TSで行く進撃の巨人 (ハゲ教官)
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TSで行く進撃の巨人

〇月×日

 

 とりあえず、今日から日記を付けて行こうと思う。

 

 この世界では紙が貴重なのだが、今日家に来た兵士さんが落とした手帳を借りパクすることにする。

 

 まずは情報整理だ。現時点でのステータスみたいなものを書いておく。

 

名前:セシル・レイス

性別:男

年齢:5

見えるもの:クソデカくて長い壁

伸長:110㎝位

境遇:転生者

 

 こんなものだ。

 

 こんなものだ、じゃねぇよ。何を冷静に書いてやがるんだ俺は。筆跡から見ればわかると思うが、めちゃめちゃ動揺している。文字がミミズみたいだもの。

 

 で、一応忘れないようにここまでの境遇も。

 

・日本で暮らしていた普通の男。

・毎日夜寝る前に二十分くらいのストレッチをして牛乳を飲んでから寝ることにしている。そうすれば朝まで熟睡するからである。

・熟睡から目が覚めたら体が縮んでしまっていた。

・全く知らない家のベッドで寝ていたし、全く知らない人が毎日俺の世話をしてくる。

・西洋風の家と展開から、異世界だぜヤッホーと浮かれる。

・大人達の会話からここは『進撃の巨人』の世界かと思われる。

 

 この手の小説やライトノベルは一通り目を通していたので、すぐにわかった。わかって欲しくなかったけどわかった。

 

 立体起動装置だとか、巨人だとか、ウォールなんたらだとか。現代で聞きまくった単語の山に軽く泣いた。本当に絶望ルート。巨人に食われてはいおしまいエンドだけは避けたい。むしろ考えすぎて『もう巨人に食われた方が楽じゃね?』っていう考えが浮かぶくらいには絶望した。

 

 これが三年ほど前の事である。もう慣れたし(震え声)。

 

 かなり愛読していた進撃の巨人だが、正直帰りたい。いや、帰ろうとしてやった実験は全部失敗に終わってるんだけどさ。

 

 しかも『レイス』だ。王家ときた。このせいでこないだ胃潰瘍を患った。まだ五才児なのに将来の結婚相手が胃薬に決定したというね。ハハッ、ワロス。いや、ワロエナイ………。

 

 でもなぜかクリスタとは会ってない。フリーダ姉さんとも。もしかしたら異母兄弟なのかもしれない。てことは俺クリスタと同じ道を辿ると予測。グッバイ、カーチャン。ハロー、ケニー=サン。

 

 この母親に特に何かあるわけでもない。今、俺の世話をしているのだって雇われたおばさんだ。まさか俺が王族なんて知らないだろうけど。

 

 だから、このおばさんが死ぬのならまだしも、この母親に未練の情もなにもない。むしろなんで産んだし。

 

 ……おっと、おばさんが来る。今日はこのくらいにしておくか。

 

 

 

 

ω月Ψ日

 

 十二才の誕生日の日、壁が破られたという報告の数日後、父親―――なんと言ったか。忘れたからデブでいいか―――がケニーさんを連れてやって来た。

 

 クリスタの母と同じように、母親は呆気なく殺された。躊躇いもなくナイフが喉元に入っていって、無惨に。やはり特に何か思った訳ではないが、人の死というものを初めて感じた。

 

 精神年齢30を越えるというのに、自分の吐瀉物が膝を濡らすまで吐き続けるとは思わなかった。

 

 だが、俺は邪魔だったのか、それはわからないが、クリスタと違い、デブはケニーに俺を殺すよう命令した。猿轡を食められ、手足を縛られた俺に向かって、ゆっくりと歩いてくるケニーの口は愉悦の表情で染まっていた。

 

 悲鳴も出ないまま、ナイフが俺の喉元にひんやりとした感触を与えてくる。楽しそうに笑ってケニーは、俺の耳元で囁いた。

 

『目線だけで人を殺せそうだな、ガキ?』

 

 つぷ、と首筋に異物感。

 

『良い子だから、大人しくしてろよ……っと!』

 

………いや、やめておこう。書いていて気分が悪い。

 

結論から言えば、俺は助かった。ケニーは何を思ったのか、自分の手首を切り裂いて俺の首にひたすら血を塗り付けていたのだ。

 

あいつの心理はよくわからなかったが、殺人者の心理などわかりたくもないのでそれは良しとする。助かったのだからそれでいい。

 

処理も自分がやるとか言っていたのでバレなかった。めでたしめでたし。さらばレイス家。俺は胃痛から解放されることにする。ディオ・ブランドーがDIOになったみたいに姓を捨てて、開拓地で一生を過ごすんだ。

 

いつの間にか胸元に紙が挟まっていたので、開いて読んでみたら、ケニーさんからの呼び出しだった。もう絶望しかない。

 

……おかえりなさい、胃痛(あなた)(ニッコリ

 

 

 

 

я月〓日

 

 

 会った途端、ケニーさんが訓練兵団行けって言ってきた。ちょ、それどこのクリスタ。

 

 聞いてみたところ、デブにバレないようにするためらしい。普通に開拓地で生きて行くっていう選択肢はなかった。だって断ろうとしたらナイフ取り出して来たんだもの。

 

 

★月£日

 

 

 訓練兵団の入団式があった。

 

 馬が教官にどつかれて悶絶してた。笑ったら俺も太陽拳(二重の意味で)食らった。あと外周も。

 

 あとヤバイ。異母妹が可愛すぎてヤバイ。初めて見たけど何? 天使? 天使なの? 結婚しよ(鼻血)。

 

 というか、何気に104期だった。絶望の未来ルート不可避。死ねる。

 

 とりあえずゴリライナーとトルトルベさん、それとアニちゃんには関わらずに行こうと思う。死にたくないし。呼び方に悪意が見える? どこがだよ(すっとぼけ)。

 

 反対に、主人公と幼なじみには関わりを持っていこうと思う。この世界ではかなり知識はアドバンテージになるし、エレンの性格上、友人を見捨てることはしないはずだ。アニと戦う時も躊躇ってたくらいだし。

 

………自分がクズってことはよくわかった(涙)。

 

 

 

α月Ω日

 

 

 一ヶ月が経って、なかなか体の締まり方も良くなって来た頃にまたケニーがやってきた。驚くから暗闇の中から現れるなと言っているのに、へいへいで済まされる。ムカつく。

 

 なんかデブにバレそうらしい。え、それヤバくない? って思ったら、

 

「まあそんな心配すんなって、これやっときゃ大丈夫よ」

 

 って紫色の注射器差し出してきた。

 

 

 あっ(察し)

 

 

 死ぬよりはいい。しゃーなし、と無理やり納得してぶっ刺したらしばらく寝込んだ。いつの間にかケニーは居なかった。ふあっきゅー命の恩人。(感謝永遠にとか)ないです。

 

 

★月Ω日

 

 

 相棒が消えた。

 

 メロンが2つ胸に付いた。

 

 どういうことなの………(困惑)

 

 

 

 

 

 





要望があれば連載する。
完全に見切りだから失踪する可能性大。


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一頁目

 

 

(前のページから続いている)

 

 

 

 もうこれわかんねぇな。あ、成長途中だけど柔らかかったですはい。

 

 鏡見たら普通に美人だった。鏡に向かってキョドる俺がいたことはここだけの秘密である。

 

 

 仕方がないので男性用の服を着ていたらエレンがすげえ真っ赤になってた。胸が強調されてるんだと。知るか。何を恥ずかしがって胸とか言ってるんだよ。おっぱいと言えおっぱいと。あとミカサが凄いこっち睨んでた。あいつ本当に人間か? もうサイヤ人って言われた方が納得できる。というかフリーザ様だろそうなんだろ? じゃあ人類最強はなんなんだろう。

 

 あとハゲ(教官)に見つかって『貴様は何者だ』を本気でやられた。正直全部がネタにしか聞こえないんで笑いそうになったら『ああ貴様か』って言われた。どういうことなの……(困惑)。

 

 異常なまでに巨人三人組がアプローチしてくる。だから俺は普通の人間だって言ってるだろいい加減にしろ! まずTSしてる時点で普通じゃないね。うん、知ってた(白目)。

 

 激しい喜びもいらない、その代わり深い絶望もない。植物の心のような人生を。それが俺の目標だったのに……。まずこの世界に生まれた時点で絶望がないってあり得ないんですよね、うん、知ってた(二回目)

 

 馬面はめっちゃこっち見てた。キモいのでみっくみくに、間違えた。ぼっこぼこにしてやった。

 

 気づいたけど、クリスタと結構似てるんだよね。金髪だし。つまりは俺も女神に……!?(戦慄)

 

 TS一日目は意外と無難に過ぎてった。

 

 

 

★月∮日

 

 

 今日も飯がマズい。というか将来を誓い合った相手(胃痛)が毎日俺のお腹を訪ねてくるんだよ。はは、そんなにくっつくなって(白目)。

 

 サシャが良い子過ぎて惚れる。「調子は大丈夫ですか? どこか悪くないですか?」ってめっちゃ心配してくれてる。お礼にパンをあげたら、鼻息荒くして喜んでた。犬みたい。

 

 コニーはサシャと仲良くなったらハッピーセット的なので付いてきた。お前らの掛け合いは見てて飽きないからな。おい誰だ銀匙の常磐とか言ったやつ。

 

 マルコは……うん。なにも言うまい。運が悪いよね、彼は。俺の命に関わらない程度で助けられたら助けようと思う。

 

 お馬さん? 知らない子ですね(ゲス顔)。

 

 ユミルは特に変わらず。これが一番意外だった。もうちょっとベタベタしてくると思ったが、やっぱりあれはクリスタだからなんだよなあ。ユミクリ最高ですよね(末期患者の目)。

 

 ついでに教官達が俺を女子寮にするのか男子寮のままにするのか悩んでいるらしい。いやもっと相談に乗るとかあってもいいと思うんだけど。具申したら「お前そんな事で驚くタマじゃねぇだろ」みたいな事を言われた。俺の扱いェ……。

 

 巨人三人組、特にアニがやけに話し掛けてくる。めっちゃ好みなんだけど目が怖い。完全に「お前秘密しゃべったら殺すぞ」っていう目だった。それは俺が転生者だから知ってるだけなのに……薬の存在を知ってる人物として見られてる。

 

 とりあえず何も知らないフリを貫いているが、これもいつまで持つかって所だ。訓練兵団一年目ってこれ、現代でいう中1なのに闇が深すぎやしませんかねぇ……。

 

 

★月Д日

 

 

 こーのクソきたねーざんこくなーせーかいーではー(白目)。既にエンディングなのはこの世界がエンディングだからである。当たり前。あたりまえ、あたりまえたいそー。

 

 ハンジさんが来た。なんとなく予想はしてたけど、本当に来るとは。なお性別はハンジの模様。

 

 あの人ガチでイカれてるよ。完全にヤク中の目をしてた。血液とか色々採られて、「また来るね」って言われた。二度と来んな。ふぁっきゅークレイジーサイコ。

 

 それに比べてモブリットさんマジ良心。名前にモブって付いてるのに全然モブじゃない。むしろ今まで会った人のなかで一番まともかも。

 

 あとは……ハンナとフランツかな。あいつらが付き合い始めた。普段なら爆発しろとか書いてるけど、二人の今後を知ってるからなあ……。ここ二人も出来ることなら助けてやりたい。勿論自分に危険がなければだが。

 

 あとはなんだろうね、アルミンが凄いこっち見てくるのよ。しかも目線が合うとすぐそっぽ向くの。ヘイシリ♂『目が合うとそっぽ向く 顔赤い』→『もしかして 恋』

 Google先生が有能過ぎて辛い。嘘だろアルミン(驚愕)。

 

 TSして男と突き合う、おっと誤字。付き合うとかマジあり得ねえ。それこそ「アッー♂」展開待ったなしですね、わかりません。

 男の娘とTS男子って誰得。あっ、(腐)得でしたかそうでしたか。

 

 

 思ったんだが、ホモライナーやトルトルベを訓練中の事故に見せ掛けて殺害したらどうなるんだろうか。いや原作から外れるのが怖いからしないけど。そうすれば卒業間近で壁が壊されることはないと思うのだよ。という妄想である。でもこの手の作品だと世界の修正力的なのが働いて結局壁は壊れたりするんだよね。

 

 ……なんかもう、簡単にこんな発想が出てくる辺り俺が本当に現代にいたのかさえ怪しくなってきた。この世界に染まってきている証拠かなあ……。

 

 

★月θ日

 

 

 やらかした。

 

 立体起動の訓練中に、ペアだったアニが頭から木に激突した。しかも理由はワイヤーとワイヤーが重なって、バランスが取れなくなったからというもの。完全に頭蓋骨がやられていたが、煙を出して修復しているらしかったから命に別状はないと思う。

 

 でも、それを見ていたのをライナーとベルトルトに見られた。きっとわざとやったのだと思われた。ただでさえ目を着けていた奴が行動に出たのだ。そう思われたに違いない。

 

 ブレードを向けられた時は本当に焦った。思わず俺も臨戦態勢に入ってしまったが、すぐに冷静に戻って大声で叫んでやった。

 

 射殺さんばかりの目で見られたが、絶対に口外しないとだけは言っておいた。不安しか残らないし、きっとこれからあいつらは俺を殺そうと躍起になるだろう。仕方がないので、殺されないよう鍛練に励むことにする。あいつらも流石に訓練地で巨人になるようなマネはしないだろう。ライナーはまだしも、ベルトルトは確実に。もしかしたら生きていたアニにぷちっとやられる可能性だってある。

 

 とりあえず、立体起動の腕だけは上げておこうと思った。これから馬面にはお世話になりそうだ。

 

 声を大にして言いたい。どうしてこうなったッ!!!

 

 ………ああ、胃が痛い。これ本来アルミンの役目だろ。

 

 





というわけで連載と相成りました。
よければ評価、感想などお待ちしております。


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二頁目

 

 

★月Σ日

 

 

 きーがーつーいたらー部屋じゅうーにー矢がー突き刺さーってるぅー。何回言っても何回言ってもライーベルーアニが信じーないーよー! あの三人巨人じゃなくーても強いしー!(エアーマンが倒せないに合わせて)

 

 兵舎で普通に矢とか打ってくる巨人組マジパねぇ。日記書いてるときもたまに窓から来る。怖スギィ! おちおち眠ってもいられない。というわけでエレンさんに身代わりになっていただいた。部屋を今日だけ交換したのさ! 原作主人公だから死なないよね!(ゲス顔)

 

 でもこっちはこっちで夜にミカサが来た。何あの子怖い。エステサロン『シンデレラ』を紹介した方がいいんじゃあないか? そういえば康一くんと中の人同じだし。梶さんはヤンデレの攻略対象、はっきりわかんだね(偏見)。

 

 ミカサってここまで病んでたっけ? 二次創作だとよく見かけるけど、原作だと困難じゃなかった希ガス。12巻のマフラーのくだりは最高でした。あそこでミカサはヒロイン力を使いきってしまうんや。悲しいことやで……。

 

 というか、日本の歴史で俺のような状況の人を聞いたことがある。『話せばわかる』の人。ドーモ。イヌカイ=サン。なんでや! 犬養さん関係ないやろ! なんでや、って聞くとSAOを思い出す。なんでや! キバオウ関係ないやろ!

 

 それにしても、俺いろんな人から狙われてんな。デブキングだったり巨人だったり。あれ、壁の中にも外にも的が。むしろ同じ兵舎の中に敵が。つーんだつーんだ(ごちうさ感)

 

 

 

 

Ж月φ日

 

 

 アルミンの反応が面白いので、普段から女の子っぽい口調を試みてみる。でもなんか違う。

 

 で、個人的に理想の髪型、ポニテを実践してみた。自分の事ながらめっさ可愛い。俺だけど。そう考えると泣きたくなってくる。金髪碧眼……ポニテ……ハラショー……KKE……うっ頭が。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Э月Ё日

 

 

 日記が消えていた件について。まあ日本語だから読めないだろうが、多分犯人は巨人組。燃やしたか盗むかしたんだろ。多分。

 

 あれを教官に見られたら精神異常を来したとかで開拓地行きにならねえかなとか夢想してみる。夢って付いてるから不可能なんだよなあ(絶望)。

 

 そして悲しいことに自分も人外化が進んでいる。窓から来た矢を普通にキャッチしちまった。しかも振り向かずに。体が勝手に動いた怖い。

 

 来た方向に投げ返したらドスッていう音がした。矢って普通に投げて刺さるものだったっけ……。とりあえずライベルアニはざまあ。ミカサ程ではないが腹筋も割れてきているし、こりゃいよいよチート無双かな? と思ったけどそんな訳がない。無双を夢想してみるだけなので、絶望オンリーのこの世界では無双も通用しないと思う。それこそ人類最強レベルじゃないと。

 

 対人格闘もそこそこ出来る(というかミカサに無理矢理仕込まれた)し、立体起動も(ジャンに負けんのがムカつくから)平均以上は出来ている自信がある。でも心臓を捧げる気はない。もうこのまま十位以内狙って憲兵暮らしでもいいかな。取れないことはない思う。クリスタには悪いが、ちょっと本気で内申稼ぎをしてみる。生きるのに必死なんだこちとら。お前ら結局全員調査兵だったろ?(ゲス顔)

 

 そういや憲兵団にはケニーもいるんだったか。奴はなぜか私に目をかけている。嫌な予感しかしないが、奴が私を利用している内は私も巨人からの隠れ蓑として利用させて貰おうと思う。まさにWin-Winの関係ってやつだ。

 

 憲兵って最高だな。原作十位以内の誰か蹴落とすしかねえ。

 

 

 

Э月Ξ日

 

 

 最近、ライベルアニが行動を仕掛けてこない。前は矢を射ってくるだけで楽だったんだが……なにか考えがあるようで怖い。もっと用心深く生活するべきか。

 

 とまあ、胃痛を呼ぶ話題はここらにしておいて。

 

 久しぶりにハゲが休暇をくれた。一年間の労り……つまりは春休みというわけだ。今日はサシャとユミルにクリスタ、そこに私が加わって四人で買い物でもしようという話になった。

 

 やはりこの成長期辺りになるとおっぱいが大きくなってくる。うん、今はだからなんだってなってるが。毎日風呂で見るし。むしろ最近は男の槍を見る方が赤面しつつある。本気で精神にまでTSが進んできた。女の子口調はやめた方が良かったかもしれない(今更感)。

 

 話が逸れたが、用は下着類や日用品の調達だ。

 

 クリスタがこそこそやっていたので、何かなと見てみれば「だめだよ!」と隠された。それを見てる二人がニヤニヤ笑ってたし。えっ、何、私ハブ? 泣くよ? いい年こいた性別グレーの人が泣くぞ?

 

 途中でエレンとミカサに会った。デートかよリア充。てかミカサの私服が可愛すぎて辛い。こう、なんてーの。いつもと違ってちゃんと女の子してた(失礼)。

 

 とりあえず四人でべた褒めしたら照れてた。ユミルは半分皮肉入ってたけど。もう辛抱たまらんくなって抱き締めたら腹パン食らった。特に理由のない暴力が私を襲う―――! 思いっきり私が悪いけど。

 

 というか、いつのまにかミカサとも仲良くなってるな私。コミュ力成長した。どや?

 

 まあ、ノミがダニに進化した程度だけど。知ってた(白目)。

 

 

 

ω月Ψ日

 

 

 

 食堂で、私と目を合わせると皆目をそらすようになった。……えっ(涙)。

 

 唯一ライベルアニはいつも通りガン無視垂れてくれてた。私はお前らのそのいつもと変わらないスタイル、嫌いじゃないぜ。むしろ安心するまである。まあ人間的には嫌いだけど。矢投げてくるからね、仕方ないね。

 

 教官に頼まれた荷物を持っていこうとするとミーナに「私持っていくからいいよ」と言われた。これはあれか。『お前が触ると汚いんだよ豚が』っていう意志表示か? ふん、いいさそんなので心が折れる私じゃない。あれ、おかしいな、目から水が。

 

 ともかく、自室でやさぐれているとまずはエレンがやって来た。おいここ女子寮だぞ。

 

 頬をぽりぽり掻きながら小箱を渡してきた。続いてミカサも。えっ、時限爆弾?

 

 おそるおそる開けてみたら、髪留めとかが入ってた。しかも結構高そうなの。「お前、今日誕生日だろ?」ってにかっと笑うエレンのイケメンなことイケメンなこと。時限爆弾とか考えてた数秒前の自分を殴りたくなった。こんなに用心深くなったのも全てライベルアニって奴の仕業なんだ!

 

 ミカサからは赤のリボン。これで髪を結えとの事らしい。しかも「私と色、お揃いだから」って例のマフラーで顔を隠すミカサの可愛いこと可愛いこと。二人を抱き締めて本気で咽び泣いた。

 

 その後、続々同期が集まってくる。マルコとかも来たし、ジャンもいた。意外なことにまさかのアニからも頂いた。それはそれでそっと開封しないまま捨てておいた。毒とか塗ってありそう(小並感)。

 

 最後に渡してくれたのはクリスタだった。あのときの物だったんだなあと、うんうんと頷いてしまった。もうなんだろうね、この世界で人に優しくされると本気で泣く。

 

 クリスタがくれたのは腕輪……というよりミサンガに近いもの。黄色と水色の糸が綺麗に重なってるやつ。異母妹(姉かも)が本当に天使すぎて辛い。小一時間くらい抱き締めて泣いた。迷惑でほんとごめんなさいクリスタ。

 

 三十分位かけて、全部壁に飾り終えた自室は急に暖かくなった気がした。

 

 ありがとうみんな。本当にありがとう。

 

 



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三頁目

 

 

◎月α日

 

 

 死ぬこともなく二年目は終わった。まあ、ライベルアニがなにか企んでいるのは知ってるんだけどね!(戦慄)

 

 なんかこう、私を殺そうと躍起になっていたのが無くなってる。余裕が生まれたみたいな、そんな感じに。

 

 まあ、奴らが私に危害を及ぼさないというのなら全く以て問題はない。日頃から警戒はしておくが。

 

 

 

¶月√日

 

 

 訓練兵団も今日で卒業になる。エレンの演説があったり、ジャンとの喧嘩があったりで、最後まで面白いやつらだった。

 

 エレンも、悪気はないんだろうが『勿論お前も調査兵団志望だよな?』っていう輝きに満ち溢れた目をこちらに向けてくるのは本当にやめてほしい。目が腐ってる私にはニフラムかかってるのと同義だから。ザキと同義だから。「えっ。……えっ」とか本当に言ったから。

 

 ……最近、こいつらに死んでほしくないとか考えるようになってきた。いやそれが普通なんだけど。やはり三年も一緒にいると情が沸いてしまうらしい。いざというとき見捨てられるように過ごすべきだったか。……でもまあ、誰かが死なない状況にもって行ければそれに越したことはない。目標は三班のメンバーとマルコの救済。

 

 明日はついに実戦かー。正直このままどこかへ消えたい。

 

 そうそう。私の順位だが。

 

 11 っ て お 前 。

 

 クリスタをのし上げるために私の邪魔をしてくるユミルマジ許すまじ。しかもちょっと申し訳なさそうにしてんじゃねぇよ気まずいだろ。

 

 ちなみに首席から十位までは原作通りだ。しかも最後に教官から貰った言葉が「貴様は本当に運がないな……」って。そこも含めて評価してくれる教官素敵!(建前)運で成績変わるっておかしいだろふざけんな(本音)。

 

 

 一人だけ怯えてるんだよなあ。明日のことで。エレンに「どうした」って聞かれたけど答えられる筈もなく。なにげこの世界は運ゲー要素あるからね。人類準最強(ミケさん)も思ったより呆気なく亡くなったし。やっぱり実力で生き残るならアッカーマン家くらいないとなあ。無理ゲーすぎて泣ける。

 

 ベルトルトはまだ覚悟を固める前だったか。あいつもちょっと様子がおかしかった。ライナーやアニは今回壁破壊に加担しないとはいえ、どこか神妙な顔つきだった。

 

 ……明日、明朝に行動を起こそうと思う。固定砲整備なんぞ知るか。一人の時を見計らってベルトルトの首を落とす。うまくいったら、だが。

 

 正直な話、ベルトルトは私よりもかなり強い。リーチという大きな武器もあるし、何より第三位というのは伊達ではない。ミカサ仕込みの体術(反射神経に頼る野性的なもの)に頼っても、人間状態で勝てる確率は半分以下と言ったところか。

 

 

 

¶月ц日

 

 

 

 今はなにも書きたくない。気持ちが落ち着いたらもう一度書こうと思う。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 結局、私は怖じ気づいた。ベルトルトの背後に回ったまでは良かったが、そのあとブレードを握る事すら出来なかった。結局、覚悟など出来ていなかったのだ。人を殺す覚悟も、それが出来ないことによる多数の犠牲の事を考えても、私は確実な保身に走った。

 

 ミーナやトーマス、それにマルコ。みんな死んだ。助けられる筈だったのに。

 

 エレンも食われたとアルミンから報告された。普段の私なら「原作通り」だとか書いているのだろうが、頭の中にあるifの可能性の事を考えると、言い様のない不安に駆られる。怖いのだ。どうしようもなくこの世界が。本物の巨人を見てようやく実感した。

 

 屋根の上、エレンの凶報を受けてもミカサは平然としていた。それどころか私達を鼓舞するような………いや、演技だろう。きっとあの場で一番辛かったのはミカサだ。

 

 首席という立場を良くも悪くも理解している彼女は、ここで士気を下げる訳にはいかないと考えたのだろう。トップが折れてしまってはその下が折れない訳がない。

 

 強い。だが脆い。彼女より大人である筈の私が行動に移せず、こうしてただ文でひたすら考察を続けるなどおかしい話だ。わかっている。支えてあげるべきなのだろう。だが、体がどうしようもなく動かない。背後から迫る死神の足音に抗えずにただ震えている。

 

 ……これではまさに家畜だ。反逆しようともせず、この状況をただ悲観するだけ。

 

 私は人だ。今のところ、肉体だけは。

 

 ……いつか、エレンの様に気高い『人』になれるだろうか。彼が私の立場だったなら、きっとこんな犠牲はなかった。どこまでも純粋な漆黒の衝動のまま、ベルトルトの心臓を貫いていただろう。

 

 これから、トロスト区奪還作戦が始まる。絶対に生き残ってやる。家畜のまま死ねるわけがない。

 

 他人に『心臓』を捧げられる人間こそが、本当の意味での人間なのだろう。

 

 怖くて仕方ないが、今度は腕は震えていなかった。むしろ妙な達観さえ生まれている。生き残れたなら、真っ先にミカサとエレンの所へ行こう。二人を精一杯抱き締めてやりたい。

 

 だが、もし死んだときの為だ。胸ポケットにこの日記を入れて、これがハンジやリヴァイ、調査兵団の糧になるためのものにしておこう。こちらの世界の言葉で、これを記しておく。

 

 

 

『私はセシル・ウィルス。第104訓練兵団所属。これを見ている人間がいるのならば、私はトロスト区奪還作戦中に死んだということだろう。出来る事なら遺体は、憲兵団所属のケニー・アッカーマンの元で火葬してほしい。

 

私は先の超大型巨人襲来による作戦中、人類の敵の正体を知ってしまった。

 

 同期のベルトルト・フーバーが超大型巨人の正体である。鎧の巨人は同じくライナー・ブラウン。これから現れるであろう女型の巨人の正体はアニ・レオンハート。

 荒唐無稽な話ではあるが、どうか信じてほしい。エレン・イェーガー訓練兵の巨人化からもわかるように、人は巨人へとその姿を変えることが可能である。つまり、知性を持っているであろう先述した巨人達はみな、中に人が入っている可能性が高い。

 

 証拠を提示しろと言うのならば、先述した三名の四肢をもぎ取るといい。そうすれば奴等は巨人化できない上、その正体を晒されることになるだろう。もいだ四肢から狼煙が上がるなら、それが何よりの証拠だ。

 

 自傷行為が巨人化の引き金になっているため、彼らが金属類を身に付けているときは推奨しない。指先まで完全に捕縛してから行為に及ぶべきである。』

 

 こんなものか。願わくば、この日記が私以外の手に渡る事がないことを。

 

 



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セシルという人間をどう思う


閑話みたいなもの。


 

 

『ベルトルト・フーバーの場合』

 

 ベルトルト・フーバーの朝は早い。同期に同郷と公言しているライナーと共に風呂に入り、嫌な寝汗を落とすところから一日が始まる。

 

 このところ、毎日夢を見る。自分が奪ったも同然の数多の命が、枕元で囁きにくるのだ。聞き取りづらく、呪詛にも近いそれはベルトルトの精神を確実に蝕んでいく。だから、目が覚めて相棒の顔を見るとどうしようもなくほっとする。

 

 使命とはいえ、五年前のウォール・マリア破壊には思うことがあった。同時に、まだ自分が戦士として未熟という現実を叩き付けられる。恐らく、壁内人類と自分達の戦いは今よりも更に激化するだろう。そうすれば、もっと多くの命を奪うことになる。そこに、ベルトルトの是非はない。

 

 過剰なまでのストレスの捌け口は、一人の少女に注がれた。自分たちの秘密を知ったというのに、人類どころか同期の誰にも話さない不思議な少女であったが、ベルトルト達には好都合であった。隠匿のために殺そうと躍起になっていたのだろう。

 

 ただ、それは理由の一部分でしかない。

 

 きっと、何かに夢中になっていられなければやっていられなかったのだと思う。秘密を守るため、とかこつけて密かに弱者をいたぶる事で自分に優越感を感じていたのだ。結局彼女が死んでしまえば、今度こそ自分は壊れてしまうというのに。もっとも、それに気付いたのはずっと後だったけれど。

 

 

 

『ライナー・ブラウンの場合』

 

 奴は気さくな良い奴だ。だが、妙に俺達を警戒しているフシがある。エレンやミカサ、ジャンなどには笑顔で接していく癖に、俺達を見た途端顔から笑いが消えるのだ。まるで今まで見せていたそれが演技であるように。いや、実際演技だったのだろう。同じく仮面を被っている俺だからこそわかると言ってもいい。

 

 妙に保身的で、だが良い奴。きっと後者は打算的に動いているだけだろうが、それが攻を奏して同期からの信頼はそこそこに厚い。人の心を掴むのがうまい、とでも言えば良いのだろうか。まるで最初から性格を知っているかのように相手が嫌がることはしないし、むしろ喜ぶ事を率先してやっていた。

 

 だからだろうか。奴にどこか妙な歪さを覚えたのは。当然の事である訓練に『これやんの!? マジで!?』だとか抜かして笑いを取っていたが、あれは打算ではなく本気だったのだと思う。どこか甘い考えの持ち主なのに、この世界が残酷な事をよく理解している。……ほら、歪だろう?

 

 まあ、奴が急に女子になったときは素直に驚いたが。例えるなら、そうだな。クリスタの姉と言われればしっくりくる。あくまでも見た目の話だが、かなり好みの部類だった。あの少々キツめな目がまた……。

 

 

 

『アニ・レオンハートの場合』

 

 あいつは、一言で言えば腐りきった壁内部と変わらない奴だ。クズだ。まず自分を大事にして、他人は後回し。そのくせ困った時は他人に救いを求める。どこまでも利己的な態度を貫いていて、逆に好感が持てるほどに清々しいまでのクズ。

 

 だがまあ、普通の人間だろう。人間とは普通ああやってあるべきなのではないか、と最近思う。あんな人間が沢山いる社会があれば、きっとこんな世界より、きっと数倍良い世界なのだ。甘えが通用する世界。全くもって素晴らしい話じゃないかい。………まあ、この世界でそんな事になろうものならそれこそ醜い、ありのままの人間が見られるだろうが。

 

 秘密を知られた時は焦ったが、それと同時に『あいつならいいか』という気持ちさえ沸いていた。今でもこの感情の答えは出せていない。なんだかもやもやするが、置いておいても良い問題だ。

 

 ………だが、それはそれとして。104期の皆(ライナーとベルトルトは例外)で誕生日プレゼントをあいつに送ったのだが、私の小包だけ開封すらされずにゴミ箱に投げ棄ててあったのはどうかと思う。警戒はされているのだろうな、と物悲しくもなった。

 

 次の作戦では、きっと結果的に彼女を殺すことになるだろう。どこか胸に小さく痛みが走るが、故郷に帰るためだ。仕方がない、覚悟を決めよう。

 

 

 

『ユミルの場合』

 

 確かに見た目だけはクリスタに似てるが、性格は真逆だねありゃ。あの娘は『誰かの助けになっている』という事を実感するために周りに優しくするが、あいつは『自分自身を生かすため』に行動している。まあ、私にはどうでもいいんだがな。

 

 あいつがどっかの誰かみたいに、良家の娘だったりするなら……恩を売っておくのも悪くはないけどな。

 

 

『エレン・イェーガーの場合』

 

 良い奴。

 

 





エレンは単純。はっきりわかんだね(偏見)


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