風評被害って恐ろしい (ソウクイ)
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悪魔の異端

滅びはバアル家でしたね。
バアル家の出来損ない…サイラオーグ好きなキャラだったのに忘れてました。


 

 

 

『悪魔の変異体』そう実の親に言われる程にとても大きな力を持ってボク、サーゼクス・グレモリーは産まれた。

 

こう言えば傲慢や自惚れと思われるかも知れないけど、ボクはその他の悪魔とは大きく違う。同じと言うにはボクの力は強すぎた。

 

ボクが力を見せると親ですらボクを異質な存在と見てきた。まるで人間が悪魔を見るような目線を向けられる事もあった。

 

ボク自身、力の大きさと力の性質を考えると、恐がられるのは仕方ないと自身で思えるのが救いがないのかな。

 

 

異質なモノを見る目で見られ危険視される程大きな力を持って産まれたんだけど、それでもボクは自分が不幸だとは思わなかったよ。

 

悪魔として力が強いことは悪い事じゃない。

 

それに誰よりも身近にいる両親がボクに対して、惜しみ無い愛情を注いでくれたしね。愛情の深いグレモリーの家に産まれて本当に良かったと思う。あと親しい友人も其なりにできた。

 

ボクの周りには何時も仲間や家族が居て、これで不幸なんて思うのは贅沢過ぎるだろうね。

 

 

 

それでも、まぁ、少し

 

…孤独を感じていた。

 

 

 

 

 

ボクの力は滅び、何もかもを消し去るバアルの血筋に宿る滅びの力。そんな滅びの力が極端に大きい。今のボクでは自分の中にある力すらコントロール出来ないけど、順当に成長して力もコントロール出来る様になれば超越者、今の魔王様達でさえ凌駕する最強の悪魔になれると半ば確信があった。

自分が見える範疇で力を見比べて将来的には最強になれると、いや、将来を見なくても周りの被害さえ考えなければ何者にも負けないと思っていた。

 

 

誰も置き去りにして断トツの最強になると感じて孤独を感じていた。

 

 

そう、随分と増長していた。

 

 

ボクは自分の力に自惚れていた。最強の悪魔になれると極自然に思っていた。

 

流石に悪魔以外も含めて最強になれるなんて思えるほど増長はしてなかったよ。悪魔以外を見ると成長後でもボクが越えれないと思う者達は簡単に見付かるからね。

 

頂点として見ればムゲンを冠する最強の二匹の龍、神々や神話の化物達。知ってる範囲でもボクを越えれそうにない相手は両手の指で数えきれない位にはいる。だからあくまでもボクは悪魔の中では最強と、自惚れていた。

 

悪魔の中にもボクと同格と思える相手がいた。そして、格上と思える相手もいた。そう悪魔の中にさえボクを越えてる相手が居たんだ。

 

その相手とは上級悪魔の通う学院で出会った。遠い未来、ルシファー、魔王となった後にもずっとボクの中で最強として君臨する悪魔。

 

  

 

 

 

 

 

 

その名は『アリシアス・べリアル』

 

 

 

   

 

 

 

当時アリシアスについては噂しか知らなかった。

 

貴族の中の風聞ではボクと同じ様に異常な力を持って産まれた悪魔。ボクと同等か凌駕していると噂されていた。

 

そんな噂を聞いた家族や友人はボクと同等は無いと笑っていた。ボク自身、流石にボク程ではないとも思っていた。それでも力はそれなりに有るんだろうと考えて、何れぐらいの力か見たくて、好奇心からアリシアス・べリアルには会いたかった。

 

初めはベリアル家と言う名家ならスンナリ会えると思っていた。なのにアリシアス・ベリアルはべリアルと言う名家の産まれなのに、悪魔貴族の社交の場に一切出てこない。社交どころか領地から出てこない。

 

彼女の居場所は上級悪魔に匹敵する魔獣がいる危険とされる森を抜けた先、彼女と出会えるのは危険とされる森を越えれる強者のみ。

 

なら自分から会いに行こうとした…危険な森もボクなら抜けるのは簡単と思ったけど、両親から行くのは禁止させれた。

 

 

会えないからこそ興味が高まった。

そしてようやく念願が叶うようにアリシアス・べリアルと出逢えたのは学院だった。

 

学院に彼女が来ると沢山の悪魔が集まった。ボクを含めてアリシアスを見ようと学院の校門前で待った。

 

彼女は魔獣が引いた馬車で来た。

彼女が馬車から降りてきた。

 

金髪の少女。

 

何年も噂だけを聞き続けてようやく会えたと心が踊った…のは一瞬

 

困惑した。

 

アリシアスは弱そうな女の子に見えた。外見もそうだけど気配や感じる魔力が下手をすると下級悪魔より…既に最上級悪魔に匹敵するボクを越えると噂もあった相手が?あまりに噂と違うからこそ可笑しいと感じた。何かあると思えた。

 

 

ボクが考えていると、同級生か先輩に当たる同じ制服の悪魔が声をかけて、一方的に彼女に学院から出ていくように言った。

弱いモノは学院に来るなと言うことかな。学院は弱いなら来ない方が良い。言い方は悪いけどボクは彼が良いことをしたと思った。本当に弱い相手ならね…

 

普通なら怒る様な発言をされた彼女が視線を向けると…

 

「す、すまない。先程の発言は撤回させてもらいたい」

 

彼は彼女に対して焦った声で先程の言葉を訂正して謝った。突然彼が発言をひっくり返して周りが驚いていた。理解不能といった反応は…少ない。

 

ボクも理解できた。

 

感じたからだ。

 

彼女が出した身震いするような威圧感をね。隠していたのか…

 

 

 

ーー面白い。

 

 

 

自然と口元が笑っていた。先程声をかけた生徒が足早に去った後に、ボクは恋をした様にドキドキしながら彼女に挨拶をしに向かった。

 

「やぁおはよう、ボクはグレモリー家のサーゼクト、君は今日からボクと同学年になるべリアル家の異端児だよね。会えてうれしいよ。噂に聞いて君の事をずっと…………」

 

 

 

ボクの顔は引き吊った。

 

少しだけ顔を見たと思ったら…まるで嫌いな虫でも見たみたいな顔をされて…アリシアスが去っていったんだ。

 

「えぇ……」

 

渇いた笑いが出た。

 

挨拶をしていきなり恐怖心や敵意を向けられた事はある。顔をジロジロと見て興味深げに観察された事もある。何故か顔を赤くされる事もよくあった。けどあんな失礼な感じに……完全に無視されたのは初めての経験だった。

 

 

ボクはアリシアスが自分と同じだと噂を聞いてずっと興味を持っていた。なのにアチラはボクにまるで興味を持っていない。理不尽な気もするけど正直少し腹が立った。いや、あんな嫌なものを見たみたいな顔をされたら怒るの真っ当だよね?

 

 

だからこそ無視されたお返しは後でしようと思った。今度は無視されないぐらい少し過激な挨拶をしよと思った。

 

幸いにもすぐに機会がある筈。

 

貴族の上級悪魔の為の学院、通うことになった学院では本来なら貴族として知識を教えられる。ただ知識だけでなく悪魔として強さは必要と戦闘も鍛えられる。ボク達が入った時期は知識が軽視されて鍛える事を重視されると聞いていた。

 

それには理由がある。

 

悪魔と天使や堕天使との関係は元から悪かったのに、今は戦争が起きる秒読みの段階なほど関係が悪化していた。戦争が起きれば全面戦争、上級悪魔の家柄だと年若くても参戦する事は十分にあり得た。

 

だからこそ学院では戦闘力をあげる事が優先されていた。知識が有っても生き残れないと意味がないって事だね。

 

戦争に行く事はほぼ公然の秘密。

悲観や悲壮な顔をした生徒は居なかった

悪魔の貴族として戦場は晴れの舞台という側面が大きいからね。

 

鍛えてきた感じの生徒が多い。

だけど中には全く鍛えてない感じの生徒もいる。強さはバラバラ。

 

 

ボクは学院が今後の授業方針の為にも初日から、生徒の実力を程度で認する必要があると予想していた。

 

一番手っ取り早いのは実地。

 

 

そんな感じに生徒同士で戦闘をさせられると予想したけど……いきなり総当たり戦というのは驚いた。

 

 

担任となったあの教師…何処ぞの上級貴族の息が掛かってるのかな?自分達の子息なら上位に来ると考えているんだろうかな。それか……単純に戦闘を見るのが目的って可能性もあるか。悪魔は戦闘が好きだしね。

 

 

総当たりか。

死人が出ないだろうかな?

 

貴族の子供なら殺傷非殺傷の境目ぐらい判るかな。それとも死んだらその程度だったという扱いになるのかな。流石にそれはないよね。

 

 

他の生徒は戦う相手を見定める様に周りを見てる。アリシアスも他の生徒を見てる。相手の物色かな…なんで女の子ばかりを見てるんだろう。

 

 

教室から出され広い場所に出た。

 

ここで総当たりをするのか。

 

結界が張られていて結界の中である程度の怪我をすると、自動で外に弾き出されるらしい。一応安全対策はしてるのか。

 

 

総当たり戦の開始。

 

力自慢が多いのか中々派手に始まった。

ボクも取り敢えず直ぐに近くの相手を打ち倒した。それなりの速さで次々と倒してると偶然アリシアスを見かけた。悪い意味で驚いた。

 

一人だけ戦わずに逃げてたらそれは驚くよ。ヤル気が無いのか体力の温存の為か知らないけど戦わずに逃げるなんてと少しばかり落胆した。それから暫くして人数も少なくなってきた。またアリシアスを見かけた。全くの無傷で生き残っていた。

 

ふむ、他から無視されてるなら無傷でも可笑しなことは無いんだけど、逃げてるのが不興を買ったのか、アリシアスを執拗に狙ってる生徒がいるね。アシリアスには攻撃がカスリもしてない。ボクから見ても結構苛烈な攻撃なのに。

 

アリシアスの顔を見て…

 

驚いた。

 

なんてつまらなそうな顔をしてるんだ。

 

「クソ!これならどうだ!」

 

余りに回避され続けてキレたのか広域魔法を撃とうとしている。中々の魔力の高まりを感じた。

 

「不味いな…」

 

あれは相当な力が籠っている。いやアリシアスだけならどう対処するか見ていたんだけど、アリシアスの背後に倒れてる生徒が居るから不味いたんだ。

 

起き上がろうとしてるけど、動きが鈍い自力で逃げるのは難しい。たぶん倒れた彼にはボクしか気づいてない。止めようと声をかけようとした。

 

「少し待…な!」

 

横合いから攻撃してきた生徒がいた。

 

「くっ!邪魔をしないでくれ」

 

嫌なタイミングで邪魔が入った。

邪魔したのはカウンター気味に直ぐに倒したけど、魔力の弾が打ち出されていて今さら声を掛けても遅すぎる。

 

高密度な魔力弾、流石に今まで残ってただけあって、溜めたにしても威力だけなら上級悪魔クラスの力に届いている。あの程度ならボクの攻撃で消すのは簡単だけど、そのボクの攻撃が倒れた生徒を巻き込まない何て繊細な調整は…難しい。

 

アリシアスどうする。

 

迎撃するか。避けるか。此まで通りなら避けるだろう。やはりアリシアスは避けようとしてる。教えるにもタイミングが悪い。もうダメか。

 

「ひっ!」

 

倒れた生徒が攻撃に気付いて悲鳴をあげた。

アリシアスは声に反応して背後を見た。避けようとするのを止めた。まさか盾になるのか。

 

どうするアリシアス。

 

アリシアスは魔力の球を放っていた。

 

「な!?」 

 

瞬きする程度の時間で溜めもほぼないアリシアスの魔力の弾がぶつかって、二つの魔力の弾が相殺されて消えた。スゴいなと素直に思えた。あの短時間にあれだけの威力の攻撃を出した事もそうだけど、何の余波も起こさずに相手の攻撃を綺麗に消したことがだ。

 

万一偶然でもなければ彼女はとても高い技量がある。もし技量勝負なら確実に負けると確信できるほどだ。手に冷や汗が流れた。

 

アリシアスは表情の変化はまるでなし。明らかに行き過ぎた攻撃を受けて欠片も気にした様子を見せないのか

さっきの攻撃は上級悪魔クラスの攻撃だったと思う。つまり上級悪魔レベルの攻撃では彼女には効果がないか。

 

「嘘だろ。おまえな、グハ!?」

 

威力そのモノは悪くない攻撃をした彼は横からの攻撃をしアッサリ倒れた。どうやらさっきの一撃に全力を籠めすぎたようだ。

ボクはそんな彼を気にせずアリシアスについて考えた。逃げてる姿を見ただけで落胆した自分が少し間抜けだと思った。

 

 

あれだけの力があるアリシアスが逃げ回っていたのは何故。体調が悪い?力を隠している?逃げてるのは何でだ?

まさか此処にいる全員が相手にする価値がないと思って?だから退屈そうな顔なのか?このボクを含め弱者と思っているのか?

 

確信が出来た訳じゃないけど、正直これまでの悪魔生の中でも一番腹が立ったかもしれない。この戦いは最後の一人まで決める戦いだ。アリシアスが他の生徒に倒されるとは思えない。なら他を倒して最後に確認しよう。

 

ボクはアリシアスを今は無視して他の相手を倒す事にした。其なりに手強い相手もいたけど全員に打ち勝った。

アリシアスは……うれしいと言うべきか当然と言うべきか。残っていた。

 

残りはボクとアリシアスだけ。

 

アリシアスは小憎たらしい程に被弾痕が一つもなくて疲労も見えない。ボクは他の生徒を倒していたから少し疲れてるのにね。まぁ同じ土俵に居たんだ。力の消費は難癖か、…どうしても腹は立つな。

 

さて、最後の戦闘を…と、その前に

 

「アリシアス待ってくれ」

 

アリシアスは何だと言う感じだ。

 

「此れから少し派手になるから皆は距離をあけてくれるかな」

 

「結界がありますよ」

 

結界か。笑えた。

 

「スミマセン先生、ヤル気になったボクにはその程度の結界は意味はないんです」

 

脱落して見学に回っていたクラスメイトにそう言った、離れないな。実演するように魔力を地面に打ち込んでクレーターを作った。そう結界を破ってね。

 

「け、結界を簡単に、これがグレモリーの滅びの力」

 

「す、少し待ってくれ!直ぐに離れる!」

 

さてクラスメイトの退避が終わるまでの間に一つ挑発しようか。

 

「アリシアス・べリアル、此まで上手く逃げていたようだけど残りは君と僕だけだ。どちらかが倒れるまで終わらない。だから逃げるのだけがお得意なお嬢さん、最後はボクとちゃんと勝負しないといけないよ?」

 

「…………」

 

うん、…慣れない挑発したんだし何か返答してくれないかな。イヤなモノを見るような視線は地味に傷つくから止めて。はぁ退避は終わったかな。これで遠慮なくいける。

 

彼女の純粋な技量は残念だけど格上だと思える。なら力はどうかな。噂通り本当にボクと同格なのか、それとも凌駕してるのか。ふふ、ここまでワクワクしたのは初めてだ。

 

「邪魔も無くなったようだ。さぁ始めようかべリアルの血を受け継ぐモノよ。バアルの滅びの魔力受けてみなよ」

 

こう言ってもどうやら向こうからは動かないようだ。なら此方から遠慮無く行かせてもらう。全力だ。初めから今コントロール出来るギリギリで攻撃をする。全身を巡る魔力を掌に集めた。

 

「な、何て魔力だ」

 

うん、正直、予想より魔力が高まりすぎた。最上級悪魔の攻撃を遥かに上回る威力はある。…流石に不味いかな?此を向けられたら流石に彼女と慌て……表情の変化が無いってどう言うことかな。

 

表情の変化が無いタイプ、ボクの顔を見て嫌そうな顔をしてるし違うか。なんだか泣きたくなった。

 

足元を狙うか。余波だけで十二分な威力な筈だ。

 

「いくよ!」

 

ボクの破滅の紅の魔力が飛んでいく。

さぁどうする。

 

なんだ?アリシアスの前に半透明な壁の様なモノが、アレは盾のつもりか?あの盾でボクの滅びの力が防ぐつもりか。な!?ボクの魔力が戻ってくる!?まさか当たった攻撃が跳ね返されたのか!?此方に向かってくる!

 

 

「ぐぅ!!」

 

ドグオオオオン!!!!

 

跳ね返ってきた攻撃を魔力を放出する事でなんとか相殺した。自分で自分の攻撃を防がされた!だが耐えた。

 

 

「味な真似をし、ガフ!?」

 

頭に衝撃、痛みが、意識が……何を……地面

 

「は!?」

 

目を開ける女の子がいた。

口を抑えて震えてる?

 

「あ、め、目が覚めた?」

 

「君は確かシトリー家の……ボクはどうしてこんな所で寝てるんだ?」

 

何で地面で寝てたんだ?それと何故か顔や頭がやたら痛い。

 

「え~と覚えてない?」

 

「覚えてないって何を、っ!」

 

そうだ。総当たりの最後の勝負を彼女としていた!

 

「……気絶していたと言うことはボクは負けたのか。」

 

「あーうん…そうだね負けたよ」

 

負けたと言う言葉が胸に染み込んだ。負けた事は何度かある。だけど相手が年配の悪魔であって同年代は初めてだ。それにどうやって負けたのかすら判らない。知りたい

 

「ボクはどうやって負けたんだい」

 

「え、聞くの」

 

彼女、シトリー家のセラフォール・シトリーに勝負の顛末を聞いた。

 

とはいえ、説明は一言で済むぐらい簡単だった。ボクが自分の攻撃を相殺した瞬間に頭に魔力弾をぶつけられてアッサリ気絶したらしい。情けない。渾身の破滅の魔力は跳ね返されて…たった一撃で負けた。

 

 

 

アリシアス・べリアル。グレモリー家の異端児と"同等"の悪魔。

 

 

「はは、一蹴されて何が同等だ」

 

 

思わず笑ってしまった。

 

今思うと油断、慢心はあった。いやそんなモノは言い訳にもならないか。負けだ。完敗したと認めよう。

 

「あ、アリシアスちゃん」

 

向こうからアリシアスが来た。何だろう。負けた事に何か言うつもりか?敗者に掛ける言葉。初めて聞くことになる言葉だけど…想像しただけでも辛いモノだな。

 

ボクは負けたんだ。もし侮辱する様な事を言われたとしても、……どんなモノでも潔く聞こう。先に進む為にも覚悟を決めて聞くべきだ。

 

 

ハンカチ?彼女、アリシアスが、差し出したのはハンカチ。え、心配してくれて…

 

「鼻血で間抜けな顔にしてゴメンね?」

 

「…………」

 

「うわぁ」

 

あ、ダメだ敗けを潔く受け取るとか無理だね。スゴく腹が立った。

 

負けは負けだけど、本当に一蹴される程に実力差があるとは思いたくない。やっぱり油断したとか疲れてたとか色々と言い訳してもいいかな。言い訳があるなら負けを認めない事も出来る。自分でも意外な程にボクは負けず嫌いだったようだ。…彼女には負けたくない。まだ学院は始まったばかり。

 

ボクはまだふらつく身体を起こした。

アリシアスに宣言しよう。これから言おうとする言葉を思うと心が熱くなった。

 

 

「ははは惨敗だよアリシアス、けど、次は負けない。必ず君を打ち負かせと此処に誓おう」

 

初めて見つけたボクのライバル、長い付き合いになると思った。

 

 

 

スゴく嫌そうな顔は止めてほしいな。

 

 

 

 

 

 

 



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普通に悪魔

捏造有ります


 

 

 

『べリアル』

 

元はミカエルより前に誕生した天使という説も有る72柱に数えられる大悪魔。

 

最強のルシファーと同等とされる悪魔。

ソドムとゴモラの町に獣姦、同性愛を教えた悪魔。

 

「邪悪な者」「無価値なもの」「無益なモノ」

 

 

 

 

 

悪魔等が住む世界の冥界。

 

ベリアル家が管理する一つの森、森自体が魔力を発するとても深く不気味な樹海。最上位悪魔でさえ油断すれば命を落とす冥界でも屈指に危険なスポット。

 

そんな危険な樹海の奥地であり中心には大きな城のような建物が建っている。冥界でも有数の貴族であり最上位悪魔べリアル一族の、ただ一人娘の為の城。その城にはべリアルの次世代の跡取りとなる一人娘が居るとされてたのだが、冥界の悪魔達からは本当に娘が居るのか怪しまれていた。

 

何故ならべリアルの娘を殆ど誰もみたことがない。冥界の悪魔は貴族社会、名家であるべリアルの一人娘と為れば、様々な上流の悪魔と交流を持つ事になる。それなのにべリアル家は一人娘を社交界等の表に出さない。 

 

気になり直接城まで確認しに行った悪魔が居る。その悪魔はベリアルの娘と出会ったと証言している。第三者の証言もあり確かにべリアルの一人娘が居ると認識された。

 

べリアルの一人娘は存在している。そうなると、何故娘を表に出さないのだろうと疑問が出てくる。娘を表に出せない理由。

 

考え付くのは出来損ないやべリアルの恥になる様な悪魔、侮蔑されるような存在なのだと噂された。べリアル家の人間や一人娘と出会ったとさせる悪魔の多くが、一人娘について詳しく語る事を避ける事で悪い噂を増長させた。

 

べリアルの一人娘は影では嘲笑の的となった。

 

しかし当時、冥界で最強格と言われるある最上位悪魔の発言によって流れは変わった。

 

 

『アレが出来損な……そうなると私は出来損ない以下の悪魔だろう。私はべリアルの一人娘に敗れた。まさにあれは怪物だ。彼のグレモリーの異端児に勝るほどの希代の悪魔となる素質があるだろう』

 

その話が広まりべリアルの一人娘の評判は嘲笑から一変。噂は出来損ないから反転し強すぎて表に出てこれない怪物だという方向になった。

 

強大な力に恐れもあったが人に比べて強さを尊ぶ悪魔からは好意的に思われ、優秀な血を望み政略結婚等を狙い、べリアルの一人娘にパーティーへの招待状が数多く送られた。

 

だがべリアル家は頑なに一人娘を表には出そうとしない。ただ危険な樹海を越えて出会う事は良しとした。弱い悪魔では娘と出会う資格すら無いと言う意図があると思われた。

 

べリアルの一人娘を見ることが出来るのは危険な森を通れる強者のみと噂が立った。上位の悪魔にはプライドが高いものが多い。プライドを刺激されてか博付けか森への挑戦者が多数現れた。

 

そして見事に森を抜け一人娘と出会ったとされる強者達が、軒並みべリアルの一人娘と戦い負けたと言うので評判は更に高まる事となった。  

 

そんな姿の見えない有名人であるべリアルの一人娘が……悪魔貴族の通う学院に。

 

 

 

 

学院に到着したべリアルの一人娘。

名高きべリアルの一人娘を見ようと集まった次代を担う悪魔達。次期魔王になれると噂される悪魔も校門に集っていた。

 

「……来たようだ」

 

「さて、どのような姿か。……そう言えば君の親戚はあの森を越えて出会った事が有るのだろう。話は聞いてないのか」

 

「ん、ああ、叔父上が言うには……一目見て勝てないと本能で理解させられたそうだ」

 

「君の最上級悪魔である叔父にそうまで言わせるのか」

 

「自分では勝てないとハッキリ断言されたよ……冗談と思いたいが叔父上は冗談を口に出す様な悪魔ではない」

 

「我々の同年代で既に最上級悪魔にも勝る同期がいるのか……あのグレモリー以外にもそんなのが居るとはな」

 

べリアルの一人娘は冥界の馬車に乗りようやく姿を見せ馬車から降りた。

 

 

「あれが噂のべリアル家の?」

 

「馬車の家紋はべリアルのモノだが……あれが噂の?…………いや、違うだろう」

 

「う~む」

 

 

髪は黄金、年端は十歳前後、着ているのは少女らしいゴスロリ風の蒼いドレス、全体的に脂肪も筋肉もない華奢な体格。べリアルの若き最強の彼女は"外見"はとてもか弱そうな少女にしか見えない。

外見だけでなく強者特有の気配、威圧感も欠片もない。どうやっても見たままの強さとしか思えない。

 

べリアルの一人娘に期待していた悪魔達はこう思った。

 

 

『噂は宛にならないな』

 

数日後には…。

 

 

『噂より酷い』と…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

此所が悪魔の学校ですかーー。

家もそうだったけど無駄に大きいなーー。

 

…城でない?

 

周りには黒い羽が生えたデーモン閣下、人等。翼を付けた変人ではなく悪魔。

 

あーー家の外もこんな感じ。人間に見えるだけで悪魔が一杯、ワンチャン変なの住んでる所だけって可能性もお亡くなり。

本当に此処は“異世界”って実感させられますねぇ。最悪。

 

 

拝啓、前のお袋様、天国で如何御過ごしですか。私は無駄に身体は元気です。変わりに精神的には瀕死です。死後にお袋様と天国でお会いするかなと思ってたら、地獄に落ちました。間違えました。地獄みたいな冥界と言う世界の住人に生まれ変わりました。

 

あと♂から♀に成りました。息子から娘となりました。今はこの冥界の一人のメス悪魔として清く正しく生きていまする。悪魔の様な人でなく純正な冥界に住む悪魔と言う種族なので、悪魔みたいな性悪娘になったという誤解はなきように。

 

 

悪魔となった新しい生では何故か前世でプレイした女神転生の『魔人アリス』見掛け的には魔人アリス。力も魔神アリスに+αみたいな。

 

新しい名前はアリシアス。

 

名前は略せば魔人アリスと同じ。

家名はべリアル。

偶然でしょうかね。

 

 

さて新しい学校、マトモならいいんですけどね。……やっぱりマトモとか無いんだろなぁ。

 

 

引きこもりみたいな生活してましたが、これまで出会った事のある悪魔は…

 

1に有るのは戦闘。

2に有るのも戦闘

3、4もまた戦闘

5には再び戦闘。

 

皆が戦闘趣味と言い切りそうな戦闘キチ。インドア系の自分にはサッパリな思考回路な人種、元人間の悪魔への誤解と違います。実体験付での決め付けです。

 

年齢一桁の頃から初対面の人には毎回勝負を挑まれる。家に訪問してきた八割方が幼女に対して戦闘をしかけてくる。理解とか不可能。両親も理解不能。と言うか両親が一番ひどい!!

 

 

自分の初のバトル相手はなんと産みの母親!

 

産まれて初めて目が開いて初めて見たのは手刀降り下ろしてくる母親ですよ。ええ!それでね!母親の顎にカウンターアッパーを咬ましてなかったザクッといってましたね!可笑しいですね?え、赤ん坊が母親にアッパーした事が?してなきゃ享年0歳になってるんでそこは抜きに。

 

それでいきなり我が子を抹殺しようとした母親?を撃退すると今度は父?これまた襲ってきたんですよ。これもまた撃退。で、倒した両親が起きてきて流石私達の子供ね!と大喜び。これが産まれて初日です。

 

そんな親です。

理解とか出来ませんよね!

 

 

理解出来ないと言えば食料関係は自分で取ってこいみたいな方針。お城みたいな屋敷住でコックもメイドさんも居るのに、食材は家の周りの森で自力で現地調達しかないんよぉ。

 

世話役のメイドさんは多数付けてくれるとか、食事以外例えば欲しい本やら何でも用意してくれるとか、お姫様レベルの扱い。 

 

なのに食料はハント

 

初め赤ちゃんとしてご飯が欲しいと泣いたらどうなったと思います?……なんと森にポイで自力で取ってこいです。しかもポイされた所が運悪く竜の巣。あの時は死ぬとおもいましたねぇ。(白目)

 

竜の他にもヒュドラぽいのとかフェンリルぽいのとか神話生物が色々居る生態系が可笑しいご近所の森。各地からどんな手段か知らないけど色んな怪物を、私の食料的な目的の為だけに森まで輸送したそう。(危険な)高級食材食べ放題、有り難くて(怒りの)涙が出ますねーー。

 

 

明らかに抹殺狙ってるとしか思えない扱いしてくる両親はと言うと、出会うと毎回毎回バトルバトル。目があったらバトルとか野生のポ○モントレーナーか。

 

『アリスちゃーん今日も戦いましょう。お母さん今日は負けないんだから』『ハハハ、アリスは強いなぁ。流石パパの娘だ』と毎回朗らかに言いながら殺気満点の攻撃を仕掛けてくる。たまに自分の方が力加減誤ってアホ両親を御臨終間近の不味い状態にしても大喜び。

 

……愛情は持たれてたとは思うんですよぉ。

 

父親の書斎に、アリシアスちゃん(ハート)って育児メモリアルとか言う日記あるんですよね。辞典サイズで本棚一杯埋まるぐらい。中身の内容がストーカー真っ青な内容の日記ありました(恐怖)。

 

重たいぐらい愛情ありで素で殺しに来る親バカ、会った事のある悪魔は幼子に戦闘を挑んでくる悪魔ばかり、親が特別可笑しい訳でも無いんですよね。

 

つまり悪魔怖い。

 

そんな訳で悪魔怖いと引きこもってたんですけどね。学校には行かないといけないと強制ですよ。

 

あー行きたくない。

 

今日が初めての当校日で、初めてべリアルの領地から出た記念すべき日。

 

もう帰りたい。

 

内心ではガタガタ震えが。親バカ過ぎて猟奇ストーカーみたいな両親とか、幼児に戦闘挑んでくる悪魔が標準の冥界ですしね。外は何れだけ酷いか想像したら。

 

 

他の悪魔は見る限り思ったより普通……じゃない。何か美形が多い。たまたま両親と周辺だけかと思えば悪魔はイケメンばかりか!!美少女は別に良いけどイケメンとか見たくねぇ。

 

悪魔への印象地が

 

イケメンは前世からの敵だった気がする。因縁的な敵だった気がする。だから無性に見てるだけでも腹が立つ。なんでか周りが私の事を見てくる。

 

 

べリアル家のとか言ってる。視線が違うとか自意識過剰とかでは無さそう。期待外れ?噂は宛にならないとか良く判らない影口も叩かれてる。声を掛けられた。なんか帰れとか言われた。少しイラッとして言ってる相手をジッと見た。発言を撤回した。何が目的か判らなくて怖いわ。

 

「やぁおはよう」 

 

また見知らぬ誰かに声をかけられた。誰なのか見て、視界に入れたことを後悔した。

 

話し掛けてきたのは赤髪のイケメン少年、イケメンの中のイケメン、コイツこそイケメンオーラが全身から出てる世のブサメンの怨敵と言わんばかりの存在。

 

一応女の子の自分に声を掛けて来るって事はチャラいタイプの悪魔?それとも此方の様子を見て心配して話し掛けてきた。面白そうな表情的に心配は無いと思える。なら単純に不快な存在としか思えない。

 

「ボクはグレーー」

 

名乗り出した所から脳がチャライケメンの話を聞くのを拒否。さっさと去ろう。なにかいってるイケメンは無視してと早々に校舎に入った。

 

クラスはどこだろ。

 

案内板とか無いと誰かに聞かないと絶対目的地に辿り着けない。仕方なく近くにいた用務員らしき人に聞いた。

 

何処か教えて欲しいと言っただけなのに馬鹿丁寧にクラスまで案内された。案内して貰ったからお礼を言ったら何故か驚かれた?そんな礼儀知らずに見られた?

 

後から知ったけど用務員とかは下級悪魔で、見るからに上級悪魔な私が礼を言うのは珍しいそう。階級社会って世知辛い。

 

初めてきたクラスは、話し掛けてきた赤毛のイケメンとかいる……あとは、何と言うか濃い。キャラが濃い。

 

「暇なものだ。本当に暇だ………暇と言っているんだ」

 

「は、はい。」

 

「はい!じゃ無い!」パシン!

 

「はぅぅ申し訳ありません」

 

「この愚図!その貧相な脳ミソでは理解できないのか!私は暇な!それなら下僕のお前は芸でもして私を楽しませるのが義務だろ!」バシン!

 

「ヒギィ!」

 

「さっさと何かやれ!」

 

四つん這いでイケメンな男に鞭で叩かれてる。叩いてるの可愛らしい同年代の女の子。

 

恐ろしい。 

 

何が恐ろしいって叩かれてる男が笑顔なのが。

 

鞭で叩かれた時の無駄にイケメンな男の満面の笑顔は恐い。あと顔が似てるような……兄妹らしい。業が深い。

 

完全に禁断の情事。

悪魔の倫理観にドキドキするわ。

 

下級悪魔が虐げられて同じ様な光景が有るらしい。悪魔は貴族社会。下級悪魔の扱いは奴隷、地球なら反乱されて革命待ったなし。けど悪魔の上級が強いのは権力でなくて物理的に強いから反抗しても潰される。

 

上下関係厳しい。

 

家のべリアル家って悪魔社会での立場的にはどんなモノなのか知らない。べリアルって前世では有名な悪魔なイメージだけどどうなんだろ。べリアルより上の生徒に身分を笠にイジメられないか心配になってきた。

 

『皆サーん始めまして♪このクラスの担任となったアファリアと言うのよろしくね』

 

縮こまって待ってると担任の人が来た。

どえらい人がきた。

SMの講師の方では?

 

担任になったのはPTAに即通報されそうな、露出過多な淫魔的な服装のムチムチ先生。格好を例えるとリリスやモ○ガンの服を更に際どくした感じ。見た目から絶対に学校向きでない人材。R18な年齢制限があるお人。素晴らしいと思います。

あの妖艶な目線は生徒を食べちゃいそうな目線では?イケメン見て舌舐めずりとかしてる。女教師×男子生徒。むぅ今が男ならと心底残念。

 

んん?? 

 

エロい視線を向けられた。

まさか両刀。

ドキドキしてたらお色気先生が……

 

「自己紹介とか惑ろっこしい事は無しね。先ずは自己紹介として、ふふ……やりあいましょう」

 

「先生、やりあうとは何をするんですか』

 

「皆さんが一番楽しいことです」

 

なるほど……脳内にエロい光景しか出てこない。まぁたぶん違うんですよね。違いますよね?

 

「楽しいこと、ならあれしかないな」

 

「楽しませてくれるとは嬉しいですね」

 

「先生どういう組み合わせでするんですか?」

 

あれ?なんか他は納得した感じで話が進んでる。一番楽しいってなに?メジャーなこと?これまで外に出たことないからわからないだけ?

 

「ふふ、全員で一斉にやります。だから相手は自分で決めてね」

 

先生が言うとエロい想像しか出来ない。違うんだろうけど視線が女の子にいって想像してしまうのは前世の男の魂のせいか。

 

「皆さんよろしいですね。楽しい戦いをしましょう」

 

戦いってスポーツとかかな

 

やっぱり悪魔は可笑しい。

 

戦いって本気の戦闘の方ってなんでやねん。

なんで初日の自己紹介に戦闘なのか。

バトルの舞台は無駄に広大な校庭。

光の膜みたいなので覆われてて戦闘不能になると外に出されると

 

「さぁみなさんの好きに殺りあってね。では初め!なるべく死なないように頑張って!」

 

生徒に言う言葉じゃねぇ。

こんないきなり戦えとか言われて戦える訳は…訳は

 

遠慮無くドカン、ドカンと爆音が響く攻撃を打ちあいだしたよ(白目)。

 

地面に落ちると地面を何メートルか抉れる攻撃がそこら辺に飛び交う。なんか初日でクラスメイトが何人か減りそう。取り敢えず逃げるんだよぉぉ!!

 

戦え?何の理由もなくなんで戦わなきゃいかんね。逃げてると視線を感じたんでそっちを見ると、何故か二回目に話し掛けてきた赤髪のイケメン少年失望した感じで見やがりましたよ。よくわからないけど腹立つ。余所見してる内に落ちろ。

 

そこら辺に落ちてる黒焦げの此れからの同級生を無視して逃げ回った。流れ弾が当たらないように少しも止まることも出来ない。まるで戦場に紛れ込んだみたい。

まぁウチの近所の獲物にしてる野生動物より遥かに弱い攻撃しかこないから特に怖くもないけど。…これって他の生徒が手加減してるんだよね。ウチの近所の動物が意外と強かったとかなら怖いんだけど。

 

結構数が減ってきて執拗に狙ってくるのが出てきた。

 

私はメタル系統じゃないから倒しても経験値とかないんだけど、あ、ちょっと強めの攻撃がきた。攻撃を防御、執拗に狙ってたのが倒れた。ザマァ。

 

気付いたら、あれ?

 

二人しか居ない。

 

最後に残ったのは自分と赤毛少年。

一対一の状態。

リタイア組は外から観戦してて何でお前が残ってるんだよ的な視線が痛い。

 

昔クラスでやったドジッボールを思い出す。逃げ回ってたら最終的に一人だけ残って、五分くらい集中砲火されて酷い目にあったあの時を……さっさと負けよう 

 

赤髪は対峙して顔を良く見るとやっぱりイケメン。イケメンで強いとかなんという腹立つ組み合わせ。イラっとくる。

 

本当にさっさと降参しよう…

 

「さて、アリシアス・べリアル嬢、残りは君だけだ。逃げるのだけがお得意なお嬢さん、最後はボクと勝負しないといけないよ?」

 

殺意が、間違えた戦意が出てきた。

 

普通の顔なら失笑される台詞なのに顔がイケメンだから失笑モノの台詞でも様になってる。此れからさぞかし女の子にモテそう。此方は前世ではご縁が無くて今回では端から女の子にモテる何て選択肢が無いなのに!

 

非モテの怨み辛みを受けて地獄に堕ちろと素で思わせるイケメン

 

戦う理由がなく逃げていた。

なら理由があれば戦える。

 

合法的にイケメンに抹さt、攻撃するチャンスを逃すのは勿体なし。そう考えると殺、ヤル気がでてきた。

 

「喰らえ!!」

 

攻撃してきた。此までの他の攻撃と比べると結構威力が高い。バカめ!!はい、イケメンが撃ってきた魔力弾に『マカラカーン』

 

上手に反射出来ました。

向こうは油断してて直撃コース。

さぁ自分の攻撃で負けると言うお間抜けな姿を晒すがいい!! 

 

同じ攻撃で相殺した。

チッ流石は怨敵イケメン。

 

けど残念。

 

隙だらけびっくりしてる隙をついて速球の魔力弾をプレゼント。そのお憎たらしいイケメンフェイスにシュート!!超エキサイティング!タカラ◯ミーから!

 

「ぐはぁ!?」

 

ハッハー!狙い通り顔面直撃。景気よく鼻血出して崩れ落ちる紙装甲だったイケメン本当にザマァwwww。

 

 

どうだイケメン、モテない男の力をおもいしった……今は女の子だったわぁorz。

 

あー虚しい。倒したらいきなり冷静な心が戻ってきた。あ、そう言えばイケメンが堕ちて残りは誰もいない。

 

 

ってことは勝者は自分と。

望んでないのにWINしたと。

 

アカン

 

どう考えてもマトモに戦わずに逃げてたのに一撃で勝ちを浚ったとか、クラスメイトのイメージ最悪になるとしか。

 

アレ?

 

疎らだけど拍手されてる。男子が多い。見た目微妙系がマジで嬉しそう。そっか……イケメンが勝つの阻止されて不様晒したの嬉しいよね。

 

ある意味赤毛イケメンに助けられた?

 

そう思うと倒れるときに半回転して顔面から地面に倒れた赤髪少年が気になった。気絶してた。可愛い女の子が傍に居る。イケメンって特だね可愛い女の子に心配されて。

 

気絶から覚めたみたい。

うわぁ鼻血で顔が真っ赤。

女の子が笑いを堪えてプルプルしてるの可愛い。

 

近くに行くといきなり今度は負けないと宣言された。カッコいい台詞だけど顔面が鼻血で真っ赤な顔……。

 

悪くはないと思いましたが誠意をもって謝りました。

 

許してくれない。

赤髪の少年はイケメンの癖に心が狭い。

やっぱイケメンってク◯ですね。

 

 

 

 



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悪魔は戦争に逝く

 

 

学園生活数年目。外に出てそれなりに経つのに悪魔の常識に未だに驚かされる。

 

ついさっき先生に朝の号令の“ついで”に教えられたのが戦争勃発。悪魔に天使に堕天使による三つ巴の大戦争。天使とか堕天使と小競合いしてたと聞いてたけど、まさか大きな戦闘に発展してるなんて

 

で、その大戦争を聞いた後の反応。戦地に行くのは親兄弟、悲壮な空気になるかなと思ってた自分は馬鹿だと思いますね!戦闘民族みたいな悪魔がそんな殊勝な反応するわけないんですねー。

 

「戦争かぁ。行ってみたいよな」

 

「ズルいよな大人達」

 

「歴史に残る大戦争に参加できるもんな」

 

「大戦争ならちょっと戦果稼いだだけでも歴史に名前を残す悪魔になれるな。チャンスじゃないか!」

 

「いや!戦争が数年続けば卒業だから俺達も戦争にいけるぞ!もしかしたら卒業前に行ける可能性もある!」

 

「その可能性もあるか!」

 

「くぅ!!想像しただけで興奮で震えがくる」

 

「よし!何時でも戦争に行けるように訓練しようぜ!!」

 

クラスメイト(戦闘民族)の反応はこんなもんですよペッ。

 

「こらこら出番なんて先ずないからね。あ、

 

当然だけど勝手に戦争に行って大人に迷惑を掛けちゃいけないわよ」

 

先生何をそんな当たり前な事をと…………あちらこちらからから舌打ちが響くクラスなり。

 

「本当に行っちゃダメよ?」

 

先生、何で此方を見てるのかな?

 

 

休憩時間。学園で出来た友人のセラフォルーちゃんに不本意な視線を向けられた不満を話した。

 

「アハハハ、アリスちゃんだけじゃなくてサーゼクスちゃんも見られてたよ」

 

「………」

 

アレと同じ部類に思われた??

 

「そ!そんなショックな顔をしたアリスちゃん初めて見たよ!?」

 

「だってアレと同じ扱いだよ?」

 

「さ、サーゼクスちゃんのことだよね?…えっとアリスちゃんのサーゼクスちゃんの認識ってどんな感じ?」

 

「認識……ドMの変態、黒い虫より少しマシぐらい?」

 

「アリスちゃん本人に聞こえてるみたいだから。サメザメと泣いてるから」

 

「え?」

 

本当だ。物陰にいた。

 

「うわ気持ち悪い。女の子の会話を盗み聞きするなんて」

 

「…相変わらずサーゼクスちゃんには特別厳しいね。他なら…んーサーゼクスちゃんと比較したら優しいのに」

 

厳しい?

 

「そう言われてもセラフォルーちゃん、変態に優しくするのは…」 

 

「変態に優しくするのは無理なの?だったら」

 

周りを見た。

 

「く!アリスちゃんに気持ち悪がられるなんて羨ましい」 

 

「なんで何時もサーゼクスだけ!」

 

「そうだ!何時までもサーゼクスにアリスちゃん様の罵倒を独占させるな!」

 

幻聴が聞こえる(白目)

 

「…結構な割合で優しく出来なくなるね」

 

そんな哀れんだ視線はやめて欲しい…。何で何年しても身長が伸びないのかなぁ。ロリコンに好かれてしまって困った事に…。

 

 

なんだかんだ戦争勃発から数年。

戦争は未だに続行中。

 

終わるどころか白熱してる。家の親も戦地で頑張ってる。しかしクラスメイトの親や兄弟には戦死者が出てる。なのに空気が悪くない。

 

「お前の兄貴大活躍したらしいな」

 

「そうだ。俺の兄貴多数の道連れを連れて見事に玉砕し魔王さまにお褒めの言葉を貰ったそうだ。羨ましい。戦争に参加してぇよ」

 

「あと少しで俺たちも戦争に参加できるんだし我慢しようぜ」

 

「そうだな……我慢して戦争に参加して兄貴以上の活躍してやるぞ!」

 

戦争に行きたいって悪魔の感性ってやっぱり理解できない。

 

戦争勃、開催から学校では戦争の話題ばかり、死亡した話とかも結構ある。まぁ深刻に重たい空気にならないのは有りがたいんですけどね。やっぱりもう少しは重くも良いような?

 

「俺の母上がもう上級天使を三人殺ったそうだ」

 

「ふん、俺の父上は中級だけだが堕天使10人は殺ったぞ!」

 

ここ数年の普通の会話がこんなもんですよ。ほんと悲壮さがねぇぇ。

 

親とか戦争行って帰ってきたら子供に報告しるんですか。…何処の親も同じですねーー。家の親は話を信じたら三桁越えて四桁。本当なら英雄みたいな事に成りそう。家の両親て子供の赤毛以下の強さですし二桁ぐらい大袈裟に言ってそう。

 

其れにしても戦争が終わる気配がない。何処が勝ちでも良いからいい加減に終わらないかな。そろそろ卒業ですし。戦争に参加とかしたくないですし。それはともかく、学校の成績上位者に御褒美があるとか言ってましたけど何ですかね。

 

 

「みなさん居ますね!団体行動から外れないようにしてくださいねー」

 

「…………oh」

 

学校行事、成績優秀者へのご褒美の特別課外授業。…戦争の実直体験、此所から今も戦闘してる戦場まで数キロも離れてないそうですよ奥さん。空気に慣れろ的な感じで実際には戦ったりはない?

 

「では!大人の皆さんに混じって悪魔の敵を倒しちゃいましょう。弱い敵しか居ない所に行きますから成績優秀な皆さんの目標は雑兵の首30!できたら敵将の首を記念に持って帰ってクラスメイトに自慢しちゃいましょう!」

 

「僕達に手柄をくれるなんて余裕なんですね」

 

「ありがたくて涙が出てくる」

 

「僕達が活躍して優勢に戦ってきた大人たちに嫉妬されるかも知れませんね」

 

文句はあってもヤル気の空気。逃走の協力は無理そうってなんでやねん。成績優秀者組、赤髪の少年やらその友人、セラフォルーちゃんも…やっぱり悪魔はバトルモンガーかぁ。

 

 

天使とか堕天使を初めて見れるんだろなぁ

戦場でなければなぁ。天使の羽とか触らせて貰いたかった。他の悪魔が天使や堕天使に敵意満々だから無理かぁ。

 

 

ガチで殺しあいの戦場。

帰りたい。

ポンポン痛い。

 

 

うーん食料目的で結構生き物を殺した経験はイヤなほど積んでますけどね。流石に人型の生き物を殺すとかやだ。もうこうなったら適当に逃げ回ろうかな。と言いたいけど、そんな事したら強制的に逃げる余裕もない激戦区に行かされそう。此処で真っ当に参戦するのが一番安全そうと思うのが救いがねぇ。

 

戦場が近いわぁ。

 

死体がない代わりに羽が舞ってる。天使やら堕天使を倒すと羽るみたいです。ヒラヒラとなんか優美。あの羽とか羽毛枕や布団にできる?呟いたらドン引きされた。ドン引きさせられる奴等にドン引きされるって腹立つ。

 

下手に死んでないと血とか身体が欠損してるのが見えるんで、即殺した方が心理的に良さそう。やっぱり人の形をしてる相手のスプラッターってダメ。精神を気遣わないとヤバイ。死体に成ってない状態で呻きながら落ちてる天使や悪魔達は沢山、沢山。負けたらこの中に加わると思うと………まぁ、死にたくはないけど、二度目だし最悪諦めても良いかな。

 

あーけど、セラフォルーちゃん居る…あとまぁ他のクラスメイトにもほんの少し愛着は有るなぁ。皆で帰りたくはあるかな。

 

とは言え他のクラスメイトもとなると、手柄を立てないと帰れない。他もなるべく安全に手柄を立てる手段………敵を混乱させるとか? 

 

 

混乱と言えば……あれだと、いけるかな?

あまり使いたくなかった攻撃ならいけかなぁ。

 

先生に頼んで開幕の攻撃をさせて貰うようにお願いして許可貰えた。一撃後に皆が参加、セラフォルーちゃんとか味方を万が一にも巻き込まない様に離れる。

 

さて…効果がなかったら恥ずかしい。

 

竜を狩る時に一回しか使ったことのない即死系の攻撃。竜の時は一匹だったけど複数に対して効果ありの即死技、のはず。ドラク◯のザラキみたいな感じのはず。竜にも効いたんで天使にも効くはず、複数って何処までだろう?10とかぐらい効果範囲になれば即死して多少は混乱してくれる筈。まぁ効果が無くても陽動ぐらいには成ってくれるはず。ダメなら別の攻撃をしよう。少しは被害を与えてくれる事を願って…

 

 

「死んじゃえ」

 

呪文が自分の中の力を外に出す。唱えたと同時に今まで感じた事が無かった結構な損失感。お、おふ予想以上にキツい。

 

けど、発動は上手くいった。

 

初めて使った時みたいに黒い霧みたいな何かが前方に拡がってく、黒い霧はウネウネとドンドン範囲を広げて拡がってく。範囲はもう端から端で敵の全体に掛かるぐらい。黒いのを見て天使達や堕天使が警戒してるのが見える。防御体勢に入ってる。そのまま天使や堕天使が黒い範囲に入った。

 

効果は少しぐらいは……

 

『!!!??』

 

『ーーーー!!?』

 

天使も堕天使が消えてく。おお…え?…え??範囲に入ったら生き残りみえないんですけどーー。100%消滅してないかなぁ?

 

羽も残ってない?なんかヤバ…あと効果範囲がもうノルマなんてとっくに越えて……数が何百とか千に届いて、途中から明らかに黒いのが増えて……その…そのまま……四桁は居た相手が全部呑み込まれた。

 

戦場で無音って怖いわぁ(震え声)

 

背後からの味方の反応も怖い。

あとやらかした黒いのが消えてないのも怖い。いつ消えるのあれ?

 

動いてない?

一つに固まってく。

ヤバそう。

 

え、黒いの戻って、え、何でもどってくんの!?

 

ズズズズ

 

逃げる間もなく黒いのが身体の中に入ってきた。なんか満腹感が…なにか栄養がタップリの食材を食べたような感覚が……あ、そう言えば初めて竜に使ったときもこんな感じになって…絶対ヤバいって思って使わないように思ってたの忘れてた。なんで忘れてた。

 

 

これなに?

 

なんかゲームのあれと違う。

もしかして思い込んでただけで違う?

 

あと混乱させるって言って全滅させちゃったぁ。どうしよ。絶対に不味いわぁ。

 

恐る恐る振り向いたらセラフォールちゃんに退かれた…いや、うん…当然だけどぉぉ。

 



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悪魔の友達

 

 

 

 

 

 

新入生が入る時期、う~ん今年の新入生の中にもやっぱりいるねー

 

 

 

「先輩がこの学院の現トップだと聞いた。オレは今年入学のーー家のガルバシル。いきなりだが先輩、トップ交代の挑戦を受けて貰おうか」

 

 

 

早速学院のトップに挑戦しようとしてる新入生が居る。去年もその前も居たんだよねー。現在トップが一年の時にトップになった時から毎年続く恒例行儀。新入生のトップへの下克上バトル。

 

 

 

普通なら一年でトップなんて無理だけど…今挑戦されてる私達の代の現トップが一年で、トップになってその常識を打ち破った実績かあるから。それで自分も出来るって強さ自慢の(脳筋)悪魔が毎年トップに挑むんだよね。

 

 

 

そんな挑戦をされたトップはと言うと無反応、たぶん面倒としか思ってない。挑戦を突きつけたガルなんとか君、困った顔をしてる。

 

 

 

「……オレがこの学院に入ったからにはトップの世代交代してもらうぜ!」

 

 

 

 

 

 

 

て、言いながら目がキョドってる。たぶん相手を間違えたかもとか考えてるね。トップの見た目が見た目だから仕方ないよね。なんと一年入学の挑戦者より頭一つ分小さい。入学してから全く成長してないから、

 

 

 

 

 

 

 

「……」

 

 

 

 

 

 

 

「………」

 

 

 

お互い無言で見てる。いや何か反応してあげなきゃ可愛そうだよ!?

 

 

 

「…あの人違いとかじゃないですよね?」

 

 

 

あ、周りに助けを求めた。間違いないぞと野次馬から声が帰ってきた。

 

 

 

「よし!間違えてないんだな!先輩!挑戦を受けて貰おうか!」

 

 

 

トップが溜め息吐いて仕方なさそうに反応した。

 

 

 

「トップが欲しいなら挑戦受けなくてもトップはあげる。平和主義で戦い何て嫌いだから……危険度トップなんていらんし(ボソ)」

 

 

 

うーん本当に要らないと思ってるんだよね。けど当然だけど相手が納得する訳がない。むしろ火に油を注いでるね。

 

 

 

「は、はぁ!戦いたくない!!平和主義だと!?それでも悪魔か!」

 

 

 

「少年、悪魔だからって戦い好きと限らない」

 

 

 

プッ!相手の方がどう考えても見た目が年上だから可笑しくて笑えた。ガルなんとか君真っ赤になってる。

 

 

 

「っ~~もうトップだろうがそうじゃ無かろうが関係ない!そんな腐った台詞を言うヤツはこの場でぶった押して学院から追い出してやる!!」

 

 

 

あートップと違うと判断したんだ。まぁ悪魔の学院のトップが、戦い嫌いとか口では弱気なことばかり言って、見掛けは小さくてか弱い女の子だしね~。

 

 

 

周りの視線は大体二つ。

 

 

 

見た目的に現トップを侮ってる視線と……挑戦者を憐れんだりバカにしてる視線。

 

 

 

前者は新入生、後者が在校生。見覚えのある子がいた。去年同じ様に挑戦してエライ目に遭った子だ。酷い挑発してもう少しで下のモノが再起不能にされ掛けた子だから覚えてる。……なんで羨ましそうな視線向けてるのかな?

 

 

 

「くらえ!!」

 

 

 

あ、始まった。殴って倒そうとして簡単に避けられてる。蹴りも含めて何度も攻撃しても簡単に避けられる。息を切らし始めた。

 

 

 

「はぁ、はぁ、なら!これはどうだ!!」

 

 

 

素手がダメなら魔力の範囲攻撃。

パターンだよね。

 

 

 

「へぇー流石に挑戦するだけあって中々」

 

 

 

感じる魔力はだけど、辛口に言えば溜めが長いとか隙が有りすぎとか欠点は山ほど有るね。なにより一番の欠点は情報を収集してない事かな。

 

 

 

毎回思うけど…なんであの程度で勝てると思ったのかな。新入生の挑戦者の実力は相当に甘く見ても上級クラス。上級クラスは学院では結構いるよ。その上級の最上級クラスも居る。そしてその最上級が束に成っても手加減抜きなら勝てないサーゼクスちゃんが居て、そのサーゼクスちゃんがトップ相手に戦いを挑んでも……キズすらつけられてない。

 

 

 

 

 

「攻撃が消えた!?」

 

 

 

 

 

一通り攻撃させたし反撃するかな?

 

 

 

あの子はヤっちゃったね。トップが了承してないのに攻撃したから対応が厳しくなるよ。トップのあの娘は複数とか不意打ちとか大嫌いだからねー。……後者は自分も良くしてるんだけどね。

 

 

 

「う、嘘だろ」

 

 

 

泣きそうになってる。まぁ自信の一撃が簡単に消されて哀しい気持ちは私もわかるわかるよ。アレ本当にメンタルに来るのよね。

 

 

 

本当に酷いよね現学院のトップのアリシアス・ベリアル。私の友達のアリスちゃん。

 

 

 

 

 

「セラフォルーちゃん?」

 

 

 

うわ、アリスちゃんに見付かった。

 

 

 

アリスちゃんまだ終わってないからダメだよ。そんな明から様な余所見とか相手が傷付くから止めなよ。ほら挑戦者なんて無駄に自分の実力に自信があるのだし。

 

 

 

 

 

 

 

こら!余所見だけじゃなくて来ようとしたらダメだよ!

 

 

 

 

 

 

 

「ど、どこに行くんだ!!まだ終わってないだろ!!」

 

 

 

 

 

 

 

そんな面倒臭そうな目で見たらダメだって。

 

 

 

 

 

 

 

「俺を倒してぇぇえ…!?」

 

 

 

 

 

 

 

ゲシッ!!て音がしてガルなんとか君が台詞の途中で消えた。まぁ消えた訳じゃなくて打ち上げられて空に飛んだんだけどね。

 

 

 

 

 

 

 

ドサッ

 

 

 

 

 

 

 

野次馬越えてた所の地面に落ちてピクピクと痙攣してる。お腹抑えてる。結構な威力でお腹蹴られたんだから仕方ない。

 

 

 

 

 

 

 

「「「え!?」」」

 

 

 

 

 

 

 

「「「……あーー」」」

 

 

 

 

 

 

 

驚く新入生、まぁそうだよなって感じの在校生。それと酷い被害を期待して見ててガッカリしてる変態も居るね。

 

 

 

 

 

 

 

去年の挑戦者の子、あの痙攣した今年の挑戦者に向ける羨ましそうな視線…やっぱりそっちの性癖になったんだ。うう、毎年増えてく変態見るのもういやだよぉ。家のクラスの変態兄妹とかも合流してSM派閥が出来てるって噂もあるんだよぉ。…従姉妹の娘とかも新しい扉開いちゃって……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そんな変態が増える学院事情を考えてると、トコトコ歩いてきたアリスちゃんが抱き着いてきた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「また不良に絡まれた。セラフォルーちゃん怖かったから慰めて欲しい」

 

 

 

 

 

 

 

胸に顔を押し付けてそんな事をいうアリスちゃん。

 

 

 

 

 

 

 

「アリスちゃん、絶対に怖くなかったよね?」

 

 

 

 

 

 

 

たんに抱き付きたかっただけだよね。まぁ嘘と判っても頭撫でてあげるんだけどね!アリスちゃん小さくて可愛いから。

 

 

 

 

 

 

 

「そう言えばアリスちゃん、今回は随分と無事に終わらせたね」

 

 

 

 

 

 

 

新入生が驚いてるねー。

 

 

 

お腹を押さえて悶絶してるガルなんとかを見て何か言いたげ。うん、言いたいことは察せられるけど、ホントそれでも優しい対応なんだよ?

 

 

 

 

 

 

 

「顔とか潰して鼻血まみれにするぐらいすると思ったよ。初日のサーゼクスちゃんみたいに」

 

 

 

 

 

 

 

「彼は悪魔にしては珍しくブサ、モテそうにない見た目だから、流石に顔は……」

 

 

 

 

 

 

 

あー此処で聞かなきゃ良かったね!。

 

 

 

 

 

 

 

実力自信が有って学院トップに挑戦したのに一蹴されて負ける。そのトップにブサイク、もといモテそうにないから手加減したと言われる。ガルなんたら君に聞こえて無いよね?ギリギリ聞こえそうな位置だけど。  

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あー呻き声に泣き声が混ざってる。

 

 

 

 

 

 

 

で、そんな一人の新入生の心を折ったアリスちゃん、何時まで抱きついてるの?泣き声とか反応してあげようよ。……まぁ慰めたら慰めたで結構な確率でアリスちゃんの慰めの言葉で傷口が抉れるんだけどね。

 

 

 

 

 

 

 

「…また今年もセラフォルーちゃんの胸が大きくなってる」

 

 

 

 

 

 

 

流石にちょっと恥ずかしいよー?

 

 

 

 

 

 

 

「もう!アリスちゃんのエッチ!そんなビックリした顔をしないでよ。女の子はこの年だと胸が大きくなるのは普通だか……あ、ゴメン」

 

 

 

 

 

 

 

「……なんで謝るの?」 

 

 

 

 

 

 

 

「あ、あーそうだ!サーゼクスちゃんは今年も恒例のアレを頼んでるよ!」 

 

 

 

 

 

 

 

イヤそうな顔をしてる。

 

 

 

 

 

 

 

「ほらアレを新入生に見せれば挑戦者居なくなるんだから、そんなイヤそうな顔をしないでやろう」 

 

 

 

 

 

 

 

イヤそうな顔をしてるけどやるよね。

 

 

 

サーゼクスちゃん対アリスちゃんによる学院の頂上対決。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

場所はサーゼクスちゃんの修行の被害が酷すぎて、専用の闘技場みたいになってる荒野。元々は此処に高い山々があったとか信じられないよね。サーゼクスちゃんが打倒アリスちゃんに燃えた結果。

 

 

 

 

 

 

 

「アリス、今日こそ勝たせて貰うよ」

 

 

 

 

 

 

 

毎年毎年あるアリスちゃんに向けたゼークスちゃんの台詞。新入生や在校生ワタシやアジュカ、ギャラリー含めて安全の為に、だいぶ遠くからアリスちゃんが考案したモニター越しに観戦、近くだとホント危ないからね。

 

 

 

 

 

 

 

「なぁセラフォルー、サーゼクスの髪が異様に短くないか?」

 

 

 

 

 

 

 

「前の対決は見てなかったんだっけ?サーゼクスちゃん対戦で負けた罰ゲームに髪の毛根本から剃られたんだよ」

 

 

 

 

 

 

 

「え、そうなことされたのか!?前は…丸刈りの前はモヒカンだろ。アリスはサーゼクスの髪になにか恨みでも有るのか?」

 

 

 

 

 

 

 

「髪の毛の前は眉毛剃りだっけ、それでも挑戦ってサーゼクスちゃんってメンタル強いよね」

 

 

 

 

 

 

 

アリスちゃんは極度のドMって認識してるけど負けず嫌いだからだよね?

 

 

 

 

 

 

 

「まぁ……部屋に引き籠ったりするけどな」

 

 

 

 

 

 

 

あー……休んでる時が有るのは知ってるけど引きこもってたんだ。

 

 

 

 

 

 

 

そろそろ始まるかな。

 

 

 

 

 

 

 

「うーんモニター越しだと安全だけど出来たら直に観戦したいよね」

 

 

 

 

 

 

 

「観戦に命を掛ける気かよ。俺は絶対にゴメンだな。サーゼクスの全開の時なんて死んでも近づきたくない」

 

 

 

 

 

 

 

死にたくないから死んでもって可笑しくない?

 

 

 

 

 

 

 

「と、始まったみたいだ」

 

 

 

 

 

 

 

「おお!サーゼクスちゃんまた速くなってる!時々動きを見逃しちゃうよ!……けど相変わらずアリスちゃんにかわされてるね」

 

 

 

 

 

 

 

「サーゼクスの奴アリスに遠距離攻撃が効かないからって、最近は格闘戦ばっかだな。凝縮した滅びの魔力纏わせた格闘攻撃とか相手したくないな~……アリスは簡単にかわしてるけどな」

 

 

 

 

 

 

 

サーゼクスちゃんのは特別濃い滅びの魔力に当たれば、此方のガードも攻撃も消えちゃう……そんな攻撃でも防御でも理不尽な滅びの魔力を全身に纏う時はもう反則だよ

 

 

 

 

 

 

 

滅びの魔力を纏った状態だと攻撃が通らない、素の格闘能力も強いし、私だったらとにかく距離を空けて魔力が使えなくなるまで持久戦を仕掛けるしか手がないよ。私だったらと言うか誰でも、それこそ魔王さまでも同じ対処法しか無いと思うな~。

 

 

 

 

 

「……滅びの魔力を全く無視して、ついでに体格差も無視で格闘で圧倒するアリスちゃんは可笑しいよね」

 

 

 

滅びの魔力に当たってもアリスちゃん無傷、滅びの魔力にアリスちゃんの攻撃が当たっても減退するだけで消えない。うん、ものすごーく恐ろしい筈の全力サーゼクスちゃんが全く強くないみたいに見える不具合。

 

 

 

「有れって力量差で無効化か?アリシアスの能力か?どっちにしても悪魔としてバグったサーゼクスの力を無効化って」

 

 

 

「やっぱり能力かな?アリスちゃん能力隠してる感じだし…あ、顔面パンチされた」

 

 

 

アリスちゃん何時もサーゼクスちゃんの顔面狙うよね。顔を狙うときによくいうイケメン死すべし

 

 

 

まぁ本気で攻撃してないよね。

 

 

 

アリスちゃんの家に遊びに行った時の食事が竜で、その竜ってアリスちゃんが硬い鱗とかバリバリって捲ったり素手で解体してたもん。サーゼクスちゃんでもドラゴンの皮膚よりは防御力は無いよね。

 

 

 

「あーまた鼻血まみれになってるな。この場面だけ見るとサーゼクスが弱く見えるな」

 

 

 

「そうだねー……見えるだけだけどね~」

 

 

 

「あの規格外の中の規格外を除いたらサーゼクスは断トツに最強だからなぁ。と言ってもアリシアスみたいな外見詐欺でも無ければ、本気で弱いなんて勘違いさせる事もないか」

 

 

 

「え?…あー去年はアジュカだいぶ休んでたから知らないんだっけ」

 

 

 

「なにをだ」

 

 

 

「去年の新入生でね。サーゼクスちゃんが弱いってバカにした悪魔が居たんだよ」

 

 

 

「は?まさかこの対戦みたいなのでアリシアスに負けたの見てか?アホだなソイツ。サーゼクスはそのバカをどうしたんだ。」

 

 

 

「面白い事にね。その後の授業で学年別の対戦があって、サーゼクスちゃんの対戦相手が偶然にもそのバカだったの」

 

 

 

「へぇ偶然にね」

 

 

 

「そうそう偶然、サーゼクスちゃんがその日に先生に何か言ってたけど偶然だよねー」

 

 

 

「で、結果は?」

 

 

 

「デコピン一発で伸されてたよ。その後は『あぁすまない。君は強いんだろうと思って手加減を抜きすぎたよ』ってサーゼクスちゃんがアリスちゃんばりに心の傷を抉ってたね。」

 

 

 

サーゼクスちゃん良い笑顔だったよ。

 

 

 

「サーゼクス……そんな風にキレるんだな」

 

 

 

「サーゼクスちゃんが弱いとか言う悪魔なんて初めて見たしレアな光景見れたよ」

 

 

 

「レアと言われると見たかったな。……俺も見たいが、虫以下の知恵の悪魔なんて早々に現れないよな』

 

 

 

サーゼクスちゃん弱いって言った悪魔は虫以下の知恵って意味だね。

 

 

 

「其れにしても、サーゼクスちゃんってアリスちゃんと戦う時はボコボコにされるのに生き生きしてるよね」

 

 

 

「全力を出してるからだろうな。まぁ……他に出せる相手も居ないから…」

 

 

 

悲しそうな声。

 

 

 

「うーん友達としては全力を出させて上げたいけど、サーゼクスちゃんに次ぐ実力者とか言われてる私達でも、滅びの魔力全開されると死ぬからね」

 

 

 

力の大きさもそうだけど本人がコントロール出来てないし。

 

 

 

「試しに手加減抜きと頼んだら死にかけた」

 

 

 

え、そんなことしてたの。 

まぁ友達なら危険でもって事かな。気持ちは判るけど、けど、私はちょっと無理かなぁ。

 

 

 

相手がアリスちゃんだもん。

 

 

 

手加減ありでようやく互角のサーゼクスちゃん、そんなサーゼクスちゃんもアリスちゃんには勝てて無い。オマケにアリスちゃんは全力をまだまだ出してない感じ。……アリスちゃんが戦闘嫌いなのは同格な相手が居ないからなのかな。それかーー……サーゼクスちゃんのせいかな?

 

 

 

アリスちゃんに頻繁に挑むサーゼクスちゃん。

 

 

 

その回数なんと!

もうすぐ三桁になるぐらい。

勝敗はいつも同じ

 

 

 

サーゼクスちゃん何時もアリスちゃんと戦う時は心底楽しそうな笑顔。鼻血まみれに良くされるのに、よく泣かされるのに。めげずに笑顔でアリスちゃんに何度も挑む。アリスちゃんの立場になって考えるとちょっと…あれかなーー。気持ち悪いかも。

 

 

 

 

 

 

 

「あ、アリスちゃん『ジュウ』を出した」

 

 

 

 

 

アリスちゃんが特注で造った武器。

ジュウは弾を発射する武器。

 

 

 

 

 

魔力を媒介に弾を発射してるみたいで、魔力を込める量で威力は上下するそう。試しに私も使わせて貰ったことあるけど宝石並みに硬い魔獣が穴だらけになったよ。私以上に力があるアリスちゃんが使ったら…うん。

 

 

 

弾の速さは音より速いし連射されると避けるのは無理、あと弾を特注して毒とか痺れ薬と入った弾だとさらに厄介。

 

 

 

「…が、顔面に0距離から射たれてる」

 

 

 

アレは怖い!!倒れたサーゼクスちゃんの顔から煙が、サーゼクスちゃん痙攣してる。痙攣してる?ちゃんと生きてるよね?よかった今回も手加減してたんだね。

 

 

 

 

 

新入生のギャラリーは顔が青褪めてる。ちゃんと学院最強の実力と怖さは理解したよね?多分まだ何人かは理解せずに挑んだりするんだろうなぁ。

 

 

 

 

 

此で無謀に挑んだりして被害は少なくなるよね。ありがとうサーゼクスちゃん!気絶したサーゼクスちゃんの髪を見てる。ハサミを取り出した。

 

 

 

そういえばアリスちゃん、今度はサーゼクスちゃんを落ちムシャヘアーにするって言ってたけどどんな髪型なん…うわぁ真ん中からバッサリされてる

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

色々と危なくて騒々しい学院生活、戦闘関連のイベントが多い。アリスちゃんだけは文句を良く言ってた。

 

 

 

わりと学院のイベントは楽しんでたけど、流石に今回は、アリスちゃんだけじゃなくて私も文句を言いたいかな。まさか成績上位がごほうびって名目で戦場送りにされるなんてね。

 

 

 

 

 

「悪魔が優勢なんだしボク達が来てもやること無いんじゃないかな?」

 

 

 

「そうだな。優勢なら必要ないよな」

 

 

 

サーゼクスちゃん達が皮肉げに笑ってた。

 

 

 

知ってるんだろうね。世間に出される広報だと戦争では悪魔が優勢、実際には数年一進一退の互角の潰しあいでこのままだとお互いに全滅するって状況だって親から聞いていた。

 

 

 

なら私達みたいな学生でも戦力にして、互角の均衡を崩すのに戦線に突入したい筈。そんな手札として使われるのに不満はある。皆が不満を感じてる。だけど言えるのは皮肉ぐらい

 

 

 

「やっぱりごほうびに戦争に連れてくるなんてやっぱり可笑しい。皆で帰らない?」

 

 

 

皮肉抜きに本音を言うのはアリスちゃんくらいだね。

 

 

 

アリスちゃんの友人だと本心とわかるけど…………学院でやらかしてる事を考えると、口とは正反対の事を考えてると思われてそう。アレ(先生)も何も言わないし。

 

 

 

アリスちゃん大丈夫かな?心配だけど何だかんだアリスちゃんなら私よりは大丈夫と思えるかな。むしろ自分の事を心配するべきだよね。

 

 

 

 

 

天使や堕天使が殺しあう戦場。私達の狙いは天使と堕天使が戦ってる場所への乱入?…遠くからで正確には判らないけど感じる気配は…中級か上級って感じ。

 

 

 

 

 

此れって、サーゼクスちゃんとかアリスちゃんは全く大丈夫で、私とかアジュカもたぶん大丈夫、他も成績優秀者ばかりだから大体は大丈夫と思うけど………全員が無事で終われるなんて事は難しいよね。この場は無事でも実績を出したってことで、なし崩しに戦場にずっと残ることになりそう

 

 

 

「さぁ、みなさん頑張ってくださいねぇ。先生は後ろでしっかり見てますから

 

 

 

ホント死ねば良いと思う

 

 

 

「先生、初めは私からで良いです?」 

 

 

 

「え、ええ、アリシアスさんが珍しく積極的で先生嬉しいです。どうぞ先鋒をお願いしますね!」

 

 

 

アレ(先生)はアリスちゃんを行かせた。

アリスちゃんが先鋒を望んだ?

すごい違和感を感じた。

 

 

 

「ちょっと混乱させれるか試してみる」

 

 

 

私にそう言って前に出た。

 

 

 

アリスちゃんなら何をするのか判らない。だけど、何故か止めた方が良いって気がした。

 

 

 

前に出てアリスちゃんは一言だけ呟いた。大きくも小さくもない言葉、戦場で色々な音がするのに何故かよく聞こえた。 

 

 

 

『死んじゃえ』

 

 

 

身体に氷柱が刺された様な心も凍りそうなスゴく冷たい寒気を感じた。今のアリスちゃんの声?何時も聞いてるアリスちゃんの声なのに…なのに別人の様に聞こえた。スゴく、スゴく怖かった。

 

 

 

アリスちゃんから黒い何かが出てきた。

 

 

 

なに…あれ…

 

 

 

 

 

気付くと私は腰が抜けて地面に座って自分の身体を抱き締めていた。あの黒いの怖い。堪らなく怖いと感じた。

 

 

 

 

 

何あれ……天使や堕天使が黒い何かに包まれて、消えてる、アリスちゃんの言葉通りに天使も堕天使も……死んでる?……消えてるの?死んでいってるの?……死体も羽も何も残さず死んでる……死んでく……死んでく……身体の震えが止まらない。あんな一杯、一杯…アリスちゃんが…。

 

 

 

天使や堕天使を飲み込んだ黒い何かは…アリスちゃんの中に戻っていった。アリスちゃんが振り向いた。

 

 

 

ソコに居たのは何時ものアリスちゃん?何時ものアリスちゃんにしか見えない。それがとても怖かった。表面はアリスちゃんで中身は…あの黒いモヤの塊に見えた。

 

 

 

 

 

私は悲鳴を上げて後退りしていた。

怖くてアリスちゃんの顔を見れなかった。

 

 

 

 

 

 

 

後からサーゼクスちゃんに聞いたけど、あの時アリスちゃんはとても悲しそうな顔をしていたんだって……。

 

 

 

気付くと私は戦地から帰されていた。

私はアリスちゃんが見せた黒いのが怖くて部屋の中で暫く震えてた。

 

 

 

 

 

数日してようやく落ち着いて不思議に思った。なんで私は何もせずアッサリと戦場から帰れたの?

 

 

 

これでも私は学院でもトップクラス、トップ何名か可笑しいだけで最上位の力はある。戦力が必要なのに少し塞ぎこんだだけでアッサリ返されると思えない。無理矢理戦わされたと思う。

 

 

 

答えはサーゼクスちゃんから教えて貰った。アリスちゃんが…塞ぎこんだ私を返すように交渉してくれたんだって…

 

 

 

 

 

私はアリスちゃんに助けて貰った。

あんなに怖がったのに

 

 

 

 

 

アリスちゃんに感謝してようやく考えた。アリスちゃんは戦場で沢山の敵を消したのか。

 

 

 

なんで?アリスちゃんは、名誉とか功績なんて求めるようなタイプじゃない。悪魔の為になんて使命に燃えたタイプでもない。アリスちゃんの性格なら適当に戦って済まそうとするよね。

 

 

 

ならなんで?

 

 

 

意味もなくアリスちゃんがあんな攻撃をすると思えない。思い出せばアリスちゃんは混乱させるって言ってた。

 

 

 

混乱させるって何の為に?アリスちゃん自身の為じゃない。混乱させれば私達が安全に戦える。あれって私達の為にやったんだよね。

 

 

 

あ、けど相手を全滅させて混乱も何もなかった。

 

 

 

もしかして、あんな事に成るなんてアリスちゃんも想定してなかったとしたら?

 

 

 

アリスちゃんがあんな力を見せたのは始めて、大きな力はコントロールが難しい。アリスちゃんに次いで力の大きいサーゼクスちゃんは力のコントロールを間違えただけでも山を消したりもしていた。たぶんアリスちゃんも混乱させるだけのつもりだったのに、力のコントロールを間違えて大惨事になったんだ。

 

 

 

何にしてもアリスちゃんは私達の為にあの力を使ってくれたと思えた。それなのに私はあんなに怖がった。あの力は今でも思い出すと怖いけど、アリスちゃんが大切な友達なのは間違いない。

 

 

 

アリスちゃんに謝りたい。

 

 

 

そう思った私はアリスちゃんに謝ろうと思った。だけどアリスちゃんは戦場に残ってると教えられた。

 

 

 

 

 

だから帰ってくるのを待った。

 

 

 

ずっと待った。

 

 

 

ずっと待ったのに、悪魔と天使と堕天使の戦争は終わったのに、どんなに待ってもアリスちゃんは帰ってこなかった。

 

 

 

 

 

 

 

アリスちゃんは戦争で……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 



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変態眼鏡な転生者

原作の時代


 

俺が一年前に入学した高校は駒王町にある駒王学園、元女子高。俺みたいに最近になって男子も入学出来るようになったけど、まだまだ女子の比率が多い大体の男にとってはパラダイスか天国な学園、

 

二年となって“思い出した”今現在の俺的には真逆な認識の学園……!!

 

突然だけど思い出したこと、俺は前世の記憶を持ってる転生者だった。本当だぜ?とりあえず転生をしてると信じてくれ。それでついでにもう1つ信じて欲しいのが、転生して新しく生まれ変わった世界が悪魔や天使や神様まで登場する『ハイスクールD×D』ってラノベに酷似した世界ってこと。少なくともそう判定する要素が揃ってる。

 

D×D原作舞台の駒王町産まれ。更に原作に多分ない神器所持。更に更に年齢も原作主人公と同じ。産まれ代わった自分がなんと原作のネームドキャラ!!まぁ脇役キャラだけど、非戦闘キャラだったけども!!

 

駒王学園に入学して一年後、高二になって、原作始まる時期になって、ようやく!!前世含めて諸々の記憶が戻った!!。

 

運命か神様か何か知らないけどさ!オレを…原作に関わらせる気満々って感じのお膳立てしてると思うよな!そう思うよな!死亡キャラが結構出てるハイスクールD×Dの原作に、関わらせるお膳立てされてると思えるよなぁ!!ふざけんな!!

 

神様もう少しマシな世界に送ってほしかった!ってハイスクールD×Dだと神様死んでたっけ

 

 

死亡率が結構高い世界。

ある条件があると特にヤバイ。

 

 

原作主人公1話目で死んでる。

ヒロインの女の子も一度死んでる。

どちらも復活してるだけで死んでる。どちらも死亡原因は神器持ちだから

 

俺も持ってるよ神器…自衛しないと死んじゃうだろ!!けど今から鍛えても劇的に強くなれる気がしない!時間がねぇ!って事で出来たら原作キャラに助けてもらいたい。

 

一番身近な原作キャラ。 

 

同い年のハイスクールD×Dの原作主人公、兵藤一誠。原作知識思い出す前から一年の頃からの友人、普通に友人としては嫌いではない。だけど……やっぱり変態過ぎるのはどうかと思う。

 

「キャアアア!!」

 

「また変態三人衆よ!!」

 

また見つかったのかぁ。原作主人公通り覗きとかしてる。原作でもしてた行為、だけど1つだけ可笑しな点がある。変態三人衆…… 

 

「元浜助けてくれぇ!!!」

 

「兄弟!撮影したの分けてやるから助けてくれ!!」

 

「俺を巻き込むなぁああ!!」

 

オレは元浜、原作で一誠と友達で変態三人衆だった眼鏡、因みに下の名前は東二、原作も同じかしらない。オレは駒王学園に入学して原作通り変態三人衆の一員扱い。

 

覗きとかしてないのに!オリジナルの元浜みたいに進んでは勿論、誘われても天に誓って覗きなんてしない!!

 

女子諸君!オレ覗きとかしないのに毎回覗きがあったら三人衆って言うのは止めてくれない!!そもそも何で変態三人衆なんだよ!オレはスケベさ!高校生男子だものエロなのは仕方ない!!けどしかし!!断じて一誠、松田みたいなオープンスケベじゃない!!クラス女子は一切エロい目で見ないし、エロ本見るのは家だけ!!オレは紳士だ!一誠と松田の野郎とエロトーク少しばかりした事はあるけど!。

 

「うわあ!網なんて卑怯だぞ!?」

 

「チクショウ!」

 

捕獲されて女子たちに何処かに連れ去れる彼らエロ戦士を俺は見送った。流石になにもしてない俺は放置された。

 

「元浜なんで覗きに来ないんだよ」

 

解放された二人が何故か文句いいに来た。毎度思うけどなんで生きてるのか謎。バットに竹刀とかで端から見ると…ミンチ肉を作ってる感じだったのに。

 

「イテテ…元浜今度は一緒にやろうぜ」

 

「仲間外れってだめだもんな!」

 

爽やかな顔で覗きに誘うバカ二人。

二人から三人にして一人頭の損害を軽くするのが目的だな。

 

「アホかオレはお前等とは違う。女子更衣室の覗きなんてしてない!!」

 

マジで興味ないし。

 

「元浜自分を偽るなよ!変態三人衆の仲間であるお前が理想郷(ユートピア)を見たくないわけ無いだろ!」

 

「大声で変態の仲間とか言うな!オレは絶対に覗かない!そもそも興味ないんだよ!」

 

「「嘘つくな!!男なら更衣室に興味ないなんてあり得ない!!」」

 

ハモるなよ。

 

「はぁぁ…おまえら二人とも忘れてるのか…変態(一誠)ハゲ(松田)これを言うのは何度目か忘れたがよーく聞け!」

 

「「変態(ハゲ)て言うな!!眼鏡!」」

 

そっちこそ眼鏡呼ぶな!何処かのツッコミキャラみたいに俺の本体が眼鏡みたいじゃないか!

 

「あのな……高校の更衣室なんてな、覗きしても、見えるの範囲外ばかりなんだよ!!」

 

「高校生で範囲外て重度過ぎんだろロリコン!!」

 

「小学生の頃なら誘いに乗ったんだけどな」

 

「犯罪性が高すぎるぞ元浜!!」

 

「てか女子高生もロリの範疇じゃないか??」

 

「女子高生は消費期限切れた熟女だろJK」

 

「……元浜、俺が言うのもなんだけど、台詞には注意しろよ」

 

「まぁ納得は言ったけど」

 

納得してくれてよかったよ。オレ教室でなに言ってんだろ?変態二人の理解の代わりに女子全員の不評とか割りに合わねーよ!!

 

見ろよ周りの女子のあのゴミを見る目をよぉ。一誠達に向ける視線よりキツくない?消費期限切れは不味かった?賞味期限切れにしとけばよかったか。

 

この身体に成ってから何故かたまにテンションやら言動が可笑しくなる。オリジナル元浜の呪いかな。ロリコンなのは元からだけど。

 

「しかしロリコンでもお前は栄光ある変態三人衆が一人だ!同志よこの写真の娘の戦闘力(スリーサイズ)判るな?教えてくれ」

 

松田が取り出したるわ体操服の女性徒の写真。(明らかに盗撮)

 

胸の脂肪の塊がデカイな。原作元浜同様俺にはスカウターがある。コンマ一秒で測れる。なんですぐにわかる。しかし、誰も居ない所ならまだしも此所教室ぞ。あと覗きの制裁のすぐだぞ。周りの女子の視線が怖いんだよ!断固として言わないと口を閉じた

 

「なぁ元浜?」

 

「なんだよ」

 

ピラッ

 

「小猫ちゃんが仔ネコに餌をやってる写真が有るんだが」

 

「バスト88、ウエスト57、ヒップ65」

 

因みに女子からの呼ばれかたは外道ロリコン眼鏡。

 

 

 

現在オレは駒王の二年生。

 

主人公他も原作通り。1学年上にお姉様と呼びれるのが二人、別クラスにホモ容疑者、ひとつしたには小猫ちゃん在籍。…小猫ちゃん無茶苦茶可愛かった。中学一年ぐらい。

 

え、女子高生は熟女?ほ、ほらガチで猫な小猫ちゃんなら年齢も含めてロリな可能性もあるし!もし年齢違っても外見ロリなら良いかなって…。

 

小猫ちゃんに挨拶しに行ったら汚物見る目で見られた。貴方は噂の外道鬼畜ロリコン眼鏡先輩と言われた…だれだ外道鬼畜ロリコン眼鏡なんてバージョンアップしたあだ名を吹聴したのは!

 

 

不味い警戒されて話が出来ない。性癖的な目的だけでの接触でないぞ。小猫ちゃん経由で悪魔側と接触したかったんだよ。他にも居るけど上級生二人で勇気が、原作主人公の一誠はまだ悪魔でないし。別クラスの同級生にも居るけどイケメンオーラが強くて……なんとか声を掛けれると思えるの小猫ちゃんぐらいなんだよ!

 

原作的になにもしてなくても神器持ちって狙われる。原作的に悪魔の領地らしいし出来たら悪魔側の保護下になりたい。

 

もう二年、原作通りに成るなら早くしないとヤバい。とか思ってたらヤベェよ!一誠が女の子に告白された!?原作の堕天使の侵入じゃぁぁあ!!もしかしたら普通の告白された可能性?あの一誠が普通に告白される可能性とかあり得ねぇから!!

 

取り敢えず告白されたと喜んでる一誠を哀れんだ目で見てやる。モテない男の僻みとか言ってきたから松田とオレでダブルパンチ!現実をみろや色ボケ!会話としたことのない女の子に惚れられて告白されるって無茶苦茶怪しいだろ!!お前ら仮に自分が女子で俺達に告白しようと思うか考えてみろ!?

 

この台詞に一誠と松田、お互いを見て、そして俺を見て……絶対無いなと頭を抱えた。

 

どうしよう。一誠が嘘告白をした堕天使を警戒しても何とか成らないよな。一誠は神器にすら目覚めてないし。俺は神器一応使えそうだけど戦えるか怪しい。不意打ちならなんとか成りそうな気もするけど難しい。

 

助けになるの悪魔勢力ぐらい。

学園では普通に登校してるように見える。多分気付いてない?

 

堕天使の事は教えるだけでも何とか成るか?

匿名で堕天使が侵入してるって紙を貼り出しただけでも何とかなりそう?

 

とか思ってたけど止めた。

 

歩いてて盛大にパンツを見せてる金髪の女の子と偶然あって、少し助けてあげると、何だかんだ治癒能力を見ることに、原作一誠ムーブをなんで俺がしてんの?って思いながら、問題に頭を抱えた…。金髪の女の子はアーシア嬢、アーシア嬢が居たんだった。

 

下手に悪魔に動かれると堕天使が警戒して、アーシア嬢連れて何処か別の場所に行くかもしれない。と言うか原作から悪魔の領地で態々何かするってのが意味不明だったし。

 

悪魔陣営本丸の学園の神器持ちの殺害で注目集め。はぐれエクソシストが悪魔の召喚者の殺人とかやらかし、肝心の神器を持ったアーシア嬢を外に出してた。わざとバレようとしてない?

 

 

堕天使に逃げられるだけなら良いけど、アーシア嬢は神器抜かれてジエンド、もしくはアーシア嬢を狙ってる鬼畜悪魔に助けられて18禁エンド。

 

アーシア嬢助けるなら原作通りの流れが安全かもしれない。そうなると生き返るからって一誠を一時見捨てる事になる。どうしよう。一誠を見捨てるの嫌だしアーシア嬢を見捨てるのも無理ぞ…板挟みの結果動けなくなった。

 

で、一誠はデートすることにしてた。

 

俺の言葉で怪しんでたけど信じる事にしたみたいだ。相手を信じるって一誠の良い面なんだけどなぁ…。まぁデートをしないなんて言った場合、一誠がグサリされるとかあり得るからデートするのは間違いでもないか。どのみちどちらにしてもアウト。

 

一誠と堕天使とのデート当日になった。原作では一誠にとって人生最後の日。俺は迷ったけどなにもしない事にした。

 

下手に阻止して助けようとして一誠含めて全員が不幸に成る危険は怖いし。

 

オレは一誠のデートに隠れて着いてく事にした。一誠は女の子と合流、あの女の子が堕天使のレイナーレかぁ。マジで楽しそうにデートしてる様に見える。原作と根本的に違うとかなら肩透かしだけど助かるんだけどなぁ。肩透かしの場合はデート一日中見せられた怨みを一誠にぶつけるけどな!!

 

デートは終盤公園で女の子と二人きり。

原作と同じなら此処で…

 

介入する気は無いけど自然と出てた神器を握ってた。因みにオレの神器は銃型。光の槍を出した。くそが!やっぱり原作通りなのか!一誠を狙ってたのか!一誠が殺される!

 

あ、ヤバい。

 

バン!

 

「く、な、なに攻撃!?」 

 

反射的に射ってた!?

アホかおれええええ!!

 

「え、え、なにが、元浜!?」

 

一誠混乱してるな。俺も混乱してるの!!どうしよ!も、もうこうなったら!神器で脅して退かせて……あ

 

「レイナーレ様に何をするか人間!!」

 

他の堕天使さん!!?

なんでレイナーレ以外の堕天使が、それも三人も居やがるよ!大増量やめて!これ原作の全員でないか!?堕天使勢が全員来てかるってクソゲー!

 

「さっさと死ぬっす!」

 

いやぁぁあ!!一斉にくんなぁぁ!!

 

「やってくれたわね。アーシアと接触した神器持ちと言う事で監視しておいて正解だったわ」

 

監視って堕天使が集まってた原因はオレだった!?

 

はは一誠のにも気づいたなら一誠の近くに良く居るオレのにも気づけるよね!!神器に気付かれる可能性あると想定してたのに注意してなかった!!はい、オレはすごく間抜けですね!レイナーレ一人なら何とか成りそうだけど多勢に無勢はむりだよぉ!!

 

しかもオレのはどうみても遠距離用の神器だから弱点モロわかり!!早さ負けで接近されたら、どうにもならずに槍でグサッてやられたぁ。

 

文字通り死ぬほど痛かった!しかも一誠と違って死ぬ間際に追加で刺された。確実に殺る!って感じに異様に敵意燃やされてたけど何でだよ。撃ったからか。

 

いてぇよ……オレは死ぬんだなぁと冷静に思えた。これで二回目か。

 

「元浜ァァアア!!!!!」

 

あーー死に際、一誠の俺を呼ぶ叫びが聞こえた。さっさと逃げれば良かったのに、堕天使一誠見逃すとか無いよな。身体が動かないし一誠助けられないな……無駄死にだなぁ。はぁせめて一誠助けれてたら…。

 

今度は享年17。

 

 

「ところがどっこい!生きてた俺」

 

起きたら家のベッドの上。

 

これって多分あれだ。原作の一誠みたいな感じだ。悪魔として復活した……試したら悪魔の羽が生やせたしまちがないねぇ(白目)

 

これオカルト部の部長さんだろうなぁ。神器持ちで良かった。流石に神器持ちでもないと部長さんは眷族にしてくれないよな。神器なくしてくれそうな気もするな。

 

はぁけどまさか一誠の人生だけでなくてオレの人生も終わるなんて、一誠と二人で悪魔になるなんて……うん?一誠

 

「一誠、悪魔化してないとか無いよな」(震え声)

 

自分が原因で堕天使が全員集合してたりしてたのに、何で原作通りになると思ってたんだよ俺!!

 

「も、元浜か!?」

 

急いで電話をすると一誠が出た。

生きてる?生きてる?よかった!セーフ!セーフ!!!セーーーフ!

 

一誠は襲われてその後の記憶があやふや。

あと何か朝が酷くダルい…これは悪魔化してますねぇ。

 

学園、部長さんが原作通り悪魔にしてからオレと一誠を放置した。そのせいで一誠が昨日の事をしつこくオレに聞いてくるから誤魔化すのに苦労した。原作知ってたなんて言えるわけないだろ!

 

学園では部長さんが意味深にオレと一誠見ただけ?いやいや、堕天使うろついて時に放置とかダメなんでは?早急に動いとくべきじゃ。命の恩人だと思うけど……

 

実際その日の帰りに俺達は襲われたしな。まぁ部長さんが助けてくれた……ずっと見てた?もしかして、話す切っ掛けほしくて見張ってた?

 

「も、元浜いい加減どういうことか教えてくれよ」

 

「俺も詳しくは知らないんだよ、今からグレモリー先輩に聞けばいいだろ」

 

次の日に一誠と二人呼び出し受けて小猫ちゃんの居るオカルト部に入る事に。小猫ちゃん、イケメン、大和撫子の先輩、シャワーに入ってた痴女、いけない命の恩人だ。グレモリー先輩から自己紹介される。私達は悪魔よと翼一斉にバサッ!

 

これ……打合せしてたとかない?もしかして昨日呼ばなかったの打ち合わせの為とか?まあ普通に堕天使関連の記憶の操作だろうなぁ。原作で出たっけ…記憶を操る魔法ってヤバくない?

 

「昨日の夢じゃなかったのか。堕天使に俺は殺された……じゃあ元浜はなんだったんだ」

 

一誠が堕天使とか夢じゃないと部長に説明されて、一誠がオレに昨日の事を追及してきた。

 

「それは私も気になるわね」

 

オレは神器の関係で元から堕天使とか悪魔を知ってたと説明して、一誠に告白した堕天使に気付いて心配で着いて行ったと言ったら謝られた。なんだと思えば告白が嘘だと忠告してた件だった。

 

「元浜の警告をオレが無駄にしたから元浜も」 

 

一誠マジで気にしてる感じだから心が痛い。一誠の事を一度は見捨てたのに無駄に動いて返り討ちになった。本当は俺がアホだっただけ何だよなぁ。言えないし相手が悪かっただけなんだし気にするなと言っておいた。

 

「…ありがとうな元浜」

 

一誠が涙目で感謝してきたからむず痒い。感謝される資格とかないし。だから止めて!周りの先輩たちも微笑ましいみたいな目で見てくるのも勘弁して!!イケメンはマジでその視線は止めろ(迫真)

 

それから一誠が見てたオレの出してた神器から狙われた理由の話になった。

 

「かめは○波ぁぁ!!」

 

おいこら!一誠が原作と違って版権的に不味そうな技で赤龍帝の籠手を出した!オレは普通に神器を出した。

 

誰か反応しろよ。

 

「災厄の魔銃(パンデミックガン)」

 

部長それが神器の名前なんです。

なんか不吉

 

「元浜のそれって神器だったのか。実は話を聞く前は元浜が実は特殊な部隊の一員だったみたいな勘違いしてた……」

 

 

そんな勘違いしてたのか!?

 

オレの神器は赤龍帝の籠手と違う方向でカッコいい。部長さんが微妙な反応?微妙と言うより不安そうな感じが。この神器って何かあんの?

 

その後、原作みたいに発生したはぐれ悪魔討伐任務。良く二次作で駒の説明に使い潰されるはぐれ悪魔が登場、人喰いだし擁護不能。

 

其れにしてもデカイはぐれ悪魔。原作だとこのはぐれ悪魔だけデカくない?他の悪魔でデカかったの確かいない。化物に改造したとか真っ黒な裏とか有りそうで怖い。

 

まぁ悪魔の強さを見せるサンドバッグである為にデカイのかな()

 

戦闘シーンもとい虐待シーンに思わず哀れみが。ルーク、戦車の小猫ちゃんはパワースゴい。ナイト、騎士のホモ容疑者は素早い。クイーンは文字通り女王様。

 

結構強そうなのに多人数にフルボッコされて勝ち目無い。部長さんはフルボッコされてる中で駒の説明、部長さんが余裕過ぎると言うか慣れてると言うか……この町って結構はぐれ悪魔に進入されてる?

 

どうでもいいけど一誠がポーン(兵士)と聞いてガッカリしてた……ポーン八個って可笑しい数何だけど。そう言えば駒が入ったらパワーアップするそうだけど、入った駒分のプラスとか有るの?

 

オレの駒はルーク戦車だった。防御とパワー…………欲を言えば速さ敗けでグサッてされたからナイトの速さの方が欲しかった。遠距離の神器的にも防御とパワーはあんまり、けど小猫ちゃんとお揃いだねと小猫ちゃんにアピール!

 

物凄いイヤな顔されたお。

 

はぐれは最後は部長が滅びの魔力で跡形もなく消して終了、この時期の部長さんは原作でも強く見えるんだよなー。本当この時期は……。一誠のは倍加する龍の爪みたいな誤解を受けてる。

 

最後にオレの神器の性能を見る的な話になって取り敢えず射った。百メートル先の大きめのコンクリートの壁が砕け散った。大砲!?と射った自分が一番ビビった。

 

試した事は前にあったけど普通の銃弾ぐらいの威力だったのに。

 

疑問に思ってたら、部長さんから射つ弾丸が魔力だから悪魔化されたから強化されたとの回答が貰えた。しかも俺の魔力は意外にも高いそう。大幅なパワーアップ!……これは相手を粉々にしそうで怖いん(震え声)

 

俺はアーシア嬢と再度出会った。

またパンモロしてた。

 

そういえばアーシア嬢って一誠とは会ってる?急いで一誠と合流、アーシア嬢、一誠と俺で一緒に遊んで友達となった。

 

それから……まぁ色々あって変態牧師を倒して、一誠と二人で神器抜かれる前にアーシア嬢を救った。救えたんだけどレイナーレとかには逃げられた。なんでか儀式とかおざなりでオレ等が行く前に堕天使だけ逃げてた。原作と違う?まぁそのお陰でアーシア嬢は無事だったから良かった。良かった。でアーシア嬢を助けたんだけど結局アーシア嬢は悪魔に転生。アーシア嬢がオレの家に来た。…うん??

 

 

アーシア嬢が学園に入学してそれから何日かして、部長さんの様子が可笑しくなった。

 

原作イベントかぁ。

 

焼き鳥、じゃないライザーさんが登場、ライザさんの妹も入れたハーレムも登場。フーンとしかオレは思わなかったけど、一誠号泣。小猫ちゃん気持ち悪いの一言、アーシア嬢苦笑……アレ?

 

部長さんが婚約破棄を掛けてレーティングゲームを仕掛けた。ライザーさんが普通に承知、しかも準備期間も貰えた。色んな面で此方が不利だし絶対勝てると余裕なんだろなぁ。此方にしては有り難いから何も言わない。    

 

このライザーさん来てた時、実はオレ、部長には悪いけどライザーさんより悪魔最強の女王様が気になってた。やっぱ咲夜さんだよな。残念にも巨乳な。一児の母であのメイド服、きつ…ひぇ女王様から冷たい目で見られた。

 

それから修行パート。

この時期の一誠が予想よりヘッポーコー。

 

「……うう、まさか元浜にまで負けるなんて!の○太くんに接近戦で負けるなんて!」

 

遠距離主体のオレに接近戦でボロ負けって流石に酷すぎない。まぁ何か身体強化されてるみたいで動きは良くなってるけど、それは一誠も同じだろ?

 

てか一誠って今はヘッポコだけど、サイヤ人並みにインフレすると知ってるから勝った気は皆無なんだけど。遠距離と近距離で役割が違うって救いがあって良かった。て、誰が○び太くんか。眼鏡と銃だけだろ共通点。あれ結構共通してる?

 

まぁ腹立つから一言言うか。

 

「君は実にバカだなぁ」

 

「うあああん!!ドラ○もんの声真似上手いなぁあ!」

 

一誠に絶賛された。ネコ繋がりで小猫ちゃんの前でも声真似をしてみた。狸型ロボットの真似ですかと鼻で笑われた。猫型です(強弁)

 

修行し強くなった後、本番のレーティングゲームの勝敗……敵はオレ分の戦力で、原作通り部長さんが負けを宣言して終わり。いやーーうん、他は倒せてもライザーさん、最後の砦が無理だわ!!

 

オレも頑張ったけど最後のライザーさんを倒すには相性が悪い。身体中穴だらけにしても即復活されたらどうやって倒せと?精神的に折らないと倒せない。精神的に倒そうと股間中心に狙ったらキレられて燃やされてリタイア…。

 

対戦後オレを見る悪魔の視線が痛い。居心地悪い。何で?股間中心は不味かった?いやいや見られるのならドレスブレイクとかした一誠の方がひどかった。 

 

そうドレスブレイク

 

レーティングゲーム中は一誠と別行動だったんだけど、アーシア嬢もといアーシアちゃん小猫ちゃんからの情報で一誠、ドレスブレイク使いやがったらしい。後日リアス部長に頼んで一誠にドレスブレイク禁止令を出してもらった。血涙出しても知らん。ドレスブレイクは流石にアウト。もちろんドレスブレイク禁止令は解決した後の話し。

 

解決…原作通り部長の婚約式阻止に貴族一杯の所に突入、オレ、ホモ容疑者、小猫ちゃんで一誠突入の援護。部長さん助けたいし原作通りだけど………御膳立てされた感じが。魔王さまが居るところの警備とか俺達だけで何とかなると思えないし。

 

一誠がライザーさんを倒して終了。

部長の婚約は阻止できた。

ハッピーエンド。

 

ライザーさんにはちゃんと謝っておいた方がいいと思う。

 

それにしても俺の神器って何かあるの?悪魔さんたちから変な視線を向けられるんだけど、まさか魔王のサーゼクス様にも変な視線を向けられるなんて…

 

特にサーゼクス様の……何かヤバイ視線じゃない?

 



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眼鏡は間違う

 

ライザ戦は原作通りの終わり方をした。

 

部長から婚約破棄を求められて、ライザーさんキチンと婚約破棄を掛けたゲームをした。特にルール違反もなく正々堂々と戦って此方が負けた。なのに泣きのもう一回の勝負を受る事になって負けた。

 

ライザさん婚約破棄+トラウマ。

 

今度会ったらごめんなさいライザーさんと謝るべきか。

 

ライザー戦が終わった。次は原作的には負けイベント。また負けイベント、木場因縁のあの武器も悪魔的には不味い。よく二次創作では噛ませにされるけどヤバイ堕天使幹部。

 

原作で確かオカルト部と+αが総力上げたのに返り討ち。負けといて原作で味方側に死人出てないのは、御都合主義と言うか運が良かっただけだろ。運が悪ければマジで死ぬ。……運が悪そうなオレとか死にそう。もっと最悪なのが、俺だけならともかく他が死んだら原作と違う原因の俺は罪悪感で死ねる。

 

 

強くなっておいた方が安全のはず、一誠誘って特訓をしようと思ったら断られた。

 

理由聞くと、一誠の神器、神滅具の赤龍帝の籠手の中の赤蜥蜴にオレ、と言うよりオレの神器と特訓するのは嫌と言われたそうだ。なんでさ?理由は一誠にも教えてくれないそう。神器を出すと中から変な声が聞こえるそうだ。俺の神器ってなんなん?魔王さまにも変な目で見られたけど

 

しょうがないから一人で特訓する事にした。

 

え?他の仲間?

 

何故か家に住んでるアーシアちゃんは頼む前に手伝いましょうかと言ってくれたけど、アーシアちゃんも魔力操作とかの訓練が有るからだ。……本音を言えばアーシアちゃんからはなるべく離れたい。

 

アーシアちゃんレイナーレの事件から何故かアーシアちゃん一誠の家でなく家にホームステイしてるんだよ

 

風呂に入る時にはアーシアちゃんが居る。アーシアちゃんとの風呂場イベント、おれロリコンでも美少女の裸とか流石に反応するよ!?アーシアちゃんも何で混浴しようとか言うし。原作でもそうだけど羞恥心薄すぎ。

 

警戒心が無いからアーシアちゃんの脱衣やら全裸を何度みたか。ロリコンでも本当に理性面が不味い。アーシア嬢が童顔だからロリ枠に入るとか思い始めて余計に不味い。

 

止めに夜中に溜まったモノを処理しようとしても、アーシアちゃんが一緒の布団で寝るんだよ。部長が何故か渡した透け透けのネグリジェでな!ついでに一緒に寝るように言ったのは部長!部長自身が一誠の所でも一緒に仲良く寝てるそう。悪魔的な意味で仲良くなるのを教えるのマジで勘弁して。アーシアちゃん勘違いしてる!!

 

一緒に寝るのはダメと言ったらアーシアちゃん悲しそうにするしぃ。下着とか見えるネグリジェを着たアーシアちゃんと同じベッドで寝る。…部長流石に全裸で一緒に寝るのを教えるのは止めて(血涙)。

 

一誠、原作で羨ましいとか思ってゴメンなさい。

 

天国のような地獄。アーシアちゃんが無垢で無邪気過ぎて辛い。アーシアちゃんは友達だから襲われるとか思ってない。無理理性が崖っぷち。一誠、耐えれたお前はすごいよ。

 

理性を保つためにもアーシアちゃんとは少しでも離れたいん。

 

 

 

話を戻して特訓に関して他のメンバー。

 

本命の小猫ちゃんには速攻で断られた。手土産にネコで遊ぶグッズとか持参したのに。

 

騎士は…うん、ほらあれで、女王様は怖い。部長さん?…あの人は一誠専属でいてください。

 

体力を鍛えるのにランニングで体力つけ。それと人目に付かない様に素早く神器の出し入れ、神器の出す速度をあげる訓練。

 

「元浜なにしてんだ?ジャージ姿で?」

 

外で偶然松田と会って何するか聞かれて、特訓と言ったら特訓に付き合ってくれると言ってくれた…。有り難いけど人の松田が悪魔化したオレの特訓にはな思ったら、走り込みとか普通についてきた!?

 

「くそ!お前忍者か!素早すぎんだろ!」

 

「はぁ?普通に追い付いてるだろお前!そんな早かったか!?」

 

いやオレって悪魔化で強化されてるぞ!?強化しても松田と同レベルだったのか!?昼間で悪魔として体調よくないけど、松田スゴいな!

 

神器的に接近されたら不味いから知り合いとか誘って、1対多でドッジボールとか鬼ごっことかした。訓練なんだけど高校生になって全力で遊んでるみたいだわ

 

「ドライブショット!」

 

「ツイストショット!」

 

最後に動体視力鍛える特訓として卓球勝負したりしたけど互角。卓球は球が壊れて弁償させられたから二度としない。

 

「ゼェゼェゼエ」 

 

「いやぁ!久し振りに運動した!また明日もヤろうぜ!」

 

一緒にした特訓の結果、松田の方が成長した気がする。原作で運動神経良いとか書かれてたけど良すぎだろ!!それから何度も松田とあと一誠も加えて遊ぶもとい、特訓したり悪魔としての仕事をしたりと過ごしてたら、とうとう一誠家で木場が聖剣の写真見付けて木場の機嫌が急降下、ボーッとする事が増えて部長に怒られてた。

 

ご都合主義もとい、運命なのか聖剣の写真を見付けてから数日で、聖剣奪還にゼノヴィア嬢とイリナ嬢、エクソシスト二人がオカルト部に来た。

 

エクソシストと対面……聖剣見たせいで木場が王子とか言われてた面影がなくなってる。若干悪堕ちしてるよ。

 

えー原作通りだとこのあとにゼノヴィアがやらかす。あの台詞も聞きたくないし眼が病んでる木場に火種とか与えたら危険。

てわけでゼノヴィア、イリナ嬢両名からアーシア嬢が見えない様に身体使って隠した。隠そうとしてるのが判ったのかイリナ嬢が結構強引に覗いてきた。

 

「あなたは元聖女の…」

 

で、原作通りのアーシア嬢を見付けたゼノヴィア嬢が魔女とかふざけた台詞、殺すみたいな……一誠とオレは普通に怒った。原作的に相手に悪意がないと判っててもキレた。攻撃的な意思に反応して神器も出てきたし。流石に神器(武器出すの)不味い。反射的に出す特訓しすぎたかも

 

エクソシスト二人に神器を凝視されてる。

 

「貴様、その神器は」

 

「ゼノヴィアどうする…」

 

アーシアちゃんから意識が逸れたの嬉しいけど、なんで此方に剣を向けてるのかしら(白目)

 

って!不機嫌王子喧嘩を売るな!一誠も乗るなぁ!俺に剣を向けた事にそんな怒らないでも、あー勝負始まった。

 

不機嫌騎士の木場くんはゼノヴィアと速さ主体の癖に力比べして負け。走って消えた。

 

もう片方、一誠VSイリナ、原作通りイリナ嬢との勝負中に禁止令破って誤爆のドレスブレイクしやがった一誠。え、被害者?いやアーシアちゃんと小猫ちゃんに当たりそうになって庇ったから

 

…俺だよ。

 

「ゲフ!ガフ!も、元浜落ち着け!!」

 

うるせええ!!落ち着けるかぁ!!女王様二人に下を見られて可愛いとか言われたんだぞおおお!!(泣)

 

 

心に傷を負った後日、困窮してたゼノヴィア達を保護したと一誠から連絡を受けた。ファミレスで一誠と合流、エクソシスト二人と一誠と何故か居る生徒会の匙くん。

 

ファミレスで腹ペコ二人に食事を奢る事に。食事の代金に木場と聖剣の因縁を聞いた。

 

聞いた後に案の定、一誠が木場に協力すると燃えた。巻き込まれた生徒会の匙くん……オレも協力はするけど今回の主役は絶対に一誠に譲る。いや仲間だし助けようとは思うけど、木場くんフラグとか好感度とか恐ろしいモノはマジで要らない!!一誠頑張れ!一誠ハーレムなら性別とか曖昧になるし木場くん入れるのも良いやんね。そう言えば原作が進んだら一誠ハーレムにミルたんが入ってたりするのかな。

 

「なぁ元浜とんでもなく恐ろしい事を考えなかったか?」

 

「いや、一誠の(無差別級)ハーレムの完成を楽しみにしてただけだぞ」

 

「ハーレム目指してるけどなんで今そんな事を考えてた!?木場の話からどうしてハーレムの事を考えたんだ!?」

 

そりゃハーレムメンバーのことだからな!

 

ハーレムと言えばアーシアちゃんの一誠のハーレム入りは?そう言えば一誠、アーシアちゃんが家に住むとか言うの珍しく反対も嫉妬とかもしなかったな。……俺がロリコンと知ってるからアーシアちゃんは安全とか思ってるのか。そうだとすると信頼が辛い。

 

木場にも連絡してみんなで聖剣探索。

 

 

一旦別れて探索してたんだ。

そして合流しようとすると……

 

 

「これは罰よ一誠!」

 

「貴方もです匙」

 

「「イヤァァア」」

 

 

 

聖剣じゃなくてお尻ペンペンされる男二人を発見した。会長さん見たの初めてだ。それが尻叩きシーン、女子高生がほぼ同年代の男の子にお尻ペンペン……端から見るとディープなプレイ。一誠等は喜んでる?

 

そう言えばおしりペンペンの理由が聖剣は危ないと怒ってなら。一緒に探してたオレもペンペンされる?部長は手が空いてない。……オレは免除?後から?…よし!逃げるか!

 

背後から寒気!?。

 

「あらあら何処に行くのかしら元浜くん」

 

いつの間にか背後に女王様が居て笑っていた。

 

「リアスから代理を頼まれたので…にがしませんよ?」

 

ま、まだ女王様なら、は、早さなら俺の方が!!

 

「逃がしません」

 

小猫ちゃんに捕まった。

 

「な、な、こ、小猫ちゃんお願い逃がして」

 

「ごめんなさい。部長の命令は絶対なので」

 

小猫ちゃん笑ってるぅう!!

 

手を繋がれて今は嬉しくない!だってうしろに女王様が居るもの!いやぁ女王様に引き渡さないで!  

 

「さぁ、やりますわよ。お尻ペンペン」

 

パンパンパン

 

あ、あれ?女王様によるお尻ペンペン、痛くないけど、痛くは無い。くすぐったいぐらい。け、けど……

 

「あらあら、息が荒いわよ?叩かれて興奮してるの?お仕置きなのにいけない子ね。もう、しょうがないわね。ふふ、もっとしてあげる。ほらペンペン、嬉しいでしょう。ほら嬉しいなら鳴きなさいね。もっと叩いてあげるわよ。フフフ」

 

肉体でなく精神を責めてきてる!?

こ、この人のお仕置き違う調教だ!

 

「ほら貴方の大好きな小猫ちゃんに見られながらおしりを叩かれてるわよ。そうだアーシアちゃんも呼ぼうかしら」

 

イヤァァァ!!やめてぇえええ

 

 

お仕置きが終わった後日。

 

いろいろな思いを込めて聖剣持ちのはぐれエクソシストを倒したりしてる内に、ボスから挑戦状が叩き付けられ学園で決戦。相手の目的を知ってるから出来たら応援呼びたい。

 

木場の怨敵のエクソシストのボスなバルパー、はぐれエクソシストの更に精神がヤバくなったフリード、ケルベロスとの対決。

 

色々されたのか強くなった変態神父のフリード、原作通り木場は禁手(バランスブレイク)を修得、聖魔剣を手に入れてフリードを倒した。

 

「聖と魔の融合だと……そんな事はあり得る筈が……まさか!そう言う事なのか!!」

 

聖魔剣の存在があり得ないと、エクソシストのバルパーは原作通り気付いた。で、堕天使幹部、大ボスのコカビエルにアベシされた。別に敵だから良いけど意味って?

 

「堕天使、幹部、コカビエル……」

 

其れにしてもコカビエル、本気で強そう。

 

「聖と魔の融合は本来ならあり得ない。神という理があるならな。そう答えは……神は死んでいると言うことだ」

 

明かされる神の死、ゼノヴィア嬢、アーシアちゃんに、あと気絶してなかったイリナ嬢がショックをうけた。言うならバルパーさんアボンされた意味って本当になに。自分が言いたかった?

 

「まぁ神の死などどうでもい事だ。お前たちと私の戦いにはなんの関係もない話だ」

 

最後のコカビエルとの戦い。二次作ではよく噛ませにされるけど、幹部クラスの最上級堕天使は予想以上に強い!!俺が参戦しても焼け石に水で意味なく打ち倒された!一誠の時もライザー戦でもそうだけど結局は原作通り、オレって本当に役立たずだわ。

 

「なんて強さ…これが堕天使の幹部」

 

まぁ最悪の事態には成ってない。

誰も死んだりしてない。

白龍帝はまだ来てない。来るよな?

 

「この程度…この程度なのか……」

 

なんで俺見て言うん。

魔王の妹とか聖剣とか赤龍帝居んのに

神器見てる感じが…

マジで俺の神器なんなん

 

「あ…貴方の狙いはなに!その巨大な魔方陣はなんなの!」

 

原作的に駒王町を破壊する魔法陣。何でか誰も言ってなかったけ。あー早く来て白いの!

 

「狙いだと?決まっている……此は神の封印さえ解ける封印解除をする為の魔方陣。此処まで言えばどんなに愚かでも答えは解るな?」

 

は?封印?

 

「……封印の解除?」

 

リアス部長何を言ってるのか判らないって顔をしてる。

 

「…な、なに?まさかこの地、この学園を任されたお前が知らないのか?」

 

コカビエルさんマジで驚いてる。

 

「何を言ってるのよ!駒王学園が何だっていうの!」

 

「どう言うことだ。リアス・グレモリー、お前はこの地を任された悪魔では無かったのか」

 

「違いないわ!私はこの地を魔王様から任された悪魔よ」

 

「なら知っている筈だ。この地に何が眠るア……いや秘匿したのか」

 

コカビエルの狙いは戦争勃発の為に悪魔領地の駒王の破壊と、魔王妹の部長達の命じゃなかったのか!?え、これ良かったのか不味いのか!?どっちだ!?

 

今まで自分の行動のせいで変わることはあっても、基本的には全部原作通りだと思ったけど……違った?え、何が封印されてんの!?

 

「私の目的は一つ、過去の大戦の終わりに封印されたアリシアス・ベリアルの復活だ!」

 

 

 

どなた??

 



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眼鏡は駄眼鏡

 

 

 

生きてるけど戦闘不能な俺達の前には空に浮かぶコカビエルと巨大な魔方陣。コカビエルの目的はアリシアス・ベリアルの復活。

 

えっと…アリシアスってどなた。

 

ベリアルって悪魔なら原作で居たと思う?けどアリシアスって初耳。

 

正直、原作ってうろ覚えなんす。三大勢力の和平辺りまでは覚えてるぐらい…アリシアスって原作キャラ??と言うか原作でも駒王に封印とかあった?少なくともコカビエルが悪魔を復活させようなんて事はしてない。

 

てか堕天使がなして悪魔の復活を?。

 

 

「……アリシアス・ベリアル……誰?それにベリアルってベリアルの一族ってコトなの。悪魔の」

 

「そうだ」

 

「な!可笑しいでしょう。封印が本当だとしても!なぜ堕天使が悪魔の復活を目論むのよ!」

 

 

部長が気になる質問を代弁してくれた。

あと部長は知らないって事は、アリシアスさんって悪魔は悪魔側で有名って訳な相手でも無いのか。厄ネタの匂いが…

 

「…本気でこの地を守護する者が知らんのか?杜撰過ぎる。まさかここが封印場所というのは偽の情報だったというのか……いや彼の魔王とアリシアスの関係を考えれば…」

 

魔王って駒王の事ならサーゼクス様か?

 

「お兄様と関係……一体誰だって言うの」

 

「別に教える謂れは無いが……まだ封印が解けるまで時間が掛かる…か。暇潰しに話してやろう。先ずはそうだな。…其所の小僧の持っている神器、災厄の魔銃については知っているか」

 

「!?」  

 

い、いきなりなんだよ。

皆がオレが手に握ってる神器を見た。

注目される事なんか多いな俺の神器…オレ本体オマケみたいでやだなぁ

    

「元浜の神器が何だっていうんだ」

 

「悪魔なら…いや今代の赤龍帝は元人間だったな。知らなくて無理もない。他は…他も魔王の妹以外は元々は悪魔ではないのか?」 

 

生粋な悪魔限定?そう言えば神器を見て変な反応したの部長とか魔王さまとかだけだった、なんなんだ。

 

「しかし人間だからその神器を可笑しいと思わないか?」

 

可笑しい?

 

「神器が産まれたのは何千年も昔。当然その神器、災厄なる魔銃(パンデミックガン)が生まれたのも同じ時期だ」

 

何千年前。人間だから不思議に思うこと?…何千年前に産まれてこの形状、あ、なるほど、確かに可笑しい。

 

「何千年も前の神器がなんで現代の武器に見た目がソックリなんだ」

 

「ああ!そうか!今の銃が出来て百年も経ってない!数千年前になんて影も形もない……え、じゃあなんで今の銃に似てるんだ!?」

 

一体どういう事なんだ!!って正直……普通に太古に銃があっても驚けない。アニメ世界みたいなもんだし何千年前でも戦国バサ◯的な感じに時代設定無視に銃が普通にありそうだし。

 

「逆だ。人の造り出した銃がその神器が似てる訳じない。人が強力な兵器を求めた時にその神器の形を真似したのだろう。真似をしたのはその神器そのものか、その神器のオリジナルなのかは知らないがな」 

 

オリジナルとかあんの。この神器を造った時にモデルがあったってこと?…やっぱり昔は戦国バ◯ラみたいな感じになってた?。

 

「災厄の魔銃の原典と言われる災厄の遺物のことね……」

 

「当然知っているか」

 

部長、何か知ってたなら教えといて欲しいんですが!…神器みた反応がおかしくて厄介そうって事で聞かなかったの俺だけど。

 

災厄の遺物、災厄の魔銃、どちらも共通して災厄とか呼ばれてるって事は………つまり、災厄に纏わる何かがあると、絶対聞いても幸せになれそうにない。聞く前からわかってるんだ。帰りたい。

 

『お!おい、まて!まさか災厄の魔銃の話をするということは、封印されてるのは…まさか!?』

 

「うお!?そんな大声でどうした。ドライヴ知ってるのか」

 

ドライグの声初めて聞いた。

怯えるみたいな反応はなんだぜ?

 

「赤龍帝。災厄の魔銃で反応するか。魔王の妹といいアリシアスの名前で反応しないのだな。そして知らなかったか。なら答えを教えてやろう。確かにこの地に眠っているのは災厄の遺物を使っていた悪魔だ」

 

「なんですって!?」

 

『あれを使っていた悪魔だと…お、お前なんてモノを目覚めさせようとしてる!!…相棒!此処から逃げろ!全力で逃げろ!スタコラサッサだ!!』

 

「逃げろって!?どうしたんだよドライヴ!あとドラゴンがスタコラサッサとか使うなよ!?」

 

『グズグズするな!ヤツが復活すれば喰われてしまう!!とにかくいそげ!急いでくれ相棒!』

 

ちょっと待ってドラゴンがあんな怯えるって一体なんだよ!?心当たりあんの!?マジで何かヤバい存在が封印されてんの!?

 

「赤龍帝が逃走を選択するか…刻み付けられた恐怖が其だけ根深いと言う事だろうな…俺と同じか、ハハハハ」

 

コカビエルが笑ってるけど……アンタも恐怖植え付けられてんのかよ!!なんでそんなの復活させようとしてんの!?

 

「あのーー…災厄の遺物を使ってた人って、なにしたんです」

 

手を上げて震えた声で聞いてみた。

 

「ふむ、何か。一言ではいえんな。主として教えてやったらどうだ」

 

説明が面倒で部長に投げた?

 

「…私が知ってるのは伝説みたいなモノよ…災厄の遺物の持ち主によって引き起こされた災厄で……前魔王さまや多くの悪魔が死んだと伝えられてるわ」

 

前魔王って赤と白の龍に殺されてたんじゃないの!?同族に殺されたって絶対可笑しいわ。原作ブレイクだいぶ昔の時点で起きてた?魔王殺し。災厄の魔銃のモデルにそんな謂れがあったら神器をみて嫌な顔をされるわ!イヤな顔をされるぐらいなら幸運ってヤバい立場だったんやね。部長さんみたいに良心的な悪魔じゃなかったらヤバかったんじゃない!?

 

とにかくアリシアス・ベリアルって悪魔は、前魔王の殺害なんてやらかしたとんでもない危険物って事か!!抹殺でなく封印ってことは当時の悪魔では倒せない存在だったと、それこそ準最強のドラゴンが怯えるぐらい。なんてもん復活させようとしてんだアホ!!

 

「しかしそれだけだと災厄の意味の半分にしか過ぎない」

 

半分?

 

「エクソシスト、前達の所でも災厄の魔銃や遺物について伝わっているだろう」

 

「……理由は解らないが災厄の魔銃は忌まわしいモノだと」

 

敵意を向けられてた理由ぽい

けど忌まわしい…それ、可笑しくない。

 

「前魔王さまや悪魔を殺した神器なのにエクソシストでも忌まわしい扱い?」

 

「確かにそうだ。前魔王や多数の悪魔を滅したならむしろ…………」

 

神器の中の神器とか聖なる遺物みたいな良い扱いになりそ。……まて、待てよ。前魔王を殺害して災厄呼ばわり、ならエクソシストに災厄って認識されるほどの事と言えば……

 

「神の殺害…誰がやったと思う」

 

答えいってるじゃねーかこのやろう!

エクソシストさんそんな殺意の目を向けないで!?

 

「似せただけの別物だから!それにこれ、その神様に造られた神器だから!?神様の作った神器だよね?」

 

「神器で間違いないぞ。その神器は死す前の神が再現したモノだ」

 

なんでそんな厄いモノを再現してんだ!

 

「魔王さまだけでなくて神まで…貴方が復活させようとしている…アリシアス・ベリアルとは一体なんなの」

 

「遥か昔、三大勢力がぶつかった大戦の時代、最も三つの勢力に恐れられた怪物だ」

 

「……大戦の時代に最も恐れられたなら、三大勢力に壊滅的な被害をもたらした赤龍帝や白龍皇じゃないの」

 

確かに部長の言う通りだよな。

原作通りの話なら…違うんだろなぁ

 

「クククク、その赤龍帝共を倒したのは誰だと思ってる?」

 

神様じゃ。封印するのに命を掛けてって思ってたけどーーー……ドライブのあの怖がりよう…。

 

「神は倒れた二天龍を封印したが、その前に封印できるまで弱らしたのはアリシアス・ベリアルだ」

 

「二天龍は大戦の時に三大勢力が一時的に手を組んで倒したんじゃ」

 

部長の答えにコカビエル大笑い。

 

「何がおかしいのよ!」

 

「赤龍帝、ドライグよ。三大勢力が協力してお前を倒したのか?」

 

『あんな数の多いだけの小物共が俺達を倒せるか。…俺達をヤったのは、其所の小僧が持っている災厄の魔銃のオリジナルを持った化け物だ…。』

 

オリジナルさんマジで化け物ぽい。二天龍たおすって、超越者のサーゼクス様よりヤバイだろ。

 

 

「二天龍を悪魔が単独で倒したなんて聞いたこと無い。それが事実なら何故、アリシアス・ベリアルの情報がないの…前魔王さまを殺したから?」

 

「天使も堕天使どころか悪魔も恐怖したのだよ。恐怖して災厄の遺物の持ち主、アリシアス・ベリアルの存在を抹消した。そして三大勢力はお互いに嘘の伝承を継承し続けた」

 

「う、嘘の伝承…」

 

「倒された本人の証言程確かな証拠は有るまい。もう一度言おう。二天龍、三大勢力に壊滅的な打撃を与えた赤と白の龍を倒したのは一匹の悪魔だ」

 

完全に二天龍を単独で?

 

「………その悪魔は何で三大勢力を裏切ったの」

 

「アリシアス・・ベリアルは裏切ってはない」

 

ん??

 

「魔王さまも神も殺したって貴方が言ったことよ」

 

「言ったが、裏切ってはいない」

 

魔王さまとか神様とか倒して三大勢力を裏切ってない。それって

 

「もしかして裏切ったの…三大勢力のほう?」

 

「は?何を言ってるんだ」

 

一誠はマジで判らないって顔をしてる。戦後の英雄の扱いって悲惨なパターンが多いって聞いた事ないんだろうな。

 

コカビエルが笑った。

 

「二天龍が倒されたあとの話だ。三大勢力はお互いにこれ以上の損害は容認できないと、和平が成立した。そんな和平後にだ。神と魔王の主導で二天龍を倒した悪魔、アリシアス・ベリアルの討伐ないし封印をする事が決まった」

 

「は、なんでだよ!なんでいきなりそんな展開になるんだ?」

 

一誠が怒っていた。

 

「三大勢力はアリシアス・ベリアルに恐怖したのだよ」

 

「可笑しいじゃない。恐怖したとしても、何で同じ悪魔の当時の魔王様まで?二天龍を倒す戦力なら他の2勢力を敵に回しても勝てるのに」

 

 

「魔王は二天龍を倒したその悪魔が存在するだけで、三大勢力のパワーバランスが崩れ和平後の戦争の火種になると主張した。もう一度の戦争には三大勢力全てが共倒れに成るとな」

 

原作でもそんな話があったけど、二天龍を越える戦力があったら悪魔が圧倒して問題なく勝てたんじゃ。

 

口に出さないけど皆そんな感じの事を思ってそう。

 

「悪魔側、いや魔王は恐らく魔王の座を奪われるのを恐怖したのだろう」

 

コカビエルの憶測ぽいけど…間違ってないかんじが。間違いなく二天龍に勝ったアリシアス・ベリアルの方が魔王に相応しいって声が上がりそうだし。

 

「神は悪魔の危険な戦力を削る為、堕天使も悪魔の戦力が削れるのに否はないという選択をした」

 

本人は二天龍を倒して三大勢力を救ったのに、三大勢力から裏切られたと……ウーン

 

「もし、あの裏切りが無ければ、あの戦争に決着がついたはずだ………」

 

「コカビエル?」

 

「つまりアリシアス・ベリアルはただ強いと言う理由で、和平後に三大勢力の敵とされ全てに裏切られた。そして不意打ちで封印されたのだよ」

 

「不意打ちで?前の魔王さまや神を殺したんじゃないの」

 

「封印される直前の反撃によっての四人の魔王が殺され、そして神も殺された」

 

…不意打ちで封印されて咄嗟の反撃で???

マジで化け物だ。裏切ったのはあれだけど恐怖されたのは物凄い納得出来てしまう。

 

「神はその時に悪魔に殺された……」

 

「エクソシストよ。裏切っておいて反撃されたからと言って恨むのはお門違いとは思わないか?」

 

エクソシスト二人は虚脱したみたいに項垂れた。神様が亡くなってる事より裏切りの反撃で死んだって方がショックが大きい様にみえる。

 

で、部長は複雑そうな顔。

 

「…どんな理由が有ろうとも一悪魔が魔王様を殺すなんて、大罪人よ」

 

無理した感じだなぁ。部長、性的な面除いたらわりと真っ当な人だし。

 

「サーゼクス・ルシファーも哀しいだろう。実の妹が初恋の相手を大罪人と呼ぶのだからな」

 

「「は?」」  

 

雑にスゴい爆弾投下するな!

 

「え、お兄さまの初恋の!?え、ええ!?」

 

「クククク、私が情報を収集して出した結論だ。間違いかもしれん。答えは本人に聞くといい」 

 

魔王さまに初恋の人を?

うん…聞けるわけねーよ!!

 

うわ揺れてる!封印が解けるのか揺れが来てる!

 

『く、封印が…相棒もそうだが!誰か封印が解かれるのを阻止しようと動け!?』

 

これどうすんの……封印の事情を聞いて何がなんでも阻止しなきゃいけないって事は誰も考えてないと思える。仮に考えても動けない。化け物みたいな強さの悪魔が裏切った事に激怒してたらどうしよ。化け物みたいだし激怒してたら悪魔って事抜きにも殺されそう。

 

それに気になるのはコカビエルの目的。

 

「アリシアス・ベリアルをなんで堕天使のお前が蘇らせんの?堕天使の戦力にする気とか!?」

 

「ん?いや違う。安心しろ堕天使の戦力にしようなんて思っていない。俺の目的はあの大戦の決着だ」

 

なんですと?

 

『決着だと…まさかお前はあれと戦うつもりか!?バカな事をするな!勝負以前の問題だ!お前程度でどうにかなる相手じゃない!今からでも遅くない封印を解くのを止めろ!』

 

「ふむ?勝ち目がない事ぐらい理解しているぞ」

 

「な、なんで勝ち目がないって判ってるのに決着つけようなんてするんだよ」

 

「……赤龍帝の小僧よ。オレはな……今の状況が堪らなく気持ち悪いんだ」

 

「気持ち悪い?」

 

「先程も説明したが数千年前に起きた大戦には嘘の伝承だけが残った。これはつまり数千年前から三大勢力の歴史は嘘の上で成り立っていると言うことだ。…気持ち悪いと思わないか?」

 

「え、まぁ数千年前ってのは想像もつかないけど、歴史の改変とかされてるの知ってたら気分は悪いかな…」

 

一誠そこで真面目に返答するなよ。

 

「数千年前続いた嘘の伝承は生半可な事では事実は表に出ない。」

 

「そうだよな」

 

「嘘の伝承の根幹はアリシアス・ベリアルの存在の抹消だ。アリシアス・ベリアルを復活させた後にも嘘の歴史を続ける事が出来るか?……アリシアス・ベリアルの復活によって事実を表に出す。ついでに戦って大戦の決着をつける。これが私の目的だ」

 

「なるほど……なるほど?」

 

決着つけたいとかご勝手に何だけど、復活させて歴史を正しいモノにする?

 

「あの歴史をどうこうて、下手したら大惨事に成りそうなんですが…」

 

「それがどうした?」

 

うん、犠牲なんて知ったこっちゃねーって事ね。原作より綺麗なコカビエルさんと思ったら、結果的に同じじゃねーか!!復活させる相手も色んな意味で地雷すぎるから原作よりヤバイ!!

 

阻止なきゃ!!って、思うんだけど、会話をしてるうちに少しは回復したけど、コカビエルの相手とか無理。万全の状態でも負けてたんだし。

 

白いの何で来ないんだよ!!

 

校庭の地面がビカビカ光ってヤバ気な空気!!校庭中央の光ってる。地面が盛り上がって何かが出てこようとしてる。

 

この場から離れないと、アーシアちゃんに部長に女王さまは動けそう。一誠はイリナ嬢を運んでる。てことはオレも運ばなきゃ駄目かぁ。

 

「ゼノヴィアさんや動けるかね」

 

「おまえ…いや、すまない無理そうだ」

 

チクチョおおゼノヴィア嬢をおぶって、何かが出てこようとしてる所から離れた所に移動させる!オッパイの感触ってロリコンにも効果抜群なんだよ!小猫ちゃんはヨタワタ歩いて座り込んだ。

 

よっしゃぁお!!!

 

「はぁはぁ、こ、小猫ちゃんは動け…」

 

「…ません。お願いします。変な所を触ったら潰しますから」

 

身体痛いはコンチクショウ!!ロリコンの根性みせたるわーー!!あとは…

 

「元浜くん、ごめんボクも頼めるかな」

 

木場ぁ!自分で動けぇえ!変な目で見てくるなぁ!木場は足を引きずって移動させた。

 

もう疲れたぁぁ体が痛い!帰りたい!

 

コカビエル強すぎ!白龍帝何で来ないんだよ!大体なんで最強の悪魔の封印が駒王に有るんだよ!!原罪崩壊多すぎだろおお!!

 

 

 

「この地に封印されし最強の悪魔よ蘇れ!そしてあの戦いの結果をだしてくれ!!

 

アリシアス・べリアルよ!!」

 

 

 

『やめてぇえええ!!!』

 

封印が解ける!……よりもドライグが野太い声でヒロインみたいな叫びかたしてるのが気になった。

 

 

 



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悪魔を呼び出す堕天使

 

「さぁ姿を現せ」

 

駒王学園校庭に浮かぶ堕天使コカビエルが造った巨大な魔方陣。空に浮かぶ巨大な魔方陣が光輝くと魔方陣の真下の地面が爆発して何かが現れた。

 

「校庭が!!」

 

駒王の学生が数時間前まで運動等をしていた校庭の中央から、噴火した直後の火山の様な土煙が上がっている。偶々強く吹いた風によって土煙が消えた。

 

校庭があった場所に深い穴が出来ていた。そして、穴から何かが浮かび上がるように出てきた。

 

「鎖の塊?」

 

穴の中から出てきたのは鎖の塊。鎖の隙間から僅かに見える本体らしき中央に黒い球体が存在する。黒い球体は二メートル程の大きさだが無数に巻かれた太い鎖のせいで大きさは何倍にも膨らんでいた。

 

「あんなのが駒王学園の校庭に埋まってたなんて、まさか本当にあれが封印なの。さっきのコカビエルの話は事実ということなの……」

 

リアスはコカビエルの突然の話を信じて居なかった。それは自分が管理する学園に魔王や神を殺した大物が封印されてるなんて事を突然話されても信じる方が難しいだろう。

 

幾ら相手が堕天使の幹部とは言え、いや、むしろ敵対する堕天使の幹部だからこそ悪魔に対して悪意のある嘘をついてる可能性も考えたのだが、しかし駒王学園の地下から厳重に封印された様な何かが出現した。

 

リアスの顔色はコカビエルから受けたダメージと関係なく悪くなった。

 

「あの時のままだ。ふふふ覚えているものだな。さて最後の問題だ。“アレ”の用意したモノがこの封印を破れるか…」

 

コカビエルが何かを鎖の塊に投げつけた。魔法陣が光、地震の様な揺れと地響きが鳴り鎖が揺れ動いた。何かが割れる音がした。すると球体を縛る鎖は少しずつ腐り崩れる様に落ちていく。総ての鎖りが落ちると巨大な魔方陣は役目を終えたとばかりに消えた。

 

黒い球体だけが残り宙に浮いている。鎖が無くなり封印が解けた様に見えた。ゴクリと誰かが喉を鳴らした。

 

「ふふふ、フフ、ハハハハハハハハ!!!遂に、遂にこの時が来たか。ああ待ち望んでいたのだな私は……悪魔、それに人間らも刮目しろ!四人の魔王を殺し神をも殺した悪魔、二天龍すら落とした悪魔、幾千年もの時の中で忘れ去られた最強の悪魔の復活だ」

 

歓喜した様子のコカビエル

 

「あの黒い球体の中に二天龍を倒し、神も魔王も殺した悪魔が入ってる…の。ほ、本当に復活するというの」

 

まだ封印の中身がコカビエルの話通りだと信じきってはいない。しかし自分達を打ち負かしたコカビエルが解放した封印、そんな封印の中身が軽い存在でない事だけは理解は出来る。緊迫する悪魔や二人のエクソシスト。   

 

 バキ!

 

黒い球体の表面を突き破る白い棒の様ななにか。

 

「う、腕」

 

腕は動いている。封印の中身は生きていて何かが出ようとしていた。腕を中心にバキバキとひび割れる様に腕を中心に卵が砕ける様に割れた。最後は粒子が散る様に完全に消えた黒い球体。

 

球体の中身が一誠達の目の前に現れた。

 

最強の悪魔を封印した球体が散り中から出てきたのは…身の丈はニメートル、全身を覆う獣の如く戦闘に適したしなやかで強靭な筋肉、肌は黒く光る黒曜石、顔は荒々しい般若の如く、頭に野太い2本の角を生やした悪魔の中の悪魔…

 

なんてモノは存在しなかった。 

 

居たのは

 

困った様に周りを見ている金髪の西洋人形の様な可愛い少女(推定10才?)。

 

 

「「「「は?」」」」

 

間の抜けた声が多数聞こえた。

 

 

 

少女周りを見回し首を傾げる。

 

「…此所どこ?夜?それにあの建物は…学校?随分と懐かしい感じの……え、学校?…え、なにここ?」

 

少女は困惑している様子が窺えた。

どうみても先程コカビエルから語られた悪魔には見えないので、一誠たちも負けず劣らず困惑していた。

 

「ううん?何してたか思い出せない。ブラック真っ青な過重労働をさせられてたせい?疲れて変な幻みてる?それか罠で何処かに飛ばされたとか?」

 

もう一度周りを見て少女は頭を傾げる。迷子の子供の様にしか見えず女性陣の保護欲を誘う。

 

 

「な、なぁ元浜、アレが最強の悪魔?違うよな?(最強の悪魔ならもっとこうボインボインな女王さまみたいな感じだろ)」

 

「いや最強だ。確実に最強だ。(幼女は最強、これは世界の真理!……マジで原作で最強格は幼女な外見だった筈だし)」

 

 

「うーん?」  

 

少女はリアス達に目を向けリアス達のいる場所に移動。見掛けはどうあれ封印から出てきた存在だと思いだしリアス達は緊張したが、少女の目には悪意や敵意が欠片も見えない。

 

「どうもこんばんは、ボロボロみたいだけど大丈夫?」

 

少女はアーシアに挨拶をした

 

「…え、はい!だ、大丈夫です!!」

 

アーシアは慌てながらも挨拶を返した。

 

「質問したいんだけど、此処ってどこ?」

 

「こ、ここは駒王学園です」

 

アーシアは答えた。

 

「駒王学園……うん……駒王学園って冥界のどこらへん?」

 

「あの、ここは冥界じゃなくて人間界ですよ」

 

「ニンゲン界?…ニンゲン界ってもしかして、人間が居る世界って意味で人間界?」

 

「は、はい」

 

「……人間界……」

 

少女は何か考えてるのか無言になる。

 

「…今度はこちらが質問していいかしら?」

 

リアスは躊躇いがちに声をかけた。

 

「え、うん、どうぞ」

 

「私の名前はリアス・グレモリーと言うんだけど……貴女の名前を教えて貰えるかしら」

 

「アリシアス・べリアルって名前だけど」

 

「……アリシアス・ベリアル?本当に?」

 

「本当だけど」

 

自分の名前に大した意味なんてないように隠そうとする様子はゼロ。つい先程コカビエルから最強の悪魔と聞いた名前。コカビエルの話が事実なら最強の悪魔の正体……

 

「本当の本当にアリシアス・ベリアル…アリシアス・ベリアル……もう一つ質問いいかしら」

 

「うん、質問はいいけど、その前に…」

 

イリナやゼノヴィアを見ていた。

 

「な、何?」

 

イリナとゼノヴィア、二人に共通する点は人である事、悪魔が人に対してどういう意識を向けるか。少女が何を言うのかと二人はゴクリと息を呑んだ。

 

「隠した方が良いと思うよ」

 

視線は体、イリナとゼノヴィアは自分の身体を見た。二人の服は身体のラインが完全に出る戦闘服、年頃の女の子が着る服でない。そんな服がコカビエルとの戦いで露出がさらに酷いことに…

 

イリナは手で隠した。ゼノヴィアは特に隠そうともしない。二人は悪魔のわりに貞操観念有るなと思った。

 

「ま、まぁその二人の事は今は置いておくとして………貴女は封印されてたみたいなんだけど、何で封印されてたの?」

 

「封印されてた、なんでって……なんで?え、封印されてたの?」

 

封印されてた自覚すら無かった様子にリアス達は困った。覚えてないならコカビエルの話の真偽を確認することが出来ない。

 

どうすんだという空気。

 

一誠は当事者の話を聞いてみることにした。

コカビエルの話が事実ならアリシアス・ベリアルが倒したのは魔王に神そして一誠の宿る二天龍。

 

「なぁドライグ、あの娘がお前を倒した悪魔なのか?」 

 

「ドライグ?オーイ」

 

『現在ドライグは留守にしております。御用のお方はピーと言う発信音の後にご用件をお伝えください』

 

「ドライグ!!?お前留守電機能なんて付いてないだろ!?」

 

居留守を使うドラゴン。

 

一誠は自分の相棒の有り様に頭を抱えて、ふと可笑しな事に気が付いた。

 

 

復活させた犯人が一言も話してない。

 

 

 

 



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堕天使コカビエル

 

 

 

堕天使のコカビエルは闘争を愛していた。三大勢力の最大規模の戦争には最前線に自分から志願する程に命知らず。コカビエルは実力もあり最前線で活躍した。戦争で死ぬなら本望とも思っていた。そんな実力はあるが命を惜しまないコカビエルが、捨て石と言われるある部隊に入る事となったのは必然か。

 

大戦で現れたただ一匹の怪物と呼ばれた悪魔に対しての対策部隊。

 

部隊の生存率は一割足らず。対策といっても足留め程度しか出来ない。それを知っても血気盛んなコカビエルは名高い怪物と戦えると喜び勇んで部隊に入った。

 

 

そして自身の愚かさと不幸を呪った。

 

 

ある悪魔に対してだけは堕天使は、戦争相手である天使とも協力して対処に当たった。少し違う場所では殺し会う者同士が肩を並べた。

 

そしてコカビエルは見た。

 

怪物を前にして何百の天使、堕天使の命が下級も上級も強さも数の差も関係なく消滅したのを

 

戦いが成立していない。

怪物との戦いは闘争でない。

まるで災害との遭遇

 

この時コカビエルは初めて戦場が恐ろしいと感じた。

 

怪物の対策に投入された数は数多居たが生き残りは僅か。僅かな生き残りの中にコカビエルはいた。この時の体験はコカビエルを良くも悪くも変えた。

 

 

戦争は結局は勝敗がつかず和平と言う決着を迎えた。コカビエルは和平に対しては不快な感情を持っていた。

 

大戦の意味

 

和平となるなら戦争を最初から起こさなければ良かった。ただ戦争によって三大勢力の数が極端に減った結果しか残らない。大戦を行った意味はと聞かれても誰も答えられないだろう。

 

大戦の終わりコカビエルはよく悪夢を見た。怪物に殺された堕天使や天使が自分達は何の為に死んだのか聞いてくる悪夢、コカビエルは悪夢に何も答えられない。

 

コカビエルが何も答えられないのはあの戦争に勝敗が着いてないからだ。そう考えるようになったのは何時の事だろう。

 

 

コカビエルは怪物の事を考えた。

 

あの怪物は戦争が終わった後に魔王や神を殺して封印された。コカビエルは反逆を企て封印されたと聞いていた。

 

反逆の理由をコカビエルは、あの怪物も大戦の結果に納得がいってなかったと考えた。

あの怪物が居るなら、和平などしなくてもどう考えても悪魔が勝っていたと判断でき、可笑しい事と思わなかった。三大勢力が総力を上げても勝てるかわからない二天龍を単独で倒したのだから

 

 

しかし調べて………怪物は反逆を企てたいなかった。騙し討ちでの封印の事を知った。

 

 

コカビエルは最大の敵の魔王やかつて崇めた神が、騙し討ちをして返り討ちで死んでいた事も知り、笑うしかない心境になった。

 

 

もしあの怪物の封印が無ければ悪魔側が勝利していた。天使や堕天使は敗けを認めるしかない。なら悪魔側があの怪物が勝者となればどうなる?今の世界はどうなっていた?

 

 

それは怪物次第だろう。

 

 

どんな世の中になっていたか。コカビエルは怪物、アリシアス・べリアルの事を詳しく調べた。強さだけでなく生い立ちも含めて。アリシアスの出生から調べ、どんな育ち方をし、どんな食べ物が好きか、交遊関係はどうか、小さな痕跡を含めて何かに憑かれた様に執拗に調べた。

 

コカビエルは調べていく内にアリシアス・べリアル、あの大戦の時に見た怪物を更に異常と思うと同時に……悪魔側が勝利しても問題がなかったきがした。

 

 

怪物の産まれた悪魔でも上位のベリアル家

 

怪物を産んだ両親は狂っていた。いや誰が知っても狂っていたと言うだろう。それこそアリシアス・べリアル、怪物の親に相応しい狂った悪魔だと…。

 

 

 

怪物の両親は悪魔の中でも有り得ない程に弱肉強食を体現していた。コカビエルは最初は笑い話にも成らない嘘だと考えたほどだ。

 

 

怪物の両親は産まれたばかりの自分の子供に対して、上級悪魔である自分達が殺しに掛かり死ねば弱者として打ち捨てていたのだ。

 

怪物以外で産まれたのはコカビエルが判ってるだけで10人、その中で生後一日を越えたのはゼロ。つまり怪物の兄弟姉妹は両親によって産まれた直後に全て殺されていた。

 

両親の異常な最初の試練を乗り越えて生き残ったのはアリシアスのみ。

 

幾ら才能がある赤子が産まれても、上級悪魔の両親に産まれたばかりで狙われて、生き残る事が可笑しいだろう。アリシアスはまるで狂った両親の元に生まれるべくして産まれた怪物だ。

 

 

狂った両親が怪物に課した試練もまた異常なモノ。

 

当時、怪物の世話係をした下級悪魔を捕らえて聞き出した事だ。

 

怪物が食事が欲しいと求めれば、下級悪魔の使用人にべリアル家が所有する森まで怪物を連れて行かせて、まだ立つことすら出来ない状態の赤ん坊1人に食事を探させた。

 

しかも森まで運んだ世話係の下級悪魔が、森は下級悪魔にとっては危険地帯、怪物が居る限り世話係として何度もこないといけない。だから怪物を確実に殺させようと森のボスとして君臨した龍種の元まで誘導したそうだ。

 

 

怪物は龍を討伐した。

 

 

有り得ないがこれはコカビエルが直接、下級悪魔本人を尋問して聞き出した事実。

 

下級悪魔は怪物を悪魔でない別の生き物と言った。コカビエルも同感だ。

まるで人間と悪魔を比べる様な違いで怪物を悪魔と別物と思えた。

 

 

だがこんな悪魔か怪しい怪物でも弱肉強食を信望した両親には、強ければ強いほどに愛しい子供でしかなかった。怪物の両親は更に異常な行動をした。それは何とか盗み出した怪物を育成した日記に記されていた 

 

 

怪物が遊ぶ遊具に聖水や様々な毒を仕込み毒の耐性を付けさせた。遊具に触り使用人が何人も死んだと書かれていた。

 

 

怪物の食事として各地から様々な魔物を生きたまま連れてきて森に放ったと記されていた。冥界の怪物は勿論、龍、巨人、ケルベロス、ヒュドラ、北欧の神話の怪物、古今東西あらゆる化物をどんな手段でか判らないが、連れてきたと記載されていた。

 

嘘でない証拠もある、怪物の生家べリアル家の管理する森は、最上級悪魔でさえ入れば死ぬ森として現在封印されている。そんな森で食事を求めて生き残った怪物(アリシアス)は何だ?

 

コカビエルは自然に産まれた怪物を、更に異常な環境に置いて進化させた結果があの怪物(アリシアス)なのだと考えた。

 

 

だがその怪物について更に判った事は意外な結果だった。

 

怪物が戦場と食べる時を例外に命を奪った情報が無い。相手から仕掛けられない限り戦闘をすることもない。穏当な性格だった。

 

ただ戦闘に成れば殺しはしないが、大体において過剰に攻撃的になる。怪物を知る悪魔の一人が何時もの戦闘嫌いは演技で、残酷で執拗に攻撃的なのが本性だと思っていた様だが、コカビエルは違うと考えた。

 

怪物が過剰に攻撃的になるのは酷い目に遇いたくなければ戦いを挑むなと言う威嚇、戦闘力に反して戦闘意欲が欠如した為の行動と思えた。悪魔側の伝でもあり怪物をよく知っていた悪魔に聞くと同じ 意見だった。

コカビエルが集めた情報を総合すると怪物は、他の悪魔の様な名誉欲、破壊欲、戦闘欲、殺人欲、出世欲はない。戦うのは仕方ない場合だけ、怪物は殊更争いは求めていない。仮に戦闘なっても生き死にを掛けてないと殺される可能性は少ない。普段はどんな悪魔より危険は少ない。戦闘を挑まない限り善良、甘い性格。

 

コカビエルは最初はこんな自分で調べた結果を信じられなかった。だが考えてみるとあの大戦の時、もしあの怪物が甘い性格でも無ければ、封印云々の前に天使や堕天使が全滅させられていただろうと気付いた。部隊を殆ど殲滅されたコカビエルはあれでも手加減されていた事実にゾッとした。

 

 

それでもコカビエルは考えた、もしあの怪物が復活すれば大戦の結果が出る。悪夢に答える事ができる。そう考えたコカビエルは怪物の封印を解く事を望んだ。

 

 

封印場所の想定は幾つかあった。

しかし封印を解く手段がない

 

コカビエルは封印を壊せる魔法の研究に打ち込む様になった。しかし何千年経っても神の封印を破壊するモノは今一歩で出来なかった。そんなコカビエルに協力者が現れ遂に神の封印を破壊する魔法が完成した。

 

 

後は封印された場所、何度か封印は移動させられている。今の場所は何処だとコカビエルは調査するも見つからない。封印については天使や堕天使も悪魔側について隠蔽に協力するからだ。

 

そんな時に怪物の武器の模造品の神器、災厄の魔銃を持った少年が発見されたと報告を聞いた。

 

一部の悪魔と神器を研究しているグリゴリでしか知られてないが、怪物の武器を模した神器、災厄の魔銃はオリジナルに引き寄せられる性質を持つ。つまり災厄の魔銃を宿した少年が産まれた町に封印が有る可能性が高い。魔銃が現れた事を気にして悪魔が封印の場所を移す前に動かないといけない。

 

封印を置いた場所が人間界の駒王、それはコカビエルにとって意外な場所だった。コカビエルは冥界の何処かで厳重に封印されてると思っていた。しかし領地の管理者を知り間違いないだろうと思えた。

 

駒王の何処に封印場所があるか。そんな時に駒王近くで不正に活動するレイナーレ達に気付き、調度良いと封印場所について調査を命じた。

 

魔銃の持ち主と悪魔と問題を起こしたそうだが、レイナーレ達は何とか逃げ切り封印の調査結果を知らせてきた。

 

 

怪物の封印場所は駒王学園。

 

 

結果を持ち帰ってきたレイナーレに対しての報酬に、コカビエルはアザゼルを通して悪魔側と交渉し軽微な罰で赦させた。

 

 

コカビエルは駒王が怪物の封印場所を知った直ぐ後、更に何の因果か教会への復讐に取りつかれたバルパーの駒王での聖剣完成計画を知った。そのバルパーがコカビエルに協力を求めた。

 

 

コカビエルには運命に思えた。

 

バルパーに協力を了承、コカビエルは聖剣完成勢力を隠れ蓑に駒王に潜入し封印解除を目指した。

 

そして駒王に潜入後、コカビエルは封印解除の準備をしていると、バルパーはリアス達を駒王学園に呼び出し聖剣を完成させた。だが聖魔剣の完成に聖剣が敗れバルパーは神の死を予想した。

 

別にバレてもどうでもいい話だったがコカビエルは何となくバルパーを殺害。コカビエルにとっては既にどうでも良い神の死をアッサリ教えた。

 

そしてコカビエルにとっての最後の砦、封印の守護者達との戦い。だがコカビエルが拍子抜けするほどに簡単に勝てた。激戦を予想して血の滲む訓練で全盛期に近い力を取り戻していたコカビエルにとっては呆気に取られる程。そして自信満々に封印の解除が狙いだと話したが…リアス達はそもそも封印がある事すら知らなかった。

 

 

コカビエルはリアス達に興味もないので動けなくなると放置、封印の解除を実行。暇潰しにリアス達と話した。怪物、アリシアスの事も、神や魔王の死因も、流石に封印を解く理由に悪夢を見たなど情けない話は隠した。 

 

 

そしてコカビエルの望み通り封印は解けアリシアス・べリアルは甦った。

 

コカビエルは幾千年も前の恐怖を思いだし体を震わせたが、怪物は普通に話している。やはり調べた通りアリシアスは凶悪ではない。コカビエルは意を決して声をかけた。

 

 

「アリシアス・ベリア…ごは!?」

 

コカビエルは地面に墜落した

 

「あ、ゴメンなさ…堕天使みたいだし問題ないか」

 

コカビエルは意識を失う前に怪物のそんな声を聞いて…やっぱり怪物は凶悪だったと思った。

 

 

 

 

 

 

 

 



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悪魔と総督

 

 

アザゼル、神の如き強者や荒野の悪魔と呼ばれる元天使。人に武具や装飾品等造りの叡智を授けたとされる堕天使。

 

 

 

グリゴリ本部、堕天使総督アザゼルの執務室。此所にアザゼルの全く思いもしない来客が来た。アザゼルは胃の付近を手で抑えて高級なソファーに座った招かれざる客を見ている。

 

「この紅茶美味しいです」

 

「お口に合いまして嬉しいッス、です。(何でウチラみたいな下っぱがアザゼル様のお客人の悪魔を接待してるんス?しかも相手は悪魔)」

 

「此方もどうぞ!(罰のトイレ掃除が免除されてアザゼル様直々のご命令!この悪魔の小娘が誰かしらないけど全力で接待しろと言う命令を遂行してみせるわ!!)」 

 

「どうもありがとう(何で悪魔なのに堕天使の所でこんなに親切にされてるんだろう?悪魔的に敵地なんじゃ?戦争とか起きてたし。戦争終わった?封印とかされてる間に…なんで封印されてたんだろ?)」

 

「イリナ、これ旨いぞ」

 

「ぜ、ゼノヴィア、あんた少しは遠慮しなさいよ」

 

女の子五人のお茶会かー微笑ましいなー。

堕天使の総督だけど気にしないぞー。

そのまま機嫌損なうなよー…

 

……オレも含めて全員が死ぬかも知れんからな。

 

 

堕天使総督アザゼルは執務室ソファーで見られる一見ほのぼのした光景に胃を痛めた。

 

 

 

何であの怪物が居るんだよ!!

 

 

俺がアレと出会ったのは、いや遭遇したのは数千年も前、三大勢力がぶつかった大戦の頃の話だ。

 

俺はある戦地の増援として送られた。俺が増援として送られた地の戦況は一進一退で互角って話だったんだよ。そう聞いてたんだよ。

 

戦争なんだそれは不安だったさ。それでもオレや他の増援として送られる奴は全員がそれなりの強者ばかり、戦況をオレ達で変えてやるって息巻いて戦地に向かった。増援として送られた場所について、その場に先に居た他の堕天使の顔を見て直ぐに判った事がある。

 

……互角なんて嘘だったなとな。

 

増援として送られた俺達に対して増援を喜ぶ顔じゃなくて……皮肉げに薄く笑うか哀れむ顔を向けてきやがった。俺は腹が立つより嫌な予感がして情報を聞き出すことにした

 

 

その戦地では堕天使の戦力は天使とは互角でも、悪魔との戦力差は決定的だそうだ。俺達が増援として来ても焼け石、いや太陽に水ぐらいにどうやってもひっくり返せない戦力差だと聞かされた。

 

悪魔勢力の数は天使と堕天使どっちの勢力の数と比べても少ないと聞いた。なのに総合的な戦力は悪魔が圧倒的に上だそうだ。つまり精鋭の悪魔の部隊が居るって事だと思ったら、相手がたった一体の悪魔とか聞いた時は意味不明だと思ったさ。

 

 

相手は怪物と呼ばれた悪魔だった。

 

 

戦いは数なんて言うけどな圧倒的な個には倍の数でも役に立たない。小型の草食動物が大型の肉食動物を相手にする様なモノだ。挑んだとしても戦いに成らない。食い散らかされるだけだ。と、言えるのは一定の数で被害を無視して数で攻めれば対処能力を越えれば大型の肉食動物でも数に押し潰される。…………と、俺たち側は其れぐらいの数が居ると思えるのに、俺達の役目は勝つことじゃなく。怪物のエサになる事。命を掛けて怪物を戦地に留まらせる事だった。

 

オマケに敵対してる天使と協力してな。

 

ふざけんなと思うよな?

 

それが嫌で怪物を倒そうなんて考えた無謀な勇者は真っ先にヤられて、残ったのは賢い臆病者だとさ。先任の堕天使に最後にそう教えられた。

 

 

オレ自身は初めは勇者か臆病者になるか迷った。若い頃でまだ武勇伝は欲しかった頃、同時に命も少し惜しかった。

 

怪物を倒せば最強の悪魔を倒したって名誉が得られる。反対に臆病者なら話に聞いた怪物は倒せないけど生き残る可能性が高くなる。名誉と命どちらを選ぶか迷った。

 

 

増援として来た俺達は怪物の強さも知らず自分の強さへの自信が有る奴が多かった。増援として俺と一緒に来た半分が臆病者に成ることが出来ずに勇者となった。

 

現れた怪物の姿、散々恐ろしいと聞かされた怪物の見掛けが、どうみても弱そうな女の子なのも理由だろう。

 

俺は様子見をした。

怪物の強さ次第で参加しようと様子を窺った 

 

 

百人を越える天使や堕天使の勇敢なる勇者達は怪物を奇襲した。結果は一人として帰らなかった勇者に、翌日も普通に活動していた怪物が答えだ。

 

 

オレは迷いを捨てて賢い臆病者に成ることが出来た。俺は生き残る為に必死だった。生き残る為に真っ先にプライドなんて棄てた。それでもあの戦場では生き残るのは難しかった。

 

 

天使と共同戦線を張った。裏切り怪物の生け贄にした。仲間を何百人と見棄てた。無謀な勇者に成ろうとした奴が居て死ぬと判ってても足止めに丁度良いと忠告しない。神経を磨り減らして必死に生き抜いた。

 

オレが戦地に居たのは一週間、一週間耐えてようやく怪物は別の戦地に移動して、オレはその戦地で数少ない生き残りの一人となることが出来た。オレと同じ日に増援として送られた堕天使は誰も生き残れなかった。

 

本当に俺は運が良かった。

 

結局その怪物は和平後に、魔王や神の命を引き換えに封印された。オレは今でも覚えてるあの時の、一週間死と隣り合わせだった恐怖を、怪物に与えられた恐怖を、戦争が終わって数年はずっと悪夢に魘された。

 

同じ戦地を任されたコカビエルも悪夢に魘されたよな?なのにそのコカビエルが怪物の封印を解きやがった?怪物や封印について調べてるのは知ってたけど、絶対にあり得ないと思った行動をなんでしてんだ!!

 

 

怪物がオレの執務室のソファーでレイナーレ達に世話されてる…連れてきたのは俺の隣に居るヴぁーり。

 

マジで何してくれてんだぁあ!!

 

コカビエルの野郎が駒王に行ったって情報来いたがよ!!狙いは駒王にいる魔王の妹か最近発見された赤龍帝だと思ったよ!!それが普通だよな?まさか駒王に怪物の封印があって!コカビエルの野郎がまさか封印解くなんて誰が思うよ!!

 

それだけでも目眩がする話しなのに、目覚めた怪物をヴァーリが執務室に連れて来やがった。執務室で仕事してたオレが突然怪物見たときどう思ったと思う?……マジで心臓止まったわ!!

 

 

接待役にレイナーレ達を呼んだのはオレだ。

 

トイレに逃げ込んだ時にちょうどレイナーレ達を見付けてな。レイナーレ達には命懸けで接待に当たれと命じといた。駒王で見つかった事を考えたらタイミング的にコイツらが封印見付けた原因だろう…マジで命ぐらい掛けろ。

 

 

「(ヴァーリー!オレはコカビエル連れ帰れって命令したのに、何怪物連れ帰ってんだよ!!)」

 

オレは小声で怒鳴るなんて器用な事をしてヴァーリに聞いた。

 

連れてくるにしても!!せめて隠して連れてこいよ!なに堂々と連れてきてんの!?本当に何してくれてんだ、怪物知ってる古参中心にグリゴリ内は大混乱だ!!今は幹部連中に混乱鎮めさせてるがどうなるか!!

 

「俺に文句を言われてもな、連れて来たのはアルビオンの意思だ」

 

「(はぁ!アルビオンが!?何でだよ!)」

 

大戦の時の事を考えるとアルビオン、反対する側じゃないか!?

 

『いや、ほら…………味方の方が喰われる危険が少ないだろうから……』

 

「……………………」

 

そう言えば大戦の時に怪物に倒された後に喰われてたな。全身喰われる前に聖書の神が封印したんだよな。喰われるの回避したいよな。けどな、それ無用な心配だ……だって今のお前は肉なんて無いだろ!!!

 

三大勢力を全滅させかけた龍が食糧の化物とかどうすんだよ!!

 

 

確か随分前に出されたコカビエルの調査じゃ随分と穏当な性格らしいが、そんなのどうでも良いわ!!仮に人間が優しい人喰いライオンとか紹介されて人間がそのライオンの傍に居れるか?居られるわけねえ!存在が怖いんだよ!!

 

「あ、あの」

 

で、あの怪物ばかり気にして放置してたけど

 

「……お嬢ちゃん二人は誰だ」

 

グリゴリで支給されてる服を着てるが見たこと無いし人間だよな。…………お嬢ちゃんの話を切り出したら怪物が此方を見てくるし、一応下手に扱えないか。

 

「は、はい突然の訪問申し訳ありません。私はエクソシストのイリナ、隣の者はゼノヴィアと言います。堕天使総督のアザゼル様」

 

おいエクソシストが何でグリゴリ本部に来てるんだよ。……あの怪物が居るなら誤差か。誤差と思えるのが悲しい。

 

てかゼノヴィアって嬢ちゃん食い過ぎじゃ?…自棄食いか?

 

「アザゼルだけでいい。そのエクソシストのイリナお嬢ちゃん達が此所に来る事になった?悪いけど説明してくれるか……色々と」

 

切実に情報がほしい。

ヴァーリーの奴は殆ど知らないみたいだし。

 

「は、はい、私は元々聖剣の担い手として、バルパー一味に盗まれた聖剣奪回に駒王に私ともう一人が派遣されたのです」

 

「ふむ」

 

その情報は知ってる。

 

「聖魔剣を産み出した木場という悪魔によりバルパーは倒され、聖剣は破壊され目的は達したのですが、堕天使コカビエルが現れバルパーを殺害し、コカビエルによって…神の死を告げられました。三大勢力が衝突した大戦時に……神が死んだと……」

 

うん何してんのコカビエル

あと聖魔剣か……神が死んだからそんなのも出来るか。

 

「神の死を知った私が本部に戻るのは危険とヴァーリさんに言われ、グリゴリに行くと言うアリスちゃんに同行させて貰いました」

 

下っぱ二人のえっ!?って声は無視する。とうせ神の死とかに反応したんだろう。……俺としてはお嬢ちゃんが怪物をアリスちゃんと呼んだのが衝撃的だよ。あとヴァーリーが助言するとか意外だな。

 

何にしても、このお嬢ちゃん二人も神の死を話したあのアホの被害者か。ゼノヴィアって嬢ちゃんが自棄食いしてるように見えるのまんま自棄食いか。

 

エクソシストが神の死とか知ってたら本部に帰っても良くて放逐、普通は処分だよな。本部に帰らなかっただけならはぐれエクソシストとして狙われるか。それなら神の死を知ってるのを知らないフリをすれば……今回は事件が大きすぎて隠すのは難しいか。三大勢力が其々調査するだろうからな。

 

熾天使には多分知られる事になると、神の死を隠蔽しようとする天使勢力はもう無理だろ。つまりお嬢ちゃんの生き残る為の選択肢は天使以外の勢力、神の死を知っても問題ない悪魔か堕天使の勢力に保護されるしかない。

 

三大勢力以外の勢力か、最悪禍の団とか言う選択肢もあるか、どちらも危ない橋だな。

 

お嬢ちゃん達が生き残る事を考えたら堕天使の所に来るのは正しい。エクソシスト的に悪魔よりは堕天使の方がまだお嬢ちゃんとしても反発は少ないだろう。俺としては受け入れても良いと思う。堕天使の被害者になるし無下に出来ないしな。

 

 

しかしコカビエルに神の死を聞いたとしても簡単に信じるか?帰って確認しないか?

 

 

「お嬢ちゃんは、神が死んだってのを信じたのか」

 

「……アザゼル様、神の死は本当なのでしょうか」

 

やっぱりコカビエルに聞いただけじゃ疑ってはいたか。ただ擬より信の方が多いように見えるな。そう言えば聖剣破壊の時に聖魔剣の誕生とか神が生きてたらあり得ない現象を見たんだったか。

 

「本当だ。今は天界は神じゃなくて熾天使(セラフ)、ミカエルを中心に動かしている」

 

「で、では……神の死の状況については」

 

ああ問題は其処か。確かに死に方を知ったら神への信仰心も無くすか。

 

「三大勢力和平後、神と魔王の主導で三大勢力協同で怪物と呼ばれた悪魔を騙し討ちで抹殺か封印をしようとした。それで騙し討ちした悪魔の反撃に有って神は死亡した。……騙し討ちした理由は憶測だがその悪魔がただ強かったからだと俺は考えている」

 

「そう、ですか」

 

イリナお嬢ちゃんはショックを受けてるな。ゼノヴィア嬢ちゃんは自棄食い。下っぱ二人は驚いてる。当の犯人は他人事みたいにへーって顔をして聞いてるな。

 

俺の発言疑うとか無いのか。

 

「あー嬢ちゃん?俺が言うのも何だが堕天使の話とか信じるのか?」

 

「……災厄の魔銃はエクソシストで最悪の災厄で、尤も忌まわしい神器と教えられてきました、なのに肝心の最悪の災厄の具体的な内容が不明でした。尤も忌まわしいのに隠す必要があったと考えると………」

 

なるほど…な。エクソシスト(自分達の)側が隠したからこそ堕天使の話に信憑性がでたと。

 

チラチラと怪物の方を見るな!!

神を殺した復讐なんて考えるなよ!

 

(災厄の魔銃てなんだろ)

 

……で、本人は全く反応してないな。まるで自分に関係した話がされてると思ってないようだ。何か考えてんな。殺した神のことか

 

「三大勢力の和平って…やっぱり戦争終わってる?」

 

え…………戦争終わった認識もなかったの。

 

ふ、封印の影響で記憶の劣化があるか知らねーけど!戦争終わった認識も無いなら堕天使は戦争相手って事で暴れる危険が有るって事じゃねーか!!!

 

「悪魔と堕天使が争った戦争はもう終わってるからな!堕天使敵じゃないからな!!暴れないでくれよ!!」

 

「あーうん?……戦争終わってるの?本当?」

 

イリナ嬢ちゃんに聞いた。

当事者の堕天使の話はそりゃすんなり信じられないよな。頼むぞ嬢ちゃん!下手な冗談とか言わないでくれよ!!

 

「…えっと、戦争は大分前に終ってると思、います」

 

「戦争終わってるのは良かった。大分前?」

 

どうする状況認識が全く無さそうだぞ。

 

封印の記憶もないのか?

裏切りとかどうなんだ?

 

此は確認した方が良い。

 

「アリシアス・べリアル少し良いか。戦争で神が死んだんだけどな。殺した最強の悪魔とか誰か知ってるか?」

 

名前を聞いて下っぱ二人の顔色がおもいっきり悪くなった。今まで名前も知らなかったのか。知ったなら顔色も悪くなるな。悪魔とか天使みたいに隠して無くてグリゴリでは最凶の悪魔だと伝えられてるからな。

 

「え、神さま死んでたの?殺したのが最強の悪魔なら、最強と言えば四人の魔王様の誰か?」

 

四人の魔王は神と一緒にお前が殺したわ!!

これで確信できた…裏切られた記憶もないなこれは!

 

もう本人に聞くか。

 

「あー……今の状況は何処まで判ってる?」

 

「状況?……えー徴兵された感じで戦争に参加させられて、適当に程々に戦って………気付いたら駒王って学園に」

 

適当に程々……あれ、怪物にとっては、適当に程々…あれだけ暴れて……??

 

「あ、アザゼルさま!?尋常でない汗が!!」

 

マジで…マジで…コカビエルの野郎…なんてヤツを復活させてんだ。 

 

「休んだ方がいいんじゃ」

 

「気遣ってくれてありがとうよ」

 

ホント嬉しいよ。

心労の元凶だけどな!

 

つい最近苦労させたレイナーレ、同情みたいな視線を向けるな。罰のトイレ掃除の期間を増やすぞオラァ!!

 

「封印された事も覚えて無いのか?」

 

「いえ全く。封印された理由を知ってます?」

 

どうする。教えるか。

イリナ嬢ちゃんとゼノヴィア嬢ちゃんはどうするか見てるな

 

「……その例えばだけどな。封印した相手が居たとして、その相手をどうする?」

 

「それは…理由と状況次第?」

 

状況は和平後に裏切って、理由は表向きは和平の為、本当は魔王は地位を守るため、神は悪魔の戦力削り、堕天使は黙認というか便乗。オレなら許さんな!

 

許さなかったから封印される前に魔王四人と神をピンポイントで殺したんだよな。何で反撃でそんな事が出来るんだ?反撃してなかったら封印なんてさせて無さそうだよな。

 

俺としては神と魔王の殺害、十分報復はしてると思うんだが………本人がどう考えるか。

 

ふと思った。

 

封印に参加したのは天使、悪魔、そして堕天使。天使と悪魔のトップはやられた。堕天使はやられてない。堕天使のトップだけやられてない。堕天使のトップは俺

 

うん、俺なんだよな。

 

 

「顔色悪いですしやっぱり休んだ方がいいんじゃ?」

 

 

その休んだ方が良いって……永遠にとかじゃないよな?

 

 



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堕天使は悪魔に慣れてくる

 

 

 

 

遥か昔の大戦で怪物によって多くの天使や堕天使の命は奪われ、そして三大勢力に甚大な被害をもたらした二天龍をも倒した。大戦は終結したが三大勢力は怪物を恐れ裏切り封印しようとした。裏切りの報復に神も魔王も殺された。怪物が嘗ての姿のまま蘇った。不幸中の幸いな事に何も覚えてなかった。

 

覚えてないなら即復讐なんて事はない。

 

他の勢力と和平を考えてる時だぞ、堕天使が蘇られさた悪魔に復讐心で行動されたら困る。いや復讐するなら間近な俺達堕天使か。特に魔王や神なんて前例的に堕天使トップの俺がヤバイ。

 

封印の件は…黙っていても知られる可能性が高い。教えようとする候補は多い。三大勢力に敵対な相手によって、悪意を煽る様に教えられるパターンになったら最悪だ。

 

此方から教えるしかないよな。慎重に言葉を選んで何とか軟着陸させないと大惨事になる。

 

他には天使と悪魔側に早急に連絡しないといけない。駒王を襲撃してアリシアスの復活させた弁明…それと悪魔か天使側に過激な行動にでないように頼まないといけない。

 

教えるにしても事前にどう話すか考えないといけないし、今日はもう休んで貰おうとした。したんだよ…

 

 

「……アリシアス・ベリアルはあまりの強さに恐怖され三大勢力が協力して封印された。封印前に報復で魔王と神は殺されたそうだ」 

 

ヴァーリィィィ!!

お前大人しくしてると思えば何を教えてる!!

 

「なるほど、裏切られて封印された」

 

反応薄い…な。実感が沸かないって反応か。まさか裏切られて封印された事を大して気にしてない?精神まで怪物なんて事はないよな。

 

「復讐は考えないのか」

 

ヴァーリーお前、

 

「復讐」

 

「イヤイヤ待て待て!!ね、年のために言うけど数千年前のオレは堕天使の総督じゃないからな!騙し討ちにも賛成とかする立場に居なかったな!(もし居ても賛同するしかなかっただろうけど)」

 

どうでてくる。

 

大戦の時より数倍は強くなったと思う。俺が当時より何倍も強くなったとする。さらにアリシアス・べリアルが長年の封印で弱ってとする。これなら勝てるとは……欠片も思えねぇな。チクショウ。

 

大戦の何倍も強くなった。

其処から実戦離れして弱くなった。

結果的に大戦の時とどっこいどっこい…

切り札を使っても焼け石に水だろう。

 

他の宛、この部屋にいる下っぱ二人は盾にも成らない。味方でないイリナ嬢ちゃん達を含めても結論は同じ。怪物相手に生半可な戦力なんて意味がない。生半可な戦力じゃないのは、迂闊な発言してくれた白龍皇のヴァーリだけ…

 

『ダメだおしまいだぁ。勝てるわけが無い。ヤツは最強の悪魔なんだぞ』

 

期待するの無理だ。アルビオンがヘタレてる。何故か岩盤に潰されるヴァーリの姿が思い浮かんだ。

 

増援もダメだ。仮にグリゴリの総戦力をかき集めても勝てるとは思えねぇ。数で何とかなるなら数千年前にコイツを倒せてるわ!!

あーくそ、オレの首だけで堕天使への復讐を済ませるように交渉するか………

 

 

 

 

 

 

堕天使の総督のアザゼルって人が固唾を飲んで見られてる。他も緊迫した空気。ヴァーリってイケメンだけワクワクしてない?

 

どうしよ?

 

裏切られて封印されて封印前に神様とか魔王さま殺した?実感がまるで沸かない。

 

封印された理由は強過ぎたから………強いって何を根拠に?戦争中は指定の場所で向かってくる相手の迎撃ぐらいしかしてないような。自分から突撃して無双とかした記憶がない。

 

神様とか魔王様を殺した理由が裏切られた復讐?そんな裏切りモノには死を見たいな感じで物騒な性格してない。攻撃する暇が有ったら逃げる気がする。

 

何にしても

 

戦争が終わったのに悪魔や天使についでに堕天使に裏切られてるなら…

 

「封印に参加してたなら堕天使は今でも敵ってこと?」

 

「い、いやいや堕天使はお前と敵対するつもりは一切無いぞ」

 

敵対するつもりがないなら別に攻撃する理由が無いなぁ。復讐心なんて今のところ沸かないし。

 

「ホントだぞ。堕天使のトップとして堕天使はお前と敵対するつもりは一切ないと公に声明を出してもいい」

 

声明出すなんて大袈裟な。

声明出さないと攻撃される?

戦争の怨みとかありそう。

怨みなら声明を出されても意味がなさそう。

 

「戦争中の怨みで攻撃されるとか大丈夫なんです?」

 

「怨みでの攻撃か。怨みは無いとは言えないが…数千年も経ってるからな。大体の怨みは風化してるだろう(…恐怖については風化してるか怪しいけどな)」

 

…え

 

「え?数千年…?」

 

「…は!?い、いや、その、な。あの戦争から数千年は時間が経ってるんだよ」

 

数千年も…数千年も?

えっと、うーん?封印されたって時と同じで今一ピンと来ない。数千年って……前世より昔の時代?未来?

 

そう言えば駒王って所は夜で見えにくかったけど、前世の時代と同じぐらいに見えた。この部屋にテレビとかある。もしかしたらネットもある?テレビが薄いタイプだしネットもありそう。

 

前はネットもテレビもない戦争ヒャッハーな時代。それがテレビのある時代に来れた。

 

イヤな時代をスキップできた?

あれ?得してない?

 

前の時代に未練なんて…………セラフォルーちゃんとかどうなっただろ?悪魔なら数千年生きられる?生きてるなら会いたいけど、会いたいけど…

 

「セラフォルーちゃんが老婆になってるの見るのは……」

 

「ふぁブッ!?」

 

何で吹き出したん?

 

「いや、その、セラフォールって、セラフォール・レヴィ、いやセラフォール・シトレーの、こ、ことか…な」  

 

「そうですけど、知ってるんで?」

 

「…いや、知ってる事は知ってるけど、ちょっとその件は置かせて欲しい。近いうちに答えられると思う……それより、先に堕天使と敵対するつもりがあるかどうか確認したいんだが」

 

近いうちにはってセラフォールちゃん面倒な立場になってる?気になるけどこのタイミングで堕天使と敵対するか聞くって、敵対するつもりなら教えて貰えないんだろうなぁ。

 

敵対するつもりは最初からないし別にいいけど

 

「堕天使から攻撃されない限り何かするつもりはないかな」

 

「………さっきも言ったが此方としては敵対するつもりはないんだが、堕天使の跳ねっ返りが襲う可能性がある事は理解してくれ。此方としては全力で阻止するつもりだが、完全に防げると確約出来ない事は理解してほしい。攻撃をした馬鹿が処分されても此方は文句は言うつもりはない」

 

あー殺伐としてる。襲われる場合の保険なのか。襲う予定なのか。襲われないならありがたいんだけどなぁ。

 

襲われるぐらい学校で慣れた。

思い出したら戦場より学校の方が襲われたり奇襲された頻度が多かったなぁ。

 

「堕天使はそれとして、天使や悪魔ってどうなる?敵になると思います?」

 

「悪魔と天使は……まぁ、ソチラが敵対するつもりがないなら、敵対する可能性は低いだろうと、思う。これはどちらにも連絡をする予定だからその時に向こうの対応を聞いみるつもりだ」

 

堕天使が気軽に天使や悪魔に連絡が出来るって時代が進んでるんだなぁ。堕天使同士でも連絡しようとするなんて命がけだったのに……これは戦争の常識だった。

 

「天使はどうでるか。悪魔の方はアリシアスの友人が魔王枠二つ継いでるから大丈夫だろうけどな」

 

友人が魔王、二人?

 

「…友人は一人しか居た覚えないですが?」  

 

友人なんてセラフォールちゃんのみ。

学生時代の青春は戦闘ばかりの灰色時代。

主にある赤毛のせいで。

 

なんで引き吊った顔を?

 

「せ、セラフォール・レヴィアタンは」

 

「友人ですよ」

 

友人で魔王、もしかしてセラフォールちゃん魔王になってる?数千年未来のセラフォールちゃん……貫禄凄そう。魔女みたいな感じになってるのかな。

 

まて、セラフォール…レヴィアタン?

 

「セラフォルーちゃんの家はシトリー、まさか結婚とかして改名した?」

 

す、数千年経ってるなら結婚ぐらい当然してるかぁ。あのセラフォールちゃんが結婚か。セラフォルーちゃんは子供とかいる?いや数千年なら孫、曾孫…祖先とかになる話し。

 

「いや、セラフォルーは独身だ。魔王継いだ時に名前も継いだんだよ」

 

良かった。いや独身て良くない。

セラフォールちゃん凄い嫁ぎ遅れだ。

 

結婚逃した年配コメンテーターみたいなのが脳裏に。どうしよヒステリックな感じのBBAになってたら。

 

「も、もう一人の友人って言うのは」

 

セラフォールちゃんの事を考えたら怖いから話を進めよう。

 

「サーゼクス・グレモリー」     

 

「サーゼクス……あーもしかして赤髪少年?」

 

「サーゼクスは赤髪だし多分ソイツだ。ようやく友人を思い出したようで良かったよ」 

 

(赤髪少年ね。そうか、アダ名で呼んでたから名前で出てこなかったのか。……くく、友人の筈なのに思い出すの物凄い遅かったな。サーゼクスの奴が聞いたら落ち込むか?)

 

 

「赤髪の少年が……友人?え?」

 

 

(……サーゼクスの奴が聞いたら泣くな)

 

 

 



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後始末に働くトップ

 

核弾頭みたいなお客様の訪問、お客人を休ませた後にもアザゼルの仕事はまだまだあった。

 

下っぱ堕天使にアリシアスの事を頼み一度執務室から離れ、グリゴリの幹部を緊急召集。 

 

召集された幹部達は殆ど事情を知らないが表情は厳しい。アザゼル含めて幹部はアリシアスの暴れぬいた大戦の生き証人が多数。そんなグリゴリ幹部達とこれからの対応を協議しないといけない事に、胃痛がまたぶり返した。

 

コカビエルの駒王襲撃、魔王の妹との交戦、アリシアス・ベリアルの封印の解放、アリシアス・ベリアルを本拠地に連れてきた。

 

総ての状況を話すと暫く沈黙。

 

最高責任者のアザセルを責められた。連れてきたのはアザゼルの小飼と言っていいヴァーリーなので反論すら出来ない。

 

 

暫く責めたが本題に話が移った。

 

アリシアスの即事追放か抹殺、堕天使の戦力としての引き入れる等、ハイリスク、ハイリターンを望んだ幹部もいたが、結局はアリシアスに対しての対応は、全てアザゼルが責任をもって対処する。アリシアスに対しての対応は全会一致()ですんなりと決定した。

 

 

要約すればアリシアスに関しては全てアザセル総督に丸投げである。アリシアスに関わりたく無いと言う本音がヒシヒシと伝わってきた。

 

アザゼルは最高責任者の地位を誰かに擦り付けようかと本気で検討した。

 

 

とにかくアリシアスと敵対しないと方針が決めるとホッと息を吐いた幹部が多数。

 

アザゼルは押し付けられた事と、一悪魔に脅える堕天使幹部の姿にげんなりさせられた。最初にアリシアスを見て悲鳴を上げた自分の事は心の高い棚の上に乗せる総督。

 

 

 

アザゼルは副総督だけを残し幹部達を解散させ、解散した後にアザゼルは大きくため息を吐いた。

 

「総督、強行策への対処はどうしますか」

 

副総督のシャムハザは困った様な口調で胃を押さえたアザセルに訊ねた。。

 

「あの戦争への参加者は何かする可能性があるよなぁ……本当にどうするか」

 

アザゼルは恐怖する感情は良く判るが、堕天使全体の安全の為に行動を認める訳にはいかない。

 

「強硬派を一時本部から離しましょう……離れれば冷静な判断も少しは出来る筈です」

 

「一時的な措置としてはそれで良いか。その方向で動いてくれ」

 

「判りました。素直に退避してくれるなら良いんですが」

 

「はぁ臆病な癖に逃げる事がプライドが許さないとか言う奴も居るからな。まぁその手のヤツは力付くで言うことを聞かせてやれ」   

 

「功名心に逸るモノは」

 

「そう言う奴も居るか。………向こうに頼んで対戦をして貰うか。暇潰しの遊びと伝えたら怒ったりもしないだろう」

 

「味方に引き入れる案はどうします?彼女程の戦力なら悪魔や天使の反発より利益が有ると言う意見も有りましたが。私としては一理有ると思います」

 

「なぁその場合、あの怪物をオレが管理するはめになるんだけどな?」

 

「総督の手腕なら可能かと……」

 

「…ハハハ、目を逸らしてるのはなんでだ?お前が総督になってくれるなら味方にするのは良いぞ」

 

「味方にする案はダメですね」

 

アザセルが本気の目で言うとシャムハザは即座にそう言った。

 

「……コカビエルが駒王でやらかした事についてはどうなった」

 

「はい此方が現在判っている駒王学園で起きた事についての報告です」

 

報告を聞いてアザセルの額に青筋が立った。

事前に聞いてたが文字で確りと確認すると怒りは倍増した。

 

この前も堕天使が駒王で問題を起こしてアザゼルが謝罪した。これで謝罪は2連続になる。しかも今回はアリシアスの事が有る。可能性はほぼないがアザゼルは…戦争の可能性すらあると考えた。

 

 

報告では悪魔側に死者は居ない。コカビエルがリアス達を特に殺害する気はなかったと取れる発言をしているのも確認できた。

 

 

コカビエルの目的はあくまでアリシアスの封印の解放。アリシアスと敵対するならコカビエルは責められるが、敵対したくないなら余りコカビエルの行動を責める事は出来ないだろう。 

 

何にしても相手の反応次第。

 

アザゼルは駒王学園理事長のシスコン、もといサーゼクスに連絡を入れた。

 

 

 

「やぁアザゼルか。連絡を待っていたよ」

 

 

サーゼクスとは直ぐに連絡がついた。その顔は当たり前だが厳しい。それは自分の領地に妹を襲撃した堕天使のトップに甘い顔をしていたら異常だ。

 

「今回のコカビエルの暴挙について、堕天使のトップとして謝罪させてもらいたい」

 

「謝罪を受け取ろう。謝罪を受けとる代わりにと言うわけではないけど、封印から解放されたアリシアス・ベリアルがどうなったか教えてもらえるかな」

 

アザゼルはアリシアスはグリゴリに居ると事と、アリシアスの状態と様子は伝えた。

 

「このさい天使も含めて代表が集まって色々と話したいと思ってるんだが」

 

「……色々とか………わかった。返答については近いうちに連絡する。連絡にについてはセラフォールに頼む事にするよ」

 

サーゼクスは深く追求はせずに通信をきった。アザゼルは悪魔勢力の対応を待つことにした。

 

次に天使側への連絡、イリナとゼノヴィア二人のエクソシストを保護してる事を伝え、同じ様に今後について話がしたい事を伝え連絡を終えた。

 

アザゼルは一先ずやることを終えて執務室で少し休んだ。

 

翌日。

 

アリシアス達の様子を見ると雑誌を読んでいた。

 

中学、小学生サイズのアリシアスに高校生サイズの四人、アリシアスの事を女子高生のお姉さんに構って貰ってる可愛い女の子と一瞬でも見えて、アザゼルの瞳のハイライトは消えた。

 

「よお何を読んでるんだ」

 

「あ、アザゼルさま!?」

 

そう言いながらアザゼルは机に置かれた一冊を見てみる。それは何処にでもありそうな……

 

【ドライバー募集】【ウェートレス募集】

 

求人、アルバイト雑誌だった。

 

「おい誰だ!!求人雑誌なんて用意したのは!」

 

「これは其所の堕天使が持ってきたモノだ。アリシアス・べリアルに最近の情報が判る本を頼まれてな」

 

求人雑誌を一緒に見ていたヴァーリが答えた。因みにイリナとゼノヴィアも真剣に求人雑誌を見ていた。

 

「なんでだよ」

 

アザゼルはアリシアスが現代の情報を知りたいのは理解できた。だが何で現代情報を知るのに求人雑誌だと思った。そもそもなんでグリゴリにそんなモンがある?数千年封印されたアリシアスが現代の文字を読め…何故か読めるようだ。

 

「その他の雑誌も用意したのですが……」

 

レイナーレの言う通り他にも雑誌はあった。しかし求人関係以外は横に退けられていた。

 

「なんでそんなの見てるんだ」

 

アザゼルは三人の中では一番話し掛けやすいイリナに聞いた。

 

「……その………無職になりそうですし」

 

切実な答えだった。

 

アザゼルとしては、エクソシストが元エクソシストになっても別に良い。二人とも堕天使の被害者みたいなモノなので支援ぐらいはするつもりもある。普通の職に就きたいなら協力してもよかった。

 

問題は歩く核弾頭みたいな怪物だ。

エクソシストに触発されたか自発的にかは不明だが…

 

「880円……資格ないとダメな職業と」

 

蘇った魔王殺し兼神殺しのアリシアス・ベリアルが、真面目に職を選んでいる。アザゼルは喉まで出掛けた暴言を止めた。

 

 

アリシアスの実年齢は封印期間いれればウン千年だが外見年齢は十歳前後。高く見ても中学生、致命的なのが身元を証明するモノがない。働くのは無理だろう。いやそれ以前の話だ。

 

万が一働く場所があっても、一般の職場だと絶好の機会だと職場を襲撃される事は確実…脳裏には悲惨な事になる光景がありありと浮かぶ。勿論悲惨なになるのは相手方

 

どんな結果になるかアザゼルは最良の場合と最悪の場合を考えてみた。

 

最良を想定すると本人だけが報復を受ける。

最悪を想定すると1つの“種族”が消える。

 

アザゼルの接したアリシアス・ベリアルは、そこまで短絡的に危険な存在とは思えないが、種族の根絶が可能か不可能かで可能と思えるのが問題だ。可能性が0%じゃないと思えるからダメだ。

 

(全種族の)安全の為にもアリシアスは絶対に就職なんてさせられない。

 

 

 

アザゼルの表情に下っぱ堕天使二人は冷や汗を流し、エクソシスト二人も気にしているが、悪魔は特に気にせず仕事探しを続行した。

 

求人雑誌を見ていたイリナはポツリと呟いた。

 

「ゼノヴィア……一番下のお給料でも私達が貰ってたお給料より高くない?」 

 

イリナは前なら給金は関係ないと言えたが、信仰心がほぼゼロな今はブラックな方に目が行く。イリナの目尻から涙が溢れた。ゼノヴィアも哀しそうな顔をしていた

 

「……ウェイトレス……それか建築の手伝いみたいな。力仕事の方が良いかな」

 

「建築のアルバイト…」

 

アザゼルは話している仕事の時給を見た。何れも千円以下、最凶の悪魔が自給千円未満で働く光景を想像して胃が猛烈に痛くなった。

 

アザゼルは溜め息を吐いて雑誌を見てるヴァーリーに話し掛けた。

 

「何か興味があるモノでもあったか?」

 

「料理に少し興味があるな」

 

保護者代わりのアザゼルが知る限りヴァーリーは戦闘狂、ヴァーリが珍しく戦闘以外に興味を示している事に喜んだ。

 

「ほぉ料理に興味あるのか」

 

流石に白龍帝を一般職に就かせるのは無理だが、アザゼルはグリゴリの食堂で働いて貰おうかと検討した。

 

「ああ、昔のアリシアスみたいに食材入手からなら面白そうだ」

 

それ、コカビエルが調べたら怪物育成日記だよなとアザゼルは顔色を白くした。ヴァーリーは偶々日記を見て、自分の育った環境はまだましだったと思ったとか思わなかったとか…

 

アザゼルは一般的な食材で料理しろと思った。伝説に成るような神話の生き物を料理されるのは困る。と言うか明らかに料理が目的じゃない。

 

「お前がやりたいの料理でなくて狩りだろ」

 

アザゼルのツッコミはスルーされた。

 

「自宅からの通勤……そう言えば実家って今はどうなってるんだろ?」

 

「さぁ、どうなんだろうな。冥界の事は堕天使の俺にはわからない」

 

ベリアルの今の扱いって…どうだった?アザゼルは考えるが特に情報は思い浮かばなかった。

 

「それより仕事したいのか?」

 

「お金が欲しいですし。働かないと……」

 

世知辛い。

 

「実家は宛になるか不明ですし。そう言えば戦場で働いてた時の賃金は?何も貰った記憶がない……今からでも請求しに行った方が?……あの赤毛が今の魔王ならボコっても罪悪感とかないし…」

 

何かとんでもない事を言い出した。

 

アザゼルは話を逸らす為に全力で脳を動かし、…提案する事にした。

 

「あーー…アリシアス、仕事場ならオレが紹介出来るかもしれんぞ」

 

 

 

 

 




アザゼルさんの声優ってメイドガイ、ワンパンマンの深海王とかネタになりそうな人が多い……けどアザゼルさんは常識的で苦労人なイメージ。



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