魔法の世界と指輪の魔法使い(仮) (魔戒)
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訪れる指輪の魔法使い

魔法の指輪、ウィザードリング
現代を生きる魔法使いはその輝きを両手に宿し、絶望を…希望に変える。


「……ん?」

 

俺は気がつけば、森の中に立っていた。

 

「な…え?…は?」

 

おっと、あまりの出来事に少し混乱していたようだ。状況を整理しよう。

 

俺の名は紅輪龍磨。

歳は17。

こう見えても魔法使いをやっている。

数ヶ月前まではファントムという化け物達と戦っていた。

戦いが終わったとはいえファントムの残党はあちこちな散らばっている。

その為の見回りから帰って来て、ドアを開けた瞬間、そこは森だった。

何を言ってるのか分からないとは思うが俺だって何が起こったか分からない。

別に誰かの精神世界、アンダーワールドに入ったわけでもないし、ファントムの幻術にかかったわけでもない。

見覚えが全くないこの場所で途方に暮れているという訳だ。

 

「…ま、考えても仕方ない。とりあえず周りを調べてみるかな。数は3体でいいか」

 

そう言って俺が取り出したのは3つの指輪。

そのうちのひとつを右手の中指にはめ、腰にある手の形をしたバックルにかざす。

 

[ガルーダ!!…プリーズ]

 

突如として声が響き、目の前に魔法陣が現れる。

魔法陣から何かのパーツが浮かび上がり、鳥の形に組み上げられる。

これは俺のもつ使い魔のプラモンスターの一体、レッドガルーダだ。

同じ要領で他の二つもバックルにかざす。

 

[ユニコーン!!…プリーズ][クラーケン!!…プリーズ]

 

レッドガルーダの時と同様に魔法陣が現れ、二体の新たなプラモンスターが姿を表す。

角の生えた馬「ユニコーン」のプラモンスター、ブルーユニコーンと、海の魔物と恐れられた伝説上の蛸「クラーケン」のプラモンスター、イエロークラーケンだ。

 

「辺りを調べて来てくれ」

 

そう言うと、プラモンスター達はわかったと言う様に首や体を上下させて、森の中に消えて行った。

 

「さて、気長に待つとしますか」

 

辺りはかなり暗くなっている。

夜更けであることは間違いないだろう。

土地勘もないこの場所で下手に動くのは危険だ。

どういうわけなのか、自分の近くに自分のバイク「マシンウィンガー」が転がっていたが、森の中で走らせるほど馬鹿じゃない。

大人しくプラモンスター達を待つことにしたのだ。

 

 

 

 

数分もしない内にプラモンスターが帰ってきたレッドガルーダだ。

 

「何か見つかったか?」

 

レッドガルーダに問いかけたが何やら妙に慌てている。

プラモンスターは言葉を喋れる訳ではないが、その小さい体で何かを伝えようとしている。

俺は長年一緒にいるので何かよからぬ事が起こっているのかはすぐに理解した。

プラモンスターは余程の事が無い限り慌てたりしないのだ。

 

「案内を頼む」

 

それだけで分かってくれたと思ったようだ。

レッドガルーダはすぐに飛び立った。

レッドガルーダを見失わないように俺は懸命に走る。

さて、鬼がでるかファントムが出るか…



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指輪の魔法使い、戦いの舞台へ

長い年月を生きる吸血鬼は希望を与える指輪の魔法使いと出会う。
その輝きは彼女の凍りついた心を動かす事が出来るか…


「クッ!!」

 

今、私は窮地陥っている。

ここ麻帆良学園は関東魔法協会の本部だ。

学園を隠れ蓑にして、関東の魔法使い達を統率する場所がここだ。

だが、組織という事は当然敵も多い。

私や学園長をよく思わない魔法使い達や魔法使い達を憎む関西呪術協会の過激派といった者達だ。

夜になればこいつらが鬼や悪魔といった者共を引き連れて攻めてくる。

それをここの魔法使い達が退けるのだ。

私も夜の警備に当たっていたのだが、思いの外敵が多く、魔法を使う為の媒体である魔法薬を切らしてしまったのだ。

何時もならこんなヘマなどしないのに…!!

今、私はナギの馬鹿が掛けた「登校地獄」という呪いのせいで全盛期の力を出すことは愚か、媒体が無ければ録に魔法さえ使えない始末だ。

「闇の福音」と恐れられた私が何て様だ!!

私の従者である絡操茶々丸も腕に破損が見られ満足に戦えてない。

撤退しようにも何時の間にか囲まれている。

 

ここまでか…

 

そう思った時だった。

 

「な、何や!?こいつ!?」

 

私の目の前の鬼に金属光沢のある小さな鳥が襲いかかっていた。

何だ?あの鳥は?

魔力を帯びているのをみるに誰かの使い魔か?

考えてる内に鬼や天狗とも違う人の気配を感じた。

援軍か!?と思い、振り返った。

だが、そこに居たのは私の全く知らない人間。

ここの魔法使い達から私は距離を置かれているが、それでも顔ぐらいは覚えている。

だが、少なくとも私は奴に見覚えがない。

すると、鬼を攻撃していた鳥がその男の元へと向かった。

どうやらあの鳥の主は奴らしい。

 

「ご苦労さん、ガルーダ。ついでにユニコーンとクラーケンも呼んで来てくれ」

 

ガルーダと呼ばれた鳥は、数回頷いた後、飛び立った。

あれの他にもいると言うのか?

疑問は尽きないが、今はそれどころではない。

この男が敵か味方かもわからない状況で、下手な動きは出来ない。

もし、敵だったら最悪だ。

 

「何や兄ちゃん」

 

「お前ら、こんな小さい子によってたかって…プライドとかないのか?」

 

な!?こいつ…私を子供扱いか!?

確かに、見た目は子供だが、それを口に出されるのはかなり不愉快だ。

 

「いや、わしらもこんなちいこいのとは戦いたく無いんじゃが…召喚主の命令には逆らえんのや」

 

こいつ等もか!?

 

「…それで、あんた等を倒した場合どうなるんだ?」

 

「何や兄ちゃん、わしらを倒すつもりか?安心せえ、もと居た場所に帰るだけや。でも、あんたみたいなヒョロイのには負ける気せえへんけどな」

 

ガハハと鬼が豪快に笑う。

奴が倒すと言ったのを冗談か何かとでも思ったのだろう。

だが、私は奴の実力を計りかねている。

魔力は確かに多い。

だが、強者の雰囲気というものが感じられない。

考えられるのは奴が弱者か意図的に隠しているか、自然体を維持できるかのいずれかだろう。

 

「それは、良かった。強制されてる奴を倒したら目覚めがわるいからね」

 

<ドライバーオン…プリーズ>

 

奴が右手を手の形をした奇妙なバックルに翳すと、何処からか声が響き、銀色のベルトが姿を現した。

そして、ベルトの両端にあるレバーを操作して…

 

<シャバドゥビタッチヘンシーン!!…シャバドゥビタッチヘンシーン!!…>

 

思わず気が抜けた。

何だ、あれは?

巫山戯てるようにしか聞こえない。

 

「変身…」

 

そうこうしてる内に奴は左手の指についている赤いルビーのような大きな宝石の指輪に触れたかと思うと、あのバックルに翳した。

 

<フレイム!!…プリーズ…ヒー!!ヒー!!ヒーヒーヒー!!>

 

現れでた魔法陣が奴の体を通り抜けた時、そこには宝石のような顔をした戦士が立っていた。

溢れ出る魔力は炎の様に熱く、その姿は輝きを放っていた。

 

「何や、今のは?巫山戯とるんか?」

 

あの奇声は鬼の方も気になった様だ。

確かに気にするなという方が無理だ。

 

「そうは、言っても。俺にはどうしようも出来ないんだよね。仕様だから、これ」

 

どうやら、奴にとってもあれは不本意らしい。

確かにあんなもの戦う度にあれでは、鬱陶しい事この上ない。

 

「さてと、さあ、ショータイムだ」

 

左手の指輪を見せつける様に手を翻すと、奴は鬼達に突っ込んだ!!

鬼も応戦する為に持っている棍棒を横薙ぎに払うが、奴は体に捻りを加えて飛び上がる事でそれを回避した。

その後も鬼は必死に攻撃を当てようとするが、まるで自由に宙を舞う様な華麗な動きについていけず、翻弄されている。

奴の方もただ避けるだけではなく、時折回し蹴りなどを織り交ぜて確実にダメージを与えている。

それにしても、何だあの動きは?

時折、見覚えのある武術を見せたかと思えば、どの武術にもない舞う様な華麗な動き…少なくとも私の知る体術では無いという事だ。

奴の装甲服(?)についているコートがその動きを際立たせていて、少し腹立たしい。

 

「あかん、親分!!この兄ちゃん、相当強いで!!」

 

「狼狽えるな!!囲むんや!!」

 

鬼達も奴の予想外の強さに焦り出し、奴を囲み出した。

 

<コネクト!…プリーズ>

 

それに焦りもせず、右手の指輪を変え、ベルトに手をあてがい、魔法陣からやたらでかい銀色の銃を取り出した。

指輪を変えて、ベルトで発動する…それが奴の魔法系統の様だ。

詠唱を用いないが、一々指輪を変えなければならないのは便利なのか不便なのか良く分からんな。

だが、600年生きる私でもあんな魔法は見たことが無い。

魔法の発動に必要な始動キーすら唱えて無いし、詠唱もしてない。

…かわりに腰のベルトがやたら騒がしいが。

銃の腕はかなりのものだな

現に奴の銃から吐き出される弾は寸分違わず、鬼達に命中している。

あれだけ動きながら銃弾を当てる事はかなりの技量が必要だ。

…既に一部の鬼は消えてるようだな。

 

「さて、囲まれるのも鬱陶しいし、こいつでいくか」

 

今度は姿を変える時に使った左手の指輪を交換し、ベルトに当てがった。

 

<シャバドゥビタッチヘンシーン!!…ハリケーン!!…プリーズ…フー!フー!フーフーフーフー!>

 

魔法陣が現れ飛び上がる事で通り抜けたかと思うと、体の体色が緑に変化し、顔の形も逆三角形に変わっていた。

今度は何を見せるのかと知らずの内に心が躍っていた。

 

「色が変わったところで!!」

 

色が変わった事を気にも止めない鬼達は奴を囲んでいるまま一斉に棍棒を振り上げ襲いかかった。

違う、色が変わっただけではない。

先程まで発してした熱が消えている。

そして、さっきから奴を中心に風が渦巻いている。

成る程、赤が火で緑が風か…

奴は属性を姿を変えるだけで自由自在に変えられるようだ。

普通の魔法使いならそんなのはあり得ない。

 

「ハッ!!」

 

その攻撃も文字通り飛び上がる事で回避される。

いや、先程も飛び上がって回避していたが今回はそれの比ではない。

それどころか滞空している。

 

「危ない、危ない」

 

どう見ても余裕にしか見えん。

どうやら軽口を叩くのが好きらしい

すると今度は銃を剣に変え、空中を自由自在に飛びながら、鬼を切りつけている。

しかし、遠近両用とはなんて反則臭い武器だ。

 

「エヴァ!!」

 

ふと、背後から私を呼ぶ声がした。

 

「タカミチか」

 

タカミチ・T・高畑、この麻帆良学園の教員の一人で私とは腐れ縁だ。

何処か安堵の表情が見える。一応は心配してくれてたか。

 

「大丈夫かい?」

 

「ああ、私は平気だ。茶々丸が動けんがな」

 

「無事なら、いいよ。それにしても、あれは誰だい?」

 

「分からん。だが、私を助けたぐらいだ。少なくとも敵ではないかもしれん」

 

敵ではないかもしれないと言ったが警戒しておくに越した事はない。

警戒する事に損は無いのだから。

 

<ビッグ!!…プリーズ>

 

私がタカミチと話してる間に戦況は動いていたらしい。

奴が新たな魔法を発動するのを聞いて戦場に目を向けると…

 

「な…な!!」

 

巨大な手があった。

その手が強烈なビンタで鬼共を吹っ飛ばしている。

タカミチもかなり驚いているようで、間抜けな顔で口をポカンと開けている。

紙切れの様に飛んで行く鬼共は「んな!!アホなぁ!?」と声を上げながら消えていくのが見える。

奴の手が普通のサイズに戻った頃には粗方の鬼は消えていた。

最後に親玉の鬼が残ったようだ。

 

「ハハ…兄ちゃん強いのう。まさか一蹴されるとは思っとらんかったわ」

 

「こう見えて、場数はそれなりに踏んでるんだ。そうそう負ける気はないよ」

 

「ハハハ!!兄ちゃん、気に入ったわ!!今度会った時は酒でも飲もうや!!」

 

「…俺が成人してたらね」

 

鬼が魔法使いを気にいるとは珍しい。

まあ、奴は殆ど肉弾戦で戦っていたから、正々堂々を好む鬼が気に入るのも当然か。

 

「だが、ここまで来た以上、ただではやられへん。せめて一撃食らわせてから帰らせてもらうわ」

 

「悪いけど、簡単には食らわないよ」

 

そう言って取り出したのは今までよりも幾分か多い魔力が込められた指輪。

恐らく大技を出すつもりだな。

 

「さあ、フィナーレだ!!」

 

<ルパッチマジックタッチゴー!!…チョーイイネ!!キックストライク!!サイコー!!>

 

今までよりもやたらテンションの高いベルトなど御構い無しに奴の足元に魔法陣が現れ、右足に凄まじい熱量の炎が宿った。

 

「うおおおおおおお!!」

 

「ハァ!!」

 

棍棒を手に突っ込んでくる鬼に向かって側転と体を捻る事によって威力が上がった蹴りを叩き込んだ。

 

「ぐうっ!!ハハハ…完敗や」

 

負けを認める鬼の体は既に消えかけている。

 

「最後にあんたの名前、教えてくれるか?」

 

「紅輪龍磨、この姿は仮面ライダーウィザード」

 

「ハハ…紅輪龍磨、仮面ライダーウィザードか…覚えたで!!次は負けへんからな」

 

そう言い残し、鬼は消えていった。

それにしてもウィザードか…魔法使いを名前として名乗るとは中々面白いじゃないか。

 

「ふぃー…」

 

奴が一息ついてるのを尻目にタカミチと目を合わせる。

奴には色々聞かなければならない。

「あれ?何か増えてる?」などと言ってるが、構う必要は無い。

15年もこんな場所に縛り付けられているんだ。

丁度いい暇つぶしや刺激になればいい。

私はそう考えていた。



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ようこそ魔法の世界へ 前

訪れた先は何と多くの魔法使いが存在する学園都市
指輪の魔法以外の魔法を使う魔法使いは彼に何をもたらすのか


いや、驚いた。

鬼が出るか、ファントムが出るかって言ったけど、まさか鬼の方が出るなんて…

ファントムかもしれないって思ったけど、ファントムは基本的に西洋の怪物しか現れないからオーガなら兎も角、鬼がファントムとして現れるのはあり得ない。

今、俺はさっき助けた女の子といつの間にかいた渋い男、そして後からひょっこり出てきた明らかにロボットの子と一緒にここの責任者のとこに向かっている。

何でも、ここは麻帆良学園という学園都市らしい。

それなりに大きいみたいだけど、俺は麻帆良学園なんてない。

これ程大きな学園都市なら耳に入って来ない方がおかしい。

妙だな…

いきなり森に飛ばされた事といい、俺の全く知らない場所…そしてさっきの鬼…

これは最悪のパターンを考えとかなきゃいけないみたいだ。

それにしても…気まずい。

女の子とロボットの方は何もないけど、男の方はずっと俺を警戒してるし、何より会話が無い。

これなら、質問でもしてもらった方が楽なんだけど…

あ、

 

「そういえば…」

 

俺が言葉を発した途端、男の方の体が固まった。

いや、別に何もしないから、そんな身構えなくても…

 

「何だ?」

 

「いや、名前を聞いてないと思ってね」

 

男の方が聞いて来ないので、代わりに女の子の方が答えた。

俺の言葉を聞いて男の方がホッといてるけど、そんなに警戒されたらこっちも非常にやりにくいし、敵対とかしたくない。

俺の力はファントムを倒す為のものだから。

 

「何だ、そんな事か…」

 

「人との付き合いでは大切な事だよ。俺の名はさっき聞いてたと思うけど、紅輪龍磨」

 

「エヴァンジェリン・A・K・マクダウェルだ」

 

「…タカミチ・T・高畑だよ」

 

「絡操茶々丸です。よろしくお願いします」

 

変わった名前が多いな。

俺も人の事言えないけど

 

「成る程、よし全員覚えた」

 

そんな事をしてたら目的の場所に着いたらしい。

 

「着いたよ。麻帆良学園女子中等部だ。ここに学園長がいる」

 

へえ、ここに学園長が。

しかし妙なデザインの学校だな。

ん?ちょっと待て。

 

「今、女子中等部って言ったか?」

 

「ああ、それがどうかしたかい?」

 

「いや、ついでに聞くけど学園長は男?」

 

「?そうだよ」

 

…学園長はあれかロリコンなのか?

普通、小中高大が揃ってる学園都市の学園長って大学とかにいるんじゃないのか?

しかも、女子部だし。

 

 

「何をしてる?とっとと行くぞ」

 

考え事してたら止まってたらしい、エヴァンジェリンちゃんに呼ばれた。

そういえば何でこんな小さい子がこんな夜に?

まあ、後で聞けばいいか。

 

「悪い、すぐ行くよ」

 

 

---------------------------

 

「ここが学園長室だよ」

 

学園長室の前に着いた俺は、気を引き締めていた。

ここの総責任者をやっているということは、駆け引きが上手いはずだ。

余計な情報を与えないように気を付けなければならない。

こんな事は思いたくないが何分ファントムと戦ってきただけに警戒心が強くなってしまった。

連中はゲートを絶望させる為ならどんな手も使うのだから。

 

「入りなさい」

 

「失礼します」

 

タカミチさんが戸を叩くと、中から声が聞こえた。

その応答に伴い、俺たちは中に入った。

そして、俺が一言目に発した言葉は…

 

「…大妖怪ぬらりひょん?」

 

「ふぉ!?」

 

やべ、言っちゃった。

でも、あんな頭を見ればきっと誰でも思うはずだ。

…本当に、人間か?

鬼がいたぐらいだ。

ぬらりひょんもいるはず。

だって、あんな頭の人間いるわけない。

俺の言葉を聞いてエヴァンジェリンちゃんは爆笑しながら「中々言うじゃないか」と言っている。

タカミチさんは笑いを堪えてる感じだ。

学園長は…何かメソメソ泣きながらいじけてた。

はっきり言って気持ち悪い。

 

「しょ、初対面の人間に対して、いきなり酷くないかの?」

 

…人間だったのか。

いや、だってあんな頭見せられたら…ねえ…

 

「諦めろジジイ。貴様の頭を見れば言葉に出さなくても大体そんな反応をする。こいつはズバッと言ったがな」

 

エヴァンジェリンちゃんにも言われて、学園長は「整形しようかの…」などとボヤいてる。

って話が全然進まない。

 

「そんな事より、そろそろ本題に入りましょう。学園長」

 

タカミチさんナイス。

 

「そんな事って…ごほん。初めましてワシがこの麻帆良学園の学園長、近衛近右衛門じゃ。早速じゃがお主の事を聞かせてもらえるかのう」

 

「…俺の名前は紅輪龍磨。一部では指輪の魔法使いとか、仮面ライダーとか呼ばれてる」

 

俺は語った。

ファントムの事を…

ファントムがどうやって生み出されてるのを…

俺の戦う姿から一般人が仮面ライダーという名前をつけた事を…

サバトの事を…

一部の聞かれたく無い事は隠して、俺は全てを語った。

 

「成る程のう…だがワシらはファントムというものなど聞いた事無いし、見た事もない。第一、生き物なら少なからず魔力を持ってるものなんじゃが…それにどうやってこの地に入ってきたのじゃ?」

 

「…分からない」

 

「は?」

 

「いや、本当に分からないんだ。俺の家のドアを開けたらいきなり森の中にいるし、本当訳が分からない」

 

何か、疑いの目が強くなったな。

俺が考えてる通りなら当然か、こいつを見せれば如何にかなるか?

 

「…それは?」

 

「免許証だ。ここに書かれてる住所を調べてくれないか?」

 

「…わかった。少し待つのじゃ」

 

俺の疑念が確信に変わるのは、すぐ後の事だった。



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ようこそ魔法の世界へ 後

あれからどれほど時間が経ったろうか。

俺達は今、連絡を待っている状態だ。

未だ、このギスギスした雰囲気は解消されず、凄く居心地が悪い。

その雰囲気を醸し出してるのは学園長とタカミチさんなのだが、エヴァちゃん(長いので縮める事にした)は全く気にしてない様に見える。

肝が据わった子だ。

そんな事を考えてると電話が鳴った。

やっと連絡が来たか。

俺の推測が正しければ、ある事が分かるかもしれない。

さっき部屋に飾ってあったカレンダーを何気無く見たら2002年になってた。

俺が居た年は2013年11年ものずれがある。

唯のタイムスリップなら対処法はある。

だけど、これがタイムスリップじゃ無かったら?そうなると対処法が無い。

まあ、それが分かるのは学園長の…

 

「何じゃと!?」

 

…吃驚した。

急に大声出さないで欲しい。

学園長は何度か言葉を交わすと、電話を切り、厳しい顔で俺に向き直った。

 

「君の住所を調べた結果が分かった。結論を言うとの…無いのじゃ。君が住んで居たであろう、宝希町という場所は何処にもの」

 

「…茶々丸」

 

「はい、私のデータにも宝希町という場所はありません」

 

…やっぱりか

というか、茶々丸ちゃんデータって…やっぱロボットなのね…

 

「そ、それでは学園長。彼のその免許証は偽造のものだと?」

 

タカミチさんがそう言った。

そう思うのも当然だ。

存在しない住所が書かれた免許証など偽造以外に考えられない。

 

「可能性があるの。それでどうなのじゃ?龍磨君」

 

顔は穏やかだが目が笑ってない。

飄々としてても、きっちりしてる所はしてるみたいだな。

まあ、そうでなきゃ組織のトップなんて出来やしないだろうが。

 

「…学園長、免許証の俺の誕生日の所に何て書いてある?」

 

「ほ?1995年…ほ!?」

 

「な!?それじゃ君は今8歳という事になるじゃないか!?」

 

「その通り、いくら何でも実年齢8歳なんて事を偽造するものに記すと思うか?そこで考えられるのは?」

 

「…お前が未来から来たか、若しくは限りなく可能性が低いが、この時間にまったく関係無い場所から来たかだな?」

 

ずっと黙ってたエヴァちゃんが答えた。

頭はよく回るみたいだ。普通そんな事なんて考えが及ばない。

 

「ここには宝希町がない…そして俺は麻帆良を知らないから未来から来たわけじゃない。だから残る可能性で俺は異世界から来た…って訳さ」

 

異世界に飛ばされた…

その可能性は最初から考えていた。

俺とあの人以外の魔法使いなんて俺は知らない。

あの人曰く、アーキタイプの魔法使いが別の所で戦っているらしいが、それ以外の魔法使いの事は聞いた事がない。

 

「別世界の人間か…成る程、そう考えれば辻褄は合うのう…」

 

「随分あっさり信じるなあ…こんな突拍子もない話普通信じないと思うけど」

 

「一応、魔法世界という物が存在してるからね。そういう話には抵抗は無いのさ」

 

「へえ…そんなものまであるのか…ただ俺の場合はそういう世界とは別の平行世界とかの類だと思うけどね」

 

俺の現状が分かった所で一息つく。

当面の問題はこれからどうするか…だな。

生憎、世界移動の魔法なんて俺にはない。

 

「さて、これからお主は如何するのじゃ?」

 

学園長が真剣な眼差しで聞いて来た。

組織の長としては不安要素を放置する訳にもいかないだろう。

 

「…帰る方法を探すかな」

 

「見つかるまでの衣食住はどうするのじゃ?それに見つからない場合もあるじゃろうて」

 

「…」

 

学園長の言う通りだ。

この世界の年を考えれば、俺の持ってる金は使えない。

使えない金など持っていても意味は無い。実質一文無しだ。

働こうにも俺には戸籍が無いからこれも無理。

そして何よりそんな簡単に帰る方法が見つかる訳無い。

そもそも、この世界に来た原因さえ分からないのだ。

原因が分からなければ、何処から手を打っていいのか分からない。

 

「そこで提案何じゃが…この麻帆良に留まる気は無いかの?」

 

「え?」

 

「学園長!?」

 

驚いた。

てっきりすぐに追い出されると思っていたから尚更。

 

「勿論、ただでとは言わん。今夜の様にここを攻めてくる外敵から守る事、これが条件じゃ。

当然、働きに応じて報酬は出す上に住む所と戸籍も用意しよう。それにここには図書館島という帰る方法を調べるにはうってつけの場所もある。…どうじゃ?」

 

願っても無い提案だ。

あれぐらいの敵なら俺の魔法があれば如何とでもなるから、その部分は問題無い。

学園長が善意で言ってくれているのは嬉しかった。

しかし、迷惑を掛けていいのだろうかと悩む。

簡単に言ってるが、何処からともなく現れた人間の戸籍を作るのは大変だろう。

それに、ここは組織だ。

見るからに善人の部類に入る学園長なら兎も角、見るからに怪しい俺が他の人達に信用されるはずも無い。

だが、俺一人では如何にも出来ないのは事実だ。

答えは決まった。

 

「…学園長、これから宜しくお願いします」

 

頭を下げ、世話になる事を選択した。

ああ、いつ振りだろうか俺がこんなに人と関わったのは。

ファントムと戦っている時も人との関わりが無いわけでは無い。

ゲートを守る必要があるから、ゲートとは少なからず関わった。

だが、一度守ってしまえばゲートと関わる事は無かった。

ファントムはどういう訳か一定の場所しか活動しなかったので、その場所からゲートを逃がしてしまえば、もう襲われる事は無い。

だから、俺は離れていったゲートやゲートで無くなった者に二度と会うことは無かった。勿論、自分から姿を眩ましていたのだが。

俺は最後の希望になると言いつつも、人と付き合い、別れがくる事が怖かったのだから。

 

「さて、お主の住む所何じゃが…」

 

「ジジイ」

 

エヴァちゃんが学園長の言葉を遮った。

 

「こいつは私が預かる」

 

「ほ!?」

 

「え?」

 

まさか、そんな事を言われるとは思わなかった。

というか…何故に?

 

「何故じゃ?」

 

学園長が俺の気持ちを代弁した。

いや、本当に何で?

 

「こいつの魔法に興味が湧いた。間近に置いておけば色々見れるからな。いい暇つぶしになると思わないか?」

 

俺は暇つぶしかい。

 

「しかしのう…」

 

「もう何年もこの地に縛られてるんだ。これぐらいいいだろう」

 

あ、学園長に威圧掛けてる。

涼しい顔で流してるけど、内心冷や汗掻いてるんじゃなかろうか。

 

「いや、龍磨君の意見も…」

 

「住む所に文句は無いだろう?紅輪龍磨?」

 

「住む所を提供してくれるのに文句は言えないな…」

 

そうだ、俺はあれこれ言える立場に無い。

 

「というわけだ。私が預かる。第一、そんなすぐに住居など用意も出来ないだろうが」

 

「…仕方ないのう。龍磨君それでいいかね?」

 

「勿論」

 

もはや、学園長も諦めたらしい。

ただ、どう見ても自分より年下の子の家の転がり込むというのは如何なものだろうが、こういう子は一度言うと聞かないだろうから、潔く諦めるしかない。

 

「じゃ、これから宜しく頼むよ。エヴァンジェリンちゃん」

 

「な!?」

 

ん?部屋の空気が凍った?

俺何か不味い事言っただろうか。

エヴァちゃんなんか震えてるし。

 

「あー、龍磨君。エヴァはね、こう見えても何百年と生きた真祖の吸血鬼なんだ」

 

へぇー吸血鬼…って嘘ぉ!?

 

「数百年!?どう見ても10才前後の子じゃないか!」

 

「それはマスターが10才の時に儀式で吸血鬼にされたかです。それからマスターは一切成長していません」

 

そんな魔法があるのか…

儀式というとサバトを思い出すな…

いい思い出なんかないけど。

それで、何でエヴァちゃんは震えて?…あー、年下扱いされて怒りで震えてたのか。

 

「…お前は知らなかったからな…ちゃん付けで呼んだ事は今回は許そう。だが…次は無いと思え」

 

やばい、凄い威圧を感じる。

 

「じゃあ、なんて呼べば?」

 

「エヴァで構わん。いいか?二度と私をちゃん付けで呼ぶなよ?」

 

念を押すほど嫌か。

 

「じゃ、改めてこれから宜しく頼むよ。エヴァ」

 

「ああ。それとそこにいる茶々丸も一緒に住んでいる。私の従者だからな」

 

従者…?

また分からん単語だ。

まあ、段々と分かっていけばいいか。

 

「じゃ、茶々丸…でいいかな?宜しく頼む」

 

同じ鑪は踏まないように、ちゃん付けはしない。

 

「はい、龍磨さん」

 

「ククク…これから愉快な事になりそうだ」

 

エヴァが楽しげに笑い、学園長とタカミチさんが何やら話し込んでる中で俺は誰にも聞こえない程小さな声でポツリと呟いた。

 

「吸血鬼…か…」

 

この時、俺の顔が悲しげに歪んでいたことに一体誰が気付いただろうか。

 



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主人公設定

名前:紅輪龍磨

年齢:17

身長:182

体重:76

仮面ライダーウィザードに変身する青年。

名前の由来はフレイムスタイル(紅)+ウィザードリング(輪)+ウィザードドラゴン(龍)+宝石は磨く物(磨)

住んでいた町の名前は宝希町

由来は宝石+希望。また箒とも掛けている。

体内に存在するファントムはウィザード本編の晴人と同じドラゴン。

16の時にサバトに巻き込まれる。

仮面ライダーを名乗る様になった理由はWと同じ。

龍磨の世界に於いて、ウィザード、ビースト、白い魔法使い以外には仮面ライダーはいない。

現在、最強形態までなることができるが、ドラゴタイマーとインフィニティリングは自分の世界に置いて来てしまった。

両親は既に他界している。

家は宝石加工職人だった。

その為誘拐される危険が多いので、7才ごろから自衛の為に拳法を習い始めたが、思いの外才能があり、あらゆる拳法を身につけ、最終的に15才の時にエクストリームマーシャルアーツをマスターした。

その腕前は居合拳無しのタカミチと互角に渡り合える程。

ウィザード本編においてのコヨミ、凛子、俊平、輪島にあたる人物はいなく、ずっと一人で戦っていた。

また、凛子や俊平のように、協力しようと考えてた人はいたが、自分から姿を消していた為、戦いが終わっても再会する事はなかった。

ビーストは龍磨とは別の所で戦っていた為、会った事はない。

ウィザードリングは親から受け継いだ技術で全て自分で作っていた。

白い魔法使いは龍磨にとって魔法の師匠にあたる。

 

本作におけるウィザードの魔法の設定

 

ウィザードの魔法は精霊を介した魔法では無く、魔力を用いて、その現象を生み出すという性質の為、魔法無効化能力で打ち消すには魔法陣を直接叩く必要がある。

 

 

 

 

以下文字稼ぎ

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閑話

龍磨が来てから三日が経とうとしていた。

この三日間は色々と買い揃えたり、龍磨の魔法を幾つか見せて貰ったりで、目新しい事は何も起こっていない。

龍磨の魔法はとても興味深かった。

まず、龍磨の魔法は一切精霊というものを使っていない。

本人曰く、指輪と魔力だけで事足りるらしい。

そして、指輪の魔法は変身する姿によって効力が変わるらしい。

例えば、龍磨と出会った時に使っていたキックストライクの魔法はあの時は赤い姿で使ったから火を纏った。

他の姿ではまた別の属性が付加されるらしい。

こちらの魔法使いはそれぞれ得意な属性というものがある。

例えば私の得意とする属性は氷だ。

得意属性以外の魔法は使えなくはないが、習得するのが困難になる。

だが、龍磨は違う。

龍磨には得意属性がない。

いや、得意属性がないというのは不適切だろう。

龍磨は四つの属性を均等に使いこなす事が出来るのだ。

戦況に応じて、属性を変える事が出来るのは、基本的に一つの属性しか使わない魔法使いには十分脅威になりえる事だ。

加えて龍磨の武術はタカミチとも比べても劣らない程卓越していた。

兎に角、龍磨の武術は軌道が読みづらい上にこちらの攻撃が面白い様に受け流されるのだ。

あれは厄介な事この上ない。

龍磨にパクティオーカードを持たせたらどうなるだろうと思ったが、すぐに却下した。

そんな物が無くとも奴は十分に強い。

むしろ、その所為で龍磨の戦法を殺してしまう可能性もある。

大体、遠中近全ての戦法が使える龍磨に新たな武装などいらないだろう。

 

「エヴァ、次の魔法を試すよ。たぶん発動しないけど」

 

龍磨に声を掛けられハッと我に変える。

少々、考え事をしすぎたようだ。

それにしても多分発動しないとは如何いう事だ?

 

「ああ、やってみろ」

 

「了解っと」

 

赤い姿のウィザードになっている龍磨はベルトを操作して、手をベルトに当てた。

 

<ドラゴライズ!…プリーズ>

 

「ッ!?マズイ!!」

 

龍磨がいきなり慌て出したと思ったら魔法陣への魔力を断ち切っていた。

何だ?一体如何したというのだ?

 

「ハァ…ハァ…あービックリした…」

 

「おい、いきなりどうした?魔法を無理矢理中断なんぞして」

 

私がそう言うと、龍磨はこちらに向き、頭を掻きながら少し言いづらそうに答えた。

 

「あー…うん…さっきの魔法…ドラゴライズって言うんだけど…あの魔法ドラゴンを召喚する魔法なんだ」

 

「ドラゴンだと!?お前そんな物まで使役してるのか!?」

 

ドラゴンを使役できる物などそうはいない。

余程の実力とドラゴンが忠誠を誓うほどの心がなければ無理だ。

最も、こいつの世界のドラゴンの在り方はしらんが

 

「使役してるというか…飼ってるというか。切っても切れない関係というか…まあ、それはいいや。俺が驚いたのはこの魔法、一定の条件下にないと発動しない魔法なんだ。今の状況なら発動しないはずなんだけど…どうなってるんだ?」

 

龍磨は心底不思議そうにその手についた指輪を見つめている。

だが、解せんな。

 

「なら、何故そんなに慌てる必要がある?そのまま召喚させていれば良かったろうに」

 

「あぁ…ドラゴンは結構じゃじゃ馬でね。俺もマシンウィンガーがないと完全にコントロール出来ないんだ。さすがにウィンガーでコントロールする前に辺りをメチャクチャにされたくないだろ?」

 

「マシンウィンガー?」

 

「俺のバイク」

 

「成る程」

 

何だ、奴も簡単にコントロール出来んのか。

だが、あれほどの実力を持っていて拘束具がないと制御出来ないとは…そのドラゴン、一体何れほどの力があるというのだ?

 

「マスター、そろそろ時間です」

 

そんな話をしていると茶々丸が側に来た。

…おっと、もう一日たっていたか。

 

「龍磨、時間だ。出るぞ。お前もジジイのところに行かなきゃだろう」

 

「もうそんな時間か…よし出よう。俺はこのまま学園長の所にいくけど、二人は如何する?」

 

「学校に行くに決まってるだろう。全くもって忌々しい」

 

「…そういえばそうだったな…まあ、頑張れ」

 

龍磨が私にサムズアップを向けている。

その目は哀れんだ眼差しで私を見ている。

…何か段々腹がたって来た。

 

「貴様…その哀れんだ目を止めろ!私の魔法の実験台にするぞ!」

 

「やべっ!じゃ、夜までには戻るから!アディオス!」

 

そう言って逃げるように別荘から消えて行った。

今から追っても逃げられてるだろう。

 

「くっ!帰ったら覚えてろ…」

 

「オゥオゥ、ソウ言イナガラモ、嬉シソウジャネエカゴシュジン。ソンナニアイツガ気ニイッタノカ?」

 

「あぁマスターがあんなに楽しそうに…」

 

「うっさい!そこのボケ従者ども!まずは貴様らからだ!」

 

「図星ジャネェカ。ケケケ」

 

ずっと黙っていたと思ってたらこんな事を思っていたのか。

このボケどもは!

まあ、確かに奴の事を気に入ったのは確かだ。

一体、奴がこの麻帆良でどのように振る舞うのか見ものだ。

さて、自称正義の魔法使いは奴の目にどう写るだろうな?

私はそんな事を考えながら茶々丸のネジを巻いていた。

取り敢えずはこのボケどものお仕置きからだな。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

「ふう…」

 

この数日は実に色々な事があった。

龍磨君がきて、彼に関する事がようやく方がついた所じゃ。

正確には書類上での話なのじゃが…

一番の問題はここの魔法先生や魔法生徒が彼の滞在に納得するかどうかじゃの。

異世界から来たなどと言うわけにもいかんから、ワシが呼び寄せた人知れず活動して来た魔法使いという事にしておるが…果たしてどうなるかの。

 

…それにしても龍磨君、随分遅いのう。

 

コンコン

 

おや、来たようじゃの

 

「入りなさい」

 

「よく来てくれたの龍磨君…どうしたのじゃ」

 

ドアを開けて、入ってきた龍磨君は何やら疲れた顔をしていた。

一体何が起こったのやら…

 

「いや、途中で中華少女に『お兄さん強いアルな!?私と勝負するアル!』って勝負しかけられて逃げて来た所で…ああ、疲れた…」

 

「ふぉふぉふぉ…」

 

聞いた覚えのある特徴に乾いた笑いしか出てこなかった。

十中八九、古菲君じゃろうな。

 

「彼女は強い人に目が無いからのう…今度相手をしてやるといい」

 

「…機会があったらね」

 

げんなりした表情を見る限りあまり戦いたくはなさそうじゃな…

まあ、いい本題にはいらねばなるまい。

 

「さて、龍磨君。ここでの生活はもう慣れたかのう?」

 

「ああ、エヴァもよくしてくれてるし、ここが如何いう所なのかは大体分かった。何処に何があるかとかはまだ分からないけど…」

 

「それは何よりじゃ」

 

ふむ、エヴァンジェリンも龍磨君を気にいっておったし、その辺は心配なさそうじゃのう。

 

「所で…深夜の警備とやらはいつやればいいんだ?」

 

龍磨君の方から切り出してきたか、熱心なようで何よりじゃ。

 

「そうじゃな。今夜にでも行って貰おうかのう。ただその時少々面倒事に付き合わせてしまうやもしれん」

 

「面倒事?」

 

「そうじゃ、ここの魔法先生や魔法生徒は君の実力を分かっておらん。ワシやタカミチ君も全部を知ってる訳じゃないしの。そこでじゃ、龍磨君の実力を模擬戦という形で示してもらう。取り敢えずは実力を他の者達に信用してもらわねばならんからのう。他の部分の信用は龍磨君次第じゃ」

 

これは魔法先生や魔法生徒達に実力を示すと共に龍磨君の実力が何処までの物かをみるものでもある。

エヴァと共にいる龍磨君が信用を勝ち取るのは難しいじゃろうが…彼の人柄ならきっと大丈夫じゃろう。

一部の正義に凝り固まった先生や生徒達はどうアクションを起こすか、分からん。

これは麻帆良に限った話ではなく、魔法使いによくある問題じゃが、そこはワシがどうにか抑えればいい。

 

「何だ、そんな事か。OK、了解した。それと、一つ頼みがあるんだ」

 

ほ?

 

「頼み?何かの?」

 

「昼の仕事が欲しい。いくら夜に警備するって言っても、昼に何もしないのは俺の気が収まらない。それに見た目学生の俺がこの中学校…それも女子部を彷徨いてたら怪しいじゃないか。だから、肩書きがほしいと思ってね」

 

ほほ、真面目じゃのう。

別に気にする事も無いのじゃが、気になるというのなら仕方あるまい。

龍磨君に調度いいのがあるしの。

 

「分かった。では、広域指導員というのはどうかの?」

 

「広域指導員?俺は教育なんか出来ないぞ?」

 

「ほほ、知っての通り、この街は大きな街での、彼方此方で様々な問題が起こるんじゃ。君にはその問題を解決する立場になって欲しいのじゃ。問題を起こすのは血気盛んな者が多いから多少武力で鎮圧しても構わんぞ?」

 

今、広域指導員にはタカミチ君がやってくれてるのじゃが、出張が多い所為で中々出来ん。

魔法先生は他にもいるが先生としての職業が忙しい所為で広域指導員まで手がまわらない。

いや、龍磨君がやってくれるなら助かるのじゃが、引き受けてくれるかのう…

 

「分かった、それでいい。広域指導員…引き受けよう」

 

良かったわい。

なら色々用意しなければのう。

 

「ほほ、助かるわい。身分証とか色々用意するから明日からやってくれるかのう?」

 

「ああ、分かった」

 

さて、話はこれで終わりかのう。

 

「では、龍磨君。今夜宜しく頼むぞ」

 

「任せておいてくれ」

 

龍磨君は不敵な笑みを浮かべて自信に満ちた返答をした。

さて、夜が楽しみじゃのう

 

 

 




遅いわりに、特に進展もありません。
今回でドラゴライズがアンダーワールド以外でも使えることと、龍磨が広域指導員になった事ぐらいですね。
ドラゴライズをアンダーワールド以外でも使えるようにしたのは、こうでもしないとドラゴライズの出番が皆無になってしまうので使えるようにしました。
ドラゴンにも活躍の場を与えたい!
龍磨の昼の職業は宝石職人の案もありましたが、学園で宝石やその装飾など売れるはずも無く断念。いずれ龍磨の宝石加工の腕前は披露できればと思います

次回は数話ぶりに戦います。


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デスメガネVS指輪の魔法使い

高畑先生VS龍磨です。
上手く戦闘描写が出来ていればいいのですが…


私、桜咲刹那は世界樹のある広場にいる。

いや、私だけではない。

殆どの魔法先生や魔法生徒が集まっていた。

普段なら警備の担当する所にそれぞれ集まり、侵入者と戦うのだが、今日は違った。

何でも学園長から話があるらしい。

だが、それにしても…

 

「中々、話が始まらないな」

 

「ああ」

 

私のルームメイトであり、同僚である龍宮真名がそう言い放った。

当の学園長は「遅いのう…」としきりに呟いている。

一体、何が始まるというのだ?

そう考えている内に聞き覚えのない声が聞こえてきた。

 

「なあ…ムグ…本当にソードガン使って…アム…大丈夫なのか?」

 

「しつこいぞ、気や魔力で体は強化されているから大丈夫だ。というか、貴様いつまで食っている」

 

「いやあ、やっぱこれ食わないと落ち着かなくて」

 

「龍磨さん、後で作ってあげますので今は…」

 

「分かってないなあ、たい焼きは買い食いしてこそだよ。あ、もう無くなっちゃった…」

 

呑気な会話が聞こえてきて、少しイラッときた。

しかし、エヴァンジェリンさんや茶々丸さんは兎も角、あの男の人は一体誰だろう。

紙袋をひっくり返して項垂れている彼は今まで見た事がない。

 

「おお、やっと来たかの龍磨君」

 

と学園長が声を上げた。

どうやら話というのは彼の事らしい。

学園長の下へ赴き、一言、二言交わした龍磨と呼ばれた人は私たちに向き直った。

 

「ごほん…皆、彼は紅輪龍磨君じゃ。遠く辺境の地で隠れ住んでいたのをワシが呼び寄せた。我々の物とは全く違う独自の魔法を使うが、実力は本物じゃ。此れからは此処の警備を皆と共にしてもらう。宜しく頼むぞ」

 

「紅輪龍磨です。宜しく」

 

成る程、新しい警備の人だったのか。

最近、少々人手が足りないと聞いていたからそれだろう。

しかし、彼は本当に強いのだろうか?

 

「学園長、どれほど彼が強いのか分からなければ、我々もどのようにしていいのか分かりません」

 

私の考えを葛葉刀子先生が代弁してくれた。

その通りだ。

ある程度実力が分からなければ、どこに配属できるのか決めようがない。

その答えを見通してたのか、学園長が笑いながら答えた。

 

「ほほほ、そう言うと思ってのう、彼の実力を見るための模擬戦をここで行う。タカミチ君お願い出来るかのう」

 

「了解しました。学園長」

 

高畑先生が出るのか…それほどの相手という事なのか?

周りも高畑先生が戦うという事でざわついている。

 

「なんだ、高畑さんが相手か」

 

「僕も君とは戦ってみたいと思ってたからね、君の実力みせてもらうよ」

 

「はは、こりゃ相当キツイ事になりそうだ。でも、指輪の魔法使いとして負けるつもりはないよ」

 

<ドライバーオン、プリーズ>

 

紅輪さんが腰のベルトに手を当てるとそのベルトが立体になり、手が型どられた大きなベルトがその姿を現した。

一体、何が始まるんだ?

 

<シャバドゥビタッチヘンシーン、シャバドゥビタッチヘンシーン…>

 

…なんだあれは。騒がしい何て物じゃない。

とてつも無くうるさい。

 

「これは…何とも愉快なベルトだな」

 

隣で龍宮が苦笑いしながら言った。

それはそうだ、自分じゃわからないが私も苦笑いしてるだろう。

あんなものを聞かされたら誰だってそうなる。

 

「変身」

 

<フレイム!プリーズ…ヒー、ヒー、ヒーヒーヒー!>

 

燃え上がる様な魔法陣が紅輪さんの体を通り抜けたかと思うと、そこに紅輪さんの姿は無かった。

宝石の様に赤く輝いた仮面と装甲を纏った一人の戦士がそこにいた。

 

「さあ、ショータイムだ」

 

腰から伸びたマントを翻してそう言い放った。

あれが彼独自の魔法という事だろうか。

 

「相変わらず、凄い騒がしいベルトだね」

 

「仕様だからね。俺にはどうしようもないさ」

 

仕様なのか、何とも迷惑な。

離れた所でエヴァンジェリンさんが「何度聞いてもあれは慣れん」と言っている。

確かに、慣れるのは難しいだろう。

…慣れたくもないが。

 

「ほほ、それじゃ始めなさい」

 

学園長の言葉を皮切りに両者に緊張が走った。

二人とも相手の様子を伺ってるのか動く気配がない。

拳法の様な構えを取る紅輪さんと、ポケットに手を入れ、一見構えてる様に見えない高畑先生。

先に動いたのは紅輪さんだった。

地面を勢いよく蹴り、凄まじい速さで高畑先生に迫る。

だが、高畑先生が大人しくやられるわけは無い。

高畑先生の見えない拳圧が紅輪さんに迫った。

 

「!?」

 

直前で気付いたのかその体を回転させてその攻撃を受け流した。

それにしても凄い動きだ。

 

「…今のは」

 

「まさか、初見で避けられるとは思ってなかったよ」

 

「こう見えても感覚は鋭くてね」

 

そう言って再び高畑先生に向かっていった。

高畑先生も再び拳を放ち始めた。

紅輪さんは時には、空中で身を捩り、時には大きく前転したりと、アクロバティックな動きで距離を詰めようとするが、高畑先生も動いている為中々距離が詰められない。

しかし、あれ程動けば三半規管がおかしくなるだろうに紅輪さんにはその様子が微塵も感じられない。

一体どんな鍛え方をしてるのだろうか。

 

「高畑先生も攻めづらそうだな」

 

「どういう事だ?龍宮」

 

「あれだけ的に動かれたら、狙いをつけにくい。その上急所が軒並み守られている。あれは私も手こずりそうな相手だ」

 

成る程、拳で狙える急所は頭部や腹部だ。

しかし、頭部は仮面で、腹部は装甲で守られている。

他の所にも急所はあるだろうが、装甲が無い部分にもある程度の防御機能があるだろう。

たしかに、紅輪さんは拳で戦う人にはやり辛いかもしれない。

 

<コネクト、プリーズ>

 

攻め切れない事に業を煮やしたのか、紅輪さんがベルトに右手を当てて魔法陣を出した。

やはり、ああやって手を当てる事で魔法が発動するらしい。

その魔法陣に手を入れると、そこから銀色に輝く銃が現れた。

そして、どういうわけかあらぬ方向に打ち出した。

 

「どこに…!?」

 

高畑先生が疑問の声を上げるがそれは直ぐに解消された。

何と銃弾が高畑先生に向かって角度を変えて向かっていったのだ。

どうやら銃弾の軌道をコントロールできるらしい。

何とデタラメな。

 

<ウォーター!…プリーズ、スィー、スィー、スィー>

 

高畑先生が銃弾を全て弾いた頃には紅輪さんの姿が燃える様な赤から冷たい青に変わっていた。

それだけで無く何処と無く魔力が強まった様に感じる。

 

「はぁ!」

 

今まで握っていた銃を剣に変えて、高畑先生に振り下ろした。

それにしてもあの武器剣にもなるのか、初見殺しの何者でもないな。

手元で剣をクルクルと回転させて斬りつける攻撃はさしもの高畑先生も軌道が読みづらいらしい。

私だってあんな剣は読めない。

どうやら紅輪さんの戦い方は相手に読めない様な動きをする事らしい。

それも何パターンも用意されていて、完全に見切る事は難しいだろう、

 

「くっ!」

 

漸く高畑先生の攻撃が当たり、多少の衝撃があったのか、苦悶の声を上げた。

 

「だったら、これだ!」

 

<リキッド、プリーズ>

 

紅輪さんが腰から下がっていた指輪と手の指輪を交換して、新たな魔法を発動させた。

成る程、手を当てるだけかと思っていたが、指輪が媒体になっていたのか。

一体どんな魔法が?

 

「何かするみたいだけどその前に押し切らせて貰うよ!」

 

高畑先生は先程までよりより多く素早い攻撃を繰り出した。

紅輪さんはなす術もなくその攻撃を身に受けた…かに見えた。

 

「な…!?」

 

その場にいた誰もが驚きの声を上げる。

何と高畑先生の攻撃が紅輪さんの身体をすり抜けたのだ。

そして、紅輪さんの身体は水の様に揺らめいていた。

 

「リキッド…成る程、液体か」

 

龍宮がそう呟いた。

まさか、本当に身体を液体にしたというのか?

しかし、あの状態では高畑先生は全く手が出せない。

水の状態になってるなら打撃は全く効かないはずだ。

すると、紅輪さんはまるで波の様に高畑先生に襲いかかった。

高畑先生に水が絡みつき、紅輪さんが元に戻った時には高畑先生は四の字に固められていた。

 

「ふふっ…」

 

「くっ!」

 

腕を完全に固められ、拳を繰り出せない高畑先生になす術は無かった。

 

「それじゃ高畑さんにはもう少し大人しくしてて貰おうか!」

 

<バインド、プリーズ>

 

紅輪さんが新たな魔法を発動させると、青い魔法陣から鎖が伸びて高畑先生の体を縛り付けた。

 

「よっと」

 

紅輪さんは高畑先生から飛び降りて、また新たな指輪を取り出した。

高畑先生はそれを見て、何とか鎖を外そうとするも、変な体制で縛られた所為で中々外れない。

それにしても強い。

あの高畑先生が押されている。

紅輪さんの魔法が多種多様な所為もあるが、紅輪さん自身の身体能力もかなり高い。

一体どれほどの修練を積んだのだろうか。

私もあれ程強ければ…

 

<ランド…プリーズ、ドッ!ドッ!ドッ!ドッドッドッ!ドッドドッドン!>

 

紅輪さんの姿が青から黄色に変わった。

魔法陣と共に出ていた土塊を見るにこんどは土の属性だろう。

 

<ドリル、プリーズ>

 

「はっ!」

 

高畑先生が鎖を外した頃には、紅輪さんは魔法を発動させ、身体をドリルの様に回転しながら地面に潜っていった。

しかし、潜った跡が無いとか何の冗談だろうか。

普通、地面に潜れば穴ぐらい空くだろうにその跡が全くないのだ。

 

「全く、彼の魔法は出鱈目だな」

 

「ああ…しかし、何でエヴァンジェリンさんが嬉しそうにしてるのだろうか」

 

そう、ふと目に入ったエヴァンジェリンさんがニヤついているのだ。

高畑先生が押されてるのがそんなに嬉しいのだろうか。

耳を凝らすと、からかいのネタが出来たとか何とか言っている気がする。

ん?

 

「何か聞こえないか?」

 

「ん?確かに微かだが聞こえるな」

 

未だ土の下から出てこない紅輪さんを警戒する高畑先生を尻目にその何かに耳を傾けた。

 

<……キャモナシューティング、シェイクハンズ、キャモナシューティング、シェイクハンズ…ランド、シューティングストライク!ドッ、ドッ、ドッ!ドッ!ドッ!ドッ!>

 

どうやら土の中で紅輪さんが何かしてるようだ。

でも、何で段々音が大きくなって…

 

「うわっ!」

 

高畑先生も気付いた様だが時既に遅し、小さな地響きを立てながら、紅輪さんがその姿を現した。

手にはあの銃を携えながら。

それにしても、つい地震に驚いて声を出してしまった…少し恥ずかしい。

 

「ふっ!」

 

紅輪さんの銃から無数の土塊が高畑先生目掛けて打ち出された。

かなり数が多く、高畑先生も全力で土塊を撃ち落とす。

 

「なっ!」

 

全ての土塊を撃ち落とした高畑先生が前を見ると腹部に銃身を当てた紅輪さんがいた。

成る程、土塊はカモフラージュでこっちが狙いか。

この勝負は高畑先生の負けだ。

 

「そこまでじゃ!」

 

学園長の言葉と共に辺りにどよめきが走る。

当然だ、あの高畑先生が負けたのだ自分だって未だに信じられない。

 

「いやあ、流石だね。まさか負けるとは思わなかったよ」

 

「よく言うぜ、全力じゃ無かった癖に」

 

何と、あれで全力じゃ無かったのか。

 

「はは、ばれてたか。でも、所々全力は出してたさ。今日は龍磨君の魔法に翻弄されちゃったけど、次はそうはいかないよ」

 

「望む所だ」

 

二人はそう言って握手を交わした。

これから彼は夜の警備をする事になるのか。

きっと、同じ担当になる事があるかもしれないが、私には関係無い。

私はお嬢様を守れればいいのだから。

 

「ああ、言い忘れてたよ」

 

「?」

 

「ようこそ、麻帆良学園へ」

 

そんな会話があったのを尻目に私はそんな事を考えていた。




ちょっとウィザードを強くし過ぎた感はあります。
龍磨は地の面でもそれなりに強いので、その補正で考えていただければと思います。
まあ、リキッドを使われたら高畑先生じゃ対処は出来ませんね。
流石リキッド汚い。
この分だと原作開始はかなり先になりそうだな…


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