戦場のヴァルキュリア3~懲罰部隊の黒と白~ (戦闘狂の道化師)
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黒と白と新人士官

とある敵の帝国軍が占領している村のとある家の屋根に黒い軍服を着た男と白い軍服を着た女が寝そべっていた。近くでは銃声や爆発音が響いており周辺が戦場であることを教えてくる。

 

「合図は何だったか?」

 

「グスルグかイムカが空に向かって空砲を撃つ事じゃ無かった?」

そう話す男の方は腰に二丁のピストルを提げ治療の道具のラグナエイドと大量のピストルの弾を腰から提げている。女の方は腰に10個の手榴弾とマシンガンを持ち近くにおいている鞄の中には地雷や地雷撤去用の道具が入っていた。二人は戦場にいるとは思えないほどにリラックスしており気楽に話をしていた。その時、空に向かって一発の空砲が撃たれた。それと同時に男の無線に通信が届く。

 

『誰だ!?空砲を撃ったのは‼』

 

『お前には関係無い』

無線で聞いたことがない男の声と女性の声が聞こえてきた。女性の声は先ほど二人が言っていたイムカて言う特殊な武器を持つ隊員で殆どの仲間には心を開かないが二人には心を開いてくれている。数日前死亡したこの部隊の隊長も扱いに困っていたが優秀な隊員だ。

 

「どうした?。NO.1、俺達の出番か?」

 

 

『誰だ!?おま『そうだ。そちらに20人ほど向かった。此方が対処すると間に合わない。逃がさずに皆殺しにしてほしい』

男が体を起こしてみると確かに正面の通路を敵兵士がライフルを片手に後ろを気にしながら走ってくるのが見えた。

 

「あぁ、確かにな....わかった。始末するよ。No.1気を付けろよ」

 

『No.0達も』

 

『あぁ‼くそ、予定外の事ばかり起きる‼後で詳しく話してもらうからな‼』

そう無線を際切られた男は飴をガリガリと噛み砕く音を響かせながら無線を切った。

 

「誰だったんだろうな?。あの無線の男は?」

 

「さぁ?最近死んだ隊長の変わりじゃない?それより殺ろうか」

女はそう言うと腰につけていた手榴弾を三本掴むと敵に向かってわざとタイミングをずらし一つを敵がまだ居ない進軍方向に投げ残りを敵の前を走る10人の足元に転がした。先に投げた手榴弾が爆発し驚きのあまり足を止めた敵の足元に転がっていた手榴弾が爆発した。敵は爆風に飲まれ10人の兵士が瀕死の重症や即死となり通路には苦痛の呻き声や敵の怒号が飛び交う。

 

「行くぞ」

 

「は~い♪」

二人は二回目の爆風に紛れ屋根から飛び降りて敵の方を向きながら男は二丁のピストルを女はマシンガン構えた。

 

「撃て、撃て、敵だ‼」

敵は一斉に二人の姿を視認すると射撃を始めた。二人は素早く通路を挟んでお互いに家の影に隠れると女の方が敵に向かって銃を撃ち始め男はそれを静観する。最初の爆風で無事だった敵は撃ってこない男より銃を連射してくる女の方を驚異と考えて女の方を集中して射撃をする。すると弾幕か薄くなった所で男が物陰から上半身を出し五発の弾丸を敵に放った。その弾丸は敵の頭に吸い込まれるように当たり敵が倒れる。

 

「なっ‼」

敵が一度に五人倒された事に驚き意識が男の方に向いたタイミングで今度は女が....

 

「お願い」

対戦車地雷を放り投げた。地雷は本来誰かが踏むことで起爆する物で普通、人に向かってただ投げるだけでは意味はない。だが..あくまで普通に使うならだ。その地雷が敵の近くに落ちかけた時、男が地雷を撃ち抜き起爆させ敵を爆死させ敵を全滅させた。

 

「一際派手になったな」

 

「全滅をさせたから問題ないでしょ」

二人は軽く周囲を爆発物で半壊させたことを気にすることもなく部隊が駐留している場所に向かって歩き出した。

 

 

 

 

「リュウ‼レイ‼」

 

「抱きつくな、イムカ」

拠点に戻ったリュウ達を、待っていたのはイムカからの抱擁だった。リュウはイムカを押し退けると後で話相手になると伝え、頬を誰かに殴られたように腫らした男に近づく。

 

「お前が死んだ隊長の代わりか?」

 

「No.7クルト・アーヴィングだ、」

 

「そうか、俺は今は支援兵のNo.0、ジョーカーとか呼ばれている。名前はリュウ。ダルクス人だからファーストネームしかない。こいつは妹の」

 

「私は技甲兵のNo.2のレイ。よろしくね?まだ隊長ではない隊長さん?」

クルトはこの時レイの言った言葉の意味をまだ知らなかったのだろう。隊長ではない隊長と言う言葉に頭を悩ませていたのだが翌日に下った新たな命令とグスルグの説明によってこの言葉の意味を理解するのであった....。

 

 

 



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幕間 リュウの過去と物資調達担当

新しく422部隊に配属されたクルトが上司のクロウ大佐に新たな命令を聞きに行っている間リュウはレイを連れてとある奴を訪ねていた。

 

「よっ、カリサ。やっと、見つかったんだって?」

 

「あっ、リュウさ~ん。大変だったんですよ~。リュウさんの愛銃を探して上層部のお偉いさんの欲しがる違法な品をを渡してやっと、横流しをしてもらったんですからね~」

彼女はカリサ コンツェン。ガリア軍兵站部所属の正規軍人で422部隊担当の物資調達係。実は422部隊の制服は一人一人違うのだが彼女の趣味が大きく性格はおっとりしているようで毒舌で守銭奴だが、リュウとレイには甘い。リュウは彼女にとある銃を探してもらっていた。それは....

 

「やっと俺の手に戻ったか...」

リュウはカリサから受け取ったのは真っ黒な狙撃銃だ。リュウは元ガンスミスで銃の設計や組み立てをしていたのだがガリア軍にダルクス人だからと身に覚えの無い罪で逮捕され422部隊に配属された。この銃は逮捕される2日前に完成した物で村を少しでも仲間が安全に守れるようにとリュウが研究していた物だった。カリサによるとガリア軍上層部はこの銃を解析し近い内に量産され各部隊に配備されるようだ。

 

ついでにダルクス人についても説明しよう。ダルクス人はこの地域周辺で信仰されているユグド教において災厄を巻き起こし蒼き戦乙女 ヴァルキュリアによって制圧された人種とされており、身体的特徴としては多くのものが紺色の髪を持つことが知られている。ダルクス人は災厄を起こしたとされている事が理由で差別によって名前を奪われさらには迫害されている。ダルクス人はその迫害に対して相手にやり返しても新たな恨みを生むだけと殴られたりしても抵抗したりやり返さない事が差別が終わらない理由かも知れない。

 

「よかった。また一から作ると大変なんだよな」

 

「特殊な弾薬を使っているとか言ってましたかどんなのを作っているんですか?」

 

「銃の音を少しでも静かにさせる方法はないものかと探って作ってみた試作品だ。カリサ、ちょっと向こうに瓶を置いてみてくれ」

そう頼まれたカリサは、リュウから10mほど離れた場所にビール瓶を一本置くとまたリュウの横に戻ってきた。

 

「これで良いですか~?」

 

「あぁ、それじゃあ行くぞ」

リュウは、瓶を狙って銃の引き金を引いた。銃はパスッと気の抜けるような音を出しながら弾丸を放つと弾丸は瓶の中心を捉え瓶を見事に砕た。

 

「こいつは他の銃より実は火薬の量を減らしたり他の弾より重くして弾速を遅くしていて銃声が殆どの鳴らなくした」

 

「あ~だからですか。上層部が火薬を足さねば役に立たないとか言ってたんですね~」

リュウ達が首を傾げるとカリサが説明してくれた。どうやら上層部は弾を分解した際に火薬の量が少な目なのに気がつき火薬の量を増やして威力を上げるつもりだそうだ。直線で狙うことしか考えてないのだろう。浅はかな考えだとリュウがため息を突いた時、

 

「次の任務について説明するぞ」

そう言いながらクルトが来た。クルトの周囲に戦車の操縦士のグスルグと偵察兵の女性のNo.13のリエラそしてイムカが机を囲んでいた。

 

「それじゃあ行ってくるよ」

 

「行ってきまーす」

「行ってらっしゃい~。....死なないでくださいね。リュウ」

恋する物資調達係の声はリュウに届くことはなくまた二人は戦場に向かっていくのであった。彼女と二人が肩を並べて戦うのはまだ先の事である。



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世界観 人物 資料集

この資料集は読者様が分かりにくいであろう事を書いていくものです。質問を頂けば私が知っている限りは此方に追加されていきます。ダルクス人の伝承の真実は2で明かされる事実なのですが、知りたいと言う方は感想に書いていただければ追記するかもしれません。10人ほど知りたいと言う方が出てくれば伝承の真実について書きます


伝承など

ダルクス人

ダルクス人とはこの地域で信仰されているユグド教の伝承において「ダルクスの災厄」起こしたとされる民族である。

この災厄によって100の都市と100万の人畜が焼き払われたとされ、このような伝承から、これを鎮めたヴァルキュリア人と対比して歴史上において迫害を受けるなど過酷な差別を受けており、今なおその意識は根深い。

勤勉で真面目で手先が器用そして髪色は深い紺色の者が多い。身につける物(ストールなど)に独特な模様があるなどの特徴がある。伝説には隠された事実があるのだがその事実は誰も知らない。

 

武装

ヴァール

イムカが持つ大型兵器で大剣と機関銃、個人携帯用の大砲を組み合わせた複合武器

 

人物

リュウ

とある村でガンスミスとして働いていた。リュウ達はその村に3才の頃に村人に山に捨てられていたのを見つかり保護されその村の人々はリュウとレイがダルクス人であることを気にせず優しくし村一丸となってリュウとレイを育ててくれた。リュウ達もその事を感謝しておりその恩に報いようとして猟銃などを整備するためにガンスミスになり村人に恩を返して行くつもりだった。身に覚えの無い罪状により捕まり422部隊に送られてからは、余り武器などが回されずに苦労している隊員達の為に銃の整備やその人に馴染みやすくするための改良、更には修理まで請け負っており隊員達からの信頼も厚い。イムカとは同時期に部隊に入りイムカの持つ大型武装ヴァールの設計と製作をした事もあり仲が良いが他の隊員に心を開けないイムカを心配している。

余談だがカリサとも部隊に入ってからの付き合いでカリサの敵に襲われても物資を必ず届けるという熱意を何度か見ておりその度に敵を迎撃し助けているためカリサに惚れられた。だが、カリサとイムカの恋心にはリュウは気づいておらず妹のレイは気がついてはいるが面白そうだと静観している。

 

 

レイ

リュウがガンスミスとなり村に恩を返そうとしていたがレイは狩猟罠の方を極めていった。レイの罠は定番の虎ばさみに始まりワイヤートラップなど多岐にわたる。リュウと共に捕まり軍に入ってからは地雷や手榴弾についても勉強を始め爆弾の魅力に目覚め地雷を仕掛けたり解除したりする技甲兵となりリュウと共に様々な戦場を駆け抜けた。カリサとイムカの恋心には気づいているが本人はどっちが姉だろうと友達だろうと仲良く出来るしぶっちゃけ兄の取り合いしているのを見るのが楽しいから放置をしている腹が少し黒い女である。因にだがレイは身長が低めための子供と勘違いされたりするので変装して潜入する場合は厚底の靴を履いている。



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