魔法少女リリカルなのは〜vividと初代な夜天の王〜 (かぴばらさん32号R)
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旧夜天
初代夜天の王


ギャグの腕を磨きたい。

ということです。


〜とある小屋〜

 

アスラァァン!キラァァッ!

 

「んー・・・・・眠たい」

 

目覚まし時計の音とともに1人の少年はベッドから起き上がる。

 

その頭上には------天使っぽいわっか。

 

黒く美しい髪を肩まで伸ばし、同じ色をした瞳をもつ彼は朝食を----------

 

 

「なんて想像したら楽しく生きてられると思うんだよね」

 

「・・・自分で言ってて恥ずかしくないんですか?」

 

「神様の『らめぇ』とか『ひぐぅ』とかよりマシですよん」

 

「あ、あ、あ、あなたという人はっ!」

 

 

ハイドーモ、ミナサンこんにちは、初代です。

 

『夜天の書』製作者にして初代主、略して『初代』。

 

こちら、目の前にいる銀髪の少女は神様です、かれこれ死んでから数百年の付き合いでよく遊びに来ます、仕事せんか。

 

「はい、お茶」

 

「ん、ありがとうございます・・・って、そーじゃない!」

 

おや?いつものならここで飲むはずなのに。

 

「そうか、お茶菓子「ちがいますっ!」」

 

 

にょろーん。

 

 

「・・・実は、あなたに転生してもらうことになったんです」

 

・・・・なん・・・・だと?

 

「神様、冗談はその慎ましい胸ぐらいにしてください」

 

あ、顔が超真っ赤になってる。

 

「・・・ミジンコに転生させてやります」

 

 

 

ジャンピング土下座をするのは500年ぶりでした。

 

 

 

「というかねー、私は死んでから数百年はたってるんですよ?なーにを今さら・・・」

 

「ルーレットで決まってしまったので我慢してください・・・」

 

 

こいつらに死後の世界をまかせてもいいのか。

 

 

「神様とgdgdしてたいです」

 

「ホモぉしかいない世界って面白いと思いませんか?」

 

 

本日二度目のジャンピング土下座が決まった。

 

 

「ホモぉの世界は勘弁として・・・どこに転生するのかにゃ?」

 

「ランダムって言ったらどうします?」

 

「犯します」

 

「なら私は地獄に落としますね」

 

こんな理不尽な世界があるなんて思っていなかった。

 

「しかたない、転生しましょう・・・べ、べつにアンタのためなんかじゃないんだからねっ!勘違いしないでよね!」

 

「そこで3つだけお願いを聞いてあげることができるんですよ」

 

スルーされるのが一番心傷つくことを神様は知らないんだと思う。

 

「なら服を脱いでほしいですっ!!!」

 

「は・・・・ええっ!?」

 

ちっ・・・あと少しではいって言いそうだったのに・・・。

 

「だ、だめ!ぜーったいだめです!あなたはどうしてそんな変態なんですか!」

 

「遊びで変態やってんじゃないんだよっ!」

 

「答えになってません!」

 

 

ちなみにいつもこんなかんじです。

 

 

「なら必殺技がほしい!」

 

「たとえば?」

 

「神様を召喚して戦えるやつ」

 

「ありません、却下」

 

絶対強いと思った。

 

「じゃあギアスとか!?」

 

「・・・私にどんな命令をしますか?」

 

「私に『ー自主規制ー』しろ!!」

 

「却下」

 

欲望がだだ漏れてしまったでやんす。

 

「ガンダムがほすぃ!!」

 

「そういえば歴代主人公の中にあなたみたいな虹彩が金色に輝く人がいましたね-----却下」

 

わけがわからないよ・・・。

 

「ギャルのパンティーをーくれっ!」

 

「面白いですよね、ドラゴンボール!---大却下!!!」

 

ぐすん。

 

「ちぇー・・・なら私の『杖』を返してください・・・」

 

「・・・おお!そういうのもありましたね!」

 

 

忘れ去られてる、ひどい。

 

 

「はいどーぞ!」

 

「・・・なつかしい」

 

『シルバリオクロイツ』

 

私の愛杖。

 

「さーて、あと2つですよ?」

 

むぅ・・・ならばあれだろ。

 

「私の特殊能力を消して?」

 

「ダメです」

 

わずか0.3秒の返答、これは世界を狙えるレベル。

 

「あれいらないもん」

 

「だめです!あれがなかったらあなたは------5秒で死にます」

 

人を豆腐のようにあつかうのはやめてもらいたい。せめて大豆ぐらい。

 

「だって------」

 

「めんどうなのでもう行っちゃってください」

 

「イっちゃって?まったく・・・神様はとんだ淫r「転生!」あじゃぱ」

 

 

目の前が光に・・・・・・眩しいでござる。

 

 

そういえば--------死ぬ時もこんなんだったなぁ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あいつら、幸せにしてるかな?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あ、また会いにいきますよー」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〜???〜

 

「そして目が覚めれば見知らぬ天井」

 

これはあれか、あれをやらなければ。

 

「初代復活ッ!初代復活ッ!初代復活ッ!」

 

・・・あ、全巻読んでない。

 

「後で神様にたのもっかな・・・しかしここは誰かの家か?」

 

なーんか見たこともないような物がいっぱいある、ゲームキューブとかは神様といっしょにやってたのに・・・。

 

「いや待てよ?これはもしかしてお母さんが起こしに来るフラグか!?」

 

たしか天界でネット見てた時・・・二次小説ではこういうのはそうなるのがお決まり!。

 

「フハハハハッ!これは私の勝ち確ではないか!さぁ来いお母さん!私がそのフラグ・・・しっかり回収しようではないか!」

 

 

 

 

 

ガチャッ

 

 

 

 

「なのはママ?ただい・・・・ま?」

 

「おう、おかえ・・・・・り?」

 

 

お母さん× 超かわいい美少女○

 

 

私と目が合ったのは・・・美しい金色の髪、白い肌、整った顔立ち、オッドアイ・・・完璧な美少女。

 

まずい・・・惚れてまうやろ。

 

「えっと・・・ど、どちら様ですか?」

 

「まずは貴方からお願いします」

 

「あ、す、すみません・・・高町 ヴィヴィオ、7歳です」

 

ヴィヴィオはペコリとかわいらしくお辞儀までする・・・私、犯罪者になれそう。

 

「ドーモ、ヴィヴィオ=サン、ショダイ=ヤテン、デス」

 

「しょだい?やてん?」

 

首をかしげるその姿・・・ちょっとアホの子っぽくてなおよし。

 

 

「そんなことより遊ぼうぜ!」

 

「・・・へ?」

 

「お、スマブラあるじゃないか・・・この世界にもあるんだ、これやろうず!」

 

「へ?え?・・・あ、うん!」

 

 

たぶんヴィヴィオは考えるのをやめた。

 

 

「よし、私はピカチュウでいこう」

 

「なら私、サムス!」

 

「ほう・・・それで私に勝つと?」

 

「勝てるよ!だってなのはママそっくりだもん!」

 

「ヴィヴィオのお母さんはパワードスーツを纏うのか」

 

だとしたら怖い。

 

「違う!あのねぇ・・・バーンッ!ってビームをだすの!」

 

 

もっとたちが悪かった、それ人間じゃないと思う。

 

 

・・・・・人のことは言えないけど。

 

 

 

というかんじでスマブラで遊んでました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




小さい子供ってみんなこんな感じですよね。

たぶん。

意見、感想とかいっぱいください。


次回→息抜き


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ピカチュウと初代と聖王女

息抜きだ!

これが一時間クオリティの力。

では、どうぞ。


その1

 

「うにゃー!また負けた!」

 

「ふははっ!スマブラ歴290年の私に勝てるはずなかろう!」

 

天界では黄色い悪魔として恐れられていたものよ!

 

「---あ、そろそろフェイトママが帰ってくる」

 

「フェイト・・・ママ?」

 

あれ?ヴィヴィオたしかなのはママって・・・。

 

「うん!フェイトママはね、すっごくはやいの!」

 

速い?なのはって人がサムスだからこっちも凄いのだろうか?

 

「それでバリバリーって電気をだせるんだよ!」

 

「よし、その人ピカチュウな」

 

ぴっぴかちゅうっ!

 

「おっきな剣でずばーっ!かっこいいよ!」

 

「大剣を振り回すピカチュウとな」

 

超シュールじゃないですかやだー。

 

というかサムスだったりピカチュウだったりって・・・何者なんだろかヴィヴィオの母親って。

 

 

 

ガチャッ

 

 

 

「ただいま」

 

「あ、フェイトママ!おかえりなさい!」

 

ほう、この人が・・・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ちょっと若くないか?

 

 

「ん?ヴィヴィオ、その子は?」

 

「あ、えっと・・・うーんと・・・・・?」

 

・・・これはちょいとまずい。

 

「ドーモ、ピカチュウ=サン、ショダイ=ヤテンデス。家なし、友なし、家族なしです」

 

「ピ、ピカチュウ?」

 

「ピカチュウ!鳴き声だ!」

 

「え?え?」

 

「フェイトママ!ピカチュウの!」

 

「え、ぴ、ぴ、ぴかちゅうっ」

 

あらやだ可愛い。

 

「そんなあなたにはこの電気玉をプレゼント」

 

「あ、ありがとう・・・うわっ本物そっくり」

 

「当たり前でしょ本物なんだから」

 

「え?」

 

「え」

 

 

話しが噛み合わない。

 

 

 

「フェイトママー、お腹すいたー」

 

「あ、ごめんねヴィヴィオ、今なにか作るよ。君も食べる?」

 

なんと!?

 

「見ず知らずの人にご飯を食べさせてくれるとは!あなたは天使ですかっ」

 

「いや、そんな大げさだよ」

 

「そんなあなたにはこのこだわりメガネをプレゼント!」

 

「え、うん、ありがとう・・・これも本物そっくり」

 

「だって本物ですもの」

 

「え?」

 

「え」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〜30分後〜

 

「ホットケーキおいしいナリ」

 

「おいしー!」

 

「ほら、よく噛んで食べて」

 

自分で作るのいいけどやっぱり人の作ったものはうまい。

 

神様は料理下手だったし。

 

「お礼にカキ氷を作ってあげます!---とりあえず、ここらに一帯2、3km凍らせていい場所ってありますか?」

 

「ないよ・・・」

 

「えー・・・凍結魔法なんて『氷結の息吹(アーテム・デス・アイセス)』くらいしかないのになぁ」

 

威力を絞れば500mくらいで済むかな?・・・無理だ、久しぶりの魔法で手加減できる気がしない。

 

「----!?ちょ、ちょっと待って!」

 

「はい?」

 

「今なんて!?」

 

今?えーっと・・・。

 

「おっぱい大きいですね」

 

「そうじゃなくてっ、今言ったこと!」

 

「『氷結の息吹』?」

 

「そう!なんではやての魔法の名前を!?」

 

はやて?・・・だれじゃいそれ。もしかして借金執事のことか!?・・・違うか。

 

「なんでって・・・自分の魔法の名前くらい知ってますよ」

 

この名前考えるのに一週間はかかったんだから・・・懐かしい。

 

「自分の?・・・君、何者?」

 

あ、なんか目が怖い。これはヤンデレでいうヤンだな。

 

「さっき自己紹介したんですけど」

 

「え?」

 

「えっ」

 

 

泣いてやる。

 

 

「な、泣かないで!もう一回、もう一回だけ自己紹介してっ」

 

「ヴィヴィオー!おっぱいピカチュウにいじめられたー!」

 

「フェイトママ、泣かせたらめーっ、だよ!」

 

「えぇっ!?」

 

「そうだそうだー!」

 

「泣き止んでるよね!?」

 

ちっ、ばれたか。ヴィヴィオに抱きつける時間がっ!

 

「しかたないです、改めて自己紹介しましょう」

 

「うん」

 

「わー」

 

よし、格好よく決めよう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「-----私、『夜天の書』製作者にして初代夜天の王の『初代』です。かつての二つ名は『歩く要塞』、以後お見知り置きを」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「なのは?うん、ごめんね忙しいのに・・・とりあえずこれから家に一人増えるかもしれないの、家なしとか家族なしとか・・・たぶん次元漂流者だと-----」

 

 

 

あれ?

 

 

 

 

 

 

 

 

信じてない

 

 

「初代君だっけ?次元漂流者としてしばらく保護させてもらうね」

 

 

 

 

 

 

 

あるぇ?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




ちょっと強引でしたね。

ポケモンネタ多い。

意見、感想、待ってます。

次回→息抜き


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まさか---偽名!?、ええ偽名です

Q:こんなホイホイ投稿していいのかい?

A:疲れてるんだ。許してちょ。




 

あれからちょっと時間がたち、サムスさんが帰宅した。

 

栗色の髪のサイドポニーに優しそうな顔立ち、とてもこの人がビームを撃つとは思えない。

 

 

だから----

 

 

「お母様、私にヴィヴィオをください!」

 

「い、いきなり!?」

 

「彼女のためなら一国だって滅ぼしてみせましょう!」

 

「物騒だよっ!・・・こ、この子が例の次元漂流者の?」

 

「うん、初代君」

 

あ、なんか完全に初代が名前になってる。

 

「私の名前は初代じゃないんです!えっと・・・」

 

 

な、なにかいい名前はないのか!?

 

 

ヴィータ・・・ロリ

 

シグナム・・・おっぱい!

 

シャマル・・・僧侶?

 

ザフィーラ・・・犬

 

クロハネ・・・兎さん

 

 

ちくしょうだめじゃないかっ!

 

 

「名前は?」

 

ぐぬぬ・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あ、いいのあるじゃん。

 

 

「---そう、ユーリ!私の名前はユーリです!」

 

「ユーリ・・・?」

 

「YES!」

 

あいつにゃちょっと悪いけど、名前を借りるだけなら許可なんていらないよねっ!

 

「ゆーり君!ゆーり君!」

 

「んー?なんだいヴィヴィオ?」

 

「えへへ・・・呼んでみただけ」

 

 

0/12←ライフ

 

 

「御宅の娘さんはなんて可愛いんだ」

 

「そうでしょ?私達の自慢の娘だもん!ね、フェイトちゃん♪」

 

「うん!」

 

 

百合の花を見た。

 

 

「ゆーり君、えほんよんでー」

 

「ほいさ、初代さんに任せなさい」

 

 

「---あれ?なのは、私達・・・なにか忘れてない?」

 

「?・・・・・気のせいだよっ」

 

「そうだね」

 

この二人、いろんな意味で大丈夫なのかな。私がここにいることとかに疑問持ってない・・・。

 

 

「------------」

 

「?ゆーり君、えほんよんで」

 

 

あー・・・・・うん。

 

 

「字・・・・・読めない」

 

 

なんだこの文字は・・・・・グニャグニャしてて何がなんだかわからない。

 

 

「ん?どうしたの?」

 

「あ、いや・・・字、まったく読めないんです」

 

スマブラはキャラ見てどうにかなったんだけどなぁ。

 

「そっか・・・なら練習しなきゃ、ユーリ君のいた世界はどんな文字を使ってたの?」

 

「私のですか?・・・・・・・・・・こんなかんじのです」

 

とりあえず『あ い う え お』を書いてみる。

 

 

 

 

「!?」

 

「なのは・・・これって」

 

 

およ?

 

 

「古代ベルカ文字・・・・?」

 

「古代べるか?」

 

ベルサイユのバラならよく見てたんだけど・・・。

 

 

オスカルェ......

 

 

「ユーリ・・・さっき自分が夜天の王って言ったよね?」

 

「おお!やっと信じてくれますか!」

 

---------おや?

 

「ピカチュウさんは夜天の書を知ってるんですか?」

 

「うん、知ってる。ユーリ、ちょっと質問に答えてくれる?」

 

「どんとこい」

 

製作者の名にかけて、タイムショック!

 

「守護騎士、またの名を?」

 

「ヴォルケンリッター」

 

常識。

 

「それぞれの騎士の名前はわかる?」

 

ふっ・・・そんなの。

 

「烈火の将シグナム、鉄槌の騎士ヴィータ、湖の騎士シャマル、盾の守護獣ザフィーラ・・・管制人格のクロハネ」

 

 

仮にも家族の名前を忘れるほどバカになってはいないさ。

 

 

「・・・まさか本当に夜天の主だったの?」

 

「そー言ってるじゃないですかい・・・夜天の盟主、ここにありっ!てねっ」

 

どやぁ?

 

「-----なら、ユーリには会わせなきゃいけない人がいるね」

 

「会わせなきゃいけない人?」

 

 

誰だろ?

 

異世界にとても私の友人がいるとは思えないが・・・・。

 

 

「今代の・・・いや、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

---最後の夜天の主だよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・・・・最後?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 





個人的に早く初代の戦闘を書きたい。

意見、感想、待ってます。

次回→息抜き?


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最初と最後の出会い

Q:そんなホイホイ(ry

A:下書き無くしたでござる


話しは前話の翌日です。どうぞ


 

“ねぇリインフォース”

 

“何でしょうか?”

 

“私って最後の夜天の王なんよね?”

 

“ええ、そうですが・・・それがなにか?”

 

“あのな・・・最後やからやろーか、最初の夜天の王さんってどんんな人やったんかな?っと思ったんや”

 

“ッ・・・最初の・・・ですか・・・”

 

“あ!嫌なら話さんでええんやよ!?”

 

“大丈夫です・・・”

 

“・・・もしかして最初の主さんはええ人やなかったん?”

 

“そんなことはありませんっ!”

 

“!?”

 

“あっ・・・すみません主、少し興奮してしまいました・・・”

 

“いや、ええんやよ、ということはいい主さんやったんやな?”

 

“はい・・・プログラムである私達に人の感情を与えてくださり、家族として迎え入れてもらい----”

 

“ふーん・・・つまりリインフォースはその人が大好きやったってわけやなぁ?”

 

“ふぇっ!?”

 

“当たりや!やたっ”

 

“か、からかわないでください主!”

 

“えへへー、嫌や〜”

 

“あ、主〜!”

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〜時空管理局 司令官室〜

 

「(アインス・・・)」

 

「はやて?どうかしたの?」

 

「あ、ごめんごめん、ついぼーっとしとったわ」

 

心配そうに自分の顔を見るヴィータに大丈夫だ、と言う。

 

「しかし主・・・我々を急に召集するとは・・・なにか問題が?」

 

ヴォルケンリッターの将であるシグナムは問題あらばすぐ動くという顔だ。

 

「うーん・・・話しが本当なら大問題なんやけど・・・」

 

「はやてちゃん、もったいぶらずに言ってください」

 

「そうです!」

 

リインフォースⅡとシャマルは話しの内容が気になるらしい。

 

「そうやね、ほな言おうか

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

初代夜天の王が生きとるらしいんよ」

 

 

「「「「「・・・・・は?」」」」」

 

5人の言葉が綺麗に重なる。

 

「だーかーら、生きとるかもしれんの、初代が」

 

 

「----いやいやいや、ちょっと待ってはやて」

 

首を横に振るヴィータ。

 

「主、初代夜天の王と言えば少なくとも数百年前の人間のはずです。・・・生きているわけがありません」

 

「私もシグナムに同意です」

 

「そ、そうですよはやてちゃん」

 

「まったくですよーはやてちゃん」

 

他の守護騎士達も信じていない様子。

 

「そう思うやろ?やけどなのはちゃん達が嘘つくとは思えんの」

 

「なのはが関わってんのかよ・・・」

 

「・・・そうなると話しが・・・」

 

なのは=常識破壊の理論。

 

「みんなの名前を騎士名ごと言い当てたり、そもそも夜天の書っていう名前を知ってるあたり、かなり信憑性が高いはずなんよ」

 

「我らを騎士名ごとですか?」

 

守護騎士達は個人の名前ではかなり有名だ。

 

しかし騎士名を知っている人間など局内でもかなり少ない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

コンコン

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「お、来たみたいやで」

 

「も、もう来てるんですか!?」

 

突然すぎてぎょっとするシャマル。

 

だがそんなことで時は止まるわけもなく、扉は開かれる。

 

 

 

 

 

 

 

「右ストレートでぶっ飛ばす!右ストレートでぶっ飛ばす!」

 

「ゆ、ゆーり君?」

 

 

はやて達が固まったのは言うまでもない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〜初代side〜

 

「右ストレートで-----あ、みんな久しぶり」

 

「「「「「「・・・」」」」」」

 

反応が薄すぎワロス。

 

「なんだよー、感動の再会なんだからもっと反応見せてよ」

 

家族との時を超えての再会だよ?母を訪ねて三千里もびっくり。

 

 

「・・・おめー、誰ですか」

 

 

 

 

.......るぇ?

 

 

 

 

「あっはっはっ!ヴィータは昔からそんな感じだったもんな、でもそれは酷いぜぃ」

 

「・・・この子が?」

 

「うん、そうだよ」

 

「まだ子どもやないか・・・」

 

ん?

 

「クロハネ・・・・・ちっちゃくなった?」

 

「クロハネ?私はリインフォースⅡです」

 

「リインフォース?でも髪の色とか除いたらクロハネそっくりなんだけど・・・」

 

「!?、アインスのことまで知っているのか!?」

 

うぬぅ・・・なんかよく解らん単語がでまくっている。

 

嘘、私の知識・・・なさ過ぎ?

 

「君が初代夜天の王?」

 

「はい、貴方が今の夜天の王ですか?」

 

「はじめまして。最後の夜天の王、八神はやてです」

 

「こちらこそ、初代夜天の王です」

 

この人か・・・・・・ふむ。

 

「いい目をしてますね」

 

「ふふ、おーきに」

 

この人なら騎士達を幸せにしてくれてるんだろうなぁ。

 

なんか変な言葉使いだけど。

 

「ところでクロハネはどこですか?あいつにゃ話すことがいっぱいあるんですよ」

 

主に私の死んだ時についてとか。

 

「そやね、それについて話したいんやけど・・・ちょっと証拠を見せてほしんよ」

 

「証拠?」

 

私は犯罪を犯した記憶はないにだがね・・・・。

 

あ、前言撤回、神様にチョメチョメしたわ。

 

「君が初代夜天の王である証拠や」

 

証拠ねぇ・・・。

 

「魔法でも見せればいいんですよね」

 

「うん、そうしてもらえるとありがたいわー」

 

ふふふ、魔法を使える。

 

このたまりに溜まった魔力と性y---を解放する機会だ!

 

「なに見せましょうか?ヘイムダル?フレースヴェルグ?デアボリック・エミッション?ワルキューレ?ラグナロクも----」

 

「・・・こいつ本当に夜天の王なんじゃね」

 

「今の魔法・・・全部夜天の書にある魔法ですよはやてちゃん」

 

「お、シャマルよく覚えてる!今あげた魔法はお前達作ったもんね〜」

 

大変だったよあれは・・・デアボリック・エミッションでよく事故った。

 

「へ、あ・・・そ、そうですね!」

 

 

 

 

「訓練所の貸し切り許可もでとるから、早速行こっか?」

 

「訓練所?wktkですね!」

 

 

ひあうぃーごー!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〜訓練所 モニタールーム〜

 

「---あら、みんなもう揃ってるのね」

 

「あ、リンディさん」

 

「母さん」

 

移動してからだいたい20分。初代以外はモニタールームで待機、そこに遅れてリンディがやって来た。

 

「忙しいのにありがとうございます」

 

ぺこりと頭を下げるはやて。

 

「いいのよ、どうせ暇だったんだし」

 

「母さん・・・それはそれでどうかと」

 

どうやら提督クラスは暇らしい。

 

 

『みーなーさーんー!準備おっけーですー!』

 

「あ、了解やー」

 

 

「あの子どもが・・・夜天の書を作った人」

 

「・・・母さん、あの---」

 

「大丈夫よフェイト。仮に彼が本当に夜天の王だったとしても・・・あんなことを望んでやったわけじゃないもの・・・」

 

「リンディさん・・・」

 

 

『よーし、初代さん頑張っちゃうよー!まずは景気ずけに一発!』

 

初代の足元に黒く輝くベルカ式の魔方陣が形成される。

 

「・・・なんやあの魔力光?」

 

「黒く・・・輝いてる」

 

「初めて見た・・・」

 

なのは、フェイト、はやての三人は初めて見る魔力光に目を奪われる。

 

「・・・シグナム、見たことある?」

 

「・・・いや、記憶の限りではあのような魔力光、見たことがない」

 

シャマルの問に冷静に答えるシグナム。

 

 

『集え、生命の息吹、大地を統べる地殻となれ・・・・・』

 

 

 

「!?な、なんやこの魔力量!?」

 

「オーバーSクラス!?」

 

モニターに表示される魔力値に全員が驚愕した。

 

 

『大地の怒り、ボーデン・オブ・アルガー!!!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〜10分後〜

 

『うーんっ!スッキリしたー!』

 

「こ、これは・・・・・」

 

「はやてちゃんと同じ・・・広域型魔導師?」

 

「けど・・・」

 

「---規模が違い過ぎるわ」

 

 

モニターの向こうには、魔法を撃ちまくって満足した様子の初代。

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、更地となった訓練所。

 

 

『これで信じてくれますかー!』

 

「はやてちゃん・・・」

 

「・・・信じるしかないやろ、デアボリック・エミッション、ラグナロクまで使っとったんやから」

 

「あのような幼き子が・・・我らを作り上げたというのか」

 

「どうなってんだよ古代ベルカって」

 

「私に聞くな」

 

古代ベルカの人間の技術力に驚きを隠せない。

 

 

『あのー、聞いてますかい?』

 

「ああ、聞いとるよ。解った、信じるよ」

 

『よっしゃ!』

 

ガッツポーズを作り満面の笑みを浮かべる初代。

 

 

 

「戻って来たら話すよ、そやね・・・とりあえず------夜天の書が闇の書って言われとったところから話そっか」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 





うまく書けないってつらい。

意見、感想、待ってます。

次回→息抜き?


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再会のために

Q:おい、似たような小説あるぞ

A:世界って狭いね


 

い、今起こったことをありのまま話すぜ!

 

 

初代死ぬ

主を転々とする

どっかのバカがプログラムを弄り一部機能が変化

どっかのバカが防衛プログラムにナハトヴァールとかいう厄介なのを追加

しばらくは良かったが、いつのまにか暴走

666項目分の魔力を集めないと主を殺す、集めたらクロハネが出てきて主を殺す、そして暴走

いつしか夜天の書ではなく闇の書と呼ばれるようになる

最後の夜天の王が仲間とともにナハトヴァールを破壊する、だがクロハネが生きている限りプログラムは消滅しなかった

そしてクロハネは夜天の書とともに消滅した

 

 

なにを言っているのか分からないかもしれないが、私もよく分からん。

 

 

「つまり、夜天の書が迷惑かけたってことですね」

 

「まぁ・・・そういうことになるかな」

 

むぅー、まいったねぇ.....

 

「本来の目的とは違った形で使われていたとは・・・ということはその夜天の書はコピーってことですね?」

 

 

「そう、これはアインスが遺してくれたデータから作られた複製品や」

 

 

 

お?

 

 

 

「・・・今なんと?」

 

「へ?これはアインスが遺してくれた「それだ!」?」

 

 

残っている・・・クロハネのデータが。

 

 

 

なら・・・。

 

 

 

 

「-----復活させましょう」

 

 

 

「「「「「「「「「は?」」」」」」」」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〜30分後〜

 

「---っていう手順でやればたぶんいけます」

 

「・・・・・ほんまか?」

 

「ええ」

 

最後のさんは結構しつこいな、これで7回目だ。

 

「待ちなさい!そんなこと出来るわけないわ!それを可能にするには少なくとも夜天の書の詳細データを全て---」

 

ちっちっち・・・甘いな。

 

「データならここに」

 

私は自慢の頭を指でコツコツと叩く。

 

あんまり脳ミソがつまっていない音がした。

 

「---全て記憶してるの!?」

 

「ぴんぽーん!」

 

自分が作ったものを記憶してるのは常識だよねっ!

 

「ほ、本当にそんなこと出来ちゃうの?」

 

「サムスさん、出来るって言ってるじゃないですか」

 

「・・・ナハトヴァールはどうするの?」

 

クロハネに寄生してるえっちな奴か。

 

「製作者の名にかけて消します」

 

「・・・許可できないわ。それでナハトヴァールが復活すれば---」

 

ふぅ・・・まったくこの人は。

 

「なら等価交換しましょう。この話しを呑んでくれたら・・・私の知識を貸しましょう」

 

「あなたの・・・知識?」

 

「ええ、夜天の書を作り上げたほどの知識、この時代にはない知識だってあると思いますよ?」

 

というかあると断言できる。

 

だってデータはあるのに夜天の書のコピーを一冊しか作れてないもん。

 

「・・・・・」

 

「それとぶっちゃけて言えばこの世界の技術力って低いです。私から見ればですけど」

 

「それでも----」

 

「あ、別にあなたが拒否しても私はやりますよ?一人でもできるし」

 

「なっ!?」

 

家族を復活させるのは常識です。

 

ザオリクとか使えたら手っ取り早いのにね。

 

「私を拘束とかしちゃいます?残念ながらそっちの趣味はないので全力で抵抗しますけど。あ、さっき見てもらった通りデバイス無しでもけっこういけます!」

 

「ぐっ・・・・・」

 

 

 

「どうします?」

 

 

 

 

 

あなたに拒否権なんてありませんよ?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〜一週間後 地球 とある公園〜

 

「いやー・・・寒いっすね。ていうかなにこの白いの」

 

---------白い、まさかっ!?

 

「これは『雪』っていうんやよ。アインスが消えるときもこうやった」

 

考えてたのと違ったの巻。

 

「へぇ・・・ロマンチックじゃないですか」

 

ということで私達は今クロハネが消えた場所に来ています。

 

 

クロハネの復活条件の一つ。

 

 

『一番強い思いが残っている場所』

 

 

「懐かしいなぁ、アインス、元気にしとる?」

 

「今からその本人に会うんですからその時聞いてあげてくだせぇ」

 

私も元気か聞かなきゃ。

 

 

「----よし、準備はできたぞ」

 

「ほい、あんがとシグナム」

 

 

私と最後のさんを中心にヴォルケンリッターが四角形に囲み、その外にサムスさんとピカチュウさん。

 

「それじゃ---ユニゾンしてくださいな」

 

「了解や、いくでリイン!」

 

「はいです!」

 

 

「「ユニゾン!」」

 

 

 

 

おおぉ・・・・・。

 

 

「ユニゾンするの私以外で見るのは新鮮ですなぁ」

 

「ん?おらんかったの?」

 

「そりゃ私が融合騎の開発者ですしおすし」

 

クロハネが初の融合騎なのを知らないのかな?

 

「・・・なんでも有りだな」

 

「あ、ザフィーラ私のころと全く同じこと言ってる」

 

「む・・・そうなのか?」

 

「うん、ていうかみんな変わってない」

 

いくらプログラムといえでも長い年月が経てば・・・と思ったけどそんなことは無かった。

 

ちょっとうれしい。

 

「それにしても・・・まさかあの人、黙認してくれるとは思いませんでしたわー」

 

「おもいっきり脅してたよね」

 

「クロハネに教えてもらった」

 

「なにしとんのアインス・・・」

 

クロハネは腹黒い(確信)

 

「そんなことはいいとして・・・ちゃっちゃと始めましょうか」

 

「了解や」

 

最後のさんが頷き、他のみんなも気合いを入れてる。愛されてますなー。

 

 

「じゃ、いきますよー。魔力を集中させてくださいな」

 

 

各々の魔方陣が展開され、空間が美しく色どられた。

 

「あとはこのクロハネの欠片に・・・」

 

クロハネ復活条件

 

『クロハネの遺物』

 

「シュベルトクロイツ・・・」

 

「私の杖の色違いですね」

 

「え、そうなん?」

 

「はい、私のは銀色です」

 

クロハネのことだからちょっと意識したのかな?

 

「いきます-----ふぅ・・・・・来よ、祝福の追い風、夜天の王の下に再び集え!」

 

 

シュベルトクロイツが輝きだし、私の輝黒と最後のさんの純白の魔力がそれを包み込む。

 

騎士達とサムスさん達の魔力が渦を巻き集う。

 

 

「さーって、どーこっかなー」

 

 

クロハネの---いや、夜天の欠片を探す。おそらく誰も干渉できないような場所にいるんだろう。

 

 

「!?初代、その目は---」

 

「?ああ、気にしないでください、集中するとこうなるんで」

 

たぶん虹彩が金色に輝いてるのを言っているのだろう。ちなみに原理は私も知らん。

 

 

 

 

 

「まだ見つからんの?」

 

「むぅ・・・どこにいるんだあのおバカさんは」

 

もしかして最深部?

 

だとしたら取り出すのが相当やっかいなんですけど・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〜???〜

 

あれからどれほどの月日たったのだろう。

 

あのとき主の元から消え、私はいなくなるはずだった。

 

 

だが私は生きている、この深淵の空間で。

 

 

これが罰なのだろう。人を殺め続けた私に幸せになる資格なんてなかったんだ。

 

 

 

 

・・・こんなとき、あの人ならどうするのだろう。

 

静かに寝れると言うか、この空間から脱出しようとするか。はたまたここに新しい世界を作り上げるかもしれない。

 

 

会いたい、もう一度だけでいいから。

 

 

 

騎士達に

 

 

主に

 

 

 

 

 

 

 

あの人に------

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「みーつっけたーーーー!!!」

 

 

・・・・・・・え?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〜初代side〜

 

「みーつっけたーーーー!!!」

 

いたいたいたよ、あんなところに!

 

「ほんま!?」

 

「ほんまほんま、ほんまでっかよりほんまですっ!」

 

こんなとこ私でもない限り干渉するのなんて絶対無理だぞ・・・。

 

とにかくなんかテンション上がってきた!

 

 

「見つかったのか!?」

 

「うん!みんなは魔力解放に集中して!---最後のさん!」

 

「なんや!」

 

「ちょっくらクロハネに会ってきてくださいな!」

 

「うn・・・えぇっ!?」

 

最後のさんは豆鉄砲くらったような顔でこっちを見る・・・こっち見んな。

 

「そのためにユニゾンしてもらったんですよ!いいですか?精神だけをクロハネのところに飛ばします!あなたの仕事はクロハネを説得すること!あいつの生きたいという意識がなかったら復活は不可能です!」

 

「!・・・わかった!」

 

〈了解です!〉

 

うん、いい顔してるねぇ!それにクロハネ二号の気合いも十分のようだ。

 

「初代は?会わんくてもええの?」

 

「会いたい気持ちは山々ですが、このナハトヴァールとやらと戦うのに手が離せないんですよっ!」

 

なんなんだコイツは!?プログラムの89%を掌握してるって・・・作った奴は天才だなぁっ!

 

「リイン、いつでもいける?」

 

〈お任せあれ!〉

 

 

「準備はオッケー?オッケーじゃなくても飛ばしますけど。では-------リンクスタートッ!」

 

「ッ!」

 

最後のさんの意識を最深部へ・・・・・飛ばせた。

 

 

 

 

さて、頑張ってきてくださいね。

 

 

とりあえず私は-----。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〜???〜

 

「-----貴様、何者だ」

 

「ドーモ、ナハト=ヴァールサン。『夜天の魔導書』製作者にして------初代夜天の王です」

 

 

 

 

この子をどうにかしなきゃ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




リンディさんらへんがおかしい?

後々わかりますよ。

意見、感想、待ってます。

次回→息抜きEX


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時を越えた再会、ユニゾン

Q:もっと練習しろ

A:時間をかけましょう


 

〜???〜

 

今の声・・・・・あの人?

 

 

いや、そんなはずはない。あの人は私達の目の前で-----。

 

 

 

「リ----ース」

 

 

 

 

 

 

「フォース-----リイ-----アイ---」

 

 

 

おかしい。聞こえるはずのない声が聞こえる。

 

私の名を呼ぶ声。

 

私の仕えた最後の主。

 

 

 

「アインスッ!」

 

「-------主!」

 

 

 

 

 

八神はやての声が。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〜???〜

 

「この書の製作者?」

 

「ええ、そうです」

 

初代の目の前にいるのは一人の女性。

 

周りの空間に溶け込む長く黒い髪。

 

肉食獣のような鋭い赤目。

 

 

----そしておっぱい。

 

 

「---あり得ない。っと言いたいが・・・ここに入って来れるなら本当みたいだな」

 

「『夜天の書の闇』ってやつですね」

 

「うまいことを言う」

 

「それほどでも」

 

軽口を挟みながら、特に緊張した様子もなく会話する二人。初代はここに来た経緯を説明した。

 

 

「ふむ・・・つまりお前は書の管制人格を救いにきたと?」

 

「そっすねー」

 

素っ気なく答える初代にナハトヴァールは小さく笑う。

 

「無理だ。いや、不可能ではないだろう----だが、それには私が着いてきてしまう。ここに会いにきたくらいだ、知っているだろう?私は暴走する。自分でも抑えきれないほどにな・・・今もお前達を追い出さんとしているだろう?」

 

「知ってる・・・だからここに来た」

 

初代の言葉にナハトヴァールは首を傾げた。

 

「どういうことだ?」

 

「知っているかいナハトヴァール。君は夜天の書のプログラムと89%シンクロしていることを」

 

長年いっしょにいすぎたのだろう。ナハトヴァールのプログラムはほぼ完全に夜天の書と融合している。

 

「・・・ああ」

 

「ここはどこか知っている?」

 

「・・・夜天の書の闇」

 

「そう、ここは夜天の書の一部。----つまり私の世界」

 

そう言った初代の手に一冊の分厚い本が出現する。

 

「!?それは・・・」

 

「プログラムの書き換えが可能なわけよ」

 

 

暗黒の空間が消える。

 

 

代わりに現れたのは『蒼』

 

 

雲一つない空にどこまでも続く大海原。

 

その光景に驚くナハトヴァール。

 

「ほぉ・・・なかなか良い趣味だな」

 

「お褒めに預かり光栄です」

 

ペコリと一礼して初代は手に持つ『夜天の書』を開く。

 

「ナハトヴァール・・・私について来ない?」

 

「お前にか?」

 

「うん♪どーせここにいたって暇でしょ?なら外の世界を謳歌しようじゃない」

 

にゃはは、と笑い手を差し出す。

 

「それもいいかもしれない・・・・・しかし私には----」

 

「暴走?さっき言ったじゃない、プログラムを書き換えれるって」

 

「・・・正気か貴様」

 

「初代さんはいつだって正気さ」

 

(`・ω・´)

 

「なんだその顔は」

 

「キメ顔」

 

 

こんなかんじでグダグダする2人だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〜???〜

 

「リインフォースっ!!!」

 

初代が変なことをしているころ、八神はやてはリインフォース・アインスとの再会を果たす。

 

「主・・・」

 

「よかった、ほんまによかった!会えた!やっと会えた!」

 

アインスの胸に顔をうずくめ、ギュッと抱きつくはやて。

 

「主、大きくなられましたね・・・」

 

そこには最後に別れたときとは比べものにならないほど成長した自らの主の姿。

 

「うん、うん!だってもう10年もったったんやもん・・・」

 

その年数を聞き、アインスは少し驚く。

 

「10年・・・私はそんなにここにいたのか」

 

「どないしたん?」

 

「いえ、なんでもありません。しかし主、どうやってここに・・・」

 

ここは夜天の書の闇の最深部。普通はどうやっても入れない、見つけることだって出来ないだろう。

 

「・・・アインスの大好きやった人が力を貸してくれたんや」

 

はやての言葉に先ほどの懐かしい声を思い出す。

 

忘れもしないあの声、最初の主にして創造主。

 

「まさか・・・・・初代・・・・・ですか・・・?」

 

自分がかつて仕えた存在。

 

世界一優しく、強かった人。

 

「それは直接会ってくれたらわかるよ?だから・・・いっしょに行こ?ここから出よ?」

 

「・・・・・」

 

アインスは思う。こんなところに自分を探しに来るのなんて初代くらいだろう。

 

プログラムを全て把握し、記憶しているのは彼だけ。

 

どんなときも暖かく接してくれた。

 

---会いたい。

 

 

けれど----

 

 

「・・・私は・・・行けません」

 

振り絞るように出されたのは拒絶。

 

「なんで?・・・みんなアインスが帰るのを待ってるんやよ?」

 

悲しい目をするアインスを暖かくも---寂しそうな目で見つめ返すはやて。

 

「これは・・・ここに閉じ込められたのは世界が与えた私への罰です。たくさんの人を殺め、不幸した・・・この私への」

 

「違うっ、アインスは・・・リインフォースは悪くない!悪いんは夜天の書をおかしくした人や!それなのに・・・なんでリインフォースがこんな辛い目にあわんといけんのっ!」

 

アインスと呼ぶのも忘れ、10年前に呼んでいた名を叫ぶ。

 

「直接手を下したのは私です。・・・主、最後にもう一度だけあなたに会えてよかった」

 

薄暗い空間がねじれ、アインスを飲み込み始めた。

 

「・・・リインフォース?だ、だめや!行かんで!」

 

飲み込まれるアインスの手を掴み、必死に引っ張り戻そうとする。

 

「・・・・・やはりあなたは優しい」

 

そう言って彼女は

 

 

 

 

 

その手を振りほどいた。

 

 

「あっ・・・」

 

情けない声が空間に響く。

 

 

「さようなら」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〜アインスside〜

 

これでいい。

 

主は私という存在に縛られてはいけない。

 

ああ、そんな顔をしないでください。せめて最後は-----

 

 

 

笑ってください。

 

 

 

 

 

「っと!あっぶなっ!?なにしてるアホんだら!」

 

 

・・・・・?

 

 

誰かが私の手を掴んだ。

 

主の手ではない。もっと小さい手。

 

だけどどこか懐かしい温もり。

 

 

知っている。私は知っている。

 

この手の、この温かさの持ち主を。

 

 

 

「久しぶりだね大馬鹿野郎!」

 

 

彼は変わっていなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〜初代side〜

 

「久しぶりだね大馬鹿野郎!」

 

会えたと思ったら自殺願望とは・・・コイツはまったく。

 

「初代・・・・・初代なのですか・・・?」

 

クロハネはその紅い瞳を見開き矢で射抜くように私を見ている。

 

「そうさ、初代だ。お前の最初の主『初代夜天の王』だっ!」

 

いざ自分で真剣に言ってみるとすっごく恥ずかしい。やっぱ中二?

 

「なぜ、なぜあなたが・・・あの時、あなたは確かに----」

 

「細けぇこたぁいいんだよ!グリーンなんだよ!だからさっさと帰って来い!」

 

こんな闇の中に引きこもって・・・美人ニートとかわりと笑えないんだぞ。

 

「ですが「ですがじゃないっ!」!?」

 

まだ言うか!

 

「ここで罰を受ける?違うだろ!罪っていうのは---行動でしか償えないんだよ!どれだけ言葉を並べようとも、行動しなきゃ逃げているだけ-----これを教えてくれたのはクロハネ、他でもないお前だ!もう忘れたか!」

 

「ッ!!」

 

わすれもしないあの日、逃げかけていた私に力くれた言葉。この言葉のおかげで・・・私は強くなれた。

 

「クロハネ!もう一度私の騎士となれ!」

 

「!?初代の・・・騎士」

 

「そうだ、お前の罪は私の罪でもある・・・いっしょに償えばいい」

 

夜天の書を作り出した私にも責任はある。

 

「私は・・・生きていいのですか?」

 

「ああ」

 

「あれだけの人を不幸にしたのに?」

 

「うん」

 

「たくさん殺してしまったのに?」

 

「・・・それは私も同じ」

 

汚れてるのはクロハネだけじゃない、私もだ。

 

「リインフォース・・・」

 

「主、私は、私は・・・」

 

クロハネの目からポロポロと涙が流れる。泣き虫なのも変わってない。やっぱりクロハネ。

 

「クロハネ、あの時、最後に私の手を掴んでくれたよね」

 

「はいっ」

 

死ぬ寸前まで一緒にいてくれた。

 

「でも私は振りほどいた」

 

「・・・」

 

騎士達を救うため・・・それが裏目に出たけれど。

 

「勝手だけど・・・今度は離さない!」

 

「はい、はいっ!」

 

クロハネの握る手に力がこもった。これで準備は整った・・・いける。

 

「行くぞ!超久しぶりのユニゾン!」

 

この空間を完膚なきまで破壊するため。

 

「了解しました-----我が主!」

 

たった一度しかできなかったユニゾン。

 

けど不思議と不安はない。

 

 

「「ユニゾン・イン!!!」」

 

 

 

 

さぁ・・・・・ハッピーエンドへ向かいましょう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




Q:ツヴァイちゃんいねーぞどうなってる

A:ツヴァイは精神のないはやての体の魔力制御で『夜天の闇』に入っていないから

意見、感想、待ってます。

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夜天の闇(イージーモード)

Q:お前、暁はどうした

A:しばしまたれよ、もう少しだ


“道は・・・騎士達が切り開いてくれたっ!”

 

“主!”

 

“クロハネ!”

 

““ユニゾン・イン!!””

 

 

“ユニゾン・ドライブ---ぶち抜けぇぇぇぇぇッッ!!!”

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〜夜天の闇〜

 

「・・・・・」

 

そこには三対の黒翼『スレイプニール』を展開し、ユニゾンをした初代が立っていた。だがあまり変化が見られない。強いて言うなら髪の色が灰色になったくらいだ。

 

「・・・・あれ?」

 

はやては期待はずれだったらしい。初代---開発者のことだ、もっと派手になると思っていた。

 

「どうしました?」

 

「あ、いやー、なんでもあらへんよ!」

 

首をブンブン振り、笑いながら誤魔化す。

 

「そうですか・・・?まぁいいや、クロハネ・・・私の甲冑を」

 

〈御心のままに〉

 

初代の体が輝黒の魔力に包まれる。

 

10秒ほどで魔力が消え、騎士甲冑を纏った初代の姿が現れた。

 

 

「リインフォースのと・・・お揃い?」

 

はやてが目にしたのはリインフォース・アインスが纏っていた騎士甲冑を着た初代。スカートの部分がズボンになり、背中には剣十字の---夜天の証の金刺繍。

 

「そーなんです。ね、クロハネ」

 

〈お、お恥ずかしながら・・・〉

 

声からでもわかるほど恥ずかしがっている。どんだけ初代好きなんだってレベル。

 

 

「----貴様ら話しは終わったか?」

 

空間の一部が歪み、現れたのは---ナハトヴァール。

 

〈!?お、お前はっ〉

 

「リインフォースの知り合い?」

 

アインスは驚愕し、はやては首傾げる。

 

「うん、終わったよ」

 

初代は気にする様子もない。

 

〈あr・・・初代!この者は!〉

 

「大丈夫、大丈夫、ナハトヴァールでしょ?知ってる」

 

〈そうです、危険です!下がってくださ・・・・・・・え?〉

 

会話になにか違和感を感じたアインス。

 

「こうして直接会うのは久しいのぅ・・・管制人格」

 

〈ナハトヴァール・・・!〉

 

ナハトヴァールは口角を上げ、楽しそうに笑う。

 

「え、うぇぇっ!?この女の人がナハトヴァール!?」

 

はやてが見たナハトヴァールは、まさに『怪物』と呼ぶにふさわしい姿をしていた。それがこの美しい女性である。

 

「ふふん、驚いたか?まぁ無理もない、お前達が見たのは本当の姿ではないのだからな」

 

えへん、と大きな胸をはりドヤ顔をするナハトヴァール。誰得だ。

 

「劇的、ビフォーアフター!今回の依頼人は夜天の書防衛プログラムのナハト=ヴァールさん」

 

〈初代!ふざけている場合ではありません!なぜあれがここに!?〉

 

焦りのみえる声でアインスは初代に問いただす。

 

「あー・・・あの子も連れて行こうと思いましてね」

 

〈つ、連れて行く!?正気ですか!〉

 

初代はナハトヴァールを外に連れて行くと言い出したのだ。今までの暴走の根源を。

 

「初代、それはちょっと・・・」

 

はやても異を唱える。

 

「ちっちっち・・・安心してください、バグの部分は全部消しますから。それにナハトヴァールだって本来暴走するものじゃなかったんだよ?」

 

〈ですがっ!初代の身になにかあれば・・・〉

 

それでも食い下がるアインス。過去の記憶がなにかを思わせるらしい。かなり必死だ。

 

「はいはい、話し後でねー・・・さーて、バグを集めるよ」

 

---が、そんなことはお構いなしに初代は手を叩く。

 

 

次の瞬間、ナハトヴァールのいた空間のように世界は雲のない大海原へと変化した。

 

「・・・・・おぉ」

 

感嘆の声。

 

「これでよし・・・・・最後のさん、甲冑を着てください---来ますよ」

 

「ほぇ?」

 

はやてのぬけた声が聞こえた刹那

 

 

 

 

 

「ゴァァァェェェェォォォォァッッ!!!」

 

 

海から化け物が現れた。

 

「うっわ、予想以上にデカイ」

 

「だいたい200〜300mといったところか」

 

冷静に分析をし、どうでるかを考える2人。

 

「あれ・・・ナハトヴァール!?」

 

化け物の姿は10年前に自分達が倒したナハトヴァールに細部は違うものの、そっくりなのだ。

 

「私のバグが大きかったせいだな」

 

「ということは噂の複合障壁もあるのかな?・・・シルバリオクロイツ」

 

掛け声とともに銀の剣十字杖が初代の手へ収まる。

 

「初代?なにを----」

 

「クラウソラス」

 

突き出された杖から砲撃走る。

 

優に直径3mはあろう砲撃は吸い込まれるようにバグに向かい-----。

 

 

なにかに阻まれ無効化された。

 

 

『クラウソラス』の副次効果で着弾地点から青い球状の衝撃波が発生する。

 

 

こちらは先ほどとは違う。阻まれはしたが、無効化されてはいない。

 

「・・・魔法障壁?」

 

魔法攻撃が通らなくて物理攻撃は通る---すなわち魔法障壁。

 

「ふむ・・・魔法障壁が二層みたいだな」

 

初代の大出力砲撃にも耐えた。バグ---残りカスのようなものでも強いようだ。

 

「ナハトヴァール・・・何でわかるん?」

 

真っ先に魔法障壁が二層と答えたナハトヴァールに疑問を持つはやて。

 

「あれはほぼ私だ。何となくわかる」

 

「何となくって・・・」

 

 

 

「ギョォォァァァァァァォォッ!」

 

バグが叫びを上げ、大量の触手を出現させる。

 

「うるさい、黙っておれ」

 

それに対しナハトヴァールは海中と自らの服の袖口から血のように紅い鎖を出し、バグを縛り上げた。

 

「魔法障壁ってことは・・・物理で砕けばいいわけだ。となると『アレ』か」

 

夜天の書のページがめくられ、その魔法が記録されているところで止まる。

 

「なにをするのか知らんが・・・抑えは私がやる。さっさとしろ」

 

縛る力を上げ、ナハトヴァールが言う。

 

「ほいさっさ。最後のさーん」

 

「なに?」

 

いつの間にか騎士甲冑を纏っていたはやては初代の呼びかけに振り向く。

 

「---ラグナロク撃っちゃってくだいさい。貫通破壊型で、全力で」

 

「うん、わかった・・・・・え?」

 

了承した後で気づく。

 

「今はまだですからねー。でも準備はしておいてください」

 

初代は正面に輝黒の足下には青色のベルカ式魔法陣を展開。

 

「ちょ、魔法障壁は「最後のさん、この夜天の書ってどういうデバイスか知ってますよね?」---あ!」

 

夜天の書は巨大蒐集ストレージ型デバイス。その手の対処方は山ほどある。

 

〈初代、いつでもいけます〉

 

「お、了解・・・そんじゃま、いきますよ」

 

輝黒の魔法陣に黒と白の魔力が集まりはじめる、バグの頭上には青色のスフィア。

 

 

「海より集え水神の槍」

 

 

海から大量の水の槍が続々とスフィア向かう。

 

 

「彼方より来たれ銀雪の吐息」

 

 

スフィアに集う海水は渦を巻きながら急速に凍結され、その姿を大きくしてゆく。

 

 

「逆巻き連なり天に座せっ!」

 

 

詠唱が終わるころにはバグの大きさの半分はあるだろう、巨大な氷塊が完成していた。

 

 

 

物理攻撃魔法-----『ヘイムダル』

 

 

「っ!?なんやあれ・・・!」

 

はやては驚愕していた。

 

自分は魔力量と広域魔法には自信があった。だてに広域Sランクを持っているわけでもない。

 

だがあれは別格。

 

ユニゾンの補助があるとはいえ、あれほど巨大な氷塊をこのスピードで作り出すのは明らかに異常である。

 

「ふぅー・・・って、最後のさん!早く準備!」

 

「あ、りょ、了解や!」

 

そんなこと気にしている場合ではない。自分は今自分のできることに集中する---その思いを胸に、はやても魔力をチャージし始める。

 

 

「つーわけで、く・だ・け・ろぉぉぉぉッッ!」

 

 

杖が振りかざされ、氷塊が落ちる。

 

単純な攻撃だが規模が違いすぎる。抵抗しようのない圧倒的な質量による物理攻撃。

 

 

『ヘイムダル』は第一層の魔法障壁にぶつかり合い---砕け散った。

 

 

砕けたのだ。

 

 

「一層しか破れとらん!」

 

魔法障壁は二層構造。

 

一層目は破壊できた、しかしさらに強力な二層目がある。

 

 

「まだですよ、ブラスター1ッ!ヘイムダル再氷結!」

 

「ブ、ブラスターシステム!?」

 

初代の体が薄っすらと黒い光に包まれ----砕け散った氷塊達が再び氷結を開始したのだ。

 

それもさっきより巨大に。

 

 

「槍陣を成せ 白銀の破槌!」

 

夜天の書のページからも魔力があふれる。

 

「ヘイムダル----ファランクスシフトッッ!!!」

 

 

先ほどより超巨大化した氷塊。

 

それに加え、周りにも新たに氷塊が形成されていた。

 

サイズはすでにバグを超える。

 

 

「ぐっ・・・」

 

夜天の書を持つ右手の指と爪から出血する。ブラスターシステムの反動だ。

 

〈初代!なぜブラスターシステムをお使いになられたのですか!あれの危険性はあなたが一番知っているはずです!〉

 

「ごめんごめん・・・痛てて、ブラスター1でもこれか・・・進歩してないなぁ」

 

血を払いながらから苦笑いをする初代。その額には脂汗がういている。

 

「・・・貴様ら魔法と言えばなんでも有りか」

 

ヘイムダルを見て呆れ返っているナハトヴァール。

 

「・・・くらえこのヤロー」

 

 

大氷塊が一斉にバグへ降り注ぐ。

 

 

轟音を立てて衝突。

 

 

第二層、破壊。

 

 

「やった!」

 

バグを守っていた障壁は全て破壊された。

 

残るは本体のみ。

 

「やるなら早くしろ!もう抑えられんぞ!」

 

バグは鎖を無理矢理引きちぎって抵抗。おそらくもうすぐ拘束は解かれる。

 

 

 

だが。

 

 

 

「---それより私達の方が早い」

 

 

夜天の王2人はすでに魔力チャージを終え、発射体制。

 

「(ヘイムダルと一緒にラグナロクのチャージ・・・レアスキルでも持っとるんかねぇ)」

 

普通では絶対にできないことをやっている初代にしびれて憧れるわけでもなく構えるはやて。

 

「さぁ、フィナーレ!」

 

2人の魔法陣が輝きを増し、ベルカ式特有の三角形魔法陣の各頂点に魔力を収束させる。

 

 

「響け!」

 

「終焉の笛!」

 

自分の持つ必殺の魔法を全力でぶつける。

 

 

「「ラグナロク!!」」

 

 

黒と白。

 

対なる二つが混ざり、連なる。

 

 

「---ドライブッ!」

 

 

出力がさらに上がり----

 

 

バグのコアを飲み込んだ。

 

 

 

そしてバグごと-----

 

 

 

 

 

空間を破壊した。

 

 

 

 

 

 

〜海鳴公園〜

 

「ッ・・・主はまだかっ!」

 

はやてと初代が夜天の欠片入ってから20分が経とうとしていた。

 

しかし2人は一向に動かない。

 

「も、もう魔力がっ」

 

「踏ん張れシャマル!」

 

弱音を吐くシャマルに喝を入れるヴィータ。

 

「でも・・・さすがに厳しいかも」

 

この20分間、6人は魔力を送り続けている。疲れが見えるのは当然だ。

 

「そうだね・・・・・?」

 

「どうしたの・・・フェイトちゃん?」

 

フェイトの見る先をなのはも見る。

 

 

初代とはやての間が光り始めていた。

 

「----!!!」

 

 

なのは達がなにか言うよりも早く。

 

 

 

 

 

巨大な魔力爆発が起きた。

 

 

「きゃっ!?」

 

「うわっ!」

 

あまりの衝撃波になのは達と守護騎士達は簡単に吹き飛ばされる。

 

 

 

 

魔力爆発が起きた中心部。

 

 

そこには----。

 

 

「いったぁ・・・ん?みんなどうしたん?」

 

けろっとしたはやて。

 

「お帰りクロハネ」

 

「・・・ただいま戻りました」

 

夜天の書を持つ初代と消えたはずのリインフォース・アインス。

 

「な、な、なんなのじゃこれはぁぁぁっ!?」

 

 

絶叫している謎の幼女。

 

 

 

無事に帰って来れたようだ。




『バグ』

アインスとナハトヴァールのバグの集合体。本当はけっこう強いのだが、ナハトヴァールの拘束と初代の大魔法のせいで輝けなかった
残念な子。


『夜天の血鎖』

ナハトヴァールが使用した紅い鎖。異常に頑丈。


『クラウソラス』

砲撃魔法。使用者の魔力光に関係なく青色。副次効果として着弾地点に物理的な衝撃波を発生させる。


『魔法障壁』

バグが頑張って作った対魔法障壁。魔法に対して強いのだが残念ながらヘイムダルにあっさり破壊された。


『ヘイムダル』

海水をくみ上げて作る巨大な氷塊。純粋な物理攻撃。魔法なのかこれ?


『ヘイムダル・ファランクスシフト』

ヘイムダルのファランクスシフト。砕けた氷塊を再氷結させ、さらに巨大化、数を増やす。初代はブラスター1による魔力ブーストをかけていた。


『ブラスターシステム』

別名、旧ブラスターシステム。ベルカ時代初期のころのもので、ミッド式のブラスターシステムより魔力上昇率が高い。ただし反動が非常に大きく、危険性が高い。


意見、感想、待ってます。

次回→息を抜きすぎた


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復活パーティー!ポロリはないよ!

Q:日間ランキング50位になった感想は?

A:まさかのランクインでびっくりしたし嬉しかった。


注意!

この物語ではエグザミア、および紫天プログラムは初代が組み込んだことになってます。

そこを踏まえていただくと幸せになれます。


 

「それじゃ、リインフォースの復活と初代?の復活を祝って・・・カンパーイ!」

 

《カンパーイ!》

 

場所は変わって海鳴の八神家。はやての声とともに全員がグラスを掲げる。

 

 

「久しいな、アインス」

 

「ああ・・・久しぶりだ、シグナム」

 

10年前、主の身を任せたシグナムとの再会にアインスから笑顔がこぼれる。

 

「お姉ちゃん!お帰りなさいです!」

 

子どもモードでアインスの周りをグルグル回るリイン。アインスがこら危ないぞ、と言って注意している光景は微笑ましい。

 

 

「・・・・・」

 

そんな中、不機嫌そうにソファーに座る少女が1人。

 

脚までとどきそうな初代のような黒髪、鋭い赤目。

 

「なーはーとー、そう拗ねないでよ」

 

初代はその少女を『なはと』と呼び、隣りに座る。

 

「ふんっ・・・せっかく外に出られたと思えばこれじゃ」

 

「仕方ないでしょ、バグが大きすぎたんだから。必要なところ残したらそうなったんだし・・・」

 

 

簡潔に言えば、ナハトヴァールが小さくなったのだ。

 

原因は初代が消し飛ばしたバグ。

 

急いでいてかなり荒くバグを選別したらしく、バグの中にナハトヴァールの身体構築プログラムの一部を混ぜてしまったらしい。

 

結果、夜天の闇の中での体を構築するのが難しくなり・・・幼女になった。

 

 

「あげく私を融合騎に?バカも休み休み言え」

 

「なはと、融合、騎」

 

「貴様喧嘩を売っているだろ?」

 

拳を鳴らして初代に迫る。

 

 

 

「・・・また騒がしいわね」

 

「あ、あはは・・・アリサちゃん厳しい」

 

急にパーティーに呼ばれたアリサ、すずかはやっぱりかと言わんばかりの様子。

 

「ごめんねアリサちゃん。急に呼んじゃって・・・忙しかった?」

 

本当に急に呼び出してしまったので、なのはは迷惑がかかっていないかを確認する。

 

「そんなことないわよ。ただ・・・家にいる同居人が心配だけど」

 

 

「「「同居人!?」」」

 

同居人というキーワードに反応する彼氏いない歴=年齢の魔法少女3人。

 

「なんてことや・・・アリサちゃんが私らより先に大人の階段を・・・!」

 

「ア、アリサ・・・初めてってやっぱり痛いの?」

 

「嘘・・・すずかちゃんと・・・」

 

「違うわよっ!女の子よ女の子!あんたの拾った子どもくらいの!」

 

なにか勘違いしている3人を叱り飛ばし、説明をするアリサ。

 

 

アリサは自立のため、1年前からマンションで1人暮らしをしている。

 

今から一ヶ月ほど前、マンションの部屋の前に小さな女の子が倒れていた。

 

“・・・おなかへった”

 

そう言うので放っておくわけにもいかず、料理を食べさせてあげたらなついたらしい。それからなんだかんだで一緒に暮らしているとのこと。

 

 

「へぇ。アリサちゃん優しい!」

 

「行き倒れの人間がいたら放っておくわけにはいかないでしょ」

 

一緒に暮らしてるのはなぜか?あえて質問しない。

 

「なんて名前なん?」

 

よほどその少女が気になるのか、目を輝かせるはやて。

 

「イアよ」

 

「イアちゃん・・・珍しい名前だね」

 

地球でもミッドでも聞かない名前に関心する3人。

 

 

 

「なぁ初代・・・なんで右手が血まみれなんだ?」

 

「ひょ?・・・げ、傷口開いた」

 

ヴィータが指差す初代の右手からはだくだくと血が流れていた。ブラスターシステムの反動が現実世界まで響いたようで、こっそり応急措置を施したようだが失敗したようだ。

 

「あ、主!?シャマル!主の手が!」

 

「へ?はやてちゃん?」

 

アインスの言葉にはやてを見るシャマル。

 

「違うっ!えっと・・・しょ、初代だ!初代のほう!」

 

「初代・・・!?ど、どうしたんですかその手!?」

 

初代の惨状に気づいたシャマルはその手をとる。

 

「いっ!?・・・・・たくない」

 

やせ我慢がバレバレである。

 

「こっち来てください!治療しますよ!」

 

「いやいや、こういうのは舐めれば治らなくもないんだよ」

 

「だめですっ!」

 

言い訳も虚しく、ズルズル引っ張られていく初代。

 

「あ、ゆーりくん・・・」

 

なにか話したげだったヴィヴィオは連行される初代をみてちょっと悲しそうな顔をするのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〜2時間後〜

 

「ふー・・・楽しかったわぁ」

 

パーティーから2時間、なのは達も帰宅し、八神家には新旧夜天ファミリーだけになった。

 

「ところで最後のさん、あなた仕事があるんじゃ・・・」

 

のんびりとソファーに寝るはやてを見て、心配そうに初代は言う。

 

「問題ないよー。なのはちゃん達と揃って1週間の有給もらってきたから」

 

ポンと1週間の有給をくれるって管理局は大丈夫か、組織としてまずいんじゃないかと思う初代。

 

「相変わらずわからんの・・・管理局は」

 

幾度となく管理局と戦ったなはとは管理局の対応にため息をつく。

 

「夜天の書、システムに問題は?」

 

《Es ist befriedigend.(問題ありません)》

 

フワフワ浮いてる夜天の書はくるりと一回転してアピール。

 

「よし、少なくとも私のときの状態までは戻ってるね」

 

自分が死ぬ前の夜天の書まで状態が戻ったのを確認して満足げに頷く。

 

《---Ein Defekt wird überprüft.(欠陥を確認)》

 

「・・・は?」

 

先ほど問題無しと言っていたのに急に欠陥があると言い出した夜天の書。

 

《Ein Defekt wird mit einem Tiefenteil geprüft----Funktion U-D(深層部に欠陥を確認---システムU-D)》

 

「・・・・・えっ」

 

初代の顔から血の気が引く。

 

「初代?どうしたん?」

 

硬直した初代を覗き込むように見るはやて。

 

 

「・・・・・」

 

無言で甲冑を展開し、初代は転移の準備をしだした。

 

「!?初代、どこに行かれるのですか!」

 

「離せクロハネ!ヤバイ、ヤバイんだよっ!」

 

アインスに羽交い締めされながらもジタバタして逃れようとする。

 

「ちょ、ちょっと初代?ほんまになにがあったん?」

 

「エグザミアがないんですよ!!!」

 

「・・・エグザミア?」

 

はやては数年前のことを思い出す。エグザミアといえば闇の欠片事件の核のことだ。

 

夜天の書に長く眠っていマテリアルズ達とどんぱちしたのを懐かしむ。

 

「あれは洒落にならない!今すぐ探して書に戻さないと下手な次元世界なら消し飛ぶ!」

 

初代の焦り具合から、エグザミアがかなり危険なものだということが分かる。そもそもはやて達はそれを十二分に知っている。

 

「えーっと・・・それについてなんやけど・・・」

 

「私だけじゃ手が足りない・・・クロ、アカ、アオ!」

 

 

夜天の書はなにも反応しない。

 

 

「紫天プログラムまで無いの!?あ、これ詰んだわ」

 

清々しい顔で諦めた初代。

 

「ちょっと話しを聞いてくれへんかな?」

 

「いや、あいつらのコアに直接干渉すればワンチャン・・・」

 

 

はやてのチョップがさくれつした。

 

 

「話し聞こうか?な?」

 

「はい・・・・」

 

 

こうして初代は『闇の欠片事件』を知ることになる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〜とあるマンション〜

 

「ただいまー」

 

やや早足で帰宅したアリサは軽く靴を脱ぎ、リビングへ。

 

「イアー?ただいま・・・」

 

アリサが開けたリビングへつながる扉。その先にあるソファーに猫のように丸くなっている少女が1人。

 

背中の中ほどまである夜空のように黒い髪を前の方で二つに縛り下ろす髪型に、不健康なほど白い肌。

 

100人見れば100人が美少女と言うレベルの寝顔をする少女---『イア』

 

「〜〜〜!これがあるから癒されるのよねー」

 

イアをぎゅーっと抱きしめてアリサ自身もソファーに寝転ぶ。

 

「・・・んにゅ・・・・・・ありさ?」

 

「あら、起こしちゃった?」

 

 

アリサに抱きつかれ目覚めたのだろう、イアの瞳がゆっくりと開かれる。

 

 

黒い瞳と------蒼の瞳。

 

 

「・・・・・」

 

「今日は面白い子に会ったのよ。イアと同じ拾われた子で名前は----みんな初代って・・・」

 

 

「・・・くー」

 

「って、寝るんかいっ」

 

 

マイペースな同居人にため息をつきつつ、アリサ・バニングスはベットへと運ぶ。

 




『システムU-D』

エグザミアとユーリ・エーベルヴァインの総称。初代が焦るレベルで危険な代物。


『紫天プログラム』

システムU-Dの制御プログラム。クロ、アカ、アオはその管制人格。


『イア』

謎の少女。少なくとも地球の人間ではない。



意見、感想、待ってます。

次回→息抜きの極み


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夜天のモノマネ

Q:なのは無印好きなキャラは?

A:すずかちゃんこそ至高。


 

今の話しを簡潔にまとめるぜ!

 

 

U-D暴走→ぶっ飛ばす。

 

 

「簡潔すぎやな」

 

「あらゆる過程をすっ飛ばしたぞこいつ」

 

最後のさんはともかくヴィータの反応がなんか酷い。あれは賞味期限が切れちゃった卵を見る目だ。

 

「まー・・・あいつらが幸せに暮らしてるならいいんですけどねー」

 

といってもちょいと寂しいなぁ・・・あ、項目埋まってない。

 

「さっきみんなから搾取した魔力で94項目・・・全然たりないんですけど」

 

「今搾取って言った?言ったよね?」

 

あん、最後のさん痛いです。アイアンクローは痛いです。

 

「あの魔力供給に意味は?」

 

「とくに」

 

でもあえて言うなら・・・。

 

 

「魔法データの更新ですかな」

 

あの人達は蒐集された人らしいし。

 

「魔法データの更新?」

 

「はい。データによればサムスさんとピカチュウさんは10年前にリンカーコアを蒐集されてました」

 

騎士達が頷く。苦労しただろうなぁ、あの人達強そうだし。

 

「更新ってことはまた蒐集したん?でもリンカーコアの蒐集ってたしか一回きりって・・・」

 

「リンカーコアは蒐集してません。蒐集したのは魔法データのみ」

 

とは言ってもあんまり魔法増えてないな・・・。

 

「ならどうやって・・・・・まさかあの魔力供給か」

 

「大正解!時間はかかるけど一度リンカーコアを蒐集した相手からは魔力を通して魔法データの更新が可能なのですよ」

 

これぞ夜天の書の便利機能!

 

「・・・本当にすげー技術だよな」

 

ヴィータの目が卵を見る目から尊敬の目にランクアップした。こいつ人のこと尊敬できるんだ。

 

「古代ベルカの超技術・・・夜天の書もその立派な一つやな!」

 

〈Danke Hayate(ありがとうございます、はやて)〉

 

お、夜天の書がちょっと照れてる。珍しい。

 

「---っと、魔力供給しなきゃ」

 

〈Danke für Ihre Überlegung(お願いします)〉

 

 

夜天の書が開き、紫色に輝く。

 

同時に私のリンカーコアが引き出される。やっぱ慣れないこの作業。

 

「お、おい・・・大丈夫なのか?」

 

「心配ご無用。50%くらいしか吸わせないから」

 

蒐集されたことのある人にとってあれはトラウマだからね・・・実際痛い。

 

 

〈Sammlung(蒐集)〉

 

夜天の書の蒐集が始まる。

 

「おおぅ、感じちゃう」

 

「アインス、こいつってやっぱりあたし達の元主じゃねーよ」

 

「ヴィータ、初代は昔からこのような方だ」

 

ヴィータの目がゴミを見る目になった。もれなくクロハネも困ったような顔をする。

 

泣くぞこのやろー。

 

 

《・・・・・・・》

 

 

ページがめくれる音だけが部屋を包む。え、なにこの雰囲気。

 

ここは一発空気を和ませろと?そういうことか!

 

 

「働いたら負けと思っている(cvシグナム)」

 

 

〈Bogenform!〉

 

笑いは取れたが命まで取られそうなので素直に謝っておく。

 

「ふっ、冗談だ」

 

「冗談でボーゲン使う奴始めて見たわ」

 

カードリッジの無駄遣いすぐる。

 

 

〈Meister(主)〉

 

 

「どうした夜天の書?」

 

後ろで最後のさんが飲み物を配っているところ、夜天の書が話しかけてくる。何だろう。

 

〈Das Schutztier eines Schildes wird imitiert(盾の守護獣のモノマネをします)〉

 

 

・・・・・what?

 

 

「初代もどう?」

 

最後さんが私にコップを差し出す。騎士達はすでに飲み始めている。

 

あ、なんかオチ読めた。

 

 

 

 

 

 

 

〈tenuiiiiiiiiyaaaaaaaaaa!!!〉

 

 

 

食卓が飲み物で綺麗に彩られ、夜天ファミリーの腹筋が崩壊した瞬間だった。

 

 

 




『夜天の書』

初代の開発した蒐集型巨大ストレージデバイス。

単独で次元転移したりSランク魔法を使えたりする。

散歩好きで稀に腹筋崩壊させてくる。


意見、感想を燃料に作者は動く。

次回→息抜きの極み、アッー!


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生活汎用決戦兵器(夜天の書)

Q:A,sで一番好きなキャラは?

A:リインフォース!



今回のお話しはおまけみたいなものなので短いです。


 

 

 

 

 

腹筋崩壊事件の翌朝。

 

夜天の書の朝は早い。

 

 

午前6時07分、夜天の書は置いてあった机からふわりと浮く。

 

 

部屋の中には二人。初代夜天の王とリインフォース・アインスがぐっすりと眠っていた。

 

初代はアインスの豊満な胸に埋れ、多少苦しそうにしているがなんの問題もないと判断。魔法で部屋のドアを開けて台所へ。

 

 

 

 

 

 

 

〈....open!〉

 

グ○コもびっくりないい発音。

 

 

部屋を暗くしていたカーテンが一斉に開く。ひんやりとした部屋に僅かだが朝日が転がり込む。

 

〈Wenn Sie mehr nicht studieren(もっと勉強しなければ)〉

 

なにを勉強するんだというのにはあえてツッコミを入れない。そもそもツッコミ相手が台所にいない。

 

 

冷蔵庫を開き食材を確認。10秒ほどたったとき一言。

 

 

〈Es ist sicher ein gebratenes eggs.(無難に目玉焼きですね)〉

 

 

 

 

 

 

散歩好きな魔導書は朝食を作り始める。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〜午前7:15〜

 

「初代、お前は夜天の書になにをした」

 

「なにもしてないよ・・・」

 

みんなぼちぼち起き始めたころ、リビングへ入ったシグナムの感想だった。

 

 

美味しそうに湯気を立たせる朝食、綺麗にすみずみまで掃除がいきとどいた部屋。暖房までついてる。

 

 

〈Guter Morgen, jeder(皆さんおはようございます)〉

 

「あ、ああ」

 

「おはよ」

 

「おはよう・・・」

 

 

アインス、初代、シグナムはこの状況がよく分からないものの、少なくとも夜天の書が準備したことだけが分かるので反応に困っている。

 

 

 

 

 

 

「みんなごめんっ!寝坊しちゃった!」

 

そんな中、普段よりも遅い起床のはやてがリビングに駆け込む。

 

「あ、最後のさん」

 

「ごめんなぁ、ちょっと寝坊しちゃった・・・・・あれ?」

 

 

真っ先にはやての目に入ったのはホッカホカの朝ごはん。

 

「我が主、おはようございます」

 

「うんおはよ・・・・もしかしてみんなで作ってくれたん?」

 

見た目がすごく美味しそうな料理に喉を鳴らしながらはやては初代達を見る。

 

 

「いや、こいつ」

 

視線の先には-----夜天の魔導書。

 

〈Während des Tragen darin hinaus,..(お恥ずかしながら...)〉

 

「・・・こんなことできたっけ?」

 

「10年前はこんなことありませんでしたが・・・」

 

過去の夜天の書を思い出すが、こんな行動に心当たりはない、そう確信するはやてとシグナム。

 

 

「ふむ・・・最後のさんが媚薬を盛られた後に発する声は?」

 

 

〈nngimodiiiiiiiiiiiiii!!!〉

 

「なんだいつも通りか」

 

「どこがやっ!?」

 

よく喋る上に変態化してきている夜天の書。ノリがいい。

 

「私が主に戻ったからかなー?全機能が復活したからそのせいかも」

 

「生活機能でもつけとったんか」

 

「え?なんで魔導書にそんな機能付けなきゃならないんですか?最後のさんバッカだー!」

 

 

神速の魔力付与打撃が初代に炸裂した。

 

 

「今なんつった!あぁんっ!?」

 

「は、はやてちゃん落ち着いて!」

 

「クロハネー!最後のさんがいじめるー!」

 

「主、初代をあまりいじめないでください」

 

「・・・アインス、お前ちょっと初代に甘すぎだぞ」

 

ギャーギャー騒ぐところに一言。

 

 

「はやて・・・お腹すいた」

 

 

寝起きのヴィータの言葉で食事が開始されましたとさ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・・・美味しい」

 

そろった全員が同意した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




『open!』

どこぞの会社のCMのセリフ。このCMを見て思いついたのが今話。


『散歩好きな魔導書』

料理、掃除、洗濯までこなす万能魔導書。


意見、感想を待っております。

次回→スターライト息抜き。


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夜天の愚痴、ガチムチ物語

Q:stsで一番好きなキャラは?

A:ツヴァイとキャロ!


「ゆーりくん!ゆーりくん!これヴィヴィオが作ったの!」

 

相変わらず可愛いすぎるヴィヴィオは小さなお皿を私に差し出す。

 

「なんじゃいこれ」

 

ちなみに朝食を食べてグダグダした後、サムスさんの実家であるミトコンドリアに来ている夜天ファミリー。

 

・・・・なんか違うような。

 

「ユーリ、クッキーだよ?知らないの?」

 

 

クッキー・・・本で読んだことあるんだけどなぁ。なにせ天界では基本、果物した取れなかったし。

 

「これは・・・・・チュパカブラ?」

 

「うさぎだよっ!」

 

歪でエラみたいなのがあるから間違いないと思ったけどそんなこと無かった。

 

「クッキーは知らんのにチュパカブラは知っとるって、どんな知識なん」

 

「こんな知識です」

 

夜天の魔導書とか作っちゃう。

 

「とにかく一口食べてみて!」

 

ヴィヴィオにクッキーを強引に押し込まれる、この歳でイマ○ラオを体験出来るとは貴重だ。

 

 

------!!!

 

 

 

これは!?

 

 

 

 

 

「うまぁいっ!」

 

〈『テーレッテレー♪』〉

 

不意打ち効果音でお客さんを含めた数人が吹き出す。

 

やっぱりこいつおかしい。私が作ったのを差し引いてもおかしい。夜天の書じゃなくて笑天の書になってるよ。

 

「おいしい?」

 

「うむ、ほのかな甘みがいい感じだよ」

 

そんな顔で美味しい?なんて聞かれて不味いと言える奴はいない。いたとしたら熟女好きの人間くらいだろう。

 

 

・・・・・・あれ?

 

 

 

ヴィヴィオ→7歳

 

私→???歳(少なくとも700歳)

 

 

 

私って超絶ロリコンになるんじゃ・・・?

 

 

「ねークロハネ、私って何歳だっけ?」

 

厳しい現実から逃れるためにクロハネにすがろう。

 

「初代の歳ですか?あの時から容姿が変わっていないところを見るとおそらく10歳のままですが・・・」

 

ktkr!

 

「やったよヴィヴィオ!私ロリコンじゃないっ!」

 

「?・・・よかったねゆーりくん!」

 

なんて綺麗な心なんだ。ロリコンと言う言葉すら知らぬとは。

 

「そんなヴィヴィオには気合のタスキをプレゼント!」

 

「ありがと・・・う?」

 

秘蔵のポケモン道具シリーズが減ってきた。そろそろ補充を-----

 

 

「ねぇユーリ、ずっと気になってたんだけど・・・本物?」

 

ピカチュウさんがポケットから出したのは電気玉、攻撃と特高上がると思う。

 

「本物ですよ!なら試しに----」

 

「それは奥でやろうね?」

 

 

サムスさんが私をずるずる引っ張って行く。

 

お客さん達の生暖かい目が痛かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〜1時間後〜

 

「おぉぉぉ!かっけぇぇぇぇっ!」

 

「すごーい!」

 

 

なぜか映画の視聴になっていた。

 

 

「どうしてこうなった」

 

はやての率直感想である。

 

 

「ユーリが現代の魔法戦を見たいって言うから私達の映画を見せてるの」

 

苦笑いしながらも大興奮する二人を見て嬉しそうにするなのは。

 

 

「アルカス・クルタス・エイギアス、疾風なりし天神、今導きのもと撃ちかかれ。バルエル・ザルエル・プラウゼ----」

 

「ストーーーーップ!?」

 

 

詠唱を始め、周囲にフォトンスフィアが大量に展開されだしたのに驚愕し、フェイトは初代を止める。

 

「なんですかピカチュウさん、今ちょっと忙しいんです。邪魔しないでください」

 

「邪魔するよ!?室内でその魔法を使われたら困るからね!?」

 

フォトンランサー・ファランクスシフトはAAAランクの魔法。下手な建物ならいとも容易く破壊できる威力を備えているのだ。

 

ましてやとんでもない魔力量の初代ならなおさら。

 

「ほう・・・つまりジェノサイドシフトなら?」

 

〈Photon Lancer Genocide Shift〉

 

「夜天の書ものらない!」

 

 

本に怒る美女というシュールな光景。一般人ならドン引きだ。

 

 

 

 

「ユーリ君・・・で、いいのかな?」

 

「たぶんそれでいいです!」

 

体格のいいエプロンをした男性に親指を立てる初代。

 

「ここ翠屋のマスターをしている高町 士郎だ。よろしく」

 

「初代です」

 

二人はガッチリと握手を交わす。小さくきしゃな初代の手に比べ、『男』の手をした士郎。

 

「ちゃんと食べてるかい?細いよ」

 

「逆にあなたは騎士かなにかですか?並の鍛え方じゃないような・・・」

 

士郎の眉がピクリと動く。

 

「・・・どうしてそう思ったんだい?」

 

「え、なんでって・・・あなたみたいな人がゴロゴロいる世界に住んでいましたしたしおすし」

 

古代ベルカ初期、ベルカ式魔法の絶頂期に生きていた初代にとっては士郎ほどの人間でも少なくはなかった。

 

『騎士』が活躍した時代なのだから。

 

「ずいぶん物騒な世界に住んでいたんだね?」

 

「あはは・・・物騒でしたよほんとに-----

 

 

 

なんなんだよ皆揃って剣やら鎚やら杖は駄目か?駄目なのか?どいつもこいつもゴリマッチョばっかだしレベルを上げて物理で殴ればいいじゃないかみたいな考えしか持ち合わせないし話し合いは通じないし大魔法喰らわせてもHP1残るしさなんなの?気合いのタスキなの?ミラーコートしてくるの?

そんなことよりヴィヴィオ可愛いよねヴィヴィオ汚れ切ったこの荒野に咲く一輪の花ってもんですよ私って金髪好きなんですよしかもおしとやかで礼儀正しいなんてまさにドストライクなのですヴィヴィオ可愛いよモフモフしたいよクンカクンカはぁh---」

 

 

 

ガシッ←はやてに腕を掴まれる。

 

 

バッ←近くにいたヴィヴィオを盾にする。

 

 

ガッ←綺麗に足を払われる。

 

 

ゴッ←初代、床に頭を打つ。

 

 

ドンッ←その上にヴィヴィオが転ぶ。

 

 

「目がぁ!目がぁぁぁぁぁっ!?」

 

「待って!今の一連の動作で目にダメージを負う要素がまったく無いよ!?」

 

 

流れるような動きと初代の発言、どっちにつっこむべきか悩んだすえ、なのはは初代にツッコミをいれた。

 

 

「すみません士郎さん。うちのバカが迷惑かけて・・・」

 

ム○カ大佐も目じゃない叫びを完全に無視してはやては士郎に頭を下げる。

 

「それはいいんだが、あの子は何者なんだい?」

 

 

その問に対して、顎に手をあて少し考え----

 

 

「狂った・・・なのはちゃん?」

 

「なんでっ!?」

 

 

なのははこの答えに納得しなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「もうヴィヴィオだけが私の癒しだよ!」

 

「むぎゅっ」

 

ヴィヴィオにベッタリくっ付き頬ずりしている変態が一人。

 

 

 

 

 

「・・・・・・」

 

「アインス、行ってもいいのよ?」

 

 

7歳に軽く嫉妬するアインスでした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




『テーレッテレー♪』

ねるねるしちゃうお菓子のCMででる効果音。


『目がぁ!目がぁぁぁぁぁっ!?』

バルスで目がぁ!しちゃったどっかの大佐の迷言。


『笑天の書』

夜天の書の二つ名。


『秘蔵のポケモン道具シリーズ』

気合いのタスキからオボンの実まで幅広い品揃え。

夜天の書に入っている。


『Photon Lancer Genocide Shift(フォトンランサー・ジェノサイドシフト)』

フォトンランサーのシフトの一つ。

広域拡散型になっており、簡単に言えば物量作戦。

初代が使うとアインスより凄いことになるらしい。



意見、感想、待ってます。

次回→デアボリック息抜き


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夜天の思い出、お風呂もあるよ!

Q:お前ロリコンだろ

A:(`・ω・´)


この小説はよく時間が飛びますのでご了承ください。


なぜか私だけサムスさんの家に泊まることになった。

 

「そして美味しかった夕食」

 

「うふふ、そう言ってくれる嬉しいわ」

 

目の前にいる綺麗な女性は高町 桃子さん。サムスさんのお母さんらしい・・・・・何歳だこの人、若すぎる。

 

「やっぱりお母さんの料理は美味しいよ」

 

「あらあらなのはまで」

 

素晴らしい親子愛だ。感動しちゃう!

 

 

「ねぇねぇ、君も魔法使えるの?」

 

こちらのメガネを掛けた桃子さん似の女性は高町 美由紀さん。サムスさんとはあまり似てないなー。

 

「使えちゃいますよー」

 

「見せて見せて!」

 

むっ?いきなり魔法を見せてって言われてもなぁ・・・。

 

「だめだよお姉ちゃん!管理外世界での許可の無い魔法使用は禁止されてるの!」

 

めっ!と怒るサムスさん。兄弟仲もいいようだ。ウラヤマシス。

 

「サムスさんの言う通りらしいんです。それに私は広域型なので下手な魔法行使は控えてるので・・・ごめんなさい」

 

私の場合、手加減しても色んなとこ吹っ飛ばしちゃうから不便。クロハネがユニゾンしてくれれば話しは別だけど。

 

「なーんだ、残念・・・あ、広域型ってなに?」

 

美由紀さんは嬉々とした表情で私に迫る。

 

広域型についてか・・・・・うまく説明できるかな?

 

 

「簡単に説明するとですね・・・・・サムスさんが銃で相手を攻撃するなら、私は爆撃機で攻撃するようなものですねー」

 

 

ドン引きされた。ぐすん。

 

 

「なのはママー、お風呂入ろ!」

 

食器を流しに持って行ったヴィヴィオがサムスさんに抱きつく。私もされたい。

 

「うん、わかったよお風呂行こっか」

 

「ゆーりくんも!」

 

うんうん、親子いっしょに水入らずでお風呂、いいねぇ。クロハネに背中流してもらったのはいい思い出。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ん?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〜高町家 お風呂〜

 

「速報、サムスさんは着痩せする」

 

いやー、お風呂入ってびっくりしたよ?以外と大きくて。

 

「うっ・・・あんまり見ないでほしいかな?流石に恥ずかしい・・・」

 

なんとっ!?

 

「あの青いピチピチスーツを着ていながらなにを言う!」

 

「着てないよ!?私のバリアジャケットはあんなのじゃないよ!?」

 

なんと違ったらしい。あのスーツ裸より恥ずかしいと思う。

 

 

「えいっ!」

 

私の顔に思いっきりお湯をかけられた。こんなことするのはただ一人。

 

「ヴィーヴィーオー?」

 

ここは年配として注意----

 

「えへへっ」

 

この笑顔でもう許してしまった。

 

「もうほんっとヴィヴィオお嫁さんに貰っていいですか?」

 

「うーん・・・ヴィヴィオがいいなら・・・いやでもユーリだから・・・」

 

なんか酷いよこの人、まるで私がキ○ガイみたいなこと言いやがる。

 

間違ってないけど。

 

「んー?なんのおはなし?」

 

ヴィヴィオが首を小さく傾げ私を見る。ぐっふっ・・・。

 

「サムスさ---なのはママがなんでフェイトママと百合百合してるかについて話してたんだ」

 

「ゆりゆり?」

 

「そう、百合百合」

 

「ヴィヴィオに変なこと教えないでくれるかな」

 

割と真剣な顔で言うサムスさん・・・けど言ってることが言ってることなので凄みが全くない不思議。

 

「あ、サムスさんって砲撃魔導師でしたよね?」

 

「・・・そうだけど、それがどうしたの?」

 

昔はガチムチ野郎ばっかで教えてもらう機会がなかったので、ここで教えてもらおう。

 

 

「---スフィアコントロールを教えてくださいな」

 

 

 

 

 

この人ならできる(確信)。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〜午前1時〜

 

お風呂を上がってゲームして。

 

「・・・・・・」

 

みんなが眠ったころ、初代は夜天の書のページを月の光で照らしながら眺めていた。

 

「総魔法記録数25798。増えたなぁ」

 

あれから数百年、昔を思い出しながら蒐集魔法を確認していく。

 

「・・・スターライトブレイカー?うっわ、なにこれ集束魔法か・・・」

 

なのはの魔法と気づかずたちの悪い魔法だなぁ、と呟き書を閉じる。

 

「なはとー、なーはーとー」

 

〈Die Taube schläft jetzt.(なはとは今眠っています)〉

 

「あらそう」

 

ただ今ヴィヴィオを中心になのはと初代が川の字になっている。初代は一番窓側。

 

〈Schlafen Sie nicht?(お眠りにならないのですか?)〉

 

夜天の書が初代の周りをくるりと一周して言った。

 

「・・・ねぇ、あの戦い、どうなったの?」

 

その言葉を無視して放たれた質問に対し、夜天の書は30秒ほど黙り込む。

 

そしてゆっくりと電子の音を響かせる。

 

 

〈...Es ist unsere Niederlage, Dass auch verlor sein Leben.(我々の敗北です。あの方も命を落としました)〉

 

 

「・・・・・・」

 

 

 

初代はゆっくりと窓に手をかける。

 

開け放たれた窓からは冬の夜風が吹き込む。

 

 

 

 

 

 

「・・・・・・・・ごめん」

 

 

 

 

 

 

誰に贈ったのかも分からない謝罪の言葉は闇へ溶けた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「そんなことよりさ、ヴィヴィオの寝顔が可愛い件について」

 

 

いつもの初代だった。

 

 

「ほっぺた柔らかい、髪ふわさら!まるで二次元のキャラそのまま描いたような子だよ」

 

〈Es ist Einverständnis.(同感です)〉

 

静画保存機能でヴィヴィオの顔をパシャパシャ撮る夜天の書。ライトアップは初代のお仕事。

 

「まじでどうしよう、一目惚れしちゃったよ。いやでも3歳も歳下だし・・・」

 

 

〈es gibt nicht auf,.., Sie!(諦めんなよお前!)〉

 

 

夜天の書が修造化した。

 

「夜天の書・・・」

 

〈Es wird das machen was und wird dort aufgeben! Es ist noch nicht über seiner eigenen Mauer!(どうしてそこで諦めちゃうんだ!まだ自分の壁を超えてないだろ!)〉

 

※夜天の書ボイスです。

 

「自分の・・・壁」

 

〈das ist richtig! Sie können machen Ihr am besten mehr, weil es weiß! Das Gefühl ist wichtig!(そうだよ!お前がもっと頑張れるの知ってるから!その気持ちが大事なんだ!)〉

 

 

「・・・先生、私間違ってました!そうですよ・・・年の差なんて関係ないですよね!」

 

〈Es ist wunderbar! Wenn es dieses Fühlen hat, wird eine Wegdose bestimmt geschnitten! Es bekommt so heiß, wie diese Kälte es nicht verloren wird!(素晴らしい!その気持ちを持ってれば必ず道を切り開ける!この寒さに負けないくらい熱くなるんだ!)〉

 

もはや夜天の書ではなく修造の書である。初代はキラキラした目で修造の書を見つめる。

 

「はい!先生!」

 

〈mehr--!. werden Sie heiß, ....!(もっと!熱くなれよぉぉぉぉ!)〉

 

 

 

 

 

 

「ウルサイ、ハヤクネロ」

 

 

 

 

「(´・ω・`)」

 

〈(´・ω・`)〉

 

 

 

 

寝ぼけなのはに一括され、仕方なく眠りにつく。

 

 




『広域型』

はやてや初代が当てはまる魔導師タイプ。

後方から一撃必殺の大魔法を撃ち込むのが主な仕事。基本このタイプの魔導師は大魔力保有者。単純な火力なら、なのはだって上回る。


『修造の書』

挫けたときに熱い言葉をかけてくれる。


『あの戦い』

初代が戦死した戦い。夜天の魔導書の悲劇の始まりでもある。



シリアス?ねーよんなもん。

意見、感想プリーズ。

次回→ディバイン息抜き


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融合騎なはとゔぁーる

Q:vividで誰が一番好き?

A:ヴィヴィオとコロナ、異論は認めん。


ところで皆さん、この小説ってアンチヘイトのタグ付けるべきでしょうか?

意見をください。


とりあえず最後のさん家に帰って来た。後でヴィヴィオが遊びに来る。オラ、ワクワクすっぞ!

 

 

 

「この、駄々っ子っ!」

 

〈Sonic drive〉

 

 

 

 

 

 

 

 

「なにしとるんや?」

 

「やることがないので夜天の書の映像記録にあったので再現してみますた」

 

私の体が金色の魔力で覆われてる・・・・・金色?

 

「これはスーパーサイヤ人フラグ・・・!」

 

「ねーよ」

 

ヴィータが心にもないことを言うのでソニックドライブとやらを解除する。

 

「というか映像見て思ったんだけど、ピカチュウさんって見られるのが好きな性癖g」

 

「おいやめろ」

 

あの甲冑・・・いや、ばりあじゃけっと?には驚いた。あんなに装甲を削ってたら掠っただけでも死んじゃうのに。

 

私の時代では見たことがない。

 

「でもあれ思春期男子には・・・・純粋に速さを求めてるのはわかるんですが、その、なんと言うか・・・・えっちぃですね」

 

金髪大好きな私としては嬉しいけど複雑な気持ちになっちゃう。

 

「へぇー、初代も男の子なんやな。てっきり性欲まったく無いと思ったんやけど」

 

「なにを言うだぁー!」

 

「お前なんでこっちの文化そんな知ってんだよ」

 

これの元ネタを知っているヴィータに驚きだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

「おい烈火の、これはなんだ」

 

「それはリンゴという果物だ、食べるか?」

 

向こうでなはとが真っ赤に熟したリンゴを片手にシグナムに話しかけているた。

 

「うむ、では頂くとしよう」

 

 

小さな口を明一杯大きく開け、リンゴにかぶりつくなはと。

 

 

 

「ぞぶり、もきゅ....もきゅ....」

 

 

オリバさんを思い出したので効果音をつけてやった。

 

騎士達と最後のさんが必死に笑いを堪えているのがまた面白い。みんな漫画好きみたいだ。

 

 

「・・・・これはうまいのぅ」

 

周りの反応なんか無視して一生懸命リンゴを食べるなはとの姿を微笑ましい。しかも幼女だから目の保養にもなる。

 

「・・・・・・初代も食うか?」

 

「幼女との間接キスとかマジ興奮」

 

脛蹴られた、超痛い。

 

「貴様は邪な感情しか抱けんのか?」

 

「お恥ずかしながら・・・」

 

「なぜそこで照れる」

 

なんか漫才してるみたいで楽しいんですけど。

 

「なはと、私と合体しよう」

 

「突然なにを言い出すか」

 

・・・・・・・これはいけるっ!

 

「もちろん性的な意味で!」

 

「私の一撃は鉄槌のより重いぞ?」

 

全然だめでした。死にたくないので土下座しておく。

 

「なんて美しい土下座なんや・・・・10点!」

 

どうやら高得点だったらしいので嬉しくなった。

 

 

「やだなーなはとさん、ユニゾンに決まってるじゃないですかやだー」

 

「先ほどの自分を言葉を思い出せ」

 

「過去の自分にさよなら!」

 

「今の自分ともさよならさせてやろう」

 

ニコニコしてるのはいいけどその右拳に纏う漆黒の魔力を消して欲しい。

 

「そういえばなはとって融合騎になったんやったな」

 

「不本意ながらな」

 

むすっとした顔でリンゴをかじり続けるなはと。口の周りが果汁でいっぱい。

 

「強い(確信)」

 

「殴り合いなら管制人格にも負けんぞ?」

 

とんでもない強さだった。なにこの幼女恐い。

 

「・・・・それは私への挑戦か」

 

「そう取ってくれても構わん」

 

え、なんでクロハネこんなに燃えてんの?いつもの冷静さはいずこへ?

 

 

ここは主として私が!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「----ビスケット・ナハトと申すか」

 

 

 

 

 

 

クロハネ以外にフルボッコにされるのは理不尽だと思う。

 

 

爆笑してた最後のさん達はどうなるんだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 




Q:初代が思いっきり魔法使ってるぞ

A:夜天の書が勝手に使ってる。


『ビスケット・ナハト』

凄く・・・強そうです・・・。


意見、感想、待ってます。

次回→ソニック息抜き


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レアスキル復活!神様はドM

Q:アンチ・ヘイトタグどうすんの?

A:付けません。ええ、付けませんとも。


「私の魔法は二万五千七百九十八式まである」

 

「?」

 

遊びに来たヴィヴィオはこのネタがわからなかったらしい。小首を傾げている。

 

「ヴィヴィオにそれがわかるはずないだろう」

 

珍しくザフィーラが話しかけてきた。その背中を枕にするヴィヴィオは幸せそうで私まで幸せになる。

 

「むしろザフィーラがなぜそのネタを知っているのかを知りたい」

 

「盾の守護獣だからな」

 

答えになってない。

 

「ざふぃーら!ほねっこ!ほねっこあげる!」

 

「!?・・・ヴィヴィオ、私は---」

 

「・・・・・・・・いや・・・・?」

 

 

ザフィーラが黙って骨を食べ始めた。

 

「こwwwれwwwはwwwひどいwwww」

 

「・・・・・・」

 

 

ヒュンッ

 

 

 

 

サクッ

 

 

「ふぉぉぉぉ!?!?眉間に骨の欠片がぁぁぁぁぁっ!!!」

 

こ、このやろう・・・器用に爪でほねっこの欠片を飛ばしてきやがった・・・・!

 

「よーし、ざふぃーらいいこいいこ!」

 

でもヴィヴィオが可愛いから許してやろう。

 

「しっかし寂しいねー」

 

私とヴィヴィオとザフィーラ以外居ない広いリビング。静かな暖房の音。

 

「主とアインスとシャマルは買い物、ヴィータは翠屋、シグナムは近くの剣道場へ久しぶりの顔出しだからな」

 

なはとは夜天の書に引きこもったから余計に暇なのだ。

 

「でも買い物なんかになんで三人も・・・・」

 

「あと三日で正月を迎えるからだろう」

 

 

正月?

 

 

「正月と言えばあの・・・・フジヤマとかナスとかの?」

 

「だいたいそうだな」

 

へぇ、そんな大イベントが控えてるんだ・・・あ、なんか顔がにやけちゃう。いたずらしたいでござる。

 

「あのねあのね!私、お正月ってはじめてなの!」

 

「おー、私もだよヴィヴィオ」

 

「おそろいー♪」

 

やっべ、この笑顔だけでごはん三杯はいける。自分の金髪フェチさに絶望した!

 

「ヴィヴィオの可愛さは特殊能力・・・・この世界でのレアスキルぐらいのレベルだと思う」

 

「かわいい・・・・?ありがと!」

 

癒しの風もびっくりなほど癒される。ああ、幸せ・・・・・・。

 

「・・・そういえば初代、お前はレアスキルを持っていないのか?」

 

 

レアスキル・・・・・・あ、なくもない。

 

 

「この世界でレアスキルって呼べるものなのかわかんないよ?」

 

「持っているのか、どんなもだ?」

 

「・・・・・・・・・・自動防御?いや、自動攻撃?」

 

「なんだそれは」

 

うーむ・・・うまく説明できないんだよねあれ。私も原理がよくわからなかったし。

 

「魔力のマントって言えばいいのかな。弓が飛んでくれば勝手に弾く、魔力砲が飛んでくれば勝手に逸らす、近接攻撃してくる奴を串刺しにしたり吹っ飛ばしたり、加速翼になったり、傘になったり、隠れ蓑に・・・」

 

「それは間違いなくレアスキルだな、特Sクラスの」

 

そんな大層なものじゃないのにザフィーラは大袈裟だなぁ、もっとすごい能力を持った人が山ほどいたのに。

 

『絶対治癒』とか『未来予知』とか。

 

「聞けば便利そうだけどあれって常に魔力消費し続けるからさ・・・・疲れるんだよ?」

 

「主の10倍以上の魔力を保有しておきながらよく言う」

 

当時は魔力バカとよく言われたものです。燃料切れなんてなかったんや。

 

「といってもこっちに来る過程で失われちゃったみたい」

 

あるならザフィーラのほねっこを弾けない訳がない。ていうか神様、結局消したんだ。

 

「勿体無いな・・・神にでも祈ればどうだ?」

 

・・・・・・神様に、ねぇ。

 

「神様、『夜天の羽衣』を復活させてくださーい、って?」

 

「ふっ、冗談だ」

 

まったくザフィーラも面白い冗談を言う。あれはもうごめんだよ。

 

「「はっはっはっはっ」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(了解しましたー♪)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「は?」

 

 

 

 

 

 

体が懐かしい感覚包まれる。

 

 

 

 

どうやらやりやがってくれたようだ。

 

 

 

 




『ほねっこ』

大型犬用のほねのおやつ。作中ではヴィヴィオがザフィーラに与える。


『絶対治癒』

初代の知り合いのレアスキル。


『未来予知』

どっかの誰かさんの御先祖のレアスキル。


『夜天の羽衣(やてんのはごろも)』

初代の持っていた魔力による攻防一式の自動発動型術式。初代の時代でいう特殊能力、現代で言うレアスキル。とんでもない汎用性を誇る。

自分で操作することも可能らしいが、基本勝手に発動、おまけに常に魔力を消費してON OFFの切り替え出来ないとのこと。いつもは不可視状態だが、発動時に視認できるようになる。

なおこの名前を考えたのはアインス。

冗談で言ったのに神様が叶えちゃった。


その0の伏線回収。

意見、感想、くださいな。

次回→トライデント息抜き



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騎士だって嫉妬する

Q:夜天の帷に似た能力がある作品が存在するぞ

A:それでも夜天の帷にしたいんです、夜天の羽衣じゃだめなんです!


やっぱり名前変えた方がいいですかね?


意見をください。

なんか意見もらってばっかです(;^ω^)


追記

名称を『夜天の羽衣』に変更しましまた。ご迷惑をおかけして申し訳ありません。


その14

 

「ほーれほれほれ」

 

「あははっ!きゃ〜!」

 

 

 

 

 

 

「ザフィーラ、あれなに?」

 

はやての目の先には初代の纏う煌黒の『ナニカ』に乗ってくるくる回されているヴィヴィオが。

 

「初代のレアスキルだそうです」

 

「・・・・やっぱりレアスキル持ちやったんか」

 

予想が的中して嬉しいのか嬉しくないか、複雑な表情になる。

 

「おや?初代、夜天の羽衣を使えたのですか?」

 

買い物袋を持ってリビングに入ってきたアインスが初代を見て少し驚く。

 

「神様に祈ったら復活したっていうね」

 

「神・・・・?」

 

なんでもない、と言ってヴィヴィオをカーペットに下ろしソファーに寝転がる初代。

 

「あ、ゆーりくん、もっとー」

 

初代の肩を揺らし、おねだりするヴィヴィオ。

 

「今日はここまで、疲れた」

 

「もっとー!」

 

「ぐふっ」

 

腹に思いっきり飛び乗られたようでちょっと悶えているがそんなの気にしないのが幼女。

 

「こーらヴィヴィオ、初代が苦しがっとるよ?」

 

「・・・・だってー」

 

 

そこに伸びる魔の手。

 

 

「捕まーえた」

 

「ふぇ?」

 

待っていましたと言わんばかりに両腕でヴィヴィオをホールドする初代。その顔はとってもいい笑顔。

 

「ご飯になったら起こしてください、おやすみ」

 

 

なんとそのまますやすやと寝息を立て始めた。

 

 

「・・・・あかん、スピーディー過ぎてついていけん」

 

「うわっ、もう寝やがったのび太かよこいつ」

 

「それはのび太に失礼や」

 

なかなか厳しいはやて。ドラえもん好きとしてそこは譲れないようだ。

 

 

「?・・・・・・いーこいーこ♪」

 

少しフリーズしていたヴィヴィオだが、初代が寝ていることに気付くと起こさないように優しく髪を撫でる。

 

「・・・・・・」

 

じーっと見つめるアインスの図。

 

「アインス・・・・甘えたいのはわかるけど、7歳に嫉妬するのは・・」

 

「!?な、なんのはにゃしだ!」

 

珍しくアインスが思いっきり噛んだ。

 

「・・・・・・・」

 

「・・・・・・・」

 

 

二人の空間に何とも言えない変な空気が流れる。

 

 

「・・・・私だって、私だってもっと初代と話したいことがある・・・・・・700年の時を越えた再会なのに・・・・」

 

「(こ、こんなアインス見たことない・・・・なんてピュアなの!?)」

 

もじもじとして顔を赤らめているアインスは滅多に見られない。滅多にどころかこれが最初で最後かもしれない。

 

 

「・・・・くー・・・・・・」

 

なんてことしているうちにヴィヴィオも眠ってしまった。

 

「・・大丈夫なんかな・・・・襲わんよね?」

 

「さすがにそれはない、と信じたいですね」

 

「シグナム、なぜそこで言葉に詰まる」

 

金髪フェチの初代だ、しかも可愛い可愛いヴィヴィオ。いつ過ちを犯してもおかしくないので言葉に詰まるシグナム。

 

「シグナム、いくら初代でもそのようなことは-----------な、い」

 

 

ほんの僅かだったが、アインスが固まった。

 

「・・・・アインス、今の間はなんだ」

 

「初代は立派なお方だ」

 

アインスは いうことを きかない!

 

「おい話しを」

 

「初代は立派なお方だ」

 

アインスは いうことを きかない!

 

「おいh」

 

「初代は立派なお方だ初代は立派なお方だ初代は立派なお方だ初代は立派なお方だ初代は立派なお方だ初代は立派なお方だ初代は立派なお方だ初代は立派なお方だ初代は立派なお方だ初代は立派なお方だだだだだだだdddd」

 

アインスは こわれた!

 

「お、お姉ちゃんが壊れたですっ!?」

 

 

ハイライトの消えた目でぶつぶつと呟くアインス。なにかしらのトラウマを掘り返したようだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〜???〜

 

「お久しぶりです」

 

「久しぶりだね幼女」

 

ラーメンの汁をこぼした跡すらないほどの真っ白い空間にいるのは二人。

 

初代と神様である。

 

「やっとあなたの夢の中に介入できましたよ。まったくなんであんなにブロックがかたぁぁぁぃぃぃぃぃっ!?」

 

腰に手を当ててぷんぷん怒っていた神様に対し初代はなんとアイアンクローをかます。

 

「夜天の羽衣を復活させた言い訳は?今なら増量サービス中だよ」

 

「なにを増量!?って、痛いです痛いです!ごめんなさいゲームしてたらうっかりあの力をつけ忘れて転生させちゃってどうしようと思ってたら復活のお願いが聞こえたんですごめんなさいー!!」

 

じたばた暴れて抵抗する神様だが、身長がけっこう違うので無意味。一見じゃれ合ってるようにしか見えない。

 

「そうかそうか、なら選択肢をあげよう-----夜天の羽衣に凌辱されるか今ここで-自主規制-するか」

 

「あなたどこの最低キャラですかっ!?」

 

「ここのだよ」

 

煌黒の魔力が溢れ出しうねうねと動く。形は触手をようなもの。

 

「ふっ、ふっふっふっ・・・・甘い、甘いですよ!」

 

ビシッと初代に指をさし笑みを浮かべる神様。

 

「なにが?」

 

「あなたから数々の-自主規制-されてきたこの私に死角などないも同然!もはや体が覚えました!」

 

自慢できることではないが『馴れ』は重要。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「なら最大でもいいか」

 

「ほぇ?最大って---」

 

 

神様がなにか言い終える前に夜天の羽衣が一斉に襲いかかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〜おまけ〜

 

「・・・・」

 

すやすや眠る初代とヴィヴィオ。それを見るヴィータの手には消しゴム。

 

「えいっ」

 

なにを思ったか消しゴムを初代めがけて投げる。

 

 

消しゴムが直撃する直前、煌黒のカーテンがピンポイントで消しゴムをキャッチ。

 

「おぉ・・・・すっげ」

 

自動防御の能力を確認し終えその場から立ち去ろうとするが----

 

 

 

 

 

 

 

 

夜天の羽衣が消しゴムを投げ返した。

 

 

 

 

 

 

 

「?---いっっっっ!?!?!?」

 

 

凄まじい速度で投げられた消しゴムは避けるひますら与えずヴィータの額を捉えた。

 

 

「ヴィータちゃん?どうしたの?」

 

「な、なんでもねーよ!」

 

 

赤くなった額を隠し、ヴィータは洗面所へ走る。

 




『神様』

この物語が始まるきっかけになった幼女。

ゲームとお茶するのが大好きであまり仕事をしない。ドM。


『初代は立派なお方だ』

アインスが言うから立派。決してトラウマなんかじゃない。


『ラーメンの汁をこぼした跡すらないほどの真っ白い空間』

テンプレな場所。でも初代の夢の中。


『アイアンクロー』

自分の身長ほどある杖を振り回していたので握力腕力はけっこう強い初代。


『-自主規制-』

自主規制


意見、感想が世界を救う。

次回→エクセリオン息抜き


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提案→嘱託魔導師試験

Q:暁の方より圧倒的に更新速いのなんで?

A:ストーリーが単純だからですね、シンプル最高。


 

「千手観音!」

 

ご飯の時間になって起こされたので一発ネタをかましてみる。夜天の羽衣をしっかり1000本の腕に変化させて死角などない。

 

「あ、千手観音って腕千本あるわけやないよ?」

 

衝撃の真実に絶望した。

 

「気持ち悪いからそれ早く消せ」

 

「気持ち悪いとは失礼な、これで何度お前達を救ったことか」

 

まったくヴィータはなぜこうなのかね。・・・・忘れてるから仕方ないか。

 

 

「ぅぅ...ゆーり..くん...やー」

 

 

ジャージの裾を摘まんで目をこすりながらくっ付いてくるヴィヴィオに全私が感動した。

 

その後サムスさんが迎えに来た。・・・・残念。

 

 

あとなんでクロハネの表情が明るくなったんだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「嘱託魔導師試験?」

 

食事中に最後のさんの口から出たのは聞き慣れない単語。なんかかっこいい。

 

「うん、ちょっと受けてみん?」

 

 

嘱託魔導師試験というのは嘱託魔導師になるために試験・・・・らしい。私の生きていた時代とは違ってこの世界は魔導師ランクやらリミッターなどめんどくさいことが山積みとのこと。

 

そこで嘱託魔導師資格の出番ですよ奥様!今ならなんと色々免除!お得でしょう?

 

と思ったら問題発見。

 

「筆記試験・・・・だと・・・・?」

 

さっそく道が閉ざされた。ミッド言語を理解できない私にどうしろというのか。

 

「大丈夫や。-大人の事情-でもみ消すから」

 

職権乱用を見た。これはひどい。

 

「でも私、前衛無しで戦うのはちょっと・・・・」

 

「安心しろ、魔導師のタイプによって試験内容は大きく異なる。お前はおそらく主はやてと似たものになるだろう」

 

なんて良心的な試験なんだ。これなら私にもワンチャンある。

 

「たぶん同時に魔導師ランクも測ってもらうぞ」

 

ランク?なんと今の時代はそんなものまで決めるのか。格差社会!

 

「魔導師ランクはF〜SSSまでの11段階に分かれていて、能力によって決まるんです」

 

「ちなみに私は総合SS、シグナムは空戦S−、ヴィータは空戦AAA+、シャマルは総合AA、ザフィーラは・・・測ってないんやけどだいたいシャマルと一緒や」

 

「つまり、最後のさんが最強だと申すか」

 

最後のさんは首を横に振る。なにやら私の解釈が違っていたようだ。

 

「魔導師ランクは強さじゃなくてあくまで『規定の課題行動を達成する能力』の証明なんよ。私がシグナムと1on1したら絶対負けるよ?なんでかは・・・分かるわな?」

 

シグナムはバリッバリの近接戦闘型、それに対して私や最後のさんは後方からの火力支援型。単純出力なら桁違いに私達が高いだろうけど、殴り合いのスキルは勝ち目がない(最後のさんはどうか知らない)。

 

なんて面倒な設定なんだろうか。

 

-------はっ!!そうだこの手があった。

 

 

「クロハネとユニゾンした私に抜かりなどなかった」

 

火力の私、万能のクロハネ。クロスレンジもロングレンジもアウトレンジだってこなす超騎士の完成だ。

 

「あ、2年前からダブルデバイスは禁止になったから夜天の書か杖のどっちかは使えへんから。やから融合騎もだめ」

 

本日二度目の絶望を味わった。

 

「砲身の杖も使えない、融合騎のクロハネも使えない・・・・こんなのあんまりだっ!」

 

「アインス、初代って杖とかユニゾン無かったらそんなに弱いん?」

 

「ええ、杖がなければ精密コントロールや遠距離照準(サイティング)がかなり甘くなりますし、夜天の羽衣があるとはいえ私とユニゾンしなければ近接戦闘はまず不可能です」

 

クロハネが私の弱点を大暴露し始めた。もうやめて!初代のライフは0よ!

 

「いーもんいもーんだ!なにが来ても到達する前にフレースヴェルグで跡形もなく消し飛ばしてやる!精密コントロール?サイティング?一帯まとめて殲滅すれば問題ないっ!!」

 

超広域型の意地を今こそ示すときだ!

 

「大魔法試験とか指定コース周回とかもあるよ?」

 

これ詰んでねーかな私。

 

「ならいいですよ。別に受けなくても・・・・」

 

そうだ、強制じゃないんだから別に受けなくてもいいのだ。希望が湧いた。

 

「もう申請したから。試験はミッドに帰って二日後」

 

逃げ道がなくなったでござる。最後のさんはなんでそんなに楽しそうなのかね。

 

「・・・・や、夜天の書ってロストロギアってやつだったんでしょ?そんなの持ち込んだら大騒ぎになりますよ!」

 

「私の信用できる人間しか関わらんから問題ないよー」

 

この人最初から私に試験受けさせるつもりだったな・・・・!ここまで徹底されてるとは!

 

 

ふぅ・・・・・・まったく。

 

 

「そこまで言われちゃ本気出さないとねぇ。こうしちゃおれん!夜天の書!作戦会議だ!」

 

〈Gehen Sie bitte. Ich werde mein Bestes tun(お任せください。最善を尽くします)〉

 

こいつもやる気充分・・・・いけるぞ!

 

作戦会議をする寝室へと向かうため、意気揚々とリビングの扉のドアノブに手をかける。

 

 

 

 

 

 

「おーい、食器片付けてってー」

 

 

 

 

カチャカチャ片付けました。

 

 




『嘱託魔導師』

様々なオリ主が真っ先に取る資格の一つ。持ってると法的に動きやすい。

なお初代は-大人の事情-で筆記試験が無い。


『ダブルデバイス』

はやてや初代などの二機のデバイスを使うこと。


『フレースヴェルグ』

夜天の書に記録されている超長距離砲撃魔法。

チートレベルの攻撃力と殲滅範囲を持つ。


というわけで、初代は嘱託魔導師試験に挑むようです。

意見、感想、待ってますからね!

次回→ミストルティンの息抜き


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初日の出は夜天の輝き

Q:文字数増やそうぜ、な?

A:3000字で勘弁してくだせぇ。


 

大掃除とか色々あって新年を迎えました。笑ってはいけない夜天ファミリー24時をしてヴィータが可哀想なくらいケツバット(柔らか素材)されてたのはいい思い出。

 

 

ただ今1月1日午前5時、酔いつぶれて眠っている大人達はどんどんしまっちゃおうねぇ。

 

なんて冗談はさておき私は八神家を抜け出して飛んでいる。向かう先はサムスさん宅、歩くと遅いのでスレイプニールでふよふよ飛んでいます。

 

羽衣が視覚阻害してるからたぶん地上からはばれない。

 

 

「たしかここだったはず」

 

昨日、一人で寝れるもん!とか言ってたからサムスさんがいないと思われる。いたらどうするか?諦める。

 

ヴィヴィオが寝ていると思われる部屋の窓を見つけ、手をかけてみるが開かない。ちゃんと鍵をしている用心深い。

 

「でもそんなのは初代さんと夜天の書の前には無意味なのだよ」

 

夜天の書を開き、魔法を発動させる。

 

魔力糸で円を作り空間を繋げる。後は簡単、手を突っ込んで・・・・あぁん、らめぇぇっ!

 

 

 

 

 

 

一人でやってて恥ずかしくなった泣きたい。

 

 

気持ちに負けずアナログな鍵をガチャリと開ける。

 

空間を通して色んなものをぶち抜くなんだかんだで便利魔法!その名を『旅の鏡』ッ!

 

「大好きなあの子の部屋にも侵入できちゃう」

 

この魔法、割と簡単に覚えられるくせに無駄に強いんだよね。かつてシャマルを『コア(玉)抜きのシャマルン』と言わせた代名詞のような魔法なのだ。

 

 

「・・・・くー・・・」

 

ヴィヴィオ発見。フェイズ2に移る-----前に写真撮影。

 

パシャりと、よし。

 

「ヴィヴィオー、起きて起きて」

 

「・・・・・んー・・・」

 

寝返りを打たれた。起きる気配があまりない、可愛い。

 

「返事がない、ただのしかばねのようだ」

 

「うぅん・・・・しかばねじゃ・・・・ないよぅ・・・・」

 

寝ながら返事された。さすがにびっくりした。

 

「ヴィヴィオヴィヴィオ」

 

肩を揺らしまくってると私の存在に気づいたのか、うっすらと瞼を開く。

 

「・・・・にゅー・・?」

 

にゅーって、にゅーってお前・・・!私に襲いかかれと言うのか!?ルパンダイブしろと言うのか!?

 

 

・・・いや、落ち着け私。こんなとことで欲望を解放するわけには。

 

「ひゃっはー!もうがまんできねぇ!」

 

さよなら誠実な私、こんにちは変態な私、寝起きでキュートなヴィヴィオを抱きしめる。ほんのりふとんのあったかさが伝わってきてちょいと眠くなった。しかもいい匂いがする。

 

「ひゃっ・・・・ん、ゆーり・・くん?」

 

さっきまで外にいたので冷たくなった頬で頬ずりすることになり、目覚まし代わりになる私。

 

「そうだよユーリ君だよヴィヴィオ」

 

もこもこのウサギさんパジャマに身を包みぽけーっとするヴィヴィオ。サムスさん・・・・いい趣味してんじゃねぇか。

 

「なんで・・・・ゆーりくん・・?」

 

「ヴィヴィオに見せたいものがあってさ誘拐しに来たの、よいしょっ」

 

かけふとんを除けてゆっくりとお姫様抱っこする。かなりあっさりと持ち上げれた・・・・やっぱり女の子は軽い。

 

「・・・・みゅー」

 

言わずとも首に手をまわしてくれるのはありがたいけど、頭をこすりつけるのはやめて欲しい。萌え死ぬから。

 

「さてと、行きましょうかお姫様」

 

「ぅん・・・」

 

 

 

まだ寝ぼけているヴィヴィオを抱え薄暗い空へ飛翔する。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「なんとかセーフ、かな」

 

あれが始まるまでになんとか目的地に到着。高度600mで停止し、静かな海を見る。

 

「ちょっとさむい・・」

 

吐く息が白い、暖かさを求めてか私に抱きつく力が強くなる。羽衣で薄く覆っているけど薄すぎたみたい。

 

「ごめんね・・・・あ!」

 

寒い思いさせたことに謝ったらやっと始まった。ヴィヴィオを抱く腕にも自然と力がこもる。

 

「?」

 

「ヴィヴィオ、見て」

 

 

 

 

 

 

 

雲もない薄暗い空が徐々に赤く染まり、やがて水平線からオレンジ色の太陽が登ってくる。

 

海がその色を反射し、キラキラと美しく輝く光景はまさに絶景。

 

 

初日の出だ。

 

 

 

 

「・・・・!」

 

ヴィヴィオが息を飲むのが腕越しに伝わってくる。視線は日の出に釘付け。

 

・・・・私も見るのは初めてだけどここまでなんて、『地球』は恵まれた場所だ。

 

〈Es ist schön....(美しい....)〉

 

AIを感動させてる。こいつ簡易AIだったはずなんだけど・・・・ま、感性が溢れてるのは素晴らしいことか。

 

 

「・・・・ゆーりくん」

 

日の出に見惚れていたヴィヴィオが私に顔を向ける。金色の髪は風に揺れ、光を受けさらに美しさを増していた。

 

「んー?どうしたの?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「---ありがとっ」

 

 

 

ヴィヴィオの笑顔は、日の出のなんっ万倍も綺麗だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〜八神家〜

 

「皆さん、新年明けましておめでとうございます、今年もよろしくお願いします」

 

《お願いします》

 

家主である最後のさんの新年の挨拶。みんな正座してぺこりと頭を下げる。

 

「去年はいきなり初代夜天の王が現れたり、アインスが復活したり忙しかったけど新しい家族と一緒に頑張ろっ!」

 

《はい!》

 

力強い声が響き、最後のさんも満足げな顔。

 

でも私にとってもいきなりの出来事だったなぁ。

 

死んでから数百年後にいきなり転生の知らせ、どっか平和な世界かと思えばまさかの私がいた世界の未来。

 

騎士達との再会、最後の夜天の王はやてさんとの新旧夜天の王ご対面なんて普通はありえないことが起きた。サムスさんことなのはさん、ピカチュウのフェイトさん、世界一可愛いヴィヴィオとの出会い。第二の人生も捨てたもんじゃないかも。

 

クロ、アカ、アオ、ユーリも夜天の書に縛られることなく生きている。いつか会いたいな。

 

 

「はーいみんなー!おせちやよー!」

 

・・・・ちょっとおじさんみたいだった。最後のさんが黒い重箱を持ってくる・・・でかっ。

 

「はやて!あたし出し巻き卵食べたい!」

 

「あー!リインも食べたいですっ!」

 

重箱を開ければ栗きんとんやら出し巻き卵やら伊勢海老とギッシリつまっていて非常に豪華。真っ先にヴィータとちっちゃいクロハネ---ソラハネが飛びつく。

 

「ヴィータちゃんもリインも、おせちは逃げませんよ?」

 

「まったく・・・・しかたないやつらだ」

 

シャマルは小皿に料理を取り分けながら苦笑い。シグナムも言ってることとは違って楽しそうな表情をしてる。感情豊かになって制作者の私も嬉しい。

 

「楽しそうじゃない?出てくれば?なはと」

 

(こういう雰囲気は苦手なのでな。お主らだけで騒いでおれ)

 

「そんなこと言わずにさぁ」

 

(りんごがあるなら考えてやらんこともない)

 

お前はどこの死神だ。

 

「りんごは無いけどもっと美味しいものがあるよ?」

 

(ほぉ・・・・してそれは?)

 

「それは---思い出だよ」

 

(うまいことを言ったつもりか)

 

「うまい(確信)」

 

(自分で言ってどうする愚か者)

 

盲点だった。なはとはツッコミがうまい。

 

「ヴィータというロリ成分にさらになはとが加われば完璧なんだよ、ダブル幼女なんだよ」

 

(・・・絶対出ないぞ)

 

結局なはとは夜天の書の中に引きこもっている、いけず。

 

 

「初代」

 

何を思ったかクロハネが手を握ってきた。あったかい部屋の中にも関わらずその手はひんやりとしている。

 

「クロハネ?」

 

「・・・・今度こそ、貴方をお守りしてみせます。夜天の騎士の名にかけて」

 

変わらない、クロハネはいつまでも生真面目で真っ直ぐ。どれだけ時間が過ぎようともそれだけは変わっていなかった。

 

「頼りにしてるよ、リインフォース」

 

「・・・・はい!」

 

 

 

 

夜天の光は再び輝く。

 

 

 

 

 

 




『笑ってはいけない夜天ファミリー24時』

初代が考案した企画。最後まで笑わなかったのはアインス。


『クロ、アカ、アオ』

わかりますよね?


意見、感想、待ちわびる。

次回→アーテム・デス・息抜き


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夜天の書のお気に入り

Q:お前息抜きしか(ry

A:今度それを言ったら、その口を縫い合わせるぞ(暁の方がスランプ気味なんですすいません)


今回、時間が結構飛びます。

だってお正月ネタ無かったもん・・・。


「ほっほっほっ・・・こりゃまいったのう!」

 

リヴァイス・デュノワール名誉戦技教導官は悪態をつきながら息をつく暇もなく迫る膨大な数の魔力砲を避ける。

 

その目が捉えているのは黒髪黒目、黒い騎士甲冑を纏った少年。背中から生えている三対の黒翼と手に収まっている魔導書は彼にかの『歩くロストロギア』を連想させた。

 

 

「----」

 

少年の周りに魔力刃が出現し、リヴァイスに向けて放たれる。大きく扇状に広がった8つの魔力刃はリヴァイスを包むように軌道を描く。

 

「ほっ!」

 

自分を引き裂こうとする魔力刃を誘導弾で破壊----こんな戦闘を既に10分続けている。

 

圧倒的な弾幕、底の見えない魔力量。20年間、戦技教導官をやっていても相手にすることのなかった逸材。

 

リヴァイスの自然と口角が上がる。

 

「(素晴らしい・・・これが未来をになう子どもか!)」

 

幸い少年の30のスフィアからとんでくる魔力砲は命中率が低い。その面では砲撃魔導師である自分の方が有利。そう判断したリヴァイスは愛機の杖型デバイスのカードリッジをロード、数は3発。

 

「(全力で相手をしなければな・・・・思い切りの一撃で仕留める!)」

 

デバイスの補助を受けロックオン。砲撃を撃つためにいったん停止する---魔力砲が肩を掠めた。

 

 

「!!」

 

彼の意図に気づいたのか、大魔法のために展開していただろう足元の魔方陣を消し、少年は右手を突き出しベルカ式の魔方陣に魔力を収束させる。

 

「悪いのう少年」

 

灰色の砲撃が少年に走る。一拍遅れて少年は灰色の砲撃の倍以上ある太さの砲撃を撃ち対抗。

 

一見、少年が勝つに見えた砲撃だが。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

少年の砲撃が貫かれた。

 

 

 

「----!?」

 

 

砲撃の直撃する寸前、黒いなにかが少年を覆ったが、それも貫通。

 

 

開始から10分32秒、少年の敗北で決着がついた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〜ミッドチルダ 八神家〜

 

「まーーーーーけーーーーーたーーーーっっっ!!!」

 

二日にわたる嘱託魔導師試験は終わった。きょうは午前終わったが・・・!

 

「えぇいっ!うるさいぞ初代!」

 

こんにゃろっあんにゃろっ、クラムボンはかぷかぷ笑うってんだよっ!

 

 

自分で言っててわけがわからなくなった。

 

「嘱託魔導師試験・・・・侮れない」

 

なんだよ最後のさんめ。最終試験は簡単やよーって、あのおっちゃんメチャクチャ強いじゃん、思いっきり手を抜かれてたのに強かったよ。

 

「ごちゃごちゃ言ってもしかたなかろう。もう終わったのだから」

 

なはとがりんごをかじりながら厳しい現実を叩きつけてきた。

 

「諦めたら・・・そこで試合終了ですよ?」

 

「諦めろ、試合は終わっておる」

 

ちくせう。

 

「ヴィヴィオと同じ学校にもしばらく入れないし・・・・不幸だねぇ」

 

最後のさんに学校に行けと言われた。もちろんヴィヴィオと同じ学校がいいと進言したわけだが、ヴィヴィオのいる学校は編入制度がないらしい。ということで13歳の中等科?入学試験までヴィヴィオと一緒に登校はお預けになった。

 

「お前は本当にあの聖王女が好きなんじゃな・・・」

 

「あったりまえだろ、ヴィヴィオは世界一可愛いに決まってるだろ・・・・・・ん?」

 

聖王女?

 

「なんだ知らんのか・・・・あやつ、間違いなく聖王家の者じゃぞ?」

 

 

ヴィヴィオが・・・・聖王?

 

 

「ま、どうでもいっか」

 

どうであれヴィヴィオが可愛いからなんの問題も無い。異論は認めん。

 

「たしかにどうでもいいの。別に害は無いようじゃからな」

 

聖王うんぬんの話し置いといて。

 

編入できないならせめて見学でも、ということで今日は午後からヴィヴィオの通う学校『St(ザンクト)ヒルデ魔法学院』へ見学に行く予定なのだ!

 

「お迎えが来るとの話しだがいつ来るのか」

 

「もうじき来るじゃろ、私も暇なので付いて行こう」

 

大人しく寂しいからって言えばいいのになはとは素直じゃない。その旨を伝えると一発殴られ(羽衣で防いだ)なはとはそのまま夜天の書の中へ。

 

 

・・・・一気に暇になった。

 

「そんな時は蒐集魔法をいじるのがいい!」

 

夜天の書に記録されてる莫大な魔法データを駆使すれば暇つぶしなど容易いたやすい。

 

例えば、このなんの変哲もないブラッティダガーだが、私の資質に合わせると。

 

〈Bloody Dagger Execution Shift〉

 

通常21発展開のブラッティダガーがなんと126発展開に!自動誘導型だから制御いらずで便利です。

 

「嘱託魔導師試験でMVPの魔法でした」

 

使い勝手が良すぎてつい多用しちゃうのが難点。ターゲット破壊試験こいつだけで乗り切ったもの。

 

「やることないな・・・そうだ!石化の槍ミストルティン・ファランクスシフトとかめっちゃ強そうじゃないか!さっそく開発に---」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ピンポーン

 

 

「ありゃ」

 

 

どうやらお迎えが来たようだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〜Stヒルデ魔法学院 初等科練〜

 

「おぉー広い広い」

 

Stヒルデ魔法学院は予想以上に大きかった。もしかしたらホグワーツにも負けないかもしれない。

 

そんな学院のだだっ広い廊下をいっしょに案内役みたいな人と歩いています。

 

「Stヒルデ魔法学院というものは---」

 

小難しいことを語ってるコボちゃんみたいな髪型の案内役の人はシャッハ・ヌエラという修道騎士。修道女なのに騎士とはこれいかに。

 

「・・・シャッハさんって強いんですか?」

 

いつまでも歴史の勉強してるわけにはいかないのでシャッハさんがいかほどの強さか質問してみた。

 

「---私はまだまだ未熟者です。騎士はやての話しでは、あなたは純粋なベルカの騎士だと聞きましたが・・・そちらの実力は?」

 

質問を質問で返された。騎士を名乗ってるから弱くはないんだろうけど・・・・。てかなんで目を輝かせてるのこの人。

 

「えっとですね・・・。私は後方からの火力支援型ですから、一対一では弱いです。ベルカの騎士(笑)です」

 

「おや、それは珍しい。ベルカの騎士で騎士はやてと同じタイプとは」

 

ぶっちゃけ私と最後のさん以外にこういう型のベルカ騎士はいないと思う。ベルカ式じたいが武器とか拳に魔力付与して殴ることメインだったし。

 

 

 

シャッハさんと色々雑談してたら目的の場所に着いた。

 

 

「ここですか?」

 

「ええ、ここがあなたと同い年の子達が通う初等科四年の教室です」

 

ほぇぇ、みんな真面目に授業を受けてるなぁ。黒板の文字は・・・うん、読めない。

 

「お?シャッハさん、あの人」

 

生徒達を眺めていたら一人、私の目に止まった人がいた。

 

机を上に教科書とノートを広げているけど・・・・うん、まぶたを閉じて船漕いでる。

 

壁銀なんて普通見ない髪の色をしていた。

 

「?・・・ああ、アインハルト・ストラトスさんですね。彼女が居眠りとは珍しい」

 

名をアインハルト・ストラトスと言うらしい。いかにも誠実そうな顔立ちだ。いじめたら絶対面白いはず。

 

 

〈........〉

 

「およ?」

 

突然、夜天の書が出てきた。じーっとアインハルト・ストラトスを見ている・・・・ように見える。

 

「魔導書型ですか、これまた・・・」

 

シャッハさんが関心していると夜天の書が---消えた。

 

 

 

 

 

正確には、アインハルト・ストラトスの目の前に転移した。

 

 

って---何やってんのうちのデバイス!?

 

 

夜天の書はアインハルト・ストラトスの頭をコツコツとその表紙で突つく。え、本当にどうしたの?

 

 

「・・・?・・・・!?!?!?!?」

 

薄っすらとまぶたを開けば、目の前いっぱいに金の剣十字とかなんの冗談だよ!アインハルトちゃんびっくりしてるよ!?

 

〈♪〉

 

そんなことは一切気にせず頬にスリスリしたり控えめな胸に---こ、こいつあざといっ・・・!

 

 

「コ、コラッ、ダメデスッ!」

 

小さい声で夜天の書を叱るアインハルトちゃんはなかなかいいかもしれない。顔真っ赤だし。

 

 

「では、この問題を-----」

 

 

 

 

夜天の書が戻ってきた。速いっ!?

 

 

 

 

「---ストラトスさん」

 

「へ?あ、は、はいっ!」

 

 

 

 

わたわたして焦るアインハルトちゃんは可哀想です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〜八神家〜

 

「で、今日の見学どうやった?」

 

「アインハルトちゃんが可哀想だったね」

 

「・・・・アインハルトちゃん?」

 

 

〈Er war fähig, sich zu genießen.(楽しめました)〉

 

 

「なんで夜天の書が楽しんだんだ?」

 

 

 

 

説明するのが大変だった。

 

 




『リヴァイス・デュノワール名誉戦技教導官』

次回詳しく出てくる、空戦SS+の砲撃魔導師。


『大魔法のために展開していただろう足元の魔方陣』

初代が詠唱しきれなかった広域殲滅魔法。発動できれば初代が勝っていた。


『クラムボンはかぷかぷ笑う』

小学校のとき作者はこの表現はどんなものか考えていた時がある。


『石化の槍ミストルティン・ファランクスシフト』

非殺傷もくそもない石化の槍ミストルティンのバリエーション?。制作は未遂に終わった。


『Bloody Dagger Execution Shift(ブラッティダガー・エクスキューションシフト)』

自動誘導型射撃魔法ブラッティダガーのバリエーション。大魔法で対処しきれない中距離制圧、迎撃がお仕事。数は力だよ兄者!


『シャッハ・ヌエラ』

おしとやかな修道女・・・・に見えるだろ?陸戦AAAなんだぜこの人。


『アインハルト・ストラトス』

初登場にて居眠りしてたいけない子。なぜか夜天の書に懐かれた。


嘱託魔導師試験の内容はまたいつか書く。忘れてなかったら!

意見、感想、それが力になる。

次回→ブラッティ息抜き


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母性の塊フェイトと甘えん坊ヴィヴィオ

Q:アインスとツヴァイの出番ねぇぞごら

A:管理局でお仕事してます。アインスも



やばい名誉戦技教導官について書き忘れた。

次回こそ無理やりでも出す!


-追記-

この話しについて書かれた感想を一つ削除しました。

理由として、作者の私ではなく他の読者の方々に対する誹謗中傷が書き込まれていると判断したからです。

ご理解いただけるとありがたいです。



 

「いくぞ、夜天の書」

 

〈Bogenform!〉

 

銀色の十字杖が、煌黒の魔力を揺らめかせ、少々機械的な弓に変化する。

 

 

 

「駆けよ---------

 

 

 

 

 

 

         /⌒ヽ

   ⊂二二二( ^ω^)二⊃

        |    /       ハヤブサ!

         ( ヽノ

         ノ>ノ

     三  レレ

 

 

 

 

 

 

 

〈Sturmfalken?〉

 

 

 

私の渾身のネタにピカチュウさんが腹を抱えて痙攣している。これシグナムいたら本家喰らってたわ。

 

「笑っちゃっ、笑っちゃだめ・・・なのにっ・・・!」

 

「悔しい、でも笑っちゃう!ビクンビクン」

 

 

てなわけでただ今、サムスさん&ピカチュウさん宅にお邪魔しております。

 

ヴィヴィオにお呼ばれしたんだけど、とうの本人はちょっと学校が遅くなるらしい。サムスさんもお仕事でいなく、お休みだったピカチュウさんと一緒にいるというわけさ。

 

「うぅ、くふっ・・・もう、ユーリ。だめだよ、シグナムに失礼でしょっ」

 

「だって一度やってみたかったんですもん」

 

でもピカチュウさんには謝っておく。

 

もう、気をつけてね?、と言って飲み物の用意をしてくれてる。なんだこの人優しさで出来てるのか。

 

「はい、どうぞ」

 

ピカチュウさんが出してくれたのはクローバーがプリントされているオシャレなマグカップ。その中身は-------

 

 

 

 

ドス黒かった。

 

 

「---What is this?」

 

「え?コーヒーだよ?」

 

 

こ、これが天界の書物(漫画)に書いてあった飲み物、珈琲っ!

 

なんて禍々しい色っ、本当に人の飲み物なのか!?

 

「・・・・・」

 

目の前に鎮座する真っ黒な液体は私に謎のプレッシャーをかけてきた。

 

(さあ来い!)

 

・・・・・喋った気がしたが気のせいだろう。疲れてるんだ私。

 

「嫌だった?なら別のに---」

 

「いや、いいです」

 

こいつは私を試そうとしているんだ。自分という未知の存在を私に感じさせるために!

 

 

(来いよ初代、砂糖なんて捨てて、かかって来いよっ!)

 

 

はっ!砂糖なんていらねぇっ!ミルクも不要だ!

 

 

「野郎ゥ飲み干してやらぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッッッ!!!」

 

 

オシャレなマグカップに入った悪魔の液体を、私は一気に煽った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はい、あったかいミルク」

 

差し出されたのは先ほどと同じクローバーのマグカップ。

 

ただし中身は打って変わって純白の液体。

 

「ありひゃとうございまひゅ」

 

私は負けたのだ、あの黒い液体に。あの苦味に。

 

「まだ子どもには早すぎたかな?ごめんね」

 

柔らかい手が優しく頭を撫でてくれた。なんか安心する・・・クロハネと似てるかも。

 

「・・・フェイトさん、お母さんみたいですね」

 

「そう言うユーリは子どもみたいだよ」

 

「私は子どもです」

 

「いつもはそう見えないから言ったんだよ?」

 

撫でる手を止めソファーに座る私の隣に腰掛けフェイトさんは再び頭を撫でてくれた。

 

「そう・・・・ですかね」

 

正直当たりだと思う。自分で言うのもなんだけど子どもらしくない。

 

「うん。ちょと頑張りすぎちゃってるってかんじ」

 

「・・・私は子どもである以前に騎士を従える主。私がしっかりしなきゃ騎士達が困ります」

 

今はクロハネ以外は騎士じゃないけど、それでも一人の主として騎士を支えれるくらいは頑張らなきゃ、そう思っている。

 

クロハネに甘えるのも多少我慢してる。じゃないと主としての威厳が保てない。

 

 

 

「---えいっ」

 

「ふぐっ!?」

 

な、何ごと!?なぜにフェイトさんは私のことをギュッとするの!?大きなおぱーいが当たってるんですけどっ!

 

「そこだよ、ユーリはそこが子どもっぽくない」

 

「ふがふぐぐ!」

 

そこが?いったいなにが・・・。

 

「ユーリはもっと甘えるべきなんだよ。まだ10歳なんだから」

 

 

甘える・・・でも誰に?騎士達はちょっとあれだし、ヴィヴィオ?・・・愛情表現だよ。

 

「もしも騎士のみんなに甘えずらかったら、私に甘えてもいいんだから」

 

この人は何を言っているんだ。

 

「ぷはっ・・・ピカチュウさん、もう10歳になるんですからそれは」

 

「だーめっ」

 

腕にさらに力を込めるピカチュウさん。ちょいちょいちょっ、真面目にだめだよこれ!?金髪フェチの私にはご褒美ですっ・・・・ってちゃうわっ!

 

「ピカチュウさーん、はーなーしーてー」

 

ちょっと抵抗を試みたが、この人凄く力が強いんですが。どういうことだってばよ。

 

「うーん・・・そうだ、私のことフェイトさんって呼んでくれたらいいよ」

 

なん・・・だと・・・・?

 

「ぴ、ぴかちゅ「フェイトさん」、ぴk「フェイトさん」・・・」

 

なんでこんなこだわるんだこの人。あれか、こだわりハチマキあげたからか?

 

「さっきはそう呼んでくれたでしょ?」

 

うっ、なんでさっき名前で呼んじゃったのかな私。本能?

 

しかしこれもまた仕方なしということか・・・。

 

 

「フェ、フェイト・・・・さん?」

 

「うん!よくできたね!」

 

 

ぐしぐしと頭をもみくちゃされた。なんかもどかしい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あーーーっ!ゆーりくん!ずるいっ!」

 

 

何ごとっ!?・・・ってヴィヴィオか。

 

息が上がってたりシャツがスカートと裾から飛び出ているのを見ると、急いで帰ってきたことがわかった。

 

「ヴィヴィオ、お帰り」

 

ぴか・・・フェイトさんは至って冷静に帰宅のあいさつを。落ち着いてるなぁ。

 

・・・ヴィヴィオさんがなんか頬を膨らませてるんですけど怒ってるのかな・・・?

 

「---ヴィヴィオもーっ!」

 

ヴィヴィオは甘えん坊さんだったのをすっかり忘れてた。私とフェイトさんに向かってダイビングして---うぉっと!?

 

「きゃっ!?・・・もう、ヴィヴィオ・・・」

 

二人一緒に抱きしめてくれた。三人分の体温でポカポカなのさっ。

 

 

「ええっすなー」

 

「いいねー」

 

「うんー」

 

 

 

 

しばらくぼけーっとしてました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〜ヴィヴィオの部屋〜

 

あったかタイムが終了してからしばらく。

 

ヴィヴィオに引っ張られ部屋に連れて来られた。そしてヴィヴィオから放たれた言葉は----

 

 

「ゆーりくん。私------つよくなりたいっ!」

 

「・・・・・え?」

 

いきなりなにを言い出すんだろう。ヴィヴィオが強く?・・・考えられん。

 

「私、いつも守られてばっかりだから・・・なのはママとフェイトママにたよっちゃう。けど、それじゃだめなのっ、つよくなってママたちを守ってあげたいの!おねがい!私に『魔法』をおしえて!」

 

 

・・・この子本当に7歳?とてもそうは思えない考えを持っている。思いはまだ小さいけど、やがて大きく成長して夢をはたすはずだ・・・・私がそうだったように。似てる。

 

 

ぜひ教えてあげたいけど----

 

 

 

「(人様の子どもに勝手に魔法、教えていいのか)」

 

正直、私の魔法資質と魔力運用は群を抜いて特殊だ。はたしてヴィヴィオにうまく教えれるか?そもそもヴィヴィオの魔力資質がわかんないから・・・・どうにもならないじゃんっ!

 

「うーんと、ヴィヴィオ?私の魔力資質はちょっと特殊だから---」

 

「ふぇっ---」

 

 

あ、これ泣くパターンだ。

 

 

「---だから!魔導師の相棒となるデバイスについて勉強しよっか!ね?そうしよう!!!」

 

 

「---!うんっ!」

 

 

 

 

こうして、初代さんのスーパー魔導教室が幕を開ける。

 

 




『変化する』

夜天の魔導書のマスタープログラムを掌握する初代が使える限定機能。

項を一定消費することで杖を騎士達の武器に変形させる。劣化版のうえ、初代が使いこなせるのはボーゲンくらい。


『私の魔力資質と魔力運用は群を抜いて特殊』

馬鹿みたいな広域適性に大魔法の複数展開なんてするやつ普通はいない。


金髪フェチの初代はフェイトさんに弱い。もちろんアインスも好きですよ?

意見、感想があれば作者のレベルが上がる。

次回→ミラージュ息抜き


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無限書庫でおむすび

Q:リイン姉妹の出番は?

A:次回じゃないかな


「検索検索!書物を検索ゥッ!」

 

 

はーっはっはっ!古代ベルカ文字で書かれてるなら私の相手ではない!

 

「楽しいねぇっ---『無限書庫』!」

 

 

はい、私こと初代夜天の王は無限書庫に来ています。

 

 

そんな私の周りにはこれでもかというほどの本、本、本。数はなんと125冊!

 

「読書魔法って便利だなー」

 

並列処理が大得意だから一気に大量の本が読める・・・まぁ高速処理が苦手だから読むスピードは遅い。しょうがないね。

 

 

そもそもなんでここにいるかっていうと-----

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

“で、ヴィヴィオは欲しいとしたらどんなデバイスがいいの?”

 

“ゆーりくんのといっしょの!”

 

“・・・・私の?シルバリオクロイツのこと?”

 

“ちがーう、その本みたいなの!”

 

“〈Sind Sie ich?(私ですか?)〉”

 

“いや、ヴィヴィオ・・・普通のストレージデバイスならいいけど、魔導書型はヴィヴィオには難しいかも・・・・”

 

“ゆーりくんといっしょがいいーっ!”

 

 

 

 

 

 

 

 

 

てなことがあったわけで、ヴィヴィオでも使えそうな簡易魔導書型のデバイス作りの資料を漁っているのです。

 

一応フェイトさんに作っていいか聞いてみたところ、ヴィヴィオの魔法基礎がしっかりするまで専用デバイスはいらない、なんてことになってるらしい。だからあくまで資料集めだけ。

 

「夜天の書のシステムとか一部流用できそうだけど・・・丸々使ったら絶対使いこなせないだろうなぁ、融合騎いないし」

 

夜天の書は非常に複雑なシステムで構成されてたりするので使いこなすには融合騎が必須。私はいらない、だって制作者だもの。

 

「夜天の魔導書・改、やべぇ超強そう」

 

 

・・・作るか?

 

あ、無理だ。材料がたぶん無い。

 

 

ぶっちゃけ拾ったものとか組み込んでるから材料もくそも・・・・・?

 

 

 

 

「・・・・・」

 

 

下で私をじーっと見つめている少女を発見した。パンツ見られた!?スカートじゃねーじゃん。

 

変なノリツッコミはさておき、少女の下へ降りる。

 

 

髪の色は銀?灰色?中間くらいの色で長い髪をキャンディの形のなにかで二つに縛っている・・・ヴィヴィオと同い年くらいかな?

 

 

「やぁお嬢さん。なにか用かい?」

 

ここは至って紳士的に対応----したつもりだったけどちょっと怯えた目で見られた・・・悲しい。

 

「あ、えっと、その、えっと・・・」

 

「深呼吸してみよっか」

 

「えっ?」

 

キョトンとした顔をされた。気にせず続ける。

 

「はい吸ってー」

 

「あ、はい!すー」

 

「吸ってー」

 

「すー」

 

「吸ってー」

 

「す、すー」

 

「はい止めて!」

 

「す--ん!」

 

 

 

 

 

あらやだ可愛い。

 

 

 

 

 

「・・・・・」

 

「ん・・・・んん」

 

「・・・・・」

 

「ん、んんん!」

 

「・・・・あ、もういいよ」

 

「ん、ぷはーっ!!!」

 

ダルマみたいに真っ赤に顔を染めて涙目で必死に酸素を取り込む少女とか誰得?

 

俺得。

 

「(ちょいとイタズラが過ぎたか)ごめんねお嬢さん」

 

「はぁっ、はぁっ、いえ、こっちっも・・・」

 

まともに喋れてないお嬢さん。肺活量が足らんっ!なんてね。

 

「お詫びといっちゃなんだけどおむすび食べる?」

 

「いえ、そんな----!?そ、それは!?」

 

 

ふっふっふっ・・・このお嬢さんお目が高い。

 

ほんのり枯れぎみの笹は綺麗な三角形になっている。この時点で見たことある人ならわかるはず。

 

笹を剥がせばそこにあるのは銀色に輝く米、黒々しい海苔。まさしく至高のおにぎり。

 

 

 

---そう、アンパ○マンに出てくるお○すびマンのおむすびにそっくりなのだ!そっくりに決まってる、似せて作ったんだから!

 

 

「食べる?」

 

「!!!」コクコク

 

よだれを垂らしながら頷く少女はヴィヴィオに似てなくもない気がした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〜同時刻 時空管理局 地上本部 捜査司令官室〜

 

地上本部の捜査司令室。八神はやての仕事場でもあるその部屋に、はやてともう一人、白髪混じりの初老の男性がいた。

 

「リヴァイス教導官、先日はお忙しい中、本当にありがとうございました」

 

リヴァイスと呼ばれる男性にはやては深々と頭を下げる。

 

「ほっほっほっ、気にすることはないさ八神司令。私も久しぶりにいい戦いをさせてもらった」

 

リヴァイス教導官は笑いながら先日の嘱託魔導師試験を振り返る。

 

「力が未知数のあの子を見極めるのは元『エース・オブ・エース』の貴方だけだと・・・」

 

「ほっほっ、やめたまえ八神司令。その名はとうの昔に高町教導官に譲ったさ」

 

用意された椅子に座り、二人は向かい合う。はやては早速本題へ。

 

「それで、試験の方は・・・」

 

「合格、私から言えるのはそれだけさ」

 

「・・・あ、ありがとうございます」

 

どうぞです!とコーヒーを持ってきたリインにありがとう、とお礼を言い一口口に含む。

 

「心配していたのかね?」

 

優しそうな目ではやてを見るリヴァイス。まさにおじいちゃん。

 

「ええ、少し・・・」

 

「ほほっ、ならどこが合格だったか教えて差し上げよう」

 

「ほんまですか!?お願いします!」

 

 

 

 

リヴァイスは初代との模擬戦について語り始めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〜無限書庫〜

 

「はぐはぐはぐ!」

 

「お嬢さん、おむすびはどこにも逃げないよ」

 

お腹が空いていたのか、いい食べっぷりなのは嬉しいけど、そんなに急いで食べたら・・・。

 

「はぐ---ふぎゅっ!?」

 

予想通りだったね。

 

「ああもう、言わんこっちゃない・・・」

 

小さな背中をトントン叩き、お茶の入った水筒を渡す。お嬢さんは水筒を受け取り中のお茶をごきゅごきゅと飲む。

 

 

「んくっんくっ・・・・ふー」

 

急いで飲んだせいでちょっとこぼれたお茶が無重力の影響で大きな水滴 ?のようになって天井へ登っていった。

 

「おいしかった?」

 

「はい!ありがとうございます」

 

お嬢さんはぺこりと丁寧におじきしてくれた。作ったかいがあった。

 

「ところでお嬢さん。どうしてこんなところへ?ここは古代ベルカとかの難しい資料ばっかりだよ?」

 

古代ベルカ・・・それ以前の世界出身の私とかなら多少読めるけど、この子も古代ベルカ語とか読めるのかな?

 

「・・・探してる資料があるんです。それが前の区画になくって」

 

「探してる資料?」

 

「創成魔法についての資料なんですけど・・・」

 

おぉ!このお嬢さん、まだ小さいのに創成魔法に興味があるんだ。恥ずかしそうに私を見るお嬢さん。

 

「創成魔法ね、探してみるか」

 

「え?・・・い、いいですよ!そんな!」

 

「まあまあ、おにーさんを信じなさい」

 

心の底から遠慮してるようにも見えるけど気にする必要はない。

 

デバイスに関する資料を棚に戻し、取り出すのは『魔法分野 創成魔法』の記載がある本。

 

〈21 Volumen sind überprüft worden.(21冊確認できました)〉

 

21冊か・・・この区画の本は3万冊ほどあるはずだけど少ないな。

 

創成魔法がマイナーっていうのもあるけど。

 

「魔導書型のデバイス・・・すごい」

 

「そうかなー?・・・・お、これなんていいかも」

 

『魔法生物でもわかる!簡単創成魔法〜お人形創成から大地創成まで〜』

 

なんだ、完璧な資料じゃないか。古代ベルカもなかなかやる。

 

「ほい、どーぞ」

 

「あ、ありがとうございます!」

 

お嬢さんは嬉しそうに本を受け取り、ぱらぱらとページをめくる-----と、ピタリと止まった。

 

どうしたのか。難しかった?そんなはず・・・。

 

お嬢さんはうるうるした目で言った。

 

 

「字、読めません・・・・・」

 

 

 

 

 

お嬢さんと一緒に一日中延々と翻訳作業に勤しみました。

 

 




『無限書庫』

本が山ほどある書庫。無重力空間で、変な本もいっぱいある。


『夜天の書・改』

やめてくださいしんでしまいます。


『リヴァイス・デュノワール教導官』

なのはの前のエース・オブ・エース。まだまだ現役のおじさん。


『お嬢さん』

わかるよね?初代にいじられる候補の一人。フラグ?ねーよ。


意見、感想が未来を作る。

次回→旅の息抜き


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しょこたんアインス

Q:お前宿題とか無いの?

A:無いと思う?


その20

 

嘱託魔導師試験に合格した。

 

魔導師ランクが決まった。

 

行く学校が決まった。

 

 

だからサムスさん&フェイトさん宅でパーティーを開いてもらいました。やったねロラン!

 

 

「嘱託魔導師 八神ユーリ、魔導師ランク総合SS−に認定する---やって」

 

最後のさんが私の魔導師ランク書かれた紙を読み上げる。・・・結局、名前がユーリになってた、本人に怒られそうで怖い。

 

「だっ、SS−!?」

 

「すごいよユーリ!」

 

サムスさんは驚き、フェイトさんはいいこいいこしてくれた。なんか本当にお母さんみたい。

 

 

「・・・・・」

 

クロハネがギューっとしてきた。

 

見上げてみるとどこか不満げな紅い瞳と目が合った。胸が顔に当たる・・・。

 

「クロハネ?」

 

「・・・じっとしててください」

 

「あ、はい」

 

なんか威圧に逆らえなかった。

 

「なのはママー、SS−ってすごいのー?」

 

「すごいよ。ママ達がユーリ君と同い年くらいのときはそこまでいかなかったもん」

 

「ゆーりくんすごいっ!」

 

ヴィヴィオに褒められた、溶けるほど嬉しいなり。でもランクの意味、たぶんわかってないよね。

 

「ま、やっぱり私には勝てへんけどね!」

 

「はやてちゃん10歳当時Sランクだから実質負けt」

 

「そーいやっそっ!」

 

最後のさんはなんのためらいもなくサムスさんの口にフライドチキンを突っ込んだ。なんて手際がいいんだろう。

 

「ふぐ!はがふぐぐぐっ!?」

 

「えー?もっと食べたい?なのはちゃんったら食いしん坊やなー」

 

「最後のさん、それ以上したらサムスさんが子どもに見せれないことになります」

 

「大丈夫。なのはちゃんゼロスーツ着とるから」

 

「なーんだ。なら安心ですね!」

 

「「あっはっはっはっはっ!」」

 

 

直後、最後のさんが堕ちた。

 

速すぎて何が何だかわからなかったが、おそらく締め落とされた。

 

背後のフェイトさんに。

 

 

「もー・・・だめだよはやて。こんなところで寝ちゃ」

 

な、なにが起きた?あの位置的にはフェイトさんが最後のさんを締め落としたのは間違いない、間違いないけど・・・・速くね?

 

「フェイトさん?今どうやt」

 

「ユーリ。はやてが寝ちゃったからソファーに運んであげよ?」

 

「いや、そうじゃなくて」

 

「運んであげよ?」

 

断ったらヤバイ感じがしたので運びました。

 

 

「小さき勇者・・・また速くなったか」

 

 

クロハネ、見てたなら手伝ってよ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「いやー・・・死ぬかと思ったわー」

 

「それはこっちのセリフだよっ!」

 

30分後には二人とも復活してました。ザオリクって言いまくったかいがあったというもの。

 

「我が主、ご友人にはもう少し優しく接してあげてください」

 

困ったような顔でクロハネが最後のさんに注意する。最後のさんはえへへー、と言うだけだ。

 

 

「ねーねーゆーりくん。ゆーりくんは学校いかないの?」

 

突然ヴィヴィオそう言ってきた。そういえば私学校行ってないの知ってたんだっけ。

 

「私も今度から行くよー」

 

「ほんと!?いっしょ!?」

 

ぐぬぬ・・・この期待してる顔。言いたくないけど・・・。

 

「私ね、ヴィヴィオと違う学校なの。私立・・・なんだっけ」

 

「ゆーりくん、いっしょじゃ、ない・・・の?」

 

なんで目に涙いっぱい溜めてこっち見るんですかヴィヴィオさん。罪悪感と萌えでもう心がいっぱいです。

 

「初代がヴィヴィオ泣ーかせたーっ」

 

「これはひどい言いがかり」

 

あ、でも間接的に泣かせたのは私?・・・やっべ。

 

「ヴィヴィオー?ユーリ君だってユーリ君の事情があるんだから、困らせたらだーめ」

 

「・・・・うん」

 

ヴィヴィオは案外聞き分けがいい。どっかの神様とは大違いだ。

 

「そういえば・・・結局ユーリはどこの学校に行くことになったの?」

 

「近くの私立学校だそうです」

 

詳しい名前は忘れちゃった。けっこう小規模の学校って聞いたけど、オラ、ワクワクすっぞ!

 

「そこが一番近くてええからな」

 

「はやてちゃん・・・・基準はそこ?」

 

でも近いっていいよね。下手に遠いとこだと遅刻しちゃうかもしれないから。

 

「甘いでなのはちゃん。近いってことは徒歩通学・・・・すなわち!食パン咥えた可愛い子との出会いがあるかもしれへんのやっ!」

 

ちょっとこの人はなに言ってんだろう。

 

「はやてちゃん、そこまで考えていたなんて・・・だてに部隊長をしてたわけじゃないんだね!」

 

なんとサムスさんも変な人に仲間入りしてた。ただの天然って可能性も微塵にはありそうだけど。

 

「しょ、初代!そんなことは私が認めません!」

 

あ、うん、みんなおかしくなってきてる。クロハネさんなに言ってるんですかあなた。

 

「私はヴィヴィオ一筋っ!そんなフラグはへし折っちまうぜ!」

 

「フラグ乙」

 

そんなフラグへし折ってやる。

 

「・・・初代、そういうのはまだ早いと思います」

 

まだ何もしてないのにこの言われようである。クロハネが厳しい。

 

「こっからアインスルートに突入してくわけや」

 

「何ですかそのルート」

 

「主と騎士の禁断の恋・・・ごっつええなぁ!」

 

「話しを聞け」

 

言葉のキャッチボールが成立しない不思議。もはやドッヂボールだ。

 

「なんや、嫌なんか?」

 

「嫌じゃないけど・・・」

 

「!!」

 

クロハネの表情が明るくなった気がした。

 

「・・・今の状態だったらクロハネ、確実にショタコンだから」

 

クロハネの表情が絶望に包まれた気がした。

 

 

「だ、大丈夫ですアインス!ユーリが成長すれば!」

 

「そうですよアインスさん!」

 

体育座りをし始めたクロハネを励ます二人。え、なにこれ私が原因?

 

「はぁ・・・これやから初代はケツが青いんやよ。もっと乙女心っていうものを理解せんと」

 

「---と、ちっぱいは証言しており」

 

「お前ちょっと表でろや」

 

しまった、逆鱗に触れたらしい。気にしてたんだ胸小さいこと。

 

「裁判長、判決は」

 

「死刑」

 

死刑制度をとらない時空管理局への反対勢力の一端を見た。

 

「被告人に悪意はありませんでした。減刑を要求します」

 

「私の胸を見て感想は?」

 

「ちっちゃい」

 

「痛みは一瞬や」

 

口が滑ったでござる、てへっ。

 

「助けてヴィヴィオ」

 

こういう時は焦らず最後の切り札、可愛い少女---

 

「・・・・くー・・・くー・・」

 

---は寝てたよ。

 

可愛い寝顔に癒されたいけどそれどころではない。最後のさんが騎士杖で素振りしてる。

 

・・・素振り?

 

「私、野球好きなんよ」

 

どうしようジャイアンがいる。このままじゃボールにされる運命だ。

 

 

止むを得ないか。夜天の書で対抗するしかない。

 

私は夜天の書を手に----とれない。

 

「・・・・ひょ?」

 

おーい、夜天の書さーん。出てきてよー、主のピンチだよー?

 

 

・・・・・・

 

・・・・・・

 

・・・・・・

 

 

これは非常にまずい。

 

クロハネは二人に泣きついてるし、夜天の書はどっか行った。

 

 

「初代ー野球しよかー----お前ボールな?」

 

殺気がビリビリと伝わってくる。こやつ---本気だ!

 

こうなっては仕方ない。私も杖を展開し、構える。

 

「ヴィヴィオとイチャイチャするまで、俺は・・・俺は死なない!」

 

「ええ覚悟や。ほな・・・くたばりぃぃなぁぁぁぁぁぁっ!!」

 

 

瞳に炎を宿した最後のさんが突撃してくる。

 

 

 

 

 

 

 

 

夜天の書、どこ行ったんだ?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〜なのは&フェイト宅前歩道〜

 

「な!?あ、あの時の魔導書!?ど、どうして・・・・あ、や、やめなさ-----ひゃぁっ!?ど、どこに入ってるんですか!?」

 

 

その晩、民家の前をたまたま通りかかった少女が魔導書に襲われる事件が発生したという。

 




『総合SS−』

この歳でそれはすごい。


『お前ボールな?』

これを見たときは衝撃を受けた。ひどくね?


『たまたま通りかかった少女』

いったいなに覇王なんだ・・・・。


今回適当でごめんね。

意見、感想をください。

次回→リボルバー息抜き。


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初めての学校!〜友達誘拐〜

Q:話のタイトルつけないの?

A:つける。ただいま考え中。


その21

 

ちょっと緊張する。

 

最後のさんに教えてもらった、手の平に『轟』と三回書いて飲むおまじないを-----するわけないだろ、画数多過ぎるわ。

 

 

おっと、今はみんなの前だ。

 

 

 

黒い髪をしっかり整え、自由服の赤黒なチェックのシャツを着こなす。シンプルな細身の黒縁メガネは爽やかさと誠実さを引き出す。

 

 

「皆さん初めまして。今日からこの学校に転校してきた八神ユーリです!好きなものはヴィ---ヴィヴィオで、嫌いなものは近接戦闘。あとデバイスは魔導書型。よろしくお願いします!」

 

 

自己紹介・・・完璧ではないか?

 

 

「はい!八神ユーリ君です。皆さん仲良くしてあげてください!」

 

 

元気のいい担任の先生の声とともに教室中に拍手が鳴り響く。みな様々な目で私を見ている。

 

 

 

そう、私は遂に学校に通うことになった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はーい!それじゃ、一限目はユーリ君への質問タイムします。質問のある子は手を上げてください!」

 

これも対策済みだ。天界とかこっちで二次小説を読み漁った私に敵はいない。

 

あれだろ?魔力はどのくらいーとか、好きなスポーツはー?とかだろう、問題無い。シュミレーションはしたさ。

 

 

みんなが一斉に手を上げる。その中で先生が一人、男の子を選んだ。

 

さぁこい!どんな質問でもばっちこい!

 

 

「好きな子いる?」

 

 

 

 

 

 

 

・・・・・予想以上にレベルが高かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〜同時刻 時空管理局 地上本部 捜査司令官室〜

 

「ああ!どうしましょう我が主!初代はしっかり自己紹介できたでしょうか!?ご友人はできたでしょうか!?」

 

「・・・・だーかーら、大丈夫って」

 

 

先ほどからこれの繰り返し、はやては半ば呆れていた。

 

初代が学校に行ってからはや2時間。アインスはずっとそのことを気にかけている。はやては既に同じ質問を38回受けていた。

 

「お姉ちゃん、心配しなくても初代なら大丈夫です!」

 

リインがちっちゃな拳をぐっと握り、自信ありげに言う。

 

「だが・・・・やはり私も書の中で待機しておくべきだったか・・・」

 

現在、夜天の書に待機(引きこもっている)のはなはとのみ。有事の際は強力な戦力になるはずだが、はたして彼女にその気はあるか?アインスの心には不安が募る。

 

「(そもそも、なはとと初代は一度もユニゾンしたことが無い。私も初代とのユニゾンは二度しか経験していないが、一回目で完璧なシンクロ率を出せるとは到底思えない・・・初代とユニゾンするために生み出された私がそうであったように)」

 

 

こんな複雑なことを考えているが、所詮は学校に行った初代が心配---そんな理由で、アインスは今日一日頭を悩ませるのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〜学校〜

 

「ではここの問題は・・・転校生の八神君に答えてもらおうか」

 

「はい」

 

 

先生の指摘に席を立つ。私の目に写る黒板には---古代ベルカ文字。

 

「(よし、ちゃんと機能してる)」

 

 

はっきり言おう。私はまだミッド文字が読めない。簡単なのは読めるようになったが、それじゃ実用性が無い。

 

ということで最後のさんが特別に発注したのがこの黒縁メガネ。なんと、ミッド文字を古代ベルカ文字に変えてレンズに映し出すことができるのだ!

 

 

「(離れたところにある的を同時に攻撃するときの適切な魔法はなにか・・・はっ、楽勝)---空間攻撃魔法ですっ!」

 

「おお、難しい魔法を知っているね!正解!他には誘導射撃魔法などがあるね」

 

誘導射撃は苦手です。サムスさんに教えてもらわなきゃ・・・。そのためのブラッディダガーなんだけど。

 

「(しかし私にとって重要なことはそれではない・・・・重要なのは

誰とお昼ご飯を食べるかだ!)」

 

もうすぐ四限が終わる。それと同時にみんなは仲良しグループとのお昼ご飯タイムになるだろう。

 

私はそれに混ざりたくないっ!

 

私の青春は少数精鋭で行きたいんだっ。だからこそ、一緒に食べる人は控えめな性格をして、なおかつ友達関係があまり広くなさそうな人がいい!

 

 

目星はついている。隣の席の薄ピンク色の髪をした男の娘だ。だってワンピース着てるんだもん、この子たぶん男の子だと思うんだけど・・・?

 

もう食べれません、とか呟いて居眠りしてるけど、この子がいい。

 

 

「よーし、授業はここまで!」

 

男の娘が慌てて起きた。

 

先生の言葉に日直が反応する。

 

「起立」

 

私の席は一番後ろの窓側----ルート確定。

 

「気をつけー」

 

窓は開いており、綺麗な青空がはっきり見えた----夜天の羽衣、セット完了。

 

「礼」

 

オールクリアッ!

 

《ありがとうございましたー》

 

 

ready go!!!

 

 

先生が教室を出て行くため、扉の方を向いた瞬間---行動は開始された。

 

まずは夜天の書を展開、次に自分の弁当を取り、隣の男の娘の弁当袋に羽衣を伸ばし、引っ掛けて確保。

 

まだ誰も動けてない。

 

席から立ち、男の娘をを身体強化した右腕で抱える。ほえ?なんて言ってるのは無視。

 

数人がこちらを振り向こうとしているのが見えた。このままではばれるだろう。

 

だが今は夜天の書がある。

 

〈Sonic Drive〉

 

蒐集魔法である高速移動魔法で一気に加速。これで彼らには金色の粒子しか見えないはずだ。だって-----

 

 

振り向くころにはもう私達は窓の外にいるから。

 

 

「これでっ」

 

ここは三階。屋上までは3、4m。

 

スレイプニールを発動して------羽ばたく。

 

 

黒く輝く羽を舞わせ、屋上まで飛翔。

 

 

「フィニッシュ!」

 

 

屋上の芝生に着地して到着。この学校、屋上に芝生の場所があるとかなんて豪華なんだ。

 

 

「・・・・・・・・?」

 

何が起きたがわからないのか、男の娘は硬直していた。ふむ、ならばここは一つ。

 

 

「お昼ご飯、一緒に食べよ?」

 

ちゃんと誘ってみることにした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「野郎ゥぶっ殺してやらぁぁぁぁぁぁぁッッ!!」

 

「ひぃっ!?」

 

男の娘な人は僕でいいなら・・・なーんて言ってくれて一緒にお昼ご飯を食べることになった。なったんだが・・・!

 

「どうして中身が白米だけなんだぁぁぁぁぁ!!!」

 

ひっでぇよ!?まさかの白米オンリーだよ!?梅干しすらないし!日の丸弁当にもならねぇ!

 

「・・・・・真っ白」

 

男の娘は逆に関心しちゃってるけど、あれか!ちっぱいって言った仕返し!?姑息すぎでしょ!?

 

「くっそ・・・帰ったらシグナムとのおっぱい対決を開いてやる」

 

勝敗は明らかだけど。

 

 

「あの、ぼ、僕の・・・分けよっか?」

 

 

神様がここにいた。思わず手を握ってしまう。

 

 

「本当!?」

 

「!?はははははいっ」

 

 

・・・・・あ、この子いじりたい。そういうタイプの子だ。

 

 

「ありがとう!じゃあ私は白米をトレードに出そう!」

 

「は、白米しかないじゃないですかっ」

 

盲点だった。

 

「君のは・・・おぉっ、美味しそう!」

 

ブロッコリーとかパスタとか占いグラタンとか、色とりどりで食欲をそそるメニューになっていた。最後のさんも手抜きしなきゃ料理上手いはず。

 

「お母さんが作ってくれるんです、美味しいですよ?」

 

「ごはんですよ?」

 

「そんなこと言ってません・・・」

 

しっかりツッコミを入れるとこがまた律儀でいい!

 

「でも美味しいよね」

 

「たしかに美味しいですね」

 

ごはんですよさえあれば我慢できた。美味しいよあれ!

 

「では・・・貰ってもいいですか?」

 

「はい!どうぞ!」

 

いくつかおかずを分けてくれもらいました。

 

 

初めてのお弁当タイムは楽しかった。

 

 

 

 

 

 

 

男友達っていいなー!

 




『黒縁メガネ』

ミッド文字を古代ベルカ文字に翻訳できる謎のメガネ。開発者は秘密★


『空間攻撃魔法』

一定空間を純粋魔力で攻撃する魔法。回避なんてさせねぇ!

初代の得意分野。


『男の娘』

いったい誰なんだろー、誰なんだろー?


初代、盛大な勘違いをし始めた。

意見、感想を分けてくれ!

次回→スレイプ息抜き



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男の娘は希少価値

Q:初代ってレアスキルとかあるのになんでSS−ではやてより低いの?

A:レアスキルを省いた近接戦闘能力がゴミレベルで低く、遠距離照準や精密コントロールも甘かったから。

最近『・』は偶数数でしか使ってはいけないことを知った。

教えくれた方、ありがとうございます!


その22

 

友達に男の娘がいることを最後のさんに話したところ、ぜひ連れて来てほしいと言われた。今度の休日に連れて行こう。

 

 

 

「みーさん!みーさん!つるペタみーさん!」

 

「つるペタ?」

 

ピュアな心の持ち主に言った自分が恥ずかしくなった。

 

 

その心の持ち主の名はミウラ・リナルディ。寝癖みたいな癖っ毛がある薄ピンク色の髪をした男の娘だ。

 

だから私は略してみーさんと呼ぶ。学校でできた友達一号!

 

あれから毎日誘拐して一緒にお弁当を食べて友好を深めている。他にも友達はできたけど断トツでみーさんがいい!

 

 

そんな私達が今どこにいるかって?

 

 

「で、どんな魔法が見たいの?」

 

公共の魔法練習場だよッ!

 

魔法が得意ってこと話したら見たいって言うので来ちゃいました。学校終わるの早かったから人もそんなにいないので。

 

「うーん・・・・ユーリさんの得意な魔法で!」

 

私の得意な魔法?

 

 

広域魔法、空間攻撃魔法、次元間魔法。

 

「ごめん、全部無理だわ」

 

とても公共施設でかましていい魔法じゃない。それにこのアリーナくらいなら吹っ飛びそう。

 

「んー、困りましたね」

 

「・・・・お、砲撃魔法はどう?」

 

いいのがあるじゃないか!滅多に見られないベルカ特有の砲撃魔法!

 

「砲撃魔法、いいですね!見たいです!」

 

みーさんも期待しているので気合を入れる。

 

アリーナ使用上の注意でバリアジャケットを着用することが義務付けられているので甲冑を纏う。ついでにシルバリオクロイツも。

 

「わぁっ!ベルカ式ですか!実物は始めて見ました!」

 

なんと、ベルカ式を見るのが始めて?・・・・そういえばこの時代ってベルカ式が衰退してるんだっけか、カードリッジうんぬんで。

 

「そうかいそうかい・・・・よし、始めようか」

 

〈Yes Myster〉

 

夜天の書が応え、自動的に砲撃魔法が記録されているページを開く。

 

「!!」

 

わくわくしてるみーさんにいいとこ見せなきゃ!

 

 

「彼方より来たれやどりぎの枝。銀月の槍となりて、撃ち貫け・・・・」

 

 

煌黒のベルカ式魔法陣を頭上に展開し、狙うは80m先の巨大な円の的。

 

「石化の槍---ミストルティンッ!」

 

魔法陣の周りから6本、中心から1本の光の槍を放つ。

 

ミストルティンは寸分の狂いもなく、放たれた通りの場所に突き刺さる。

 

さぁ、見せ場はここからだ!

 

 

・・・・・・

 

・・・・・・

 

・・・・・・

 

・・・・・・

 

・・・・・・

 

 

あるぇ?

 

「・・・・?」

 

みーさんも的に刺さったままのミストルティンを見て首を傾げた。

 

「あ、あれ?」

 

 

なんで石化しないんだ?

 

 

「今のが・・・・砲撃魔法ですか?」

 

「あ、うん、砲撃魔法なんだけどさ、副次効果があるんだよ」

 

「副次効果?」

 

その単語自体にはてなマークみたいだけど説明が面倒なのでやめとく。

 

「生体細胞の凝固。簡単に言えば刺さった対象を『石化』させる魔法のはずなんだけど・・・・」

 

「石化!?」

 

どーしてだろ?

 

 

・・・・あ、わかった。

 

 

「的、生き物じゃないじゃん」

 

生物細胞ないから石化するはずない。おおぽかやらかしちまったよ。

 

「あはは・・・・誰にでも失敗はありますよ!」

 

落ち込む私を慰めてくれるみーさん。すげぇいい友達なんですけど。うちの騎士達とは大違い。

 

「ごめん、今度はちゃんとしたの見せるよ!さっそくこれで!----『エクセリオンバスター』?」

 

 

次の瞬間、突き出した騎士杖から、桜色の閃光が駆けた。

 

閃光はそのまま的へ一直線。10mはあるはずの物体を破壊の光が呑み込んだ。

 

 

まぁ、そんなものが的に当った程度で止まるはずもなく・・・・。

 

防護フィールドに直撃するわけさ。

 

 

『アリーナ内の規定魔力値オーバー。フィールドレベルをエマージェンシー級に引き上げます』

 

 

「・・・・・・」

 

「・・・・・・」

 

な、なにこれぇ?

 

威力高そうだからちょいと拡散させた・・・・つもりなんだけど、なにこの砲撃魔法怖い。

 

二人でだんまりしちゃう。どうしてくれようこの空気。

 

 

こうなればトンズラをするしか-----

 

「こらーっ!君達なにをしてる!」

 

 

 

そんなわけにもいかないらしい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「持っててよかった嘱託魔導師資格」

 

普通に怒られて保護者を呼ぶとかになったけど、嘱託魔導師資格のデータを見せたら結構あっさり帰してくれた。何でじゃろ。

 

なので二人揃って帰宅路についてます。

 

「ユーリさん、嘱託魔導師なんて凄いじゃないですか!」

 

尊敬の眼差しを向けてくれるみーさん。・・・・筆記試験やってないなんて口が裂けても言えない。

 

「そーでしょ?初代さん頑張っちゃったんだから」

 

主に最後の模擬戦で。

 

「(初代?)資格データ、もう一度見せてもらっていいですか?」

 

「もちのろん。ほいどーぞ」

 

小さな端末機をぽいっと渡す。慌ててキャッチするみーさん、ナイスキャッチ。

 

 

「・・・・ユーリさん」

 

「へい」

 

みーさんは端末に目を向けたまま真剣そうな声を出す。何事?

 

 

「魔導師ランク総合SS−ってどういうことですか!?」

 

ふーむ、どういうことって言われても。

 

「努力の証」

 

「・・・・ユーリさん、実はすっごく強かったりします?」

 

「戦い方によっては絶対に負けない自信があるね」

 

守ってくれる強い前衛がいれば負けないと思う。

 

「ほぇぇ」

 

私とデータを交互に見て変な声を出してる。見せなかった方がよかったかな?みんなに知られても困るし・・・・。

 

よく考えたらみーさんがそんなことするとは思えないや。

 

・・・・む。

 

 

「おっと、ここでお別れだね」

 

話しながら歩いていたら時間が経つのが早く感じられる。もう八神家の前に来てしまった。

 

「あ、もう着いちゃいましたね」

 

「おお、聖王様よ!時の流れはなんて残酷なんでしょうか!」

 

「ふふっ、言い過ぎです」

 

たしかに言い過ぎた気がする。あれ?聖王様ってヴィヴィオだよね・・・・言ってみるかこのセリフ。

 

そんなこと話してる私達の前に人影が一つ。

 

 

「初代?なんや今帰り?」

 

こ、この声はっ!?

 

「---ちっぱい魔人っ!」

 

「くたばれや」

 

ぼっこぼこにされた。他人の前でも容赦無しとは。

 

というかなんで羽衣を貫通させてくるのか。本当に私と同タイプの騎士なのか疑わしい。

 

「え、えぇっ!?あ、あ、貴方はっ!!!」

 

「ん?私?」

 

みーさんがわなわなしてる。私がアイアンクローされてるのは無視ですか。

 

「八神さん・・・・機動六課部隊長の八神はやてさんですよね!?」

 

「そうやよー。元やけどねー」

 

軽いノリでお返事するのはいいけどこっちに込める力も軽くしてほしい。痛い痛い。

 

「サイン貰ってもいいですか!?」

 

「ん、ええよー」

 

いそいそと取り出されたメモ帳に素早く、そして丁寧にサインを書く最後のさん。慣れてるなこの人。

 

でも片手で書くとか起用すぎるでしょあんた。

 

「最後のさんって有名人?サインとか慣れてるみたいですけど」

 

「ユーリさん知らないんですか!?」

 

「おぉぅ」

 

ずいっと迫られても困る。アイアンクローで行動不能だから何かあっても避けられない。

 

「八神はやてさんと言えば『歩くロストロギア』の二つ名を持ち、かつてのJS事件で大活躍をした部隊『古代遺物管理部機動六課』通称、機動六課の部隊長をしていた・・・言わばミッドチルダの英雄的存在ですよ!」

 

 

聞いたことのない単語が山ほど出てきやがった。相変わらず時代に乗り遅れる私。

 

「言い過ぎな気もするけどなー。ところでその子は----」

 

「みーさん。門限たしか5時だったよね、もう5時になるけど大丈夫?」

 

最後のさんに睨まれたが気にしない、しちゃいけない。

 

自分の青い腕時計を見て、急に慌てだす。この反応の切り替えスピードがおもしろい。

 

「す、すいません!もう帰らなきゃ!ユーリさん、それに八神さんもさようならっ!」

 

「まーた明日」

 

「今度家に遊びにおいでー」

 

はーいっ!って聞こえた、急ぎながらも聞いてはみたいだ。そのままみーさんは夕日の光に照らされながら走り去っていった。

 

「やっぱりおもしろいなー、みーさん」

 

「たしかにおもろそーな子やったね」

 

 

 

 

 

 

その後、最後のさんとのんびり晩ご飯を作りました。

 

 

 

 

 

「って!みーさんって噂の男の娘やないか!?くっ、写真撮っとけばよかったわ!」

 

 

 

悔しがる最後のさんでした。ちゃんちゃん。

 

 

 

 

 

 

「そういえばみーさん・・・・私が最後のさんの家に住んでることわかってるのかな」

 




『石化の槍ミストルティン』

遠隔発生型のベルカ式の砲撃魔法。射程は短く、直接的な攻撃力や防御貫通力もあまり高くないが、命中した相手の生体細胞を凝固させることで達成される「石化」の追加効果を併せ持つ。これ非殺傷とか関係あるのか。


『カードリッジ』

ベルカ式の最大の特徴。魔力を込めた弾をロードして魔力ブーストを行う。

初代は相性が悪いので使わない。


『エクセリオンバスター(初代)』

どっかの白い砲撃魔導師から蒐集した砲撃魔法。初代の大魔力と『拡散』、『広域』の資質によって凄まじい攻撃範囲を叩き出した。あまり収束はされていなかった。


『ちっぱい』

身長が低いから仕方ないね。


『古代遺物管理部機動六課』

はやて達が所属していた部隊。ミッドチルダの英雄的存在。


『羽衣を貫通』

はやての攻撃(物理)はなぜか夜天の羽衣を貫通する。どこの幻想殺しだ。



ミウラちゃんはちょっと抜けてる。

意見、感想を貰えたら希望が出る。

次回→ファランクス・息抜き



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覇王様との初対面

Q:アンチタグ(ry

A:この小説にたぶんアンチはない。


その23

 

夜天の書がおにゃの子を誘拐してきた。

 

今日は土曜日。みーさんが用事とかあったから八神家への招待は延期してヴィヴィオの家へ-----行ったらサムスさんが居て、ヴィヴィオは学校だと言われた。

研究授業というものがあり、運悪くそれにヴィヴィオのクラスが選ばれた、なお選ばれたなかったクラスはお休みだとか。

 

だが私は考えた。学校が終わるころにStヒルデの校門に待機していてヴィヴィオをびっくりさせようと!

 

とは言ってもそれまで暇なのでStヒルデの周りを探検しようと思った。思ったら・・・・・・。

 

 

夜天の書がいなくなる。

探すけどいない。どうしよう。

突然夜天の書が帰ってくる。何があったか尋ねてもだんまり。

喉が乾いたから喫茶店に入る。

夜天の書が女の子を吐き出す。店員さんも私もびっくり。

その女の子に睨まれてる←今ココ

 

 

 

「・・・・あなたがこの魔導書の主ですね」

 

「・・・・はい」

 

 

Stヒルデ魔法学院の近くのオシャンティな喫茶店のテーブルで、私はある人物と向かい合っていた。

 

碧銀の長い髪をツインテールにまとめ、キリッとした凛々しい顔立ち。ヴィヴィオとは異なった虹彩異色。

 

 

アインハルト・ストラトスちゃん。

 

そして彼女の目の前でバインドされている我が傑作の魔導書、夜天の書。

 

 

「----私になにか恨みでも?」

 

「いや、全然」

 

恨みなんてない。一度ちらりと見かけただけで恨みが発生するなら、世の中憎しみで溢れているはずだ。

 

アインハルトちゃんは側にあるアイスコーヒーを手に取り、さされているストローで静かに飲む。

 

一息ついてまた口を開く。

 

 

「なら、ならなんで私のスカートの中に入ってきたりすり寄ってくるんですかこの魔導書はッ!!」

 

バンッ!と机を叩く音が店内に響く。お客さんの視線が集中。こ、怖い・・・・。

 

「お、落ち着いてよアインハルトちゃん。こいつも悪気があってやったわけじゃない----はずだから」

 

「これが落ち着いていられますか!私の、私の貞操が・・・・うぅ・・・・」

 

貞操!?ちょっ!このあほ魔導書何やらかしたの!?

 

「あー・・・・うん、ごめんね本当。こいつなんか無駄にAIが高性能になっててさ」

 

簡易AIしか積んでないはずなのに人間級に感情を持つし、この長い間になにがあったのか。

アインハルトちゃんは顔を赤くして睨む。でも残念ながら私にはご褒美なのよねそれ。

 

「とにかく、この魔導書にはマスターであるあなたからしっかり言っておいてください」

 

「言うこと聞かないから意味ないと思うけどそれでもいい?」

 

「あなた本当にマスターなんですか・・・・?」

 

や、やめて!そんな慈悲の目を向けないで!夜天の書だって光り輝いて--------

 

 

光り輝いて?え?

 

 

反応しようとするが時はすでに遅し、バインドが破壊され大人しかった夜天の書が起動する。

 

〈Übergang(転移)〉

 

「はぁっ!?待て夜天の書!まだお金払って----」

 

 

 

 

無慈悲にも私とアインハルトちゃんは転移させられてしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「わぁぁっ!アインハルトちゃん!暴力反対!」

 

「やはりなにか企んでいましたね!?もう許しませんッ!」

 

やばいやばいやばい!!第二の人生で最大の山場を迎えてるよ私!?

 

転移したのはStヒルデ魔法学院------の、恐らく体育準備室。小さな窓からの風景と体育の道具でそう判断した。

 

ただでさえ疑われていたのにこんな場所に連れてこられれば間違いなくアウト。

実際にアインハルトちゃんに襲われています。

 

「ま、待て、話せばわかる」

 

「そんなこと言って・・・・こんなところに連れ込んでえ、え、えっちなことするつもりですねっ!?エロ同人みたいに!!」

 

 

あ、この人も特殊なタイプか。しかもかなりの。

 

 

「え、あ、いや、あの」

 

「どうすれば!?このままでは【自主規制】されたり【検閲により削除】になり、挙げ句の果てには【トランザム!】で【アシクビヲクジキマシター!】な【放送禁止用語】に・・・・!」

 

この短時間にどんだけ卑猥な言葉使ってんだよアインハルトちゃん!これで私と同い年とか嘘でしょ!?そっち方面の知識では私と同等・・・・いや、それ以上かっ!

 

「アインハルトちゃん。落ち着いて話しを聞くんだ」

 

「【性的用語】・・・・はっ!?なななんですか!言い訳なんて聞きたくありません!」

 

アインハルトちゃん真の【禁則事項】なら、この言い訳が通用する・・・・いけるか。

 

「考えてみるんだ。体育準備室でエッチなことと言えば、マットとか縛り付けて陵辱の限りを尽くすのが普通じゃないかい?魔法を使えないようにしたりさ」

 

「!」

 

「だけどアインハルトちゃんは魔法を使えるし拘束もされていない・・・・おまけにここには『道具』もないんだよ?つまり私はアインハルトちゃんを襲う気はないっ!」

 

「!!!」

 

衝撃を受けた顔をされた。え、本当にこんな理由でよかったの?

 

「わかってくれたかい?」

 

「・・・・ええ、たしかにあなたの言うとおりです。私は早とちりしてしまったようですね」

 

振り上げていた拳を下ろしてくれるアインハルトちゃん。

先ほどとは打って変わって冷静さを取り戻している。

 

「うちの魔導書がほんと迷惑かけて・・・・」

 

「いえ、わかってくれたならいいんです」

 

 

改めてマットの上に二人でちょこんと座り向かい合う。

 

「「・・・・・・・・」」

 

何話せばいいんだろう。

 

ここから出るのが一番なんだろうけど、なんかそういう雰囲気ではない。

 

考えるんだ私。夜天の魔導書を創り出したこの天才的(笑)な脳をフル回転させるんだっ。

 

でも都合のいい話題なんて・・・・・・。

 

 

 

“そういえば初代、あの学校はなかなかじゃの“

 

“いきなりなんだ、なはと”

 

“聖王女がいると思えば、『覇王』までいるとは・・・・なにか運命のようなもの感じると思ってな”

 

“覇王?それまた強そうな名前だね・・・・で、誰がその覇王なの?”

 

“お前も見ただろう。碧銀の頭髪に虹彩異色の者だ”

 

“それってもしかしてアインハルトちゃんのこと?”

 

“そのような名なのか。しかしあそこまで覇王の特徴が色濃く出ているとは・・・・イングヴァルト家の直系か?”

 

“よく知らないけど、なはとはその覇王さんと戦ったことはあるの?”

 

“私が暴走する前に一度だけ、な。ただあの覇王は初代覇王クラウスでなかった。奴とも拳を交えたかったものだ・・・・”

 

 

あるじゃん。話題。

 

アインハルトちゃんを初めて見たあの日、なはとが私に話してくれたことが。

 

「そそそそういえばアインハルトちゃんって覇王さんなんでしょ!なんか技見せて技!」

 

「はい。私はたしかに覇王・・・・!?な、なぜそれを知っているのですか!?」

 

大層驚かれました。知ってるのは私じゃないけど。

 

「続きはWebで!」

 

「今!今教えてくださいっ」

 

がっくんがっくん肩を揺らされる。ネタが通じなかった。

 

すっごく知りたそうだったのでなはとの話しの内容を伝えてみた。

 

 

 

「---かくかくしかじかフラミンゴってわけなのですよ」

 

「諸王時代の融合騎・・・・ぜひお話を伺いたいです」

 

ネタはスルーされた。でもなんでそんなに知りたいのか?話を聞いてみることにした。

 

 

 

まずアインハルトちゃんは初代覇王であるクラウスさんの記憶をある程度受け継いでいるらしい。何それカッコイイ。

 

それを自覚したのは一年前とかなり最近のこと。まだ全然思い出せていないことも、断片的な記憶と記憶を繋ぎ合わせることで自分の記憶として蘇らせることが可能だとか。

んでもって、真っ先に思い出せたのが『使命』。

 

覇王流という古武術の強さを示すこと。それと大切な人を守ること。

 

「ふむふむ。それでアインハルトちゃんは記憶頼りに調べ物をしたり、覇王流?とかの鍛錬をしていると」

 

彼女は小さく頷く。ぐぬぬ・・・・力になろうかと考えてみたけど、初代覇王クラウスさんが生きていた時代は私の生きていた時代よりはるか未来。知ってる王なんてせいぜい『聖王』か『冥王』くらいだ。

 

「変なことをお話ししましたね。これは私の問題・・・・忘れてください」

 

ここまで関わっておいて放っておくんじゃ騎士の名が廃る。私になにか力になれることはないのか。

 

 

魔法を教えよう!→私とアインハルトちゃんは戦闘スタイルが真逆。

 

勉強を教えよう!→古代ベルカの知識は時代に適していない。

 

大人の知識を教えよう!→私と同格。

 

 

ウソ、私の力・・・・低すぎ・・・・?

 

「では、練習があるので私はこれで」

 

アインハルトちゃんが立ち上がり、扉の方へ歩む。ぐっ・・・・なにか、なにかないのかっっ!!

 

あった。

 

「させるかァッ!」

 

足首を掴み、思いっきり引っ張る。もちろんそのまま重力によって----。

 

「むきゅっ!?」

 

マットに倒れこむわけだよ。今の声は可愛い。あとライトグリーンのパンツも可愛かった。

 

「アインハルトちゃん!思いついたよ!私にも力になれること!」

 

「な、なんれふか突然っ!」

 

鼻をマットに打って赤くし、涙ぐみながらこちらを抗議の目で見るアインハルトちゃん。

しかーし!私の案の前にはそんな目も出来なくなるはずっ!

 

「アインハルトちゃん---遊ぶぞっ」

 

「・・・・・・あそぶ?」

 

キョトンとしているがそんなの関係ねぇっ!

 

「私がアインハルトちゃんに協力してあげれるのは---癒し!すなわち娯楽!遊ぶことなのだー!」

 

力の無い私が協力してあげられる唯一の手段。私もアインハルトちゃんも楽しめて一石二鳥!

 

「そんな暇はありませんっ。私はここにある訓練メニューをこなさなけれ「あむっ」ひゃぃぃぁぁぁ!?」

 

色々と細かい字がびっしり書かれている紙を取り出しやがったので食ってやった。

手も口の中に入ったのは事故。

 

「あむあむ、かゆ・・・・うま・・・・」

 

「あっ、あーっ!なんで食べるんですか!?出して!だーしーてーくーだーさーいー!」

 

「中に出せと申すか」

 

「それはだめです。できれば外に・・・・!?なにを言わせるんですかーっ!」

 

タコみたいに顔赤くしてぽこぽこ叩かれた。でもへっぽこパンチだから全く痛くない。

 

「残念。もう美味しく頂いたよ」

 

「そっ、そんな・・・・あのメニューを考えるのに二日もかかったのに・・・・」

 

その二日をトレーニングに回せばいいんじゃない?なんて質問は控えよう。泣いちゃうから。

 

「さーて、これで今日の予定は消えたね!やった!」

 

「・・・・あなたの胃の中に、ですけどね」

 

うまいことを言われた。

 

「さぁさぁ遊びに行きますよ。ついでに私の友人も紹介しちゃうから」

 

「あなたの友人・・・・どんな奇人ですか?」

 

失礼極まりないのでほっぺたをぐにぐにして遊んだ。

 

「のびーるのびーる。タテタテヨコヨコ」

 

「ひゃ、ひゃめれくらひゃいー!」

 

「だが断る」

 

ほっぺたコマンド入力楽しいです。あうあうしてるアインハルトちゃんもおもしろ可愛い。

 

「ごめんなひゃいー!」

 

「ちなみに私の友人は世界一可愛いぞ。可愛いすぎるからって薄い本を熱くさせる展開にもちこまないよーに」

 

「ひーまーひぇーんー!」

 

 

 

 

 

 

そんなかんじでアインハルトちゃんで遊んでたらヴィヴィオ待ち伏せがギリギリになった。

 

俺は悪くねぇっ!

 




『体育準備室』

これだけで様々な妄想を可能な作者は病気。


『エロ同人みたいに!!』

お前はなにを言っているんだ。


『続きはWebで!』

こういうのをWebで検索した試しがない。


『ここにある訓練メニュー』

初代が美味しくいただきました。


アインハルトってこんなキャラでもいいと思うんだ。

意見、感想が無ければ作者は死んでしまう。

次回→ウイング息抜き


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王達の遊戯

Q:息抜きしすぎもよくないよ?

A:只今多忙でござる。


そんなこと言いながら今回5000字越えてたっていうね。


皆様のおかげで日間ランキング2位までいくことができました!

これからも頑張っていきますので、よろしくお願いします。




その24

 

アインハルトちゃんを拉致してヴィヴィオと合流した。

 

 

「お客様、先ほどお客様の姿が見えなかったのですが・・・・」

 

「そんなことありませんよ?ね、アインハルトちゃん」

 

「は、はい!ちょっとお手洗いで---」

 

「ズッコンバッコンしてました」

 

店員さんが顔を真っ赤にして走り去って行った。

 

「ああああああああなたはっ、な、なんて、ことっ!言うんですかっ!」

 

「ゆーりくん。ずっこんばっこんてなにー?」

 

歳が三つ違うだけでこれほどの知識量の差が出てくるとは。アインハルトちゃんが特殊なだけかもしれないけど。

 

 

そんなこんなで私達はさっきの喫茶店にいるわけですよ。どうやって入ったか?夜天の書の転移以外に方法は無いね。

 

「ヴィヴィオがもうちょっと大人になったら教えてあげる」

 

「えー・・・・ならなのはママに」

 

ヴィヴィオから通信端末を取り上げるには一秒もかからなかった。

 

「いいかいヴィヴィオ、今の話しは二人だけの秘密。ユーリ君とヴィヴィオだけのひ・み・つ、おーけー?」

 

「?うーん・・・・わかった!」

 

元気良くお返事してくれるヴィヴィオに胸を撫で下ろす。

わからないことを調べるのは素晴らしいことだけど、これをサムスさん達に聞かれるわけにはいかない。

 

「う・・・・・あの、できれば自己紹介を」

 

アインハルトちゃんがぼっちで寂しがっていた、首から上が真っ赤っ赤。ヴィヴィオとの世界を作りすぎてしまったようだ、不覚。

 

「任せなさい。えー・・・・コホン。あ、こういう場合はゴホンの方がいいかな?」

 

「ゴホンだったら咳をしているような印象があるのでコホンでいいと思いますよ」

 

「お、そうか。でもゴホンとかコホンの擬音って誰が考えたんだろか」

 

「・・・・考えたことがありませんでした。気になりますね」

 

ついつい考え込んでしまう。確かに人間が咳をするとき聞こえる声は『ゴホン』だ。ならなぜ人間の発生器官はそういう音をだすのだろうか?喉に対する負担が最も少ないから?それとも----。

 

「ゆーりくん?じこしょーかいは?」

 

ヴィヴィオに服の袖を引っ張られ思考が中断される。いつのまにか話しの内容が大幅に変わっていた、それどころか原形留めてない。なんで自己紹介から咳の話題になるんだ。

 

今度こそしっかりやろう。

 

「そうだったね、ありがとヴィヴィオ。・・・・私は八神ユーリ、そこらへんの私立学校に通う初等科四年、新米嘱託魔導師で騎士やってます。こっちはアインハルトちゃんと同じStヒルデ魔法学院に通う初等科二年の---」

 

「高町ヴィヴィオです!」

 

かわええ、かわええよヴィヴィオ。どんな相手にも常にそのヒマワリのような笑顔を向けてくれる可愛い可愛い天使。

 

「Stヒルデ魔法学院初等科四年のアインハルト・ストラトスです。覇王流という古武術をやっています」

 

いたって普通の自己紹介だった。アインハルトちゃんのあの卑猥な単語祭りはなんだったのか、すごく気になる。・・・・いつもあれでないだけマシかもと考えてしまうあたり私も普通じゃない。

 

 

「失礼します。こちらミートソースパスタとカルボナーラとかにクリームパスタになります」

 

自己紹介が終わったちょうどいいところに店員さんが料理を持ってきた。

ちなみにミートソースパスタがヴィヴィオ、カルボナーラが私、かにクリームパスタがアインハルトちゃん。

 

「お、うまそう」

 

「噂には聞いていましたが・・・・」

 

「おいしそ〜」

 

この喫茶店はミッドチルダでもけっこう有名なお店。

料理がおいしく種類も多い、おまけにStヒルデの近くだからロリコン達の聖地でもある。常に三人くらいは確認できるらしい。

 

「お客様」

 

「はい?」

 

さっきの店員さんが飲み物を持ってきた。ちなみに全員オレンジジュース・・・・なんだけど、店員さんは何か言いたげだ。

 

「避妊は・・・・しなきゃだめです!きゃっ、言っちゃった!」

 

・・・・・・・・・・。

 

「ユーリさん」

 

「アインハルトちゃん、避妊はしっかり、ね?」

 

「あなたのことですよッッ!」

 

誤魔化せなかった。流石は覇王様、ツッコミという懐刀を取り出してきた。ついでに殺気も出てるけど。

 

「まぁまぁ。ロリ×ショタだって全然ありだって。需要あるよ」

 

「ひにんってなにー?」

 

「ヴィヴィオ、あーん」

 

「あーん」

 

ヴィヴィオにはまだ早いのでカルボナーラを食べさせる。美味しそうにほおばるのが可愛いすぎた。濡れる。

 

「・・・・なんかもういいです」

 

アインハルトちゃんが濁った目でかにクリームパスタを食べ始めた。この目は神様もたまにする目だ。

友達が増えるってすんばらしい!

 

 

しばらくもくもくと無言で食べる。

しかしなにか物足りない。主に癒し、すなわち笑いの成分が。

 

「びゃあ゛ぁ゛゛ぁうまひぃ゛ぃぃ゛!」

 

アインハルトちゃんの口から色々飛び出した。害有りと判断した夜天の羽衣が私とヴィヴィオを覆う。

危なかった。かにクリームが顔にかかったヴィヴィオなんて見たら興奮してクララが立t・・・・自重しよう。

 

「ふかーっ!」

 

「アインハルトちゃんがニャインハルトになりました」

 

あーちっでー手をとって♪こーっちでーニャインハルトっ♪

この歌は売れる(確信)。

 

「にゃいんはるとさん・・・・?」

 

「えっ?いや、ヴィヴィオさん、私の名前は」

 

「ニャインハルトでおk」

 

「にゃいんはるとさんー!」

 

にゃいんはるとさ〜ん!ち、違いますっ、なんて会話がとても微笑ましい。

そんなに睨まないでよにゃいんはるとさん。

 

「よし、これからニャインハルトで固定な」

 

「い、嫌ですよ!?恥ずかしいじゃないですかっ」

 

〈Ich glaube, dass es gut ist.(いいと思います)〉

 

「だよね!」

 

「あぅ、うぅ・・・・もうっ!もーっ!」

 

ぱっと見クールな印象を持つニャインハルトだが、いじってみると可愛い仕草が多い。

こう、体全体を使って感情を表現するところとか。

 

「ほらほら、時間も惜しいから早く食べてー」

 

「はーい!」

 

「ばかっ!ユーリさんのばかぁっ!」

 

 

ニャインハルトに罵倒されながらパクパク食べました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「さぁ・・・・ゲーセンだ」

 

パスタを美味しく頂いた後、私達が向かったのはStヒルデから徒歩十五分くらいの場所にあるゲームセンター。

最後のさんに連れて来てもらった時は楽しかった。射撃ゲームでスコアカンストしたのはいい思い出。

 

「ここが、ゲームセンターですか」

 

「ひろーい!ひろーい!」

 

聞く話によると二人ともゲームセンター来るのは初めてだとか。

言われてみれば無縁そうなかんじがする。

ニャインハルトはなぜか警戒気味でヴィヴィオははしゃぐ。

 

「とりあえず私のオススメをしらみつぶしに遊ぼう、それで時間がくるだろうし、いいかなー?」

 

「いいともー!」

 

「い・・・・い、いいとも?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〜射撃ゲーム〜

 

迫り来る宇宙人を銃でやっつけろ!

 

スコア上限10000000。

 

 

スタート!

 

「はっ、ほっ、とっ」

 

「これはっ、なかなか!」

 

「えいっ、えいっ!」

 

 

結果

 

 

Player1(初代)score:9802000

 

Player2(アインハルト)score:1200

 

Player3(ヴィヴィオ)score:103000

 

 

「まぁ、こんなものかな」

 

「・・・・・・・・」

 

「やった!にばん!」

 

 

アインハルトは弱かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〜魔力弾(魔力砲)射撃ゲーム〜

 

次々と出現する的に射撃魔法を当てろ!

 

制限時間一分。

 

 

「(射撃魔法は苦手分野・・・・けど、先ほどのようにはっ!)」

 

「いっくよー!」

 

「記録更新しちゃうぞー」

 

 

結果

 

 

Player1(アインハルト)破壊数:11

 

Player2(ヴィヴィオ)破壊数:13

 

Player3(初代)破壊数:543

 

 

「・・・・・・ぐすっ」

 

「ゆーりくんすごーい!」

 

「広域拡散使えば余裕さ」

 

 

アインハルトは(ry

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〜パンチングマシーン〜

 

力でゴリ押せ!パンチ力を見せつけろ!

 

身体強化魔法有り(魔力付与禁止)。

 

上限1000。

 

 

「(これなら・・・・!)」

 

「いちばんになるもん!」

 

「ふっ・・・・」

 

 

アインハルト:105

 

ヴィヴィオ:51

 

初代:16

 

 

「ユーリさん!?」

 

「うー!またにばんー!」

 

「今日はこの辺にしといてやる」

 

 

初代は身体強化が苦手分野。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「クレーンゲームだ!」

 

色んなゲームをあらたか遊び尽くしたので、そろそろラストにしようと、定番のクレーンゲームに。

大量の人形が女の子二人の目を輝かせている。

 

「おにんぎょうがいっぱい!」

 

「・・・・かわいい」

 

やりたそうな目でこっちを見ているが、クレーンゲームは難しいので今回は見学してもらうことにした。

欲しいものを聞いてみる。

 

「あの白いうさぎさん!」

 

「あの猫を」

 

二人してまったく迷いがなかった。既に目星をつけていたに違いない。

しかし二人のお目当ての品は離れている。最後にやりたいこともあるのでお金はとっておきたい。

 

 

「まずは夜天の羽衣で台を覆います」

 

「いきなりなんですか!?」

 

ニャインハルトのツッコミは無視して、台全体を魔力で覆う。これで何しても見えない。

 

「硬貨を入れます」

 

「?」

 

ヴィヴィオも不思議そうに見ている。これはピュアな心の持ち主には見せられないのでしっかり隠す。

後は私の手を羽衣で隠して・・・・。

 

「PON★」

 

「「!?」」

 

するとあら不思議。私の手には二人の欲しかった蝶ネクタイをしたうさぎのぬいぐるみと黄色と黒色の猫っぽいぬいぐるみが!

 

「これぞドナルド☆マジック」

 

「すごーいっ!」

 

「ど、どうやって・・・・」

 

残念だけど教えるわけにはいかない。これはドナルド☆マジックでいいんだ。

むしろそれ以外あり得ない。

 

〈.............〉

 

「(あれは、ユーリさんのデバイス?さっきまでいなかったはず・・・・・・まさか)」

 

ヴィヴィオがうさぎぬいぐるみを撫でながらはにかむ。ぐっ!?こ、これは癒しの風レベルっ。

 

「やーもうヴィヴィオ大好き!」

 

「ヴィヴィオも!」

 

ヴィヴィオ!ヴィヴィオ!ヴィヴィオぅぅうううわぁああああああああああああああああああああああん!!!

あぁああああ…ああ…あっあっー!あぁああああああ!!!ヴィヴィオヴィヴィオヴィヴィオヴィヴィオぅううぁわぁああああ!!!

あぁクンカクンカ!クンカクンカ!スーハースーハー!スーハースーハー!いい匂いだなぁ…くんくん

んはぁっ!高町ヴィヴィオたんの金色ブロンドの髪をクンカクンカしたいお!クンカクンカ!あぁあ!!

間違えた!モフモフしたいお!モフモフ!モフモフ!髪髪モフモフ!カリカリモフモフ…きゅんきゅんきゅい!!

 

〈Kommen Sie bitte zu einem Meister zurück und spürt.(マイスター、正気にお戻りください)〉

 

おっとっと・・・・つい本音が滲み出てしまった。

けど可愛すぎるヴィヴィオも悪いといえば悪いよね。

 

「ユーリさん」

 

「くんかk・・・・ほいなにかな?」

 

この思いをニャインハルトに聞かれたらなんか社会的に危ういことになるかもしれないので黙っておく。

ニャインハルトはそこそこ真剣な眼差しでこちらを見る。

 

「このぬいぐるみ、まさかあなたのデバイスが---」

 

「アインハルト?世の中-----知らなくてもいいことでいっぱいなんだよ?」

 

ニャインハルトの顔の真横まで迫り、耳に吐息をあてながらぼそっと囁く。

あらあら耳まで赤くしちゃって・・・・ふふふふ。

 

「にゃいんはるとさん?お顔まっかっかだよ?だいじょうぶ?」

 

「ニャインハルトは大丈夫だよ!ささ、次でラストだから!いっそげー!」

 

ゆでニャインハルトとヴィヴィオを引っ張り、最後の機械へ歩いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

到着した、三人で中に入る。ちなみに中は青一色。

 

「あの、ここは?」

 

「プリクラというマシーンらしい」

 

前回、最後のさんと行った写真を撮るマシーン、プリクラ。落書きとかうんたらかんたら色々できて若作りもできる優れものなのだ。

今回はどうしても三人の思い出として残したかったのでお金を節約しながら遊んでいた。

 

「あ、これかわいい!」

 

「お、たしかに・・・・それじゃフレームはこれで」

 

ヴィヴィオが選んだのは王冠とか星が散りばめられた黒金フレーム。なにがメインなんだこれ。

 

あとはぽぽぽぽーんとして・・・・。

 

「落書きは、これでいいや」

 

「せいおう、聖王!?」

 

はおー、せいおー、やてんのおー、てきなかんじに書き込む。ニャインハルトがヴィヴィオに聖王なんですか!?なんて言ってるけどウキウキしたヴィヴィオにその声は届いていない。

「あとは二人がこれをつければ準備完了」

 

「あー!うさぎさんのカチューシャ!」

 

「ね、猫耳・・・・カチューシャ?」

 

さっきのドナルド☆マジックで取ったのはぬいぐるみだけではない。これのためにカチューシャも取っておいたのだ!抜かりはない。

ヴィヴィオはさっそつけてノリノリだが、ニャインハルトは戸惑っている。

 

「私はこれだ」

 

〈open!〉

 

夜天の書を開き、例の物を取り出す。

カチューシャとかが似合わない私にピッタリの最終手段!

 

「ポンデリングクッションー」

 

「なぜそれに至ったんですか!?」

 

似合うものが無いからです。家にはたぬきのお面が大量にあったけど見なかったことにした。

ポンデリングクッションを顔に装着し----。

 

「ポンデライオン」

 

「かわいいー!」

 

ニャインハルトが吹き出してるけど気にせず撮影へ。凄く、シュールです・・・・。

 

 

「はいはい、もっとつめてー」

 

「こ、こうですか?」

 

「ヴィヴィオくらい」

 

「それはくっつき過ぎでは・・・・」

 

あんなに卑猥な言葉を連呼していたとは思えないほど乙女なニャインハルト。

これは一種の詐欺と言っても過言ではない。

 

『写真を撮るよ!はい、チー---』

 

「秘技---両手に花ッ!」

 

「わわっ!?」

 

「あぅっ!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「いやはや、今日は楽しかったなぁ」

 

「うん!」

 

「人生で一番疲れたかもしれません・・・・」

 

大袈裟だと思った。この程度で疲れてもらっては夏のイベントまでにニャインハルトが死んでしまう。

強化プランを立てて訓練させよう、面白く。

 

「・・・・お。ここで別れるかな?送って行こうか?」

 

「いえ、けっこうです」

 

しょぼーん。

 

「にゃいんはるとさん、ばいばーい!」

 

ヴィヴィオが腕をブンブン振ってニャインハルトを見送る。

向こうも小さく手を振り、

 

 

「はい、さようなら」

 

たしかにそう言った。

 

 

 

 

こうして私達の休日は、幕を閉じたのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アインハルトの帰宅路、彼女の手には---

 

笑顔の今日振りまわしてくれた男の子と、抱き寄せられ驚きの表情を浮かべた自分と聖王の小さな写真。

 

「・・・・ふふっ♪」

 

誰も見ることがなかったアインハルトの満面の笑みがこぼれたことを知る者はいない。

 

彼女の腕に収まっているぬいぐるみが、小さく揺れた。

 




『びゃあ゛ぁ゛゛ぁうまひぃ゛ぃぃ゛!』

ミッドチルダで毎週日曜6時30分から始まる国民的アニメに出てくる人が言ったセリフ。全自動卵割機って便利なのかね。


『ふかーっ!』

作者はあの手のもの大好き。


『ニャインハルト』

アインハルトが昇華した姿。別に意味はない。


『ぬいぐるみ』

後の彼女達の相棒。


『ドナルド☆マジック』

教祖様の魔法。夜天の書が蒐集していた(嘘)。


意見、感想を貰えたら72時間動けます。

次回→鋼の息抜き


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ヤガミキッチン〜オリーブの妖精〜

Q:投稿遅くなった?

A:宿題とか消えればいいのに。


その25

 

ソラハネと一緒にお風呂に放り込まれたでござる。

 

「ふぃー・・・・ええ湯ですなー」

 

「ですねー・・・・」

 

こうしてソラハネと二人で話すのはなんだかんだで初めてかもしれない。

見れば見るほどちっちゃいクロハネなんだよね。

 

「ソラハネって働いてるんだよねー、大変?」

 

「大変ですよー。リインはどうやっても小さいですから書類運びとかが。頑張ってこのサイズですし」

 

今のソラハネの姿はヴィータと同い年くらいに見える。最大サイズらしい、ちっこい。

クロハネのデータを基準に造られた融合騎・・・・じゃなくてユニゾンデバイス、というデバイスの一種なんだとか。

 

「クロハネが元になってるならナイスバディでもよかったと思う初代さんなわけだよ」

 

「お姉ちゃんクラスの融合騎はお姉ちゃんを含めて二機しか確認されてないです。それにあの戦闘能力を持ってとなると、今の管理局じゃちょっと・・・・」

 

クロハネくらいの融合騎がわらわらいるのも怖い。次元世界を制圧できる気がする。

 

「てか、クロハネくらいの融合騎って他にいたの?」

 

私の時代で存在していた融合騎は二機。どっちも基礎は私が制作したわけだけど・・・・。

 

「はい。管理局第一級指定のロストロギア『血の眼』、お姉ちゃんと同じ融合騎でロードを失い暴走していると考えられています。ここ十年はその姿は確認されていません」

 

「ここ十年は確認されてないって・・・・まさか突然現れるの?」

 

「資料にはそう書かれていたんですよー」

 

恐い恐い・・・・でも、ロード失って暴走する?そんなことがあるのかな・・・・。

私が死んでもクロハネは暴走しなかったみたいだし、あいつもそんな柄の騎士じゃなかったからなぁ。

ロードとリンクするシステムでも組んでたら話しは別なんだけど。

 

 

・・・・・・難しいからやーめた。

 

「ま、とりあえず今は平和ってことでしょー」

 

「本当、平和ですー」

 

 

のんびーり湯船に浸かってました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ソラハネが頭を洗ってくれとせがむので洗ってあげることにした。

 

「痒いところはありませんかー?なかったら作りますが」

 

「痒いところって作れるですか」

 

「とろろ・・・・おいしいです」

 

「はやてちゃん、今日はお蕎麦って言ってたですね」

 

「幼女にとろろぶっかけとか誰得?」

 

「俺得!」

 

ソラハネのノリのよさに感動せざるを得ない。

 

「ノリいいソラハネと・・・・合体したいっ」

 

「あ、たしかにしたことないです」

 

「クロハネ基準だからいけるはず。大丈夫!先っぽだけだから!」

 

「どこのエロオヤジです?」

 

「先っぽだけユニゾンとかできるかねぇ」

 

「リイン終了のお知らせですか!」

 

自分で言ってて抵抗ないのかなこの子。

絶対最後さんのノリを受け継いでると思いながら、長ーい髪をわしゃわしゃと洗ってあげる。

 

「タワー」

 

「おぉっ!こんなに長い髪が立派な塔になってるです・・・・!」

 

以外と立ちやすい髪だった。バベルの塔も夢じゃない。

 

「ここでネタをできる者こそ真の融合騎」

 

「なんですとっ!?ならばリイン、このネタを解放するですッ!」

 

 

              |::::::::::::::::::::|

              |::::::::::::::::::::|

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            rく__ \::::::」    __

           /⌒ヽ\|`´   r三::',

          {_,,.. }  ヽヽ   └:::::}

            /   /,メ  } }、     |:::,'

        / _,,...ノ `ー-=ニ/:::ヽ  / ,'

        |´  | \  r::r{:::::::::}`´ /

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           |  ,'  /-、,_ヽキ',  `

           | {  /    `了',

        f:::::ヽ |     }: ',

        ヽ:::::| {ニニニニ!ニニ}

          `ー' |    ,'  |

            | |   /  .|

            | ヽ_ /::ヽ,._/

               ,' __/ }  _}

           / :::/ .,' :::{

              /  / .{  ::|

          |  /  ',  :|

             |  .,'    ', |

          |  ,'     | ',

         ,'  {     r  ヽ.,_

         /::::::::',    `ー'''ー---'

        `ー--‐'

 

               

「おまwwwwは、反則wwwwwくそっwwwww」

 

不覚にも大爆笑してしまった。まさかゴンさんを使ってくるとは予想外すぎる。

なんなんだこの応用力は。

 

「はやてちゃんと考えた必殺のネタです!これで笑わなかったのはザフィーラくらいです!」

 

「あやつは基本笑わないからねー」

 

やれザフィーラはカッコいいだ、やれザフィーラ×シャマルは王道やら話していたらふとあることを思い出した。

 

「シャマルが料理下手と聞きまして」

 

最後のさんが、昔シャマルは殺人料理作ったりしとったんやよー、なんて言っていたのだ。

私はシャマルが一番料理できるようにプログラムを組んだはずなので、ずっと疑問だった。

おそらくバグの影響だったんだろうけど。

 

「はい!確かに昔はお料理が下手でしたよ?一口食べたら全身麻痺するプリンを食べたことがありました」

 

バグの恐ろしさを改めて痛感させられた。

 

「ソラハネをじっくりコトコト煮込めばシャマルの料理も美味しくなるはず」

 

「はうっ!?リインじっくりコトコト煮込まれちゃいますか!こうなれば体中の穴という穴からポタージュ成分を・・・・!」

 

「それはコーンポタージュ派の私への挑戦とみた」

 

 

 

ソラハネとじっくりコトコト話していました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「それで、コーンポタージュとポタージュのどっちの方が美味しいか議論してたらのぼせたと」

 

「ソラハネ汁が抽出されました」

 

「リインわぁ、おいしく、ないですー・・・・」

 

クロハネにうちわで仰いでもらいながら、ソラハネとぐてーっとしてるのがまた楽しい。

 

「最後のさーん、アイス作ってー」

 

「八神家には名物リインカキ氷というものがあってやな」

 

「なにそれ面白そう」

 

最後のさんにアイスをおねだりしてみたところ、八神家にはソラハネを使ったカキ氷があるという情報を入手した。

やはり出汁を使うのだろうか。だとしたら一部の人間は歓喜するだろう。

 

「変な想像してるみたいやけど、リインの氷結魔法を使って作り出した氷でカキ氷作るだけやからな?」

 

想像してたのとまったく違って少々がっかりした。

 

「負けていられない。こうなればクロハネとユニゾンしてプチヘイムダルを発動させるべき」

 

「あれ海水を汲み上げて作る氷塊やろ?しょっぱいと思うんやけど」

 

「塩カキ氷・・・・流行る!」

 

「塩カキ氷は流行らねぇしその顔も流行らせぇねよ」

 

流行るの顔をしたところヴィータにばっさり切り捨てられた。

 

それでもカキ氷が食べたかったので最後のさんにカキ氷機を出してもらい、クロハネとユニゾンしてみました。

桶に水を入れて試してみる。

 

「海より集え水神の槍、彼方より来たれ銀雪の吐息、逆巻き連なり天に座せ!---プチヘイムダル!」

 

15cmほどのちょうどいいサイズの氷塊ができた。歪な形をしているから羽衣でカットカット。

 

〈初代・・・・このようなことで融合するのはいささか気が引けるのですが・・・・〉

 

「八神家のためだと思ったら大丈夫。こんなことでユニゾンできるくらい平和だと思えばいいのさ」

 

〈・・・・そうですね〉

 

どこか諦めたような声色だったが気にしない気にしない。

シグナムとシャマルが棚の奥からいくつかのシロップを引っ張り出して机の上に並べる。

いちご、メロン、ブルーハワイ、レモン、ぶとう、もも、カレーと豊富な種類が・・・・・。

 

 

 

・・・・・・カレー?

 

 

 

「あ、それ去年の夏にミッドのスーパーで売っとったんよ。 おもしろそうやったからなのはちゃんに食べさせてみたんやけど・・・・・・結果はわかるやろ?」

 

そこでなぜサムスさんに食べさせたのか。もしかしてあの人ってかなりのいじられキャラなのではないか。

最後のさんの言葉の意味を察しながら氷塊をカキ氷機にセットしてしゃりしゃり削る。

 

光を反射して綺麗に輝く薄透明な氷結晶を器に盛る。

 

「---待て初代、そのおもむろに取り出したオリーブオイルはなんだ」

 

こっそりと用意していたオリーブオイルがシグナムに見つかった。

他の人に気付かれないようにするため首筋に手刀をかまして気絶-----させれるわけもなく、逆に関節を決められた。

 

「いだだだだだっ!?シグナムたんま!たんま!」

 

「お前はなぜすぐにおかしな行動にでようとするんだ。ベルカの騎士の名が泣くぞ」

 

「元とはいえ主にすることじゃないから!そっちこそ騎士としてどうなの!?」

 

「今の主は主はやてだぞ?」

 

これはしょぼんとせざるを得ない。

ケタケタ笑っているヴィータにオリーブを投げつけ、気を取られたシグナムの関節技から抜け出す。

 

「-----普通はシロップをかけるところですが、私はここでオリーブオイル!」

 

この瞬間を待っていたんだ!モコズキッチンならぬヤガミキッチンを実行してみた。

 

「えぇっ!し、初代!それは----」

 

「はい、あーん(強制)」

 

「はむぅっ!?」

 

目にも留まらぬ速さでオリ氷をシャマルの口の中に突っ込む。

作りたての新鮮なヘイムダルがオリーブオイルの独特な風味とマッチングしてなんとも言えぬ味を生み出す。証拠にシャマルの顔がおもしろいことになってる。

 

「オリーブオイルカキ氷、略してオリ氷。このオリーブオイルの風味がたまらないね!」

 

「初代がオリーブの妖精になった件について」

 

「氷と油って・・・・最悪のマッチングじゃねーか?」

 

ノリノリの最後さんを打ち消すがごとくヴィータが現実を叩きつけてきた。

 

 

そんなこんなで美味しくカキ氷を食べました。

 

なお、オリ氷はちゃんと食べたが、なんとも言えない顔になってしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「普通はここで麺つゆを使ってもいいんですが・・・・でも僕は、オリーブオイル!」

 

「あっ!あぁっ!?て、てめぇっ!!こんっのやろぉぉぉぉ!」

 

仕返しに蕎麦の麺つゆをオリーブオイルにしてやったところ、大層喜ばれ、アイゼンの熱いキスを貰った。

 

「ヴィータ。ほどほどにしときー」

 

「初代、お変わりありませんね・・・・」

 

 

八神家は今日も平和だった。

 




『ロストロギア『血の眼』』

たぶん今後重要になるもの。


『ゴンさんのAA』

リインに改造したかったが、そんな技術は作者になかった。


『プチヘイムダル』

初代が使ったカキ氷生成魔法。安全。


『ヤガミキッチン』

別にオリーブオイルを過剰に使用するわけではない。だがオリーブの実はあった。


『オリ氷』

実はこれ作者は実際に作って食べてみた。

ガリガリ君オリーブオイル味を食べているような感覚になるため、オススメはできない。


『オリーブの妖精』

初代まだこの境地に達していない。


後悔はしてません。あとオリ氷絶対食べない方がいい。

意見、感想を食べたい。

次回→クラウ・息抜き


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羽ばたいて、スレイプニール

Q:作者、なのはinnocentやってる?

A:やってますよー。ヴィヴィオ強いよね!


その26

 

〜ミッドチルダ 飛行訓練場〜

 

「やだーっ!ゆーりくんと一緒のがいいのー!」

 

「ヴィ、ヴィヴィオ?ユーリ君のはちょっと難しいから、ママの昔使ってたのを・・・・」

 

「やーーーっ!!!」

 

早速ですが、八神ユーリ、今非常に困っています。

ヴィヴィオに飛行魔法を教えるのに困ってますよ。

サムスさんは魔法の基礎の一環として浮遊、簡易飛行を教えるつもりらしい。そこで飛行魔法なら!ということで私もヴィヴィオのために一肌脱ごうとしたわけなんだけど・・・・。

 

「・・・・まさかスレイプニールを使いたいって、ねぇ・・・・」

 

「ごめんね、ユーリ君。ほーらヴィヴィオ、ユーリ君も困るでしょ」

 

「うー!ゆーりくんのかっこいいもん!すれいぷにーるがいいのっ!」

 

「「・・・・・・」」」

 

サムスさんと目を合わせ、うーん、と唸る。

 

ヴィヴィオが習得したいと言っているのは飛行魔法、正しくは飛翔魔法『スレイプニール』。私が飛行する際に使用する三対の黒翼である。

だがこの魔法、取得難易度AAAクラスの俗にいう上位魔法ってやつなのだ。

そもそも飛行と飛翔では圧倒的に飛翔の方が難易度が高い。飛行は空を『行く』のだが、飛翔は空を『飛びかける』。簡単に言えば、魔力が一定か不安定かが違う。

速度などを見れば飛行の方が上だが、姿勢制御や旋回性能ならば飛翔に軍杯が上がる。

あと、翼が飛翔や加速に羽ばたかせる役割があるのも特徴だ。普通の飛行魔法の翼は飛行の『象徴』としての意味しかない。

 

なにを言いたいのかと言うと、飛行系魔法を初めて使うヴィヴィオがいきなり上位魔法を使うのはいささか不安がある、ということなのだ。

 

「ゆーりくん・・・・・・だめ?」

 

涙目+上目遣い+金髪+ヴィヴィオ=正義。

私の中で不安が消し飛んだ。

 

「----任せなさい、ユーリ君がなんとかしてあげよう」

 

この大魔導騎士(笑)。当時は『月下の騎士王』なんて厨二ネームを付けられたりした実力で、ヴィヴィオをサポート!!

 

「えっ!?ユ、ユーリ君!君はヴィヴィオに甘すぎだよっ!」

 

「ヴィヴィオの笑顔さえ見れれば私はこの命だって差し出しましょう」

 

「規模がでかっ!?そ、その意識は素晴らしいけどっ」

 

「ヴィヴィオの安全は保証します。騎士の名にかけて誓いましょう!」

 

「う、うーん・・・・・・」

 

サムスさんは顎に手をあて考える動作をする。

十秒ほどたったころ、「途中でやめちゃだめだよ?」とヴィヴィオに言った。

ぴょんぴょこ跳ねて喜ぶヴィヴィオを見てると、私もあったかい気持ちになる。

 

「やったよ!おしえてー!」

 

「はいはい、頑張ろうか」

 

私とサムスさんは、ヴィヴィオに飛行魔法を教えるべく、練習に入る。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「最初はゆっくりでいいから、空を飛んでるというよりかは、浮かんでる感じで」

 

「う、うん・・・・」

 

ヴィヴィオは凄い。

なにが凄いかって言うと、ものの十分程度で単純な飛翔術式を組み上げたことだ。

術式が組めなければ飛行はおろか、浮遊滞空すらできない。飛行術式ならともかく、飛翔術式でやってのけるのはかなり驚いた。

 

お姫様の両手をとり、私は静かに、床から10cmほど浮く。まだスレイプニールは展開していない。

 

「私について来るように・・・・いや、私の胸に向かって浮いてみて」

 

術式はできている。飛行適性があるのは間違いないけど、センスが無ければどうしようもない。

不安そうに見守るサムスさんが視界の端に写る。

 

「ゆーりくんにむかって、ゆーりくんにむかって----」

 

「・・・・お?」

 

手にとるヴィヴィオの手から抵抗が消える。

ふわり、と静かに音も立てずヴィヴィオの体が浮く。

そのまま私の胸の中へぽすんと・・・・いい匂い。

 

「やたっ!やった!ゆーりくん!できたよ!」

 

「うん、やったねヴィヴィオ!すごいすごい!」

 

ヴィヴィオを抱いてくるくる回る。楽しい。

これで空を飛ぶことが好きになってくれれば私も嬉しい。

 

「ちょっと、さみしいかな・・・・」

 

サムスさんが何か言った気がしたが、ヴィヴィオと喜びを分かち合っていてよく聞き取れなかった。

 

「よーし!次は翼の形成だ!まだまだいけるかい?」

 

「うん!」

 

時間がくるまで練習しました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

八神家に帰ってからそのことを皆に話した。

 

「ほぇー。ヴィヴィオがスレイプニールを・・・・。これは四人で飛行せなあかんなー」

 

「とは言っても翼はまだ一対しか形成できてませんでしたから、まだまだ修行がいりますねー」

 

なんと今夜は最後のさんと私の二人しかいない。番犬ザフィーラも局の武装隊のところへ行っている。他のみんなも各々の用事があって忙しいとか。

テーブルの肉じゃがをつつきつつ、他愛もない世間話しをしながら夕飯を楽しむ。

学校は楽しいとか、爺の腹探りが嫌だとか、ヴィヴィオが至極可愛いとか、くだらないことで盛り上がるのも悪くないと思った。

 

「あ、初代」

 

「なんでぃすか?」

 

煮崩れせず、程よい硬さで味が染み込んでるじゃがいもに舌鼓を打っていたら、最後のさんがなにか思い出したかのように話しかけてきた。

 

「もっとアインスにかまってまげたらどおなん?」

 

クロハネにかまう・・・・。

そういえば最近はクロハネとなにもしていない気がする。だからここ数日ふくれっ面をしていたのか。それなら確かに説明がつく。

 

「かまうのはいいんですけど、いったいなにすりゃいいんでしょう?」

 

「デートしかないやろ」

 

即答、断言された。

 

「最後のさん。主と騎士がデートなんて聞いたことありますか?」

 

「ないよ。ないなら初代達が初めになればいいことやし」

 

なんか昔、似たようなことを言われた気がする。

あれはたしかユーリ(本家)と私がどう仲良くなれるかをあいつに相談したとき・・・・

 

“でーと、すればいい”

 

そんでデートしてみたのはよかったが、ユーリのパンツを見ちゃったりしたんだよなぁ。

でも、もう昔のことだ。

 

「初代?なんや急にしょぼくれた顔しよってからに、らしくないで?」

 

少し笑いながら最後のさんは私を見る。

・・・・そうだ、今は今、昔は昔!

 

「しょぼくれてませんよ?この初代さんがしょぼくれるなんてありえませんがな!」

 

「ふーん・・・・ならええんや」

 

クロハネとのデートプランを考え合いながら、もぐもぐしました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「マリカするよ!」

 

食器の片付けも終わったのでマリオカートをすることになった。

ちなみにゲームキューブです。

 

「マリカかぁ。もうちょい人数欲しいんやけど」

 

「そう言うと思いました」

 

私と最後のさんとの二人じゃどうも人数的に足りないと感じてしまう。八神家が大家族なのも理由の一つだと思うが・・・・。

マリカは四人でやってこそなので助っ人を用意してみたのだ。

 

「へいかもん夜天の書!」

 

呼びかけに応じ、虚空から現れた夜天の書。そして光を放ち------。

 

 

「-----む?なにか用か?」

 

なはとを出した。

 

「おっすなはと、マリカやろーぜ」

 

「そんなことで無理矢理引っ張りだしてくれたのかお前は。・・・・まぁいい、やってやろうではないか」

 

こいつ実はかなりノリがいい。私が一人で暇なときは大抵ゲームの相手をしてくれる。

仕方ないとか今回だけだぞっとか、たまに暴言を言うが、根はすごくいい奴だってことがよくわかる。

なはとはコントローラーを握り、私と最後のさんの間に座った。

 

「なはとー。今日もかわええなー」

 

「なっ、う、うるさい!黙っておれ最後の!」

 

照れてるなはと。

なんかこういうことだけは初々しいのが不思議。いかにも興味なさそうだけど・・・・人それぞれだと結論付けた。

 

「さぁ始めるよー」

 

「うむ」

 

「ほいさ」

 

〈Yes〉

 

私はマリオ、なはとはヨッシー、最後のさんはカロン、夜天の書はクッパを選び、コースを選択してさっそく始め----。

 

「・・・・・・ちょっと待った」

 

---ようとしたら最後のさんにストップをかけられた。

なにかあったのだろうか?

 

「どうしました?なにか問題がありましたか?」

 

「大問題やっ!なんで夜天の書がマリカしようとするん!?」

 

ははっ、そんなことか。コントローラーと共に浮いている夜天の書に指差している最後のさん。だがなにも問題はないはずだ。

 

〈Es ist befriedigend.(問題ありません)〉

 

「ほら、問題ないって」

 

言っておくと、夜天の書がどうやってコントローラーを操作してるのかは私もわからない。

古代ベルカの技術ってことにしておく。

 

「なんか納得いかないんやけど」

 

「気にしたら負けです」

 

なんとか言いくるめてみんなが帰ってくるまでマリカをしていました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〈Shot!〉

 

「なぜミドリコウラの命中率が100%なんでしょうかねぇ・・・・」

 

「よっしゃキラーやっ!」

 

「甘いわ!スター!」

 

 

夜天の書はすごく強かった。

 




『スレイプニール』

初代、アインス、はやての使用する飛翔魔法。

作者に捏造されて上位魔法になった。


『月下の騎士王』

初代の初陣の際についた二つ名。


『ミドリコウラの命中率100%』

なんでもできる夜天の書のスキル。なんなんだこれ。


ネタに困ったら夜天の書。

意見、感想が力になる。

次回→シュツルム息抜き


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そんなものに釣られクマー

Q:この小説ってどういうものなの?

A:初代夜天の王とその周りの人々とのなにげない日常を描いたものです。一話一話が短編のようになってます。一応時間は進んでるよ!


あと、どうでもいいかもしれませんがこの小説の今後の動きが後書きに書いてあるので、見たい人は見てください。



その27

 

 クロハネがお土産を買ってきてくれた。

 管理外世界の任務に行ったときにこれを見て昔の私を思い出し、買ったらしい。

 

「みーさん!動かないでねー!」

 

「は、ははははいぃぃ!!!」

 

 八神家の向かいにあるゴミ一つない美しい砂浜に私とみーさんはいた。

 お互いの距離は30mほど。みーさんの頭の上には----小ぶりの赤く熟したりんご。ぷるぷる震えて落ちそうに見えるが、魔法で固定してあるので落ちることはない。

 

「大丈夫!2km先の的のど真ん中を射抜くぐらいの腕前だから!安心してー!」

 

「ででできませんよっ!怖いですっ!」

 

「デデデ大王」

 

「あ、私カービィ好きなんですよ!」

 

 一瞬で話しが脱線した。

 早く家の中でスマブラしたいので、手の----アーチェリーの弓をみーさんに向ける。

 はっとして再び震え始めるみーさん。表情がコロコロ変わるから飽きることが基本皆無。

 

「天候は快晴、気温23度、湿度31%、海上から風1m、他は無し・・・・最高だね」

 

 腰に巻いてあるベルトに付けられた矢を一本引き抜く。

 先端は鋭利で太陽の光を反射し鈍い銀色に輝く、プラスチックの矢羽は独自に切り揃え、速さと貫通力を追求した。

 矢をつがえる。息を吐き出し、吐いた息より少し少なく息を吸う。

 

「あ、あのー!ほんとに、ほんとに大丈夫ですかー!」

 

 みーさんがなにか言っている気がするが、空耳だと流す。

 狙うはりんごただひとつ、ど真ん中を射抜くだけ。

 

「-----翔けろッ!」

 

 矢が放たれる。

 ヒュッ、と風を切る音が聞こえた。

 矢は一寸の狂いもなくりんごへと翔ける。

 

「へっ?」

 

 直後、みーさんが地面にへたりこむ。

 でもそれはたぶん恐怖じゃなくて---。

 

「えくせれんとっ!」

 

 りんごを射抜いたときの衝撃によるものだと思う。

 

「あ、え、あ・・・・」

 

「我ながらいい腕してるなぁ。これなら新暦の那須与一を名乗ってもいいと思うんだが、みーさんは・・・・みーさん?」

 

 近寄ってみると様子がおかしい。うつむいてじっと座り込んでいる。

 もしかしてあれか、私の弓さばきに心を射抜かれたとか?よし、今うまいこと言った。

 するとみーさんがゆっくりと口を開け、こう言った。

 

「こ、こしが抜けちゃいました・・・・ああぅ・・・・」

 

 おんぶして八神家まで運ぶことになった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ほいさみーさん、お茶」

 

「ありがとうございます・・・・」

 

 腰抜かして動けなくなったみーさんをリビングまで連れて来て、冷え冷えなお茶を飲ませる。

 個人的にはカルピスを原液で飲ませたかったが、むやみに使うとヴィータにぶっ殺がされるので控える。

 

「---はっ!今動けないみーさんに色々いたずらできるのでは!?」

 

「いたずら?え、なにを?」

 

 さっそくこちょこちょを実行してみた。

 

「ほれほれ、ここか?ここがええんやろ!」

 

「ふひゃっ!ひゃっ!や、やめっ、あはははっ!」

 

「こちょこちょこちょ」

 

「あ、あはは!あははひゃっ!やみぇてっ!くらひゃいぃ!」

 

「うりうり〜---あ」

 

 本気でこちょこちょして遊んでいたら、私の右手がうっかりみーさんの右胸に触れた。

 薄でのシャツ一枚だったみーさんの右胸の柔らかいの感触が手に伝わって・・・・。

 柔ら、かい?

 

「わひゃぁあっ!?!?」

 

「!?」

 

 突然の悲鳴にびっくりする。じたばたしてたのがさらに激しくなり、みーさんはソファーから落下。

 さらに側の机に頭をぶつけて悶え始めた。

 

「〜〜〜っ!!!」

 

「痛そう(確信)」

 

 しばしみーさんのごろごろタイムを見学していたら、耳まで真っ赤にして私を見ていた。

 

「な、な、なにしゅるんですかっ!!」

 

「噛んだね」

 

「そ、そうじゃなくてっ!ぼぼ僕の、む、胸を・・・・その・・・・・・」

 

 胸?ははっ、まったくみーさんはなにを言ってるんだか。

 

「みーさん?たしかにみーさんは可愛い男の娘だよ。けど男同士で胸を触られた程度で恥ずかしがるのはいささかやり過ぎと言いますか・・・・」

 

「僕は女の子ですっ!」

 

 はっはっは、みーさんが女の子?あぁ、胸はちょっと柔らかかったなぁ。

・・・・・・女の子?

 

「えっ?」

 

「え?」

 

あるぇ?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 みーさんがぷんぷんに怒った。

 

「みーさーん、こっちむーいーてー」

 

「ふんだっ。ひどいですユーリさん!僕のことを男の子だと思ってたなんて!」

 

 ぐぬぅ。まさかこの私たちがみーさんの性別を間違えていたなんて・・・・。

 しかし言われてみればみーさんは胸以外は女の子らしく非常に可愛い。ヴィヴィオに次ぐ可愛さだ。

 

「ごめんってばー」

 

「許しません!ユーリさんのばーかっ!」

 

 やべぇ、みーさんがここまで怒るのを見るのは初めてだ。というかこの子が怒ってるのを今まで見たことがなかった。

 こうなってはみーさんのようなタイプの性格上、許してもらうのは困難を極める。

 だが私には秘密兵器があるッ!

 

「許してくれたら、特製ホットケーキ」

 

「---ぼ、僕がそんなもので釣れると思ってるんですか?」

 

「釣られクマー?」

 

「釣られません!」

 

 絶対に今心が揺らいだね。みーさんが色気よりも食い意地の方を優先するのは、この一ヶ月で把握している。

 ホットケーキと聞いてから口の端しからよだれが垂れてますがな。

 

「たっぷり卵」

 

「!」

 

「新鮮なミルク」

 

「!!」

 

「ふわっふわの生地」

 

「!!!」

 

「とろけるバター」

 

 しばらく固まった後、みーさんは小さく口を動かす。

 

「----し、仕方ないですね。ゆ、許してあげても、いいですよ?」

 

計画通り。

 

「やったね!じゃあさっそく作ってくるよ。あ、それまでにこの箱の中のもの着けてて」

 

 机下からスッと取り出した小さめの箱をみーさんに渡す。

 この中にはみーさんに絶対似合う特殊アイテムが詰め込まれてる・・・・なんてのは秘密。

 

「?この箱って何が入って・・・・行っちゃった」

 

 後々のみーさんの姿に期待しながら、ホットケーキを作る用意を始めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「完成した、はいどーぞ」

 

 そこには飾りっ気のない真っ白なお皿に乗った薄っすらきつね色に焼きあがったふわふわホットケーキと。

 

「あ、あの、なんで、これ・・・・なんですか?」

 

 犬耳なカチューシャと真っ赤な首輪をつけたみーさんの姿が!

 

「うんうん!よく似合ってる!」

 

「そ、そうですか?ありがとうございます・・・・って!違います!この格好を似合うって言われても嬉しくないですっ!」

 

 腕をバタバタ振って私に抗議しているみたいだけど、なにを怒ることがあるのだろうか?

 みーさんはいかにも従順なわんこというイメージがある。控えめで断れない性格がさらにその印象を強めていた。特に捨てられた子犬のような目をするときなど、まさに『わんこ』だ

 

「嬉しくなってええんやで?みーさん=子犬の式はもはや確立されたんだよ。犬=ガチムチの私に希望を与えてくれたんだからむしろ誇っていいよ」

 

「ガチムチな犬なんていませんよ・・・・」

 

 局に出向いているザフィーラのことは黙っておこう。

 

「いやぁ、最初はニャインハルトとどっちにするか悩んだんだけどさ、ニャインハルトはニャインハルトって名前がついちゃったから犬耳はないかなーって思った所存なんですぜ」

 

「意味がわかりませんっ!」

 

 わかったことがあった。

 それはみーさんは本気で怒ってるときとその一歩手前くらいでは全然怖くないということ。ホットケーキのおかげで怖くない。うがー!っとしてるだけ。

 

「と言っても、文句言いつつしっかり着けてるあたり、みーさんだよねぇ」

 

「だ、だってこれは・・・・着けなかったらユーリさん、がっかりするかなぁって、だから仕方なく・・・・」

 

 もじもじ星人が現れた。恥ずかしそうにもじもじしている。

 なかなか可愛いので夜天の書に記録せておく。

 そしたら首まで上気させて追っかけてきた。いつのまに腰が治ったのやら。

 

 最終的にバターを乗せて二人でおいしくいただきました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「みーさん、お手」

 

「あ、はい」

 

 なんの抵抗もなく、私の左手に右手を置いた。

 すると、ピピッ!という軽い電子音が鳴った。

 

〈Es wird ein gutes Foto.(いい写真になります)〉

 

「わ、わーーーーっ!!わーーーっ!!!消して!消してくださいぃぃっ!!」

 

今日も楽しかったです、まる。

 

 

 

 

 

 

 

 




『お土産』
アーチェリーセット一式。


『新暦の那須与一』
初代は弓の腕ならシグナムをも凌駕する。

というか射撃系武器全般が得意。


『特製ホットケーキ』
八神はやて直伝のホットケーキ。めちゃめちゃ美味しいらしい。


『釣られクマー』
釣られたミウラちゃん。


『もじもじ星人』
なんかミウラはもじもじしそうじゃないかい?

え?思わない?


今後の方針

とりあえずこの物語の中で一年間やる。

原作

空白期は原作に入ったらちょいちょい回想として書こうと思うんですが、どーでしょう?


意見、感想が欲しくてたまらない。

次回→癒しの息抜き


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夜天と覇王と初任務

Q:おま、オリキャラ忘れてんじゃね?

A:忘れてないよ、出すタイミングが難しいだけですよ。


その28

 

 八神ユーリ、ただいま初の嘱託魔導師としての任務を請け負っています。

 任務内容は『アルトリエ』という薬草を見つけること。常に薄っすらと青白く輝く特性を持っており、発見するのは比較的容易・・・・なのだが、あくまで『近くにあるときの存在発見』が容易なだけ。

 無人世界スワイムという大陸中が原生林に覆われている世界のごく一部のみに生息し、実際に見つけるとなれミッドチルダの数倍の面積を誇るこの土地を探し回るなんてめんどくさいことになるのだ。

 本当は複数人で行われる任務だが、SS−の力なら余裕でしょ?とのことで私一人(なはとはいるが寝てる)での任務----に、なるはずだったんだけど・・・・。

 

 

「ニャインハルトー、見つかったー?」

 

「いえ、それらしきものはありません」

 

 ニャインハルトがいるんですよこれが。

 本来はニャインハルトいなかったよ?いなかったはずなのにさ・・・・。

 

任務のために必要なものを買いにスーパーで買い物。

八神家で荷物をまとめる。

本局で転送してもらう。

現地で甲冑を展開するため夜天の書を出すとニャインハルトを吐き出す。

なんだかんだで一緒に薬草探し←今ココ

 

「疲れた!休憩!」

 

「了解しました」

 

 探索をいったん中断し、夜天の書から黄緑色のシートを取り出し敷く。地面の草と同化して見にくい。

 靴を脱いでシートに座り、水筒を出しコップにお茶を注いでニャインハルトに渡す。

 「ありがとうございます」とコップを受け取り琥珀色の液体を一口飲み息をつく。

 

「なんか最近ニャインハルトには迷惑しかかけてない。ごめんね」

 

「・・・・たしかに困ることもありますが、貴重な体験させてもらうこともあるのでこっちとしてもありがたいです」

 

 ニャインハルトは微笑を浮かべてこちら見る。

 その言葉に内心とても安心しながらも、私の視線はニャインハルトのバリアジャケットに向く。

 彼女の纏う白を基調とした簡素な装飾がほどこされているバリアジャケット。自らのスタイルである武術を邪魔しないように丁寧に構成されている。

 考えられている、考えられているんだ。

 

 だからスカートがすっごく短いのも仕方ないんだ。

 

「ニャインハルト、そのバリアジャケットって自分で考えたの?」

 

「ええ。最低限の防護機能を保ちつつ、私の動きを一切阻害することのない、今考えられる最高のバリアジャケットだと」

 

 あぁ、自信を持っているなぁ。ニャインハルトの言う通り、格闘技をするにあたってはあのバリアジャケットはかなり完成している。

 ただ羞恥を無視してるだけだ。なんの問題もないね。

 

「しっかし見つからないねぇ、アルトリエ」

 

「先ほどGoogleで検索してみましたが、アルトリエは非常に希少な薬草だそうですよ。夜にならないと発見が困難らしいですが・・・・」

 

 ニャインハルトがGoogle先生を使ってることに驚きを隠せない。

 夜にならないと発見が困難か・・・・おや、これはもしや。

 

「ニャインハルトと熱い一夜を過ごすことになるのか」

 

「・・・・・・熱い一夜?」

 

 ちょうどいい気温のお昼過ぎ。風が枝葉を揺らす音が心地よく耳に響く。

 その音しか聞こえない空間をたっぷり十秒ほど感じた。するとニャインハルトの顔がみるみるうちに真っ赤に染まっていき、わなわなと震える。あら初々しい。

 そして突然ニャインハルトは、カッ!と目を見開く

 

「ユユユユーリさんと!殿方と二人っきりで一夜!?ああここには止める人も居なければ監視の目もない!そ、そうですね・・・・アブノーマルなプレイがたくさんできると、そういうことですね!?まずバインドで拘束してから物理的で頑丈なロープを使ってる私を縛り上げ、私が一切身動きをとれないようにしてからAMFを発動!完全に無力化してからじっくりと責める戦法!なんてエロ同人展開・・・・!それから目隠しで視界を奪ってなにをされているかわからない、ただひたすら何かに触られ挿入される恐怖を味合わせる!ギャグボールを噛ませることにより声も出せず私は絶頂を迎えるっ!けどそれはまだ序章にすぎません。次に三角木馬に騎乗させられてしまうんですね!?しかも極太の【自主規制】付きの!まだ小さく幼い恥部に無理矢理ねじ込まれ猟銃で撃ち抜かれた獣のように絶叫する私、太すぎる【自主規制】はお腹の上からでも確認できるほど。しかし!それでは飽きたらず両足に重りを吊り下げてくるユーリさん。体重とほぼ同等の重りを吊らされ三角木馬が恥部に食い込む、メキメキと悲鳴を上げる恥骨!追いうちするローソク!あぁぁ!どうすればいいんでしょうかユーリさん!?」

 

 ニャインハルトが盛大に暴走を始めた。初号機もびっくりである。

 何かしら返答してあげないと暴走がもっと酷くなるのは明らかなので、アドバイスをあげよう。

 

「実行すればいいんじゃね?」

 

「た、たしかに・・・・なら、さぁユーリさん!私にバインドしてください!」

 

 目を飢えた肉食獣のようにギラギラ光らせ、はぁはぁ息を荒げ両腕を広げるニャインハルト。理性が本能を上回った瞬間である。

 これはこれでおもしろいが、これ以上ニャインハルトが暴走するとこっちの貞操も危なくなるので、威力を最弱に設定した魔力弾をニャインハルトの額にぶつける。

 

「あうっ!?----あ、あれ?私はいったいなにを・・・・」

 

 ニャインハルトの特徴はあれだけの卑猥な単語を連呼しておきながらその時のことが記憶に残らないことだ。

 本人がこのことを知ると首をつりかねないので、私と夜天の書だけの秘密になっている。ちなみに二週間に一回はこうなる。

 休憩する気分じゃなくなったので探索を再開するために水筒とシートを片付けて甲冑についた草を払う。

 念のために自分とニャインハルトに衝撃緩和の保護魔法をかけておく。もしも飛竜とかでっかい獣が出てきたとしても、多少は耐えられる、はず。

 

「・・・・・・そういえばユーリさん。ここには危険な原生生物などが現れることなどはないのですか?」

 

「たぶんないよー。任務資料にも『穏やかな気候で危険な原生生物も生息しておらず、Dランク魔導師からでも受注可』って書いてあるし」

 

 今さらなぜそんなことを聞くんだろう?こっちに来てから四時間ほどたった今も危険な生物どころか普通の生物にも遭遇していないというのに。

 

「では・・・・では、上空で口から炎を溢れさせているあの赤色の竜らしき生物はなんなんでしょうか」

 

 非常に嫌な予感がした。

 見上げたくはなかったが、ここで臆病風を吹かせればベルカの騎士の名が泣く。

 そもそもおかしいと思ったんだ。この世界は一面が原生林に覆われている----だが、私達が休憩していた場所は木々が生えていなかった。

 たまたまかと思って休憩していた。でもよく見るとこの木々が生えていない場所だけ緑が薄い。

 光を遮るものがないのに、だ。

 ゆっくり、それは生まれたての鶏の雛を持ち上げるかのごとく、丁寧に、ゆっくりと私は空を見上げた。

 

 体長は8m前後だろうか。全身を真っ赤でゴツゴツとした鱗で覆い、筋肉のついた足と腕、ギラリと輝くかぎ爪。

 翼を力強く羽ばたかせ、厳ついフェイスと鋭い眼光がこちらを睨んでいた。

 

「ゴォォォァァァァアアアアアォォォォォォンッッ!!!」

 

「のぅわっ!?」

 

「ぐっ!?」

 

 鼓膜を破らんばかりの大音量の咆哮が澄んだ空気を切り裂き、辺りに響き渡る。

 おいおいなんじゃこりゃ・・・・!なにが危険な原生生物はいないだよ!なんかラスボス臭のするヤバイのがいるじゃない!?

 

「ここここれはまずはは話し合う必要があるな。そうだろ?ニャニャニャインハルト」

 

「そんなことしてる場合じゃありませんッ!早く逃げ---」

 

 どうやら私とニャインハルトの会話を待ってくれる気は無いようで、さっそく火炎ブレスを私達に----。

 

「って!危なぁぁぁぁぁぁッ!?!?」

 

〈Flame protection〉

 

 容赦無く私達を消し炭にするであろうブレスを、夜天の書を開き蒐集魔法であるバリアタイプの耐熱プロテクションで防ぐ。

 灼熱の炎が凄まじい勢いで放出され、私のプロテクションを溶かしにかかる。

 

「ぐぅおぉっ!?これ、は・・・・なかなかッ!ニャインハルト!大丈夫!?・・・・・・ニャインハルト?」

 

 なにを思ったか、ニャインハルトは地面をじーっと見つめたまま動きを止めている。え、本当になにしてんのこの子。

 

「あ、ユーリさん!ありましたよ、アルトリエ」

 

「キェェェァァァ!?私達のトラブルはいつだってダークネスゥゥゥッ!!」

 

「それ返事なんですか!?」

 

 ちょっとご乱心しちゃってたらニャインハルトの手にいつの間にか薄っすら青白く光る小ぶりの花をつけた薬草、アルトリエが・・・・。

 あれ、こんなあっさり?

 

「てかどこに生えてたの?」

 

「ここです」

 

 ニャインハルトの指が示すのは、さっきまでシートを敷いていたすぐ真横の岩の間。あんなとこに生えんのかよこの薬草。

 ともあれ、これで帰れる!!

 

「こうなりゃやつをぶっ飛ばして帰るよッ!ニャインハルト!目をつむって、耳塞いで、口開けて!」

 

「へっ!?「早く!」は、はい!」

 

 必要なことだけどけっこう間抜け面になるね。

 さて、しっかり従ってくれたニャインハルトのためにもあの魔法を使う時がきたようだ。

 プロテクションは溶解しかかっていて長くは持たない。けれど十分仕事はしてくれた。

 だからこそ、そんな魔法に感謝しつつ、発動させます。

 

「---バルスッ(クラールゲホイル)!」

 

 轟音と閃光が走り、飛竜が悶えブレスをやめた。

 これがチャンス!

 

「久々にやろうか!夜天の羽衣---『ドラグーンシフト』!」

 

 視認できるようになった魔力の羽衣が展開したスレイプニールを覆う。

 翼として固定されていた形が、煌黒の魔力に覆われることによって、エネルギー翼のような流動的翼に変化する。その大きさは一枚2mほど。

 体格と全然合ってないけどこれでいい。こういうものだから。

 攻防速一体の翼。主に加速翼、姿勢制御の役割を果たす!・・・・防御力は落ちるけど。

 

 ニャインハルトを抱え、高速で飛翔。竜の真上まで一瞬で到達した。

 夜天の書の開いたページを向け、魔法を発動させる。

 ピンク色の魔力球が九つ現れ、夜天の書の前方に魔力が集まる。

 

「これは痛いよ?吹っ飛びなされ-----ストライク・スターズッ!!!」

 

 次の瞬間、急所を狙った魔力砲が九つと、竜の姿を隠すほどの極太砲撃が放たれた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「いやー、あっはっは!大変、だったねぇ!」

 

「ほ、ほんとに、た、大変、でした!」

 

 あの竜との戦いから既に六時間が経過していた。日は落ちて、辺りは真っ暗。ただただ星だけが光を放ち、その存在を主張しているだけだ。

 なぜ六時間も経過したのか?答えは簡単で、あの一撃じゃ竜がやられなかったから。

 やったか!?なんて言ったのがまずかった。あれはドラゴンボールで使い古された『エネルギー弾連射→やったか!?→やられていない』のフラグだったことをすっかり忘れていた。

 私がバインドや砲撃などで火力支援しつつ、動きが止まったらニャインハルトが肉質が柔らかいところへ打撃、これをひたすらループ。おかげでニャインハルトは魔力枯渇と疲労、私は魔力枯渇はしなかったものの、疲労と生き返ってからまだ慣れていない大魔力運用のせいで動けない。

 両者とも動くことができないのでニャインハルトと大の字で背の低い草の上に寝っ転がり夜空を見つめている状況。

 

「強かったなぁ。まさか炎ブレスに加えて氷ブレス、雷ブレスまで撃ってくるとは」

 

「それよりも一定までダメージを受けたら回復魔法を使ってくる方が大変でしたよ」

 

「むぅぅ。それを言っちゃあの最後の追い込みのときに金色に輝いた時が一番大変だったじゃないか」

 

「あぁ。魔法、ききませんでしたからね・・・・」

 

 ひたすら質量魔法で馬鹿みたい硬い鱗を削ぐのは本当に骨が折れた。それに負けなかったニャインハルトの拳は小さいながらも、立派な『騎士』の拳だと感じる。

 

「疲れたし痛かった。けどさ、楽しくなかった?」

 

「・・・・考えていたことは一緒でのようです。同感します」

 

「以心伝心か!」

 

 これは運命というものを感じざるを得ない。でもそれ以上に心が爽やかだった。

 こんなに気持ちがスッキリしたのは久方ぶりだ。あの時代では感じることのできなかった思い。

 ふと、ニャインハルトが横目で私を見てきた。私も横目で見返す。

 

「また来てみたいです。連れきてくれますか?」

 

「我が友の願いであればいつでも」

 

 私の返事に満足したのか、「ならよかった」そう呟き、視線を空へと戻す。

 

 天に広がる星々が、私達を静かに見守ってくれていた。




『アルトリエ』
青白く光る希少な薬草。小ぶりな花をつける。


『無人世界スワイム』
大陸一面が原生林で覆われた、温暖な世界。危険な原生生物はいない、らしい。


『赤色の竜らしき生物』
正式名称はエアネードで、古代龍と呼ばれる種族。
ピンチになると金色に輝く。


『Flame protection(フレイムプロテクション)』
耐熱に特化したバリアタイプのプロテクション。蒐集魔法。


『夜天の羽衣-ドラグーンシフト-』
自らを守る羽衣を全て翼であるスレイプニールに注ぐ形態。
高速で飛翔したり翼本体で攻撃できたりと万能だが、厨二。


『ストライク・スターズ』
どっかの白い砲撃魔導師から蒐集した砲撃魔法。
相手の上空かた叩きつけるように砲撃を撃つ。おまけで魔力砲もついてくる。


久しぶりに気合を入れた。

意見、感想、待ってますよん。

次回→ギガント息抜き


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古代ベルカ神話

Q:遅かったじゃない?

A:ちょっくら3000m級の山に研修とか行ってたんだ。


今回はそんなにネタがないよ!


その29

 

 月日の流れは早い。

 私が生き返ってから三ヶ月。七月の頭の今はどんどん暑さを増していっている時期だ。

 暑くなっていいことなんてヴィヴィオの夏服が拝めることぐらいしかない。ほんのり朱色に染まった頬、汗をかいて透けた純白のシャツ。その下にある桃源郷....いいよね!うん!すっごくいいと思う!

 

「そうとは思わないかい、お嬢さん」

 

「えっと、思いません....」

 

 無限書庫のお嬢さん(勝手に命名)に共感を求めてみたところ、けっこうあっさり否定されてしまった。

 学校が終わって放課後、ちょっと気になることがあったのと、涼しさが欲しかったということもあり無限書庫に来ている。

 そこで探し物があると思われるエリアに入ったら、ツインテールがふわふわしてるのを見つけたので話しかけてみて今に至るというわけだ。

 

「そうか、残念だ....。ところでお嬢さんはなにを?また創成魔法についての資料探しでもしてたの?」

 

「いえ。今回は古代ベルカの歴史とかについての本を探してるんです。こんな感じのを」

 

 お嬢さんが手に持っている本は『古代ベルカ歴史名場面集百選』というなんて怪しい雰囲気がぷんぷんする歴史?書だった。

 もしかしたら私が探している資料をお嬢さんが見ているかもしれない。可能性はかなーり低いと思われるけど。

 

「お嬢さんお嬢さん。スモークチーズはないのかい」

 

「えっ、す、スモークチーズ?も、もってないです......よ?」

 

 にょろーん。

 お嬢さんが困り果てている。これ以上ふざけてるのもなんなので、本題に入ることにする。

 

「歴史好きなお嬢さんにお一つお願いがあるんだけどいいかなー?」

 

「お願い?いいですよ」

 

 お嬢さんは私のお願いを嫌な顔一つせずに聞きいれてくれるようだ。この優しさに全ユーリが泣いた。

 ならばさっそくお願いしようではありませんか!

 

「『イア』、『エレミア』、『グラシア』、『ゼーゲブレヒト』っていう人についての資料探しを手伝って欲しいんだよん」

 

「....ゼーゲブレヒト?それってオリヴィエ陛下のことですか?」

 

「誰じゃいそれ」

 

 オリヴィエ?あいつの名前は確かそんなのじゃなかった気がする。もっと男らしかった、男だし。

 もしかすると子孫かな?あの戦いで死んだのは私とイアの二人だけみたいだし....。

 

「オ、オリヴィエ陛下を知らないんですかっ!?聖王教会の信仰対象にもなってる『ゆりかごの聖王』ですよ!?」

 

「知らんなぁ。私にとっての信仰対象はヴィヴィオだし。いやぁ、なんであんなに可愛いんだろうねぇ」

 

「だ、だめだこの人......!」

 

 ものすごく失礼なことを割とまじな顔で言われたので少しは自重しよう、ということを考えておこう。お兄さん悲しいよ。

 でもなんだかんだて手伝ってくれるみたいなのでその好意はありがたく受け取っておくことにする。

 

「調査年代は今の時代から約八百年から七百年前。時代は....そうだね、古代ベルカ初期くらいだと思う」

 

「古代ベルカの初期、ですか....大変な作業になりそうですね。頑張りましょう!」

 

 さっそく読書魔法で検索をかけ始めるお嬢さんの素直さといい人っぷりに感動しながらも、私は読書魔法を発動させた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 みなさんお久しぶりです。神様です。

 そろそろ他の神々に送る御中元に悩む時期なんですよ....めんどくさい。あ、あの人にも送らなきゃ。

 

 まぁそれはさておき。今から少しだけ昔話をしようと思います!なんでか?気にしないでください。

 

 これは、とある英雄達のお話。

 

 

 

 

 むかしむかしあるところに、一冊の魔導書と、五人の守護騎士を従えた騎士王が大陸をまったりと旅をしてました。

 喧嘩して、笑って、泣いて。それはとても充実したもの。

 しかし、平和な旅は長く続きませんでした。

 

 とある王家の武力による大陸統一。

 

 百万の兵を持つ王家はまたたくまに大陸全土への侵攻を開始。わずか一ヶ月で大陸の五分の四を制圧してしまったのです。

 残ったのは小さな地方都市ただ一つ。戦いに敗れた騎士達は、みなそこへ避難しました。

 戦力差は絶望的。誰もが諦めていたとき、騎士王はその光景を見て、こう言い放ちました。

 

 私は戦う。

 

 皆は彼を嘲笑いました。馬鹿か、勝てるはずない、と。ですが騎士王の目には諦めの色がありません。

 そんな彼に力を貸す存在が現れます。

 

 名をイア、エレミア、グラシア、ゼーゲブレヒト。大陸中に名の知れた騎士です。

 そして彼ら五人の騎士は、

 

 攻めてきた王家の兵およそ五千を壊滅させました。兵力差一千倍をひっくり返したこの戦いは後に『英騎士の奇跡』と呼ばれます。

 

 これはほんの始まりにすぎない、英雄達のお話。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ないです....」

 

「ないねー」

 

 二人して困る。資料がまったく見つからないのだ。

 三百年前ほどならばエレミア、グラシア、ゼーゲブレヒトの資料は見つかったのだが、七百年から八百年前の資料の中からは一切発見することができなかった。

 あの三人が一応、子孫を残していたことはわかったからいい....のかな?

 それにしてもおかしいなぁ。まるであの戦が最初から無かったかのような記録のなさだ。あれだけ大きな戦だったのだから資料として残っていても....。

 

「こんなに本があるのにまさか一冊も見つからないなんて......。お力になれませんでした、ごめんなさい」

 

 しょんぼりした顔で申し訳なさそうに謝ってくるお嬢さん。なんか私、すごく悪いことしたみたい。

 このままじゃ雰囲気が悪いのでうつむくお嬢さんの顔をあげさせる。

 

「そんなことないよ。お嬢さんのおかげで資料探しがはかどって短時間で終わったんだから。ほら、シャキッとする!」

 

「は、はひっ!」

 

 びっくりして声が裏返るお嬢さんを笑ってしまう。顔を真っ赤っかにして「笑わないでくださいぃ!」なんて言う姿はちょっとみーさんに似ていた。

 そんなことしてるたら、ふと腕時計が目にはいる。針はもう五時近くを示している。

 早めに帰らないとクロハネが心配するから大変だ。

 

「ふーむ。私はそろそろおいとまするよ」

 

「あれ?探し物は....」

 

「また今度さ。早く帰らないと家族が心配するんでね。お嬢さんはどうする?」

 

 お嬢さんは「うーん....」と、天井を見つめて唸り、一言こう言った。

 

「....私、もうちょっと歴史本を探したいので残ります」

 

 あぁ。そういえば歴史本を探してる最中にお願いをしたんだった。これは悪いことしたかも。

 クロハネには心配かけるけど、せっかくだから今度は私が手伝ってあげよう。そう思い、お嬢さんに話そうとしたが––––

 

「あれ?いない....?」

 

 ほんのちょっと目をそらした間にお嬢さんはどこかへ消えてしまっていた。

 やはり彼女も本の虫というやつなのか、本に飢えて探しに行ったのだろう。

 自分の中でそう考え、私は八神家に帰宅することにした。

 

 今日の夕食なにかな?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「......やっぱりない、か」

 

 初代が八神家へ帰って行ってからすでに一時間。お嬢さんことコロナ・ティミルはずっと無限書庫にこもっていた。

 時刻は六時。連絡はいれたものの、七歳の子を持つ親ならば我が子を心配する時間である。

 コロナは歴史本を探していた---わけではなく、初代の探していた資料を探し続けていたのだ。

 

(私の力になってくれたあの人に、恩返しもできないのかなぁ)

 

 かなり変な人だが難しい創成魔法についての資料探しをしてくれ、なおかつ魔法の練習まで面倒を見てくれる。借りばかり作っていた。

 けれど時間は時間。今日は諦めてまた明日にしようと区画から出ようとした。

 だがコロナは足を止める。

 

「本?」

 

 彼女の視界に入ったのは無重力の海で流木のように漂っている一冊の本。

 近くまで寄り、優しく本を手に取る。

 保存状態は良くない、表紙すらかなりボロボロになっていて手荒く扱えばくうちゅうぶんならぬ無重力分解してしまうだろう。

 コロナは初代から教わった古代ベルカ語の知識をフル活用して表紙に書かれている金色の文字を読む。

 

「古代....ベルカ、神話」

 

 ただならぬ雰囲気を醸し出す本をそっと開き、ページをめくる。

 最初のページには大きく三対の黒翼が描かれていた。ギリギリ読めた文字は『自由の翼』、なんのことか分からないコロナはページを進める。ページは二、三十ページと薄い。さらに中の状態も悪く、コロナではなにが書いてあるかわからない。

 所々のページに挿絵があった。たくさんの鎧を着た人が馬に乗り、戦っているその絵からこの本は戦争についてのものだとコロナは判断する。

 

「..........これって」

 

 開かれたページの挿絵には、黒い騎士甲冑を纏った騎士が剣十字の杖をかかげ、頭上に黒い球体を発生させているのが描かれている。

 球体はなにかの魔法なのだろう。

 それは関係ない。コロナが気になったのは、騎士の手元で開かれている本。杖と同じように剣十字の装飾が施されている。

 

 そっくりだった。たまに無限書庫に来る、今日も一緒に探し物をした少年の持つ魔導書に。

 

(....司書長ならなにか知ってるかも)

 

 この無限書庫を管理する司書長は、とても優秀な人物であると有名だ。おまけに人柄もいい。

 彼ならなにか知っているかもしれない。

 残念なことにもう時間がおしている、相談はまた今度にしよう。そう思いボロボロの本を、わずかな隙間がある棚にしまう。

 

 場所をしっかり端末に記憶し、コロナは無限書庫を後にする。

 

 

 これが初代の生きていた時代の歴史を解明する重要な手がかりになることを、彼女は知らない。

 




『汗をかいて透けた純白のシャツ』
高校生男子には目の毒である。


『スモークチーズ』
作者は食べたことがない。どんな味だろ?


『イア』
初代とともに戦った戦友。癒しの力を持つ。


『エレミア』
初代とともに戦った戦友。初代エレミアでもある。


『グラシア』
初代とともに戦った戦友。予知の能力を持つ。


『ゲーゼブレヒト』
初代とともに戦った戦友。ある王家の分家の人間。


『英騎士の奇跡』
戦力差一千倍をひっくり返した奇跡の戦い。


『古代ベルカ神話』
謎の本に書かれた神話。内容は不明。


『自由の翼』
三対の黒翼のことをそう呼んでいたようだ。


『司書長』
どこぞのフェレットのことである。


今回は初代の過去についてのお話だった。

そろそろアインスとのデートフラグを!

意見、感想をくれても、ええんやで?

次回→バルムンク・息抜き


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閃光と雷神と夜天の王

Q:お前、暁の方は・・・・。

A:詳細は後書きへGO!

最近、ねたを含める回が来ないでござんす(`・ω・´)。


 今さらながら・・・・初代のスレイプニールはアインス(劇場版)のものと同じ、少し大きく力強い黒翼。はやてのものとは違い、ちょっぴり特別(劇場版のスレイプニールはすべて背中から生えている)。


その30

 

 

「ただいまー」

 

 時刻は午後四時三十分。時空管理局本局戦技教導隊教導官、高町なのははミッドミルダの一角にある我が家へと帰宅する。

 昔は大変なことばかりあったが、今となっては初等科一年生の一児を抱える母。

 最近、娘が一人の男の子に夢中であまりかまってくれなく、寂しいことを除けば充実した毎日を送っている。

 時刻は午後三時三十分。教導隊の訓練が終わったので早めの帰宅だ。

 前までなら進んで残業を買って出て仕事が恋人と言わんばかりだったが、こうして娘ができてからなのはは早めに帰宅することが多くなった。

 変わったなぁ。自分の変化に喜びのようなものを感じながら、なのははリビングへと続くドアを開ける。

 

「だーかーら!僕だよ!アオだよ!」

 

「えー・・・・バカっぽいのは似てるけどさー・・・・えー」

 

 自称初代夜天の王こと八神ユーリとフェイト・T・ハラオウン-----の十年前ほどにそっくりな青い髪の少女がなにか言い争っていた。

 

「えっ、ユーリ君に・・・・・レ、レヴィ?」

 

「あ!高町なのは!」

 

 椅子から立ち上がり、ビシッと指を差す少女、レヴィ・ザ・スラッシャー。かつて闇の欠片事件を引き起こした『マテリアルズ』の一人だ。

 なのはの頭の中は疑問でいっぱいになっていた。なぜ未来の世界に行った彼女がここにいるか、なぜ初代と親しそうなのか。

 悩んでいてもしかたない。そう思ったなのははこの状況について初代に聞いてみることにする。

 そして尋ねてみたところ----。

 

「フェイトさんに魔法を使ったんですよ。『世界で自分に一番似ている人を召喚する』って魔法を。そしたらたしかにそっくりさん現れたんですけど、入れ替わりでフェイトさんが召喚された人のいた世界に飛ばされちゃったみたいでねぇ・・・・面目ない」

 

 どんな魔法だ。なのはは心の中で鋭いツッコミを決める。

 おそらく夜天の書の蒐集魔法の一つなのだろうが、契約もしてない生物を強制召喚する魔法はなにげにすごいのでは?なんて考えてみるなのは。

 問題を起こしたとうの本人はレヴィに「女の子?」なんて失礼なことを聞く。対してレヴィは「触ればわかるよー!」なんて嬉しそうに言って自分の胸を触らせている。

 

「(こ---この展開はッ!?)」

 

 なのはは理系な脳をフル回転させ、現場を整理する。

 目の前では我が娘のお気に入りの子が親友のそっくりさんの胸を触っているというある意味貴重な光景が繰り広げられている。

 レヴィは昔、他のマテリアルズとともに海鳴に暮らしていたことがあった。その時から彼女に羞恥心が皆無なのは知っていたが、まさか異性に胸を触らせるほどだとは予想外。さすがの初代も顔を赤くして困っているのが伺える。

 かつてもう一人の親友が言っていた言葉が脳裏によぎった。

 

“ええか?なのはちゃん。世の中の男女は出会って即ユニゾンしてカードリッジフルリロードからのディバインバスターをするのが常識になりつつあるんや。それは私達の世代だけやなくて若い世代にも広がり始めとる。いつかヴィヴィオやって----ま、待つんやフェイトちゃん!?なんでザンバーを!?・・・・え?エリオとキャロが最近おかしい?あ、あはは、ななななんのことかなー?はやてちゃんわかんな---”

 

 あの言葉はそうゆう意味だったのか。なのはは親友に感謝しながらレイジングハートを起動。杖の先を二人に向ける。

 子どもが誤った道を進むならそれを止めるのは親たる者の役目。たとえ自分の子でなくとも親友の家族であるなら、ためらう必要はない。

 

「・・・・サムスさん?なぜデバイスを?」

 

 女の子の胸を触らされていて、気付いたらデバイスを向けられていたという不可思議な状態に初代は首をひねる。レヴィは顔色一つ変えずにキョトンとしていた。

 

「助けるよ。いつだって---どんな時もッ!」

 

「いや、誰も助けを頼んだ覚えはないんですけど・・・・・・なんで砲撃の構えをとるんですかっ!?私なにか悪いことしました!?」

 

 胸を触るのは基本悪いことだというのは気にしない初代。

 レイジングハートの先端に桜色の魔力が収束のを見て青ざめる。

 

「むむむ!僕と戦う?やってやるぞー!」

 

「黙らんかあほ!サムスさん!・・・・なのはさん!くそっ、聞く耳持たぬってやつ!?こうなりゃ---夜天の書!」

 

 初代が手を突き出しその手に夜天の書が現れ-----ない。

 

「間違った道を進むなら、止めてみせる!」

 

「あっれぇぇぇっ!?夜天の書さぁぁぁん!!!なんでいつもこんな重要なタイミングで消えるのぉぉぉっ!?」

 

 どれだけ叫ぼうともなのはの収束は止まらない。むしろカードリッジを使って加速させてる。

 夜天の書がない。あるのは砲身の役割しかない杖とおバカが一人。

 

「(考えろ、思考するんだ八神ユーリ。10万3000冊のラノベを記憶した私ならこの危機的状況を突破する思いつくはずだ!)」

 

 杖で殴りかかる----はやてに負けた自分がそれ以上の彼女に勝てるとは到底思えない。

 おバカを盾にする----他人を盾にするなんて騎士の名が廃る。

 初代は、ある答えを見つけた。

 

「(詰んでね?)」

 

 高町なのはは管理局の誇るオーバーSランクの砲撃魔導師。同じオーバーSとはいえ、戦闘スタイルが違う上、相性があまりよくない初代。おまけにデバイスもない。

 完全にオワタモードの初代の横で突然、レヴィの体が光りだす。

 

「ありゃ?時間切れかぁ・・・・もっと話したかったのにー」

 

「時間切れって・・・・あぁ、三十分しか効果ないんだっけか」

 

 初代の使った魔法の効力は三十分間。なのはの帰宅前から発動させていたため、時間がきてしまったのだ。

 腕を頭の後ろで組み、色々ぶーぶー文句を言っている。初代は苦笑いするしかない。

 彼女が本当にアオだったら。そんな考えが一瞬ちらつく。

 確証はないものの、自分のことを初対面で初代と呼ぶ者は非常に限られる。かつての戦友である騎士団長達かクロハネ、本家ユーリくらいのものだ。

 紫天プログラムであったクロ、アカ、アオは言葉や念話を使えなかったためなんと読んでいたかはわからない。もしかすると初代と呼んでいた可能性だってある。

 

「今度会ったときはぜーったい僕がアオってことを証明するんだから!王様とシュテるん---それにユーリも一緒だよ!」

 

 新しい単語と懐かしい単語が出てきた。

 王様とシュテるんは一切聞いたことがない初代であったが、ユーリはわかる。おそらくユーリ・エーベルヴァインのことだと推測する。

 旅先で出会った大切な大切な親友の一人。懐かしい名に初代の顔からおもわず笑顔がこぼれる。

 

「・・・・わかったよ。んなら、その王様とシュテるん、ユーリによろしく言っといてくださいな」

 

「まっかせてよ!それじゃ、ばいばーい!」

 

 満面の笑みで青い粒子となり消えたレヴィ。代わりに金色の粒子が集束し、フェイトが姿を現す。

 バリアジャケット着用状態で。

 

「---トライデント・スマッ・・・・?」

 

 砲撃魔法の構えをとっていたフェイトはその手を止め、忙しそうに周りをキョロキョロと見る。

 そして「たしかシュテルと・・・・?」となにかぶつぶつ言う。初代はその肩を優しくたたき、ある方向を指差す。

 冷静になって見るとそこには砲撃の構えをするなのはの姿が!

 

「ディバィィィン!----あれ?フェイトちゃん?」

 

 さっきまでいなかった親友がいることに気が付き、なのはは慌てて構えを解きレイジングハートを下ろす。

 限界まで収束されていた魔力は少しずつ霧散し、部屋を桜色の魔力粒子で満たした。

 

「なのは・・・・ということは元の世界?」

 

 フェイトは息をつきバリアジャケットを解除する。ふわりとした黒いワンピースが舞う。

 

「お帰りなさーい」

 

「うん。ただいま・・・・・・じゃないよ!人にいきなり変な魔法を使うのはだめだよ!」

 

 会話の途中で魔法を使われて異世界に飛ばされればだれでも怒りたくなる。でもフェイトは『怒る』わけではなく『叱る』感じだ。

 この聖母マリアのような優しさはいったいどこから溢れているのか疑問に思う初代。今度、ドッキリを仕掛けてみようかな?と悪だくみしつつも、お説教はしっかり聞く。

 

 

「(´・ω・`)」

 

 話についていけないなのはは本当にこんな顔だったらしい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〜とある無人世界〜

 

 一面に広がる草原。美しく咲き誇る花々。

 人間達に開拓された痕跡はなく、ありのままの自然が残る無人世界。

 

「初代夜天の王が生きていた。・・・・にわか信じ難い話しですね」

 

 そんなとある無人世界のとある丘のとある小さな家で、家族?会議が開かれていた。

 家長ディアーチェ、長女シュテル、次女レヴィ、末っ子ユーリの四人で構成されたマテ娘一家は自分達の今後に関わる重大なことを話し合っている。

 初代夜天の王の生存。彼女らにとっては即急にその真偽を確認する必要があった。

 冷静沈着、猫寄せのレアスキル?を持つ高町なのはのマテリアル体、シュテル・ザ・デストラクターは顔の前で手を組み合わせ、話しの真偽を確かめるように呟く。

 

「レヴィ。それって本当に初代だったんですか?見間違えたとかじゃ・・・・」

 

 見間違いの可能性を指摘するふわゆる系なウェーブ金髪少女、ユーリ・エーベルヴァイン。人の身ながらロストロギアと融合し、ある意味次元世界最強の称号を得ている。

 

「違うよ!あれは間違いなく初代だよ!見間違えるはずないもん!」

 

 机を叩き強く主張するいかにも元気系な少女、フェイト・T・ハラオウンのマテリアル体、レヴィ・ザ・スラッシャー。

 オリジナルとのギャップの差がマテリアルズで群を抜いて激しい。なお、本人に自覚はない。

 

「ふむぅ。レヴィがあやつを見間違えるとは考えにくい。・・・・だが初代の死は我らが見届けたのも確か」

 

 冷めたコーヒーをすすり、鋭い目を細めて言うのは八神はやてのマテリアル体、ロード・ディアーチェ。

 口は悪いが世話焼きで子ども達に優しいという顔を持つカリスマ性あふれる王様だ。

 

「実は死んでなかったとか!?」

 

「亡骸を騎士達とともに海に沈めたのを忘れたのですか?それにたとえ生きていたとしても海の中でどうやって?」

 

 シュテルの的確な質問に「うっ、それは・・・・」と言葉に詰まるレヴィ。

 どれだけ偉大な騎士であろうとも、初代とて人間。プログラム体である自分達のようにはいかないことをわかっているようだ。

 

「なら、クローンっていう可能性もあるんじゃないですか?」

 

 クローニング技術。初代の生きていた時代にはそのような技術はなかったが、現代なら話は別。可能だ。

 実際にレヴィのオリジナルであるフェイト・T・ハラオウンはかのプレシア・テスタロッサの愛娘アリシア・テスタロッサのクローン。

 夜天の魔導書を作り上げた知識と技術を狙って現代に蘇らせた。シュテルとレヴィもなるほど、と相槌を打つ。

 一見、正解に思えたユーリの意見。しかし、ディアーチェは首を横に振る。

 

「初代は無名の騎士だ。そう簡単にDNAの発見、採取はできないであろう。その上、あのような戦場で初代のものだと断定し、保管することなど不可能だ。どれほどの死体が転がっていたと思っておる・・・・」

 

 マテ娘一家は再び唸る。全員で知恵を振り絞り、なにかよい案はないかと脳をフル回転させる。

 なにか思いついたのか、突如ユーリがポンっと手を叩く。三人の視線が集中した。

 

「海鳴にもどって、皆さんに確認してみればいいんじゃないですか!」

 

 皆さん---それはなのはやフェイト、はやてなどのことを意味する。

 マテ娘一家が海鳴から離れて五年。定期的に部屋の掃除には行くが、それ以外で行く機会は全くと言っていいほどなかった。

 海鳴の自宅にはミッドチルダに繋がる電話、転送ポートがある。連絡するのは容易い。

 

 

 

 

 マテ娘一家はさっそく海鳴へと発つ準備を始めるのであった。

 

 かつての主との再開のために----。





『マテリアルズ』
初代が夜天の魔導書をブーストさせるために組み込んだ紫天プログラムの管制人格達。


『ユーリ・エーベルヴァイン』
紫天の盟主こと永遠結晶エグザミア系少女。実はアインスより強かったりする。
初代の親友の一人。


『マテ娘一家』
マテリアルズとユーリを一緒にした呼び名。かわいい。


この時空系列では、マテリアルズはエルトリアにいません。正確にはたまに出張してるかんじ。
オリジナル要素がいっぱいだね!

意見、感想、待ってるよ!

次回→本家である後方支援を投稿してから。


それと、次回は・・・・初代とアインスのデート回ですよ?

お楽しみに!


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音楽〜女の子の縦笛〜

Q:生きてたのか

A:生きてたのよ


ここで重大な発表があるのです。


iPhoneあるある〜!!!

文字書いたよ!→タップ→全選択→コピー---しようとして間違えてカット。

あるある!あるある!あるある!


アインスデート回が消えちまったよ。

今回は埋め合わせですね。

(`・ω・´)


そういえばアンケートとかするときってTwitterとかでやればいいんでしょうか?
意見くださいな。


その31

 

 初代の通う学校には土曜授業というものが存在する。月に一回の学力強化の日だ。なので初代は土曜日にもかかわらず元気に登校していた。

 四十五分授業が基本であるこの学校では、現在二時間目。初代達初等科四年Aクラスは音楽の時間、しかもリコーダーのテストだ。

 

「・・・・・・あ、やっちゃった」

 

「ユーリさん?どうしたんですか?」

 

 あっと言ったまま固まっている初代を気にかけるミウラ。初代がなにか失敗したような表情をするのを見るのが珍しいようだ。

 わいわいと騒がしい音楽室の中、初代は隣の席のミウラに体を向ける。

 

「リコーダー----の、一番上の吹くとこ忘れた」

 

「どうしてそこだけっ!?」

 

 ミウラが初代の手を見る。たしかに三つのパーツのうちの一番上の吹く部分だけがはめられていないリコーダーがその手にはあった。

 ミウラはどうしてこうなったかの経緯を初代に聞く。

 

「え?そりゃ改造してたからに決まってるでしょ?」

 

 リコーダーに改造を加える要素はない。ミウラは丁寧に説明してあげた。

 

「むむ、そうなの?にしても困った・・・・・・あ、そうだ!みーさんの貸して!」

 

「あ、いいで---よくない!?それはだめです!」

 

 善人の塊のような性格をしたミウラ。しかし、初代のお願いをそのまま聞こうとしたが慌てて断わった。

 考えてもみて欲しい。ミウラ・リナルディは初等科四年の十歳、俗に言う『お年頃』というやつなのだ。異性にリコーダーの上の部分を貸す、それは間接キスを意味する。いくら仲が良くてもためらってしまうのは当然と言っても間違いではない。

 「いいじゃんー」という初代に「絶対だめですー!」と対応するミウラ。しばらく言い合いになる。

 二分ほど小さな戦いを繰り広げた後、折れたのは初代の方だった。

 

「そこまでか嫌とな・・・・。なら仕方ない、あやつに頼ろう」

 

 そう言うと初代はズボンの右ポケットに手を突っ込み、スッと通信端末を取り出す。

 横長い端末を下にスライドさせることによりパソコンのような形になり、端末から小さなホロスクリーンが映し出される。ホロスクリーンを人差し指で下に素早くスクロールさせていき、やがて出てきた一つのアイコンをタップする。

 アイコンの絵は、なぜか猫耳カチューシャを付けた壁銀の髪の女の子。

 

「---!?(なっ、び、美少女!?)ゆ、ユーリさん!そのアイコンの人!」

 

「ん?あぁ、ニャインハルトのこと?私の友達なのさ。可愛いでしょ」

 

「確かに可愛いです・・・・って、しかもStヒルデの制服!?お嬢様じゃないですかっ!ユーリさん!なにやらかしたんですっ!?」

 

「え、私がなんかしたこと前提?」

 

 なぜミウラがぷんすか怒っているかを理解できない初代だったが、事は急ぎの用なのでニャインハルトあてにメールを打つ。

 

「(ニャインハルトはこの時間なら自然公園にいたはずだけど・・・・)」

 

 八神家から歩いて三十分ほどの場所にある自然公園。それほど大きくはないものの、豊富な緑にクラナガンで唯一湧き水場がある。初代がアインハルトに紹介したところ、かなりお気に召したらしく、週一回は通うほど。

 そんな彼女にメールを打っていた初代の手がピタリと止まる。

 

「(いきなりリコーダーの上の部分を貸してっていうのはどうなんだろう)」

 

 いくら彼女がR18を具現化させたような存在であっても女の子なのには変わりない。流石に失礼ではないか、初代の心からそんな気持ちが芽生えた。なので初代は考えた。

 

「(機嫌が良かったらワンチャンある)」

 

「ユーリさん聞いてます?・・・・え?なんですかその単語」

 

「ニャインハルトの機嫌を調べる魔法の言葉」

 

 魔法の言葉が書かれたメールは、直様送信された。

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・・むぐむぐ」

 

 とある自然公園のベンチ。ニャインハルト---正しくはアインハルトという少女がサンドウィッチを頬張っていた。

 最近知り合った友人に教えてもらった自然公園。日頃の疲れを癒すのには最適な場所なのでアインハルトはしょっちゅうここに来る。

 今日は母親特製のサンドウィッチで遅めの朝食を取りつつ、小鳥のさえずりでヒーリング中である。

 そんななか、アインハルトのバッグの中にある通信端末が揺れる。

 

「むぐ?」

 

 メールが届いた。そのことに気付いたアインハルトはサンドウィッチを咥えたままバッグの中を漁り端末を引っ張り出す。電源ボタンに触れ、スリープモードを解除してからメールボックスを開く。その中を一言で表すならば、

 

 

 

 

 

 

 

!!

 

 開かれたメールボックスはとにかく初代との他愛のないやりとりのメールで溢れかえっていたのである。なぜか?

 非常に残念なことながらアインハルトは友達が少ない。アインハルトの物静かな見た目だけでなく、壁銀の髪、虹彩異色がそれを加速させている。

 最近仲良くなって互いのメールアドレスを知っているのは初代とヴィヴィオくらいのもの。しかも年下のヴィヴィオとはどうも話が合わない---よってアインハルトは、ほぼ初代としかメールをしていない。自分の話題についていけてなおかつ面白い話題を提供してくれる。彼女にとってこんなにも良い友はいないのだ。

 今日もまた、いつものように他愛のないメールのやりとりが繰り広げられることをちょっぴり嬉しく思いつつ、メールを開く。

 

『でっていう』

 

 ただ一文、白い余白を残しその文字はぽつんと書かれていた。

 

「?・・・・・・!」

 

 初代とはまだ三ヶ月ほどの付き合い、けれども彼女はおそらくアインスに続いて初代のことを理解している。アインハルトはなんのためらいもなく、端末のキーで文字を打ち込み始めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

「返信きた」

 

「ど、どんなのですか」

 

 初代の送りつけたあの意味不明な文を彼女はどう理解するか、ミウラは真剣に画面を見つめる。

 

『でででっていう』

 

「ラッキー!今日は機嫌がいいみたいだよ!」

 

「なんでわかるんですか!?ユーリさんもですがニャインハルトさんっていう人も!?」

 

「そりゃぁ・・・・あいつは私のソウルシスターだから、かな」

 

「そ、ソウルシスター?」

 

 言葉の意味の理解に苦しむミウラ。するとさらにメールが届く。

 

『ところでソウルブラザー。なに用ですか?』

 

「のりのりだこの人・・・・!」

 

 しばらくメールのやりとりが続く。初代→アインハルト→初代・・・・の順番。

 

 

『リコーダーの上の部分だけ貸してちょ』

 

『えらくマニアックですね。たしかにあなたにも穴があるとはいえ、そういうプレイはまだ早いと思いますよ』

 

『お前はなにを言っているんだ』

 

『軽いクラナガンジョークです』

 

『でっていう』

 

『でででっていう』

 

『ででででっていう』

 

『こんなこともあろうとリコーダーは用意してあります』

 

『本音は?』

 

『明後日音楽の授業のテストがあるので練習しようかと。もしかしてもしかしなくてもユーリさんは今テストを?』

 

『うん。あいうえお順で八神のやだから順番は一番最後。だからはよ』

 

『了解しました。すぐそちらに向かいます。あ、午後から家に遊びに来ませんか?そろそろカービィのエアライドの決着をつけたいので』

 

『ワープスターに破壊されるハイドラの再来か』

 

『いいえ、ピンクの悪魔(ワゴン)です』

 

『やめてくださいしんでしまいます』

 

『しんでしまえばいいと思います』

 

 

「・・・・仲、いいんですね」

 

「でしょー?・・・・ねぇみーさんなんで後ずさってるの」

 

 ミウラには会話のレベルが高すぎたらしく、少々引き気味になっている。初代もアインハルトも途中からまったく関係の無い話になっていたが、別にお互い気にするほどではないようだ。初代は席のすぐ横にある窓を開けてアインハルトを待つ。ミウラもひょっこりと横に座る。

 

「メールを見るかぎり・・・・変わった方なんですね、ニャインハルトさんって」

 

「そうなんだよー。私と出会ったころはスカートがヒラつくだけで顔を赤らめてたのに、今となっては堂々とパンツを見せてくるようになってさぁ。いったいなにがあったのやら」

 

「間違いなくユーリさんが原因ですよそれ・・・・」

 

 失礼な、と横目で睨む初代。ならもう少し自重してください、と反論するミウラ。なかなか大きな声でのやりとりだったにも相変わらず、教室はいっこうに静かにならない。

 リコーダーのテストは別室で一人ずつ行っており、今は十二番目。初代は三十番目なので時間はまだまだある。

 

「・・・・・・」

 

「・・・・・・」

 

 二人は無言のまま窓の向こうを見つめる。天気がよく、雲のかかっていない青空は太陽の日差しをよく通す。そよそよと窓を吹き抜ける風が髪を揺らし、教室熱気をほどよく冷ましている。

 

「お、来た」

 

 教室の窓から見える校門の入り口に彼女は訪れていた。真っ白なワンピースを纏い、大きな麦わら帽子をかぶり、そこから壁銀の長いツインテールを流している少女。右手には大きめの手提げバッグを下げている。

 少女---アインハルト・ストラトスは空いている手で麦わら帽子を抑え、眩しそうに四階立ての校舎を見上げる。視線を左右に動かし目的の人物を探す。

 

「ユーリさんは・・・・・・あれですね」

 

 アインハルトの視線のほぼ真正面、四階の窓から手を振っている黒髪の少年とこちらをじーっと見るピンク髪の少女。おそらく片方はミウラ・リナルディと呼ばれる少女だろう、そうアインハルトは気付く。

 すると突然、初代が右手を掲げ魔力を纏わせ始めそれを消したり纏わせたりと続ける。ミウラははてなマークを浮かべているが、アインハルトはわかっていた。

 

「(ナ・イ・カ・ク・タ・カ・メ・ノ・ス・ラ・イ・ダ・ー、ですか)」

 

 モールス信号である。

 

「(距離はだいたい九十m弱・・・・身体強化だけで問題なし。余裕です)」

 

 手提げバッグを地面に下ろし、アインハルトはワンピースのポケットからリコーダーの上の部分をそっと取り出す。狙うは四階、八神ユーリの右手めがけて内角高めのスライダー。

 左足を高く上げ、体全体を後ろに持っていく。限界まで、限界まで体を弓の弦のように引き----。

 

「---ふっ!」

 

 一気に放った。

 

 

 

 

 

 

 

 

「可愛い、というかは綺麗な方・・・・」

 

「でしょでしょー?見た目はすっごくいいんだよ!見た目は」

 

「?なんでそこを強調するんです?」

 

「・・・・みーさんにゃまだ早い」

 

 ミウラがどうしてか聞く前に初代が言葉を遮る。アインハルトが投球フォームに入ったからだ。

 初代は左手に魔力付与を行い、キャッチャーのように構える。

 瞼を閉じる。アインハルトのリコーダーを確実に受け止めよう、目指すはプロ野球選手。そう覚悟して目を見開いた---次の瞬間。

 

 

 リコーダーの上の部分が、初代の顎を砕いた。

 

 

 

 

 

 

 午後二時。アインハルト宅。

 

「(#^ω^)」

 

「あぁ!ま、まってください!予想以上の速度で変化させたのはわざとじゃないんですっ!だ、だから!ハイドラ!ハイドラだけは・・・・あぁぁぁぁっ!?」

 

「(怒゚Д゚)!!!!!」

 

 初代激おこぷんぷん丸でしたとさ。

 

 

 

 




『リコーダー』
縦笛とも言う。


『ソウルブラザー/ソウルシスター』
この三ヶ月で色々とわかりあった二人。アインハルトは初代に対して悟りを開いたらしい。


『カービィのエアライド』
友情崩壊ゲー。現在はPS3のソフト並のお値段がするよ!


意見、感想、くださいな!

次回→作者の頑張り次第。


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初代と覇王と(聖王)

Q:遅いわ!

A:パズドラ→なのセント→エルガード---以下ループ

真面目な話、暁の方で重要決断とその準備してました。





その32

 

 一週間のうちでみんなのテンションが一番上がる金曜日、ついに終業式まで一週間を切った。夏休みを楽しみにこれから暑くなってくる今日このごろ、なんとヴィヴィオの家にお泊りすることになったのがこの私、八神ユーリ。最初は欲望を我慢してヴィヴィオのお誘いを断ったんだけど今にも泣きそうな顔をされたので欲望に負けました。しょうがないね。

 でもなぜだろうか、クロハネにそのことを話したらすっごく複雑そうな顔をしていた。最近、クロハネにそんな表情が増えてきた気がする。今度気分転換に一緒にどこか行こうと思う。騎士の心のケアも主たるものの務め、果たしてみせよう!

 

「へへー。ゆーりくんといっしょなのひさしぶり〜」

 

「あー、それもそだね。てかヴィヴィオ、くっ付いてくれるのは嬉しいけど暑い暑い」

 

 私はただいま高町家一階リビングルームのソファーにヴィヴィオと二人で座っている。その際ヴィヴィオがピッタリ寄り添って座るからけっこう暑いのだ、いや私は嬉しいけど。ましてや夏のこの時期にクーラーがついていないのだから尚更である。

 たぶんヴィヴィオも同く暑いと思っているはずだ。

 

「えっ・・・・」

 

 同意を求めた結果がこれだよ。

 

「なんてのは冗談だよォッ!!いやー!ヴィヴィオと一緒だと安心するなーッ!」

 

「うん!わたしもゆーりくんといっしょだとあんしん♪」

 

 嬉し恥ずかしそうにくっつくヴィヴィオは大変萌えるのだが、こんなに暑いと汗が出てくる。お互いベトベトなのはどうかと思うので大人しくヴィヴィオにクーラーを所望する。

 

「くーらーはちきゅうさんがあったかくなるからだめってなのはママがいってたよ?」

 

「ここ地球じゃねーです」

 

「・・・・・・おおっ!ゆーりくんあったまいいっ!」

 

 少し考えてから目を輝かせこちらを見てくる。金髪、オッドアイ、美少女、聖女のような性格、この子に惚れないやつはおかしいね!

 ソファーから立ち上がってとてとてとクーラーのリモコンを取りに行くヴィヴィオ。しかし、途中でその足を止めまたもやなにか考え始めるている。なんかすげぇ気になるんですけど。

 

「ヴィヴィオー。どったのー?」

 

「うーんと・・・・・・あ!ゆーりくん、ちょっとまってて!」

 

 そう言って廊下に繋がるドアを開けてなにかを取りに行ってしまった。一人で部屋に残されてちょっぴしさみしいでござる。

 よくよく考えてみればここって私がこの世界で初めてたどり着いた場所だった。一番思い入れがあっていいはずなのにあんまりない。まぁ、この家に来ることが少ないから当然と言えば当然か。

 と、思い出に浸っていたところ、なにやらゴトゴトと物音が。

 

「よいっしょ、んっしょ、ふぅ・・・・。ゆーりくん!みてみてー!」

 

 ヴィヴィオが引きずりながら持ってきたもの、私には見覚えがあった。

 見る者を魅了する独特のボディに簡素なカラーリングながらも愛着のわく例の奴。

 

「それって・・・・ジャパニーズ『センプウキ』ってやつか」

 

 夏ごろに天界の書物とかで見たことはあったけど実物を見るのは初めてだ。天界の夏は神様と神山に出かけてヤマトオオカブトとかゼウスクワガタとか取ってたんだよなぁ。・・・・本当に強かったよあいつら。

 なんて思い出を懐かしんでいたら、もうヴィヴィオがセンプウキのコードやらスイッチをガチャガチャいじっていた。

 

「そう、せんぷうき。こうやって、こんせんとにつないで・・・・すいっちをおすだけ」

 

 ぽちっとな!と可愛すぎる掛け声のもと、センプウキの『中』スイッチが押される。

 

「・・・・・・おおぉ。こりゃ涼しい」

 

「はぁー・・・・きもちいいー」

 

 二人並んでちょこんとセンプウキの前に座り涼しむ。金髪と黒髪がセンプウキの羽が送り出す風になびかれ空中を漂ってなんか海流に流されるクラゲみたいで面白い。

 髪と言えばヴィヴィオの髪はサラサラで触り心地が良くてとっても綺麗だ。しかも関係ないがオッドアイまで持ってるとか、まさに男の子が憧れる容姿じゃないですかー、やだー。こうして見るとヴィヴィオってゲーゼの奴とそっくりさんなんだよねぇ・・・・・・子孫らしいから当たり前かな。

 

(私はオリヴィエに似てると思うが?)

 

 念話でなはとが湧いた。このニート、久々に出てきたよ。

 

(突然に湧くなはと。てか、オリヴィエって人に会ったことないから知らないんだけどそこは)

 

(気にするな、とにかく話を聞け。正確にはオリヴィエ・ゲーゼブレヒトの幼少期に酷似しておるのじゃ。まるで---写し身のようじゃ)

 

(それってクローンってやつ?・・・・いやいやいや、戦争に使えるものは使い尽くした私の時代の技術力でも出来なかったものがまさか・・・・)

 

(貴様もわかっておろう。貴様の生存していた時代は恐らく戦関係と魔法技術に関してはどの時代にも劣らんが・・・・あとはわかるな?)

 

(医療技術と通信技術はこの時代が最高峰ということかい!)

 

 いつぞやかにこの時代は古代ベルカ、正しくは旧ベルカの技術力には劣ると言った。確かに総合的に見れば旧ベルカの技術は優れているだろう。だが各分野となれば話は変わっちゃうのだ。

 例えば乗り物。この世界は車や電車、飛行機、戦車、ヘリなど多彩な乗り物が私の心を踊らせてくれる。だがだが、私の時は主要な乗り物が『馬』だった。空飛ぶ戦艦やら禁忌兵器(ヒュアレーター)を開発してたくせにこれである。あ、でも最後の方は戦車っぽいのがあったような気もする。

 ありゃ?そいえばなんで医療技術が発達しなかったんだろ。

 

(とまぁ、そういうことだ。可能性として考えておけ)

 

(あ、ちょっ)

 

 そう言ってなはとは一方的に念話を切りやがった。イラっときたので今度あいつのリンゴをお酢に浸しておこうと思う。

 最近ニートしてると思ったら突然出てきてなんなんだろうか。

 

「可能性、ねぇ」

 

 クローンなんざ漫画でくらいしか見たことないんだけど実在はするんだろうか。・・・・マリアージュなんかはそれに限りなく近い存在なのかな?皆同じ顔してたし。

 

「あ゛あ゛あ゛〜♪」

 

「・・・・・・・・きゃわゆい」

 

 別にヴィヴィオがクローンであれなんであれ、可愛いし優しい子だからいいような気がする。クローンとかって悪いキャラっぽいイメージああるけどセンプウキの伝統行事をしてる子が悪いやつなはずない。

 

「二人っきりで涼しんでいるこの状況。ここでいいとこを見せれば恋愛フラグが立つ可能性ワンチャン有り」

 

「どしたのゆーりくん?」

 

「ヴィヴィオと結婚したいなーって」

 

「けっこんー?」

 

 結婚という単語を知らぬとな。これは年上であり人生の先輩でもある私が教えてあげるべきだ。

 

「結婚っていうのはねー。男の人と女の人が正式に合体してもいいっていう---」

 

 

「---ユーリ君。君は人の娘になにを教えてるの?」

 

 

 声が聞こえた気がした。そして気がつけば私は、窓の外へと駆け出していた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 クラナガン某所にある一軒家。そこに住む少女は、なぜか窓から侵入して来た友人と一緒にいた。

 

「それでここに?」

 

「そうですぜ姉御」

 

 初代夜天の王、アインハルト・ストラトス宅へ逃走。

 

「貴方らしいと言えば貴方らしいですね。そういうのは嫌いではありません」

 

「そう言ってくれるのはニャインハルトだけだよ・・・・」

 

「同類ですしね」

 

「盗んだパンツを」

 

「被り出す」

 

 無言で手を取り合う二人。互いの目をしっかり見つめてなにかを分かち合っている。一般的に見ればとても仲良しな子供達だが、中身は大人もびっくりな妄想やらなんやらでいっぱいだ。

 

「ここでニャインハルトが顔を赤らめながら手を離す」

 

「それなんてオリ主」

 

 初代の希望するシチュエーションは叶わなかった。

 アインハルトは椅子から立つ上がり、キッチンの方に歩いていく。そして初代の方を振り向く。

 

「飲み物、どうします?コーヒー、紅茶、ポカリ、ファンタ、コーラ、私の汗、私の唾液、私の◯◯◯などがありますが」

 

「ちなみに最後のチョイスすると?」

 

「もれなく私とその過程でできた子供が付いてきます」

 

「紅茶で」

 

 どちらも恥じらう様子もなく淡々と何気ない会話を繰り広げる。アインハルトが紅茶の用意をしている間に端末を取り出し、初代はヴィヴィオに『ごめんなさい。怖いのでニャインハルト宅にいます』とメールを送信する。

 それでも暇になったのか、夜天の書を呼び出して魔法の観覧を始めた。

 

「ユーリさん」

 

 キッチンの方から聞こえた声に夜天の書からそちらに目を移す。オープンタイプでリビングとの隔たりがないキッチンから、アインハルトが初代を見ている。

 

「どした」

 

「茶葉がありません。リ○トンのレモンティーを温めればいいでしょうか?」

 

 アインハルトは黄色の紙パック紅茶を揺らしながら初代に言う。「おいしいの?」という質問に「大丈夫です。問題ない」と返答し、早速レンジにぶち込む。マグカップを二つ用意し、テーブルに戻ってきた。

 

「とりあえず二十分に設定してきたのでしばらくお話しましょう」

 

「うん。今すぐ取り出してこい」

 

 爆発フラグである。そもそもクーラーがかかっているとはいえ、こんな暑い日に温かい飲み物を飲む必要がないことに気づく初代。それにリ○トンの紅茶は冷えてる方が断然おいしいというこちは一般常識。無理にチャレンジすることはない。

 アインハルトは残念そうにレンジから紙パックを出して初代へと投げる。初代はとくに慌てる様子もなく夜天の羽衣でキャッチし開封、マグカップに注いだ。

 

「便利な魔法ですねぇ。是非とも教えていただきたいものです。おーけぃ?」

 

「自動誘発型希少技能。レアスキルってやつだから無理ポ」

 

「おや、そうでしたっけ?まぁ、貴方の唯一の近接戦闘能力を真似るのもあれですしね」

 

「・・・・し、失礼なっ。私だってエレミア直伝の総合格闘技術持ってるし!」

 

「使いこなせてない件について」

 

 初代夜天の王のかつての戦友『エレミア』。要所破壊に特化した我流武術で戦場を駆け巡った騎士団長の一人だ。詳しい資料は残っていないものの、その戦闘能力を直接脳に刻み込んでいる初代にとって、エレミアから教わった技術というのは相当な自信がある。なにせあのリインフォース・アインスに勝つほどの実力者の技なのだから。

 しかし、技術は持っていてもセンスがないのが初代夜天の王、八神ユーリ。驚くべき格闘センスの無さがエレミアの高度な戦闘技術の足を引っ張ており、形はできているがしっかり技が決まらない。

 

「・・・・・・い、イレイザーはできるもん!」

 

「成功率50%、命中率50%。25%の確率でしか決まらない技じゃないですか・・・・破壊力は凄まじいですが」

 

 アインハルトは初代に向けて爪を振り下ろすようなどうさをする。これこそ近接最弱の初代が出来る数少ない格闘?技の一つ『イレイザー』。物体を消し飛ばすことを目的としたエレミアの奥義。指、または手に魔力付与を行い螺旋回転を加えた状態で魔力衝撃波を繰り出す必殺の一撃だ。ちなみにこれをアインハルトに見せたとき、初代のイレイザーはなぜか真後ろに放たれた。

 

「命中率とか関係ないでしょ。そもそも、畑を耕すことをメインとした技を格闘技っていうのはどうかと思うんだよね!」

 

「えっ」

 

「え?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「高町家よ。私は帰って来たァァァッ!---お邪魔しまーす。あとサムスさん、さっきごめんなさい」

 

「さらに私もお世話になります」

 

 

 

「(増えた!?しかも噂のニャインハルトちゃん・・・・!)い、いいよ別に。でもヴィヴィオに変なことを教えちゃだめだからね?」

 

 初代&アインハルト、高町家に到着。

 

「あー!にゃいんはるとさん!」

 

「ヴィヴィオさん。お久しぶりです」

 

 助走をつけて飛びついてくるヴィヴィオを多少よろけながらもしっかり受け止め、くるりと一回転して床に下ろす。「もっとー!」というヴィヴィオ。その肩にポンと手を置きそっと告げる。

 

「ダメですよヴィヴィオさん。そんな思い切った走り方をしたらパンツが見えてしまいますよ?そうなればロリコンホイホイ、もといユーリさんホイホイになってしまいます。管理局のお縄になっちゃいます」

 

「ふんっ。ニャインハルトよ、私がそんな犯罪者になるとでも?」

 

「パンツの色は」

 

「緑の縞パンっ!」

 

「ヴィヴィオさんのお母様。かのエース・オブ・エースの貴女ならユーリさんとて捕まえられるはずです」

 

「えぇっ!?え、あ、いや、ユーリ君、捕まえないから---」

 

 

「ひぃっ!?」←甲冑展開済み

 

 なのはが一歩迫ると一歩引く。プルプル震えながら騎士杖を構えて迎撃体制をとる初代。側では夜天の書が開かれている。いつでも書に記録された膨大な魔法を行使できる状態だ。

 

「(´・ω・`)」

 

「あぅぅ・・・・。だ、だって最後のさんが・・・・・・」

 

「(´・ω・`)」

 

「うぅっ」

 

「( ´・ω・` ) 」

 

「・・・・・・わ、わかりました」

 

 なのはの小動物のような視線に負け、初代は甲冑を解除した。初代の甲冑はアインスには及ばないものの、非常に強固なものだ。その莫大な魔力から形成される甲冑は並の砲撃魔法なら無傷でしのぐほど。それを解除するというのは警戒をほぼ完全に解いたことになる。

 初代がこれほど警戒しているのには八神はやてが関わってるのは言うまでもないが、今は誰も知らない。

 

「冗談のつもりだったんですが」

 

「ニャインハルト。オーバーSランク魔導師を相手にするのは怖いんだよ」

 

「あなたもオーバーSランクじゃないですか。おまけに射砲撃が得意な」

 

「まぁ私も砲撃魔導師と言っちゃ砲撃魔導師だけど・・・・どっちかっていうと広域魔導師、いや騎士かな?どっちみち純正砲撃魔導師のサムスさん相手は厳しいのよ。年季も違うだろうし」

 

 高町なのはは射砲撃、誘導操作、バインドなどに優れているのに対し初代は広域、空間攻撃、超長距離砲撃、次元跳躍などを得意とする。一回の魔法行使で消費される魔力は比べものにならないほど初代が多い。これは単純な威力なら初代の方が優れることを意味する---が、現実はそうではない。

 使用した魔力が100%魔法術式に反映されるかと言われればそんなことはない。どれほど優れた魔導師であっても必ず『魔力ロス』が存在する。これは基礎である体内魔力循環路の形成、伝達を鍛錬し続ければ限りなく少なくすることができるのだが、初代はそれをほとんど行っていない。ゆえに魔力ロスも大きく、思った出力で魔法が出せないのだ。

 なんて難しい話しを繰り広げていたところ、ヴィヴィオが一言。

 

「ねーねー、なのはママ。おなかすいたー」

 

「なのはママー?」

 

「なのはママー?」

 

「「NANOHAMAMAaaaaaaッ!!」」

 

「!?」

 

 からのアインハルト&初代の息ピッタリ謎のなのはママコールが響いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 風呂、飯、終了!

 

 

 

「流石に三人は狭いでござる」

 

「あててんのよ」

 

「いひひー」

 

 三人で仲良くベッドで寝ましたとさ。

 




結構過去がわかった回でした。
締まらない最後だった?・・・・すんません。

意見、感想などなど待ってます。


次回→ゲッタードラゴンが復活するころ


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一学期終了!いざ夏休み!

Q:おう、暁のリメイクどーした?

A:十一月中だよ!


その33

 

「さぁ、夏休みだぞお前らっ!」

 

「いぃぃぃやっふぅぅぅぅ(棒)」

 

「にゃいんはるとさん、ぱんつみえてるよー?」

 

「ヴィヴィオさんもう少しオブラートに包んでください・・・・」

 

「(あれ、なんで私ここに居るんだろう?)」

 

 一学期の締めくくりである終業式を終え、初代、アインハルト、ヴィヴィオ、ミウラ、コロナの五人が八神家に大集合。初代のテンションがMAXでアインハルトがぴょんこぴょんこ跳ねてミウラがツッコミを入れたりと恐らくはここ一番で混沌とした状況が作り出されていた。

 そんな少年少女を見る目が一つ、八神家キッチンにあった。

 

「(・・・・・・見事に女性ばかりだ)」

 

 夜天の魔導書管制融合機リインフォース・アインス。初代が友達を連れて来るというので気になってしょうがなく、はやてに無理を言って仕事を休ませてもらっている。その結果がこの女の子パラダイス、またの名をハーレム。アインスは危機感を感じていた。このままでは初代が取られてしまう、と。

 ぐぬぬと陰で小さく拳を握りしめてリビングにいる女の子を観察していく。相手をよく観察することは戦場で重要---かつてのシャマルの言葉を思い出す。ならば観察、ということだ。

 最初に目をつけたのは初代と一緒に謎のダンスを踊っている壁銀ツインテールの女の子。

 

「(あの髪に虹彩異色・・・・シュトゥラ王国のイングヴァルト家直系だな。初代はmy soul sisterとまで言うほど相性がよいのも手強い。凛々しくも美しい・・強敵)」

 

 次にあわあわしているピンク髪の女の子。

 

「(初代の初めての学友。あの守ってあげたくなるタイプは騎士である初代の心を掴んで離さないだろう・・強敵)」

 

 次は苦笑いしてる灰色髪のツーテールな女の子。

 

「(噂に聞く本の虫。同じ本好きの初代とは気が合いそうだな。おまけに影で人を支えれそう・・強敵だ)」

 

 そして最後は・・・・無邪気な笑みを浮かべて初代にくっ付いている金髪虹彩異色な少女。

 

「(タカマチ・ヴィヴィオ。主の話によればかのゆりかごの聖王女オリヴィエ・ゲーぜブレヒトのクローン体・・・・つまりシュテュアスの直接子孫。もしもシュテュアスの持っていたモノを受け継いでいたとすれば----彼女は天然悩殺マシーン。きょ、強敵じゃないか)」

 

 アインスはあの天然爽やかイケメンの笑顔を思い出して息を飲む。あれがヴィヴィオにもある---空調がきいているはずの室内で一筋の汗がアインスの頬をつたった。

 初代はヴィヴィオが大好き過ぎ、自分と関わる時間が減っている。これはまずい、非常にまずい。アインスはそう思わざるを得ないのだ。

 だがそれ以上に、アインスは重大なことに気づいてしまった。

 

「(全員・・・・強敵っ!)」

 

 皆が自分にはないものを持っていてなおかつ美少女。対して自分はどうだ。万人受けする容姿で作り出されたものの、あるのは師団を相手どれる戦闘能力と数多の魔法知識くらい。アインスは自分には全然魅力がないのではないかと疑い始める。恋色沙汰も何もなかったのでその手の知識は疎い。

 アインスは思わずフローリングに手をつく。それは自分の無力さ(恋色沙汰全般)に対する絶望、初代の騎士という立ち位置の消滅の危機を表していた。

 

「クロハネー、ジュースのボトルとってー。・・・・・・クロハネ?どしたのさ?」

 

 みんなでジュースを飲もうとコップを出し、冷蔵庫に一番近いアインスにジュースのボトルをとってもらおうとキッチンまで来た初代が絶望しかかっているアインスを発見する。

 

「うぅっ、うっ、あるじ!わた、わだじには、なに一つ魅力が、ありまぜんでしたぁッ!」

 

「ファッ!?」

 

 なぜか急に涙をポロポロ流して自分に抱きつくアインスに初代は驚き、変な声を出す。

 何か悪いことでもしてしまったのか、と思いちょっと慌ててしまう。

 そこに、ヤツがやって来る。

 

「ユーリさん。なにかお手伝いすることは・・・・」

 

 この上ないタイミングでアインハルトがひょっこり現れる。礼儀正しく同年代よりも色々大人びたアインハルトは人様の家に来ている以上、何かしらの手伝いをしようとしたのだろう。

 初代とそれに泣きつくアインスの二人を交互に見て、アインハルトは少しばかり首をひねったが、直ぐにぽんっと手を叩いた。

 

「そういうことでしたか。この状況から察するに-----ユーリさん、ゴムを付けませんでしたね?」

 

「この状況からなにを察したのかはあえて言わないけど、たぶんニャインハルトの思ってることじゃないから」

 

「ヤり逃げ・・・・!?」

 

「みーさーん。ちょっとこの淫乱覇王引き取ってー」

 

 リビングでWiiをしていたミウラに妄想全開の覇王を引き取ってもらい、初代はしゃがんでアインスに「どうしたの?」と優しく問う。ストレートに言ったら恥ずかしさで死んでしまいかねないのでアインスは言葉を濁して言う。初代がまた自分の前からいなくなってしまうのではないか、そう思ってしまったと。

 初代は目を数回ぱちぱちさせた後、「そういうことねぇ」と言い、一つ息をつく。

 

「クロハネよ。私がそんな簡単に死ぬと思う?これでも結構数の戦場で生き残ってきた騎士ですぜぃ」

 

「そういう意味で言ったわけではないのですが・・・・。しかし初代、あの時、あなたはそう言って帰って来きませんでしたよね?」

 

 単純に側にいて欲しいというのを生死の問題で解釈してしまった初代。その言葉でアインスの中の記憶の一部が、鮮明に浮かび上がる。

 

 

 

 

 

 

 

“我が主!なりません!騎士団長どころか我ら騎士すら連れて行かないのは危険すぎます!いくらあなたでも無茶です!”

 

“私は大丈夫だよクロハネ。それに騎士団長にヴォルケンリッターはうちの騎士団の貴重な戦力なんだから、こっち作戦に参加させることはできない”

 

“なら!せめて私と融合してください!そうすればあなたをお守りすることが---”

 

“だーめ。クロハネには首都の魔法障壁破壊っていう重要な任務があるでしょ?私がいない以上、戦略級魔法を使えるのはクロハネだけなんだから”

 

“ですが、ですが・・・・ッ!”

 

“こっちも丸腰でアレに挑むわけじゃないんだから。最初から全力のトリニティモードで行くし、最悪ブラスターシステムがある。なーに!いつも通りパパッと墜としてくるよ!”

 

“・・・・・・『ゆりかご』を侮ってはなりません。あの対地対空砲火能力に魔法物理障壁。我が主、魔法が通用するのかすら怪しい艦です”

 

“通用しないならするまで撃つから問題なし。一応、切り札だってあるわけだし、ね”

 

“・・・・主”

 

“大丈夫!私がそんな簡単に死ぬわけないでしょ?私を信じて!”

 

“・・・・・・・・・・承知しました。なら、必ず、必ず、我らの元へ生きて帰って来てください”

 

“まっかせろい!”

 

 

 

 

 

 

 

 

「あぁー・・・・うん。なんていうかさ、ごめん」

 

 当時の自信満々な自分の発言を思い出し、ばつの悪そうな顔になる初代。結局、初代は出陣したその戦いで命を落としてしまったのでなにも言い訳することができなかった。

 頬をぽりぽり掻いて謝る。なお、目は泳いでいる。バタフライしている。

 

「許しません」

 

「ごめんなしゃい」

 

「許しません」

 

「なん・・・・だと・・・・・・!?」

 

 今までの経験上、許してもらえると確信していた初代は予想外の返答にギョッとする。頬を膨らませ上目遣いでじっとこちらを見るアインス。

 こうなってしまっては初代はどうすればいいか分からない。さてどうしよう、と考え始めたとき、無言の訴えをかましていたアインスが再び口を動かす。

 

「私は主が約束を破ったことを許しません。主が全てだった私に対してのこの仕打ち。これは罪と言っても過言ではないのです。・・・・ですから、罪を償ってもらう必要があります」

 

「お、おう」

 

 ものすごく真剣な顔つきで初代を見つめ、熱く語るアインス。初代はその熱に押されてつい言葉を詰まらせる。

 

「簡単なことです。ずっと・・・・・・ずっと側にいてください」

 

 人より肌が白いアインスは赤くなればよく目立つ。ゆえに顔がゆでダコのごとく真っ赤っかでよくわかる。もしもこんな美女に言われたならば大抵の男は落ちるだろう、落ちないはずがない。だがしかし、相手は初代夜天の王。さらっとプロポーズまがいなことを言われたことに初代は?マーク浮かべ、アインスに言う。

 

 

 

「昔も今もずっと側にいるでしょ?なに言ってるのクロハネ」

 

 

 

 

 

 

 アインスは 家を飛び出した!

 

 

 

 

 

 

 

 

「なんだったんだろ・・・・?」

 

「鈍感系オリ主ここに在り、ということですねわかります」

 

 初代が開け放たれた玄関への扉を見ていると、後ろからぬーっとアインハルトが生えてくる。

 

「いやいや、まったく意味がわからんよ。てかいつからそこに」

 

「あなたが銀髪ボインさんにプロポーズまがいなことを言われた辺りからです」

 

「あれがプロポーズぅ?クロハネならもっとロマンチックにすると思うよ」

 

 八百年ほどの空白があったとはいえ、長年主従関係でいた初代はアインスの性格をよく理解している。泣き虫で寂しがり屋で人一倍責任感があり、なかなかのロマンティストであることも。

 アインハルトはチッチッチと人差し指を左右の振らして「あまいですよユーリさん!」と言った。

 

「まったく、そんなことも理解できていないとは情けない。世の中には色々な告白やプロポーズ、夜の営みのサインがあるのですよ?」

 

 そう言うと自らのスカートの中に手を突っ込みなにかをもぞもぞ漁り出す。五秒もたたないうちに目的の物があったのか、手を引き抜く。その手には小さめなホワイトボードとペンが一本。

 

「(四次元パンツでも履いてんのかこいつ)」

 

「例を出してあげます例えば----

 

 

 

 

注文いいかい?マックシェイクのバニラと---君のスマイル、二十年分、お願いできる?

 

 

 

-----とか」

 

「マックシェイクと一緒に注文すんな」

 

 アインハルトの頭に一発チョップをかます初代。どうやらお気に召さなかったようだ。痛そうにチョップされた頭のてっぺんをさすりアインハルトは初代をちょっと睨む。私なりに真剣に考えたのにこの扱いとはなんだ。アインハルトの怒りのボルテージがちょっぴり上がる。

 そんなことは気にせず初代はアインハルトに「戻るよー」とだけ言ってわいわい騒がしいリビングに行こうとする。

 

「・・・・・・なーに?」

 

 ジャージの袖を引っ張られ足を止める。引っ張ったのはもちろんアインハルト。早く遊びたい初代はため息混じりに振り向く。

 

「ユーリさん。そこまで私の最高のプロポーズ方法を馬鹿にするならあなたのプロポーズを見せてください」

 

「・・・・やだよ。恥ずかしい」

 

 自分の最高のプロポーズを見せてくれ。なんて言われても普通ならしたくないのは当然だ。ましてや異性の前ならなおさら。初代も多少の恥じらいがあるのか、首を横に振る。

 予想通りの答えだったのか、アインハルトは奥の手を出すことにした。

 

「言わないと体育館倉庫の件を徹底的に捏造してヴィヴィオさんのお母様に報告します」

 

「オーケーオーケー、落ち着こうかニャインハルト。話せばわかる」

 

「具体的にはユーリさんが私を体育倉庫に誘導してSランクの封鎖領域を展開、混乱する私に対してバインドをかけ強制M字開脚。抵抗のできない私の服を脱がせ下着姿にして写真を撮影、これを脅しの材料に。さらに濡れていない秘部に無理やり肉棒を」

 

 初代はとりあえず土下座した。彼女を怒らせると社会的な意味で怖いと悟ったのだ。

 アインハルトはそれを見て満足そうに微笑むと、再びプロポーズの要求をする。一般人から見ればほぼ完璧美少女にプロポーズの要求される男なんて幸せだと思うだろう。男はこれほど恥ずかしいことはないが。

 

「うぬぅぅ・・・・本当にやらなきゃだめかね」

 

「もちろんですとも。さぁ、どきがムネムネするようなプロポーズを!さぁ!」

 

 期待の眼差しを向けるアインハルトを見た初代は覚悟を決める。数回咳払いをして喉の調子を整える。

 

「この求婚の方法は、一応私の生きt・・・・私の国で騎士が正式にやるものにアレンジを加えたものだから、期待しないで」

 

「ほほう、騎士ですか。これは期待できそうですね」

 

 期待するなと言っても期待する妹分に若干呆れつつも、やることだけは真面目に全力投球。緊張をほぐすのに大きく深呼吸し---目つきが変わった。

 まずは片膝をついた。顔を浅く下げ、両目を閉じている。想像以上に本格的な出だしにアインハルトはさらに期待を膨らませる。

 次に右手でアインハルトの右手を手の甲が上にくるように、小川を流れる水をくみ上げるかのように、静かに持ち上げた。

 そしてアインハルトの右手の甲そっと口付けをする。

 

「っ!!」

 

 手に感じた柔らかく、暖かい感触にアインハルトは身体を強張らせる。「大胆ですね」と冷静を装うが内心では心臓がバクバクと大声を上げているのがアインハルトの体全体に伝わっていた。

 まだ求婚の儀は終わっていない。最後に初代は求婚の『言葉』を呟く。

 

 

 

 

「----------」

 

 

 

 

 たっぷり三十秒ほど互いに無言になった。初代は儀を終えたので普通にしていればいいが、アインハルトがあまり無反応なのでどうすればいいか分からない。一方、アインハルトは初代の言葉にどう返せばいいか分からない。

 双方固まって動けない。だがそこに、状況を打破する存在が現れる。

 

〈Machten beide Personen das was?(お二人ともどうなさいましたか?)〉

 

 夜天の魔導書だ。

 

「へ?あ、い、いやー!なな、なんていうか・・・・こういうのはふざけてやるもんじゃないな!ね、アインハルト!・・・・・・(なんか違和感がないのはなんでだ?ニャインハルトだから?あれ、なんでニャインハルト?)」

 

「そそそ、そうですね!こういうのは、お互いがしっかり愛し合っているときこそ言うものですね!・・・・(全然有りですね。ユーリさんに言われるなら・・・・あれ?なぜユーリさん?)」

 

 二人ともほんのり顔を赤くしていそいそとキッチンの陰から出て、リビングへと戻る。

 その様子を見て夜天の書は一言。

 

〈Ein Scheck verlangte und......(要チェックやでぇ.......)〉

 

 

 

 

 

「我が主ぃ!!!」

 

「あーはいはい。よしよし、泣かんといてー。・・・・・・しかしこれはまずいかもしれへんなぁ」

 

「はやてちゃん!例の作戦を実行に移すです!」

 

「せやなぁ・・・・これしかないやろ」

 

 泣きつくアインスを撫でているはやてのもう片方の手には一枚のチラシがあった。

 

『時空管理局開催 ミッドチルダ大夏祭り!』

 

 




なんか最近アインハルトのからみが多い。大須ギィー!

そしてちょろっと過去のお話。キーポイントは『ゆりかご』ですね。はたしてどんな因縁が?

意見、感想をもらえると嬉しくて頑張れます。

次回→作者の頑張りしだい、だけど期末テストの後


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海鳴から始まる勘違い

Q:おせーよ、冬休みだろ

A:遊んでばっかだったごめんなさい


その34

 

 第一管理世界ミッドチルダと第九十七管理外世界地球では時差が発生する。特に管理世界と管理外世界での時差は大きい。その差約五ヶ月。ミッドチルダの方が早く月日が過ぎている。

 ミッドチルダは現在七月中旬。本格的に夏も始まり、大人達は皆滅入っているところだ。だが、初代など子供達は夏休み間近でスーパーハイテンション状態で夏を満喫する気だ。だから子供時代に戻りたいと現実逃避する大人が後を絶たない。なにも考えずただただ友と無邪気に駆け回ったあの一夏の思い出。そんな思い出話を同僚と語りながら大人は職務に励むのだ。

 そんな大人達を嘲笑うかのように、自由を謳歌する『子供』が、ミッドチルダ----ではなく、海鳴のとある公園に訪れていた。

 

「......着いたな」

 

「ええ」

 

「ひっさしぶりーーー!」

 

「半年ぶりですねー」

 

 ディアーチェ、シュテル、レヴィ、ユーリ(本家)。通称マテ娘一家。その正体はかつて初代夜天の王が組み込んだ夜天の魔導書のブーストシステム紫天プログラムの管制人格と無限の魔力を発生させるロストロギア級の代物、永遠結晶エグザミアを取り込んだ『元』人間。外見だけでは人間か否かはほぼ判別不可能なほど人間らしい上に、本人達はそれを気にしていない。

 四人はそれぞれミニスカートやらワンピースやらデニムなど、夏を想定した服装で海鳴に訪れている。そう、夏服で、だ。

 ディアーチェは微笑を浮かべ、ふう、と息を吐く。吐息は白いゆげを上げて空へ昇る。吐き出した酸素よりも多くの酸素を肺いっぱいに取り込む。そして、王は叫ぶ。

 

「な・ぜ・コ・コ・は!雪が積もっておるのだぁぁぁァァァァっっ!!?」

 

 怒りのあまり放出された紫色の魔力がディアーチェを中心に広がり、降り積もった新雪を空へ舞わせる。美しい雪のシャワーにレヴィとユーリはキャッキャと喜び、ディアーチェとシュテルの周りをぐるぐると走って遊びだす。

 肺の中の空気を全て使いぜぇぜぇ息を切らす君主を見て、シュテルはどうにか落ち着かせようと考える。自分達の王は冷静さを欠けば熱血美少女さながらの無茶な行動をする。レヴィやユーリでは出来ないだろうが、八百年近く側にいた右腕的存在の彼女にとって王を冷静な判断が出来る状態に戻すことは朝飯前。

 シュテルは今も微量に魔力を出しているディアーチェの側まで近づき、肩を叩く。

 

「うぬぅぅ!!寒いぃぃ......。っと、む?シュテルか!これはどうなっておる!この時期、海鳴は七月では------ほむっ!?」

 

 闇統べる王、ロード・ディアーチェに対して臣下であるシュテル・ザ・デストラクターは足元ですくい上げた新雪をもふっととぶつけた。なぜか顔面に。

 

「..........テル」

 

「こなゆき、それはもっふもふの至高の存在で」

 

「シュゥゥゥテェェェルゥゥゥゥゥッッッ!!!」

 

「きゃー(棒)」

 

 軽やかなステップを刻みながら逃走する臣下を陸上競技の選手さながらの走りでその君主が追いかける。もちろんそんな楽しそうなことに残った二人が加わらないわけがなく、四人での追いかけっこが始まった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「............」

 

「ん?イア。どうしたの?」

 

 ちょっと大きめな黒いブーツに明らかにサイズの合わないたぼだぼな茶色のダッフルコート。真っ赤なマフラーをぐるぐる巻き、顔の半分を隠した少女、イアはふと立ち止まり自分の進むのとは別の方角を見る。いつのまにかイアの保護者であるアリサ・バニングスも足を止め、イアと同じ方角を見る。

 

「なつかしいにおいがする」

 

「懐かしい?あの方角には山しかないけど。......あ、でもたしか古びた公園があった気がしなくもないわね」

 

「たぶんきのせい。あとさむいからかえりたい」

 

「帰りたいって、今からすずかの家に行くんでしょうが....。それにあんた、下にたしか五枚は着込んでたわよね。なんでそれで寒いわけ?」

 

 アリサはイアとお揃いの茶色いダッフルコートのポケットに手を入れてブルブルと震える。いくら下にセーターや天下のヒートテックを着ていても寒いものは寒いようだ。背中を小さく丸めてしきりにその場で足踏みをし身体を温める。

 

「こっちからいいにおいする」

 

「それに前から気になっていたけど、イアはどこの国の----って、どこ行く!?そっちはすずかの家じゃないわよ!ちょっとイアーーーーっ!!」

 

 アリサは目的地とは明後日の方向にトコトコ走りだす同居人を追い、月村家から遠ざかっていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 場所は変わって雪の積もった寒い公園から暖房のついた温かいマテ娘マンションへ。

 

「....随分と綺麗だな。とても半年ほど空けたとは思えぬ」

 

 半年前、猛暑日が続く八月に遊びに来て以来、予定が合わず部屋にも海鳴に訪れていなかったにも拘らず、ディアーチェたちのいる部屋は、埃がほぼ無いに等しいほど美しさが保たれている。

 

「アミタとキリエが定期的に来て、掃除してくれているようですから。二人ともいい仕事をします」

 

「..........その話、初耳なのだが」

 

「おや?私はレヴィに伝えるように言ってあったはずですよ」

 

「伝言をレヴィに任せるのが間違いだ....」

 

 アミタとキリエが設置して行ったであろう、『こたつ』の中にユーリといっしょにスッポリ収まっているレヴィに目を向けつつ、二人は今後の予定を調整することにした。

 

「桃色たちには後で礼を言っておくとして、問題は小鴉への連絡だな。シュテル、ミッドの時間は?」

 

「ミッドチルダと地球では月日としての違いは大きものの、二十四時間単位で見ればほぼ変わりありません。現在こちらが午後一時なので、あちらもほぼ同時刻かと」

 

「やつは管理局に勤める身....この時間は職務を全うしているだろうから、個人端末に繋げるよりかは、自宅の端末に連絡をするのが吉だな。盾の守護獣あたりが居るはずだ」

 

「休日なら在宅の可能性もあります」

 

「それもあるな。ま、とにかく連絡してからだ」

 

 そう言うと、ディアーチェは壁

に設置されている電話機のような端末を操作する。すぐ横にあるメモ書きの通りに番号を入力していき、通信開始のボタンを押す。

 

 ピリリリ!と高い電子音が数回鳴り、五秒もしないうちに、通信が繋がる。

 

 

「あ、八神さんのお宅でしょうか?....はい、クローディアという者ですが、八神はやてさんはご在宅ですか?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はやてさん、ですか......?」

 

 八神家に備えられている端末の通信を取り、アインハルト・ストラトスは困っていた。夏休みが始まって一週間が経ち、いつものように友人、八神ユーリの家に遊びに来て、いつものようにゲームをする、実に充実した夏休み。

 本日も連日続く、仁義無き一千連戦スマブラ対決。途中休憩で、ジュースを買いに自販機までダッシュするユーリを見送ったタイミングでの通信を、つい自宅感覚で受けてしまったアインハルト。

 誰もいないと言って切るのが一般的な対応と考えたが、アインハルトには疑問が一つ。

 

「(八神はやて....『歩くロストロギア』の?)」

 

 八神はやてと言えば、二年前に発生したジェイルスカリエッティ事件、通称JS事件を解決に導いた伝説の部隊、機動六課の部隊長。

 間違いではないか?という考えが真っ先に脳裏をよぎったが、すぐその考えは消える。

 アインハルトは、ユーリのフルネームを思い出す。

 

「ユーリ、ユーリ....八神、ユーリ......おぉ」

 

 『八神』なんて変わった苗字を持つのはミッドチルダを探したってクラナガンのこの家くらいだろう。

 趣味や性癖を分かち合える親友との出会いから三ヶ月。今頃になって、八神ユーリは八神はやての家族の一人だというのに気が付く。

 

「(似ていないような気もしますが......そもそもどういう家族関係なんでしょうか。姉弟......いや、もしかして..........ま、まさかっ!?----------お、おおお親子ッ!)」

 

 アインハルトの頭が徐々にピンクに染まり始めた。

 

「(ユーリさんは十歳。八神はやてさんは雑誌で二十歳前後と紹介されていたはず....つまり、約十歳での出産っ!?法的にアウト!法的にアウト!)」

 

『あの......もしもし?』

 

「(いえ、考え過ぎですアインハルト・ストラトス。彼女は管理外世界出身......そこでは十歳でも妊娠していいという法が整備されている可能性が..........はっ!)」

 

 法が整備されている可能性を信じかけていたアインハルトの脳に、とどめの一撃を刺すかのように現れたのは、雑誌のインタビューコーナーの記事のある単語。

 背中に冷やりとしたものを感じざるを得ない事実。自分でも驚くほど目を見開いているのがわかるほどの衝撃。

 

「(彼女は....独身ッ!)」

 

 導き出される答えは。

 

 

 極悪非道な男にチョメチョメされる→捨てられる→悲しみを背負い養育費を稼ぐため管理局入り→〜そして復讐へ〜

 

 

「......失礼ですが、八神はやてさんとはどのような関係で....?」

 

『?......昔、いろいろ『夫婦です』こらシュテルっ!あらぬ誤解受けることを言うな!』

 

 

 

 

 

「こ、ここここの外道っ!!」

 

『......へ?』

 

 突然の怒声に通信相手の謎の人物は理解が追いつかず、どこか抜けた声を出してしまった。

 怒りの炎を瞳に灯し、拳を握りしめてわなわな震えるその姿はまさに『覇王』と呼ぶのに相応しい威圧を放っている。

 

「どうやって幼気な少女を騙くらかして性交に至ったかは知りませんが、十歳前後の少女を妊娠させて蒸発するとは、見上げた根性をしているではありませんか....!」

 

『え、あ、いや、ちょちょちょっと待て。貴様は何かとてつもない勘違いをして』

 

「八神はやてさんもその子供も貴方なんか忘れて元気に、立派に生きているんです!何が目的ですか!お金ですか!」

 

『なにぃっ!?子鴉のやつ、子を授かっておったのか!?聞いておらぬぞ!』

 

 お互いにだんだんズレてきた。

 

「いいですかっ!八神はやてさん本人もですが....その子、私の親友に手を出そうものなら、覇王の名にかけて、貴方を討ちます!」

 

『あ!ちょっと待て!詳しく話しを----』

 

「はァッ!」

 

 殴りつけるように通話終了のボタンを押し、相手との会話を強制的に終わらせる。

 アインハルトは激怒していた。まさかあんな下衆な人間がいたとは、許せなかった----が、同時に深い悲しみにも包まれた。まさか自分の親友があんなに暗い過去を持っていたとは、と。あの明るさは、過去の悲しみに溺れた自分自身を隠す演技だったのか、と。

 だからこそ、決意した。

 

 

「たっだいまー!見て見てニャインハルト!冷製いちごおでん零式だって!いやぁ、いくら赤字続きだからってキ○ンもそこまでやらなくていいのにねー......って、どした?」

 

 奇抜な飲み物を自販機で見つけ、意気揚々と帰ってきた初代は、浮かない顔のアインハルトを見て少し真剣な顔つきに変わる。問題があったなら騎士として、親友として解決に導く気に溢れている。

 初代が帰宅したのに気が付いたアインハルトは、真っ直ぐ初代へと歩み寄り、その肩に手を添える。

 

「......安心してください、ユーリさん。ハイディ・E・S・イングヴァルト、覇王の名にかけて、貴方を必ず幸せにしてみせます」

 

「お、おう。幸せに?」

 

「はい」

 

 困惑する初代夜天の王の前で、覇王ハイディ・E・S・イングヴァルトは誓いを立てた。

 記憶にはまだ戻らぬ聖王女に誓うように。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「私と最後のさん?たしか戸籍上では姉弟だったかなぁ....。実は血が繋がってないんだよねー!」

 

「..........まじですか」

 

「うん」

 

「..........」

 

 冷製いちごおでん零式をつつきながら初代によって知らされた真実。

 ソファーから立ち上がり、強い日差しが差す青空を見上げる。

 

 謝ろう。

 そう決意したアインハルトだった。

 




 アインハルトちゃんはちょっと正義感が強いだけ。

 そして海鳴に戻るマテ娘、察知する電波オリキャラ。

 意見、感想で作者は頑張れます。

次回→作者の頑張り次第


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戦友はTS転生者になったようです

Q:どのくらい投稿間隔あいたでしょうか?

A:四ヶ月だね! でも死んでないよ! でもしんどいよ!


これ一年分とかできんのかよ作者....。


その35

 

「私、そろそろ本気を出そうと思うんだ」

 

 大家族の生活のためか、無駄に広く造られた白が基調のリビングルームで、初代夜天の王は、まるで戦場に立っているかのような表情で呟いた。

 初代の隣りで、ペタンと女の子座りをして低学年向けの熱血系マンガを読んでいたミウラは、あまりに唐突な本気宣言に呆気をとられ、ぱちぱちと数回、瞬きをする。

 

「....ユ、ユーリさん。もしかして熱があるんじゃないですか? ....ちょっと失礼します」

 

 心の底から憂慮するミウラの小さな手の平が、初代の額に押し当てられる。部屋の温度は二十八度とミッドチルダの環境に優しい設定で、暑くもなく寒くもなく、初代にはミウラの人肌通りでほんのり温かい手が丁度いい具合に感じた。

 

「別に健康状態に異常は無いよ。何気にみーさん酷いこと言うねぇ....。それじゃまるで私が真面目じゃないって言ってるようなものじゃないか」

 

「えっ? ......そ、そそそそんなことありませんよ!! ユーリさささんは、すっごく真面目ででで」

 

「デデデ大王」

 

「違いますっ! ....あれ? こんな流れが前にもあったうような......」

 

 軽い失言の誤解を解こうと、わたわた焦りながらも、使いまわされているネタに敏感なミウラは、自分のツッコミに違和感を覚える。

 謎の違和感に首を傾けるミウラを見て、初代はなにか考えが浮かんだのか、真剣な表情から深刻な表情へと顔つきを変え、ひっそりと口から言葉を漏らす。

 

「そうか、そんなこと思ってたんだ。 ....つまり、みーさんにとって私は人生を舐めてかかっているどうしようもない屑野郎ってことなんだね....」

 

「どうしてそういう解釈になるんですか!?」

 

「言わなくていい。言わなくていいよ、みーさん。実はみーさんは管理局の裏人間で、その幼い容姿と天然萌え属性を使って、復活した私––初代夜天の王を捕らえるために派遣された特殊部隊員。..........捕まえた後は得体の知れない液体の満ちたポッドに入れて、『ふふふ、ユーリさん。これで貴方は ワ タ シ ノ モ ノ』とか言って私の体をバラバラにしてパーツごとに保管するんだ....」

 

「ひぃぃっ!? ややややめてくださぃ! 想像しただけで体の節々が痛いですぅぅっ!」

 

 捨てられた子犬さながらにプルプル震えながら、瞼をギュッと閉じ、両耳を手で塞ぐミウラ。「ですです口調とか、ソラハネ乙」と脇腹をつついてちょっかいを出し、目の前の小動物をいじめる初代。なんとも微笑ましい、年相応の子供たちの絵だ。

 しばしミウラいじりを楽しんでいた初代だったが、話しが盛大に逸れていってることに気が付き、ミウラの脇腹から指を離し、咳払いを一つ。

 

「うぉっほん....。ねぇ、みーさん。今の私ってどんな感じがするか、正直に言ってみて?」

 

 恐怖に震える『チワワモード』を解除したミウラは、いつもから見れば比較的真剣そうな顔をする初代の顔を見て、少しばかり思考を巡らせる。

 容姿は普通。黒髪黒目でこれと言った特徴はない。性格も、ちょっと元気過ぎるが、年相応と言えば年相応。頭もそこそこに良い。特に数学は校内負け無しの成績。ただ、一般人と比べてちょっと魔力が多過ぎるだけ。

 よって導かれる答えは––––

 

「普通な感じ、です。とくに変わったところは....」

 

––––至って普通の、子供らしい答え。

 

「えぇー....。なんかこう、歴戦の騎士! とか、ラスボス臭とか、しない?」

 

「......しないです」

 

 初代夜天の王は、無慈悲な回答に驚きを禁じ得ない。

 仮にもかつてベルカ五本の指に入るほどの実力者とうたわれ、数多の戦場を駆け巡り、あらゆる障害を大魔法で粉砕してきた彼にとって、ミウラの言葉はさすがに驚かされた。

 他の騎士団長たちと比べると、かなり若年者だったとはいえ、最終決戦では『聖王』に実力を認められている。初代としては、騎士王の風格が出ているんじゃないかと期待していたが、そんなことはなかった。

 目を逸らしながら言っているあたり、言いにくいが本音であることが容易にわかる。

 

「......まじですかいな。たしかに、エレミアほど目付きは悪くないし、戦場でも後方からの火力投射がメインだったけど、だからってそりゃないぜよ、みーさん。ラスボスラスボス!」

 

「なんでラスボスにこだわりを....というか、前々から気になってたんですけど、戦場とか騎士団長っていったい––––」

 

「あーー! そういえばこの時間っていったら『インターミドル・チャンピオンシップ』の世界代表選の中継やってるよね! 魔法戦の参考までに見よっか!!」

 

 過去に触れられるのはまずい。別に知られてもいいと思っていた考えとは真逆に、脳は本能的にそう判断した。初代は半ば強引に話題を逸らために、近日、全管理世界湧かせているとあるスポーツ大会、『インターミドル・チャンピオンシップ』の中継をテレビに映す。

 

 インターミドル・チャンピオンシップ––––ディメンジョン・スポーツ・アクティビティ・アソシエイション、通称『DSAA』と呼ばれるスポーツ競技運営団体が開催する公式魔法戦競技会。全管理世界の十歳から十九歳までの魔導師が、己の技と力でぶつかり合う、今最も熱いスポーツ競技だ。

 大会で上位に入賞すれば、管理局や聖王教会、他の大手企業がスポンサーを務めるチームからの勧誘で引っ張りだこになる。それを目的としてか、この大会の出場者の半数は十六歳以上と、年齢層が高い。

 とはいえ、十歳から出場する選手も少なからずいる。書類上は十歳の初代としては現代の魔法戦に是非参加してみたかったが、全力でアインスに引き止められた。

 曰く、『(相手が)怪我をしたら危ない』。

 

 CMを見ながら「私も参加したかったなぁ」、「参加する気だったんですか」と、DSAAに参加したかったことをミウラに語る。どうやら初代的には大魔法でバッタバッタと薙ぎ払う無双展開を期待していたらしい。自分の魔法について目を輝かせて説明している。

 

「やっぱり、この初代夜天の王の代名詞とも言える、『デアボリック・エミッション』は外せないんだよ!! 相手の特殊防御をものともしない大出力の空間攻撃魔法!! 空間魔力連鎖で攻撃範囲を広げたり、魔力粒子加速理論を応用した展開速度。しかも超エキサイティングでさぁ––––」

 

「そそ、そうですねー(....どうしよう。なに言ってるのかまったくわかんない......)」

 

 専門用語だらけの初代の言葉に引きつった笑みを浮かべながら適当に相槌を打つ。魔法の知識に関しては他の追随を許さないだけあって、知識の疎いミウラを無自覚で大混乱に陥れている。

 すると、突如二人の会話を遮るかのように、テレビのスピーカーから耳をつんざく大歓声が上がった。

 あまりの急な大音量に何事かと、会話を中断して二人はテレビの画面に目をやる。

 尋常ではない盛り上がりを見せる会場。画面に映るリングを囲うように観客席がずらりと並ぶドーム型の魔法戦技場は、今にも熱気が飛んできそうなほどに白熱した空気に包まれていた。

 

『さあ!およそ一ヶ月間にもわたって開催されたDASSも今日で最終日!! 数々のドラマを生み出した世界代表戦。その荒波を退け、世界王者となる資格を持った二人が! 今!! ここで!!! 最後の闘いを繰り広げます!!!!』

 

 スポーツ実況で名が売れている実況者の暑苦しい叫び....もとい、実況で会場のボルテージは最高潮。

 爆音で空間攻撃されていると言っても過言ではないリングに、観客を選手の魔法から守る透明な魔力フィールドが生成された。

 外部からの音声をほぼ完全に遮断したリング。その両端にある選手入場用の扉が、ほぼ同時に解き放たれる。

 右側の入り口、赤コーナーからは、一目見ただけで『ベルカ』を彷彿とさせる重厚な甲冑を纏い、明らかに体格に合っていない巨大な大剣を担いだ女性が入場する。猛獣のごとく鋭く、獲物を射殺すような眼光に、会場はまるで、今まで何もなかったかのように、一瞬で静まり返った。

 

「....ゆゆゆユーリさん。ここっ、この人なんだか怖いですよぉ......」

 

「ど、同意見だよみーさん。女性でここまで鋭い目つきってのも珍しいよ。シグナムだってもっと優しそうだ....」

 

 初代とミウラが入場してきた選手の覇気に震えている間に、赤コーナーの選手紹介が終わり、左側の入り口からもう一人の少女が颯爽と入場した。会場を包む覇気、殺気などをまるで無視し、何事も無かったかのように。

 真っ先に目に入ったのはどこまでも黒い、深い闇の色をした髪のツインテール。同色のバリアジャケットは所々にベルカの独特な意匠が凝らされ、観客たちの目を引く。いや、目を引くべきは、ベルカ独特な意匠ではない––その"装甲の薄さ"だ。

 大胆に太ももまで見えるミニスカート、頼りなさそうな薄さのノースリーブのロングコート。おまけに腹部を素のまま堂々とさらけ出し、構造の関係か、女性なら着用すべき上半身の下着を着ていない。

 少女はリング中央まで歩き、規定の位置で静止した。静かな闘志を燃やすサファイアの瞳は、じっと対戦相手を見つめている。

 

 その堂々たる姿にミウラはテレビ越しながらも、一人の少女の『黒』に引き込まれる。

 自分の感じるこの感覚を、友人とともに共有したい。ふいにそう思い、横を振り向く。

 

「ユーリさん! こ、この人なんか、すっごく! .......ユーリさ....ん?」

 

 違う。ミウラは直感で感じた。

 初代が少女を見る目は、自分と同じものではない。『驚愕』––––一言で表される表情が、今の"初代夜天の王"からは出ていた。

 初代夜天の王は驚愕した。テレビに映し出されれいる少女。それはあまりにも、かつての戦友に似ていた。

 そして初代は....

 

「––––––エレミア....?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

––––––TS転生!? エレミアがTS転生だとぉっ!? しかも下乳スタイルとは....どういうことだエレミアッ!! まるで意味がわからんぞ! 」

 

 とんでもない勘違いをやらかしていく。

 

 

 

 




 ちなみに本当に初代夜天の王が知る『エレミア』が転生したわけじゃないです。ちゃんと例の女の子です。

 意見、感想など、今更ながらもらえると嬉しいでふ。

次回→おまけ回とか作ってみようかしら


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アカとクロとおっかさん

Q:おそすぎない?

A:そんなことはある。 ごめんちゃい。


Vividアニメ化おめでとう! これでやる気が満ち溢れてくるハズだよ!


あ、お気に入り登録2000件突破しました。 こんなクソ更新速度の作品見ていただいてありがとデース。

連載開始から一年過ぎてるという真実。


その36

 

 週末の休日の八神家は賑やかである。八神はやてをはじめとする守護騎士四人とユニゾンデバイスに加え、最近は十年前に消滅したはずの管制融合機リインフォース・アインスが、さらには(自称)八百年前に死亡したはずの夜天の魔導書の主––初代夜天の王の二人が加わり、八神家はいっそう忙しく、そして笑顔溢れる家庭となった。

 そんな明るく愉快な八神家の休日だが、本日はアインスとはやての二人しかいない。近頃は管理外世界への派遣が多く、実力のある守護騎士は引っ張りだこになってしまい、家を開けることがしばしばある。

 はやてとアインスは魔導師ランクや立場上の問題としてこの手の派遣任務に着くことは滅多にないため、ちょくちょく暇が出来るのだ。

 

「んーあー....ほんま眠いわぁ。久々に積みゲーをやっとったらまさか朝とは....ふぁぁ〜....」

 

「我が主! 女性であるあなたが下着姿で歩き回るものではありません! どうか衣服を!」

 

「シャツ着とるし別にええやろぉ....。どーせ騎士のみんなはお仕事、リインは近所の子と遊びに行ってて、初代はアインハルトと一緒にミウラの家やで? たまにはのーんびりするのもええやないか」

 

 暇があると言え、さらなる昇格を目指しているはやてに休みは少ない。自ら進んで大きな仕事をこなし、偉い方々にアピールするのはもはや基本中の基本。上級キャリアも楽ではない。

 気の張った職場から離れ、はやてが自宅でリラックスするのにはアインスとしても大変喜ばしいことなのだが、二十歳を越えた女性が自宅とはいえ下着姿で生活するとはいかがなものかと思う所存だ。

 

 朝っぱらからダルダルなはやてになんとか着替えてもらおうと、アインスが説得をしている真っ最中、玄関のチャイムがリビングに鳴り響く。

 

「....我が主、お話はまだ終わっていませんので、そのつもりで。出来れば何か羽織っていてください」

 

「あーん、いけずぅ〜」

 

 口を尖らせブーブーと文句を垂れ流すはやての将来を考えて若干心配になりながらも、ここ訪ねて来た客人を迎えるためにやや急ぎ足で玄関に駆ける。

 

「はい、どちらさまで......しょう、か」

 

 アインスが玄関まで辿り着いたときには、既に客人と思わしき人物は家の中に入っていた。

 背丈ははやてと同じくらいで、スラリと長い足を際立てるデニムを履き、明るい雰囲気を印象付ける赤いTシャツには黄色い文字で『NEEEET!』と印刷されているのが目に入る。 ショートカットに切り揃えられた濃い栗色の髪に白いハンチングをかぶり、右手には大きなエナメルバッグを担いでいた。

 

 アインスは目の前の客人––少女のことを知っている。 いや、忘れるはずがない。 かつて初代夜天の王と共に戦場を翔け、永き眠りから醒めたとき一度は自分達と敵対したこともあった。

 

 

 

 

「こんにちわんっ」

 

 

 

 

 ––––––『星光の殲滅者』シュテル・ザ・デストラクター。 夜天の魔導書のブーストシステム兼フルドライブシステムの一部『紫天の書プログラム』の管制人格の一人。 『アカ』の愛称を授かり、初代夜天の王を守護した戦友がそこにいた。

 

 

 

 

 

 

 

 

「––––んっ? なんだろこの懐かしい感じ....まるで実家のような安心感」

 

「有 情 破 顔 拳」

 

「次、アインハルトさんの番ですよ。 早くサイコロ振ってください」

 

 何かの気配を感じ取った初代。 アインハルトはそれに素早くセリフを加えるも、誤魔化すなと言わんばかりにミウラにゲームの順番で急かされる。

 今日はミウラの家で同級生チーム三人が仲良くマリオパーティ(ミッドチルダ語吹き替え版)をプレイしている。 はやて秘蔵のマリーさん改造ゲームシリーズの一つである。

 アインハルトの操るキャラクターはルイージ。 そしてルイージが進まなくてはならないマスの先には甲羅の形をした建物が建っている。 通称『ノコノコバンク』、このマスを通ったキャラクターは強制的にコインを五枚徴収されるルールとなっており、アインハルトの二十枚のコインはここを通ると十五枚になってしまう。 ゲーム勝負の勝敗を決める『スター』というアイテムはコイン二十枚で入手可能なので、足りない計算だ。

 

「この亀畜生は私の大事なコインを奪って、スターを取れなくするんですよ? 亀〇の分際で、生意気言ってんじゃありませんよって。 なにがノコノコバンクですか、この〇頭バンク風情が」

 

「亀〇バンク?」

 

「みーさんそれ以上はいけないっ!? みーさんにはまだ早すぎるっ」

 

 ちっ、と舌打ちをしてノコノコと呼ばれる二足歩行の亀をこれでもかと罵るアインハルトの一部の言葉に反応し、首を傾げるミウラ。 だが言葉が言葉なので初代は必死になって話題を逸らそうと努力する。 同級生チームで唯一変な色に染まっていない貴重な癒し要素を失うわけにはいかないのだ。

 相変わらず二人揃うとやかましくなる同級生チーム。 それを思い出の一つとして記録する係りに任命された夜天の書はアインハルトの膝の上に鎮座しながら、クラナガン全域にスキャンをかけていた。 理由は明白で、初代が感じた"なつかしい"気配の詳細を確認するためだ。

 

〈Magischer Reaktionsscheck .... Es ist Entscheidung.(魔力反応確認....確定ですね)〉

 

「こうなればミニゲームで....うわっ、叩いてケツドラムじゃないですか。 暗記ものは少々苦手......? どうしました?」

 

〈Der Freund eines Meister's -- ein kleines(マイスターのご友人について少々)〉

 

「......ユーリさんって、僕たち以外に友達っていましたっけ?」

 

「待ってみーさんその発言は私の心を『殲撃(ガイスト・ナーゲル)』するんだけど」

 

 ミウラの的確で真っ黒な発言に、初代はエレミアの奥義で心抉られた気がしてならない。

 

「そういえば私たち以外の方と遊んでいるところは見たことありませんね....百歩譲って異世界人であるのを考慮しても、その世界での友人について語ってもらったことが......ぼっちっち?」

 

「ユーリさん、妖怪のせいにしちゃダメですよ?」

 

 大親友二名の連撃に世界最高峰の防御能力を誇る初代のハートがフルボッコにされる。 夜天の書が完成してすぐに旅に出て戦争に巻き込まれた初代に同年代の友人などほぼいないに等しい。

 唯一の同年代はユーリ・エーベルヴァインくらいのものだ。 本家の方の顔を思い浮かべ、初代は久々に会いたいなぁと思ったりする。

 

「し、失礼極まりないね君たちっ!! この初代夜天の王、友人の一人や二人ちゃんといたんだからねっ!!」

 

「同年代の方はどれほど」

 

「......数より質だよ、ニャインハルト」

 

「やっぱりぼっちじゃないですか(呆れ)」

 

「でもアインハルトさんも....」

 

「いえいえ、それを言うならミウラさんも....」

 

 

「「「..........」」」

 

 

 なんだか悲しい空気に包まれた。 トリプルぼっちの爆誕である。

 

「そ、それよりっ!! 僕、ユーリさんのお友達について聞いてみたいですっ!! ねっ、アインハルトさんっ!?」

 

「そそそそうですね。 ユーリさんのおっともだちを知ーりーたーいーなー!!」

 

 割と悲しい現実から目を逸らそうと、二人は強引に初代の友人についての話しに持っていこうと必死に初代に頼んでみる。 アインハルトに至ってはどこで学んだのかは不明だが、腕を組んで胸を押し付けるという高度な技能を披露している。 だが、たかだか十歳のペッタンコではなんの意味もない。

 しかし、これだけ懇願されれば語らないわけにはいかない初代。 誰から語ろうか少し迷う。 『破壊神エレミア』、『予知騎士グラシア』、『癒天使イア』、『閃光のシュテュアス』、どれも現実味の無い夢のような力の持ち主で話したところで信用するか非常に怪しい。

 そこで初代に電流走る。 そうだ、ユーリ(本家)がいるじゃないか、と。

 

「ふふふっ....そこまで言うなら紹介しようじゃぁないか。 我が友、ユーリ・エーベルヴァインをっ!!」

 

 堂々と言い放った名はユーリ・エーベルヴァイン。 その名を聞いて二人は一瞬、目の前にいるユーリ(分家)のことかと考えたが、「ただの同名じゃよ」と初代が答えたのでそういうことかと納得する。

 

「ユーリ・エーベルヴァイン....なんだかいいとこのお嬢様ってかんじの名前ですねぇ。 憧れちゃいますっ」

 

「うん、まぁ、実際に私の世界では名門エーベルヴァイン家なんて呼ばれてたしそれなりのお嬢様だよ」

 

「そんな名家のお嬢様とお友達なユーリさんの素性について私は気になりますけどね....?」

 

 アインハルトの向ける何とも言えない視線からさっと顔を逸らす初代。 初代にとって自分の素性なんてそれこそ夢どころか神話に新たな一ページを刻んでもおかしくない代物だ。 一国の軍隊の総火力に並ぶほどの魔導騎士など誰が信じようか? 加えて数百年の時を越えて転生しましたなんて作り話もいいところだ。

 だが、いつまでも秘密にしておくわけにもいかない。 いつかタイミングが来れば話さなければならないのは初代も重々承知している。 今はまだその時ではないだけだ。

 アインハルトの鼻先五センチまで顔を近づけ「ひーみーつー」と言って笑って誤魔化す。

 急なことに少し驚いたアインハルトだったが、直様自分の額を初代にコツンとぶつけ、さらに近い距離で笑う。

 

「いつか....話してもらいますよ? たとえ他の人には秘密でも––––私だけには」

 

 第三者視点のミウラは耳まで真っ赤にして両手で目を隠しながらも指の隙間からチラ見。

 

 第三者がこの反応、すなわち当の本人は––––

 

「..........ちょっと、反則じゃぁないかと....初代さんは思うんですが」

 

 熟れたトマトより真っ赤っかである。

 夜天の王と言えど人の子で年頃な男の子には変わりない。 可愛い女の子にはときめき、綺麗な女性には惹かれる。 攻めるのはいいけど攻められるのは苦手––ある意味、アインハルトは天敵の中の天敵。 おまけにいくら初代が金髪フェチでも碧銀フェチになってしまうほど可愛いと綺麗を両立してるからたちが悪い。

 ふと、初代は胸の内に湧き上がる熱い想いに気付く。 ヴィヴィオと初めて会ったときと似た想い。

 

(もしかして、この気持ち––––)

 

「––ねぇねぇ今どんな気持ちwww? 美少女におでこコツンされてどんな気持ちwww? ときめきました?ときめき––あ、やめてユーリさんエビ固めはらめぇぇぇぇっ!?」

 

「ちょーーーーっとでもドキっとした私がおバカさんだったよニャインハルト。 やっぱニャインハルトはニャインハルトだ」

 

 アインハルトをベッドへ投げ、はやて直伝のエビ固めをかましてお仕置きをする初代を見て、ミウラは一人ぽつりと呟く。

 

 

 

 

「また話し逸れてる......」

 

 初代とニャインハルトだからしかたない。

 

 

 

 

 

「ハーヤーテーのくっち癖〜、うーがい手洗いニンニク––––」

 

「いや、手洗いは初代によく言うてるけどニンニク卵黄はないわ。 サプリメントに頼り出したら終わりってのが八神家の家訓やし」

 

「......主、先日ヴィータがそれらしきものを口にしていた気が....」

 

「アインス。 それサプリメントちゃう、ミンティアや」

 

 八神家に突如訪問して来たシュテルに驚きを隠せなかったはやてとアインスだったが直ぐに歓迎ムードへと移行し、現在はリビングで紅茶とクッキーを食べながら談笑していた。

 彼女の訪問目的はただ一つ、初代夜天の王の生存確認。 本当はみんなで来たかったらしいが、いきなり大勢で押し掛けるのは失礼だという家長ディアーチェのお言葉があり、代表してシュテルが来たとのこと。

 

「貴女が今ココにいるということは、ほぼ初代の生存を裏付けているようなものです。 まさか禁忌兵器の直撃を受けてから一度死んで生き返るとは......あの方は本当人間なのでしょうか?」

 

「一応そのはずだ。 初代が生き返った経緯は私も闇の欠片の最深部にいたからよく分らない....どうやら突然高町なのはの家に現れて、ヴィヴィオとスマブラなるもので遊んでいたらしい」

 

「......はて、なぜ数百年前に死んだ初代がスマブラを遊べるのでしょうか? 聡い方でしたが、反応型兵器の可能性がある全く未知の機械などに手を出すことは無かったはずです。 そんなことすればエレミアが殴り飛ばしそうですし」

 

「そういえば、こちらの言語を一切知らないはずなのに様々な物の名称を知っておられたな......まさか、別世界で生存し続けて....?」

 

 真剣な顔付きで初代のことを語り合う二人を見て、はやては取り残されたような雰囲気になってくる。 どうやらスマブラで遊んでいたことが初代の謎を解く鍵になるらしいが、ぶっちゃけ、旧夜天一家を詳しく知らないはやてにとって『昔』がどうだったかより、『今』初代をどうすべきかを考えた方がいいと思っている。

 二人の話を聞く限り、初代の最期はあまりにも悲劇的なものだったらしい。 騎士達に別れの挨拶一つ出来ずに禁忌兵器の毒に身体を蝕まれて死ぬなど想像もしたくない。

 

 彼にとって本当の幸せ––––旧夜天一家の皆とずっと一緒に暮らすこと。 叶えられなかった家族との生活、誰もが望むであろう当たり前の願い。

 

 彼は今、本当に幸せなのか。 『八神はやて』という存在は、もしかしたら彼の中で––––

 

 

「––––『いらないと思っているかも』。 なんて考えるならば、今直ぐその考えを改めてもらいますよ、ハヤテ」

 

 シュテルの言葉にビクッと肩が揺れる。 いつの間に話しを中断していたのだろうか、シュテルとアインスは視線を真っ直ぐはやてにむけていた。

 シュテルは大きくため息をつき、しょうがない人だと言わんばかりに続ける。

 

「我らが創主、初代夜天の王はまだ幼い。 数万の騎士を指揮しても、地図を書き換えるほどの魔法が使えても、言動が子供らしくなくても......彼はまだ、ひどく脆い心の持ち主です。 自らの作り出した戦場を見て発狂し、廃人一歩手前になるほどには人間らしさもあります。 ハヤテ、守護騎士達が彼のこと覚えてないのは知っていますか?」

 

「....うん。 なんか、『ぬわぁんですとぉっ!?』って感じで驚いとった」

 

「......あの方らしい。 かつて家族として接してきた人物がいつの間にか赤の他人になる....これほど辛いものは無いでしょう、自分だけ覚えていれば尚更。 まぁ、孤独というわけではなさそうですね、アインスがいるので。 それに、いいご友人が出来たとの話しを伺いました」

 

「アインハルトにミウラ、ヴィヴィオにコロナやな。 みんな初代と仲良くしてくれとる、優しくてええ子ばっかや」

 

 思い浮かべた初代の友人達の顔に思わず笑みがこぼれる。 引っ張る子、引っ張られる子、みんなまるで青春小説の登場人物達のように仲睦まじく、トラブル無く日々を過ごしている。

 ハヤテの頭の中に浮かんだのは友人達の顔だけではない。 初代も初代で可愛いところがある。 早めに帰宅して夕飯の支度をしているとき、後ろからひょっこり現れて背中に飛びついて『今日ごはんなんですかっ?』と聞いてくるのなんて、まるで母親と子供の––––

 

(––––あっ)

 

「ハヤテは察しがよくて助かります。 彼には両親がいません、ある意味愛に飢えてるんですよ。 守護騎士を統べる騎士王は常に皆を見守る立場でなければならない、臣下に甘える王など当時ではいい笑いものです。ですから、初代にとってハヤテは初めての『母親』と言っても過言ではないでしょう....ね、アインス?」

 

「..........主と従者の関係がある限り、私は初代の母親にはなれません。 私の愛情は『騎士の優しさ』程度にしか捉えてもらえないでしょう。 ......我が主、初代が身も心も強く成長されるのには貴女の『愛情』が不可欠です。 どうか、初代のお側にいてあげてください」

 

 そう言うとアインスは大きく丁寧に頭を下げる。 さらに「私からも」とアインスに続いてシュテルも頭を下げたため、さすがにはやても慌てふためく。

 

「ちょっ、二人ともそんなに頭下げんといて!! ....正直、守護騎士のみんなの『おかん』はやってきたつもりやけど、『お母さん』は意識したことなかった。 私自身、物心ついたときにはお母さんはおらんだから、お母さんがどうやって子供に接するのとかはよぉ分らへん」

 

「ハヤテ....」

 

「でも、うん、そーやなぁ。 どーせしばらく結婚して子持ちになる予定なんかないんやから、いっちょ全力でやってみるのもええかも。 ノウハウはなのはちゃんとフェイトちゃん、あと....師匠にでも聞こか!!」

 

 その人は父親では、とツッコミを入れたい思いもあったアインスだが、それ以上に嬉しくて、どこか寂しくて、「ありがとうございます」と小さく言うことしか出来なかった。

 その表情に確かな笑みを浮かべて。

 

「さぁ〜って、そうと決まれば今晩は家庭の味の代表、カレーライスの出番や!! 気合い入れて作るで〜!!」

 

「ハヤテ、私も微力ながらお手伝いさせていただきます。 ここにあるディアーチェ特性のレシピも参考にするとよろしいかと」

 

「我が主、初代のは甘口でお願いします」

 

 

 今夜の晩御飯は、八神家特性カレーライス〜母の味〜に決定した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「で、結局ユーリ・エーベルヴァインさんはどんな方なんですか?」

 

「そだねぇ....金髪ふわゆるウェーブに私と同じくらいの背丈、比較的おっとりした性格で––––星の生命活動に影響を及ぼす力を持ってる人?」

 

「......それ本当に人間なんですか?」




なんか書きたいこと書いてると文字数が増えるようになってきた(ようやく)。

てか、アインスとシュテルとアインハルトの口調似すぎィ!!

意見、感想、どんどん送ってくださいな

次回→召喚師の方の後かも


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覇王の悲願 前編

初投稿です(白目)


「突然ですが私、列強の王達をしばく使命に目覚めました」

 

「こいつはいきなりなに言ってんだ」

 

「やろうと思って簡単にできることじゃないですよ?」

 

 アインハルトのいつもの唐突なビックリ発言を初代とミウラはポッキーをかじりながら聞く。この辺、冷静に返せるようになってきてるあたりミウラも中々染まっている。

 

「こう、なんといいますか・・・・・・覇王だかクラウスだかの記憶がなんちゃらほいという感じでビビッと脳にきちゃいまして、今朝からすっごく覇王流の強さを証明したくなったんです」

 

 迷惑な話である。

 

「それを私達に言われてもなぁ。クラウスさんの時代はちょっと専門外だし・・・・・・みーさん、なんかわかる?」

 

「えっと、覇王クラウス・イングヴァルトがいたの時代の王でしたら、やっぱり聖王女オリヴィエ・ゲーゼブレヒトとかが有名じゃないでしょうか」

 

 その時代には既に存在しなかった初代が尋ねると、ミウラの口から聞き覚えがある名前が返ってきた。

 聖王女オリヴィエ・ゲーゼブレヒト。かの有名な『ゆりかごの聖王女』にして初代らの友人である高町ヴィヴィオの複製母体となった女性だ。その実力は国を越え、大陸全土に勇名を馳せていた。まさしく列強の王と呼ぶにふさわしい一人と言えるだろう。

 

「オリヴィエ――――はうわっ!!」

 

 オリヴィエの名を耳にした瞬間、アインハルトは突然立ち上がり、拳を力一杯握りしめながら、わなわなと震えだした。

 おかしいのはいつも通りだが、あきらかに普通とは違う異様さを見て、心配した二人は側に駆け寄る。ついでに夜天の書も出てくる。

 

「ア、 アインハルトさん!どうしました!?」

 

「ニャインハルト、大丈夫?なんならシャマル呼ぶけど・・・・・・」

 

〈Sランク級の治癒魔法も備えています〉

 

 ミウラは小さな手で優しく拳を包み、初代は騎士の強制招集、夜天の書は大規模治癒魔法の展開準備を行う。

 そんな二人には目もくれず、アインハルトは目を見開き、

 

「きききっ、きました!ピーンときちゃいました!オリヴィエです!オリヴィエこそ私の倒すべき存在!すなわちそれはヴィヴィオさんを倒すこと!」

 

 力強い声と覚悟。その裏打ちをするように、全身から美しい碧銀の魔力が溢れ出る。

 アインハルトの明らかな戦闘態勢に初めて出会った時以来の危機感を覚えた初代は、夜天の書から拘束系魔法の項目を引っ張り出し、ひとまず動きを止めようとするが、

 

「こんにちはーっ!」

 

「ヴィヴィオ、玄関から入らないとダメだよ・・・・・・」

 

 リビングと庭をつなぐ大窓が開け放たれ、ヴィヴィオとコロナが現れる。二人揃って健康的に焼けた小麦色の肌がまぶしい。

 アインハルトは一瞬でヴィヴィオの前に移動する。速度に追いつけず、拘束魔法が空を切る。あんまり使われたことのない古武術の歩方が遺憾なく発揮されてしまった。

 

「ヴィヴィオさんッ!」

 

「はい!」

 

 アインハルトの魂が籠もった声に、ヴィヴィオは元気よく返事をし、

 

「決闘を申し込みます!」

 

「はい?」

 

 首を傾げる。

 

 

 

「――――くっ」

 

 奥歯をかみしめながら、アインハルトは一歩後ろへ下がる。

その直後、目の前を炎熱付与打撃が通過する。凄まじい変換効率によるものか、炎の色は赤を通り越して黒が混じっていた。掠っただけでも小さくないダメージが及ぶのが直感でわかる。

 

「まだまだいっきますよぉ!」

 

 攻撃を放った本人であるヴィヴィオは続けて攻めに入る。右手に炎を燻らせ、力強い踏み込みとともに一気に距離を詰める。そのまま首めがけて炎の魔手が迫るが、

 

「あッ、まいッ!」

 

 間一髪のところで障壁を展開し、難を逃れる。

 攻撃を弾かれ、バランスを崩したヴィヴィオにアインハルトの蹴りが決まり、後方へ吹っ飛ばされる。すぐさま体勢を立て直すも、既に自らの間合いまで到達したアインハルトの猛烈な連激が繰り出される。蹴りを主体としたその攻撃はひたすらに『速さ』が追求され、ヴィヴィオに防御の隙を与えない。

 

「んっ、むむぅっ」

 

 蓄積していくダメージに危機感を覚え、ヴィヴィオは大きく後ろに飛び、距離を置く。更なる被害を防ぐため、本来ならば正しいと評価されるであろうこの行動。

 だが、この時ばかりは悪手だった。

 

「――――それは甘えです」

 

 アインハルトの動きは早かった。ヴィヴィオが距離をとった瞬間、嵐のような光弾射撃を放ち始める。一撃は確かに小さく、ダメージは微々たるものだ。しかし、それを補う圧倒的な速射性がアインハルトの光弾射撃にはあった。

 しのぎの削り合いような攻防戦が始まって五分。互いにダメージの蓄積は小さくなく、集中力も切れ始め、正常な判断をし辛い状況になっていた。

  だからこそ、

 

「なっ・・・・・・!くっ!」

 

――ヴィヴィオが駆け出す。

 

「・・・・・・・・・・・・!」

 

 彼女は、

 

――アインハルトも続く。

 

「はぁあああッ!」

 

 選択を、

 

――ヴィヴィオは炎を纏い、右手を突き出す。

 

「――――!」

 

 間違えた。

 

 ――アインハルトはCスティックを上に弾く。

 

 

ノァァァァァァァァァァァァアアアアアアアア

 

 

「あ、あああああああああああっ!」

 

 ヴィヴィオ――――の、操作キャラクターのキャプテン・ファルコンが画面の遙か彼方に吹き飛び、決着がついた。

 

「どうですか私のフォックスの上スマ・・・・・・命を刈り取る形をしているでしょう?」

 

「きれいに決まりましたねぇ」

「芸術的だったな」

 

「えぇ・・・・・・何この展開」

 

 ドヤンハルトと化したアインハルトの上スマとそれに感心するミウラと初代。それらの展開がコロナにはイマイチ納得いかなかった。

 

 

 

 

「やりましたよクラウス・・・・・・私はあなたの悲願であったオリヴィエに打ち勝つことができました」

 

 アインハルトの表情はゲームをしていた時のギラギラとしたものから穏やかな淑女のように優しいものになっていた。どうやら満足したらしい。覇王クラウス・イングヴァルトの悲願ここに完結。

 

「それでいいのか覇王様・・・・・・」

 

「さ、三百年近くも引きずってた記憶がゲームのタイマンで解決しちゃうんだ・・・・・・」

 

 それなりに事情を知っていた初代とミウラはあまりにもあっさりとした解決に本当にそれでいいのかと疑問や困惑といった感情が入り交じるが、本人がいいならいいかと割り切る。もうアインハルト検定一級をとれるくらいには扱いに慣れている。

 

「だがしかし、まだちょっと問題があります」

 

「まだ何かあるの?」

 

「ええ、せっかく聖王女を倒したのですから・・・・・・もう一人くらいいけるかなぁと」

 

「アインハルトさんが調子に乗ってる・・・・・・!」

 

 列強の王の中でも最強クラスのオリヴィエを倒した。ならもう一人くらいいけるんじゃね?と、アインハルトは言いたいようだ。この慢心にはミウラもつい口を滑らせてしまう。

「というわけで、誰か王を紹介してくださいヴィヴィオさん」

 

 無茶ぶりである。

 

「おうさま?それならコロナの方がくわしいですよー」

 

「えっ、私!?」

 

 急な振りにコロナは自分を指さして目をぱちぱちと開く。

 

「さぁ、コロナさん。聖王女を倒した私に相応しいとっておきの王を紹介してください!」

 

 アインハルトは目をキラキラと輝かせ、期待に胸を膨らませてますと言わんばかりのオーラを放出する。とっても断りにくい雰囲気にである。

仕方ない、とコロナは腹をくくって脳の引き出しからすごそうな王を探してみる。雷帝、英雄王、征服王、騎士王、様々な名前が出てくるが、アインハルトの求めるようなインパクトにはそぐわないとし、頭の隅へ追いやる。

たっぷり三十秒ほど頭を悩ませると、ふと、一人の王の名前が浮かぶ。

 

「・・・・・・冥府の炎王イクスヴェリア」

 

ぽつりと呟かれたその単語に、

 

「イクスヴェリア・・・・・・ふふふふふ、あの悪逆非道悪鬼羅刹と有名な冥王ですか。おもしろい、燃えてきました!」

 

 握りしめた拳に碧銀の魔力を込め、アインハルトは不適に笑う。そして高らかに宣言する。

 

「相手は決まりました!冥王を倒すことで私は完全な勝利を手にしますッ!」

 

 全身から魔力を放出し、スカートが捲れてライトグリーンのパンツが見えているのも気にせず、アインハルトのやる気は有頂天に達する。

 そんなやる気満々なアインハルトを見て初代は一言、

 

 

「でもさ、どうやって見つけるの?」

 

 チーム初等科ズのイクスヴェリア探検隊が発足するまでに時間はかからなかった。

 

 

 




最終更新履歴を見て震えたかぴばらです。
実に三年ぶりの更新になりますね。なお文は上手くなっていないもよう。
昔のようなその場のテンションはなく、時間が立ってストーリーを忘れかけてるような残念な状況ですが、ぼちぼち更新していきたいです。改めて読んだらかなり恥ずかしい。
夜天はなんとか完結に持って行けそうな気はしますがもう一つはちょっと実力以上に風呂敷を広げてる感がすごいですはい。対処は可及的速やかに考えます。

行き当たりばったりすぎる小説ですがもうちょっと続くんじゃよ。



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覇王の悲願 中編

まさかの三分割になってしまった


冥府の炎王イクスヴェリア。

 その存在は初代夜天の王が生きていた古代ベルカ初期の時代より以前から確認されている。

 暴虐の限りを尽くした悪逆非道の王といわれ、その存在は当時の人間だけでなく、後世の人間からも恐れられている。

 ではなぜ、後世の人間が過去の人物の存在を憂慮しているのか。答えは実に単純だ。

 

 冥王イクスヴェリアは千年間の歴史のあらゆる時代に現れ、かつ、一つとしてその死を確認できる資料が発見されていないのである。

 

 

 

「――――と、イクスヴェリアに関する資料といったらこのくらいです」

 

 ホロウィンドウにいくつかの電子媒体の資料を表示し、コロナはくるりと振り返る。

 

「そ、そそっ、それってつまり、不老不死っ!?」

 

 ぷるぷる震えるミウラさん可愛いなぁ、とコロナは思った。

 

「つまり私がその資料を作る一端を担うことになるわけですね」

 

 そのぶんぶん素振りしてるバッドはどこから持ってきたんだろう、というか凶器持ち出す気満々なんだ、とコロナは思った。

 

「クラウスもオリヴィエとの闘いに大剣持ち出してましたし多少はね?」

 

 心を読まないでください、とも思った。

 

「ねぇねぇ、ゆーりくん。イクスヴェリアさんって強いのかな?」

 

「どうだろう・・・・・・、戦闘能力の高さが生存力に直結する面はあるけど、私みたいに周りを強力な味方で固めて真価を発揮するタイプの強さだったら本人はそこまで強くないかもね。あ、でも聖王が血眼で探してたくらいだし弱いはずは・・・・・・」

 

 相変わらず意味深な発言してくれるなぁ今度ユーノさんと一緒に問い詰めてやろう、とコロナは思った。

 

「しかし困りましたね・・・・・・、ユーリさんの言うとおり、倒すのはいいですが、肝心の本人の居場所を探さなければ意味がありません」

 

 アインハルトはバットを肩に担ぎ、顎に手をあてる。いくらやる気満々でも、相手がいなければ、ただの一人プロレスである。

 

《私にお任せください》

 

 各々がごろごろしたり、ジュースを飲みながら悩んでいたところ、打開の兆しを見せたのは、なんと夜天の書だった。ぶとうジュースを飲み干し、げっぷのような電子音をさせた後、パラパラとページをめくり、データ検索・探索魔法の魔法を発動させる。

 全員の注目が集まる中、一分ほどたったところで夜天の書は淡々と検索結果を述べる。

 

《検索・簡易探索完了。対象の魔力・生命反応を第34管理世界アルへイムに確認》

 

 まさかの探知成功に小さな歓声が上がる。

 

「さすやて」

 

「あんな少ない情報から見つけちゃったんですか!?」

 

「・・・・・・す、すごい」

 

 アインハルト、ミウラ、コロナはやや興奮気味に夜天の書を褒める。それに対して夜天の書もくるくる回りながら照れている。

 

「私の知らないうちに夜天の書がどんどん高性能になっていくんだけど」

 

《高性能なのは否定しませんマイスター。ですが、私はコロナ様が表示した以外にも冥王イクスヴェリアに関する情報を持っていました。それをもってすれば発見は比較的容易でした》

 

「夜天の書さんはどんなことしってたの?」

 

 興味津々な様子で問うヴィヴィオに、夜天の書は、とっておきだと言わんばかりの電子音で答える。

 

《――――アッシュオレンジの髪をした合法ロリだということです》

 

 ミウラとコロナは、えぇ、と困惑の声を漏らす。

 

「なるほど、合法ロリなら探知できてもおかしくありませんね」

 

「確かに合法ロリならいけるな」

 

「ごうほうろり・・・・・・?」

 

 そしてアインハルトと初代は何故か納得する。ある意味、格が違う二人である。

 

《今からでも探しに行けますが、いかがなさいますか?》

 

「行きましょう。ヴィヴィオさんのお母様の故郷には『善は急げ』という言葉があるそうですし、今がそのときです」

 

 バリアジャケットを展開し、ただのバットを釘バットへと変貌させ、アインハルトは息巻く。

 ユーリも同調するように甲胄をまとい、シルバリオクロイツで素振りを始めるが、

 

 

「その話、少しお待ちになってください」

 

 

 深く、落ち着きのある声。一同が振り向くと、そこには、ミッド語で『こしあん』と書かれたシャツを着た女性が立っていた。サファイアの瞳がダークブラウンの髪によく映え、どこか高町なのはに似た風貌をしている。

 

「アカ、おはよう。もうお昼すぎちゃってるよ」

 

「すみません初代。昨日、遅くまでレベリングの作業が終らず、寝坊してしまいました」

 

 アカこと、シュテル・ザ・デストラクターはぺこりと頭を下げ、ユーリに謝罪する。

 

「ユーリさん、その方は・・・・・・?」

 

 初等科メンバーの中で最も初代や八神家との付き合いが長いにも関わらず、自身が今まで一度も見たことのない人物の登場に、ミウラは少し緊張気味に尋ねる。

 初代が何か言おうとする前に、シュテルは、シャツの裾をつまみ、丁寧に頭を下げる。

 

「皆様、初めまして。私は初代夜天の王に仕え、夜天の魔道書のフルドライブモードたる紫天の書プログラムで射砲撃・誘導操作の補助を担い、管制人格の一柱を勤めさせていただいています。初代から授かった名はアカ、ディアーチェから授かった名はシュテル・ザ・デストラクタ―です。どちらでも好きな方でお呼びください」

 

 懇切丁寧な自己紹介と一礼に、ユーリを除いた初等科メンバーも非礼のないよう一礼を返す。

 

「それで、さっきのちょっと待ったって、何?」

 

 ユーリが先ほどのシュテルの言葉の意味について聞くと、シュテルは夜天の書からジュースを受け取り、一口飲んでから、

 

「私は、アインスから、初代が変なことをして危険な目にあわないように見ていてくれとの任務を承っています。冥王を探し出すなんて明らかに危険なフラグがビンビン立っている冒険にあなたを易々と行かせるわけにはいけません」

 

「むぅっ、それはこの初代夜天の王が力不足だって言いたいの?自慢じゃないけど魔法においては誰にも遅れをとるつもりはないよ」

 

「SSランクの魔道師を力不足とは言いません・・・・・・ですが、あなたの全力は融合騎と我ら紫天の書プログラムがあってこそです。融合騎であるアインスがいない今、防御面・・・・・・特に毒に関して大きく不安が残ります」

 

「同じ手段で二度も殺されるほど私は魔法に関してまぬけじゃないさ」

 

「どのみちまだ魔力も完全に戻っていない状態では許可できません」

 

 二人の周囲に薄らと黒く輝く魔力と燃え盛る炎のように真っ赤な魔力が漂いだす。互いに主張を譲ることはなく、歴戦の騎士とその従者の魔力がぶつかり合う。

 いつものおちゃらけた初代とは違う尋常ではない雰囲気に、一同が息をのむ。そういえばこの人SSランクだった、とついでに思い出す。

 一触即発か――――その場にいた誰もが脳裏によぎった。

 

 だが、

 

「――――本音は?」

 

 初代の静かな問いにシュテルは、

 

「私も行きたいなっ☆」

 

 きゃぴっ、と音が聞こえてきそうな振り付けとともに、ユーリの脇腹をつつく。

 

「しょーがないなぁっ☆」

 

 ウィンクをしながら、初代も同じようにシュテルの脇腹をつついた。互いの魔力は霧散し、殺伐とした空気は既にそこには無かった。初等科メンバーも心配損というやつである。

 結局、初等科メンバー+シュテルによるイクスヴェリア探検隊がここに結成されることになった。

 えいえいおー、と初代、アインハルト、ヴィヴィオ、シュテルは気合い十分だったが、コロナとミウラはいまいちパッとしない表情だった。何か問題点を見つけてしまった、という顔だ。

 どうしたものかと、やる気メンバーが視線を向けると、ミウラが恐る恐るといった声色で、

 

「えーっと、管理世界間の移動には次元航行艦とか、次元渡航申請

とかの手続きがいると思うんですけど・・・・・・」

 

 管理局の管理下における次元世界では、勝手に次元渡航や次元転移を発動することに制限がかかっている。特に管理世界の要ともいえるミッドチルダでは次元渡航の規制は厳しく、首都クラナガンでは、次元渡航申請は最低三日前、転移反応は二十四時間体制での監視が置かれている。昨日今日で別の次元世界に渡ろうというのは無理な話なのである。

 そう、本来は無理なのであるが、

 

《私にお任せください》

 

 やってのけるのが夜天の魔道書である。

 

「次元渡航申請書の偽造とかダメですからね・・・・・・?」

 

《失礼な。私はそのようなことはいたしませんよ》

 

「学院の学生書を偽造してた前科があるのに何を言ってるんですかこのデバイス」

 

《私のログには何も残っていません》

 

 コロナのいかにも夜天の書がやらかしそうなことだという指摘を、魔力で怒っているような顔文字を描き、否定する。そう、今の夜天の魔道書は、かつての闇の書時代とは違い、清く正しく、世のため人のために尽くす、本来の使い方をされているのだ。コロナの言うような事実は確認されていないし、今後されることもない。たぶん。

 まるで人間のようなごまかしをする夜天の書にため息をつき、なら、とコロナは続ける。

 

「なら、どうするつもりなんです?次元渡航申請書がなければ次元航行船にも乗れませんし・・・・・・」

 

《跳びます》

 

 即答だった。

 

「・・・・・はい?」

 

《訳あって、彼らの転移反応・魔力探知をくぐり抜けて別の次元世界に跳ぶのは得意なんです》

 

 人はそれを密入国と呼ぶ。

 

「ちょっと待ってくださいそれはさすがに洒落にならな――――」

 

《吸引》

 

 コロナたちの足元に魔法陣が浮かび上がり、一秒にも満たない間に、魔法が発動し、全員、夜天の書に取り込まれる。

 

《では参りましょう――――転移》

 

 そして、夜天の書は、転移反応を残さず、静かにミッドチルダを跳んだ。

 




Q:この中編て必要だったの?
A:正直いらないかもしれない

話をコンパクトにまとめられないという圧倒的実力不足。これからの課題の一つになりそうです


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