プリズマ☆イリヤドライで援軍に来たのが美優の兄ではなく、世界を救おうとする最後のマスターと後輩たちだったら (Dr.クロ)
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第一幕~介入~

ジュリアンの放った黒化英霊に絶体絶命の危機に陥るイリヤ達

そんなイリヤ達の前に、イリヤがとある世界で出会いし者達が駆けつける。



???「真名、開帳――私は、災厄の席に立つ。 それは全ての疵、全ての怨恨を癒す我らが故郷。顕現せよ!いまは遥か理想の城(ロード・キャメロット)!!」

 

ヴィィン!ガガガガガガガガガッ!

 

ジュリアン「……なに?」

 

黒化英霊軍団達が凛達へと放った大量の弓矢が、突如現れた少女の発生させた巨大な城と盾により防がれた。

 

イリヤ「!あれって……」

 

突如現れた少女に驚く凛達だったが、イリヤには見覚えがあった。

 

???「ギリギリ……間に合いましたね先輩」

 

???2「うん、そうだねマシュ」

 

そう言う少女に答えた声に、イリヤは振り向く。

 

そこにいたのは、凛達と変わらない年齢の少女で、イリヤは目を輝かせる。

 

ジュリアン「なんだね君たちは……」

 

???2「唯の通りすがりのマスターだよ」

 

イリヤ「マシュさん!エクシアさん!」

 

そう名乗る少女と盾を持った少女を見て、イリヤは言う。

 

それに少女、エクシアは笑う。

 

エクシア「久しぶりだね、イリヤ」

 

マシュ「イリヤさん、助けに来ました!」

 

ジュリアン「マスターとサーヴァントが一組加わったところで、この軍勢に勝てるはずが……」

 

イリヤを安心させる為に笑う2人に、ジュリアンは鼻で笑って言うが…

 

エクシア「誰が私達だけって言った?この偽善者野郎」

 

ジュリアン「なに?」

 

告げられた事にジュリアンは顔を顰めると…

 

「束ねるは星の息吹。輝ける命の奔流。受けるが良い!」

 

「突き立て! 喰らえ! 十三の牙!!」

 

ジュリアン「?!」

 

エクシアの後ろから現れた2人の人物の存在に驚くと共に…

 

約束された勝利の剣(エクスカリバー)!!」

 

最果てにて輝ける槍(ロンゴミニアド)!!」

 

ズドォオオオオオオオオオオオオオオッ!!

 

その言葉と共に槍と光の放流が黒化英霊を一部吹き飛ばす。

 

自分がいる岩山にも来たので、ジュリアンは慌てて空間置換で避けてイリヤ達から離れた場所に姿を現す。

 

その後にジュリアンは放った人物達に驚愕した。

 

いや、凛達も同じであった。

 

エクシアの両隣に立つ2人の英霊に…

 

ジュリアン「バカな……同一の英霊を別々のクラスで同時に召喚し、使役しているだと!?」

 

震えながらそう漏らしたジュリアンの後に…剣を持った青と槍を持ち黒馬に乗っている黒のアルトリアは主を守るために構える。

 

凛「三人も同時に英霊を使役しているなんて、一体どんだけバカげた魔力持っているのよあいつは!」

 

???「三人で驚いてちゃ、これからもっと驚くわよ」

 

驚く凛の言葉に、物凄く聞き覚えのある声がそう言った後に複数の集団が現れ、その集団の前にいたのは…クロエであった。

 

凛「クロ!?」

 

ルヴィア「ちょ、クロが二人に!?」

 

クロ「あー、もしかしてアンタ……」

 

GOクロ「そう、貴方と分離してカルデアに行った貴方よ」

 

驚く凛とルヴィアを後目に、誰なのか分かって言うクロにもう1人のクロはそう返す。

 

ベアトリス「チッ、なんだよあいつらは!」

 

アンジェリカ「取り敢えず迎撃するぞベアトリス」

 

それに顔を顰めるベアトリスにアンジェリカがそう言う。

 

ベアトリス「そう……ん?」

 

それに同意しようとした時、ベアトリスとアンジェリカを包む様に霧が発生する。

 

ベアトリス「なんだこの霧……」

 

ザシュッ!ザシュッ!ザシュッ!

 

ベアトリス「ぐあっ!?」

 

アンジェリカ「ベアトリス!?」

 

ザシュッ!ザシュッ!ザシュッ!

 

アンジェリカ「ぐっ!?」

 

突如発生した霧に訝しげになったベアトリスは何者かに全身を切り刻まれ、アンジェリカも同じように切り刻まれる。

 

何が起きたのに誰もが驚く中で、エクシアは口を開く。

 

エクシア「ジャック、ちゃんと約束通り殺さなかった?」

 

ジャック「うん、お母さん!頼まれた通りに戦えないほどに切り刻んどいたよ!」

 

エライエライと隣に現れた少女の頭をエクシアは撫でて、ジャックも嬉しそうにうにゅ~となる。

 

ベアトリス「くっ、こいつ……!」

 

ハロウィンエリザ「さあ次は私の番よ!取って置きのスペシャルコラボを聞かせてあげるわ!」

 

全身傷だらけで呻くベアトリスの前に、ハロウィン衣装を纏ったエリザベートが前に出る。

 

ギュィイイイイイン、ガシャン!

 

ハロウィンエリザ「鮮血特上魔嬢(バートリ・ハロウィン・エルジェーベト)!!」

 

ズアァァァァァアアアアアアアアッ!!

 

ベアトリス「グアアアアアアッ!?」

 

アンジェリカ「み、耳が壊れるぅ!?」

 

現れた巨大な城の形のスピーカーから放たれる大音量のハウリングに2人は耳を抑える。

それにエクシアはうーんホント凄いなと感じつつ、凛達へと近寄る。

 

エクシア「大丈夫ですか?」

 

凛「え、えぇ……」

 

ルヴィア「助かりましたわ」

 

エクシア「それは良かった……あ、貴方怪我してますね」

 

茫然としながらエクシアの問いに答える2人に、エクシアは微笑んだ後にバゼットを見る。

 

バゼット「これぐらいの傷なら大丈夫です」

 

エクシア「そうですか?一応アイリさんに治療してもらった方が……」

 

凛「ちょっと待って、今知り合いの名前聞こえたんだけど?!」

 

そう言うバゼットへと言ったエクシアに凛は驚いて聞くと、あらあら~と言う聞き覚えのある声に振り向くと見覚えのある顔が白いドレスの様なのを着た少女と来る。

 

凛「なっ?!アイリスフィール?!それにその子は……」

 

エクシア「アイリさん、三人の治療をお願いします。リリィはその間の守護をお願いね」

 

リリィ「はい、わかりましたマスター!」

 

驚く凛の隣でそう言うエクシアに、リリィはふんすと気合を入れて剣を構える。

その間にアイリはバゼットの治療を開始する。

 

ジュリアン「馬鹿な……あの英霊は……」

 

ジュリアンはそんなアイリを見て戦慄する。

 

「あらあら、そんなよそ見をしていいのかしら」

 

ゴォオオオオオオオオッ!!

 

ジュリアン「!」

 

その声と共に黒化英霊が燃やされていく。

 

慌てて誰がやったのかをジュリアンは探すと、黒いドレスを身に纏い、手に持った剣で来たる黒化英霊を薙ぎ払う女性はジャンヌ・ダルクであった。

 

ジュリアン「なっ、馬鹿な?!まさかお前は……アヴェンジャーか?!」

 

ジャンヌ「あら、流石はこんな奴らを召喚するマスターってところね。私のクラスを当てるなんてやるじゃないの」

 

驚きの声をあげるジュリアンに、復讐者と化したジャンヌオルタはそう褒める。

 

ジュリアン「アヴェンジャーまでも配下にしているなんて……一体彼女は何者なんだ?!」

 

驚きの声をあげながらジュリアンはエクシアを見る。

よく見ると様々なクラスのサーヴァントが協力しながら、自分の黒化サーヴァント達を倒していく。

 

ジャンヌ「マスターは唯の素人よ。あんたみたいな魔術一族の生まれでもない唯の素人」

 

ジュリアン「なん……だと?!」

 

凛「嘘!?」

 

ルヴィア「そんなことがありえるのですか?」

 

その後にジャンヌに告げられた事に、ジュリアン以外にも凛とルヴィアは驚愕する。

 

彼女達だって、もしもサーヴァントを召喚できてもせいぜい1人しか扱えないのに、素人が複数扱えるなどありえないのだから。

 

ジュリアン「唯の素人風情があんなにも大量のサーヴァントと契約しているだと……一人でさえ魔力不足で死ぬはずなのに一体……」

 

ジャンヌ「それに関してはちょっと仕組みがあるんだけどね。ただマスターはどんなサーヴァントでも仲良くなれるちょっと変わったマスターよ。だからこそ、アヴェンジャーでもある私とも仲良くなったんだし」

 

バカな…と呟く。

 

サーヴァントと仲良くと言う部分がジュリアンには理解できなかった。

 

だが、凛達にはなんとなく理解出来た。

 

マスターであるエクシアの信頼に答える為に、サーヴァント達はその力を振るう。

ただ暴れまわる黒化英霊にはない強さであった。

 

ジャンヌ「ああ、それともう1人気を付けた方が良いわよ」

 

ジュリアン「なにっ?!」

 

ボォオオオオオオオオオオオオオッ!!

 

「貴方ですね。マスターが言っていた大嘘つきってのは」

 

驚きの声を上げた後に、ジャンヌとは別の炎が黒化英霊を焼き尽くすのを見ると、そこには着物を着た少女がいた。

だが、その体から発されるのにジュリアンは後ずさる。

 

ジュリアン「なんだあいつは……」

 

ジャンヌ「アイツは清姫。嘘吐きが大っ嫌いなヤンデレよ」

 

清姫「貴方も焼きましょうかジャンヌオルタ」

 

そう言うジャンヌに清姫は睨むと、何よとジャンヌも睨み返す。

ただ、エクシアの喧嘩してないで動いてと言うので、2人はそれぞれ動いて黒化英霊を倒していく。

 

ジュリアン「っ、こうなったら……」

 

それに対して、ジュリアンは手を翳すと1人の人物が召喚される。

 

???「あれは……セン……パイ……?」

 

現れた人物は遠くにいるエクシアを見てそう呟くと、まるでエクシア以外に目がない様に見続ける。

 

???「セン……パイ……先輩!」

 

バシュッ!

 

突如加速し、エクシアの元にへに向かう。

 

現れた人物にエクシアの英霊達は警戒する中で、人物はエクシアを見続ける。

 

エクシアは自分の記憶から目の前の存在の見た目からランスロットを引き出すが、女性だと言う事からマシュの様な感じになっているのかと考える。

 

マシュ「!先輩!」

 

エクシア「!」

 

???「先輩!先輩!先輩!!」

 

その人物はエクシア達へと攻撃を仕掛けるが…

 

ガキィン!

 

???「!」

 

メドゥーサ「大丈夫ですかマスター」

 

エクシア「メドゥーサ!」

 

その人物の攻撃をメドゥーサが防いだ後に攻撃した人物を懐かしく見る様に、悲しく見る様に見る。

 

???「先輩との邪魔を……スルナァ!」

 

メドゥーサ「っ!……少し、止まっていてください……桜!」

 

???「!」

 

攻撃をし続ける人物にメドゥーサはそう言って石化の魔眼を発動して彼女を石化させる。

石化した人物をメデューサは悲しい目で見た後に武器を握る力を強くする。

 

ジュリアン「馬鹿な……」

 

エクシア「どうやら切り札のようだったけど、彼女を止めさせて貰ったわ」

 

それに自信が相当あったのだろう、茫然と呟くジュリアンにエクシアはそう言う。

 

ジュリアン「ッ、だがいくら貴様らが強くてもこいつらは聖杯を見つけるまで増え続ける!状況はまだこちらが有利……」

 

エクシア「なるほど、んじゃあ聖杯を見つければこいつらはもう増えないんだね」

 

そう言ったジュリアンに、エクシアは不敵に笑って言う。

 

ジュリアン「……なに?」

 

エクシア「マシュ、聖杯を」

 

マシュ「はい、先輩。念のために一つ持ってきて良かったですね」

 

彼女の言った事にジュリアンはどういう意味だと思った後に…マシュの取り出した聖杯に驚く。

 

黒化英霊たち「聖杯……聖杯だ……」

 

マシュが取り出した聖杯を見た黒化英霊達は動きが止まり、増えていた数も止まる。

 

美遊「英霊たちの動きが止まった!」

 

エクシア「よし!今のうちにあの発生源を破壊す……」

 

ジュリアン「やめろぉ!」

 

それにより、エクシアは黒化英霊達を発生させるの物体に目を向けると、空間置換でエクシア達の近くにジュリアンが現れる。

 

エクシア「!」

 

ジュリアン「これ以上俺の神話をかき乱すな!貴様らには俺の神話に必要……」

 

エクシア「くだらない」

 

それに驚いたエクシアだが、ジュリアンの言葉を両断する。

 

ジュリアン「!」

 

エクシア「貴方の神話?そんなの一体……誰が決めた」

 

マシュ「そうです。そもそも神話とは英霊たちの軌跡が語られたもの。それを自分で語るなんておかしすぎます!」

 

両断された事に驚くジュリアンへエクシアは続けて言い、マシュも追従する。

 

ジュリアン「っ!」

 

アンデルセン「ましてや神話の中ではその英霊の死を語れたものも存在する。それを主人公が自分が活躍するものだと決めつけるなど駄作もいいところだ」

 

エクシアやマシュに同意する様に、アンデルセンがジュリアンの言葉にそう評する。

 

エクシア「それに美遊ちゃんを犠牲にして世界を救う……そんなのは主人公さえでもない、ただの偽善者だ!」

 

極めつけにエクシアはズビシッとジュリアンを指さしてそう言う。

 

ジュリアン「黙れぇ!両立する螺旋の右……」

 

エクシア「ガント!」

 

それに激昂して攻撃しようとしたジュリアンは、エクシアが放ったガントに動きを止められる。

 

バチバチバチッ!

 

ジュリアン「っ!か、身体が……」

 

エクシア「令呪三画を持って宝具発動可能な全サーヴァントにマスターエクシアが命ずる!あの巨大な黒い箱と黒化英霊を宝具を使用し薙ぎ払い、破壊せよ!」

 

その言葉と共に、その場にいた全サーヴァントの体が輝いた後にそれぞれの宝具を発動出せる。

 

一部は味方を癒し、一部は味方を強化し、一部は黒化英霊の動きを束縛し、一部の英霊の攻撃が箱と黒化英霊を薙ぎ払う。

 

その光景にイリヤ達は目を奪われた。

 

イリヤ「す、凄い……ってえ?」

 

ピカァアアアアアアアアアア

 

するとイリヤの体も輝き出す。

 

イリヤ「な、なに!?何が起きているの?!」

 

ルビー「これってもしかして、イリヤさんにも令呪の力が来ているのでしょうか?共闘した縁でしょうか?」

 

自分に起きた事に驚くイリヤへルビーがそう推察する。

 

イリヤ「ええ!?でも私、宝具なんて持ってないよ!?」

 

ルビー「そこはまあアレで行きましょう!これならサファイアちゃんが居なくても使えそうですし!」

 

慌てて言うイリヤだが、ルビーの言った事に確かにこれならあの時なれた姿になれると言うのが分かる。

 

それにエクシアは笑って言う。

 

エクシア「イリヤちゃん、お願い!」

 

イリヤ「はい!ルビー行くよ!」

 

ルビー「了解です!筋系、神経系、血管系、リンパ系――疑似魔術回路変換、完了!」

 

その言葉と共にルビーが輝き、イリヤを包み込む。

 

そして光が弾け飛ぶとイリヤとルビーの姿が変わっていた。

 

凛「ちょっ!?あれって!」

 

ルヴィア「何故あのフォームを単体で!?」

 

驚く2人を後目にイリヤは飛んで狙いを定める。

 

イリヤ「これが私の全て……!多元重奏飽和砲撃(クウィンテットフォイア)!!」

 

ズドォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!

 

ピシッ、ピシピシッ!

 

多数の宝具を受けた箱はイリヤの砲撃を受け、限界が来たのかヒビが入り始める。

 

エリカ「やめて……やめてやめてやめて!」

 

イリヤ「はぁああああああああああ!!」

 

バリィン!

 

そして砲撃が大きくとなると同時に箱に大きなヒビが入り、泥が収まる。

 

ボォオオオオオオオオオオオオオッ!

 

すると、どこからともなく剣が飛んでくる。

 

イリヤ「ふぇ?!」

 

ガシン!

 

それにイリヤが驚くと、剣は泥の地面に突き刺さったと思ったら泥が消滅していく。

 

マシュ「泥、収まりました!黒化英霊、消滅していきます!」

 

エクシア「よしっ!」

 

イリヤ「はぁ……はぁ……」

 

マシュの報告にエクシアがガッツポーズを取る隣でイリヤが着地して、元の姿に戻る。

 

ジュリアン「やってくれたな……」

 

それにジュリアンは憎々しげに睨んだ後に空間置換で岩山へと戻る。

 

ジュリアン「チッ、流石にあの数の宝具を食らってかなりヤバくなってるな……」

 

岩山や箱の損傷具合を見てジュリアンは顔を顰める。

 

ジュリアン「にしても先ほどあの泥を消した剣は……」

 

エリカ「あれは……」

 

さきほど飛んで来た剣がなんなのか疑問に思うジュリアンに対し、エリカが口を開く。

 

ジュリアン「!」

 

エリカ「この世界の理……贋作を……わたしたちを断罪する………火の矢」

 

驚くジュリアンへとエリカはそう言う。

 

ジュリアン「……そうか……ついに……見つかってしまったか」

 

ヒビが入った箱を見ながらジュリアンはそう呟くと、箱を小さくさせ始める。

 

ジュリアン「後は……」

 

ジャラジャラジャラ!

 

ベアトリス「!」

 

アンジェリカ「クッ……」

 

子ギル「おっと、貴方達は逃がしませんよ」

 

そう言ってジュリアンは他の所を見ると、ベアトリスとアンジェリカを子ギルが天の鎖で捕縛していた。

 

ジュリアン「無理か。仕方ない……今回はこれで一時引くとするか」

 

ジジジジジジジジ……

 

彼女達の回収が無理だと分かると、そう言ってジュリアンは空間置換で岩山ごと姿を消し始める。

 

ジュリアン「エクシアと言ったな……俺の神話をここまで掻き乱した貴様は絶対に許さん、貴様は必ず殺す。絶対にな」

 

エクシア「なら私は……イリヤちゃんの願いを叶える。アンタが美遊ちゃんを犠牲に世界を救おうとするなら私は美遊ちゃんを犠牲にせず世界を救う方法を見つけてやる!」

 

魔術でそう宣言するジュリアンに対して、エクシアもそう言い返すと岩山は消えた。

 

それを見届けてエクシアはふうと息を吐く。

 

マシュ「先輩、今のは……」

 

エクシア「あ、ゴメンマシュ。つい言っちゃった;」

 

そう聞くマシュにエクシアはごめんと頬をポリポリ掻きながら謝る。

 

マシュ「全く……先輩は本当にお人好しなんですから」

 

エクシア「あははははは……;」

 

それに対して苦笑して言うマシュにエクシアは笑うしかなかった。

 

マシュ「まあ、それが先輩ですから仕方ないですね」

 

違いないとマシュのに他の英霊達はうんうんと頷き、エクシアがもーと言うとどっと笑われる。

 

そうこれは……ある事件で魔法少女と関わった最後のマスターがサーヴァント達と共に彼女達と世界を救う物語




続きは気が向いたら書くかも


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第二幕~一休みからの決意~

ひとまずの休みを得るイリヤ達、そこで彼女たちはエクシア達がどうやって来たのかを教えて貰う。


???『刹那ちゃん!刹那ちゃん!』

 

するとエクシアの近くに男性の映像が現れる。

それに凛達がぎょっとする中でエクシアはあっと嬉しそうに声をかける。

 

エクシア「ロマン、通信できたんだね」

 

ロマン『ああうん。ダヴィンチちゃんがなんとかしてくれてね。ってそうじゃなくて大丈夫なのそっちは?!』

 

そう言うエクシアにロマンはそう言ってから慌てて聞く。

大丈夫だよと言う声にホッと安堵の息を吐いた後に凛達を見る。

 

ロマン『あ、自己紹介が遅れたね。僕の名前は……』

 

???「美遊!」

 

凛達へと名乗ろうとするロマンだったが息を切らせて来た少年のに遮られる。

その少年に英霊達の中にいた青アルトリアが驚く中で美遊が少年へと駆け寄る。

 

美遊「お兄ちゃん!」

 

???「美遊、良かった…」

 

少年は美遊を見て安心したのか緊張の糸が途切れて崩れ落ちかけて…青アルトリアが受け止める。

 

青アルトリア「大丈夫ですか?シロウ」

 

シロウ「えっ?」

 

かけられた言葉に少年、シロウは驚き、青アルトリアへと顔を向ける。

 

シロウ「なんで俺の名前を……」

 

名乗ってもいないのにと言うシロウに青アルトリアはしまったと思った所にやれやれと言う男の声がしてくる。

 

???2「それは君が彼女の大切な人と似ているからだよ」

 

青アルトリア「!アーチャー……」

 

シロウ「なっ!?俺?!」

 

凛「ええ!?」

 

現れた人物、アーチャーにシロウと凛は顔から驚く。

やはりこの反応かとアーチャーはふうと息を吐くとバシンと背中を叩かれて呻いてから叩いた本人にしかめっ面で言う。

 

エクシア「もうエミヤったらそんなこと言わないの!」

 

エミヤ「マスター…いきなり叩くのも止めてほしいんだが…君とネロだけだぞ、声をかけずに背中を叩くのは」

 

めっと注意するエクシアにアーチャーもといエミヤは叩かれた背中を撫でつつ凛やシロウを見る。

 

子ギル「あのー此処で話すより何処か別の場所で落ち着いて話した方が良いんじゃないですか?」

 

エクシア「お、そっちの子ギルくん良いアイデアだねそれ」

 

シロウ「あ、それなら……」

 

するとそう提案するイリヤ達の世界の子ギルのにエクシアも同意すると美遊の兄が自分達の家でと言うのに誰もが了承してメデューサが石化させた女性をアステリオスが大事に抱えて天の鎖で縛ったアンジェリカとベアトリスも連れて向かう。

 

衛宮家

 

そこでアーチャーが入れたお茶で誰もが一息ついた後にシロウに遮られて自己紹介がほとんど出来なかったロマンが咳払いして改めて名乗る。

 

ロマン『僕はロマニ・アーキマン。カルデアの医療等を主にしているよ。気軽にDr.ロマンと呼んでね』

 

エクシア→刹那「んで私は葵刹那(あおいせつな)。カルデアでマスターをしてます!刹那って呼んでもいいしエクシアって呼んでもいいよ」

 

凛「ちょっと待ちなさい。なんでその名前からエクシアって単語が出てくるのよ!」

 

イリヤ「あとエクシアお姉ちゃん、本名じゃなかったの!?」

 

自己紹介するロマンの後に言ったエクシアもとい刹那のに凛は指摘し、イリヤは驚く。

 

英霊メンツとロマンはやっぱ聞かれるよな…な反応をしてると刹那はそれはね…とちょっと前置きして言う。

 

刹那「魔術師に本名知られないようにあだ名で呼ばれるようにしていたんだよ。ほら魔術師とかって呪術とか使うには相手の本名知らなきゃいけないってのがあるからそれでね」

 

バゼット「なるほど、それであだ名を名乗っていたのですか」

 

なぜ偽名を名乗ったかの理由を言う刹那にバゼットは納得する。

 

刹那「(まあイリヤちゃんの時はカッコつけてついそっちで名乗ったんだよね;)」

 

まぁ、内心はこうであるが…

 

刹那「ちなみになんでエクシアと名乗ったかはあるアニメで刹那って名前のキャラが乗るロボットの名前がエクシアって言うんだよ」

 

凛「……は?」

 

イリヤ「もしかしてそれってあのドライブとか出てくるの?」

 

なぜエクシアなのかの理由を言った刹那に凛は呆気に取られるとイリヤが食いつく。

 

刹那「そうそれ!イリヤちゃんも見てるんだね!」

 

イリヤ「う、うん」

 

そのままお互いにワイワイ話し合うのを見て美遊は羨ましそうに見ている。

 

どう言う事な凛に英霊達を代表してエミヤが呆れ交じりに説明をする。

 

エミヤ「すまない、マスターはかなりのオタクでこう言うことになるとそれに熱中してしまうんだ」

 

凛「そ、そうなの;」

 

エミヤ「ああ、だからこういう時は……」

 

そう言ってアーチャーはハリセンを投影し、刹那の後ろに回ってから…

 

パシーン

 

ハリセンで頭を叩いた。

 

刹那「へぶっ!?」

 

叩かれた刹那はそのまま倒れ、あらあら~と微笑みながら治療を開始するアイリを後目にエミヤはロマンに凛達に自分達のしている事を話すぞと言って語り出す。

 

エミヤ「私達は魔術王により焼かれた人類史を元に戻すために各歴史に存在する特異点を巡り、聖杯を集めているんだ」

 

凛「人類史焼却!?」

 

ルヴィア「なんですのそれは!?」

 

ロマン『まぁ、驚くのは無理がないね。ルヴィアさんの問いに関しての返答はほぼ彼が説明した通りので僕は彼女たちをカルデアと言う所からサポートしてるんだ』

 

戸惑いを隠せない凛とルヴィアにロマンはそう答える。

 

バゼット「ちょっと待ってください。何故それを一般人である彼女が行っているんですか?そんな人類存続に関わること、本来なら一流の魔術師が行う……」

 

マシュ「それは今カルデアにて行動できるマスターが先輩だけだからです」

 

疑問に思った事を聞くバゼットにマシュが答える。

 

バゼット「君は……さっき戦っていたサーヴァントか?」

 

マシュ「あ、申し遅れました、私はマシュ・キリエライト。デミ・サーヴァントです」

 

話しかけて来たマシュに問うバゼットへマシュは自己紹介するのを忘れていたので名乗る。

 

バゼット「デミ・サーヴァント?何ですかそれは」

 

マシュ「通常のサーヴァントのように魔力によって英霊に人格や肉体を与えたものではなく、その召喚された時代に生きる人間の体を依代として、サーヴァント化させることで召喚されたサーヴァントの亜種(デミ)とも言える存在の事です。私の場合はサーヴァントと人間が融合した、一種の特殊召喚形態に当たるんです」

 

続けてのを質問するバゼットにマシュはそう答える。

 

凛「なるほどね。夢幻召喚と似ているわねそれ」

 

ルヴィア「で彼女以外のマスターが居ないというのはどういう……」

 

刹那「あ~それは私以外のマスター候補の魔術師が全員ある屑野郎の事故によって重体になっちゃって今はコールドスリープでなんとか生きている状態なんですよ」

 

ロマン『それで唯一残ったエクシアちゃんがマスターをやっているという訳なんだよ』

 

納得する凛の隣でお茶を飲んでからそう聞くルヴィアに刹那は思い出して顔を顰め、ロマンも悲しそうに言う。

 

美遊「私たちと会う前ではそんなことが…」

 

サファイア「それにしてもどうやってこの世界に来たんですか?」

 

刹那「あ、それはね……」

 

悲しい顔をする美遊の後にイリヤも気になっていた事を聞くサファイアに刹那は頭を掻いてそう言う。

 

~回想~

 

刹那「……変な夢見た」

 

マシュ「え?」

 

マイルームへとエミヤと共に入ったマシュへ刹那は唐突にそう言う。

 

エミヤ「一体どんな夢を見たんだねマスター?」

 

刹那「なんかイリヤちゃんたちがギルガメッシュみたいな服を着た女性たちと戦っている夢なんだけど……」

 

マシュ「イリヤさんたちがですか?」

 

聞くエミヤに刹那はそう答え、マシュは首を傾げる。

 

エミヤ「……それはもしや彼女の夢じゃないかマスター?」

 

刹那「彼女って……クロのこと?」

 

するとそう指摘するエミヤに刹那は最近入って来たクロを頭に浮かばせて聞く。

 

エミヤ「そうだ。彼女は元々イリヤと同一の存在だったんだ。もしかしたらイリヤたちがピンチの状況に陥ってると言う事ではないだろうか?」

 

刹那「ん~ちょっとクロに聞いて……」

 

GOクロ「刹那!」

 

どう言う時のだったのか聞こうと提案しようとした所にGOクロが慌てた様子で来る。

 

刹那「あ、クロ。ちょうど良か……」

 

GOクロ「それどころじゃないわ!イリヤたちが大変なのよ!!」

 

聞こうとしてGOクロから出て来た言葉に刹那とマシュは驚く。

 

刹那「え?」

 

マシュ「ど、どういう事ですかクロさん」

 

慌てた様子なGOクロに刹那は戸惑い、マシュは改めて聞く。

 

GOクロ「実は今日起きたら、イリヤたちと一緒に行った私の記憶があったのよ!」

 

刹那「??」

 

エミヤ「落ち着き給えクロエ。どう言う事か最初から話してくれ」

 

だから!と言おうとするクロをエミヤが宥めてそう言う。

 

GOクロ「えっとね……」

 

それにより落ち着いたGOクロは話し出す。

 

どうも昨日までなかったイリヤ達と帰ったクロの記憶があり、それによるとあの後、美遊が謎の2人組に連れ去られ、イリヤ達も追いかけてイリヤ達の世界と似た平行世界に飛んだと言う。

 

その際に美遊を連れ去ったのがエインワーズ家と言うので美遊を犠牲にして世界を救おうとしているらしい。

 

マシュ「美遊さんが聖杯で彼女を犠牲に世界を救うですって?!」

 

GOクロ「ええそう。それがあいつらの目的なのよ」

 

エミヤ「それにしても彼女がまさか天然ものの聖杯だったとはな」

 

そしてその中にあった美遊が聖杯だと言う事にマシュは驚き、エミヤは顔を顰めて呟くがその身からは怒気を放っていた。

刹那自身も同じであった。

 

刹那「許せない……美遊ちゃんの命を犠牲に世界を救うなんて……」

 

マシュ「先輩……」

 

怒りに震える刹那にマシュはそれだけ彼女たちの事を…と感動してると…

 

刹那「魔法少女の命は世界より重いのに!」

 

マシュ「ってそっちですか先輩?!」

 

出て来た言葉に思わずGOクロと共にこけてマシュはすぐさま起き上がってツッコミを入れる。

 

刹那「よし!すぐさま皆を連れてイリヤちゃんたちを助けに行こう!」

 

エミヤ「ちょっと待て、刹那。助けに行くってどうやって行くつもりだ?」

 

そう宣言する刹那にエミヤが待ったをかけて肝心な所を聞く。

 

それに刹那はあ…と声を漏らす。

 

普段ならばロマン達が見つけてそこに飛ぶのだがイリヤ達の世界は平行世界なので普段やっている様では発見できない。

 

どうすればと考える刹那に助け船を出したのはGOクロであった。

 

GOクロ「それなら私と同じ反応のところに行けばいいんじゃないかしら?」

 

マシュ「でもそれをどうやって……」

 

GOクロ「忘れたのマシュ?ここにはあの天才が居るってことを」

 

天才という言葉にマシュはああ!と誰なのか分かり、GOクロも頷いた後に刹那は行くよ!とマシュとGOクロの手を掴んで走り、やれやれとエミヤが続く。

 

レイシフトルーム

 

?????「え?クロちゃんと同じ反応がある世界を探してそこにレイシフトしたいって?」

 

刹那「そうなんだよダ・ヴィンチちゃん」

 

その天才であり、カルデアで皆をアシストしてくれるダ・ヴィンチに刹那は頼み込む。

 

ロマン「それは流石に難しいよ刹那ちゃん。そもそもレイシフトはタイムトラベルする装置だ。異世界に行くなんてできないよ」

 

刹那「そこを何とかお願い!」

 

ダ・ヴィンチ「いや、案外出来ると思うよロマン。なんたってその為のポイントを察知できるクロちゃんがいるからね」

 

そう説明するロマンに手を合わせて刹那がお願いするとダ・ヴィンチがそう言ってクロを指す。

ポイントと言うのにロマンは疑問に思ったがすぐさまイリヤの世界のクロの事だと理解する。

 

ロマン「なるほど、それなら可能かもしれないな」

 

ダ・ヴィンチ「それに前の事件から彼女たちの世界のこちらの世界は近いはずだから……」

 

カチャカチャカチャ

 

そう言ってダ・ヴィンチは装置を動かして入力していく。

 

ダ・ヴィンチ「見つけたぞ、この世界だ」

 

刹那「よし!早速準備をして行こう!」

 

ロマン「やれやれ、ホントに刹那ちゃんはお人好しなんだから……」

 

そう言うダ・ヴィンチのを聞いて駆け出す刹那の背を見ながらロマンはふうと息を吐くがその口は笑っていた。

 

回想終了

 

刹那「って訳なんだよ」

 

凛「なるほどね……で一ついいかしら?」

 

そう言って締め括る刹那に凛は顔を抑えながらプルプル震えてそう言う。

 

刹那「ん?なに?」

 

凛「なんでレオナルド・ダ・ヴィンチが女性なのよ?!」

 

ダン!とテーブルを叩いて叫ぶ凛に同じ気持ちだったのかシロウやルヴィアもうんうんと頷く。

 

それには英霊も含めて誰もが目を逸らす。

 

刹那「あー、ダ・ヴィンチちゃんは自分の作品のモナリザになるために自分で自分を改造したんだよ」

 

凛「なんでそうなるのよ!?何?天才ってこういう奴ばっかりなの!?」

 

ダ・ヴィンチ『彼女の美しさはまさに私にとって理想の美、それなら私自身そうなるに決まってるじゃないか☆』

 

目を逸らしたまま言う刹那のにうがーと叫ぶ凛へとダ・ヴィンチが現れてウィンクする。

マジか?というシロウやルヴィア達の視線に誰もがうんうんと頷く。

 

凛「でさっき取り出した聖杯は何?」

 

ロマン『聖杯だって!?』

 

その後にそう聞く凛にロマンは驚いて映像だが身を乗り出す。

 

刹那「あ」

 

ロマン『刹那ちゃん、まさか今まで回収して来た聖杯を勝手に持ち出したのかい!?』

 

しまったな感じの刹那にロマンは慌てた様子で聞く。

 

どう言う事な凛達にエミヤとマシュが代表で答える。

 

エミヤ「あの聖杯はマスターが様々な特異点で回収してきたもので、今現在使い道がなかったので今回1つだけ持ってきたものだ」

 

マシュ「こちらのクロさんの話からあの黒化英霊達は聖杯さえ見れば動きを止まると考えてダ・ヴィンチちゃんに頼んで一つだけ持ってきました。結果は上手くいきましたのが幸いです」

 

ロマン『そ、そうなのか……ってそれなら僕に相談とかしてよ!?』

 

刹那「いやー、ロマンに話すの忘れてたよ。ゴメンゴメン」

 

説明に納得しかけてそう叫ぶロマンに刹那は謝るとまったくとロマンはため息を吐いてから凛達を見る。

 

ロマン『それで今度はそちらのことを教えてくれないか?』

 

凛「ええ、分かったわ……」

 

聞かれて凛は自分達の事を教える。

どうやってイリヤ達が魔法少女となった際のを聞いた際、誰もが呆れ、ここでも起きるかとルビーの事を知るエミヤは嘆き、変わりませんねと青アルトリアも呆れて同意してメドゥーサもうんうんと頷いた。

 

そしてこの世界に飛ばされ、エインワーズ家の者たちから明かされたカードの真実を話す。

カードで英霊の力を身に纏い、闘い合う聖杯戦争のことを……

 

ロマン『英霊の力を身に纏う……確かにマシュと似たようなものだね』

 

凛「でしょ?だから私もさっきそう思って……」

 

刹那「……許せない……」

 

納得するロマンに凛は言おうとした時刹那がぼそりと呟く。

 

凛「え?」

 

刹那「英霊たちの力を勝手に使って聖杯戦争?……ふざけんな!」

 

戸惑う凛を知らずに刹那はそう叫ぶ。

 

刹那「英霊たちの力は…彼ら自身の物。そりゃあマシュは命の危機もあったのと英霊自身が託したからまだ良い…けど、この世界の英霊達の意思は!彼らにだって叶えたい願いがある!なのに!自分の意思も出せず!ただ思うがままに力を振るわれる英霊達の意思はどうなるの!!」

 

はあはあと怒りのままに叫んだ刹那に凛達は言葉を無くす。

 

マシュ「先輩……」

 

イリヤ「刹那お姉ちゃん……」

 

刹那「はあ……はあ……」

 

怒る刹那にマシュとイリヤは声をかける中でエミヤも刹那の気持ちは分かっていた。

 

エミヤ「(確かにこの世界の聖杯戦争は今まで英霊たちと共に戦ってきたマスターには許せない程酷いものだ……)」

 

青アルトリアもそうだがメドゥーサにアイリスフィールもまた刹那と同じ気持ちか顔を顰めていた。

また喋っていなかったロビンフットもだよなとぼやく様に、だが怒気を纏わせて口を開く。

 

刹那「……ぶっ壊す」

 

マシュ「せ、先輩?」

 

刹那「こうなったらこの世界の聖杯戦争をぶっ壊す!二度と起きないように念入りに!」

 

ロビンフット「良いね良いね。こっちも大賛成。そう言う奴らにさせる位ならぶっ壊すのが良いな」

 

そう宣言する刹那にロビンフットは手の骨を鳴らして賛同し、他のサーヴァント達も頷く。

 

刹那「潰すにはまず情報収集だ。ハサンたち!」

 

「「「ハッ!」」」

 

その言葉と共に上からそれぞれ、呪腕、百の貌、静謐のハサンの3人が下りて来る。

ぎょっとなる家主であるシロウを後目に刹那は指示を出す。

 

刹那「ハサンたち全員で聖杯戦争に関する情報をできるだけ集めて!あとあのジュリアンとか言う奴の情報もお願い!」

 

呪腕「了解した」

 

リーダー格である呪腕が答えた後に3人は音もなく消える。

改めて凛は目の前の刹那の手腕に目元を抑える。

 

その後に刹那は石化された女性を調べていたメディアを筆頭とした魔術関連に特化したサーヴァント達へと聞く。

 

刹那「メディアさん、その女性を元に戻すことできますか?」

 

メディア「かなり長い時間は掛かると思うけど直してみせるわ」

 

そう聞く刹那にメディアはそう言い、他のキャスターのサーヴァント達も頷く。

 

刹那「そうですか。ありがとうございます。それともしできたらなんですけど」

 

メディア「この辺一帯に結界でしょ?それぐらいなら簡単にできるわ」

 

続けて頼み込もうとする刹那にメディアは笑って言う。

 

刹那「ではお願いします!」

 

イリヤ「す、凄い……」

 

美遊「これが刹那さんのマスターとしての実力……」

 

目の前でされたやり取りにイリヤはそう漏らし、美遊も改めて凄さを感じ取る。

 

その中でメドゥーサとシロウは複雑な顔で石化した女性を見る。

 

そんなメドゥーサの脇腹を姉であるエウリュアレが摘まむ。

 

メドゥーサ「っ///!?下姉様何をっ?!」

 

エウリュアレ「なに変な顔しているのよメドゥーサ」

 

摘ままれた所を抑えて顔を赤くするメドゥーサにエウリュアレはふうと息を吐いて指を突き付ける。

 

エウリュアレ「この子はなんであれ、あなたの知るあなたの大切な子とは違うと言っても納得できないでしょうけど、これだけは言えるわ。この子を利用した奴はぶっ飛ばす位のをしてから彼女と対面しなさい!そんなしめっぽい顔であっても戸惑われるだけよ」

 

メドゥーサ「は、はい!」

 

そう言われてメドゥーサは慌てて返事するのにエウリュアレはうんうんと満足気に頷いた後…

 

エウリュアレ「んでそこのあんた!」

 

シロウ「お、俺?」

 

その後にシロウを指さす。

 

エウリュアレ「まだあんたからは何も聞いてないから今話しちゃいなさい!」

そう言えば…と誰もが思った後にシロウを見る。

 

シロウ「……分かった、話そう。俺と美遊のこれまでの物語を……」

 

そう言ってシロウ、否士郎は語り出す。

自らの事や美遊との出会いに親友と思っていたジュリアンと後輩の桜との日常、壊れた日常と共に正義の味方としてではなく妹の美遊を取り戻す為の戦いを…

黙って聞いていたエミヤは成程なと納得する。

 

エミヤ「君は正義の味方ではなく妹である美遊の味方になる道を選んだのか」

 

シロウ「ああそうだ」

 

頷くシロウにエミヤはふっと笑う。

自分や義理の父とは違う家族の味方と言う選択をした彼の行動に誇りを感じた。

 

シロウ「それにしてもまさか俺に力を貸してくれた英霊に会えるとは思いもよらなかったよ」

 

エミヤ「まあ君がそこまで犠牲にしてでも妹を救いたいという思いに答えたんだろうな」

 

感慨深く言うシロウにエミヤはそう返す。

家族を助けるのには自分もそこまで薄情じゃないしな…と心の中で呟きつつ言うとくぅと言う可愛い音がして、誰もがした方を見るとイリヤが顔を赤くしていた。

 

イリヤ「あ///」

 

エミヤ「おやおや、どうやらお腹がすいているようだな」

 

刹那「確かにもうそんな時間だね」

 

苦笑するエミヤの後に刹那が時間を確認して言うとアルトリアカルテットがガタっと反応し、座りなさいとエミヤ(保護者)に言われる。

 

エミヤ「じゃあ作っている間マスターたちはお風呂に入ったらどうだ?」

 

刹那「あ、良いねそれ。そうしようか」

 

そう提案するエミヤに刹那は頷くとガタっと一部の変態が立ち上がり、刹那の子ギルには~い変態は拘束だよ~と普通の縄を巧みに使って縛り上げられて吊るされる。

 

刹那「ヘラクレス、見張りはよろしくね」

 

ヘラクレス「■■■■■!」

 

そう言ってヘラクレスに変態達の監視を任せて刹那はイリヤ達や女性サーヴァントと共にエミヤの言った風呂場へと向かう。

それを見届けてエミヤはさて…と料理の準備を始める。

 

お風呂場

 

ザバァー

 

刹那「あー、いい湯だなー♪」

 

ジャンケンで入る順番を決めて一番乗りになってふいーと満足そうに湯船に浸かる刹那にイリヤは一部分を見ている。

 

イリヤ「(大きい……)」

 

刹那「ん?どうしたのイリヤちゃん?」

 

湯船に浮かぶ刹那のにイリヤがそう思う中で刹那が話しかける。

 

イリヤ「あ、な、なんでもないです!///」

 

刹那「?」

 

それに慌てた様子でイリヤはそう返し、刹那は首を傾げるが別に良いかと考える。

 

イリヤ「……ねえ刹那お姉ちゃん」

 

刹那「ん?」

 

しばらく入っていてイリヤが話しかける。

 

イリヤ「さっき、言ってましたよね……英霊の力は彼らのもの……それを勝手に使うなんて許さないって」

 

刹那「まぁそんな感じなこと言ったね」

 

そう返した刹那にイリヤは顔を伏せる。

 

イリヤ「……私たちもそうだったのかな……」

 

その言葉の意味に刹那はイリヤ達も最初クラスカードがなんなのか分かってない状態で使っていたのを思い出す。

 

確かに勝手に使うと言う意味じゃあ彼女たちもジュリアンと同じだがその勝手に使う理由に違いがある。

 

刹那「んー、イリヤちゃんたちはあいつらとは違うと思うよ」

 

イリヤ「……え?」

 

出て来た言葉にイリヤは目をパチクリさせる。

 

刹那「だってイリヤちゃんたちがカードを使う理由ってほとんどが誰かを助けたいとかそういうときじゃん。己のためにじゃなく誰かのために使ってくれるなら英霊たちも納得してくれるじゃないのかな?」

 

イリヤ「そ、そうかな?」

 

そう言われてこそばゆいのかイリヤは困った顔をする。

 

刹那「じゃあ後でみんなに聞いてみようか」

 

笑って言った刹那のにはい!とイリヤが元気よく答えた時だった。

 

シュルッ

 

イリヤ「ふぇ///!?」

 

突如イリヤが変な声を上げる。

 

刹那「ん?どうかしたのイリヤちゃん?」

 

イリヤ「い、今なんかお尻を……」

 

いきなり声をあげたイリヤに声をかける刹那に本人はそう言い…

 

シュル!

 

イリヤ「!なんか浴槽の中にいる!?」

 

刹那「ええ!?」

 

またも触られて叫んで、刹那は思わず立ち上がって見る。

 

シュルル

 

刹那「あ、ほんとだ!?」

 

イリヤ「このっ!」

 

とイリヤは浴槽の中を動き回る物体を何とか捕まえ、持ち上げてみると……

 

腕「」じたばたじたばた

 

刹那・イリヤ「「…………」」

 

それは腕だけであった。

 

もう一度言おう。

 

出て来たのは腕であった。

 

刹那・イリヤ「「腕ぇ―――――――――!?」

 

それに刹那とイリヤは思わず絶叫すると叫び声を聞いてマシュやセイバーリリィが入って来る。

 

マシュ「どうしたんですか先輩!?」

 

リリィ「敵襲ですか?!」

 

刹那「あ、リリィ!マシュ!これこれ!」

 

腕「」じたばたじたばた

 

聞くマシュとリリィに刹那は手に持っていた腕を見せる。

 

マシュ「う、腕がひとりでに動いてる!?」

 

リリィ「何ですかその腕は!?」

 

刹那「知らないよ!?」

 

驚いて思わず抱きしめ合う2人に刹那は叫ぶ。

 

その後にマルタやアイリスフィールが来る。

 

腕を見てマルタもぎょっとなり、アイリスフィールはあらあらと呟く。

 

~15分後~

 

腕「」じたばたじたばた

 

青アルトリア「一体なんでしょうかこの腕は……」

 

一度お風呂に入るのを止め居間に集まった面々は中央で拘束された腕を見て青アルトリアが疑問を呟く。

 

マルタ「一体どこから出てきたのかしらこれ?」

 

メドゥーサ「と言うかそもそも誰の腕なんでしょうか?」

 

気味悪そうに見るマルタにメドゥーサは首を傾げる。

 

腕「」じたばたじたばた

 

マシュ「なんだか何かを伝えたいようですね先輩」

 

刹那「じゃあ紙とペン渡してみる?」

 

腕の動きからそう言うマシュに刹那はそう言って試しに紙とペンを差し出す。

 

ペンを渡された腕はペンで紙にこう書いた。

 

『中 田』

 

 

刹那「中田?」

 

マシュ「一体どういう意味なんでしょうか?」

 

紙に書かれた『中 田』と言う文字に刹那達はどういう意味か考えていると……

 

イリヤ「中田中田中田中田……田中……あ」

 

クロ「あ」

 

イリヤ・クロ「「あぁぁぁーーーーー!?」」

 

書かれていたのを反対から読んだイリヤにクロも反応してお互いに声を上げる。

 

30分後

 

???「どうも、田中です!」

 

現れた田中と書かれた体操着を着た少女がそう名乗る。

 

どう言う事と刹那はイリヤ達を見る。

 

イリヤ「実は田中さんを学校の保健室に寝かせたまま……」

 

クロ「今の今まで忘れてた;」

 

田中「全く酷いですよー!田中を忘れるなんて!!」

 

ぷんすか怒る田中に本当にすいませんと謝るイリヤとクロを横目に刹那は田中を見る。

イリヤより若干身長が高めで同年代か1個年上なのか分からないがその胸は少し豊満であった。

 

田中「せっかく田中があの泥消してあげたのにー!」

 

刹那「へ?」

 

マシュ「泥を消したって……」

 

田中「はい!あの剣、田中の腕です!」

 

告げられた事に誰もが驚く。

前回、あの泥を吹き飛ばしたのが彼女でしかも剣は腕と言うのが驚きなのだ。

教えて貰っていたロマン自身も驚きの反応であった。

 

ロマン『剣が腕になるなんてそんなの聞いたこともないぞ?!田中さん、君は一体……』

 

くぅ~~~

 

だが聞こうとした所、田中のお腹が鳴る。

それにイリヤもつられてお腹が鳴ってそう言えばとエミヤや手伝っていたシロウは苦笑する。

 

エミヤ「話は後でも良いだろう。それよりまずはご飯としようか」

 

田中「ご飯!田中、お腹ペコペコですー!」

 

その言葉にエミヤとシロウは調理を再開しに行き、まだ入ってない組はお風呂は後で良いかと田中を見る事にする。

 

衛宮家~居間~

 

ガツガツガツガツ!

 

大量に出された料理を誰もが味わう中で作ったエミヤは呆れ、手伝ったシロウや凛とルヴィアは呆気に取られる。

 

シロウ「す、凄い食べっぷりだな;」

 

ルヴィア「そ、そうですわね;」

 

エミヤ「カルデアでは何時ものことだ」

 

アルトリアカルテットもそうだがよほどお腹が減っていたのか田中も劣るがたっぷり食べていた。

ちなみにアイリスフィールはイリヤの隣でニコニコと見ていた。

 

イリヤ「え、えっと……」

 

刹那「アイリさん、それだとイリヤが食べれないから;」

 

母親と同じ存在に見られてるのが居心地悪いのか戸惑うイリヤを見て刹那はそう言う。

 

アイリスフィール「あらごめんなさい。ついね」

 

そう言ってイリヤの頭を撫でるアイリスフィールにイリヤは別人だけど自分の母と同じ撫で方に元の世界のを思い出して懐かしむ。

 

イリヤ「あ、そう言えば刹那お姉ちゃん」

 

刹那「ん?」

 

イリヤ「さっき令呪ので私にも来たんだけどあれって何でかな?」

 

刹那「!」

 

するとふとイリヤが思い出して聞くとそう言えばと凛とルヴィア達も刹那を見る。

誰もが気になっていた時にダヴィンチが現れる。

 

ダヴィンチ『それは刹那ちゃんが当てちゃったんだよ』

 

イリヤ「当てたって?」

 

ダヴィンチ『君を』

 

えっ!?と驚くイリヤにダヴィンチは説明する。

 

行く前に戦力を増強しようと刹那は召喚器を使い、新たなサーヴァントを呼び出そうとした所、イリヤが描かれたサーヴァントカードが出現し、あれ!?となった後にもう1回してまた1枚出て、戸惑っていたがええいままよとイリヤのカードを持ったままこっちに来たと言う。

 

刹那「ってことでこれがそれです」

 

イリヤ「わ、私ぃー?!」

 

凛「ちょっと、そっちにもサーヴァントカードあったの!?」

 

そう言って見せたカードのにイリヤは驚き、凛も思わず身を乗り出して聞く。

 

マシュ「こちらのは主にスキルのとか上げるために使うだけでそちらのようには使えません」

 

刹那「種火は直接食べてもらうけどね」

 

それに対してマシュは説明し、刹那の説明にどういうこっちゃと凛達は首を傾げる。

 

刹那「ってことでエミヤ、イリヤちゃんに術種火パフェ一つ!」

 

エミヤ「了解だマスター」

 

イリヤ「た、種火って美味しいのかな?」

 

GOクロ「意外と美味いわよこれ。相性があるけど」バリボリ

 

恐る恐る聞くイリヤにGOクロはそれを見せて食べながら言う。

 

ルビー「ちなみに食感は?」

 

GOクロ「んー、飴を噛み砕く感じね」

 

イリヤ「飴感覚!?」

 

試しに聞いたルビーのに答えたGOクロのにイリヤは飴なのにパフェにするの!?とずれた驚きをする。

 

GOクロ「このまま食べたらね。砕いたりすればパフェにもなるわよ」

 

エミヤ「できたぞ」

 

そんなイリヤの心内を読んでフォローするGOクロの後にエミヤがそれを出す。

一見すると普通のパフェなのに凄い腕前だと凛達は思った。

 

凛「見た目は普通ね……どこに種火使っているの?」

 

エミヤ「盛り付けているクッキーやパフェにかかっているキラキラしているのが種火だ」

 

イリヤ「これが!?」

 

エミヤ「そして最後に種火を溶かして煮詰めたこのソースをかけて……出来上がりだ」

 

名コック過ぎる…と凛達は驚愕し、シロウはすげぇと目を輝かせている中でイリヤは意を決して食べる。

 

イリヤ「お……美味しい……」

 

GOクロ「でしょ?」

 

ほぉぉぉと目を輝かせるイリヤにGOクロはうんうんと頷く。

ある意味エミヤだから出来るんだろうなと刹那は思いつつ食事を続ける。

 

青アルトリア「アーチャー、おかわり!」

 

サンタオルタ「こっちもターキーをおかわりだ!」

 

そう言って要求する2人に君達は本当に限界無いなと呆れながらちゃんとおかわりを用意するエミヤであった。

 

~食事終了~

 

凛「で、これからどうするつもりなの?」

 

刹那「そうですね……」

 

今後の事を聞く凛へ刹那は食後の緑茶を飲んでから言う。

 

刹那「取り敢えずハサンたちに情報収集任せてますから私達は準備とか特訓をした方が良いですね」

 

イリヤ「特訓ですか?」

 

ロマン『そうだね。あの時は刹那ちゃん達が介入したから良かったものの、もしあのままだったら君達はもっとダメージを受けていた可能性も高い。そこの彼もまた刹那ちゃん達が介入していなかったら戦いの負担で元気には動いてなかっただろうね。だからこそジュリアンに対抗するため君や他の人も特訓は必要だろう。特にイリヤちゃんは偶然とはいえ刹那ちゃんが彼女のカードを手に入れた事で繋がっているから伸びると思うよ』

 

そう言う刹那に首を傾げるイリヤへロマンが長々と説明して最後にそう言う。

 

美遊「それにジュリアンはこの聖杯戦争のルールマスター、サーヴァントカードをいくつも作れるから戦力を増やすこともできる」

 

エミヤ「だからこそこちらも強くならないといけないわけだ」

 

刹那「まあ安心してよ。こっちには特訓相手に相応しい英霊たちがたくさん居るし、皆に特訓してもらったら必ず強くなると思うよ」

 

特訓する理由に付け加える美遊のにエミヤは本当に面倒な相手だと呟く中で刹那がそう言う。

 

それにシロウや凛も確かにと頷く。

 

相手もそうだがこちらには本家とも言える英霊達がいる。

 

相手が量で来るなら自分達は質も含めて行けばいいだけの事。

 

刹那「んじゃあ明日から早速特訓だ!」

 

そう宣言する刹那にイリヤもおー!と気合を入れて誰もが頷く。

 

???

 

ジュリアン「クッ!」

 

一方その頃、ジュリアンは苛立ちげに岩山の上に立っていた。

 

原因はエクシアである。

自分の道を阻み、さらに邪魔をすると宣言されたからだ。

 

エクシア『私は美遊ちゃんを犠牲にせず世界を救う方法を見つけてやる!』

 

ジュリアン「何も知らないであんなことを言って……万にひとつ両方を救う手があったとして…世界と美遊。それだけしか救えねぇんだよ……」

 

そう呟いたジュリアンはエクシアの事を考え出す。

 

ジュリアン「にしてもあの数の英霊を従えているあいつは一体……」

 

???「彼女のことが知りたいのでか?」

 

ジュリアン「!?」

 

突如声をした方を振り向くとそこには黒い布で顔まで覆い隠した人物が居た。

 

ジュリアン「なんだ貴様は……」

 

???「ご心配なく。私は貴方の敵ではございません。貴方に伝えたいことがあるとある方の命により参上いたしました」

 

警戒するジュリアンにその人物はそう言う。

 

ジュリアン「俺に伝えたいことだと?」

 

???「はい。貴方の望みを叶えるにあたって大事なことです」

 

ジュリアン「なんだと?」

 

出て来た言葉にジュリアンは思わず近づき、人物は笑いながら言う。

 

???「貴方の望みを叶えるのに聖杯一つでは足りません……。二つ必要なんですよ聖杯が」

 

ジュリアン「二つだと……」

 

出て来た言葉にジュリアンは驚く中で人物は頷く。

 

???「ええ、そうです。そうでなければ貴方の願いは叶わないでしょう……」

 

シュゥウウウウウウウ……

 

そう言うと謎の人物はあっという間に消えていった……。

 

ジュリアン「二つの聖杯か……」

 

成程な…とジュリアンは笑う。

 

ならばと刹那達が持つ聖杯かイリヤスフィールと美遊がいれば事足りると…考えてからアンジェリカとベアトリスに代わる僕が必要だと歩き出す。

 

ジュリアン「(そしてもし奴らの聖杯を奪えなくてももう一つ……イリヤスフィールを使えば……)美遊、イリヤスフィール、束の間の夢を見るがいい……だが決して忘れるな。」

 

そう考えるとジュリアンは手を握りしめながら宣言した。

 

ジュリアン「お前たちは……必ず俺が使う!」




うちのぐだ子設定

エクシア
本名:葵刹那
日本人の少女。エクシアと言うのは某ロボットアニメで自分と同じ名前のキャラが操るロボットの名前でそう呼ばれるのが好き。
運動神経が抜群なのにオタクと言う変わった少女でカルデアのバイト募集を見て、給料等が良かったためにカルデアに入った。
性格は自分より周りを大切にする心優しい人物で人の犠牲を前提とする事を許さない。
だがそれゆえに周りを優先させるために自分を犠牲にするところがある。
趣味はゲームや漫画読書でそのため夜更かしが多く、そのため昼間に寝たりする。時折ふと立ったまま寝たりすることがある。


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第三幕~特訓開始!~

強くなるためイリヤたちはそれぞれ特訓を開始する


木々に覆われてる所、そこをイリヤと美遊は走っていた。

 

イリヤ「斬撃(シュナイデン)!!」

 

美遊「速射(シュート)!」

 

向かって来たスケルトンへとイリヤと美遊はそれぞれ斬撃と砲撃を放つ。

 

スドォォォォォオン!

 

イリヤ「よしっ!」

 

美遊「油断しないでイリヤ。まだまだ来るから」

 

ガチャ、ガチャ、ガチャ、ガチャ

 

倒した事でガッツポーズを決めるイリヤに美遊は注意するとそれを表す様にスケルトンが現れ、スケルトンの攻撃を2人は慌てて避ける。

 

イリヤ「もー!いくら倒してもきりがないよ!」

 

ルビー「いやー、流石は魔術に特化した英霊さんたちが協力して作った特訓場ですね!うじゃうじゃと敵さんが出てきます!」

 

叫ぶイリヤに対してルビーはほとほと感心して言う。

 

さて何故イリヤと美遊が大量のスケルトンたちと戦っているかは少し前に遡る。

 

一時間前

 

イリヤ「特訓箱庭?」

 

メディア「ええ、そうよ」

 

前回から翌日、朝食を食べ終えた後にメディアに呼ばれた美遊とイリヤは見せられたのに首を傾げる中でメディアは説明を開始する。

 

見せられたのはミニチュアなテーマパークを感じさせる箱庭で凄く精巧だとイリヤは思った。

 

メディア「私達が協力して作り出した箱庭よ。貴方達にはこの中で特訓してもらうわ」

 

イリヤ「この中で特訓って……」

 

士郎「どうやって入るんだ?」

 

同じ様に呼ばれていた凛達を代表して聞く士郎にメディアは笑い…

 

メディア「こうやってよ」

 

そう答えるとイリヤ達は吸い込まれる感覚がした後に、別の場所に立っていた。

 

イリヤ「……何処此処!?」

 

美遊「もしかして……箱庭の中?」

 

メディア『ええ、その通りよ』

 

慌てて周りを見るイリヤの後に隣にいた美遊が呟くとメディアの声が聞こえて来る。

 

どうやらこちら側の様子を水晶で見てるとの事だ。

 

イリヤ「あれ?他の皆は?」

 

メディア『他の人たちはそれぞれ箱庭の別の場所に居るわ』

 

その後に他のメンバーがいない事に気づくとメディアがそう答える。

 

美遊「それで特訓ってのは何をするんですか?」

 

メディア『貴方達には……』

 

ガチャ……ガチャ……

 

イリヤ「ふぇ?」

 

音がしたほうを振り向くとそこには大量の骸骨、スケルトンの集団がいた。

 

メディア『まずスケルトン軍団を相手に二人で戦ってもらうわ』

 

イリヤ「えぇぇぇぇぇぇ!?」

 

美遊「この数を……二人で!?」

 

告げられた事にイリヤは驚き、美遊は目を見開く中でスケルトン集団で弓矢を持っていたのが攻撃を開始する。

 

慌てて2人は魔法少女の姿となって避ける。

 

という訳で二人はスケルトン軍団と戦っていたのだ。

 

イリヤ「メディアさーん!一体何体居るのこいつらー!」

 

美遊「確かにこの数は多すぎる……」

 

攻撃しながら聞くイリヤの隣で美遊は顔を顰める。

 

メディア『そうねぇ……150体ぐらいかしら』

 

イリヤ「ひゃ、150体!?アサシンの時よりも多い!?」

 

告げられた数に思わずイリヤは叫ぶ。

 

メディア『だとしてもスケルトンは雑魚みたいなものだから貴女達なら楽勝の筈よ』

 

そう言われましても!と言いつつイリヤと美遊はスケルトンを倒していく。

 

メディア『それに凛達やバゼット達のところと比べたらまだマシな方よ』

 

イリヤ「凛さん達、どんだけハードな特訓してるの!?」

 

美遊「あの……お兄ちゃんとクロの方はどうなっているんですか?」

 

告げられた事に叫ぶイリヤの後に美遊も気になってそう言う・

 

メディア『ああ、あの二人なら……』

 

そんな美遊のに対してメディアは状況を伝える。

 

箱庭~岩山ゾーン~

 

ガキィン!ガキィン!

 

岩山が沢山ある場所で武器と武器のぶつかり合う音が響く。

 

その発生源である武器を振るうクロと士郎は自分達2人を相手にして疲れた様子を見せないエミヤのに呻く。

 

士郎「はあはあ……実力に差が大きすぎる……」

 

クロ「まさか……ここまで強いなんてね……」

 

エミヤ「どうした?まさかこの程度な訳ないだろう?」

 

肩を上下させる士郎とクロにエミヤはそう言う。

 

クロ「それにしても英霊であるあんたはともかく……まさかそっちの私も強いとはね」

 

GOクロ「まあこっちとそっちじゃ戦闘回数が全然違うからねぇ」

 

同じ様に相手を務めるGOクロと自分の違いにそう言うクロへGOクロはそう返す。

 

エミヤ「お前たちには実戦経験が明らかに少なすぎる。だからこそ予想外の出来事に弱いところがあるんだ」

 

GOクロ「例えばあの空間置換とかね」

 

そう言われて2人はうぐぅとなる。

 

確かに2人の指摘通り、士郎とクロは普通な日常を送っていた方が長い。

士郎は士郎で切嗣の助手をしていたが戦いと言うのは無縁であった。

 

エミヤ「さあ特訓を続けるぞ」

 

GOクロ「へばるのはまだまださせないからね」

 

そう言って投影をするエミヤとGOクロに士郎とクロはうへぇとなる。

 

メディア『ってな感じで特訓してるわよ』

 

イリヤ「そ、そうなんだ……」

 

美遊「(いいなクロ……お兄ちゃんと特訓できて……)」

 

状況報告にイリヤはあっちもあっちで大変だなと思う隣で美遊は兄と一緒に特訓してるクロを羨ましがっていた。

 

こっちも頑張らないとなと思った後に凛達の事が気になった。

 

イリヤ「じゃあ凛さん達は?」

 

メディア『あの二人は……』

 

イリヤの問いに凛達がどうなっているかメディアは状況を中継する。

 

特訓箱庭~荒野エリア~

 

凛「ちょっ、これ、マジヤバい!マジヤバい!」

 

ワイバーン「ギャォオオオオオオッ!」

 

必死な顔でルヴィアと共にワイバーンから逃げる凛をジャンヌオルタはくすくす笑ってみていて、マルタはタラスクの上でうわーな顔で見ていた。

 

マルタ「アンタ、ずいぶん容赦なくやってるわね」

 

ジャンヌオルタ「あら、だってあの二人、敵に操られてあまり活躍してなかったんでしょ?なら激しくする方があの2人には良い薬でしょ」

 

そう言うマルタにジャンヌオルタはそう返してワイバーン達にさらに激しくと命令を出して凛とルヴィアをギリギリ避けられる攻撃を放たせていく。

 

マルタ「まあ確かにあの二人がこうだからイリヤさんたちが戦うことになったんですよね……」

 

それならとマルタは言うとタラスクから降りるとワイバーンから逃げる二人の前に立つと……

 

マルタ「はあっ!」

 

スドッ!

 

ルヴィア「グッ!?」

 

現れたマルタに驚くルヴィアへと掌底を放つ。

 

ズドォォォォォオン!

 

凛「ルヴィア!?」

 

マルタ「私が直接鍛えてあげましょう!この拳で!」

 

吹き飛んだルヴィアに叫ぶ凛へとマルタはそう言う。

 

それに凛はええ!?となる。

 

メディア『と言った聖女?コンビにしごかれてるわ』

 

イリヤ「とてつもなくハードだった!?」

 

美遊「狙射(シュート)!」

 

ズドォオオン!

 

2人の状況報告にイリヤは驚く中で美遊はスケルトンを倒す。

 

メディア『あら、今ので75体目のようね』

 

美遊「残り……半分!」

 

イリヤ「それなら一気にぶっ飛ばす!」

 

そう言うメディアのにイリヤはルビーへと魔力を貯めて……

 

イリヤ「極大斬撃(マクスィマール・シュナイデン)!」

 

ズドォォォォォォォォォオン!

 

巨大な斬撃を放ってスケルトン集団を薙ぎ払って行く。

 

それにメディアはほうと感嘆する。

 

メディア『凄いわね、今ので残りの75体を全部倒したわよ』

 

イリヤ「や、やった……」

 

これで終わったとイリヤは思ったが甘かった。

 

メディア『じゃあ次はこいつね』

 

イリヤ「え?」

 

「グルルルルルルル!」

 

告げられた事にイリヤと美遊は呆気に取られた後に唸り声を聞いて恐る恐る見ると…そこには山羊と獅子の頭と蛇の尻尾を持った怪物、キメラがいました。

 

それを見た瞬間、イリヤはあ、さっきの小手調べかと現実逃避をしたくなった。

 

キメラ「ギャォオオオオオオッ!!」

 

美遊「イリヤ!」

 

イリヤ「!ルビー、障壁展開!」

 

ルビー「了解です!」

 

ガキィン!

 

だが、すぐさま美遊の叫びと自身に飛びかかろうとするキメラにイリヤは我に返って咄嗟に魔力障壁を展開してキメラの攻撃を防ぐ。

 

キメラ「ギャォオオオオオオッ!」

 

ピシッ、ピシピシッ……

 

しかしキメラのパワーにより障壁にヒビが入り始めそして……

 

キメラ「ギャォオオオオオオッ!」

 

バリィィィィィイン!

 

イリヤ「嘘ッ!?」

 

障壁は壊れ、イリヤは慌てて距離を取る。

ただ、メディアは咄嗟の行動の速さに行動力は高いわねと呟く。

 

キメラ「ギャォオオオオオオオッ!!」

 

ルビー「障壁を破るほどのパワーとは恐ろしいですね~!」

 

サファイア「美遊様、ここはカードを使った方がよろしいかと」

 

美遊「うん、そうだ……「駄目!」!?」

 

吠えるキメラにうへぇと漏らすルビーに対して美遊へとサーヴァントカード使用を提案するサファイアに美遊は頷こうとしてイリヤの声に驚いてイリヤを見る。

 

イリヤ「カードは駄目!使っちゃ駄目だよ美遊!」

 

ルビー「い、イリヤさん!?」

 

カード使用を拒否するイリヤにルビーも驚きの声を漏らす。

 

イリヤ「これは私たちが強くなるための特訓だからそれでカード使っちゃ駄目だよ!それに……まだ英霊さんたちに聞いてないし!私たちが本当にカードを使って良い資格があるのか!」

 

昨日刹那が言った事、田中の事もあって聞きそびれていたイリヤにとって誰からも聞いていないのにサーヴァントカードを使用するのはダメだと感じていた。

 

だからこそ実力が上だろうとイリヤはカードを使うのは拒否した。

 

ルビー「イリヤさん……」

 

美遊「……分かった。イリヤが使わないなら私も使わない」

 

サファイア「美遊様!?」

 

そんなイリヤの思いを聞き、自分もと取り出そうとしていたサーヴァントカードを仕舞う美遊にサファイアは驚く。

 

イリヤ「ありがとう美遊!」

 

キメラ「ギャォオオオオオオオオオオッ!!」

 

それにイリヤは笑った後にキメラの攻撃を避ける。

 

そんなイリヤの思いに見ていたメディアは成程ねと呟く。

 

美遊「それでどうやってあいつを倒す?」

 

イリヤ「それは……」

 

キメラ「ギャォオオオオオオッ……」

 

どう対処するかで聞く美遊にイリヤが言おうとした時にキメラは山羊の頭の口に魔力を溜め…

 

スドォッ!

 

美遊へと向けて魔力弾を発射する

 

イリヤ「!美遊危ない!」

 

飛んで来る魔力弾にイリヤは咄嗟に美遊を抱き抱えて避ける。

 

スドォォン!

 

放たれた魔力弾の威力で美遊の後ろにあった木が砕ける。

 

それにイリヤは絶対に当たったらいけないと改めて認識する。

 

イリヤ「でも今の使えるかも!」

 

美遊「イリヤ?」

 

キメラ「ギャォオオオオオオッ!」

 

その後に不敵に笑うイリヤに美遊は疑問を感じるがキメラは攻撃を仕掛ける。

 

あのねとイリヤは美遊へと思いついた事を伝える。

 

美遊「……うん、分かった」

 

イリヤ「それじゃあやるよ!」

 

キメラ「ギャォオオオオオオオオオオオオッ!!」

 

イリヤの思いつきに美遊は驚いたがすぐさま賛成し、お互いに頷いた後にキメラが飛びかかる。

 

それを避けた後に2人は機会を伺う。

 

キメラ「ギャォオオオオオオオッ!!」

 

イリヤ「斬撃(シュナイデン)!」

 

美遊「砲射(シュート)!」

 

キメラが飛びかかろうとするときはそれぞれ牽制する。

 

ズドォン!ズドォン!

 

キメラ「ギャォオオオオオ……」

 

それにうっとおしいと感じたキメラは再び山羊の口に魔力を溜め始める

 

イリヤ「今だよ美遊!」

 

美遊「狙射(シュート)!」

 

バシュッ!

 

イリヤの合図とともに美遊は山羊の口にへと魔法を放った。

放たれた魔法は山羊の口に溜めこまれていた魔力にへと命中し……

 

ズドォオオオオオオオオン!!

 

大爆発を起こす。

 

キメラ「ギャォオオオオオオオオオオオッ!!?」

 

その大爆発により山羊の頭は爆散し、キメラはその激痛にもだえ苦しむ。

 

イリヤ「やった!成功した!」

 

ルビー「流石は美遊さん!良い狙撃でしたよ!」

 

美遊「うん。あいつに大ダメージを与えた」

 

それに喜ぶイリヤの後に称賛するルビーへ美遊は悶えるキメラを見る。

 

2人の作戦にメディアはお見事と称賛する。

 

頭の柔軟性や応用力で言うならイリヤが高く、精密に狙う事や型に嵌ったのに長けているのが美遊だとメディアは考える。

 

キメラ「ギャォオオオオオオオオッ!!」

 

すると怒ったキメラが蛇の尻尾で攻撃をし始める。

 

イリヤ「うわっ、蛇っ?!」

 

美遊「!」

 

それに2人は慌てて避ける。

 

ガブっ!シュゥウウウウウウウウ……

 

すると、2人が避けた事で蛇の尻尾が木に噛み付いたのだが蛇が噛んだ木が溶けたのだ。

 

イリヤ「き、木が溶けた?!」

 

ルビー「どうやらあの尻尾の蛇、とんでもない猛毒を持っているようですね~」

 

それに驚くイリヤにルビーは分析すると殺傷力高すぎ!!と叫びながら避ける。

 

キメラ「ギャォオオオオオオオオオオオオッ!」

 

美遊「速射(シュート)!」

 

イリヤ「斬撃(シュナイデン)!」

 

ズドォオオオン!

 

再び噛み付こうとするキメラに美遊とイリヤは攻撃を放ち、蛇の尻尾の口にへと炸裂させる。

 

キメラ「ギャォオオオオオオッ!!?」

 

イリヤ「これでトドメ!極大砲撃(マクスィマール・フォイア)!!」

 

ズドォオオオオオオオオオオオオオッ!!

 

キメラ「ギャォオオオオオオオオォォォォォ………」

 

イリヤが放った巨大な砲撃はキメラを飲み込み、消滅させる。

 

消えたのを見届けてイリヤははぁ…と座り込み、美遊も肩を上下させる。

 

メディア『お疲れ様、少し休憩にしましょうか』

 

その言葉と共にイリヤはあー休めるんだと息を吐き、美遊も表面に出してなかったが疲れが溜まっていたようでイリヤと同じ様に座り込む。

 

その様子にメディアはくすっと笑った後に次はどうしようかと考える。

 

このままモンスターを出しても良いがそれだけではもしもジュリアンが差し向けたカード使いとの相手に苦戦する可能性もある。

 

そう考えてメディアはポンと手を叩いて実行しようと準備を始める。

 

イリヤ「はぁ~ホント倒せて良かった~」

 

ルビー「いや~お二人とも先ほどは良いコンビネーションでしたよ!」

 

深く息を吐いて言うイリヤにルビーは称賛する。

 

美遊自身も笑った後にサーヴァントカードを取り出してイリヤの言葉を思い出す。

 

イリヤ「これは私たちが強くなるための特訓だからそれでカード使っちゃ駄目だよ!それに……まだ英霊さんたちに聞いてないし!私たちが本当にカードを使って良い資格があるのか!」

 

美遊「(カードを使う資格か……)」

 

セイバーの、それもアルトリアのサーヴァントカードを見て、助け出された時のエクスカリバーを放つアルトリアを見て美遊は改めて英霊達の培ってきた重みを感じた。

 

美遊「(私も、認められたい。そして胸を張って行きたい)」

 

イリヤと同じ様に自分も英霊達と話し合う事を決める。

 

メディア『それじゃあそろそろ再開するけど良いかしら?』

 

そう聞くメディアに2人はあ、はいと慌てて答える。

 

メディア『じゃあ再開するわ。次はこれよ』

 

ズズズズズズズ……

 

イリヤ「……え?」

 

美遊「あ、あれって……」

 

「■■■■……」

 

メディアの言葉と共に現れたのにイリヤと美遊は目を見開く。

 

現れた存在はかつて美遊とイリヤが戦った事のあるライダー、メドゥーサであった。

 

なんでと驚く2人にメディアは言う。

 

メディア『それはシャドウサーヴァント。サーヴァントのなり損ないみたいなものよ。宝具は使えないけどスキルは使うから気をつけなさい』

 

イリヤ「シャドウサーヴァント……」

 

ルビー「そう言えばなんか黒い靄に包まれて真っ黒ですねー!」

 

説明にイリヤは呟くとルビーも目の前のメドゥーサを見て言う。

 

シャドウメドゥーサは鎖の付いた短剣を構え、それにイリヤと美遊は構えた後にイリヤはふと思い出す。

 

最初にクラスカードと呼んでいた時の戦いの記憶を…

 

イリヤ「(黒化とはまた違うけどまた戦う事になるなんて…)」

 

美遊「(あの時はカードを使って倒したけど今回は……)」

 

イリヤ「美遊、今回は……」

 

美遊「うん、一緒に倒そう」

 

シャドウメドゥーサ「■■■■!」

 

かつて戦ったライダー、メドゥーサのシャドウサーヴァントと戦うことになったイリヤと美遊。

果たして二人はシャドウサーヴァントを倒すことができるのか?



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第四幕~シャドウサーヴァントを倒せ!~

かつて倒したライダー、メドゥーサのシャドウサーヴァントと戦う事になったイリヤたち。
果たして彼女たちはシャドウメドゥーサに勝つことができるのか?


シャドウメドゥーサ「■■■■!」

 

イリヤ「斬撃(シュナイデン)!」

 

ズドォオオン!

 

吠えて向かって来るシャドウメドゥーサにイリヤは先手必勝と斬撃を飛ばす。

それに美遊も援護と続く。

 

美遊「砲射(シュート)!!」

 

シャドウメドゥーサ「■■■■■!」

 

しかしシャドウメドゥーサはイリヤの放った斬撃をしゃがみ、美遊が放った砲撃をジャンプして避けるとそのまま二人の方にへと飛び掛かる。

 

ズドォオオオン!

 

それをイリヤ達は避けるがシャドウメドゥーサの怪力により先ほどまでいたところが陥没する。

 

黒化英霊と戦った時の思い出して改めてシャドウでもやばいと言うのを感じた後にイリヤは美遊を見る。

 

イリヤ「美遊、気をつけて!」

 

美遊「うん、イリヤもね」

 

シャドウメドゥーサ「■■■!!」

 

お互いにそう交わした後にシャドウメドゥーサの投げる短剣を避けて攻撃を続ける。

聞いてる限り、シャドウサーヴァントは宝具を使えなさそうだからあの時よりは幾分か楽と考えて攻撃をし続ける。

 

シャドウメドゥーサ「■■■■!!」

 

するとシャドウメドゥーサは突如叫ぶと付けていた眼帯を外す。

 

美遊「っ!イリヤ隠れて!」

 

イリヤ「え?」

 

それに美遊は慌てて叫んでイリヤを掴んでシャドウメドゥーサの目の範囲から離れる。

 

イリヤ「ど、どうしたの美遊?」

 

美遊「はあ……はあ……忘れたのイリヤ。……メドゥーサの魔眼のこと」

 

イリヤ「魔眼……あ!」

 

その言葉にイリヤは思い出す。メドゥーサの石化の魔眼のことを……

 

美遊「あれは宝具じゃなくてスキルだから……」

 

イリヤ「そっか。シャドウサーヴァントでも使えちゃうのか……」

 

そう言われて石化の魔眼を解放しているシャドウメドゥーサを見ようとして美遊に見ちゃダメと言われすぐさま速度を落とさずに飛び続ける。

 

止まったらその場で石化されかねないので注意しながら攻撃をしなければいけないなとイリヤは考える。

 

メディア『あらあら、魔眼を発動されちゃったのね』

 

イリヤ「メディアさん!」

 

そんな所にメディアの声が聞こえてくる。

 

メディア『メドゥーサの魔眼、キュベレイは対魔力がC以下の者を石化し、Bでもセーブ判定次第で石化してたとえ石化しなくとも全ての能力を1ランク低下させる「重圧」の負荷を与えるのよ。この効果は距離を置くと薄れるけど、メドゥーサが認識せずとも相手がメドゥーサ認識しただけで石化が始まるかなり厄介なものなのよね』

 

イリヤ「……え?相手がメドゥーサさんを認識しただけで石化が始まるって……」

 

つまり、今シャドウメドゥーサを認識したら確実に石になって終わりになってしまうと言う事にイリヤは顔を青くし、先ほどの美遊の行動がなかったら自分は石になっていたと考えてさらにゾッとする。

 

イリヤ「ってそんなのどう勝てば良いの!?」

 

その後に気づいて叫んだイリヤに美遊も確かにと同意する。

 

認識したら石化するとなるとそれを封じなければならないが見た瞬間にやばいのでどうしようかと悩み…メドゥーサと戦ったペルセウスがどうやって倒したかの伝承を思い出す。

 

美遊「鏡……」

 

イリヤ「え?」

 

美遊「ペルセウスは自分の持っていた鏡の様に輝く盾でメドゥーサ自身を映してメドゥーサを逆に石化させたと言う逸話がある。だから鏡を使えば相手を逆に石化させられるかも」

 

疑問を浮かべるイリヤへと美遊はなぜ鏡と呟いたかを説明してイリヤは成程!と納得し…

 

イリヤ「って鏡なんかどうやって準備するの!?」

 

美遊「……あ」

 

その後に叫んだイリヤのに美遊も気づく。

確かに鏡があればよいが場所が場所だけに鏡のかの字もない。

 

木々が広がるエリアでどう探せば…とイリヤと美遊は焦る。

 

ルビー「ならあそこに行ってみたらどうでしょうか」

 

イリヤ「え?」

 

とルビーが指す方向をイリヤは見るとその方向にはお城のような建物があった。

 

ならば鏡があるとイリヤと美遊は早速飛んで行き、そんな2人をシャドウメドゥーサは短剣に付いた鎖を鞭の様に振るって攻撃しながら追いかける。

 

城エリア

 

城エリアに辿り着いた2人は必死に鏡を探す。

 

ズドォオオオオオンッ!

 

シャドウメドゥーサ「■■■■ッ!!」

 

美遊「速射(シュート)!」

 

ガッシャァアアアアン!

 

シャドウメドゥーサ「■ッ!?」

 

後ろから粉砕音とシャドウメドゥーサの咆哮にイリヤは城が崩れないか冷や冷やしながら鏡を探す。

美遊も足止め出来る様にと途中にあったシャンデリラを通り過ぎ様に後ろに落として接近させない様にする。

 

イリヤ「鏡……鏡……」

 

ルビー「ん~なかなか見つかりませんねぇ」

 

サファイア「!美遊様、あれは!」

 

美遊「!」

 

必死に探すイリヤと美遊にサファイアが何かを発見して美遊へと言う。

 

2人が見た先には輝く鏡があった。

 

イリヤ「あった!」

 

ズドォオオオオオオンッ!

 

シャドウメドゥーサ「■■■■■ッ!!」

 

ルビー「おやおや、敵さんも追いついてきたようですよ!」

 

美遊「イリヤ、相手を見ない様に鏡を回収しよう」

 

鏡に喜ぶイリヤの後に後ろからの声にルビーがそう言う。

 

後は鏡を回収してなのだが美遊は鏡でシャドウメドゥーサを見ないように注意する。

 

なんで?とイリヤは思ったが認識したら石化するというのを思い出して確かに鏡に映ったシャドウメドゥーサを見たらこちらもメドゥーサともども石になりかねないとうんと頷く。

 

シャドウメドゥーサ「■■■■ッ!!」

 

するとシャドウメドゥーサは天井にへと短剣を投げて差し込んだ後に鎖を持って勢いよくジャンプして壁に足を付けた後に蹴って、反動で後ろに振り子の要領で後ろに行くと再び蹴って、前に出ると共に鎖を手放すと勢いのままイリヤと美遊を飛び越えて、彼女たちの前に出る。

 

イリヤ「やばっ!?」

 

ルビー「セイヤッ!」

 

ズブッ!

 

それにイリヤは叫んだ時、ルビーがイリヤに向けて何かを投擲し、不意打ちだったのでイリヤにそれは突き刺さる。

 

イリヤ「痛ぁ――――――!?」

 

美遊「イリヤっ!?」

 

シャドウメドゥーサ「■?」

 

いきなりだったので叫ぶイリヤに美遊もぎょっとなり、シャドウメドゥーサも何をしてるんだ?な感じで警戒している。

 

イリヤ「いきなり何するのルビー!」

 

ルビー「何って石化対策に薬を打ち込んだんですよ」

 

涙目で握り締めるイリヤにルビーはあっさりそう言う。

 

美遊「薬?」

 

ルビー「ええ、認識したら石化するならばそれをしても大丈夫なように対石化のを付ければいいのですよ」

 

と言う訳でと美遊にも同じ様に注射する。

 

それなら早く出しなさいよ~と言うイリヤのを聞きながら注射ので顔を顰める美遊だがこれで大丈夫だと考えてイリヤへ言う。

 

美遊「イリヤ!」

 

イリヤ「うん!」

 

シャドウメドゥーサ「■■■■■!!」

 

美遊がシャドウメドゥーサを攻撃して誘導し、イリヤが鏡へと飛ぶ。

 

イリヤへと向かう攻撃は美遊が全て落とす。

 

シャドウメドゥーサ「■■■■ッ!」

 

ジャララララ!

 

するとシャドウメドゥーサは天井のシャンデリアにへと短剣を投げて巻き付けた後にぐいっと引っ張るとシャンデリラは引っ張られて、天井から引っぺがすとまるで鉄球の様に振り回す。

 

イリヤ「しゅ、斬撃(シュナイデン)!」

 

ガッシャァアアアアン!

 

ルビー「いやはや、飛んでもないパワーですね~」

 

メドゥーサ『本来の私はそんな戦い方しないんですが……』

 

慌てて向かって来たのを切り裂くイリヤの後にそういうルビーに見に来たのかメドゥーサ本人の声がして来てそう言う。

 

イリヤ「あ、メドゥーサさん!」

 

メドゥーサ『確かに私は怪力を持ってますけどそれをあんな形で出すなんて脳筋みたいな感じじゃないですか』

 

気づいて言うイリヤよりメディアへとメドゥーサは文句を言う。

 

青アルトリア『私と戦った時はビル街での空中戦を繰り広げられて苦戦しましたよ』

 

メドゥーサ『でも白兵戦の時は私、瞬殺されたじゃないですか;』

 

同じ様に見ていたのかそう言う青アルトリアのにメドゥーサはそう返す。

 

あっちも大変なんだなと思いながら鏡に近づき手に持つ。

 

イリヤ「えい!」

 

シャドウメドゥーサ「!」

 

そのまま振り返り、シャドウメドゥーサへと鏡を向けて、シャドウメドゥーサは魔眼を発動している自身を認識してしまった結果、石化する。

 

今!と美遊とイリヤは魔力を収束させる。

 

美遊「六連砲射(シュート)!!」

 

イリヤ「双斬撃(ツインシュナイデン)!!」

 

ズドォオオオオオオオン!!

 

同時に放された攻撃はシャドウメドゥーサを粉砕し、消滅させる。

完全に消滅したそれを見た後にイリヤと美遊はへたり込む。

 

イリヤ「た、倒せた……」

 

美遊「はあ……はあ……」

 

お互いに疲れた顔をする中でメドゥーサと青アルトリアの声がする。

 

メドゥーサ『お二人ともお疲れ様でした』

 

青アルトリア『カードを使わないでよく倒せましたね』

 

称賛に美遊とイリヤはお互いに顔を見合わせて喜ぶ。

 

イリヤ「あ、あの!2人に聞きたい事があります!」

 

その後に丁度良いとばかりにイリヤは青アルトリアとメドゥーサにそう言い、言われた2人は顔を見合わせる。

 

青アルトリア『なんでしょうか?』

 

美遊「私たちに貴方がたのカードを使う資格はあるのでしょうか?」

 

真剣な顔で聞く美遊の言葉にアルトリアとメドゥーサは真剣な顔になる。

 

青アルトリア『そうですね…あなた方は私たちの力を使い、どうします?』

 

そう聞き返す青アルトリアにイリヤと美遊は言う。

 

イリヤ・美遊「「大切な人達を守りたい。大切な日常を壊されたくない」」

 

その言葉に青アルトリアとメドゥーサは笑う。

 

青アルトリア『何かを守りたい……それはとても素晴らしいことです』

 

メドゥーサ『そうですね。本来、化物である私の力をそう使ってくれるなんて嬉しい限りの事ですね』

 

2人の目からも分かる決意に青アルトリアとメドゥーサはイリヤと美遊へとそう言葉をかける。

 

イリヤ「それじゃあ……」

 

青アルトリア『ええ、認めましょう。貴方達二人に私とメドゥーサの力を使う資格があるのを』

 

その言葉にイリヤと美遊はやったと思った時、美遊の懐が光る。

それに2人は驚き、美遊は慌てて光るのが何なのか見ると2枚のサーヴァントカードで2枚のカードの縁が下から金色に染まり、完全になるとさらに表側がそれぞれ青アルトリアとメドゥーサの絵柄に変化する。

 

イリヤ「こ、これは……」

 

サーヴァントカードの変化にイリヤと美遊は驚いたがカードと繋がっているサーヴァントにも認められたんだと感じて感動して涙が出る。

 

メディア『それじゃあ今日はこれぐらいにしときましょうか』

 

そんな2人の様子に微笑ましそうにメディアはそう言う。

 

衛宮家~居間~

 

凛「し、死ぬかと思った……比喩とかそういうの無しで」

 

テーブルに突っ伏しながらそう呟く凛の隣でルヴィアは自慢の縦ロールが崩れているが特訓の激しさで口から魂が抜けかけている為に直せずにいて、その様子にイリヤと美遊はどんだけハードだったんだろうと冷や汗を掻く。

 

士郎とクロもあっちも大変だったんだなとお茶を飲みながら心の中で呟く。

 

そんな2人を担当していたジャンヌオルタとマルタはやり切ったな顔をしていた。

 

バゼット「」死ーん

 

刹那「バゼットさ~ん、大丈夫;」

 

また、バゼットもルヴィアと同じ感じかそれ以上でそんな彼女を担当したプロトクーフリンとクーフリンのWクーフーリンも同じように突っ伏しており、逆にスカハサは物足りなさそうな顔をしていた。

 

そんな師匠のにキャスニキはやれやれな感じで肩を竦めていた。

 

キャスニキ「(解析チームに加わってたお陰で助かった……)」

 

戦闘も出来るがキャスターである自分では流石に師匠の相手はきついので桜にかけられたのを調べるチームに入っていたが本当に良かったとキャスニキはうんうんと内心頷く。

 

刹那「救護チーム、出動!」

 

アイリスフィール「はーい♪」

 

流石にバゼット達の状態がやばいので刹那は叫び、アイリスフィールとやれやれと一応回復できるマルタも続く。

それを見届けてからふうと息を吐いた後に刹那はカードを見て話しあっているイリヤと美遊を見て笑う。

 

エリザ「あら、子リス達の特訓は終わったようね」

 

刹那「あ、エリザベート」

 

そこに最近設置した召喚サークルにより召喚された通常のエリザベートが来る。

 

エリザ「終わったんならこれから子リス達に」

 

ハロウィンエリザ「アタシ達アイドル三人が!」

 

ネロ「特別ライブを披露しようではないか!」

 

刹那「……え”?」

 

そんなメンバーを見てエリザベートはそう言い、それにハロウィンエリザとネロがのっかるのに刹那は固まり、他のサーヴァントメンツもガタッとなり、倒れていたクーフーリン達もガバッと起き上がる。

 

イリヤと美遊もネロのはともかく助けに来てくれた際にハロウィンエリザのを見ていたので顔を青くする。

 

刹那「ちょ、ちょまっ……」

 

エリザ「んじゃ始めるわよ!私たちの特別ショーを骨の髄まで味わいなさい!」

 

ズアアアアアアアアアアアアアアアッ!!

 

「ギャァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!?」

 

止めようとするが止められず、衛宮邸は絶叫に包まれた。

 

ダビデ「一言…言おう…これは…あかん…」

 

刹那「そ……そうだ……ね……ガクッ」チーン

 

そう言うダビデに刹那も同意して気絶する。

 

誰もが意識を失ってたり、アイリスフィールはニコニコしながら見てたり、あっぶなと音をシャットしたのか無事で見ているルビーや美遊様すいませんとつい自分を優先してしまい謝るサファイヤの中で歌った3人は満足そうに笑う。

 

一方である場所では……

 

???「で美遊様を連れて帰ればいいんですか?ジュリアン様」

 

ジュリアン「ああそうだ。もしできたらイリヤスフィールと聖杯も奪ってこい」

 

目の前に立つ2人の人物へとジュリアンは頷いてそう言う。

 

???2「面倒だけど仕方ないですねぇ……」

 

???「こら、エペナ。ジュリアン様の前でなんてことを!」

 

めんどくさそうにぼやくのに最初に返事したのが叱る。

 

ジュリアン「別に良い。それより頼んだぞ二人と……」

 

「少しお待ちください。ジュリアン様」

 

ジュリアン「!」

 

そこに前にジュリアンの前に現れたフードを纏った人物が現れる。

 

???「な、何者ですか貴方は!」

 

ジュリアン「貴様は……あの時の奴か」

 

???3「ええ、申し遅れて申し訳ございません。私はアロケルと申します」

 

身構える人物に制止しながら問うジュリアンにフードを纏った人物は名乗る。

 

ジュリアン「でアロケル。貴様何のようで来た?」

 

アロケル「いえいえ、そこの御二人にこれをお渡そうと思いまして」

 

そういうとアロケルは懐から一枚の黒いカードを取り出す。

 

ジュリアン「それは?」

 

アロケル「お助けアイテムとでも思ってくれれば結構です。これを掲げ、出でよ!優秀なる使い魔よ!その力で我らを助けよ!と宣言すれば優秀な使い魔が召喚される便利なものです」

 

聞くジュリアンにアロケルは口元を笑わせながらそういう。

 

ジュリアン「ほぉ……そうか。アビゲイル、それ持っていけ」

 

アビゲイル「はい、ジュリアン様」

 

警戒しながらアビゲイルはアロケルからカードを受け取る。

 

ジュリアン「では改めて頼んだぞ二人とも」

 

はっ!と2人は答えて歩き出す。

 

戦いに向けて特訓するイリヤ達、そんなイリヤ達へと刺客が向かう。



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第五幕~襲撃~

ついに現れし新たなドールズ
彼女たちの襲撃を果たして刹那達は撃退できるのか……



刹那「えっと……まだ話してくれないの?」

 

ベアトリス「ああ、そうだ!誰がジュリアン様の計画を話すか!」

 

前回から翌日、イリヤ達の世界の子ギルにより捕縛されたベアトリスとアンジェリカにジュリアンの事について取り調べしているのだが全然話さないので参ったなとぼやき、見張りをしている佐々木小次郎と風魔小太郎と刹那の子ギルも腕を組み、もう1人食事係と言う事でいる藤太も心底忠誠を誓って居るのうと呆れる。

 

アンジェリカ「…………」

 

刹那「こっちについては会話さえもしてくれないし困ったな;」

 

ベアトリス「にしてもテメェ、」

 

黙秘を貫くアンジェリカに困ったなと刹那は呟くとベアトリスが話しかけて来る。

 

刹那「ん?」

 

ベアトリス「なんであいつらの手助けをするんだ?」

 

心底疑問だとばかりなベアトリスのに刹那は答える。

 

刹那「そりゃあ、友達だからのと、あなた達の主人のやり方が気に入らないからだよ」

 

ベアトリス「テメェ……ジュリアン様の計画の何処が気に食わねぇんだよ?!」

 

刹那「美遊ちゃんを犠牲にしようとしているのとあとあの黒化英霊たちと泥のようなの使っていることだよ」

 

怒気を纏わせて睨むベアトリスに刹那もそう返す。

世界を救う位なら好きにすればいいが1人の少女を犠牲にしなおかつ英霊達の力だけを好き勝手に使うなどと言うのが英霊と接してきた刹那には許せなかった。

 

刹那「それにあの泥のような物を使っている時点でおかしいと思うし……」

 

青アルトリア「確かにあの泥は人類を滅ぼす最悪の災害ですからね」

 

そう言う刹那に一緒にいて泥の事で詳しい青アルトリアも顔を顰めて言い、エミヤも腕を組んで頷く。

 

刹那「ただ気になるのはあの箱とあの女の子だよね」

 

エミヤ「そうだな……あの箱は一体何なんだ?」

 

その後に排出していたのといた少女について刹那は呟き、エミヤも思い出してアンジェリカやベアトリスへへと問おうとしたその時

 

ズドォオオオオオオオオン!!

 

刹那「な、なに!?」

 

いきなりの衝撃に誰もが驚き、見張り役を残して刹那は青アルトリアとエミヤと共に向かう

 

衛宮家~玄関前~

 

刹那「んなっ?!」

 

ゾロゾロ……ゾロゾロ……

 

到着するとそこには海魔の大群がおり、先にいたランスロットやセイバーリリィにフェルグスやベディヴィエールにガウェインが中心となって戦っていた。

 

ランスロット「Arrrrrrr!!」

 

リリィ「はああぁっ!」

 

フェルグス「ふんっ!」

 

刹那「皆、大丈夫?!」

 

ベディヴィエール「マスター!」

 

エミヤ「一体何だこの海魔の大群は?!また術ジルが暴走したのか!?」

 

術ジル「それは濡れ衣ですぞ!それにこやつらは私が召喚した海魔ではない!」

 

安否を聞く刹那の隣でその光景に思わずそう言うエミヤへと術ジルは怒って弁解する。

一応ランスロットを除いてリリィ達にとっては相性的な意味では悪い相手で技量でカバーしてなんとかしてる相手だが誰が召喚したかが気になる。

 

「おほほほ!どうでしょうか私の海魔たちは!」

 

刹那「!?誰!」

 

エミヤ「上だマスター!」

 

突如聞こえた声に誰もが驚く中でエミヤの言葉に刹那は上を見るとそこには円盤に乗った二人の少女が居た。

 

1人はジルの様な服を纏った白銀の縦ロールな少女

 

もう1人は緑髪のショートカットの少女で見覚えのある服を纏っていた。

 

誰もがすぐさま少女たちが何者なのか察して構える。

その中で刹那が少女たちへと言葉をかける。

 

刹那「君たちは誰!?」

 

???「おや、申し遅れました。私はアビゲイルと言います。使用英霊はキャスターのジル・ド・レェ」

 

刹那の問いに片方いた少女が名乗りあげてそう言う。

 

アビゲイル「んでこっちは……」

 

???「エペナ……使用英霊は……面倒だから言わない」

 

テンションを上げているアビゲイルだが相方のに思わずつんのめる。

 

アビゲイル「ってエペナ?!」

 

刹那「面倒だから言わないって;」

 

なんでそこ乗らないの!な感じで詰め寄るアビゲイルや詰め寄られるエペナを見て刹那は冷や汗を掻く。

 

イリヤ「であの円盤ってもしかして……」

 

エレナ「私の宝具、金星神・火炎天主(サナト・クマラ)ね」

 

その後にイリヤがアビゲイル達が乗っているUFOが見覚えあるので言おうとしてエレナが引き継いで言う。

 

イリヤ「エレナさん!」

 

凛「え、何?あれ宝具なの!?」

 

そんなエレナのに凛は驚いて聞き、士郎やルヴィアも凛と同じなのかうんうんと頷く。

 

エレナ「ええそうよ。私の宝具金星神・火炎天主(サナト・クマラ)はかつて金星より来訪した神性であり、地球創造神の一柱である護法魔王尊(サナト・クマラ)の力を一時的に再現する神智学の奥義よ」

 

凛「いや奥義ってアレ……普通にUFO(未確認飛行物体)じゃない!?」

 

そう説明したエレナに凛はビシッと指して言い、だよなと士郎とルヴィアはますます同意する。

 

エミヤ「でサーヴァントカードを持っているという事はお前たちはドールズか!」

 

アビゲイル「ええそうですわ。ジュリアン様の命により美遊様と貴方達が持っている聖杯、あとイリヤスフィールを頂きにまいりました」

 

イリヤ「わ、私も!?」

 

出て来た言葉にイリヤは驚く。

 

美遊や刹那達のも分かるが自分もというのも驚きなのだ。

刹那「なぜイリヤちゃんも!?」

 

アビゲイル「どうやらジュリアン様の計画で聖杯が二つ必要になりましてね。そのために貴方方の聖杯と予備としてイリヤスフィールが必要になったのです」

 

エミヤ「ジュリアンは美遊だけではなくイリヤも使おうというのか?!」

アビゲイルが答えた事にエミヤは驚きながらもイリヤの前に立つ。

同じ様に士郎も美遊の前に立ち、青アルトリア達も守る様に陣形を取る。

 

アビゲイル「さあ海魔たちよ!我らが主ジュリアン様のために美遊様とイリヤスフィール、そして聖杯を奪いなさぁい!」

 

ゾロゾロゾロゾロ!!

 

マシュ「海魔の大群、来ます!」

 

刹那「皆!行くよ!」

 

「はい!/おう!」

 

刹那の号令と共にサーヴァント達は海魔を迎え撃ち、ライダーであるマルタとドレイク、アストルフォとメドゥーサとサンタオルタがアビゲイル達へと向かう。

 

イリヤ「あれ?なんでライダーさんたちばっかりが?」

 

刹那「あ、そういえば言ってなかったけどサーヴァントにはクラス相性ってのがあってね」

 

美遊「クラス相性?」

 

アビゲイルへと向かったメンツを見て呟くイリヤへとそう答える刹那のに美遊は首を傾げる。

 

刹那「うん。セイバーはアーチャーに弱く、ランサーに強い。アーチャーはランサーに弱く、セイバーに強い。ランサーはセイバーに弱く、アーチャーに強いってのがあって、それでキャスターはライダーに弱いからあのメンバーにしたんだよ」

 

エミヤ「と言ってもクラス相性があっても必ずしも勝てるというわけではないからな」

 

説明する刹那の後にそう付け加えたエミヤはホントにと数々の特異点での戦いを思い出す。

 

その間にマルタは杖を振るって魔力弾をアビゲイルへと飛ばす。

 

現状を考えるに海魔はアビゲイルが出しているので彼女を優先的に止めた方が良いと考えてだ。

 

アビゲイル「うぉ!?ちょっと、ちゃんと回避行動してくださいエペナ!」

 

エペナ「避けるの面倒……」

 

ドレイク「おいおい、どんだけ面倒くさがりなんだよあんたはよ!」

 

ズガガガガガガガガッ!

 

慌てて避けて文句を言うアビゲイルにエペナはそう言うとドレイクが銃で攻撃する。

 

アビゲイル「ちょ、今かすりました!?かすましたよ?!」

 

エペナ「うるさいな……あまりうるさいと落とすよ?」

 

乱射された弾が頬掠った事で焦るアビゲイルにエペナは不機嫌そうに言う。

 

コンビネーション悪いなとアスフォルトは呆れる。

 

エペナ「こういう時にこそあのアロケルからもらったカードを使えばいいじゃないの……」

 

アビゲイル「そ、そうでしたわ!」

 

エペナの言葉にアビゲイルは危ない危ないとカードを取り出す。

 

その際エペナの口から出た名にロマンは驚く。

 

ロマン『アロケルってまさか!?』

 

アビゲイル「えっと確か……出でよ!優秀なる使い魔よ!その力で我らを助けよ!」

 

その間にアビゲイルは呪文を言うとカードが輝く。

 

それと共に何かが現れる。

 

それはかつてロンドンにて対峙したジャックに似たその存在はマルタ達へと襲い掛かる。

その存在を調べたロマンは驚く。

 

ロマン『これは……気をつけて!そいつはジャックとほとんど同じ霊基を持った悪魔だ!しかも宝具も使えるようだ!』

 

ドレイク「ゲッ!?それはヤバいね?!」

 

その言葉を聞いたドレイクは冷や汗を流す。

ロマンの言葉が正しいのならドレイクたちにとって不利なアサシンである。

ならば次に刹那の取る行動はそれに対抗するための相手を行かせることだ。

 

刹那「イリヤちゃん、あの子の相手をお願い!」

 

イリヤ「え?私!?」

 

まさかのお願いにイリヤは驚く。

 

他のキャスター面々はサポートや防衛に回っているので動けないのだ。

 

刹那「アサシンはキャスターに弱いの!だからお願い!」

 

イリヤ「わ、分かった!やってみます!」

 

そう言う刹那にイリヤは頷いて変身して向かおうとし…

 

刹那「あ、それと宝具くらったら肉塊になっちゃうから気をつけて!」

 

イリヤ「うぇええええええええええ?!」

 

その後のにイリヤは顔を青くして叫ぶ。

 

そりゃあいきなり食らったら肉塊になると言われたらイリヤの反応は当然だと思う。

 

刹那「ジャックの宝具、解体聖母(マリア・ザ・リッパー)はある三つの条件を満たすと対象を問答無用で解体された死体にする恐ろしい宝具なんだよ!」

 

凛「なんなのよその恐ろしい宝具は?!」

 

どうしてそうなるかの理由を言う刹那に凛は驚く。

 

刹那「しかもこれが一撃必殺な上に回避不能、防御不能、対処不能というものついているからマジでやばいんだよね;」

 

ルヴィア「なんですかそのチート宝具は?!卑怯すぎますわ?!」

 

刹那「だからこそ条件が厳しいんだよねこの宝具」

 

思わずそう言うルヴィアに刹那は顔を顰める。

 

気になったので士郎がおずおずと聞く。

 

士郎「ちなみにその条件って?」

 

刹那「相手が女って事と霧が出ていて時間帯が夜って事の三つ」

 

イリヤ「あ、なら今なら大丈夫だね;」

 

ルビー「良かったですねイリヤさん!」

 

来てイリヤとルビーはほっとした後に気を取り直してリッパーを見る。

 

リッパー「貴方は殺してはいけないので……両手両足を切り落としてでも捕まえる」

 

イリヤ「ちょっ!?それグロい!それグロい!」

 

そう言うリッパーのにイリヤは叫ぶがリッパーは気にせず襲い掛かる。

 

リッパー「はあっ!」

 

イリヤ「うわっ!?」

 

そう言うと斬りかかってくるリッパーの攻撃をイリヤは避ける。

いくら相性では有利とはいえ、リッパーは手練れ、イリヤどうやれば勝てるのか必死に避けながら考える。

 

イリヤ「(まずは相手の特徴をよく見ないと……)」

 

攻撃をしながらもイリヤは注意深くリッパーを観察する。

 

そこに刹那にイリヤのサポートを頼まれたのかロマンがアドバイスする。

 

ロマン『イリヤちゃん!ジャックのスキルが運が良ければ先手が取れ、さらに回避ができるスキル『霧夜の殺人(A)』と大戦終了後に相手から自身の情報を消したり、相手の強化を解除するスキル『情報抹消(B)』と治療のスキル『外科手術(E)』を主に使う!』

 

ルビー「つまり、下手な強化では簡単に解かれて、攻撃もタイミングよく当てないとダメージを与えられない可能性があるって事ですか?」

 

そう言う事とロマンはルビーの解釈を肯定してイリヤは言われた通りにタイミングを見る。

 

ロマン『その通りだ。それに宝具の方も条件が満たなくても発動すれば女性に大ダメージを与えるから気をつけて!』

 

イリヤ「は、はい!」

 

アビゲイル「ちょ、リッパー!こっちの援護もしてください!こっちはキャスターなので近距離には向いてないんですよ?!」

 

そんなリッパーへとライダー組の攻撃を必死に避けさせながらアビゲイルが呼びかける。

ライダー組を倒すため的な感じで呼び出したのにイリヤの方に行ってるからアビゲイル的に全然役目を果たしていないのだ。

 

リッパー「おっと、忘れてた」

 

シュッ!

 

イリヤ「き、消えた!?」

 

それにリッパーはそう言うと姿が消え、イリヤは驚いているとアビゲイルを攻撃していたドレイクは海賊の勘で咄嗟に銃で盾の様にするとリッパーの攻撃が銃に当たる。

 

ガキィン!

 

ドレイク「おっと、危ないねぇ」

 

顔を笑っているが冷や汗を伝わせながらそう呟いたドレイクにリッパーは再度攻撃しようとして、手が空いたので援護に来たハロウィンエリザベートの攻撃を避ける。

 

ハロウィンエリザ「はあっ!」

 

リッパー「チッ!」

 

イリヤ「斬撃(シュナイデン)!」

 

リッパー「!」

 

ハロウィンエリザのを避けた所にイリヤの攻撃が飛んで来てリッパーは避けきれず攻撃を受けて受けた所を抑える。

 

リッパー「っ!」

 

玉藻「みこーん!」

 

怯んだ所にさらに駆け付けた玉藻が追撃し、リッパーは顔を歪めながら避ける。

 

リッパー「邪魔!」

 

ズバッ!ズバッ!

 

玉藻「みこっ!?」

 

その後に玉藻の投げたお札を切り裂き、さらに玉藻を攻撃し、玉藻は避けるが服の袖部分が斬られる。

 

イリヤ「斬撃(シュナイデン)!」

 

バシュッ!

 

リッパー「チッ!」

 

イリヤ「大丈夫ですか!?」

 

玉藻「袖を切られただけですから心配ありませんよ」

 

攻撃をして距離を取らせてから聞くイリヤに玉藻は笑って言う。

 

リッパー「チッ、やっぱり数の差が出るか……」

 

アビゲイル「それならもっと海魔を出すだけですわ!」

 

そう言うとアビゲイルは螺湮城教本を取り出し、開くと次々と海魔たちを召喚していく。

 

青アルトリア「っ、まずいですね……」

 

一方で迎え撃っていた青アルトリアは顔を顰める。

 

海魔はクラスで言うとアーチャーでセイバーである青アルトリア達には厳しい相手である。

だがなんとか来させない様にしていたのはひとえに青アルトリア達の実力があってだろう。

すると槍が1体の海魔を貫き、槍オルタリアが現れる。

 

ステイニキ「オラァ!」

 

ズバッ!

 

続けざまに他のランサー組が駆けつけて次々と倒していく。

 

槍オルタリア「いいタイミングだったか?」

 

青アルトリア「ああ、ばっちりのタイミングだ」

 

そう聞く槍オルタリアに青アルトリアはそう返してから最近召喚されたエリザベートへと顔を向ける。

そこではエリザベートが宝具を放そうとしていた。

 

ダビデ「退避退避!色んな意味で退避!!」

 

凛「あの殺人兵器宝具が来るわよ!」

 

イリヤ「うえぇえええ?!」

 

それにダビデが真っ先に叫び、凛も慌てて、イリヤも敵の前とはいえ離れて、耳を塞ぐ。

 

アビゲイル「な、なんですか?」

 

エペナ「?」

 

それにアビゲイル達は首を傾げる中でエリザベートは笑う。

 

エリザ「サーヴァント界最大のヒットナンバーを、聞かせてあげる!鮮血魔嬢(バートリ・エルジェーベト)!!」

 

ズァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!

 

歌声(咆哮)が迸り、それに海魔以外にアビゲイルとリッパーにもダメージを与える。

 

アビゲイル・リッパー「「ギャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!?」」

 

2人の絶叫声にあーやっぱ誰にも聞くなーと刹那は考えた後にん?と違和感に気づく。

エペナと呼ばれた少女の声が聞こえないからだ。

 

エペナ「…………良い歌ね」

 

「…………え”?」

 

絶句、誰もがエペナの言葉にそう表現するしかなかった。

しかもそれを聞いたエリザベートやハロウィンエリザベートも嬉しそうに目を輝かせる。

あ、これは倍増するわとロビンフットは悟る。

 

エリザ「アンタ!今アタシの歌、良いって言ったわね!?」

 

エペナ「うん、言ったよ。こう言う歌、寝るときとかによく聞くからね」

 

寝れるの!?と誰もが思う中でエリザベートとハロウィンエリザベートはうっしゃあと気合を入れる。

ああ、これ普通にあかんわとロビンはさらに悟る。

 

ハロウィンエリザ「なら次はアタシの歌を聴きな」

 

刹那「やめて?!これいじょうは双方全滅しちゃうから!?」

 

流石にこれ以上やると相手もそうだが自分達の耳も死にかねないので刹那は必死に止める。

えーとハロウィンエリザベートやネロも残念がり、君も加わろうとするなとエミヤに叩かれる。

 

リッパー「ぐっ……」

 

ルビー「イリヤさん!今のうちに!」

 

イリヤ「うん!双砲撃(ツインファイア)!」

 

ズドォオオオオオオオオオッ!

 

相性はともかくダメージを受けたのは確かなのでそう言うルビーにイリヤは頷いて砲撃を二発同時に放つ。

 

リッパー「しまっ!」

 

それにリッパーは避けようとするが間に合わずに直撃する。

 

バシュッ!

 

リッパー「グォオオオオオオオオッ!?」

 

パリン!

 

断末魔を上げてリッパーは鏡が割れる様な音と共に消滅し、アビゲイルが持っていたカードも消滅する。

 

エペナ「あ、やられた」

 

それにエペナがあっさり言う中で海魔達も殲滅されてアビゲイル達だけになる。

 

エペナ「海魔たちも全滅しちゃったし……アビゲイルも気絶してるし今日はここ等へんで帰ろうかな」

 

ふうと隣で気絶しているアビゲイルを見てからエペナはふわーと欠伸してからUFOを動かして退散していく。

それを見届けてイリヤははぁ…と座り込む。

 

イリヤ「な、なんとか……撃退できたね」

 

青アルトリア「そうですね。ですがきっとまたやって来るでしょう」

 

そう言うイリヤに青アルトリアはそう言う。

 

ロマン『それにしてもアロケルか……まさか魔神柱が関わってくるとはね』

 

その中でロマンは厳しい顔で呟く。

確かにと刹那も腕を組む。

ジュリアンに協力していると言う事はこの世界の人理崩壊を狙っている可能性が高い。

 

刹那「(まさかイリヤちゃんか美遊ちゃんを使って人理崩壊を起こすつもりかな?)」

 

もしそうなるとジュリアンは知らされずに利用されている可能性も高い。

 

刹那「これはますます大変なことになってきたな……」

 

そう呟く刹那だったが彼女は知らなかった……

もうすぐ、カオスの事件が起きると言うことを……

 

凛「それにしても敵に此処がバレたのはマズイわね……」

 

そんな刹那の隣で凛が困った感じでぼやく。

確かに相手側は分かんないのにこちらの場所が判明させられている今、大勢で攻めてくる可能性があるのだ。

 

エミヤ「確かにそうだが拠点を移すにしても移す場所がないからな……」

 

青アルトリア「困りましたね……」

 

同じ様に困った顔でそう言うエミヤと青アルトリアに誰もがどうしようかと考えたりする中でメディアはまたやるの大変なんだけどなとぼやいたりもしていた。

 

ルビー「あの~ルビーちゃんに妙案があるんですが」

 

イリヤ「なんか思いついたの?ルビー」

 

するとルビーがフワフワ浮いて注目を集めてそう言う。

誰もがルビーを見たのを見てルビーはコホンと咳払いして言う。

 

ルビー「皆さんでカルデアに行くってのはどうでしょうか!」

 

刹那「……え?」

 

イリヤ「私達が……」

 

美遊「カルデアに……」

 

凛「移動ですって!?」

 

ロマン『ちょ、ちょっと待った!?そんなことできるのか!?』

 

出て来た提案にロマンも驚く中でダヴィンチがああ、出来そうだねと呟く。

 

イリヤ「ちょっ!?どうやってやるのルビー!?」

 

ルビー「ほら、私たちがサーヴァントカードをクラスカードと呼んでいた時にやっていた鏡面界へ行くときのプロセスでカルデアに行く様にすれば良いんですよ」

 

ダヴィンチ『彼女の言う通り、こちらの座標を教えておけばやれると思うよ。それに美遊嬢や石化した子の安全を考えると案外カルデアに連れて来た方が得策かもね』

 

驚いて聞くイリヤにルビーはそう言い、ダヴィンチの付け加えに確かにと考える。

 

マシュ「なるほど……確かにそれなら安全ですね」

 

エミヤ「魔神柱の奴らもカルデアのある場所までは知らないから確かに安全だな」

 

それにマシュとエミヤも同意して、刹那もそれが良いかなと考える。

 

ルビー「では準備をしたら早速出発しましょう!」

 

それに誰もが頷く。

誰も見てない事を注意しつつ準備する中で刹那はあっ!?と気づく。

修業の時から田中を忘れていたと言う事実に…

 

刹那「田中さーん!?何処ー!?」

 

その言葉に誰もがあっ!となり、慌てる中で不満そうな田中の声が衛宮邸から聞こえてくる。

 

田中「田中を忘れないでくださぁ~い!」

 

一同「……本当にすいません」

 

出て来た言葉に誰もが謝るのであった。

 

二時間後

 

刹那「さて準備は終わった?」

 

田中に謝り倒してから必要なものを選び転移の準備が出来た中で刹那は確認する。

 

ちなみにベアトリスやアンジェリカは耳を塞いだり目隠しをされている。

万が一を考えて相手側に教えないようにするためである

 

ルビー「ではいきますよ~!」

 

その言葉と共にルビーとサファイアが輝き、一同の姿は消える。

しばらくしてイリヤ達は目を開けると先ほどまでとは違う建物の中にいた。

 

イリヤ「こ、此処が……」

 

美遊「刹那さんたちが住んでいるというカルデア……」

 

ダ・ヴィンチ「ようこそ、カルデアへ!」

 

驚きながら周りを見るイリヤ達へとダ・ヴィンチが声をかける。

その隣にはロマンもいる。

 

イリヤ「あ、ロマンさん!」

 

ロマン「こうやって直接会うのは初めてだね」

 

刹那「確かに通信でしか会ってなかったもんね;」

 

気づくイリヤへと笑って言うロマンに刹那は思い出して言う。

確かにイリヤはロマンとは通信で介してしか話してないからだ。

そしてロマンは凛達へと顔を向ける。

 

ロマン「改めてロマニ・アーキマンと言う。改めてよろしくね」

 

凛「ええ、これからよろしく頼むわ」

 

ダ・ヴィンチ「皆の部屋はすでに用意してあるから案内するよ」

 

改めて挨拶するロマンに凛が代表で返すとダ・ヴィンチがそう言ってこっちだよと案内する。

それを見届けてから刹那は良し!と気合を入れて召喚器の所へと向かおうとする。

 

召喚ルーム

 

刹那「もうそろそろイベント始まる時期だからその為にも新しい仲間ゲットするぞ~!」

 

ある意味メタイとも言える事を言いながら刹那は召喚の為に必要な石を取り出して召喚器にセットする。

 

キュィィイイイイイイイイン!ピカァー!

 

刹那「……うぇ?」

 

何が出るかなと期待していた刹那はその光り方と現れたカードに描かれたシルエットのに思わず声が出て、たまたま通りかかって覗き込んでいたジャンヌオルタもえっ?となる。

 

ジャンヌ「サーヴァント、ルーラー、ジャンヌ・ダルク。お会いできて本当に良かった……」

 

刹那「じゃ、ジャンヌゥウウウウウウウウウウウウウウウウウウウ!?」

 

ジャンヌオルタ「ハァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!?」

 

予想もしていなかったサーヴァントのに刹那とジャンヌオルタは叫び、ジャンヌはえ?え?と戸惑う。

 

マシュ「ど、どうかしたんですか先輩!」

 

そこに声を聴いてかマシュが駆けつけ、さらに案内して貰っていたのかイリヤ達も来る。

刹那に駆け寄ったマシュはジャンヌに気づく。

 

ジャンヌ「あ、マシュさん!お久しぶりですね!」

 

マシュ「じゃ、ジャンヌさん?!まさか先輩、引き当てたんですか!?」

 

笑顔で言うジャンヌにマシュは驚きながら刹那を見て刹那はうんと頷く。

驚いていたジャンヌオルタもどういう運してるのよと漏らす。

 

ちなみにこの後、刹那は別の事でまたも叫ぶ事になるが…それは次のお話である。



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第六幕~ハロウィン・カムバック!超極☆大かぼちゃ村~そして冒険へ……~ with魔法少女Ⅰ~

ある日、ロマンから緊急ミーティングと聞かされた刹那達
しかしそれはあのカオスな冒険の始まりだった……


刹那「緊急ミーティング?」

 

突如告げられた事にジャンヌの為の種火集めをしていた刹那は首を傾げる。

 

まだ第7の特異点の発見とジュリアン関連の事については時間がかかると言われていたのだが何か問題が発生したのだろうかと刹那は考えながら手伝って貰っていたイリヤと共に向かう。

 

レイシフトルーム

 

青アルトリア「あ、マスター」

 

刹那「青アルトリアたちも来てたんだね」

 

そこには先ほどまで種火集めをしていた自分とイリヤにランスロットとエミヤに呼びに来たマシュ以外のメンツが揃っており、誰もが緊急のに首を傾げる中でマシュがロマンへと聞く。

 

その間に刹那はメンバーを確認してエリザベート2人とニトクリスにロビンなど何人かいない事に気づく。

 

刹那「なんか何人かのサーヴァントたちが居ないね」

 

イリヤ「そう言えば……」

 

ロマン「それでは、ブリーフィングを始めよう!」

 

呟く刹那にイリヤも気づいて言うとロマンがハイテンションで言う。

 

マシュ「ドクター、いつになくテンション高いですね?」

 

ルビー「何かいいことでもあったんですか~?」

 

ロマン「…………」

 

そんなロマンの様子に指摘するマシュとルビーにロマンは無言になった後…

 

ロマン「……それでは、ブリーフィングを始めよう!」

 

刹那「……怪しい……」

 

さっきのはなかったかの様にして2回言うロマンに刹那は鋭い目を向ける。

 

ロマン「おやおやどうしたんだい刹那ちゃん、その鋭い眼差しは」

 

いや、普通に向けると思うと凛達は心の中でツッコミを入れる。

 

ロマン「ははは、疲れているのカナ?でも世界を救うためだから頑張ってほしいんだ!」

 

フォウ「フォウ……」

 

マシュ「フォウさんが何やら疑念の眼差しでドクターを見始めました。……何か隠していること、ありますか?ドクター」

 

エミヤ「と言うかなぜ職員の皆が私たちを取り囲んでいるんだ?!」

 

そう言うロマンだが小動物であるフォウも刹那の様に見て、マシュも追従し、エミヤも周りを見て言う。

 

確かにエミヤの言う通り職員達がスタンバイしている。

 

ロマン「実は……微妙な特異点の発生が確認されてね。当然ながら放置することもできない。君たちには調査と修正作業をお願いしたいんだ」

 

刹那「それっていつものことだよね?」

 

マシュ「は、はい。わたしも先輩も皆さん状態は万全です。特に任務に支障はないと思いますが―――」

 

そう言うロマンに刹那は言い、マシュも疑問を持って言う。

 

ロマン「ブリーフィングは終わったし、早速向かってもらわないとね!」

 

イリヤ「うぇ?!」

 

青アルトリア「待ってくださいロマン。レイシフト先が何処かまだ知らされてないのですが!」」

 

だが、そんな2人のを無視して推し進めるロマンにイリヤは驚き、青アルトリアが慌てて聞く。

 

ロマン「おっといけないいけない。こんなところに資料が落ちていた」

 

するとわざとらしくロマンは資料を落としてそれを拾い上げる。

 

ロマン「えーと、レイシフト先だけど……これはどう読むんだったっけなー。えーと確かえーと…………」

 

そんなロマンの行動にいやーな予感を刹那達は感じる。

 

ロマン「……チェイテ城……」

 

そしてそれは的中し、ロマンの口から出て来た名前に刹那達はげぇぇぇぇぇぇ!?となり、そんな刹那達に凛達はえ?え?と戸惑う。

 

ロマン「だったかな!よし!分かったね!それじゃあ出発だ!」

 

フォウ「ドフォーウ!?」

 

エミヤ「しまった!?もうそんな時期か!?」

 

青アルトリア「あ、もう何人か逃げてますし!?」

 

ネロ「む?なぜ逃げる必要があるのだ?」

 

ハイテンションで推し進めるロマンにフォウは目を見開き、エミヤは絶叫し、青アルトリアはさっきまでいた数人のサーヴァントが逃げているのに気づき、気づいてないネロは首を傾げる。

 

マシュ「ドクター!?今、聞き捨てならない城の名前を言いませんでしたか!?」

 

刹那「よし、みんな解さ……ってほとんどいねぇ?!」

 

叫ぶマシュの後に刹那も言おうとしてエミヤとアルトリアカルテットとネロにまだ来て浅いジャンヌとイリヤ達(GOクロ除く)以外もういない事に気づく。

 

エミヤ「マスター!私達も早くここから立ち去らなければ!」

 

刹那「う、うん!」

 

マシュ「はい!何だか嫌な予感しかしないので本日は自主的な休暇という事で!」

 

こちらも早く逃げる事を提案するエミヤに刹那とマシュは頷く。

 

イリヤ「あの~皆さん。何をそんなに慌てているんですか?そもそもチェイテ城ってなに?」

 

ルビー「イリヤさん知らないんですか?チェイテ城ってのはエリザベートさんが住んでいたお城なんですよ」

 

刹那達へとなぜ嫌がるのかに首を傾げる。イリヤへとルビーはそう言う。

 

イリヤ「そっかー、エリザベートさんの住んでいたお城なんだ……ってエリザベートさん!?」

 

士郎「あ、他の皆が逃げた理由がなんかわかった!」

 

ルヴィア「こ、これは私たちも逃げた方がよろしいのでは!?」

 

納得した後に叫ぶイリヤの後に士郎は顔を青ざめて、ルヴィアがそう言う。

 

ロマン「そうはさせるか!職員諸君!スクラムだ!」

 

カルデア職員s「応ッ!」

 

ガシッ!ガシッ!ガシッ!

 

するとロマンの号令と共にカルデア職員たちがスクラムを組んで残ったメンバーを逃げ出せない様にする。

 

イリヤ「うえぇ?!」

 

ロマン「世界を救った暁には君たちの給与体系の見直しも図られるだろう!レオニダスと共に学んだ筋トレの成果を今こそ発揮する時だ!」

 

マシュ「ひ、卑怯ですよドクター!?」

 

フォウ「フォウゥゥ!」

 

それにイリヤは絶叫する中でロマンが職員たちへとそう言い、マシュとフォウは批難の声をあげる。

 

ロマン「それいくぞー!クラウチ・バイング・セット!乗り込ませろ――――――――!!」

 

カルデア職員s「オ―――――――――――――!!」

 

ズダダダダダダダダダダ!!!

 

そんな批難の声に介せずロマンの号令の元、職員達によりそのまま勢い良くメンバーをレイシフト装置へと押し込んでいく。

 

マシュ・イリヤ「「きゃ―――――――!!?」」

 

刹那「おのれ、ドクター!まさかラスボスだったなんて!死んだら化けて出てやるからなー!?」

 

ロマン「ちょっと!?どさくさ紛れに悪質なデマを流さないでくれるかなあ!?」

 

押し込まれる中でそう叫ぶ刹那にロマンは心外だ!と言う声をあげる。

 

ロマン「さあともかく出発だ!」

 

クロ「あっちの私!マジ恨むわよ!!」

 

美遊「こ、これは大丈夫なのかな;」

 

サファイヤ「大丈夫ではないかと;」

 

そう叫ぶロマンにクロは一足先に逃げたもう1人の自分に叫び、顔を青ざめる美遊にサファイヤはそう言う。

 

ロマン「ええと、その……今年もエリザベートに付き合ってあげてくれ!要するにライブはちゃんと聴いてあげてね!アイドルはノリが悪いと寂しくて泣いちゃうから!」

 

エミヤ「ちゃんと聴いたら私達は死ぬぞ!?」

 

士郎「マジ横暴じゃないですか!?」

 

そう言うロマンにエミヤと士郎は叫ぶ。

 

ロマン「ほら、ボクのサイリウムも分けてあげよう!ではでは強制レイシフト、スタート!」

 

凛「それ何の慰めにもならないわよ!!」

 

指示するロマンへと凛が叫んだ後に刹那達は強制的にレイシフトさせられて目的の場所へと送られるのであった。

 

墓場

 

マシュ「…………」

 

青アルトリア「…………」

 

エミヤ「…………」

 

刹那「来ちゃたかー…………」

 

広がる光景を見て刹那はメンバーを代表して口を開く。

 

マシュ「はい、レイシフト成功ですね……。フォウさんもついて来てくれたようです」

 

フォウ「フォウ……」

 

疲れた感じに鳴くフォウの鳴き声は今のメンバーの言葉を代弁していた。

 

マシュ「ドクターとの通信は……大丈夫のようですね。ドクター、レイシフト成功しました」

 

その後にマシュは不満たらたらにロマンへと通信を繋げる。

 

マシュ「あとで覚えておいてください。絶対仕返ししますので」

 

ロマン『忘れてくれると嬉しいかな……。それはともかく状況はどんな感じだい?』

 

エミヤ「此処は……墓場のようだな」

 

そう言うマシュのにそう返すロマンの問いにエミヤは周りを見て言う。

 

青アルトリア「取りあえずロマンへのリベンジは後にしてひとまず先に進みましょうマスター」

 

刹那「うんそうだね」

 

マシュ「あれ?」

 

そう提案する青アルトリアのに刹那は同意するとマシュが戸惑った声をあげる。

 

刹那「ん?どうかしたのマシュ」

 

マシュ「あ、すみませんマスター。確か去年ここに来たときは既にゴーストが森を闊歩していたような」

 

そう言われて刹那は周りを見て、前に来た時のを思い出す。

 

刹那「あ、そう言えばそうだね」

 

マシュ「それにここは墓場なのにゴーストが見当たりませんね……どうかしたのでしょうか?」

 

ロマン『む、何か反応があるぞ。君たちのすぐ近くだ』

 

フォウ「フォウ!」

 

そして当てはめて刹那は同意し、マシュは首を傾げるとロマンがそう報告する。

 

ブゥゥゥゥゥゥぅン

 

マシュ「えーと……虫ですね。ハロウィンとは全然関係ありませんが墓場に居ては迷惑が掛かりますのでサクサクと退治しましょう!」

 

刹那「うん、そうだ……あっ!?」

 

そう言うマシュのに刹那は頷こうとして声をあげる。

 

エミヤ「どうかしたのかねマスター?」

 

刹那「ヤバい;メンバーの中にアサシンクラス居ない;」

 

マシュ「そ、そう言えば!ここに居るのはセイバーが三人、ランサーが一人、アーチャーが一人、キャスターが一人、ルーラーが一人、シールダーが一人、ライダー一人でアサシンとバーサーカーのクラスのサーヴァントが一人も居ません!?」

 

話しかけたエミヤに答えた刹那のにマシュも気づいて現状いるサーヴァントのクラスと人数を言う。

 

マシュが言ったのに士郎とクロや凛達が含まれていないのはサーヴァントではないからだ。

 

ルビー「一応アサシンのサーヴァントカードありますけどまだ話してないのでないも同然ですね。こりゃあ参った」

 

刹那「こうなったら青アルトリアがジャージと帽子を着用し、聖剣二刀流のアサシンになるしか……」

 

青アルトリア「それは無理ですマスター!?」

 

エミヤ「どうやら私達だけでこいつらを排除しないといけないようだな」

 

ブゥゥゥゥゥゥゥン

 

状況が状況だけにそう言う刹那に青アルトリアがツッコミを入れ、アーチャーが言うと同時に虫たちが襲い掛かる。

 

凛「あぶなっ!?」

 

ルヴィア「この!ガンド!!」

 

襲い掛かってきた虫たちの突進を避けて凛とルヴィアはガンドを放つ。

 

バゼット「はぁっ!」

 

シュン!シュン!シュン!

 

バゼットは手刀で次々と虫を潰していく。

虫たちは高速で動くがバゼットの動体視力とスピードには敵わなかったようだ。

 

イリヤ「砲撃(フォイア)!」

 

美遊「速射(シュート)!!」

 

ズドォオオオン!

 

続いてイリヤと美遊も続いて虫たちを倒して行き、士郎もエミヤとクロと共に夫婦剣を投影して戦い、イリヤ達のその様子に刹那はうーん、この自分の孤独感としみじみ思っていた。

 

刹那「(やっぱり私もなんか武器あったほうがいいのかなぁ……今度ダ・ヴィンチちゃんに頼んでみよ)」

 

うん。そうしようと考えているとマシュが最後の虫を切り裂いた所であった。

 

マシュ「ふぅ、戦闘終了です。一通り掃討しましたので大丈夫でしょう」

 

エミヤ「ひとまず近くの街に出てみないかマスター。サーヴァントの妨害がある可能性は高いが……」

 

刹那「うん、そうしようか」

 

戦闘終了を告げるマシュの後に提案するエミヤに刹那は了承した後にため息を吐く。

 

刹那「報酬は特等席のライブかぁ……心折れそうだな……」

 

マシュ「マスター、挫けないでください;」

 

イリヤ「あの~、去年はそんなに大変だったんですか?」

 

ぼやく刹那を励ますマシュへとイリヤは恐る恐る聞く

 

刹那「大変も何もなかったよあれは……」

 

エミヤ「確かに…去年は突然来た手紙で此処に来て、んで着いたらキャスターとなったエリザベートがいて、最終的には狭い部屋で歌を聞かされる結果になったもんな…」

 

ジャンヌ「た、大変だったんですね本当に;」

 

遠い目をする刹那と思い出して言うエミヤにジャンヌは冷や汗を掻く。

 

マシュ「大丈夫です。今回も一緒に付き合います!マスターとサーヴァントは一蓮托生です!」

 

刹那「マシュ……」

 

そう言うマシュに刹那は本当に良い子だねと頭を撫でて、マシュもくすぐったそうにする。

その際イリヤはマシュから犬耳と尻尾が見えた気がした。

 

マシュ「どうにかミッション続行のモチベーションを取り戻してくれましたね。良かった……」

 

青アルトリア「では早速街に向けて進みましょう」

 

安心するマシュに青アルトリアはふっと笑って言い、誰もが同意して歩き出す。

 

???「…………」

 

フォウ「フォウ……?」

 

リリィ「ん?どうかしたんですかフォウさん?」

 

するとリリィの肩に乗っていたフォウが耳をぴくんとさせ、それにリリィが気づいて話しかける。

 

サンタオルタ「……まさか……」

 

刹那「皆……走れぇ――――!!」

 

そんなフォウの反応に刹那は叫んで真っ先に走り出す。

 

イリヤ「うぇ!?いきなり全力ダッシュ?!」

 

マシュ「ま、待ってください、マスター!マスター!」

 

それにイリヤ達も慌てて追いかける。

 

???「はくちょ!……ク、こっそり霊死埠頭(れいしふと)は成功したようだな。ふふふ……恐れおののくがいい……へちょ!」

 

そんな一同を見てからその人物は言おうとして可愛いくしゃみをする。

 

???「……しかし冷える……西洋の山がこんなに寒いとは……困ったな……やや薄着すぎか吾?」

 

首を傾げた後にその人物は刹那達の後を追いかける。

 

そしてその人物の後ろを……

 

???2「ハロウィンはあっちなのかしら?」

 

???3「行ってみよ!」

 

可愛らしい二人の人物が付けていたのをその人物も刹那達もこの時知らなかった。

 

 

刹那「あ、あれ?」

 

しばらくして、街に辿り着いた刹那達は見えてきた光景に知っていた刹那達もそうだがイリヤ達も驚く。

 

青アルトリア「街の様子が……」

 

美遊「ハロウィンになっていない……!?」

 

そう、美遊の言う通り街にはハロウィンの飾りなどがされておらず、しかも街は静かであった。

 

これには刹那達は戸惑いを隠せず、首を傾げながらバゼットが聞く。

 

バゼット「これはどういうことでしょうか?確かハロウィンを開催している時期の筈なんですよね?」

 

マシュ「は、はい。その筈なんですが……」

 

エミヤ「一体何が起きているんだ?」

 

なぜハロウィンが行われてないのか戸惑うマシュの後にエミヤも呟く。

 

どうしようかと士郎も周りを見て酒場が目に入る。

 

士郎「取り敢えずあそこで話を聞いてみない……」

 

刹那「…………」

 

早速士郎は提案しようとして開いた口が塞がらない感じになっている刹那に気づいてぎょっとする。

 

青アルトリア「どうかしたのですか?マスター」

 

刹那「し、城が……」

 

マシュ「城と言うとチェイテ城がどうかしたのです……え?」

 

気づいて同じ様に話しかける青アルトリアのに震えながら指さす刹那にマシュや他のメンバーも城を見て…絶句した。

 

なんと言う事でしょう…お城が見えるのですが……その天辺に…逆様になったピラミッドが刺さっているではないでしょうか

 

その光景に誰もが言葉が出ない中でバゼットが言う。

 

バゼット「な、なんですかあのピラミッドは!?」

 

ネロ「おお!エリザの奴、まさかあんなものまで用意するとは……今回のライブ楽しみだな!」

 

エミヤ「いや、あれはどう見ても彼女が用意したものじゃないぞ!?」

 

士郎「確かに下の城が崩れているしな;」

 

目を輝かせて言うネロにエミヤはツッコミを入れて、士郎も同意する。

 

マシュ「あのチェイテ城がこんなになっているなんて……一体なにがあったんでしょうか?」

 

士郎「それに聞く為にも丁度あっちに酒場があるよ」

 

刹那「んー、とりあえずその酒場で情報収集してみようか」

 

戸惑うマシュに士郎はそう言い、刹那はそう言ってから一同は士郎が見つけた酒場へと入る。

 

酒場

 

マタ・ハリ「いらっしゃーいってあらマスターじゃないの!」

 

刹那「マタ・ハリ!?こんなところで何しているの!?」

 

入るといつも着ているのとは微妙に違う服を着たマタ・ハリが出迎えて、刹那は驚いて聞く。

 

マタ・ハリ「何って副業よ。此処のマスターをしているの」

 

刹那「そ、そうなんだ;」

 

エミヤ「それでマタ・ハリ、君ならあのチェイテ城の事やこの町の様子の事を知っているんじゃないか?」

 

そう答えるマタ・ハリに刹那は知らなかった…と呟く中でエミヤが入る前に見たピラミッドや街の様子について聞く。

 

マタ・ハリ「そうそう、あのピラミッド。ある日突然に本当に唐突に落っこちてきたの。ピラミッドの中には女王様とそれに仕える騎士たちが居てね……ハロウィンを禁止しちゃったのよ。困るわよねー」

 

イリヤ「は、ハロウィンを禁止!?」

 

困った感じに答えられた事にイリヤは驚く。

 

青アルトリア「それはつまり……」

 

刹那「ライブが中止になるってこと!?」

 

エミヤ「いや違うだろマスター!?」

 

言おうとした青アルトリアを遮った刹那のにエミヤはツッコミを入れつつ、確かにそれなら聞く事はないだろうがと考えつつ、マタ・ハリに続きを促す。

 

マタ・ハリ「それでその女王様からお触れがあってね。『妾の治政に不服がある者、あるいは一獲千金を夢見る無謀かつ野蛮な者よ、このピラミッドに挑むが良い』……ってのが出たの」

 

凛「一獲千金!?」

 

ルビー「あ、元マスターはお金の方に行きますか」

 

続けて出て来た言葉に凛は後者の方に反応してルビーはやれやれと羽を動かす。

 

マタ・ハリ「だからこの街ではあのチェイテピラミッドに挑もうとする勇者を募集しているのよ」

 

刹那「なるほど、それで……」

 

戦士「おー!やってるぞー!ピラミッドの財宝で一獲千金じゃー!」

 

騎士「防備は私に任せたまえ君たち!」

 

僧侶「魔術師募集中!僧侶ゆえ、物理で癒しますぞー!」

 

盗賊「へへ、扉や宝箱は俺に任せな!」

 

遊び人「やってやる!やってやるぞ!」

 

聞いて刹那は血気盛んな理由に納得する。

 

その中の1人がフラグ立ててないと思ったのは内緒である。

 

色々と政治よりお宝の方がメインねとクロはその様子から呆れる。

 

マシュ「なるほど……道理で活気がある訳です。色んな国から色んな人が集まっているのですね――――」

 

???(装備:ひろってくださいの看板)「…………」

 

そう言って周りを見ていたマシュは見てしまった。

 

酒場の一角で首にひろってくださいと書かれた看板をぶら下げた……某龍の探索で出た様なビキニアーマーを纏った……見覚えのある少女を……

 

エミヤ「…………」

 

青アルトリア「…………」

 

マシュ「…………マスター?」

 

刹那「……気づかない……フリをするんだ……」

 

捨てられた子犬の様な感じでいる少女に誰もが気づき、無言になる中、マシュは指摘しようとして刹那はそう言う。

 

???(装備:ひろってくださいの看板)「(パァァァッ……)」

 

エミヤ「駄目だマスター、気づかれてる。物凄くキラキラした目でこっちを見ているぞ!」

 

ルヴィア「凄く見てますわ。もう心の底から喜びを見せながら見てますわ」

 

だが少女は刹那達に気づき、先ほどまで一転、嬉しそうに顔を明るくする。

 

???(装備:ひろってくださいの看板)「子ジカ!!ねえ、子ジカってば!!」

 

サンタオルタ「気づかれたな」

 

マシュ「は、走りましょう、マスター!」

 

刹那「よし走ろう!」

 

士郎「なんでさ!?」

 

声をかける少女に呟くサンタオルタの後にそう言ったマシュのに了承する刹那に士郎は思わず叫ぶが一同は酒場の外へと駆け出す。

 

???2「…………」

 

その際誰かとすれ違うが気にせずに走る。

 

???「待ってよ!!ねえ、待ってってば―――――!」

 

マシュ「お、追いかけてきました!あと今どなたか知り合いがいたような……!」

 

エミヤ「今はそれどころではないだろ!」

 

後ろからの声にそう言うマシュのにエミヤはそう返す。

 

???「待っでええええええええええええええええええええええええ!!」

 

マシュ「マスター!マスター!」

 

刹那「な、なに!?」

 

だんだん涙声になって来たの中でマシュは刹那へと話しかける。

 

マシュ「じょ、条件反射的に逃げてしまいましたがせめて事情は聞いてみてもいいのでは?!」

 

イリヤ「あ、確かに!?」

 

ロマン『そ、そうだよー!間違いなく特異点の一因なんだろうから!』

 

そう言うマシュのにイリヤも気づいて、ロマンも同意する。

 

刹那「マシュの言う通りなんだけど足が……」

 

エミヤ「ああ、足が勝手に動いてしまうんだろう。気持ちは分かる」

 

そう言う刹那にエミヤはうんうんと頷く。

 

ズコッ!

 

???「転んじゃったじゃないの痛いじゃないの!置いていかないでよおおおおおお!(泣)」

 

ジャンヌ「マスター……その……後ろからべそをかく声が……」

 

刹那「…………」

 

後ろからこける音の後のびえぇぇぇぇぇぇん!と言う泣き声とジャンヌの目に刹那は罪悪感が強くなってピタっと止まり…

 

刹那「さよなら鼓膜……」

 

マシュ「はい……戻りましょう」

 

自分の耳にさよならを告げて刹那達は戻った。

 

ぐすぐすと泣いている少女にリリィとジャンヌは手を差し出す。

 

リリィ「大丈夫ですか?」

 

フォウ「フォウ!フォウ、フォウ!」

 

???「ちょっと何よこっちは傷心中なのよ……って子ジカ――――!!」

 

リリィが代表で声をかけると少女は刹那を見て喜ぶ。

 

???「も、もう、何よ!やっぱり聞こえていたんじゃない!」

 

イリヤ「あー……それについてはすいません」

 

ぷんすか起こる少女にイリヤが代表で謝る。

 

???「嬉しくないわよ!むしろこれだけ不安にさせたので罰を与えるべきよね!」

 

マシュ「……エリザベートさん……ですか?」

 

そう言う少女にマシュは改めて聞く。

 

???「忘れちゃったの!?このアタシこそ、珠玉の歌姫(ディーヴァ)、千年に一人の逸材と謳われた才能(タレント)の塊――――勇者エリザベート・バートリーよ!!」

 

フォウ「フォバー!?」

 

イリヤ&凛&ルヴィア&美遊&クロ「「「「「勇者!?」」」」」

 

それを聞いて少女、もとい勇者エリザベートは剣と盾を持ってポーズを取って名乗りあげる。

 

名乗りを聞いてどう言う事!?とイリヤ達は驚く。

 

ブレイブエリザと呼んだ方が良いのかねぇ…とエミヤは呟く。

 

刹那「また新しいのか……ランエリちゃんとハロエリちゃんはどうしたの?」

 

ブレイブエリザ「何その略称!?……あの二人ならもう居ないわ。今はアタシの心の中で生きているの」

 

頭を抑えながら聞く刹那のにブレイブエリザはツッコミを入れた後に悲しそうに言う。

 

イリヤ「え?居ないって……」

 

ブレイブエリザ「具体的に言うと合体したわ」

 

凛「……はあ!?」

 

フォウ「フォウ……」

 

マシュ「フォウさんがサーヴァント離れしてる、と驚愕の面持ちです……ってマスター!?」

 

刹那「Orz」

 

あっさり言われた事に凛は驚き、フォウのをマシュが代弁した後に刹那が手と膝を地面に付けているのに驚く。

 

まぁ、仕方ないなと前例のない事にエミヤは神妙な顔で刹那に頷く。

 

刹那「金のランサーとバスターキャスターは貴重なのに…………」

 

エミヤ「そっちか!?いやまぁ、言いたい事は分かるが;」

 

だが出て来た言葉にツッコミを入れた後にううむと唸る。

 

マシュ「し、しっかりしてくださいマスター?!」

 

~マスター励まし中~

 

なんとかマシュの励ましにより立ち直った刹那を含め、一同はブレイブエリザからどうして今の状況になったかを聞いた。

 

マシュ「なるほど、要するにエリザベートさん×二人は女王という方のせいでチェイテ城を追い出された訳ですか」

 

ブレイブエリザ「そう、その通り。これでもう分かるわよね?道半ばにして挫折した二人のためにアタシはやらなければならないことがあるの」

 

纏めるマシュのにブレイブエリザは頷いて真剣な顔で言う。

 

エミヤ「つまり、もう一度――――」

 

ブレイブエリザ「その通り!アタシのライブ会場をブッ潰したあの忌々しいピラミッド!あれを打倒して中の女王を倒すのよ!それがこの勇者エリザベートの使命なの!」

 

刹那「今回はこういう方向性できたか……」

 

イリヤ「どうりで酒場に冒険者さんたちがいっぱいいたんですね;」

 

気合を入れるブレイブエリザのに刹那は困った顔で呟き、イリヤも何とも言えない顔で言う。

 

「居たぞ!取り囲め!」

 

マシュ「……!」

 

すると騎士の集団が現れてメンバーを取り囲む。

 

ロマン『おっと、なんだなんだ!?あれは……』

 

リリィ「エリザベートさん、こちらの方々は?」

 

ブレイブエリザ「く、女王の手下どもね……!気をつけなさい、全員それなりに強いから!」

 

驚くロマンの後に聞くリリィへブレイブエリザはそう答える。

 

女王騎士A「我らは女王に仕える騎士。ハロウィンを粛清するために戦う者」

 

女王騎士B「ハロウィンを口に出したり、やりたがった者は例外なく街からの追放または労働刑を命ずるものとする!」

 

???「…………」

 

マシュ「そんな、酷い……!」

 

ルヴィア「(ん?誰かいた様な?)」

 

一同へと向けてそう言った言葉にマシュは顔を顰める中でルヴィアはチラリと見えたのに首を傾げる。

 

青アルトリア「とんでもない悪政をしいていますね」

 

女王騎士C「そしてこちらの娘は……その……公序良俗に不適切な格好をしていると通報が……」

 

フォウ「フォー;」

 

刹那「あー……;」

 

青アルトリアも顔を顰めると女王岸の1人がブレイブエリザを指して言葉を選んで言った事にフォウと刹那は思わず納得する。

 

そりゃあファンタジーゲームならともかく、リアルでブレイブエリザの恰好はそう言われても仕方がないもんだ。

 

ブレイブエリザ「違うわよ!?どこからどう見ても勇者じゃない!勇者でしょ!?」

 

女王騎士A「コホン。さあともかく追放か労働かどちらか選んでもらうぞ!」

 

訂正するブレイブエリザのをスルーして女王騎士の1人が咳払いしてからそう言う。

 

ブレイブエリザ「もうアンタたちを恐れる気はないわ!さ、子ジカ!戦うわよ!」

 

エミヤ「待った。せめて何故ハロウィンを禁止するのか教えてもらえないだろうか?」

 

女王騎士A「それは……その……女王の命令であるからだ!」

 

それに戦闘態勢を取るブレイブエリザを制止てエミヤは質問し、女王騎士は言葉が詰まったがそう答える。

 

マシュ「では女王に理由を――――」

 

女王騎士A「あの世界最高の麗しさを誇る女王にお伺いなどを立てられるか!申し訳ないが拘束させて頂こう!」

 

ブレイブエリザ「上等よ!このアタシのライブを邪魔するなら相手が誰でも粉砕してやるわ!掛かってきなさい!」

 

続けてマシュがそう聞くが突っ張られて、女王騎士達が構えるのにブレイブエリザも剣と盾を構える。

 

マシュ「仕方ありません。ひとまず行きます!マスター!」

 

リリィ「あのところで……さっきからチラチラとどなたかいらっしゃいませんかね?」

 

???「…………」

 

戦うしかないと感じてそう言うマシュの後にリリィが先ほどから気になっていた事を聞く。

 

サンタオルタ「今はそれどころではない。後にしろリリィ」

 

バゼット「サンタさんの言う通りですね」

 

リリィのにサンタオルタはそう言ってバゼットも同意した後に騎士達が襲い掛かり、刹那達は応戦に入る。



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第七幕~ハロウィン・カムバック!超極☆大かぼちゃ村~そして冒険へ……~ with魔法少女Ⅱ~

女王騎士との闘い、城を目指す事になった刹那達、森で待ち受けていたのは…


前回、再びエリザベートのハロウィンライブに(強制的に)招待された刹那達は訪れた街にて、なぜハロウィンが行われていないかをマタ・ハリから聞いた後、奇跡な融合をしちゃって誕生したブレイブエリザと合流し、女王騎士との闘いを始めた。

 

クロ「食らいなさい!」

 

シュババババババババッ!

 

女王騎士A「クッ!」

 

先手必勝とクロは剣を複製して女王騎士へと向けて射出し、向かって来たのを女王騎士は盾で防ぐとバゼットが接近する。

 

バゼット「フンッ!」

 

ドゴッ!

 

女王騎士A「グァ!?」

 

女王騎士B「はぁっ!」

 

胸にパンチを叩き込んだ所に別の女王騎士が剣を振り下ろす。

 

バゼット「!」

 

気づいたバゼットは咄嗟にしゃがんでから転がって距離を取る。

 

女王騎士B「大丈夫か!?」

 

女王騎士A「あ、あぁ……」

 

バゼット「あの騎士たち、なかなか硬いですね」

 

声をかける女王騎士達を見ながらバゼットはパンチを叩き込んだ際の感覚からそう呟く。

 

エミヤ「それがあの騎士系の特徴だ」

 

マシュ「第六特異点の時はホント苦労しましたよあの硬さには;」

 

バゼット「なるほど。ならばさらに力を込めて殴れば…」

 

脳筋過ぎやしませんかねぇ…と説明したエミヤとマシュのを聞いてのバゼットの返しに刹那はそう思う中でブレイブエリザの方を見る。

 

ブレイブエリザ「やぁあああああ!」

 

ブンブンブンブン!

 

こちらはほとんど我武者羅に剣を振るっており、無茶苦茶な剣技が女王騎士達を近寄れない様にさせていた。

 

イリヤ「す、凄い滅茶苦茶に振り回していますね;」

 

エミヤ「まあ剣なんて今まで使ったことないだろうからな」

 

迎撃しながらその様子を見ていたイリヤは冷や汗を流す中でフォローしていたエミヤはなんとも言えない顔で返す。

 

振り回していたのは槍なのだから仕方がない。

 

ブレイブエリザ「うっとおしいわね!こうなったら必殺技で決めてやるわ!」

 

美遊「必殺技ってまさか…」

 

刹那「ほ、宝具?!」

 

苛立ちげにそう言ったブレイブエリザのに誰もがやばいと思った時…

 

ブレイブエリザ「La~♪」

 

全体に響くのではなく、絞ったようなソニックボイスが女王騎士Aへと炸裂すると女王騎士Aは動きを束縛される。

 

ブレイブエリザ「ゲット!鮮血竜巻魔嬢(バートリ・ブレイブ・エルジェーベト)!」

 

ギュィィィイイイイイイイイン!ズガガガガガガガガガガガガッ!

 

そのまま拘束した女王騎士Aへとブレイブエリザは高速回転をしながら突撃して強烈な突きを炸裂させる。

 

女王騎士A「ほあああああ!?」

 

ドカァァアアアアアアン!!

 

ブレイブエリザ「また伝説を作ってしまったわ!」

 

爆発を背にして、ブレイブエリザはそう言う。

 

女王騎士B「た、たいちょぉおおおおおおおおおおお!?」

 

刹那「す、凄い;」

 

凛「イレギュラーすぎるわよ…」

 

それに女王騎士Bは絶叫し、刹那も絶句する中で凛がそう言う。

 

なんか爆発する際のネタが入ってたなと刹那は場違い的な事を考えていた。

 

女王騎士A「ふ、不覚……!!撤退!撤退である!!」

 

爆発の中から無事ではないが生きていた先ほどの別の騎士の発言から隊長と思われる女王騎士がそう言うと騎士達は慌てて去っていく。

 

マシュ「どうにか撤退させましたが……皆、一方ならぬ技量の持ち主でした」

 

エミヤ「彼らほどの騎士が心酔する女王……一体何者だろうな」

 

ロマン『特異点修正のためにも会いに行かねばならないだろうね』

 

撤退していく女王騎士達を見てそう述べるマシュにエミヤは呟き、ロマンも神妙な顔で言う。

 

ブレイブエリザ「さ、子ジカ。もちろん協力してくれるわね!」

 

刹那「『刹那たちが、仲間になった!』」

 

そう聞くブレイブエリザに刹那はネタで返し、ご丁重にルビーがメッセージウィンドウ的な何かを出して見せている。

 

ブレイブエリザ「…………よ、良かったぁ……」

 

イリヤ「泣く程!?」

 

それにブレイブエリザは涙を流して、イリヤは驚く。

 

ブレイブエリザ「ありがとう……アタシってば感激も感激よ。今すぐ歌い踊りたいくらいに」

 

青アルトリア「それは結構です。さあ出発しましょう!!」

 

そう言ったブレイブエリザに青アルトリアはばっさり切って言い、他の面々もうんうんと頷く。

 

ブレイブエリザ「即答!?……まあいいわともかく!勇者エリザベートの伝説が今ここから始まるのよ!見てらっしゃいあの魔女め!」

 

そう言ってブレイブエリザは剣を掲げてそう言う。

 

勇者ブレイブエリザの冒険がはじまった!

 

美遊「ところでどうして酒場であんな看板を?」

 

それを見てから美遊は最初に見た状態のになっていたか質問する。

 

ブレイブエリザ「ああ、あれは『それじゃあ仲間の希望はね、強くてキラキラしててアタシを飾り立ててアタシを崇めてくれる人!当方ボーカル希望。バンド経歴なし。ギター、ベース、ドラム、プロ級の者、募集』って言ったらマタ・ハリが満面の笑顔でこれ渡してくれたの!ひどくない!?」

 

サファイア「自業自得でしたか……」

 

ルヴィア「と言うか求めるのが高すぎですわ」

 

答えられた事にサファイアは呆れ、ルヴィアが付け加える。

 

 

 

一方、チェイテピラミッドでは……

 

ランスロット「女王、カルデアからの訪問客を確認しました。張り巡らせていた結界に引っかかったようです」

 

トリスタン「…………」

 

女王「フッ、さすが完璧な妾、予想済みです!当然、対策は立てているわ!さらに最強の門番が控えている以上、妾の優位は動かない……ああ、美しすぎる……」

 

トリスタンと共に膝を付いてそう報告するランスロットのを聞いて件の女王は笑いながら自分に酔いしれる。

 

女王「この領地は妾が支配する。適切に、寛容に、そして無慈悲に」

 

女王騎士D「あ、あの……女王。引き続き、ハロウィンは禁止ですか?」

 

そんな女王に女王騎士の1人が恐る恐る質問する。

 

女王「たわけ&パッとしない男!後で美容院にいきなさい!ハロウィンなど愚民には早すぎる!世情が不安定なこの時期にあのような浮かれた祭りなど愚の骨頂。慎みと慈しみを持ちなさい!この!妾のように!」

 

女王騎士D「……しかし、誰もがハロウィンを楽しみにしていたのは確かですし……私の子供も……」

 

それに女王は怒鳴ると女王騎士はそう言うが…

 

女王「不敬者!妾に口答えなど処刑者です!ですが子供に免じて有給一日で許してあげましょう!今すぐ剣を置き、貧相な家に帰りなさい!その命が惜しいというのなら!」

 

女王騎士D「え?あのそれはどういう……」

 

ランスロット「君、いいから今日は帰りなさい。明日一日はオフという事だ」

 

怒鳴った後に言った女王のに戸惑う女王騎士にランスロットがこそりと意訳して耳打ちする。

 

女王騎士D「……はあ。では恐れながら有給(しょばつ)を謹んで……」

 

頭を下げて女王騎士は出て行く。

 

それを見届けてからランスロットは女王へと向き直る。

 

ランスロット「それで女王。我々は如何致しましょうか?今から、総出で掛かって討ち取り、後顧の憂いを無くしますか?」

 

女王「ホホホホホ!この愚か者め!それではまるで妾が彼奴(きゃつ)らを恐れているようではないですか!」

 

そう聞くランスロットに女王は笑って言う。

 

女王「街に騎士たちは派遣しましょう!民が浮足立つのを防ぐためです。お前たちは……そうね、別に出撃する必要はなくてよ。街に放った途端、町娘をナンパするつもりなのはまるっとお見通し!世の中そう甘くはないわ!」

 

ランスロット「……いや、私は別に……」

 

トリスタン「………なんという………我々の生態を完全に把握されているとは……」

 

そう言った女王のにランスロットは否定しようとしてトリスタンは悲しそうに言う。

 

ランスロット「いや、トリスタン卿。私は純粋に街の治安をだね……」

 

そんなトリスタンのにランスロットは否定しようとした時…

 

???「あまり言い訳して行こうとしない方が良いと思うよ。ランスロット卿」

 

ランスロット「!?誰だ!?」

 

自分のを遮った声にランスロットは振り返る。

 

そこにいたのは…なんとアレキサンダーであった。

 

女王「あ、貴方様は……」

 

アレキサンダー「あー、やっぱりこの姿でも分かるんだね。君は」

 

アレキサンダーを見て立ち上がる女王にアレキサンダーはなははと苦笑する。

 

女王「ではやはりイスカンダル様ぁ!?」

 

アレキサンダー「この姿ではアレキサンダーって呼んで良いからね」

 

声をあげる女王にアレキサンダーはそう訂正する。

 

ランスロットとトリスタンの目線に女王は気づいた後にコホンと咳払いしてからアレキサンダーを見る。

 

王「そ、それでアレキサンダー様は何故此処に?」

 

アレキサンダー「このピラミッドの本来の持ち主に頼まれて君を手伝いに来たんだよ」

 

女王「わ、妾の手伝いをあのお方に頼まれたのですか!?」

 

気を取り直して聞いて返された事に女王は驚くがアレキサンダーはそうだよと肯定する。

 

アレキサンダー「僕としてもなかなか面白そうなイベントだし参加してみたんだ」

 

そう言って笑うアレキサンダーに女王はなんと心強いと笑う。

 

ランスロット「それで話を戻しますがアレキサンダー殿、別に私は言い訳など……」

 

トリスタン「……あの街の酒場には先日、賭け事で身代を崩した男に捨てられた傷心の美女が居ると聞きましたが……」

 

ランスロット「何処の酒場かね?もしや三番街のトネリコ亭のあの美女の話か?」

 

2人の会話が終わったのでもう一度否定しようとしたランスロットはトリスタンの言った事に思わず反応してしまう。

 

女王「ホホホ、自室待機より上の牢獄待機の方がいいかしら?」

 

アレキサンダー「いやそれよりもこの事を自分の娘(マシュ)に報告してボコられるのほうが面白いんじゃないか……」

 

ランスロット「失敬。待機の任、承りました女王」

 

その反応に女王は眉をピクピクさせて言うがアレキサンダーのにランスロットはピシっとなって言う。

ただその額から汗がだらだらと流れていて、アレキサンダーはニヤニヤ笑いしていた。

 

その変わり身にトリスタンは早いですねと思わず感心する。

 

ランスロット「それでは我々はこれで。アレキサンダー殿はどうしますか?」

 

アレキサンダー「それじゃあ僕もマスターたちが来るまでのんびりさせてもらうね」

 

退出する事にして頭を下げた後のランスロットの問いにアレキサンダーはそう返す。

 

ランスロット「わかりました。では女王はごゆるりとお休みくださいませ」

 

女王「言われずとも寛ぎます!さっさと退出なさい!」

 

そう言うランスロットとトリスタンに女王言う。

 

トリスタン「…………」

 

ランスロット「ははっ……トリスタン?」

 

女王「……?」

 

アレキサンダー「あれ?」

 

その後に立ち上がって反応しないトリスタンに3人はん?となり、アレキサンダーが試しに近づいて手をトリスタンの顔の前で振ってから耳を近づける。

 

トリスタン「………………Zzzz……」

 

アレキサンダー「………寝てるね……」

 

女王「…………」

 

いつの間にとランスロットが驚いている間に女王は無言で立ち上がってトリスタンに近づき…

 

げんこつ!!

 

廊下

 

トリスタン「………(我が身が痛みで物理的に)悲しい」

 

ランスロット「卿はある意味凄いな……;」

 

アレキサンダー「確かにね;」

 

部屋を出て頭にたんこぶが出来てそう言うトリスタンにランスロットとアレキサンダーは冷や汗を掻く。

 

気を取り直してアレキサンダーはさてさてどうなるかな~と笑う。

 

 

 

さて戻って刹那達はと言うと森の中を歩いていた。

 

ブレイブエリザ「まずはね、まずはね!仲間を集めるべきだと思うのよ!」

 

マシュ「私達では力不足でしょうか?」

 

刹那「ん~私としてはかなり大人数だと思うだけど;」

 

そう言うブレイブエリザのにマシュはそう聞き返し、刹那は歩いてる面々とかを見てそう言う。

 

違う違うとブレイブエリザはマシュのを否定してから仲間を集める理由を言う。

 

ブレイブエリザ「確かにこのメンバーは頼りになるけど相手は名高い騎士たちよ。これじゃあまだ足りないわ!」

 

士郎「そんなに強い騎士だったのか?」

 

そうよと士郎のにブレイブエリザは頷く。

 

ブレイブエリザ「特にあの紫色の騎士と赤髪の糸目な弓騎士が強かったわ!と言うか紫色の騎士なんか強すぎるわよアレ!」

 

青アルトリア「なんでしょう……何処か心当たりがある気がするんですが……」

 

マシュ「私も……潰したいぐらい心当たりがありますね……」

 

答えたブレイブエリザのにリリィを除いたアルトリアメンツはあーとなり、マシュは紫色の騎士と言うので思わず盾をブンブン振るう。

 

エミヤも察したのかこれはまた…と呆れた反応をする。

 

知らないイリヤ達は?マークを浮かべる。

 

ブレイブエリザ「あとほら、アタシって勇者じゃない。勇者にはバラエティ豊かなメンバーが付きものでしょ?アタシがアイドルだった時もドラムと太鼓、それに木管といったメンバーが支えてくれたわ」

 

凛「どんなメンバーよそれ!?」

 

刹那「打楽器が多めだね;」

 

答えたブレイブエリザのに凛はツッコミ、刹那はそう言う。

 

ブレイブエリザ「ええ、原子のビートだもの!とにかくドコドコ言うのよ、すごく!」

 

マシュ「あの……他に欲しいクラスと言うのは……」

 

目を輝かせて言うブレイブエリザにマシュは恐る恐る聞く。

 

ブレイブエリザ「そりゃもちろん魔術師(キャスター)ね!僧侶(ビショップ)もいいわね。癒しの力で回復してくれる的な!」

 

マシュ「回復ですか……」

 

ブレイブエリザの言ったのにマシュや他のメンバーは想像する。

 

看護師『では治療を始めます。貴方を生かすためです、骨の一本や二本、腕の二本や三本は我慢してくださいね。では行きますッ!』

 

モンク『ん、回復?まだ大丈夫よ、アドレナリンかエンドルフィンで自己回復する筈だから!ほらほら泣かない泣かない。しゃっきりなさい!英雄なんでしょ!』

 

シリアルキラー(幼女)『んー……よく分かんないからかいたいするね?頑張るよ!』

 

「…………………」

 

……想像したのが悪かった気がする…特に最初と最後

2番目は…最期を言い分を除いたら良くあるスポ魂とかに近い。

 

凛「……一応、私回復魔術使えるけど……」

 

ブレイブエリザ「……回復は任せたわよ凛!」

 

刹那「そうだね!任せるよ!」

 

マシュ「意外と人選が難しいですね;」

 

名乗りあげる凛にブレイブエリザと刹那は鬼気迫る顔で激励し、マシュはそう呟く。

 

ある意味凛もうっかりで回復よりダメージを与えそうな気がする…とエミヤは思ったが言ったら言ったらでガンドが飛んできそうなので心の中に仕舞った。

 

マシュ「困りましたね…」

 

エミヤ「あまり他に該当する者が居ないからな……」

 

そう話すマシュとエミヤだったが実は今考えていたうちの一人が既に来ていることをまだ知らなかったのであった……。

 

マシュ「じゃあひとまず酒場に戻って募集してみますか?」

 

ブレイブエリザ「あ、その、酒場はちょっと……」

 

そう提案するマシュだがブレイブエリザは刹那達に会うまでの状況で苦手になったのか乗り気になれないようだ。

 

マシュ「そうですね……。ならドクター」

 

ロマン『……ふわあ』

 

刹那「おい」

 

ブレイブエリザの様子からはぐれサーヴァントを仲間にする方向にしようとロマンに話しかけるが欠伸が聞こえて来たので刹那は低い声で思わず言う。

 

ロマン『ひぃ、ドスの聞いた声!?』

 

刹那「なに欠伸しているのロマン」

 

こっちが忙しいと言うのにな刹那のにご、ごめんと謝ってからロマンは弁解する。

 

ロマン『いや、いつになくリラックスできたものでついつい……大丈夫、君の存在は確認しているよ。どうしたのかな?』

 

エミヤ「仲間になるサーヴァントを探したいので捜索範囲を可能な限り拡大してくれないだろうか」

 

用件を聞くロマンにエミヤが代表で言う。

 

ロマン『OK、了解』

 

そう答えて少し待ってねとロマンはマシュ達以外のサーヴァント反応を探す。

 

エミヤ「どうかねロマン」

 

ロマン『んー……微弱だが君たちの近くに反応があるな』

 

マシュ「え!近くにですか!?」

 

少しして聞くエミヤにロマンは顔を顰めて言い、マシュは驚く。

 

青アルトリア「マスター、警戒を!待ち伏せの可能性があります!」

 

ブレイブエリザ「え?なになに?誰かいるの?ちょっと、出てきなさいよー!」

 

すぐさま青アルトリアは剣を構え、ブレイブエリザも慌てながら剣と盾を構えて叫ぶ。

 

シーン

 

警戒するメンバーだが静寂が続く。

 

槍オルタリア「……誰も出てこないな」

 

マシュ「ドクター、本当にこの近くにいるんですか?」

 

ロマン『本当だってば!仕事してるちゃんとしてる!それよりそこまで近くにいても気づかないという事は』

 

リリィ「アサシンでしょうか?」

 

呟く槍オルタリアの後に確認するマシュにロマンは必死で答えてからリリィが引き継いで言う。

 

ロマン『先ほどより動いてないから危害を加える気はなさそうだけどね』

 

ブレイブエリザ「ふぎゃぁ―――――――!?」

 

動きがない事からそう推測するロマンの後にブレイブエリザの悲鳴が響き渡る。

 

イリヤ「!い、今の悲鳴って!?」

 

先ほどまで自分達と一緒にいた筈のブレイブエリザの悲鳴にイリヤや他のメンバーは慌ててブレイブエリザを探すと…ロープによって逆さづりになっているブレイブエリザの姿があった。

 

ブレイブエリザ「誰よ!こんなところにトラップ仕掛けたの!?足、足が引っかかって身動きが……!」

 

ルビー「うわ~、典型的なトラップに引っかかってますねブレイブエリザさん;」

 

ブラーンブラーンと揺れるブレイブエリザを見てルビーは呆れる。

 

エミヤ「ってそんな悠長なこと言っている場合じゃなさそうだぞ!?」

 

誰もが呆れたのもつかの間、エミヤの言う通り、狼の獣人が複数現れる。

 

ブレイブエリザ「やだ、変なの来た!動けない、助けて子ジカ――――――!!」

 

刹那「助けに行こう!凛さんとルヴィアさんとマシュとリリィはブレイブエリザの罠、解除してきて!」

 

他は凛さん達に近づかせない様に!と涙目になっているブレイブエリザ救出を数人に任せて刹那は指示を出し、エミヤ達も了承してそれぞれ狼の獣人の迎撃に映る。

 

ハングリーウルフA「グルルルルルルルル!」

 

士郎「はあっ!」

 

ガキィン!

 

殴りかかったハングリーウルフAに士郎は投影した夫婦剣で受け止めた後に蹴りを叩き込む。

そこをエミヤが矢を発射して援護する。

 

青アルトリア「ハァアアア!」

 

ズバッ!

 

ハングリーウルフB「グガァ!?」

 

別の方では青アルトリアが別のハングリーウルフを切り裂き、パンプキンを被った骸骨をバゼットはパンチで吹き飛ばす。

 

バゼット「はあっ!」

 

バキュッ!

 

パンプキンヘッド「」

 

???「(おいおいおい……一撃でかぼちゃ粉砕したぞ;)」

 

それを隠れていた人物はやっぱりすげぇ…と冷や汗を流す。

 

その間に獣人達は退治された。

 

それを見届けてふうと息を吐いた後にブレイブエリザを助け出した凛達が来る。

 

凛「どうやら戦闘は終わったみたいね」

 

ブレイブエリザ「ふう、助かったわ。それより仲間なんていないじゃないの!嘘吐きは舌串刺しの刑よ!」

 

ロマン『おかしいな……。どうあっても出てこないらしい』

 

ぷんすか起こるブレイブエリザのにロマンも不思議そうに呟く。

 

イリヤ「え?どういう事ですかロマンさん?」

 

ロマン『なんかこう、まるで『こんな地雷ヒロインに引っかかるか!俺は部屋に閉じ籠っている!』とでも主張しているようだ』

 

刹那「(ってことはエリザベートの事をよく知っているサーヴァントで隠れるのが上手……あ)」

 

首を傾げるイリヤに具体的な感じに例えるロマンのを聞いて刹那はそう考えた後に悟った。

 

マシュ「どうにかして出てきてもらう訳には……」

 

刹那「……あー……」

 

フォウ「フォウ?!」

 

リリィ「マスターが急に世界の終わりを見たかのような表情に!?」

 

困った顔で言うマシュの隣でこれからする事で悟った刹那にリリィは慌てる。

 

ロマン『精神の動揺も激しいぞ!?大丈夫か刹那ちゃん!』

 

ネロ「だ、大丈夫か奏者よ!?」

 

ブレイブエリザ「ど、どうかしたの子ジカ?元気なさそうね?歌とか聴きたい?アタシの歌とか聞くと元気にならない?」

 

エミヤ「エリザ、流石にそれは―――――」

 

それに誰もが慌てる中でブレイブエリザの言った事にエミヤは否定しようとし…

 

刹那「………なるかも……しれない」

 

全員(ネロと刹那とブレイブエリザ以外の)「な!?」

 

出て来た言葉に誰もが驚き…

 

刹那「ネロとのデュエットならもっといいかも………」

 

全員(ネロと刹那とブレイブエリザ以外の)「なんだって~~~~~~~~~~~~!!!???」

 

さらなる衝撃発言にネロとブレイブエリザを除いて誰もが驚愕する。

 

エミヤ「気が狂ったかマスター!?あの二人のデュエットを聴きたいなんて自殺するようなものだぞ!?」

 

ロマン『()……()()()()()!刹那ちゃん、ボクが悪かった!君はきっと精神面で多大な不調を抱えている!一旦すぐにレイシフトで呼び戻し、この特異点は再度挑戦しよう!』

 

マシュ「マスター!しっかりしてください!その、ええと……がんばれ、がんばれです!」

 

フォウ「フォウ、フォウ、フォウ!」

 

それにエミヤは刹那の肩を掴んで揺らし、ロマンも慌てて謝って叫び、マシュとフォウも必死に応援する。

 

そんな刹那の要望にブレイブエリザとネロは嬉しそうに手を取り合い回っていた。

 

ブレイブエリザ「子ジカ……とうつアタシたちの歌の虜囚(TORIKO)になったのね!」

 

ネロ「嬉しいぞマスターよ!私たちのデュエットを聴きたいと言ってくれるとは!」

 

超ご機嫌な2人に美遊と士郎はあ、これ普通にやばいと顔を青ざめる。

 

ブレイブエリザ「いいわ、毎日欠かさないボイストレーニングも兼ねて全力で歌ってあげる!ネロ!」

 

ネロ「うむ!そうとなれば我が黄金劇場を舞台にしてやろうではないか!」

 

もう歌う気満々で舞台も用意しようとするネロにブレイブエリザはご機嫌になる。

 

ブレイブエリザ「良いわねそれ!幸運に思いなさい。勇者になったアタシとネロのデュエットを初めて聴くのがアンタたちってことに」

 

イリヤ「あわわわわわ!?これヤバいじゃないの!?」

 

ルビー「500%普通にやばいですね」

 

その様子から顔を青ざめて聞くイリヤに100%を通り越してルビーはそう言う。

 

エミヤ「ああ、とってもまずいぞ;非常にまずい;」

 

ロマン『くっ、こうなったら()にワイバーンの群れが襲ってこないだろうか!駄目ならローマ兵とか盗賊でもいいから……駄目か……!』

 

マシュ「もう……間に合いません……!」

 

顔を青ざめるのを通り越して白くなろうとするエミヤの隣でロマンは絶望しマシュもこれまで…と思ったその時!

 

???「ちょっと待ったああああああああああああああああ!」

 

マシュ「あ」

 

イリヤ「あ」

 

青アルトリア「あ」

 

フォウ「フォウ」

 

虚空から突如1人の男が飛び出して2人を制止する。

 

出て来た人物に刹那はほっ…と安堵の息を吐いてその人物を見る。

 

刹那「良かった……出てきてくれたんだねロビン!」

 

ブレイブエリザ「あれ?ええと……緑のほら……ええと……」

 

マシュ「ロビンフットさん!」

 

ブレイブエリザ「そうそれ!」

 

嬉しそうな刹那の隣でその人物が誰なのか思い出そうとして思い出せずにいたブレイブエリザはマシュの言った事に思い出したと頷く。

 

ネロ「なんだ隠れていたのは貴様だったのか」

 

ロビンフット「く、くそ……思わず、思わず、顔のない王(ノーフェイス・メイキング)を解除しちまった……!マスター……蛮勇にもほどがあるぜ」

 

ブレイブエリザ「え?え?何それ、どゆこと?」

 

そんな歌う所を邪魔されて若干不満なネロを気にせず苦虫を噛み潰したような顔で言ったロビンフットのにブレイブエリザは要領を得ないので戸惑う中でエミヤは察する。

 

エミヤ「ま、まさかマスターは我が身を犠牲にして隠れているロビンフットを出現させたのか?!」

 

凛「それにしたってどうして隠れているのがこいつだってわかったのよ」

 

刹那「それはねエリザベートの事をよく知っていて、隠れるのが上手いサーヴァントって言ったらロビンフットしか居ないって思ったからだよ。なんか前話を聞いて二人やネロとかは月からの付き合いらしいし」

 

ホントに蛮勇過ぎると呟くエミヤの後にそう言う凛に刹那は理由を説明する。

 

最後の月って…と凛が唖然とする中でロビンフットははぁ…とめんどくさそうに頭をがしがし掻く。

 

ブレイブエリザ「……よく分かんないけどアタシ達の歌のお陰なのね」

 

ネロ「うむ、マスターの役に立てて余は嬉しいぞ!」

 

刹那「うん、そうだね……」

 

ご機嫌なブレイブエリザとネロに刹那はなんとも言えない顔でそう言って顔を逸らす。

 

フォウ「フォウ……」

 

ロビンフット「良心が咎めるくらいなら最初からやるなっつーの……はぁ」

 

そんな刹那のにロビンフットはため息を吐く。

 

ブレイブエリザ「……あ!」

 

マシュ「エリザベートさん?」

 

リリィ「どうかしたんですか?」

 

するとご機嫌だったブレイブエリザが何か気づいてか声をあげ、マシュとリリィは聞く。

 

ブレイブエリザ「それで分かったわ!さっきアタシが引っかかったトラップ!アンタの仕業よね!?」

 

そう言ってブレイブエリザはロビンフットを指す。

 

そうだよとロビンフットは頭を掻きながら肯定する。

 

ロビンフット「ここんとこ、街の周りも物騒だからな。害虫やら獣人みたいな連中までうろついてやがる。ハロウィンが近いせいですかねぇ。怪物どもも浮かれるってワケさ」

 

イリヤ「怪物さんたちも浮かれるんだ……」

 

そう説明するロビンフットのにイリヤは凄いな此処…と思った。

 

ロビンフット「なーんで、ここをねぐらにしている身分としちゃあ、罠でも仕掛けておかないと不安で眠れやしないワケ」

 

ブレイブエリザ「ふーん、獣人が居るから不安で眠れないんじゃなくて罠を仕掛けてないと不安なんじゃないの?」

 

肩を竦めて言うロビンフットにブレイブエリザはそう聞く。

 

ロビンフット「もちろん。無料の安全地帯とか気味が悪いでしょ。安全ってのは本来、金か努力で維持するモンだよ」

 

刹那「ロビンは慎重派なんだね」

 

そんなブレイブエリザへのロビンフットの返答に刹那はそう言う。

 

ロビンフット「そうそう、慎重派ですよー。森じゃあ謙虚な者だけが生き残るってな。基本的に臆病なのオレ。相手の顔とか怖くて正面から見ないぐらい」

 

ブレイブエリザ「だから物陰から敵を仕留めるって事?ホントはアサシンなんじゃないのアナタ?」

 

マシュ「それにしても物騒ですね。やはりあのピラミッドが原因でしょうか?」

 

苦笑して言うロビンフットのにブレイブエリザがジト目で見る中でマシュは見えるピラミッドを見ながら呟く。

 

ブレイブエリザ「そうよ、うん、マシュ!良いこと言ったわアンタ!全てはあのピラミッドが原因よ!あれを踏破すればきっと色々何とかなるわ!」

 

ロビンフッド「ホントかねぇ?」

 

元気よく言うブレイブエリザのにロビンフットは意味深に呟く。

 

ネロ「なんだロビンフッド。気がかりなことがあるのか?」

 

ロビンフット「いやね。元々獣人がやってきたのはピラミッドより―――――」

 

「グルルルルルルルルルル!?」

 

そんなロビンフットのに問うネロにロビンフットが答えようとしたが再び獣人が現れる。

 

ロビンフッド「おっと、どうやらオタクと一緒でトラップに引っかかってくれた連中がいるらしい。ピラミッドに挑むなら手を貸してやってもいいぜ。確かにあの女王様とやらの無遠慮さは目に余る。一度手痛いお仕置きされても仕方ないだろーなー、と思っていたところでさ」

 

マシュ「ありがとうございます!ブレイブエリザさん、斥候(スカウト)が仲間になりましたよ!」

 

そう言いながら右腕のクロスボウを構えるロビンフットにマシュは礼を言ってブレイブエリザへとそう言う。

 

ブレイブエリザ「すかうと?それってまだ見ぬアイドルを探し求めるやつ!?……でも。アタシ、まだ事務所とかに所属する気は……どうしようかしら……」

 

ロビンフット「そーゆー夢見がちなところは執政者としてさっさと直した方が良いと思うよ、オタク?まあ月の裏側の時よりはまだマシだから良いけどよ」

 

そんなマシュのにモジモジするブレイブエリザにロビンフットは呆れて指摘する。

 

ブレイブエリザ「う、うるさいわね。それより獣人退治するわよ!さ、子ジカもマシュもロビンもイリヤたちもついてきなさい!不潔な獣人たちにアタシの街を襲わせる訳にはいかないものね!」

 

ロビンフット「…………」

 

イリヤ「ロビンさん、どうしました?」

 

そう言って獣人の方へと顔を向けるブレイブエリザを真剣な顔で見るロビンフットにイリヤは気になって聞く。

 

ロビンフット「いいや、何でもねえよ。三つ子の魂百まで、だっけ?ま、そういう話さ。あのドラゴン娘、張り切って突撃するプランしかなさそうですし?こっちでフォローしますかねぇ」

 

そんなイリヤの問いにやんわり答えたロビンフットのにイリヤも頷いて飛び出す。

 

ロビンフットの言った事…それは一体…



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第八幕~ハロウィン・カムバック!超極☆大かぼちゃ村~そして冒険へ……~ with魔法少女Ⅲ~

ロビンフッドと再会した刹那達は彼の案内である人物がいる洞窟へと向かう。
果たしてある人物とは一体…


ブレイブエリザ「居たわね!あっはっは、本当にトラップに引っかかってる!逆さ吊りとかなんて間抜けなのかしら!」

 

フォウ「フォウ!」

 

エミヤ「エリザベート、それは先ほどの自分を顧みるべきかと思うのだが」

 

ルビー「確かにさっきまでエリザさん、あんな感じでしたしね~」

 

そうやってトラップにかかっている獣人達を笑うブレイブエリザにフォウとエミヤは呆れ、ルビーも指摘する。

 

ブレイブエリザ「過去の事は心の棚に置いておいて、前向きに生きることにしてるのアタシは!」

 

ロビンフット「おう。その棚のトロフィー、たまには手に取って見直せよ?」

 

そう返すブレイブエリザのにロビンフットは呆れたまま注意する。

 

ブレイブエリザ「ええ、忘れたくても忘れられないし!それより緑!アイツらを退治したら仲間だからね!」

 

ロビンフッド「ほいほい。コイツらを一掃すればオレも森に居座る理由はねぇ。心底面倒だが腐れ縁だ。オタクのデスツアーに付き合ってやろうじゃねえか!」

 

そう言うブレイブエリザのにロビンフッドは肩を竦めた後にクロスボウで攻撃を開始する。

 

ブレイブエリザ「デスじゃないわよ!キュアでシャイニーなライブツアーなんだってっば!」

 

そんなロビンフッドのに怒った後にブレイブエリザも続いて獣人を斬っていく。

 

美遊「速射(シュート)!」

 

ズダダダダダダダダダ!!

 

ハングリーウルフA「グルルルル?!」

 

その近くでも美遊が遠距離で攻撃し、そこをネロや士郎が追撃し、近くで獣人を殴り倒して行くバゼットをエミヤがフォローする。

 

凛「おりゃぁあ!」

 

バキッ!

 

ハングリーウルフB「グガッ!?」

 

ルヴィア「ふんっ!」

 

ドゴッ!

 

ハングリーウルフ「ウグゥ!?」

 

そして凛とルヴィアは…格闘戦で獣人達を蹂躙していた。

 

ルビー「なんだか凛さんたち、肉弾戦的に強くなってますねー」

 

イリヤ「た、確かに;」

 

刹那「マルタとジャンヌオルタの特訓の成果かなー;」

 

蹴散らして行く凛とルヴィアのにそう感想を述べるルビーにイリヤと刹那は冷や汗を流し、一応彼女達が体術の素質があるのを知っていたエミヤはさらに強くなったな…と遠い目をする。

 

凛「これで!」

 

ルヴィア「ラストですわ!」

 

ドゴッ!

 

ハングリーウルフE「グゥゥゥ!!」

 

凛とルヴィアの一撃に最期の1体はうめき声をあげて倒れて息絶える。

 

マシュ「戦闘終了しました!マスター!」

 

ブレイブエリザ「それじゃ、スカウトをスカウトするわ!約束守ってくれるわね?」

 

ロビンフッド「あいよー。でどーすんだ?すぐ乗り込むのかい?」

 

敵性生物がいない事を確認して言うマシュの後にそう言うブレイブエリザにロビンフッドは肩を竦めてから確認する。

 

それにはブレイブエリザは首を横に振る。

 

ブレイブエリザ「いいえ、もう一人欲しいわね」

 

刹那「確かにゲームだったら四人パーティくらいが基本だよね」

 

マシュ「そ、そうなんですか?わたしは六人パーティが基本かと……」

 

イリヤ「その間で五人パーティとかもどうかな?」

 

そう言うブレイブエリザに刹那はそう言い、マシュが前に刹那と共にやったのを言って、イリヤも割り込んで言う。

 

ブレイブエリザ「ともかく魔術師ゲットよ子ジカ!」

 

刹那「あ、それは良いね。今キャスターはイリヤちゃんだけだしもう一人欲しいよね」

 

ロビンフッド「はあ、魔術師をスカウトしにねぇ……。まあいいですけどね。一応、心当たりがなくはないんだが……。あー……」

 

次なるスカウト対象のを言うブレイブエリザに刹那は今の状況からそう言い、ロビンフッドをため息を吐いてから言葉を選んだと思ったらなんとも言えない顔をする。

 

ランサーオルタリア「何か問題があるのか?」

 

マシュ「心が壊れているとか、箱庭を作っているとか、直流と交流で争うとか、空飛ぶ円盤(フライング・ソーサー)を召喚するとか……?」

 

ロビンフッド「……まあそれはそれで問題だろうけどな。似てるんだよ」

 

ロマン『似てるって何がだい?』

 

聞くランサーオルタリアとマシュのにロビンフッドは困った顔で返し、ロマンの問いにロビンフッドは無言の指差しをする。

 

ブレイブエリザ「アタシに?」

 

全員(ネロとブレイブエリザ以外の)「(あーなるほど;)」

 

それがブレイブエリザのにネロとブレイブエリザを除いてロビンフッドの先ほどの発言に納得する。

 

刹那「まあ取り敢えず案内してくれないかなロビン」

 

ロビンフッド「了解だマスター」

 

お願いする刹那にロビンフッドは頷いていざそこに向かおうとする。

 

一時間後

 

ブレイブエリザ「…ねえ、まだー?」

 

ロビンフッド「はいはい、もうちょっとお待ちなさい」

 

しばらく歩き続けただけなので退屈になったブレイブエリザがそう聞いてロビンフッドは振り返らずにそう返す。

 

マシュ「ロビンさん、ロビンさん。その……エリザベートさんに似ているという魔術師さんはどんな方なのでしょうか?」

 

ロビンフッド「だからそこのお嬢と似たもの同士だよ。多少インテリジェンスに振ってるけど」

 

恐る恐る聞くマシュにロビンフッドは肩を竦めて答える。

 

イリヤ「い、インテリジェンス?」

 

ロビンフッド「頭はいいクセに視野が狭い。偉そう、横暴、割と真面目、だが瞬間湯沸かし器。早とちりで暴走した挙句、目も当てられないような惨劇を巻き起こす」

 

出て来た言葉に目をパチパチさせるイリヤにロビンフッドはそう言う。

 

マシュ「あー……」

 

フォウ「フォー……」

 

それにはマシュとフォウは納得する。

 

ブレイブエリザ「何よ。アタシと全然似てないじゃないの」

 

ロビンフッド・マシュ・青アルトリア・リリィ「「「「そっくりです」」」」

 

刹那「あははははは;」

 

ぷんすか怒るブレイブエリザに対して言ったロビンフッドとマシュ以外に青アルトリアとリリィも言って、刹那は苦笑する。

 

一体どういう人物なんだろうと美遊は思った。

 

ブレイブエリザ「あぐぅ」

 

ロビンフッド「おまけに自称天空の神で冥界の神でファラオで女王様だぞ」

 

凛「多すぎでしょそれ!?」

 

予想もしてなかった返しので仰け反るブレイブエリザから目を放してそう言うロビンフッドに凛はツッコミを入れる。

 

ブレイブエリザ「凛のいう通りよ。盛りすぎでしょそれ。属性過多なのはアイドルとして低性能って証拠よ」

 

エミヤ「そういう君も貴族、吸血鬼、連続殺人鬼、悪魔羽、竜の角、アイドル、竜の娘と盛りすぎではないか」

 

ぷんすか怒るブレイブエリザだが呆れたエミヤの指摘にうぐっとなる。

 

ブレイブエリザ「自覚してたけどアタシの属性、ちょっとネガティブなの多くないかしら!?」

 

ルビー「いやー、ホント多いですね。そこんとこどう思いますイリヤさん?」

 

ロマン『おや、ちょっと待った。何か強烈な反応が―――』

 

それにルビーが聞いていや、どうって…とイリヤが答える前にロマンが何かを発見する。

 

ヴィィイイン

 

???『こんな夜更けに約束もなく何事ですか!立ち去るがいい、不敬者共!』

 

それと共に虚空に褐色肌の少女が現れる。

 

イリヤ「ええええええええ!?」

 

フォウ「フォーウ!」

 

マシュ「い、いきなり!?」

 

ブレイブエリザ「キャ―――――?!」

 

ロビンフッド「落ち着け、幻影だ幻影。イリュージョン」

 

刹那「ニトクリス!?」

 

それに驚くメンバーをロビンフッドが宥める中で刹那は少女の顔を見て叫ぶ。

 

ニトクリス『って何者かと思ったらマスターじゃないですか』

 

刹那「いないと思っていたら君もこっちに来てたの!?」

 

同じ様に気づいたニトクリスに刹那は問う。

 

ニトクリス『ええ、まあちょっと色々ありまして。それより皐月の王(メイキング)、一体どういうつもりですか?お互いに領分を守ろうとするのが我らの盟約だったはず』

 

ロビンフッド「まずその呼び方恥ずいからやめてくれない?で何なのオタク。いきなり幻影で警告とか」

 

少し言葉を濁した後にロビンフッドへとそう言うニトクリスにロビンフッドは困った顔をした後に幻影を出した理由を問う。

 

ニトクリス『当然でしょう。マスターやマシュならともかく悪裂な雰囲気が臭う、そこの女』

 

そんなロビンフッドのに対し、ニトクリスはブレイブエリザを指さした後にあ、後そこの女2人とかと凛とルヴィアを指すとエミヤはあーと思わず納得する。

 

ブレイブエリザ「ほやアタシ?」

 

凛「あと私達も!?」

 

指さされて言うブレイブエリザやついでに指された凛とルヴィアは驚く。

 

ニトクリス『そうです。名を名乗りなさい不敬の輩。特にそこの貴方は……こう、何か、こう、心底で微妙な共感を覚えるのが忌々しい!突然ですが不倶戴天の敵と認識しましょう!いいですね!』

 

青アルトリア「いきなりすぎるでしょうそれは!?」

 

凛やルヴィアをスルーしてブレイブエリザに対して言葉を探したが直球で言って青アルトリアは思わずツッコミを入れる。

 

ブレイブエリザ「いいわよ!」

 

士郎「ってOKなのかよ!?」

 

イリヤ「良いんですか!?」

 

それに対して了承するブレイブエリザに士郎とイリヤは思わずツッコミを入れる。

 

ブレイブエリザ「こっちだって何かこう、アンタと話していると頭痛が痛くてイライラしてくるわ!」

 

ニトクリス『なるほど、お互い意見は一致したようです』

 

そう返すブレイブエリザにニトクリスはそう言う。

 

ブレイブエリザ「そうね。その点は良かったわ」

 

美遊「そこは一致しても別に良くはないんじゃ;」

 

それに美遊が恐る恐る指摘するが2人はスルーする。

 

ニトクリス『…………』

 

ブレイブエリザ「…………」

 

そのままお互いに見あって無言になり…

 

ニトクリス・ブレイブエリザ『「名乗りなさい!!」』

 

マシュ「この二人が会話していると一生終わらない気がしますマスター!」

 

エミヤ「同感だ。早く止めた方が良いぞ」

 

刹那「はい、二人とも自己紹介自己紹介!」

 

叫ぶ2人にマシュはそう言い、エミヤも呆れた顔で同意して、刹那も頷いてから割って入ってそう促す。

 

ニトクリス『え、あ。そ、そうですね。我が名はニトクリス。彼方の地にてファラオを務めし者』

 

イリヤ「ファラオってあのエジプトにあるピラミッドに埋葬されている昔の王様のことですか?」

 

名乗るニトクリスにイリヤは首を傾げて聞く。

 

ニトクリス『ええそうです。私もそのファラオの内の一人です。それ以外にも私は天空の神にして冥界の神。そして今は深き洞窟にて死霊たちと戯れつつ魔術を収める者』

 

イリヤ「へ~冥界と天空、両方の神様やっているなんて凄いですね」

 

ニトクリス『あ、ありがとうございます///』

 

そう説明するニトクリスのに感心するイリヤにニトクリスは照れて礼を述べる。

 

ブレイブエリザ「アタシの名はエリザベート・バートリー。見ての通りアイドルよ。得意なジャンルはアイドルポップかしら。竜の血を引いているからドラゴンブレスもお手の物。後は由緒正しき貴族とか?この羽と角?キュートでしょ他に何かある?」

 

ニトクリス『なるほど、これでお互いのことがよく分かりました』

 

ブレイブエリザ「そうね。アタシもそう思うわ」

 

次にブレイブエリザが名乗り、お互いに頷いた後…

 

ニトクリス・ブレイブエリザ『「気が合わないわね!」』

 

ロビンフッド「いや、滅茶苦茶気が合ってない?オタクら……」

 

リリィ「確かにそうですよね;」

 

異口同音で言った事にロビンフッドとリリィはツッコミを入れる。

 

ニトクリス『どこがですか!典型的な西洋貴族の甘やかされガール!私がこの世でもっとも忌み嫌うタイプの女性です!もっと苦労を苦労らしく背負いなさい!』

 

ブレイブエリザ「ソ、ソッチだって見るからに女王様じゃない!女王様スタイルとか虫唾が走るわ!特に年増の!」

 

むきーと低レベルの喧嘩をする2人にやれやれとエミヤとランサーオルタリアは呆れる

 

マシュ「マスター、カーミラさんの事でしょうかコレ」

 

刹那「うん、そうだと思う。エリザたちとカーミラってお互いを否定し合っているからねぇ;」

 

ロビンフッド「アイツも大概ややこしい人生送っているな……」

 

イリヤ「そ、そうなんですか;」

 

そんな中でブレイブエリザの言ったのに困った顔をする刹那にロビンフッドも呆れて言い、イリヤは大変だなと思う。

 

ブレイブエリザ「もう我慢ならないわ!決闘よ!アンタのひねた面に聖剣叩き込んであげるわ!」

 

リリィ「それ、聖剣でしたっけ?」

 

クロ「さあ?」

 

そう言って剣の切っ先をニトクリスへと向けるブレイブエリザのにリリィはツッコミを入れてクロはどっちでも良いな感じで見る。

 

ニトクリス「上等です!身の程を知りなさい80年代スタイルが!あまりにも古くさい、具体的にどこがと言われると困りますがあまりにも古臭いアーマーです!」

 

一応今でも色んなゲームにそう言うのあったりするけどねと刹那とイリヤが心の中で呟く中でブレイブエリザはむきーとなる。

 

ブレイブエリザ「何よ!レトロフューチャーも知らないの!?このスットコドッコイ!」

 

ニトクリス『レトロなのはエジプトだけで十分です!このズンドコヘンペイムシ!』

 

ブレイブエリザ「キ―――――ッ!!」

 

ニトクリス『ニャ――――――スッ!!』

 

そのまま低レベルの言いあいをした後に動物が威嚇しあう様な感じに発展する。

 

青アルトリア「マスター、訳が分かりません。フォウの鳴き声の方がまだ分かりやすいです」

 

フォウ「フォウ……」

 

それに青アルトリアはそう述べ、言われたフォウも呆れた様に2人を見る。

 

ブレイブエリザ「何モタモタしているのよ、行くわよ子ジカ!!勇者エリザベートが悪の魔術師を倒しに行くわ!!」

 

刹那「いや、別にニトクリスは悪の魔術師じゃ……」

 

そう言って急かすブレイブエリザを刹那は宥めようと近づき…

 

ブレイブエリザ「ついてきなさ――――――――い!!」

 

刹那「うぇえええええええええええ!?」

 

そのまま襟首を掴んでブレイブエリザはニトリクスの元へと走る。

 

イリヤ「せ、刹那おねえさーん?!」

 

マシュ「ちょ!?マスターを勝手に連れて行かないで下さーい!」

 

ロビンフッド「ええい、くそ。仕方ない、後を追うぞ!」

 

それに誰もが慌てて2人の後を追いかける。

 

洞窟

 

ニトクリス『それではまずは私の可愛い可愛い死霊たちと戦ってもらいましょう!』

 

突入したブレイブエリザと引っ張られる刹那へとニトクリスがそう言うと死霊が現れて道を塞ぐ。

 

ブレイブエリザ「上等、行くわよ子ジカ!」

 

刹那「分かった!分かったから手を放して!首が!首が!」

 

走りながらそう言うブレイブエリザに刹那はタップしながら叫ぶ。

 

死霊たち「■■■■!!」

 

ブレイブエリザ「はぁっ!」

 

刹那「うわっと!?」

 

左手で刹那を掴みながら右手で剣を振るって死霊を倒して行くブレイブエリザだが掴まれたままの刹那は死霊の攻撃を必死に避ける

 

ブレイブエリザは余裕そうだが刹那は必死であり、彼女のピンチともいえる。

 

マシュ「マスター!」

 

イリヤ「あわわわ!?刹那お姉さん、なんかピンチみたい!」

 

そこにマシュ達が駆けつける。

 

刹那「あ、みんな!」

 

エミヤ「大丈夫かマスター!」

 

必死に避けながら気づく刹那にエミヤはそう聞く。

 

刹那「大丈夫じゃない!良いからなんか武器貸して武器!」

 

死霊からのを避けながら要望する刹那に武器と言われてもエミヤはどういうのを投影して渡そうか悩む。

 

エミヤ「(ふむ、マスターにぴったりな武器か……)」

 

サンタオルタ「エミヤ、考えていないで早くしないとトナカイがヤバいぞ」

 

刹那「ちょ、ダブルは無理!ダブルは無理!」

 

どうしようかと考えていたが2匹同時に襲われそうになっている刹那にエミヤはいかんと感じた後にマシュの盾を見る。

 

エミヤ「(これだ!)投影、開始(トレース・オン)!マスター受け取れ!」

 

そう言ってエミヤはマシュの盾と似た感じの盾を投影して刹那へと投げ飛ばす。

 

刹那「おりゃあ!」

 

バキッ!

 

刹那は自分の前に刺さった盾を掴むと死霊の攻撃を防ぎつつ、振るって吹き飛ばす。

 

死霊A「■■■■!」

 

バシュッ!

 

刹那「うわっ、意外と重いねこの盾!」

 

吹っ飛ばした後に別の死霊の攻撃を防ぎながらマシュの盾に似せたので重さのに刹那は呻きつつ攻撃していく。

 

そこにエミヤ達も加わり、死霊達を倒していく。

 

ブレイブエリザ「突破!さあドンドン行くわよ!アタシの喉もノッてきたわ!」

 

ニトクリス『くっ、ここからでも伝わってくるエビル音波……!!まるで地獄の亡者の呻き声のようで正直好みのジャンルです!』

 

イリヤ「こんなのが好みなの!?」

 

そう言うブレイブエリザのにそう評するニトクリスのにイリヤはツッコミを入れる。

 

ニトクリス『アイドルポップ……馬鹿にできないですね!』

 

ブレイブエリザ「地獄の亡者の呻き声って何よ!?アイドルポップはキュート・キューティ・キューティストがモットーなんですけど!?」

 

くやれない感じに言うニトクリスだがブレイブエリザは評価のに対して文句を言う。

 

あながち間違ってないのではとバゼットはぶっ飛ばしながらそう考える。

 

そんなメンバーのにやりますねとニトクリスは呟き…

 

ニトクリス『ですがまだまだ!出ませいスフィンクス!』

 

スフィンクス「オォォォォォォォォォ!」

 

その言葉と共に一同の前にスフィンクスが現れる。

 

刹那「なんですとぉ!?」

 

イリヤ「うぇえええええ!?」

 

凛「す、スフィンクス!?」

 

現れたスフィンクスに誰もが身構える。

 

ニトクリス『ふふふ、レンタル料は高かったですがこのスフィンクスこそが、この洞窟の真・番人!』

 

刹那「レンタルって誰かから借りてきたの!?」

 

自慢気にそう言うニトクリスのに刹那はツッコミを入れる。

 

ニトクリス『はい!ファラオ・オジマンディアス王から借りました!あのお方はああ見えてきっちりビジネスするお方で』

 

オジマンディス『ほう、余の神獣軍団を借り受けたいと?では一週間のレンタル料は3スカラベ、マリカにする場合は鎖を10追加。ああ、返す時は胃袋を満タンにしておくように』

 

ニトクリス『と、大変リーズナブルな条件でお借りしたのです!さあ、やっちゃってくださーい!』

 

スフィンクス「オォォォォォォォォォ!」

 

その言葉と共にスフィンクスは咆哮して威嚇する。

 

ブレイブエリザ「くっ、アタシでも分かる。これは……超強いわね……!」

 

エミヤ「ああ、第六特異点でも倒すのには苦労したからな」

 

イリヤ「そ、そんなに強いんですか!?」

 

顔を顰めるブレイブエリザのにエミヤも難しい顔をして言い、イリヤは驚いて聞く。

 

刹那「うん、マジで強い;ライダーオンリーで攻めてもなかなか倒れないんだよね;」

 

ブレイブエリザ「でも大丈夫、安心しなさい子ジカ。アタシは勝つわ、何故だか分かる?」

 

思い出してそう言う刹那にブレイブエリザがそう言う。

 

刹那「えっと……なんで?」

 

ブレイブエリザ「ふふふ、流石の子ジカでも分からないか。なら教えてあげる」

 

なぜそう自信満々なのか聞く刹那にブレイブエリザは胸を張って言う。

 

ブレイブエリザ「そう……アタシは勇者!つまり、正義は必ず勝つのよ!分かったかしら子ジカ?」

 

刹那「……え?」

 

出て来た言葉に誰もが呆気に取られる。

 

彼女の属性を知っている者からすれば呆気に取られるのは仕方がない。

 

ニトクリス『……おかしいですね。ファラオビジョンでは元々、混沌・悪属性だったように見えるのですが……』

 

ブレイブエリザ「ううううううるさいわね!行くわよコンニャロ―――――!!」

 

同じ様に考えてたのかそう言うニトリクスのにどもりながら怒鳴った後に駆け出して行く。

 

襲い掛かるスフィンクスにブレイブエリザと刹那達はどう立ち向かうのか!?



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第九幕~ハロウィン・カムバック!超極☆大かぼちゃ村~そして冒険へ……~ with魔法少女Ⅳ~

洞窟にて出会ったニトクリスの出してきたスフィンクスと戦う事になったイリヤたち。
果たして勝つことができるのか…


前回、刹那達は来ていたニトリクスが居る洞窟にて門番であるレンタルスフィンクスとの戦いを始めた。

 

サンタオルタ「サンタからの贈り物だ……聖夜に沈め!約束された勝利の剣(エクスカリバー・モルガン)!」

 

ズドォォオオオオオオオオオッ!

 

サンタオルタが放った宝具である黒い光がスフィンクスにへと命中する。がしかし……

 

スフィンクス「オォォォォォ―――――!!」

 

サンタオルタ「チッ、やはり耐えるか!」

 

吠えるスフィンクスに有利なライダークラスであるサンタオルタは顔を顰めながら攻撃を避ける。

 

刹那「ん~やっぱり固いねスフィンクス;」

 

イリヤ「ぜ、全然攻撃が効いていない……」

 

それに刹那は呻き、イリヤも攻撃しているがダメージが全然入っていない。

 

エミヤ「うむ、やはりライダーがサンタオルタだけなのは少々キツイな……」

 

マシュ「そうですね……せめてもう一人居てくれればいいんですが」

 

ルビー「それならイリヤさん、いよいよあのサーヴァントカードを使うときじゃないでしょうか!」

 

イリヤ「あ、メドゥーサさんのカード!」

 

そう言われてイリヤは美遊に渡されていたメドゥーサのサーヴァントカードを取り出す。

 

そして行くよと言う言葉と共にカードを構える。

 

イリヤ「夢幻召喚(インストール)!!」

 

宣言と共にイリヤは光に包まれ、光が四散するとメドゥーサと同じボディコンを纏い、その目には…眼鏡をかけたイリヤが立っていた。

 

青アルトリア「これが夢幻召喚(インストール)ですか……」

 

スフィンクス「オォォォォォ―――――!!」

 

メドゥーサイリヤ「!」

 

ジャララララララララッ!

 

スフィンクスがメドゥーサイリヤにへと襲い掛かるがメドゥーサイリヤは鎖付き短剣を洞窟の天井にへと刺し、ジャンプして避ける。

 

ヴィン、ジャラララララララララララララ!!

 

そのままメドゥーサイリヤは短剣を抜き取ると共に魔法陣を展開するとそこから大量の鎖付き短剣をスフィンクスに向けて放つ。

 

ザシュザシュザシュッ!

 

スフィンクス「オォォォォォ―――――――!!」

 

大量の短剣が突き刺さる事で叫ぶスフィンクスに効いてる!と刹那はガッツポーズする。

 

メドゥーサイリヤ「(凄い……前使った時より凄く戦いやすい!)」

 

スフィンクス「オォォォォォ――――――――!」

 

前にやって見て使った時よりも力が使える事にメドゥーサイリヤは喜んでいるとそんな彼女の着地した瞬間を狙いスフィンクスはメドゥーサイリヤにへと飛びかかる。

 

凛「イリヤ!」

 

メドゥーサイリヤ「石になっちゃえ!」

 

スフィンクス「!」

 

叫ぶ凛だがメドゥーサイリヤは眼鏡を外してスフィンクスへと顔を向けて、メドゥーサイリヤを認識したスフィンクスは石へと変わり果てる。

 

メドゥーサイリヤ「今ですサンタオルタさん!」

 

サンタオルタ「うむ!今度こそ聖夜に沈め!約束された勝利の剣(エクスカリバー・モルガン)!」

 

ズドォォオオオオオオオオオッ!

 

メドゥーサイリヤのに答えてサンタオルタは再び宝具を発動し、石化したスフィンクスへと放ち、スフィンクスは石となっていたので砕け散っていく。

 

それを見届けてメドゥーサイリヤははひーと息を吐く。

 

刹那「凄いよイリヤちゃん!メドゥーサと全く同じ戦い方だったよ!」

 

メドゥーサイリヤ「そ、そうですか?」

 

褒める刹那に眼鏡をかけ直したメドゥーサイリヤに謙遜しなくて良いとエミヤもそう言う。

 

クロ「それにしても眼帯からメガネに変わっているわね……というかメガネで代用できるものなの魔眼って!?」

 

エミヤ「魔眼を封じられるそう言う眼鏡があるのだよ」

 

そんなメドゥーサイリヤを見て指摘するクロにエミヤは苦笑して言う。

 

クロ「あるのそんなの!?色々でたらめすぎないそれ;」

 

エミヤ「実際、メドゥーサ自身も伝手で手に入れて愛用していたからな」

 

呆れるクロにエミヤはそう返す。

 

凛「一体誰が作ったのよそれ;」

 

ブレイブエリザ「それにしてもさっきのスフィンクス、なんか前戦ったのより弱くなかった?」

 

マシュ「そう言えばそうですね……」

 

凛も気になったがブレイブエリザはハロエリからの記憶からそう言い、マシュもその時と今を比べて同意する。

 

二トリクス『お、おかしいです!守護獣スフィンクスがこうも早くやられるはずが……』

 

刹那「そう言えばなんか疲れていなかった?あのスフィンクス」

 

マシュ「確かにそんな感じでしたね」

 

それにはニトリクスも思っていたのか戸惑ってて、刹那がそう言い、マシュも戦いの中で少し肩を上下させていたのを思い出す。

 

二トリクス『……はっ!エジプトからの長旅による疲労!環境にも適応できなかったのでしょうか……迂闊!』

 

エミヤ「遠路はるばる此処に連れて来たのか君は!?」

 

刹那「そこは魔術で転送とかしてあげればよかったのに;」

 

そんなスフィンクスがなぜ弱体化していた理由を察するニトリクスのにエミヤは叫び、刹那がツッコミを入れる。

 

ブレイブエリザ「さあとうとう御対面よ!」

 

そんなメンバーにブレイブエリザは気を取り直して言う。

 

そうだねと誰もが頷いて気を引き締めてしばらく歩き続けると映像ではないニトリクス本人と対峙した。

 

二トリクス「難関に次ぐ難関を突破し遂にここまで辿り着きましたね。褒めて差し上げましょう!しかしここまでです!」

 

エミヤ「一応だが理由を聞いていいか?」

 

そう言うニトリクスにエミヤは腕を組んで問う。

 

二トリクス「いいでしょう。何故なら私は素晴らしく強いのです!ひたすら引き籠って魔術の研鑽をしていたのですから!」

 

自慢げにそう言うニトリクスにそうなんだと刹那は呟く。

 

ブレイブエリザ「なんて奴なの。引き籠もりを自慢げに語るなんて……!っていうか平気なの?アタシは暗くて狭いところとかもう最悪に苦手なんだけど」

 

ニトリクス「私もそうです!ですが今はここが冥府の国!暗黒のファラオ力を高めるには此処しかないのです!」

 

エミヤ「暗黒のファラオ力とは一体何だそれは……」

 

ニトリクスの言った事にエミヤは呆れてツッコミ、ロビンフッドとイリヤもうんうんと頷く。

 

ニトリクス「ええ、はい。正直、西洋の価値観は自虐的すぎると思います。エジプトの冥界は広く、過ごしやすく、カラッとしているというのに……何故死をマイナスに捉えるのか……」

 

刹那「確かに死ってなんかそういうイメージになるよね」

 

なんとも言えない感じで答えるニトリクスに刹那は頷き、イリヤと美遊に士郎もうんうんと頷く。

 

ニトリクス「肉体が滅び、魂となったものを何故苛むのか……。アナタ方の神はもしや人間が嫌いなのでは?」

 

ブレイブエリザ「言うじゃない。なかなかシニカルじゃない。貴方、体育会系に見えたけど実は文系?」

 

なんで文系?とブレイブエリザのにイリヤはツッコミを入れるがスルーされる。

 

ニトリクス「ぶん……?どちらかと言うと私は呪い系でファラオとしても親書なども書きましたが基本的には呪いの文言をですね……」

 

ブレイブエリザ「つまりベースね!重苦しくもナイフのような音を相手に刻むバンドの味を占める縁の下の力持ち!」

 

エミヤ「待て、何処をどう聞いたらそうなる」

 

勘違いしてそう言うニトリクスのに嬉しそうに言うブレイブエリザのにエミヤはツッコミを入れる。

 

ブレイブエリザ「でも大抵はギターの旋律の下に隠されるのよね。メロディを奏でるギター、音程を刻むベース……」

 

イリヤ「え、エリザさん?」

 

なんかどんどんずれて行ってるのにイリヤは言おうとするがブレイブエリザは続ける。

 

ブレイブエリザ「ああ、何て悲しい!ベースは孤独な、けど一番ロックな役職だと思うのアタシ!アナタ、顔に似合わず苦労人なのね!」

 

バゼット「そうなのですか?」

 

ニトリクス「ベースとやらは分かりませんが苦労人という評価にはそれなりに感謝しましょう!そして貴方もなかなかの苦労人と見ました!特に貴方の周りの方々の苦労が凄い!」

 

ブレイブエリザ「ええ勿論!ってあれ?今の褒められたのよねアタシ?」

 

刹那「流石ニトリクス……微妙にズレている……」

 

ロマン『うん。物事を瞬時に把握する洞察力を持ちながら何故結論がこうも斜めにズレてるんだろうね……』

 

そう結論付けるニトリクスのに首を傾げるブレイブエリザを見ながらそう言う刹那にロマンもなんともいえない顔で同意する。

 

ブレイブエリザ「認めるわ。あの女は中々の強敵だって!だからこそ奇策はなし。真っ向勝負よ!」

 

そう言って剣を構えるブレイブエリザにニトリクスも杖を構える。

 

ニトリクス「ふふ、腕が鳴りますね。こんな状況でなければ私たちは」

 

ブレイブエリザ「ええ、きっと友達になれたかもしれないわ……!でもそんな未来はなかった」

 

ニトリクス「悲しいですがその通り。さあ勝負です!!」

 

エミヤ「戦闘後でも友達にはなれるだろうに……」

 

刹那「やっぱり気が合うんじゃない?あの二人」

 

会話を聞いて思わずツッコミを入れるエミヤの後に刹那はそう言う、

 

ブレイブエリザ・ニトリクス「「あーわーなーいー!!」」

 

刹那「ほらまた息ピッタリ」

 

ロビンフッド「おたくらマジで仲が良いでしょ」

 

それに反論する2人にロビンフッドは心底呆れる。

 

ブレイブエリザ「改めて行くわよ!」

 

ニトリクス「ええ、掛かって来なさい!」

 

カツン

 

ズズズズズズズズズズ……

 

イリヤ「うわっ、何々?!」

 

そう言った後にニトリクスは杖の底で地面突くと地面から何かが現れる。

 

ミイラ「■■■■……」

 

凛「み、ミイラ!?」

 

ニトクリス「さあミイラたちよ!行きなさい!」

 

号令と共にミイラ達は襲い掛かる。

 

美遊「イリヤ、迎え撃とう」

 

メドゥーサイリヤ「うん!」

 

ブレイブエリザ「雑魚は任せたわ!はあっ!」

 

ニトクリス「!」

 

ガキィン!

 

そう言ってブレイブエリザはニトリクスとぶつかり合いを始め、マシュ達も襲い掛かるミイラへと対処する。

 

ロビンフッド「やれやれ、ホント苦労させられるな!」

 

凛「全くね!」

 

ベキッ!バキッ!

 

バゼット「はあっ!」

 

スドッ!

 

矢を放ちながらぼやくロビンフッドのに凛も同意しながら殴り飛ばし、バゼットもミイラを殴り倒して行く。

 

イリヤ「斬撃!」

 

スドォン!

 

美遊「砲射《シュート》!」

 

バコォン!

 

それぞれがミイラを撃退する中でブレイブエリザは剣と杖のぶつかり合いを繰り広げていた。

 

ブレイブエリザ「おりゃおりゃおりゃ!」

 

ニトリクス「くっ!はっ!」

 

ガキィン!ガキィン!ガキィン!

 

そのままつばぜり合いに持ち込む。

 

ブレイブエリザ「キャスターの癖に近距離もやれるじゃないの!」

 

ニトクリス「ファラオならこれぐらい当然です!」

 

振れるか触れないかのギリギリの所で褒めるブレイブエリザにニトリクスはそう返す。

 

ニトリクス「っ!これでは埒があきません!」

 

ブレイブエリザ「ええ、そうね。ならここは」

 

ブレイブエリザ・ニトリクス「「お互いの宝具で決着をつけましょう!/つけるわよ!」」

 

そう言ってお互いに距離を取る。

 

刹那「ちょ、宝具!?」

 

エミヤ「待て!ブレイブエリザのはともかくニトリクス、君の宝具は確率即死付きの全体宝具ではなかったか!?」

 

凛「即死付き宝具ですって!?」

 

それに刹那はギョッとなり、エミヤが慌てて叫んだ事に凛も叫ぶ。

 

誰もがやめい!とかストップストップと呼びかける。

 

ニトクリス「屍の鏡。暗黒の鏡。扉となりて、恐怖を此処へ……」

 

ヴィィィィィン

 

刹那「総員直ちに退避ー!」

 

だが、もう発動しかけなのでそう言う刹那に誰もが慌てて離れる。

 

そんな中でブレイブエリザだけは同じ様に宝具を放そうとしていた。

 

ブレイブエリザ「La~♪」

 

放たれた音波が放そうとしていたニトリクスの動きを封じる。

 

ニトリクス「冥鏡……っ、しまった!?」

 

ブレイブエリザ「ゲット! 鮮血竜巻魔嬢(バートリ・ブレイブ・エルジェーベト)!」

 

ギュィィィイイイイイイイイイイン!!

 

そのまま動けないニトリクスへとブレイブエリザは全力の高速回転突きを炸裂させる。

 

ニトクリス「グッ……グァアアアアアアアア!」

 

ズドォオオオオオオオオオオオオオン!!

 

ブレイブエリザ「フッ……また伝説を作ってしまったわ!」

 

爆発を背にして、ブレイブエリザはそう言う。

 

その後にひょっこりと刹那達は顔を出す。

 

クロ「放たれて…ないわね」

 

マシュ「あ、あれ見てください」

 

刹那「え?……あ」

 

覗き込んで呟くクロの後に何かを見つけるマシュに刹那は見て声を漏らす。

 

ブレイブエリザ「ふう、ニトクリス。宝具勝負は私の勝ち……ってあ」

 

そう言って振り返ったブレイブエリザも声を漏らす。

 

彼らが見たのは…バラバラになったニトクリスの宝具であった。

 

そんなニトリクスはと言うと…

 

ニトクリス「Orz」

 

刹那「えっと……ドンマイ;」

 

ダメージを受けた状態で自らの宝具の現状に落ち込んでいた。

 

そんなニトリクスを刹那は慰める。

 

ニトクリス「だ、大丈夫ですマスター……壊れたのは像だけで鏡は無事でしたから」

 

そう返すニトリクスにそ、そうなんだと刹那は思いながらニトリクスに手を差し伸べる。

 

刹那「それじゃあニトクリス。戦闘も終わったし私達と一緒にあのピラミッドに行かない?」

 

ニトクリス「ピラミッドですか、良いですよ。私もあのピラミッドには一度ファラオとして行かなければいけないと思っていましたので」

 

そう申し出る刹那にニトリクスは了承する。

 

面倒見る奴増えたなとロビンフッドは頭を掻く。

 

ニトリクス「それにしても中々やりますね。私の働き者の死霊たちも品切れです」

 

ブレイブエリザ「アンタの方こそ素晴らしい動きだったわ。あと死霊ちゃん可愛いわね。特にあのシーツかぶっているの。くるくる廻るの可愛いわ」

 

そう言うニトリクスにブレイブエリザはそう言う。

 

刹那「あー確かにそういうのは可愛いかもしれな―――」

 

ブレイブエリザ「こう、ライブのヒントになりそうな気がする!」

 

刹那「え?そっち!?」

 

確かにマシュとかイリヤ達がしたら可愛いなと思っていた刹那はブレイブエリザのに思わずツッコミを入れる。

 

ニトリクス「メジェド神に目を付けるとは……貴方はやはり、ただの害獣ではないのですね。貴方の歌は確かに素晴らしいものでした。死霊たちも拍手喝采でしたし……私もあまりの心地よさに霊的インスピレーションが得れましたし」

 

刹那「霊的インスピレーションってなに!?」

 

そんなブレイブエリザのにそう言うニトリクスのに刹那は叫び、うーんホントこの面倒を見る奴が増えるめんどくささ…とロビンフッドはぼやき、エミヤと士郎は肩をポンと叩いて慰める。

 

ブレイブエリザ「ともかく進みましょう!目指せチェイテピラミッドよ!次は難関の氷河地帯を潜り抜けるわ!」

 

マシュ「氷河!?」

 

凛「なんで氷河地帯があるの!?」

 

そう言うブレイブエリザから出たのにマシュと凛はツッコミ、普通に寒そうだな…とブレイブエリザを見ながらイリヤは思った。

 

ブレイブエリザ「……確かに考えてみたら城までの道のりに氷河地帯があるとかおかしいわよね!?」

 

ロマン『そこはほら、お約束的なノリなんじゃないかな……』

 

エミヤ「そんなので氷河地帯増やされたら困るんだが……」

 

その後に言った本人も気づいてツッコミを入れて、ロマンのにエミヤはふうと息を吐いて言う。

 

はははと笑っていたロマンは何かに気づいて声を出して驚く。

 

ロマン『ん?サーヴァント反応が1、2、3、4……9,10、11、12、13、14……って14!?』

 

士郎「14?多くないですか?」

 

そう言って士郎は周りを見て…さりげなーくいた茨木童子に気づいた。

 

茨木童子「……むぅ、おかしい……お菓子が無いぞ……いや洒落ではなく」

 

マシュ「茨木童子さん!?」

 

辺りをキョロキョロ見ながらそう呟く茨木童子にマシュは叫ぶ。

 

刹那「来てた―――」

 

???「おかーさーん!」

 

そしてそんな刹那に誰かが勢いよく抱き着き、おう!?と刹那は声を漏らす。

 

抱き着いて来た人物に刹那はあっ!?と声を漏らす。

 

刹那「じゃ、ジャック!?」

 

ジャック「トリック・オア・トリートだよお母さん!」

 

ナーサリー「トリック・オア・トリート!!」

 

エミヤ「君もいたのかナーサリー…」

 

驚く刹那にそう言うちびっ子2人組にいつの間に…とエミヤは呟く。

 

ジャック「お母さん!お菓子頂戴!」

 

刹那「お、お菓子……ね……」

 

ナーサリー「ええ、そうよ!くれなきゃ悪戯しちゃうから!」

 

お菓子お菓子!と強請る2人に刹那は押される中で茨木童子もうむお菓子はどこだと刹那に詰め寄る。

 

それにロビンフッドはふーと息を吐き…

 

ロビンフッド「ほら、お菓子はこっちだぞ」

 

ジャック・ナーサリー「「お菓子!」」

 

茨木童子「おお、何だその菓子は!」

 

そう言って懐からチョコレートなどを取り出して呼び寄せ、ジャックとナーサリーは真っ先に向かい、茨木童子は不思議そうに見る。

 

良いから食っとけとロビンフッドは茨木童子に手渡す。

 

刹那「にしても茨木童子、いつの間にこっちに来てたの?」

 

茨木童子「ふはははは!汝等と一緒に霊死埠頭してきたのよ!」

 

マシュ「やっぱり幻覚じゃなかったのですね!良かったです!」

 

チョコレートを貰いながら刹那のに答える茨木童子にマシュはほっと安堵する。

 

ブレイブエリザ「え?誰なの!?遊び人とかパーティに加えたくないんだけど!?」

 

茨木童子「だーれーがー遊び人か―――――――!!酔った京人どもと一緒にするではない!」

 

それにブレイブエリザは驚いて聞き、茨木童子は怒鳴る。

 

あー、あの時はホント大変だったなと刹那は遠い目をし、マシュは顔を赤くする。

 

 

一方、チェイテピラミッドでは……

 

そこで女王が本をパラパラと読んでいた。

 

女王「…………ふ」

 

パタン

 

読み終えた後にポイッと椅子に放り投げて立ち上がる。

 

女王「オホホホホ!つまらない本でしたこと!時間潰しにはなりましたが……。そこの居眠り豚」

 

トリスタン「ははっ、居眠り豚トリスタン。御前に」

 

そう言って先ほどまで奏でてたトリスタンへと声をかける。

 

女王「その音楽は気に入りません。違うのを」

 

トリスタン「ではこちらのを」

 

~♪~♪~♪

 

そう言って別の曲を奏でるがその曲に女王はビクッとなる。

 

女王「止めなさい気が狂いそうです!落ち着いて本を読めないでしょう!」

 

トリスタン「愉快な曲の方が良いかと思ったのですが」

 

なぜ?と首を傾げるトリスタンに女王は怒鳴る。

 

女王「限度というものがあるでしょう。限度というものが。まして今は夜、騒がしい音は無粋というもの。と言うか今の音はどうやって琴で弾いたのですか……?」

 

その後に琴だけで音楽をどう流したかに首を傾げているとランスロットが入って来る。

 

ランスロット「失礼、女王」

 

女王「何用か、妾はもう寝ます。報告なら明日――――」

 

アレキサンダー「それが寝る場合じゃなくなったんだよねぇ」

 

退室をさせようとする女王にアレキサンダーがそう言って入って来る。

 

女王「あ、アレキサンダー様。それは一体どういうことなのでしょうか?」

 

アレキサンダー「ランスロット」

 

ランスロット「はっ、実はかのファラオがカルデアのパーティに参入したようです」

 

目をパチパチさせる女王へとランスロットは報告する。

 

女王「な。何ですと―――――――――!?あの御方が!?そんな、あんな間が抜けていて愚鈍で知性の欠片もなさそうな者に!?」

 

アレキサンダー「まあ彼女は元々カルデアに召喚されていたからね。仲間になるのは仕方がなかったと思うよ?」

 

トリスタン「ああ悲しや。我らの女王の貌が悲痛に歪む……。しかしその貌もまた、輝かんばかりに美しい――――」

 

心底驚きだと言う女王にアレキサンダーは苦笑して言い、トリスタンのをスルーして女王はぶつぶつ言う。

 

女王「あの御方がいるなら氷河地帯はおろか溶岩地帯も危険ですね……」

 

ランスロット「如何致しましょうか、女王」

 

難しい顔をする女王にランスロットは質問する。

 

女王「莫迦は時としてこちらの予想を上回る……か。むずかしいわね……。むぅ……」

 

どうしようかと悩む女王にトリスタンは見続ける。

 

トリスタン「憂い悩む女王の貌もまた、美しく―――――」

 

女王「考え事の邪魔。窓から飛び降りなさい、貴方は」

 

トリスタン「おお……我は空高く飛ぶ(I Can Fly)……」

 

ダッ!

 

うっとおしいのでそう命令する女王にトリスタンは本当に窓から飛び降りた。

 

ランスロット「本当に飛び降りただと―――――――!?」

 

~♪~♪

 

それにランスロットは驚いて慌てて窓から下を覗き込むとトリスタンはなんと音の衝撃で飛んでいた!

 

ランスロット「お、音の衝撃で空を飛ぶとは……」

 

アレキサンダー「相変わらず色んな意味で凄いね彼は……」

 

唖然とするランスロットの隣でアレキサンダーは呆れて見る。

 

女王「それは飛ぶでしょう、トリなのですから!それはそれとしてヒトヅマンスロット」

 

ランスロット「はっ!…………………はっ!?」

 

アレキサンダー「ぶふっ!」

 

そんなランスロットに女王は呼びかけ、ランスロットは返事をして呼ばれ方が違う事に気づいて素っ頓狂な声を上げ、それにアレキサンダーは思わず笑ってしまい噴いてしまう。

 

女王「溶岩地帯に彼女たちを派遣するのよ。何としてでも押し留めるのです」

 

アレキサンダー「え?彼女たちを?」

 

出て来た言葉に笑っていたアレキサンダーは思わず笑うのを止めて聞く。

 

ランスロット「な、何ですと……!?しかし、彼女たちはあまりにも危険です。暴走する可能性がなきにあらず、いや絶対暴走する!と断言してもいいほどに!」

 

アレキサンダー「特にあっちにはその暴走の原因になる人が居るからね。絶対暴走するよ彼女たちは」

 

それにランスロットは苦言し、アレキサンダーもランスロットに同意してそう言うが女王は高笑いする。

 

女王「ホホホホホ!ご安心をアレキサンダー様。大丈夫でしょう、何故なら妾なのですから!」

 

ランスロット「(不安だ……!)」

 

アレキサンダー「あははははは……;」

 

自信満々な女王にランスロットは不安になり、アレキサンダーはマスターご愁傷様と心の中で合掌する。

 

女王の言う彼女達とは一体…



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第十幕~ハロウィン・カムバック!超極☆大かぼちゃ村~そして冒険へ……~ with魔法少女Ⅴ~

城へと向かう刹那とイリヤ達、向かう先に待ち受けていたのは極寒の地域と灼熱の地域であった。


新たにニトクリスに茨木童子とジャック、ナーサリーを加えた刹那達は、次なる場所へと進んでいた。

 

そこは…極寒であった。

 

ビュォォオオオオオオオオオオオオッ!

 

イリヤ「さ、寒い!これは洒落にならない程寒いよ!?」

 

刹那「いや~ホントこの吹雪、カルデアに行くまでに登った雪山を思い出すなぁ……」

 

マシュ「ま、マスター?!大丈夫ですか!?しっかりしてください!」

 

自分の体を抱きしめて叫ぶイリヤに、刹那は遠い目をしながら思い出を語りだして、マシュが必死に揺する。

 

ブレイブエリザ「……しゃむい」

 

青アルトリア「マスター!エリザベートがマジでヤバいです!?」

 

エミヤ「そんな恰好をしているから寒いんだ!これを上に羽織れ。多少はマシになるだろう」

 

ガタガタ震えるブレイブエリザに、エミヤはコートを投影し渡して羽織らせる。

 

その後、薄着な面々にも同じ様に渡していく。

 

ブレイブエリザ「うう……勇者だから大丈夫だと思ったのに……」

 

刹那「いや、勇者だから大丈夫な訳ないからね;」

 

マシュ「ところで、茨木さんはどうして此処に?」

 

茨木童子「いや、特に用はない。なんとなくだ」

 

痩せ我慢しようとするブレイブエリザに刹那は突っ込む傍らで、何故来たのかを聞くマシュに茨木童子はそう答える。

……なにやら口いっぱいに何かを頬張りながら。

 

マシュ「……はあ。何となくですか……極めて個人的な物欲……によるものではないのですね?」

 

刹那「トリート?」

 

茨木童子「知らぬ。そんな合言葉は知らぬ。しかしタルトとやらが美味しかった。キャンディとやらも格別だ。しかし甘すぎてな、牙がとろけぬか心配よ」

 

そんな茨木童子を見て納得するマシュの後にそう聞く刹那へ、茨木童子はもごもごしながらそう返す。

 

それだけお菓子が気に入ったようだ。

 

刹那「虫歯にならないように気をつけないとね」

 

ナーサリー「ヒッ!虫歯は嫌ー!歯医者は嫌-!」

 

それに刹那が注意すると、ナーサリーは怯えてルヴィアに抱き着く。

 

尋常じゃない怯えに何事?と知らない面々は目を点にし、知ってる刹那達はあー…となる。

 

茨木童子「全く。かつて金平糖一粒で一喜一憂していた吾は何だったのか……母上にも食べさせてやりたい程だ……あとはパウンドケーキとやらも気になるな」

 

エミヤ「完全にスイーツの虜だな」

 

そう残念そうに呟く茨木童子にエミヤは苦笑する。

 

刹那「なんだか私も食べたくなってきたよ。ねえ、今度カルデアでスイーツバイキングとかできないかな?」

 

エミヤ「ふむ、偶にはいいかもしれないな」

 

その後の刹那の言葉に、確かにあんまりしてないなとエミヤは考えてからやってみるかと予定を立てる。

 

お菓子がたっぷり食べられると言うので、ジャックやナーサリーは目を輝かせる。

 

茨木童子「スイーツバイキング?なんだそれは!?」

 

刹那「要するにお菓子食べ放題ってことだよ!」

 

さらに食いついて詰め寄る茨木童子に刹那は簡単に答える。

 

茨木童子「そ、そんなのがあるのか!吾も参加するぞ!」

 

刹那「それじゃあ、この事件が終わったら皆でしようね」

 

食べ放題に目を輝かせる茨木童子に刹那は笑って言う。

 

茨木童子「うむ。ではそうと決まればまず奴等から倒すとするかのう」

 

凛「食いつくの早いわね」

 

やる気満々な茨木童子に凛は呆れるが、ルビーにお金絡んだ時の凛さんもあんな感じでしょうと言われ、怒ってルビーを追いかける。

 

それにイリヤは苦笑してから、茨木童子の奴等の部分に首を傾げる。

 

すると大量のホムンクルス達が現れる。

 

ホムンクルス「アァァァァァ……」

 

リリィ「ホムンクルス!!」

 

ロビンフッド「こりゃまた面倒な」

 

茨木童子「フンッ!」

 

ズバッ!ズバッ!

 

迫るホムンクルスに茨木童子は瞬時に武器を取り出して切り裂く。

 

ホムンクルス「アァァァァァ……」

 

茨木童子「ええい、邪魔だ!」

 

ドカッ!

 

その後に後ろから襲い掛かろうとした別のホムンクルスを蹴り飛ばす。

 

茨木童子「フンッ!」

 

グサッ!

 

ホムンクルス「ァァァァ……」

 

続いてホムンクルスへと突き刺して振り回して他のホムンクルスにぶつける。

 

その戦いぶりにイリヤはうわーと声を漏らす。

 

イリヤ「す、凄いですね茨木童子さん……」

 

バゼット「まさに鬼に相応しい暴れッぷりですね」

 

茨木童子「フンッ!」

 

グチャ!ベシャ!

 

茨木童子の暴れっぷりにイリヤはそう呟き、バゼットもそう評価する中で茨木童子はドンドン倒して行く。

 

そして数分後……

 

マシュ「敵、全滅しました……」

 

茨木童子の活躍もありホムンクルスは倒され、どうだ!と胸を張る茨木童子にはいはい凄いですねとロビンフッドは褒めながらチョコを渡す。

 

茨木童子「~♪」

 

エミヤ「さて、茨木が此処等辺の敵を全滅させた今のうちに、このエリアを一気に駆け抜けるとするかマスター」

 

刹那「うん、そうだね」

 

チョコを貰えてご満悦な茨木童子を横目に見つつ、そう言うエミヤに刹那や他のメンバーも同意し、足早に雪原を駆け抜けようとする。

 

茨木童子「それで次は何処に向かうのだ?」

 

ブレイブエリザ「次は……溶岩地帯ね!……溶岩ってどういうことなの……」

 

聞く茨木童子に、ブレイブエリザはそう言ってから頭を抱える。

 

確かに勇者は通ったりするけど…と誰もがえーとなる。

 

刹那「本当にむちゃくちゃな道のりになってるね;」

 

マシュ「と、ともかく行ってみましょう。現場を見ないことには……!」

 

呆れて言う刹那は、マシュの言葉にそうだね…と呟きながら歩き出す。

 

溶岩地帯

 

全員「熱!?」

 

そして、予想通りな熱さに誰もが汗をだらだら流す。

 

ブレイブエリザ「熱い―――――――!熱い―――――――――――!!」

 

ボコッ!

 

あまりの熱さにブレイブエリザが叫んでいるとマグマが撥ねる。

 

ブレイブエリザ「あちゃ!?マグマが撥ねた!熱いー!!」

 

マシュ「だ、大丈夫ですか?!」

 

美遊「流石溶岩地帯。ここまで熱いとは……」

 

サファイア「流石に長時間いるのは美遊様や刹那様達には危険です」

 

ぴょんぴょんするブレイブエリザを宥めるマシュを見ながら、呟く美遊の後にサファイアがそう言う。

 

ブレイブエリザ「マシュぅぅぅぅ!」

 

マシュ「た、盾の影に!?わ、分かりました!マスターもここは危険ですから私の盾に隠れて下さい!」

 

ニトリクス「す、すいません私もお願いします!剥き出しの太腿が辛くて……!」

 

マシュの盾の後ろに隠れるブレイブエリザにマシュは驚いた後に刹那を呼び、ニトリクスもそう言って入る。

 

凛「私たちも!」

 

ルヴィア「入らせて欲しいですわ!!」

 

その後に他の面々もマシュの盾に入ろうとぎゅうぎゅう詰めになる。

 

マシュ「ぎゅ、ぎゅうぎゅう詰め……!」

 

刹那「バキちゃんもこっちに!」

 

流石に多いので顔を顰めるマシュの隣で刹那は茨木を呼ぶ。

 

茨木童子「くはは、不要だ!あとバキちゃんと呼ぶのではない!鬼の肌はこの程度の熱気で傷つくものではない!」

 

エミヤ「流石は鬼だな。溶岩の熱気にも簡単に耐えるとは」

 

それに対して笑って言う茨木童子にエミヤは関心する。

 

茨木童子「吾はこのままで構わん。せいぜい、吾の分まで貧弱な体を守っていろ」

 

ブレイブエリザ「ええいこの……もうちょっと空けなさいよニトクリス!」

 

ニトクリス「嫌です!これ以上はみ出ると太腿が……太腿が……!」

 

凛「ちょっとルヴィア取り過ぎよ!」

 

ルヴィア「それはこっちのセリフですわ!そっちが空けなさい!」

 

お互いに押しあう結果となり…

 

ボコッ!

 

ブレイブエリザ・ニトクリス・凛・ルヴィア「「「「熱――――――――――!!」」」」

 

ロビンフッド「と言うか、おしくらまんじゅうな状態になってさらに熱くなるっしょそれ?」

 

再び撥ねたマグマので叫ぶ4人にロビンフッドは呆れてツッコミを入れた後……

 

ザバァ!

 

ボンバーゴーレム「オォォォォォ!!」

 

刹那「ゴーレム!?」

 

ロビンフッド「こりゃまずい。おい、敵さんが出てきたぞ」

 

溶岩の中からゴーレムが現れ、ロビンフッドが慌てて呼びかける。

 

ブレイブエリザ「敵?こんなところに敵……?」

 

それに熱がっていたブレイブエリザは動きを止めた後に体を震わせ…

 

ブレイブエリザ「何考えているのあの女王!?こんな!溶岩地帯に!敵を!配置するとか!」

 

リリィ「お、落ち着いてくださいブレイブエリザさん!」

 

ついに癇癪を起こし怒鳴るブレイブエリザをリリィは宥めようとするが、ブレイブエリザは叫ぶ。

 

ブレイブエリザ「そもそも、ここピラミッドへの一本道なのに!なんで溶岩地帯があるの!?向こうだってここ通って城下町行くの!?馬鹿なの?馬鹿なの!?」

 

エミヤ「まぁ、確かになんで作ったのかは同意だな」

 

クロ「挑戦してくる冒険者対策だとしても、自分たちが不便になったら意味ないわよね」

 

そう言うブレイブエリザのにエミヤは同意し、クロもそう言う。

 

マシュ「気持ちは大変よく分かりますが、ともかく戦闘です皆さん!」

 

ブレイブエリザ「上等よ!こいつら纏めて溶岩の中に送り返してやるわ!」

 

そう言ってブレイブエリザは剣を構え、他のメンバーも戦闘を開始する。

 

ネロ「天幕よ、落ちよ!花散る天幕 (ロサ・イクトゥス)!」

 

ズドォォン!

 

ボンバーゴーレム「オォォォォ!?」

 

まず最初にネロがボンバーゴーレムに向かって突進し、すれ違い様に斬りつけてダメージを与えて行く。

 

そんなネロを狙おうとしたボンバーゴーレムを、エミヤが攻撃してネロをフォローする。

 

バゼット「はぁっ!」

 

ズガッ!

 

ボンバーゴーレム「オォォォォ!?」

 

別のボンバーゴーレムをバゼットが殴り飛ばす。

 

マグマから出て来たのをよー殴れるな…と感心しながらロビンフッドがフォローする。

 

ブレイブエリザ「おら、落ちなさいっ!」

 

ズドッ!

 

ブレイブエリザは盾を使い、勢い良く叩き付けてボンバーゴーレムを吹き飛ばす。

 

ボンバーゴーレム「オォォ!?」

 

ザポーン!

 

ブレイブエリザ「キャー!熱いー!」

 

ただ、マグマに突き落としたので飛んで来たマグマにジタバタしちゃうのにやれやれとエミヤとロビンフッドは呆れる。

 

マシュ「はあっ!」

 

ドカッ!バキッ!ザポーン!

 

バゼット「今のでラストですね」

 

最後の1体をマシュが倒し、バゼットが呟いた後にまた誰もがマシュの盾に隠れようと動く。

 

イリヤ「ま、またぎゅうぎゅうになりますよ;」

 

ブレイブエリザ「ぜー、ぜー、ぜー……!や、やったわ。やってやったわ……」

 

マシュ「で、では進みましょう!」

 

それにイリヤはそう言い、ブレイブエリザも汗だくになりながらそう言い、マシュも同意して進もうとするが…

 

刹那「…………」

 

なぜか刹那は止まっていた。

 

青アルトリア「どうしましたかマスター?顔色が優れないようですが……」

 

ニトクリス「優れないというか土気色に近いですね。正直好みの色です」

 

ロビンフッド「体調不良かもだ。極寒から猛暑に切り替わって体温調整がおかしくなったとか?」

 

それに気づいた青アルトリアが声をかけ、続けてのニトクリスのをスルーしてロビンフッドはそう言う。

 

刹那「そうじゃなくて……なんか急に悪寒が……」

 

ロマン『刹那ちゃん!?君、メンタルが物凄いブレを示しているぞ!?付近に何か異常なものでもあるのかい!?見ただけで精神に異常をきたす感じの石像とか書物とか!?』

 

マシュ「此処は溶岩地帯です!そんなものは見当たりません!」

 

凛「ちょっと、大丈夫!?」

 

それにロマンは慌てて言い、他のメンバーも慌てると…

 

ブレイブエリザ「大丈夫よ、子ジカ。このメンバーなら誰が相手でも問題ないわ。マシュが護り(ドラム)、ニトクリスや凛達が支援(ベース)、緑と紅が援護(ジャーマネ)、そして私やイバラギ、ネロたちが切り開く」

 

マシュ「そうですね……バランスの取れた良いチームだと思います」

 

そう言うブレイブエリザのにマシュもメンバーを見てそう言う。

 

ちなみに私はジャーマネなのか!と叫ぶエミヤはスルーされ、ロビンフッドに肩を叩かれる。

 

ロマン『その意気や良し!サーヴァントたちが待ち構えているようだがこのパーティなら大丈夫だろう!』

 

ブレイブエリザ「さあ、もうすぐ溶岩地帯も終わりよ!誰が相手でも恐れることはないわ!!」

 

そう言って溶岩地帯の出口まで来たのだが…刹那にとって最大の壁が待ち受けていた。

 

頼光「…………まあ」

 

静謐「…………」

 

清姫「…………」

 

刹那「おうちかえるー!」

 

イリヤ「あわわわわ!?刹那お姉さん!?」

 

待ち構えていた3人に刹那は幼児退行な感じに叫んで帰ろうとして、落ち着けとロビンフッドと士郎が抑える。

 

マシュ「あ……あれは……」

 

ロマン『刹那ちゃんが『生命以外の危機を感じる』と訴え止まない三人組……!』

 

エミヤ「通称『マイルームの寝床に入り込んでくるトリオ』……!」

 

ロビンフッド「いやいや。それもう物の怪かなんかの類いだろ」

 

カッ!と言う音が聞こえんばかりに言う3人に、ロビンフッドはツッコミを入れる。

それには凛達も同意でうんうんと頷く。

 

刹那「うえぇぇぇん!」

 

エミヤ「よしよし、泣くんじゃないぞマスター」

 

恐怖で普通に子供になっている刹那をエミヤは慰める。

 

普通にオカンか保護者だとイリヤとクロと美遊はエミヤを見てそう思った。

 

頼光「あら?あら、あら、あら?皆さん、あの子の泣き声が聞こえませんでしたか?」

 

全員「!!」

 

茨木童子「げぇ、ライコゥ!?」

 

するとそう言った頼光の言葉に誰もがビクッとなる。

 

静謐「はい、確かに。子供のように泣いてる感じの声が聞こえましたね」

 

清姫「あらあら、マスター。私が居ないから寂しくて泣いているのでしょうか?」

 

静謐「…………くす」

 

清姫「…………ふふふ」

 

ヤンデレメンバーの言葉にもう生まれたての小鹿の様になっている刹那に、これは隠した方が良いんじゃね?と普通に思ったロビンフッドだがそれは出来なかった。

 

なぜなら…人数が多すぎた(爆)

 

ロビンフッド「チッ、ヤバイな……」

 

自分を含めて5人ならまだ良かったが、10人以上もいるので普通にはみ出てしまう。

 

ネロも困ったなと呟く。

 

ニトクリス「はっ!そうです!皆さん、私にお任せを!」

 

マシュ「ニトクリスさん、何か方法があるんですか?!」

 

それにニトクリスが名案を思い付いたとそう言い、マシュのにはい!と答えてから呪文を唱える。

 

エミヤ「そうか幻影魔術か!」

 

刹那「それで身体を隠せばいいのか!」

 

何をしたのか察するエミヤの後に刹那は目を輝かせる。

 

ロビンフッド「静かにしとけよ」

 

ブレイブエリザ「ねえ、ちょっとどうして隠れるの?倒さないと通れないんじゃないの?」

 

ニトクリス「しっ。いいから黙っていなさいエリザベート。私には分かるのです。霊的に。貴女は人類の根源的マイナス波動ですが、あの三人は宇宙の根源的マイナス波動……即ち、ブラックホール的な存在だと……!」

 

美遊「ぶ、ブラックホール的存在!?」

 

それに疑問を言うブレイブエリザにニトクリスはそう注意して言い、美遊は表現に驚く。

 

茨木童子「そうなのだ……貴様、中々の慧眼だぞ……特に頼光はヤバい。あの女は当たり判定が無い!」

 

イリヤ「何そのゲームでは倒せない敵みたいなの!?」

 

身体を振るわして言う茨木童子にイリヤは驚く。

 

清姫「んー……あら、おかしいですわね。やっぱり刹那様の匂いがします」

 

ロビンフッド「匂いって何なのこのヤンデレサーヴァントは!?」

 

その時、清姫が鼻をひくひくさせて言った事にロビンフッドは小声で驚く。

 

清姫「くん、くん、くん。ちーかーくーに、いーまーせーんーかー?」

 

刹那「ひぃぃぃぃ……」ぷるぷるぷるぷる

 

エミヤ「大丈夫、大丈夫だから落ち着けマスター」

 

ねっとりじっくりと探す清姫に刹那は震えまくり、エミヤが宥める。

 

凛「一体どんだけトラウマ抱えてんのよ!?」

 

それに凛は叫ぶが、マスターが味わったのを味わってみるかとエミヤに言われてノーと返す。

 

青アルトリア「持久戦になりますが、このままやり過ごしましょう……」

 

ブレイブエリザ「まだ溶岩地帯から抜けきってないから超熱いんだけど!?」

 

そう言う青アルトリアにブレイブエリザは文句を言うが…

 

マシュ「ではあの三人を相手にしますか!?」

 

ブレイブエリザ「……それは……ちょっと……」

 

マシュ「でしょう」

 

そう言われて尻込みするブレイブエリザにマシュは頷く。

 

相性的な意味ではアサシンの静謐はまだキャスターは良い方だが、バーサーカーである清姫や頼光相手では分が悪すぎる。

 

特に頼光は全体攻撃の宝具持ちである為、宝具を放たれたら全滅の危険性がある。

 

清姫「うーん……居る筈なんですが……。どーこーかーしーらー」

 

頼光「かくれんぼですか。お二人とも、かくれんぼの必勝法をご存知ですか?」

 

辺りを見渡して探す清姫や静謐に、頼光が笑顔で聞く。

 

清姫・静謐「「?」」

 

エミヤ「かくれんぼの必勝法だと……まさか!?」

 

そんな頼光のにエミヤが嫌な予感を感じ取った瞬間……

 

頼光「――――――牛王招雷・天網恢々!」

 

マシュ「なっ―――――――――!?」

 

バチバチバチッ!ズドォォォン!

 

なんと頼光は宝具を辺りにぶっ放したのだ。

 

頼光「隠れられそうな場所を片っ端から焼き払えばいいのですよ」

 

清姫「なるほどー」

 

静謐「……それ、マスター死にませんか?」

 

どや顔で自信満々で言う頼光に清姫は納得する隣で、静謐は冷や汗を掻いてそう指摘するがスルーされる。

 

ちなみに刹那達は……

 

エミヤ「あ、危なかったな……」

 

凛「も、もう少し右にずれてたら即死していたわ;」

 

ルヴィア「刹那さん、貴女なんであんなのと契約しているんですか?」

 

なんとか避けて誰もが安堵の息を吐く中で、ルヴィアのにそう言われましても…と刹那は返す。

 

ニトクリス「……マスター、差し出がましい事ですが。これは覚悟決めた方がいいのではないですか?」

 

マシュ「マスター………」

 

そう進言するニトクリスのにマシュは心配そうに刹那を見る。

 

刹那「……がんばろうか……」

 

ニトクリス「勇気を振り絞っている感が伝わってきます……。それでこそ我が同盟者です!」

 

なんとかそう言う刹那にニトクリスはそう言って幻影を解く。

 

その中で茨木は何か考え込んでいた。

 

源頼光「あら」

 

清姫「まあ!」

 

静謐「……見つけました……」

 

うっとりとする3人に刹那は青アルトリアに抱き着く。

 

ブレイブエリザ「悪いけど通らせてもらうわよ!あと子ジカは渡さないわよ!」

 

頼光「その子を引き渡してくれるなら通してあげますのに……」

 

切っ先を向けて言うブレイブエリザに頼光はそう言う。

 

ブレイブエリザ「……っ、渡さないわ!」

 

ロビンフッド「今、ちょっと迷ったな……」

 

刹那「ブレイブエリちゃん!?」

 

やらないよね!絶対にやらないよね!?と言う必死な刹那に凄く必死だとイリヤと美遊は冷や汗を流す。

 

ブレイブエリザ「大丈夫、大丈夫よ子ジカ!」

 

ルビー「まぁ、と言う訳でその交渉はノーと言う事で」

 

そう言ったルビーの後に誰もが構える。

 

茨木童子「……おい、そこな異人」

 

ニトクリス「え、私ですか?」

 

そんな中で何か考えていた茨木童子がニトクリスに話しかける。

 

茨木童子「うむ、貴様の技でで少し頼みたいことがあってな……」

 

ボソボソと誰にも聞こえない様に伝え、ニトクリスは分かりましたと頷く。

 

頼光「では仕方ありません。毒蛾をさらっと潰して、愛する我が子を取り戻しましょう」

 

ブレイブエリザ「毒蛾?毒蛾って誰の事?」

 

エミヤ「たぶん君の事じゃないか?エリザベート」

 

うっとりと言う頼光の言葉に首を傾げるブレイブエリザに刹那をあやしながらエミヤがそう言う。

 

ブレイブエリザ「ふむふむ……アタシを毒蛾ですってぇ!?」

 

頼光「ええ、毒蛾です。ほら、触覚ついていますし。色も鮮やかと言うか、目に痛々しいですし」

 

納得してから自分を指さして問うブレイブエリザに頼光はそう言う。

 

ブレイブエリザ「ふふふふふ。あははははは」

 

その瞬間、ブチッと言う音が聞こえた後にブレイブエリザは静かに笑い始め…

 

ブレイブエリザ「よし、殺すわ。そもそもアタシ、雷鳴とか怖くないし。ヤーノシュ山の雷鳴、舐めんじゃないわ!」

 

その後に怒りを露にして叫ぶ。

 

清姫「ふふふふふ。大抵のことには寛大な私ですが……貴女とは宿命と言う何かを感じていますよ。エリザベート」

 

ブレイブエリザ「ええ、そうね清姫。私もそう思うわ。貴女とはいずれ決着をつけてやりたいってね!」

 

笑って言う清姫にブレイブエリザはそう返す。

 

静謐「……あの、私は寝床に潜り込むだけで幸せなのですが―――――」

 

マシュ「却下です、却下!」

 

そう言う静謐のハサンのにマシュは突っぱねる。

 

静謐「くすん」

 

イリヤ「(凄く残念そう;)」

 

それに涙目になる静謐にイリヤは冷や汗を掻く。

 

ブレイブエリザ「心配いらないわ子ジカ!この勇者エリザベートが、アンタをこのドス黒い、ろくでなしトリオから守ってあげる!」

 

頼光・清姫・静謐「「「………」」」

 

茨木童子「……アイツは人の神経を逆撫でにする天才か?」

 

ニトクリス「天然素材ですね……」

 

そんな3人に対して言ったブレイブエリザのに笑顔だが怒ってますオーラを放つ3人を見ながらそう評する茨木童子にニトクリスはそう言い、それ言ったらあんたも似た感じだよとロビンフッドは心の中でツッコミを入れる。

 

ブレイブエリザ「さあかかってらっしゃい!」

 

その言葉と共に戦いが始まった。

 

士郎「はぁ!」

 

ガキィン!

 

頼光「あらあら、なかなかの攻撃」

 

先手必勝と士郎は斬りかかるが頼光はあっさりと受け止める。

 

頼光「でもまだまだですね」

 

シュン!ザシュッ!

 

士郎「ガッ!?」

 

美遊「お兄ちゃん!」

 

その言葉と共に士郎はなんとか避けようとするが右腕を斬られる。

 

大丈夫だと斬られた所を抑えながらやはり強いと士郎は呻く。

 

エミヤ「偽・螺旋剣(ガラドボルグⅡ)!!」

 

バシュッ!

 

頼光「!」

 

ズドォォン!

 

追撃しようとする頼光へとエミヤが放った偽・螺旋剣が放たれ、爆風に覆われる中でエミヤは士郎の前に立つ。

 

エミヤ「大丈夫か衛宮士郎」

 

そう聞くエミヤになんとか…と士郎は返しながら止血する。

 

頼光「やってくれましたね。お返しです」

 

バシュバシュバシュバシュ!

 

エミヤ「熾天覆う七つの円環(ロー・アイアス)!」

 

ガキィン!ガキィン!

 

お返しと頼光は矢を放つが、エミヤは熾天覆う七つの円環《ロー・アイアス》を展開して防ぐ。

 

刹那「ジャック!エミヤと士郎君達の援護をして!」

 

ジャック「分かったよお母さん!」

 

それを見て刹那はジャックに指示を出し、ジャックも頷いてエミヤ達の援護へと向かう。

 

静謐はジャンヌとネロに槍オルタリアにイリヤと美遊が迎撃し、清姫をブレイブエリザや青アルトリアにサンタオルタを筆頭に迎撃している。

 

イリヤ「斬撃(シュナイデン)!」

 

静謐「っ!」

 

イリヤが放ったのを静謐は体をよじって避ける。

 

刹那「イリヤちゃんたち気をつけて!静謐のハサンは彼女自体が宝具だから!」

 

凛「は?どういう事よそれ!?」

 

注意する刹那の言葉に凛は問う。

 

刹那「静謐のハサンは爪・肌・体液・吐息に猛毒が含まれていて、直接触れなくて気化した汗を相手が吸収しただけでも効果がある恐ろしい宝具なんだよ」

 

凛「はぁあ!?」

 

出て来た言葉に凛は驚愕し、イリヤと美遊自身もそれを聞いて慌てて距離を取る。

 

刹那「特にキスされたら魔術師でも即死だし、サーヴァントでも二回キスされたら即死って言う恐ろしい毒なんだよね」

 

凛「アンタ、よくあんなのに寝床潜り込まれて死なないのよ!?」

 

そう言う刹那に凛は叫び、ルヴィア達もうんうん頷く。

 

刹那「いや~なんか私、かなり高ランクの耐毒スキル持っていて前にキスされても全然平気だったんだよね」

 

凛「はあ!?」

 

どう言う事!?と驚く凛達だが、静謐のハサンは刹那へとうっとりと目を向ける。

 

静謐「ああ、マスター。私に触れても死なない人……もっと貴方のお傍に居たいです」

 

刹那「あははははは;」

 

凛「アンタ、本当苦労しているわね;」

 

ホント空笑いな刹那に凛は同情する。

 

なお、この時凛は知らなかった。

 

まさか自分もしばらくしてから別の意味で苦労する事になると言う事を…

 

清姫「はぁ!」

 

ボォオオオオオオオオオオッ!

 

ブレイブエリザ「なんの!」

 

タっ!

 

炎を吐き出す清姫にブレイブエリザはジャンプして避けると、そのまま清姫へと向かって行く。

 

ブレイブエリザ「ハァっ!」

 

清姫「っ!」

 

ガキィン!

 

ブレイブエリザの振り下ろした剣を清姫は扇で受け止める。

 

ブレイブエリザ「流石は清姫!やるじゃない!」

 

清姫「そちらこそドラ娘のくせに中々のものではないですか」

 

そう褒めるブレイブエリザに清姫もそう返す。

 

なんとか戦えているが戦況は均等しあったままである。

 

刹那「ん~このまま長期戦はちょっとヤバいな……」

 

ジャンヌ「確かに長期戦になれば有利なのはあちらのほうですからね」

 

それに刹那は顔を顰めて、刹那の守りをするジャンヌも困った顔をする。

 

すると茨木はふふんと笑う。

 

茨木童子「安心しろマスター。すでに準備は整った!」

 

刹那「え?」

 

どう言う事な刹那へと茨木童子は笑った後に宝具を発動する。

 

茨木童子「走れ!叢原火!――――――羅生門大怨起!」

 

ボォォォォオオオオオオオッ!ズドォオオオオオオオオン!!

 

放たれた炎は頼光達の視線からメンバーを隠す。

 

静謐「きゃあ!」

 

頼光「おのれ虫が……!」

 

清姫「こんなもの!溶岩地帯でも平気な私達にとっては涼風同然……!」

 

そう言って3人は炎を越えるが刹那達の姿が消えていた。

 

清姫「……って、あ、あら?ますたぁは……あの方はどちらへ?」

 

頼光「見つけました!あんなところに……ってああ、そっちは駄目です!!」

 

戸惑う清姫の後に頼光がそう言ってマグマへと向かって行く刹那を見つける。

 

頼光「そこは溶岩地帯……!!待っていて、母が今助けに行きます!」

 

静謐「え、あの……」

 

ザポォォン!

 

そのまま2人は飛び込んでいく。

 

静謐「……流石に私は騙されませんよマスター」

 

刹那「あ、やっぱり?」

 

そんな飛び込んだ2人を見送ってから、そう言う静謐に刹那はひょっこりと現れる。

 

それに茨木童子は若干意外そうに静謐を見る。

 

茨木童子「お主、何故奴が偽者だと分かった?」

 

静謐「あのですね……バーサーカーのお二人はともかく私はアサシンですよ。アサシンである私が対象者を見間違えるなんてアサシン失格じゃないですか」

 

バゼット「ああ、確かにそうですね」

 

そう答える静謐にバゼットも納得する。

 

刹那「それで静謐、これからどうする?もしよかったら一緒に行動しない?」

 

静謐「ではそれで。私はマスターと一緒に居れれるならそれでも良いです」

 

その申し出に静謐は顔をポッとさせて刹那にくっつく。

 

マシュ「むぅ……」

 

リリィ「それにしても茨木童子さん、一体何を出したんですか?」

 

茨木童子「ああ、ニトクリスの魔術でちょいとマスターの人形を繕うてな」

 

ニトクリス「戦闘の最中、マミー達に裏で作らせておいたのですがまさか通じるとは……」

 

それに頬を膨らませるマシュの隣で気になったので聞くリリィに茨木童子は答え、ニトクリスは呆れて言う。

 

ジャンヌ「まあ、あのお二人はバーサーカーだから通じたんでしょうね」

 

茨木童子「妄執の愛は思考を狭めるもの。ふふ、まさかあの頼光がこんな策に転ぶとはな!呵々、無様無様!溶岩に落ちてしまえば、燃え滓も――――」

 

エミヤ「……いや、あの二人バッチリ生きて泳いでいるぞ!?」

 

成程と納得するジャンヌの後に、茨木童子が満足そうに言っていた時、エミヤが驚いて言う。

 

青アルトリア「はあ!?」

 

茨木童子「うそー!?」

 

ロマン『エミヤの言う通りだ!今のうちにさっさと逃げるんだ!』

 

刹那「皆!全力で此処から離脱するよ! 」

 

マシュ「は、はい!皆さん、急ぎましょう!!」

 

それに誰もが驚いた後、ロマンの号令を合図にすたこらさっさと溶岩地帯を駆け抜ける。

 

茨木童子「鬼種でもないのに何で溶岩に飛び込んでも生きているんだあやつら!?」

 

ルビー「んー多分、愛とかじゃないでしょうかね?」

 

茨木童子「愛、怖いなあ!」

 

思わず叫んだ茨木童子はそう答えたルビーのにそう言う。

 

刹那「と言うかさ茨木童子、ニトクリス。後であの二人がカルデアに帰ってきたらヤバイんじゃないの?」

 

茨木童子・ニトクリス「「あ」」

 

確かに、かたや嘘吐き焼き尽くすガールの清姫、かたや息子&マスターLOVEになる頼光だからもしも二人に騙されたと知ったら…

 

デデーン!!

 

茨木童子!ニトクリス!OUT!!

 

となるだろう。

 

想像して2人は顔を青くする。

 

刹那「……骨だけは拾っといてあげるね二人とも」

 

茨木童子・ニトクリス「「見捨てないでください!/くれ!マスター!?」」

 

そう言う刹那に2人は叫ぶが一同は先を進める。

 

いよいよピラミッドは近い…



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第十一幕~ハロウィン・カムバック!超極☆大かぼちゃ村~そして冒険へ……~ with魔法少女Ⅵ~

ついに城に辿り着いた刹那達、だがそこで衝撃の出来事が…



刹那「ようやく着いたね……」

 

ブレイブエリザ「ええ、そうね子ジカ。ついに此処まで来たわ!」

 

目の前で見えるピラミッドを見て呟く刹那の隣でブレイブエリザも頷いてそう言う。

 

イリヤ「それにしてもあんなことをできる女王様っていったいどんな人なんだろう」

 

ルビー「まーエジプト関連のサーヴァントってのは間違いないですね!ピラミッドって言ったらエジプトしかあり得ませんし」

 

ピラミッドを見ながら言うイリヤにルビーは断言する。

 

イリヤ「それじゃあ女王様はニトクリスさんの知り合いなのかな?」

 

ニトクリス「私の知っている人であんな事ができるのはオジマンディアス様ぐらいしか居ませんがあのお方は男性だから違いますね」

 

首を傾げるイリヤにニトクリスはそう言ってうーむと唸る。

 

美遊「では女王の正体は一体……」

 

ブレイブエリザ「そんなのは会ってから女王本人に聞けばいいじゃない!さあ皆!ピラミッドに巣食うあの魔女を倒すのよ!」

 

呟く美遊のにブレイブエリザは刹那へとそう言う。

 

刹那「努力します」

 

ブレイブエリザ「貴族が物事を有耶無耶にしたい時に言う言葉ね!」

 

ロマン『もちろんサーヴァントらしき存在が立ちはだかっているから気をつけてね』

 

そう返した刹那にブレイブエリザはツッコミを入れた後にロマンが注意する。

 

ブレイブエリザ「誰が相手でも恐れはしないわ!勇者(アイドル)エリちゃんの冒険は女王を倒すまで決して終わらないのよ!さあ、全員突撃よ!」

 

ジャック&ナーサリー「「おー!」」

 

茨木童子「士気だけは高い奴よな……吾はもう疲れた。酒呑ではあるまいし、一日中本気を出せるものか。緑の者よ、熱量《かろりー》をくれ。チョコレイト、もう一つ追加だ」

 

ロビンフッド「あいあい。鬼はちょろー、鬼はちょろー、っと」

 

元気よく言う2人を見てそう言う茨木童子にロビンフッドはチョコを投げ渡す。

 

茨木童子「ふはは効かぬ。まるで効かぬ!吾のこの無敵ぶりはどうだ!(ばりぼり)」

 

凛「ほんとにちょろいわねアンタ」

 

ジャンヌ「微笑ましいですけどね」

 

嬉しそうにチョコを食べる茨木童子に凛は呆れ、ジャンヌは微笑む。

 

ニトクリス「それにしても上へ下への大騒ぎで汚れてしまいましたね……エミヤ、貴方の魔術で浴槽の一つや二つ作り出せませんか?」

 

エミヤ「別に作れはするがお湯は出ないぞ」

 

そうお願いするニトクリスにエミヤは呆れた顔でそう返す。

 

ニトクリス「むぅ、そうですか……」

 

エミヤ「それと今、君が言った『上へ下への大騒ぎ』は正しくは『上を下への大騒ぎ』だ。まあ博識の君なら知っていると思うが……」

 

残念そうに言うニトクリスにエミヤは一つ訂正して指摘する。

 

ニトクリス「も、勿論です!今のは貴方を試すためにわざと間違えたのです!」

 

ブレイブエリザ「緊張感が欠片もな――い!ねえ、何かこう、盛り上がる気持ちとかないの!?アタシの声に合わせて歓声とかあげましょうよ!?」

 

ロビンフッド「へいへい、勝った後で思う存分な」

 

顔を赤くして言うニトクリスのを聞きながらそう言うブレイブエリザにロビンフッドはそう返す。

 

ブレイブエリザ「むき――――!いいわよ、もう!そら、次の相手は誰!?円卓の騎士でも何でも掛かってこいっての!!」

 

「……ほう」

 

そう意気込んだブレイブエリザが聞こえてきた声にえ?となる。

 

すると門の前では1人の男性サーヴァントが立っていた。

 

ネロ「む?あやつは……」

 

ブレイブエリザ「っておじ様―――――――――!?」

 

そのサーヴァントを見てはて?となったネロはブレイブエリザの叫びにおお!そう言えばとポンと手を叩く。

 

マシュ「え、おじ様……ヴラド三世ですか!?」

 

リリィ「でも私達が知っているあの人とはちょっと全体的に雰囲気が違うのでは?」

 

ネロ「いや、マシュ。あれはヴラド三世で合っているぞ」

 

驚いて聞くマシュとリリィにネロは断言す。

 

エミヤ「そう言うということは君はあの姿の彼と知り合いなのかネロ」

 

ネロ「うむ、そうだ。月でのちょっとした知り合いだ」

 

ヴラド三世「久しぶりだな愛の暴君よ。月の聖杯戦争以来だな」

 

確認するエミヤにネロは頷くとヴラド三世はそう言う。

 

刹那「そう言うってことは本当にヴラド三世なの?」

 

ヴラド三世「そうだ。おそらくお主たちが知っているのは王としてのヴラド三世。この場にいるのはあらゆる悪を糺す武人である」

 

質問する刹那にヴラド三世はそう答えた後にブレイブエリザを見る。

 

ブレイブエリザ「あ、あのおじ様?……アタシを睨みつけて……何かあった?」

 

ヴラド三世「エリザベート・バートリー!(オレ)はその方の罪を裁きに来た!」

 

恐る恐る聞くブレイブエリザにブラド三世は殺気を放ってそう言う。

 

ブレイブエリザ「え、えぇぇ!おじ様が!?」

 

ヴラド三世「問答は無用。汝は罪ありき存在―――――これより、あらゆる不徳と不義を罰してくれようぞ!」

 

言われた事に驚き、戸惑うブレイブエリザへとヴラド三世はそう言って槍を構える。

 

ロマン『あ、あの吸血鬼呼ばわり以外には鷹揚なヴラド公がここまで怒っているなんて!?ああいや、違う側面だから怒りのハードルもまた違うのか!と、ともかく戦闘準備だ!』

 

マシュ「ブレイブエリザさん!今は戦いましょう!」

 

ブレイブエリザ「あ、うん……そ、そうよね。戦わなくちゃ……!」

 

それにロマンも驚いた後に戦闘準備を促し、マシュのにブレイブエリザは頷きながら剣を構える。

 

ヴラド三世「フンッ!」

 

ブンッ!

 

槍を振るうヴラド三世に青アルトリアが剣で防いだ所をネロとエミヤが攻撃しようと突撃する。

 

ヴラド三世「突き砕く!」

 

ザシュザシュザシュッ!

 

向かって来る2人にヴラド三世は腹から大量の槍を噴出させる。

 

ネロ「グッ!?」

 

エミヤ「っ!?」

 

咄嗟に2人は避けるが槍が腕を切り裂く。

 

刹那「ネロ!エミヤ!」

 

凛「何、今の!?」

 

それに刹那は叫び、凛は攻撃方法に驚く。

 

ヴラド三世「まだまだ行くぞ!」

 

青アルトリア「!」

 

続いて槍を手放すと爪で青アルトリアを攻撃する。

 

ザシュッザシュッ!

 

青アルトリア「っ、速い!」

 

防ごうとするが数撃を貰い、鎧で守られた所以外の服やマントに切れ目が出来る。

 

イリヤ「斬撃(シュナイデン)!!」

 

美遊「砲射(シュート)!」

 

ズドォォォン!

 

そこをイリヤと美遊が攻撃し、これならとイリヤと美遊は思ったが甘かった。

 

ヴラド三世「効かんな」

 

そこにはピンピンしたヴラド三世がおり、なんて固さとルヴィアは呟く。

 

バゼットも先ほどの槍を警戒してか近づけない。

 

刹那「つ、強い……」

 

ジャンヌ「これが武人のヴラド三世の強さ……」

 

その強さにジャンヌもきついですねと思っているとヴラド三世はブレイブエリザを睨む。

 

ブレイブエリザ「うぅ……おじ様、なんでそんなに怒っているのよ……。そりゃアタシ色々と悪いことしたのは分かっているけど……」

 

ヴラド三世「理解しているだと?否、汝は重要な事を理解しておらぬ」

 

そう言ったブレイブエリザのにヴラド三世は目つきの鋭さをさらに上げて否定する。

 

ブレイブエリザ「……え?」

 

ヴラド三世「……やり直すがいい、今一度。さもなくば、あの女王の眼前に立つこと敵わぬ。その戦装束で勇者を名乗るのであれば!それを理解してからにせよ!」

 

士郎「や、やり直す?」

 

ルヴィア「それは一体どういう事で……」

 

出て来た言葉に士郎とルヴィアはどういう意味だと思ったらなんじゃありゃあ!?と言う茨木の声に茨木を見て、彼女が空を見上げているのに気づいて同じ様に見上げ…一部が噴いた。

 

そこにあったのは…巨大なすまないさんだった(笑)

 

イリヤ「え、えええええええええええええええ!?」

 

ルビー「うぁお!?流石のこれはルビーちゃんビックリ!」

 

マシュ「じ、ジークフリートさん!?」

 

それにイリヤは叫び、流石のギャグではトラブルメイカーなルビーもこれには仰天し、マシュも目を丸くする。

 

巨大すまないさん「すまない。本当にすまないのだが……ここまで死闘を繰り広げた皆にはすまないと思うのだが――――もう一度墓場からやり直してほしい……」

 

青アルトリア「……はあ!?」

 

そんな巨大すまないさんから出て来た言葉に誰もが驚く。

 

巨大すまないさん「これは別にシステム的なものではなく、ちゃんと意味があるものなので……マスターは踏ん張りどころだと思ってほしい」

 

刹那「あーうん;だいたいの予想はしてたけどまさか本当にあるなんてね……」

 

そう激励する巨大すまないさんのに刹那はなんとも言えない顔をする。

 

巨大すまないさん「では―――――すまないがワープしてもらおう」

 

その言葉と共に刹那達は一瞬でワープさせられるのであった。

 

全員(刹那・ロビンフッド以外)「何で―――――!?」

 

その際に刹那とやっぱりなな反応のロビンフッドを除いて誰もが叫んだ。

 

墓場

 

ブレイブエリザ「……戻ってきちゃった……」

 

イリヤ「戻ってきちゃったね……」

 

最初に来た場所に呟くイリヤはその後にヴラド三世の言葉に疑問を抱く。

 

イリヤ「それにしても武人のヴラドさんが言っていたブレイブエリザさんが理解していないことって一体何なのかな?」

 

茨木童子「緑の人。貴様、何か知っておるな?」

 

ロビンフッド「あん?」

 

首を傾げるイリヤの後にそう言う茨木童子にロビンフッドは何がだ?と返す。

 

凛「恍けないで。さっきのでアンタ、”これはしたり”って顔してたじゃないの」

 

ロビンフッド「ああ……まあ、多分な」

 

ブレイブエリザ「何!何なの、アタシが理解していない事って!」

 

それに凛も指摘し、ロビンフッドは頭を掻いて、ブレイブエリザが詰め寄る。

 

ロビンフッド「……オタクさ、街の様子見て気付かなかったか?」

 

ブレイブエリザ「街……?んー……ああ、そう言えばハロウィンの支度してなかったわね。皆、家に閉じ籠ってたわ」

 

美遊「でもあれは女王がハロウィンを禁止していたせいじゃ……」

 

そう問うロビンフッドのにブレイブエリザはそう返して、美遊も思い出して言う。

 

凛「いえ、ちょっと待って。だとしても女王が禁止するまではハロウィンの準備はしていたんじゃないの?」

 

士郎「だけど街には全くそれさえなかった。……もしかして」

 

それに凛は街の様子からそう言い、士郎も思い出してはっ!となってロビンフッドを見る。

 

ロビンフッド「ああ、そこの二人の考えてる通り、ハロウィンの準備をしなかったのは女王が来る前からずっとだ」

 

ブレイブエリザ「……え?」

 

リリィ「そ、それは一体どういう……」

 

エミヤ「……ま、まさか……」

 

告げられた事に言葉を無くすブレイブエリザの隣で戸惑うリリィにエミヤも気づく。

 

ロビンフッド「ああ、そう言う事だ……」

 

ブレイブエリザ「え?何?どういう事?」

 

エミヤ「ブレイブエリザ……いやエリザベート、一つ聞きたい。……君は最近この街の執政を行ったか(・・・・・・・・・・・・・)?」

 

頷くロビンフッドにまだ分からないブレイブエリザにエミヤは真剣な顔で聞く。

 

ブレイブエリザ「は?そんなの当り前じゃ…………あ」

 

ルヴィア「ま、まさか…;」

 

それに答えようとして顔を青くするブレイブエリザのにルヴィアも分かって冷や汗を掻く。

 

ロビンフッド「ああ、そうだよ。コイツ、ハロウィンに浮かれて執政するの忘れてたんだよ!」

 

イリヤ&クロ「「ええええ!?」」

 

ズビシッと指して言うルビンフッドのにイリヤ達は驚く。

 

ロビンフッド「そのせいで街の連中は祭りの準備をしていいのか分からねえし!兵士たちは準備を進めるべきか、止めるべきかで大混乱だったっつーの!ハロウィン気分で浮かれ騒いでたのはオタク一人だけだったってことですよ!」

 

ネロ「エリザベートよ、さすがにこれは……」

 

ブレイブエリザ「あわ、あわわ、あわわわわ!」

 

ニトクリス「こ、これは酷い……」

 

そう指摘するロビンフッドのにネロは呆れ、ブレイブエリザは顔を青くするのを見ながらニトクリスもネロに同意する。

 

バゼット「だから街には全くハロウィンの準備がしてなかったのですか……」

 

ブレイブエリザ「……それ、だわ……」

 

茨木童子「汝―――――祭りの準備もさせずに一人で浮かれていたのか?呆れたな。配下の面倒を見ずに何が頭領か。頭領はまず手下どもの食い扶持を確保するもの。自らのハラを満たすのはその後よ(バリボリ)」

 

落ち込むブレイブエリザにそう言いつつロビンフッドから御菓子を貰ってる茨木童子を見てあなたはロビンさんから施しを受けてませんとジャンヌは思ったがややこしくなると思って指摘しなかった。

 

ブレイブエリザ「だ、だってライブの準備で忙しかったし……ライトのセッティングとか招待状制作とか色々と……」

 

士郎「それは言い訳にならないと思うぞ;」

 

マシュ「……これは流石に弁解の余地がありませんね……」

 

そう言い訳をするブレイブエリザだが士郎にビシッと言い、マシュも頷く。

 

ブレイブエリザ「う……ど、どうしよう子ジカ!?おじ様、滅茶苦茶怒ってたわ!」

 

必死にすがるブレイブエリザに刹那はそうだね…と呟いてから…

 

刹那「ならハロウィンを盛り上げればいいじゃん」

 

ブレイブエリザ「盛り上げる……でもどうやって?」

 

そう言う刹那にブレイブエリザは戸惑って聞く。

 

ロビンフッド「……そりゃ、街の人間にハロウィンの開催を宣言すりゃいいだけっしょ」

 

リリィ「そうですブレイブエリザさん!ハロウィンをきちんと開催しましょう!」

 

ブレイブエリザ「そ、そうよね!でもどうやって……?」

 

至極当然な事を言うロビンフッドのに追従するリリィのにブレイブエリザは頷いた後に聞く。

 

ロビンフッド「カボチャを配って、お菓子を撒き散らして、ガキンチョ達に仮装の準備をさせて。後はそれにつられて彷徨う幽霊たちを退治して廻ればいいんじゃねぇの?」

 

ブレイブエリザ「……わ、分かったわ!」

 

やり方を教えるロビンフッドにブレイブエリザは頷く。

 

刹那「って事でエミヤ、お菓子の準備よろしくね」

 

エミヤ「まぁ、予想は出来てたさ、任せたまえ。最高のお菓子を作ろう」

 

ナーサリー&ジャック「「わーい!」」

 

青アルトリア「じゅるり……」

 

ロビンフッド「おい、涎出てるぞ」

 

喜ぶ子供ズの後ろで涎を垂らす青アルトリアにロビンフッドはツッコミを入れる。

 

それにイリヤはあははと苦笑した後にブレイブエリザを見る。

 

茨木童子「ふむ、なれば汝、宣言せよ」

 

ブレイブエリザ「ほえ?」

 

イリヤ「宣言?」

 

そんなブレイブエリザへと茨木童子はそう言い、なんでと思う2人に茨木童子は言う。

 

茨木童子「ここで菓子溢れる約束の祭り―――その宣言をせよと言っているのだ。頭領たる者、大喝の一つくらいはできよう。と言うか、貴様の叫び声であれば容易かろう」

 

ブレイブエリザ「……そうね。分かったわ。マイクに口パクとかアタシのプライドが許さないし」

 

頷いたブレイブエリザは前をみつえる。

 

ブレイブエリザ「……いくわよ」

 

すうーと息を吸い込んだ後にブレイブエリザは宣言する。

 

ブレイブエリザ「我が名はチェイテ城の主、エリザベート・バートリー!!遅くなってごめんなさ―――い!今、此処に!!ハロウィンの開催を―――宣言するわ!!!」

 

その言葉と共に周りが騒ぎ出す。

 

ボコボコッ!

 

イリヤ「うぇ!?何々!?」

 

美遊「か、カボチャ頭のスケルトン!?」

 

すると墓場のそこらへんからカボチャ頭のスケルトンたちが這い出て来てイリヤと美遊は驚く。

 

刹那「さあみんな!出てきたこいつら、どんどん倒してカボチャ回収していくよ!」

 

凛「あれで作るの!?」

 

そう指示する刹那のに凛はツッコミを入れる中でエミヤ達はカボチャ顔のスケルトンへと突撃する。

 

エミヤ「フッ!」

 

青アルトリア「ハァ!」

 

ズバズバッ!

 

リリィ「はあっ!」

 

ガッシャーン!

 

それぞれが切り裂いたり蹴り飛ばしたりしながらカボチャを回収していく。

 

ルヴィア「こ、こんな感じでいいんですか?」

 

刹那「良いの良いの!さあどんどん回収していくよー!」

 

砕きながら戸惑うルヴィアに刹那はそう言ってドンドンカボチャを収穫しながら街へと進む。

 

 

ルビー「さて街には着きましたけどこれからどうしますか?」

 

ブレイブエリザ「どうするって決まってるじゃない!街をハロウィン模様にするわよ。いいわね子ジカ!」

 

街に辿り着いてから聞くルビーにブレイブエリザはそう言って刹那に確認する。

 

刹那「うん!でもどうせなら街のみんなでやんない?」

 

ロビンフッド「確かに街の連中に声掛けないと、何時まで経っても終わらないからな」

 

そういう刹那にロビンフッドも同意しながらそう言う。

 

ブレイブエリザ「……わ、分かった!じゃあこの街の人間(ブタ)どもに命令しましょう!」

 

ロビンフッド「ブタと言われて喜ぶ人間などいねぇって話ですよ。ちゃんと事情から説明しろっての。領主なんだから」

 

そう言うブレイブエリザにロビンフッドは呆れて指摘する。

 

ブレイブエリザ「何よ!アタシのファンは大体喜んでくれてるわよ!匿名希望のコマドリだってピーピー喜んでくれたし、飼い主であるアナタだって嬉しいんじゃないの!?」

 

ロビンフッド「あのデブ鳥と俺には何の関係もねー!勝手に付いて来てるだけだからなあの鳥!」

 

ニトクリス「エリザベート。人間を一画に捉えてはいけません。ハロウィンを盛り上げたいのであれば、しっかりと頼むべきです」

 

そう言ったブレイブエリザは否定したロビンフッドの後のニトクリスのにうぐぅとなる。

 

ブレイブエリザ「わ、分かったわよ……」

 

エミヤ「それでは手分けして片っ端から頼んでみるとしよう」

 

ロビンフッド「そうだな。そん時にカボチャもバンバン渡していく感じでいいだろ」

 

頷くブレイブエリザを見てからそう言うエミヤにロビンフッドはそう言う。

 

ニトクリス「そうですね。では二時間後一旦ここに集合しましょう」

 

ロビンフッド「おう、そんじゃまあ解散だ!」

 

ブレイブエリザ「え?あれ?アタシどこに行けばいいの?」

 

そう言って各々に分かれる面々にブレイブエリザは戸惑いながら聞く。

 

刹那「じゃあブレイブエリザは私達と一緒に行かない?」

 

マシュ「(変な物言いでトラブルになっても困りますしね……)」

 

ブレイブエリザ「うん!」

 

茨木童子「では吾は留守番だな。ここで待っていてやろう!(ぼりぼり)」

 

その言葉と共にそれぞれがハロウィンを広げる為に街へと奔放する。

 

二時間後……

 

刹那「皆、どうだった?」

 

士郎「こっちは駄目だった。遠坂達の方はどうだ?」

 

凛「全然駄目。成果なしよ」

 

ニトクリス「そちらもですか。……ロビンフッド、貴方は?」

 

ロビンフッド「ダメダメ、なしのつぶてってやつ」

 

合流した後に誰もが収穫なしの様だったがエミヤが言う。

 

エミヤ「ただ街の住民は祭りをしたい様子ではあったな」

 

マシュ「あ、はい。それには同感です。言葉を濁されましたがハロウィンに拒否感のようなものは無かったと思います」

 

ブレイブエリザ「ぐぐぐぐぐ……許せないわ!ハロウィンは子供も大人も楽しめるお祭りなのに!」

 

ニトクリス「エリザベートは執政者としての貫禄がいまいち足りてないようですね」

 

同意したマシュの後に憤慨するブレイブエリザはニトクリスのにうぐ…となる。

 

槍オルタリア「それに加え、ピラミッドの女王がハロウィンを禁止しているせいで踏ん切りがつかないようだ」

 

ニトクリス「……まったく、何処の女王でしょう、ピラミッドをあんな風に使うなんて……」

 

話を聞いたのかそう言う槍オルタリアのにニトクリスは困った感じに言う。

 

ブレイブエリザ「ねえ、アタシのどこがダメなの!?」

 

全員(ブレイブエリザ以外の)「恰好(ではないかと)」

 

その後にブレイブエリザが困った様に叫ぶと全員が異口同音で指摘する。

 

そりゃあ勇者の恰好で領主と言えるかと言われたらゼロとしか言えない。

 

ブレイブエリザ「勇者なのに―!?」

 

ガチャガチャガチャ

 

叫ぶブレイブエリザだったがそこに女王騎士達が来る。

 

女王騎士A「ハロウィンは禁止と―――またアンタたちぃ!?」

 

クロ「あ、さっきの女王騎士リーダー」

 

ブレイブエリザ「あ、そうだ!ちょっとそこの!アタシを見てどう思う?」

 

ガチョーンとなる女王騎士達に最初に来た時に交戦した奴らかとクロは思い出すとブレイブエリザがそう問う。

 

女王騎士A「どう思うって……露出は程々にしないと斬られた時痛いぞ?」

 

ブレイブエリザ「センスゼロね!」

 

エミヤ「いや、正論だろ今のは」

 

そう返した女王騎士Aのにブレイブエリザは叫ぶがエミヤのツッコミにうぐうとなる。

 

~♪

 

マシュ「……今の音は……きゃっ!?」

 

パシュッ!

 

すると耳に何かを奏でる音が聞こえてきた後に咄嗟にマシュは盾で衝撃を防ぐ。

 

茨木童子「む?また何か騒ぎが起きているのか?吾には関係のない話だがな。何故なら我が目の前にはついに町人から分けてもらったチョコケーキがある故になぁ」

 

それに茨木童子はわれ関せずで大きいチョコケーキを嬉しそうに見る。

 

ジャック「うわ~美味しそう」

 

ナーサリー「早く食べたいわ!」

 

それに気づいたジャックとナーサリーが目を輝かせる。

 

茨木童子「ええい、急かすな!貴様らにもちゃんと分けてやる!」

 

ジャック・ナーサリー「「わーい!」」

 

それに対してそう言う茨木童子に2人は嬉しそうに喜ぶ。

 

茨木童子「にしても勿体なくて手が付けられないな……一体どこから食べれば美味いのか……」

 

その後にどう切り分けるか茨木童子は悩む。

 

茨木童子「むぅ、何処を齧っても美味そうに見えるではないか……。こやつめ、ふふふ、こやつめ……」

 

ジャック「ねぇ、まだ?」

 

くくくと笑う茨木童子にジャックは待ち遠しそうに声をかける。

 

茨木童子「ええい、だから急かすではないとさっき言ったでは……」

 

バシュッ!

 

次の瞬間、チョコケーキが弾け飛んだ。

 

ジャック・ナーサリー「「あ」」

 

茨木童子「にゃんとぉぉおおおおおおおおおおおお!!!!?」

 

それにジャックとナーサリーは目を見開き、茨木童子は絶叫する。

 

なぜそうなったかは現れた騎士が原因だった。

 

マシュ「貴方は―――――!」

 

???「ああ、悲しい……。街を橙色で染めるのは女王の本位で無いことが酷く苦しい……」

 

刹那「トリスタン!?」

 

エミヤ「ブレイブエリザが言っていた赤髪の糸目弓兵はやはりお前だったか!」

 

現れた騎士に刹那とエミヤは身構える。

 

イリヤ「皆さん誰か知っているの?」

 

トリスタン「おっと、自己紹介が遅れました。私はトリスタン……元円卓の騎士、現在女王の騎士。嘆きのトリスタン……あるいは暮れなずむ夕日に思いを馳せるトリスタンともお呼びください……」

 

ロビンフッド「長い長い!」

 

凛「長すぎでしょそれ!?」

 

カルデアにいなかったので聞くイリヤにトリスタンは自己紹介して、後者の2つ名の長さにロビンフッドと凛はツッコミを入れる。

 

士郎「っていうか元円卓の騎士って……」

 

青アルトリア「ほう、どうしてそうなったかを詳しく聞きたいのですがトリスタン。特にチョコケーキを吹っ飛ばした事とか詳しく」

 

そう言ってアルトリアズを見る士郎の後に青アルトリアが代表で問う。

 

トリスタン「おや、王ではないですか。お久しぶりで……」

 

青アルトリア「答えろトリスタン。もし変な理由だったら貴様を叩き切って」

 

茨木童子「その後で吾がこんがりと焼いて」

 

ジャック「次に私が解体して」

 

ナーサリー「ラストが私がジャバウォックで潰してあげるわ!」

 

挨拶しようとしたトリスタンに青アルトリアは相性?そんなの関係ねえとばかりに剣を向け、さらに茨木童子とジャック、ナーサリーが怒り心頭で続く。

 

青アルトリア「さあ、答えないトリスタン」

 

トリスタン「……なんか怒っていませんか?王。あとそこの三人も」

 

エミヤ「食べ物を粗末にした罪だ。抵抗しない方が良い」

 

冷や汗を掻くトリスタンにエミヤは静かにそう言う。

 

???「卿よ、貴公はアーチャーなのだから前に出ずとも―――――」

 

マシュ「新手……!」

 

そこにまた新たな声がしてマシュが見ようとし…

 

ダダダダダダッ!!

 

誰もが視認できない速さで通り過ぎた。

 

マシュ「……が、逃げて行きました!?」

 

イリヤ「え?」

 

ブレイブエリザ「え、なに今の?」

 

トリスタン「卿……?一体何処へ―――――?」

 

それには敵味方も戸惑いが起こる中…

 

ガシャン

 

謎の黒騎士「……AAAAAAAAAAAA!!」

 

黒い鎧を纏った騎士が現れる。

 

マシュ「今度こそ新手です!」

 

美遊「え?あれってバーサーカーのラン―――」

 

刹那「美遊ちゃん、そこは言わないであげて;」

 

それにマシュの言った事に美遊は指摘しようとして察した刹那に止められる。

 

トリスタン「どうしたのです、ラン――――――」

 

謎の黒騎士「SHUUUUUUUUTTTTTUPPPPPPPPPP―――――!!」

 

ギリギリギリッ!

 

ただ言おうとしたトリスタンは謎の黒騎士により取り押さえられた。

 

トリスタン「おおう、卿よ!?いきなり裸絞めとは何事です―――――――!?」

 

ギリギリギリッ!

 

まだ言おうとするトリスタンを謎の黒騎士は首を絞め始める。

 

~♪~♪

 

トリスタン「ギブ、ギブギブギブ!タップ!タップしてますから!!」

 

青アルトリア「仲間割れを始めました!マスター、今のうちに叩きましょう!!」

 

マシュ「青アルトリアさんの言う通りですマスター!特にあの黒騎士だけは絶対に許してはならない、とにかく彼をガヴェイン料理の如くマッシュすべしと、私の霊基(からだ)が告げているのです……!!」

 

哀れランスロット…とエミヤは心の中で合掌した後にそうだなと青アルトリアとマシュに頷く。

 

トリスタン「卿、卿よ。敵、敵です、敵が来ました……」

 

謎の黒騎士「ENEMYYYYYYYYYYYYY!!」

 

マシュ「今の内に……!」

 

その言葉と共にイリヤ達は戦闘を開始する。

 

ハロウィンを取り戻す為の作業が始まる。



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第十二幕~ハロウィン・カムバック!超極☆大かぼちゃ村~そして冒険へ……~ with魔法少女Ⅶ~

ハロウィンを始める為に動いた刹那達に女王の兵士やトリスタン、謎の黒騎士()が襲い掛かる。


ハロウィンを広めて城へと再び辿り着いた刹那達、ヴラド三世はブレイブエリザへと再び槍を向ける。

 

その後に巨大すまないさんにより再び墓地に戻された刹那達はブレイブエリザがハロウィンの宣言をしていなかった事を知り、ハロウィンを広げる為に街に向かった所、騎士団と女王の部下になったトリスタンと謎の黒騎士と戦う事になる。

 

斬りかかる謎の黒騎士のを士郎は受け止める。

 

そこにエミヤが弓を発射して謎の黒騎士は離れる。

 

クロ「ハァッ!」

 

その隙をついてクロが干将・莫耶で攻撃しようとするが

 

ザシュッ!

 

クロ「……え?」

 

謎の黒騎士「AAAAA!」

 

一瞬。クロは何が起こったのか分からなかった。

 

何が起こったのか…それは…

 

イリヤ「クロ!」

 

ルビー「今、謎の黒騎士さんを攻撃しようとしたクロさんが干将・莫耶で逆に切られました!?」

 

今ルビーが言った様に何時の間にかクロが持っていた筈の干将・莫耶を謎の黒騎士が手に持ってクロを切ったのだ。

 

一体どうして起こったのかにエミヤが察する。

 

エミヤ「騎士は徒手にて死せず(ナイトオブオーナー)か!」

 

凛「まさか斬りかかった瞬間に奪い取って自分の物にしてカウンターした訳!?」

 

エミヤの言った事に凛は暇つぶしで見たマテリアルのを見ていたので察して驚く。

 

刹那「うん。あの宝具はエミヤや士郎さん、クロの天敵とも言える宝具なんだよね」

 

士郎「天敵か……(だがもしあの宝具が使えたら…)」

 

刹那のを聞いて、士郎は宝具ので心の中で呟く

 

イリヤ「大丈夫クロ!」

 

クロ「ええ、これぐらい大丈夫よ」

 

槍オルタリア「あまり無理をするな。無理すると看護師のバーサーカーが治療に来るぞ」

 

声をかけるイリヤに斬られた所を抑えながらそう返したクロは槍オルタリアのに善処するわと返す。

 

刹那「確かに彼女なら確かに来そうだよねぇ……」

 

怪我と聞いたら確かにと槍オルタリアのに納得してる間に刹那はもう1人の方を見る。

 

マシュ「トリスタンさんは高速で矢を放つので気をつけないといけませんね……」

 

トリスタンの相手をしているマシュは矢をなんとか防ぎながら攻撃を仕掛けるがトリスタンはひょいひょいと避けて行く。

 

美遊「砲射(シュート)!」

 

ズババババババババババババッ!

 

マシュの援護にトリスタンへと向けて美遊は魔力弾を放つがトリスタンは弓を奏でて放った矢で相殺していく。

 

トリスタン「すいませんが私はそう簡単には倒せませんよ」

 

槍オルタリア「ならお前の相手は私がしよう。第六特異点では相性ので貴様の成敗ができなかったからな」

 

そう言うトリスタンに槍オルタリアが前に出て言う。

 

トリスタン「………私は悲しい。普通の王では良いのですが槍だと不利過ぎます」

 

青アルトリア「ほぅ、なら私も相手してあげましょうか」

 

トリスタン「……王二人相手は流石にヤバイですね……」

 

思わずポロリと言った事で怒りマークな青アルトリアも加わった事にトリスタンは冷や汗を流して後ずさる。

 

だがにがさんとばかりに槍オルタリアと青アルトリアは走り、トリスタンも走る。

 

刹那「……トリスタンの相手はあの二人に任せた方が良いね」

 

マシュ「そうですね。では私はあの謎の黒騎士の相手を!」

 

謎の黒騎士「AAAAAAAAA!?」

 

それを見てそう言う刹那にマシュが言った事に謎の黒騎士はたじろく。

 

なんでたじろくのかにイリヤとクロは首を傾げるがある程度察したエミヤは哀れなと呟く。

 

凛「ねぇ、ちょっと。なんであの黒騎士、あんなに動揺してるのよ」

 

エミヤ「あー…私の口から言えないな…本人のプライバシーのに入るしな」

 

そんなエミヤに聞く凛に聞かれたエミヤは目を泳がせながらそう返す。

 

マシュ「はぁあっ!」

 

ドカッ!バキッ!

 

謎の黒騎士「AAAAA!?」

 

その間にマシュは謎の黒騎士を連続攻撃を仕掛ける。

 

ほとんど攻撃もしない謎の黒騎士にエミヤは本当に大変だなと呆れる。

 

マシュ「これでとどめです!真名、開帳――私は、災厄の席に立つ。 それは全ての疵、全ての怨恨を癒す我らが故郷。顕現せ……」

 

謎の黒騎士「AAAAA!?」

 

刹那「ちょっ、マシュストップ!ストップ!」

 

エミヤ「流石にキャメロットアタックはやめろ!」

 

そのまま普通は防御の筈なのにぶつけようとするマシュに刹那とエミヤは慌てて止めに入る。

 

謎の黒騎士もこのままではやばいと感じたのか逃走に入り、途中でトリスタンを捕縛して逃げる。

 

茨木童子「逃がすかァ!羅生門大怨起!!」

 

ボォォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオッ!!!

 

そこに茨木童子が宝具を発動して2人を狙う。

 

それに対し…謎の黒騎士はトリスタンを投げた。

 

投げられたトリスタンはちょ!?と思った後に謎の黒騎士がどこからともなく取り出したフリップを見せる。

 

食べ物を攻撃した罰を受けて来い…と

 

トリスタン「くっ、回避スキル発動!」

 

ズドォオオオオオオオン!

 

それにトリスタンはスキルを使い回避しようとするが握られてダメージを受ける。

 

トリスタン「なんと……!強化解除の宝具など、嫌らしいにも程がありましょう……!」

 

茨木童子「間髪入れずもう一発!走れ、叢原火!チョコケーキの無念を晴らせ!羅生門大怨起―――――ィィィ!!」

 

呻いたトリスタンへと茨木童子は2度目のを発動する。

 

ボォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオッ!!!

 

トリスタン「二連発!なんという……早弾き……!」

 

謎の黒騎士「BAAAAAKAAAAAAAA!!」

 

飛んで来たのにトリスタンは思わず音楽に例えて、謎の黒騎士にツッコミを入れられる。

 

ズドォオオオオオオオオオオン!!

 

そのままトリスタンは宝具を喰らい、謎の黒騎士も巻き添えで吹っ飛ばされていった。

 

茨木童子「む、いかん。逆方向に飛ばすべきだったか」

 

バゼット「ピラミッドの方へと吹き飛んでいきましたね。……あれではわざわざ逃がしたようなものです」

 

茨木童子「な、何だ、勝負のアヤというヤツだ、吾は悪くないぞー!」

 

それを見てそう言うバゼットに茨木童子は腕をブンブン振って否定する。

 

刹那「そりゃ茨木が悪いわぁ」

 

茨木童子「ひいいいいい酒呑!?しゅて……汝ぇぇぇぇぇぇっ!!」

 

ただ、耳元で酒呑童子の声真似をして言った刹那のに茨木童子は怯えた後に刹那に怒鳴り、刹那はわーと逃げる。

 

マシュ「凄いですねマスター。今の物真似、似てないのに妙な迫力が……」

 

そんな刹那のに対してそう評するマシュに刹那は逃げながらそれほどでも~と照れて笑う。

 

ブレイブエリザ「ともかくにも。この街は解放されたわ!もうあの女王が止めろと言ったところで止まらない!ああ、世界がハロウィンの喜びに満ちている……!思わず私も一曲披露したくなってきたわ!」

 

ロビンフッド「それは止めておけっての。またスタート地点に戻る事になるからな?」

 

喜ぶブレイブエリザにロビンフッドはそう釘を刺して、言われたブレイブエリザは何でよ!と怒る。

 

マシュ「……あれ?子供たちが……」

 

そんな小芝居の間に逃げる騎士達にカボチャをかぶせて戦闘終了を確認するとそこにコスプレをした子供が来る。

 

子供「わーい、トリック・オア・トリート!」

 

マシュ「え、わ、わたしですか!?すみません、お菓子は……」

 

そう言われてマシュは戸惑う。

 

子供「いたずらだー!」

 

刹那「いたずらだ!」

 

マシュ「マスターまで!?」

 

綺麗な笑顔で言う子供たちに紛れて言う刹那にマシュはあわあわと慌てる。

 

フォウ「フォウ!」

 

マシュ「フォウさんがドクターの隠し持っていたゴマ饅頭を!」

 

僕のゴマ饅頭ぅー!と言うロマンの悲鳴を無視してマシュはゴマ饅頭を手渡す。

 

子供「お菓子だ―!」

 

マシュ「……ふぅ。助かりました、フォウさん」

 

フォウ「フォウフォウ」

 

嬉しそうに去る子供を見送りながらマシュはフォウにお礼を言い、フォウは誇らしげに胸を張る。

 

刹那は悪戯出来なくて残念そうであるが…

 

茨木童子「ふぉむふぉむ。もにゅもにゅ。おい、足りんぞ。あとこの味は食べ慣れている。もう少々、スイーツ的な感じのものを吾は所望する!」

 

その隣で茨木童子が先ほどのケーキの変わりとごま饅頭を食べていてそれなら…とマシュがマカロンを手渡す。

 

茨木童子「なんだそれは!?まず見た目が良い!鮮やかだ!」

 

ぱくっ

 

手渡されたのに茨木童子は訝しげになったがすぐさま口に放り込む。

 

茨木童子「そしてこの食感……柔らかく、それでいて割れるように硬く、中はしっとり……」

 

もむもむして食感を味わった後に目を見開く。

 

茨木童子「え、嘘。なにこれ、色ごとに味が違うのか!?抹茶!栗!苺!ぴすたちお!まさにお菓子の万華鏡ではないか―――――!!」

 

ロマン『マカロンは子供に大人気だからねぇ……。茨木童子には特攻だねぇ……』

 

まるでどこかのグルメレポーターな感じで評した後に美味さに目を輝かせる茨木童子にロマンははははと笑う。

 

刹那「それじゃあ邪魔も居なくなったしハロウィンの準備するよ!」

 

刹那の号令と共に誰もがおお!と腕を突きあげる。

 

そして数時間後……

 

子供「ハロウィンたのしーねー!」

 

様々な場所でハロウィンの飾り付けが施され、子供たちがワイワイと仮装をして御菓子を貰いに走り回る。

 

良い調子だなとエミヤはフッと笑う。

 

マシュ「なんだか、やっとハロウィンらしくなってきましたねマスター」

 

刹那「うん。やっぱりハロウィンはこうでなくっちゃね」

 

マシュ「はい!こうでなくっちゃ、いけないです!」

 

イリヤ「そうですね!楽しまないといけませんよね♪」

 

笑って言ったマシュは刹那のに同意し、イリヤも頷く。

 

ニトクリス「祭りを正しく執り行うのもファラオたる者の務め。あの子もそろそろ、それを理解できるといいのですが…」

 

美遊「あの子って誰の事ですか?」

 

それを見てニトクリスがポロリと呟いた事に美遊は気になって聞く。

 

ニトクリス「あ、いえ、なんでもありません」

 

慌てて誤魔化すニトクリスに美遊は首を傾げる。

 

ブレイブエリザ「さあ、女王の下に向かいましょう!ライブ――――――ううん、違う。ライブも大切だけど。何より、このハロウィンをみんなで楽しむためにあの女王を打倒するのよ!」

 

その中でブレイブエリザは決意をメンバーへと伝える。

 

フォウ「フォウ……」

 

マシュ「フォウさんの言いたいこと、何となく分かります。止まった時を生きる英霊でも何かを理解し、何かを育もうとする」

 

ニトクリス「……そうですね。例えそれが一夜かぎりの夢だとしても、夢を見たこと自体は決して無駄ではないはず。マシュ・キリエライト」

 

そんなブレイブエリザを見て一声鳴くフォウのを訳すマシュにニトクリスも同意してからマシュを呼ぶ。

 

マシュ「はい?」

 

ニトクリス「…………ごめんなさい。何でもありません。貴女に掛ける言葉は必要なさそうです」

 

マシュ「は、はあ……?」

 

だが、すぐさま謝るニトクリスになぜ呼んだのだろう?とマシュは首を傾げる。

 

ニトクリス「さあ、行きましょう。そしてもう一度、あの門番と相対するのです」

 

凛「ええそうね。今度は勝つわよ!」

 

誰もがニトクリスのに頷いた後にピラミッドへと向けて途中でカボチャとかを集めながら進むのであった。

 

ブレイブエリザ「……ところで立ち去る前にやっぱり一曲くらいいいんじゃないかしら?」

 

全員(ブレイブエリザとネロ以外)「絶対ダメ!!」

 

さりげなく歌おうとするブレイブリザに全員が駄目出ししてブレイブエリザはぷぅとなる。

 

ちなみにネロも残念そうに刹那を見ていたがスルーした。

 

こうして街を出発した刹那達は道中様々な場所でカボチャを回収していった。

 

 

森では獣人と共に襲い掛かって来たスケルトンからカボチャを取る。

 

エミヤ「取ったカボチャはこのワゴンに乗せてくれ」

 

ルヴィア「いつの間に投影したんですか;」

 

洞窟

 

次の洞窟でも幽霊たちを撃退しながらスケルトンからカボチャを取ってはワゴンに乗せていく。

 

美遊「どんどん取れるね」

 

イリヤ「うん、この調子で…ってそう言えば次は…」

 

カボチャをワゴンに入れながらそういう美遊にイリヤは頷いた後に洞窟を抜けた先を思い出す。

 

雪原地帯

 

ビュォオオオオオオオオオオオオオッ!!

 

リリィ「そう言えばここも通りますよね;」

 

吹雪く中でリリィがそう言う。

 

ブレイブエリザ「寒いから一気に突っ走りましょう!」

 

茨木童子「うむ、冷たいチョコが口の中で溶けるのは快感なのだが、冷たすぎて歯が欠けそうだ!」

 

誰もがブレイブエリザのに賛成しながら一気に走る。

 

溶岩地帯

 

静謐「そして抜けた先が私とマスターが再会した熱い所ですね」

 

刹那「あははは;そうだね」

 

茨木童子「ら、頼光たちは居ないようだな……」

 

ニトクリス「そ、そうですね…」

 

ポッと顔を赤くして言う静謐に刹那は苦笑して、茨木童子はオドオドしながら聞き、ニトクリスも思い出して顔を青くする。

 

エミヤ「だがあとでカルデアに戻ったら必ずいるぞあの二人は」

 

それを聞いた瞬間、茨木童子とニトクリスは真っ白になった。

 

イリヤと美遊とクロはご愁傷様と手を合わせる。

 

こうして刹那達は順調に集めて行き、城門までたどり着いた。

 

刹那「早く戻ってこれて良かったね」

 

そうですねとマシュも頷いた後にブレイブエリザを見る。

 

ブレイブエリザ「…………」

 

マシュ「あの、大丈夫ですか?ブレイブエリザさん」

 

だ、大丈夫よとマシュに返した後にブレイブエリザは恐る恐るヴラド三世へと声をかける。

 

ブレイブエリザ「……その、ええと……。トリック・オア・トリート、おじ様!」

 

ヴラド三世「…祭りの音が聞こえるな……気付いたのかそれとも気付かされたのか。気付いたのであれば、貴様にもいくばくかの見所はあろう。気付かされたのであれば、貴様と共にある者が貴様を思いやったのであろう。裁決は結果のみを見る。民が満たされたのであれば、この先に進む資格がある」

 

ジロリとブレイブエリザを睨む様に見ながらヴラド三世はそう言う。

 

ブレイブエリザ「おじ様……!」

 

顔をパァッとさせるブレイブエリザにだが…とヴラド三世は槍を向ける。

 

ヴラド三世「この姿の吾《オレ》は貴様には特に厳しい。貴様の犯した罪は数多い。その中の一つに、英霊となった吾《オレ》にとっては決して見逃せぬ罪がある」

 

刹那「見逃せない罪?」

 

出て来た言葉に刹那は首を傾げるがヴラド三世は答えることなくブレイブエリザを見る。

 

ヴラド三世「――――死をもって償え、とは言わん。償いの場など与えぬからな」

 

ブレイブエリザ「……!」

 

その後に殺気を発するヴラド三世にブレイブエリザはビクッとなる。

 

ヴラド三世「王たる(オレ)は鷹揚にして苦悩する人間であるが、武人たる(オレ)は一切の邪悪を赦しはしない。不義不徳、民を玩弄し、無知である事を当然だと考えた殺人鬼よ。貴様の罪は百年経っても覚めぬ悪夢、貴様の悪は歴史に刻まれし罪科である。何人も訪れぬ暗闇に還る時だ。では―――徹頭徹尾、鏖である」

 

その言葉と共にヴラド三世は飛び上がり、槍をブレイブエリザへと振り下ろし、ブレイブエリザは慌てて避ける。

 

ズドォオオオオン!!

 

エミヤ「やはりこうなるか!」

 

マシュ「大丈夫ですかマスター!?」

 

衝撃に誰もが身を守る中でヴラド三世は誰にも目をくれずにブレイブエリザを狙う。

 

ヴラド三世「ふんっ!」

 

ガキィン!

 

振るわれた槍をブレイブエリザは盾で防ぐ。

 

援護しようとしようと青アルトリアとリリィが駆け出す。

 

青アルトリア「!リリィ!」

 

リリィ「へ?きゃあ!?」

 

だが、駆け寄る直前に青アルトリアは立ち止まり、リリィを抱き抱えて後ろに下がると2人が走ろうとした所に槍と杭が飛び出す。

 

ヴラド三世「邪魔はしないで貰おう騎士王よ」

 

刹那「っ、これじゃあブレイブエリザの援護ができない!」

 

ブレイブエリザとヴラド三世を囲む様に飛び出した杭と槍で他のメンバーが向かう事が出来ない状況になり、刹那は歯がゆい思いをする。

 

その間もヴラド三世はブレイブエリザを攻める。

 

ヴラド三世「ふんっ!」

 

ブレイブエリザ「きゃあ!」

 

振るわれる槍にブレイブエリザは後ずさる。

 

クラス相性では有利だがヴラド三世の発する威圧感と覇気にブレイブエリザは押されていた。

 

ヴラド三世「突き砕く!」

 

そのまま貫き、彼女を砕こうとするヴラド三世にブレイブエリザは盾で防ぐ。

 

刹那「やっぱり押されてる……」

 

イリヤ「このままじゃ……私、空から援護してくる!」

 

その言葉と共にイリヤは飛び上がる。

 

そんなイリヤに気づいたヴラド三世は感心したように見る。

 

ヴラド三世「ほぅ、空から来るか……良いだろう。そのまま串刺しにしてやろう」

 

その言葉と共にヴラド三世はイリヤへと向けて槍を放つ。

 

ブレイブエリザ「!」

 

ガキィン!

 

槍がイリヤを貫こうとした瞬間、ブレイブエリザがジャンプしてイリヤの前に出て盾でイリヤを貫こうとした槍を防ぐ。

 

ブレイブエリザ「大丈夫イリヤ!」

 

そう言ってからブレイブエリザは槍を切り裂いてイリヤと共に着地する。

 

ヴラド三世「ほぉ。仲間を庇ったか…なぜそう動いた?こちらの意識がその娘に向いていたのだから隙が出来ていた筈だ…なぜだ?」

 

そんなブレイブエリザへとヴラド三世はそう問う。

 

ブレイブエリザ「勇者が仲間を見捨てるわけないでしょ!」

 

ヴラド三世「ふむ、落第点だが良いだろう。仕切り直しと行こうではないか」

 

そう返すブレイブエリザにヴラド三世はそう言って槍を構える。

 

ブレイブエリザ「望むところよ!はあっ!」

 

ガキィン!

 

斬りかかるブレイブエリザのをヴラド三世は軽く受け止めた所にイリヤが魔力の斬撃を放ち、すぐさまブレイブエリザが離れるとヴラド三世に炸裂する。

 

ヴラド三世「ぐぬ!」

 

イリヤ「砲撃(フォイア)!」

 

そこに追い打ちとイリヤは砲撃を放つ。

 

ズドォオオオオオオッ!

 

ヴラド三世「くっ、この程度…」

 

ブレイブエリザ「はぁっ!」

 

耐えたヴラド三世の懐にいつの間にか接近したブレイブエリザが斬りかかる。

 

ヴラド三世「ぬるいわ!」

 

ズババババババッ!

 

それに対してヴラド三世は胴体から複数の槍を出現させてブレイブエリザを貫こうとする。

 

マシュ「ブレイブエリザさん!」

 

キンキンキンキンキン!!!

 

ブレイブエリザ「残念だったわねおじ様!勇者は無敵なのよ!」

 

それにマシュが叫ぶがブレイブエリザに槍は刺さらずに無傷であった。

 

ヴラド三世「なにっ!?」

 

ブレイブエリザ「はぁあっ!」

 

ドスッ!

 

驚いているヴラド三世へとブレイブエリザは剣を突き刺す。

 

ヴラド三世「ぐうううううううっ!?」

 

顔を歪めながらヴラド三世はブレイブエリザを突き飛ばし、突き刺された所を抑えるヴラド三世をみつえ、ブレイブエリザは宝具を発動する。

 

ブレイブエリザ「La~♪」

 

ヴラド三世「グッ!?」

 

音波で拘束し、ブレイブエリザは狙いを定める。

 

ブレイブエリザ「ゲット!鮮血竜巻魔嬢(バートリ・ブレイブ・エルジェーベト)!!」

 

ギュィイイイイイイイイイイイン!

 

飛び上がり、回転してヴラド三世へと突撃する。

 

ヴラド三世「ハァッ!」

 

エミヤ「なっ!?力づくで拘束を解いただと!?」

 

だが、ただでやられないとヴラド三世は力づくで解除する。

 

ヴラド三世「良いだろう、殺人鬼よ。貴様の宝具、我が宝具により打ち破って見せよう!」

 

そう言って向かって来るブレイブエリザへとそう言い、自身も宝具を発動しようとする。

 

ヴラド三世「地獄の具現こそ、不徳の報いに相応しい!串刺城塞(カズィクル・ベイ)!」

 

ズババババババババババババッ!

 

咆哮と共に大量の槍が地面から突き出てブレイブエリザへと殺到する。

 

そのまま放たれた宝具同士がぶつかり合い、誰もが起こった衝撃に堪える。

 

ブレイブエリザ「はぁああああああああああああっ!」

 

ギュィイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイン!!

 

バキバキバキバキバキバキバキッ!

 

ヴラド三世「なにっ?!」

 

気合の咆哮と共にブレイブエリザの高速回転突きがヴラド三世が出現させた大量の槍や杭を粉砕し、ヴラド三世の身体に渾身の一撃を叩き込む。

 

ズドォオオオオオオオオオオオッ!!

 

ヴラド三世「グォオオオオオオオオオオッ!?」

 

ズドッ!

 

ブレイブエリザ「……また伝説を作ってしまったわ」

 

ズドォオオオオオオオオオオン!!

 

そう言って背にすると共に爆発が起こる。

 

イリヤ「す、凄い!」

 

ルビー「ホントですね。最初の勢いのなさが嘘の様に消えましたし」

 

それにイリヤは感嘆の声をあげ、ルビーがそう言う。

 

爆風が収まると佇むヴラド三世がおり、まだかとブレイブエリザとイリヤは慌てて構える中でヴラド三世は口を開く。

 

ヴラド三世「……吸血鬼などという架空のものに、我が槍が破れるとはな。不徳の極みは(オレ)の方であったか」

 

ブレイブエリザ「あ、あの……おじ様?」

 

恐る恐る話しかけるブレイブエリザにヴラド三世は首を横に振る。

 

ヴラド三世「貴様におじ様などと呼ばれる筋合いはない。そう呼ぶべきは王である(オレ)であろう。我々サーヴァントの異なる側面とは、別人に等しい場合もある。今の(オレ)のようにな」

 

ブレイブエリザ「でも、それでも。……その、おじ様はおじ様だし……。アタシは嫌われているかもしれないけど。……どうしても許されない事を、してしまったのかもしれないけど」

 

そう言うブレイブエリザのにヴラド三世は今度は首を縦に振る。

 

ヴラド三世「そうだ。貴様は罪を犯した。世界は貴様のあの罪を数えぬだろう。貴様の霊基にも、あの罪は刻まれてないだろう。何もかも無かった事になった世界での話だからな」

 

イリヤ「何もかも無かった事になった世界?」

 

出て来た事にイリヤや刹那達は疑問を感じる。

 

ヴラド三世「……だが。(オレ)は忘れぬ訳にはいかぬ。我が妻。我が愛。我が光の最後の理性を、貴様は否定したのだ」

 

ブレイブエリザ「おじ様の妻……?」

 

そうだとヴラド三世が頷くと体から光となって行く。

 

ヴラド三世「あの美しい女の為に、(オレ)は貴様を赦さぬ。たとえ、あの女が貴様を赦すと言ってもな――――――」

 

シュゥウウウウウウウ

 

そう言い残してヴラド三世は消えて行く。

 

ブレイブエリザ「…………」

 

マシュ「ブレイブエリザさん……」

 

ロビンフッド「……なるほど、オレもなんとなく思い出したわ。厄介だねぇ、人理があやふやな状態ってのは。()()ヴラド三世とエリザベートには、ま、ちょっとした因縁があったのさ」

 

そんなヴラド三世が消えた場所をみつめるブレイブエリザを見て呟くマシュの隣でロビンフッドが合点が言ったと納得する様に言う。

 

美遊「因縁、ですか?」

 

ロビンフッド「ああ。エリザベートとヴラドの旦那、どっちが悪いとか正しいとかの話じゃない。世界ってのは人間の道徳なんてものには流されない。ただ、『存続に有益なもの』を採用する。罪深くても恥知らずでも、とにかく償いをしようと顔を上げたお嬢ちゃんと、一切の償いを認めず、ただ粛清を求めたあの旦那の信念は、世界にとっちゃ『同じ罪』なのさ」

 

ロマン『……そうだね。同じだから、有効な方を使う。人理継続の為なら悪であろうと使い、人理継続を願わないのなら、義が有ろうと不要な英霊として不許可とする……か。でも、それでいうのなら、あのヴラド三世も人理継続を願ってはいるんだろう。なにしろ、こうやってサーヴァントとして召喚された訳だから』

 

困った感じに美遊のに答えるロビンフッドにロマンも何とも言えない顔で同意してそう言う。

 

茨木童子「……そうだろうな。吾とて人間は憎い。好かぬし、信用できん。だからといって人の世を滅ぼす気はない。なにしろ人間は使い途《つかいみち》がある生き物だ。人間《てき》が居るから吾が居る。人間が居ない世界では吾も酒呑も呼ばれはしまい。」

 

イリヤ「茨木さん…」

 

それに茨木童子も思う所があり、そうなんとも言えない顔で言った事にイリヤはどう声をかけようか迷った。

 

茨木童子「故に、なんだ。赤角よ。貴様がどれほどの罪を積み上げてきたとしても……今ここにいる事を否定できる者は、誰もおらぬ。『無』を望まぬ限り、貴様も英霊の一人だ」

 

ブレイブエリザ「……」

 

その後にブレイブエリザへとそう言ってから茨木童子は続ける。

 

茨木童子「無論、反英霊と言う英霊に破られるための生贄としてだがな」

 

ブレイブエリザ「……そうね。ありがと、イバラギ。礼を言うわ。さて―――――待たせたわね、子ジカ。さ、女王との決戦よ!」

 

刹那「うん、行こう!」

 

そう言ってから気を取り直すブレイブエリザに刹那は頷く。

 

ブレイブエリザ「ナイスリアクション!サンキュー、刹那!お城を取り戻したら、アタシのライブを手伝う権利を与えるわ!」

 

サァー

 

マシュ「あ、立ち所にマスターの顔面が真っ青になりました」

 

ただ、出て来た言葉に刹那の顔はマシュの言うように真っ青になり、まぁ、分かると誰もが頷く。

 

ブレイブエリザ「何で!?」

 

ジャンヌ「あはははは;」

 

エミヤ「まあ仕方ないな;」

 

それにはジャンヌは苦笑いし、エミヤはふうと息を吐く。

 

とにかくと刹那はピラミッドを指す。

 

刹那「それじゃあ早速突入しようか」

 

イリヤ「はい!」

 

その言葉と共に一同は城へと突入する。

 

一方でチェイテピラミッドでは……

 

女王「むぅぅぅ、まさか本当に辿り着くとは!妾の対策が甘かったとでも言うのですか!」

 

そこでは女王が苛立った様子で歩き回っていた。

 

女王「いえ、落ち着くのよ、落ち着きなさい妾。失敗は誰にでもあるもの。妾とて例外ではない。むしろ美しい女王にのみうっかりミスは許される。逆説的に、うっかりミスこそ女王の証ッッ!」

 

アレキサンダー「(いや流石にそれはおかしいんじゃないかなー;)」

 

間違った認識のにアレキサンダーは内心ツッコミを入れる。

 

女王「よし、いけるわ。妾に落ち度はなかったと証明されしました。となれば―――――ブタの上に負け犬の騎士ども、立ちなさい!次は総力……」

 

アレキサンダー「あー、ちょっと待ってくれないかな。まだ僕が参加してないんだけど」

 

今いる全ての兵を出撃させようとする女王にアレキサンダーが待ったをかける。

 

女王「こ、これはすみませんアレキサンダー様。しかし本来の姿ならともかく今の貴方様おひとりがあの者たちに行くのは少し無謀かと…」

 

アレキサンダー「それなら心配ご無用。ちょっとした秘密兵器があるから大丈夫だよ」

 

それに申し訳なさそうに言う女王にアレキサンダーはサムズアップして言う。

 

女王「そ、そうですか…では、お願いします」

 

アレキサンダー「んじゃ行ってくるね」

 

頭を下げる女王にアレキサンダーはそう言って歩き出す。

 

ついにヴラド三世を倒し城へと突入した刹那達、一方でアレキサンダーの言う秘密兵器とは…



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第十三幕~ハロウィン・カムバック!超極☆大かぼちゃ村~そして冒険へ……~ with魔法少女Ⅷ~

女王が居る部屋へ向かうエリザ達の前に幼き征服王が立ちふさがる。


刹那「この先に女王が居るんだよね?」

 

城に入り、目的の場所かを確認する刹那にブレイブエリザはそうよ!と頷く。

 

エミヤ「!止まれ!」

 

イリヤ「え?」

 

いきなりのエミヤの制止に入ろうとしていたイリヤは驚いた後に引っ張られると目の前を馬が通り過ぎる。

 

それにイリヤはギョッとなる中で凄いねと言う声がして、見るとアレキサンダーが立っていた。

 

刹那「アレキサンダー!?来てたの?」

 

アレキサンダー「やあ、マスター。よくここまで来たね」

 

その言葉に刹那はまさかと考え、エミヤもやれやれと疲れた顔でアレキサンダーを見る。

 

エミヤ「君も女王という者の味方なのかアレキサンダー?」

 

アレキサンダー「うん、まあそれで合ってるよ」

 

肯定するアレキサンダーに刹那はマジかーと顔を手で抑える。

 

イリヤ「え、えっとなんで…」

 

アレキサンダー「んー頼まれたからね。それにこっちの方がちょっと面白そうだし」

 

笑って答えるアレキサンダーに刹那とエミヤは全くと眉間を揉む。

 

凛「だとしても一人で私達全員の相手をするの?」

 

ネロ「む、確かに…」

 

アレキサンダー「ああ、ソレならご心配なく。ちょっと裏技使うから」

 

裏技?とアレキサンダーが言ったのに誰もが首を傾げる中でアレキサンダーはにっこりと笑い…

 

アレキサンダー「よっと」

 

ごくっごくっごくっ……

 

何かを取り出して飲みだす。

 

ジャンヌ「それは…?」

 

ルヴィア「?」

 

誰もが首を傾げるとアレキサンダーの体が光り出し…

 

???「ぐわはははははははは!」

 

刹那「ええ!?」

 

エミヤ「この笑い声は……まさか!?」

 

響き渡る声にイリヤ達以外が驚くと光が収まり…

 

美遊「え!?」

 

クロエ「嘘っ!?」

 

イリヤ「うぇええええ!?」

 

現れた姿に3人は驚き、ルヴィア、凛、バゼットも言葉を無くす。

 

アレキサンダー→イスカンダル「ぐははははは!征服王イスカンダル!此処に降臨!」

 

ルビー「な、何という事でしょう!?可愛らしい少年が…筋肉もりもりマッチョマンの大男に変貌しましたよ…」

 

青アルトリア「やはり驚きますよね…」

 

高笑いして先ほどの幼さがあった姿から長身でガタイな大男になったアレキサンダーもといイスカンダルにルビーが声を漏らし、メンバー内で縁のある青アルトリアはうんうんと頷く。

 

刹那「さ、さっきの薬の効果?」

 

イスカンダル「うむ、そうだ。さっきの薬は子供の英雄王のから借りた成長薬という薬で大人になることができる薬だ。まあ一時的にだがな」

 

恐る恐る聞く刹那にイスカンダルは答えてからガハハッと豪快に笑う。

 

美遊「子供の英雄王って…」

 

クロエ「ギルガメッシュ!?」

 

それに美遊とクロエはすぐさま子ギルを思い出し、刹那はあららと呟く。

 

イスカンダル「では蹂躙を始めようか!」

 

バゼット「!来ます!」

 

その言葉と共にイスカンダルは剣を抜き、青アルトリア達も戦闘態勢に入る。

 

イスカンダル「うぉぉおおおおおおおおお!」

 

剣を振るうイスカンダルにイリヤは慌てて避ける。

 

美遊「っ、シュート!」

 

凛「このっ!」

 

続けての避けた美遊は魔力弾を、援護と凛はガントを放つ。

 

イスカンダル「ふん!」

 

バシュ!

 

士郎「はあっ!」

 

クロエ「たあっ!」

 

ガキィン!

 

飛んで来る攻撃をイスカンダルは一振りで消し飛ばした後に士郎とクロエの攻撃を受け止めて弾き飛ばす。

 

エミヤ「伏せろ!」

 

サンタオルタ「吹き飛べ!」

 

そこにサンタオルタが斬撃を放ち、士郎とクロエは慌てて伏せる。

 

イスカンダル「ぬおっ!?」

 

斬撃にイスカンダルは後ずさった後に不敵に笑う。

 

イスカンダル「ぐははははは!良いぞ!強者との戦いはこれだから面白い!」

 

ブレイブエリザ「な、なに笑ってるのよ!?」

 

心の底から笑うイスカンダルにブレイブエリザは怒鳴りながら斬りかかる。

 

ガキィン!

 

イスカンダル「ふんっ!」

 

ネロ「ぐっ!?」

 

イリヤ「斬撃(シュナイデン)!」

 

ズドォオン!

 

それをイスカンダルは受け止めて向かってきていたネロへと投げ飛ばした所にイリヤが斬撃を飛ばす。

 

イスカンダル「ふんっ!」

 

ズバッ!

 

向かって来る斬撃をイスカンダルは切り裂いた後に驚くイリヤへと向けて言う。

 

イスカンダル「行くぞ!魔法少女よ!」

 

イリヤ「あわわわ!?」

 

凛「イリヤ!」

 

そう言ってイリヤへと向けて駆け出すイスカンダルに凛がガントを放つ。

 

おおっと!?とイスカンダルはガントを避けた後にナーサリーの魔力弾やジャックの攻撃を避ける。

 

イスカンダル「やるではないか。ではこちらも本気を出そうとしよう!」

 

刹那「本気って…まさか!?」

 

その言葉と共にイスカンダルは魔力を収束させる。

 

エミヤ「この魔力は…」

 

青アルトリア「まさか、宝具!」

 

それに刹那達はなぜ大人の姿であるイスカンダルになったかを察するが止めようとする前に発動される。

 

イスカンダル「遠征は終わらぬ。我らが胸に彼方への野心ある限り。勝鬨を上げよ!王の軍勢(アイオニオン・ヘタイロイ)!」

 

その言葉と共に周囲の景色が変貌する。

 

広がる砂漠にイリヤ達は驚く。

 

イリヤ「な、なにこれぇぇぇぇぇぇ!?」

 

凛「これがイスカンダルの宝具!?」

 

エミヤ「ああ、そうだ。そしてアレを見ろ…」

 

ルヴィア「な、なんですのあれは!?」

 

風景が変わった事に驚いていたイリヤ達は続いてイスカンダルの方を見てさらに驚く。

 

イスカンダルの周囲を軍勢が覆っていたのだ。

 

ルビー「な、なんですか!?あの大群は!?」

 

イリヤ「さっきまで居なかったよね!?」

 

刹那「あれがイスカンダルの宝具なんだよ…」

 

凛「はぁ!?」

 

イスカンダル「どうだ?これこそ我が軍勢!我が宝具だ!」

 

バセット「かつて率いていた軍勢そのものが宝具!?」

 

告げられた事に驚くイリヤ達を前にイスカンダルは剣を掲げる。

 

イスカンダル「我が軍勢よ!蹂躙を開始せよ! 」

 

「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!」

 

ズドドドドドドドドドドドドドド!!!

 

イスカンダルの号令と共に軍勢はイリヤ達へと襲い掛かる。

 

イリヤ「き、来たあああ!?」

 

青アルトリア「くっ!マスター!宝具の許可を!」

 

絶叫するイリヤの隣で青アルトリアがそう進言する。

 

刹那「うん、お願い青アルトリア!」

 

エミヤ「援護は必要かねセイバー?」

 

青アルトリア「ふっ、心配ご無用ですがイリヤ達を守る様にしてください」

 

そう聞くエミヤに青アルトリアはそう返して了解と言う言葉を聞いてから宝具を開放する。

 

青アルトリア「束ねるは星の息吹。輝ける命の奔流。受けるが良い!」

 

目をカッと開き、青アルトリアは迫る軍勢へと狙いをつけ…

 

青アルトリア「約束された勝利の剣(エクスカリバー)!!」

 

ズドォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!

 

放たれた聖剣の輝きは軍勢を吹き飛ばして行く。

 

イリヤ「やった!?」

 

美遊「待ってイリヤ。あれ」

 

それに喜ぶイリヤだが美遊が待ったをかけて良く見る様に言う。

 

イスカンダル「ふむ、やはり騎士王の宝具は凄まじいものだな」

 

治まった先には笑みを浮かばせて佇むイスカンダルがダメージを感じさせない様に立っていた。

 

凛「ちょ、全然ダメージ受けてないじゃない?!」

 

刹那「まさか…耐えきった?」

 

それに凛は驚く中で刹那も驚きの様子で言う。

 

イスカンダル「フハハハ!そんなの気合で耐えたに決まってるおろう!」

 

エミヤ「気合で耐えれるものではないだろう!?」

 

笑って言うイスカンダルにエミヤは思わずツッコミを入れる。

 

刹那「ホント凄すぎるでしょ征服王;」

 

ルビー「それでどうします?あの大男が門番的になっちゃってますし」

 

呆れる刹那へとルビーはどう動くかを聞く。

 

刹那「ん~イスカンダルはライダーだから有効なのはアサシンなんだけど…」

 

そのアサシンである静謐に全員の目が集まる。

 

静謐「私の出番ですね」

 

刹那「お願いね、静謐」

 

分かりましたと頷いて静謐は駆け出す。

 

イスカンダル「ぬ、来たな」

 

それにイスカンダルは不敵な笑みを崩さぬまま静謐を迎え撃つ。

 

静謐「っ、たっ!」

 

イスカンダル「よっと」

 

攻撃を仕掛ける静謐にイスカンダルは軽々と受け止めると弾き飛ばす。

 

シュババババババババババババババ!!

 

イスカンダル「ぬおっ!?」

 

追撃しようとするイスカンダルへと士郎とクロの援護射撃の剣が飛んで来る。

 

静謐「ありがとうございます。お二人とも」

 

それに静謐はお礼を言った後に追撃を仕掛ける。

 

イリヤはそれをハラハラ見ていた。

 

イリヤ「だ、大丈夫でしょうか?」

 

刹那「んー、本来ハサン達は暗殺専門のサーヴァントだからこういうのには向いてないんだよねー」

 

エミヤ「この場合は式やスカサハがいればよかったのだがな…」

 

刹那「…あ、ジャックが居た」

 

エミヤの言葉の後に刹那はすぐさまジャックもアサシンだった事を思い出してジャックを見る。

 

刹那「えっと…忘れててごめん;」

 

ジャック「もう!お母さんったら!」

 

謝る刹那にジャックはぶーたれた後に行ってくるね!と駆け出して行き、イスカンダルとぶつかり合う。

 

イスカンダル「ぬ!もう一人来たか!」

 

ジャック「解体するよ!」

 

そう言った後に素早い攻撃で翻弄するジャックにイスカンダルはうぬぅ!と呻く!

 

ガキィン!ガキィン!!

 

そのままぶつかり合いが続く中でジャックはイスカンダルを飛び越えて背後を取り、宝具を発動する。

 

ジャック「此よりは地獄。“わたしたち”は炎、雨、力――殺戮を此処に…」

 

その言葉の後にイスカンダルを連続で切り裂く。

 

ジャック「解体聖母(マリア・ザ・リッパー)!!」

 

イスカンダル「ぐぉおおおおおお!?」

 

宝具を炸裂し、着地するジャックの後ろでイスカンダルは崩れ落ちる。

 

刹那「ジャックたちの勝利だ!」

 

イリヤ「あ、周りの風景が…」

 

それに刹那は喜んだ後に周りの風景が元に戻り…

 

ボフン!

 

イスカンダルは煙に包まれるとアレキサンダーに戻る。

 

アレキサンダー「イテテ……」

 

頭を摩りながら起き上がるアレキサンダーにブレイブエリザがどうよ!と言ってあんたじゃないでしょ決めたのはとロビンフッドに軽く小突かれる。

 

ロビンフッド「んであんたを倒せたから俺達はここ通っても良いんだよな?」

 

アレキサンダー「勿論だ。この先に女王は居るよ」

 

マシュ「一体誰なんですか?女王は?」

 

そう聞くマシュに出会ってからのお楽しみだよとアレキサンダーはそう返す。

 

刹那「んー、やっぱり実際に会うしかないか」

 

イリヤ「そうですね…」

 

扉を見て刹那と守理は呟いた後にエミヤとロビンフッドが扉の前に来る。

 

エミヤ「では開けるぞ」

 

ロビンフッド「ああ」

 

いっせーのーせっ!と2人は扉を開けようとして…

 

エミヤ&ロビンフッド「!?」

 

咄嗟に扉から離れる。

 

すると2人がいた所が攻撃される。

 

イリヤ「うぇ!?」

 

刹那「今の攻撃は!?」

 

誰もが驚いているとポロンと言う音と共にトリスタンが現れる。

 

トリスタン「すみません。その扉は私達が開ける役目なので」

 

そう言って立ち塞がったトリスタンはん?となってからちょいちょいと横を見る。

 

するとそこにチラチラッと見ている謎の黒騎士がいた。

 

トリスタン「……さて、皆様。ようこそ、おいでくれました」

 

エミヤ「(気にしない方向で行くのか…)」

 

ブレイブエリザ「また出たわね!」

 

そんな謎の黒騎士をスルーして進めるトリスタンにエミヤはそう思ったが指摘したら進まなそうなので心の中に留める隣でブレイブエリザが剣の切っ先を向ける。

 

青アルトリア「トリスタンよく出てこれましたね」

 

サンタオルタ「覚悟はできているだろうな?」

 

刹那「はいはい、二人とも落ち着いて」

 

その隣では食の恨みなリリィを除いたアルトリアトリオを刹那が宥めていた。

 

そんなメンツの視線にトリスタンはコホンと咳払いしながら言う。

 

トリスタン「女王がお待ちかねです、こちらへ」

 

刹那「とうとう女王と御対面か」

 

ブレイブエリザ「子ジカ、気合を入れなさい。あの女のよく分からないテンションと外見に惑わされちゃ駄目よ。中身はぐつぐつ煮えたぎった毒入りシチューみたいにドロドロなんだから!」

 

ニトクリス「真名は把握しているのですか?」

 

そう言って扉を開けるトリスタンを見ながら言う刹那に対してそう言うブレイブエリザへとニトクリスは確認する。

 

ブレイブエリザ「ううん、さっぱり!」

 

断言するブレイブエリザにニトクリスは呆れる。

 

ニトクリス「……まあ、ピラミッドがある以上、私の関係者であることは間違いないのですが。……確認しますが女王ですよね?こう、美声で高笑いする豪奢にして太陽の目を持つ男性であれば、私は降伏もやむなしなのですが」

 

ブレイブエリザ「安心して、どこからどう見ても女性よ。ただ、本質は異なるわ。アタシはドラゴンだけどアイツは蛇。それも、強力な毒持ちのね!」

 

注意深く確認するニトクリスへと断言するブレイブエリザのにどういう女性なんだろうと刹那とイリヤは気になった後に扉が開いたので刹那達は入る。

 

ちなみに謎の黒騎士は開いた瞬間にささっと入って行ったのをエミヤと士郎は目撃した。

 

そして入った先で長椅子に優雅に座りながら件の女王がいた。

 

女王「二度の敗退に懲りず、よくもここまでやって来たものねトカゲ&ヤモリ娘!その無様さは心底理解できませんが、二週目の辛さを耐えた事だけは認めましょう!ですが所詮ハロウィンかぶれのお嬢様、熱砂の環境で鍛え上げられた妾の強靭さの前では――」

 

そう言ってから訝しげになる。

 

女王「……目の錯覚かしら?一体減ってない、そちら?いえ、それ以前に逞しくなってない?」

 

ブレイブエリザ「フッ。そこに気がつくとは並外れた観察力じゃない。そう、アタシはアンタに全てを奪われた屈辱と克己心から聖杯転臨っぽく新生した新しいアタシ……クラス・セイバーになった肉体派アイドル、エリザベート・バート・ブレイブリーよ!」

 

疑問詞を浮かべる女王に対し、ブレイブエリザは高らかに名乗りあげる。

 

イリヤ「す、凄い名前…」

 

リリィ「何時の間に考えたんですか…;」

 

ロビンフッド「ここに来るまでっしょ」

 

それに呆気に取られる2人にロビンフッドはそう言う。

 

女王「そちらの話はよろしくて?では妾の話に戻しましょう!」

 

そう言ってコホンと咳払いしてから立ち上がって言う。

 

女王「改めて、よく来たものね勇者ども!その健闘だけは讃えてあげましょう!」

 

刹那「…………!」

 

そう言う女王に刹那達はただ者ではないのを改めて知る。

 

女王「いかにも。言葉を失うほどに美。それが妾!理解したなら頭突くように平伏しなさい!ですが特別にカメラ撮影は許可します!」

 

トリスタン「 女王の御前です、どうか平伏を。……と言っても聞かないですよね、ええ」

 

そう言う女王にトリスタンはそう言ってから下がる。

 

女王「申し訳程度に注意するのではありません、この、自らの失態を失態と数えない鳥頭卿!彼らがここまで来たのは貴方の無力さ故!罰として、そこで逆立ちでもしていなさい!ただし、琴の演奏は止めないこと!」

 

イリヤ「ええ!?」

 

それ無理じゃない!?と誰もが思った。

 

トリスタン「おお、かなしいむつかしい……。ですが女王の命令であれば、やらざるを得ません」

 

ブレイブエリザ「できるの!?」

 

女王「それと……」

 

と思ったら普通に逆立ちして引いてるのに刹那達が驚く中で女王は次に謎の黒騎士を見る。

 

謎の黒騎士「……………………」

 

女王「匿名卿は現状が罰になっているようね。よろしい、不問に処します」

 

エミヤ「まあそのようだな…;」

 

マシュ「いえ、ここは公平に罰して欲しいと思います。具体的には兜を外すとか、顔を見せるとか」

 

ドキドキしている謎の黒騎士を見てそう言う女王に流石にそれ以上はな…と思うエミヤの隣で目の据わったマシュがそう言う。

 

謎の黒騎士「……!!!!」

 

美遊「マシュさん……なんか何時もと違う」

 

ブレイブエリザ「あの、マシュ……?何か怖いよ……?」

 

マシュ「そ、そうですか?すみません、ただあの優柔不断な黒騎士を見ているとどうしても胸が聖晶石のようにガラついて……」

 

女王「イガイガする、という事ね。良い表現です。気持ちは大変伝わりましたがその喧嘩は他所でやりなさい」

 

クロ「まあ取りあえず今は我慢しなさいマシュ」

 

マシュ「そ、そうですか?」

 

それにクロが宥め、マシュは深呼吸する。

 

刹那「落ち着いた?」

 

マシュ「はい、先輩。少し落ち着きました」

 

女王「面倒ですが、まずは為政者としての責務があります。エリザベート・バートリー。此処に辿り着いたという事は、ようやく理解したようね」

 

ブレイブエリザ「……ええ。アタシはその、ハロウィンライブに浮かれすぎて、執政を怠った。ホント綺麗さっぱり忘れてた。……(ブタ)の上に立つ者として、未熟だったわ」

 

人と書いてブタと読むのもどうかと思うが…とエミヤは思ったがずれそうなので心の中で留める。

 

女王「ええ。そも、上に立つ者が上に立つこと以外を目指すことなど愚の骨頂!傅かれるには傅かれるだけの理由、もしくは勢いが必要なのです!例えば天上の美であるか、あるいは醜くとも力があるか」

 

そんなブレイブエリザに対して女王はビシッ!という。

 

ブレイブエリザ「うう、耳が痛い…。天上の美を持つアタシがアイドルを目指したから……」

 

女王「いえ、天上の美を持つのは妾。貴女はパワーの方です。パワー。貴女は先ほど自分で言ったでしょ?肉体派アイドル、ローランド・ゴリラ・バートリーと」

 

呻くブレイブエリザに女王はわざとなのか物凄い間違った名前を言う。

 

それには思わず誰もが噴いてしまった。

 

刹那「肉体派アイドル…w」

 

クロ「ローランド・ゴリラ・バートリーwww」

 

凛「ぷははははははwwwwww」

 

間違われたのにブレイブエリザは怒りで顔を真っ赤にする。

 

ブレイブエリザ「言ってないわよ!バートリーしか合ってないじゃない!」

 

女王「言われてみればその通りですが、細かいことはいいのです!今は真面目は話をしているのですから!」

 

さっき名前を間違えて真面目でしょうかとトリスタンは演奏しながら思ったが空気を読んで黙って演奏する。

 

ブレイブエリザ「それはこっちの台詞だってのよーぅ!こんなに話が噛み合わないヤツは初めて!アンタ、一体何者なの!?モデル系にかぶれてるようだけど、どこの英霊だっつーの!」

 

女王「決まっているでしょう。美をもって国を統べ、美をもって名を残す!そんな女王が誰かと問われれば、百人が百人、妾の名を讃えるというもの!」

 

凛「美をもって国を統べた女王って…まさか!?」

 

叫んで問うブレイブエリザのに女王は自信満々に答えた事で凛は目を見開いて驚く。

 

女王「そう―――我が名は!ああ、麗しい妾の名は!」

 

刹那「普通クレオパトラだよね」

 

クロ「クレオパトラよね」

 

ルヴィア「クレオパトラですわよね」

 

高らかに自分の名前を言おうとした女王、クレオパトラは刹那やクロにルヴィアに先に名前を言われて出鼻をくじかれる。

 

ブレイブエリザ「デジマ!?このパリコレかぶれが、あの女王クレオパトラ……!?」

 

出て来た名前にブレイブエリザも驚く中で先に名前を言われたが驚いたので気をよくしたのかクレオパトラは笑う。

 

クレオパトラ「ホホホホ。山奥の貴族娘でも妾の名前ぐらいは知っていたようね。では改めて問いましょう。汝は妾と美しさを競えるのですか?」

 

ブレイブエリザ「っ……まずいわ。『美しさ』っていう基準になると英霊的にあっちが有利すぎる……。どこからどう見てもアタシの方が今風だけど、とにかくブランド力で負けちゃうっていうか…」

 

凛「今…風?」

 

ルヴィア「世界三大美女と言う名のブランドなのは分かりますが」

 

士郎「………」

 

そう言ったブレイブエリザのに凛とルヴィアはブレイブエリザの恰好を見て言い、士郎は顔を逸らしてノーコメントを貫く。

 

ブレイブエリザ「なによ、ビキニアーマーのどこが古いの!?超!今風!じゃない!」

 

ニトクリス「ええ。私は良いと思いますよ、その服装。私の時代的に見ればとてもしっくりきます」

 

ブレイブエリザ「でしょでしょ?同じエジプト系でもニトクリスは話が分かるわ!」

 

イリヤ「あれ?確かニトクリスさんの時代って…」

 

クロ「言わない方が良いわよイリヤ」

 

そんな2人のに抗議するブレイブエリザに対してニトクリスは賛同するのにイリヤは言おうとしてクロに止められる。

 

茨木童子「吾はなんとも思わぬぞ。美の基準が、そもそも人と違うのでな。とはいえ――。くはははは!マスター、マスター!あやつは腹に一物、良くない毒を抱えておるぞ」

 

イリヤ「良くない毒?」

 

茨木童子「近付けば噛んでくるか、引き裂いてくるか。まあ鬼の基準からしても()()()()の美だな!」

 

出て来た言葉にイリヤは首を傾げたが出て来た言葉にぞぞーとなる。

 

クレオパトラ「ふん、人ならざる者ですか。では妾を理解できないのは当然のこと。それから―――」

 

ニトクリス「…………」

 

そう言ってクレオパトラはニトクリスへと顔を向ける。

 

クレオパトラ「貴女さまは――」

 

ニトクリス「黙りなさい、クレオパトラ。今の私はたまさか縁があって、こちら側。私はただの魔術師(キャスター)です。貴女は貴女の信念を貫き、揺れることのないよう」

 

声をかけようとするクレオパトラにニトクリスは遮る。

 

クレオパトラ「……はい」

 

イリヤ「ねえ、ニトクリスさんとクレオパトラさんってどういう…」

 

ロビンフッド「ん~先輩と後輩ってとこじゃないんですかね?」

 

そんな2人の様子から呟くイリヤにロビンフッドはそう返す。

 

クレオパトラ「ではエリザベート、もう一度問いましょう。妾と美を競えるか、と?」

 

美遊「それは…」

 

その言葉に美遊は顔を顰める。

 

世界三大美女の1人と呼ばれるクレオパトラに美で戦えるかと聞かれると否と美遊なら答える。

 

クレオパトラ「フ――ふふふ、ホホホホ!それは無理、不可能、競える筈がないのです!仮にも女であるのなら、『美の審査』ほど恐ろしいものはないと骨身に染みているでしょうし!妾は世界に名高いクレオパトラ!貴女にとっては恥を晒すだけの勝負―――」

 

ブレイブエリザ「え?競えるわよ、アタシ」

 

自信満々に言っていたクレオパトラや無理だと思っていた美遊はあっさりと答えたブレイブエリザのに驚く。

 

クレオパトラ「……なんと?」

 

ブレイブエリザ「確かに単純な造形を競うならアタシがほんのちょっとだけ、肉体年齢的に不利だけど…今はとにかく多様化の時代だもの。美しさの評価は昔より多いのよ。と、く、にぃ――そう、可愛(キュート)ならどうかしら?歌って、踊って、笑顔(スマイル)ファン(ブタ)に贈る!これはアイドルたるアタシにしか出来ないこと!そして、女王として傅かれるアナタには出来ないこと!」

 

驚いているクレオパトラにブレイブエリザは説明してからそう返す。

 

クレオパトラ「つまり貴女は、人の上に立つ為政者ではなく――」

 

ブレイブエリザ「そう!女王のアンタに、アイドルとして戦いを挑むの!あ、もちろん執政はするわよ。アイドルが統治をするなんて、普通の事だし?」

 

リリィ「普通なんでしょうかそれは…」

 

出て来た言葉に目を見開くクレオパトラにブレイブエリザはそう言い、リリィは思わず聞く。

 

刹那「まあ確かに今の時代、美の基準なんていろいろあるからね」

 

イリヤ「そうですね。それに美だけじゃなくて中身とかも大切って言うのもあるし」

 

凛「そうそう。私みたいなのとか」

 

ルヴィア「私のような中身も綺麗な人が良いのですわ!」

 

エミヤ「(君達の中身の部分はどうかと思った私はいかんだろうか…)」

 

そう言う刹那とイリヤのに続いた凛とルヴィアのにエミヤは内心思ったが黙っておく。

 

聞いていたクレオパトラは体を震わせながらブレイブエリザを睨む。

 

クレオパトラ「なんという―――なんという、妾、激怒案件なのかしら……!美とは知性から生まれるもの、統治とは美によってなされるもの……!ただ『可愛いだけ』で人の上に立とうなど、そのような能天気、女王として妾が許しません!」

 

マシュ「クレオパトラさんの怒りも尤もな様な……」

 

ロビンフッド「いや、あれくらい我が侭な方がらしいってもんだ。なにしろ反英雄、間違いだけで生きている女だからな」

 

怒っているクレオパトラのにそう言うマシュにロビンフッドは肩を竦めながらそう返す。

 

ブレイブエリザ「アタシはアイドル!そしてアタシはチェイテ城の主!サーヴァントだって、ランサーで召喚されたり、キャスターで召喚されたりするでしょう?ヴラドおじ様がアタシを認め、アタシを赦さなかったように―――アタシは欲深で、傲慢で、我が侭だから、どっちのアタシも大事なの!片方を諦めたりなんか、絶対にしないんだから!」

 

クレオパトラ「どちらも諦めない……ですって?地方領主の娘は、これだから……!」

 

イリヤ「でも…どちらとも諦めないのもまた大事だと思います」

 

そう言い切るブレイブエリザにクレオパトラは吐き捨てる中でイリヤがそう言う。

 

クレオパトラ「いいでしょう、その意気軒昂がどこまで続くか、この妾が見定めましょう!―――所詮は夢に溺れた者の戯れ言。このクレオパトラの絶対美に打ち砕かれよ!」

 

その言葉と共にクレオパトラは従えていた蛇に椅子に座る様に跨り、それが戦闘態勢だと気づいてそれぞれ構える。

 

ブレイブエリザ「さあ、最後の戦いよ!」

 

その言葉と共にハロウィンの最終決戦が始まる。

 

果たしてブレイブエリザは城を取り戻せるだろうか…



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第十四幕~ハロウィン・カムバック!超極☆大かぼちゃ村~そして冒険へ……~ with魔法少女Ⅸ~

女王との闘い、その後に女王の願いを知り、誰もが無言になる。


女王のクレオパトラとの戦いが始まり、先陣したのはブレイブエリザとイリヤであった。

 

ブレイブエリザ「たあっ!」

 

イリヤ「斬撃(シュナイデン)!」

 

ズドォオオオオ!!

 

クレオパトラ「甘い!」

 

斬りかかるブレイブエリザとイリヤの魔力斬撃に対してクレオパトラは蛇を使い防いだ後にブレイブエリザを押し返す。

 

ブレイブエリザ「きゃっ!?」

 

イリヤ「うわっ!?」

 

押し返されたブレイブエリザはイリヤとぶつかる。

 

美遊「っ!」

 

ナーサリー「大きな蛇さんね!」

 

蛇に誰もが驚く中でクレオパトラは動く。

 

クレオパトラ「はあっ!」

 

キララッ

 

ポーズを取ると光が発され、危険を感じたマシュが盾を構えると光が当たった所に衝撃が迸る。

 

マシュ「くっ!」

 

刹那「えっ?なに、今の…」

 

凛「い、今、光ってただけ…よね?」

 

誰もが不明な攻撃に驚く中でクレオパトラは不敵に笑う。

 

クレオパトラ「妾の美しさから出る光は敵を攻撃できるのです!」

 

刹那「ええ!?」

 

士郎「なんでさ!?」

 

イリヤ「そんな事は普通に出来ないよ!?」

 

告げられた事に思わず士郎とイリヤはツッコミを入れる。

 

トリスタン「女王は世界三大美女の1人。その美しさは別格なのです」

 

クレオパトラ「だからこそ妾の光は攻撃です!」

 

クロ「ちょ、そんなのあり!?」

 

ロビンフッド「有りなんだろうなぁ…」

 

どや顔で言うクレオパトラのにありえないとクロは叫ぶが、ロビンフッドは眉間を揉みながらそう呟く。

 

凛「光位、私だってやってやれるわよ!」

 

ルヴィア「美しさなら負けませんわよ!」

 

エミヤ「そこ!変なところで張り合うな!」

 

士郎「くっ!」

 

それに対抗しようとする凛とルヴィアをエミヤが制す中で、士郎は謎の黒騎士に防戦一方であった。

 

謎の黒騎士「aaaaaaaaaa!!」

 

マシュ「たあっ!」

 

ガキィン!ガキィン!

 

そこにマシュが割り込み、謎の黒騎士は後ろに下がり、警戒する様に後ずさる。

 

リリィ「なんだかマシュさんを警戒していますね…」

 

エミヤ「(まあ、そうだろうな…)」

 

マシュ「皆さん、この黒騎士の相手は任せてください!」

 

その言葉に謎の黒騎士はトリスタンに助けて欲しいと言わんばかりにチラチラッと顔を向ける。

 

トリスタン「すみません、こちらもちょっとヤバイので手は貸せません」

 

謎の黒騎士「a!?」

 

必死にリリィを除いたアルトリアトリオと茨木童子の攻撃を避けながら謝るトリスタンに謎の黒騎士はジーザスと心の中で絶叫しながらマシュの攻撃を避けて行く。

 

エミヤ「(まああの二人はマシュたちに任せるか)」

 

イリヤ「ええい!」

 

ズダダダダダダダダダッ!

 

相性的に自分もマシュの援護に向かった方が良いと思うが相手が相手なのでイリヤ達のフォローに回った方が良いだろうとエミヤはそう考える間にイリヤはクレオパトラへと連続で魔力弾を放つ。

 

クレオパトラ「無駄です!」

 

蛇「シャアアア!」

 

迫る魔力弾を蛇で全て防いだ所にジャックが懐に入る。

 

ジャック「解体するよ!」

 

クレオパトラ「妾を解体するなど論外ですわ!」

 

振るわれる直前にクレオパトラは後ろに飛びのいた後に光をジャックへと向けて放ち、ジャックは慌てて避ける。

 

茨木「ええい、厄介な光だな!」

 

刹那「アレを何とかしないと…」

 

呻いた後に光らせなければ良いんだけど…と考え…

 

刹那「あ、そうだ」

 

エミヤ「なにか名案を思い付いたのかマスター?」

 

あのね…とエミヤに説明し、成程とエミヤは納得した後にロビンフッドを呼びかけ、ロビンフッドに刹那から指示された事に成程なと頷いて顔のない王ので消える。

 

ジャンヌ「マスター、一体どんなアイデアを思いついたんでしょうか…」

 

イリヤ「取りあえず私達は刹那お姉さんの作戦の援護をしないと!」

 

そんな刹那の作戦成功の為にメンバーはクレオパトラを攻撃する。

 

バゼット「はぁっ!」

 

ルヴィア「せいっ!」

 

クレオパトラ「くっ!」

 

バゼットとルヴィアの攻撃にクレオパトラは蛇で防ぐが衝撃で蛇は吹き飛んでしまい、やらせはしないと光の攻撃をしようとし…

 

バサッ!

 

攻撃しようとした所を布を被せられて不発に終わる。

 

すぐさま姿を現したエミヤが叫ぶ。

 

エミヤ「今だ!」

 

ルビー「成程!あの光は女王自身が体を光らせてるからこそ出来る事!」

 

サファイヤ「それを体を覆う程ので隠せば出せない!」

 

美遊「それなら!」

 

その言葉と共に美遊とナーサリーは魔力弾を放ってクレオパトラを吹き飛ばし、クレオパトラは呻きながら布から抜け出る。

 

クレオパトラ「やってくれましたね!ならばこちらもそれ相応ので返しましょう!」

 

刹那「皆!宝具が来るよ!」

 

ブレイブエリザ「宝具が来るならこっちも宝具で対抗するわよ!」

 

イリヤ「は、はい!」

 

魔力を放出するクレオパトラの行動に刹那がすぐに言い、ブレイブエリザのにイリヤは頷いた後に前に出る。

 

クレオパトラ「対抗するつもりですね。良いでしょう。貴女達ごと焼き尽くしてあげましょう!」

 

ブレイブエリザ「行くわよイリヤ!」

 

イリヤ「はい!」

 

その言葉と共にブレイブエリザとイリヤも魔力を開放する。

 

クレオパトラ「其はエジプトの落陽、終焉を示す時の蛇」

 

紡ぐ事にクレオパトラの蛇が輝きを増していく。

 

イリヤ「行くよルビー!」

 

ルビー「筋系、神経系、血管系、リンパ系――疑似魔術回路変換、完了!」

 

ブレイブエリザ「La~♪」

 

それにイリヤも宝具の準備に入り、ブレイブエリザは捉えようと音波を発する。

 

音波がクレオパトラを捉える前に蛇の輝きが最高潮に達し…

 

クレオパトラ「最後のファラオとして命じます。暁の時を終える蛇よ、此処に(ウラエウス・アストラペ)!!」

 

ズドォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!

 

炎とも言える姿へと変貌してブレイブエリザとイリヤへと向かって行き、ブレイブエリザの音波とぶつかり合う。

 

ルビー「今ですよイリヤさん!」

 

イリヤ「これがわたしの全て……!多元重奏飽和砲撃(クウィンテットフォイア)!!」

 

ズドォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!

 

それにイリヤが最大級の砲撃を放って、音波とぶつかり合っていた蛇を吹き飛ばす。

 

イリヤ「今ですエリザベートさん!」

 

ブレイブエリザ「鮮血竜巻魔嬢(バートリ・ブレイブ・エルジェーベト)!!」

 

ギュィイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイン!!!

 

合図と共にブレイブエリザは回転しながら女王へと突撃する。

 

クレオパトラ「ぐぅううううううううううう!!!?」

 

ブレイブエリザ「はぁぁぁああああああああああああ!!!」

 

ズガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガッ!

 

そのままクレオパトラへと突撃して押して行き…

 

ズドォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオン!!

 

壁へと激突する。

 

そして煙からブレイブエリザが飛び出して着地し…

 

クレオパトラ「……きゅう……」

 

煙が晴れると目を回したクレオパトラが現れる。

 

ブレイブエリザ「安心しなさい。瀕死ギリギリの峰打ちよ」

 

ロビンフッド「峰無いだろその剣」

 

美遊「無いですよね…」

 

カッコつけて言うブレイブエリザにロビンフッドはツッコミを入れて美遊も頷く。

 

トリスタン「それに回転突きじゃ峰あってもなくても意味ないのでは……」

 

謎の黒騎士「(確かにな;)」

 

同じ様にツッコミを入れた後にボロボロなトリスタンは空気を換える為に咳払いする。

 

トリスタン「……お見事。これは先程とは違う、完璧なる敗北……フッ……実によろしい。胸のすく、晴れやかな敗北でした」

 

謎の黒騎士「( そうだろうか……私はどうも殴られ損な気がするのだが……!)」

 

そう評するトリスタンに謎の黒騎士はマシュの視線から逃れたいが逃れないのでそわそわしながら心の中で呟く。

 

その後にクレオパトラが呻きながら起き上がる。

 

クレオパトラ「……まさか、私が敗北するなんて……」

 

よろよろとなりながら立ち上がったクレオパトラにブレイブエリザはズンズン近づく。

 

ブレイブエリザ「勝負ありよ!チェイテ城は返してもらうわ!あと、ピラミッド何とかして!というか、こんなモノ持ち込まないでよね!?」

 

そんなブレイブエリザのにクレオパトラは困った顔をする。

 

クレオパトラ「…………それは……難しいですわね……」

 

ブレイブエリザ「はい?」

 

イリヤ「なんで難しいんですか?あのピラミッドはクレオパトラさんの物なんじゃ…」

 

出て来た言葉に誰もが呆気に取られる中で、イリヤのにクレオパトラは指をツンツンする。

 

クレオパトラ「……その、このピラミッドは妾が持ち込んだものではないので

 

凛「はあ!?」

 

ブレイブエリザ「じゃ、誰がこんなはた迷惑な代物を、アタシの城に落としたワケ!?」

 

続けての言葉に誰もが驚いてクレオパトラが言おうとした時…

 

???「それは余だ!!」

 

美遊「!?」

 

ニトクリス「こ、このお声は!?」

 

突如響いた声に知ってる者達は驚く。

 

青アルトリア「あ、貴方は!」

 

イリヤ「え、皆さん誰か知っているんですか!?」

 

ニトクリス「まさか!?まさか、まさかの、まさか!?」

 

狼狽するニトクリスの後にその人物は現れた。

 

???→オジマンディアス「誰かと問われれば答えよう。我が名は太陽を統べる王、オジマンディアス!」

 

イリヤ「オジマンディアスって……ニトクリスさんにスフィンクスを貸したファラオさん!?」

 

名乗りあげたオジマンディアスにイリヤは洞窟の時に聞いたのを思い出して言う。

 

オジマンディアス「フハハハハ!クレオパトラ!いや、なめし革如く、完膚なきまでにのされたな!」

 

愉快そうに笑うオジマンディアスにクレオパトラは恥ずかしさで顔を赤くする。

 

クレオパトラ「お、お恥ずかしいところを!ファラオの名を冠しながら、この体たらく……!これ以上の羞恥は耐えられませぬ。この素っ首、切り落としてもよろしいでしょうか!?」

 

イリヤ「ええええ!?首を切り落とすって?!」

 

ブレイブエリザ「え、ちょっとここでそういう血生臭いのは止めてね!?今からハロウィンの飾り付けをするんだし!」

 

オジマンディアス「良い、そこの痩せ細った娘の言う通り。この城は今から飾り付けなければならぬ。その血は、祭りを穢すもの。そこで耐えるが何よりの罰と知れ!」

 

出て来た言葉に驚くイリヤと止めようとするブレイブエリザの後にオジマンディアスがそう言い、クレオパトラはハハッ!と頭を下げる。

 

ロマン『オジマンディアス……つまり、ラムセス二世!そんな大物がこんなおかしい特異点に現れるのか……!」

 

バゼット「……もしやアレキサンダーに頼んだのも…」

 

アレキサンダー「うん、彼だよ」

 

驚きの声をあげるロマンの隣で呟いたバゼットのにアレキサンダーは肯定する。

 

ロマン『でもこれって子供の喧嘩(イベント)に大人が出てくるようなものじゃないかなぁ!」

 

オジマンディアス「大人とて遊ぶときは遊ぶ。大きなお友達とはそう言う意味だと聞いたが?」

 

刹那「いやそれはちょっと意味がね……;」

 

そう返すオジマンディアスに刹那は頬をポリポリ掻いて訂正するが似てればよいではないかと返される。

 

オジマンディアス「しかし、だからこそ安心するがいい。余が戦う事はない。このピラミッドではクレオパトラが女王として君臨し、そしてお前たちに破れたのだ」

 

ニトクリス「まさか、貴方様が……。せめて報せを頂ければ……私もこちら側には……」

 

そう言うニトクリスにオジマンディアスは笑う。

 

オジマンディアス「フッ。そういうなニトクリス。クレオパトラに黙っていろ、と言ったのは余である」

 

ニトクリス「い、いえ、不満などあろう筈がありません!私こそ失言でございました……!」

 

慌てて謝罪するニトクリスに良い良いとオジマンディアスは笑う。

 

ブレイブエリザ「……あの。話に全然ついていけないんだけど。エジプトの人たち、結局どーゆーことなの?」

 

そこにブレイブエリザがおずおずとオジマンディアスに話しかける。

 

ニトクリス&クレオパトラ「不敬者!!」

 

ブレイブエリザ「ひゃうん!しょうがないでしょ!不敬って言ったって、こっちは全然知らないんだし!」

 

イリヤ「取りあえずはオジマンディアスさんが物凄い人って事は分かるよね…」

 

そんなブレイブエリザに対して怒鳴る2人を見ながらイリヤはそう言い、まぁ、そうだなとロビンフッドは相槌を打った後にオジマンディアスを見る。

 

ロビンフッド「そうそう、結局オタクらはこの縁もゆかりもない土地で、何をしたかって話だよ」

 

凛「そう言えばそうね…」

 

ルヴィア「何故この土地でこんなことを?」

 

オジマンディアス「……良かろう、お前たちも首を捻るだけでは面白くもあるまい。では問おう。この女、クレオパトラの最期を知っている者はいるか?」

 

イリヤ「クレオパトラさんの最期?」

 

オジマンディアスから出て来た問いかけにイリヤは首を傾げる中でマシュが恐る恐る解説する。

 

マシュ「ローマの将軍であった夫、アントニウスと対立していたアウグストゥスとの間で起きたアクティウムの海戦―――それに敗れたアントニウスが死んだ後、彼を追うようにして自殺したとされていますが……」

 

オジマンディアス「そうだ。プトレマイオス朝はすぐに滅び、国は消え去った。こやつは最期のファラオとして名を遺したのだ」

 

イリヤ「そうなんだ…」

 

士郎「クレオパトラの最期ってそうだったのか…」

 

そのマシュの説明にオジマンディアスは肯定する中でイリヤと士郎が代表で呟く。

 

オジマンディアス「故に、この女は願いを持つことを忌避し、今の今までサーヴァントとしての召喚を拒み続けた」

 

美遊「召喚を拒んだ?」

 

凛「はぁ!?なんで拒むのよ!?」

 

誰もが出て来た言葉に驚く中でオジマンディアスは理由を言う。

 

オジマンディアス「こやつは、個人的な願望を抱いている。サーヴァントとして聖杯戦争に参加しなければ叶えられぬ願いがな」

 

凛「それなら…」

 

言おうとした凛に話を最後まで聞けとオジマンディアスは遮って続ける。

 

オジマンディアス「だがな、()()()()()()()()()()()()()()()()()()。市井にすらありふれている、他愛もない願いよ。国を滅ぼしたという責任感に囚われ、こやつはその願いを押し込めていた。自分のように国を滅ぼしたファラオが、願いを持ってはならないとな!」

 

そう言ってからだが…とファラオは顔を伏せるクレオパトラを見る。

 

オジマンディアス「いい加減千年二千年と苦しみ続けるほどのものではあるまいと、余が機会を与えたのだ。これよりハロウィンが終わるまでの間……。この逆さまとなったピラミッドにて、滞りなく女王クレオパトラとして執政せよ。さすれば与えた聖杯で、汝の望みを叶えることを許すとな」

 

美遊「聖杯を……!?」

 

出て来た言葉に誰もが驚く。

 

と言うかまだ持っていたのかね…とエミヤは呆れる。

 

オジマンディアス「そしてお前は敗北した。異存あるまいな、クレオパトラ?」

 

クレオパトラ「……はい。やはり、私のような者が望みを持つのは間違いだったと思い知りました」

 

イリヤ「そ、それは…」

 

刹那「イリヤちゃん、ちょっとストップね」

 

言おうとするイリヤに刹那が止める。

 

なぜ?と見るイリヤにもう少し見ようと刹那はそう言う。

 

オジマンディアス「ふむ、するとお前はその願望を押し殺したまま、永遠に目を背け続けると言う訳か!」

 

クレオパトラ「それが国を滅ぼした私の、せめても贖(あがな)いです」

 

問いに対して答えたクレオパトラのに誰もが無言になる中、聞いたオジマンディアスは口を吊り上げ…

 

オジマンディアス「……フ」

 

クレオパトラ「?」

 

オジマンディアス「フハハハハ!フハハハハハハ!!それがお前の答えか!?笑止千万!アヌビスも腹を抱えて笑い出すだろう!聞いたか、そこな細い小娘!」

 

大声で笑いだした後にブレイブエリザへとそう言う。

 

ブレイブエリザ「だから、ちゃんとエリザベートかもしくは親しみを込めてエリちゃんと呼びなさいよ!」

 

オジマンディアス「む。そうか、では改めてエリチャンとやら!なにか言いたいことがあれば、言ってやるがいい!その突拍子もない傲慢さを、余は買っているのでな!」

 

イリヤ「(そっちの方で呼ぶんだ!?)」

 

それに対して文句を言うブレイブエリザに後者を選んで言ったオジマンディアスにイリヤは思わずド驚く。

 

ブレイブエリザ「じゃあ、言うわよ。えーっと……あのね、クレオパトラ。アンタ、バカじゃないの?」

 

クレオパトラ「なっ……!?」

 

出て来た言葉にクレオパトラが驚く間にブレイブエリザは矢継ぎ早に言う。

 

ブレイブエリザ「アタシが言ったでしょ!アイドルと執政、どちらも取るって!アンタだって、ふぁ、ふぁらお?の立場と、個人的な願望、両方持ってていいじゃない!バンバン聖杯戦争に召喚されて、願いを叶えるために努力すればいいじゃない!アタシがやれることを、どうしてアンタがやれないの?やれるでしょ?アンタなら、華麗に躍りながらでもこなせるでしょ?」

 

クレオパトラ「それは……!」

 

その言葉に目を見開くクレオパトラにブレイブエリザはもどかしそうに口を開く。

 

ブレイブエリザ「その、言いたくないけど。アイドルに浮かれてハロウィンを疎かにしていたアタシより、アンタの方が執政者としては、ちょっぴり上……かもだし。個人の願望を持ったって大丈夫よ!」

 

イリヤ「そうですよ!願いを持つことは悪い事じゃないですし!」

 

クレオパトラ「……いいのかしら……私がそんな――――」

 

まだ戸惑うクレオパトラにブレイブエリザは刹那を見る。

 

ブレイブエリザ「だーいーじょーぶー!ね、子ジカもそう思うでしょ?」

 

オジマンディアス「人類最後のマスター、刹那よ!貴様も何か言いたそうだな。よいぞ、トドメをくれてやれ!遠慮なしにこの小娘に告げるがいい!」

 

話を振られたのでんじゃあと刹那はクレオパトラの目を見ながら言う。

 

刹那「私はクレオパトラらしくすればいいと思うよ?」

 

クレオパトラ「クレオパトラ……らしく。……そう、ですね。ずっとそうあろうと思っていたのに――――いつしか私は、ファラオとしての側面しか見せられないようになっていた……。太陽王、オジマンディアス様。ホルスの化身、ニトクリス様。お許し下さい、私は今日よりファラオとしてだけではなく、クレオパトラとしての自分を受け入れます」

 

刹那の言葉を聞き、クレオパトラは決意を固め、2人に王ではなく、一個人として願いを持つことに頭を下げる。

 

ニトクリス「許します。歴史に刻まれたその名を以て、後ろで歩む者たちの力となりなさい」

 

オジマンディアス「許す。どこまでも高慢に、傲慢に、クレオパトラという名を輝かせるがいい!」

 

2人の言葉にありがとうございますとクレオパトラは礼を述べた後に刹那を見る。

 

クレオパトラ「……刹那。我が名はクレオパトラ七世。かつてファラオであった者。これより、私は人の歴史を紡ぎ続けるための護り手として、英霊召喚に応じます。その暁には、アサシンのサーヴァントとしてこの体、この声、この美貌を存分に振るいましょう。つまり――――アナタには勿体ない栄光を、諦めて甘受しなさいというコトよ!」

 

刹那「いつでも歓迎するよ!」

 

ルビー「もし来たらさらに騒がしくなりそうですね!」

 

凛「確かにそうなりそうね」

 

名乗りあげ、宣言するクレオパトラに刹那は笑って言い、ルビーのに凛が言った事に対して君達も似た感じだと思うんだがねとエミヤは思ったが口に出したら絶対に突っかかって来るので心の中に留める。

 

クレオパトラ「―――っ。よ、よき返答です刹那!ここまで見事だったわ、まずは疲れた体を癒すコトね!」

 

ブレイブエリザ「よし、これで万事解決ね!」

 

うんうんと満足そうにブレイブエリザは頷く。

 

茨木童子「む。話が終わったのか(ばりばり)」

 

美遊「茨木さん……もう少し、落ち着いて食べましょうよ;」

 

クロ「ハロウィンが始まればお菓子なんかいっぱい食べれるでしょ」

 

話の間にロビンフッドからお菓子を貰っていた茨木童子に美遊はツッコミ、クロは呆れる。

 

茨木童子「食べておらぬ。吾はお菓子など食べておらぬ」

 

ジャック「そう言えば御菓子だ御菓子!」

 

ナーサリー「帰ったらトリックオアトリートよ!」

 

ジャンヌ「ふふ、楽しみですね」

 

ワイワイはしゃぐジャック達にジャンヌは微笑ましそうに笑う中で青アルトリアはふと気になった事があるのでクレオパトラを見る。

 

青アルトリア「そう言えばクレオパトラ、貴女の他愛もない願いとは一体なんなんですか?」

 

サンタオルタ「そう言えばそれがなんなのか言っていなかったな」

 

クレオパトラ「そ、それは……」

 

そう言えばと誰もが見る中でクレオパトラは顔を赤くしてモジモジする。

 

ニトクリス「聞いたことありませんね……。差し支えなければ、教えなさい」

 

クレオパトラ「はい、ニトクリス様がそう仰るのであれば、望みは……幾つかあるのですが。やはり、かつて愛を育んだ者との再会でしょうか。別にやり直したいという訳ではないのですが……」

 

イリヤ「愛を育んだ人との再会……!」

 

ルビー「いやー、ロマンチックな願いですね!」

 

願いにイリヤは目を輝かせ、ルビーはそう述べる。

 

クレオパトラ「今でも思い出します。ほっそりとしていながら力強い腕で抱き締められ、愛を囁かれたあの日の事を……。眉目秀麗、痩せた頬骨すら妖美で……。誠実さの塊のようなあのお方……。そう……。カエサル様に――――!」

 

茨木童子&イリヤ達6名&ジャンヌを除く一同「…………」

 

告げられた名前に事情を知らない面々を除き、思わず黙ってしまった。

 

その雰囲気には現状の彼を知らないオジマンディアスやトリスタン、謎の黒騎士も黙る。

 

茨木童子「?どうした?真の敵、登場か?」

 

イリヤ「あの、皆さん……?」

 

刹那「集合、クレオパトラ除いて全員集合」

 

その言葉と共に戸惑うジャンヌも纏めてクレオパトラを除いて全員が円陣組む。

 

ルヴィア「ちょ、ちょっとどうしたんですの?」

 

バゼット「もしかしてカエサルに会ったことがあるのですか?」

 

エミヤ「会ったことがあるというよりはカルデアに居るぞアイツは…」

 

クロ「えっ、居るのカエサル!?」

 

サファイア「ですがクレオパトラ様が言っていた人物を見かけたことがないのですが…」

 

いきなりの事に戸惑うルヴィアやバゼットへエミヤが言った事にクロは驚き、サファイアがそう言う。

 

槍オルタリア「赤い服を着た丸々太った男なら見たことあるだろ?」

 

士郎「そう言えば時折たまに見かけたことが……」

 

ネロ「それがカエサルだ……」

 

美遊「…………え?」

 

一瞬、イリヤ達はネロ達が何を言ってるのか、一瞬思考が停止した。

 

ブレイブエリザ「ねえ、これヤバくない?カエサルってあのカエサルよね?」

 

マシュ「はい、カルデアでもっとも信用してはならない三大サーヴァント、大体黒幕の誉れも高きカエサルさんです」

 

ロマン『……ちなみにカルデアにいるカエサルはこんな感じだ』

 

そう言ってロマンが見せたカエサルのにイリヤ達は噴いて…

 

オジマンディアス「……っ!」

 

カエサルを見てオジマンディアスは口を抑えて倒れた。

 

だが、どうやらカエサルの姿が本人の笑いのツボに入ったのか必死に笑わない様に堪えてる様だ。

 

イリヤ「こ、これはちょっとヤバいんじゃない…;」

 

ルビー「そうですよねー;愛する人がまさかこんな風に変わっているとは…」

 

美遊「…それにしても変わり過ぎ;」

 

ロビンフッド「そりゃあ、初めて見た時のインパクト凄いからなコイツ…」

 

流石のおちょくり好きなルビーもうーんと唸り、美遊のにロビンフッドはうんうんと頷く。

 

ホント、どうしようか…と刹那も困った顔でマシュを見る。

 

刹那「真実を伝えたほうが良いかな?」

 

マシュ「……それは止めた方が……。夢を壊すようなものですし……」

 

ブレイブエリザ「でも……いつか露呈することよ」

 

エミヤ「そうだな…あいつから来てもおかしくないぞ」

 

聞く刹那にマシュも困った顔をしてそう返すがブレイブエリザのにエミヤは肯定して予想する。

 

トリスタン「悲しい……人は変わりゆくもの……。老いは醜いものではないというのに……」

 

そう歌ってからもう一度カエサルのを見て…

 

トリスタン「……老いどころではないですね……。今の歌は忘れてください……。この方はどう見てもストレスによる過食……ああ、哀しい……。これほどの変貌を遂げるストレスなど、アグラヴェインと同格でしょうに―――――」

 

凛「にしたって太り過ぎでしょこいつ!」

 

ルヴィア「確かに、これは…酷過ぎますわ;」

 

フォウ「フォー:」

 

訂正してそう言うトリスタンのに凛は叫び、ルヴィアも顔を引き攣らせてフォウもなんとも言えない感じに鳴く。

 

クレオパトラ「そこ、何を楽しそうにやっているのかしら!?妾も混ぜてほしいのだけど!」

 

イリヤ「あ、えっと、その…」

 

ルビー「アーコマリマシタネーコレハドウハナセバヨイノカー」

 

そんなメンバーに省かれたのでやって来たクレオパトラにイリヤはどう言えば良いかと棒読みの相棒を叩いてから思案しようとして…

 

ロマン『え、どうしたキミ?私を喚ぶ声がした?その声に応じる?』

 

エミヤ「おい、まさか…」

 

アレキサンダー「噂をすれば影って奴?」

 

その言葉に誰もがまさかと思う中で慌てたメドゥーサがロマンの代わりに言う。

 

メドゥーサ『た、大変です!カエサルがそちらにレイシフトしようとしています!!』

 

士郎「な、なに!?」

 

マシュ「ほ、ホントのようです!レイシフトします!」

 

イリヤ「え、ええええ!?」

 

ブレイブエリザ「ピンチ!それってつまり……!」

 

誰もが慌てるのにクレオパトラは首を傾げる中でそれは響いた。

 

???「私は来た!」

 

クレオパトラ「……!このお声は……!!

 

リリィ「ああ、来てしまいました…」

 

誰もがあーあーと不安そうに見る。

 

???「私は見た!」

 

クレオパトラ「カエサル様……!?そんな、もう再会だなんて!か、鏡。誰か鏡を持ってきて下さらない!?」

 

クロ「はいはい…」

 

慌てて言うクレオパトラにクロは頭を抑えながら鏡を投影して慌ててチェックするクレオパトラに誰もが顔を見合わせる。

 

刹那「エミヤ、クレオパトラが卒倒した時のためにクッション用意しといて」

 

ネロ「うむ、絶対に倒れる未来が見えるから用意しといて欲しい」

 

エミヤ「その方が良いな」

 

刹那とネロのにエミヤは承諾しながらつくづく思った。

 

サーヴァントは大体全盛期の状態で呼ばれるのだが、なぜカエサルはあの図体での姿で呼ばれたのだろうな…と

 

???「ならば次は、姿を現すだけのこと!」

 

ルビー「ついに姿を見せちゃいますね」

 

サファイヤ「そうですね姉さん」

 

誰もがハラハラする中…ついに…

 

クレオパトラ「カエサ―――――――」

 

カエサル「私だ!」

 

ババーン!と姿を見せたカエサルにクレオパトラは固まった。

 

その様子に誰もがあちゃあと頭を抱えたり、抑えたり、冷や汗を流したりする。

 

クレオパトラ「え"?」

 

カエサル「はっはっは、久しいなクレオパトラ。うむ?そう言えばこの姿で会うのは初めてか」

 

嬉しそうに言うカエサルだがかつてのスタイルからかけ離れた姿のにクレオパトラは言葉が出ずに茫然としていた。

 

そして…

 

クレオパトラ「……きゅぅ」

 

エミヤ「おっと」

 

目を回して倒れ込んだクレオパトラをエミヤがクッションで受け止めてから寝かせる。

 

うーんうーんと唸るクレオパトラにこれは重症だな…とエミヤはやれやれと頭を振る。

 

マシュ「ああ、やっぱり……」

 

茨木童子「現実を受け入れられずに気絶することで逃避したか……」

 

バゼット「そうみたいですね……」

 

誰もがその様子に同情する中でクレオパトラから光の球が飛び出す。

 

マシュ「あ、聖杯の欠片が出ました。一応、回収します」

 

クレオパトラ「……うう……丸い……丸い何かが……。ころころころころ……うう……」

 

凛「魘されているわね…」

 

ブレイブエリザ「……今すぐピラミッドと一緒に出ていけとは言えないわね……」

 

ここでゆっくり休んでもらいましょうと魘されているクレオパトラを見てのブレイブエリザのに、それが良いと誰もが同意する。

 

マシュ「ハロウィンが始まれば少しは心も和むかもしれません。そうですね、クレオパトラさんのためにも私達で精一杯ハロウィンを盛り上げましょう!」

 

イリヤ「そうですねマシュさん!」

 

リリィ「では早速準備をしましょう!」

 

誰もがマシュの提案に同意する中でクレオパトラが倒れた元凶もうむうむと頷く。

 

カエサル「良かろう!それでは私は誰を騙――――いや、説得すればいいのかな?」

 

エミヤ「今何と言い掛けた;」

 

刹那「うん、エミヤ、しばらく縛っておいて;」

 

トリスタン「私が見張りをしときましょう」

 

イリヤ「あははははは;」

 

衛宮により捕縛されて縛られるカエサルを見ながらイリヤはもう空笑いするしかなかった。

 

最後がなんとも言えない感じだったが、なんとか立ち直ったクレオパトラと共に刹那達はハロウィンを楽しんだのであった。

 

そして…

 

クレオパトラ「ふ、絨毯にくるまっているとでも思ったかしら! ……ええ、少しだけ考えましたが召喚の挨拶なので遠慮しておきました。妾は最後のファラオ、クレオパトラ七世フィロパトル。そして控えなさいマスター、太陽より頭が高くてよ?」

 

刹那「うん。クレオパトラ、これからよろしくね!」

 

カルデアに戻り、少ししてから召喚されたクレオパトラに刹那はそう言った。

 

なお…エリザベートとハロウィンエリザが合体した事で誕生したブレイブエリザはと言うとスカサハの手により、なんとかブレイブエリザを残したまま、2人を戻したのだが…

 

エリザベート「メインボーカルはアタシよ!」

 

ハロウィンエリザ「何言ってるの!アタシに決まってるでしょ!」

 

ブレイブエリザ「どっちも違うわよ!ボーカルは勇者であるアタシよ!」

 

ネロ「否、ボーカルは皇帝である余の役目だ!」

 

歌う事での立ち位置で良くぎゃあぎゃあ騒ぎまくるのをよく見る事になった。

 

エミヤ「やれやれ、もっと騒がしくなったな」

 

刹那「そうだねー」

 

それにエミヤは呆れ、刹那も苦笑しながらまぁ、良いかと笑う。

 

こうして、ハロウィンであった出来事は終わったのであった。

 

なお、時たまカエサルをダイエットさせようと彼を追いかけるクレオパトラをイリヤ達は見かけるが些細な話である。

 

 

オマケ

 

カルデアに戻った直後の出来事

 

頼光「待ちなさいそこの2人!」

 

清姫「うふふふふふふふふ」

 

茨木「ひぃぃぃぃぃぃ!?」

 

ニトクリス「あぶない!?」

 

嘘付いてたのがバレて頼光と清姫に追い掛け回される羽目になった茨木童子とニトクリスであった。

 

刹那「ちゃんちゃん」

 

ニトクリス「ちゃんちゃんじゃないですよ~!!」

 

茨木「やっぱ愛こわいぃぃぃぃぃぃ!」




お知らせです

この作品の執筆が原作の展開待ちの状態になってしまったのでこの長編の後の時間軸でFGOの原作のイベントや特異点にイリヤ達が巻き込まれるのを別枠の長編として投稿します。


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第十五幕~エインワーズ家のとある真実~

ハロウィンのを乗り越えた後、カルデアのマスターとイリヤ達はある真実を知る。


それはハロウィンが終わって数日経った夜の事

 

イリヤ「ふぁぁあ………」

 

就寝していたイリヤだったがトイレに行きたくなり、トイレのある方へと向かっていた。

 

刹那「あれ?イリヤちゃん?」

 

廊下を歩いているとそこで刹那とばったり会う。

 

イリヤ「あ、刹那お姉さん?」

 

刹那「どうしたの?こんな時間に」

 

気づいたイリヤへと声をかける刹那に、イリヤは顔を赤くしてモジモジするので刹那は察してああと納得する。

 

刹那「トイレはこっちだよ。カルデアって迷いやすいから大変だよね」

 

イリヤ「あ、ありがとうございます……///」

 

苦笑して言う刹那にイリヤは礼を述べて付いて行く。

しばらくしてトイレを済ませたイリヤは刹那と別れようとしたが、歩いている士郎に気づく。

 

刹那「あれって士郎くん?」

 

イリヤ「何処に行こうとしているのかな?」

 

こんな時間帯に歩く彼に疑問を感じて2人はこっそりと後を付ける。

しばらく歩くと士郎はとある部屋の前で立ち止まる。

その部屋には刹那は見覚えがあった。

 

刹那「あの部屋って……アンジェリカの部屋じゃない?」

 

イリヤ「え?アンジェリカの?」

 

入れた所を見ていたので呟く刹那に、イリヤはどうして士郎がアンジェリカの部屋に来たのかに疑問を思っていると士郎は中へと入って行く。

2人は顔を見合わせた後、近寄って会話を聞き取ろうと耳を傾ける。

 

アンジェリカの部屋

 

アンジェリカ「………………」

 

部屋に入った士郎にアンジェリカは正座したまま身じろきをしない。

 

士郎「……寝ないのか?それとも()()()()()()()()()()()()?」

 

アンジェリカ「眠れ……とご命令いただければそのように致します」

 

そう問う士郎にアンジェリカは淡々と返す。

 

そんな2人の会話を刹那とイリヤは息を飲んで逃さない様にする。

 

士郎「……本当にお人形みたいになっちまったな。それがお前の素なのか?感情の薄い奴だとは思っていけど……」

 

アンジェリカ「―――演じる必要性も無くなりましたので」

 

淡々と返すアンジェリカに、士郎は壁にもたれながらアンジェリカを見る。

 

士郎「……怒りさえも偽りだったってわけか。残念だよ。お前の激昂した顔はそっくりだったのに」

 

刹那「(そっくり?それって誰に……)」

 

声に含まれてる様に残念そうに呟く士郎に刹那とイリヤは疑問に思う。

 

士郎「ああ、本当に……そっくりだった。だから気づいた」

 

そして次の士郎の言葉に2人は驚く。

 

士郎「()()()()()()()()()()()()?」

 

イリヤ「(え―――――)」

 

刹那「(ジュリアンの……姉!?)」

 

衝撃の発言にイリヤと刹那が驚愕する中、アンジェリカは肯定した。

 

アンジェリカ「――――よく、気づきましたね。私はアンジェリカ・エインズワース。ジュリアン様の姉……だった者です」

 

だった者と言うのに刹那はどういう意味と感じた。

 

士郎「魔術は血統に継承されるものだからな。あれほどの置換魔術を使える者がエインズワースの人間でない筈がない……いや、もう()()ではないのか」

 

イリヤ・刹那「「!」」

 

告げられた事にイリヤと刹那はまた驚く。

 

アンジェリカ「人形です。もはや帰るべき肉体を持たぬ意識を宿した…………人形」

 

士郎「俺が戦った人形はどいつもこいつも……壊れていた。記憶障害に論理破綻。損傷無視の暴走、言語能力の低下……その様子だとお前は感情の喪失ってとこか」

 

淡々と言うアンジェリカに、士郎は自分が戦って来たかつて人だった者達を思い出しながら指摘すると、アンジェリカは目を閉じ、また淡々と説明する。

 

アンジェリカ「体機能すら再現する人の概念置換は容易なものではありません。必ず自我に何らかの欠落や歪みを生じさせます。私の場合は……感情の九割以上が失われました」

 

刹那「(ってことはあの二人にもなんか障害があるって事なのかな?)」

 

説明を聞いて、刹那は前に襲い掛かって来たエペナとアビゲイルを思い出す。

 

アンジェリカ「人間らしい反応を学んで演じてみせても所詮は贋作。人形の中身に価値などはありません」

 

士郎「…………」

 

そう返したアンジェリカに、士郎は悲しそうに顔を伏せる。

 

イリヤ「(そんな……それじゃあアンジェリカ()ザガリー()を失って……残った家族はエリカ()だけ……それじゃまるでジュリアンは……)士郎さんと同じ……」

 

田中「何が同じです?」

 

ぼそりと呟いたイリヤに対して、何時の間にか後ろにいた田中が聞く。

 

イリヤ「うひゃぁあ!?」

 

刹那「た、田中さん!?」

 

それにイリヤと刹那は驚いてしまい…部屋の中へと入ってしまって士郎達に気づかれる。

 

士郎「………盗み聞きが趣味かい?」

 

イリヤ「ち、違いますーっ!」

 

刹那「ちょっと歩いていた君を見かけたから、気になって後をついてきたんだよ」

 

倒れた3人を見て頭を掻きながら質問する士郎に、イリヤは否定して刹那が理由を言う。

 

士郎「そうか……ちょうどいい。二人にも聞く権利がある。二人は俺たちの世界も美遊も救うという可能性を示してくれた。だったら知らなくてはならない。エインズワース(彼ら)が抱えている秘密を、分厚く塗り固められた虚構(うそ)の裏側を……」

 

アンジェリカ「…………」

 

そう言って士郎はアンジェリカへと近づき、彼女の顔を見ながら聞きたい事を言う。

 

士郎「なぁ……ダリウスとは何者なんだ?」

 

刹那「ダリウスって確かジュリアンが姿を変えていた人物の名前だよね?」

 

思い出して聞く刹那に士郎はそうだと答えてから、アンジェリカにそれについて聞く。

 

士郎「美遊はダリウスがジュリアンの父だと誤解していた。だが神父の話ではザガリーこそジュリアンの実父だと言う」

 

刹那「え?ならなんで……」

 

告げられた事に刹那はダリウスと言う名前と姿をどこから拾って来たんだと思った。

 

士郎「そうだ。なんでジュリアンはダリウスの振りなんてしていた?そこに何の意味がある……!?」

 

田中「ダリウスはエインズワース全ての父です」

 

続けて聞こうとした士郎だったが、田中の口から衝撃の言葉が出た。

 

刹那「え?」

 

イリヤ「田中……さん?」

 

士郎「……!?どういうことだ…!?」

 

意外な人物から出て来た言葉に3人は田中を見る。

 

田中「………………どういうことです?」

 

イリヤ「記憶喪失(いつもの)!?」

 

刹那「ちょ、田中さん!?」

 

ロビンフッド「重要な部分でそこかよ!?」

 

エミヤ「あ、バカ!?」

 

爆弾発言を言っときながら首を傾げる田中にイリヤはツッコミ、何時の間にか顔のない王で隠れて聞いていたのかロビンフッドが姿を現してツッコミを入れて、同じ様に隠れていたのかエミヤが叫ぶが、出て来たのは変わりないのでいたんだと言う刹那に2人が頬をポリポリ掻く中でアンジェリカが口を開く。

 

アンジェリカ「……振りなどでは断じてありません」

 

イリヤ「……え?」

 

ロビンフッド「どういうこった?振りじゃないとすると坊主や嬢ちゃんが見たのは何になるんだ?」

 

出て来た言葉にイリヤは戸惑い、雰囲気からロビンフッドは真剣な顔で聞く。

 

アンジェリカ「あれは紛れもなくダリウス様そのもの。破戒すべき全ての符(ルールブレイカー)概念置換(そとがわ)を壊したところで無意味。そんなことでは覆らない呪い……」

 

刹那「呪いって……」

 

エミヤ「それでは…」

 

出て来た言葉に刹那も驚く中で、エミヤは顔を強張らせる。

 

アンジェリカ「()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

刹那・イリヤ・士郎「「「!?」」」

 

ロビンフッド「そりゃまた…碌でもねえ呪いだな」

 

出て来た言葉に3人は驚き、ロビンフッドは顔を顰めてぼやく。

 

アンジェリカ「血統による継承ではなく完全なる個による永続。それが初代より連綿と続くエインズワースの歴史です」

 

刹那「ちょ、ちょっと待って!?初代から続くって、それじゃあそのダリウスって奴は……」

 

慌てて問う刹那のにアンジェリカは刹那を見る。

 

アンジェリカ「はい。千年ぐらいは生き続けていることになります」

 

刹那「なっ……!?」

 

ロビンフッド「不死…いや転生みたいな感じか…しかも話的に元々あったそいつの人格とか意思とか無視して強制的に置き換えるって感じか…本当に磯でもねえ」

 

エミヤ「………」

 

出て来た言葉に刹那は言葉を無くし、ロビンフッドは嫌そうに呟き、エミヤも厳しい顔で腕を組む。

 

アンジェリカ「掲げた悲願は世界の救済。けれど千年も生きるダリウス様の本当の目的(ねがい)など誰にも分りません」

 

ロビンフッド「そりゃあ本人から聞いてないんじゃあ分かりもしねえな」

 

エミヤ「しかもその救済の仕方も方法や他の者からすれば破滅に変わる」

 

淡々と静かに言うアンジェリカにロビンフッドとエミヤは顔を顰める。

 

アンジェリカ「だから……ジュリアン様は自身の意識が残っているうちに聖杯を成そうとしています。()()()()のためではなく()()()自身の願いのために……」

 

刹那「自分の意識があるうちに自分の願いとして世界を救う……だから美優ちゃん(聖杯)をジュリアンは欲したのか」

 

刹那は出会った時のを思い出しながら呟く中でアンジェリカを見る。

 

アンジェリカ「……イリヤスフィール、エクシア。貴方達が世界も人を救うというのなら……」

 

イリヤ・刹那・士郎「「「!」」」

 

そして彼女の顔を見て息を飲む。

 

ほとんど感情の出ていない彼女の目から涙が流れていた。

 

アンジェリカ「どうか……どうか……弟こそ救ってほしい……」

 

その頼みはアンジェリカ(ドールズ)ではなく、1人の弟を思うアンジェリカ・エインズワース()としての願いであった。

 

イリヤ「アンジェリカ………」

 

「どうやら知っちまったみたいだな…」

 

横からの声に誰もがそちらへと顔を向ける。

 

アンジェリカと共に一緒に入れられていたベアトリスが苦い顔をしていた。

 

ロビンフット「あ、オタクも一緒に入れてたんだったか」

 

ベアトリス「話すとはな…それだけこいつ等なら変えられると思ったのかよ」

 

忘れてたと言うロビンフッドのを知らずにベアトリスがそう言うとアンジェリカは顔を逸らす。

 

エミヤ「どうやらその言葉からして彼に起こる事を知っていたと言う事か…」

 

イリヤ「あ、そう言えば……」

 

ベアトリスの反応からイリヤは自分がダリウスに破戒すべき全ての符ルールブレイカーを刺した時のことを思い出す。

 

その時、ベアトリスの反応は…

 

イリヤ「(もしかして……)貴方はジュリアンがダリウスに変装していたって私達に思わせる為に?」

 

ベアトリス「まあそうだ。……さて、そろそろジュリアン様の所に返して貰う……ぜ!」

 

行かせろと出ようとするベアトリスにエミヤとロビンフッドが入り口前で遮る。

 

エミヤ「どうしてそこまでジュリアンのところに戻ろうとする」

 

ベアトリス「決まってんだろ。それは私がジュリアン様の事が大好きだからだよっ!」

 

退けと睨むベアトリスにエミヤとロビンフットは動じずに駄目だと返す。

 

そんな2人にベアトリスはイラつく。

 

ベアトリス「邪魔すんじゃねェ!」

 

ロビンフット「うぉ!?」

 

そう言って殴りかかるベアトリスにロビンフットは直感からそれを避ける。

 

バゴォォン!

 

するとロビンフットが避けたベアトリスのパンチは壁に命中すると壁が砕ける。

 

ロビンフッド「おいおい、どんだけヤバいんだよその身体能力?!」

 

ベアトリス「私は殴っただけで人間を真っ二つにできるンだ。これぐらい朝飯前なんだよッ!」

 

それにロビンフットは目を開いて驚き、ベアトリスの退かねえならぶっ飛ばすと言う気迫にエミヤはやれやれと思いながら落ち着かせる様に指摘する。

 

エミヤ「例え我々を突破したとしても君ではこのカルデアから元の世界へ戻ることはできないぞ」

 

ベアトリス「ッ!だがもうあれからどンくらい経った!?あたしは見届けなきゃあならねえんだ!」

 

焦りを見せるベアトリスに落ち着き給えと言ってからエミヤは言う

 

エミヤ「それなら心配いらない。向こうではまだ二日も経ってはいないだろうだから」

 

ベアトリス「アァ?どういう事だ!?」

 

告げられた事に驚くベアトリスへエミヤは言う。

 

エミヤ「ロマンから聞いたんだがどうやらカルデアと君たちの世界では時間の流れが違い、こっちでの数日があっちでは一日も経っていないという事らしい」

 

そ、そうだったんだとイリヤや士郎も驚く。

 

ベアトリス「そ、そうか……」

 

刹那「そんなにジュリアンのことを心配しているんだね」

 

イリヤ「(そりゃああんなグッズを作っているほど好きだからねぇ;)」

 

安心するベアトリスの様子からそう言う刹那にイリヤは彼女の部屋を思い出してなんとも言えない顔をする。

 

ベアトリス「おい、そこ。何変な顔してるンだァ?」

 

イリヤ「な、なんでもないよ!?」

 

そんなイリヤを睨むベアトリスにイリヤはそう返しながらバレたら殺される以上のことされそうと冷や汗掻きながらぶるりと震える。

 

エミヤ「それでマスター。どうするつもりだね?」

 

刹那「んー……確かにこれはほっとけないよね。犠牲を前提にしていたのもその焦りからってなるけど今はね…」

 

問うエミヤに刹那はうーんと唸る。

 

実際ジュリアンの所には魔術王の手の者がいるので絶対にジュリアンの悲願は達成できずにダリウスに変わってしまうだろう。

 

それをどうするかで刹那は悩む。

 

ベアトリス「おい、テメェ」

 

刹那「ん?なに?」

 

そんな刹那にベアトリスは話しかける。

 

ベアトリス「テメェ、ジュリアン様の事を偽善者とか言っていたよなァ?」

 

刹那「あーそう言えば言ったねそんなことも」

 

カルデアに来る前に彼女達へと刹那が向けて言った事にそれがどうしたの?と刹那は聞き返す。

 

ベアトリス「テメェ、一体ジュリアン様の何処が偽善者なんだよ!」

 

刹那「ん~そうだね……言うとすれば独りだからかな?」

 

怒りを纏って聞くベアトリスは刹那から返された事に呆気に取られる。

 

ベアトリス「ハァ?」

 

刹那「いやだってさ、ジュリアンって君達のことはドールズ(人形)としか思ってないんでしょ?」

 

アンジェリカ「……そうですね」

 

ベアトリス「……チッ!」

 

確認する刹那にアンジェリカは肯定し、ベアトリス自身も舌打ちしているがアンジェリカと同じであった。

 

刹那「エリカって子はどうなのかまだ分かんないし、そうするとジュリアンって独りってことになるじゃん」

 

ベアトリス「それがどうかしたんだよ?」

 

そう言う刹那にベアトリスは苛立ちながら聞く。

 

刹那「独りじゃ世界は救えないよ?たとえ聖杯を使ったとしてもね」

 

なぜ?と睨むベアトリスに、刹那はエミヤやロビンフットにイリヤを見てから口を開く。

 

刹那「見せてあげるよ。世界を救うのがどんなに難しいことかを」

 

そう言って、刹那はベアトリスとアンジェリカを連れてある場所へと向かう。

 

マテリアルルーム

 

イリヤ「こ、此処は?」

 

刹那「此処はマテリアルルームって言って、様々な特異点とかの記録を観ることができる部屋だよ」

 

様々なと言う事に、イリヤと士郎は刹那達がこれまで歩んだ旅を見れると気を引き締める。

 

刹那「それじゃあ、まずは最初の特異点から映すね」

 

カチャカチャカチャ、カタン!

 

そう言って刹那は機類を操作して映し出す。

自分とマシュの始まりとなった旅の原点を…

 

ヴィィイイイイイイイイイイン

 

ボォオオオ…………

 

イリヤ「………え?」

 

機械の音の後に周りの風景が変わり、目に映ったのは…崩落し、火に包まれた街であった。

 

街は建物も大地も燃えており、生きる生命は何もないまさに地獄とも思える場所にへとなっていた。

 

士郎「おい……まさかこの街は……!?」

 

その光景に口を押さえるイリヤと唖然とするベアトリスの中で、士郎が震える声でどこなのかを察知してエミヤはそれを肯定する。

 

刹那「士郎くんは分かったようだね。そう、此処はイリヤちゃんたちが住んでいた街、()()()だよ」

 

ベアトリス「なっ!?此処が!?」

 

アンジェリカ「これが冬木の街ですって……!?」

 

そして刹那が街の名前を言い、2人は愕然とし、アンジェリカも反応する。

 

刹那「そして此処が私とマシュが初めて訪れた特異点Fだよ」

 

イリヤ「特異点……F……」

 

F、つまりファーストで始まりの場所が、自分達の住んでいた街だと言うのをイリヤは噛みしめながら呟く。

 

マシュ『ハァッ!』

 

ドガッ!ズガッ!

 

次に映ったのは戸惑う刹那を守るマシュの姿であった。

 

そんなマシュの姿にイリヤは首を傾げる。

 

イリヤ「なんかマシュさんの姿、ちょっと違う……」

 

刹那「マシュは最初はあんな姿だったんだよ。今の姿はマシュに宿っている英霊の真名が分かってなった姿なんだ」

 

分かってと言う発言に、士郎とベアトリス達は真名が分かってない状態で最初は戦っていた事に驚く。

 

それと共にアンジェリカは気づく。

 

アンジェリカ「それでは彼女は宝具の真名を…」

 

刹那「うん、この時はまだ知らなかったよ」

 

ベアトリス「はぁ!?」

 

出て来た言葉にベアトリスや士郎は信じられないと言う顔で昔のマシュを見る。

 

刹那「この時はまだ召喚したサーヴァントたちは少なくてね。この頃に居たのは」

 

「僕たちだよね。マスター」

 

「■■■■!」

 

そう言った刹那のを引き継いで入って来たのは、アレキサンダーとヘラクレスであった。

 

刹那「うん、あとファントムだったね」

 

イリヤ「アレキサンダーさん、ヘラクレスさん!?どうして此処に?」

 

アレキサンダー「いやー歩いていたらマテリアルルームに明かりが付いてたから来た訳だよ。ヘラクレスは途中で会ってね」

 

頷く刹那の後のイリヤの言葉に、アレキサンダーは笑った後に懐かしいね~と呟く。

 

刹那「この時はマシュを含めて四人とキャスニキでセイバーのオルタと戦ったんだ」

 

イリヤ「え?セイバーのオルタって……」

 

ヴィィイイイイイイン

 

出て来た言葉にイリヤはもしやと思った所でその映像に変わる。

 

セイバーオルタ『卑王鉄槌。旭光は反転する。光を飲め! 約束された勝利の剣(エクスカリバー・モルガン)!』

 

ズガァアアアアアアアアアアアアアアア!!

 

マシュ『真名、偽装登録―――宝具、展開します……!』

 

ヴィィィン

 

ガガガガガガガガガガガガガガガガッ!!

 

かつて戦った事がある存在、セイバーオルタのに対してマシュはキャスニキとの特訓でよりなんとか展開出来る様になった宝具を発動してセイバーオルタの闇の放流を受け止める。

 

受けきった事にベアトリスや士郎は目を見開いて息を飲む。

 

ベアトリス「あのガキ……騎士王の宝具を受け止め切ったのかァ?!」

 

士郎「しかもあの宝具……ちゃんとしたのじゃないのに……」

 

刹那「それだけマシュが頑張ったんだよ」

 

本当にあの時はね…と刹那はしみじみと呟く。

 

イリヤ「マシュさん、凄い……ん?」

 

イリヤも感嘆する中である事に気づいた。

 

それは刹那達の近くにいる見覚えのない女性で、あんな人いたっけ?とイリヤはカルデアで会った人達を思い出すが彼女に会った覚えがない。

 

イリヤが覚えてないのも仕方がない。

 

なぜならその女性…オルガマリーはもういないからだ。

 

イリヤ「(あの人は?)ねえ刹那……」

 

刹那「そして彼女を倒し、人類史が焼却されたことを知った私達はそれを防ぐために次の特異点に行ったんだ」

 

ヴィィィィイイイイイイイイン

 

そんなオルガマリーのことをイリヤは聞こうとしたが、刹那はそう言って次のに変える。

 

聞くタイミングを逃したイリヤだが、その際刹那が悲しそうにしていたのを見て聞くのを止めてしまう。

 

そして次なる特異点、第一特異点 邪竜百年戦争オルレアンの映像が流れる。

 

ベアトリス「おい、何処だ此処?」

 

アンジェリカ「さっきとは随分と変わってのどかな場所ですね」

 

刹那「此処は1431年のフランスにできた特異点、オルレアンだよ」

 

イリヤ「ふ、フランス?!」

 

周りの風景を見て言うベアトリスとアンジェリカに刹那は説明し、イリヤは告げられた場所に驚く。

 

刹那「ここで私たちはジャンヌと出会い、一緒に竜の魔女であるもう一人のジャンヌ……ジャンヌオルタと彼女が召喚したサーヴァントたちと戦ったんだ」

 

その言葉と共に映し出されて行く。

 

映し出されて行く戦いにイリヤやベアトリスは息を飲む。

 

刹那「この時ははぐれサーヴァントのジークフリートやマリーアントワネット、エリザベート達と一緒に戦ってなんとか倒すことができたんだ」

 

言い争うエリザベートと清姫との出会い、マリーやアマデウスにゲオルギウスやジークフリートとの出会いとジャンヌオルタ撃破の所まで見てベアトリスやイリヤはじっと見続ける。

 

ヴィィィイイイイイイイイイイン

 

刹那「そして次の特異点、セプテムにて私たちは初めて魔神柱と戦ったんだ」

 

そして次の第二特異点 永続狂気帝国セプテムを映し出す。

 

英霊ではなく生きたネロとの出会いにローマに関連するサーヴァント達の戦いから、刹那とマシュだけで戦う原因となったレフ・ライノールが呼び出した最初の魔神柱、魔神フラウロスとの闘い。

 

魔神柱フラウロス『■■■■■■!!』

 

ベアトリス「な、なんだあの化物は?!」

 

刹那「あれは魔神柱。私たちが戦っている黒幕の使い魔的存在だよ」

 

その姿に驚くベアトリスに刹那はそう答える。

 

アレキサンダー「一体だけでもサーヴァント数人分の強さを持っている厄介な敵でね」

 

エミヤ「しかもこいつらは黒幕である奴を倒さない限り、倒しても倒しても補填される厄介な性質を持っているのだ」

 

いやーホント大変だったなと腕を組んでうんうん頷くアレキサンダーの隣でエミヤが補足する。

 

それだけの存在が…と士郎は絶句する。

 

イリヤ「ま、魔神柱ってそんなにヤバい存在なんですかー;」

 

刹那「うん、本当はね。それをなんで魔法少女のナーサリーは使っていたんだろうね;ホントに;」

 

最初に出会った時のを思い出して言うイリヤ。刹那も思い出してかうーむと唸る。

 

アレキサンダー「あれじゃない?魔法少女の敵役で良く悪魔が使われるし、敵側の魔法少女もそう言う悪魔を召喚したりするから出来たとか?」

 

ロビンフット「それだと簡単そうな感じになって、普通に苦労させられるの俺らになるけどな」

 

刹那「この次は海の特異点、オケアノス。そこで私たちはイアソンとメディアリリィ、そして十二の試練が使えるヘラクレスと戦ったんだ」

 

ヴィィィィイイイイイイイイイン

 

アレキサンダーとロビンフットの言葉を聞きながら、刹那は次の第三特異点 封鎖終局四海 オケアノスのを見せながら説明する。

 

イリヤ「十二の試練が使えるって、カルデアのヘラクレスさんも使えるんじゃ?」

 

エミヤ「それが魔力が足りなくてな。使えないのだよ」

 

ヘラクレス「■■■……」

 

そう聞くイリヤにエミヤは苦笑して言い、ヘラクレスも申し訳なさそうに唸る。

 

刹那「ホント、十二の試練を使えるヘラクレスはホント大変だったなぁ;」

 

あの時は裏技的な感じで倒したし…と刹那はぼやきながら見せていく。

 

刹那『うぉぉおおおおおおおおおおおおおおおお!?』

 

エウリュアレ『ちょっと、もっと早くしないと追いつかれるわよ!』

 

敵ヘラクレス『■■■■■■!!』

 

イリヤ「ええええええ?!刹那お姉さんがエウリュアレさんを抱っこしてヘラクレスさんから逃げている?!」

 

その中でエウリュアレを背負って必死に走る刹那にイリヤとベアトリスに士郎はえぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!?と驚き、あれは大変だったと遠い目をする刹那に変わってエミヤが苦笑しながらどうしてこうなったかの理由を説明する。

 

エミヤ「あー、なぜマスターがエウリュアレを背負っているかというと、イアソンの召喚したヘラクレスを倒すための道具へと誘導するための囮役として、サーヴァントではなく普通の人間なマスターが選ばれてな…それでマスターは必死に走ると言う状況になったのだ;」

 

イリヤ「これ、追いつかれたら死にますよね!?」

 

エミヤの説明を聞いて、イリヤは必死に逃げる刹那を指さして叫ぶ。

 

ロビンフッド「まあな。ただもう一つ死ぬのがあるんだよなこれが」

 

イリヤ「え?」

 

それに対して言ったロビンフッドにどう言う事と思うと、ぽつんと置かれた箱が目に入る。

 

士郎「なんだ?あの箱は?」

 

エミヤ「あれはダビデの宝具、契約の箱(アーク)。ダビデ以外の者が触れればその者は魔力を箱に奪われ必ず死ぬ恐ろしい宝具だ」

 

アレキサンダー「その宝具でならストックが10個あるヘラクレスでも殺すことができるんだ」

 

訝しむ士郎にエミヤは説明し、アレキサンダーが付け加える。

 

イリヤ「ちょ、ちょっと待ってください!?それが刹那お姉さんの走っている方向にあるってことは……」

 

ベアトリス「アイツがあの箱を飛び越えるのに失敗したらアイツが死ぬじゃねェか!?」

 

ロビンフッド「まぁ、今こうして立っているのは成功したからだけどな」

 

それに慌てるイリヤとベアトリスにロビンフッドが肩を竦めて言うと刹那は箱を見事飛び越え、箱に気づいて立ち止まったがエミヤ達に押されて箱に触れたヘラクレスはそのまま箱に魔力を吸われて消えていく。

 

刹那「いやー、ホント大変だったよ」

 

イリヤ「刹那お姉さん……凄いですね;」

 

ははははと空いた笑いをする刹那にイリヤは尊敬の視線を送る。

ベアトリスもこいつ、ジュリアン様にああ言える程なのはこれがあったからかと呆れている。

 

刹那「そして第四特異点のロンドン、そこで私達は奴と会った……」

 

ヴィィィイイイイイイイイン

 

オケアノスの次の第四特異点 死界魔霧都市 ロンドンが映し出された。

 

士郎・アンジェリカ・ベアトリス「「「「!?」」」」

 

イリヤ「(なに……あの人……)」

 

その最後に出た存在に士郎達はその威圧感に映像とはいえ思わず身構え、イリヤは体を震わせる。

 

刹那「奴こそ72柱の魔神柱を従え、人類史を焼却したグランドキャスター……魔術王ソロモンだよ」

 

ルビー「そ、ソロモン!?それは本当なんですか刹那さん!?」

 

刹那が答えた事にルビーは驚いて聞く。

 

イリヤ「知ってるのルビー?」

 

ルビー「知ってるも何も、ソロモンこそ魔術の始まりとなった人物であり彼の死から神秘の衰退が加速されたとんでもないお人ですよ!?」

 

魔術の始まりと言うのに誰もが驚く。

 

それだけの存在と言うのにイリヤは驚いた後、グランドキャスターと言うものに疑問を感じる。

 

イリヤ「あの、刹那さん。グランドキャスターってなんですか?」

 

刹那「グランドキャスターってのは聖杯戦争のモデルとなった『決戦魔術・英霊召喚』により召喚される人類最高峰の英霊、グランドの名を冠するキャスターのことだよ」

 

イリヤ「け、決戦魔術・英霊召喚?」

 

出て来た言葉にイリヤはチンプンカンプンでどう言う事と士郎達を見るが、3人とも知らないのか首を横に振る。

 

刹那「それは…」

 

ダ・ヴィンチ「はいは~い、それは私が説明するよ」

 

それについて説明しようとした刹那を遮ってダ・ヴィンチが入って来る。

 

刹那「ダ・ヴィンチちゃん!?」

 

ダ・ヴィンチ「やあやあ、夜更かしは女の敵だけど講義中なら私も加わろう。それでイリヤちゃんの知りたいのを説明するとね…」

 

そう言ってダ・ヴィンチは説明を始める。

 

イリヤは必死に内容を覚える。

 

冠位英霊(グランドサーヴァント)

 

それは人類全体に対する自業自得のアポトーシスなるモノを討つため『決戦魔術・英霊召喚』にて召喚された人類最高峰の英霊。

 

その冠位(グランド)という器のために既存のサーヴァント達よりも出力を大幅に上回っている。

サーヴァントとしてのそもそもの器もとい霊基が違うために普通のサーヴァント達を一瞬で塵屑のように屠ることができる、圧倒的なまでの力を持つ。

 

ダ・ヴィンチ「…とまぁ、簡単に説明したらこんなもんだね」

 

イリヤ「す、凄いですね」

 

説明を終えるダ・ヴィンチにイリヤは必死に頭から煙が出ない様にし、田中がどこから取り出したうちわで扇がれる。

 

アンジェリカ「しかし、何故その魔術王がこの第四特異点に?まさか特異点を修復する貴方達を消すために……」

 

エミヤ「もしそうだったら今頃我々は死んでいた。ただ奴は読書の合間にトイレに行くような物で第四特異点に現れたのだ」

 

その中でなぜ現れたのかに疑問を感じるアンジェリカに、エミヤは肩を竦めてソロモンが現れた理由を答える。

 

ちなみにこれ本人が本当に言った事だとも付け加える。

 

ベアトリス「ハァ!?おい、待てそれって……」

 

アレキサンダー「そう、ソロモンは僕たちが行っている特異点修復に対して全く興味を持っていないんだよ」

 

ダビデ「あの子が本気だったら、マスターやマシュちゃんはこの場にいないし終わっていただろうからね」

 

出て来た言葉に驚くベアトリスにアレキサンダーは困った顔をし、続いて現れたダビデが肩を竦めて入って来る。

 

来るの多いなとロビンフッドは思いながら、もうちょい子の躾け方して欲しいもんッスよとダビデにそう言う。

 

刹那「(と言ってもアイツが本物のソロモンなのか疑わしくなっているんだけど……これは話さなくていいか)」

 

その中で、刹那はキャメロットでホームズから聞いた事もあって奴が本物の魔術王なのか疑問を抱いていたが、混乱を避ける為に自分の中に留めておく。

 

ダビデ「まぁ、攻略する間も色んな事を潜り抜けてるよね~ハロウィンとかクリスマスとか」

 

刹那「アーウン、ソウダネー」

 

イリヤ「目が死んでる!?」

 

ベアトリス「棒読みになる程何があった!?」

 

あっはっはっ!と笑いながら言うダビデに対して、目から光を失くして同意する刹那にイリヤとベアトリスは叫ぶ。

 

特にクリスマスのと言うので顔を抑えるエミヤとロビンフッドに士郎は興味があるが、聞いたらなんかいけない気がして冷や汗を掻く。

 

アレキサンダー「後はリリィの特訓とか、式と出会ったマンションとか、孔明先生と挑んだ第四次聖杯戦争とかもね」

 

エミヤ「あとは京都で茨木童子と、鬼ヶ島では丑御前と戦ったな」

 

刹那「そうだね。そして第五特異点……あそこはまさしく戦争のような場所だったね」

 

思い出して言うアレキサンダーとエミヤ。正気に戻ってから刹那はロンドンの次の第五特異点 北米神話大戦 イ・プルーリバス・ウナムを映し出す。

 

ズダダダダダダダダダダダッ!

 

イリヤ「うぇ?!なになに!?」

 

いきなりの銃声にイリヤが驚いた後、ワァァァァアアアアアアアアア!と言う叫びが聞こえると戦争が目に入る。

その光景にイリヤやベアトリスは唖然とする。

 

イリヤ「これって……戦争!?」

 

刹那「そう、女王メイヴが率いるケルトの軍勢とエジソンが作った機械兵軍団のね」

 

機械!?というのになんで!?とベアトリスとイリヤのにまぁ、驚くよなとロビンフッドは呆れて肩を竦め、エミヤも何とも言えない顔でうんうんと頷く。

 

刹那「いや~この時はロビンとエリザには頑張ってもらったよね」

 

ロビンフッド「ホント、苦労させられましたよ。俺はあいつのお目付け役じゃねえですよホント」

 

思い出して言う刹那にロビンフッドは疲れた顔でげんなりして返す。

 

刹那「特に最終決戦の時はエリザ、凄い頑張ったみたいだね」

 

エミヤ「ああ、しかもロンドンで戦った二コラ・テスラが来て、エジソンと共に女王メイヴが召喚した魔神柱を一気に倒したらしいな」

 

ロビンフッド「あんときはマジで死ぬかと思ったぜ。あの女王、魔神柱を28体も出して合体させるなんてなんて荒業を使ってきやがるとはな」

 

イリヤ「……え?今なんて?」

 

そう言う刹那にエミヤはその時その場所にいたロビンフッドへと顔を向け、ロビンフッドは今思い出しても生きた心地はしなかったな感じで言った事にイリヤは思わず聞く。

 

ロビンフッド「そのままの意味だ。あの女王、メイヴは聖杯で自身の宝具『二十八人の戦士』の枠に押し込める形で魔人柱を28体も召喚した上にそれを合体させたんだよ」

 

イリヤ「……えぇええええええええ?!」

 

告げられた事にイリヤは勿論、士郎やベアトリスにアンジェリカも驚く。

 

数人のサーヴァントでやっとな魔神柱を20体以上も呼び出した上に合体させるなど普通に想像できない。

 

それを倒した二コラ・テスラが凄いと思う中でロビンフッドが補足する。

 

ロビンフッド「まああの時は負けるわけにはいかなかったしな。マスターたちがオルタになってバーサーカーになったクーフーリンと戦っていたしよ。それにエジソンもいたから2人が協力してやっつけたもんだし」

 

エリザベート「それに私達の負けはアメリカの敗北。ようするに修復失敗ってことになるから引くわけには行かなかったのよ」

 

そう言ったロビンフッドの後に目をこすりながらエリザベートが入って来る。

 

エミヤ「おやエリザベート、君も来たのかね」

 

エリザベート「なんか騒がしいから来てみたのよ」

 

珍しそうに言うエミヤにそう返した後、エリザベートは懐かしいわねとしみじみに漏らす。

 

エリザベート「あの時はたくさん歌ったわ。声が枯れそうになったけど子ジカたちが頑張ってたからアタシも頑張って歌い続けたわ」

 

歌い続けたと言うのにベアトリスとイリヤは想像して頭を抑える。

 

刹那「アハハハ……そろそろ次のに行くね」

 

そんな2人に苦笑して、刹那はイリヤ達と出会う前に行った第六特異点 神聖円卓領域 キャメロットへと行く。

 

刹那「此処で私達は聖愴の力で神にへとなってしまった騎士王……獅子王と戦ったんだ」

 

ヴィィィイイイイイイイイン

 

映し出された光景に誰もが驚く。

 

そこは生命を感じさせない台地と砂漠だったからだ。

 

ベアトリス「なんだよこれ……今までのと全然違うぞオイ」

 

刹那「この特異点はまさに今までの中で最悪な特異点だったんだよ」

 

エミヤ「人類定礎値がEXにまでなっていたしな」

 

驚きを隠せないベアトリスに刹那とエミヤは顔を顰めて言い、アレキサンダー達もエリザベートを除いて困った顔や怒った顔をしていた。

 

刹那「円卓の騎士たちもホント強くてね。特にガヴェインとかマジチートすぎでしょあれ;」

 

エミヤ「確かにガヴェインが居るだけでいつでも日中とかマジずるすぎるだろうなあれは」

 

ホント苦労させられたなと言う刹那達の言葉に、それだけ強かったのとイリヤ達は戦慄する。

 

ガヴェイン「あの時はホント、ご迷惑をかけました。お詫びにマッシュポ……」

 

刹那「それ以上言ったらノッブ・オリオン・エウリュアレの宝具チェインでぶっ飛ばすよ?(黒笑)」

 

そこに何時の間にか来ていたガウェインが謝罪して最後に何かを言おうとしたが、刹那の笑みにすいませんと頭を下げる。

 

な、何を言おうとしたんだろうとイリヤとベアトリスは気になったが、刹那の笑みから聞かない方が良いと考える。

 

刹那「まあそんな円卓の騎士たちを倒しながら私たちはとうとう獅子王と戦い、なんとか勝利したんだ」

 

そう言って刹那は師子王との闘いから終わりまでを見ながらそう締め括る。

 

イリヤは改めてサーヴァントの凄さを肌で感じた。

 

同じ様にベアトリスも言葉が出なかった。

 

ベアトリス「なんだよあれ……神様かよ?」

 

刹那「さっき言ったでしょ?聖槍の力で神になった騎士王って」

 

先ほどまで映っていた槍トリアのことを聞くベアトリスに刹那はそう言う。

 

ベアトリス「あんなのとも戦ったのかよテメェらは」

 

刹那「うん、そうだよ。負けそうになったけど皆で頑張って勝ったんだ」

 

アンジェリカ「皆で……ですか?」

 

そうだよとアンジェリカの言葉に刹那は頷いてから、エミヤやアレキサンダー達を見る。

 

刹那「そう。私達は今まで皆で頑張って世界を救ってきたんだ」

 

エミヤ「だからこそ英霊たちを道具のように使い、聖杯を使って独りで世界を救おうとするジュリアンをマスターは許せなかった。だから彼の事をああ言ったんだ」

 

その言葉に、イリヤと士郎は刹那に対して確かにと思った。

 

今までの彼女達の戦いを見ていれば英霊と共に笑い、泣いたり、怒ったりしてきた刹那にとってジュリアンのやり方は許せない。

 

だからこそ、刹那達はジュリアンのやり方を否定し、一緒に戦ったイリヤ達と共に戦う。

 

ベアトリス「…………確かにこれを見せられたらな……」

 

イリヤ「……ベアトリス?」

 

ぼそりと呟いたベアトリスにイリヤが見る中でベアトリスは悔しそうに口を開く。

 

ベアトリス「この世界よりヤバイ世界を英霊たちと共に潜り抜けたのは今ので分かった。ジュリアン様をどうしてああ言ったのかも納得した」

 

実力的な意味ではジュリアンが上だろうが慕われていると言うのでは刹那が圧倒的。

 

もしもジュリアンであった場合、同じことを出来るかというのをベアトリスは出来るとは言えなかった。

 

イリヤ「ベアトリス……」

 

ベアトリス「なあエクシア……」

 

刹那「ん?なに?」

 

そんなベアトリスは刹那へと声をかける。

 

ベアトリス「本当に……テメェ、ジュリアン様を助けられるのか?」

 

その言葉に刹那は真剣な顔でベアトリスの目を見る。

 

刹那「ああ、必ず助けてみせるよ」

 

ベアトリス「そうか……じゃあ頼むぜェ」

 

約束する刹那にベアトリスはそう言って座り込む。

 

自分では助けられないと言う彼女の心境にイリヤはグッと手を握り締める。

 

士郎「……なあ」

 

エミヤ「ん?なんだね?」

 

そんなメンバーを見ていた士郎が、田中もそうだがイリヤ達4人に聞こえない小声でエミヤに話しかける。

 

士郎「この戦いって全部、歴史を元に戻す戦いなんだよな?」

 

エミヤ「ああ、そうだ。幾つかは違うのがあるがだいたいはそれで合っている」

 

確認するように聞く士郎にエミヤは肯定する。

 

士郎「それじゃあこの戦いって……誰にも知られない戦いって事じゃないのか?」

 

エミヤ「……そこに気づいたか」

 

その問いにエミヤはふうと息を吐く。

 

エミヤ「ソロモンにより歪められた歴史を聖杯を回収する事で修復される。だが修復される事でマスターがマシュや我々と共に冒険した事は歴史に残らないので記録されない」

 

士郎「っ!……それを彼女は……」

 

告げられた事に士郎は顔を歪めるが落ち着けとエミヤは宥める。

 

エミヤ「無論、知られないのを承知でマスターは人理修復を続けているのだ。それが皆を救う唯一の道だとマスターは思っているからな。たとえそれが誰にも知らされずともな……」

 

士郎「…………」

 

最期は悲しそうに言うエミヤに士郎は顔を伏せる。

 

エミヤ「何、心配するな。確かに歴史には残らないだろうが人の記憶や我々に残っていく」

 

士郎「我々って……」

 

アレキサンダー「もちろん、マスターと契約しているサーヴァント全員だよ」

 

ロビンフッド「世界を救った救世主が歴史に残らないなんて、認めるわけねぇだろ?それに俺たちはマスターのお陰で今この幸せな時間を居られるんだ。そんな最高のマスターの記録が残されないなんて嫌だろ?」

 

ヘラクレス「■■■■!!」

 

エミヤの言葉に顔を上げる士郎へアレキサンダーを筆頭にそう言い、ガウェインやダ・ヴィンチも頷く。

 

士郎「(歴史に名を残らないマスターを己の記憶に刻もうとするサーヴァント……そして誰にも褒められないけど歴史を戻す為に頑張るマスター……ジュリアン、お前はもっとも敵に回してはいけない奴らを敵に回したようだな)」

 

ダ・ヴィンチ「それに人理を完全に修復した時に協会に報告したら、歴史に名が残るかもしれないしね」

 

そんな刹那やエミヤ達を見ながら士郎は内心そう言い確信する。

 

ジュリアンは友達思いの魔法少女だけじゃない、英霊とその英霊と真の意味で共に戦い、支える少女を相手にしているからだ。

 

「会話は終わったか?雑種共」

 

全員「!?」

 

突如聞こえてきた声に誰もが入口を見る。

 

エミヤ「この声は……まさか!?」

 

ウィーン

 

聞き覚えのある声にエミヤも驚いていると扉は開き…カードがあった。

 

カード「そうだ。我だ。最古の英雄王……ギルガメッシュだ!」

 

………………

 

全員「えぇぇぇぇええええええええええ!?」

 

まさかのカードからの声に誰もが叫ぶ。

 

刹那達のこれまでを知ったイリヤ達を前に、カードの姿のまま現れたギルガメッシュ。

 

なぜ彼はカードのままなのか…



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第十六幕~対決、英雄王!~

突如喋り出したカードの英雄王、そんな彼にイリヤは美遊と共に別世界で手に入れた力を身に纏う。


エミヤ「貴様……本当に英雄王なのか?」

 

ギルガメッシュ(カード)「そうだろうと何度も言っているだろうが!」

 

警戒しながら問うエミヤにカードのギルガメッシュは光を激しく点滅させて怒鳴る。

 

刹那「えっと……なんでカードのまま喋れるの?というかそれ、アンジェリカが持っていたサーヴァントカードだよね?」

 

ギルガメッシュ(カード)「ふん!この我を誰だと思っている!我ならこの姿のまま喋る事ができるのだ!」

 

子ギル「よく言いますよ。カルデアに来るまでは喋れなかったくせに」

 

質問する刹那に対して威張る様に光るカードのギルガメッシュに対して入って来た子ギルが呆れてそう言う。

 

イリヤ「あ、ギル君」

 

子ギル「どうやらこのカルデアの中でなら大人の僕はカードの状態でも喋ることができるみたいなんですよね」

 

ギルガメッシュ(カード)「ええい、言うな馬鹿者!我とてこの姿ではなく、ちゃんとした姿で登場したかったのだが……」

 

刹那「だが……どうしたの?」

 

は~やれやれと肩を竦める子ギルのに怒鳴った後にギルガメッシュは言葉を切ってふうと息を吐くのに刹那は気になって聞く。

 

ギルガメッシュ(カード)「狗や贋作者や騎士王等が召喚陣を弄っていて我が出てこれなくなっているのだ!」

 

刹那「おい待て、何やってんだ該当者たち!!」

 

ロビンフッド「そんだけ出したくないって事でしょ」

 

出て来た言葉に刹那はまさかこっちも召喚できないのはそれのせい!?と叫ぶ刹那にロビンフッドは呆れた様子で言う。

 

ギルガメッシュ(カード)「だから我は考えた。どうすれば肉体を手に入れれるかを……それで思いついたのだ。我が本気を出せば人の身体を乗っ取れるのを!」

 

士郎「! 前にカードを試しに使った美遊の様子がおかしくなったのはお前のせいか!」

 

出て来た言葉に士郎は顔を強張らせて構える。

 

ロビンフッド「いや、そんなことしたらオタク、完全にセイバー達から完全に好意を貰えねえと思いますぜ」

 

ギルガメッシュ(カード)「そんなの肉体を手に入れてから考えればいい!って訳で貴様の身体を貰うぞ、イリヤス……」

 

イリヤ「斬撃(シュナイディン)!」

 

ズドォオオン!

 

さらに呆れて言うロビンフッドのを蹴っ飛ばしてイリヤを狙おうとするがいつの間にかいたルビーにより魔法少女になったイリヤの斬撃を浴びる。

 

ギルガメッシュ(カード)「グアアアッ?!」

 

そのままギルガメッシュ(カード)は壁にビターンと張り付けられる。

 

ルビー「いやー、なんですかこのカード?」

 

エミヤ「ただのアルトリア好きのバカ王だな」

 

聞くルビーにエミヤは心底呆れた様子で答える。

 

刹那「い、イリヤちゃん?」

 

イリヤ「ご、ごめんなさい刹那お姉さん……でも私、あの声聞いているとなんかイライラするの……」

 

まさかいきなり攻撃すると言うのに驚く刹那にイリヤはそう言う。

 

刹那「イライラするって……」

 

イリヤ「こうなんか……別の世界で大切な人殺された上に自分も殺されたって感じがしてつい……」

 

出て来た言葉にエミヤはそれは仕方ないなと頷き、ヘラクレスもうんうんと頷く。

 

ギルガメッシュ(カード)「お、おのれ……」

 

子ギル「流石の大人の僕でもその姿じゃ戦うことできませんね」

 

よれよれ~と浮かぶギルガメッシュに子ギルは呆れた後に刹那を見る。

 

子ギル「どうする刹那さん?このままほって置いたら誰かの体を奪おうとして動き回るよ」

 

刹那「ん~でも封印するのはなんかもったいないし……」

 

ホントどうしようかと刹那はうーんと唸ると子ギルがピーンと何かを思いつく。

 

子ギル「じゃあさこういうのはどうかな?」

 

刹那「ん?」

 

そう言って子ギルから提案された事に刹那や他のメンバーは驚く。

 

次の日

 

凛「はあああ?!英雄王とイリヤが戦うですって?!」

 

朝食を食べてから告げられた事に凛は叫ぶ。

 

あの場にいなかったサーヴァント達もざわめく。

 

刹那「そうなんだ。もしギルガメッシュが負けたら身体を奪うのをやめるって条件で」

 

エミヤ「ちなみに約束を破れば隔離すると言ったから聞くだろう」

 

そう言う刹那とエミヤに青アルトリアは手を上げる。

 

青アルトリア「あのギルガメッシュはどうやって戦闘をするのですか?話を聞いたところ戦えない状態なのでは?」

 

刹那「あ~それなんだけどね……」

 

質問に刹那は目を泳がすのに誰もが首を傾げる。

 

エミヤ「どうやら仮想戦闘ので出てくる自分に乗り移って戦うそうだ……」

 

青アルトリア「……は?」

 

代わりに答えたエミヤのに青アルトリアは思わず唖然とする中でいたギルガメッシュはどうだ?とカードの状態で胸を張る様に光る。

 

ステイニキ「おいおい、何でもありかよ英雄王」

 

ロビンフッド「ホント、よぉやれるよと言いたくなるよな」

 

呆れ交じりに感嘆するステイニキにロビンフッドも心底同意する。

 

凛「それで肝心のイリヤは?」

 

刹那「イリヤちゃんなら今、準備中」

 

準備ね…と凛は仮初の体を持つとはいえ英雄王にイリヤはどう立ち向かうのか心配する。

 

 

 

 

イリヤの部屋

 

美遊「イリヤ、本当にあの英雄王と戦うの?」

 

心配する美遊にイリヤは大丈夫だよと言いながらある物を探す。

 

とある時に召喚され、その時に手に入れた物を…

 

イリヤ「えっと、確かこの辺に……」

 

美遊「(イリヤ……)」

 

がさごそ探すイリヤの背を見ながら美遊は胸部分をぎゅっと掴む。

 

刹那達と出会った時もそうだがイリヤは自分の為に戦ってくれている。

 

自分はそれで良いのか?と考え、否と美遊は否定する。

 

美遊「……ねぇ、イリヤ」

 

イリヤ「ん?何?」

 

美遊「もしよかったら……私も一緒に戦っていい?」

 

告げられた言葉にイリヤは驚く中で美遊は続ける。

 

美遊「刹那さんと初めて会ったあの時、私はただ見ているだけで出来なかった。だから今度は私もイリヤと一緒に戦わせて欲しい。一緒に戦わせて…」

 

イリヤ「美遊……」

 

思いを込めてお願いする美遊にイリヤは笑って美遊の手を掴む。

 

イリヤ「うん、分かった。一緒に戦おう美遊」

 

美遊「うん」

 

ルビー「あ、ありましたよ!イリヤさん。あの2人のカードが」

 

そんな2人へと代わりに探し物をしていたルビーがそう言う。

 

イリヤ「うん、これこれ!」

 

美遊「イリヤ、このカードは?」

 

ルビーの指した所にあったカードを手に持つイリヤに美遊は絵柄とかを見て聞く。

 

イリヤ「うん、このカードはね……」

 

そう言ってイリヤは美遊に説明する。

カルデアに来てから少しして自分があるマンションに迷いこんだ話を。

 

そこで出会った様々なサーヴァントやそのマスター達や色んな人達の事を…

 

ちなみに帰って来れたのはその人達の知り合いの刹那が偽名に使っていた機動兵器に乗るパイロット同じ声の光りの巨人によってひっそりと帰って来た。

 

美遊「イリヤが数日間居なかったのはそれに巻き込まれていたからだったんだ……」

 

まあねと美遊に同意しながらイリヤはカードを見る。

 

カードはイリヤに力を貸すのを認める様にうっすらと輝く。

 

青アルトリア「イリヤスフィール」

 

イリヤ「あ、青アルトリアさん」

 

そこに青アルトリアが来て、イリヤの持つ2枚のカードを見る。

 

青アルトリア「?イリヤスフィール、そのカードはなんですか?」

 

イリヤ「あ、これは……」

 

それを見て聞く青アルトリアにイリヤは美遊へと話した事を青アルトリアにも話す。

 

青アルトリア「そんなことがあったんですか……あの時はホント大変でしたね」

 

イリヤ「え?なんかあったんですか?」

 

そう言う青アルトリアのにイリヤは気になって聞く。

 

青アルトリア「………イリヤスフィールが行方不明になって、アイリスフィールとアサシンが少々暴走しましてね……」

 

美遊「うん、あの時はもう本当に……」

 

イリヤ「何があったの一体!?」

 

思い出して遠い目をする青アルトリアと美遊にイリヤは叫ぶ。

 

イリヤ「でもママは分かるけどアサシンさんは誰が?」

 

美遊「そう言えば……」

 

青アルトリア「あーそれはその……」

 

イリヤ・美遊「「?」」

 

その後にアサシンの方に首を傾げるイリヤに美遊もそう言えば…と首を傾げる中で歯切れの悪い青アルトリアのに2人は首を傾げる。

 

そりゃあ歯切れが悪くなるのは仕方がない。

 

話に出ているアサシンことアサシンエミヤはイリヤの父親でもあり平行世界でも士郎と美遊(道具として使おうとしたが)の育て主でもある衛宮切嗣が英霊となった存在であるから結構複雑なのである。

 

青アルトリア「えっとその……ほ、本人に…聞いてください」

 

どう言えば良いか分からないので青アルトリアは逃げの方向に放り投げ、美遊とイリヤはそうしようかと頷く。

 

なお、アサシンエミヤはこの後から聞きに来る2人からばれない様にする日々になるのであった。

 

青アルトリア「それでそのカードですが……おそらくあの英雄王を相手には最高のカードだと思いますよ」

 

イリヤ「え?そうなんですか?」

 

そして話題をカードのに戻して言う青アルトリアにイリヤは首を傾げる。

 

はいと青アルトリアは見た時からそう言える程の確信があった。

 

青アルトリア「イリヤスフィール、美遊。そのカードであの英雄王を消し飛ばしてあげなさい」

 

イリヤ「け、消し飛ばすって……」

 

その後に肩を掴んで言う青アルトリアにイリヤは少し引いてしまう。

 

美遊「そんなに嫌いなんですか?あの英雄王ギルガメッシュ」

 

青アルトリア「ええ、奴は私が本当にぶっ飛ばしたいですからね…」

 

ルビー「うーん、この怒りは凄いですね」

 

拳を握り締めて心底心を込めて言う青アルトリアはあらま…とルビーは呟く。

 

青アルトリア「あの英雄王には本当に困っていまして……毎回毎回私に妻になれと迫ってくるんですよ」

 

そ、そうなんだ…と美遊とイリヤは冷や汗を掻く。

 

だから槍オルタリアとかサンタオルタなども嫌そうにしててリリィを守っていたんだなと思い出す。

 

青アルトリア「その英雄王が肉体を得るというのは私達にとって最悪な事態なのです!」

 

イリヤ「さ、最悪な事態って……そこまで言うの?」

 

必死な顔で言う青アルトリアのにイリヤは思わず聞く。

 

青アルトリア「そこまで言うんです!だからこそイリヤスフィール!美遊!必ずあの英雄王に勝ってきてください!私のカードもバンバン使って良いので!」

 

めっちゃ必死でお願いする青アルトリアにそこまでなんだな…とイリヤと美遊は冷や汗を掻く。

 

仮想戦闘ルーム

 

準備が出来たので仮想戦闘ルームに入ったイリヤと美遊を子ギルとカードのギルガメッシュが出迎える。

 

ギルガメッシュ(カード)「ほう、この我に二人で相手をするのか」

 

イリヤ「は、はい!」

 

美遊を見てからそう問うギルガメッシュ(カード)にイリヤは緊張しながらも頷く。

 

子ギル「別に構いませんよね?大人の僕」

 

ギルガメッシュ(カード)「無論だ。一人増えた程度で我の勝利は揺るがぬ!」

 

そう聞く子ギルにギルガメッシュは自身満々に言う。

 

ギルガメッシュ(カード)「では始めるぞ。言っておくがもし危険ならすぐに止めろ。我とて子供の命を奪いたくはないからな」

 

イリヤ「そうなんですか?」

 

子ギル「大人の僕、もう見えて子供好きなんですよね」

 

そう言ったギルガメッシュのに効くイリヤに子ギルは苦笑して言った後にロマンの声が聞こえてくる。

 

ロマン『分かった。それじゃあトレーニングのギルガメッシュを出現させるね』

 

ヴィィィィン

 

ロマンがそう言い機械を操作すると仮想戦闘用のギルガメッシュが現れる。

 

ギルガメッシュ(カード)「フッ」

 

それにギルガメッシュ(カード)は取りつくとそのまま一体化する。

 

ギルガメシュ「ふむ、これぐらいなら戦えるな。では早速始めると……」

 

騎士王イリヤ「約束された勝利の剣(エクスカリバー)!!」

 

ズドォォオオオオオオオオオオオッ!!

 

調子を確かめて言おうとしたギルガメッシュへといつの間にか青アルトリアのサーヴァントカードを夢幻召喚(インストール)したイリヤが宝具をぶっ放す。

 

ギルガメッシュ「ぬおっ!?」

 

それにギルガメッシュは声を上げながらなんとか避ける。

 

ギルガメッシュ「なんだいきなり宝具ぶっぱとは!?しかも我はまだ言い切ってないぞ!!」

 

まさか開始と言うのも言わせずいきなり宝具をぶっぱされたのにギルガメッシュは叫ぶ。

 

騎士王イリヤ「いや、青アルトリアさんが開幕宝具発動した方が良いって言っていたので」

 

ギルガメッシュ「騎士王!?」

 

そこまで嫌か!と叫ぶギルガメッシュにそりゃいやでしょと冬木聖杯戦争第四次&第五次組はうんうんと頷く。

 

メドゥーサ美遊「ふっ!」

 

ジャララララララララララ!

 

ギルガメッシュ「ぬっ!?」

 

ガキィン!

 

そんなギルガメッシュへとメドゥーサをインストールした美遊が鎖付き短剣を投げつけるがギルガメッシュはすぐさま剣を弾く。

 

ギルガメッシュ「ええい!我を舐めるな雑種ども!!」

 

ヴィィィン、ズバババババババババババババババババババッ!!

 

騎士王イリヤ・メドゥーサ美遊「「!」」

 

それに対してゲートオブバビロンを発動してイリヤ達へと攻撃を仕掛けるギルガメッシュに騎士王イリヤとメドゥーサ美遊は避けたり、防げるのは防いでいく。

 

色々と言われてるがそこは英雄王、その実力は高い。

 

騎士王イリヤ「美遊!」

 

メドゥーサ美遊「うん!」

 

距離を取った騎士王イリヤのにメドゥーサ美遊は頷いた後にメガネを外そうとする。

 

ギルガメッシュ「!させぬぞ雑種!」

 

ヴィィィン、ズババババババッ!

 

そんなメドゥーサ美遊の行動を妨害する為ギルガメッシュは武器を放ち、2人は避ける。

 

騎士王イリヤ「やっぱり青アルトリアさんが言ってた通り、メドゥーサさんの魔眼を警戒してる!」

 

そんなギルガメッシュの行動に騎士王イリヤは戦う前に青アルトリアからのアドバイスに思い出しながら避けたり防いだりする。

 

ギルガメッシュは対魔力に関してランクがEで魔術などは防具でなんとかできるがメドゥーサの石化の魔眼などのを苦手としているのだ。

 

ギルガメッシュ「ええい!ちょこまかと避けおって!」

 

メドゥーサ美遊「ハァ!」

 

ヴィィィン、ジャラララララララララララララ!

 

魔法陣を展開し、大量の鎖付き短剣をギルガメッシュにへと放つ。

 

ヴィィィン、ガガガガガガガガガガッ!

 

しかしそれをギルガメッシュは召喚した複数の盾で防ぐ。

 

ギルガメッシュ「ふっ、この程度の攻撃で我を傷つけられると……」

 

騎士王イリヤ「約束された勝利の剣(エクスカリバー)!!」

 

ズドォオオオオオオオオオオオオオオ!!

 

ギルガメッシュ「何!?」

 

敵に笑おうとし放たれるのにギルガメッシュは目を見開いた後に飲み込まれる。

 

それを2人は警戒しながら見る。

 

ギルガメッシュ「グッ……まさか反対方向から約束された勝利の剣(エクスカリバー)を放つとは……」

 

煙が収まると苛立ったギルガメッシュが現れる。

 

ギルガメッシュ「いいだろう……そこまでするというのなら我を少々本気を見せようではないか!」

 

ヴィィィン

 

騎士王イリヤ・メドゥーサ美遊「「!!」」

 

ズババババババババババババッ!!

 

その言葉と共に先ほどより武器が多く射出され、それに2人は回避に徹した方が良いと走る。

 

ズガガガガガガガガガガガガッ!!

 

騎士王イリヤ「うわわわっ?!」

 

ヴィィン、ズババババババババババババババッ!!

 

メドゥーサ美遊「っ!」

 

慌てて走るが走る先にも剣が刺さり、逃げ場が無くなる。

 

ギルガメッシュ「フハハハハ!どうだ!貴様らに逃げ場などない!」

 

それにギルガメッシュは笑った後に武器を出現させて狙いを定める。

 

ルビー「これはイリヤさん、ちょっとマズいですよ!?」

 

騎士王イリヤ「ん~そうだね……」

 

メドゥーサ美遊「どうするのイリヤ?」

 

逃げ道を防がれてそう言うルビーに騎士王イリヤは唸り、メドゥーサが問う。

 

騎士王イリヤ「しょうがない、ちょっと早いけどアレを使おう美遊」

 

メドゥーサ美遊「うん、分かった」

 

そう言う騎士王イリヤにメドゥーサ美遊が頷いた所でギルガメッシュは叫ぶ。

 

ギルガメッシュ「ええい、何を話している雑種ども!」

 

その後にイリヤと美遊へとギルガメッシュは武器を飛ばす。

 

イリヤと美遊は慌てず騒がずにあるサーヴァントカードを取り出す。

 

イリヤ・美遊「「夢幻召喚(インストール)!!」」

 

その言葉と共に2人は光に包まれる。

 

ギルガメッシュは光に手で顔を守り、収まった後に手を退けて…目を見開く。

いやそれは刹那達も同じであった。

 

まず、イリヤは先ほどの服が赤く染まり、美遊はエミヤの纏う外装の赤い所を青くしたのを纏った姿へとなっていた。

 

ギルガメッシュ「な、なんだその姿は……」

 

イリヤ・美遊「「トレース・オン!」」

 

見覚えもないその姿に驚くギルガメッシュを前にイリヤはロンゴミニアド、美遊はエクスカリバーを投影して飛び出す。

 

ギィン!

 

まさかの現象に驚いていたギルガメッシュは剣を取り出して防ぐ。

 

ギルガメッシュ「クッ……ハアッ!」

 

ガキィン!

 

弾き飛ばした後にギルガメッシュは目を鋭くさせて2人を見る。

 

ギルガメッシュ「今のは贋作者の宝具……だかしかし何故それを二人とも使えるのだ。その姿、まるで……」

 

イリヤ「この力は別の世界のお兄ちゃんと同じ人生を歩んだアルトリアさんとアルトリアさんと同じ人生を歩んだお兄ちゃんのです」

 

そう問うギルガメッシュにイリヤはそう返す。

 

鑑賞ルーム

 

刹那「えっと……つまりアルトリアに転生したそのお兄ちゃんとそのお兄ちゃんに転生したアルトリアってこと?」

 

エミヤ「うむ、そのようだな。イリヤの方はセイバーエミヤ、美遊の方はアーチャーアルトリアって言ったところか」

 

イリヤのに整理する刹那にエミヤもそう言うと青アルトリアはくすりと笑う。

 

エミヤ「なんだね?」

 

青アルトリア「いえ、私はイリヤから手に入れた経緯を聞いたんですが、その時に平行世界の私たちと出会い、彼らを平行世界のエミヤ…アーチャーがそう呼んでいたとの事です」

 

なぜ笑うのかに問うエミヤに青アルトリアはそう答える。

 

エミヤ「……並行世界でも私は私か……」

 

困った感じにエミヤは呟いた後にイリヤ達を見る。

 

仮想戦闘ルーム

 

ギルガメッシュ「ほぅ面白い……騎士王の人生を歩んだ贋作者と贋作者の人生を歩んだ騎士王か……ならその力、我に見せてみよ!!」

 

イリヤ「ええ!見せてあげます!」

 

そう言ってイリヤはあの時見て聞いた演唱を唱える。

 

イリヤ「体は剣で出来ている

 

血潮は鉄で心は硝子

 

幾たびの戦場を越えて不敗

 

その手に剣を

 

その手に弓を

 

傍らに愛しい人を

 

遠き理想郷を憧れた

 

わが生涯は愛しき人と共に

 

この体に全ては遠き理想郷(アヴァロン)を」

 

唱え終わると共にトレーニングルームの風景が変わる。

 

その光景にエミヤ達は驚く。

 

エミヤが作る光景は無数の剣が突き刺さっている果て無き荒野なのだが、今見える光景は違う。

 

無数の剣が刺さってはいるが荒野ではなく緑広がる平原で頭上は澄み渡る蒼空…

 

ギルガメッシュ「ほぉ……贋作者のとは違い中々美しい風景ではないか」

 

それにはギルガメッシュは思わず感嘆する。

 

刹那達も同じでその光景には誰もが目を奪われる。

 

SEイリヤ「さあ、行くよ。英雄王ギルガメッシュ」

 

AA美遊「武器の貯蔵は充分ありますか?」

 

ギルガメッシュ「ククク……良いだろう!来い!贋作者の騎士王たちよ!!」

 

ヴィィィン、ズババババババババババババババッ!!

 

2人の言葉にギルガメッシュは嬉しそうにそう言ってゲートオブバビロンから武器を展開して射出する。

 

SEイリヤ「美遊、援護お願い!」

 

AA美遊「うん、分かった」

 

そう言うとAEイリヤは右手に黒いエクスカリバーを出すと共に駆け出し、AA美遊はそのイリヤを援護するように投影した水鉄砲で放たれた武器を次々と撃ち落としていく。

 

AEイリヤに至っては何かに防がれて攻撃が届かないのにギルガメッシュはちぃと舌打ちしながらAEイリヤと剣をぶつけ合わせる。

 

その光景に誰もがおおとなる。

 

刹那「凄い!二人ともギルガメッシュと対等に戦っている!」

 

クロ「イリヤの奴、やるじゃない。これは元祖投影魔術使いとして負けていられないわね美遊の方のお兄ちゃん!」

 

士郎「ああ、そうだな」

 

目を輝かせる刹那の隣でそう言うクロに士郎も頷いてじっくり見る。

 

エミヤ「しかし神造兵装をあのレベルまで投影できるとは。聖杯による力なのかそれとも使っている英霊によるものか……どちらにしても凄いな」

 

刹那「あーそう言えばそうだね」

 

メドゥーサ「それだけ2人が使う2人は鍛えたのでしょうね…お互いにお互いを支える為に」

 

称賛するエミヤに刹那は前にエミヤが言っていた事を思い出して同意し、メドゥーサがそう言う。

 

ガキン!ガキィン!

 

ギルガメッシュ「クッ……」

 

先ほどまでと違う自分を翻弄する剣術にギルガメッシュは呻いた後に距離を取って武器を射出しようとし…

 

バシュバシュバシュッ!!

 

ギルガメッシュ「!」

 

美遊の援護射撃により妨害されて、ギルガメッシュは防ぎながら苛立つ。

 

SEイリヤ「ハァっ!」

 

ギルガメッシュ「クッ!」

 

ガキィィン!!

 

攻めるイリヤにギルガメッシュは剣を振るいながらこれ程とは…と想像以上の力に顔を顰める。

 

一気に決めた方が良いとギルガメッシュは距離を取る。

 

ギルガメッシュ「出でよエア!」

 

ヴィィィン

 

SEイリヤ「! あれは!」

 

取り出されたのにSEイリヤとAA美遊は身構える。

 

乖離剣エア、それこそギルガメッシュの最大の切り札にして必殺技を放つための宝具。

 

本気の一撃が来ると察してイリヤは美遊を見て美遊は頷く。

 

ギュイイイイイイイイイイン!

 

ギルガメッシュ「かつて天と地を割ったこの一撃、どう対処する贋作者の騎士たちよ!」

 

そう問うギルガメッシュにイリヤと美遊は答えを行動で示す。

 

その行動に誰もが目を奪われる。

 

2人がしたのはエクスカリバーを手に取ったのだ。

 

ギルガメッシュ「ほう、二人同時にエクスカリバーを放つつもりか。だがそれではエアに対抗することなど……」

 

2人が握りしエクスカリバーを見てそう言うギルガメッシュだが…次の瞬間、目を見開く。

 

ヴィン、ヴィン、ヴィン

 

なんと彼女達の周囲にエクスカリバーがドンドン現れるのだ。

 

ギルガメッシュ「何っ?」

 

ヴィン、ヴィン、ヴィン、ヴィン

 

終る事無く、エクスカリバーはどんどん増え続ける。

 

ギルガメッシュ「エクスカリバーが……どんどん増えていくだと……!?」

 

その光景にはギルガメッシュもそうだが刹那達も驚愕していた。

 

刹那「な、何あの数のエクスカリバーは!?」

 

青アルトリア「あの数程をエクスカリバーを作り出すとは……」

 

その本数に刹那と青アルトリアやメンバーが驚く中でギルガメッシュははっとなる。

 

ギルガメッシュ「っ!天地乖離す開闢の星(エヌマ・エニシュ)!!」

 

ズドォォォォォオオオオオオオオオオッ!!!

 

そのまま必殺技を放ち、向かって来る天地乖離す開闢の星(エヌマ・エニシュ)の一撃にイリヤと美遊は怯まずにエクスカリバーを輝かせ、

 

SEイリヤ・AA美遊「「約束された勝利の星降る夜(エクスカリバー・ストリーム)!!」」

 

ズドォォォォォオオオオオオオオオオッ!!!

 

自分達の持つエクスカリバーと投影した沢山のエクスカリバーから光を放出する。

 

その光はさながら流れ星か流星群の様にギルガメッシュへと向かっていく。

 

ガガガガガガがガガガガガガガガガガガッ!

 

ギルガメッシュが放った天地乖離す開闢の星(エヌマ・エニシュ)とイリヤ達が放った約束された勝利の星降る夜(エクスカリバー・ストリーム)はぶつかり合うと強烈な光を迸る。

 

その光に誰もが目を覆う。

 

SEイリヤ・AA美遊「「はぁあああああああああああっ!」」

 

ズドォォォォォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオッ!!!

 

2人はさらに力を籠めると約束された勝利の星降る夜(エクスカリバー・ストリーム)の光は天地乖離す開闢の星(エヌマ・エニシュ)を押していく。

 

ギルガメッシュ「グッ……お、おのれぇえええええええええええ!」

 

ズドォォォォォオオオオオオオオオオオオオオオオオン!!!

 

そのまま約束された勝利の星降る夜(エクスカリバー・ストリーム)の光は天地乖離す開闢の星(エヌマ・エニシュ)ごとギルガメッシュを飲み込んで、光の放流を天へと放つ。

 

マシュ「…………」

 

凛「…………」

 

刹那「か……勝った……」

 

誰もが茫然としてる中で刹那が呟いた後に爆風が晴れるとカードに戻ったギルガメッシュの姿が見えだし、誰もがイリヤと美遊が勝利したのを確信する。

 

イリヤ「はぁ……はぁ……」

 

美遊「はぁ……はぁ……」

 

最大限に力を使ったので肩を上下させるイリヤと美遊は顔を見合わせた後に顔を綻ばせる。

 

イリヤ「勝ったね……美遊」

 

美遊「うん、そうだね」

 

その後にやったあ!と抱き合い、喜び合う。

 

それを微笑ましそうに見ながら子ギルはカードのギルガメッシュを拾い上げる。

 

子ギル「やれやれ、負けちゃいましたね」

 

ギルガメッシュ(カード)「ふん……」

 

声をかける子ギルにギルガメッシュ(カード)はそっぽ向く様に言う中で子ギルは言う。

 

子ギル「それにしても肉体を欲していた割には手加減をしてあげたんですね。天の鎖も使わなかったみたいですし」

 

ギルガメッシュ(カード)「我が本当に雑種の身体を使おうと思ったか?」

 

そう言う事にしときますよとギルガメッシュ(カード)のにそう答えてイリヤと美遊を見る。

 

これで終わりになれば良かったがそうも行かないのであった。

 

 

 

 

召喚ルーム

 

ギルガメッシュ(カード)「ほら、とっとと召喚せぬか」

 

刹那「え~と、ホントにしなきゃダメ?」

 

急かす様に言うギルガメッシュ(カード)に刹那はめんどくさそうに聞く。

 

なぜここにいるかと言うとギルガメッシュ(カード)が我の肉体を召喚しろと言ってきたからである。

 

もしやらないのなら子ギルにくっついてでもと言うのでしょうがなく1回やる事にしたのだ。

 

ギュィィィイイイイイイイイン!!

 

刹那「あれ金色!?」

 

すると召喚器が金色に輝き、おお!これは来たか!とギルガメッシュは喜ぶが…現れたカードの絵柄にん?となり、他のメンツはジャンヌを思わず見る。

 

刹那「あれ?二枚目のジャンヌ?」

 

かぶったか…と思ったら違った。

 

???「サーヴァント、ルーラー、天草四郎時貞。誰かに似ています? 他人の空似というやつですよ」

 

ジャンヌ「あ、天草四郎!?」

 

アストルフォ「あちゃー、これはヤバいの引いちゃったねマスター;」

 

そう言って挨拶する天草にジャンヌは驚き、面識のあるアストルフォとGO子ギルはあちゃーとなる。

 

マジかーと刹那もあちゃーとなる中でギルガメッシュが突っかかる。

 

ギルガメッシュ(カード)「ええい、貴様!何ルーラーなぞ引き当てているんだ!」

 

刹那「うう……」

 

イリヤ「せ、刹那お姉さん……あ、そうだ!アンジェリカさーん!」

 

クロ「は?イリヤ、一体誰を呼んで……」

 

ぷんすか怒るギルガメッシュに刹那はそう言われても…となってるのにイリヤはあたふたした後に叫んだ事にクロは疑問を抱くと…

 

アンジェリカ「お呼びでしょうかイリヤスフィール様」

 

クロ「ホントに召喚()たーッ!?」

 

空間置換をしてアンジェリカが現れたのに驚いて叫ぶ。

 

イリヤ「これ使って、すぐに夢幻召喚(インストール)して!」

 

ギルガメッシュ(カード)「!? や、やめろ雑種!やめろ!」」

 

アンジェリカ「かしこまりました」

 

スパッ!とギルガメッシュ(カード)を掴んでそうお願いするイリヤにギルガメッシュ(カード)は叫ぶがアンジェリカはギルガメッシュ(カード)掴み、夢幻召喚(インストール)する。

 

刹那「あ、あれ?」

 

青アルトリア「喋らなくなりましたね。ギルガメッシュ」

 

ルビー「もしかしてアンジェリカさんが使っている間は喋れないんじゃないし、彼女の身体を奪えないんじゃでしょうか?」

 

聞こえなくなったのに首を傾げる刹那と青アルトリアにルビーは推測を言う。

 

成程…と誰もが納得する中でイリヤはありがとうアンジェリカさんとお礼を言う。

 

クロ「ちょっとイリヤ、あなたいつの間にそんな召喚獣飼いならしたのよ!?」

 

イリヤ「ふぇ?」

 

刹那「アンジェリカさん、もし良かったらこのままギルガメッシュとしてアーチャー組に」

 

エミヤ「止めろマスター;」

 

驚いて聞くクロにイリヤはハテナマークを浮かべる隣で切実に願う刹那をエミヤが宥めに入る。

 

ちなみにこの後、まさかハロウィンと同じ様にドタバタする事になるのを刹那達はこの時知らなかった。



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