Re:ゼロから始める異世界生活 By鎧武 (ライとも)
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第1章
#1「3人の青年の出会い」


何故か今頃、鎧武にハマってしまったので、これで何か書けねぇかと思い出来たのがこれです。いつも通り駄文だと思われますので、先に謝っておきます。すいません。

まぁ1話です。どうぞ。


スバルside

 

───これはマズいことになった。

短い黒髪に平均的な身長。体格は良い方で、グレーのジャージが良く似合っている。更には三白眼の鋭い目つきだけが印象的な彼の心中はそんな言葉で埋め尽くされていた。

 

その少年の周りには、金髪や赤髪、茶髪を始めとして緑髪から青髪まで様々で、格好もジャージではなく鎧や踊子風の衣装やらでそれらしすぎる。無遠慮な視線の波にさらされて、少年は腕を組みながら認めてしまった。

 

「つまり、これはあれだな」

 

指を鳴らし、自分の方を見る人々にその指を向けながら、

 

「───異世界召喚もの、という事らしい」

 

目の前を、トカゲのようなドラゴンのような生き物に引かれた馬車的な乗り物が横切っていった。

 

スバルsideout

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

数時間後

 

紘汰side

 

 

……ここは、何処なんだ?

 

何故かいきなり知らない中世風?の街に来てしまった。

周りを見てもドラゴンみたいな生き物が走ったり、甲冑を着ている人がいたり、訳が分からない。

 

とりあえず今言える事は、ここが俺の住んでた所じゃないということだけだ。それに、なんかすげぇ浮いてる気がする…

 

俺みたいにパーカー着てる人とか誰一人いないし…

 

というかかなりヤバい事が起きている…。俺の持ってるロックシードの色が全部消えてしまった。スイカのロックシードは1回だけ同じ事があったけど全部は初めてですげぇやばい気がする…変身出来ないじゃん…

 

 

 

«衛兵さーーーん!!»

 

 

え、衛兵?何の事かよく分からないけど、誰かが助けを呼んでる気がする!

 

紘汰sideout

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

スバルside

 

やはり読みは当たったようだ。3度目に死んだ時にこいつらが言ってた衛兵ってのは、こっちの世界で言う警察みたいな立ち位置だったみたいだ。すげぇ焦ってる、ざまぁねぇぜ。

 

しかし残念ながら、大通りからは誰1人として人が来ない。

 

「やっぱ、失敗か……」

 

こいつらトン、チン、カン(俺、命名)は、焦ってたようだが人が来ないと分かったからかまた襲い掛かろうとしてきた。あぁ…俺はまたここで死ぬのか…まだあの子の本当の名前も聞いてないのに…

 

 

 

 

「───そこまでだ」

 

「大丈夫か!!」

 

 

その‘’2つ‘’の声は唐突に、しかし明確に、路地裏の乾いた緊迫感を切り裂いていった。

 

少し控えめな声の方は、凛とした声音で欠片の躊躇も、一切の容赦も含まれていない。聞くものに圧倒的な存在感を叩きつけてくる。

 

もう片方の声の方は、声を聞くだけでその人の優しさが伝わってくる。こちらは、聞くものに安堵感を居場所を与えてくれるようだ。

 

スバルが顔を上げ、トンチンカンが振り返る───

その先、2人の青年が立っている。

 

まず何よりも目を惹くのは、燃え上がる炎のように赤い頭髪。譬えようがないほどに輝く蒼い双眸。以上までに整った顔立ちも凛々しさを後押ししている。こっちが凛とした声音の持ち主だろう。

 

次に目を惹くのは、自分と同じでこの世界ではいないに等しいであろう黒い頭髪。そして、自分と同じ目のはずなのに優しさと強さで包みそうな黒茶の瞳。更には…ん?白のTシャツにパーカーに肌色の長ズボン?この人は俺と同じでここに召喚されたんだろう。

 

するとどうだろう。赤髪の青年を見た瞬間トンチンカンは顔を蒼白にし、‘’剣聖ラインハルト‘’と言い、逃げて行った。

 

「3人揃って無事でよかった。ケガはないかい?」

 

「あ、あぁ…大丈夫だ。ありがとう」

 

なんか少し離れてもう1人の人がしゃがみ込んでる。

 

「…あんたも来てくれてありがとう。おかげで何だか少し気が楽になったよ」

 

「お、おう」

 

急に感謝されてビックリしたのか驚いている。俺とは違うタイプの人だな。そんな事を考えていたらラインハルトが、

 

「せっかくだ、僕ら自己紹介をしないか?」

 

「そうだな。俺は菜月昴!無知蒙昧にして天下不滅の無一文!ヨロシク!」

 

「ははは…自己紹介でそれはどうなんだろうね…。僕はラインハルト。騎士だ」

 

「最後は俺だな。俺は葛葉紘汰、多分立ち位置的には昴と同じだからよろしく!」

 

ラインハルトに紘汰か…何だか将来、この2人には世話になりそうだな。

 

 




今回は少し中途半端に終わった気がしますが、スバル君の死に戻りの部分を大幅カットしてしまったからしょーがないっすよね。そのうち設定とか書く予定です。2話も明日あたりにでも書き始めるのでまた読んでもらえると嬉しいです!

ではまた!


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#2「魔性と泥棒子猫との出会いと再開」

2話目です!前書きで書く事はこれしか思いつかないので、もう本編どうぞ!


紘汰side

 

俺と昴は、ラインハルトと少し話をして別れた。

昴は、これから偽サテラという女の子を探すらしくて、今、俺達は情報収集の為に顔に傷の入った店主が経営している果物屋に来ている。そして、昴がここの店主と知り合いらしいから話をしている。

 

「なぁ、オッチャン」

 

「なんだ、一文無し」

 

このオッチャンなかなかストレートだな…

 

「一文無しは事実だから否定はしねぇんだけどさ……オッチャン、このへんでスリ騒ぎとかなかった?」

 

「何も買わずに質問とかいい度胸してんな、お前」

 

「いや、わりぃ…」

 

「まぁ、そんな騒ぎなんざ珍しくもなんともねぇよ」

 

「「マジで!?」」

 

おっと、ついつい声に出てしまった。沢芽市は、ヘルヘイムの森による‘’理由のない悪意‘’によって色んな事件があったけど、この街は人間などによる‘’明確な悪意‘’によって色んな事件が起きてるんだな…こっちはこっちで難しい問題だな。

 

「それに、さっきの騒ぎは珍しく、通りで魔法が2、3発ぶっ放された。見ろ」

 

店主の指さした方に視線を向けると、露店の脇の路地に通じる壁に穴が穿たれていた。

 

「おお、スゲーな」

 

「氷柱が矢みたいに飛んで突き刺さった後だ。すぐに消えちまったがな」

 

その氷柱がもしも人に当たったりしたら、その人はもう…ダメだろう。

 

「紘汰。今からフェルトに会うことに目標を変える。盗品蔵に行こう」

 

「あぁ、わかった」

 

そして、俺達は店主に次来た時はちゃんと買い物をすると約束して、フェルトに会うために盗品蔵に走っていった。

 

紘汰sideout

 

 

* * *

 

昴side

 

「フェルトの奴のねぐらか。それなら、そこの通りを2本奥へ行ったところだ」

 

「ありがとよ。助かったぜ、兄弟」

 

「気にすんなよ、兄弟。───その、なんだ、強く生きろよ?」

 

こうしてフェルトのねぐらの情報は手にいれた。後は、フェルトに会って交渉するだけだ。そして、紘汰と教えてもらった道を歩いていくと、水溜りがあったから跳んで回避をした。そしたら、向こうから現れた人影とぶつかりそうになった。慌てて身をかわし、通りの壁に背中からぶつかる。紘汰は、その様子を見て笑っている。後でイタズラしよう、そうしよう。

 

「あら、ごめんなさい。大丈夫かしら?」

 

「大丈夫大丈夫。こう見えても丈夫なのが取り柄──っ!?」

 

見栄を張ろうと顔を上げ、相手を確認した昴の語尾がすっぽ抜け、顔が硬直する。そんな昴を見て、黒髪の女性は小さく笑う。

 

「楽しい子ね。本当に大丈夫?」

 

絶対に再開したくなかった。2度も俺の腸ぶちまけやがった相手───エルザが立っている。

 

「───そんなに恐がらなくても、何もしないのだけれど」

 

「こわ……恐がるとか、してねぇよ?何を根拠にそんなこと……」

 

「臭い……」

 

虚勢を張る素晴を無視し、エルザはその双眸を細める。

臭い?と首をひねる昴に、彼女はその形の良い鼻を小さく鳴らす。

 

「怖がってる時、その人からは恐がってる臭いがするものよ。あなたは今、恐がっている。……それから、私に対して怒ってもいるわね。」

 

楽しげにこちらの内心を暴露して、上目で見てくるエルザ。昴は無言の愛想笑いで応じながら、早鐘のような鼓動を殺そうと呼吸を深くする。

 

すると、エルザの目線は昴から紘汰へと向けられた。

 

「あら、あなたは何だか───私と少し同じ臭いがするわね。」

 

「…………」

 

その瞬間、紘汰の顔があからさまに硬直した。俺はその言葉の意味をまだ理解していなかった。よく考えれば分かるはずだったのに…

 

「まぁいいわあなた達とはまた会えそうな気がするわね。特に青色の服を着ているあなたとはまた会って話したいものね」

 

「そうだな、俺もだよ」

 

そう軽く会話をしてエルザは路地の闇に溶けていった。それを見届けた昴は疲労感を感じながら壁にもたれ掛かった。

 

「まさかここで会うとはな…」

 

「あの人がエルザか。何だか魔性?って感じだな」

 

そうだな。と返答し、フェルトのねぐらへと足を進めた。

 

その5分後、小汚いボロ屋に行き着いた。

 

「情報だとここだと思うんだが……ほんとにここに住んでんのか?」

 

何だかあんな小さい子がここで暮らしていると考えると不憫に感じる。あそこまで金に執着するのも仕方が無いと、許せる気がしてきた。

 

「こんな所で小さい体をちっちゃくして生きてるんだ。そりゃあ性根が曲がってもしょーがないな。可哀想に」

 

「そうだな、フェルトって子を見たことはないけど、それでもこれは可哀想だな」

 

「言い過ぎだろ、胸糞わりーな。人の寝床見て、どんだけなんだよ、兄ちゃん達」

 

と言われ、振り向くとジト目で昴と紘汰を睨みつける金髪の小柄な少女───フェルトがいた。

 

若干ながらフェルトの格好が薄く汚れて見えるのは、今回の逃走劇が熾烈を極めたからだろう。

 

「なんかすげぇ気の毒そーな顔されて腹立つけど、アタシになんか用か?兄ちゃん達、格好からしてここの住人じゃ無さそーだけど」

 

「お。俺達を同類扱いしないとは、見る目あるんだな」

 

「ここの連中でももうちょい身綺麗にしてるっつーの。特に目つきの悪い兄ちゃんは正直、うちの連中より小汚ぇよ。アタシ以上にな」

 

相変わらず、口の減らない小娘だと思っていると、

 

「でも、そこのすげぇ優しそうな兄ちゃんは何だか何とも言えねぇ感じがする。着てる服の背中の絵はカッケーけどな」

 

「お!分かるかフェルトちゃん!これチョーカッコイイよな!」

 

服を褒められたのが余程嬉しかったのか、フェルトの頭をぐしゃぐしゃに撫で回しだした。

 

「だー!止めろよ兄ちゃん!それにちゃん付けするな!」

 

と、暴れ出すが紘汰は全く気にせず、そのへんの石に座り、フェルトをその前に座らせ頭をまた撫で始める。

なんだか仲のいい兄妹みたいだな。微笑ましいぜ。

 

「ところで兄ちゃん達の要件は何なんだ?」

 

もう諦めて話を進めだした。でも、ちょっと顔が赤いなぁ〜このフェルト、チョー可愛いな!

 

「あぁ、俺達の要件は1つ。───お前が盗んだ徽章を、こちらで買い取りたい」

 

 

 

 




そろそろ紘汰くんを変身させたいですねぇ…まぁ次も頑張りますぜ〜

次は3話ですね!

ではまた!



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#3「鎧武者」

投稿に1週間以上開けてしまいました。すいません。
体育祭とか文化祭とか忙しかったんですよ…疲れた…

今回は紘汰sideだけです。

ではどーぞ!


紘汰side

 

目の前で昴とフェルトが、ミーティアという名の携帯電話を中心に言い合いをしている。軽い口喧嘩みたいなもんだな。それに、何だかんだで盗品蔵に行けるみたいだ。

 

「じゃあ連れていくから兄ちゃん達ちゃんとついて来いよ」

 

俺と昴はかるくへんじをしてフェルトについて行った。

 

 

 

* * *

 

 

フェルトに盗品蔵まで案内してもらっているけど、通っている道がすげぇ居心地が良くないところなんだよな…

 

「あーぁ、どうせならもっと華やかな場所で、手でも繋いで歩きたいもんだな〜」

 

「目がうるさい兄ちゃん気色わりーこと言ってんじゃねーよ。少女趣味かよ気色わりー」

 

「目がうるさいって何だよ!それに2回も気色わりーって言うな!ホントっぽく聞こえるだろ!」

 

昴が襲いかかってくると思ったのか、フェルトが俺のそばに来て隠れ出す。

 

「マジで怪しい真似すんなよ?この話がおじゃんになっても知らねぇからな?」

 

「ったくよー俺にだけずっと警戒心をゆるませない子猫相手に、なんとか仲良くしよーって頑張る心遣いだと思ってくんねぇかなぁ。それが嫌ってんなら、遠回りとかやめてくんねぇ?」

 

「……なんで」

 

「正直、さっきから何回かあの落書きを見かけてんだ。おかしいとは思うだろ」

 

これを聞いた紘汰は、昴すげぇな…意外と頭良いんだな…と少し落ち込んだ。

 

「…わーったよ!真っ直ぐ連れていきゃーいいんだろ!ったく!」

 

「あれ?何で俺、怒られてんの?」

 

さぁ?と答えて先に進んでいった。

その道中でフェルトと俺はすげぇ仲良くなった。昴は少しはぶててたけど。

 

 

* * *

 

盗品蔵に着いて早々なんだか合言葉みたいなのを扉の向こうの人と掛け合い、今までに見たことないほどガタイがいい爺さんが顔を真っ赤にして怒りながら扉を蹴破って開けた。

 

「余計な枕詞つけんと合言葉も言えんのか!余計に腹立たしいわ!」

 

「あんま頭に血ぃ昇らせてると血管切れるぜ。現代医学でも結構危険だぜ」

 

「そう思っとるなら怒らせるんじゃないわ!なんじゃお前達は!今日は人払いしなきゃならんから入れんぞ!」

 

「あー、悪いなロム爺。コウタとコイツはアタシの客なんだ。嫌かもしんねーけど、入れてやってくれよ」

 

俺の後ろにいたフェルトが申し訳なさそうに言うと、ロム爺と呼ばれた爺さんはがっくりと肩を落とした。落ち込むロム爺と口笛を吹く昴、フェルトはその2人を見比べてため息をついた。

 

「下衆兄ちゃん、本気で性格悪いな。控えめに言っても最悪だ。上がるぞ、ロム爺」

 

フェルトはそう言い、俺の腕を掴んで、当たり前のように盗品蔵の中に入る。

 

「何か悪いな、爺さん」

 

そう伝えると、ロム爺は顔をしかめながら昴にも入れと催促した。また、昴とフェルト、ロム爺は軽く言い合って本題に入っていった。

 

結果として、ミーティアもとい携帯電話は聖金貨20枚程の価値のあるものとロム爺が言った。その後直ぐに昴は、フェルトに勲章を……と言いかけたとき盗品蔵の扉が軽く叩かれた。

 

それを聞いたフェルトが依頼主が来たかもしれないと扉を開けようとすると、昴が

 

「開けるな!殺されるぞ!!」

 

と、叫んだ。だが、もう遅かった。フェルトの手は戸にかかり、押し開かれる向こうから夕焼け色の光が盗品蔵の薄闇をぼんやりと淡く振り払った。そして、

 

「───殺すとか、そんなおっかないこと、いきなりしないわよ」

 

そこには、唇を尖らせた銀髪の少女が立っていた。

 

 

───────────────────

 

「よかった、いてくれて。──今度は逃がさないから」

 

この言葉を始めとして、昴達は俺を放置して色々話し始めた。なんだか、魔法とかエルフとか言っているからゲームの話でもしてるのかと耳を傾けていると、銀髪の少女の後ろに何か黒い影が見えた。昴もそれが見えていて、それが何なのかも分かっていたみたいだ。

 

「───パック!防げ!!」

 

すると、銀髪の少女の後ろの方に透明なシールドみたいなのが張られ、鋼がガラスを割るような音がした。黒い影が少女に向かって刃物をふるっていたようだった。

 

「なかなかどうして、紙一重のタイミングだったね、助かったよ」

 

灰色の猫のような小動物がそう言った。……ん?動物が喋った!?嘘だろ…すげぇな…。

 

「───精霊、精霊ね。ふふっ、素敵。精霊はまだ、お腹を割ってみたことなかったから」

 

謎の襲撃者はここに来る途中であったなんとも言えない不思議な美人さんだった。腹を割るとか見た目に合わない物騒なことを言っている。

 

その美人さんとパック、銀髪の少女が盗品蔵の中で戦い始めていると、その近くでクラックの開く音がした。

 

 

キシャァァァァァ!!

 

 

クラックから3体のインベスが現れ、少女とパックに攻撃を始めた。なんだか、美人さんの方を味方しているようにも見えた。

 

「な、なんだこいつは!」

 

ロム爺がバットみたいなのを振り回し攻撃するが、インベスには全く聞いていないようで、さらに暴れ出した。

 

そもそも何でここにインベスがいるんだ?沢芽市でも無いのに…そう考えながら戦国ドライバーをセットし、オレンジのロックシードを手に取る。いつの間にか色が戻っていたみたいだ。

 

「こいつらは俺が倒す!だから、フェルト!誰でもいいから人を呼んできてくれ!」

 

「お、おう!分かった!」

 

フェルトは盗品蔵を出て、走っていった。それを確認し、少女の方を見るとパックはいなくなっていて、ロム爺を含めて4対2になっていた。

 

「今助けるぜ!」

 

オレンジロックシードを顔の横に持っていき、叫んだ。

 

 

「変身!」

 

 

『オレンジ!』

 

ロックシードを解錠すると、頭上からオレンジの形をしたものが降りてくる。

 

ロックシードを空にかかげ、ドライバーにセットし掛金を押し込む。

 

『ロックオン』

 

すると、法螺貝のような音が鳴り響き、みんながこちらに向きだす。そんなことを全く気にせずにカッティングブレードを下ろす。

 

『ソイヤ!』

 

その声が発せられると同時にオレンジのアーマーパーツが頭にすっぽりと入り、青いライダースーツに包まれると、パーツが展開され鎧をさらに見に纏う。そこには1人の鎧武者がいた。

 

『オレンジアームズ!花道オンステージ!!』

 

 

 

 

「ここからは、俺のステージだ!」




やっと書き終わりました…多分凄くおかしい所が沢山あるでしょうね…許してください…暇な時間が出来たら修正したいと思います!やっぱり、即興で書くのって良くないんですかね?


次も投稿が遅れると思います。理由としては学生の敵、テストのせいです。燃えちまえ!

ではまた!


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#4「1つの終わり」

昴side

 

何なんだ…盗品蔵にエルザがそのうちやってくるであろう事はなんとなく予想はしていた。けど、まさか怪物が3体出てきて、紘汰が何ていうか仮面ライダーみたいなのになるなんて…。しかも、見た感じオレンジの鎧武者?だな。それを見てさすがのエルザも固まってるな。

 

「はあぁぁあ!!」

 

紘汰はスライスしたオレンジのような見た目の刀を使って、3体の怪物に1撃、2撃、3撃…と相手の攻撃を見切りながらダメージを与えていく。

 

「これでとどめだ!!」

 

早く終わらせたいのかそう言うと、ベルトの小さい刀のようなものを1回下ろす。

 

『ソイヤ!オレンジスカッシュ!!』

 

そんな機械音が聞こえてきた。すると、オレンジのような刀が光り始め、紘汰は怪物1体1体に1太刀浴びせる。攻撃を受けた怪物達は爆発し跡形もなくなってしまった。

 

「ふぅ…さて、次はあんたか?きれーなおねーさん?」

 

「……あははははは!!面白い!面白いわあなた!あ〜ぁ…あなたのお腹割りたくなってきたわ」

 

…こいつはヤバい、完全に狂ってる…今、目の前で2人が戦っているけどエルザが押している…。このままじゃまた失敗ルートだ…どうしたら、どうすればクリアルートにたどり着けるんだ…

 

「ここからは僕の仕事だから交代してもらえないかい?───紘汰」

 

腰に剣を携える赤髪の青年───ラインハルトがこれでもかと言うほどのタイミングで現れた。

 

「ラインハルト…分かった後は頼んだぜ!」

 

そう言うと紘汰は変身を解除して俺たちの元へやって来た。

 

「昴、大丈夫か?」

 

「あ、あぁ…大丈夫だ」

 

偽サテラの方を見ると、パックはもう消えたようで何が起きたか分からないような顔をしていた。話しかけようとすると、ラインハルトとエルザが戦いはじめた。

 

「──しっ」

 

エルザがラインハルトの首を目掛けてククリナイフを奮ったが、ラインハルトは防御、回避をする素振りを全く見せずそこに立っていた。あわや、その首が飛ぶイメージが頭をよぎった。だが、

 

「女性相手にあまり乱暴はしたくないんですが……」

 

心なしか声のトーンを落として、ラインハルトは紳士的に前置き。

 

「───失礼」

 

踏み込みだけで床が破裂し、衝撃波が発生するほどの蹴りがエルザを吹き飛ばしていた。その余波が昴、紘汰達にまで襲いかかった。

 

「ラインハルトすげぇ強いな!な、昴!」

 

「あ、あぁ…そうだな」

 

それだけを言い、戦いに目を向けた。

 

「噂通り……いえ、噂以上の存在なのね、あなたは」

 

「ご期待にそえるかどうか」

 

「その腰の剣は使わないのかしら。伝説の切れ味、味わってみたいのだけれど」

 

エルザはラインハルトの剣を指差し、本気の彼との対面を望んだが、その希望に首を振る。

 

「この剣は抜くべきとき以外は抜けないようになっている。鞘から刀身が出ていないということは、その時ではないということです。」

 

「安く見られてしまったものだわ」

 

「僕個人としては困らせれる判断ですよ。ですから──」

 

すぐそこに落ちていた古びた両手剣を足で跳ねあげて、確かめるように軽く振った。

 

「こちらでお相手させてもらいます。ご不満ですか?」

 

「──いいえ、ああ、素敵。素敵だわ。楽しませてちょうだい、ね!」

 

そして、再び戦いが始まった。その間、ロム爺を偽サテラが治療をし終わるとラインハルトに声を掛けた。

 

「ラインハルト!なんかよくわかんねぇけど、やっちまえ!」

 

ちらりと視線だけで振り返り昴と視線を合わせるとかすかに顎を引いて応える。

 

「───何を見せてくれるの?」

 

「アストレア家の剣撃を───」

 

直後、空間が歪むような感覚が盗品蔵の中を支配した。

 

 

 

「は?」

 

視界に入る大気が歪み、心なしか部屋の明るさが1段階失われたように感じ、偽サテラとパックの氷結魔法の連続で低下していた気温がさらに下がる。原因は十中八九、ラインハルトだろう。

 

部屋の中央でラインハルトが両手剣を低い姿勢で構える。いや、構え自体はずっと取っていたはずだ。そのはずなんだが、‘’初めて剣を構えた‘’と呼ぶのにふさわしいと肌で感じ取った。

 

「『腸狩り』エルザ・グランヒルテ」

 

「──『剣聖』の家系、ラインハルト・ヴァン・アストレア」

 

凄まじい剣気が室内を押し包み、向かい合う2人の戦意が大気を震わせる。

 

2人が剣を振るうと、極光が盗品蔵を引き裂き、空間ごと真っ二つに切り裂いた。ずれた空間が元に戻ろうと収束をはじめ、大気が歪曲するほどの余波が部屋の中を暴風となって荒れ狂う。

 

この原因もまた『剣聖』ラインハルトのせいだというのはすぐに分かった。

 

「おいおい、化け物じみてんぞラインハルト…」

 

「はは…それはさすがに僕も傷付くよ、スバル」

 

苦笑いしながら破壊の原因、ラインハルトは振り向いて言った。赤い頭髪は乱れ、さすがの涼しい顔にも汗が浮んでいる。そして彼の手の中の両手剣は───、

 

「無理をさせてしまったね。ゆっくり、おやすみ」

 

粗末な作りの両手剣はラインハルトの1撃に耐えられず、崩壊してしていった。同じくそこら辺一帯の建物を軒並み崩壊させ、今にも建物が崩れそうになっている。

 

エルザの立っているはずの場所は、当然斬撃の範囲内であり、黒衣の長身の姿はどこにもない。

 

「でもこれで……」

 

緊張でかちこちに固まった体を伸ばし、昴は大きく息を吐いた。そしてどうにも実感を得ていなかった事実を確かめるように、隣の存在を思う。

 

昴の隣にいる銀髪の少女───偽サテラは少し浅い呼吸を繰返しながらも、昴の目線に気付くと紫紺の瞳をこちらに合わせた。

 

「無事に終わったの?」

 

「ああ、ホントの意味でどうにな」

 

弱々しい問いかけに答えて、昴は立ち上がろうとする少女を支える。立ち上がった少女は己の銀髪を梳き、まだ頼りない足で昴の庇護を離れた。

 

「大丈夫か?」

 

「えぇ…何とか大丈夫よ。ありがとう」

 

「こちらこそ」

 

そんな会話を軽くして、

 

「そういや、紘汰、ラインハルト。まだ2人に礼を言ってなかった。2人ともマジで助かった。ありがとう」

 

「おう!気にすんな、友達助けるためだから」

 

「そうだね、友達助けるためだから。でもお礼は僕達だけじゃなくて彼女にも言った方がいいよ」

 

ラインハルトはその彼女の方に視線を向ける。

 

「フェルト…」

 

「な、なんだよ…べ、別に兄ちゃん達の為なんかじゃねぇからな!」

 

「そうか…でもありがとな」

 

そして、紘汰も

 

「フェルトありがとな!おかげで助かったぜ」

 

「…っ!う、うるせー!兄ちゃん達の為じゃねぇって言ってるだろ!」

 

「それでもだ。ありがとな──フェルト」

 

そう言いながら紘汰はフェルトの頭を撫でる。

 

「なんだよ!やめろよコウタ…!///」

 

おぉ…デレフェルト、かーいーかーいー。そんなことを思いつつ、再び偽サテラの方に視線を向ける。やっと助けることが出来た、と。今までの疲れで床に座ろうと腰を下ろす───

 

「───コウタ!スバル!」

 

ふいにこちらを振り向いたラインハルトの叫びに、まだ完全に終わっていなかったことを悟る。

 

「───ッ!!」

 

廃材が跳ね上げられ、その下から黒い影が出現する。その影は黒髪を踊らせて、血を滴らせながらも力強く足を踏み出し、加速を得る。ひっしゃげたククリナイフを強く握りしめ、無言で疾走するのは流血するエルザだ。

 

「てめぇ───ッ!」

 

あんなに苛烈な斬撃を掻い潜り、命を拾った殺人者の目には漆黒が宿っている。今までで1番の殺気を放っていた。接触までのわずかな数秒、その間に昴の思考はめまぐるしく回転する。

 

一瞬の邂逅。ラインハルトは間に合わない。紘汰は───もうすでに動き出していた。

 

紘汰は、誰よりもいち早く動き出し、床に落ちていたロム爺の棍棒を拾い偽サテラの前に立った。

 

「紘汰!狙いは腹だ!!」

 

「おう!」

 

俺の言葉を聞いて反射的に棍棒を腹の上に持って来てガード───衝撃。

 

見た感じでは斬撃というより、打撃に近い攻撃だったように思えた。紘汰は衝撃を受け、吹き飛び回転していた。しかし、そのまま床に着地をする。

 

「ナイスだ、昴!」

 

紘汰がサムズアップをしてきたから、俺もつられて同じことをした。

 

「この子達はまた邪魔を───」

 

吹き飛んだ紘汰を見ながら、エルザが悔しげに舌を鳴らす。

 

「そこまでだ、エルザ!」

 

ラインハルトが駆け寄るとエルザは手の中の酷く歪んだククリナイフを牽制の意味で投げつけた。

 

「いずれ、この場にいる全員の腹を切り開いてあげる。それまではせいぜい、腸を可愛がっておいて」

 

廃材を足場にし、跳躍してどこかへ消えていった。さすがにラインハルトも追うことはしないようだ。

 

エルザがいなくなったのを確認すると、ラインハルトが銀髪の少女に話しかける。

 

「ご無事ですか──」

 

「私のことはどうでもいいでしょう!?それより……」

 

偽サテラはふらつく足を叱咤して壁際にいる紘汰のもとへ駆けた。

 

「ちょっと大丈夫!?無茶しすぎよっ」

 

「大丈夫だよ、運動神経には自信あるし昴が相手の狙う位置を教えてくれたしね」

 

「そう…良かった…」

 

昴も紘汰のもとに行き、心配そうに見つめる。見た感じ本当に大丈夫そうだった。

 

「今度はもう、完璧に終わったんだよなぁ…」

 

そうだ!と何かを思い出したかのように偽サテラの方を向き、視線を合わせる。急に黙り込んだ昴に少女は何か言いたげな顔をする。

 

しかし、少女が口を開くより先に、昴は左手を腰に当て、右手を天に向けて伸ばし、驚く周りの視線を完全に意識から外して高らかに声を上げる。

 

「俺の名前は菜月 昴!そして」

 

そう言いながら紘汰の方を向く。

 

「え?俺?あ、えーと俺は葛葉 紘汰。よろしくね」

 

「俺たち2人に言いたいこと聞きたいことたくさんあると思うけどそれは後回しにして聞こう!」

 

「な、なによ…」

 

「俺達は、君を凶刃から守り抜いた命の恩人!ここまでオーケー!?」

 

「お、おーけー」

 

よく分からないまま応える銀髪の少女。

 

「命の恩人、俺達。そしてヒロインは君。それなら相応の礼があってもいいんじゃないか?ないかな!?」

 

「わかってるわよ…。わたしにできることなら、っていう条件付きだけど」

 

「なぁらぁ、俺の願いはオンリーワン、ただ1個だ」

 

指を1本だけ立てて突きつけそう言った。

 

「俺の願いは───」

 

「うん」

 

歯を光らせ、指を鳴らして、キメ顔で

 

 

「───君の名前を教えてほしい」

 

 

呆気に取られたような顔で、少女の紫紺の瞳が見開かれた。しばしの沈黙が流れる。昴の眼差しは揺れず、ただ真っ直ぐに目の前に立つ銀色の少女のことだけを見つめている。そして、

 

「ふふっ」

 

口元に手を当てて、白い頬を紅潮させ、銀髪を揺らしながら少女が笑った。それはただ純粋に、楽しいから笑った。それだけの微笑み。

 

「───エミリア」

 

「え……」

 

笑い声に続いて伝えられた単語に、昴は小さな吐息だけを漏らす。彼女はそんな昴の反応に姿勢を正し、唇に指を当てながら悪戯っぽく笑い、

 

「私の名前はエミリア。ただのエミリアよ。ありがとう、スバル」

 

「私を助けてくれて」と彼女は手を差し出した。

 

その差し出された白い手を見下ろし、おずおずとその手に触れる。指は細く、小さい掌。そして華奢でとても温かい、血の通う女の子の手であった。

 

──助けてくれてありがとう。

 

そう言いたいのは彼女だけではない、昴の方だった。昴の方が先に彼女から恩を受けていた。だからこれは、その恩が3回命を落として返せただけのこと。

 

あれだけ傷ついて、嘆いて、痛いを思いをして、得た報酬は彼女の名前と笑顔1つ。ああ、なんと───。

 

「まったく、わりに合わねぇ」

 

そう言いながら昴もまた笑い、固くエミリアの手を握り返したのだった。

 

 

 

そして次は───

 

「コウタには何かできることはあるかしら」

 

と、紘汰に話しかける。

 

「ん?俺か…俺は…」

 

長考タイムに入った。約3分ぐらいの長さだった。

 

「そうだな…そろそろ俺、ヤバい状態になるかもだから助けてほしいな。ははは…」

 

一同が何を言っているのかよく分からなかったがすぐに理解することになる。

 

───紘汰の腹から血が吹き出してきたのだ。

 

「やっぱりか…まぁ…あとはよろしく頼む…」

 

そう言ってバタリとその場に倒れた。

 

「え…ちょ、コウタ!?」

 

エミリアが、ラインハルトが、フェルトが紘汰のそばに近寄り顔を覗いている。でも、俺は顔を見に行けなかった。それが何でなのかは自分でも分からなかった。

 

 

〜1巻END〜

 




やっと書き終わった…しかも多分今まででいちばん長い5000文字近く。頑張った、うん。1巻分は終わったので次は、ついに、あのメイド姉妹とドリルロリ、変人(笑)のところだぁぁぁぁ!!テンションあがってきたぜ!!

次も頑張ります!


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第2章
#5「ドリルロリとの邂逅」


「う、う〜ん…」

 

余程深く眠っていたのかまだ意識が覚醒しない。そんな中、ゆっくりと瞼を開けると、広い天井と備え付けられた結晶が淡く輝いているいるのがぼんやりと見えた。本能的に自分が今、布団の中にいるのが理解出来たのかモゾモゾと動き出し再び寝始めた。

 

それから3時間語────

 

「ふぁ〜ぁ…よく寝たなぁ〜…」

 

今度は完全に目が覚めたようで、身体を起こして周りをキョロキョロ見渡す。

 

「ん?ここ、どこ?」

 

なんだかとても高級そうなところにいるなと思いながら、布団から出てくる。服装は短パン、パーカーから病院で着るような服に着替えさせられていて、さらには、戦国ドライバーとロックシードが全部どこかへいってしまっていた。

 

「…嘘だろ…」

 

誰かが変にロックシードをいじって事故でも起きたら大変だと思い、紘汰はすぐさまその部屋を出ていき、走って探しに行こうとした。すると、扉の近くに青い髪をしたメイドがいて、軽くぶつかった。

 

「「……っ!!」」

 

「わ、わりぃ!大丈夫か?」

 

「はい…大丈夫です」

 

そっか、良かったぁ…と安堵しながら、この子にドライバーとロックシードを取った人を聞けばいいんじゃね?と思い聞いてみた。

 

「あのー、俺が持ってた果物みたいな錠と真ん中に窪みのある四角い物体知らない?」

 

「それなら、ベアトリス様が興味を持たれて持っていかれましたよ」

 

「マジかよ…」

 

変に弄られてインベスが出てきたら大問題になりかねないな。早く回収しねぇと…

 

「そのベアトリスって人はどこにいるんだ?」

 

「ベアトリス様は禁書庫と呼ばれる空間にいらっしゃいます。なのでその辺の扉を適当に開けていけば入れますよ」

 

「お、おう…分かった。ありがとう!」

 

そして紘汰は走り出した。それを見ている青髪のメイドは紘汰から自分が忌み嫌っている臭いとはまた別の危険な臭いを感じ取っていた。

 

 

────────────────────

「適当に扉開ければ入れるって、なかなか難しいな…」

 

そんなことをぽつりと言いながら歩いていると、1つだけ不思議な感じがする扉を見つけた。

 

「………ここか?」

 

ガチャリと扉を開けるとそこにはたくさんの本が本棚に並べられていた。その部屋の真ん中には小さな机と椅子。そして、小さい女の子。

 

「また誰か来たかしら。さっきの奴といい、一体何なのかしら」

 

「え…なんかごめんな。えっと、君がベアトリス、でいいのかな?」

 

「えぇ」

 

さっきのメイドの子が様付けして呼んでたからどんだけすげぇ人なのかなと思ってたけど…子供にしか見えねぇ…

 

「なんだか急に腹が立ってきたのよ」

 

あれ?心の声がベアトリスに聞こえてる?ははは…まさかな…

 

「ベティーは子供じゃないのよ。殺されたいのかしら」

 

聞こえてたな。すまん。

 

「ところでベアトリス、俺のドライバーとロックシード返してくんねぇか?」

 

「話をそらすんじゃないのよ。全く…これの事かしら」

 

ベアトリスは、ふてぶてしく戦国ドライバーとロックシードを指さした。

 

「そう!それだ!返してくれ!」

 

「勝手に取っていくかしら」

 

お?意外と素直に返してくれるみたいだな。もうちょい駄々こねると思ってたのに。

 

「ただ使い方が分からないだけかしら!子供扱いするななのよ!」

 

ごめんと、軽く謝るとベアトリスは、はぶてたのか本を探しに行った。高い本とか取れるのか心配になった紘汰はベアトリスの後をついて行った。そしたら、案の定ベアトリスは高い所にある本を取ろうとして取れていなかった。

 

「っと、この本であってる?」

 

はい、とベアトリスに先程とった本を手渡した。

 

「ふん!礼なんて言わないのよ」

 

ツン全開で自分の所定の位置に戻っていった。何とも可愛らしい子供のようだ。

 

「んじゃ、俺は部屋に戻るわ。じゃあなベアトリス」

 

そうして、紘汰は禁書庫を出て、再び最初に寝ていた部屋に戻っていった。

 

 




さすがに投稿期間が開きすぎるのはあれなので今回は、いつもより短めで投稿しました。
ついに、ロズワール邸ですね!ここは僕も楽しみながら書いていきたいと思います!

では!


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#6「双子メイド」

ちょうど1ヶ月ぶりですね。すいません。遅くなった割に文字数すごく少ないです。

それと、この小説についてのちょっとしたアンケートがあるので、良かったらお願いします。


〜紘汰side〜

 

「あら、目覚めましたね、姉様」

 

「そうね、目覚めたわね、レム」

 

3度目の目覚めは、似たような声質をした2人の少女の声から始まった。カーテンの隙間から入ってくる日差しから考えて今は、朝なんだろうと思う。良く眠れた。3度寝だったのに。

 

「今って何時かな?」

 

大人な感じで聞いてみた。特に意味は無いけれど。

 

「今は陽日7時になるところですよ、お客様」

 

「今は陽日7時になったところだわ、お客様」

 

2人の少女は親切に教えてくれた。陽日7時がどんな意味かは、分からないけど朝だということは何となく認識できた。

 

「あぁ…って事は丸1日以上寝てたって事か。やらかしたな…」

 

「そうですね、それに涎が出てますよ、お客様」

 

「そうね、涎垂らしてみっともないわ、お客様」

 

「え!?涎でてんの?早く言ってくれよ!」

 

2人の少女に指摘?され、急いで涎を拭く。どれだけ気持ちよく寝ていたかがそれだけで想像出来る。

 

ここで、紘汰は2人の少女を見る為にベッドから身体をゆっくりと起こす。その目線の先には、瓜二つの顔立ちをした双子の少女達がいた。

 

身長は150センチ真ん中ぐらい。大きな瞳に桃色の唇、彫りの浅い顔立ちは幼さと愛らしさを同居させていて可憐の一言だ。髪型もショートボブでお揃いにしており、違いといえば髪の分け目と髪の色が桃色か青色かという所ぐらいだ。

 

「メイドって本当にいるんだな…本物初めて見た…」

 

「ふっ、もっとラムを崇め奉りなさい、お客様」

 

「お、おう…」

 

なんと自己主張の激しい子なんだろう。それに、なんか意味わかんねぇし、ドヤーって後ろに見えるし。比べて青色の髪の子はうって変わって静かだし、なんか見たことあるような、無いような…。

 

「お客様、探し物は見つかりましたか?」

 

「ん?あ、あぁ。見つかったよ…あっ!君はあの時の子!」

 

「はい、あの時の子です」

 

この子もメイドなのか。この屋敷で働くのは大変そうだなぁ…あと、給料良さそう。

 

「あの時はほんとにごめん!」

 

「いえ、扉の前でボーっとしていたレムも悪かったのでお互い様です」

 

なんて、いい子なんだ!こんな子そうそういねぇぞ。俺の周りじゃ、ミッチぐらいだよな〜みんなに会いてーな…。

 

そんな事を思っていると、扉がガチャりと開いた。そこに居たのは、エミリアと昴だった。

 

「あれ、3人ともすごーく楽しそう。もう打ち解けたの?」

 

「あぁ、そんな所かな。ところで2人はどうしたんだ?」

 

「もちろん、コウタが心配で見に来たのよ」

 

「そうだぜ、あれはビックリしたからな」

 

「迷惑かけて、すまん」

 

そう、謝るとエミリアも昴も気にしないでって、気にすんなって言った。そこからはレムとラムは仕事に戻り、エミリアと昴、3人で庭へ移動し軽い雑談をしようとし、そしたら、パックも出てきて精霊、微精霊の話や紘汰が寝ていた間の出来事などなどの話をした。

 

すると、双子のメイドがやって来た。そして、俺と昴の前までやってくると厳かに1礼した。

 

「「───当主、ロズワール様がお戻りになられました。どうかお屋敷へ」」

 

一瞬のズレもない完璧な2つの声。これにも驚いたが、さっきまでとはまるで態度が違う事により驚いた。この2人から使用人としての貫禄が感じられた。

 

「そう。ロズワールが。……じゃ、迎えにいかないとね」

 

「はい。それからお客様方も、ご一緒されるようにと」

 

パックがエミリアの銀髪の中に入り込み、髪を撫で受け入れたエミリアは表情が少し固く見える。そんな、エミリアの横顔を見ながら昴は聞いた。

 

「なぁ、ロズワールって誰のこと?」

 

「この屋敷の持ち主……そっか、まだ2人には説明してなかったのよね」

 

自分の落ち度に気づいたかのように、エミリアは掌を口に当てる。

 

「えっと、そうね。ロズワールは……会えばわかるわ。うん」

 

「説明諦めるのはやっ!そんな特徴ないの!?」

 

「───ううん、逆」

 

エミリア、パック、ラム、レムの4人の声が同時に帰ってきた。驚きの四重奏に昴と俺はポカンと口を開けてしまう。そんな昴の口をエミリアが、紘汰の口をレムがそっと下から手で閉じさせる。その隣に立つラムが、屋敷を手で指し示す。

 

「どんな言葉を並べても、ロズワール様の人となりを表しきることはできません。ご本人に会ってご理解を、お客様方。ええ、お優しい方ですから大丈夫」

 

何度も念を押すのはとても不信感を煽るのだが、ラムとレムは顔を見合わせ頷き合うのみ。困惑する2人にエミリアがそっと手を伸ばした。

 

「───きっと、スバルとコウタとは気が合うと思うの。疲れちゃいそうだけど」

 

疲労申告を受けた2人の肩をぽんぽん叩いて、気の重そうな声でエミリアは呟いたのだった。

 

 

 



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