バカとテストと風紀委員 (暗黒水晶)
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私、暗黒水晶と言います。
初めて小説を書かせていただきます。恐らくと言うより、確実にいたらない点があると思いますが、よろしくお願いします。
まずは物語を始める前に軽い設定の方を載せさせていただきます。あぁこんな感じなんだと思っていただければ幸いです。
<教科について>
この小説では以下の12科目の合計を総合科目の点数とします。
・現代文
・古典
・英語
・世界史
・日本史
・地理or政経or倫理
・数学
・化学
・生物
・物理or地学
・保健体育
・家庭科
地理or政経or倫理と物理or地学は各自が選択し、それぞれから1つずつとることになります。また、これらについては試召戦争時にとってない科目で挑まれても、自動的にそれに対応する科目の点数での対戦となります。
例)地学選択者が物理で挑まれた場合
モブ川モブ男
物理0点
↓
地学210点
<腕輪について>
単一科目では400点を超えた時点で腕輪がつきます。これについては原作と同じです。また、単一科目で550点を超えた場合は召喚獣にネックレスがつき、別の能力がつきます。基本的には腕輪の能力の派生系や強化型が多い、しかし稀に全く別の能力がついていることも。
なお、総合科目については4800点で腕輪、6600点でネックレスとなります。要は12科目の平均が単一科目の条件を超えることが条件となります。
<委員会について>
この小説ではいくつかの委員会を設置します。それぞれの委員会がいつ出てくるかは未定な部分もありますが、現在決まっているのは以下のものとなります。
・風紀委員会
→問題を起こした生徒に対して指導を行う。最初は注意程度だが、回が重なるにつれて徐々に厳しくなり、最終的には風紀委員会で審議し、その結果を学校側に提出し、最終的な処分を学校側に委ねる。また、問題の規模が大きい場合や、その内容が酷い場合は即風紀委員会で審議となる。
・生活委員会
→風紀委員会と同じに見られがちだが、こちらは挨拶活動や服装点検、学校側が行う持ち物検査の補助などをしている。なお、持ち物検査で没収したものについては1度学校側から受け取り、部活で使いそうなものや、よく分からないものを風紀委員立ち会いのもとで持ち主になんで持ってきたのかを確認し、場合によっては返却している。しかし、これについては約8割の生徒が忘れている。
・保健委員会
→昼休みや放課後に保健室で手伝いをしている。また学校行事や身体測定での補助もこなす。他には風邪の予防などを呼びかけたりしている。
・美化委員会
→校内の美化活動や学校の花壇の手入れなどをしている。他には月末の土日で校内を大掃除を行っていたりと、非常に地味な委員会である。
・体育委員会
→体育の授業の補佐や、定期的にスポーツイベントを開いている。比較的仕事らしい仕事というものがない。
・放送委員会
→お昼の放送をするくらいしか仕事がない。若干、なんで存在するか分からない委員会。しかしたまに耳寄りな情報を仕入れてくるので侮れない。
・図書委員会
→図書室の管理が仕事。生徒の要望を聞いて、2ヶ月に1度新しい本を購入している。
・学祭実行委員会
→読んで字の通り。学祭の全体の指揮をとるのが仕事。それ以外は仕事がない。
・選挙管理委員会
→こちらも字の通り。毎年ある生徒会役員選挙を取り仕切るのが仕事。それ以外は仕事はない。
なお、委員会への加入は各自の自由である。そのため各委員会の人数はバラバラである。
<生徒会について>
一応存在はしてる。あまり主だって動くことはなく、一応行事ごとに各委員会に指示を出したりはしている。
一応、こんな感じの設定でいきたいと思います。なお、キャラクター設定についてはAクラス戦が終わった辺りに載せる予定です。
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prolog
―???side―
『うっす、元気にしてっか?』
委員会の仕事も終わり、玄関で靴を履き替えていると、普段は鳴らない携帯が鳴りだした。
普段はマナーモードにしているのだが、今日は新学期の準備のために他の委員会の生徒と連絡をとっていたために、マナーモードが切れていた。
俺はそれに気づき、急いで靴を履き替え、校門の外に出た。そこでようやく携帯を取り出し、見ると、携帯のディスプレイにはよく知った名前が映し出されていた。
相手の名前を確認して、何故だか急いで損した気になりながら電話に出ると、電話の相手は冒頭の言葉を口にした。
「あぁ、別段何の問題もない。それより何の用だ、"慎哉"。」
俺が普段通りに返すと、電話の相手は大きくため息をついた。普通、いきなり電話の相手にため息をつかれれば、誰であろうと不機嫌になるだろうが、こいつが相手となればそんなことはなかった。
むしろいつも通りであったために、ちょっとした安心感さえ感じた。
『お前さ、相変わらずなのな。』
"慎哉"は苦笑い気味にそう言うが、特に文句があるような感じもない。俺たちにとって、これはいつものことなのだ。
だから別段何があるわけでもないし、これが挨拶と言ってもいいようなものだった。
「まぁな。それより何の用だ。俺も暇じゃないんだ。」
『あぁ、わりぃ、わりぃ。イヤな、親父の仕事で急にイギリスに行くことになってよ、そのことを教えとこうかなって思ったんだよ。』
"慎哉"は笑いながらそう言って、俺の反応を待った。これはまだ話に続きがあるとみた。
「そうか。用件はそれだけか?他にないなら切るぞ。」
『…………え?』
"慎哉"は俺が何か言うのを期待していたようだが、俺が冷たく返すと固まってしまった。
とりあえず、いきなり電話を切るのも悪いから少しの間だけ、他に用件がないのかを待ってみたが、何も言ってこないので電話を切った。
まぁ、電話を切る直前に何やら騒いでいたようだが、気にする必要もないだろう。
そう思い、携帯をポケットに仕舞おうとした時、今度は違うやつから電話がかかってきた。
「"茜"、お前は何の用だ。」
『やっほー。用事があるって言うよりは報告かな?――君が冷たくあたるから"慎哉"が拗ねちゃった~。』
名前を確認して、ため息をつきながら出ると、相手は笑いながら全くと言っていい程必要のない報告を笑いながらしてきた。
『あぁっ!!ちょっ、待って!!切らないで!!ちゃんと用件を言うから!!』
必要のない報告にため息をついたのを聞いて、"茜"は俺が電話を切ろうとしていることに気づいたようで、慌てて俺に待ったをかける。
「最初からそうしろ。"慎哉"にも言ったが、俺も暇じゃないんだ。」
『うぅ、ごめん。えっとね、さっき"慎哉"も言ったと思うけど、お父さんの仕事でイギリスに行くことになったんだよ。でも私たち的には日本にいたいから、そのことを言ったら、お父さんの知り合いの家に居候することになったの。』
"茜"はしょぼくれながらもパッパと用件を話していく。まぁ内容は何となく予想がついていただけに驚きはなかった。
『その関係で2人揃って文月学園に転校することになったって言う報告だよ。』
「そうか、分かった。姉さんには俺の方から伝えておく。」
『うん、よろしくね。』
俺は"茜"の声色から、これ以上何もないと察し、何も言わずに電話を切った。切る直前で、"茜"は俺がしようとしてることに気づいたようで、切らないように言っていたが、そんなものは無視した。
「んにゃ?――ちゃん、電話切っちゃってよかったの?」
「あぁ、問題ない。」
今度こそ携帯をポケットにしまうと、後ろからやってきた女子生徒に声をかけられる。
「いやいや、問題ありだろ。電話の相手、まだ何か言ってたぞ……。」
「まぁ、――ちんが"問題ない"言うんだから気にしたらダメだよ。」
その後ろからさらに数人の生徒がやってきて、俺に声をかけていく。その生徒も、俺の態度に呆れているもの、特に気にしてないもの、電話の内容が気になっているものなど、いくつにも分かれていた。
「何一つ問題ない。だが今の電話で分かったことがある。」
俺の一言によりその場にいた全員が俺の方を向く。一部は何となく悪いことだと察しがついた様で、嫌そうな顔をしていたが。
「新学期から俺たちの学年は昨年度以上に騒がしくなるぞ。」
それを聞いてその場にいた面々は揃ってため息をつく。俺たちの学年が騒がしくなる=俺たちの仕事が大幅に増える。
これの式は最早当たり前だった。その場にいた面々もそれが十分に分かっているために、ため息をつくしかなかった。
「ため息をつきたいのは俺だって同じだ。この中で一番忙しくなるのは明らかに俺だからな。」
俺はその場にいる面々に聞こえるようにそう言うと、大きくため息をついた。
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転校生、その名は――!!
拙い文章ですがよろしくお願いします。
新学期が始まった。学校の近くの公園の桜並木は桜の花が色鮮やかに咲き誇り、新たな1年の始まりを祝福しているかのようだった。
そんな外の状況とはうって変わり、文月学園のとある教室の前に一組の男女が立っていた。
片や190㎝を超える男子生徒。片や150㎝をギリギリ超えるくらいの女子生徒。実はこの2人、今年からこの学校に転校してきた生徒であった。
2人は朝早くに学校に登校してくると、この学校についての説明を受け、ついさっき担任の先生に連れ教室まできていた。
そんな2人は先生に呼ばれるまで教室の前で待っているように言われたのだが、教室の中から聞こえてくる声に、徐々に不安がつのってきていた。
まずこのクラスに支給されている設備が座布団と卓袱台。もうそこで2人は頭が痛くなってきていた。
さらにこの教室の環境が凄まじかった。床が畳、窓は一部が割れており、風が通り抜け放題。しかもその畳ですら、いくつかは腐っているんじゃないかというような感じだった。
普通に考えて、これは学習する環境として酷い。座布団と卓袱台はまだいいとしても、畳や窓の状態は酷かった。
「では自己紹介をしてもらう前に、まずは転校生を紹介しましょうか。2人とも、入ってきてください。」
2人がそんなこんなで不安をつのらせている中、設備についての説明が終わったのか、先生が2人を呼ぶ。
教室の中は先生の"転校生"と言う発言により、一気にボルテージが上がっていく。2人はそんな教室の空気を感じ、先ほどの不安が少し軽くなった。
「"篠崎慎哉"だ。趣味はマラソンと写真撮影だ。これから1年よろしくな。」
「"篠崎茜"だよ~。趣味は慎哉と同じでマラソンと、あとはギターだよ。これからよろしくね♪」
2人が教室に入り自己紹介をすると、さっきよりも教室内のボルテージが一気に上がった。
まぁその理由は至って単純で、このクラスはほとんどが男子であるために、茜の登場で一気に盛り上がった。
これには2人も苦笑いを浮かべるしかなく、先生に言われるがままに空いている席にそそくさと向かった。
そして2人が席についたのを見て、自己紹介が廊下側から始まった。
「木下秀吉じゃ。演劇部に所属しておる。言っておくが儂は男じゃからの。けして女ではないかの。」
(ふぅ~ん、弄りがいがありそうだな)
(あだ名は"ひで君"かな?)
「………………土屋康太。」
(無口だな…)
("つっちー"だね)
慎哉と茜は個性的なクラスメイトに驚きつつも、1人1人の自己紹介をきちんと聞いていく。
中には物騒なことを言ったり、ちょっと痛い発言をする生徒もおり、出来れば近づきたくないなと思ったのはご愛嬌だ。
そんな中、"姫路瑞希"と言う女子生徒が息をきらせながら教室に入ってき、教室は一気に静かになった。
「あの、何でここにいるんですか?」
姫路の自己紹介が終わると同時に、1人の男子生徒が手を挙げ、そのようなことを聞いた。
「ちょっ、お前、それは失礼じゃないか?」
「そうだよ。その言い方はないと思うよ。」
これには2人も流石に口を挟むが、姫路は"大丈夫です"と言って苦笑いを浮かべながら質問に答える。
その様子に慎哉と茜はどこか釈然としない様子で、そこからの自己紹介を聞き流していた。
このクラスでは上手くやっていける気がしない。先ほどのことで2人がそう思っていると、前に座っていた木下が2人に声をかけてきた。
「2人とも、さっきのことはあんまり気にせん方がいい。」
その声に2人が顔を上げると木下は苦笑いを浮かべて2人を見ていた。
「…………どういうことだよ。」
「お主らは転校してきたばかりで知らぬから仕方ないのじゃが、姫路は本来Fクラスにくるような生徒じゃないんじゃよ。」
慎哉があからさまに不機嫌オーラを出しながら木下に問いかけると、木下はそんな慎哉の様子を気にせずに答える。
「姫路は1年の頃から常に学年トップ5に入っている程の生徒なんじゃ。そんな生徒がこのクラスにきたんじゃ。みんな気になって仕方なかったんじゃよ。」
「ふぅ~ん。でもよ、言い方ってもんがあんだろ。」
「まぁそこは目を瞑ってくれんかの。」
さっきの理由は分かった。だが納得はできない。
慎哉はそんなことを隠そうとはせずに、堂々と態度で表す。これには隣にいた茜も苦笑いを浮かべるが、自分も似たようなものなので何も言わない。
ここで初めて3人の会話が途切れる。まぁ元々、会話と呼んで良いものなのかは分からないが、話すことがなくった。
「そういえばさ、先生はどこいったの?」
新学期始まって早々にこれはキツいと思い、茜が先生がいないことについて木下に問いかける。
流石に沈黙は辛かったのか、木下も助かったという風な感じで1度茜を見た後、再度口を開く。
「あぁ、先生なら教卓が壊れたから新しいのを取りに行ったんじゃよ。」
「おいおい、教卓って簡単には壊れないだろ……。」
予想外の返答に慎哉は呆れてしまうが、ちょうどいい具合に沈黙は消え、そこから3人は先生が戻ってくるまで、この教室について話していた。
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開戦の狼煙と双子
最近なんか変に疲れてたせいであまり執筆できてませんでした。
先生が新しい教卓(のはずなのに何故かボロボロ)を持って戻ってきたことにより、自己紹介が再開される。
そして最後の1人となると、その男子生徒は教卓の前へと移動し、教室を見渡してから口を開いた。
「Fクラス代表の坂本雄二だ。代表でも、坂本でも好きに呼んでくれ。」
坂本は一旦そこで言葉を切ると、咳払いをして言葉を続けた。
「この教室に不満はないか?因みにAクラスは豪華だったが……。」
坂本がまるでどんな答えが返ってくるかが分かったる様な態度でそのように聞くと、次の瞬間、教室の空気が爆発した。
曰わく、学費が安いとは言え、この設備はない。
曰わく、Aクラスだろうと払ってる学費は同じだ。
曰わく、差があるのは知っていたがこれは酷すぎる。
挙げれば切りがない程に教室のあちこちから不満の声が挙がっていた。
そこには大声を出す・出さないの違いはあれど、殆どの生徒が不満を口にしていた。
「皆の不満は分かった。そこで、代表として1つ提案させてもらう。Aクラスに"試召戦争"を仕掛けないか?」
坂本が提案すると、不満を口にしていた生徒たちは1度黙り、焦ったようにその提案を一蹴した。
しかし坂本はそれすらも分かっていたようで、特に表情を変えることなく教室を見渡した。
「大丈夫だ。このクラスなら勝てる。今からその根拠を教えてやる。」
坂本はそう言うと、クラスメイトが殆ど自分を見ている中、1人だけ畳に這いつくばり何やらやっている男子生徒を呼んだ。
「康太、いつまでもスカートの中を覗こうとするな。」
坂本に声をかけられた生徒は急いで立ち上がると、それを否定するかのように、首を勢いよく横に振る。
「根拠その1、土屋康太だ。」
坂本がそう言って土屋を根拠として挙げると、クラスメイトたちは首を傾げた。
「土屋康太だと分からない奴もいるだろう。だがこう言えば分かるだろう、こいつはかの有名な寡黙なる性職者・ムッツリーニだ。」
土屋はこれまた必死にそれを否定しようと首を振るが、誰もそんなことは信じなかった。
なぜなら彼の頬には畳の後がくっきりと残っており、彼が先程まで女子生徒のスカートを覗こうとしていたのが丸分かりだった。
「根拠その2、姫路瑞希だ。まぁこれについては特に言う必要はないな。」
姫路については成績優秀者として誰もが知っていたため、特に説明はなかった。
その後根拠その3として木下秀吉が、根拠その4として島田美波が紹介された。
そうしている内にクラスメイトの誰かが、坂本が小学生時代に"神童"と呼ばれていたと言い出し、教室の空気は一気に盛り上がっていった。
「俺のことはいいとして、根拠その5は吉井明久だ。」
坂本が1度クラスメイトを落ち着かせて、次の根拠を挙げると、教室の空気は微妙なものへと変わった。
「吉井?そんな奴いたか?」
「あれだって、滅茶苦茶馬鹿そうな顔したやつ!!」
「ん?吉井って確か"観察処分者"じゃね?」
「いやいや、そもそもこのクラスに吉井になんて居ないって。」
「そうだぞ。いるのはダーリン(笑)だって。」
終いには"吉井"が分かっていながら、その"吉井"を馬鹿にする始末。
「そうだ。まぁ様は居ても居なくても関係ない。」
さらには坂本もそれを止めることなく、吉井を馬鹿にする。
「なら別に言わなくてもいいよね!?」
吉井はそれに対して大声で文句を言うが、クラスメイトは誰一人として取り合わなかった。
それを見て吉井は悔しそうに下を向き、強く拳を握ることで堪えていた。
「最後の根拠は篠崎兄妹だ。この2人についてはまだどこのクラスも知らない。それだけでこっちのアドバンテージになる。」
そんな吉井の様子に坂本が気付くことはなく、坂本は最後の根拠として篠崎兄妹の名前を挙げる。
それによりクラスメイトの視線が2人に集まる。
この1年でなんとなく仲の良かったやつとか、去年のクラスメイトだったやつの成績は予測できる。
だがこの2人は今日転校してきたために、誰にも予測できない。だから切り札になりうる。
例え大した戦力にならなくとも、それはFクラスだからで片付く。
そんなこともあり、名前を挙げられた2人に視線が集まる。
「悪いが俺は協力するつもりはないぞ。」
「アタシも協力するつもりなしだから~。」
そんな中で2人は冷めた目でクラスメイトを見ながら、はっきりとそう言った。
最初は誰もがその言葉を理解出来なかったが、次第に理解していき、2人を睨むように見つめる。
「アンタ達、そんな我が儘が通ると思ってんの!?」
そして皆の気持ちを代弁するかのように、島田が大声で2人に文句を言う。
「我が儘?何言ってんのお前。」
「我が儘を言ってるのは自分たちだって分かってないの?」
しかし2人は呆れたと言わんばかりに言葉を返す。これには島田だけでなく、クラスメイトの殆どが怒りを露わにする。
「"権利"って言うのは誰にでも与えられるもんじゃねぇ。"権利"ってのは努力したものにのみ与えられるもんだ。」
「でもアナタ達は努力をしてこなかった。その結果がこのクラスへの配属だよ?」
2人はそんなクラスメイトに構うことなく自分たちの意見を述べていく。
クラスメイトたちはその2人に「馬鹿にするな!!」などの怒りの言葉をぶつけていくが、2人は涼しい顔で言葉を続ける。
「好きなだけ文句を言えばいい。だけど俺たちの考えは変わらないからな。」
「それにぃ、クラスメイトを馬鹿にして笑ってるような人達と仲良くできないし。」
2人はそれだけを言うと話は終わりだと言う様にそれぞれが鞄の中からものを取り出す。
そして慎哉はカメラをいじりだし、茜は楽譜を取り出して何やら作業を始める。
「おいおい、それはないだろ。それに、試召戦争への参加は義務だ。自分たちだけ参加しませんてのは無理だ。」
そんな2人の様子に苛立ちながらも、坂本は代表として2人を参加させるべく話しかける。
「誰も参加しないなんて言ってねぇよ。協力しないだけだ。俺達は好きなように動かせてもらう。」
慎哉がカメラをいじりながらそう言うのを聞いて、坂本はこれ以上は無駄だと思ったのか話を切り上げクラスメイトに視線を向けた。
「とりあえずはだ、俺達の力を証明するためにDクラスを攻めようと思う。皆、この待遇は大いに不満だろう。」
『当然だ!!』
「ならば剣(ペン)を持て!!出陣の準備だ!!」
『おぉぉぉぉぉっ』
「俺達に必要なのはシステムデスクだ。断じて卓袱台などではない!!」
こうしてFクラスはなんとか開戦の狼煙を上げた。いくつかの不安要素を残して。
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宣戦布告と慎哉と吉井
連休に入ってだらけまくってました……(苦)
今回からは後書きで別sideの物語も書いていきますので、よろしくお願いします
坂本は慎哉と茜以外のクラスメイトの気持ちが1つになったのを見るや、吉井に声をかけた。
「明久、Dクラスに宣戦布告してこい。」
「やだよ。だって下位勢力の使者って大抵酷い目に遭うよね?」
「大丈夫だ。そんなもんはマンガや映画の中だけだ。嘘だと思うなら行ってみろ。」
吉井は坂本の指令に嫌な顔をして拒否の意を示すが、坂本は真顔でそんなことはないと吉井を説得する。
その説得に最初は嫌な顔をしていた吉井も徐々にその表情を緩めていき、最終的には渋々だがDクラスへの使者を引き受けた。
そして吉井が宣戦布告をするためにDクラスへと向かうと、坂本は部隊編成をするためにそのまま前に立ち、話し始めた。
そこで慎哉と茜は話が終わったと見たようで、慎哉はカメラを仕舞い教室から出て行き、茜は鞄の中から音楽プレーヤーを取り出しイヤホンをつける。
「吉井、ちょっと待て。」
「えっと……。どうしたの、篠崎君?」
慎哉は教室から出ると吉井の肩を軽く叩き、呼び止める。
「Dクラスに宣戦布告しに行くんだろ?ついてってやる。」
吉井が不思議そうに慎哉を見つめると、慎哉は宣戦布告について行くことを告げる。
「いやいや、僕だけで十分だよ?篠崎君は教室に居ていいよ。」
「……はぁ。」
しかし吉井はその必要はないと告げるが、それを聞いて慎哉はため息をつく。
「吉井、良いから行くぞ。」
「う、うん。」
そして慎哉がそんな吉井を追い抜いて先に進むと、吉井は躊躇いながらもそれについて行く。
最初とは逆の構図になってしまったが、吉井と慎哉は宣戦布告するためにDクラスへと向かう。
「Dクラスの代表はいるか?」
2人がDクラスの前につくと、吉井はどういう風に入ろうか悩み、入れずにいた。だが慎哉はそんな吉井を置いて、普通にDクラスの教室へと入っていく。
そんな慎哉を見て吉井は慌てるも、慎哉は吉井を気にすることなくDクラスの代表を呼ぶ。
Dクラスの面々は突然の訪問者にいい顔をしなかった。
「僕が代表の平賀だけど、何の用だい。」
Dクラスの代表である平賀もそれは同様で、平賀は嫌な顔をしながら2人の前に出てきた。
「吉井。」
「う、うん。僕たちFクラスは君たちDクラスに試召戦争を申し込む。」
慎哉に即され吉井が宣戦布告をすると、Dクラスの面々の表情は一気に険しくなる。
「そうか。時間は今日の午後からでいいかい?」
「あぁ、それで構わない。」
「分かった。なら午後からだ。」
慎哉は平賀の了承を得ると、Dクラスに背を向けて立ち去ろうとする。
それに倣い吉井も立ち去ろうとするが、そこにDクラスの男子が声をかけ、2人を呼び止める。
「おい、Fクラスが宣戦布告しといてタダで帰れると思ってんのか?」
その声に吉井が振り返ると、そこには苛立った面立ちで2人に迫りよるDクラスの男子が数名いた。
「や、やっぱり何もなしで帰れないじゃないか!?」
それを見て吉井はここで初めて坂本に騙されていたことに気づき、大声をあげる。
それを聞いてDクラスの男子は笑いながら2人に近寄っていく。
「……はぁ。何処にでも馬鹿はいるんだな。」
慎哉はそんな吉井たちなど気にすることなく、ため息をついて振り返る。
「んだと!?」
「……はぁ。殴るなら殴れば?だけどさ、自分たちが上のクラスに試召戦争を申し込むときに使者が殴られてもアンタらは文句言わないんだろ?」
慎哉の発言を聞いて今にも殴りかかろうとする男子に、慎哉は焦ることなくそう告げた。
その発言にDクラスの殆どの面々は訳がわからないという顔をする。
「だからさ、自分たちが試召戦争をするときに、使者が上のクラスの奴らに殴られても文句言わないんだろ?」
「そんな訳ないだろ!!」
慎哉がもう1度同じことを言うと、慎哉が言いたいことが分かったようで、次々に文句が出てくる。
「ふぅ~ん。自分たちがやられたら文句言うのに、自分たちより下のクラスには平気でやるんだ。」
慎哉はDクラスの全員に聞こえるように、大きな声でゆっくりと言う。
Dクラスのうち数人が苦虫を潰したような顔をする。その中にはもちろん代表の平賀もいた。
彼らは慎哉が言わんとしていることが分かったみたいだが、それでもクラスの大半は理解してないようで余計に怒りを募らす。
「まぁいいや。殴るならさっさと殴れよ。」
それを見て慎哉はこれ以上言っても無駄だと感じたようで、吉井を後ろに下げ、自分が前にでる。
それを見て数人が慎哉に殴りかかろうとする。
「止めなよ。」
しかし慎哉の前に1人の男子生徒が現れ、男子たちを止める。
「なんで止めんだよ、芳野!?」
「何でじゃないよ。」
芳野と呼ばれた男子生徒に殴りかかろうとしていた男子生徒たちは文句を言うが、芳野はそれに取り合うことはなかった。
「とりあえず僕らは君たちに手を出しはしないよ。だから教室に戻っていいよ。」
芳野が文句を言う男子を無視しながらそう言うと、慎哉は静かにその場を立ち去った。
「ほら、吉井君も早く行かないと。そっちの代表に何時から始まるのか伝えないと。」
吉井は何が起こったのかよく分からず固まっていたが、芳野に声をかけられると急いで追いかけていった。
「吉井、これで俺が何が言いたかったか分かったか?」
先を歩いていた慎哉は吉井が自分に追いついたのをみて、唐突に話しかける。
しかし吉井は慎哉が何を言ってるか分からずに首を傾げる。
これには慎哉も何も言えず、ため息をつくしかなかった。
「まぁいい。そのうち自分で気づくだろ。」
慎哉は何が言いたかったのかを教えることなく、そのまま歩いていく。
「吉井、1つ言い忘れてた。俺のことは"慎哉"でいいぞ。"篠崎"だと"茜"とかぶるだろ?」
慎哉はそれだけを言うとさっさとFクラスの教室へと入っていった。
慎哉と吉井が出て行った後、Dクラスの中は荒れていた。
"何故2人を無事に返したのか"
殆ど生徒はそれが理解出来ずに、2人を返した芳野と、それを止めなかった平賀に文句を言っていく。
それを平賀と数人の生徒がなんとか納めると、直ぐ様部隊編成を決めるべく数人の生徒を自分の周りに集めた。
「まぁFクラス相手なら力押しで勝てるだろうね。」
平賀のその一言に集められた数人の生徒は同意し、大した作戦も立てることなく、会議は終了されようとした。
「相手を甘く見てると痛い目にあうよ。」
しかしそれを芳野が止める。
「さっきの吉井君と一緒に来てた彼。彼を見てもまだそんなことを言うならほぼ確実に負けると思うよ。」
「それはどういうことだい?」
芳野の発言に平賀を含め、その場にいた生徒全員が眉をひそめる。
「今の発言で分からないなら話にならないよ、平賀君。」
芳野はそれだけを言うと静かに立ち上がり、自分の席に戻って行く。
(あれが"篠崎慎哉"君かな?もしそうなら彼の言う通り厄介な人だね。)
芳野は自分の席につくと携帯を取り出し、どこかへと電話をかける。
「もしもし、――君?君が言ってた"篠崎慎哉"君だっけ?今さっき、うちのクラスにきたよ。」
『そうか。で?』
「凄く面白そうな人だったよ。」
芳野は電話の向こうの人物に笑いながらそう告げると、静かに呟いた。
「戦うのが楽しみだ。」
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開戦と回復試験と双子
本当に申し訳ありません。
一つお聞きしたいのですが、台本形式と今の形式どちらが読みやすいでしょうか。
気が向いたらでいいんで回答していただけると助かります。
午後1時となり、Fクラス対Dクラスの試召戦争に開戦の狼煙が上がった。
どちらのクラスも先遣隊が勢いよく各教室から出陣していき、廊下で激突する。
そんな中、篠崎兄妹と姫路は回復試験を受けるために別教室を訪れていた。
それというのも姫路は振り分け試験を途中退出したから、篠崎兄妹は転校の手続きが振り分け試験までに間に合わなく、持ち点がないからであった。
「これより回復試験を始めます。科目は現代文、英語、数学および理科1科目。間違いはありませんか?」
回復試験の担当を務める先生が受験科目の確認を済ませると、直ぐに開始を告げる。
教室には3人のペンが走る音が響き渡る。3人は黙々と、ただひたすらに問題を解いていく。
―――――2時間後―――――
3人が回復試験を受け始めてから2時間が経過した。この2時間の間、3人は受験科目が変わるときくらいしかペンを置かず、それ以外の時間は常に問題を解き続けていた。
そんな中、急に校内放送が始まる時の鐘の音が校内に流れる。
『船越先生、船越先生』
そこから聞こえてきたのは先生の声ではなく、学生の声だった。しかも篠崎兄妹も聞いたことのある声であったため、Fクラスの学生であることが明らかであった。
『吉井明久が体育館裏で先生のことをお待ちしております。生徒と教師の垣根を超えた、重要な話があるそうです。』
この放送がなんの目的で行われたのかは分からないが、これが吉井を虐げるものであることは明らかだった。それが分かったために篠崎兄妹は走らせていた1度ペンを止め、不快感を露わにする。
だがいつまでもペンを止めている訳にもいかず、再びペンを動かす。この時、どこか遠くで吉井の叫び声がした気がするが、それはきっと気のせいなのだろう。
――――――――――
それから更に時間が過ぎ、篠崎兄妹は姫路よりも早く回復試験を終わらせると、教室に戻ることなく戦場になってるであろう廊下に直行した。
そこでは吉井率いる中堅部隊がDクラスと戦闘していた。だが吉井たちは4人、Dクラスは8人と点数だけでなく人数でも圧されていた。
そのせいで中堅部隊には余裕はなく、ギリギリで保ち堪えているといった状況だった。
「くっ、逃げるしかないか。」
吉井は逃げるために何か策を考えるも、何も浮かばず、強行手段として近くにある消火器に手をかけようとした。
「吉井、下がれ。」
「先生!!篠崎慎哉、篠崎茜両名、只今より戦闘に参加します!!」
慎哉と茜はそんな吉井に呆れつつも、吉井より前に出て参戦の意を示す。
「分かりました。」
「「サモン!!」」
2人は先生の同意を得ると、直ぐに自分の召喚獣を呼ぶ。
慎哉の召喚獣は白いシャツと黒の長ズボンを身につけ、その上黒の半袖のコートを身に纏っていた。そしてその両手は金色の巨大な金属手になっていた。その大きさは握れば召喚獣の大きさにもよるが、殆どの召喚獣の身体を握り潰すことが出来る程だった。さらにはその爪も鋭く、下手な刀剣類よりも切れ味が良さそうだった。
対して茜の召喚獣はというと、慎哉とお揃いの白いシャツと黒い半ズボンを身につけ、黒の長袖のコートを身に纏っていた。しかも袖はかなり長く、その両腕が隠れる程。そしてその両脚は銀色の長い鉄のブーツを履いていた。しかもそのブーツの爪先と踵は鋭利で長い針状になっており、更には膝の部分にも召喚獣を容易に貫けるような針がついている。
「…………リップか?」
「こっちはメルト?」
2人は召喚獣の姿に言葉を失う。だがそんなことはお構いなしDクラスの生徒は攻撃を仕掛けてくる。
「さっさと失せろ、Fクラス風情が!!」
「篠崎君、篠崎さん!!」
吉井の声に2人は気を取り直すと、慎哉は突撃してくるDクラスの召喚獣を握り締め、茜は横に振られた剣を姿勢を低くして躱し、召喚獣の顎を蹴り上げる。
『………え』
現代文
Dクラス
モブA&モブB
102点&99点
VS
Fクラス
篠崎慎哉&篠崎茜
263点&290点
慎哉に向かって行った召喚獣は武器ごと握り潰され、茜に向かって行った召喚獣は頭を顎から突き刺されて戦死した。
そして後から表示された点数に、その場に元からいた学生たちと先生は驚きを隠せなかった。
「吉井、今のうちに他のヤツを連れて下がれ。」
「ここは私たちに任せてくれていいよぉ~。」
「う、うん。総員退避、一旦教室まで下がるよ!!」
だがいつまでも2人の点数に驚いてる訳にもいかず、吉井は2人の声で気を取り直すと、部隊員に指示を出して撤退していく。
それを追撃しようとDクラスの生徒は動くが、間に慎哉と茜が入ったことでそれも出来なくなる。
「お前たちの相手は俺達だ。」
「ここから先には行かせであげないよ?」
そんな2人を見てDクラスの生徒は、2人のことを本部に伝えるるために2人程この場を脱出しようとした。
しかし2人はそれを読んでいたようで、慎哉の召喚獣が茜の召喚獣を投げることで、Dクラスを挟みそれを阻止する。
「くっ」
前方には先程仲間を握り潰した慎哉が、後方には仲間を突き刺した茜が。
もはや何処にも逃げ場などなかった。もし彼らがこの場を離れることが出来るのならば、最低でも茜を倒す必要があった。
それを瞬時に理解したDクラスの面々は、慎哉を足止めするために1人がその場に残り、他の5人で茜に襲いかかる。
「無駄だな。」
「無駄だよ♪」
しかし2人はこれを気にすることなく、慎哉は向かってきた召喚獣を武器ごと切り裂き、茜は高く飛ぶことで全てを躱し、一番後ろにいた召喚獣を串刺しにする。
そこからは一方的な戦いだった。いや、戦いと呼べるようなものではなかった。それはただの蹂躙であった。
召喚獣を上手く扱いが故に、2人の攻撃は単調だった。故にそれは戦いではなく、蹂躙と呼にふさわしいものだった。
慎哉は茜に向かって行った召喚獣のうち2体を掴むと、最初の1体と同じように握り潰した。
茜は脚に刺さっていた召喚獣を抜くと、そのまま跳躍し、残っていた2体の召喚獣の頭を掴み、躊躇なく膝に付いていた針を突き刺す。
このたった一撃により、残っていたDクラスの生徒は全滅した。あまりにも簡単な攻撃が故に、残虐。あまりにも単純な攻撃が故に、無慈悲。
「戦死者は補習ぅぅぅぅっ!!」
何もかもが消えた戦場に響くは地獄の死者の雄叫び。そこに残るは死者の叫び。
今回は別sideなしです(苦)
思いつかなかったわけではないんですが、綺麗に纏まらなかったんでカットしました(苦)
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