常識破りな少女 (三倍アノニマス)
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#1 迷い込んだその先

どうも、気まぐれ三倍ロードです。
この作品は著しいキャラ崩壊、そして僕こと作者は実況プレイ動画をざっと読みとおした程度の知識しか持っていません。これを了承したうえで、この小説を読んでいただけると非常にありがたいです

ぅゎィゥ゙っょぃ


「さ、着いたわよ。」

 「……。」

 

 イヴは寝かけていた。長い長い車の中でずっとうつらうつらと頭を揺らしていた。

 今日は、イヴの誕生日。イヴの両親は、プレゼントにスカーフをあげて、更に美術館にまで連れて行ってくれた。お陰で、イヴは上機嫌……と、いう訳でもなく、最初こそはワクワクしていたものの、途中からは眠くなっていった。

 

 「…むー…。もうちょっとだけ…。」

 「何が"もうちょっと"よ。早く降りなさい。」

 

 イヴは頬を膨らませて重い腰を上げ、眠気を戦いながら美術館へと向かった。

 

 

 「わー…大きい……。」

 

 イヴは白く統一された美術館の内装に思わず気が抜けた声を発する。建物の照明が白い壁に乱反射し、一段と建物の中が眩しい。

 そのおかげで、大分眠気は覚めたようだ。

 

 「じゃあお母さんたち、ちょっと受付してくるから。」

 「…ねぇ、お母さん。」

 「なーに?」

 「もう作品見に言っていいかな?」

 「んー…まあいいわよ。でも、作品には触らないでね?」

 「はーい。」

 

 お母さんから聞かされたイヴの知識では、ゲルテナの作品は殆ど全部幾何学的な絵やオブジェなどが多いのみ。イヴは早く作品を見に行きたかったし、実は早く帰りたいのもあった。

 

 「……すごい。」

 

 イヴは階段はまだ登らずに真っすぐ通路を向かった。そこには、床に大きな魚の絵が描かれていて、壁には『悪意なき??』という精神に直接訴えてくるような絵が描かれている。更にまっすぐ行くと、変な果実の絵やテキトーにどぎつい色を塗りたくったような絵など、本当に色々な絵が多い。まさに混沌と言う言葉が一番似合う。

 

 「…あ、この猫可愛い。」

 

 イヴは猫の絵を見つけて条件反射でそう言った。作品名は他人が邪魔少し群がっててよく読めないが、ゲルテナもこのような絵を描く人なんだなと思い、少しゲルテナの事を知ることが出来たような気がした。

 

 「…のび太?」

 

 次にイヴはせきをする男と題名に描かれている絵を見てそう呟いた。まさかゲルテナがのび太のオマージュ絵を描いているなんてとても思えないが、たまにゲルテナもユーモアがある絵を描ける人なんだなと思い、ゲルテナに対する堅苦しいイメージが抜け落ちた。

 

 「…バラだ…。」

 

 奥に薔薇らしきオブジェがあるのを見つけ、しばらくそれを眺めた。何て目が冴えるそうな紅色だろう。花びらっぽいのが落ちていると事も含めて繊細なオブジェだ。一体ゲルテナはどうやってこんな作品を作ったのだろうか。いささか気になるところだ。

 イヴはその後もボーっと作品を眺めていると、薔薇のオブジェの花びらに小さい子供が釘付けになってるのを発見した。どうやら取ろうとしているようなので、止めてあげよう。

 

 「こらこら、作品には触らない決まりでしょう?」

 「あ、お姉ちゃん。何で?一枚ぐらいいいじゃん!」

 「でもお母さんとかに言われなかったの?」

 「でも見るだけって勿体なくない?どうせなら触りたい!」

 「うーん……。まあ、それは仕方ないね。」

 「なんd―――」

 「仕 方 な い ね 。」

 「……。」

 

 イヴはその子供を黙りこくらせるのに一苦労した。もう少しで本性が姿を現すところだったため、それを抑えながら威圧感のある声で強制的に大人しくさせてしまった。反省はしているが、後悔はしていない。

 

 「あ、イヴ。アートミュージアムは楽しんでる?」 

 

 一階を一周したみたいで、元の場所へと戻ってきた。そこにはイヴの両親が作品を眺めている。イヴが近づく気配に気づくと、声をかけてきた。

 

 「うん。ここには不思議な作品が多いね。」

 「そうね。何でもゲルテナは子供のころから奇才な才能の持ち主らしくて、まさに独特な絵を次々と描いていったらしいわよ。」

 「ふーん…。私には理解できないや…。」

 

 イヴは入り口付近にある階段を上って二階へと向かった。ここにもいろいろな作品がある。

 

 「……首が無い…。」

 

 まず最初にイヴの目に留まったのは、首無しの黒い人間型のオブジェ。題名のプレートには無個性と書かれている。こんな事を言うのもあれな気がするが、見事な曲線美だ。

 イヴはこの作品の眺めている男性を見つけた。何やらブツブツと独り言を呟いているようなので、ちょっと話し相手になってあげよう。

 

 「こんにちは。一体何を呟いていたのかな?」

 「ぁえ?…あ、ゴメンゴメン。独り言、耳障りだった?」

 

 男性は不意を突かれたような声を出し、笑い交じりにイヴと対話する。

 

 「いや、ちょっと一緒に話してあげようかなーって。」

 「ん?別にいいけど?…見たところ君小さいけど、この作品の意味が分かるのかい?」

 「ううん、ぜんっぜん分からない。首が無いのはどうしてかわかる?」

 「うーん…。まあ僕の予想だと、ゲルテナは人間の個性を首や顔に例えて、それを消し去ったから無個性なんじゃないかって思うんだよね…。

 「そうなんだ…。私は―――。」

 「ん?いや、待てよ…?だとすれば服の色が違うのは何故なんだろう?普通ならば服の色も同じにすれば、完全に無個性になる気がするんだけど…。」

 

 この男性の話しようを見て、イヴは察した。この人、他人を差し置いて独り言を話す癖があるようだ。これ以上イヴの方から話しかけても無駄だろう。イヴは即座にその場を去った。

 

 「…女性…綺麗…。」

 

 次に興味を惹かれたのが赤い瞳の女性の絵だった。題名もシンプルに「赤い目の女」。とても細かい色使いで、今にも動き出してしまいそうな作品である。イヴはこの作品がある事は知っていた。何故なら、先ほど見たパンフレットに書かれていたからである。ゲルテナは実在の人物像は一切書かないと言われているが、この描写が余りにもリアルなので、モデルがいるのではないかと言う考察があるらしい。

 

 「……目だ…。」

 

 次にイヴは心配と言う題名の絵を見つけた。何かをじっと見つけているように白い顔の人(?)が目を見開いている絵だ。その眼からは絵の筈なのに眼光が走っている。それはあたかも自分をじっと見つめているかのように…。イヴは気味が悪くなったため、いそいそと違う場所へと向かった。

 

 「…口直しの…実?」

 

 次にイヴの目に留まったのは、口直しの実と銘打たれたオブジェ。"実"と書かれているぐらいなのだから最初は木の形などをイメージしそうだが、実際は大きく違う。確かに形は少し木に似てるが、幹らしいところは真ん中の細長く黒い棒のみ。実と思われるところはその細長く黒い棒にぶら下がっているこれまた細長い球ざまな色をした細長い棒だ。細長い幹と細長い実だ。いったい何を思ってゲルテナはこういうのを作ったのかを考察しようとすれば、丸一日は余裕で経過するだろう。

 

 「……何だろう…。」

 

 その後は特に面白い作品も無く、イヴはしばらく暇を持て余していた。暫くアテもなく美術館を散策していると、ある巨大な絵が目に入った。

 

 

 「???の世界」

 

 

 今まで見た絵画より明らかにキャンパスが大きい。適当に書きなぐったかのような絵面だがそれでもちゃんと何が書いてあるかが分かる。見るもの全てを圧倒させるかのようなその絵に、イヴは引き込まれた―――。




この作品が本気を出すのは、もう少し後―――。
それまで首を長くして待てばいいのです。

ぅゎィゥ゙っょぃ


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