インフィニット・ストラトス 太陽を産んだ兄弟 (ラギアクルスV2)
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IS第1話
??? side
俺は、夢を見ていた。
(これは、あの時の・・・)
周りの全ては火の海になっていた。
父さんと兄さん、そして俺の三人で完成させた太陽炉。
試験も終わり、後のことは、話し合っている父さんと兄さんに任せてそのまま寝ようと考えていた時それは、起こった・・・
パァン‼︎
父さん達の方からした急な音に驚き二人の方を見ると、
ドサッ‼︎
胸の中心から血を流しながら倒れた父さんと、父さんに護身用の銃を向けている兄さんがいた。
「父さん‼︎」
俺は急いで倒れた父さんに駆け寄ろうとした時、
ドォン‼︎ドォドォン‼︎
爆発音と共に周りは火の海になっていった。
「くっ!と、父さん‼︎」
何とか足を踏ん張り俺は父さんに駆け寄った。
「父さん‼︎父さん‼︎・・・っ‼︎」
俺は父さんに呼びかけるが、父さんは息をひきとっていた。
「俺は亡国企業に行く。お前もついて来い。」
父さんに駆け寄っている俺に、兄さんは冷たい声でそう言ってきた。
「兄さん・・・、どうして父さんを⁈」
俺は、兄さんの言葉を聞かず兄さんに父さんを何故打ったのか、それを聞いた。だが兄さんは・・・
「火の手が直ぐに回って来る。早くしろ。」
そんな、兄さんの言葉に恐怖した俺には、兄さんが別人のように見えた。そして、今の兄さんにはついて行っては行けない気がした。
「こ、断る!」
「何?」
「い、今の兄さんにはついて行ってはいけない、そんな気がする・・・」
「・・・そうか。」ガチャ
「⁈!」
そう言うと兄さんは、俺に拳銃を向けてきた。
「今ここでお前を殺すことは、容易い。・・・だが、今までずっと一緒にいた兄弟として今は、見逃してやる。」
そう言って兄さんは拳銃をしまうと、俺に背を向けて歩き出した。
「ま、待て‼︎」
「・・・何だ?」
俺の声に兄さんは後ろを向かずに答えた。
「どうして・・・どうして父さんを殺した‼︎」
「・・・・・・」
「なぁ‼︎答えろよ兄さん‼︎」
「・・・お前は、知らなくていい。・・だが、どうしてもというのなら、ここから生き延びて俺を見つけてみろ。」
そう言って兄さんは、炎の中に消えていった。
「兄さん‼︎・・・くっ‼︎」
俺は、兄さんを追おうしたが倒れてきた瓦礫に阻まれてしまう。
次に、俺は父さんの遺体と太陽炉の資料を持って脱出すことにした。幸いにも、資料のほとんどはこの部屋の中央のテーブルに置いていたから、まだ燃えていなかった。
「よし!あとは、父さんと脱出すれば・・・」
俺は父さん脇に手を通して父さんの足を引きずりながら兄さんが行った方とは、逆にある出入り口に行った。
だが、煙を吸い体力が少ない自分が、一人分の重量を引きずりながら出入り口からでるのは、かなり時間がかかることは、無駄に良い俺の頭は直ぐにわかった。そして俺は・・・
「くっ・・・父さん、ごめん‼︎」
父さんの遺体を下ろして、泣きながら資料を持って全力疾走で出入り口に向かった。
「・・・はぁはぁ、やっと、出れた、はぁはぁ・・・早く、救急車を、呼ばなきゃ・・・」ドサッ
何とか外に出たものの大量の煙を吸いった俺はその場で倒れてしまった。
(くそ‼︎こんなところで倒れている場合じゃないのに・・・)
朦朧とする意識の中、俺は空から落ちてくるニンジンとその中から出てきた、いっつもハイテンションの不思議の国のアリスの様な服を着た兎と、いっつもその兎に付き従っていて俺の世話もたまにしてくてた輝くような銀髪を持った少女の二人が、こっちに駆け寄ってくるのを見て俺の意識は、堕ちた。
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