PMC装備で異世界に転勤になりました!? (フワフワクド)
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第1章 -森の奥深く、そこに眠る物とは-
1発目 依頼と転勤のお知らせ&人生終了のお知らせ


こんにちは!イタグレです:)
アリアとの同時進行が不可能だと思い始めたら少しの間どちらかを休止させていただきます。できる限り同時進行出来るように頑張ります!

少しずつ気温が下がってきて肌寒くなってきております。私は早速風邪引きまして体が怠いですX(((

みなさん体調には気を付けましょう、冬や秋の風邪ほど辛いものはありませんから...

それでは新作第1話どうぞ!


1発目 依頼と転勤のお知らせ&人生終了のお知らせ

 

俺は昨晩『重要人物を援護、第三勢力が噛んでたらそれも殺せ』という簡単なお仕事を終わらせて眠っていたところだった。基本的に俺に家はなく、給料で買ったハンヴィーに寝袋と大量の銃器を置いて生活している。

意外と寝やすい為苦労はしていない。

 

そして眠っていた所に仕事用の無線から大音量の声が聞こえる。

俺は知らないフリで無視し続けると無線の相手が弱点を突いてきた。

 

『ガールフレンドに戦死したって言ってもイイんだぜ?フェルト』

 

俺の恋人のライラは俺にベッタリで、俺が怪我をすると仕事ほっぽって俺の相手を良くしてくれる。彼女は家を持っており、暇な時に寄ると泊めてくれたりする。

基本的に家を持っていないと言ったのはこのせいだ。

 

「...フェルトだ、さっき仕事から帰ってきて今から眠るところだったんだ。急用じゃなきゃぶっ飛ばすぞ、ガーミン」

『そう怒んなってフェルト。社長から直々にお前に伝言を預かってる。お前は明後日からイタリアに転勤だってさ』

 

「PMCに転勤って初めて聞いたぜ。まぁ分かった。おやすみガーミン」

 

『ゆっくり休めよフェルト』

 

そう言い無線のスイッチを、offにして受信しない様にした。

 

そして眠りにつき、目を覚ましたのは3時間後だった。時間は5:48を示している。

俺は車のキーを回しエンジンをかけて彼女の家に向かう。

彼女の家には数時間で着き、玄関のチャイムを鳴らす。

 

すると出て来たのは見た事も無い男で、その後ろから半裸状態の彼女、ライラが出て来た。

 

彼女は顔を真っ青にして隠れる。俺は男を軽いパンチで気絶させ、彼女の髪を持ち、引きずり出す。

 

「何か言いたい事は?ライラ」

 

「...その...ごめ...なさい」

 

「まぁ、もう会う事は無いから謝られてもって感じだけど。イタリアで仕事するから帰ってこないつもり、そこの男と仲良くしろよ」

 

俺は左手薬指に嵌っていた婚約指輪をその場で外し、落とした。すると床が石だからか金属が跳ねる音を部屋に響かせた。

その光景を見た彼女は号泣しながら自分が間違っていただの、次はもうしないだの言っていたが無視して車に乗り込み空港に行った。

 

空港に着くと仲間が勢揃いで見送りに来ていた。

イタリア行きの便が発つギリギリまで話していたみたいで、走って飛行機に乗り込んだ。

 

そしてチケットに記載されている席に座る。するとすぐに離陸した。

もう飛行機には乗り慣れたがいつもの違和感は消えない。

 

そして数分後に機体が左右に振られ、真っ逆さまに墜落した。

墜落する寸前に目を開けると目の前には緑の平原が広がっており、目をまた閉じると水面に叩きつけられる衝撃が伝わってきた。

 

 

また目を開けるとさっきみた平原が広がっており、乗客の200人もそこに立っていた。そして数十メートル前には白を基調としたデカい門が降ってきて、音もなく地面に着いた。

 

すると彼らはその門を目指しゆっくりと歩き出した。

 

俺は背後に視線を感じて振り返り、咄嗟に半身になって右手を突き出した。すると俺の右手には赤と黒の槍が握られており、笑い声が聞こえてきた。

 

「誰だ」

 

「まさか止められるとは思ってもいなかったよ、フェルト君」

 

彼は、俺の右手の槍を左手で引っ張ろうとする。俺は槍を引いて地面に突き刺す。

 

「気に入ったのならそれはあげよう、僕からの餞別だ」

 

右の槍を見るとだんだんと煙みたいになって、俺の右手首に纏わりつき、赤黒い腕輪となった。

 

「お前は誰だと聞いている」

 

俺は視線を前に戻し彼を睨みながらそう言った。

彼は苦笑いしながらこう言った。

 

「僕はカミサマだよ」

 

「GODの神様か?」

 

「GODの神様であり、カミサマって言う名前だよ」

 

俺は思わず笑った。名前がカミサマだって、仕方ないよね。

 

「なんか失礼だな。まぁいい、本題はこれからだ。君達は確かに墜落し、死んだ。そして彼らは私の力で冥土送りにしたんだが、なぜか君は自我を保ったままで私の存在に気付いた」

 

「何が言いたい?」

 

「要するに、神の力にも対抗する精神を持ち合わせている君を気に入ったのさ。だから私が見ている世界に来ないかい?」

 

彼は俺からして右側に先程の白い門を出した。そして左側には鉄の鈍色の門を出した。

 

「右の白い門を潜ると冥土へ行き、ここであった事も忘れ、何かに生まれ変わる。そして反対の鉄の扉を潜ると君達の世界でいう異世界転生する。」

 

今、何かに生まれ変わるって言ったよね?何かって、なに?もしかしてフジツボとか?絶対に嫌だかんね!

 

「その世界は楽しいか?前の世界より幸せになれるか?」

 

「それは全て君次第。望むのなら与えよう。けど、それで満足するのかい?僕なら自力で欲しいものをかき集めるよ」

 

彼は笑いながら俺に問いかける。

俺の答えはノーだ、そんな甘ったれた世界なんて満足なんてするはずがない。今までも気に入らない事があれば自分で解決してきた、次は恋人を不安にさせないように週1で会うようにしよう。

恋人が出来るかわからないがな。

 

「ほら、答えが決まってるんだから門をくぐりたまえ。君の見たい世界が目の前にあるんだ」

 

「ありがとな、カミサマさんよ」

 

「どうってことないさ、存分に楽しむんだ」

 

俺はそんな声を聞きながら門をくぐった。そして薄暗い森の中に出た。

上を見上げると夜で、背中が突然重くなったので後ろを触るとリュックがあった。

その中に入っていた野宿セットで野宿をし、夜を過ごした。

 

目を覚まし、完全に脳が覚めるまでゴロゴロする。

完全な状態になり、テントなどを畳み、リュックに仕舞う。そして森を抜けると昨日みた平原に似た景色が広がっていた。




いい忘れましたが週一投稿です!

それではよい週末を...


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2発目 異世界に来てしまった...

おはようございます!天気が良くならないのですがそれはなぜでしょうか...天気良くなってくれー

それでは2話投稿です!

どうぞ!


俺がこの世界に来て良かったと初めて感じた瞬間はここだった。

太陽が程よく照りつけ、平原の草たちが風で靡いており、暑くもなく寒くもなく程よい感じだったからだ。

 

そして遠くを見ると白っぽい壁みたいなものが見える。おそらく街の防壁なのだろう。

そこに向かって歩いていく。

 

すると突然目の前にメッセージみたいなものが現れた。

 

『前の世界で持っていたものは全て召喚出来ます』

 

俺は頭の中でハンヴィーを念じると目の前に現れた。

さすがにこれで移動すると騒ぎになりかねないので、一度しまい徒歩で移動する事にした。

 

 

門前に行くと兵士が3人おり、出入りする手続きをしていた。

そんなこんなで10分ほど待つと自分の番になったので小走りで行く。

 

「ようこそステインへ。お前さんはギルドカードか商人証を持っているか?」

 

「いえ、持ってないです」

 

「なら銀貨2枚で入れるが、手持ちはあるか?」

 

無いです、と言おうとしたら目の前にメッセージが浮かんだ。目の前の門番は何も反応しないため、俺にしか見えていないのだろう。

 

『前世の世界のお金は換金してリュックに入れてあります』

 

なんとありがたい事だろうか、前世では小金持ちだった為、手持ちは結構あるはずだ...俺はリュックを手で探る振りをして財布を召喚し、銀貨2枚を手渡す。

すると門番は、今日の日付けと門番の名前らしきものを紙に書き、書いた紙にハンコを押した。

 

「出る時にはこれを見せてくれたら大丈夫だ。入る時にはこの用紙と、出る時に渡す用紙を持ってきてくれ。そうしたらタダで出入り出来るからな。この紙は無くさないように」

 

「ありがとうございます、お仕事頑張ってください」

 

そう言うと彼は頑張れよと言ってきた。俺は前を向きなおし冒険者ギルドがどこにあるか知らないが、冒険者ギルドを目指し歩いていく。

 

この街には看板が数十メートルごとにあり、その看板でギルドの位置を把握する事ができた。

 

冒険者ギルドを発見し、中に入ると恐らくだが、依頼を受けようとする冒険者で受付がごった返していた。

その隣にはカウンターがあり、メニューらしき物が書いてある板が貼り付けられている。おそらくギルドの食事処なのだろう、朝からは流石に酒を飲んでいる奴は居なかったが、朝食としてもの凄い量食べてる人が大勢いた。

 

「こんな朝からどうしたんだいおチビちゃん、ママの所から逸れちゃいましたかー?ギャハハハハ」

 

身長2メートルはありそうな大男達が俺の目の前に歩いてきて、俺をバカにしてくる。

 

たぶん170はあると思うんだがな...

 

そんな事はさておき睨み返す。

すると男達は目を鋭くさせる。

 

「ガキがガンたれてんじゃねぇぞ?まだギルドにも登録してねぇ雑魚なんだろ?いいからそこ退けよ」

 

「お前こそそこ退けよ、ママに習わなかったか?人を見た目で判断するなって、もしかしてお前はパパから産まれたって奴か?笑わせるなよ片腹痛い」

 

俺はクスクスと笑いながらも言い返す。男の手が俺の首元に来るのが見える。普通なら結構速いのだろうが、何故か俺の目には遅く映る。

そしてその手を掴み取り、背負い投げの要領で男を投げる。

叩きつけられた轟音でギルド中が注目し静かになる。

 

そして前世で使っていたM9A1を召喚し、男の左の耳元で床に向けて発砲する。

ギルドには発砲音と薬莢の跳ねるいい音が木霊する。

おそらく男は気絶して、左耳の鼓膜が破れただろう。

男の周りにいた奴らは俺を痛い目に合わそうと、我先にと殴りかかってくる。俺はM9A1をしまい、赤黒い槍を召喚。

そして槍で攻撃を受け流し、その力を利用して攻撃する。

 

彼らの鳩尾や頭の位置には石突きが当たり、何が起きたのか分からず気絶した。

 

そうしているとタイミングを見計らったように、カウンターの奥から同い年ぐらいの女の子が走ってきた。

 

「あ、あなた大丈夫ですか?」

 

「見ての通りピンピンしてるが?怪我はしてないと思うが、こいつらの手当てしてやってくれ」

 

「は、はい」

 

彼女は俺に怯えながら周りの冒険者を纏めて男達を壁際に引きずって手当てしだした。

 

俺は何事も無かったかのように受付に歩いていくと、並んでた冒険者が散っていった。

 

「冒険者の登録したいんだけどお願いできる?」

 

「え、えっと登録は彼女の役目でして!」

 

指を指したのは先程走ってきた女の子だった。向こうの方でええ!?って驚いている声が聞こえてくる。

なんとなく分かった。怖いんだろ?大丈夫だって攻撃しないから。...たぶん

 

「自分がしたくないからって彼女に押し付けるのはどうかと思うぞ?」

 

少しドスを効かせた声で睨みつけると、少々お待ち下さい〜!と言いながら逃げて行った。

 

少しすると手当てしていた彼女が受付に帰ってきた。そしてカウンター下から紙を取り出してきた。

 

「こ、こちらが登録書になります」

 

「そんな怯えなくてもいいのに、取って食おうって訳じゃないんだ」

 

「は、はいぃ」

 

てか、さっき逃げてった人何しに行ったの?登録用紙ってカウンター下から出したよね?何しに行ったんだろ。

 

「そ、それでは。ギルドカードの登録料なのですが、クエストのFランク報酬役3回分、大体銀貨10枚を支払っていただく事になります。それにご了承いただける場合はサインをお願いします。

そして名前と年齢、使用武器を書いてください。それでギルドカード(冒険者証)を作ります。そして冒険者はF〜Sの7つのランクに分けられます。Sランクに近ければ近いほど強い冒険者です。B〜A、A〜Sに進級しようとすると、進級試験が行われます。試験では基本的に実力と礼儀、マナーが重視されます。そして冒険者になるとギルドの食事の10%割や、どの大陸の街にも無料で入る事ができます。またギルドでの素材の買取を行う事が出来ます。」

 

彼女は俺が書いている間にざっと説明してくれる。大体分かっていれば苦労する事はないだろう。

紙と銀貨10枚を提出すると、金属の板を取り出し紙を乗せ、魔力を込める。

すると金属の表面には先程書いた情報が全て表記されていた。その他にはクエストの成功数と失敗数、緊急クエストの参加不参加の回数が記入される欄があった。

金属の板はシルバーがくすんだ色に変わり、ランクが上がると色が綺麗になっていくらしい。Cランクまではくすんだ色が少しずつ減っていき、BランクがシルバーでAランクがゴールド、Sランクでは黒になり、文字が金色になるらしい。ブラックカードだな、まさに

 

「そしてクエストですが、自分の1つ上のランクが上限です。下限は自分の1つ下です。パーティでクエストを受ける場合、ランクの平均値の±1が限度になってます」

 

「大体分かったんだけど、F〜Eとかにランクアップする時はどうやったら分かるの?」

 

「ランクアップはギルドカードが判断してくれます。パーティを組み、トドメだけ刺したり、他の人が倒すのを見ているだけではランクアップしない様になっています。クエスト成功時にギルドカードを預かり成功数や失敗数の更新、ランクアップの有無を調べます。そこでランクアップしている事が分かればお知らせいたします」

 

なるほど、他人任せでランクアップできない様に工夫されているのか、いいシステムだと思う。

 

俺は早速クエスト表を見せてもらう。

 

「じゃあEランクの討伐系見せてもらえる?」

 

「さ、早速Eランククエストですか!?Bランクのアレーさんを投げる程の実力があるのは分かっていますが油断はダメですよ?」

 

ほう、先程投げ飛ばしたのはアレーという名前らしいな。なにかあるかもしれないし、名前は覚えておこう。

 

そう言いながらも彼女はEランククエストを見せてくれる。

討伐系クエストは

1.ミニサイクロプス2匹の討伐

2.ゴブリンテスタロッサの討伐

3ゴブリンエリート3匹の討伐

 

だけである。

気になるのは、ミニサイクロプスとゴブリンテスタロッサである。

ミニサイクロプスは小さいサイクロプスなのだろう。だがゴブリンテスタロッサだけはわからない。

 

「ゴブリンテスタロッサっていうのは?」

 

「ゴブリンテスタロッサと言うのは、頭が赤色のゴブリンなんです。だから赤頭のゴブリン、ゴブリンテスタロッサって言うんです。このゴブリンにあったら必ず逃げてください!Bランクの人でもやっとなんですから!」

 

なんでそんな危険なクエストEランクにあるの?ねぇなんで?

流石に無謀にも受ける訳には行かないのでミニサイクロプスの依頼を受けた。

 

「ついでと言っちゃなんだけどさ、ご飯美味しくて、人気の宿教えてくんない?」

 

「それでしたらギルドの裏にある『馬小屋』っていう宿が今ブームですよ」

 

「...ありがと、じゃあ行ってくる」

 

かれこれ20分近くいたギルドを後にして、宿『馬小屋』に行く。

名前からしてマトモな宿じゃ無さそうだが、今ブームという事はマトモな宿なのだろう。

 

『馬小屋』に着き、扉を開けると馬小屋をイメージして作られた食堂と受付が見える。

 

「宿取りたいんだけど今いい?」

 

「はい!何泊されますか?あとお馬さんはお持ちですか?」

 

「取り敢えず30日、馬は無し」

 

「30日でお馬さんは無しっと、朝晩の食事付き、1泊銀貨3枚で30泊で金貨9枚になります。宜しければこちらにサインをお願いします」

 

馬が居ると少し宿代が安くなったりするらしいが、その為だけに馬を買うわけにはいかない...

 

俺はサインをし、金貨9枚を渡す。すると308号室に案内された。長期宿泊の場合は上の階に泊まるようだ、短期の場合は泊まったあとの清掃などの手間を考え、低い階から泊まっていくようだ。

 

部屋に入ってリュックを下ろし、ベッドに倒れこむ。そしてクエストを受けていたことを思い出し、すぐリュックを背負って宿を後にし、門に向いて歩いていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ほぅ?異質な魔力がこの街に混じったな。ここで感じれるということはとても強い魔力の持ち主、迂闊に接触すると危険だな。兎も角今は経済復興が先だ、不思議なことに毎日貧困層が増えていっている...強大な魔力の持ち主が邪魔をしないと良いのだが...」

 

執務室で書類と睨み合い、窓の外を振り返ったのは、この街を治めるもの『ステイン・ウッド』だ。

彼は魔力感知が大変優れており、魔導士の才能がある。他国との戦争でも、我先にと戦場に突撃し敵を圧倒する実力がある。

 

そんな彼は感じた事もない魔力で少し興奮したが、目の前の書類の量をみて真面目に仕事に取り組みだした...

 




ホント私生活が忙しくてアリアの方も、こっちも書き溜めが減っていく一方ですぅX(((
『時間は皆平等、時間はつくるもの』です!時間が無かった等、言い訳にするのは仕事ができない人が口にする言葉です!

まぁ小説投稿は仕事じゃないので、マイペースで書き溜めて行きます。

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3発目 初クエスト、初モンスター、そして初大手柄

3話目投稿です。

誤字脱字あれば報告オナシャス

それではどうぞ


 門に着くと門番達が暇そうに椅子に座って談笑していた。

俺が歩いてくるのが見えたのか座っていた1人が立ち上がって歩いてくる。

俺はギルドカードを見せて門から外へでる。

 

「ミニサイクロプスの討伐...体長は1メートル程だが、体格からは想像できないほどの力を発揮するらしい。出現場所は街の前の森に単体で...」

 

今回は見つけられる前に攻撃。その為スナイパーライフルが重要視される。

 

そして召喚したのは《M40A1》

 

意外と使い勝手が良く、向こうでは重宝していた。スポッターをつけずに自分で弾道予測し射撃していた為、大体どの距離で、どんな風で、弾がどういうふうに飛んでいくのか分かっていた。

 

森に入る50mほど前で1つ目の青いモンスターを発見。ここからは凡そ70m。

即座に伏射に移る。バイポッドを立ててミニサイクロプスに狙いを合わせる。よくよく考えたら0点調整やってないけど、向こうからそのまま呼び寄せたのならしている状態だろう。

 

第1射...息を止め、正確性を上げ、ミニサイクロプスの目にレティクルを合わす。そして射撃。

 

無事1匹の討伐は終わった、あとはもう1匹。死体回収する為に森へと向かう。今度は《M40A1》をしまい、接近戦が予想されるので《UMP45》を召喚。

 

森に入りミニサイクロプスのある所に行く。そして腕輪の能力で収納出来るのか試したところ出来た。出来たけどモンスターだけ収納制限があり、現在は500匹との事だった。モンスターを解体して、素材や部位毎にいれればモンスターとは認識されないから、出来るだけ早く剝ぎ取りの技術を身に付けろとの事だった...

 

収納が終わって周りを探索する。いくら探しても探してもモンスターが1匹もいないから森の奥深くへ足を踏み込む。

 

「おっかしいよなぁ、情報だと深くに行かなくてもいっぱいいるって事だったんだけど。それに少しずつ獣臭くなってきたし、デカイのが来るかもな」

 

そう独り言を喋った矢先、目の前から氷の矢が飛んできた。それを間一髪のところで近くの木に隠れて回避する。木の陰から見てみると銀色の狼だった。避けられた事を悟ると狼がこっちに向かって走ってきた。

俺はUMPのセレクターをセミオートにして1発、頭めがけて弾が飛んでいく。

すると狼が頭を下げて弾が背中を掠める。狼は走っていたのになぜか足を止め、地面を滑る。

近くによると狼が声だけ出して威嚇してくる。

 

某漫画で狼の脊椎をスナイプして、一瞬圧迫させて神経を麻痺させてる子がいたなぁ...

 

そんな状態になっていた。

 

「狼よ、俺に従えばいい事尽くしだ、飯も何もかも。けど手足が動くようになり歯向かうのであれば殺す。選択肢は2つに1つ、どうする」

 

狼は犬が懐いた時のような声でクゥーンとなき、口の近くに手を出すと手を舐めた。

麻痺が治るまで数分。

狼の名前を考えながら、ミニサイクロプスを解体して、肉を調理する。

 

焼いて、物は試しで胡椒を呼び出してみる。するとちゃんと出てきたのでそれを少し振りかける。

ナイフで端を切り取り、食べてみるとステーキの様な感じがした。スーパーで売っている様なステーキの食感。

うまい...これは狼にも食べれるはず。

 

まだ完全に治っていないのか頑張って立ち上がろうとする。俺はそれを制止して頭を撫でる。

前足の前に手を出すと手を乗せてきた。よくわかっている。

ミニサイクロプスの肉(以下ステーキ)を一口サイズよりも少し小さ目に切って食べさせる。

すると立ち上がって皿の上にある塊を食べ出す。喉に詰まらせない事を確認し、見守る。5分程で食べ終わり、胡座をかいている所にきてスッポリと嵌った。

 

「狼、名前はあるのか?」

 

狼は首を起こして左右に振る。

 

「ならこれから名前はハイマキだ、おーけー?」

 

ワン!と吠え、また胡座の上で寝る。

 

「狩があるから行かなきゃならないんだけど...」

 

ハイマキは胡座から退けて背伸びをする。そして俺は立ち上がり《UMP45》を再び召喚する。

 

それから5分程歩き、数十m前に開けた土地がある事に気づいた。そこには2mほどのゴブリンテスタロッサが他のモンスターに指示?を出していた。

その中にミニサイクロプスや他の狼、ゴブリンなどのモンスターがいた。

 

俺は異常事態だと察し、《M82A3》を召喚。マガジンに3発装填されてる事を確認。

 

「ハイマキ、デカイ音するから耳伏せて遠い所に行っててくれ、終わったら大声で呼ぶからな」

 

ハイマキは項垂れてきた方向を戻って行った。

 

俺はスコープを覗き込み、ゴブリンテスタロッサの頭に狙いをつける。

そして射撃。ライフルの弾速には反応出来なかったのか、頭を撃ち抜かれて2mの巨体が倒れる。

 

「ハイマキ!!来い!」

 

するとハイマキが氷の矢を撃ちながら走ってきた。

 

俺は《M82A3》を収納、《SCAR-H》を召喚、サイレンサーを付ける。

俺は右から、ハイマキは左から襲っていき、ハイマキは自分と同じ狼を逃がす。それを差し引いても30体近くいたモンスター達が数秒で殲滅された。

 

俺はモンスターを片っ端から収納していき、ハイマキを呼び寄せる。

 

「ハイマキ、逃がした狼達はどこに行った」

 

ハイマキはグルルルと威嚇してきた。逃がした狼達を襲うと思ってるのだろう。

 

「別に襲うと思ってるわけじゃない。ハイマキも仲間が欲しいだろ?」

 

そう言うとハイマキはグルゥとなき逃がした方に走って行った。おれも走って追いかける、すると狼達は一斉に氷の矢を飛ばしてきた。

俺はそれを避け、ハイマキが止めに行く。

数分でハイマキ達は大人しくなり、俺からご飯を掻っ攫って凄い勢いで完食していった。

 

ハイマキはまた胡座に嵌って寝だした。

 

「悪いが狼達、街に入れるのはハイマキだけなんだ。だから街に戻ったら、街の外で少し大人しくしててくれ、もし冒険者達が襲ってきたら返り討ちにしてもいい。でもできるだけ問題は起こすなよ」

 

伝わったのか一斉に吠えた。

俺はハイマキを起こして森から出る。

 

 

それから人1人と狼6匹の集団が街の門にいた。

 

「門番さん、帰りました。この子達は門の前に置いていきますのでちょっかいかけたらダメですよ」

 

「帰ってきて一言目がそれか!?Bランク級の狼を門の前に置いておけるか!街で騒ぎになるわ!」

 

「じゃあ門から死角になる所に置いていきますんで、出て行く人達に襲うなと教えてくださいね」

 

「......仕方ない、本当に懐いている様だからな」

 

俺の足の周りには狼達が纏わりつき、歩けない状態になっていた。そのうち1匹、ハイマキだけは俺に抱っこされていた。

ハイマキの首には魔力を封じる首輪がされた。

 

狼達は門の死角に座ったり寝転んだりしていた。

 

俺とハイマキは門番にギルドカードを見せて街に入る。ギルドまでにいろいろな視線を向けられたが、無視してギルドに向かう。

ギルドに入る前にハイマキを下ろして、ギルドに入る。すると二度見する者や武器を抜く者、俺が歩いていくとハイマキか付いてくる。

カウンターに行くと奥から彼女が走ってきた。

 

「依頼達成ですか!おめでとうございまひゅっ!?シルバーウルフ!危険です!離れてください!」

 

「大丈夫だって、それで、ミニサイクロプスの角だな。あとゴブリンテスタロッサ倒したんだけどさ、デカかったな。さすがにビビったわ」

 

「ゴブリンテスタロッサを倒した!?嘘はいけませんよ!嘘は!」

 

俺はゴブリンテスタロッサをギルドのど真ん中に出す。

酒や食事をしてた冒険者達が立ち上がり走ってくる。

 

他のギルド職員が奥で走っている音が聞こえる。

 

「大きい...確かにこの体つきはゴブリンテスタロッサ...けどこの大きさはいったい」

 

「な?デカイだろ?俺は普通のゴブリンサイズだと思ってたんだ」

 

「普通のゴブリンテスタロッサならそうです。ですがこれはゴブリンテスタロッサの希少種だと思います、けどこんな事前例がなくて...」

 

2人と1匹、その他冒険者がうなる。すると奥からコツコツとハイヒールか何かで歩いてくる音が聞こえる。

 

「...確かにこれは前例が無い大きさね」

 

 




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4発目 いっきに2ランクアップですです!?

こんです!

これも二週間投稿休止させてください!

それではどうぞ!


俺はあの人だれ?ってなりながら足音がする方を見つめる。彼女はギルド長!?と驚いていた。

察するにギルド長なのだろう。

 

「いくらで売れる?」

 

「これはおそらく白銀貨2枚から3枚が妥当だと思うわ。外傷が少ない、と言っても1つの穴しか空いていないけど、それが高得点よ」

 

そりゃそうだろう、一撃で仕留めたし、下も土だったから特別大きな外傷は"今の所"ついてない

 

「魔石以外は好きにしてくれて構わない、それを込みで考えてくれ」

 

「なら買い取れないわ、でもあなたの腕を買いましょう。白銀貨1枚よ」

 

「冗談はよしてくれ、白銀貨2枚。あと仲間のシルバーウォーウルフ7匹を街中に入れる権利をくれ」

 

睨み合いが続く、向こうはシルバーウォーウルフの所で眉がピクっと動いた。さすがに7匹ともなると判断に迷うのだろう。

 

「うふふっ負けたわ、白銀貨2枚とシルバーウォーウルフ7匹を街の中に入れる権利ね。じゃあ出来るだけ希少種の価値が下がらない内に剝ぎ取っちゃいましょう。裏へきて」

 

どうやら勝ったらしい、でもなんだろう、この敗北感。

モンスターをしまい、受付にギルドカードを渡し、更新をお願いする。

 

 

裏に行きゴブリンテスタロッサの解体をする。約束通り魔石はもらい、他はギルドに買い取ってもらった。

そして数時間かけて他のモンスターも剝ぎ取りを済ませ、しまい込んだ。

その時にギルド長から門番宛の手紙をもらった。

 

ギルド長はシエルという名前らしい。

門番長はリックという名前らしい

 

受付に戻り、ギルドカードを返してもらう。

 

「あの、2ランクアップ。おめでとうございます...」

 

彼女の口から出たのは一気に2ランクアップしたということだった。

その一言でギルド中がザワつき、関わったら危ない奴というレッテルが貼られた。ような気がした。

 

「Cランクか、まぁ妥当だと言えば妥当だよなって感じがする」

 

こんな受け答えにカチンと来るものもいれば、Bランクを投げ飛ばすのだから妥当だと思っている奴もいるはずだ。

 

そして18歳ぐらいの青年が俺の専属受付となっている彼女と俺の間に割って入ってきた。

 

「なぁアンタ、俺の受付嬢と何勝手に話してんの?俺が誰だか知ってんのか?」

 

「知ってるはずないだろ?分かった。ゴブリンだな?いや言わなくても分かるよ、そのクソ生意気な口調と相手を選ばない性格からな」

 

ちょいと挑発してやると見事に乗ってくれる。顔を真っ赤にして殴りかかってきた。それを俺は掴み取り前のめりになるように姿勢を崩す。そして鳩尾に膝蹴りを食らわして悶えてる時に、背中に全体重を乗せた肘打ちを食らわせる。息が出来なくなっておりその隙に頭を下から蹴り上げる。

するとそのまま気絶したのか後ろに倒れていき、床に寝転んだ。

 

「あ、あの。死んでないですよね?」

 

「死んでない、多分。ほっといて良いと思うぞ」

 

俺は何もなかったかのようにスタスタとギルドから出て行き、ギルドをあとにした。

 

門の外に置いてきていた狼達を連れてくるため門に向かう。

俺の姿を確認した門番がリックを連れて出てきた。

 

「もう出ていくのか?」

 

「違うよリック、これを」

 

俺が手紙を渡すとリックが手に取り、文字を読んでいく。するとだんだん顔が青くなっていく。

 

「ど、どうした?なんか変なこと書いてあったのか?」

 

流石にこんな真っ青になられると、何かヤバイ事でも書いてあるんじゃなかろうかと不安になる。

 

「いや、なんでもない...自己紹介が遅れたな、知ってると思うが俺はリック。お前は?」

 

「フェルトだ、よろしくな」

 

「おう。手紙の内容は把握した、大所帯になるんだから気をつけて歩けよ?些細な事にイチャモン付けてくる輩がいるからな?」

 

「分かってるよ、忠告恩にきるよ」

 

俺はハイマキを外に出し、狼達を連れて来るように言った。

結果としては狼達は来たのだが、なぜか無数の冒険者を体に引っ付けて、というか冒険者が抱きついて来ていた。

この冒険者達は狼達の強烈な(愛くるしい)一撃を頂戴してこんな風になってるのだろう。

 

「ほらそこの冒険者共、狼達の主人が困ってるだろ。離してやれ」

 

リックがそう言うと冒険者達は我に戻り、門の外に戻っていった。狼達を見つめながら...

 

狼達は俺に擦り寄ってきて、ずっとクゥーンと鳴き続けるので両手で撫でて回ってやる。すると大人しく離れていき、俺が歩ける程度には輪が広がった。

 

そのままギルドに向かって歩く。当然の事だが街の人々に見られ、可愛がる者もいれば逃げていく者もいる。そんな中、ある1人の冒険者が寄ってきた。

 

「シルバーウォーウルフ...普通のシルバーウルフでは無いのですね。あなたが彼らの主人ですか?」

 

彼女は淡々と、感情が全く無いような喋り方で問いかけてくる。

 

「ああ、可愛いだろ?自慢の狼達だ」

 

「確かに可愛いですね。あなたに提案があります、私とパーティを組んでみませんか?」

 

俺は何かの冗談かと思ったが彼女の目は真剣そのもので、狼達を怖がる素振りは無い。狼達は唸り彼女を睨んでいる。

 

「何か目的があるみたいだが、狼達がこうなんだ。遠慮するよ」

 

「そうですか...」

 

彼女はそう言い残し去っていった。俺は相変わらず狼達を連れてギルドに向かった。

 

ギルドに着き、ギルドに入る。

するとさっきの光景を見てない冒険者が一斉に武器を抜いて構えている。

そして他の冒険者達に説明され武器を収める。だが武器から手を離しはしなかった。強さは別としてこういう用心深い奴が生き残っていくのだろう。

 

「この子達がシルバーウォーウルフですか...生で見るのは初めてです。触っても良いですか?」

 

「こいつらに聞いてみろ」

 

「シルバーウォーウルフさん、触っても良いですか?」

 

彼女はしゃがんでそう尋ね、少し待っていると狼達から寄っていった。

狼達は彼女を囲み、頭を擦り付ける。

 

「はははっフェルトさん!懐きましたよ!」

 

「ッよ、良かったな」

 

思わず彼女の笑顔にドキッとした。まぁ受付嬢だから当たり前だよな、と納得し、彼女と狼達と戯れる。

 

────────────────────────

 

あのBランク級のシルバーウォーウルフ達が私を囲って頭を擦り付け始めました!頭を撫でてやると犬みたいにないて凄く可愛いです!これもフェルトさんの実力のお陰なのでしょうか?それにしてもフェルトさんの横のシルバーウォーウルフは寄ってきませんね、まるで主を守るかの様子です。

 

お、フェルトさんが近づいて来ました!良い匂いがします!

ちょっと悪い気もしますが横顔を...

 

なんでしょうか、凄くドキドキします。狼達と戯れて笑っているフェルトさんがとても魅力的に思えます。

けど私はギルドの受付嬢...特定の冒険者と交際するのはいけません...

でも、フェルトさん...素敵です。アプローチぐらいならバレませんよね?

 

────────────────────────

 

「ごめんなさい!そろそろ戻らないと」

 

「そうか...」

 

「それではッ」

 

「あのさ!...仕事終わったら、御飯行かない?」

 

俺は思い切って彼女を誘ってみた。けど彼女の名前も知らない、彼女からしたら会って間もない奴と食事なんか行かないよな...

 

「悪い、冗だ」

 

「分かりました、7時には終わるので晩御飯ご馳走して下さいね!」

 

彼女にまたドキッとさせられ、彼女はカウンターに走って行った。俺はその場に立ち尽くし、周りの冒険者から妬みの視線を浴びるのだった。

 

────────────────────────

 

思わず返事しちゃった〜!どうしよ、仕事終わりで汗臭かったりしたら困るから時間ズラして貰おうかな!?でもそんな事したら失礼だし!まさかいきなりアプローチされるなんてぇ〜!

 

「ライラちゃん?」

 

「は、はひっ!」

 

「新入冒険者に夢中になるのは良いけど仕事はしっかりね〜」

 

「わ、分かりましたぁ」

 

フェルトさん...汗くさかったらゴメンなさい。

 

フェルトさん、私の事ライラって呼んでください!

...って思ってもきっと片思いの恋、なんだろうなぁ。

 

 




誤字脱字あれば報告お願いします!


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5発目 彼、彼女の想い。トラウマ

決して失踪してた訳じゃないヨ?ホントだからね?


嘘ですごめんなさい、行き詰まってましたX))))


あと2時間で仕事終わりか、それまでに普段着に着替えないと...って言っても、どんな服着ていけばいいんだ?

1度だけ燕服着て仕事した事があったけどあれは呼べないだろうし...

 

『服や靴もあなたが着たものなら召喚可能です』

 

おっとそうらしい、て事で燕服と革靴を召喚。相変わらず突然出て来るのには慣れないが、新品同様の状態で出て来る。

 

着てみるとサイズも然程違和感はなく、靴のサイズもちょうど良かった。

あと2時間、何して過ごそう...

 

ボーッとしたり、収納したらメンテナンスは必要ないらしいが使ったものを召喚して掃除したり、狼達の相手をしたりして2時間を過ごした。

 

ギルドに着くまでちょっとした騒ぎが起きたけど早足で逃げ、ギルドに入り込んだ。

約束の時間まであと5分。カウンターの前には冒険者の列。カウンターには彼女の姿は見えない。

恐らく裏で仕事でもしてるのだろう。

 

ギルドの中でいろんな人に見られながら彼女を待つ。

 

するとカウンター横から白のドレスを着た彼女が出て来る。一瞬この世界の人は普段着にドレス着るの!?って驚いたが外でドレスなど見ていない為その思考を捨て去る。

そして少し恥じらう顔が凄く可愛い。もちろん周りの若い冒険者も釘づけである。そんな中燕服を着た少年が彼女に近づいていく、それを見た冒険者はこっちをキッ!と睨みつける。俺はどこ吹く風状態で無視し、彼女の前に立つ。

 

「す、凄く似合ってるよ」

 

「えへへ、ありがとうございます。フェルトさんもカッコいいですよ」

 

そんなやりとりで砂糖を吐く者、壁や床、柱に頭を打ち付ける者などが続出していた。

 

「それじゃあ行こうか?」

 

俺は彼女の前に手を出した。すると顔を赤くしながら手を握り返してくる。

 

俺と彼女はステインで1番美味しいと噂されている食事処にきた。

 

「ここ、すっごく高い所なんじゃ...」

 

「大丈夫だって、そこまで財力がない人間じゃないから」

 

そう、ここは1番美味しいだけあって値段もそれなりに張るのだ。と言っても前世の1.5倍位高いだけである。

 

俺は彼女の手を引いて空いている席に向かう。するとウェイターが来てメニューを置いた。

 

「ご注文がお決まりでしたらそちらのベルを鳴らして下さい。それでは」

 

彼は一礼して去っていく。

 

「私、こういうお店初めてでマナーとかサッパリなんですが...」

 

「端の席だからわざわざ見ないよ、えっと」

 

「?どうしたんですか?」

 

「そういえば名前知らないなーって思って」

 

「制服に名札付いてませんでした?」

 

「付いてなかったと思うけど」

 

「...そういえば......まぁいいです!私はライラって言います。よろしくお願いします」

 

「フェルトだ、改めてよろしくライラ」

 

ライラはその一言で顔を真っ赤にした。

そして俺はライラという名前が頭の中でくりかえし流れ続けた。

 

「体調でも悪いんですか?顔顰めてますけど」

 

我に帰り、笑顔を見せる。

 

「そんな事ないよ、ちょっとね。所でライラ、何食べる?」

 

「私はこの店で1番美味しいと言われているレッドホークの唐揚げです。少し高いですけど...」

 

「値段は気にしないで、サラダとか要らないの?俺は食べるけど、どうする?」

 

「それならサラダとパン追加で...」

 

「そんな恥ずかしそうにしなくても」

 

彼女はよく食べる事が恥ずかしいと思っているのか顔を赤くして俯いている。

 

ベルを鳴らすと先程の男性が来た。

 

「レッドホークの唐揚げ2つとサラダ2つ、あとパン2つ。以上で」

 

「畏まりました、少々お待ち下さい」

 

彼はメニューを腰のあたりに入れて戻って行った。

 

「さてライラ、今はプライベート。受付嬢のルールは頭から消してくれ。今はただのライラだ、おーけー?」

 

「は、はい大丈夫です」

 

丁度ウェイターが料理を運んで来た。両手に乗り切らなかった分を2往復目で持ってきた。彼は1度目で持ってきた料理を俺の前に置こうとした為、彼女に先に出すよう言った。

唐揚げもアツアツで、パンも焼き立てみたいでとても柔らかそうだ。

 

「それではごゆっくり」

 

また一礼して帰っていく。

 

ライラは我慢できずに先に食べ始めていた。

俺は落ち着いて少しずつ食べる。

 

レッドホークの唐揚げは素揚げしてあり、名の通り赤い鳥なのか肉が真っ赤で少し辛かった。そのおかげでパンがすぐ減っていく。サラダもみずみずしく、レモンを基にしたドレッシングがとてもいい。

 

「ライラ?美味しい?」

 

「はい!とっても!」

 

彼女の満足感が溢れる笑みにドキッとしてしまう。だが心の奥底でライラを拒否する自分がおり、とても気分が悪い。

 

「ライラ、仕事は楽しい?」

 

「はい、色んな方の冒険譚を聞けるので楽しいですよ。時々ちょっかいを掛けてくる冒険者の方も居ますが」

 

「そうか、ならいいんだ」

 

——————————————————————

 

わわわ!?いつの間にか食べ終わってました!フェルトさんに食い意地が張ってる女と思われてないでしょうか?

それに先程からずっと話題を振ってくれています、私からも話題を振らないと...

 

「ふ、フェルトさんは、今現在、好きな方はいらっしゃいますか?」

 

顔を下げて言ったけど顔真っ赤なんだろうなー!こんな事聞いても恥ずかしいだけなのに!

 

「...ああ、いるよ。最近知り合った子でさ、笑顔がステキなんだ。狼達と触れ合ってる時の笑顔が1番好きなんだ」

 

私は彼の言葉に驚きました。可能性としてはある事ですが、私かも!?と思ってしまいました。けどあれだけ愛くるしい狼達を連れていれば、みんなと触れ合うはずです。

 

「そうですね、あの子達可愛いですもんねー。私も癒されちゃいましたし」

 

「じゃあさ...ライラは好きな人はいるの?」

 

「え、えっと気になる人はいます」

 

「そうか」

 

フェルトさんはそう呟き、ベルを鳴らしてウェイターさんを呼びました。

そして懐から代金を払うと立ち上がり、帰ろうか、と言って店から出て行きました。

 

私は家の近くまで彼に送ってもらい、分かれました。

私は部屋のベッドに飛び込んで、嬉しさのあまり、足をバタバタさせました。けど借り物のドレスに皺を付けるわけにはいかないので普段着に着替えてベッドに横たわるといつの間にか眠ってしまっていました。

 

——————————————————————

 

「そうか、ライラは気になる人が居んのか。俺だといいけど、初めてのイメージ悪かったしなー」

 

そんな独り言を呟きながら道を歩いていく。道には街灯が立っており、その街灯に背中を預けた。

 

タバコを召喚して吸おうとする。

 

「シケてやがる、ラスト1本。ライラには気になる奴で、タバコはラス1、いい事ねぇなぁ」

 

とか言いつつもタバコに火をつけ吹かす。すると咳き込んだ、まるでタバコに慣れていないような...

 

「若くなったのはいいけど、慣れもなくなるのか」

 

俺は1本しか無かったタバコを足で消し、宿に向かう。

 

宿に着いてからは体を水拭きをして着替えてベッドに倒れこんで、明日の事を考えながら眠りについた。




決して失踪してた訳じゃないよ?(大事な事なので2か(ry

8話まで毎日投稿しますぅー


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6発目 遺留品搜索&ステインを治める者

俺は目を覚まし、左にある時計に目を留める。時刻は7時46分を指していた。あと14分でギルドのカウンターで依頼受理が始まる。

そしてこの宿、8時までが朝食の時間である。時間に遅れると余り物だったり、少しお金を払う事になる。

その為、身嗜みを整えて下の食堂に降りる。

 

降りると殆ど誰も食べておらず、喋ったりしてるか者がほとんどだった。

 

「朝食いいですか?」

 

「はい只今〜」

 

そうするとエプロン姿の男性が小走りでメニューを持ってきた。

メニューにはただ2つだけ

パンとコーンスープだけであった。

俺は不思議になりながらもその2つを注文する。

 

後から知った事だが、ギリギリの時間にいくとメニューが売り切れになり、メニュー表からメニューを抜くのだそう。

 

俺は朝食を食べてギルドに向かった。

 

ギルドに着くと冒険者で溢れかえっており、いつからついてきていたのかハイマキ達が後ろをついてくる。

俺はハイマキ達をお座りさせて、依頼書を見に行く。

そこには

 

『愛する夫の遺留品を探してください』

 

コレはCランクの中では割と楽で報酬も高い。けどCランクになってるという事は何か理由があるはず。

 

ライラに聞いてみるか。

 

「おはようライラ。この依頼なんだけど詳しく」

 

「おはようございますフェルトさん。その依頼はですね、フェルトさんがこの前行った森の奥深くに行かなきゃいけないんです。だからそこまで危険を犯して金稼ぎするぐらいなら、地道に金を稼ぐ!っていう冒険者が多いんです。そういう理由で残ってるんですよねー」

 

確かに普通のCランク冒険者ならその考えが普通だろう。俺だって前の仕事じゃそこまで危険を犯してまで金稼ぎはしなかったしな。

 

「なる程、そういう事か。なら受けるしかないな」

 

ライラが何か言おうとして口を開くが、すぐに口を閉じて依頼を受理した。

 

「もし危険だと思ったらすぐに逃げてくださいね?」

 

「分かってるよ」

 

俺はハイマキ達を連れて、彼女に手を振りギルドを後にした。

門の外に出て少し歩く。そしてハンヴィーを取り出して乗り込み、ハイマキ達を後ろのトランクに乗せる。不思議な事に燃料は使わず、前に進んでいく。恐らく火の魔力を使っているのだろう。

俺に魔力は感じられないし、魔力があるかどうかも分からない...

 

『基本的に生きている者には魔力が存在し、普通に生活する程度の魔法を使うぐらいなら問題は無いです。また、ズバ抜けて魔力が高いと魔術師になる方が大勢です』

 

なる程、魔力が高い人が魔術師という道に進むのか。俺はどの位魔力が入ってるんだろう?

 

『今の段階ではB級魔術師です。そこそこの魔法を撃てます、伸び代があるので、最終的にはAとS級の間ぐらいの魔術師になれます』

 

説明ありがとう。上から3番目か、まぁその程度だろう。もともと魔力を持ち合わせている訳では無かったのだから。

 

そしてこの前居た森の中までやって来た。そこはまだ血の色が地面に残っており、周りの石や岩にも血が飛び散っていた。

 

「自分がやったにしてもこれは酷い有様だな」

 

俺は車から降り、周りを見渡す。

するとハイマキ達は車から降りて、周辺を警戒しだした。まだ獣臭はしないし、気配も感じない為いつ襲われても対応出来るように警戒しているのだろう。

 

そのまま森の奥に歩いていく。

10分程歩くと数人分の一部が変形した鎧や骨が周りに散らばっていた。そして大きなカバンが転がっており、色々な物が入っているのか少し膨らんでいた。

 

「これを持ち帰れば依頼完了のはずだよな?ハイマキ」

 

「グルゥ」

 

ハイマキが、そうだ、と言わんばかりに鳴く。そして他の狼達がカバンや鎧を咥えて引っ張ってくる。

そのカバンの中にはギルドカードが3枚と少しの魔石、小ぶりのエメラルドが付いた指輪が入っていた。

 

このカバンの中身と鎧は一通り持って帰った方が良さそうだな。

 

あとは帰れば依頼完了になるはずだった。

ハイマキが足元で唸りだす。周りの狼達も1点を見つめて目を離さない、何かが目線の先にいるのだろう。俺はカバンを収納し、近くにあった石ころを思いっきり投げつけた。するとすぐ木に跳ね返る音が聞こえた。

ハイマキ達の気のせいか、と思い帰ろうとすると、前方の地面が突然盛り上がって近づいて来た。俺から3メートル程の所で土が盛り上がらなくなる。するとそこから植物が生えてきた。大きな壺みたいなのがぶら下がっており、細い管が茎にまとわりついている。

 

槍を召喚し、構える。近づき切ろうとすると管から霧状の液体が噴出した。

 

「チッ、何か吹いたな。あと少しで届くってのに。向こうの方がリーチが長いってのが嫌だな」

 

ハイマキ達はすぐさま後ろに下がって警戒する。

周りの石や草を溶かしているところを見ると、あの液体は酸性の液体である事が分かる。多分壺に液体が溜まっていて、あの管から霧状で噴出。そして獲物を溶かすのだろう。

 

「あの液体、ちとヤバそうだな。鎧の奴らもアレの餌食になったのか?」

 

恐らくあの液体がかかって鎧が溶け、肉体を溶かして行ったのだろう。未だに石が音を立てて溶けているところを見ると相当強力なのだろう。

 

俺はライターと殺虫スプレーを召喚し、植物にスプレーを吹きながらライターの火をつけ、火炎放射器代わりにした。すると植物は燃えていき、壺みたいな物が大きく膨れ上がってきた。

本能が危険を察知しているので、ハイマキ達を逃がし俺も逃げる。

少し離れた所で見守っていると突然植物が爆発した。そして液体を撒き散らし、周囲の木や草を溶かしていった。

 

俺達はハンヴィーの近くまで帰ってきた。

 

「ハイマキ、狼達に怪我は無いか確認してくれ、怪我してたら連れてきてくれ」

 

「ワン」

 

俺はカバンを召喚して中身を確認していると、ハイマキが突然吠えてこっちを見る。俺は走ってハイマキのもとに行く。

ハイマキの前にいた狼に先程の液体が掛かっていたのか、少しずつ皮膚を溶かしていた。俺は急いでハンヴィーの中から純水を取り出し、狼にかける。

少しずつだが狼の傷が塞がっていき、最後には皮膚から毛が生えて、元通りになっていた。

 

「他の狼達は車に乗っていてくれ。ハイマキも乗ってて」

 

ハイマキ達は開いているドアから車に飛び乗った。

俺は怪我していた狼を抱っこし、リヤシートに寝かせる。落ちない様にシートベルトをし、運転席に乗り込む。

 

それからは何事もなく街の前まで帰って来ることが出来、怪我していた狼も歩ける程度には回復していた。

 

俺はギルドに行き、依頼完了の手続きをしていた。流石にランクが上がる事はなかった。

ライラにカバンを渡すと、それから依頼主に渡されるという事になっていた。

 

「それじゃあフェルトさん。お疲れ様です」

 

「ああ、仕事頑張れよ」

 

ライラはニコリと笑顔を見せ、それにドキッとして、平静を装いながらギルドから戦略的撤退をした。

 

ギルドを出ると目の前には馬車が停まっており、その中から1人の鎧を着た男が出て来た。

 

「お前がフェルトか?ステイン様が夕食にお呼びだ、6時に城の入り口まで来る様に」

 

それだけ言って鎧を着た男は馬車に戻り、馬車を城の方に向かって進めた。

 

「なんか、突然だったな。俺の返事も聞かず帰って行きやがった。アレが騎士なら勉強し直した方がいいんじゃ無いか?」

 

「全くもってその通りだよ」

 

後ろから、ギルドの入り口から女の声が聞こえる。

 

「あれでもこの街の騎士の中で1番強いんだ。ま、騎士はアレだがステインはいい奴だよ、この街を良くしてくれるからな」

 

「そうか、情報ありがとうな」

 

「良いってこと、それであんたが噂のフェルトかい?」

 

「ああ、そっちは?」

 

「私はナナ、よろしく」

 

彼女はナナと名乗り、右手を出してきた為握手した。

彼女は用があるらしく、またねと言ってどこかに歩いて行った。

 

さて、今の時刻は午後5:53

ナナと話していたのは精々1分程。て事はあの騎士は俺を間に合わせる気が無い様だ。と言っても、呼ばれているので遅れるわけにも行かないので、ハイマキ達はギルドに残ってもらい、俺はダッシュで城の前まで行った。

 

結果的に言うと間に合った。間に合ったのだが、城の入り口にいる2人の兵士の頭が固すぎなのか、話が通っていないのか、一向に通れる様な気がしない。

 

するとさっきの騎士が出て来た。

 

「お前達、フェルトという冒険者は通す様に言っただろ。言ったことも出来ないのか猿ども」

 

「す、すいません」

 

「次は無いと思え」

 

俺は騎士と共に城に入る。そして2回ほど階段を上がり、一際豪華な扉の前に立つ。

 

「ステイン様は優しい、だからと言って冒険者風情が調子に乗らない様にな。食事中でも目は離さないからな」

 

「へいへい」

 

騎士は舌打ちをし、ドアをノックする。すると扉の向こうから、入れ、と聞こえてきた。

騎士が扉を開け、俺に入る様に促す。

 

「失礼します」

 

「お主がフェルトだな?ワシはこの街を治めるステインだ」

 

長机の先に座っていたのは白髪のオッサンだった。




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7発目 フェルトは敵なのか味方なのか

「先に言っておきます。あまり敬語は使えないので、そこら辺は冒険者って事で許してくれません?」

 

「うむ、いいだろう。まぁ座れ」

 

ステインが俺に座る様に促す。

そしてステインの横に立っていたメイドが2つのグラスを持ってきた。一方には紫色の液体、おそらくワイン。もう一方は水みたいな透明な液体。

 

「フェルトは酒を飲むことができるか?無理なら果実水を渡すのだが」

 

「そうですね、では酒を頂けますか?」

 

そう言うと目の前に紫色の液体が入ったグラスが置かれた。

匂いもぶどうそのものだった。

 

「それはぶどう酒でな、地下で樽の中に入れ、90年間熟成させたものだ。100年物を出したかったのだが、決まりで国のお偉方が集まる宴でしか出せないのだ」

 

「それでも飲み物を出してくれるだけありがたいと思ってますよ」

 

そう言うとステインは、そう言ってもらうと助かる、と言った。

 

「それでなぜ今日は呼ばれたんでしょうか?」

 

「早速そこを突いてくるか...まぁ言おう。お主がワシらの敵なのか味方なのか、それを確かめようと思い、呼んだのだ。お主は未知の武器を使っておるらしいな、だから敵になり得る存在なら...」

 

「今ここで...って事か?まぁ国を敵に回す様な真似はしませんよ。確かにあなた方からすれば未知の武器でしょう。それを使って国を滅ぼしたり、他国につくことは限りなく低いでしょう」

 

「そうか、それが聞けて良かった」

 

ステインはホッとした様な顔をして、机を叩いた。するとドアからメイドが食事を持って入ってきた。

 

「食事に呼んだのだから食事をしなくてはな」

 

目の前の机には3人分の料理。この部屋にいるのはステインと俺、あとメイド3人。メイドと食事をする事はないよな?あと1人分は一体誰のだ?

 

「あと1人はどこだ?だろう?ワシの娘だ。すぐ着く、お主の事を気に入ってるらしくてな、話をしたら仕事を休んで来ると言ったからな。お主は余程好かれておるのだな」

 

娘?一体誰だ。その様な人物に会った覚えはないぞ。もしかして街のどこかでふらっと目に留めたとか?それなら会ったとかにはならないだろうし、うーん。分からん

 

いろいろ考えているとドアが開いた。

ドアの方に目を向けるとドレスを身に纏ったライラが現れた。

 

「失礼しますお父様、フェルトさん」

 

ライラが丁寧なお辞儀をして入ってきた。俺には何が何だか理解出来なかった。あの受付嬢が娘だったなんて、しかもよりによってライラ...まぁ良いけどさ。

 

領主の娘アプローチしてたなんてビックリダナー。

 

「遅かったな、ライラ」

 

「何を着ようか迷ってまして」

 

「まぁ、よい。そろそろ食事にしよう」

 

俺は相変わらずついて行けてない。そして、そんな俺がいても時間は進む訳で、2人がいつの間にか食べ始めていた。

 

「それでライラ、どうなのだ?」

 

「...どうとは?」

 

「誤魔化さなくてもよい、フェルトの事だ」

 

「そ、それは」

 

「ハハハ、この料理おいしいですね!」

 

俺は口をつけてない料理があるにも関わらず、無理矢理に話を逸らそうとしたがステインは此方を見ようとしない。ここでライラがある事ない事口走った日には、俺の異世界ライフ、第2の人生終わってしまう。

 

「それはもう、強引に...」

 

......ん?おかしいなぁ?ヤクキメてもないし、幻聴聞こえる年でもないしなぁ

 

「ほほう、強引に、か」

 

あれ、ステインが怖い顔でめっちゃ睨んできてる。俺強引にしたかなぁ?

確かに食事に誘うのは少し強引だったかもしれないけどさ。

 

「お食事に誘っていただいて、家の近くまで送っていただきました」

 

ふう、なんとかステインの顔が元に戻った。

 

「そうか、娘が世話になったようだ」

 

「いえいえ、それほどでも」

 

そう言った矢先、ステインの後ろから光るもの、おそらく矢が飛んできていた。俺は急いで立ち上がり、机の上を走り、ステインやライラを机の下に押し込む。

 

すぐ外をスナイパーライフル《M200》で確認するが人影はない。視線を横に向けると、飛んで来ていた矢は隣の壁に刺さったようだが、矢は壁を貫通して床に刺さっていた。

またスコープを覗き込む、すると視線の先の一部が陽炎のように揺れた。そこを撃つと、人間が血を流しながら倒れるのが見えた。

 

「フ、フェルトさん?」

 

完っ全に怯えている。まぁ仕方ないか、部屋の中で撃ったから途轍もない爆音が部屋に響いたのだろう。耳鳴り凄いよね、もう慣れたけど。

 

ライラは机の下から震えながら四つん這いで出てきた。下から出ても頭を上げず周りをキョロキョロ見渡す、そしてステインを机の下から引きずり出す。ステインは子供のように丸まっており耳を塞いでいる。

 

「フェルトさん、これは?」

 

ライラが指をさした物はM200から排出された薬莢だった。

俺はマガジンを外し、薬室に装填していた1発を取り出す。そしてライラに手渡す。

ライラは興味深そうに、撫で回したり、手の上で転がしたりしている。そして落ちている薬莢と並べた。

 

「なぜ此方の物には先端の尖っている部分が付いていないのでしょうか?」

 

「その先についてる尖っている金属を飛ばして攻撃するんだ、だから片方にはついてない訳」

 

ライラは視線を空薬莢に戻し、中を覗いている。

 

やっとステインは立つ事に成功した。でも足は震えているが...

 

「フ、フェルトよ、この矢はどこから」

 

「随分遠くから放ってきました、何か特殊な道具でもあったのでしょうか。それとも魔法で飛ばしたか」

 

ステインは壁を貫通したのに無傷な矢を手に取り、興味深そうに見ている。娘と同様に撫で回したり、鏃を触っている。

 

なんとなく分かった事がある。それはこの親子が見たこともない道具や魔法には目がない事。

壁をよく見ると剣や本が大量に並べられていたり、掛けてあったりする。恐らくこれらもこの親子が、といってもステインが買い集めたものだろう。

その中で1本だけ、俺の目に止まるものがあった。

 

「これは?」

 

俺はつい、それを手に取り鞘から抜いた。

そうしたらタイミング悪く、騎士がドアを突き破ってきた。

 

「貴様!何をしている!武器を納めろ!さもなくば力尽くででも止めさせてもらう!」

 

騎士が剣を抜き切りかかってくる。俺はステインに助けを求めようとしたが、ステインは矢に夢中である。

 

俺はため息をつき、片手に持っていたソレで騎士の剣を受ける、すると騎士の剣が真っ二つ。そして騎士の顎に蹴上げを放つ。

 

「ステイン、この騎士はどうする」

 

ステインは今気づいた様に振り向く。すると何事もなかったかの様に矢に向き直り、口を開く。

 

「其奴はお主らの事を見下しておるのだ、冒険者風情が生意気だ、ってな。でも実力は間違いなくてな。処分のしようが無かったのだ」

 

俺は足元の騎士に視線を落とし、溜息をつく。そしてその騎士を廊下に引きずり出し、ロープで縛る。そして放置

 

「それでだ、この刀はどこで?」

 

「おお、その刀の良さが分かるかお主。その刀は先代が残していった形見なのだ、騎士らに使わせてみたが全く切れず、木の棒でさえ切れんのだ。だがお主は容易く斬った、あの騎士の剣を」

 

「しっかり見てたなら止めてくれても良かったんじゃないのか?」

 

ステインは苦笑いをするだけだ。

 

「そういえばの、昨夜盗賊が忍び込んでな、地下牢に入れておるのだ。どこから来たのか、と聞いても日本としか答えんのだ。お主は何か知らんか?」

 

「...会ってみない事には分からんな」

 

もしかしなくてもJAPANの日本の事だろう。話を聞いてみなくては。




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8発目 投獄されていた人物とは?

「さあ、着いて来い」

 

俺はステインとメイド3人で地下牢に入って行った。途中、騎士から牢の鍵をステインが受け取り、懐にしまう。

するとステインが急に止まり、牢の方を向く。

 

「危うく通り過ぎるところだったわ、危ない危ない」

 

「通り過ぎると危ないのか?」

 

「..危なくはないんだが、帰るとき迷いたくはないだろ?」

 

今の微妙な間はなんだ、まぁいいか、もう地下牢には来る事ないだろうし。

 

ステインは鍵を開け、俺を牢の中に入る様に促す。そして2個の鍵を渡してくる。

 

「この牢は2個ドアがあってな、1つはその鍵、もう1つは口枷の鍵だ。期待はしておらんが頼んだぞ」

 

「任せろ」

 

俺は一言喋ってから、ドアの1つを開けて潜る、そして目の前に居たのは布一枚を着ただけの俺と同い年位の少女だった。

俺は驚きながらも口枷を外した。

 

「あんた、名前は」

 

「...片桐 優姫」

 

「じゃあ日本人か、なぜこんな地下牢にいるんだ」

 

「な、なんで日本人だって!?あ、貴方は!貴方は誰!」

 

「はぁ、俺はフェルト、日本人だがアメリカ国籍取ってPMCしてた」

 

「なら!ここから...」

 

「先ずは質問に答えろ、なぜこんな薄汚い地下牢にいる?なぜ布切れ一枚の状態に陥っているのか説明してくれ」

 

「...それは、領主の部屋の刀を取ってくれば一生楽に暮らさせてやる、って」

 

第三者か、これはヤバい匂いがするな。恐らくさっき狙ってきた奴もこいつに命令した組織だと考えてもいいだろう。どうするか...

 

「...まだ信用した訳じゃない。枷はさせて貰う。こっちにつくなら考えてやらん事もない」

 

「分かった、それでもいい。だから...助けて」

 

俺は枷を地面に止めている錠を破壊し、強引に外に連れてでる。

 

案の定ステインは呆れた顔をしており、メイドまでも呆れ顔になっている。

そんなに呆れられるこたしたかな?

 

「まぁ大体予想はしておったわ。フェルトよ、策はあるのだろうな?」

 

「勿論。1日2日、出かけさせてもらいます。帰って来る頃には一報入れますんで期待してて下さいな」

 

「ふむ、あまり疑いたくはないがお主が此奴の手先のものだとも言えんくなったの」

 

ステインは睨みを利かせ、メイドは立ち尽くす。

 

「なら刀は置いていく。そしてこいつは貰っていく。んでさっきの奴らの対処はお前らがやる。これで解決だな。誰も嫌な思いはしないじゃん、優姫はちゃんとした生活がしたかったから今回の事に手を出しただけで、優姫自身はそんなに悪くないし」

 

「わ、ワシが悪かった、だからそんなに殺気を放つでない」

 

「まぁいい、そっちのメイドもそんな警戒するな。バレバレだ」

 

メイドは手首にナイフか何か隠しているのだろう。暗闇だから分からないとでも思ったのかゴソゴソして手首に隠していたのが見えた。

 

『強くて可愛い坊や?こっちにおいで』

 

どこからともなく声がこの地下空間に響き渡った。俺はステインを見た、するとまた声が響く。

 

『そっちじゃないわ、もっと奥深く。私を迎えに来て?』

 

俺はステインとは反対方向を見る。そこには暗闇と松明の光が浮かんでいるだけだった。ステインをもう一度みると焦ってるような表情をしていた。

 

「目覚めた時が悪かったか、フェルト、悪い事は言わん。聞いてないふりをして帰るぞ」

 

「それは無理なこった。アンタが何をこの地下に隠蔽してるのか暴いてやる。...何から何までおかしいと思ったんだ。普通は地下にメイドなぞ連れて入らん、それにお宅のメイドはナイフを持ち歩くのか?まあいい、じゃあな。優姫行くぞ」

 

俺は優姫を引っ張り深くへを走っていった。

そして目の前に4つの松明の光が見えた。その前まで行くと目の前には大きな門があり、そこには古代文字みたいなのが書かれていた。おそらく封印とかその系統だろう。

俺はその一部を手で擦り、文としての役を果たさないようにする。それで恐らく封印は解ける。さ

 

「優姫、勢いで連れて来たがもしかしたらここで死ぬ事になる。悪く思うな。いや、憎め、恨め」

 

「大丈夫です。私が貴方を守ってみせます」

 

俺は苦笑いで扉を開ける。

部屋の中は真っ暗で、とても気温が低い。なぜか松明の光は効果がない。

そこには下着だけを身に付け、手足を鎖で繋がれ、目隠しまでされている女性がいた。

彼女は口角を吊り上げ口を開いた。

 

「やっと会えた」

 

「いったいどういう...」

 

「フェルト、逃げた方がいいって、コイツ...」

 

「黙りなさい小娘」

 

その怒気が混じった様な一言で優姫は力が抜けたかのように崩れ落ちた。俺は優姫を支えゆっくりと寝かす。

そして彼女の目隠しをとる。

 

その目隠しの下にあったものは白。

 

目が真っ白なのだ。

 

「目が...見えないのか?」

 

「なら目隠しは必要ないでしょう?」

 

そして彼女はニコっと微笑む。

 

俺は彼女に見惚れる。

 

「ッ!そういう事か!?」

 

「そう...貴方がこの現状を変えてくれるなら、私の力を貸してあげる」

 

彼女を見つめるが

 

「そんなに見つめても何もでないわよ?」

 

見つめるがいったい何を考えているのか分からない。ただ彼女はニコニコと笑うだけで悪巧みは考えてなさそうである。

 

「良いだろう、絶対に俺の敵にならないと誓うなら、ついて来い」

 

「口約束で解放してくれるの?」

 

「そんな訳ないだろ。血だ、飲めば分かる」

 

俺はナイフを取り出し手の甲を切る。

そして彼女の口元に垂らす。彼女は血の味を味わう様に舐める。

 

血の契約...主の血を摂取すると、その主の命令には絶対に逆らえない。

 

俺の手の甲には切った傷とは別に縦線が1本浮かび上がる。恐らくこれが契約の証なのだろう。

 

「これでいいの?さぁ、私を」

 

「もう自由だろ?早く来い。俺にも用事はあるんだ」

 

俺は魔力を垂れ流して錠を外す。あの枷に使われていた錠は魔力を注いで解除する類のものだったのだろう。パッと見鍵穴などはなく、文字が書いてあっただけだった。扉と同じ様に文字を消せば良かったのかも知れないが、俺の直感があれはブラフだと囁いていた為、この様な外し方を試してみた。

 

俺は優姫を肩に担ぎ、そのまま向きを変えて出口の方に歩いて行った。勿論彼女も付いてきている。

彼女は手首にあった感覚が突然なくなって違和感があるのかずっと手首を触っていた。

 

地下に下ってきた階段の所まで戻ると松明は全て消されるか持ち去られていた。恐らく、この地下空間に閉じ込める気だったのだろう。残念ながらナイトビジョンがある俺には無意味だったみたいだがな。

そのまま階段を登り城にでる。

出るとステインが待ち構えていた。

 

「どうやって解放したのだ、その魔女を」

 

「企業秘密だ、逆に問う。なぜ彼女を捕らえていたのか」

 

「其奴は魔女だ、肌も白く、その目がその証拠だ。この国に災いをもたらす存在だ、だから封印しておったのだ」

 

「この国の言い伝え、俺が知らないとでも?勿論、彼女に教えてもらったが。恥を知れ」

 

「まぁよい、この件が片付いたら2度とこの国に近づくなよ。勿論娘にもな」

 

「こんな腐った国には2度と近寄らねーよ」

 

俺はそのまま優姫を担ぎ、後ろに魔女?を従えてアジトを潰しにいくのだった。




誤字脱字あれば報告お願いしまーす

あと「なろう」様の方でも投稿始めましたー:))


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9発目 森の奥深く、そこに眠る物とは

今回は少し長めです。約4500字です。
お時間あるときにお読みください。

12/23 最後に少しつけ足しました...


途中で無事に優姫が気を取り戻し、ハイマキを連れて、3人で門の外に出てきている訳だが...

 

「さて、自己紹介といきますか?」

 

「それもそうね、私はリサ。ある国で魔女判定されてこの国に監禁されてたわ、助けてくれたご主人様にはいっぱい手助けしてあげる。昼も、夜も、ね?」

 

早速彼女(リサ)がぶっ飛ばしてきた訳だが、俺は華麗にスルー。それをスルーしきれなかった優姫は顔を赤くしている...

 

子供か?...

 

............子供でした...

 

「じゃあ俺だ、名前はフェルト。訳あって冒険者してる。そしてコイツは片桐優姫、この城の備品盗もうとして捕まったらしい、笑ってやれ。

あとこの狼達のトップはコイツで名はハイマキ、よろしく」

 

あと、更に優姫はさっきので顔を真っ赤にして遂にはしゃがみ込んでしまった。

 

ふとライラの事を思い出す。

 

が、今はアジトを潰すのが先だ。

 

「ほら優姫、アジト行くぞ。その為には場所教えてくれないと」

 

「う、分かった...あの正面の森の奥深く。距離だと10キロぐらい。そこに行くには黄色と赤の矢印に沿っていかなきゃ行けないらしいの。行った方が早いかな?」

 

「うし、行くか」

 

「そうしましょ?ご主人様?」

 

突然、リサが右腕に抱きついて来る。そりゃもう年相応の体つきしてる訳で、出るとこ出てる訳ですよ。必死に表に出さない様にしてます...

 

「バレバレ、今夜が楽しみね?」

 

バレバレでした...しかも夜が楽しみだって、何するんだろ?今日中にはこの国出て行くつもりだし...まさか...

 

とか、そんなこんなで森の目の前に来ましたよ。我慢しましたよ、途中から優姫が白い目で見てましたし、我慢せざるを得なかったですよ...はい

 

「じゃあここから木の周りにキノコが群生してる場所を見つけて、そこから黄色の矢印、赤の矢印って順番で行くよ?」

 

「おーけー、優姫は武器ある?」

 

「ないけど...貸してくれるの?」

 

「ああ、これだ」

 

俺は初心者でも扱いやすい《MP5A5》を取り出し彼女に渡した。

 

「ここここれって!鉄砲!銃刀法違反!警察に...逮捕...」

 

優姫はガクッと膝をつく。リサに限ってはもう苦笑い、俺もだがな

優姫はずっとブツブツ言いながら四つん這いになっている。

ちなみに彼女にはスカート履かせている。

 

分かるか?俺のやろうとしている事が。そう、二本指でスカートを持ち上げるだけで良いのだ。あとは俺の勇気のみ。

 

覚悟を決めて一歩踏み出した。

すると突然リサが目の前に出てきた、目が怖い、笑ってない、しかも俺の腰に差してたナイフ持ってるし。

俺がリサを左に避けようとするとリサも左に。右に行くと右に。左に右に右に右に左に。ずーっとエンドレスなこの横移動。そろそろ疲れてきた。リサは一向にスピードを落とさない...

 

「2人ともなにしてるの?」

 

いつの間にか立ち上がっていた優姫がこっちを見てくる。そしてリサは余所見をした俺をナイフで刺そうとしてくる。それを俺は右に避けて逃げる。

そうするとリサはナイフを返してくる。

 

「よ、よし。リサは魔法使えるよな?」

 

「当たり前じゃない、A級の魔法なら幾らでも打てるわよ」

 

フンスと音が聞こえて来そうな程リサは胸を張りドヤ顔をする。リサよ、その立派なモノに目が行くからその格好はやめておくれ。

 

ちなみに街を出る前に2人にはちゃんとした服を買ってあげている。

 

「ならよし。優姫?銃撃った事は?無いよな聞くまでもなかったな悪い。んで、ここで1発ずつ、ここで連続で弾が出るから。こんな風に構えて」

 

俺は優姫に簡単な説明をして、優姫に撃ってもらう。

優姫はビビってまともな弾が飛んでいかなかった...

まぁ期待はしてなかったがな。

 

「まぁそんなもんだ、護身用に持っておいて」

 

「う、うん。あと耳鳴りがちょっと...」

 

そういえば耳当て渡してなかったや、リサは別に問題なさそうだ。

 

俺は優姫に耳当てを渡した。

優姫は耳当てを装備した。

 

「リサは大丈夫そう?」

 

「ええ、大丈夫よ」

 

俺たちは無事、()()()()()アジトの洞窟の目の前までやって来れた。

 

「じゃあ行くぞ。確実に殺せ、リサ。遠慮は要らん、けど1番偉い奴は殺すな。尋問するからな」

 

「分かってるわ、それじゃあ行きましょう」

 

「ま、まってー」

 

俺たち3人は個人が動き易い様に陣形を組んでいる。謂わばバラバラになっている。そこで第1盗賊発見!

俺たちは咄嗟にしゃがんで岩の影に移動する。

 

「兄貴、いい加減俺らで行きましょーや。あの女に任せたのがいけなかったんだ、最初から俺たちで行ってりゃこんな手間も掛からなかった筈なんだぜ?」

 

「いいか?まずはあの偵察部隊が帰ってきてからじゃ無いと作戦の立て様がないんだ、分かるか?どうせ城の周りには兵が居て警備してるんだ、城に入る道がないんだ」

 

俺はPx4を取り出し、サイレンサーを付ける。

そして2人の頭を撃ち抜く。

薬莢の跳ねる音は、彼らのドサリと地べたに這いつくばる音によってかき消され、そして手に持っていた松明が地面に落ちる。

 

そして2人の死体を漁る。

兄貴、と呼ばれていた方からは鍵束と地図、なぜか3センチ角ぐらいの肉の塊が出てきた。

もう1人の方はただのフォークとシンプルな指輪だった。

ちなみに指輪は貰っておいた。

 

「行くぞ」

 

「無慈悲ね〜」

 

「こういうものだ」

 

相変わらず優姫は付いてこれないでいた。まだ手も震えてるし、強張ってるのがバレバレだ。目も泳いでるし、死体の横を通る時は出来るだけ見ない様にしてるし。

ま、そんなもんか?血の匂いもまぁまぁするし。

 

地図を広げると途中から二手に分かれていた。

先を見てみると一方は、開けた所に出て、もう一方は幾つか部屋があるようだった。

 

「どうせ両方行くんだしどっちからでもよくない?」

 

「出来るだけ大人数との戦闘は避けたいんだ。正直リサの魔法は威力デカすぎて俺たちが生き埋めにされかねんからな」

 

「そ、そう」

 

「図星か」

 

「久しぶりだから手加減のやり方忘れてるだけよ」

 

そんなやりとりをしながら分岐点まで来た。

恐らく開けた方には大人数いるだろうってコトで部屋が3つ4つある方に歩を進めた。

この選択は正解だったみたいで、誰1人として見張りがいない。

それをいい事に手前の扉から入っていく。もちろん、クリアリングしながら。

 

この部屋には賊達が集めた貴金属が保管してあった。

もちろん全部回収。めぼしい物は特になし。

 

次、2つ目の扉。

この部屋は食料庫か、パンやらチーズやらが置いてある。贅沢だな

そして大きな肉の塊が置いてあった。その肉にはキレイに欠けた所があった、さっきの袋に入ってたやつかもしれない、サイズ的にもピッタリ。

もちろん全部回(ry

 

次、3つ目の扉

ドアノブに手をかけるとコソコソ話し声が聞こえる。

俺は扉を少し開け、銃口を先に入れる。そして松明の火に照らされていたのはケモミミ娘だった。

俺は扉を開けて入った。

そこには10人程度の人やケモミミ娘達がいた。その中でも目を引いたのは1人のエルフだった。

彼女は囚われていても凛と輝いていた。

 

「誰です!」

 

「静かに、俺たちは助けに来た、ここから生きて出たいものは彼女達に枷を外してもらえ」

 

優姫やリサに鍵束を渡し、彼女達を解放する。

エルフだけは動こうとしなかった。

 

「君は外に戻らないのか?」

 

「...私は...」

 

「迷うなら生きる道を選べ、死ぬのは簡単だが生きるのは辛い。なにか罪滅ぼしにと思い、ここにいるつもりならそれは大間違いだ、後ろめたいことがあるなら生きて罪滅ぼしをする事だ」

 

「恩にきる、冒険者」

 

「いいって事よ」

 

彼女達の護衛は優姫やリサに任せて全員で分岐点に戻る。

ここでハンヴィーを召喚、優姫とリサ、ハイマキ達以外を全員乗せる。

ハンヴィーはそんじょそこらの魔法じゃビクともしないと思うが念のためハイマキ達を護衛で置いておく。

 

「ハイマキ、7匹全員でココを守ってくれ、出来るな?」

 

ハイマキ達は控え目にワンと吠えた。

ハイマキをヨシヨシして俺達はもう1つの分岐に走っていった。

 

走り続けて約3分後。

やっと開けた所に出た。そして血の匂いが途轍もなく強い。大量の松明が照らすのは大量の死体。頭だけの奴が居れば、内臓をぶちまけてる奴もいる。

腕がない奴もいれば足がない奴もいる。

簡単に言うと何者かに食い荒らされたあとだった。

優姫はこっそりゲロっていた。

ごめんな優姫、こんなつもりじゃなかったんだ。

 

「酷いわね、あの2人の仕業かしら」

 

あの2人?ああ、最初に殺った2人か。

 

「多分違う、もしあの2人が犯人なら多少の貴金属もってさっさと逃げてるはずだ。恐らく」

 

「魔物、ね?」

 

「ああ、光系の魔法でこの場所全体を照らせれるのはあるか?」

 

「もちろん、やっと出番ね?」

 

リサは呪文を唱え『ライト』といった。そうすると指先に光の玉が現れ、リサが部屋の天井に向かってライトを投げた。

 

そうすると部屋全体が照らされた。

そして目に入ってきたのは壁一面に引っ付いている巨大で大量のG

俺は悪寒が走った。

アレは仕事してても慣れない、人を幾ら殺してもアレだけは殺せれない。

そして一斉に奴らは飛んできた。

 

「ひっ!ムリィィィィィィィ!!」

 

俺は《XM556》を召喚。

背中に24Vバッテリーと弾薬を背負い、5.56NATO弾を奴等にばら撒く。

リサもゲロってた優姫も腰抜かして使い物にならないし、逃げようもない。

 

弾が3000発を使い切り、バレルが真っ赤である。けどまだ奴等は残っている。そのため収納、再召喚。

 

そしてまたばら撒く。

収納、再召喚、ばら撒く。

この行程を2回ほど繰り返した。

途中からリサが手伝ってくれて風の壁で奴等を止めていてくれた為、奴等を全滅させる事が出来た。

 

「ふ、ふう。リサが居てくれたおかげで助かったよ、さんきゅな」

 

「ご主人様のお役に立てれて嬉しいわ」

 

「腰抜かしてた癖に」

 

「うふふ」

 

リサは笑って誤魔化す。

 

優姫はいつの間にか無表情で気絶していた。しかも直立で。

 

俺は溜息をつき、優姫を担ぎ、ハンヴィーに戻る。

ちなみに奴等と死体はリサの魔法で炭にしてやった。

 

「にしてもなぜBランクモンスターがいるのかしら」

 

「まぁなにかあるんだろう。帰るぞ」

 

まぁ無事、何事もなく街に帰ってこれました。ちゃんちゃん

 

「結局の所、あそこの洞窟には私に指示した人は居なかった訳でしょ?というか死んでたって事よね。思い出すだけで寒気がするぅ」

 

「確かにアレは2度と見たくないね、肉食のGなんて絶対嫌だ。しかもデカかったし、トラウマ物だね」

 

「あの肉食べれるみたいよ?私は食べたくないけど」

 

「要らない情報ありがとなリサ」

 

「どういたしまして。ところで、来るまでが静かすぎたのもあの魔物のせいかしらね?」

 

「恐らくな、手当たり次第食べ尽くして洞窟に入った可能性もある」

 

洞窟に眠ってたのは大量の貴金属、大量の食事、10人程度の女性。あと盗賊達が永遠の眠りに就いていた。

あとデカくて大量のGを永遠の眠りに就かせてあげた。

今日の収穫はでかかったな、金銭的にも、武力的にも。

 

さて、無事案件は終了した。

俺は念のため彼女達の名前を控えた。あと、彼女達の働き場所はギルドが紹介してくれるらしい。

あとは領主に報告、宿の引払い、ライラやシエルへ挨拶。最後にリック。

おーけー、計画は立った。すぐ行動!

 

 

 

 




誤字脱字あれば報告よろしくお願いいたします


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10発目 別れと国境越え

今回は7100字超えです。1話に纏めようとしたせいでこんなことに...

お時間が在るときにでも読んでみてください!


「最初にステインに兵士を介して報告、それから宿の引払いを済ませる。そしてギルドで軽い挨拶を済ませてこの国から出て行く。おーけー?」

 

「この国って、大袈裟すぎないかしら?」

 

「そうそう」

 

「リサを封印してたのはこの国の王も知ってるだろう、て事はこの国に居続けてもまともな事にならないだろう」

 

「ワン!」

 

「あらあら、そこまで気にしてくれるのね?ありがとうご主人様」

 

「お、おう」

 

「デレデレしてるー」

 

デレデレなんてしてないじゃないか、ハハ...

して無いよ?

 

まぁいい、まずはステインの所だ。兵士に仕事が終わったことを伝えて終了だ。城の中に入ってしまったら話が長引き、面倒な事になるのは確実。リサと優姫を置いて行け、とか言いかねないからな、兵士が中に案内しようとしても無視して逃走。ギルドに入る。

おーけぇー...なハズ

 

「さて、リサ、ナイフ忍ばせるのは止めとけ。警戒しすぎだ、なんかあったら2人とも俺が守るから」

 

「リサさんばれてるぅ」

 

「優姫ちゃん?今日の晩御飯は丸焼きになりそうなんだけど、どんな味付けがいいかしら?」

 

リサが笑いながら(目は笑ってない)優姫に問いかける。

今日の晩御飯は優姫の丸焼きか、マズそう...

 

「ほら!フェルトが!想像してひいてるから!」

 

「あら、なら腕一本で許してあげるわぁ」

 

「すいませんしたぁ!」

 

優姫、俺を良いように使う事が出来ずリサにやられた様だ。見事に平手打ちを食らっている。

さて目の前には兵士2人、長槍と両刃剣が獲物。上手くやれば先制攻撃が出来るか、出来ないか、五分五分か。

 

「ステイン様に賊の討伐が完了したと伝えてくれ。それだけだ」

 

「待て、お主の名前を教えてくれ」

 

「フェルトだ」

 

「分かった。伝えておこう」

 

よし、これで大きな問題は消えた。次はギルドでこの国から出て行くことを伝え、ライラやシエルに別れを告げる。

ハイマキ、優姫、リサは終始黙って立っていた。優姫に限ってはハイマキと戯れていた。

 

「次はギルドでしょ?報告なんかしたら追われるんじゃ無い?」

 

「それはないんじゃないかしら?手間と危険を犯してまで捕まえても、利益は全くと言って良いほど無いに等しいわ」

 

「リサの言う通りだ、俺はステインの前で賊を1撃で殺してる。そんな危険な奴をわざわざ捕まえには来ないだろう」

 

「それもそうだね...」

 

優姫が大人しく納得する。

 

そしてリサが咳払いをし、俺が何かと思ってリサに振り向くと、リサが目線を左に向けた。そこを見ると数人屋根の上を伝って追っ手が来ていた。

 

おかしいな、賊は壊滅させた筈。ステインの手先か、賊は偶然帰ってきたら惨状を目にした、もしくはこの街の裏側の人間か。

 

最初に賊の可能性。これは限りなく低い、仮説が合っていたとしても俺だとは分かるまい。

 

次にステインの手先。

これもさっきの理由から可能性は低いが、ゼロとは言いきれないのがなんとも。話をしたところそこまでバカな頭をしている訳では無かったが、これが奴の手先なら俺の観察力不足だ。

 

最後にこの街の裏側の人間。

ステインの手先が俺の事を説明せず裏側に襲わせに来ているのか?ステインの手先が裏側に接触して俺達を連れて来れば良い値で買う、もしくは殺せば金を払う。

それかその組織の意思で俺達を狙うか?

 

兎も角リサ達と一旦別れるか、その方が安全だろう。リサも魔法放ちたいだろうし。

 

「ああ、そうだ優姫。リサと一緒に宿の引払い頼んで良いか?」

 

「ああ、うん。いいよ」

 

「この鍵渡したら全部リサがしてくれるから。よろしく」

 

「仕方ないわね。...気を付けてねご主人様、ハイマキちゃんもいるから大丈夫だと思うけど」

 

「そっちもな、出来る限り穏便に済ませろ。襲われなかったら俺のところに来い、場所はコイツが示してくれる」

 

そう言ってハイマキの部下の1匹を指差す。コイツはなぜか俺の居場所が分かり、遠くにいても追いかけてくる事が出来るのだ。ハイマキの次に優秀だな。

 

「分かったわ、じゃあ行ってくるわね」

 

「おう、頼んだぞ」

 

さて、俺はこのままギルドに行くか...

 

まぁ、追っ手はそのままついてくる訳で、ギルドには入って来ない様だ。

 

「今日は並んでないのか。久しぶり?って言っても1日ぶりか」

 

「そうですね、今日はどういった用件で?」

 

「ちょっとシエルに報告があってね、森の中の賊の事なんだけど」

 

「わ、分かりました、行ってきます」

 

あ、そう言えば宿って1ヶ月で借りてたよね、結構な額帰ってくるな。これで優姫とリサに服とか装備買ってやるかー

せめて剣の一本でもあった方がいいよな?

 

「お待たせ、お呼びだそうね?」

 

「ああ、すぐ終わる、ここでいい。森の中の盗賊は知ってるか?」

 

「ええ、何年も手を焼いて来た奴らね」

 

「アレを倒してきた、アジトへの行き方はこの紙に纏めてある。万が一のためにも大人数で行ってくれ、俺たちが入った時にはBランクモンスターが居たからな、壁にウジャウジャとな。まぁいい、あと1つ。俺たちこの街、この国から出て行くことにした。理由は、ステインがとある国で“魔女”と呼ばれた女性を城の地下に封印していた事。詳しい事はステインに聞いてくれ」

 

「はぁ、厄介ごとを次から次へと運んでくるわねあなた。まぁいいわ、私も仕事だもの。次はどこへいくの?」

 

シエルは溜息を吐きながら頭を抱える。そして目つきを鋭くして此方を睨む。

 

「さあな、ここでいうとバレる可能性があるからな。言いたい事は以上だ。あとライラ」

 

「どうかしましたか?」

 

ライラが首を少し傾げ、聞いてくる。

 

「ふぅ。はぁー。...ライラ、初めて君を見た時、一目惚れをしたよ。年が近くて、可愛くて、仕事も出来て、臆せず、よく食べて、よく笑って。俺は君に気持ちを伝えようと食事に誘った、けどダメだった。そんな事過程だからどうでも良いんだけどさ。もうライラの事は諦めるよ。俺はこの国から出て行って、もう2度と会う事は無いだろう、だから...君の事は好き“だったよ”」

 

俺は背を向け、心を締め付けられながら自分の言いたい事を全て言い切った。もう何も言う事はあるまい、俺の気が変わらないうちにギルドを出るぞ。

動こうと足を前に出す、だが一向に前に進めない。

 

「貴方だけ言いたい事を言って、行かれてしまうんですか?」

 

ライラが泣きながら抱き付いて来ていた。ライラに抱きつかれて早速気が変わりそうな俺。情けない...

 

「私だって貴方のことは大好きです。もちろんハイマキちゃん達もです。そんな貴方と知り合って数日でしたがとても楽しかったです。仕事をしてハイマキちゃんを触って、遊んで。貴方に食事に誘って頂いて。毎日私の前に並んでくれて嬉しかった、毎日貴方に毒されていった。とても...けど今は大好きなあなたに別れを告げられて、悲しいです。...私だって!貴方の事が大好きなんです!領主の娘とか、階級とか関係無い!...私が貴方について行ったら迷惑ですか?」

 

俺が振り返ろうとすると、ライラが少し離れて顔を床に向ける。

そして制服のスカートの裾を強く握りながら、涙を流している。

 

「...私だって、貴方と一緒にいたいんだから、つれていってよ...」

 

...どうするか、こうなる事は全く予想してなかったし、リサ達になんて言えば...

 

『素直に仰ればよろしいんじゃ無いかと...』

 

うおっ、久しぶり過ぎてびっくりしたわ。

 

『申し訳御座いません』

 

いいっていいって。

うーん、リサ達許してくれるか?食費が1人分増えるし、養っていけるか?非戦闘員が2人になると守っていくのは厳しいし、かと言って優姫を置いていくわけには出来ん。二人共を戦えるように鍛え上げるしかないか?

まぁ優姫はそうしよう。いつまでも此処に縛るわけにはいくまい。

 

『なら、決まりですね。彼女を受け入れましょう』

 

そう...するか。

 

『渋々ですね』

 

まーいろいろあるの

 

「やっぱり、戦えないとだめでしょうか?」

 

「仕方ないな、ライラ。俺と一緒に来てくれるか?でも、いつかはこのギルドにいる奴らに武器を向けるかも知れないぞ?」

 

「それは大丈夫よ、だってギルドマスターが...あれ?」

 

「まぁいい、ライラ。旅に出る準備だ、夕暮れには出るぞ、必要最低限の物以外は持ってくるなよ?」

 

「うん!」

 

はぁ、なってしまった事は後から考えればいい。おっと、そろそろ2人がギルドに着く頃だ。

 

「来たか」

 

「帰ってきたよー」

 

「元気だな」

 

「えへへ」

 

優姫がニコニコ笑う。うっ、心が苦しい。

 

「貴方の方は大丈夫だった?私達の方は追っ手が来なかったみたいだけど」

 

リサが腕にくっついて来て耳元で囁く。まっっったく慣れてないから背筋がゾクゾクする、刺激強すぎかも。

 

「ああ、まだそこら中に隠れてる」

 

「あぶり出しましょう?時間はあるんだし」

 

「はぁ、じゃあ行ってくる」

 

リサが優姫を連れてテーブルに歩いていく。ハイマキ以外の狼達はそっちについて行った。

 

さて、路地裏に隠れないとあいつらは接触してこないだろうな。はぁ、面倒だな。時間があるから良いものの急いでるときなら片っ端から殺してるぞ。

 

まぁギルドから少し離れ、路地裏に来たわけだが、奴らもご丁寧について来ていた。

 

「なんの用だ、お前ら。ステインの指示か?」

 

奴らは全員屋根から飛び降りてきた。6,7メートルあるのによく降りたな。あぁ魔法か

 

「...バレてるなら仕方ない。聞け、俺たちはギルド「梟の目」だ。一撃で賊を仕留めたらしいな、その腕を買いたい」

 

奴ら、梟と人間の目のネックレスを下げてるな。なぜ人間の目を?

腕を買いたい?どっかで聞いたような...シエルだっけ?まぁいいや。

それにギルド?ギルドって冒険者ギルドとかそんなもんじゃないのか?

梟の目...どっかで聞いたな。鷹の爪だっけ?あれ?

 

「生憎だが俺は協調性が無くてな、それにこの国から出ていくからアンタらと戯れてる暇は無いんだ」

 

「協調性が無いのは大歓迎だ。それに力が無くて協調性が無いのと、力があって協調性が無いのとじゃ大違いだ。

あと俺達の本拠地はこの国じゃ無い、隣国のフランチェって国が本拠地だ」

 

ならなぜ勧誘をする?この街を潰すため?それとも俺を利用する為か?

イマイチ分からんがコイツらに乗ると裏に関わりそうだから止めとくか

 

「イマイチ俺の利益が分からんし、裏の人間とつるむ気は無いんでね。イタイ目見る前に引いた方がいいんじゃ無いか?」

 

「我らをそこまで愚弄するか!」

 

リーダーらしき奴とは別の奴が喋るか。管理しきれてないな。

 

そうか、『梟』『目』

どこかで聞いた事がある気がしたがやっと分かった。

奴らか、しかも*****の連中。

タチの悪い連中に目をつけらたもんだ。

 

「黙れ*****!...次その手を動かしてみろ、此処にいる全員を殺す」

 

「...その名を知る者は少ない。それを知るのは我らか裏の人間。もしくは我らの敵か」

 

「いいか?悪い事は言わん。俺達はこの国から出て自由奔放に旅をする。そしてそれを邪魔しようものなら...お前らの国ごと潰す。」

 

「勧誘は失敗か。良いだろう、お前の言う事に従おう。だが、逆に我らの邪魔をするならこの国を潰させてもらう」

 

愛着が無いこの国なんて、さっさと潰して仕舞えば良いのに。

おっと口が滑りそうになっちまった。

ま、シエルやギルドの連中は良さそうだったけど、この国は腐ってそうだからな、いっかい内部崩壊を体験させた方がいいんじゃないだろうか?

 

「交渉成立でいいか?次会う時は敵じゃないといいな」

 

「...そうだな」

 

大人しく奴らは去っていった、そこにプラチナみたいな色の指輪をおいて...

 

俺はその指輪を拾って収納する。

 

「はぁ」

 

溜息をつき、俺はギルドに走って戻っていった。

 

ギルドには人が溢れかえり、テーブルが幾つもいっぱいになっていた。そこで優姫やリサに近付こうとした男どもが狼達に追い払われていた。

 

「優姫、リサ、帰ったぞ」

 

「おかえりなさいご主人様」

 

「おかえり!」

 

「ただいま2人共。ライラはまだか?」

 

「ああ、ライラちゃんならそこに」

 

優姫がカウンターを指さした。

そこにはライラが私服に着替え、ギルドカードをつくっていた。

俺が見ている事に気が付いたライラがニコリと笑い手を振ってくる。

俺も軽く手を振り返す。

 

すると周りが静まり返り、黒いオーラが床を這う。

俺が《SCAR-H》を召喚し、チャージングハンドルで初弾を送り込むと、ガチャンと金属音がする。

その金属音でギルドの黒いオーラは消え去り、いつも通りに戻った。

 

「ギルドの受付嬢を攫っていくなんて、ご法度よ?」

 

「けど彼女が望んだ事です。シエルさん、忠告しておきます。もし、俺達と戦うような事がある時はすぐに引いて下さい。戦争になった時にはもう一度忠告に上がります、それでも引かなければ全員死ぬ事になります」

 

「あなたは脅しが下手ね。けど、言ってる事は本当そうね。分かったわ、言う通りにする」

 

「ありがとうございます。短い間でしたがとても有意義でした、それでは」

 

俺はシエルに軽く頭を下げ、優姫とリサ、ハイマキ、ライラを連れてギルドを出る。

 

そして4人と7匹で街から出て、ある程度西に移動した所で止まる。

もう空は星が出てきており、薄暗くなって来ている。

 

「そろそろキャンプだ。準備するぞ」

 

「「「?????」」」

 

3人は全く分からないというように首を傾げ俺を見てくる。

荷物が全くないのが不思議なのだろうか?ていうか、俺目の前でライラの荷物収納したよな?

 

キャンプに必要な設備一式を召喚し、設営。

優姫やリサ、ライラにはテントの張り方を教え、ハイマキ達には枯れ枝を集めてくるように指示した。ハイマキ達はすぐさま散っていった。

 

もちろん最初に取ってきたのはハイマキだった。

 

リサ、ライラに何度もテントの張り方を説明している。優姫は経験があった為かすぐ出来たが、2人は時間がかかるし、なんか見た目が悪い。

 

「本格的に日が落ちたな。今日は俺が張ったテントで寝ろ、明日もまた張り方教えてやるから」

 

「うぅ分かりましたぁ」

 

ライラは返事が出来てるが、リサに限ってはもう精神崩壊して目があらぬ方向を向いている。

ぐろい...

 

ハイマキ達は大量の枯れ枝を集めてきて、7つの塊が完成していた。

そして塊の前に各々が座る。ハイマキが僅差で多く、勝ったようだ。

1匹ずつ撫でてやると地面に倒れて動かなくなってしまった。あれ?死んだ?そんな訳ないよな息してるし。

ちなみにハイマキはウトウトしてる。

 

無事夕食を食べ終わり、彼女らをテントに寝かしつける。

全員寝た事を確認して、テントを出る。そしてハンヴィーに戻り、《M40A1》を召喚。そして暗視ゴーグルを付けて見張り。

 

今夜は何事もなく、夜があける。

時々モンスターが近付いてきた事もあったが、突然逃げ出したり、気絶したりしていた。

 

ちなみにハイマキ達はあの状態から全く起きなかった。

 

「おはよう。こんな朝早くからどうしたの?」

 

「優姫か、早く目が覚めたから見張りしてただけだよ」

 

「そう?ならいいけど。朝ごはんにする?」

 

「そうだな、2人を起こしてきてくれ」

 

優姫が目をこすりながらテントに入っていった。

 

久しぶりの徹夜。めっちゃ眠たい、優姫に運転させて今日は眠ろうか?

これからはリサ達に見張りを任せても...うーん

 

「ふぇうとぉー」

 

おっと、ライラが寝ぼけて車に頬擦りし出したぞ。

走ってきたから起きてるのかと思ったが半分夢の中だな、こりゃ。あんだけ泣いたんだから、泣き疲れたわな。

 

「まぁ飯にする...」

 

「フェルトー!リサさんがご主人様のキスじゃないと起きない!って駄々こねてる!」

 

「分かったすぐ行く。優姫はライラを叩き起こしてくれ」

 

俺は武器を全部収納し、ハンヴィーから飛び降りる、するとハイマキが目を覚まし傍まで歩いてくる。ハイマキの体を軽く撫でてやると部下の元に行って起こしていた。

 

俺はテントに入り、リサの横まで行く。

 

「バカしてないで起きろ」

 

「...一晩中見張りだなんて随分心配してくれてるのね?」

 

「そんな顔半分出して怒っても怖くないぞ。...朝ご飯だ、リサ」

 

「.......一晩中待ってたのに」

 

「リサ?3度目は...無いぞ?」

 

リサに怒気を含ませそう言うと渋々布団から出てきた。ふくれっ面しながら。

やめろよ可愛いから、襲いたくなってくるだろうがよ。

 

とか思いつつもテントの外に出る。

 

早速朝食の用意だ。

今朝は軽めに済ませればいいかな?

 

街で買ってきた黒パンに、ミニサイクロプスの肉を薄くスライスしてフライパンで焼く。

終了!

ハイマキ達には余り物のミニサイクロプスの肉を食べてもらった。

 

質素、というか少ないけどこんなもんで昼までは持つだろう。黒パン腹持ち良いらしいし。

 

朝食は無事終了。

移動に移る為、テントを収納し、全員をハンヴィーに乗せる

 

「優姫、運転出来るか?」

 

「え?無理無理」

 

「アクセルとブレーキ。ハンドル操作だけだから、誰でもできる。あと70マイルまでしか出すなよ、乗り心地悪いから。んー、あと30分したら起こしてくれ、ナビは付いてないぞ。ずーっと西に移動してくれ。」

 

「う、やってみる」

 

優姫を運転席に乗せ、助手席にライラを乗せ直す。後部座席にはリサと俺、その後ろのトランクにはハイマキ達。

後ろのトランクに移動して寝転がる、ハイマキ達は退けてくれて俺を囲う。そして1匹が俺の上に寝転がる。

 

すぐ爆睡...

 

次目が覚めたのは日が落ちたあとだった。

優姫が起こそうとした時には俺がそのまま進め、とか言ったそうな。

速度を守っていれば時間的にちょうど国境を越えたあたりだろう。

 

さぁーて!

次の街はどんなとこかな?

まずは腹を空かした女子供。ん?ハイマキ達は動いてないから腹空いてないって?おーけー食費が浮いたぞ。

じゃあ彼女達の食事を作るとしよう...

 

 

 

 




三回ほど読み直しはして、修正も施してはありますが誤字脱字あると思うのでよろしければ報告をおねがいします!

それではごぎげんよう...


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第2章 フランチェの辺境でコツコツと
1発目 国の1番端で...夢


今回は少し少なめの4200字デスゥー

最近FF15のエンディングで泣きすぎて困ってますw

ルーナ可愛いよね


夕食を作ろうとハンヴィーから降りようとした瞬間に突然車体が揺れる。

左から衝撃がしたため、イノシシ的な何者かがぶつかってきたのだろう。

キューポラを開け、《M82A3》を召喚。軽く狙いを合わせて2連射。

 

だだっ広い草原に爆音が2回響き渡る。

 

ぶつかってきたモンスターが肉片を飛び散らし、車体に当たる音は発砲音で掻き消されていた。

ライラと優姫は突然の発砲音にビックリして頭をぶつけた様だ。

リサは...寝てそう。

ハイマキ達は耳伏せて寝転がってそうだな。

 

武器を収納して、キューポラから外に出てキューポラを閉める。

馬鹿でかくて真っ黒なモンスターを1度収納する、そしてライラが座ってる助手席を開ける。

 

「みんな、飯にするぞー」

 

覗いたところ頭を抱えていたのは優姫とリサだった。

ライラは耳に指を突っ込んでおり防いだ様だった。

 

珍しい事もあるもんだなぁ。

 

ライラが見つめてくる。

 

「ど、どうした?」

 

「...なんでも」

 

ありゃ、ライラが拗ねてる?怒ってるのか?無表情だから流石に分かんねーや。

さて、ハイマキ達も出てきた事だし夕食としますか?

ハイマキ達が集めた来てくれた枯れ枝を今日も使う。枯れ枝を積んで、ライラの魔法で火をつける、これだけで焚き火が出来るなんてとてもいいね。

ありがとね、ハイマキ達諸君。あとライラもね。

 

俺は銃についてたLEDライトを召喚し、さっき収納したモンスターを召喚する。

 

音も無く目の前に現れたのは、真っ黒と金の毛色を持ち、耳が長くピンと立っている生き物、形だけ見ればデカいウサギだった。

ウサギの毛色を黒と金の斑らに塗り替え、体長を3,4メートルに拡大すればこのウサギは完成する。

 

「ブラックラビット...」

 

ライラが口を開く。

 

「ブラックラビット?こいつか?」

 

「はい、A級モンスターに振り分けられますが滅多に目撃されず、攻撃方法も個体によって変化するらしく、半分未知のモンスターです」

 

「へぇ〜」

 

んんんー?A級??

ついこの前B級倒したような...

気のせいかも知れんな。

 

「フェルトー、晩御飯まだー?」

 

優姫が飯をくれと言い出してしまった。

 

「おい高校生、お前は食うだけのくせにあんまり調子に乗るなよ?」

 

「今日1日ノンストップで運転したもん!」

 

おお、そうだったか、なら多めに肉を分け与えてやらん事もない。

が、俺だってクソ寒い中、車内に一晩中気を配りながら見張りだぞ。

まぁ、この事知らなくても良いんだけどさ、まだ見張りできる人俺とリサぐらいしか居ないし。

 

「優姫?昼も私言ったでしょ?ご主人様は一晩中見張りしてくれてるのよ?なのに、さも自分が1番頑張りました、だから早くご飯下さい。ってのは違うと思うわ」

 

「...分かってるよ」

 

リサがバラしちまったのか、それで現状が変わるなら俺も大歓迎なんだが。逆に気を遣わせて悪いから言わないように、バレないようにしてたのにまさか2日目でカミングアウトされるとは思わなんだ。

 

さて、剥ぎ取りする時間は無いので黒パンとまだ数百キロはあるミニサイクロプスの肉を調理。

調理、と言っても焼いて胡椒を振るだけだが...

それだけでもステーキ感を味わえるのは素敵だ。ステーキだけにってか?

 

まぁ朝食と似てるような気がしなくも無いが、街に入るまでは節約しなければならない。女性組には悪いが肉と黒パンで我慢してもらおう。

 

はい、夕食終了。

優姫は終始黙って食べていた。リサは俺にくっ付いて食べさせようとしていたが、俺がライラ側に少しずつ寄ると元の位置に戻っていった。

 

俺は食器類を収納し、ライラを残し、優姫、リサ、ハイマキ達を車内に戻す。この方が安全だと分かったし、寝にくいかも知れないが一晩だけ我慢してもらおう。

 

「...やっと2人きりだな」

 

「はい...」

 

ライラとは焚き火を挟んで座っている。

ついライラを残したけど何話せば...

 

「フェルトさん、私は迷惑じゃ無いですか?ご飯を食べるしかしてない気がするんですが」

 

「全然いいよ、そのうちライラには家事をしてもらうつもりでいるからさ。だから今のうちに楽しておいた方がいいよ?」

 

「は、はい」

 

「ライラ?隣行ってもいい?」

 

ライラは少し暗いこの状況でも分かるぐらい顔を真っ赤にし、慌てる。

目を泳がせ、佇まいを何度も直し、さらに目を泳がす。

 

「...いいですよ」

 

聞こえるか聞こえないかの声量で発せられた言葉を逃さず聞き取り、ライラの横に座る。

そして胡座をかき、ライラの手を握る。するとライラがとても挙動不審な動きをして面白い。

 

「はぅ」

 

俺が手を握りなおすと諦めたようだ。

顔を伏せて、片手で顔を隠している。

 

「まだ、ダメっぽいか」

 

俺は手を離して元いた位置に戻って座る。

まだライラは恥ずかしいようで、真っ赤になり体が強張っていたりする。少しずつライラには慣れていってもらおうかな、急いでもいい事無いし、ライラにも楽しんでもらえるようにしないとね。

 

———————————————————————

 

「はぅ」

 

は、恥ずかしいです!つい、フェルトさんの問いかけに答えてしまいましたが手まで握られてしまうとは!

握り返したいけど、体に変な力が入って手に力が入らないなんて。

 

「まだ、ダメっぽいか」

 

え?

あれ?

ダメっぽい?

 

え、離れないで下さいフェルトさん。私はもう少しこのままが...

 

とても悔しいです、私のせいでフェルトさんに少し失望されたかも知れません。私、恋人失格ですかね?はは

 

突然フェルトさんが立ち上がり、どこからか取り出した槍を横薙ぎにすると金属音が3つ鳴り、フェルトさんが舌打ちしました。

 

——————————————————————

 

!?

 

3つほど向こうの方で何かが反射した!これじゃあ当たってしまう!

 

俺は立ち上がりあの槍を召還し、横薙ぎにする。すると矢が3本とも槍に弾かれ地面に転がった。

槍をすぐに収納し、焚き火を消して、ライラの手を引いてハンヴィーに走っていく。ちょうど前側の席には誰も寝てなかったので、ライラを運転席に押し込み、ついでにエンジンもかける。

俺は助手席に乗り込み窓を半分ほど開ける。そして《M40A1》を召還、サプレッサー、暗視スコープを着ける。

 

遠くに6人見える。順に左から撃ち抜いていこうか。

 

1人目、左数メートルにズレる。

 

もう一度1人目......ああもう!めんどくさい!

 

頭狙うから当たらないんだ!胴体で殺せる武器を使えばいいんだ!

《M40A1》を収納して、《M82A3》を召還。車外に出て伏射。

もちろん暗視スコープに付け替えてある。

 

真っ暗闇の草原に爆音が響き渡る。

マズルフラッシュと共に吐き出された弾丸は敵の胴体にどデカい風穴を開けた。俺は2発目3発目、4発目と連射、命中させていく。弾がなくなりマガジンチェンジ。

初弾を装填し、スコープを覗き撃とうとすると背後から火の球らしき物が飛んでいく。またスコープを覗くとさっきの火の球が残り2人を追いかけ回し、火達磨にしていった。

 

俺は武器を収納し、立ち上がる。

 

「追っ手かしらね?」

 

「だろうな...」

 

意外と早かったな、まさかこんなに早く追いつかれるとは思ってもいなかった。それにしてもおかしかったな、矢は飛んでくるのに魔法は飛んで来ないなんてな。

それに結構な距離はあったはずだが、なぜか矢が届いた。ほんの少し山なりに矢が飛んできたが誤差があった。風か魔法か分からないが結構なスピードで飛んできていたからな。

 

「見に行ってみる?」

 

「ああ、そうだな」

 

俺たちはハンヴィーに乗り込み、死体がある位置まで飛ばしていった。優姫がさっきの爆音で目が覚めたらしく、耳鳴りがするらしい。あと額真っ赤。頭打ったんだね...

 

現場に着くと1人だけ息があるようだった。まだ動いており、魔法で治癒していた。

 

リサ含め俺以外は車内に篭っているように言った。

 

「おい」

 

「っく、くるな!」

 

「お前達は誰の指示で動いている?」

 

「絶対に言うものか!」

 

はぁ、まあそうだよな。雇い主の名前言うはずがないよなぁ。どうせこれからも仕掛けてくるだろうからコイツはここで殺すか?うーん

あぁ、連れて帰ればいいのか。

 

幸い、こんなに喋れるんだ、手足は拘束して口も縄を咬ましておいた方がいいだろうな。

て事で拘束しておいた。

 

俺は奴を担いでハンヴィーに帰る。

ハンヴィーの上に括り付けて放置。

 

そして、運転席のライラを助手席に乗せ代え、エンジンをかける。

 

「えっと、上の方は?」

 

優姫が背後から小さい声で聞いてくる。

 

「俺たちを追ってきた奴らの1人。たまたま生きてたから尋問するために連れて来た」

 

優姫の疑問に幾つか答えながらも車を走らせる。暗闇で、ライトも切っているため道が分からない。そのせいで街に辿り着けませんでした、とはなりたくないから石畳の道に仕方なくでる。

 

「悪いけど、俺とライラは寝させてもらうわ。優姫、万が一の事があった時のために運転席で寝ててくれ。あとリサ、結界かなにかで上のやつが逃げれないようにしてくれ」

 

「わかったわ」

 

「仕方ないなぁ」

 

片方は渋々だったが了承してくれた。これでぐっすり寝れる...

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

ここは?

 

まわり一面蒲公英だらけ、どこを見ても蒲公英。空は晴れ渡り、鳥などは全くおらず太陽が輝いていた。

 

「フェルト様?」

 

真後ろから声が聞こえる。

 

優しそうな声が...

 

「ライラか?」

 

そこには純白のウェディングドレスを纏ったライラが立っていた。

 

「急に走って行かれたので驚きましたよ?」

 

「...そうか、悪いな」

 

いつか俺たちもこんな景色を眺めれたら幸せなのにな。

 

それは当分叶いそうにないや...

 

「もう少し、落ち着きを持たれた方がいいのではないでしょうか?もう子供ではないのですし、一国の王なのですから」

 

俺が王?何かの間違いじゃ?

 

それに、

 

「ライラは、俺でよかったのか?」

 

「私はフェルト様“で”よかったのではありません、フェルト様“が”よかったのです。

10代の頃、素直になれず迷惑を掛けてばかりいた私を、可愛がってくれたあなたがいいのです。

私の愛は見え難いかも知れません、それでも。

それでもあなたが変わらず“好き。愛してる”と仰ってくれたから今の私がここにいるのです」

 

そ...か

 

「ありがとうな、これからもずっと。ずーっと、よろしく。ライラ」

 

これで、良かったんだ。

 

「はい!政治だろうがなんだろうがぶっ飛ばしていきますよー!」

 

ハハ、それでこそライラだ。

 

さぁ、行こうか?

 

やる事は山ほどあるんだ。

 

なんか、ライラの温もりを感じたのは久しぶりな感じがするな。

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜




誤字脱字あれば報告お願いしますー!


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2発目 新しい街「プロヴァンス」

明けましておめでとうございます!今年もよろしくお願いいたしますまた前投稿から日にちが開いちゃいました~今回もちょっと長めです:)それではどうぞ


「起きて!フェルト起きて!」

 

優姫が腹を叩いて起こしてくるぅー。まだあと半日は寝れるのにぃ〜。

 

「街の近くだよ!」

 

その一言で完全に目が覚めた。久々の野菜、久々の風呂、新しいギルド。

 

あー、括りつけてる奴を尋問しなきゃいけないのか、街から少し離れた森の中でするか?

街の中でいっか

 

「フェルト!」

 

「分かってるって。全員車から降りて〜」

 

俺以外全員降りたのを確認し、手荷物を全て収納。そして最後に、括り付けた奴を降ろしてハンヴィーを収納する。

途中、拘束されてる奴が暴れたり喚いたりしたが、リサが何かしたのか突然大人しくなった。

 

「ここからは徒歩で移動するぞ、そいつはひきずって行こう」

 

「ご主人様?」

 

なんだ?リサからすごい殺気を放ってきてる気が...

振り返ると黒いオーラを放つニコニコ顔のリサが立っていた。片や優姫や、ライラはハイマキと戯れていた。

 

「俺が運ぶの?」

 

「当たり前でしょ?あなた以外に誰が運ぶのよ」

 

有無を言わせぬリサの威圧、ハッキリいって恐ろしいですぞ。

まぁ、先に尋問済ませてこいつの処分の仕方を考えるのも悪くないかな、荷物は軽い方がいいしな。

 

「リサ、外から中が見えないように結界を張れるか?あと音漏れ防止」

 

「...出来ない事はないわ。その子を尋問するの?」

 

「荷物は少ない方がいいからな」

 

「じゃ、頑張って」

 

リサのその一言で、目の前に薄い膜が出来た気がする。

 

音漏れ防止って事でこいつの口の縄をとっても問題ないな。さて、縄を解き、先の尖った細い鉄の串を用意する。

 

「縄は解いてやったんだ、俺の言う事には全て答えろ。嘘や知らないと答えたら、この棒を指先の爪の付け根から刺していく。傷を治すのは得意だろう?」

 

どんなものか想像したのか、明らかに顔を真っ青にして震えだしてしまった。

 

「なぜ俺たちを襲った」

 

「そ、それはリーダーが、あなた達はカネになるからって」

 

「賞金首って事か?」

 

「半分半分って言ったところ。あなた達がいた街の領主に直接依頼されたらしくて、報酬に目が眩んだと...」

 

そうか、ステインの野郎はオレ達と全面戦争がしたいらしいな。といっても、向こうが仕掛けてこない限り、こっちからは手を出すつもりはないがな。

 

「お前らは何処の組織の人間だ」

 

「それは...」

 

俺は鉄の棒を握り、彼女をうつ伏せにさせる。後ろ手で縛っている為、こうでもしないと手が分からない。

そして左手中指を真っ直ぐにして串を刺す。それも根元まで。

 

そうすると結界の中には彼女の悲鳴が響き渡る。思わず片方の耳を塞ぎ、片手で彼女の口を押さえる。

時間にして10秒程だったが、彼女はもう気絶しかけていた。

 

「いいか、もう一度聞く。お前達は何処に属している?」

 

「...ここから、1番近い街。プロヴァンスの。はぁ、冒険者ギルド...」

 

「証明できるものは?」

 

「......ネックレスにカードが付いてる」

 

俺は彼女の体勢を少し変えてネックレスを引っ張り出す。

そこにはこう記されていた。

 

カノン

Bランク冒険者

登録国 フレンチェ

得意武器 風魔法 短剣

クエスト受理数 548

クエスト成功数 512

緊急依頼参加数 6

不参加数 3

 

結構腕がいい冒険者らしいな。

 

「いいだろう、信用してやる。街には帰してやる、だがそこで俺たちの事を悪く言えばお前の命は無いと思え」

 

「あ、ああ」

 

「あと個人的に...」

 

カノンがビクッと震える。そして目を瞑り右手を握る。

 

「今夜、俺と...」

 

耳元でコソコソと呟く。

 

「あ...し、たい」

 

彼女は顔を少し赤らめ、小さな声で返答してくる。

 

「オーケー、串を抜くから我慢しろよ。気絶したら右手にも刺すからな」

 

引き抜く時には叫ばず声を出すまいと必死に歯を食いしばっていた。

無事串を引き抜き、カノンは自身で治療する。

 

俺はカノンを引き連れて結界の外に出る。ふとカノンを見ると恍惚とした表情を浮かべてたり...

 

当然出て行くと全員の目が向けられる訳で、カノンの顔つきに疑問を持ったのか、リサとライラが近づいてくる。

 

「フェルトさん?結界の中でいったいナニをしてたんですか?メスのフェロモンの匂いがします」

 

ライラが怖い、目が、目が笑ってないよ。そりゃ結界の中であった最後の一言ぐらいは悪かったと思うけどさ。

 

「尋問してただけだが...フェロモンに関してはハイマキ達だろ...」

 

てかフェロモンて...

 

「そんな事で騙されるバカはいないわよ?」

 

リサまでこう言いだすとは、知らないで突き通すしか道は無い!キリッ

 

「そんな事より、彼女の知っている事は全て聞き出した。だからそこの街、プロヴァンスに行くぞ」

 

「誤魔化せたつもりですか?」

 

うぐぅ、ライラ鋭い。そういうとこも好きだよ。

 

「ま、カノンの事は良いじゃん?」

 

リサはため息をついて優姫とハイマキの所に行ってしまった。ライラは突然顔を真っ赤にし、ガチガチになりながら腕にくっついてくる。そしてカノンを睨む。

カノンもカノンで少しニコッと笑って空いている腕にくっつく。そして俺の手を擦り付ける。どこに、とは言わなくても大丈夫だろう?

 

まぁ、ライラは気付かずにそのままガチガチ歩いていく。

 

ハイマキ含め無事街の中に入り、宿も取り終わったところだった。その頃にはライラは腕を離れ、リサや優姫と話しながら歩いていた。カノンは俺の一歩右後ろを歩き、ハイマキ達は俺達を囲っていた。

 

にしてもこの街の人間は危険察知能力低いのか?ハイマキ達を連れて入るって言っても、あ、そう。だけで済んだし、いったい何なんだこの街。

 

「ねぇ、フェルト?次はギルド?」

 

優姫がスカートを翻しながら後ろを振り向き、聞いてくる。しかもチラッと何か見えたぞ...

 

それにしてもギルドか...ここのギルドは賢いと良いんだがな。チンピラが絡んできたり、無能貴族が絡んできたりしなければ...

絡まれたら絡まれたで、それ相応の処分はするしな。

 

「そうだな、次はギルドに。それで手慣らしのクエスト受けて終わり」

 

優姫はりょーかいって言ってまたスカートを翻し、リサ、ライラと話し出した。

 

それから5,6分歩いているとギルドが見えてきた。ギルドの前には馬やら狼、可愛い系のモンスター?が繋がれていた。やはりこの街はモンスターokな街らしいな、ハイマキ達はここに置いていくか。

 

「ハイマキ?なんかあったらギルドの中に駆け込んでこい。ちょっかいかけられるまで大人しくしてろよ?街の外に行けれたらご褒美してやるからな。あと、仲間は守れ」

 

「ワン!」

 

おっけ!って事だと思う。

ハイマキ達を軽く撫でてからギルドの門に向かう。

 

女4人、男1人でギルドの門を潜る。

 

当然注目を集めるわけで、ライラ達が好奇の視線に晒されている。

ライラの腰に手をまわし抱き寄せる、そうすると反対側にはリサが来る。

リサが来るなんて珍しい事もあったもんだ...

優姫とカノンは他の連中には目もくれず、お喋りしながら俺の後ろを付いてきていた。

 

「今日はどういったご用でしょうか?」

 

「軽めのクエスト受けたいんだが、ランクはD,Cぐらいで。あと討伐系」

 

彼女は疑わしそうな、表情をする。表情はそうしてるがキッチリとクエスト依頼表を探している。

 

出してきたのは

 

ゴブリン5匹の討伐

4種フェアリー1匹の討伐

 

この2つだ。

 

フェアリーは5つに分かれているらしく

1種は知能が高く意思疎通が出来る為、人間と生活する事が可能。魔法が得意。

2種は知能は高いが本能に逆らわず生きている為、結構危険。こちらも魔法が使える。

3種はまんまモンスターである。

知能は低く、好戦的。サイズはフェアリーの中でも1番デカく、130〜150cmはある。その為武器を使う。

4種もモンスター扱いされている。これはゴブリン並の扱いをされる。身体が小さい為攻撃が当てにくく、すばしっこい。魔法と自作の武器を使う。

特種、こいつは主に魔法の手助けをしてくれる妖精だ。このフェアリーに好かれる人もいれば全く好かれない人もいる。目には見えず、声が頭に響くように聞こえるらしい。

 

その中でも4種を紹介されたのは少し、いや結構カチンとくる。ランク指定までしたのにE,Fランクを出されてくるとは全く思っていなかった。

 

「...舐めてんの?」

 

「いえ、そういう訳で...」

 

突然、ドッカーンってギルドの門が吹き飛んできた。ちなみにハイマキ達は攻撃食らった振りして俺の側までヨタヨタ歩いてきていた。

 

「おい!このギルドにフェルトって奴はいるか!」

 

ガタイのいい男が大剣を肩に担ぎながら入ってくる。後ろにはそいつの仲間らしき人物が6,7人いる、そいつらは片手剣やボウガン、槍などを構えていた。

 

「あれは?」

 

「このギルドのAランクパーティ『ランサー』です。もともと騎士のランス隊に居たらしいのですが上司とウマが合わず、騎士時代の仲間と冒険者になったと聞いています」

 

それでランサーか、なるほど。三菱の方思い浮かべちゃったわ、ついつい。

 

さて、そろそろうるさいんで黙らせに行きますか。

 

「お前は?」

 

「お前らが探している人物だ」

 

「そうか、やっと来たか。お前が俺たちのパーティを9割方崩壊させ、カノンまで奪っていった事に間違いはないな?」

 

「先に攻撃してきたのは俺たちじゃなかったがな」

 

そういうと俺は奴らに囲まれ、武器を突きつけられる。

 

俺は腕を組み、槍を召還する。

 

「槍、好きなんだろ?」

 

その言葉と共に彼らは一斉に攻撃を仕掛けてくる。

ボウガンとか、身体に当たってる武器を避ける事も弾く事も出来ない為、そのまま身体を貫通する。

 

おかしい、身体を貫通してるのに不思議と痛くない。血も流れない。

もしかしてこの槍、攻撃無効の効果とかついちゃってたりする?

 

『ついちゃってたりします。ですが条件があり、その条件とは攻撃が来る事が分かっていること、です。本能的に危険と察知しても発動するみたいです』

 

ありがとな。

 

『いえ...それほどでも...』

 

尻すぼみに声が小さくなっていく。

なんだろう、目に見えないがとてもニヤついているのが手に取るように分かるぞ...

 

さて、攻撃無効って事で...

もちろんこれを見ている彼らは目を白黒させ、硬直している。ギルド内にいた冒険者達も何事かと見ていたら、突然この様な事が起こったのである。

無理もあるだろう...

 

「はははッ...くく。笑わせてくれる、それで終わりか?」

 

彼らは顔を顰め、武器を俺の身体から引き抜き距離をとる。たった数メートルだが俺にとってはその間合いが無いに等しい、槍だと届かないが誰も槍しか使わないとは言っていない。

 

《Px4》を召喚し、そのまま片手撃ち。

殺すつもりはないから適当に撃ちまくっている。いくら9mmとはいえ当たると痛い、それに撃ちすぎて死なれたら困るので1人1発ずつ撃っていく。てか貫通した後の弾が怖い、流れ弾で他の人に当たってないといいが...

 

あれ、こんな光景どっかで見た様な?

気のせい?

 

「まぁいいや、早く依頼だして?」

 

受付嬢に振り返りニコッとする。

突然話しかけられた彼女は呆けた声を発し、数秒間停止した。

 

 

 




誤字脱字あれば報告お願いしますー

次話投稿もいつになるかは分かりませんX((


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