隠蔽された鎮守府 (黒い玉)
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ピザボックス

ぐだぐたですがよろしくおねがいします


「提督さん!伊良湖と食堂を片付けていたらこんな物が出てきたんですけど…ご存知ないですか?」

 

間宮さんが手に持っているのは、米国で使用されている大きなピザボックスだ。どうやら、料理棚の所に放置されていたらしい。

 

「あー…。間宮さん、その中開けてみました?」

 

「はい!中には出来立てのピザが入っていました。ピザ…と言うのはあまり食べた事が無くて、伊良湖ちゃんと半分こして食べてしまいました…」

 

「美味しかったかい?」

 

「ええ。私好みの味でした!とても美味しかったのです!ところで、このピザボックスはなんなのでしょうか?」

 

「これはね…少し貸してもらってもいいかな?」

 

提督は間宮さんからピザボックスを受け取って蓋を開ける。すると、間宮さんが食べたピザとは違う、別のピザが入っていたのだ。

 

「あれ?私が開けた時とは違うピザが入ってる…」

 

「この箱に触れるとね、自分好みのピザが蓋を開けた時に出てくるんだ。一時期、この鎮守府に着任した時に使っていたんだけど…たまには和食を食べたくなってね…使うのを控えてたんだ。いやー…懐かしいなぁ」

 

そう言いながら、提督は別のお皿にピザを移し、箱の中を空にしてピザボックスを机の上に置く。

 

「提督さん!これは食堂に置いときましょう!食材や色々削減出来ます!空母や戦艦の方達も満足していただけるはずです!」

 

「そうだね…。でも食べ過ぎには注意って張り紙を書かなきゃね…。赤城さんや大和さんも流石に満足するでしょう…」

 

 

数日後、新たに食堂にメニューが増えた。

 

それを聞き食堂にこっそり覗きに行くと案の定、ピザボックスの回りにはよく食べるいつもの子達が居た。

 

「皆よく食べてる…。…自分は執務室に戻って資料の作成とインスタントラーメンでも食べようかな…」

 

 

不意に、背中をつんつんと突かれる。後ろを振り返って見ると長門型戦艦の2番艦、陸奥が嬉しそうに提督を見つめていた。

 

「提督?あまりインスタントばっかり食べちゃだめよ?私と一緒にお昼にしましょ?」

 

「いやー…あの…自分が行ったらお食事の邪魔になるかなー…って…」

 

「あらあら。お姉さんと一緒に食べるのが嫌なの?」

 

陸奥は悲しそうな表情をしながら提督の事をジト目で見る。くっ…とっておきのインスタントラーメンが…

 

「嫌じゃない。好きだよ!うん一緒に食べるか!あははは…」

 

(今私の事を好きって言ったかしら?うふふ…嬉しいわ)

 

その後、陸奥に手を繋がれて食堂に入る提督であった。

 

「…今思ったけど、別に手を繋ぐ必要ないのでは?」

 

「貴方は私の物よ。手を繋いで離れないようにしないとね」

 

「あっ、はい…」

 

 




(コラボもひっそりと募集中します)



SCP-458
「はてしないピザボックス」
ttp://ja.scp-wiki.net/scp-458


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執事のベルと黄昏と

「疲れた…」

 

執務室で提督は書類を処理しながら独り言を呟く。今の時間は夜であり秘書艦の陸奧には「暫く1人にしてほしい」と言って追い返したら陸奧の目から光が消えた。あれが俗に言うハイライトオフなのだろうか。怖い。

 

 

 

この鎮守府には色々な過去があり、そして不思議な所でもある。

 

正門には頭がオオクチバスの憲兵が立っており、微動だにしない。ただ、何らかの危害を与えようとすると動き出し、相手を指で突く事がある。触れてしまうと3秒も経たずに相手は意識を直ぐ失うらしい。

人間の首の部分とオオクチバスの腹の部分が繋がっており、どういう構造になっているか未知だ。

 

『しゅみでやってるので、きにしないでください』

 

と憲兵?さんから受け取った紙に書かれていた内容もびっくりした。

 

自分が着任して1週間も経過せずにこんな状態になってしまった。不可思議な物を呼び寄せる体質なのだろうか…。

この鎮守府は元々ブラックな所があったらしい。資料で見ただけなのだが、前任者が許されない事をし解雇されている。例えば、艦娘を使い捨てをしたり…■■■に使用したり…人身売買など…とまあ賄賂やら色々な事があるが例をあげたら限りがないので考えないようにした。

 

「久しぶりにアレを使ってみるかなぁ…」

 

引き出しから小さな銀製のハンドベルを取り出す。軽く振るとチャイムの音が鳴り、いつの間にか白人の執事が部屋の隅に居た。

『お呼びでしょうか?なんなりとお申し下さい』

 

執事の名前はデーズというらしく、いつ、何処に住んでいたか分からないそうだ。

ハンドベル自体は元々この鎮守府の中にあったらしい…大淀さんの情報だが、確かなような気がする。

 

「えーと…燃料、鋼材、弾薬、ボーキサイトの確保を15000ずつお願いしたいのですが…出来る?」

 

『それをやるためにはまず、この部屋から出て行かなければなりません。許可を頂けますでしょうか?』

 

「あぁ…頼むよ」

 

デーズさんは扉を開けて部屋から出ていった。…10分も経たないうちに帰ってきた。相変わらず早すぎる。資材を確保してきた事を伝えられるとデーズさんは何処かに消えてしまった。

 

「はぁぁ……さて…どうしようか考えるか」

 

何を考えるかというと、これからの『深海棲艦』の扱い方についてだ。この鎮守府にはごく稀にだが、何故か深海棲艦が遊びにくる。無論、敵意が無いが扱い方に困っているのだ。艦娘達とは程々に仲が良いらしく『もう戦う必要なくね?』と思ってしまうぐらいだ。いや…遊びに来る深海棲艦が特殊なだけかも知れない…。元帥にバレてしまったら間違いなく敵側と認識してしまい、この鎮守府を確実に解体されるであろう…。元帥のやり方も真っ黒だが…。

 

「…俺は…何者なんだろうな…」




SCP-662
「執事のハンドベル」
ttp://ja.scp-wiki.net/scp-662


SCP-374JP-1
「秘密結社キャッチ&リリース」
ttp://ja.scp-wiki.net/scp-374-jp
doragon_akitsuki様作


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ねこがいる

「あー…執務室の片付け終わった。ありがとうね雷」

 

「もっと私を頼っていいのよ?この雷様に任せなさーい♪」

 

今日の秘書艦は雷。本来ならば陸奧の予定だったのだが、体調が悪いらしく治るまで大人しくしてもらう事にした。後でお見舞いに行かなきゃな…。

 

「そういえば、響と電は何処に居るんだい?暁も見てないけど…」

 

「響と電はくちくいきゅうと砂場で遊んでるわ!空母のヲ級さんも居たはずよ?」

「あれ、暁も一緒に遊んでないのかい?」

 

「それがね、司令官…」

 

雷はピタッと手を動かすのやめ、暁の話題を振ると雷の表情が暗くなる。一体どうしたのだろうか?

 

「最近元気ないの。夜はずっと起きてて、電気が当たっている所で体育座りをしながら震えてるの。まるで、暗くなるのが怖いみたいだわ」

 

「…暁の所に行くよ。心配だから様子を見る」

 

「私も一緒に行くわ!」

 

 

掃除道具を仕舞うのをやめ、雷と一緒に暁が居る部屋に行く事にした。

 

 

部屋に案内されて、扉を開く。扉を開けるとお昼前なのに部屋の全ての電気が付いていた。雷に手を繋がれ暁が居る所まで案内される。布団が4つ畳んでいる場所に暁は居た。目の下には隈が出来ていて、寝れてないようにみえる。手には痣が出来ていて、寝ないようにつねったり叩いたりしていた痕跡が思い浮かんだ。

 

「暁…どうしたんだ…」

 

「あっ……しれいかん……」

 

頭を軽く撫でてやると、暁は涙目になった。余程辛かったのだろう…。

 

「あ、あのね…暁のお話、聞いてくれる?」

 

「大丈夫だよ」

 

「そ、その前に…いかづちは部屋の外で待っててくれる?しれいかんと二人っきりでお話したいから…」

 

「ん…。分かったわ。じゃあ部屋の外で待ってるわね。終わったら呼んでね」

 

そう言うと雷はてくてくと歩き、部屋から出ていった。少しだけ静寂が訪れると暁はゆっくりだが、何故自分がこうなったかを話をしてくれた。

 

「数日前に、わたし、雷、電、響、ヲ級さんと一緒に鎮守府から少し離れた所に遠征に行ったの。その場所でね、変な敷地を見つけたの」

 

「変な敷地…?そんな所あったか?」

 

 

「うん。敷地の真ん中に小屋があった。近くに行くと猫の鳴き声がしたから閉じ込められてるのかなって…皆でその小屋の扉を開けたら18匹程だけど、出てきたわ。皆が猫と戯れてる時にふと、奥の方が気になってじー…と見つめてたの。わ、わたしは…怖いものを…」

 

「怖いものって…?なんだい?」

 

「ねこが居たの」

 

「ねこ…?」

 

「あんなのわたしが知っている猫じゃない…。落書きで描いたような身体をしていてじーっと私を監視するように見てくるの…。夜もずっと…。ひっぐ…ひっぐ…怖いよ…しれいかん… 」

 

暁は泣いてしまい、飛び付いてくる。そっと背中に手を回してあげて、優しく撫でると泣き疲れかそれとも寝ていない反動のせいか、寝てしまった。

 

暁をお姫様抱っこをし、ゆっくりと立ち上がり部屋から出る。部屋から出るといつの間にか雷以外にも、電や響、ヲ級まで来ていた。

 

「暁ちゃんは大丈夫なのです?」

 

『ヲー…。ヲヲ…?』

 

「暁が元気になってほしいな…。司令官。暁の事を頼むよ」

「暁の様子はどう?」

 

「とりあえず、僕の部屋に連れて行く。あの部屋なら多分、確信はないけど大丈夫だと思うから…」

 

「分かったわ。暁の事をお願いね?」

 

「分かった」

 

返事をし、暁を自分の部屋に連れていこうとした時、視界に入った横の窓を見ると暁が見たという同じねこを見たような気がした…いや…気のせいだったのだろうか…。そう思いながら寝息を立てている暁を抱っこしながら自室に戻った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ねこはどこにでもいます。

 

 

 

 




SCP-040-jp
「ねこですよろしくおねがいします」
ttp://ja.scp-wiki.net/scp-040-jp
Ikr_4185様作


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飛行場姫

暁は寝息を立てていて今日は起きる気配がない。布団を上に掛けてゆっくりと部屋を閉める。望み薄だが、赤いカプセル剤を枕元の机に水と一緒に置いた。あれを飲んで治ってくれるとありがたいのだが…。自分の視界にはまだ、チラチラと監視するように落書きのようなねこが写る…。誰にも言えない事が増えた。

 

「…じゃあ…陸奧の所にお見舞いに行こうかな」

 

 

 

 

 

 

「提督、見ツケタ♪」

 

 

「うおっ!?」

 

 

廊下を歩いていると後ろから抱きつかれ、背中に柔らかいモノが押し付けられる。少しビックリしながら顔を横に向けると微笑んだ飛行場姫が居た。彼女はこの鎮守府付近にある砂浜で倒れていて、偶然にも散歩最中に確保して戻ってきたという訳だ。それからと言うもの自分に懐いてしまい、稀にだが夜によく自分の布団の中に忍び込んでは寝ているのだ。…陸奧に見つかって正座させられてる姿をよく見る光景となっている。

 

「何ヲシテイルノ?」

 

「あー…暁を僕の部屋で寝てもらってるんだ。何だかおかしい様子だったからな…」

 

「アァ……ナルホドネ…」

 

「じゃあ僕は陸奧の所に行ってくるからね」

 

「…ナンデ?私ト一緒二居タライイジャナイ。モシカシテ私ノ事嫌イ……?」

 

「いや、そうじゃなくて…」

 

彼女は後ろから真正面に立ち、顔に手を添えられて、ゆっくりとだが首に向かって手を添えようとする。

 

「私、提督ノ事ガ好キ。何故ダカ分カラナイケド、殺シタイホド好キナノ。別ニ憎クナンテナイワ。艦娘ノ事ヲ今更憎イ訳デモナイ。モシカシタラ、ココノ鎮守府ダケダロウケドモ。デモ、私ハ、我慢ガ出来ナイ。他ノ深海棲艦ト艦娘達ニ提督ハ取ラレタクナイ♡」

 

そう言い終えると、飛行場姫は唇にキスをする。彼女の唇はとても柔らかく、人間と同じような感じだった。…初めてのキスを奪われてしまった。

 

「今回ハ、コレデ我慢スル。デモ次ハ…我慢出来ナイカラ」

 

「お、あっ、うん…」

 

最後に1度だけ、強く抱きしめられると飛行場姫は廊下の奥に消えた。

 

 

 

「て、提督ー!避けてー!!」

 

唖然としたまま廊下を立っていると、後ろから島風の声がした。振り返ると既に遅かったらしく、小さい何かが自分の身体に当たって転んでしまった。

何とぶつかったのか、見てみると真ん中に青い目をした涙型の生き物2匹と衝突したらしく、自分の周りに申し訳なさそうにぐるぐると回っていた。そして追いついた島風と連装砲ちゃんがやってきた。

 

「わ、私が追いつけないなんて…アイポッドちゃん速い…はぁはぁ…」

 

アイポッドと呼ばれた生き物は連装砲ちゃんの上に乗って落ち込んでるように見えた。しゃがみこみ、アイポッドと連装砲ちゃんを撫でてあげると嬉しそうにしていた。立ち上がってついでに、島風の頭を撫でてやる。…ぶつかった時痛かったんだぞ?

 

「島風…廊下を走ったらダメだよ?誰かとぶつかったら危ないでしょ?」

 

「ご、ごめんなさい…」

 

「次から気を付けてね?じゃあ僕はこれで…」

 

「はーい…。アイポッドちゃん、今度は負けないからね!」

 

そう言うと島風はアイポッドと連装砲ちゃんを抱き抱えて、何処かに行ってしまった。

 

時間がとても遅くなってしまい、陸奧の所に行くととてもじゃないが怒られてしまった。今日1日中…もう残り半日だが、ずっと部屋で寝ずに陸奧を看病すると言うとなんとか許してもらった。

 

 

 




SCP-500
「万能薬」
ttp://ja.scp-wiki.net/scp-500

SCP-131
「アイポッド」
ttp://ja.scp-wiki.net/scp-131


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捨て艦娘の行方

とある鎮守府にて、砂川と呼ばれる提督は艦娘を指揮していた。鎮守府内では、艦娘達に暴力を振るい、酷使する艦娘達の間で悪い意味で有名な男だった。

砂川提督は現在、水雷戦隊を編成し、バシー諸島周辺の探索をしていた。

 

『敵艦隊の攻撃によって天龍さん、多磨さん、長月、…3人が大破したわ。これ以上はもうだめね』

 

駆逐艦、霞からの通信が執務室の中に届く。砂川提督は考える間も無く、冷静に言った。

 

『大破進撃だ…進め』

 

『なっ…!!』

 

『別に、代わりはいくらでも居る。所詮お前達は人間の形をした兵器に過ぎんのだ。まぁ、身体の具合は上出来だがな。霞、生意気な態度を取ったので君達にはそこで沈んでもらうよ』

 

葉巻を2度、3度吹かしながら天井を見上げる。砂川提督の頭にはもう夜の相手は誰にしてもらうかと、考えていた。

 

『今日の相手は愛宕に決まりだな。ん?どうした?早く進まないか?』

 

『…この…!クソ提督…!死ね!!』

 

『では、さよなら』

 

ガチャンと通信を切断し、執務室から砂川提督は出ていった。夜の相手を誘うために。

 

そして、編成した水雷戦隊はその鎮守府には戻ってくる事は無かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おい!しっかりしろ!」

 

朝、提督が砂浜で北方棲姫と一緒に散歩をしていると打ち上げられている艦娘達を発見した。損傷は激しく、艤装がボロボロだ。此処の周辺じゃない『何処か』で戦闘をして流れついたのだろう。なんらかの異常を察知したのか、地面から水面のように波打ちはじめその中から頭がオオクチバスの憲兵さんが現れた。北方棲姫は提督の後ろに隠れて様子を見ている。

 

「ビックリした…じゃなくて急いでこの子達を入渠ドックに運んでやってくれ!頼む」

 

憲兵さんは手をグッとすると、再び砂浜が水面のように波打ちはじめ、そこから憲兵さんが6体現れ、艦娘を担ぎ地面に消えていった。

 

「北方ちゃん、散歩はまた明日だね。今からあの子達の看病をしてくるよ」

 

「…分カッタ。烈風デ許ス」

 

「作ってあげるから!じゃあ急ぐよー!」

 

北方ちゃんを抱っこしながら鎮守府に急いで戻った。憲兵さんは既に戻っており、紙を渡してきた。紙には『しゅうふくバケツをにんずうぶんつかって、いむしつにねかせてあげました』と書かれていた。

 

北方ちゃんを港湾棲姫さんの所に持って行き、医務室へと急いだ。

 

 

 

医務室に入ると、1人が目を覚ましていた。

眼帯をしている艦娘と目があった。

近くに行き、椅子に座って見つめる。

 

「ここは一体…それに…アンタは誰だ?」

 

「佐久間と言う…。この鎮守府の提督だ。えっと…何があったか覚えているか?」

 

「あぁ…思い出すだけでもあの提督を殺したくなってくる。オレの名前は天龍…だ。助けてくれてありがとう…。俺達は…捨て艦だ」

 

「捨て艦…!?」

 

「あぁ。オレ達はあの鎮守府から捨てられた。いわゆる要らない艦だ。なあ…オレ達は噂の鎮守府に流れ着いたって事か?」

 

「噂の鎮守府…?」

 

「少し離れた場所にある鎮守府。そして、この周辺だけは一切深海棲艦と戦いをしない場所。そして不可思議な物が沢山置いている所って、オレが居た鎮守府では艦娘達の間では話題になってたぜ」

 

「そうか…。それで天龍は…どうしたい?元の場所に帰るか…ここに残るか」

 

「あの場所に戻るなんて絶対に嫌だ。嫌だ……」

 

「よく頑張ったな…。さぁ、ゆっくり休んでくれ…」

 

「あぁ…すまないな…」

 

天龍はそう言う横になって布団を被った。話を聞く限りこの子達は大変な目に合っていたのだろう。場所には心当たりがある。眠っているこの子達の話を聞いてあげて、後にこの子達が居た鎮守府に電話をかける決意をした。



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くすぐり霞

「う……あ…ここは…?」

 

天龍が寝て1時間後に他の艦娘が目を覚ました。資料では見た事があるが、朝潮型駆逐艦十番艦の霞で間違いないようだ。

 

「気が付いたかい?」

 

優しく声を掛けるが、かなり怯えているようだ。それもそうだろう。天龍から聞く限りでは、酷い扱いを受けたのだから。

 

「ひっ…!!だ、誰よアンタ…」

 

「佐久間と言う。ここの鎮守府の提督だ。君達が知っている鎮守府とは少し違う所があるが…」

 

 

「…佐久間…?聞いた事あるわね。深海棲艦さえも味方につける楽園のような鎮守府…クズ司令官が何か言ってたような気がするわ。ところで私達を助けてどうするつもり?あのクズ司令官と一緒な事をするつもりかしら?」

 

「…俺は助けたお前達を保護したい。此処に居てもらいたい。天龍から聞いたが、酷い扱いを受けてたんだろう?」

 

「…そうよ。凌辱されたり、暴力を振るわれたりしたわ…。…それが、あの鎮守府では当たり前にあるのよ」

 

…聞くと酷い話だ。1度その提督に会って顔を拝みたいものだ。…まぁ、電話は掛けるんだが…。

 

ふと、医務室の扉が開いた。誰か入ってきたのかなと思って扉の方を霞と見てみるとどうやら艦娘ではないらしい。

 

「……何なのよあれ?」

 

「くすぐりお化けだよ」

 

「お化け?…あれが?」

 

ゲル状で半透明でまとまりがなく、オレンジ色をした大きなスライムのような物が医務室の中に入ってきた。

 

霞がいる方に向かって行っているようだ。

 

 

チラリと霞の方に目をやると、表情が固まっており不気味なモノを見るような目をしていて、くすぐりお化けの方を凝視していた。

やがてベッドに上がってきており、霞の近くまでやってきた。

「何も害はないから触ってごらん?」

 

「…」

 

ゆっくりとだが、言われるがまま霞は手を伸ばしてくすぐりお化けを触ろうとする。触れようとすると、『くぅくぅ』と言う音を散らしながら手を合わせるようにオレンジ色のゲル状が包み込んだ。

 

「ふふ…なんだかこの子を触っていると心地よくて…どういう事か分からないけど気分が良くなってくるわ…♪」

 

「よかった…。暫く遊んであげてね」

 

そう言うと霞はくすぐりお化けを指先で突っついたり一部分を摘んだりしていた。

 

「貴方が最初から私の司令官になってたら良かったのに…。あの鎮守府には二度と戻らないわ。あっ、ちょ、ちょっと!この子どこはいってるのよ!?ひゃう!?あはっ、くすぐったいからやめなさいっ!あははは!」

 

くすぐりお化けにくすぐられており、布団の上でバタバタと暴れている。…落ちなければいいが…。

席を離れ、他の艦娘達の様子を見る。まだ寝ており暫く起きそうにない。起きたとしても、くすぐりお化けに任したらいいだろう。この子達が居た鎮守府に電話をしようと思い執務室に戻る事にした。




SCP-999
「くすぐりオバケ」

ttp://ja.scp-wiki.net/scp-999


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Heart Attack on a Plate

執務室に戻ると陸奧がソファーの所で横になって眠っていた。待ち疲れて寝てしまったのかな?大変申し訳ない事をしてしまった。

椅子に腰を掛けて受話器を取る。霞達が着任していたあの鎮守府に電話を掛ける事にした。罵声をかなり浴びせたいがここは我慢だ。

 

『…もしもし?こちら■■■鎮守府ですが?』

 

「貴方の所の艦娘が流れ着いて預かっているんだが、どうやら彼女達は戻りたくないらしい」

 

『はぁ…今は取り込み中なんでな、下らない話は今度にしてくれ。そんな面白くない艦娘は要らないのだ。俺が不要と思った艦娘を保護してくれる場所なんだろう?貴方の鎮守府は』

 

ガチャンと受話器を置かれ、そう言われて一方的に電話を切られた。何も言い返す事もないまま。ただ、立ち尽くすだけだった。

 

「……」

 

 

 

 

 

 

砂川提督は電話を終らせて執務室から出る。

長い廊下を歩いていると、金剛型戦艦3番艦、榛名と遭遇した。いやらしい微笑みを浮かべて榛名の肩をポンッと1回叩く。榛名は砂川提督を見た瞬間硬直しており逃げる事は出来なかった。

 

『今夜の夜の相手は君だな。業務が終わった後、来るように。いいね?』

 

「はい……榛名でよろしければ…」

 

そう言い残して残して砂川提督は食堂に向かった。後ろ姿を眺めながら誰にも聞こえないように独り言を呟いた

 

「助けて…」

 

 

 

食堂に入ると賑やかだったのが、砂川提督が入ると静かになった。そんな事は気にせず、今日の食堂の当番、鳳翔に声を掛ける。

 

『おい、ご飯を早くしろ 』

 

「は、はいっ!」

 

数分待つことによって、今日の食事が出される。この鎮守府では艦娘の補給は極限に少なく、砂川提督の料理だけが豪華なのだ。綺麗なサーモンピンクのお皿に豪華な料理が並んでいて食欲をそそられる。お皿の端には「Last Chance Diner」と小さな文字で書かれていた事は砂川提督は気付かなかった。

 

『今日のは豪華だな。美味しそうだ』

適当な場所に座り、料理を食べようと口に運ぶ。いつものより美味しくて、食欲が止まらなかった。食べるのが止まらなかった。他人から見ればその光景は異様だった。艦娘達は砂川提督が食べているのを凝視していた。

 

綺麗に平らげてその5分後、砂川提督に異変が起きた。胸、心臓辺りを押さえつけ苦しそうにしている。ガタンッと椅子も倒れると同時に砂川提督も倒れる。もがき苦しんでおり、今にも死にそうになっていた。

 

『鳳…翔…!おまぇ……なにを…やっ……た…』

 

鳳翔は近付き、微笑みながら提督を見つめる。何も言わず、ただ平らげたお皿を回収をして洗おうとしていた。

 

数分もしないうちに砂川提督は身体を激しく痙攣させて、動かなくなった。彼は心臓麻痺で亡くなってしまったのだ。

 

 

 

 

 

この日を迎えて、ここに着任していた艦娘と妖精さんは全員失踪した。何処かに消えていき、形跡もない。ただ残るのは砂川提督の死体だけだった





SCP-807
「心臓直撃ディナープレート」
ttp://ja.scp-wiki.net/scp-807


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保護

誤字報告をしていただきありがとうございます







 

数日後に、数名の艦娘と妖精さんが浜辺に流れ着いた。何処からか来たのかと尋ねると全員口を揃えて『砂川提督の鎮守府から逃げてきた』と言っていた。補給を受けてない艦娘は食堂に連れていき、大破状態で放置されていた艦娘は入渠ドックに案内した。

そして現在、執務室で鳳翔さんととある事について雑談をしていた。目の前にはサーモンピンクのお皿がある。あの鎮守府で起きた出来事を全て話をしてもらった。

 

「えっと…このお皿を使ってあの…ごほん、砂川提督を殺したのかい?」

 

「…はい。私がやりました…」

 

鳳翔さんは俯き、表情は分からないが落ち込んでいるように見える。正直言って、砂川提督を殺したのは良かったと思う。問題は違う所だ。鳳翔さんはどうやってこのお皿の使い方を何処で学んだのか非常に気になっていた。

 

「…別に鳳翔さんを責める訳じゃないんだ。鳳翔さんがやった事は艦娘達を救った、違う言い方をすればあの鎮守府から解放したのが正しいのかな?自分で何を言っているか分からないけど、とにかく!鳳翔さんは悪くないよ。ごめんね」

 

「…はい」

 

「所で、このお皿の使い方は知っていたのかい?」

 

「…私があの鎮守府に着任する前、とある人に使い方を教えてもらったんです。夢の中ですけど…」

 

「夢の中…?」

 

「夢の中ですけど、リチャードと言う人です。彼は私が着任する鎮守府の事、少し先の未来の事、そしてこのお皿がある場所を教えてくれました」

 

「夢の中か…。不思議な事もあるものだなぁ…」

 

お皿を手に持ち、高価な物を管理する金庫の中に仕舞う。間違っても食堂に出しちゃいけない。鳳翔さんの話を聞く限りこれは危険な物だ。

 

金庫の中にしまった事を確認し、再び座る。

 

「…私は…どうなるんでしょうか…。解体ですか…?」

 

「まぁ、適当にこの鎮守府で過ごしたらいいよ。料理屋さんでも開いても構わないし、自由にしていいよ。ただし、深海棲艦達とも仲良くしてね。これが鎮守府のルールだから。後は何があっても守るから」

 

立ち上がって鳳翔さんの頭を撫でる。少し顔を赤くしていたが、風邪なのだろうか?ゆっくり休んでもらいたい。

ノックの音がして扉が開く。中に入ってきたのは飛行場姫と湾港棲姫だった。

 

「提督、艦娘達ノ入渠オワッタワ」

 

「コチラモ補給関連ハオワッタ。間宮サントピザボックスガ頑張ッテクレタ」

 

「あぁ、ありがとう!君達もゆっくり休んでくれ」

 

「…ン。行コウ。鳳翔。貴女モ行クワヨ。部屋、案内スル」

 

湾港棲姫と飛行場姫に手を繋がれてしまって鳳翔さんは執務室から連れ出された。今後も仲良くしてくれる事を願う事にしよう。

 

 

「しれいかん〜♪」

 

執務室から出ると駆逐艦の文月が抱き着いてきた。嬉しそうにしており、何か機嫌がいいようだ。

 

「えへへ〜あのね、鎮守府から離れた場所に沢山向日葵が咲いていたの〜。綺麗だから一緒に見に行きたいな〜♪」

 

「向日葵?あったかなぁ…。うーん…気分転換に見に行くか…」

 

「わーい♪じゃあ行こう〜♪」



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ひまわり

「えへへ、こっちだよぉ〜」

 

「おー…」

 

鎮守府から連れ出され、30分程歩いた所に向日葵咲いている場所があるらしい。よくそのような所に咲いていたものだ。文月はべったりと腕に抱き着いている。

 

「そういえば、どうやって見つけたんだ?」

 

「えーとね、皐月お姉ちゃんと一緒に探検していたら見つけたの〜」

 

「探検するのはいいが、あんまり無茶したらダメだよ」

 

「はーい♪あっ、着いたよぉ〜」

 

 

 

連れて来られた場所にら辺り一面、向日葵が咲いていた。花の部分がこちらの方を向いて、見つめられているような気がする。

…気のせいだろうか?

 

「この向日葵はね、水をあげると声がするんだよぉ」

 

「ははは、文月は向日葵と会話が出来るのかい?凄いなぁ」

 

「ち、違うもん!本当なんだから〜」

 

頬を膨らませ、ジト目で見てくる。よしよしと頭を撫でてやると、顔が真っ赤になり「あぅあぅ」と呟いていた。

 

 

「あっ、水やりしなきゃ。しれいかんも手伝って〜♪」

 

 

文月から水の入ったじょうろを受け取り、向日葵に水をやった。すると、風のせいなのかゆらゆらと揺れ嬉しそうにしていたような気がした。

 

『あはは♪』

 

 

…確かに、向日葵から笑い声がした。これは嬉しがっているのだろうか?穏やかな風が吹き、自然と欠伸が出る。文月はしゃがんで水をやっており、微笑みながら向日葵に語りかけている。

 

「元気に育ってね〜♪」

 

 

「あっ…文月…少し疲れたからあっちにある木の木陰で休んでくるよ」

 

「あたしも行ってもいぃ?しれいかんと一緒に休憩したいなぁ♪」

 

「うん。いいよ」

 

文月は再び近付き、腕に抱き着いてきた。少し頭を撫で、木の木陰まで移動して、座る。お弁当でも作って持ってきたら良かっと思ってしまうぐらいだ。

 

「はぁぁ…こうやってゆっくりするのも久しぶりだなぁ」

 

「最近、しれいかん忙しそうだったからね〜。暁ちゃんは元気になったの〜?」

 

「お薬を飲んだら元気になって今は異常無しかな?本当に効いてよかったよ」

 

本当にあの薬が効いてくれてよかった。飲んで数日後に元気になって第六駆逐隊の皆と遊んでいたなぁ…

 

少しずつだが、あまりにも眠くて少しずつだが瞼が段々と重くなってきている。文月には悪いが、数十分だけ寝よう…。目を閉じ、数分後には眠りについていた。

 

「あれ?しれいかん…?…しれいかんの寝顔可愛い…大好きだよ」

 

 

 

 

 

 

 

夢を見ていた。

自分は何処かの研究員になっており、この向日葵が沢山咲いた場所に1人の男と一緒に居る。男はジョウロで水やりをしており、自分の子供と話をしているかのように向日葵に語りかけていた。

 

『なぁ…■■■。俺が水やりしている所を写真で撮ってくれないか?もしかしたら俺の最後かも知れないからな』

 

そう言われて、カメラで写真を撮る。向日葵もカメラ目線になっており、男の方もいい笑顔で綺麗に写っていた。

 

『ありがとう。これで良い思い出が作れたよ。その写真はアンタが持っていてくれ。そして、俺からのお願いを聞いてくれるか?』

 

小さく頷いて、男の目を見る。

 

 

 

 

『頼む。この子たちを殺さないでくれ』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「今のは一体…」

 

 

目が覚めると夕方になっていた。文月も

横で寝ており、むにゃむにゃと寝言を言っている。胸ポケット辺りに違和感があったので、探ってみると写真が1枚だけ出てきた。見てみると、夢の中で撮った写真だった。少し眺めてから胸ポケットに仕舞い、文月を抱き抱えて鎮守府に戻る事にした。

 




SCP-324-jp
「私はあなただけを見つめる」
ttp://ja.scp-wiki.net/scp-324-jp
kazz4423様作


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人形焼

ほのぼのしてます。


「アー…提督、今大丈夫?」

 

湾港棲姫が執務室にやってきた。飛行場姫は頻繁に来るのだが、湾港棲姫が来るのは結構珍しい事だ。

 

「どうしたの?」

 

「…ホッポノ様子ガオカシイ。御飯食べナイ」

 

「機嫌でも悪いのかな?いつから食べてないの?」

 

「4日前グライカラ、オ肉食ベナイヨウニナッタ。『生キテイタモノヲ殺シテマデ食ベル事ナンテ出来ナイ』トカ言ッテイタ。取リ敢エズ部屋二来テホシイ」

 

 

 

 

 

 

 

部屋に案内されると北方棲姫が座って小さい何かと会話していて、その不思議な光景を見ている飛行場姫がオドオドしていた。

 

「アッ!提督!丁度良カッタ…。ホッポチャンガ食堂カラ人形焼ミタイナ食ベ物ヲ持ッテキテ会話シテル!!」

 

湾港棲姫と近付いて様子を見ると、小さな人形焼が土下座をしながら北方棲姫とお話をしていた。

 

『ですから!私を食べて下さい!!お願いします!』

 

「デモ…可哀想ダカラ…」

 

『でもでもだってでもじゃないのです!私は食べられるために生まれて来たのです!食べられなければ、それは人形焼としての資格がないっ!そうでしょう!?』

 

「ウー…。確カニ…」

 

『お願いします!私を食べて下さい!』

 

 

なんだこの光景は…。

どうしたらいいか分からず、ただ見つめる事しか出来なかった。

 

『ほら!パパも来ましたよ!これで私も食べられますね!お父様も私を食べるように説得して下さい!』

 

「…ほっぽちゃん?食べてあげなきゃ可哀想だよ?何だか凄い罪悪感を感じるけど…。ね?食べたらなんでも言う事聞くから」

 

『ホント?』

 

「うん。嘘はつかないよ」

 

「ジャア、烈風トパパガ欲シイ」

 

「ははは…えっ?」

 

周りの雰囲気が一瞬だけ時が止まったような気がした。烈風はいいとして…問題は「パパ」の方だ。後ろを振り向くと、飛行場姫と湾港棲姫がこちらの方を見ており「「分カッテイルワヨネ?」」と言う視線を送りつけている。本当に困った。

 

答える事なく無言で人形焼を掴み、口の中に放り込む。人形焼は『あーっ!ありがとうございます!!』と言う言葉を残し、胃の中に収まったのであった。食べた後の罪悪感が凄い。食欲が沸かなくなりそうだ。

 

「デ、提督ハ誰ヲ選ブノ?オ姉チャンジャナク勿論私ヨネ?」

 

「イヤイヤ、飛行場姫ハ大丈夫ヨ。私二決マッテイル」

 

「「……」」

 

飛行場姫と湾港棲姫がお互い睨む。本当にどうしてこんな事になってしまったんだ…。

 

「あっあっ…。えっと…北方ちゃ…ごほん。ほっぽちゃんの事で部屋に来たのに何故こんな事になった…。それより大丈夫かい?」

 

「提督ト一緒二居タラ食欲ガ沸イテ来タ!ゴ飯食べタイ!オ肉食ベタイ!」

 

「食堂に行こうか」

 

「ウン!」

 

 




次回もほのぼのです。

SCP-270-jp
「悪意なき人形焼」
ttp://ja.scp-wiki.net/scp-270-jp
dr_toraya様作


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とても平和な1日

疲労しながら執務室に入ると、机の上に猫が座っていた。

ねずみ色の模様で、身体が上半身しかない猫だった。最初に見た時は執務室の扉を開けたり閉めたり動揺してた。そんな事をしていると多摩がやってきたのだ。

 

「あっ、提督にゃ。ジョーシーちゃん知らないかにゃ?」

 

「ジョーシーって誰…?」

 

「多摩の部屋で住んでいる猫にゃ。身体が半分しかないのに普通の猫のように移動するにゃ……あっ、あんな所に居たにゃ」

 

執務室でジョーシーを見つけると多摩は近寄って頭を撫でてから抱いた。

 

「身体が半分しかないのに不思議な猫だな…」

 

多摩に抱かれたジョーシーの頭を撫でる。すると、喉をゴロゴロを鳴らしてご機嫌そうにしていた。ついでに多摩の頭も撫でてあげることにした。少し顔が赤くなってそのままパタパタと何処かに行ってしまった。

 

 

「さて…書類を書いて片付けないとな…。あぁ…もう邪魔しないでくれ…」

 

机の上の書類を書こうとすると、何処からやってきたのか、落書きをして描いたようなねこが書類の上で座っている。いや、ねこが居る。ちなみにねこが見え初めてから誰にもねこの事を喋っていない。1度喋ってしまうと伝染る可能性があるからだ。…まぁ、実際に暁から話を聞いてこうなってしまったのだが…。

 

「退いてくれなきゃ仕事が出来ないんだが…」

 

そして、書類の上に香箱座りをしてしまい一向に動こうとしない。なんだこのねこは…。

 

『……』

 

「人間のような目をしやがって…」

 

両手で頬らしき所を触りながらねこの邪魔をする。引っ掻かれる事はなく凝視しながらこちらを見ているだけだ。害はない…はず。

 

「…提督。なにしてるの?」

 

「!?あ、あぁ…陸奥か。ノックして入ってきてほしいな」

 

「ノックしたのに返事が無かったからつい入っちゃった。ねぇ?そういえば…風の噂で聞いたのだけれど…パパになるってどういう事?」

 

「いや、あー…あれは違う…多分…」

 

「多分ってどういう事よ?誰かと結婚するの?私以外の人と?そんなの絶対許さない。私じゃ不満なの?あの時の約束は嘘だったの?」

 

いつの間にか艤装を展開してじりじりと迫ってきている。非常に怖い。ねこよりも陸奥が怖い。ねこも消えている。

 

「私の物って言ったのに…。提督は私から離れようとするのね…」

 

「陸奥と一緒に居たいんだけどなぁ…。落ち着いてよ。今日は一緒に居よう?ね?」

 

「…今日の夜一緒に寝てくれたら許してあげる」

 

「分かった。じゃあ…書類を手伝ってくれないかな?」

 

「…お姉さんに任せてね。これが終わったら一緒に食事をして一緒にお部屋に帰って夜を明かしましょう?」

 

 

陸奥の機嫌も直り、何とか穏便に済ませたが今日の夜は寝れなくなりそうだ…。

 




次回はコラボ回です。ありがとうございます!

SCP-529
「半身猫のジョーシー」
ttp://ja.scp-wiki.net/scp-529


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来客者①

この回はコラボになります。
輪音さんが書いている作品「はこちん!」の艦娘が出てきます。
ありがとうございます。


それはいつもとは違う日だった。朝、鎮守府に居る艦娘と深海棲艦が食堂に招集がかかった。

 

「何事なのです?」

 

「珍しいわね…」

 

「全員が集められるなんて…何かあったのかしら?」

 

「マサカ、提督ガ結婚スルトカ…?ソノ報告ノタメダケニ…コンナ朝早クカラ起コサレタノカ…?」

 

「そんな訳ないでしょ。あははは……」

 

飛行場姫の発言で軽い笑い声が聞こえるが全員目は笑ってなく、顔も真顔のままだった。そうしている内に5分が経過しており、提督が資料を持って遅れてやってきた。

 

「遅れてすまない…。実は君達に大変なお知らせがある」

 

そう言うと、辺りは不気味な程に静かになり提督の発言を皆待っているようだった。

 

「本日の任務は全員で、ケーキを食べ尽くす事。編成を発表するね」

 

「……ん?提督?もう一回言ってくれる?」

 

「ケーキ…つまり甘味を食べ尽くすんだ。全員で。これは鎮守府にも影響が出る」

 

「タカガケーキデソンナ事ニナル。意味ガワカラナイ」

 

隅っこの方で座っていた北方棲姫を抱えている湾港棲姫が手を上げながら提督に質問をした。

 

「…そのケーキは無限増殖するんだ」

 

「ハ?」

 

「今の状態は270個だが、空母組が虫歯になって一時的にギブアップした。これは即ち大変な事。鎮守府の危機だ。のんびりしている場合じゃない。で、編成は…やっぱり全員ついてきて」

 

連れて行こうとする時、榛名が走ってきて扉の前に立ち塞がった。

 

「提督、来客者です」

 

「この鎮守府に…?」

 

「はい。数は6人。何処かの第一艦隊だと思います」

 

「…うーん。分かった。出迎えるよ。榛名…これを渡すから代わりに皆を案内してあげてくれないか?場所はその地図に書いてある」

 

「えっ!?は、はい…分かりました…」

 

榛名に持ってきた資料を渡し、提督はその場を去った…。

 

 

 

 

 

 

 

「…久しぶりに…走ったら…疲れた…」

 

目撃場所に辿り着くと榛名が言った通り6人が既に陸から上がって来ておりウロウロしているようだ。よく見てみると吹雪、島風、加賀、長門、戦艦棲姫、後見た事もない艦娘が居た。こちらに気付き、戦艦の長門が近付いて来た。

 

「失礼。貴方はここの島の提督なのだろうか?」

 

「えっとそうだけど…。君達は一体どうしてこんな所に…?」

 

「いや、全く私達にも分からない。遠征帰りに何故だか急に鎮守府のある場所ではなく『西』方面に行きたかったんだ。だけど羅針盤が急に…」

 

「狂ったように回り出したのよ。そして『西』から逸れてここに辿り着いたわけ。戦艦のネヴァダよ。よろしくね♪」

 

ネヴァダと名乗った艦娘と握手をする。資料の中では見た事がない艦娘だった。

 

「それでなんだけど…私達が着任している函館鎮守府に電話をしたいの。貴方の鎮守府まで案内してくれるかしら?」

 

「あぁ…大丈夫だよ。それと、うちの鎮守府は変わっているけど気にしないでね。じゃあ…こっちだよ。……それにしても『西』に進まなくて本当に良かった…」

 

「あのまま進むと何かあったのかしら?」

 

ネヴァダの後ろに居た加賀が首を傾げながら付いて来る。その後ろには島風、吹雪、戦艦棲姫の並びだった。

 

 

「世界の端が見えてしまうからね。詳しい事は執務室で話すよ」

 

 




SCP-1372
「真西」
ttp://ja.scp-wiki.net/scp-1372


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ゅゅゆ②

執務室まで、案内すると何故か扉の前に頭がオオクチバスの憲兵さんが2人立っていた。誰かが頼んだのだろうか。6名とも初めて見る光景なのか、固まっている。

 

「この憲兵は害は無いよ。こちらから与えない限り。安心してくれて構わない。入ってくれ」

 

扉を開けて中まで入ってくるのを待つ。警戒をしているのだろうか恐る恐るだが、5名は執務室に入ってソファーに座った。駆逐艦の島風は憲兵をじっくり見ており、服を突っついたり引っ張ったりしている。憲兵は反応はしなかった。

「なぁ、ここの提督さんよ。この憲兵はずっと立っているままで機能はしているのか?」

 

…本当に島風なのだろうか?どうやら自分の知っている島風ではなかったようだ。その台詞はまさに男らしく、中身は男なのでは?と思うぐらいだ。

 

「その憲兵に触れられると即座に一瞬で意識を失うぐらいには機能していると思う…」

 

「ふむ、普通そんな事は有り得ないんだがな 」

 

そう言いながら何かを考える素振りをしながら吹雪の横に座る。

 

「何か疑問に思った事があるかな?」

 

戦艦棲姫が手を上げる。

 

「艦娘が見当たらないのと、先程の事を説明してほしいわ。ここは本当に鎮守府なの?」

 

「世間一般からは隠蔽されているけどね。簡単に明かせるような場所じゃないんだ。うちの艦娘達はケーキを食べに行っているよ」

 

「ケーキ!?いいなぁ…」

 

「明かせるような場所じゃない…?まさか、此処はブラック鎮守府か?」

 

「いや、元ブラック鎮守府だったらしい。着任して資料を見て気付いた。前の提督は艦娘に対して色んな事をやってたみたいななんだ」

 

そう言いながら長門達に此処の資料を渡す。険しい顔つきになり、時々顔を見られながら資料を見ていた。3枚目を見ようとした時、資料に異変が起きた。

 

「ちょっと待って。この3枚目の資料は少しおかしい。文字が穴あきになっているぞ」

 

「長門。此処を見て。資料の中に何か泳いでいるわ」

 

ネヴァダが資料の端を指を指す。『ゆ』と書かれている文字が動き、文字を食べていた。

 

「…ゅゅゆ……?…文字を食べてる…。まるで魚みたいだな…」

 

ゆゆ ~ゆゅ ごはん

たくさん

~ゆゅゆ すすめ~

 

「文字が文字を食べるなんて初めて見ました。私の提督に報告したいぐらいです」

 

加賀は資料を見ながらぽつりと話す。そうしている間にも文字は食べられ続けていた。

 

「…私達が行こうとしていた西端の事も教えてくれ。あのまま私達が行っているとどうなっていた?」

 

「死ぬのかな…?向こう側の知識を持ってこちら側には還ってこれるが…理解したくないんだ。まぁ…喋ってしまうと伝染病のようなものらしい。とりあえず絶対に行くな」

 

長門が腕を組ながら、顔を見つめてくる。疑っているのだろうか?確かに疑われても仕方がない事だ。

 

「とりあえず分かった。近付かない事にする。忠告ありがとう…ところで通信機器を貸してくれないか?鎮守府に連絡を入れたい」

 

「分かった。こちらに来てすまないが少しだけ手伝ってほしい事があるんだ。鎮守府の危機でもあり、世界の危機でもある。うちの艦娘達では人数が足りないんだ」

 

互いに顔を見合わせた後、長門が睨みながら顔をこちらに向ける。

 

「どんな事をさせる気だ?場合に寄っては…」

 

 

 

「ケーキを食べてほしい。増え続けるケーキを」




SCP-132jp
「紙魚入る」
ttp://ja.scp-wiki.net/scp-132-jp
locker様作


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景気のいいケーキ③

投稿が遅れました。


長門が着任している鎮守府に連絡を取っている間、ケーキの事について話をした。

そしてしばらく経った後、長門が連絡を終え6人をとある場所に案内している最中だ。

 

「ケーキで世界の危機…?ごめんなさい。意味がわかりませんわ」

 

「ネヴァダと同意見よ。詳しく説明してもらえるかしら?」

 

「食べなければ増え続けるケーキとしか言い様がないな」

 

「処分したらいいのでは?」

 

「いや、試したけど瞬時に再生されたよ。あれは食べなければ消費されない性質だった。まぁ食べても24時間後には何事も無かったようにケーキがお皿の上に現れるんだけどね…」

 

そうして話をしながら鎮守府から少し離れた小屋に到着した。入口の前では駆逐イ級がお腹を大きくして横になっている。これは…ケーキを食べ過ぎて中破している…。

 

「それ深海棲艦の駆逐イ級か?どうしてこんなところに居る?」

 

「此処では深海棲艦達と争い事は無いんだ。…保護してるって事になるのかな?こっちだよ」

 

イ級を後回しにして、6人を小屋の中に招き入れる。その小屋の中には地下室へと続く階段があった。

 

「足元くらいから気を付けてね」

 

「なんだか秘密基地みたいで憧れますね。私の鎮守府でもあったらいいなぁ」

 

「吹雪、それはないと思うが」

 

「そうかなぁ…」

 

島風と吹雪が会話しており、長門とネヴァダは無言でいて、加賀と戦艦棲姫は何か喋ってるのが分かるが会話は聞き取れなかった。

そうしていると、地下室の扉の前に到着した。扉を開けるとそこには広い廊下があり、扉が8つある。廊下ではケーキを食べ終えた艦娘達がぐったりと横たわって居た。

 

横になっていた天龍に話をかけてみる事にした。天龍は苦しそうにお腹を抑えている

 

「臨時の応援を連れてきたんだけど…ケーキは全部屋でいくつぐらいあるかな?」

 

「合わせて184個ぐらいじゃないのか?途中から数えるの止めたから適当に言ったけど。オレはもう当分甘い物は控えたいな…。初任務がコレか…。ケーキはもう暫く見たくないな」

 

そう言って天龍は寝てしまった。余程疲れていたのだろう。後で、起こして歯磨きをするように言っておこう…。

 

「…まぁ気にしないでくれ。んで、君達は此処の部屋に入ってもらってケーキを食べてもらうんだけど…大丈夫かな?」

 

6人は首を縦に頷いた。天龍が横になっている近くの扉を開けると、其処にはテーブルの上の食器に何種類かのカップケーキ、2mぐらいあるバウムクーヘンが切られて食器の上に置かれている。見渡す限りでテーブルを埋め尽くす程のケーキがあった。

 

「…ケーキのいいケーキ」

 

「加賀…何を言っているんだ…。ごほん、とりあえずここにあるケーキを食べ尽くしたらいいのだな?」

 

長門が気合いを入れて椅子に座る。他の5人は苦笑いをしながら椅子に座りはじめていた。

 

「あぁ…頼む。君達に此処の部屋のケーキを 任せるよ。自分は他の部屋の様子を見てくる」

 

 

そう言って部屋から出て行った。

 

 

彼女達は本当のケーキの恐ろしさを知らない。いくつ食べても増え続けるケーキを。食べなければこの地球がケーキで埋め尽くされるのを。




SCP-871
「景気のいいケーキ」
ttp://ja.scp-wiki.net/scp-871


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かき氷

「あついー…死ぬー…」

 

真夏。暑い日差しが照らす中、執務室では扇風機を回していた。冷房機能が付いている機械があるのだが、壊れてしまった。袖を捲って書類を書いているが汗でくっついたりしており仕事している場合じゃ無かった。今日の秘書艦は天龍だ。ソファーの上で伸びており、扇風機を独り占めしている。

 

 

「おーい、天龍。扇風機を独り占めしないでくれー…」

 

「いや、だって暑いし…提督なら大丈夫じゃん?それより駆逐艦の奴らもバテてるんじゃないのか?」

 

「あの子達は部屋で涼しんでると思うよ。陸奥は飛行場姫と出掛けて居ないし。他の子達は水着に着替えて海で遊んでるんじゃないかな?」

 

「本当に自由だよなこの鎮守府…。まぁ縛られるよりはマシかな…。そういえば提督、此処にはかき氷は無いのか?」

 

天龍の言葉の『氷』で思い出した。あるにはあるが、使い道が分からない不思議な物が業務用の冷凍庫に入っているのを思い出した。氷柱で覆われている水着が存在していたはずだ。

 

「かき氷なら食堂に行ったらあると思うが…。行く?」

 

「おう!そう来なくちゃっなぁ!行くか」

 

仕事を放り投げて、天龍と一緒に食堂に行く事にした。

 

 

 

 

「かき氷…ですか…?ただ、問題がありまして…あるにはあるのですが…どうしたら良いのか分からなくて…」

 

食堂に居た鳳翔さんに天龍が尋ねてみると、困ったような表情をしていた。

 

「えっ、手の平に乗るぐらいのサイズの氷じゃないのか?オレはてっきりそうだと…」

 

「提督ならご存知のはずですが…」

 

「あ、あぁ…。じゃあ冷凍庫少し見させてもらっていいかな?」

 

 

冷凍庫まで案内してもらい、扉を開ける。中には氷柱で覆われているスクール水着があった。

 

「えっ」

 

「…」

 

唖然である。ただ、氷柱がかなり冷たくなっており冷凍庫としての機能は確かに働いていた。

 

「言っとくけど俺の趣味じゃないからな…。着任した時にあったんだ。この氷は鋸か衝撃を与えたらで砕けるよ…」

 

「これがこのまま使えるぐらいのかき氷機があったら良いのですが…。くるくる回せるかき氷機が…」

 

「流石にないと思うよ鳳翔さん…」

 

「じゃあオレの艤装で少しずつ砕いていくっていうのはどうだ?凄い名案だろ?」

 

「名案だが、金槌で砕いた方が早くないか?」

 

「…確かに…じゃあオレはお皿を持ってくるよ」

 

「提督、金槌なら此処にあります!」

 

鳳翔さんが未使用の金槌を持って来てくれた。棚の上にあったらしい。金槌を持って上の方から大きめに砕いていく。天龍が皿の上に砕いた氷を乗せて鳳翔さんに渡し、鳳翔さんはかき氷機でかき氷を作っていた。

 

 

 

 

 

「この氷美味しいな!頭がキーンってならない」

 

「口の中で溶けてまろやかですね…。それにしてもあのままで大丈夫なのでしょうか?」

 

「アレは多少砕いても、元に戻るんだよ。鳳翔さんわざわざ作ってありがとうね」

 

そう言って鳳翔さんの顔を見る。顔が赤くなってきて可愛かった。こうしてかき氷を食べ終え、涼しくなった状態で執務室に戻る事にした。

 

 




SCP-081-jp
「永久ひんやり水着」
ttp://ja.scp-wiki.net/scp-081-jp


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[データ削除済]

「むむむ…またか…」

 

最近、鎮守府の回りに少し変な落書きがされている。壁にではなく、地面にだ。

人間の形をした図形の落書きがあちこちにされており、頭部の近くには折れたスナック菓子が置かれている。一体誰がこのような落書きをしたのだろうか?

 

書かれている落書きを見つめながら考え事をしていると、肩をトントンと叩かれた。

振り返って見ると、申し訳なさそうな顔をした榛名が居た。

 

「提督、聞いてほしい事があります。榛名の部屋まで来てほしいです」

 

ここでは言えない事なのだろうか?首を傾げながら榛名の後ろに付いて行った。

 

 

榛名が住んでいる部屋につくと扉に鍵をかけようとしていた。多分他の子に聞かれたくない事があるのだろう。近くにあった椅子に座り、榛名は真正面の椅子に座った。今の状態は榛名と向き合っており俯いたままだ。

 

「…で、どうかしたの?」

 

「実は…あの落書きに心当たりがあります」

 

「えっ、そうなのかい?俺はてっきり駆逐艦の子達が遊んで落書きして放置したのかと…」

 

「違います。えっと…数日前ぐらいにたまたま通りかかった時に、強い突風がきて…そしたら白い砂が集まってきてあの形を形成しました。そしたら出来上がってすぐぐらいに何処からかスナック菓子が転がってきて…頭部の付近で止まりました」

 

「ふむふむ、結構興味深い事が起きたんだな。とりあえず報告は以上かな?」

 

「以上ですかって…随分素っ気ない態度を取るんですね…」

 

「えっ、そんな事はないよ…。ご、ごめん…」

 

突然、榛名が立ち上がって提督に近付き椅子と一緒に押し倒した。訳が分からないまま押し倒されてしまい、椅子は蹴り飛ばされてしまった。榛名は馬乗りになって提督の両手を掴んだ。

 

「どうしてこんなに想っているのに、素っ気ない態度を取るんですか?提督を愛しているのに…どうして?」

 

手首が締め付けられ、いつの間にか艤装を展開しており『艦娘』としての能力を発揮していた。振りほどこうとするが、力が入らない。ギチギチという音がし今でも手首が折れそうになっている。

 

「や、やめてくれ…榛名!頼む…正気に戻ってくれ!」

 

 

 

「愛しているのに愛しているのに愛しているのに愛しているのに愛しているのに愛しているのに…!!!■■■■…!!」

 

「や、やめ…あ”あ”あ”ぁぁあ!!」

 

パキッと音がしてその内に両手に激痛がした。両手首が折れてしまい掴まれていた部分は青痣が出来ていた。榛名から離れようと必死にもがいているがどうする事も出来なかった。悶えていると今度は首を掴んできており、榛名と目が合った。

 

無表情で涙を流したまま何かを呟いていた。

 

「提督…ていとく…」

 

 

「ご……めん……。榛…名……ごめ……」

 

 

首を絞められて、意識が無くなりつつある中、最後に見た光景はなんだったのか分からなくなっていた。

 

 

 

 

 

[データ削除済]

 

 

 




SCP-085-jp
「うまい棒殺人事件」
ttp://ja.scp-wiki.net/scp-085-jp


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<音声ログ>

今回はセリフだけです。


 

[再生開始]

 

 

「そう言えば提督の様子はどうですか…?」

 

「…目は覚ましてないわ。あれから1ヶ月になるわね…。どうしてこんな事に…」

 

「確か…榛名さんが最初に見つけたんですよね?相当取り乱してたみたいですけど、何かあったのでしょうか?」

 

「提督が倒れていたみたいよ。私でも取り乱してしまうわ。明石さん、他の子達はどうしてるかしら?」

 

「あまり良いとは言えませんが…深海棲艦達は部屋に引き篭もったままですね。第六駆逐隊と天龍さんは遠征に行っています。後は…良く分からないモノ達は鎮守府を彷徨っていますね…。アレは何なのでしょうか…?」

 

「…本当に知りたい?」

 

「えっ?」

 

「私はあの子達の事を知っている。ただ知らない方がいい事も結構あるのよ?本当に知りたいの?」

 

「…はい!知らなくてはいけない事なので。まだ着任して間もないですけど、教えていただければ…」

 

「分かったわ…。あの子達は人智を超えた存在で科学では理解できないようなモノ。勿論、私達も含まれるわよ?本来なら、確保、収容、保護の3つが大事なんだけどね…」

 

「ま、待って下さい。それは野放しにしていたら大変な事になるんじゃ…」

 

「えぇ。明石さんの言う通り、野放しにしていたらこの世界なんて簡単に崩壊するわよ。まだ見つかってないモノが多すぎるから。でも、safeばかりなモノがこの鎮守府に集まるのは良いことなのかもね」

 

「貴女は一体…何処まで知っていて、何をしようとしているのですか?」

 

「私は…そうね…。[データ削除済] 」

 

「……そんな事あっては行けない事です!貴女だって納得出来ないはずでしょう!どうして…」

 

「確かに納得出来ない部分もあるでしょう。でも私はこれでいいわ。だって、私達が望んでいる事ですもの」

 

「私達…?」

 

「此処付近に居る深海棲艦達が襲って来ない理由って貴女分かるかしら…?」

 

「……分からないです。どうしてですか…?」

 

「争っても無意味だと悟ったらしいのよ。ふふ…長門にも聞かせてあげたいぐらいだわ」

 

「…貴女の姉妹艦の長門さんは此処には着任してないのですか?」

 

「してないわよ。あ、でも1度だけ…海域に長門の姿を見たことがあるわ。あれは長門であって私の知っている長門じゃなかった。そうね…過去の残骸の集まりだった。最近は見かけないけどね。もういい?提督のお世話をしないといけないから…。ごめんなさいね…」

 

「…今日はありがとうございます。えっと…インタビューを終了します」

 

[再生終了]

 

 




SCP-1264
「よみがえった残骸」
ttp://ja.scp-wiki.net/scp-1264


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辺りの景色は湖、そしていくつもの綺麗な花が咲いている。其処にはベンチが1つだけあった 。座って景色を見ながら湖を眺める。それにしても…

 

「なんで此処に居るんだっけ…」

 

『それは君が知っている事だ』

 

「…?貴方は…?」

 

いつの間にか彼はそこに居た。

 

『君が目を覚まさない限り物語は永久に進む事はないだろう。未完として終わるのか。完成させて終わるのか。私には分からないけどね。おっと…自己紹介がまだだったな…私の名前は…そうだな…何がいい?』

 

ビジネススーツを着た男は僕の顔を見ながら質問をしてきた。彼はニックネームをつけて欲しいのだろうか?

 

「ダン…なんてどうかな?」

 

『気が変わった。リチャードにしよう。では隣に失礼するよ』

 

リチャードと名乗った男は僕の隣に座った。男2人でこんな所はむさくるしいものだ。

 

『さてと…君は眠っている状態だ。それも2ヶ月。現世に残されたあの子達はどう思っているんだろうね』

 

「あの子達って…?一体…?」

 

『君が倒れた後、君は記憶処理をされた。そう。あの子達にね。私は見ていて、知っている。そしてSCP-■■■が後に生まれる事もね』

 

「SCP-■■■…?」

 

『まだ生まれてないからな。少なくともあの鎮守府には生まれないさ。ただ…おっと…君はもう目覚める時が』

 

「待ってくれ!SCPって一体なんなんだ!!もっと分かるように説明してくれー!」

 

景色が螺旋状を描き、綺麗だった風景はモノクロになり真っ暗な空間になった。

 

 

 

 

「…うぅ…ここは…」

 

夢から覚めると其処は医務室のような所だった。どうしてこんな所に居るのだろう…。まず、ここは一体何処なのだ…?

 

そんな事を考えていると医務室の扉が開き、1人の女の子…?と目が合う。肌は白くて目が赤く、容姿は人間のようだった。彼女の目には涙を浮かべて抱きついてきた。

 

「グスッ……アァ…良カッタ…。提督…心配シタンダカラ…!!モウ離サナイカラ…!」

 

優しく抱きしめると顔をうずくめ、彼女は泣いていた。戸惑っているが僕は何も『覚えてない』。彼女には言えないが僕自身も誰かわかる訳もなく、どうして此処に居るのかも分からないままでいた。ただひとつだけ言えるのは、僕は彼女に心配を掛けていたのだろう。1からやり直しだが、ゆっくりと進んで行くしかない。

 

「ミ、皆呼ンデクルカラ待ッテテ!知ラセテクルカラ!」

 

「うん…。待ってるよ」

 

そう言って彼女は僕の元から離れて、医務室から出ていった。…どうやら僕は沢山の人に迷惑を掛けていた可能性がある。まず、会ったら謝らないとな…。

 




SCP-990
「ドリームマン」
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ミスター・おさかな

目覚めてから1週間後、体調は順調に回復し業務を出来るようになった。色んな艦娘と深海棲艦に教えてもらいながら作業をしていた。そして1日に1回やってほしい事があるそうだ。

 

頭を撫でるのと、ハグをしてほしいらしい。でも、良いのだろうか?

 

「提督、大丈夫?何かあったら私に相談してね?」

 

「うん、大丈夫だ。以前よりも艦娘と深海棲艦が増えたんだよね?部屋は余ってたかな?」

 

「えっと…提督が寝ている間に『如月工務店』って名乗る業者が来て部屋を増設してくれたのよ…。提督、そろそろ執務は終えてお昼ご飯にしない?皆、提督の顔がみたいって言っていたわよ」

 

陸奥に連れられて食堂に行く事になった。それにしても如月工務店……聞いた事ものない業者だ。自分が眠っている間に新しく出来たのだろうか?

所々廊下が綺麗になっている。皆が頑張って掃除でもしてくれたのだろうか。今度お礼でもしなければ…。

 

 

「アッ!提督~!!」

食堂に着くと飛行場姫が飛び付いてきた。陸奥と他の艦娘及び深海棲艦の視線が痛い。怒っている。多分。

 

「飛び付くのは危険って言わなかったかしら?」

 

「貴女、今日秘書艦ジャナイ!コレグライハ大丈夫デショ?」

 

「大丈夫だよ陸奥。ほら、今まで迷惑掛けてごめんな。そうだな…何かお礼をしなきゃね。」

 

抱きしめ返して、飛行場姫の顔を見る。平気そうなようにしているが顔が林檎のように赤くなった。改めて見ると、本当に綺麗な顔立ちをしている。肌の色が違うだけで彼女も『人』なんだと思った。

 

「テ、提督!マタ夜ニ遊ビニ行クワ…」

 

「分かった」

 

飛行場姫は僕から離れると元のいた席に戻りご飯を食べていた。

 

「色々提督に言いたい事があるけど、食事が終わってからにするわ。そういえば、鳳翔さんと間宮さんの所に新しい…人?のような人が入ったのよ。提督、挨拶をしたらどうかしら?」

 

 

 

 

 

陸奥に言われて鳳翔さんと間宮さんの所に行ってみると新しい人が居た。見てみると頭が魚で身体が人間だった。憲兵とは違い魚の頭の部分だけだった。…とてもシュールな光景だが、汗を拭いながらテキパキと材料を切ったり炒めたりしていて、間宮さんの言う通りお皿に料理を盛り付けていた。

…こちらに気付いたのか手の空いた鳳翔さんがやってきた。

 

「提督、身体の調子は大丈夫ですか…?」

 

「大丈夫だよ。おかけで元気になった。所で…あの人は…?」

 

「あぁ…彼ですか。彼はミスター・おさかなさんという名前です。話してみます?」

 

「えっ」

 

「おさかなさんー!提督さんが来たので少しこちらに来てください」

 

鳳翔さんの呼びかけに応じ、おさかなさんがこちらにやって来た…。本当に憲兵さん達の知り合いでは…?

 

「あ、えっと、ここの鎮守府の提督をしている佐久間だ。よろしく」

 

「おう」

 

「所で君は人…なのか?」

 

「頭が魚なだけで身体が人間なだけだ。別に不思議な話じゃないだろう?俺は間宮さんに料理を学びたいし、忙しいんだ。もういいか?」

 

「えぇ…」

 

そう言うとおさかなは行ってしまった。彼は…料理熱心な人なんだろう。そう思う事にした。




SCP-527
「ミスター・おさかな」
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夏①

梅雨が終わり、年に一度の暑い季節がやってくる。鎮守府の中は涼しい所があり、艦娘と深海棲艦達はそこで休みながら過ごしているようだ。

朝から執務室に入ってからずっと書類作業をしているので、手が痺れてきた。

 

「提督、休憩ハシナイノ?」

 

パタパタと足を揺らして、口にアイスクリームを頬張っている飛行場姫がジト目で見ている。

 

「もう少しで終わるから、これが完了したら休憩をするよ」

 

「…ン…。アイスクリーム、私ノ食ベカケデ良カッタライル?ネ、食ベルデショ?…ネ?」

 

「…わ、分かった。も…貰うから!その後ろの艤装しまってくれないかな?じゃないと陸奥に怒られるよ?いいの?」

 

食べかけのアイスクリームを受け取り、口の中に頬張った。少し溶けているがやはり美味しい。また後で貰いに行こう。

 

執務室の扉にノックをする音が聞こえた。飛行場姫が代わりに扉を開けると入ってきたのは天龍だった。

 

「提督、これを見てくれ」

 

天龍が持ってきたのは1冊の古びた絵日記だった。

表紙の指名欄には『1年3組』と書かれており、名前は黒く塗り潰されている。

 

「これは一体何処から持ってきたんだい?」

 

「オレの部屋を片付けをしていたら絵日記があった。提督、何か知らないか?」

 

「うーん、分からないかなぁ…。荷物に紛れてたのかな?」

 

天龍はパラパラと読みながら絵日記を捲る。10ページ辺りの所に指を差した。

そのページには少年が布団で寝ている絵が描かれており、日記の内容は『やる事がなく、1日中寝てた』と書かれていた。

 

「フフッ…オレもこんなふうにぐっすり寝れたらなぁ…。とても気持ちよさそうだ」

 

「寝れないのか?」

 

「そんな事はないけどなんだろう…。このページを選んだら日記と同じ内容をしなくちゃいけないような気がしてな…。気のせいだと良いんだが…」

 

「気のせいじゃないのかい?とりあえずその絵日記は預かっておくよ。もしかしたら駆逐艦の子達が描いた絵日記かも知れないしな」

 

絵日記を預かり机の中に仕舞うと、天龍は部屋の片付けの途中だったらしく執務室から出て行った。

 

それから2日後、天龍に3日間の休暇を与えた。

 

 

 

「…結局さ、やる事が無くてずっと1日中寝てた。起きたら休暇が終わってたんだよ…。…そういえば、この鎮守府遠征ぐらいしかやる事が無いだろ?なんでオレに休暇を与えたんだ?」

 

「何故だかそうしなければならないなぁ…と思って」

 

「やっぱりあの絵日記、少し曰く付きじゃないのか?試しに他の人達にも見てもらったらどうだ?」

 

「…そうだな。じゃあ誰か1人執務室に呼んできてくれ」

 

「分かった」

 

天龍はそう言ってから部屋から出て行った。さて…誰が来るのだろうか…?

 




SCP-825jp
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「夏休みの友」


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夏休みの友②

ねこです。きょうはあついのでくちくかんのへやですずしんでます。よろしくおねがいします。しれいかんていとくにしかみられないのでかなしいです。

ちいさなおんなのこはきづいてくれませんでした。ねこです。これはねこです。

ねこでした。よろしくおねがいします。

 

 

 

「よぉ。今ちょっと大丈夫か?」

 

天龍さんが電達の部屋に訪ねて来ましたのです。何か用事でもあるのでしょうか…?

暁ちゃんは扇風機の前で涼しんでるのです。雷ちゃんと響ちゃんはアイスを食べていますのです。

 

「天龍さん、どうしましたのです?」

 

「提督が第六駆逐隊の子達を呼んできてくれって頼まれたから呼びに来たんだよ。準備が出来たら執務室に来てくれ」

 

「はいなのです」

 

そう言って天龍さんは部屋から出ていったのです…。それにしても今日は暑いのです。珍しく電達の部屋にジョーシーちゃん

が遊びに来て、電の膝の上で寝てますのです。下半身が無い猫……。本当に不思議な猫なのです…。

 

「あついよぉ…。…そうだ!司令官に間宮さんのアイス券をもらいましょ!レディだから当然のご褒美よね」

 

「でも、司令官さんが私達に用事があるって何かあるのかな?響はどう思う?」

 

「うーん、分からないな…。あっ、電。ジョーシーにチーズをあげたらダメだよ」

 

「ダメなのですか!?うー…仕方ないのです。じゃあこのまま抱えて一緒に執務室に行きますのです」

 

ジョーシーちゃんを抱っこして準備完了なのです。執務室に突撃なのです!

 

 

 

執務室に入ると、司令官さんがノートみたいなものを持って椅子に座って居ましたのです。あれは…なんなのでしょうか…?

そ、それにしても司令官さんを見ると胸のあたりが熱くなってドキドキしますのです。電は司令官さんの事がす、すすす好きなのでしょうか…?司令官さんもきっと電の事が好きなのですね。はわわわ、これは両思いなのです…。ジョーシーちゃんも思ってますのです!

 

「おーい、電?」

 

「はわわわっ!?し、司令官さん…。は、恥ずかしいのです…!」

 

「…?よく分からないけど、この日記から何処かページを選んで」

 

「は、はいなのです!」

 

ページを捲りながら、思う事がありますのです。これには何か意味があるのでしょうか…?

 

「このページを選びますのです」

 

指を差しながら選んでいると響ちゃんが言っていましたのです。

 

「えっと、電。このページは白紙だよ?ちなみに私は海に行った事を書いたページを選んだよ」

 

「あれ…でも…?な、なんでもないのです…」

 

確かに文字が書いていたような…気のせいなのでしょうか…?



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いなづまにっき

〇月1日

 

今、電は■■に来ています。背中にリュックを背負って■■にある川付近を目指しています。

 

どうしてこんな所に来ようと思ったのか、電でも分からないのです…

 

あのノートに指を差してから電の中で『あの子を見つけないと行けないと思ったから』なのです。あの子が誰なのか電には分からないのです…。

 

今日は場所に着いたら一休みして次の日からあの子を探すのです。… ちょっとした遠征なのです。鎮守府に帰るまで日記をつけてみますのです。

 

〇月2日

 

岸辺を掘ってみたのですが見つからないのです。手がジンジンして痛いのです。司令官さんは今頃何してるかな?雷ちゃんは元気かな…少し寂しいのです。

 

 

〇月4日

司令官さんから、銀製のハンドベルを借りたのを忘れていたのです。これを振ると執事のおじいちゃんが出てきましたのです。最初はびっくりしてちょっと声が出ちゃいましたのです。

食料は困らないので助かりました。ですが、一緒に探すのを手伝ってくれないのです…。

『電さん。かくれんぼは私は参加していませんよ』って言ってましたのです…。

かくれんぼ…?どういうことなのです…?

 

 

〇月10日

今日は晴れなのです。

少し日にちが空いてしまったのです。実は凄い事を発見しました!この川、鮭の切身が泳いでいますのです。…嘘だと思うのは分かりますが嘘は言っていないのです。気分転換に川を眺めていたら鮭を発見して、その後ろに鮭の切身が居たのです。捕まえようとしたのですが、素早くて逃げられました…。

 

 

〇月11日

鮭の切身美味しいのです。

…毎晩、寝てる時に同じ夢を見てしまうのです。電がベンチに座っていて、ビジネススーツ?を着た男の人と一緒に喋る夢を見ますのです。でも、内容があやふやで覚えていないのです。

…司令官さんに会いたいのです…。会いたいよぉ…

 

 

〇月12 日

昨日は少し寂しくて泣いてしまいました。いつの間にか寝ていましたのです。電はあの子を見つけないと鎮守府に帰れないのです。

絶対に見つけますのです!

帰ったらいっぱい…その…司令官さんと…はわわわ…!

 

 

○月13日

 

今思うと不思議な鎮守府なのです。飛行場姫さんがウロウロしたり、北方棲姫ちゃんが暮らしているのが不思議なのです…。というか電が着任してたら1度も出撃も演習もしてないような…?

後は奇妙なものが沢山ありますのです。あっ、もちろん鎮守府の周辺も不思議なものだらけなのです…。あの日記もそうなのです。

今日は疲れたので寝ます。おやすみなのです。

 

 

○月20日

 

何処なのですか!?見つからなあのです。掘っても掘っても掘っても掘っても掘っても掘っても掘っても掘っても掘っても掘っても掘っても掘っても掘っても見つからないのです…

 

 

○月31日

 

 

みつけたのです。

 



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