う事しか出来なかった。

 

「ルールは既に琥珀から聞いている、安心してくれ。基本的に授業は琥珀に進行して貰うが、もし何か分からない事があったら横にいる私か霊夢に尋ねてくれ」

 

「分かりました。ありがとうございます」

 

 そして、僕達は気合い十分で教室の中へと足を踏み入れたのだった。

 

 

 

 

 

 教室に入り教壇(きょうだん)に立つと、生徒達は盛大な拍手をもって迎えてくれた。

 大人数の子達に囲まれると、今更ながら緊張してくるが、もうそんな事を思っても遅いのだ。もうやるしかない。

 僕は霊夢さんに言われた通り、メガネを掛けてから話し始める。

 

「はい、どうも。皆さんお久しぶりです。今日も明るく楽しい授業にしていきましょう!」

 

「「はぁい!」」

 

 僕の呼び掛けに、生徒達は元気な返事をくれる。

 霊夢さんが「琥珀は情緒不安定でキャラもブレブレだから、メガネ掛けて丁寧語で喋ってたら『あ、今日はそういうキャラなのね』みたいな感じで誰も気にしないわよ」って言ってたけど、生徒達は本当に気にしてない様子だ。

 助かるけど、これが平常運転の扱いって……。大丈夫か? 記憶を失う前の僕。

 

 僕が自身の人間性について思案(しあん)していると、慧音さんが軽く咳払いをする。

 そうだ、今は授業を進めなきゃ。

 

「えー、今回は皆さんの発想力や思考力を(やしな)うのにピッタリなゲームをしようと思います」

 

「へへん、ゲームならアタイのドクダンジョーだねっ!」

 

 チルノが威勢良くそんな事を言い、「チルノちゃん、まずは説明を聞かないと」と大妖精がたしなめ、「ルーミアも負けないのだー!」と金髪の少女(恐らく自分の名前が一人称なのだろう)が張り合う。他の子達もゲームと聞いてワクワクしているのが伝わってくる。

 僕は改めて、ゲームの説明に入った。

 

「皆さんには、『水平思考クイズ』をやって貰います。ルールは簡単です。僕が出す問題に答える、ただそれだけです」

 

「先生、それでは普通のクイズと同じなのでは?」

 

 挙手をして、大妖精が尋ねてきた。この子は学級委員長ポジションだよなぁ、と思いつつも大妖精の疑問に答える。

 

「良い質問ですね。確かに形式は普通のクイズと同じですが、問題がとても難しいのがこのクイズの特徴です。問題を聞いただけで解答できるケースはほぼありません」

 

 難しい問題という所に、「えぇー」と一部の生徒達の表情が曇るが、その子達を安心させる為に「なので」と強調して話を続けた。

 

「このクイズでは解答者が出題者に質問する事が出来ます。『はい』か『いいえ』で答えられる質問に限りますがね。そうして解答者は情報を集めて、答えを導き出してください」

 

 僕の説明に「なるほど!」「おもしろそー!」と声が上がる。好感触で良かった。

 説明が分からなかったのか未だに曇り模様のチルノには、代わりに隣の大妖精が教えてくれている。

 

「……てぇてぇ(尊い)

 

 ──はっ!? 何だ今の、無意識で口に出てた!? 

 慌てて左右を見渡すも、霊夢さんも慧音さんも気づいていない様だ。……良かった、何か良く分からないけど気をつけよう。

 

 

 

 

 

 問題が書かれたプリントを霊夢さんと慧音さんに配って貰い、全員に行き渡ったのを確認してから、僕は問題を読み上げた。

 

「魔理沙が博霊神社に行って、霊夢に『水をくれ』と言うと、霊夢はお札とお祓い棒を魔理沙に突き付けました。すると魔理沙は『ありがとうなんだぜ!』と行って去って行きました。さて、どうしてでしょう?」

 

 (ほとん)どの生徒が頭を抱えて悩む中、ただ一人、余裕の笑みを(たた)えて手を挙げる者がいた。

 

「はい、チルノ」

 

「ふっふーん、そんなん簡単だよ!」

 

 チルノはすっくと立ち上がって答えた。

 

「霊夢はケチで貧乏だから、例え水の一滴でさえも人にあげたくなかったんだ!」

 

「落ち着け霊夢、子供の言う事だ」

 

 チルノの解答から瞬き一回後には、スペルカードを取り出す霊夢さんと、霊夢さんを羽交い締めして止める慧音さんの姿があった。

 ……慧音さんがいてくれて本当に良かった。僕が止めた所で、横たわる被害者が一人増えるだけだっただろう。

 

「わかったのだー!」

 

 そして今度は、ルーミアが快活に挙手する。

 

「どうぞ」

 

「魔理沙は霊夢に冷たくあしらわれる事に快感を覚えたのだー!」

 

 

 僕が返す言葉もなく突っ立っていると、「……ッフ」と隣から笑いを噛み殺す霊夢さんの声がした。

 笑ってる場合じゃないですよ霊夢さん。魔理沙さんに会った事がないから何とも言えないけど、()()()()()では無い事は確かだろう。

 

「先生、質問です」

 

 ここで、我らの救世主にして寺子屋最後の良心、大妖精がおもむろに手を挙げた。

 

「大妖精、どうぞ」

 

「魔理沙さんは水を貰っていませんよね?」

 

「はい、貰ってません」

 

「喉も(かわ)いていませんよね?」

 

「はい、渇いてません」

 

 大妖精は(あご)に指を添えて(しばら)く考えた後に、「仮にですけど」と言葉を(つむ)いだ。

 

「魔理沙さんの目的は、喉を(うるお)す事ではなく、水を欲しがったのには別に理由があったんです。水を飲んで解消できる目的だった筈です。そして、霊夢さんはそれに気づいたから、魔理沙さんを(おど)す様なマネをしたのでしょう」

 

「……なるほど。つまり?」

 

「恐らく、魔理沙さんはしゃっくりを止めたかったんです。だから水を飲んでそれを止めようとしたけど、それに気づいた霊夢さんは魔理沙さんを脅したんです。しゃっくりは驚いたら治まる、なんて言いますしね」

 

「──正解! 百点満点の解答です!」

 

 わぁぁ! と、教室中から歓声が上がる。まさか正解者が出るとは。僕が読んだ時は『こんなん分かる訳ない』と思っていたが、どうやらここの生徒を(あなど)っていた様だ。

 

「うむ、流石だな大妖精」

 

 慧音さんは得意気に頷いている。自分の生徒が活躍するのを自分の事の様に喜ぶ慧音さんに、思わず目を細める。

 

「ルーミアの解答、後で魔理沙にチクっとこうかしら」

 

 未だにニヤニヤ顔で、霊夢さんはそんな事を呟いていた。

 

 

 

 

 

 その後も数問のクイズをして、授業は終了となった。まぁ、皆が楽しんでくれた様で何よりだ。僕の事も怪しむ様子はなかったし。

 

「皆、琥珀先生にしっかりお礼をするんだぞ」

 

「「先生、今日は楽しい授業をありがとうございました! また来てください!」」

 

 クラス全体で息ピッタリと言われたお礼の言葉に、つい破顔してしまう。あぁ、教師というのは良いものだなぁ。

 と、僕が感慨に(ふけ)っていると、「琥珀ー」と僕を呼ぶ声がした。

 僕の元にやって来たのは、チルノ、大妖精、ルーミア、ミスティア、リグルだった。

 授業中にクラス名簿に目を通しておいたお陰で、クラス全員の名前は既に把握済みだ。

 

「どうしたの?」

 

 僕が尋ねると、チルノが元気いっぱいで答えた。

 

「いつもみたく、一緒に遊んでよ!」

 




はい、お疲れ様でした!
寺子屋フェーズが思った以上に長い(笑)
前回、今回とノルマ達成できてなかったので、次回で挽回していきます!
それでは次回も、のんびりしていってね!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

雨宮琥珀の喪失⑦

はい、どうものんびり+です!
今回で寺子屋編終わりです!
あと、いつも通り私の妄想が暴走してます。
それでは今回も、のんびりしていってね!


 

 僕(雨宮琥珀)が寺子屋に寄った際、授業終わりの休み時間はいつも生徒達と一緒に遊んでいたらしい。

 なので、今日も例によって生徒達から遊びに誘われてしまった。どうすれば良いのだろうか。

 

「さ、行きましょう琥珀」

 

 慧音さんと話し終えた霊夢さんがこちらにやって来た。

 すると、「霊夢も一緒に遊ぶのだー!」とルーミアが霊夢さんの腕にしがみつく。

 

「はぁ? 遊ぶって……」

 

 霊夢さんは僕に『どういう事?』と言う様な目を送り、僕はそれに対して引きつった笑みを返すしかなかった。

 

 

 

 

 

「設定はどーしようか?」とリグル。

 

「この間の続きにする?」とミスティア。

 

 僕達を除く全員が賛成した事により、どうやらこの前遊んだ時の続きをやる様だ。

 それで、一体何をするのだろうか。

 

「やだな琥珀、もー忘れちゃったの? おままごとだよ!」

 

 チルノがニカッと笑って僕の肩を叩く。なるほど、おままごとか。いかにも可愛らしい遊びだな、と僕がほっこりしていると。

 

「ねぇちょっと、遊んでて大丈夫な訳?」

 

 霊夢さんがこっそり耳打ちしてきた。

 僕は苦笑いを浮かべつつ、

 

「仕方ないですよ、ここまできて断るのも忍び無いですし。一回ぐらい付き合ってあげましょう」

 

 僕の言葉に霊夢さんは不承不承(ふしょうぶしょう)ながらも頷いてくれた。

 

「それじゃあねぇ、まず琥珀はお父さんね」

 

「お父さんだね、分かった」

 

 いやぁ、おままごと何ていつぶりだろうか。こういう遊びって大人になってからやると逆に面白い気がする。歳を重ねても童心を忘れない事って大切だよなぁ。

 そのまま僕が大人と子供の違いについて考え始めた時、寺子屋メンバーの間では熾烈(しれつ)な会議が開かれていた。

 

 

 

「お母さん誰やる?」

 

 リグルが尋ねると、

 

「今回は霊夢さんもいるし、じゃんけんで決めるのが一番手っ取り早いと思うけど」

 

「私も大妖精に賛成かな」

 

 大妖精が案を提出、ミスティアもそれに同意し、じゃんけんでお母さん役を決める運びとなった。

 

「霊夢もじゃんけんするのだー!」

 

「いや、私は別に残った役で良いわよ」

 

「駄目なのだー! 公平に行こうぜ、なのだー!」

 

 霊夢も(強制的に)参加し、じゃんけんが始まる。

 

「「最初はグー、じゃんけんポン!」」

 

 それぞれ手を見比べて、一喜一憂(いっきいちゆう)する。

 

「霊夢とミスチーと大ちゃんが勝ちだね」

 

 チルノとリグル、ルーミアが予選敗退し、残った三人で再び二回戦。

 

「「じゃんけんポン!」」

 

 結果は、パー二人のチョキ一人。よって、霊夢の役はお母さんに決定したのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おかえりなさい。あ、あなた」

 

「駄目駄目、そんな恥ずかしがってちゃいけません!」

 

「もう、何で私がこんな事を……」

 

「はい、もう一回!」

 

 

 

 

 

 

 それから何回リテイクしただろう。

 大妖精やミスティアから演技指導をされていた霊夢さんがようやく合格を貰い、満を持しておままごとが始まるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ただいまー」

 

 僕は玄関に寝転びたい衝動を我慢しつつ、(くつ)を並べてリビングに向かう。

 

「おかえりなさい、あなた」

 

 キッチンからは、妻の霊夢の声と共に、美味しそうなカレーの香りが(ただよ)ってきた。

 僕がリビングに行くと、

 

「パパ、おかえりなさいなのだー!」

 

 と、僕にしがみついて来る愛娘(まなむすめ)のルーミア。今日も元気いっぱいだ。

 

「ただいま。今日も良い子にしてたか?」

 

「うん! ママの買い物袋を持ってあげたのだ!」

 

「それは偉いね、ルーミアが良い子にしてくれてパパも嬉しいよ」

 

 頭を撫でると、ルーミアは「パパくすぐったいのだー」と言って目を細くする。そんなルーミアが可愛くて、我を忘れてナデナデしていると、

 

「あなたー、食器出してくれる?」

 

 キッチンからの妻の呼び掛けに自我を取り戻し、僕はナデナデを切り上げて食器を出すべくキッチンに向かった。

 

 

「いただきます」

 

「いただきますなのだー!」

 

「ふふ、召し上がれ」

 

 スプーンで白米とカレールーを(すく)って頬張る。野菜と肉の旨味が詰まったルーと、甘く優しい味わいの白米が口の中で絡み合い、スパイスが鼻を突き抜ける。

 

「やっぱり、ママが作るカレーは最高だよ」

 

「そーなのだー! 最高なのだー!」

 

 言いながら、ルーミアはもりもりとカレーを食べ進める。

 

「そんなに慌てなくてもカレーは逃げないから、ゆっくり食べなさい」

 

「はぁーい」

 

 和気あいあいとした食卓の中で、僕は「幸せだなぁ」としみじみ思うのだった。

 そしてまた、この幸せがいつまでも続いて欲しいと。

 

 

 

 しかし、永久(とわ)に続く幸せなどありはしないのだ。

 僕はその事を、身をもって思い知らされる事になる。

 

 

 

「ルーミアちゃん、あーそーぼ!」

 

 翌日の朝、娘と同じ学校に通うリグル君がやって来た。

 玄関のドアを開けて対応する。

 

「おはようリグル君。ルーミアならもう少しで来ると思うから、少し待ってあげてくれ」

 

「はい!」

 

「リビングで待つと良い、今ジュースを持ってくるね」

 

「ありがとうございます!」

 

 リビングのソファーにリグル君が座るのを見て、僕はキッチンの冷蔵庫からオレンジジュースをコップに注いだ。

 ついでに自分のカップにもコーヒーを入れて、リビングのテーブルの上に運ぶ。

 

「どうぞ」

 

「いただきます!」

 

 二人でコーヒーとオレンジジュースを飲んで、一息つく。

 娘の同級生とモーニングコーヒーか。こういう休日も悪くない。

 

「リグル君、いつも娘と仲良くしてくれてありがとう。これからもあの子をよろしく頼むよ」

 

「いえいえそんな、むしろこちらからお願いしたいですよ!」

 

「はは、本当かい? 君に何か迷惑とか掛けてないかな?」

 

「とんでもない! いつも助けられてばかりですよ」

 

「ふむ……、リグル君もそろそろ中学生だね。()()とかどうなのかな?」

 

 僕が小指を立てて聞くと、リグル君は頬を赤らめて、

 

「いやいや、いないですって! そもそも僕はル──いえ、なんでもないです……」

 

 リグル君はゴクゴクと勢い良くジュースを飲み干した。

 ふむふむ……これは、青春だね。

 僕が学生時代の懐かしさに浸っていると、二階からドタドタと足音が近づいて来て──

 

「ごめん、遅れたのだー!」

 

「ううん、大丈夫だよ」

 

「じゃあ、行こっかリグル」

 

「そうだね」

 

 一応、玄関先まで二人を見送る。

 

「行ってらっしゃい。気をつけてね」

 

「はい!」

 

「分かったのだー!」

 

 バタン、とドアが閉まる。

 ……さて、どうしようか。

 霊夢は友達と会う約束があるともう家にいないし、ルーミアもリグル君と遊びに行ったから夕方まで帰らないだろう。

 その間何をしようかとリビングに戻り時計を見ると、ちょうど十時になる所だった。

 ……本でも読もうか。

 僕はそのままリビングで、昼になるまで本を読んだ。

 

 

 十三時半、僕はお昼ご飯を食べに近所のファミレスまで来ていた。近所と言っても、車で十分程の所だが。

 

「ふぅ、何食べようかな」

 

 車を降りて店の入り口に向かっている時だった。

 

「琥珀……?」

 

 僕の名前を呼ぶ声に振り向く。

 

「ミスティア……」

 

 そこには、僕が霊夢と出会う前に交際していた、ミスティア・ローレライの姿があった。

 

 

 

「久しぶりだね」

 

「あぁ……。元気だった?」

 

「うん。琥珀は?」

 

「僕も、何とか元気にやってるよ」

 

 互いに向かい合わせに座り、会話する。

 ミスティアと別れてから、会う事はおろかメールでのやりとりもあまりしていなかった。その為か、実際よりも永く会っていない気がした。

 

「それで、結婚したんだ?」

 

「あぁ、子供もできたよ」

 

「そう……名前は?」

 

「ルーミアって言うんだ」

 

「……きっと、可愛らしい子なんでしょうね」

 

「あぁ、自慢の娘さ」

 

 しばしの沈黙。僕は気まずさを取り除く様に、なるべく明るく話し掛ける。

 

「ミスティアの方こそ、どうなんだ? 何か良い事とかなかったのか?」

 

「私の方は……特に無いかな。あなたと別れてから、誰とも付き合ってないし。仕事ぐらいしかやる事ないし」

 

「そ、そうか……」

 

 再びの沈黙。僕は耐えきれずに、何とか会話を(つな)ぐ。

 

「でもお前なら、きっとすぐに趣味だったり恋人だったり見つけられるさ」

 

「……無理よ」

 

「……え?」

 

 ミスティアはどこか遠くを見る様にして、僕に言った。

 

「あなたより好きになれる人なんて、いる訳無いわ」

 

「……ミスティア……」

 

「私、今でも好きなのよ。あなたの事」

 

「え──」

 

「もう別れて何年も会ってなかったけど、あなたへの愛を忘れた日何て、一日たりともなかった」

 

 ミスティアの目に涙が(にじ)む。

 

「ねぇ琥珀────」

 

「待たせたね! 当店自慢の料理だよー!」

 

 ミスティアが何かを言おうとした瞬間、『さるの』と胸に名札を付けた店員さんが注文していた料理を運んで来た。

 そこで会話は一旦打ち切りとなり、僕達は食事に専念するのだった。

 

 

 

「お会計は百万円だよ!」

 

 猿野さんがそんな冗句(じょうく)を言った。

 僕はお財布を出そうとするミスティアを制して、

 

「良いよミスティア、僕が払うよ」

 

「え、でも……」

 

 困惑する彼女を余所(よそ)に、僕はお会計を済ませる。

 

「ありがとう、また来てねー!」

 

 そして、僕達は店を後にした。

 

 

 

 駐車場に向かう時、僕は彼女との会話を思い出して尋ねた。

 

「ミスティア、駅から歩いてきたんだろ?」

 

「え、……うん」

 

「送ってくよ」

 

「良いの?」

 

「もちろん」

 

 ここまで来たら、やれる事はやってあげたい。ミスティアの秘めたる想いを聞いてしまったからだろうか。僕は強くそう思った。

 

 

 ミスティアを助手席に乗せて、僕は車を走らせる。

 ここから駅までなら、車で五分も掛からないだろう。

 移動中、僕とミスティアの間に会話はなかった。

「さっき店で何を言い掛けたの?」と、そう尋ねたい気持ちはあったが、それは僕の好奇心で軽々しく聞いてはいけない事だと思った。

 

 すると、あっという間に駅へと到着した。

 

「着いたよ、ミスティア」

 

「……うん」

 

 しかし、目的地に着いたというのに、ミスティアは車を降りようとしない。

 

「ミスティア?」

 

「ねぇ琥珀」

 

「ん? どうしたんだい?」

 

「私ね、頑張ったんだよ。あなたの事は忘れようって、いろいろしたの。でもね、駄目なの。あなた以外の男性(ひと)に魅力を感じないの」

 

 するとミスティアは、潤んだ瞳で僕を見据えて、上気した顔を僕に近づけてきた。

 

「ねぇ、琥珀……私……」

 

 端麗(たんれい)な顔はどんどん近づき、彼女の(くちびる)が僕の唇と重なろうとした時──

 

 

 

「ちょっと待ちなさい!! タンマ! ストップ! 止まれい時よぉ!!」

 

 ──霊夢さんが顔を赤くして怒声を上げた。

 

 

 

「流石にこれはやり過ぎじゃないの!?」

 

 突如、僕達を包んでいた空間が寺子屋の教室へと回帰した。

 霊夢さんの声に、「えー、これからが面白いのにー」と待機組が愚痴(ぐち)(こぼ)す。

 

「あんたもあんたよ! 何ちょっと期待してんのよ!」

 

 霊夢さんの怒りの矛先(ほこさき)が僕に向けられた。

 

「すみません、かなり役に成り切っていたみたいで……」

 

 僕がそう言っても、霊夢さんは聞く耳を持たずに説教を開始する。

 

「私、出番これからだったのに……」

 

「ドンマイだよ大ちゃん! また今度やろ!」

 

「にしても、ミスティアってば大胆だよねぇ。いくら憧れの人だからってあれは流石に──」

 

「わぁーわぁー!! な、何言ってんのリグル!?」

 

「うー、もっとナデナデして欲しいのだー」

 

 僕が霊夢さんに絞られてる間に、横では生徒達が好き勝手に盛り上がっていた。

 まぁ、皆が楽しんでくれてのなら良かった。……のかな? 

 

「ていうか、あんたらいつもこんな遊びしてる訳?」

 

「いつもではないですけど」と大妖精。

 

「他にもねー、外で遊んだり、カードゲームとかもやるよ!」とチルノが胸を張る。

 

「琥珀はここに来る度に、いろんな遊びを教えてくれるのだー」

 

「さっきのおままごとは、リアルおままごとと言うらしいですよ。外の世界の"昼ドラ"というのを参考にした……と言っていました」

 

 ミスティアが微笑む。

 

「ふーん。結局、諸悪の根源はコイツなのね?」

 

 霊夢さんの鋭い眼光が僕を射抜く。

 ……もう勘弁して下さい。

 

「琥珀、霊夢」

 

 霊夢さんが再び僕に文句を言おうとした所で、慧音さんがやって来た。

 

「今日はありがとう。これから用事があるのだろう? 門まで送ろう」

 

 慧音さんは僕と目が合うと、小さく頷いた。

 ありがとうございます、慧音さん。いろいろと救われました。

 

「琥珀ー、また遊んでねー!」

 

 生徒達に手を振って、僕達は教室を後にした。

 

 

 

「本当にありがとうございました、助かりました」

 

 寺子屋の門を出た所で、僕は慧音さんにお礼を伝えた。

 僕の言葉に慧音さんは「なに、大した事はしていないさ」と微笑を湛える。

 

「また困った事があればいつでも頼ってくれ。私で良ければ力になろう」

 

「えぇ、そうさせて貰うわ」

 

 そうして、僕達は慧音さんにもう一度お礼を言って、寺子屋を去る。

 本当に良い人だったなぁ、慧音さん。

 僕は寺子屋を出てしばらく、慌ただしくも楽しかった寺子屋の思い出に浸るのだった。

 




はい、お疲れ様でした!
おままごと、本当はもっと考えてあったのですが、あれ以上やると引き際が無くなるので割愛しました笑
大妖精の役も考えててたけど、まあ仕方ないですね(◔‿◔)
次回からはまた幻想郷案内状に戻ります。
それでは次回も、のんびりしていってね!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

雨宮琥珀の喪失⑧

はい、どうものんびり+です!
バレンタインネタとかやりたかったんですがね、ちょっと厳しいですね。また来年(続いてれば)やりましょうかね!
それでは今回も、のんびりしていってね!


 

 人里の案内は一通り済んだらしく、「まぁ、こんな感じだけど」と霊夢さんは僕に向き直る。

 

「どう?」

 

「そうですね、皆さん良い人達でした」

 

「そうじゃなくて! 何かなかったの? 既視感みたいなのとか」

 

「そういうのは特になかったですね」

 

 僕が答えると、霊夢さんは「そう」と呟いて、何やら少し考え事をした後に、「じゃあ、次のとこ行きましょう」と歩き出した。

 

 歩き始めて少しすると、霊夢さんはこちらに向き直った。

 

「次の場所は徒歩だと時間が掛かるわ。ここからは飛んで行くわよ」

 

「……はい? と、飛ぶって言いました? 今?」

 

 僕の知る限り、人間は空を飛ばない。

 だから、僕の発言は至極真っ当だと思われるが、霊夢さん的には違ったらしく、コーラを頼んだのにコーヒーが出てきた時の様な顔をされた。

 

「……仕方ないわね」

 

 顔を赤くしたかと思うと、深呼吸を五回くらいした後に、霊夢さんは後ろ姿を僕に見せてしゃがんだ。

 

「ん!」

 

「……??」

 

 霊夢さんの行動の意図が(つか)めずに突っ立っていると、

 

「おぶって行くって事よ! 早く乗って!」

 

 まくし立てる様な霊夢さんの声がした。

 

「は、はい!」

 

 勢いに押されて、僕は霊夢さんの華奢(きゃしゃ)な身体に腕を回し乗り掛かる。

 

「あの、重くないですか?」

 

「私を誰だと思ってる訳? あんた一人分くらい余裕よ」

 

 そう言って、霊夢さんは軽快に立ち上がる。

 華奢だと思っていた霊夢さんの身体は、触れてみれば驚く程に鍛え上げられているのが分かる。一体どれ程の鍛錬(たんれん)を積み重ねたらこうなるのだろうか。

 しかし、それでいて女の子らしい柔らかさもあり、髪からは石鹸(せっけん)の良い匂いがする。

 

「……変な事考えたら落とすわよ」

 

「……分かりました」

 

 僕が返事をしてすぐに、奇妙な感覚が身体に走る。

 下を見ると、地面がどんどんと遠ざかっていた。

 ──あれ? 浮いてる? 

 

「しっかり掴まってなさい」

 

「え? ──えぇぇぇぇぇ!?」

 

 霊夢さんの言葉を聞いた直後、突風が顔に吹き付けた。身体が空に投げ出される気がした。急いで霊夢さんにしがみつく。

 

「行く時は行くって言って下さいよ!!」

 

「ちょっ、あんた!? そんなくっつかないで! 首筋に顔埋めんな! くすぐったいのよ!」

 

「怖いんですよ!」

 

 

 こうして僕達は、(しば)し空の旅へ繰り出したのだった。

 

 

 

 

 

 霧が立ち込める(みずうみ)を抜けると、森の中の開けた土地に、それはあった。外壁(がいへき)外装(がいそう)、外から見える限りほとんどが紅く染まった大きな屋敷。紅魔館、と言うらしい。

 なるほど、確かにその名の通りだ。

 

「ほら、突っ立ってないで行くわよ」

 

「あ、はい」

 

 霊夢さんの後に続き、僕達は屋敷の門へ向かい歩き出した。

 門前には、緑を基調としたチャイナドレスを(まと)う女性の姿があった。門番だろうか。

 

「あぁ、こいつは無視して大丈夫だから」

 

「え? でも門番なんじゃ……」

 

「ただのカカシよ」

 

 えぇ……。

 僕が戸惑っている間に霊夢さんは勝手に門を開けようとするのだが、そこで、霊夢さんの腕に手が伸びた。

 

「……一体いつから、私が眠っていると錯覚していましたか?」

 

「なん……ですって……!?」

 

 霊夢さんの腕を掴んだのは、先程カカシとの評価を受けた女性だった。

 

「いや、そんな驚く事ないじゃないですか……」

 

「いや、驚くわよ。近く紅魔館に何かとんでもない事が起きるんじゃない?」

 

「縁起でもない事を言わないで下さいよ!」

 

 会話についていけずオロオロしていると、チャイナドレスの人が僕に尋ねた。

 

「そう言えば琥珀さん、何か雰囲気変わりましたね。どうしたんですか?」

 

「なに、あんた分かんの?」

 

「もちろん! これでも『気』には敏感ですから」

 

 何やら良く分からないが、僕は改めて自己紹介をする事にした。

 

「初めまして、雨宮琥珀です」

 

「……? あ! そーゆーノリですか? 初めまして、紅美鈴です!」

 

「美鈴さんですね。よろしくお願いします」

 

「はい、よろしくお願いします! これどう言う設定ですか? 記憶喪失みたいなノリですか?」

 

「えぇそうよ。記憶喪失。ノリじゃないけど。まぁそう言う訳だから、少しお邪魔するわよ」

 

「お、お邪魔します」

 

 再び歩き出した霊夢さんに、僕も後を追う。

 後ろから美鈴さんの「え? ノリじゃない!? 待ってそれどう言う事ですかー!?」と言う質問が大声で飛んできているが、このまま行ってしまって良いのだろうか。

 

 そんな事を思っていたら、既に屋敷の中にいた。

 やはりと言うべきか、内装(ないそう)もほぼ全てが紅色(あかいろ)で揃えられていた。何だか少し不気味な屋敷だ。

 そんな事を思っていると、どこからか声がした。

 

「また美鈴は寝てたのかしら? こんなあっさり侵入されていては居ても居なくても変わらないじゃない」

 

「ちょうど良い所に来たわね、咲夜」

 

 いつからそこに居たのか、咲夜と呼ばれた銀髪のメイドらしき人は、霊夢さんを無視して僕の目の前にやって来ていた。

 

「いらっしゃい、琥珀。お嬢様なら部屋におられますよ」

 

「いや、あの……」

 

「どうしたんですか? 何だかいつもと感じが違いますよ?」

 

 霊夢さんに目線を送るが、フイッとそっぽを向かれてしまう。

 何で!? 

 

「あのぉ、咲夜さん? でしたっけ?」

 

「はい?」

 

「実は──」

 

 僕は、今自分に起こっている事を出来るだけ簡潔に咲夜さんに伝えた。すると、咲夜さんは目を見開いて僕の肩に手を置いた。

 

「記憶喪失? では、私の事やお嬢様達の事は覚えてないんですか? いつものイタズラではなく?」

 

「はい、申し訳ありませんが……」

 

 距離感の近さからつい赤面しつつ僕が(こた)えると、咲夜さんは「そうですか」と呟き、少ししてから微笑を僕に向けてくれた。

 

「それなら、私がこの屋敷を案内しますよ。私は十六夜咲夜、咲夜とお呼び下さい。では、行きましょう」

 

「あ、よろしくお願いします」

 

「ちょっと! 何勝手に決めてんのよ!」

 

「あっ、霊夢さんは客間でくつろいでお待ち下さい。妖精メイドに案内させますね」

 

「こら、ちょっと、離しなさいよ!」

 

 トテトテやって来た少女達が、霊夢さんを包囲してそのまま奥の通路へ連れて行ってしまった。

 ……えっ(困惑)。

 出会って間もないメイドさんと二人きりで屋敷を()り歩く事に若干の気まずさと恥ずかしさがこみ上げてくる。

 

「さぁ、私達も行きましょう」

 

 咲夜さんがニコッと爽やかに笑う。

 

 そんなこんなで、僕は咲夜さんに連れられて屋敷の中を見て回る事となった。

 




はい、お疲れ様でした!
幻想郷案内ですが、次回からはダイジェストでお送りする事になるかもです。このペースだと少し長引き過ぎそうですので(-_-;)
それでは次回も、のんびりしていってね!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

雨宮琥珀の喪失⑨

はい、どうものんびり+です。
新年明けましておめでとうございます。
今年もよろしくお願い致します。

さて、まず言い訳をさせてください。
ホントは大晦日に投稿しようと思ってたんです。話も書き終わってました。でも、添削にルビ振りの作業に予想以上に時間が掛かってしまったのです!
大変申し訳ございませんでした、反省しております。
でも投稿時間的にほぼ大晦日みたいなもんだから許して欲しいです(◡ ω ◡)
反省はしております(二回目)

まだまだ言いたいことがたくさんありますが、前置きで引っ張りすぎるのもあまり良くない気がしますので、続きは後書きにて。

最後に、久しぶりの執筆でしたのでだいぶ調子こいてると思いますがご容赦くださいますようお願い申し上げます。

それでは今回も、のんびりしていってね!


「まずは図書館へご案内いたしましょうか」

 

 そう言って咲夜さんは、まるでレッドカーペットを優雅(ゆうが)に歩く女優のように僕の前を歩き出した。そのあまりに美しい所作(しょさ)に、僕は思わず見惚(みほ)れてしまう。

 

「琥珀?」

 

「──あ、はい! すみません!」

 

 咲夜さんの声にハッと我に(かえ)り、(あわ)てて僕も後を追う。

 僕が咲夜さんの隣に並ぶと、クスッと鈴を転がすような笑い声がした。

 

「すみません、こんなオドオドした琥珀を見るのは初めてだから。何だかおかしくって」

 

 (しと)やかに口に手を当て微笑(ほほえ)む姿は、さながら画伯(がはく)()いた絵画(かいが)だ。

 一挙一動(いっきょいちどう)が絵になる人だ、と。再び彼女に見惚れながら思った。

 

「そういえば、記憶を失う前の僕と咲夜さんってどんな関係だったんですか?」

 

 ふと気になった疑問を、咲夜さんに尋ねてみた。

 

「ふふ、気になります?」

 

 彼女は悪戯(いたずら)っぽく笑うと、今度は(あで)やかな笑みを(たた)えて言う。

 

「愛人……とか言うのはどうです?」

 

 不覚にも、心臓が止まりそうになってしまったことをどうか責めないで頂きたい。これは反則だ。

 

「勘弁して下さいよ……」

 

 僕がまだドキドキしている胸を押さえながら言うと、

 

「失礼いたしました」

 

 咲夜さんは笑いを噛み殺して謝罪の言葉を述べた。

 それから、本当のことを教える気になってくれた彼女は、どう伝えようか悩んだのだろう、しばし考え込んでから口にした。

 

「簡単に言えば、あなたは私の恩人です。あなたは、行く当てのなかった私に居場所を与えてくれました。正確には、居場所を紹介してくれたのがあなたで、与えてくれたのはこの(やかた)の主人であるレミリア・スカーレット様なのですが」

 

 そう言って咲夜さんはニコッとこちらに顔を向けて、優しい声で言う。

 

「あなたが悪気(わるぎ)を感じたりする必要はありません。さぁ、もうすぐ図書館ですよ」

 

 僕は咲夜さんに気を(つか)わせてしまったことに申し訳なさを感じつつ、苦笑いでもって応える。

 相手との(つな)がりを一方的に()ってしまう。思い出も関係も無に()してしまう。記憶喪失になってショックを受けるのは、本人よりも周りの人間なのかも知れない。

 そんなことを考えながらも、僕は咲夜さんに続いて大きな扉の向こう側へと足を踏み入れた。

 

 

「くらえフラン! 恋付『マスタースパーク』!」

 

「あはっ! くらってあげないもん!」

 

「──えっ」

 

 図書館に入った僕の目に映ったのは、(ほうき)(また)がる金髪の魔女(?)と、楽しそうに宙を舞う幼い少女、そして僕目掛けて飛んでくる七色の光の束であった。

 

 (つよ)……! (はや)……(よけ)……無理!! 受け止める──無事で!? 出来る!? 否、死──。

 

「はぁ、全く。何をやってるんですか、こんなところで」

 

 死を覚悟して目を(つむ)ったが、衝撃がこない。目を開けると、僕は図書館の二階からさっきの少女二人を見下ろしていた。

 ……何が起こったんだ一体。

 

「いやー、フランに弾幕ごっこしよーってせがまれてさ。大丈夫、図書館にはパチュリーが結界張ってるから傷はつかねぇって」

 

「……妹様、図書館で弾幕ごっこはいけないとお嬢様からも言われてましたよね?」

 

「うっ……だって折角(せっかく)魔理沙が遊びに来てたんだもん! でもでも、お兄様が来てくれたならお兄様と遊びたいな!」

 

 そう言って、フランと呼ばれた金髪少女は僕の(もと)まで飛んでくるや否や、僕に思いっきり抱き着いてお腹に顔を(うず)めた。

 

「うへへ〜、お兄様成分補給中〜♪」

 

「えっ、あの……」

 

 突然の情報量と状況に頭が追いつかず、(すが)るような思いで咲夜さんに視線を送ると、咲夜さんも困った様子で顔をしかめていた。

 

「ねぇお兄様、フランのお部屋に行って二人で遊ぼうよ」

 

 腹部から顔を離し、上目遣いでこちらを見つめるフランさん。その姿がとても愛らしくて、もう難しいことは考えずに"はい"と言いたくなってしまう。

 

「妹様、申し訳ありませんが琥珀はこれからお嬢様に用事がありますので」

 

「えー!! お姉様だけズルいよー!」

 

 咲夜さんは()かさずフランさんを僕から引き()がし、「参りましょう」とエスコートしてくれた。そのおかげで、僕は自然な流れで図書館を後にすることが出来た。

 

「すみません、ありがとうございます」

 

 僕がお礼を言うと、咲夜さんは

 

「"すみません"は私のセリフです。まさか図書館にあの二人がいるとは思いませんでした。話がややこしくなりそうでしたので、琥珀の事情は伏せさせて頂きました」

 

 と言って綺麗なお辞儀をしてみせた。

 

「いえいえ、ホントに助かりましたから」

 

 助かったのは本当なのだが、正直あのフランという少女と遊んでみたい気がしないでもなかったり。

 

 そのまま僕たちは、話の流れ通りこの館の主人だというレミリアなる少女に会いに行くことにした。

 咲夜さん(いわ)く、レミリアさんは既に僕が記憶喪失だということも、僕がこれからレミリアさんに会いに行くことも知っている筈だと言う。

 

 レミリアさんが()るという部屋の前まで来ると、咲夜さんがノックをするよりも早くに(りん)と透き通る声が扉越しに聞こえた。

 

「来たな。入って構わない」

 

 フランさんの姉だと言うから(失礼ながら)もっと陽気で幼い感じをイメージしていたのだが、どうやら扉の向こうにいるのは僕の思い描いていた人物像とは大きくかけ離れた人らしかった。

 

「失礼します」

 

 例えるなら、職員室とは別の、そう、校長室にでも入るような緊張感をもって僕は入室を果たした。

 まず目に()まったものは、僕の正面にいる堂々たる(たたず)まいをした少女の姿であった。容姿こそ幼く見えるが、(まと)う雰囲気にどこかカリスマ性を感じずにはいられない。疑いの余地なくこの館の(あるじ)であった。

 

「ようこそ紅魔館へ。初めましてと言うべきかな、雨宮琥珀。私はレミリア・スカーレットだ。まあ、座りたまえよ」

 

 僕に着席を(うなが)して、レミリアさんは横のソファーにゆっくりと腰掛けた。それに続いて僕も対面位置のソファーに腰を下ろす。

 

「琥珀よ、紅茶とコーヒーどちらが好みだ?」

 

「あ、いえそんな。お気遣いなく……」

 

「ふむ。謙虚なのも良いが、こういう時、人の好意は素直に受け取っておくものだ」

 

 レミリアさんはニヤリと笑って言った。

 

「で、では紅茶を──」

 

「咲夜、紅茶を淹れてくれ。ダージリンで頼む」

 

「かしこまりました」

 

 そんなやり取りがあったかと思えば、既に卓上にはお茶菓子と共にカップに注がれた紅茶が湯気を立てていた。さっきの図書館の時もそうだ、意識は常にあるのに。まるで僕だけ時間が止められていて、その間に物事が進行しているような。そんな錯覚を覚える。

 

「どうした、遠慮せず飲め。茶葉は全て夏摘(なつづ)みのものだから、味も香りも申し分ないぞ」

 

「あ、はい。いただきます」

 

 無音の室内に紅茶を(すす)る音が小さく響く。マスカットを口に含んだかのような、爽やかな香りが鼻を突き抜ける。……美味しい。

 

「それで、どうだ。紅魔館を回ってみて」

 

 レミリアさんの言葉にぼんやりとしていた意識を引き戻され、咄嗟(とっさ)に答えた。

 

「なんだか賑やかで楽しそうなところですね」

 

「クックック、"楽しそう"か。人間はこの洋館を『悪魔の棲む家』と呼び恐れると聞いたが、なるほど。お前の感性は記憶を失っても奇っ怪なままらしい」

 

 僕は至って正直に答えたのだが、レミリアさんからすれば僕の回答は珍妙だったようで、可笑(おか)しそうに笑っている。

 

「このままお前と話をするのも楽しそうではあるが、そうもいかないのだろう。なに、別に用が無ければ来てはいけないという訳でもない。お前が暇を持て余した時にまた来ると良い。今度はもっとゆっくりと語らい合おう」

 

 な、なんて気さくで寛容な人だ。悪魔だなんてとんでもない。そんなことを言う人は、きっとレミリアさんと実際に会ったこともない、(うわさ)鵜吞(うの)みにしてそれを疑いもせずに広めるような人間なのだろう。

 どこかの右手も"悪魔というのを本で調べたが、いちばんそれに近い生物はやはり人間だと思うぞ"って言ってたし。全く、どこの誰だそんな風に呼び始めたやつは! 

 僕の中でレミリアさんの株が高騰(こうとう)し、無責任な人たちへの不満が爆発したところで、レミリアさんが席を立って咲夜さんに言う。

 

「咲夜、客が帰るぞ。見送りは頼んだ」

 

 僕も立ち上がって、改めてレミリアさんに挨拶をしようと思った時だった。バン! と勢いよく部屋の扉が開け放たれた。驚いて振り返るとそこには、(ほお)が破裂しそうな程のふくれっ面をしたフランさんがいた。

 

「い、妹様? いかがなさいました?」

 

 咲夜さんがフランさんのそばに歩み寄って事情を(うかが)うと、フランさんは我慢の限界といった様子で声を上げた。

 

「お姉様ズルい!! お兄様と楽しそうにお話するし、今日のおやつに取っておいたフランのプリンも食べるし! もう怒ったからね!」

 

 ピシッと、ガラスにヒビが入る音が聞こえた……ような気がした。

 

「……な、なんのことだ。フランドール、今は客人の前だ。話なら後で聞くから部屋から出て──」

 

「嫌だ嫌だ嫌だ! こーなったらお兄様かプリンのどっちかでも渡してくれなきゃ怒りが(おさ)まらないよ! あと、その取って付けたみたいな偉そうな喋り方も止めて! 気味が悪いよ!」

 

 パリーンと、ガラスが砕け散ったような気がした。

 レミリアさんの方をみると、拳をぎゅーっと握りしめ、肩をプルプル震わせていた。そして、キッとフランさんを睨みつけて言い放つ。

 

「いい加減にしなさいフラン! どーしてあなたはいつも大事な時にそうやって私の邪魔をするのよ! もう少しで琥珀にカリスマな主人って印象を残して解散できそうだったのに!」

 

「なんでフランが怒られてるの!? 悪いのはお姉様じゃん! そーゆーの逆ギレって言うんだよ! カリスマ(笑)の間違いじゃないの!」

 

 ムーっとどちらも負けず劣らずのふくれっ面をして対峙(たいじ)する。そして──。

 

「大体ね、プリンの件は前にフランが私のチョコレートパフェを食べたのが悪いじゃない! これでおあいこよ!」

 

「違うもん! その後でフランのクッキーあげたじゃん! あれでおあいこでしょ! だから今回のはお姉様が悪い!」

 

「はぁ!? 普通に考えて一枚のクッキーとチョコレートパフェが釣り合う訳ないでしょ! それくらい分かるでしょ!」

 

「じゃあクッキーあげた時に言ってよ! 言葉にしないで分かる訳がないじゃんバカ!」

 

「ば……バカですって!? この私に!? フラン、いつからこの私にそんな口が()けるようになったのかしら?」

 

「だって本当のことじゃん! もう何回でも言ってやる! バカバカバカバカ!!」

 

「こんの……! 本気で私を怒らせたわね、バカフラン!!」

 

「私の方が怒ってるもん! このバカお姉様!!」

 

 いよいよ取っ組み合いのケンカが始まりそうなところで、僕と咲夜さんは部屋を出た。

 

「……お見苦しいところをお見せしてしまい、申し訳ございません」

 

「いや、咲夜さんは悪くないですよ。その……色々大変だとは思いますけど、頑張ってください」

 

「ありがとうございます。私はお二人の仲裁(ちゅうさい)をしますので、お見送りが出来ませんが……」

 

「いえ、気にしないでください。今日は本当にありがとうございました。レミリアさんにも伝えといて下さい」

 

「承知いたしました。それでは、私はこれで失礼します」

 

 そう言い残して、咲夜さんは部屋の中へ戻って行った。

 ……お疲れ様です、咲夜さん。

 心の中で咲夜さんを(ねぎら)って、僕は屋敷の玄関まで向かった。

 

 エントランスホールに着くと、既に霊夢さんが仁王立(におうだ)ちをして待っていた。

 

「遅いわよ、全く! それで? 何か思い出せそう?」

 

 霊夢さんの質問に僕は、

 

「いや、これは多分忘れてあげた方が良いような気がします」と、ぎこちない笑みを浮かべるのだった。





はい、いかがでしたでしょうか。
当初はこの回は咲夜さん回になる予定でしたが、咲夜さんの過去など書いているとあまりに長くなり過ぎますので、それはまた別の番外編ということで書く予定です。
でももっと咲夜さんとラブコメしたかった。ぴえん。
あとは、調子乗ってカリスマぶるけど結局カリチュマなことがバレるおぜう様ということでオチとさせて頂きました。
ごめんね、おぜう様。それしか道がなかったんだ(無慈悲)
この回に関してはこんな感じでございます。

それでこの茶番、というかもはや番外編だと思いますが、このストーリーはまだまだ続きそうです(笑)
なので本編待ちの方にはすみませんが、もうしばらく茶番にお付き合いくださると有り難いです。

それにしても、今年に限らず毎年のように考えるのですが(今年は一層思いました)、私は無事に一年やっていけるのかと。そんなことを年明けに思っていたと思えば、もう大晦日になっていて。あぁ、今年もなんとかなったなと。成せば成るものなんだと思います。今年もこの一年どうなるんだろうとか、無事に乗り切れるかとか思いますが、今年の年末にまた何とかなったと笑って言えたら良いなぁって思います。
唐突の自分語り失礼しました(笑)

最後になりますが、何か質問やご意見等あればお気軽にコメントしてくださると助かります。以上、のんびり+でした。

それでは次回も、のんびりしていってね!


目次 感想へのリンク しおりを挟む




評価する
一言
0文字 ~500文字
※目安 0:10の真逆 5:普通 10:(このサイトで)これ以上素晴らしい作品とは出会えない。
※評価値0,10は一言の入力が必須です。また、それぞれ11個以上は投票できません。
評価する前に
評価する際のガイドライン
に違反していないか確認して下さい。