今の私は盗賊のクリスだよっ! (ひきがやもとまち)
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今の私は盗賊のクリスだよっ!
プロローグ「転生特典はTSを選んだよっ!」


「今の私は盗賊のクリスです」を基にしましたが、あちらは一応、原作をなぞるつもりだったのに対し、こちらは元にはしてもなぞりません。

エリス様は基本的に被害者です。
ヤンデレ気味ですが、「です」ほど凶悪ではありません。


「○○○○さん、ようこそ死後の世界へ。あなたはつい先ほど、不幸にも亡くなりました。短い人生でしたが、あなたの人生は終わってしまったのです。

 私の名はアクア。日本において、若くして死んだ人間をーー」

「異世界に、特典を与えて転生させてくれるんですよね、女神様!!」

「ーー導くめ・・・って、早いわよ! 最後まで言わせなさいよ! 中途半端だとなんか変な気分になっちゃうでしょうが!!」

「イキたいのに、イカせてもらえない時みたいに?」

 

 真っ赤になった女神様に、グーで殴られました。

 

 頭に出来たたんこぶを押さえるボクを、激怒とは違う理由で顔を真っ赤に染めたアクア様が鼻息荒く、すごい形相と、視線だけで人を殺せそうな怖い目で睨みつけてくる。

 

 アクア様は女神を名乗るだけあって、すっごい美人。淡く柔らかな印象の透き通った水色の髪を長いポニーテールにしてる。

 

 オッパイとお尻は大きくて、多分中身をはいてないんだろうミニスカートなんか、もう堪りません。

 

 一言で纏めるとーー

 

「押し倒してもいいですか!?」

「ダメに決まってんでしょうが! バカじゃないの!? バカなんじゃないの!? 死ぬの!? 死にたいの!? 犬なのバカなの死ぬの!?」

「ルイズたんキターーーーーっ!」

「この、おバカ様ーーーーーっ!!」

 

 ハリセンで叩かれるボク。

 そう言えば黒ウサギの髪も水色だったなぁ~。

 彼女も神の眷属だったし、もしかしてアクア様の従兄弟かも?

 

 閑話休題

 

 ひとしきり騒いで、ようやく落ち着いたボクは今、椅子ではなくて床に正座して(させられて)女神アクア様からの、ありがた~いご説明を受けています。

 

 要約すると、死んで此処に来たボクには二つの選択肢が与えられているらしい。

 一つは、人間として生まれ変わり、新たな人生を歩むか。

 もう一つは、天国的な所でお爺ちゃんみたいな暮らしをするか。

 

 天国は、ボクたちが親から教えられてきた様な素敵な所じゃなくて、何にもないところ。死なない代わりに、生まれない。失う物がない代わりに手には入る物もない。そもそも何も生み出せない、そんな場所なんだって。

 

「テレビもなければ漫画やゲームもない。もちろん死んだんだから、えっちぃ事だってできなーー」

「転生がいいです! 転生しかしたくないです! むしろ、天国(刑務所以下)に行くぐらいなら消滅させて下さい! お願いします!!」

「ちょっと待てコラ。今なんか不穏な表現しなかったか?心の中で」

「してません。言外に違う意味を込めただけです」

「もっと悪いわ! 一応は神様が治めてる場所なんだから敬いなさい!」

 

 以外にも畏敬の念を持っているらしいアクア様。ーーところで、女神様よりも神様の方が偉いの? 男尊女卑? ギリシャ神話の方が良かったなぁ。・・・でも、ヘラ様には見初められたくない。

 

 どちらかと言えば、フレイヤ様でお願いします。

 ダンまちのエロいフレイヤ様なら、どんと来い!

 

「・・・それにしても、ここまで直接的に非難してきた奴は初めてね。

 参考までに聞くけど、なにがそんなにイヤだったの?」

「エッチが出来ないからです!」

「少しは言葉を選べボケがぁぁぁぁーーーーっ!!!」

 

 炎を纏った、女神の怒りと悲しみを乗せた必殺の拳、ゴッドブローをお見舞いされました。相手は死ぬそうです。

 

 と言うわけで、死にました。

 

 

 

 

「ーー死に戻りしたよっ!」

「ゼロから始めんな!」

 

 死んでいるので死なないボクは、魔女の加護が亡くても無事に死に戻れたのでした。

 アクア様はさしずめ・・・ネムちゃん? 髪の色はレムちゃんなのに~。

 

「はぁ、はぁ・・・と、とりあえず、あんたの選択は異世界に転生って事でいいわけね・・・?」

「はいっ! 転生特典には銀髪の巨乳盗賊美少女に転生できる権利がいいです!」

「図々しいわね! そう言うのは選ぶ権利を与えてから要求しなさい!」

 

 出会ってから怒り顔しか見せてくれないアクア様。笑顔も見たいお。

 

「・・・でも、どうして盗賊? 言っちゃなんだけど、ダンジョン探索には必須な割に結構地味なクラスよ、アレ。

 攻撃スキルはほとんど覚えないし紙装甲だし。その上、ステータスも軒並み低め。需要が高いって以外には何のメリットもなーー」

「色っぽい格好の巨乳盗賊美少女って萌えませんか!?」

「あんた本当にブレないな!」

 

 良いよね、盗賊美少女! ショートパンツに皮の胸当て! ヘソ出し生足、絶対領域! ビキニアーマーが少なくなった現代に残る最後の希望!

 

 もちろん、ボンテージの女魔道師も考えたけど、やっぱりボク的には盗賊美少女。

 だってーー

 

「“盗む”で美少女を全裸に剥きたいんですっ!」

「死ね変態! 地獄に堕ちろ!!」

 

 天国はあるみたいだけど、地獄もあるのかな?

 

「ああ・・・女顔の美少年が超弩級の変態だなんて・・・乙女の夢が音を立てて崩れ去っていくわ・・・・・・」

「最近のエロゲでは定番ですよ?」

「聞きたくないわよ、そんな生々しい現実!」

「あ、そう言えば知ってますか? ラノベ原作の二次創作でイケメンキャラがオバロの真似して「エロゲーイズマイライフ」って発言してるのを見て爆笑したことがあるんですけど、真顔で眼鏡を光らせながらあの台詞って、なんか格好良かったです」

「死ぬ! 死んでしまう! 私の中の乙女心が死滅するぅぅぅっ!!!」

 

 床をゴロゴロと転げ回るアクア様。

 お陰でスカートの中が見え放題。眼福眼福。

 

「はぁ、はぁ・・・き、今日だけど何度死にかけたか分からないわね・・・。

 ・・・とんでもないのを連れて来ちゃったわ・・・。こんな事なら、エリスの奴が出勤してるときに廻すんだった・・・」

 

 膝を附き、壁の方を向いて絶望しているアクア様のお尻姿は大変見応えがありますね。

 

 とっても、いいお尻です。

 脳内フォルダに永久保存しておこう。

 

「・・・・・・ねぇ、いい加減出てってくれない? 私、金輪際あんたとは会いたくないし話したくもないの。

 仮に魔王倒しても、此処には戻ってこれないようにするつもりだし」

 

 まさかの、攻略後にバッドエンドが待っていることを女神様自ら教えてくれる展開。

 これは・・・新しい! 斬新だ!

 

 ・・・・・・でも、売れないと思います。新人賞で落選確実だろうなぁ~。

 

「じゃあ、早く転生をお願いします。ボクは一刻も早く女の子になりたくてウズウズしているんです。すでにランナーズハイです。光の世界です。

 ボクは今、猛烈に欲情してるぅぅぅっーーー!!!」

「うっさい! 分かったから静かにしてよね! ここでの会話、他の部屋にも聞こえてんのよ! 私まで変態扱いされて婚期逃したら、あんた責任取ってくれんの!?」

「え・・・? ・・・・・・・・・責任、取っちゃってもいいんですか?」

「ごめんなさい、無理です、絶対にお断りです。お引き取り下さい」

 

 うん、わかってたけど辛いね、告白しての玉砕って。

 八幡先生マジリスペクト。だって、いろはちゃんからこんな対応を毎回受けてるのにへこたれないし。

 

 ボクだったら確殺だね。しかも、一確。

 課金アイテムなしのアプリコットがメテオ以外の魔法を使っても普通に死ぬわ。

 

「・・・・・・もういやだ、こいつ。とっとと終わらせて今日はもう退社しよう。帰って刀剣男子に癒されよう・・・」

 

 女神様の好みが発覚。どうやら、美形好きみたいです。

 

 ボクも顔は美形だから、可能性は充分にーー

 

「無いわよ!」

 

 無いそうです。

 残念、こうなったら異世界で出会いを求めよう。

 

 異世界に出会いを求めるのは間違っているだろうか?

 否! 断じて、否である!

 

 そんな、くだらない結末など何度でも覆してやるさ!

 私は心底諦めが悪いのだよ!!

 

「・・・・・・えーと、それじゃあ。

 ーー○○○○さん。あなたをこれから、異世界へと送ります。魔王討伐のための勇者候補の一人として。

 魔王をたおーー」

「あ、ボクの他にもいるんですね、転生者。しかも、勇者候補なんだ。

 ーーうん、その話を最初にするべきだったんじゃないかなと、ボク、思います」

「お黙り! 話の腰を折らないで! 気が散るでしょうが!

 ーーコホン。魔王を倒した暁には、神々からの贈り物を授けましょう。世界を救った偉業に見合う贈り物。・・・・・・たとえどんな願いでも。たった一つだけ叶えて差し上げましょうーー」

「ドラゴンボールだね!」

「黙れっつってんでしょ! いい加減にしないとチョン切るわよ!」

 

 乙女とは思えない罰則をお考えになる女神アクア様。

 女の子って怖いね。美少女の場合はさらに怖さが倍増するよね。

 何でだろうね、不思議だね。

 愛憎は倍返ししなくてもいいんだよ?

 

「ああ、もう! 面倒くさい!!

 もういいわ、強制的に異世界転移の魔法を展開。解除不能にセット。

 ーーこれで、その魔法陣の中にいれば十秒後には異世界で銀髪の盗賊美少女になってるから。後はどうぞご自由に。贈り物はアンタにだけは用意しとかないわ。じゃあね」

 

 言い捨てて部屋を出ていくアクア様。

 最後までいいお尻姿を有り難うございました。

 

 ・・・ここで待ってればいいんだよね?

 待ってるだけで銀髪の巨乳盗賊美少女になれるんだよね?

 

 ワクワク、ドキドキ。

 

 

 

 

 ーートントン。

 

 ・・・・・・え?

 

「ーー先輩? いないんですか先輩? まだ、お仕事中ですよ?

 もう、アクア先輩がいつもサボるから私が後始末をしなくちゃいけなくなるんですから、もう少し女神としての自覚をもってーー」

 

 ガチャ。

 

 ちょ・・・!

 

「失礼しまーーえ?」

 

『ワープゲート・オープン。強制転移を開始します』

 

 シュウゥゥゥゥゥゥゥゥッン!!!

 

「き、きゃああああああぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!??」

 

 ・・・・・・あ~あ、やっちゃった・・・。

 

 アクア様の後輩(?)女神様(?)の方、巻き込んでしまってごめんなさい。お詫びの言葉もありません。

 

 なのでせめて、これだけは言わせて下さい。

 

「薄い水色の下地に、濃い青のリボンが付いたおパンツ、すっごく似合ってて可愛いですよ!」

「きゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」

 

 なぜか、さっきのものより数段大きい悲鳴を上げてスカートを押さえながらボクの上を飛んでいく白銀の髪と白い肌の女の子。

 

 彼女の黄色い悲鳴をBGMに、ボクの物語が始まろうとしている。

 

 まぁ、ようするにチュートリアルを兼ねたプロローグが終わる辺りって事だね。

 

 ああ、異世界にはどんな女の子が待っているんだろう・・・?

 そして、ボクはどんな女の子になっているのかな・・・?

 

 マズい、ワクワクドキドキが止まらない!

 

 ーーそして、なによりも重要なこと。

 

 それはーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ーーどんな女の子専用装備が待っているんだろう・・・?(ワクテカ)

 

つづく




エリス様は出来るだけ原作を意識するつもりです。


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1話「喧嘩するほど仲良く牢屋行きだよっ!」

遅くなりましてすみません。ありがたいアドバイスを頂いたので書き直してました。
アクア様とエリス様の両方を出すことにしたのであらすじを一部削除しました。
ついでに「全裸ネタ」と「女性キャラは不幸」をタグに付け加えました。

基本的にはヒロインの誰かが不幸になって終わるのをパターンにしたいです。
それと、今回は急遽話を変更したので文章がいつも以上に雑です。次回から気を付けます。


 白い光に包まれていた視界が晴れて、目の前に草原と茶色い煉瓦の城壁が聳える光景が広がっていた。

 

「おお! なんか異世界っぽいね! ファンタジーだね! 現実では建設するのに幾らだろうね! お金持ちの貴族が支配してなきゃできないね!」

 

 RPGプレイヤーにはおなじみの夢のないツッコミを入れた後、ボクは自分の身体について確認をする。

 理由はもちろん、ちゃんとTSしたのかどうかを調べるため。

 ついでに、TSしていた場合は胸やお尻の大きさと形を触って確かめたかめて置きたかったんだ。

 

 お触りは厳禁! セクハラは性犯罪!

 でも、自分の身体で色々ヤるのは合法。自分の身体をオカズにするのは禁止されていないのです。

 

「うん、ちゃんと女体化してるね。おっぱい大きいね。お尻もキュッと締まっててセクシーだね。不二子ちゃんもびっくりのバランスだね!」

 

 数値では負けてるけど、バランスでは勝っていると断言できる。

 だって、バスト99.9。ウエスト55.5。ヒップ88.8センチってバランスが可笑しいもん。

 数字で見ると綺麗なんだけどなぁ~。

 実際にいたら、多分キモいと思う。

 

「まぁ、それはいいとして。

 女体化して最初にやることはーーひとつしかないよねっ!」

 

 ボクはお約束に素直に従い丈の短すぎるショートパンツのホックに手を伸ばしーー

 

「「ダブル・ゴッドブロー!!」」

 

 ーーた所で、二人の女神様から当たれば相手は死ぬゴッドブローを一つずつ頂戴しました。

 それでも死んでないのは手加減してくれたんだろうね。優しいね。

 

「もしかして、ボクに惚れーー」

「エリス、手加減はいらないそうよ。

 次は全力で仕留めなさい」

「はい、アクア先輩。

 今度は必殺のシャイニング・ゴッドブローで確殺します」

「調子に乗ってごめんなさい。

 土下座しますから殺さないで?」

 

 即座に土下座。

 さすがに本気のゴッドブローをレベル1で受けたらオーバーキル過ぎる。絶対に助からない。

 

 ・・・でも、女の子になってから女の子に対して初めてやった行為が土下座って、なんか背徳的だね!

 アブノーマルだね! 感じちゃいそうだね! トイレはどこかな?

 

「まだ邪な思いを感じるんですけど・・・」

「エリス、そいつは存在自体が邪なのよ。考えるだけ損だから割り切りなさい」

 

 酷いことを言われちゃいました。

 ・・・あれ?

 

「なんでアクア様もいるの? 一緒の部屋にいなかったよね?」

 

 そう、なぜかこの場にいるはずのないアクア様までが同席しているという珍事。不思議だね。

 まぁ、ボクの記憶には青色おぱんちゅの事しか残ってないから、どうでもいいんだけどね。

 

 そんな軽い気持ちで訊いただけなのに、アクア様としてはどうでも良くなかったみたい。

 真っ赤な顔して額に青筋立てまくった彼女に掴みかかられちゃった。

 

「アンタのせいに決まってんでしょうが!

 あのあと部屋に戻ろうとしたら神様から、“あんな変態を異世界に押しつけるなバカ! 異世界を滅ぼす気か!? とっとと天国に強制連行して永遠に塀の中に閉じこめておけ!!”って言われて、元の部屋に戻された瞬間にワープ魔法発動。

 頭上からエリスの悲鳴とアンタの変態発言が聞こえてきたわ・・・」

「うわぁ、アクア様マジ災難」

「おかげで、アンタにスカートの下を見られなかった事を喜んでしまったわ・・・」

「うわぁ、アクア様マジ幸運」

 

 履いてないもんね、アクア様。さっき確認済みです。

 ・・・あれ? これって意味なくない? 普通に見られてるよ、ボクに。

 

 ーー気づいてないみたいだから、それでいっか。あと、とくに関連性はないんだけど天国って「生徒会の一存シリーズ」に出てた「楽園」みたいな扱いなのかな?

 

「ねぇ、ところでアクア様~。あっちのちっぱいな後輩(?)女神様は紹介してくれないんですか~?」

 

 アクア様とはまた違った可愛さを誇る美少女女神様。

 ゆるふわヘアーと、ちょっとだけタレている大きな瞳が堪りません。

 そして、ぺたんこ! 無い乳はすばらしい。ひんぬーは正義。巨乳も正義。

 すなわち、オッパイは絶対正義。異論は認めない。

 

「ああ、エリスね。アンタの想像通りに私の後輩女神よ。

 一応、幸運を司っているんだけど、実際は運の悪さが人一倍の残念駄女神よ」

「アクア先輩にだけは駄女神って言われたくないんですけども・・・」

「ギャルゲーとかに出てくる、貧乏な残念女神ヒロインだね!

 段ボールがマイホーム!」

「貴女にだけは何一つとして言ってほしくないんですけども!

 あと、イヤな思い出が蘇るからそれは言わないでぇぇ!!!」

 

 エリス様も元気一杯。

 この調子で異世界生活を満喫したいなぁ~。

 

 そして、女神エリス様は黒歴史持ちなのが確定しました。

 

「そういえばアクア様。ボクって、もう盗賊になってるの?

 ステータス欄とか出ないから自分じゃ分かんないんだけど」

「ゲームのやりすぎよ、アンタ・・・。

 はぁ、少なくとも能力値は即盗賊になれるだけのモノを用意しといたけど、実際に盗賊になっているかは私にも分からないわ。

 この世界の担当はエリスで、私は時々遊びに来たり、地球で死んだ奴を適当に選んでチート武器与えて転生させたりしてただけだから」

「いかにもな神族だなぁ」

 

 ギリシャ神話の神様よりかはマシだけど、アクア様も相当いい加減に天界を運営してるっぽい。

 んで、尻拭いはエリス様に押しつける、と。

 

 うん、良い人間関係だね!

 世話焼きの幼馴染は、貧乳が基本だし。

 

 ぜひとも女神様同士による百合展開を希望します!

 

「ーーだいたい、先輩のそのいい加減さが今回の事態を招いたんですよ! コレ完全に不祥事じゃないですか!言い訳のしようもないほどに! 適当に選んだ人間に神器を与えるだけなら私が回収できます。できますけど、この人だけは無理ですからね!!

 て言うか、この人だけは絶対にイヤです!!呼吸音を聞いただけで妊娠しちゃったら、どう責任をとってくれるんですか!?」

「ボクの初めて・・・要る?」

「要・り・ま・せ・ん!!」

 

 真っ赤な顔をさらに真っ赤にして怒鳴りつけてくるエリス様。

 白い肌に赤い頬。落ち着いた雰囲気に激怒の色と羞恥の朱。

 素晴らしきかなコントラスト。

 わびざび? あるいは黄金比?

 うん、よく分かんないからどうでもいいや。

 

 ボクが自分の中で適当に自己完結をしたあとも、エリス様によるアクア様への非難と弾劾は続いてるみたい。

 

「だから言ったじゃないですか! 誰でも彼でも「死んだらとりあえず転生させとけ」みたいなやり方だと、いつか絶対に大変なことになるって!

 どうするんですか!? どうするつもりなんですか!? どう責任とるつもりなんですかぁっ!!

 大変なことよりも先に、大変な変態がきちゃったじゃないですか! それも、とんでもない大変態がっ!!」

 

 上手いこと言ったつもりかもしれないけど、あんまり上手くないと思います。

 エリス様は冗談スキルを習得すべきだね! 宴会芸とかオススメだよ!

 

「うう・・・。

 だって、いちいち勇者を選定するの面倒くさかったんだもん・・・」

「その結果がコレなんですよ!?

 魔王よりも質の悪い色欲魔人を転生させてどうするんですか! 七つの大罪の一つですよ! 魔王と並ぶ大悪魔ですよ!」

「・・・ゴウセル?」

「そっちの七つの大罪じゃありませんっ!」

「・・・ラスト姉さん?」

「ハガレンでもないですっ!」

「・・・あっ!分かった!パッションリップ!

 あの大きさは色欲魔人レベルだよね!」

「あれは駄肉ですっ!!」

 

 女神エリス様は、日本のサブカルチャーにとっても詳しい。

 もしかしたら、隠れオタクなのかもしれないね。

 

 でも、ぺたんこだからデカパイには厳しいね!お約束だね!

 アクア様とエリス様でシャルティアちゃんとアルベド様コントやってくれないかなぁ~。

 できればぷれぷれの方でお願いします!ボク、シズちゃんやりたい!

 

「こんなのが異世界を救う勇者に見えますかっ!? あきらかに犯罪者予備軍でしょう!? それも性犯罪! もしも「世界中の女の子からパンツを盗む」のが目的だったら、どうするつもりだったんですかっ!」

「ううぅ・・・それ、あり得るかも・・・。

 そいつの願った転生特典「銀髪巨乳の美少女“盗賊”になることだったし・・・」

「と、盗賊!? 天職すぎますよ、それ! 完全に犯罪者ルート一択じゃないですか! 女勇者からもパンツを盗み出しかねませんよ!」

「ああ、それ思った。Ⅲの女勇者ちゃんに「盗む」コマンド使いたいなーって。同じⅢでもFFの方にはあったのになぁ~、味方には使えないけど。

 あと、一番お尻を触りたいと思ったのは、Ⅳの女勇者ちゃんとⅥのセリス様!」

「変態は黙っててください!」

 

 怒られちゃった。

 優しそうで天然系っぽい女神様だけど、こう言うキャラほど怒らせると怖いんだよね。時々病むし。

 

 ヤンデレ系ゆるふわぺったん娘超ボク好み!ぺろぺろしたい!

 そして、お仕置きされたい!とってもHなのを所望しまっす!

 

「あぁぁ・・・。ど、どどどうしましょう・・・。

 変態と駄女神が私の管轄する世界にやってきちゃいました・・・。

 これ、天界に帰ったとき神様になんて報告すればいいんですかぁ・・・」

 

 蹲って自分の運命を嘆く、幸運の女神エリス様。

 その後ろでアクア様が「いや、そもそも戻れないんだけどね。世界移動の門を閉じちゃったし・・・」って、致命的なことを小さな声で呟くのが聞こえちゃったけど、もちろんボクは他言しません。ボクは空気が読める良い子だからです。

 

 誰だって、不幸なぺたんこ美少女僧侶様の冒険が見られるんだったら、見てみたいよね! 男の子だったら当然だよね! 元男の子な女の子でも一緒さ! 人類皆エロ大好き!

 

 ぜひともRー16くらいのを希望します!18禁なら、同人ゲーム風のが良いな! 最近のはツクールで作ったの多いよね! ファンタジー世界を舞台にした王道設定のRPGが、同人のエロRPGばっかりになってきてるのは正直どうかと思います。

 

 楽しいけどね!同人RPG! 美少女が全裸で冒険は基本だよ!

 負けて脱がされ犯されるのは、女冒険者としての義務だと思う(断言)

 

「・・・決めました。私が魔王を倒します!!」

「ええぇっ!?

 ちょ、ちょっとエリス! それだと戻った後に神様からお仕置きされるんじゃーー」

「必ず魔王を倒し、神々から送られる、どんな願いでもひとつだけ叶えてくれる権利を使って・・・私は、この変態を元の世界に強制送還して見せます!」

「ち、ちょっとまってエリス!

 それやられちゃうと私の立場が! アンタだけじゃなく、私までお仕置きされちゃうんだけど!?」

「待っててください、異世界の皆さん。私が・・・この幸運の女神エリスが皆さんとこの世界の平和を守って見せますからねっ!」

「聞いて!お願いだから聞いて!ヤバいって絶対!

 それやったら間違いなく私たちの未来が閉ざされちゃうから! むしろ、私たちが犯罪者扱いされちゃうから! 最悪の場合、そこの変態に口止め料代わりとして支払われちゃうわよ!?」

 

 おお、それは嬉しい。さすがは異世界、転生者に都合の良すぎる設定だ。

 チート無くても特典はちゃんとあって、お得だね!

 

「そうと決まれば、まずは冒険者登録です。冒険者ギルドに行って冒険者に登録してもらいましょう。そこで職業選択もできますし、職業に就けばスキルを覚えてクエストも受注できます。

 名前の記入が必要なんですが、私はこの世界においてエリス教の御神体として崇められていますから、名前を変えないといけません。

 なので、とりあえずは一文字変えてクリスと名乗ろうかとーー」

「あ、それボクの名前っぽい。なんか頭の中に自分の名前として浮かんできたんだ。

 多分、アクア様が考えたんじゃないかな?」

「先輩ぃぃぃぃぃぃっ!!??」

 

 ブルータスに裏切られたカエサルの顔でアクア様へと向き直るエリス様。

 それに対して、ラディカル・グッドスピードよりも速い速度でエリスの視線から顔を逸らすアクア様。

 

 好対照な女神様達がすっごく可愛い。

 まさに百合ラブコメだね、少女タイムきららだね!

 あ、ボクが好きなのは桜trickよりもゆゆ式!唯ちゃん可愛すぎるよね!

 絶対にあの子は真性のドMだと思います。

 

「・・・ごめん、考えるの面倒くさかったから・・・」

「だからって、なんで私の名前と似た名前にしたんですか! クリスが使えなくなっちゃったじゃないですか!

 なんで、もっと変態にふさわしいクズっぽい名前にしなかったんですかぁぁっ!!」

「・・・・・・ごめん、クズっぽい名前を考えたら最初に思いついたのがエリスだったの・・・・・・」

「クズ!?私の名前が!?なんで!?

 私、アクア先輩がイヤがることしたことありましたっけ!? 無いですよね!?

 いつだって迷惑をかけられるのは、私の方だったじゃないですかぁぁぁっ!!」

「・・・・・・ああ、もう! さっきからゴチャゴチャうっさいわね!

 昔っからアンタの人気の高さが気にくわなかったのよ! 悪い!? なんか文句あんの!? あるなら言ってみなさい、聞くだけなら聞いてあげないから!」

「開き直り!? ひ、酷い、酷すぎます・・・。ううぅ・・・アクア先輩のバカぁぁっ!! 考え無し! アンポンタン! 年中ノーパンの露出狂変態女神ぃぃ!!」

「誰が露出狂ですってぇ!? そう言うアンタだって、なによそのお子様パンツは!

 幼女趣味の女神エリス様は八歳までオネショが止まらなかった、お漏らし女神様~♪」

「むきぃぃぃぃっ!! 絶対に秘密だって言っておいたのにぃぃっ!! アクア先輩なんか性悪女神の癖にぃぃぃぃっ!!!

 そんなだから昔から男の人たちに身体目当てでしか声をかけられないんですよ~っだ!」

「なぁ~んですってぇ! この胸無し引き篭もりぃっ!」

「なぁんですかぁ! この胸とお尻に栄養全部持って行かれたアホビッチぃっ!!」

 

 おお、スゴい。

 美少女女神様同士のキャットファイトが始まっちゃった。

 どっちが勝つかなぁ~。

 

 あ、エリス様がアクア様のコスチュームを破いた。部位破壊だ。クイーンズ・ブレイドだね。

 

 おお、今度はアクア様がエリス様の上に馬乗りになってお尻ペンペン攻撃だ。スカートはめくってもパンツは下ろさないのが女神の優しさだね。

 

 ああ!それは駄目だよエリス様! 見えちゃう!見えちゃうから!

 え!? アクア様はそこまでしちゃうの!? それはマズい、マズいよ! 部位破壊は全部が壊れちゃうと裸になって、戦死扱いになっちゃうんだよ!? 戦闘後に衣服が戻るのはゲームだけなんだからね!?

 

「このこのこのーーーっ!!」

「えいえいえいえーーーっい!!」

 

 ・・・うん、放っとこう。

 あのままの格好の二人と町中を歩くのは、さすがのボクでもちょっとだけイヤだ。

 

 粘液塗れだったらプレイの一種と言い張れるけど、あの格好だとなぁ。

 プレイしてましたって言ったら牢屋行きになりそう。

 

 さぁ、とりあえずはボクの冒険を始めよう! まずはエリス様の言葉通りに冒険者ギルドに行って冒険者登録だぁ!

 選ぶ職業はもちろん盗賊! 装備も最低限身につけてる!

 

「行くぞ~っ! 目指せ世界中の女の子との出会い!

 異世界に出会いを求めるのが間違っているわけがない!!」

 

 声に出して決意表明し、ボクは「駆け出し冒険者の町、アクセルへようこそ! 市街地図は門を入ったすぐ横です」って書かれた看板を横目に、アクセルの町へと入っていくのであった。

 

 どんな冒険と出会いと女の子が待っているのかワクワクするね!

 是非ともビキニアーマーを装備した女戦士に会いたいです!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・それで? あんたらなんで、そんな格好のまま町を徘徊してたの?」

「いくらズタボロだからって、女神の羽衣バカにする気!?

 此処よりも酷い地獄に突き落とされたいの!?」

「そうですよ! 私たちが誰なのか判明したら、貴方は大変な目に遭わされるんですからね!

 わかったら早く此処から釈放してください!」

「・・・・・・とりあえず、明日の夜までそこで頭冷やしな。

 ーー拷問係を呼ぶかどうかは領主様に聞いてからにするわ・・・」

「「いやぁぁぁぁぁぁぁっ!?

 お願い、誰か私たちを此処から出してぇぇぇぇぇっ!!!!」」

 

 アクセルの町の地下牢より。

 

つづく




「Re:地下牢から始まる異世界生活」書いてみたいですね。エリス様主人公で。
ちなみに毎回最後は地下牢に戻ります。
別案として「Re:全裸から始まる異世界生活」というのも書いてみたいですね。こちらも最後は全裸に戻ります。

どちらも原作は「このすば」で主人公はエリス様。


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2話「いきなり冒険者になってるよっ!」

長らくお待たせしてすみません!久しぶりの更新です!
書いては消し書いては消しを繰り返していましたが、アニメ第二期一話目を見た事で快復。書ける様になりましたぁ!

ただ、その反動からかエロい内容になってしまいました・・・。次回からは自重したいと思います。
久し振りなので鬱憤とか性欲とか色々と溜まってまして・・・。
本当にごめんなさい。次回は気を付けます。

注:エロネタが多いのでタグに「エロネタ」を付け足しました。


「もう戻って来たりしないよう、真人間になるんだぞ」

「「長い間、お世話になりました・・・」」

 

 ボロ(女神の羽衣だった物)を纏った二人の美少女は煤だらけの身体をくの字に曲げて一礼し、二週間という貴重な時間を共に過ごした(過ごさせられた)牢獄と、お世話になりまくった看守のオジサンに別れを告げ、ようやくアクアとエリスの女神二柱は娑婆への帰還を果たした。

 季節は夏。身を切るような寒風など吹くはず無いにも関わらず、二人の女神は寒さに身を震わせる。その理由は、二人にとってそれぞれ唯一の装備品「女神の羽衣」と「女神の聖衣」の性能が大幅にダウンしているためである。

 

 アクアが装備している「女神の羽衣」は神具と呼ばれる女神専用装備のひとつだ。あらゆる状態異常を受け付けず、強力な耐久力と様々な魔法が掛かった逸品で、この世界に同じ品は二つと無い。

 エリスの纏う「女神の聖衣」も女神専用装備で性能的な優劣はほぼ無い。

 異なっているのはただ一点、彼女は幸運の女神でありながら運が悪く、騙されたり利用されたりギャンブルで擦った挙げ句に身包み剥がされたりと、散々な目に遭いまくるため、幸運値upの追加効果が付与されている事のみ。・・・付け焼き刃にもなっていないが・・・。

 

 神々が纏うに相応しい性能を持つ神々しい神具・・・だったのだが、今やその面影はどこにも無いーー。

 

 全体的にボロボロであり、所々破けている。胸や股間などの女の子として決してみられてはイケない箇所は辛うじて隠せているが、逆にそれら乙女の秘密を守ろうと無理した結果、いくつかの部分が丸見えで丸出し状態になってしまっている。特にお尻に至っては完全にモロ出しだ。丸見えである。

 アクアは元々が“履かない派”であり、「ノーパンこそ至高」を奉ずるノーパン連盟の幹部である。であるが、だからと言って見られたいわけではなく、むしろ見られたくない。見せたいわけでは断じてないのだ。見られたら普通に恥ずかしい。恥ずかしすぎてお嫁に行けないレベルである。貰い手があるかは別問題。

 エリスに至っては生来の恥ずかしがり屋であり、見られたく無いどころか「男の人に見られたりしたら、その人を殺して私も死にます!」とか言っちゃうレベルのテンパり具合で暴走するのは確実。大人しめな美少女がヤンデレ気味なのは仕方ない。仕様である。

 

 そんな彼女ら二人が町中でお尻晒して歩き回っていても冷静でいられるのは、牢屋の中では毎日を裸同然の格好で過ごしていたから・・・ではなく、単に気付いていないだけ。気付けば暴れ出すが、今はまだその時ではない。

 

「ーーくしゅんっ! うう、寒い・・・。

 なんで夏なのにこんな冷えるのよ~・・・。まるで真冬みたいじゃない。太陽ちゃんと仕事してよ。このままじゃ私たち真夏に寒さで凍え死んじゃうじゃないのよ~・・・」

「先輩、それはきっと世間からの冷たい目が体感温度を下げてるんですよ。ほら、見てください、あの街角からこっちを指さしてる小さな女の子を。すっごく卑しい物を見る目で私たちを見ているでしょう・・・?

 うふ、うふふ・・・。これで私も前科者。脛に傷を持った裏社会の人間の仲間入り。世間から後ろ指刺されて生き恥をさらし続ける惨めな人生の敗北者・・・うふ、うふふ、うへへへ・・・」

「ち、ちょっとエリス!?大丈夫なの!? なんか目のハイライトがなくなりかけてるんだけど!?

 ああ、もう! ほら大丈夫大丈夫、良い子良い子。エリスちゃんは悪い子なんかじゃないでちゅからね~」

「ううう・・・ぜ、ぜんばぁい・・・。

 う、うわわぁぁぁんっ!!」

 

 涙を瞳いっぱいにためたエリスは頭を優しく撫でてくれる意地悪な先輩だったはずの女神の胸に飛び込むと、子供のように泣きじゃくり号泣し始める。

 思えば彼女は箱入りだ。良いとこの出で、苦労は知っていても苦渋を味わった経験はない。屈辱や恥辱であるなら尚更だ。

 そんな彼女に二週間の牢獄生活(in全裸)は過酷すぎた。精神崩壊一歩手前まで追いつめられていたのだ。さすがにこの状態の後輩にまで悪態つけるほど女神アクアは性悪ではない。

 

(まっ、こう言うのもたまには良いか。貸し一つって事で)

 

 非常に珍しく女神らしい思考に耽る、異世界で信仰される二人の女神のうちの一人。明日は雨か槍か、はたまたアンゴルモアか。

 

 白昼堂々、路上道ばたで抱きしめあって互いに身を寄せ合う二人の美少女。

 本来ならば画になるし、いつも通りの二人ならば名画に等しく賞賛される感動的な名場面になっていたことだろう。

 だが悲しいかな、二人の服はボロボロで、先ほど出てきた場所は牢獄である。おまけに投獄された理由は互いにいがみ合っての喧嘩沙汰であり、髪はボサボサ身体は擦り傷だらけで、しかも二週間もの長いあいだ風呂にも入っていない。

 ぶっちゃけ汚らしい。浮浪者という表現がしっくりくるその姿は美少女分を差し引いてなおマイナスに振り切っている。落ちぶれた元トップスターか何かである。あるいは本格派ファンタジーに出てくる没落お嬢さま。

 

 近くによると臭ってくるので警察呼ぶかどうするかで迷い始める中、周囲の人々を押し退けて堂々と現れたのは事の発端にして原因。全ての元凶であり悪の転生巨乳美少女。

 

 その名はーー

 

「ボクの名前を言ってみろぉぉぉぉっ!!」

「「変態!!」」

 

 はい、大正解。その通り変態です。正確には大変態で“大”が付きますが。

 

 

 

 

 

 

 

 

「じゃあ、またねルナさん!

 次回もその、おっきなオッパイさわらせてね!」

「いつも有り難うございますクリスさん。こちらこそ、またよろしくお願いします。

 ・・・でも、触らせたことは一度もありませんよ? あんまりフザケたことほざいてるとはり倒しますからね?」

「は~い」

 

 えへへ~、怒られちった♪

 ギルドの美人受け付けさんに叱責されるのって「ダンまち」のベル君とエイナさんっぽくて良いよね! 同じエルフならリューさんが良いけどね!クーデレ可愛い!

 

「さーてと、これからどうしよっかなぁ?

 なんか面白そうな依頼ってあったっけ?」

 

 ボクはアクセルの街にある冒険者ギルドのホールで食事をとりつつ今後の方針をーーぶっちゃけ、な~んか面白いことないかなぁと考えながら、足を組んで頬杖をつく。

 このポーズ大好き。ハスッパな感じがして、なんか格好良い。盗賊少女っぽくて良いと思います。

 

 あれから二週間。ボクは当初の目的通りに冒険者ギルドで冒険者登録。無事に盗賊へ就職する事ができました!

 ・・・よく考えてみたら盗賊って職業なのかな?犯罪者じゃなくて? まっ、いいけどね。カッコいいから。

 

 冒険者は基本自営業。自分のことは自分で養うしかありません。しかも主な収入源であるクエスト達成報酬よりも工事現場のアルバイト代の方が上なんていうブラックなお仕事。

 当然、なりたがる人なんて趣味人か夢追い人か好き者か浮浪者か前科持ちか身元不明者か学歴なしのニートか借金持ちか、とにかく真っ当な仕事に就けない就きたくない人たちが中心。

 たまに勇者目指して魔王討伐考えたりしてる人もいるけどね、イスルギ君とか。ん?名前間違えたかな? まぁ、いいや。男だし。

 

 そんなならず者たちの中に混じった巨乳美少女なボク、女盗賊クリスはもちろん大人気!変な意味で大人気!

 

 一番上だけはずした半ズボンのホックがたまんねぇー!とか、裾から微かに見える尻肉がセクシー!とか、キュッと引き締まったヒップラインに挟まれて死にたい!とか。

 

 ボクと気が合いそうな人多いねこの街!大好きになっちゃったよこの街!アクセル最高!この街に骨埋めて死にたい!女の子のお腹の上で死にたい!腹上死はスケベのロマン!

 

「ん~、でもなぁ。冒険者になってからずっと働きづめだったし、たまには休みたくもあるんだよねぇ。・・・ためしに、もっかいだけサキュバスさんちに行ってみようかな?」

 

 少し前に町中歩いてたらお尻丸出しみたいな格好のTバックなお姉さんの匂いがして行ってみたら、お店があったんだよね、サキュバスの。

 これは是非とも入らねば!と決意して入店したら叩き出されちゃった。なんでかな?不思議だね。フシギダネ。

 

「あと他に色っぽいお姉さんが居そうな場所っていうと・・・公衆浴場か」

 

 日本人らしくお風呂のない生活はイヤだったボクが真っ先に探し出した公共施設は欲情、もとい浴場。銭湯です。

 本当はテルマエ・ロマエみたいなのを期待してたんだけどなぁ~。ファンタジーって言っても中世ヨーロッパだとやっぱないのかなぁ? あっちはお風呂ファンタジーだったし、古代ローマだったし。

 RPGでお風呂をテルマエって呼ぶのは普通なのにね。フロンティア・ゲートみたいに。

 

「色っぽい格好、色っぽい格好・・・う~ん、見あたらない。町中には居ないのかな?」

 

 お色気に飢えたボクは町中を徘徊。色っぽい格好のお姉さんを捜して東へ西へ。

 街にいないのなら外で女の子モンスターを襲うとか? 引っ剥がす?裸に剥く?全裸にしてHなお仕置き? う~ん、どれもピンとこない。もっとキャッキャウフフなイベントがほしい。

 たとえば仲良くなった女の子だらけの美少女パーティーでお風呂に行き、ちょっとオッパイおっきくなってない?いや~ん、触らないでよ~♪的なのを所望します。

 

『その願い、叶えてしんぜよう』

 

 おっ?なんか聞き覚えのある声が聞こえたぞ?

 具体的には「ときめも」の初詣で聞こえる神様の声。あれって効果は微妙だけど、確実に叶うわけだから今回ももしかしたらーー

 

 

「あーーーーっ!!!色っぽい女の子二人が百合百合してるーーっ!!!

 わーっい! ボクも混ぜてーー」

「「ダァァァクネス・ゴォッドブロォォォーーーーっ!!!!!」」

 

 世界を憎む黒い炎で包まれた二つの拳の直撃により、ボクの野望は潰えたのでした。

 

 「クリスの野望・エロの系譜」完結。

 BADDOENNDOがアルバムに追加されました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「と言うわけで脱ごう!」

「「なんでよ!?(ですか!?)」」

 

 混乱中の二人の女神様、アクア様とエリス様の二人は服を脱がされまいと必死に抵抗しながらボクに疑問を投げかける。あるいは時間稼ぎかな?無駄な抵抗が可愛いね。

 イヤがる女の子が強引に脱がされるのはラノベの鉄則だから無意味なのにね。

 ふっ、まったく人間とは運命に抗いたがる生き物だよ。理解に苦しむ。人間じゃなくて女神様だけどね。

 どっちだろうと美少女は脱がされるのがお仕事です。

 

「む~、往生際が悪いなぁ。お風呂場の脱衣場まで連れてこられたんだから、いい加減に観念すればいいのに」

「だ・か・ら! なんで連れてこれんのよ、アンタは! ちゃんとゴッドブロー直撃させてやったでしょうが!

 倒されなさいよ死になさいよ退治されなさいよ浄化されなさいよ! 亡者は聖なる拳であの世へ強制送還されるのがこの世の鉄則でしょーーっ!!」

「ふっ。生への未練など、性への未練に比べれば取るに足らん。しょせんはゴミよ」

「アンタ今、世界中のアンデッドを敵に回したわよ確実に! すぐにでも死者の軍勢が押し寄せてきてアンタを地獄の軍勢に引き入れちゃんだから! その時になって後悔しても救ってやらないんだからね!」

「その時はエロいゾンビのお姉ちゃんとイチャコラするから大丈夫!

 お姉チャンバラ大好きです!」

「アンタ本当にブレないな!」

 

 自分の服でボクと綱引きしながらアクア様がボクを詰る。気持ちいい~♪

 もっと責めて詰って貶めてぇ♪

 

「そんなことより縄を解いてください! なんで私だけ縛られてるんですか!? しかも、すっごくエッチな縛られ方で! これ、何の意味があるんですか!?

 あと、お願いだから縛るのは服を脱がす前にしてぇ!!!」

 

 あ、忘れてた。逃げだそうとしたからエリス様は縛って連れてきたんだっけ。

 ちなみに亀甲縛りです。食い込み具合が超セクシー♪

 

「ねぇ、これ犯罪じゃないの!? 私たちが捕まったときよりも酷い性犯罪難じゃないかしら!

 そうでしょ番頭のオバちゃん!これ、事案よね? 通報確定よね? 警察が出動して私たちを守ってしかるべき事態よね? ねぇ、そうでしょ? そうなんでしょう?

 なのに、どうして目を逸らすの!? なんでこっちを見てくれないの!? あ、今さり気なく目配せして戸を閉めさせたわね! 癒着よ!犯罪幇助だわ!

 誰か通報! 通報ーーーっ!!」

「・・・無駄だよお嬢ちゃん。ここいら近辺はエロ神様の神域さ、誰一人としてエロ気には逆らえない。アンタらも素直になって快楽に身を任せた方が楽になれて気持ちいい思いが出来るよ?」

「「エロ気!? エロ神!?

 なにそれ! 聞いたこと無いんだけど!?(ですけど!?)」」

 

 驚愕する二人の女神様。美少女が唖然としてる表情はとっても可愛くてソソります。口をあんぐりしてくれると尚よろしい。

 「あー・・・」とか言いながら目をまん丸にしてるの見たら、なぜか欲情できました。

 

 詳しくはドラゴンボールZ第177話「勝負だ悟空!!超緊迫セルゲーム」のピーザちゃんを参照!エッチなコスチューム着たMr.サタンの美人秘書さんだよ!あんな格好させて世界同時中継なんて正義のヒーロー、マジスケベさん!仲良くなれそうで嬉しいよ!

 

「細かいことは気にしない!

 そーれ、《コスチュームスティール》!!」

 

「「?? ・・・き、きゃぁぁぁぁぁーーーーっ!!!」」

 

 わーっい♪

 スッポンポンスッポンポン♪

 丸見え丸見え♪

 

「な、なんですか今のは!? な、なんで服が突然消失を・・・あ、あんなスキルは盗賊の拾得できる中には無かったはずです!」

 

 ん? なんで女神のエリス様がそんなに盗賊スキルに詳しいのかな? もしかしてなったことある? 盗賊美少女のエリス様も見てみたいね!きっと、すんごく可愛いだろうね!

 キリリとしてて、ちょっと抜けてて、意外とエロい! 最高だね!

 

「うん、盗賊スキルの中にはないね。だって盗賊スキルじゃないもん」

 

 無いのだから拾得も出来ない。当たり前だのクラッカ~♪なっつかしぃ~♪

 

「じゃあ、どうして使えるんですか!?

 この世界の人間に生まれ変わったんですから、私たち女神の定めた法則に縛られるはずなのに!」

「我が法だ! この世すべての宝物はボクの所有物!

 つまりは、全宇宙の美少女たちが着ている物は全部、ぜ~んぶボクの物だからいつでも奪えちゃうのだぁーっ!!」

「「んなわけあるかボケェェェェーーーっ!!」」

 

 美少女がブスに見えちゃうくらいの表情でツッコまれちゃった。

 でも確かになぁ、ふつうあり得ないことだし気持ちは分かるんだよねぇ。転生チートは基本だけど、ボク要求してないしアクア様もくれてないしエリス様に至っては巻き込まれただけだし。

 ボクがこんなチート使える理由がまったくないし、法則的にありないって言うのは理解してる。

 でも、使える。使えるならそれでいいじゃない。パンツがあるなら奪えばいいじゃない。

 なので、ボクは今日もーーパンツを脱がす!

 

「と言うわけで二人とも、一緒にお風呂入ろう! 女の子同士で裸のおつきあいしよう! 背中の流しっこしてオッパイを押しつけあおう! 石鹸使って泡プレイしたりオッパイに挟んでスリスリしたりムフフでウフフでエロエロなことしようよ!

 きっと楽しいっ!」

「「楽しいのはお前だけだぁぁぁぁっ!!!!」」

 

 むー、二人とも頑固。もう知らない! 強硬手段でスキル使っちゃう! 気持ちよすぎて恥ずかしいことになっても自業自得なんだから!

 

「えいっ!スキル発動!

《アンリミテッド・マッサージ・ルーム》!」

「また謎すぎるスキルを・・・って、きゃあっ!

 な、なによコレはぁ!?」

「や~ん、せっかく縄がはずれたと思ったのに、また縛られてるぅ~!

 さっきから私こんなのばっかりじゃないですかぁ~(T_T)

 もうこんなの、ヤダヤダヤダーっ!」

 

 うっふっふ、ヤダって言ってもやっちゃうよぉ~(^O^)

 

 ボクの妄想を具現化させたマッサージ室を固有結界内に異世界として作り出すユニーク・スキル《アンリミテッド・マッサージ・ルーム》。

 このスキルによって今の二人は完全にマッサージ客! 全裸でうつ伏せのまま素肌を晒し、ボクの手によってもたらされる快楽を待つことしかできない哀れな子羊でしかない!

 恨むなよ、二人とも。これも全てはーーボクが悪いのだから!

 

「さぁ、たっぷりと堪能してもらうよ。ボクが編み出した必殺喘技《リインカーネーション・マッサージ》を!」

「な、なによその怪しげな技の種類名は!?

 喘技?奥義じゃなくて!?」

「いやぁ~! 誰か助けて、このままじゃお嫁に行けなくなっちゃうから~(涙声)。

 生け贄にアクア先輩を差し出すからお願い私だけでも見逃してぇ~(鼻水混じりで泣きながら)」

「ちょっとエリス!アンタ私を売る気!? だったらアンタをアタシが売ったげるわ!

 クリス!ほら、よく見て!私なんかよりもエリスの方が肌が綺麗で触り心地がよさそうよ! それに二週間も牢屋で過ごしてたせいで私垢だらけだし煤だらけだから! こんな小汚い駄女神なんかの身体よりもアイツの方がいいって絶対!」

「ち、ちょっと先輩! なに、セールストークしてるんですか! だったら私だって・・・!

 クリスさん、よく考えてください! 私の胸はミニマムサイズでアクア先輩の方は巨乳に分類されます!大きいだけの駄乳とはいえ、男の子ならあっちの方が好きでしょう!? だから、私じゃなくて先輩の胸をーー」

 

 醜く浅ましい、女同士の罵りあい。超大好物です♪

 こういう子たちにお仕置きしてこそ愉しめるというもの。

 

 じゃあ、遠慮なく。

 

「いただきま~す♪」

「「い、いやぁぁぁぁっ!!(ToT)」」

 

 

 

 

 ここからは真面目なエロ。

 

 

 

「ち、ちょっとクリス、そこはダメ、やめ、あっ」

「アクア様のお尻はキュートだね。でも、ダメだよノーパンは。変態に目を付けられたらどうする気だったの?」

「変態、は・・・アンタでしょう、が・・・あぁんっ」

 

 大きくはないけど形の良いアクア様のお尻を優しく撫で回して、身体の緊張をほぐしてから背中へとゆっくり指を移動させる。びくっ、びくっ、て音が聞こえるんじゃないかと思えるくらい反応しまくってる。

 あ~、これはもしかしなくても♪

 

「アクア様って、スッゴく敏感で感じやすかったりするのかなぁ?

 普段あんなに元気でガサツで女の子らしく見えなくても、やっぱり身体は女の子なんだねぇ~♪」

「が、ガサツってなによ!どこの誰がガサツだって言うの、よ・・・あぅん! そ、そこは!」

「ほ~ら、やっぱり女の子だったぁ♪

 だから、ね? ちゃんと一日一回はお風呂に入らなきゃダメだよ? こんなに綺麗な肌とお尻が汚れちゃってるじゃん。人類の宝は大事にしなきゃ! ね?」

「じ、人類の宝・・・? 私のお尻・・・が・・・?」

 

 息も絶え絶えになってきたアクア様をいったん休憩させて、次はエリス様。

 エリス様のお触りポイントは意外にも胸。ボクのエロ戦闘力を探る特殊能力エロウターが反応してるから間違いない!

 

「さぁ~てと♪

 ちっぱいのお味はどんなかなぁ~?」

「ひっ! 来ないで近寄らない、で・・・ああぁん!」

「もみもみ。うん、良い感触。小さいけど感度抜群、すばらしいオッパイだ」

 

 まさに、この素晴らしいオッパイにお触りを!てな感じ。

 たしかに小ぶりななんだけど全然堅さがない。マンガだとゴツゴツしてるって言われがちな貧乳だけど、エリス様のオッパイには当てはまらない。

 フニフニしててスベスベしてる。堅くないけど柔らかすぎない。弛むとか緩むって言葉は縁がないんじゃないかなって思うくらいにスッゴく良い感触。

 触り心地に関して言えばアクア様の巨乳よりエリス様の貧乳。

 いや、違うな。二人を並べちゃうと小さく見えるだけで、エリス様のはそんなに小さくない。ラノベの巨乳ヒロインは基本的に大きすぎるのが基本で、普乳でもちっぱい扱いされる。けど、エリス様のは普乳よりかは若干大きい。しかも形がすごく良い。

 いわゆる美乳。おまけに触り心地が最高の理想的すぎる美乳をもった幸運の女神様。

 

「な~んだ。エリス様って運良かったんだね、ガッカリだなぁ。もっと不幸キャラを期待してたのに。ざ~んねん」

「ん、あっ、そこ・・・はっ!

 ・・・えっ? 私の運が・・・良い・・・?」

「うん。だって、こ~んなに形が良くて手の平サイズの触るのにはピッタシな理想的な大きさに、触り心地抜群で感度も良好。おまけに上向きまで付属してるって、どんなチート? 揃い踏みしすぎてて軽く引きます」

「私の小さな胸の形と感度が良くて、大きさもちょうど良い上に触り心地まで、て・・・あぁんぅぅ!」

「よそ見してるとアブナいよ~?

 下手したら落ちたまま戻ってこれなくなっちゃうからね。恥獄から」

「そ、そんな・・・!

 ああぁぁぁんぅぅぅっ!!!」

 

 あっはっはっは!

 もっと苦しめ! もっと喘げ! もっと気持ちよくなるが良い!

 お前たちの苦痛と疲労、このボクが焼き払ってくれるから覚悟しろぉ!!

 

「さぁ、止めだ!

 超絶喘技《恥獄巡り》!これを食らって立ち上がれた者は居ない!

 足腰砕けて立てなくなり、明日の朝には気分も頭も身体までもがスッキリしてしまうが良いっ!

 はぁぁぁぁっ!!!」

「「あ、はぁぁぁぁ~ん♪」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 ごく、ごく、ごく。

 

「ぷっはーっ! うっめーっ!

 やっぱり、一仕事終えた後のクリムゾンヒアは最高だねぇ!」

「おいおい、おやじ臭ぇぞクリス。俺なら違和感なくても、お前はありすぎなんだから少しは自重しろ」

 

 苦笑しつつ、もう一杯よそってくれる気のいいオイちゃん。名前は知らん。

 いかにもな見た目のベテラン戦士風モヒカン親父で、職業は機織り職人。でも、いっつもギルドにいて本職はどうしてるのかなぁ~?とかの不思議がつきまとう、RPGあるあるな人。

 強面なのにスッゴく気のいい人でお人好し。悪ぶった口調で親切しかしない分かりづらいのか分かりやすいのか判断が難しい。ルナさんに聞いてみたところ副業で冒険者をしていて本職よりも儲かってるらしい。それもう本職じゃね?って聞いたら、書類上は副業になってるから副業なんだって。それが一番よく分かんないね。

 

「で? 今日も“アレ”をやっちまったわけか。

 お前も罪作りな奴だぜ。アレを使うと言うことがどう言うことかよく分かってるだろうに」

 

 ニヒルに嗤うモヒカン。意味深なそぶりだけど、実際には特に意味はない。ただの趣味だ。

 なんでもギルドとの契約内容は「冒険者たちの士気高揚のため、演技で煽れ!」なんだって。だから職業は機織り職人で合ってる。だって、ステータス無いもんこの人。

 冒険者なのに職業はなくて、でもギルドからもらえる収入で暮らしてる機織り職人。一般的な冒険者よりも高所得で、毎日ギルド内で飲んでるのも仕事の一環。だから経費で落ちる・・・って、なにこの地味チート。マジ引くわ。本当マジで。

 

「綺麗なバラには刺があるものさ。ボクという大輪のバラに吸い寄せられた哀れな犠牲者たちは手折られる寸前、甘美な夢を見る。甘い甘い禁断の果実に溺れる夢を・・・。

 一時でも辛い現実から逃げ出して快楽に身をゆだねながら死んでいけるのならば、それは幸福な最期と呼べるのではないだろうか?」

 

 そしていつも通りに悪ノリにつきあうボク。厨二愉しい。

 

「へっ、この極悪人め。

 だが、俺はお前のそういうところが嫌いじゃない」

「ボクもさ相棒。これも全ては理想郷へと至るための布石・・・彼女たちの犠牲を無駄にはしない」

「その意気だ。お前の征く道は嶮しく、長い。どうしても犠牲はついて回る。だったら進め。その屍を踏み越えて!」

「ああ、やがて訪れる約束の日まで、ボクたちが立ち止まることは出来ないのだからね!」

「「プロージット!

 我が永遠なる理想郷(オッパニア)へと至るために!」」

 

 杯をぶつけ合うボク達二人を周囲の人たちは優しく見守ってくれてます。みんな優しくて大好き! 結婚して!女の子限定で!

 

「はいはい、悪ふざけはその辺にしてください。

 クリスさんも、あんまりやりすぎないでくださいよ? ギルドからの正式な依頼とはいえ、やっぱり冒険者以前に人として問題あるんですから。警察沙汰は控えるように。

 いいですね?」

「は~い、ごめんなさ~い」

 

 本日二度目のルナさんから受けるお叱り。こそばゆくて大変気持ちがいい。

 

「しっかし、考えれば考えるほど妙ちくりんなスキルだよな、それ。

 マッサージ室でマッサージするだけで、どんな傷も全回復。麻痺毒病気も一発たぁ、悪くしなくても世間にバレたら、お前さんをめぐって戦争勃発しちまうぞ絶対に」

「そうですよねぇ。私もはじめは半信半疑でしたが、こうも結果を出し続けられると信じないわけにはいきませんが、それでもまだ信じきれない自分が居ます。

 ーーとはいえ、まさか死んだ人間まで生き返らせれるとは思ってませんでしたけど・・・」

 

 二人からのジトーっっとした何ともいえない視線。これはこれで気持ちがいい。

 

「いや~、ボクにも原理とか理屈は全然わかんないんだけども、まぁいいじゃん便利なら。ボクも冒険せずにお金手にはいるし。役得もあって良い商売だよ?」

「そのぶん、ギルドの機密保持が重要性を増しすぎましたけどね・・・。蟻の子一匹這い出させてはいけないって厳しすぎるんですけども・・・」

「いや、ボクが指示した訳じゃないし。そもそも権限ないし。

 ついでに言えばボクの冒険者レベルも低いままだしねぇ~。守ってもらわないと逃げることもできません。

 だからこれからも、お・ね・が・い・ね☆」

「・・・殴っていいですか?」

「きゃーっ♪怒っちゃいや~ん♪」

 

 ドッと笑い声が満ちあふれるアクセルの街冒険者ギルドの酒場件ホール。

 どいつもこいつも良い奴ばかり。最高だぜお前ら!ボクはこれからもお前等を支えてやる!

 ・・・だからお願い、ボクのこと守って? ボク、戦えないの。お触り以外に取り柄がない変態だからみんなだけが頼りだよっ!

 

「さぁ~てと。アクア様たちはまだダメージが回復したばかりで動けなくても明日には完全復活してるだろうし、そしたらボク処刑されちゃうし、とりあえず雲隠れしよう。

 何処がいいかなぁ~? この前見つけた仮面の悪魔さんが住んでるダンジョンなら見つからないかな? 「二度と来るな、幸福の化身」って罵られたけど、仲良くなりたいからまた行ってみよう!

 それじゃあ、ルナさん。代金、ここ置いとくよー」

「あら、もう行っちゃうんですか? もっとゆっくりしていけばいいのに」

「そうよそうよ。せっかく美少女二人がアンタにお礼参りしようと千エリス払って職業まで手に入れたんだから、元くらいは取らせなさいよ。どうせ、すぐ終わるんだから平気でしょ?

 付き合いなさい。アンタに拒否権はないわ」

 

 ぞっーー。

 背筋に悪寒が走ると同時に身動きがとれなくなる。

 手足どころか声を出す自由すら奪われたらしい。

 

 こ、この尋常ならざるレベルの拘束魔法はもしかしなくても・・・・・・!!

 

「「どうもー、貴女に復讐するために地獄から舞い戻ってきたダーク・アーク・プリーストのアクアとエリスでーす。後悔と絶望をお届けに上がりましたー。受け取りの判子お願いしまーす。受け取り拒否はお受けできませんので嫌でも受け取っていただきまーす」

 

『『『『ぎゃぁぁぁぁぁぁぁっ!!!???』』』』

 

 

 轟く悲鳴、木霊する絶叫、誰かが神に祈る声。

 子供の名前を呼ぶ母親と、故郷の妻に別れを告げる夫。自らの職務を最期まで真っ当せんとする公務員の鏡数名。

 そして、誰よりも早く我先へと逃げ出す命大事金大事の日雇い労働者集団冒険者たち。明日から冷や飯食わされそうだな、あの人たち。

 

 先ほどまで和気藹々としていたギルドホールはいま、二人の美少女僧侶の出現によって混乱と騒乱の坩堝に叩き落とされた!

 彼女たちは自らの人生を呪い、神と世界に復讐するために蘇ったオルレアンではない場所出身の聖処女たち。

 世界すべてを憎む彼女たちがまず最初に復讐対象に選んだのは、そう!

 この、ボクです!

 

 

 ・・・・・・誰か、タステケ。

 

「さぁ、クリス。脱ぎ脱ぎしましょうねぇ。

 まさか公衆の面前で私たちの服を奪っておいて、自分がされるとは思いませんでしたとは言わないわよねぃ~?」

「そうですよねぇ~。人のオッパイを散々触ったんですから自分はその数倍ーーいえ、数千倍触られて数万倍の快楽を味あわされる覚悟くらいはしてて当然ですよねぇ?」

「あら、エリス。アンタやっぱり優しいわね。でもダメよ、そんな事しちゃ。

 触るのはオッパイだけじゃなくて身体中全て・・・快楽じゃなくて絶望にまで至らせないと」

「ああ、そうでしたね。ごめんなさい先輩、うっかりしてました。

 これは復讐ですもんね。後悔と絶望をタップリとタ~ップリと味あわせないと意味なかったですよねぇ~」

「そうそう、その通りよエリス。

 こいつの好意で冒険者登録に必要な千エリス分の仕事が見つかったんだし、千エリス分の怨返しをしてあげるのが女神らしいお仕事よ。分かるでしょう?」

「ですね。

 では、改めてーー」

 

 

 

「「スキル発動《ヘル・ゲート(地獄の門)》」」

 

 うぅぅ・・・。

 あぁぁ・・・。

 おぉぉ・・・。

 

「うふふ・・・地獄の亡者たちが蠢いてるわね。アンタみたいなのはさぞ悦ばれるでしょうし、良かったじゃないの。お友達がいっぱいできるわよ?」

「ですね。私たちにとってはお友達じゃなくて下僕どもですけど、貴女にとってはお友達ですよ? だって、気持ちのいい事してくれる相手なんですから」

 

 

「「うふふ、あはは、うえっへっへっへ!」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・な、なにがあったんだ?」

「さ、さぁ・・・。とりあえずギルドに被害がなくて良かったです」

 

 ただ二人だけ残り、陰から様子を見ていたルナとモヒカンは名状しがたきナニカが空間の歪みの中へと消えたあと、ようやく姿をさらす勇気がわいた。

 

 あれほど邪悪な気配を放っていたにも関わらず、ギルドに被害は出ていない。

 では、アレは魔物ではなかったのか? あれほどまでに恐ろしくも悍ましい存在が魔物でないならば何だというのだろうか?

 

「まさか、アレが噂に聞く上級悪魔という奴なのか・・・?」

「かもしれませんね・・・。どちらにしろ、一刻も早く王都に知らせを送り増援の要請をーー」

「いや、ホントびっくりしたね!思わずチビリかけちゃったよボク!

 この歳でお漏らしは洒落にならないね!」

 

 

 

 ・・・・・・・・・・・・。

 

 

「「なんでまだ居る!?(んですか!?)」」

「え?居ちゃダメなの?」

 

 

 なぜか驚いてる二人にボクは心底疑問。

 もしかしてボク、嫌われてるの? ぼっちなの? ヒッキーなの? ゆきのんもいいけどガハマさんも好きだよ! TS八幡の二次創作またやってくれないかな!

 

「あ、それとこの二人の職業いまのうちに変えちゃって。たぶん、二人とも呪われてる。呪い事態はあとでボクが解呪しとくから」

「あ、えっと、はい。わかりまし・・・た?」

「うん、それじゃ後よろしく」

 

 ボクは気絶してる二人のスカートがめくり上がってパンツ丸出しになるようにテーブルへと固定し、むき出しのお尻を一撫でしたあと悠々とギルドを後にした。

 

 後ろから二人の視線が感じられ無くなかったけど、気にしな~い気~にし~ない~。

 

「さぁ、今日は何処に行こう? まだ日は高いけど、あのお店行ってみようかな?

 今日こそはサキュバスのお姉ちゃんたち受け入れてくれると良いなぁ~」

 

 そしたらああしてこうしてムフフでウフフでイヤ~ンでアハ~ンだ!

 転生最高! 生きてるって愉しい! 生き返られて良かった! 生き返らせてもらえて本当に嬉しい!

 

「二人とも! 明日起きたら、またいっぱい遊んで恩返ししてあげるからね! 楽しみにしててね!

 ボクの感謝の気持ちは無限大!宇宙の果てまで追っかけてお返しするよ!!」

 

 こうして今日も、ボクの一日は終わらない。

 

つづく




ようやく次回から冒険させられる・・・長かった・・・。
めぐみんとダクネスは次回必ずどちらか出したいです。でも、ゆんゆんも捨てがたいんだよなぁ~。う~む、迷います。


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3話「初めての仲間加入イベントだよっ!」

遅れに遅れて申し訳ないです。迷走しまくってました。
エロ要素を入れたらエロくなり過ぎ、試行錯誤する度に悪化する。
なので今回は割り切ってギャグ回です。お色気回は折を見てという事で

もういっその事そう言う作品でも書いてみようかと思っています。
原作としては私的に「さぁ、ゲームガルドを攻略しようか。」を押したいですね。
世界観が「このすば」に比較的近く、少年少女以外は冒険者になれない。女の子冒険者たちの鎧はビキニアーマーかゴスロリアーマーの二択のみ。・・・何時の時代なんでしょうね。

なお、今話は即興で書いたため普段よりかは短めです。

*学園エロコメも考え中です。一度失敗したので投稿はしていませんが、何らかの形でソッチ系の話を投稿したいと思います。


「「私たちの拳が光って唸る! クエストこなして報酬寄越せと輝き叫ぶ!

  ばぁくねつ! ダブル! ゴォォォォッド・ブロォォォォォォっ!!」」

 

 水と幸運の女神二人が同時に放つ、当たれば死ぬゴッド・ブロー×2。

 これで死なない相手なんているはずなーー

 

「くわぁぁぁぁっ!」

「「き、きゃぁぁぁぁぁぁっ!!??」」

 

 カエルさん(初級討伐クエストモンスター)には効きませんでしたーっ!

 

「いやー! もういやあああ! カエルに食べられるのは、もういやああああっ!!

 昨日も食べられたの! 一昨日も食べられたの! 一昨々日も、そのまた前もずっとずっと前から食べられ続けてるのっ!

 ねちょねちょぐちょぐちょな生活はもう嫌よーっ!」

「叫んでる暇があったらもっと早く走ってください先輩! カエルが! カエルがすぐそこまで迫ってきてるんですよぉぉぉっ!!」

 

 あの巨体で速度がアークプリースト以上っておかしくありませんか!? 絶対に生態系が狂ってますよ、この異世界!

 過酷な世界だからこそ、その時を精一杯に生きる生き物たちの傍迷惑さここに極まれりです! 大人しく狩られてくれたら苦労しないで済んだのに!

 

 この面倒くさい世界に生きる冒険者たちに楽なクエストを!

 

「そうだわエリス! 良いこと思いついた! こう言うときこそあの変態を使うのよ!

 あいつは私たちに惚れてるわ! 呼べばすぐに飛んでくるはずよ! そしてあいつがカエルに食べられてる隙にカエルを仕留めーーいやぁぁぁっ!?」

「ああっ! アクア先輩がカエルに食べられーーきゃああああっ!?」

 

 私までカエルに食べられちゃいましたーーっ!!

 臭いけどいい感じに温かい口内にーーっ!!

 

「ぶはぁぁぁぁーーぶっ!

 ぶはぁぁぁぁーーぶっ!」

「うわぁぁはぁぁんっ!

 あぁん! あぁん! あぁん!」

 

 脱出しようと必死にあがいて口から出たと思ったら引き戻されるなんて、まるで地獄ですーっ!

 

「誰か助け・・・ぶはぁっ!」

「もうイヤ! こんな生活もうイヤ!

 誰か私たちに祝福をーーっ!・・・うあぁん!」

 

 こうして私たち女神エリスと女神アクアによるジャイアント・トード討伐クエストは、六回目の大失敗という形で幕を閉じたのでしたーー。

 

 

 

 

 

 

「アレね。二人じゃ無理だわ。仲間を募集しましょう」

「・・・え?」

 

 ねちょねちょぐちょぐちょの姿で街に帰還してきたアクア様は真顔でそう言った。

 これにはさすがのボクも思わず唖然。びっくりおったまげたー。

 

「なによ? 何かおかしな事言ったかしら私。別におかしくもないでしょ?

 少しは考えてもみなさい。私とエリスはアークプリースト、回復職の上位職よ。攻撃系スキルも無くはないけど専門じゃないわ。後衛を私たちがやって前衛に戦士職を配置するのは冒険の基本でしょ」

 

 うん。ボクもそう思う。思うんだけどもぉ。

 

「今更すぎない? もう二人が冒険者登録してから一週間以上経ってるよ?

 その間ずっと食費も馬小屋宿泊代も大衆浴場の入浴代も、あとは何より討伐失敗の度に壊して還ってくるレンタル武具代も全部ツケなんだよ? ツケって借金のことだよ?

 どうせならもう少し早く仲間を募集した方が良かったんじゃないかなぁ」

「言わないで! それは言わないでよぉ! 分かってるから、すっごくすっごく分かっているから言わないでぇぇっ!!

 そうよ!夢見てたわよ! 冒険者ってなんか格好良さそうだし、楽して大金稼いで左団扇で大金持ち、いい男たちに囲まれてチヤホヤされたいなって青写真抱いてたのよーっ!」

「いやー、それは無理だわー。絶対に無理だわー。

 それこそ伝説級の武器防具をドラゴン狩りして日常的に手に入れ売り飛ばさないと出来ないわー。MMOでもそれくらいは必要だわー。ドラクエは少し生温い」

「アンタはいったい何様のつもりだーっ!」

「ボクの名前を言ってみろーーっ!」

「それもう飽きた! マンネリを私は拒絶する!」

 

 相変わらず日本のサブカルチャーに詳しい女神アクア様。超好み。性交を前提に結婚したい。

 

「ううぅ・・・ついにお風呂やさんにまで出禁を食らわされちゃいました・・・。

 私たち、これからカエルに食べられたとき何処に行けば・・・」

「いや、まずは食べられないですむ方法を考えようよ」

 

 こっちも相変わらずマイナス思考な女神エリス様。幸運の女神様だけどマイナス思考。御利益なさそうだね! ボクが分け与えてあげたいな!お代は当然その身体でねっ!

 

 ちなみにアクア様があえて「二人じゃ無理」ってボクを数に入れなかったのはボクの職業が盗賊だから。

 盗賊=探索職。戦えません。戦闘時には役立たず化するので戦力に計上されていなかったり。

 実際ファンタジーラノベで戦う盗賊が出てくるの、あんまり無いんだよね。ドラクエやFFだと結構強いのに。

 例外の代表は「魔法戦士リウイ」のミレルちゃん。盗賊でアサシンでもある戦える盗賊美少女キャラ、最初はツンケンしてるのに途中からはデレデレ。サブキャラかと思ったらメインヒロインだった意外性満点のボーイッシュな半ズボン美少女ちゃん。

 

 ーーあの格好も良いなぁ。今度はアレを装備してみようかな? うん、明日にでも街の服屋巡りをしよう。誘う相手はもちろんこの二人! 女神様二人とダブルデート!

 アクア様とボク。エリス様とボク。二人とも幸せ、ボクも幸せ。万事めでたしめでたしです。

 

「う~ん。でも難しいかもしれないよ?」

「・・・? なんでよ?簡単じゃないの。この私がいるんだから仲間なんて募集かければすぐよ。

 なにせ私は最上級の回復職アークプリースト! あらゆる回復魔法が使えるし、補助魔法に毒や麻痺なんかの治癒、蘇生だってお手の物。どこのパーティーも喉から手が出るくらい欲しいに決まってるじゃなーー」

「借金総額500万エリス越えてなかったらねー。

 借金の連帯保証人にされそうで誰も近寄ってこないと思うけど?」

「・・・私は悪くない! みんな貧乏が悪いのよーっ!」

「神は私たちを見放したんです! だから、これは全て神様のせいなんです!

 ーー私は悪くないんです、悪いのは私以外の人たちなんです。

 私じゃなくて世界が間違ってるんですぅ!」

「二人とも、それ厨二。痛いから卒業しなさい」

 

 なんか女神様が言っちゃいけないことを叫んでるっぽい二人の女神様。とっても痛々しい。厨二的に。

 

 だけど現実問題どうしたもんかなぁ。

 ボクは探索職の盗賊で戦闘はできない。他の人たちのパーティーに傭兵として参加しながらクエストこなしてて、普通にモンスターと戦ってレベル上げたりお金稼いだりしたことがない。て言うか出来ない、職業的に。やれば死ぬ。

 と言って、二人が二人だけで冒険できるかと言えばかなりギモ~ン。

 ただでさえ箱入りっぽいエリス様と甘やかされて育ったお嬢様系アクア様。この二人だけで冒険とかマジムリゲー。難易度高すぎ半端ない。

 例えるなら「たけやり」で竜王に挑むレベル。絶対勝てない、死ぬ。

 

「・・・となると、やっぱり仲間捜すしかないのか~。

 ーーこの街に出会いと別れの店、ルイーダの酒場ってあったっけ?」

「「ここよっ!(ですよっ!)」」

 

 さすがは剣と魔法と冒険の世界。ギルドが酒場を兼ねてるのってそう言うことかぁ。

 なぁ~んだ、ログホラのギルドと勘違いしちゃったよ。テヘペロ☆

 

「上級職の冒険者募集を見て来たのですが、ここで良いのでしょうか?」

 

 お? 意外なことに第一パーティー参加希望者発見。

 やっぱり秘境の街には物好きが多いんだね。

 

 その子は気怠げで眠そうな赤い瞳をしてて、黒くてしっとりした質感のボブカット。黒マントに黒いローブ、黒いブーツに杖を持ってトンガリ帽子という、いかにも時代錯誤な魔法使い見習いの女の子スタイル。

 人形のように整った綺麗な顔の左目に、十字架の描かれた眼帯付けてる姿を見て、ボクは即座に彼女の正体を見破った。

 

 間違いないーーこの子、厨二病だ!

 

 鳳凰院凶真だ! ギルディア・シン・呪雷だ! 霧龍・ヘルドカイザ・ルシ・ファーストだ! クローズドクロックだ!

 エンドレスパラドックスの灯代ちゃんだぁぁ! いのバト大好きです!

 

「我が名はめぐみん! アークウィザードを生業とし、最強の攻撃魔法、爆裂魔法を操る者・・・!」

「めぐみん・・・・・・エロマンガ先生?」

「ち、ちがわい!

 ――と言うか、誰ですかその卑猥な名前の方は!?」

「えっとね。可愛い女の子のおパンツとお兄ちゃんのことが大好きな女の子で、趣味はエッチな絵を描くこと。必殺技は「エロマンガフラッシュ」!」

「変態だっ!すごいレベルの変態だ! なぜ衛兵はそのような変態を放置しているのですか!

 やはり、この世界は間違っている!」

 

 大絶叫のめぐみんちゃん。エロマンガ先生もそうだけど俺妹も楽しいよね!

 でも、めぐみんちゃんはエロマンガ先生本人じゃなくて友達(志望)だよ?

 

「あと、アークウィザードってクラス名であって職業は冒険者だよね? 生業がアークウィザードって変じゃない? 魔法でご飯食べられないから冒険者になったんでしょ?

 その辺はどういう設定になってるの? 参考にしたいから聞いても良い?」

「ふぇっ!? え、え~とですね・・・わ、我ら紅魔族は生まれつき高い知力と強い魔力を持った魔法使いのエキスパート種族であり、種族名の由来となっている特徴的な紅い瞳と・・・・・・こ、個性的な名前をそれぞれが持っている種族なのです!」

「へぇ~。そう言う設定なんだぁ」

「設定ちゃうわい! 現実じゃい!」

「・・・え? 生まれついての高い・・・知力・・・?

 ーーそのネーミングセンスで・・・?」

「おい、そこの偽乳アークプリースト。私の名前について言いたい事があるなら聞こうじゃないか」

「偽ち・・・!? 失礼な! これは本当に私のおっぱいです!詰め物なんてしてませんー!

 自分の胸が小さいからって人に八つ当たりしないでください!」

「なっ! だ、誰の胸が小さいですって!

 黙って聞いていれば言いたい放題し放題・・・もう我慢できません! 決闘です!表へ出ろ!」

「上等です! 人間が女神にたてつくとは生意気な! 身の程というものを教えてあげましょう!」

「まぁまぁ、落ち着きなさいよアンタたち。人前で決闘だなんて大人げない。もっと理性的に解決しなさい」

「「ですが・・・」」

「そう、例えばーー二人とも私の持ってるモノと比べたら取るに足らない」

「「貴様ぁぁぁぁぁぁっ!!!」」

 

 またしても始まるキャットファイト。新しいメンバーも加わって被害の規模も増大です。

 ルナさんが落ち着き払って避難誘導をはじめ、機織り職人のオイちゃんが混乱してる人たちをなだめて落ち着かせる。

 

 すっかりアクセルの街名物になっちゃたなぁ。そのうち観光客とか来るかしらん。

 

「ーークリスさん、申し訳ありませんが、またお願いできますか?」

「ん? いいよー、ルナさん。まっかせといてぇ。ルナさんのためならえーんやこーら、ルナさんのおっぱいのためならえーんやこーら、どっこいしょっと!」

「仰ってる意味は分かりませんが、とにかく了解していただき有り難うございます。

 報酬はいつも通りに」

「ほいほーい。それじゃあ、いっちょ行ってきますかー」

 

 こうしてボクはアクセルの街冒険者ギルドの依頼を受け、速やかにある場所へと向かう。

 その場所の名はーー衛兵隊の詰め所もある牢獄。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「「私たちは無実よー!(なんですー!)」」」

「いいから、じきに王都から拷問係が派遣されてくるから、それまで大人しくしていろ。

 ーー暴れると縄が食い込むだけだぞ・・・?」

「ああっ! 縄が大変なところにー!」

「うう、寒い・・・せめて・・・せめて服だけでも・・・」

「あぁん、見ないでくださーい!」

 

つづく



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4話「数日ぶりのはずなのに、数ヶ月ぶりの冒険な気がするよ!」

長らく更新できなくてすみません。ようやく更新できました。
微エロ要素を無理に入れようとすると書けなくなるのが数カ月かけて理解できましたので、今話から今作はアホバカギャグオンリー作品となります。ご承知於き下さい。

エロは別で書く予定です。18禁のエロ作品か、エロメインのR16作品かのどちらかになると思われますが、エロのためにもとりあえず頑張ります。

注:上記のエロ作品を書くために時間が必要なので「この素晴らしい世界に言霊を!」を消させて頂きました。もしも読むタイと言う方がいらした場合はご連絡ください。
改めて清書し、本来書きたかった姿で再投稿しますので。


 草原歩くよフィールドマップ♪ 森に着いたら画面が変わるよダンジョンマップ♪ イベント発生でキャラ絵が入るよ会話パート♪

 

「と、言うわけでやって参りました! アクア様パーティーによる「借金返済取り立てちょっとだけ待ってくださいお願いしますクエスト」発生!

 祝! ゴブリン退治したら一ヶ月猶予が増えるよイベントー!(注:拒否権はなし。なぜなら借金返済日が今日だから!)

 さぁ皆、楽しんで行ってみよーっ!!」

「「「た・の・し・め・る・かーーーーっ!!!」」」

 

 

 

 

 

 どっごーーーーっん!!!!

 

 

 

 

 

 

「ーー久方ぶりの爆発と怒りの拳!

 やっぱりクリスは、斯くあるべし!」

「なんの話よ!? あと、誰に向かって話しかけてるの!? そっちは崖よ!」

 

 お約束を済ませたところで、今日のクエスト説明ー♪

 いやー、なんか久し振りな気がするなー。おかしいなー、不思議だなー。実時間は数日のはずなのに、なんだか数ヶ月くらい経ってた気がする体感時間~。

 世の中不思議なことがいっぱいオッパイ、摩訶不思議アドベンチャー、大冒険のはじまりだねっ!

 

「まぁ、そういう訳なのでボクたちは今、森に来ています。目的はゴブリン退治です。RPGではお馴染みの初心者向けクエストですね。報酬もだいたい妥当なところです。

 アクア様的には「ええーゴブリン退治ー? もうちょっとこう、ドカンと稼げる大物にしない? 私たち上級職なんですけどー?」と不平タラタラだったのですが、ルナさんの「報酬、減らしますよ?」の一言で即出立です。

 いやー、お金って。本当に怖いですねー。

 それでは、さよなら。さよなら。さよなら」

「「お・わ・ら・せ・る・なーーっ!!

  まだイベント開始してすらいないでしょーがー!!」」

 

 おお、今度はエリス様までもがボクにゴッドブローでツッコミを!

 ああ・・・この痛み。この感触。この肌触り・・・。

 頬を殴るこの快感こそ戦場。やっぱりマゾには変態行為の方が性に合うね。

 

「ううう・・・なぜ紅魔族随一の爆裂魔法の使い手である私の服にこんな張り紙が・・・。

 もし仮にこんな姿をゆんゆんに見られでもしたらーー!!! ・・・死にましょう。川に身を投げて入水自殺です」

 

 おお! めぐみんちゃんが太宰さんみたいなことを! これはあれかな! 厨二らしく本当に異能に目覚めるときがきたのかな!?

 ボクとしては『天衣無縫』を手に入れて欲しいなー。オダサクさいこー! かっくいーっ!

 めぐみんちゃんが「昔、作家を目指していたことがある・・・」とか言ってるシーンを見てみたーい♪

 

 ・・・あ、ちなみにだけども。

 めぐみんちゃんが言ってる張り紙って言うのは「差し押さえ」って書いてあるお札のこと。これが服やロッド、羽衣なんかの装備一色に張ってあります。借金で取り押さえられてるのを仕事の時だけ、一時的に返してもらえるので。

 ヴァルキリードライブですね、わかります。

 能力全解放したら全裸になるのでしょう。嘘だけど。ボクの願望だけれども。

 

「・・・ところであの、クリスさん? ギルドの方に紹介された聖騎士さんなんですけど・・・大丈夫なんですか? アレ・・・」

 

 エリス様(差し押さえ装備バージョン)がボクの肘をツンツンとつついて質問してくる。怯えてるのかな? それとも奥ゆかしいのかな? どっちにしてもラブリー☆

 

「だいじょーぶ! 問題ないよ!」

「いえあの、何度も言ってる気がしますけど・・・それって一番、大丈夫じゃない時のセリフですからね・・・?」

「だいじょーぶ! 今度こそ本当に大丈夫! へいき、へっちゃら! チャラヘッチャラ!

 なぜなら彼女こそ、今回のクエストを成功に導くキーパーソン!

 『呪われしマリューさんのおっぱいクルセイダー』ダクネスさんなんだから!」

「「なんか頭に変な頭文字付いた!? 魔竜も別の意味になってない!?

  本当にアイツ(彼女)は、大丈夫な奴なんでしょーね!?」」

 

 おお、またしても女神コンビによるダブルツッコミ。久しぶり(な気がするよ!)なせいもあってか仲良くなってるみたいで良きかな良きかな~♪

 

 でもダクネスさんを疑われるのは納得いかない。うん、大いに納得いかない。

 なぜなら彼女はーー

 

「ボクの大親友ダクネスさんの、一体どこが信じられないって言うんだぁー!?」

「「「アンタ(あなた)の大親友って所がよ!(ですよ!)」」」

 

 ひどい仲間たちだ。一欠片も信頼されてない。好感度はともかく、信頼感は0以下だ。ギレンの野望だったら反乱続発待った無しだよ。良かったRPG風の異世界ファンタジーで。

 

 SF怖いです。主にエロゲ業界。

 生まれ変わった先が陵辱SFエロゲ世界だったら、悲惨な末路END一択しかない人生だったよ。

 

「だいじょーぶだって! ほら見て! 彼女の爽やかすぎる天使のような微笑みを!

 あの無邪気な笑顔のどこに不安の種があるって言うのさ!?」

 

 ボクが指し示す先にいるのは今回の依頼で前衛を勤めてもらうためにギルドが手配してくれた(つまりは監視役ですね、わかります)女騎士ダクネスさんこと、戦士系上級職クルセイダーのダクネスさん! 防御力特化の金髪ポニーテールな美人騎士だ!

 職業にそぐわないお淑やかさと気品。彼女の実家が実は貴族ではないかと言う噂も伊達じゃないよ! ダクネスさんは、伊達じゃない!

 

 

 

 そう! 彼女こそ麗しくも美しい。気高き聖騎士の鏡!

 おっぱいクルセイダーのダクネスさんだ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふふふ・・・我が愛剣デスフリンガーよ。今少しだ。

 今少し待てば、お前に大量の生き血を吸わせてやるぞ・・・ふぇっへっへーー」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ーーほらね? 大丈夫だって言ったでしょ?」

「「「いやいやいや! あれのどこが大丈夫なの!?(ですか!?)」」」

 

 むー。皆がボクの言葉を信じてくれないー、ひどいよみんなー。

 テイルズみたいに、もっと仲間を信じようぜー?

 

「ーーって言うかあの剣、呪われてません!? なんかスッゴく禍々しい魔力を感じるのですが! なんかこう・・・具体的に表現しますと、子供の頃に出会った爆裂魔法のお姉さんみたいなスッゴい魔力を!」

「お、めぐみんちゃん鋭いねぇ~。さっすが紅魔族! お目が高いぞ☆

 あの魔剣「デスフリンガー」は、どっかのダンジョンを探索中に偶然道に迷って偶然見つけた扉をくぐり抜け、空に二つの月が浮かんでる空飛ぶ大陸で見つけてきた呪われし逸品だよ。

 なんかデザインがかっこよくて騎士に持たせてみたいなーって思ったから、大親友のダクネスさんにプレゼントしたらああなりました」

「「「またお前か!(あなたですか!)事の元凶は!

   友達をマネキン代わりに使うな!!!」」」

 

 あっはっは。いやー、まさか人格改変の呪いがかけられてるなんて予想外だったねぇ。ヨソウガイデス。

 

「でも、だいじょーぶ! 騎士としての性能はアップしてるし、命中率なんかも上がってる! 特に特殊能力「暗黒剣」を使用可能になったのはデカいよ!

 アレがあればダクネスさんは敵に与えたダメージの痛み三十パーセントを、自分の身で味わうことが出来るんだ!」

「「「なんの役に立つのそれ!? 邪魔なだけじゃない!?(ですか!?)」」」

 

 う~ん、思ってたほど評価が良くない。

 不思議だなぁ~。カッコいいと思ったんだけどなぁ~。

 なんでなんだろうね? わかんないね。

 

 パラディンになった後のセシルよりも暗黒騎士だった頃のセシルの方が、見た目的にカッコいいと思うんだけどなぁ~。

 やっぱり今風だと受けないのか。残念。

 

「おっ、噂をすれば何とやら、噂をしなくても何とやら。ゴブリンの団体さん、ごとうちゃ~く! 張り切って戦闘開始だぁーっ!

 行くぞー! えい、えい、おーっ!」

「「「お、おーーーっ!!」」」

「くっくっく・・・今夜の月はイヤに紅い・・・・・・」

 

 うん、皆やる気十分だね!

 これなら初心者向けモンスター相手に、非戦闘職の盗賊は要らないよね!

 

「じゃ、そう言うことでボクは避難をーー」

 

 がしっ!

 

「待ちなさい囮役。素早いなら素早いなりに、敵のヘイトを引き受けて集めて後衛を敵の攻撃から守り抜きなさい。それが戦場に出てる非戦闘用のサポート職である盗賊の役割でしょうが」

「やっぱり~?」

 

 うーん、残念。誤魔化しきれませんでしたー。

 仕方ないので、戦闘頑張りまーっす。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「てい! えい! こ、こっちに来ないでください!(ドゴンッ!)」

「ぐげぇっ!? あ、アークプリーストが拳で会心の一撃だとぉっ!?」

「エクスプロージョンっ!」

「ふげぇっ!? 雑魚モンスター集団に上級攻撃魔法使って殲滅とか、容赦ねぇーっ!」

「ゴォッド・ブロォーーーっ!!!」

「こいつに至っては、拳しか武器に使わないアークプリーストだーーっ!!

 女神の教えどこ行った!?」

「本人様だから破っていいんだよん♪」

「あっ!? 俺の財布を! 返しやがれクソ巨乳ーーなんか怖い笑顔浮かべたクルセイダーキタ━(・∀・)━!!!!」

「ブラッディ・スクライドーーーーっ!!!!!!!」

「「それは絶対、聖騎士の使う技じゃなーーーっい!!!」」

「ぐはぁっ!? て、敵に与えたダメージの三分の一が私のダメージに・・・! オーバーキルでも三分の一だから雑魚敵相手にはあり得ないダメージ量が・・・もっと敵攻撃してダメージもらってくりゅーーっ!!」

「「「ダメーーーーっ!!!((ですーーっ!!))」」」

 

 うーん、このグダグダ感。ぐだぐだオーダー思い出すなぁ。ノッブとオキタさん可愛かったなぁ。

 基本的に全裸だし。おケツ丸見えだし。

 あれは良いおケツだった・・・。

 

 

 

 

 

 ーーと、言うわけで久しぶりの戦果(数日ぶりのはずなのに数ヶ月ぶりの戦果な気がするよ!)は、雑魚モンスター集団ゴブリンの巣の壊滅! クエスト達成! お疲れさまでしたー!

 

 

 

 

 

 

「ーーじゃあ、そう言うことで!

 ボクはこれから報酬使って今度こそサキュバスのお姉ちゃんたちの店に入れてもらえないか試してきます」

「「「待ちなさい。それよりなにより、アレをどうにかして行きなさい」」」

 

 

 

「うっへっへ・・・血だ。血が欲しい・・・。新たな血を求めて、今夜もアクセルの町をさまよう鎧武者ダクネスになってやるぜぇ・・・。

 だって、私に大ダメージを返してくれる獲物(快楽の源)が欲しくて堪らにゃいのにょーーっ!

 あ~っん! 誰かララティーナに切らせてぇっ! ララティーナにダメージお返ししてぇーっ! 反射ダメージの快楽が気持ちよすぎるの、快感なのぉーーっ♪

 あっは~ん☆」

 

 

 

 ーーあ、素で忘れてました。

 

 

 

つづく



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5話「本来の主人公が登場するよっ!」

久し振りの投稿なのに申し訳ございません。エリス様とアクア様の出番が・・・ない!
本来の主人公カズマと原作サブキャラであるリーンのラブコメ書いてたら文字数を使いすぎました。必要があれば続きを書きますのでお許しください。

アニメ版3話目、カズマのスティール習得回が元ネタです。
一応は主人公同士の回ですので双方の視点を交代交代で表現してます。
文章同士の隙間に長い間が空いた時が目安となりますので、お気を付けください。


「はぁ・・・変な疲れで昼まで寝てしまったぁー」

 

 ため息をつきながら俺、新米冒険者でクラスも『冒険者』の異世界転生者サトウカズマは冒険者ギルドの扉に手をかける。

 

 中からは今日も「いよっ! はいっ! どーもどーも!」などと言う調子良さげな声と、周囲ではやし立ててる野次馬たちの歓声が聞こえてくる。

 

「まーた、宴会芸披露してんのかよ、あの自称『駄女神』。たくっ、本当に自分が女神様だって言うなら俺の広告詐欺みたいな転生やり直させてくれよ。

 つくづく使えない残念美人だよな、あの借金アークプリースト」

 

 悪態をつきながら俺は、あの日から今日までの経緯を振り返る。

 

 

 

 思えば色々なことがった。

 

 普段は学校に行かず家に引き籠もっている俺が、その日は珍しくゲームを買うため町へと出て無事購入しての帰り道、道行く同じ学校の女の子が牽かれそうになっていたので助けた。

 で、結果として俺は死んで、気づいた時には真っ白な部屋にいた。そこまではいい。

 テンプレだが、よくある王道異世界転生モノの定番適展開だ。これから俺も未知の異世界で大冒険に挑まされるのかと、胸をハラハラドキドキさせながら期待しまくっていたのだが。

 

 部屋の中央に置かれた小さな事務机に『昼休み中です。しばらくお待ち下さい』の札が架かっているのを見たときには頬がヒクついたね。

 え、もしかしてここ『ドリフターズ』の異世界に通じてんの? 黒王様の世界滅ぼし軍相手に戦い抜くなんて絶対無理だよ!? て言うか、妖怪首置いてけに真っ先に首持って行かれそうじゃん現代日本人の俺!

 

 絶対にイヤだ!完全逃避だ!異世界の彼方まで逃げ延びて生き延びてやる!と、勢い込んで部屋を飛び出し制止の声にも耳を傾けずに走り続けてたら『駆け出し冒険者の街アクセル』の町中に迷い込んでいた。

 

 右も左も分からないなりにゲーム知識を総動員して冒険者ギルドの場所と情報を手に入れた俺だったが、行ってみたら登録料に1000エリス必要と言われ、冒険開始前の時点で借金しつつも無事に登録は完了。クラスが最弱職しか選べなかったのは不満だが、そのぶん幸運値が高いそうなので何とかなるだろうと軽く見て冒険に出たが甘すぎた。

 

 仲間がいない。単独でこなせそうな依頼もない。レベル1の新米冒険者な『冒険者』をパーティー加入させてくれるお人好しなどいるはずなーーいと思っていたのだが。

 いたのだ、奇特すぎることに。

 中級者パーティーで俺と同じ『冒険者』が仲間にいる物好きたちが。

 

 丁度、依頼を受けた直後にソイツが詐欺の罪で起訴されて留置所に入れられたから荷物持ちがほしいと言われ、俺は一も二もなく引き受けた。

 

 その後、依頼先の山道で初心者殺しにニアミスしたり、思わぬ活躍で先達パーティー一同から尊敬の視線を浴びせられたり、帰る途中で紅一点でウィザードの女の子と仲良くなったり色々あったが、無事にアクセルの街へと帰還してきた俺は彼らと専属契約を結んで臨時の補欠パーティーに加入することになり、今日まで比較的平穏な充実した毎日を過ごせていたのだが。

 

 今日は流石にテンションが低い。冒険者としてのポイントが貯まったから、ギルドカードで新たなスキルを拾得したいと思ったのに禄なスキルが選べなかったのである。

 

 

「あ、カズマ。やっと起きてきたんだ」

 

 悩みながらギルドの食堂に入ると、女の子の声で俺の名を呼ばれた。

 見るとポニーテールで、ミニスカートにマントという魔女っ子と言うよりかは魔法少女とかに居そうなタイプの可愛らしい少女が席に座って食事をしていた。

 

「リーンか。悪い、寝坊した。昨日の晩から悩みまくってて、あんまし眠れてないんだよ」

 

 どことなく『トトモノ』とかの冒険者育成学校が舞台のRPGに出てきそうなタイプの子だよなと思いつつ、俺は知り合いであり仲間でもあるかの女の名を呼んでから隣の席に向かう。

 

 彼女、クルセイダーの好青年テイラーをリーダーとする中級者パーティー(名前は猫的な意味合いではなく、まだ無いらしい)の紅一点。ウィザードのリーンは俺の言葉に眉をひそめる。

 

「寝不足なの? 生活が不規則になりがちな冒険者にとって職業病みたいなものだよ?

 甘く見てると怪我じゃすまない類の病気が生活習慣病なんだから気をつけなよ?」

「お、おう・・・」

 

 なぜか文明レベルが中世時代の異世界人に生活習慣病の危険性について説教されてしまった。

 この異世界、時々こうして世界観が分からなくなるイベントが起きたりするんだよな。俺の中で培ってきたファンタジーの世界観が崩れ去るような台詞は控えていただきたいのだが・・・。

 

「それでどうしたの? なにか悩み事? あたしでよかったら相談に乗るけど?」

 

 世話焼きで幼馴染み気質のリーンが、いつも通りに俺の世話を焼き始めてくれる。ホンとありがたいな幼馴染み属性。

 最近ではほとんど干され気味なダストがいつまで経ってもパーティー離れしようとしないのは、間違いなくリーン目当てだからだろうと俺は当たりをつけている。

 ダメだぞ、ゴミ。じゃなかった、ダスト。リーンを嫁に欲しいのなら、まず俺に持参金を十億エリス積み立ててからにしろ。その上でなら、嫁にやっても良いかどうか考えてやらんでもない。

 ケチな貧乏人の今のお前じゃ役者不足だ!一昨日きやがれ!バーカバーカ!

 

「・・・? カズマ?」

「おっと、いやいや何でもないんだ。心配かけてすまなかったな」

 

 いかんいかん、俺としたことが。ついつい妄想に夢中になりすぎて現実のリーンを、ほったらかしにしてしまったぜ。これでは保護者兼恋人候補失格だな。もっと励まなくては。

 そう! この世で一番の大金持ちになることこそが俺の夢!

 そして大豪邸に住んでリーンと左団扇して末永く幸せにすらすのだ!わははははっ!

 

「・・・なにを考えてるのかよく分かんないけど、程々にね?

 カズマって頭いいのに調子に乗りやすいから、後のことが心配で毎回目が離せないんだよ、あたし?」

「お、おう。なんかその・・・ごめん」

 

 誰かに心配してもらった事ってないから、こう言うときの俺はキョドりがちで気持ち悪くなる。ギルドに屯してる他の連中からも言われたことだが、彼女の反応を見るにそうでもないのかもしれないなと思えてくるから不思議だ。

 顔を俯かせて目線を逸らしながら、頬を赤くし小さな声でつぶやいてくる。

 

「あ、あたしは別にいいんだけどさ。ただその、えっと・・・そう! テイラーが!テイラーが心配すると思ったから気を使って上げてるだけだから!

 パーティーの一員が抱える厄介事は、パーティー全体にとっての大問題! パーティーが窮地に陥ったとき一番負担のかかる役職がリーダーなんだから、カズマもテイラーに余計な負担かけさせないためにも気になることがあったら、まずあたしに相談すること! わかった?わかったよね? 分かってくれてるんだよ・・・ね?」

 

 なに、このかわいい生き物。お持ち帰りしたい。んで、頂きますしたい。

 したいのだが、ここは我慢だ。まだ朝だし、ダストも近日中にまた出所してくるし。・・・今度は死刑か無期懲役にでもなってくれないかな、あのゴミ。

 

 

「いや、大したことじゃないんだけどさ。

 前にお前から、貯まったポイントでスキルが拾得できるって教えてもらってから『敵感知』と『潜伏スキル』『初級魔法』を覚えたんだけどさ。

 あれから結構経って、ポイントも貯まってきたじゃん? だから何か良いスキルをと思ったんだけども・・・」

「?? だけども?」

「何もなかった。いや、あるにはあるんだ欲しいのが。でも、貯まってるポイント数と数え合わせると不足してるし、他のは屑スキルばっかだし。手持ちの習得可能スキルに禄なのが見つからないんだよ」

「あー、そっか。確かにカズマの『冒険者』はスキルを覚えてなんぼの職業だもんね。

 アクセルの街にもあんまり多くない職業だから、あたしもうっかりしちゃってたわ・・・。ごめん・・・」

「いや、お前が謝る事じゃないんだけどさ」

 

 相変わらず真面目なリーンが、俺は大好きだ。子作りを前提に結婚してくれないだろうか? 俺はいつでもウェルカムなのだが。

 

「そういえばゴミ・・・じゃなかった、ダストの奴はスキルとかどうしてたんだ?

 アイツが覚えてるのを教えてくれた奴に弟子入りすれば、俺も結構強くなれると思うんだけど」

「アイツに教えてくれた人?

 成功率一桁以下のナンパ師と、マッチポンプでしか脅迫できないチンピラと、ゴミを商品と偽って露天商のフリしてる詐欺師と、あとそれから・・・」

「・・・ごめん、リーン。俺から聞いといてなんだけど、もう教えてくれなくていいわ。なんか夢が壊れてきた」

 

 ガラガラと。盛大に音を立てて崩れていく、俺のファンタジー感。フィクションのゲームが現実になると禄なモンにならないと言う事実が理解できた。

 

 ・・・て言うか、本気でアイツは何やってんだ? ゴミが社会の落伍者とつるんで、本物のゴミに成り下がりたいのか? 次に帰ってきたときには『例の店』で詳しく問いつめてやろうと心に決めながら、俺は最初の問題に戻って改めてリスタートする。

 

「なにかお手軽なスキルってないかな~。習得にあまりポイントを使わないで、お手軽な感じの」

「いや、そんなの有ったらみんな欲しがって、今頃『冒険者』が最人気職にまで成り上がってるんじゃ・・・」

 

 夢のある俺の愚痴に、夢のないリーンの正論が続く。

 

 はぁ~あ。やっぱり異世界とはいえ早々都合の良いスキルなんか手にはいるわけなーー

 

 

 

「あっはっはっは!

 キミ、役に立つスキルが欲しいみたいだね! 盗賊スキルなんてどうかな?

 習得にかかるポイントも少ないし、お得だよ?

 特に! ボクの一押し、女の子のパンツを盗むことに特化した窃盗スキル『おパンツスティール』を今ならシュワシュワ一杯で伝授しちゃう!!」

 

 

 

「親父さん! こっちの御大臣様にキンキンに冷やしまくったの一つと言わず何個でも!」

 

「・・・・・・・・・」

 

 

 

 

 ーーリーンのジト目に気付けないほど興奮しまくった俺は、性犯罪者になる危険性すらガン無視して巨乳の女盗賊に持ちかけられた誘いの手を取った。

 高い授業料だが惜しくはない。たかだか牢屋に入れられるかもしれない危険性なんて、女の子のパンツを盗めるスキルと比べたらカスにも劣る価値しか持たない!

 冒険者は、危ない橋を渡ってなんぼ! ゲームで散々に叩き込まされた廃人の本能が俺を突き動かす!

 

「あ、あなた様はいったい・・・!?」

 

 俺は目の前に降臨した真の女神様の眩しい姿に俺は拝むようにして縋りつき、真名を問う。

 

 

 彼女は眩しすぎるほど神々しい笑顔で己の真名を開陳する。

 

「今のボクは盗賊のクリスだよっ!!」

 

 

 ーーこれが異世界転生を夢見て放置された転生者な俺サトウカズマと、第二の人生を最後の最期まで振り回してくれる最大にして最悪のトラブルメーカー女盗賊クリスとの運命の出会いみたいなものだった。

 

 

 改めて思う。やり直したいと。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ーーとまぁ、先輩冒険者が後輩に技を伝授する場所として定番だから、酒場の裏手に来てみた訳なんだけども」

 

 キョロキョロと、ボクは右見て左見て上見あげて下見おろして、最後にカズマ君(って言うらしい。さっき聞いた)の隣で訝しんでるウィザードの女の子(リーンちゃんって言うんだって! 妖精女王様のお名前みたいだよね!かわいい!)のミニスカートから覗ける細くて白い絶対領域を視界と網膜に焼き付けて焼き印した後、改めてカズマ君に視線を戻す。

 

「広場って名前が付いてるのに全然広くないよね、この冒険者ギルドの裏手にある広場って。両隣の家の壁にロープ結んで洗濯物が干せちゃう程度の幅しかないし」

「ま、まぁそうですよね確かに・・・」

 

 なぜか戸惑われちゃった。不思議だね。

 

「とまぁ、そう言う細かいことはさておいて。

 カズマ君は今の時点で敵感知や潜伏は習得済みだから、教えるのはボクの一押し『おぱんつスティール』だけでいいのかな?」

「ウッス! クリスさん、よろしくお願いします!」

 

 体育会系のノリで返してくるカズマ君。

 う~ん、見た感じで如何にもなオタクゲーマーを連想してたんだけど・・・違うのかなぁ? ボクって昔から運動部との相性最悪なんだよなぁ。女子マネージャーの素晴らしさについて小一時間ぐらい語っただけで出禁くらわされちゃうぐらいには。

 

 ま、いっか。それもやってみれば分かることだしねぇ~。

 とりあえずは今を楽しもうぜぇ~♪

 

 

「それじゃあ今から見本を見せるね。

 『おぱんつーースティール』!!!」

「うおわっ!?」

 

 突如として光が弾けて世界に目眩ましをかける!

 絶対の理を一時的に阻害して、本来は指定できないスティールの窃盗対象を目の前の相手のぱんつに限定指定する!

 

「まぁ、光はボクが気付かれないように投げた、小型爆弾の爆発なんだけどね」

「俺の驚きと感動を、半分だけでいいから返せ!」

 

 怒鳴るカズマ君。ま、わかるけど。

 

「で、どうだった? おぱんつ脱げた?」

「え? ・・・いや、履いてますねまだ。もしかして失敗する確率とか高かったりする技なんですか?」

 

 訝しげな顔で自分のオマタの辺りをサスサスして履いてることを確認してるカズマ君。

 うん、ごめん。ぶっちゃけスゴく気持ち悪い。きめぇレベルかも。

 

 ・・・それにしても変なこと言いだす人だな~。

 

「いやいやカズマ君落ち着いて。冷静になってよく考えてみるんだ。

 普通に考えてーー男の子のぱんつなんか盗みたくなんかないでしょ?」

「正論だ!正論すぎる! 俺が間違っておりましたーーっ!!」

 

 うんうん。わかってもらえて嬉しいよカズマ君。

 それじゃあ正答は誰のおぱんつを盗んだのかはわっかるっかな~?

 

「・・・あれ? 俺のぱんつじゃないとすると、クリスさんは盗んだ本人で、ここには俺とクリスさんとリーンしかいな・・・はっ!? い、いや違う!違うぞリーン! 俺はなにも気付いてない! 気付いてなんかいないんだぁぁぁぁぁぁぐほぇはぁっ!?」

「バカーーーーーーーーーーッ!!!!!!!!!」

 

 ・・・う~ん。素晴らしきかな王道ラブコメ展開の風景。ボクはここにアヴァロンを見た。

 

「う、う、う・・・お、俺はもしかして、リーンに嫌われてしまったんじゃないのか? まさか「今夜から馬小屋で隣に寝るのはやめてね、キモいから」とか言われたりするんじゃ・・・ああ、俺はなんて不幸なんだーー」

「あっはっは! だいじょぶだいじょぶ!

 でも、どーしても心配だと思うんだったら、はいコレお守り。

 盗み取ったばかりの『さっきまでリーンちゃんが履いてた生パン』だよ」

「ヒャッハーーー! 当たりも当たりだ! 大当たりの大ラッキーだぁぁぁぁっ!!

 俺は世界で一番ついてる強運の持ち主なんだぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」

「うんうん。元気がよくて頭も軽いし調子もいい男の子は、お姉さんも大好きだぞ♪」

「ありがとうございまっス!クリスさん! これからもお宝の提供お願いしまっス!」

「ふっふっふ。任せておきたまへ~!ドヤァッ!」

 

 楽しそうな声が狭い広場に響きわたって洗濯物干してた家のおばちゃんに怒られて、ごめんなさいしてから改めて。

 

 

 

 

 

 

「さぁ、これで『おぱんつスティール』は、キミにも習得可能に! 覚えるも良し!覚えないも良し! 全てはキミの選択しだい!

 それでは選ぶがよい冒険者カズマよ! キミが進むべき道はキミだけが選べるんだっ!」

「おおおっ! なんかすっごく異世界っぽいですねソレ! 超俺好みかも!」

 

 よーし! 使うぞ!覚えるぞ『おぱんつスティール』を!

 これ使って女の子のパンツを盗みまくってやる! ギルドで受付してる巨乳お姉さんのパンツとか! 例の店で働いてる従業員さんたちのパンツとか!

 偶に見かける、いけ好かないイケメン剣士の取り巻き二人の履いてるパンツとかを!

 

 俺は新しく登録されたスキルを習得するため冒険者カードを取り出して中を確かめ、ふと気付いて手を止める。あれ? これって・・・・・・。

 

「あの、クリスさん。なんか新しく登録されたスキルがふたつあって、ひとつは『おぱんつスティール』って書いてありますけど、もうひとつは只の『スティール』って出てるんですが・・・」

 

 そうなのだ。今確認したカードに登録されたばかりで赤く表示されている“ふたつの”窃盗スキル。

 指で押すと習得に必要なポイント数と一緒に二つの違いが明確に分かたれる。

 

『窃盗』1ポイント。

 習得すれば現時点で使える『敵感知』『潜伏』にプラスされて『スティール』などの盗む系技術が使えるようになる。

 

『おぱんつスティール』3ポイント。

 女の子のパンツが盗める。女の子のパンツしか盗めない。それだけ。

 

 

「なにこの変な格差!?」

 

 なぜ普通に汎用性が高そうな『スティール』よりも、相手がめちゃくちゃ限定されまくる『おぱんつスティール』の方が二倍以上のポイント数なんだ!? レアか!レアだからなのか!?

 性能よりも希少価値の方に重点置くなんて、この世界の女神様とやらはコレクター精神の持ち主だな!

 

「ああ、それ? 単にスティール使ってパンツばっかり盗み続けてたら、気付いたときには新しく追加されてたんだよね。

 別に特許料とか取らないから、気にせずに習得しちゃって全然かまわないよ?」

「今の俺の驚き完全無価値にするつもりですか!?

 夢がないなぁ、本当に!」

「やってることは下着泥棒だからねぇ。夢だのロマンだのを語れるほどには、世間に認知されてはいないって。基本的にエロは個人的趣味趣向内に収めるべき変態行為です」

「今までの自分のことも完全無価値にして良かったんですか!?」

 

 夢のない異世界だな!今まで何度も思ってきたけど、ほんっとーに夢のない異世界だよな、ここって!

 

「たぶんだけど、どっちを選んでも大丈夫だと思うよ? 普通のスティール習得したってパンツばっかり盗んでたら名称が知らない間に『おぱんつスティール』になってるって。たぶんだけど」

「『たぶん』多くないですか・・・?」

「気付いたのがイベント発生からだいぶ経った後みたいだからねー。冒険者カードなんて普段から確認なんてしないし、ぜ~んぜん気付きませんでしたよー。って、受付のルナさんに報告したらぶっ飛ばされた」

「でしょうね! 管理職にしてみたら超重要案件ですもんねレアスキル発生イベントって! それ気付かずに放置してたら本部の人に相当怒られたでしょうねルナさん!」

 

 ラノベでは定番ネタだけど、問題児を抱えることになった冒険者ギルドの受付さんって大変だな! モモン様ぐらい超優良冒険者だったら楽なんだろうけどな! 別の意味で超大変そうだけども!

 

「ささっ! とりあえずはズズィッと取得しちゃって下さいな!

 オススメはもちろん『おぱんつスティール』だけど、普通のスティールとって自分好みに育てるのだって全然ありだよ! 冒険者は自由!」

「お、おおぅ。・・・さっきから言ってることだけは格好いいんだよな、この人。

 ーー内容がすさまじく格好悪いけど・・・」

「さぁっ! カズマ君! キミが決めろ!」

「言い方変わっただけで、なんか別の意味合いの言葉になっちゃってる!?

 あれ!? サトシとピカチュウの絆って実際にはこんなもんだったの!?」

 

 すげぇっ! 原文を二文字変えただけで全くの別物としか聞こえねぇ! ただの独裁者だコレ! ヒトラーだよ!あるいはギレン総帥! 異世界人のクリスさんには理解できないだろうけどな!

 

 

 

「・・・う~ん、しかし改めて選ぶとなると正直迷うな。どっちにするべきか・・・」

 

 『おぱんつスティール』には正直ロマンを感じる。女の子のパンツ限定で盗めるスキルって、キモヲタゲーマーにとっては永遠の夢だ。

 パンツから始まる恋もあるのがラブコメだから、もしかしたらパンツを盗むことで発生する恋だってあるのかもしれない。

 可能性は低い。だが、賭けてみる価値はある。・・・う~むむむむむ・・・・・・。

 

「あ、ちなみにだけど。ボクは毎日『おぱんつスティール』を同居してる女の子に使って脱がせてはセクハラして殴られてます。当たれば死ぬ必殺のゴッドブローで」

「なにしちゃってんですかアンタは!? それ聞いた後で一体誰が『おぱんつスティール』選ぶと思ってんですか!?」

「んでね、毎回殴り飛ばされながらボクの耳に届いてくるんだ。

 『・・・直接言ってさえくれたら手渡ししてあげるのに・・・クリスさんのバカ・・・』って」

「『おぱんつスティール』! キミに決めたーーっ!!!」

 

 しゅうぃぃぃぃぃぃっん!

 

 冒険者サトウカズマは、新たなスキルとして『おぱんつスティール』を習得した!

 

 よっし! 今日から俺たちは友達だ!一緒にがんばろうぜ『おぱんつスティール』!

 

 

 

 

「あ、でも後1ポイント余ってるんだし、折角だから普通のスティールも習得しとこっと。ほい、ポチっとな」

「ちゃっかりしてるね! さすがはカズマ君! ボクの選んだ漢だよ!」

 

 ふっ、照れるぜ。

 

 こうして俺は生涯の相棒である『スティール』と、永遠の朋友『おパンツスティール』をゲットしたのだった。

 

 ーーおパンツ、ゲット(予定)だぜ!

 

 

 

 

 

予想外に長くなったので一旦切って続きます。所謂ひとつの、引く(マンガ用語)



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番外編1「牢屋に放り込まれた女神二人のえっちぃIF物語」

大分昔に書き上げてから恥ずかしすぎて投稿しなかった、牢屋に入れられたアクア様とエリス様が「もし強制労働送りになってたら」と言うオリ設定のオリジナル番外編です。
運良く残ってたので投稿しました。

それから、今作はぶっちゃけ当時の私が投稿できるように改善(性倫理的にです)した後の作品ですから、本来はもっとひどい扱いを受けてるアクア様とエリス様です。
その内そっちも出したいと思ってます。


 廊下が広い。そして長い。どこまで拭いても、いつまで掃除しても終わらない。

 しかも、廊下はここだけではない。当然ながら、バカみたいに広すぎる広大な屋敷のほぼ全ての部屋は廊下でつながっているのだ。

 部屋数だけでも半端ない大貴族の邸宅に格安で雇われ使役されている最下級召使い(平たく言えば奴隷)の月収だけで保釈金を払うには、あと何年かかるだろう・・・?

 

「なんで、私がこんな目に・・・」

 

 拘束具に包まれたメイド服を身にまとった女神アクアは、髪と同じく真っ青な顔色でボヤく。これに反発したのはもう一人の女神エリスである。

 同じく拘束具付きではあるがスカートの丈はさらに短く、パンツが全然隠せていないミニスカメイド服姿で四つん這いになって雑巾掛けをしていた彼女は一度その手を取め、キッと鋭い視線で先輩女神メイドを睨み上げ、厳しく叱責する。

 

「誰のせいだと思ってるんですか!? こうなったのも全部先輩が悪いんですからね! 少しは反省してください! 私まで反省が足りないと判断されて牢屋に戻されたらどうしてくれるんですかっ!」

「私のせいだっていいたいの!? アンタだってあの時一緒になってゴッドブロー放ちまくってたんだから同罪でしょう! 自分の責任を棚に上げて他人に罪を擦り付けるのはみっともないから辞めてくれないかしら!? 同じ女神として私まで品位と常識が疑われちゃいそうなんだけど!」

「先輩のどこに品位と常識があるって言うんですか!? 部屋にはお菓子とゲームが散乱してて、寝起きにボリボリお尻をかきながら新聞読んで、冷めきったトーストかじりながら寝酒の残りをコーヒーで流し込む女神の一体どこをどう探したら品位なんて高級なモノが出てくるって言うんです!? 残念さの間違いじゃないですかねぇ!?」

「なっ・・・!? あ、アンタ人が隠してた秘密を大衆を前に大声で・・・! アンタだって似た者同士のくせに!

 私知ってるんだからね、アンタが机の下にBL妄想小説書いたノートを隠してることも、実はエロDVDの視聴が趣味で毎晩それを観ながら一人でハァハァ、ハァハァとーー」

「きゃああああっ!? どうして言っちゃうんですか! どうして言っちゃうんですか! どうして言っちゃったんですかぁぁぁっ!!!

 これが原因で私が婚期逃しちゃったら絶対に先輩のせいですからね!? どんな理由があろうとも責任取ってもらせますよ!? 覚悟しておいてください! 毟り取れるだけぶんどってあげるんですから!」

「上等よ!掛かってらっしゃい、この乳無し隠れクソビッチが! お望み通り相手してやるわよ! 格の差ってものを教えたげるわ! 先輩より優れた後輩などいねぇ!」

「なんですって!?」

「なによ!やる気!

 やるんだったら表に出ーー」

 

 ぺちん! ぺちん!

 

「こらっ!サボるんじゃない! ・・・はぁ、まったく君たちは・・・」

 

 二人の頭をはたいて注意したのは、穏やかそうな顔立ちと程良く引き締まった肉付きのイケメン青年で、身嗜みにも立ち居振る舞いにも品格と礼節を漂わせた、まさに王子様と言った感じの王道貴公子好青年、屋敷の主アレクセイ・バーネス・アルダープの嫡子、アレクセイ・バーネス・バルターであった。

 

 人柄がもの凄く良くて人望もあり、非常に努力家で民のために知識をつけようと日々勉学に励む完璧を絵に描いた様な男。最近では父親の悪政によく進言をしては軌道修正し、次期領主どころか今すぐ代替わりしろと言う声まで上がるほどの完璧超人。

 

 本来の二人ならばーーまぁ、アクア様はともかくとしてエリス様ならば多少絆されてもしかたないルックスとスペック保持者なのだが。

 残念だが、二人はすでにカオスな巨乳変態美少女との出会いで悪影響を受けすぎている。素直な憧憬や、年頃の女の子らしい恋愛小説じみたラブストーリーへの憧れなど微塵も持ち合わせていない。

 

(この苦労知らずのボンボン、よくも水の女神たる私の頭を叩いてくれたわね!

 罰当たりな行いには後で天罰を加えてやるんだから!)

(ダメですよ、先輩。この世界で女神としての力を使って天罰を与えたりなんかしたら、私たちが神様からお仕置きされちゃいます。・・・なので、バレないように物理攻撃で殺っちゃいましょう)

 

 殊勝に頭を下げる二人の美少女メイドによって散々にこき下ろされていることに気付くことなく、むしろ奴隷の身分に落とされた二人の“犠牲者”に哀れみと慈しみ、そして罪悪感と憤りを覚え、改めて彼は“決意”を胸に抱く。

 

「安心すると言い。これ以上、君たちのような犠牲者がでるのを座視する気はない。そろそろ王都も動き出す。いずれ、君たちも不当な奴隷の身分から解放されて正当な身分を取り戻せることだろう。

 後少しの辛抱だ。我慢してくれ」

「「・・・は?」」

 

 ぽかんとマヌケ面をさらす、この世界で崇められている崇高なる女神の二柱。異世界の未来が悲観される光景だが、それ以上にアクセルの未来を悲観しているのがバルターであり、つまりはまぁ、その、なんだ・・・正義と忠誠を奉ずる彼は信じ切っていたのだ。

 

 二人の奴隷が猥褻物陳列罪の末に牢屋に放り込まれ、真夜中に眠りこけていた門番を全裸で誘惑し誘い込み気絶させると着ていた衣服を剥いで脱走し、夜遊びのために都市近郊までお忍びで赴いていた領主である父アルダープを人質にして国外逃亡を図ろうとした国家反逆罪レベルの凶悪きわまるテロリストであるなどという罪状は“彼女たちの身体目当てで父がでっち上げた偽り”に違いない、と・・・。

 

 往々にしてラノベでの完璧イケメンキャラは残念な扱いを受ける。彼の場合は、善意と好意と正義感によって、“たまたま”凶悪犯罪者である二人の美少女受刑者を解放してしまう切っ掛けになったにすぎない。

 なので、彼は悪くない。断じてない。全然無い。

 

 ・・・だが、究極的に責任を取らされるのは責任者でありながら責任逃れをする父に代わって責任を取りたがる息子の彼であるのもまた事実。

 

 ああ、世の中とはかくも残酷な悲喜劇で満ちている。今頃きっとどこかのダンジョンでは仮面の悪魔が悦んでいることだろう。一人だけでも幸せになってくれて良かった。

 ・・・そう思わないと本当にやっていられない、そんな救いのない物語が今回のお話だったりするのである・・・。

 

 

 

 

「領主マルダーン? その人の家でエリス様とアクア様は働いてるの?」

「はい、その通りです。・・・いえ、正しくはマルダーンではなくアルダープですが。

 て言うか、誰ですか? マルダーンって」

「マルダーン・ンフ・マルダーン! 戦士の中の戦士! ボクも斯くありたいと思います!」

「貴女の職業は盗賊です。戦士になりたいのなら、まず転職してください」

 

 ボクの質問に快く答えてくれたのは、黒髪ロングでキリリとした表情の社長秘書風美人さん。いかにもエリートっぽい眼鏡とタイトスカートが良く似合ってるね。可愛い系より綺麗系だね。ぶっちゃけ、大人の余裕的な色気に欲情してます。

 

 エリート街道まっしぐらに進んできた都会系エリート。周囲と隔絶された伝統あるお嬢さま学校で純粋培養された典型的な良い所のお嬢さま。幼い頃から厳しく躾られた結果、真面目すぎる堅物になったけど心の中では異性に対して興味津々。毎晩お部屋でイケない御本を読みながらイケない行為に耽ってる悪い娘ちゃん。

 思わず、エッチなお仕置きしたくなっちゃうね! 快感を覚えさせたいね! 堕として溺れさせたいね! ・・・二度と抜け出せなくしちゃうよ? 恥国から。

 

 でも、大丈夫! そんな悪事から彼女を守れるのはボクだけだからっ!

 そして、助けた彼女とボクの二人はそのままゴールインだ! 夜明けのモーニングコーヒーを一緒に飲もう!

 

「と言うわけで、結婚を前提に抱かせてください」

「なにがどうなって、そういう結論になるのですか!?」

 

 ありゃ、先走っちゃった。先っぽだけに、なんちて。

 

「あはは、冗談冗談。それで? 依頼内容の細かい部分を聞いちゃっていい? それとも聞かない方がいい? 王国が盗賊に盗みを依頼する内容を聞かせちゃっても大丈夫?

 あっ! もしかしてウッカリ秘密を漏らしたりすると、お姉さんからエッチなお仕置きを受けられたりするのかな!?」

「なんで物凄く嬉しそうな笑顔を浮かべて失敗した後のことを語り出すんですか貴女!? こっちは真剣に頼んでいるのですから、まじめに仕事してください!」

「失敬な! ボクが真面目に仕事した事なんて一度もない!

 つまり! 不真面目な態度で仕事に励むことこそ、ボクの真面目な勤労精神の現れなのだよ!(ドヤァッ!)」

「どデカい胸を反らして自分のダメな部分を誇るなぁぁぁぁぁぁっ!!!!!!」

 

 はぁはぁはぁ・・・・・・・・・。

 

 王宮の一室で向かい合う二人分の巨乳。片方は四つん這いになってお尻を突き出しながら、はぁはぁしてます。

 う~ん、なんて言うかモノすっごくエロい。抱きたい抱かれたい、お仕置きしたいし、されてみた~い♪ もっともっと、もっとイジメてお姉さま~ん☆

 

 

「・・・ああもう、ペース狂うなぁこの人・・・・・・。

 ーーこほん。とにかくです。本来あなたに依頼する予定だった内容、不正の事実を知った姫様自ら乗り込もうとするのを必死に引き留めてるのに聞く耳持ってくれないから妥協案として仕方なしに提案した依頼内容は、アルダーブの屋敷に侵入し『賊が屋敷に金目のモノを盗みに入りましたよ』と言うメッセージを残し、それを世間一般にも公表して家宅捜査するための口実を作り出すことです。

 ただそれだけです。それ以外のことはなにひとつしなくていいですし、しないでください。て言うかするな、絶対にだ。約束破ったら死刑」

「針千本飲まされるより怖い罰則だなぁ~」

 

 う~ん、さすがは文明レベルが中世の異世界。権力者は時に国を守るため、平然と残酷なことをやらかすのです。

 

「わかったよ、国が依頼したことを秘密にするために名前を名乗ってくれない美人のお姉さん! ボク、がんばって依頼をこなして報酬もらう! だから成功した暁には十分に報いてね!?」

「もちろんです。国は信義によってのみ立つ物ですからね。

 交わした約束を守らない国は、いずこの国からも信を得られなくなるのは明白。たかだか盗賊の少女一人に渡す報酬をケチって、その様なリスクを背負わされるのは割に合いません。キチンと提示した額の三割り増しでお支払いしますよクリスさん。

 ・・・・・・三割り増しになってる真意は、言われずとも分かりますね?」

 

 途中から無表情にすごんでくるのは、交わした約束で信義を守る国の司法官さん。

 う~ん、腐ってるなぁ・・・。さっすが中世。

 

「Yes.マイ・ロード」

 

 格好良く答えてボクは口止め料を約束してもらうと第二の故郷アクセルの街へ、レッツ裸ゴー!

 目指せ! 『屋敷の屋敷に進入したのに「入りました」と書かれた紙だけ置いて逃走する』パーフェクト・クライム! 完全犯罪クラブ! PCP!

 こういうの、一度やってみたかった!

 

 

「・・・あれ? でもそう言えばPCPって、どんな内容のマンガだったんだろう・・・? 詳しい描写は載ってなかった気がするなぁー。金庫に入って「入りました」も最終目標みたいな扱いだった気がするし・・・。

 ーーま、いいや。今回も、おもしろ楽しくお気楽に適当に依頼をこなそう」

 

 真面目は不真面目な美少女巨乳盗賊クリスちゃん! それがボクの生き方だい!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ーーとまぁ、そう言う事情なので。アクア様もエリス様も狭くて苦しくても我慢してね? 後でボクがちゃーんと、お仕置きされてあげるから」

「「ふごごごご! ふごー!ふごー!(何がどう、『そう言う事情』なのよー!(なんですかー!)」」

 

 ボクは二人の女神様(in敵にコスチュームを奪われちゃって恥ずかしいぃ~状態)を適当な箱の中に詰め込んでからゆっくりと蓋を閉じる。

 そして敵から奪ったコスチューム(ようするに女神様達から引っ剥がしたメイド服)の着心地を確かめてみる。

 

 敵基地に潜入作品のお約束として屋敷で働いてるメイドさんのコスチュームを奪ってみたんだけど、気付いた時にはあら不思議。

 なんと! そこには下着姿でふん縛られて床に転がされて「ふごふご!」言ってるアクア様のお恥態が!

 

 あまりにも予想外すぎるタイミングで感動の再会を果たしたボクは感極まって、ノーパン状態から丸出し状態へランクアップを果たしたアクア様のお尻を撫で撫でしまくることで喜びを表現。

 涙目になってボクを潤んだ瞳で見つめてくれるアクア様は、よっぽど感極まってくれてたんだろうね。隣の部屋へ危険を知らせる変なボタンを押してしまうほど、冷静さを失ちゃってた。

 そして飛び込んできたエリス様を羽交い締めにしながら感動の再会パート2! やっぱりボクたちは運命の赤い糸で結ばれてたよ!

 

 このとき既にコスチュームはアクア様から奪ったのがあったんだけど、エリス様の超タイトミニスカートのメイド服が魅力的すぎるあまり、思わずスティール使ってる暇もなく強奪しちゃってた。

 さすがのボクも依頼遂行中の敵地において、二着もメイド服をドロップして持ち帰るほどの変態じゃあない。仕方ないから同じアイテムのうち先に手に入れた方をその場に捨てて、新しい方を装備しなおす。

 

「うん、やっぱりショートパンツも良いけど、超タイトミニスカートもスゴく良いね! えっちぃよ!

 アクア様の着てた拘束具付きのも奴隷っぽくて大好きだけど、ボク的には断然こっち派かな。えっちぃのは良いことだと思います」

 

 と、いつまでも姿見の前でポージングをしている場合じゃなかった。仕事の時間だ。

 

「スネーク、ミッションを開始する」

 

 さぁ、行くぞ。段ボール箱はどこにあるんだ・・・?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「むー! むー! むーーーっ!!!」」

「うーん・・・なんか違う気がするな・・・。左手がもってる鉄球の位置をもう少しこう・・・」

 

 自分の作った作品の出来にとことんこだわる芸術家の気分になりながら、ボクは現在マルダーン邸内を探検中。

 見かけたメイドさんは片っ端から脱がして剥いて、色々なポーズとシチュエーションの等身大メイドさんジオラマを制作して回ってます。

 

 今回のは相部屋でイケナイコトしてたっぽい二人の上品なメイドさん。たぶん、貴族の家から行儀見習いで奉公に来てる人だと思うよ? 花嫁修業的ななにかの理由で。

 

 貴族令嬢を見かけたら、とりあえずは脱がして縛るのがボクの礼儀作法です。

 なので脱がして縛りました。二人まとめて捕まえたので合同作品ならぬ、合体作品として仕上げてみました。いや~ん♪ ボクのイ・ケ・ナ・イ・子☆ 後でたっぷりエリス様のお仕置きが待ってるぞ~♪ たーのしみー☆

 

 

「でも、まずはコレを完成させなきゃね! 作品を途中で投げ出しちゃったら、芸術家の名が廃るよ!

 エロ芸術作品の奇才、レオナルド・ダ・ピンチと呼ばれたボクの名前が白い液体で汚されちゃうのは断じてNo.!」

 

 と言うわけで完成です。

 作品タイトルは「ミロのヴィーナス」ならぬ「見ないで!ヴィーナス」と「最後の審判」ならぬ「最後の審判されちゃってます」の二つです。

 

 まず最初の「見ないで!ヴィーナス」。

 これはシンプルに全部脱がせて手で隠させてるだけの代物です。造形としては平凡きわまりないですね。

 でも、この作品で見てほしいのは形ではありません。場との調和です。

 

 なんと! 彼女たちは現在、なぜか庭で放し飼いされてたワニさん達がいっぱい住んでる池の中央にある小島の上で、ぷるぷる震えながら倒れないようにバランスを取っているのです!

 落ちたら当然ワニの餌です!

 怖いですねー、恐ろしいですねー、ホラーですねー、すっごく愉しいですねー♪

 

「うんうん、絶景かな絶景かな♪ 下の子が支えてあげてる上の子が倒れちゃったら共倒れだから尚良いね! 友情だね!助け合いだね!

 女の子同士の百合で不純な友情ってステキだよね!」

 

 ボクは上機嫌で作品を見る目の視線をさらに上へと上げる。

 

「むぐむぐ・・・おひぃる! おふぃるーーーっ!!」

 

 両手を左右に伸ばしてる子は、片手にひとつずつ鉄球もって涙目で慌てながらもフラフラしてる。

 最初の子の上に、どうやって立っているのかと言いますと。

 じゃじゃん! 実は下の子にはブラだけ残してあげてパンツを穿かせていないから、左手は下を隠して右手は上の子を支える足場にしてあげてる優しい助け合いの精神!

 足場が右手の手のひらだけだから上の子は爪先足立に近い状態です。足先の指は全部ついてるけど、そこから後ろは角度を変えて必死にバランスを保っているのです!

 

 ーーあ、当然のことだけど上の子には下も上も残してあるよ? 丸見えになっちゃうからね。盗賊にも盗んじゃいけない下着があるのです!

 

「じゃ、ボク行くね。朝になるまで頑張って生き延びてください!

 あ。それからなんだけど、下の人はお尻冷やして風邪引かないように気をつけてね?

 それじゃっ!」

「「ふぐーっ!ふぐーっ!ふんぐぐぐーーっ!!(お願い助けて!置いてかないでぇーー(>ュ<。)ビェェン)」」

 

 

 さーて、どんどん脱がしまくるぞー♪

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ーーあれ? なんだろう、この部屋? なんか隠すように偽装されてる・・・」

 

 あらかた脱がし終えて良い汗かいたと一息ついてたボクは、夜風に当たって火照った体を冷やしたいなと思ったから、冷たい地下へ地下へと潜ってきました。

 中世時代の温度調整だったらとうぜん地下でしょ!

 いつ行くの? 今でしょ! どこ行くの? 地下でしょ!

 

 ーーと言うわけで地下室です。地下室の中に隠してあった隠れ部屋の中に、ボクは今います。

 

 なんか暗くてジメジメした場所だなー。モトラドのエルメスくん辺りが喜びそう。

 ま、いいや。とりあえずは盗賊らしく、お宝漁り♪ お宝漁りーっと♪

 

「ヒュー、ヒュー、ヒュー」

 

 おや?」

 

「ヒュー、ヒュー、ヒュー。誰だい君は? 何者かに侵入されたみたいだけど良いのかいアルダーブ」

 

 ???? なんだか不思議な格好した人だな~。鎖につながれてるし、服はボロボロだし地下室にいるし、でも囚人プレイしているにしては顔が楽しそうだから徹底してないしなぁー。

 

 ま、分からないときには、とりあえず真似てみよう。

 よいしょっと。

 

 ガッチャン。

 

 

「・・・・・・」

「・・・・・・」

 

 二人並んで仲良く鎖につながれてみました。

 

 ーーうん。やっぱり、何がおもしろいのか良く分かんないや。

 

「ねぇねぇ、これやってて楽しいの?」

「ヒュー、ヒュー・・・。あんまり覚えてないけど、たぶん僕は君よりかはバカじゃないと思うよ」

「ヒュー、ヒュー! きゃーっ! エリス様ー!すてきー!抱いて抱かせてHなことさせてぇー!」

「ヒュー、ヒュー・・・は、そう言う意味で使ってるんじゃないからね?」

 

 うん、一応真似てみたけど面白くなかったね。やっぱりかーえーろーっと。

 

「それじゃあボクは帰るけど、君はどうするの? ここでプレイし続ける? それとも新しいプレイに挑戦する?」

「ヒュー、ヒュー。ぷれいってなんのことだか分からないけど、せっかく来たんだし君の願い事を聞かせてくれないかい? 僕は悪魔だから人間の願いを叶えてあげられるよ?」

「え、いいの? 本当に? やったー!

 じゃあねじゃあね! ボクのお願い事はね!

 

 ギャルのパンティー、おーーーーーくれーーーーっ!!!!!」

 

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・ヒュー?」

「だーかーらー。ギャルのパンティーだよ、ギャルのパンティー。男の子の夢でしょ? このお願いするのって」

「ヒュー、ヒュー。それは良く分かんないけど、パンツだったら君の頭の上にあるじゃん。被ってる状態で」

「これは別腹!」

「ヒュー、ヒュー。・・・ポケットの中いっぱいに詰まってる分は?」

「これは別ポケット!」

「ヒュー、ヒュー。・・・・・・盗んできたっぽいリュックいっぱいに詰まっているのは?」

「これは別アイテムボックス!」

「ヒュー、ヒュー。・・・ごめん。君の願いが良く分からないから叶えられないかも・・・」

「そっか。残念だけどしょうがないね。それじゃあ誰かは知らないけど、ボクの願いを叶えてくれようとしてくれた優しいお兄さん?お姉さん?オジサン?オバサン?オバタリアン? ま、なんでもいっか。

 それじゃあねー♪ ババイキーン☆」

「ヒュー、ヒュー。・・・・・・二度と来るな」

 

 ばたんっ!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 この後、アルダーブの治める領地に点在して衣類各都市で、恥ずかしい恥態を晒して泣いている美女美少女達の姿が描かれた目のデカい肖像画が張りまくられているのが見つかり、大騒ぎになるのだが。

 

 それよりも数刻前、夜明けが訪れる前に朝食の下準備を始めようとメイド長が(勤続35年の大ベテラン。お婆さんだからクリスのターゲットから外されました)食器棚の下に置かれていた箱がガタガタ揺れているのを発見し、不振を覚えて開けてみると、

 

 

「「クーリースー!(さーんー!)」」

 

 

 箱から飛び出た下着姿の美少女二人が(片方はノーパン)怒り心頭。鬼となって暴れ回り、桃太郎さえ裸足で逃げ出すレベルの猛威を振るいまくった結果。アルダーブ家の屋敷は完全崩壊。

 家宅捜査どころか自ら救援を要請しなければならなくなるほどの窮状に追い込まれ、起死回生を期したダクネス家への養子縁組み計画の実行を早める羽目になる。

 

 その結果は諸君等の知っているとおりだが、それらの過程で失われた物の一つに領主の嫡男からさえ信頼を完全損失した二人の女神が借金返済&大罪に対する厳罰として、隣国への強制労働に処されたことを知る者はいまい。

 

 真の歴史とは、歴史書に記されていない文脈の間にこそ存在する。

 世界を司る二柱の女神が行き着く先は何処やーーーー?

 

 

 

 

 

 

 

「ーーだから私はちゃんとあの時に!!」

「アンタだって乗っかってきたじゃなーー!!」

 

「看守長ー。今日も牢屋の中が騒がしいんですが?」

「またかよ・・・。昨日の夜に、これ以上暴れられないよう顔だけ外に出てる壷の中へ裸全裸で押し込んでやったってのに・・・。

 これはあれか? いっそ身体だけスフィンクスにしてピラミッドに奉納し、本物のスフィンクス様から直に教育していただく以外に頭を良くする道は残ってねぇのか?」

「質問だして答えられなかったら爆発するあれですかい? あれは確かに一度の爆発で服がボロボロになりますが、こいつらには利くのかなぁ~?

 いっそのこと、賢いエルダードラゴンロード様にお願いして弟子にさせてもらったら如何ですかね? ほら、間違える度に尻尾で尻をたたかれるスパルタな奴。あれだったら少しくらいは・・・・・・」

「はぁ・・・。どれも長続きしそうにねぇが・・・まぁ乗りかかっちまった船だ。試せるモンは全部試すぞ。ヤス、付いてこいや!」

「ウッス! どこまでもお供しやすぜ看守長!」

 

 

 ・・・・・・・・・本当に二人の女神の行く末は何処なんだ!?

 

つづく・・・かも?



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新章?「未知なる『お尻新大陸』に飛ばされてきちゃったみたいだよっ!」

個性が強すぎる上に魅力的すぎる世界観からか妄想が加速しすぎてしまって大陸間を飛び越えて未知の新大陸へ行く話を執筆してしまいました。

さすがに原作的には問題あるだろうと自粛してきたのですが、一度くらいは人に見せて意見を聞いてみたくなりましたので投稿させていただきます。

ダメダメなのは分かっていますので、どうかお手柔らかにダメ出しをお願いいたします。


 夏だよ!

 ーー実際の地球季節だと真冬かも知れないけど、それでもボクたちのいる異世界では今が夏だよ!

 

 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・たぶん!!

 

 

 

「いや~、見渡す限り夏一色だねアクア様! ボク、こんなに夏らしいところ見たこと無いかも! ・・・で、ここってどこなの?」

「知らないわよ! 知りたいことがあったら少しくらい自分でも考えてみなさいよね!

 それともアンタ、自分がオッパイしか考えられないオッパイ脳の持ち主だと人前で宣言できるのかしら!? 出来るのならやってもらおうじゃない!

 大声で! 力一杯! 国中の女の子の前で堂々と・・・」

「みんなーーーーーっ!!! ボクは一日二十四時間三百六十五日中ずーーーっとオッパイとお尻のことしか考えてないオッパイお尻脳の持ち主だよーーーーっ!」

「やめろーーーーーーーーーっ!!! 同行者を恥獄行きに巻き込むなーーーっ!!」

 

 もう、アクア様のワガママ様♪ うっふん☆

 

 ・・・で。

 

「ジョーク言って落ち着かせてみたんだけど・・・やっぱり、なんにも分かんなかったね。本当にここってどこなのさ。

 アクセルの街がある国のどこかなの? それともアクセルの街がある国自体が存在しない大陸とかなの?」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ちやないっ。

 全てを統べる万能の女神から人間に堕ちて、平均以下の知力しかないのに回復魔法職のアークプリーストを選んだバカープリーストのアクアちゃんには、全然まったくサッパリ何がなんだかわっかりっましぇ~ん」

 

 うわー。アクア様がノッブよりも馬鹿っぽい口調で逃避しちゃったよ。こりゃどうしようもないなぁー。・・・気持ちは分かるけどね?

 

「でも、本当にどうしたらいいんだろうね? そして、ここはどこなんだろうね? 何なんだろうね? いったい・・・・・・ボクたちはどこに跳ばされて、どこに付いちゃったんだろうねぇ~?」

 

 ボクはつぶやく。見上げながら。

 

 ビキニアーマーに身を包んだ、アクア様とエリス様の合いの子みたいな女神様の巨大な神像がそびえ立ってる摩訶不思議な大冒険がはじまりそうな不思議大陸のスタート地点っぽい謎の遺跡の中心部で。

 

 

 転生者で巨乳の美少女盗賊クリス。

 現在、固定パーティーメンバーのアクア様とエリス様と共に訪れた先の洞窟の中で発見した未知の装置にお宝の臭いを感じたとかで二人の美少女に引っ張られながら突入してったら、未知の遺跡の新大陸に到達してました。

 

 シリーズの続編がスタートしたっぽいです。・・・第一期も終わってない気がするんだけどなぁ~。

 

 

 

 

 

 

「とりあえずは事態を把握するためにも、こうなった経緯を思い出してみるわね。

 まず、私とエリスはお金がなかったけど、借金だけはあった。たんまりとね。そして支払い期限が迫ってきていた。

 このままだと破滅だ! 今度はパンツまで没収されちゃう! なんとか大金をと、すがる思いでギルドに突入。受付のルナを脅して秘匿情報をゲット。さっそく誰も足を踏み入れたことのない、発見されたばかりの謎の新遺跡に入ってみたらお宝発見!金貨が一枚ずつ床に並んで落ちてるじゃないの!

 これは日頃正しく清貧に慎ましく清らかに生きている私たちへのご褒美に違いありませんと、エリスにしては珍しく良いこと言って私たちは金貨を回収しながら進み、一番奥の間で宝箱とトランスゲートっぽい装置を発見。さっそく宝箱を開けてみたらスカで、こうなったら何でも良いから手に入れて帰らないと腹の虫が治まらないわ!と叫んで私がゲートに特攻。先輩ズルいです!抜け駆けは許しません!お宝は二人の共有財産です!とアンタのことは数に入れないままエリスが叫んで追従してきて、あんたは罠っぽいと思うんだけどな~とか言いながらも基本的にエリスの決定には逆らわないから付いてきて今に至る、と。

 ーーここまでで何か間違いはあったかしら? あったら教えてちょうだい。今なら聞いてあげるわ。たとえ、人差し指でサッシをなぞる姑の如く陰険な粗探しをした結果だったとしてもね!」

「ないよ、なーんにも疑問点は見つかんなかった」

「なんでよーーーーっ!!! 見つけなさいよ私の記憶の粗をーーーーっ!!!

 このまま私の記憶に間違いがないとするならば、この事態を招いた犯人は私たちって事になっちゃうじゃないのよーーーーーっ!!!!!」

 

 ガックンガックンガックン。ボクの頭は前に後ろにブンブンブン。あははは~、目の前にあるアクア様のお顔が崩れて見えてて楽しい~♪

 

 ーーあ。そう言えばボクの後ろにいたダクネスさんとめぐみんちゃんはどうなったのかな? 付いて着ちゃったのかな? 別の遺跡に飛ばされたのかな? それとも見ていただけで帰っちゃったのかな? 飛ばされた後のことは、見てないから分かんないね。気にしないでおこうっと。

 

「うっうっう・・・・・・ところで、エリスの奴は? なんかここに飛ばされてきた直後に茫然自失化してたから今の今まで放っておいたんだけど・・・なんだか寂しさと切なさと心貧しさとを急に共感しあいたくなっちゃったのよね。どこにいるかしら? 知ってる?」

 

 けっこう酷いアクア様なりの友情表現に、ボクは心打たれながら誠実にお答えするよ。

 

「もちろん知ってるよ! だってエリス様のことだもん! スリーサイズから今日穿いてるおパンツの柄だって知ってて当然! 世間の一般常識レベルだよ!」

「ーーそれを世間様のみんなに知られてたら、あの子自害してると思うんだけど・・・まぁいいわ。今は都合が良いからそう言うことで良い。

 それで? エリスは今どこにいるの? この近く?  それとも少し遠いのかしら?」

「ここの、すぐ近くだよ。さっき際どすぎるビキニっぽい服着てるオッパイの大きな女の人たちがエリス様のお尻を見つけて

『こ、これはまさか臀説の性鍵!? 実在していたとは驚きだが、これほどの尻力があれば性門を開けることさえ可能となるはず・・・。お前たち! 性鍵を門のある遺跡まで運ぶのだ! 鍵は大事だが、持ち主の女は少々手荒に扱っても構わん!急がせろ!』

 ーーって、悲鳴上げてるエリス様をさっきボクたちが着たばかりの遺跡の中へ連れ去ってった。エリス様の悲鳴、かわいかったな~・・・」

 

 

 どごんっ!!!!

 

「・・・痛い」

「痛くなかったらアンタ反省しないじゃない! 痛くしても反省しないじゃない!

 だったら脅しに使って言うこと聞かせた方が少しはマシってもんでしょうが!」

 

 ・・・なるほど! 確かに! 逆転の発想だね!アクア様すごい! さすがですアクア様! 略して、刺す悪!

 

「追いかけるわよ! 追いかけてってエリスを浚った奴らをぶち呑めしてひん剥いてドロップアイテムを残らずゲットよ! 上手くすれば未知の大陸の通貨が手に入るかもしれないし!」

「わー♪ アクア様ったらプリーストなのに盗賊みた~い♪ ボクより盗賊っぽくて、少しだけ妬・け・ちゃ・う・ぞ☆」

「信者と書いて儲かると読む! 宗教団体に所属している僧侶なんて所詮、組織の都合で動くサラリーマンとOLの類似品にすぎないのよ! 金を崇めるか神様を崇めるかの違いがあるだけ! そして私は神! 神は神を崇めない!

 だから私は崇めるの! 人が生み出したもう一つの神に・・・お金様に誠心誠意忠義を尽くしてね!」

 

 わー、俗物だー。生臭僧侶すぎるな~。

 そんなアクア様なんて・・・・・・・・・大好きだぁーーーーーっ!!!!

 

 

 

 こうしてボクたちは、ここがどこかも分からないままお金を求めて敵を捜し当てて倒すため、ダンジョンっぽい遺跡の奥底へと潜っていったよ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・つまり」

 

 エリス様はパンパンと手を叩くようにして埃を払うと、足下に転がってるソレを踏んづけながら両手を腰に当てて可愛らしく勝ち誇ってみるよ。

 

「女神を浚ってお尻丸出しにする礼儀知らずなこの人たちには、罰として身ぐるみ剥いだ後に荷物持ちとして縄で縛って働かせながら牢屋のある街まで私たちを案内していただく・・・そう言う理解の仕方でいいんですよね? アクア先輩」

「その通りよエリス! さすがは私の後輩だわ! よく分かってるじゃない!」

「さすがだねエリス様! 略して刺すエリ! なんか、目的が変わっちゃってる気がするけど面白そうだしエロいの見れたからボク的には全面的にオールオーケーだよ!」

 

 アクア様と並んでエリス様を絶賛しまくりながらもボクは、拳で戦う肉体系アークプリーストに急成長して強くなってたエリス様の足下で伸びてるお尻ちゃんたち・・・もとい、ビキニ過ぎるほどビキニな露出度超高めの服着た女の人たちの失神体を眺めながらニンマリしちゃう。

 今日も良い画が見れました。ごっつあんです。

 

「ところでアクア先輩。さっきから気になり続けてるんですけど・・・この破廉恥な形をした門は、一体なんなのですか? なんだか神気とも魔力とも似て非なる妙な力を感じちゃって近寄りがたいんですけども・・・」

 

 エリス様が嫌そうな顔して指さす先にあるのは巨大な謎の門。材質は不明だし、金属じゃないって事しか分からないけど、とりあえずは開けるための鍵穴がない。全然ない。見つからないし、見あたらない。全く以てドコを探しても見つかりそうにないね。

 

 でも、鍵穴代わりとして門には凹みが出来ていて、そこに何かを押しつければ門が開いて中から何かが出てきそうな予感もしてる。盗賊の勘だね! パンツの柄しか当たったことないけどね!

 

「これって、どう見てもお尻の形をしているわよね・・・お尻をはめ込めば開くんじゃないかしら? 試してみる?」

「先輩・・・まさかとは思っていましたが貧しさの余り心が荒みきり、私のお尻を鍵代わりに使おうだなんて外道な意見を平然と口に出すようにまでなっていただなんて・・・!

 最低! 最低ですよアクア先輩! えっちすけっちエロ痴漢の、ノーパン恥女女神ィィィっ!」

「アンタこそ私をなんだと思ってたのよ!? それにこの状況でアンタのお尻でなきゃいけない理由は皆無じゃないのよ! そこいら辺に転がってるのを適当に選んで使えば済む話でしょうが!」

「・・・あ、そっか。そうでしたよね。ごめんなさい、先輩。私てっきり・・・」

「・・・勘弁してよね、全くもう・・・。ほら、それより早く適当なお尻で鍵開けて鍵」

「了解です。ーーよいしょっと。えい」

「あんっ!」

 

 気絶してたお尻の人を壁に押し当ててみたけど、小さくエッチな声が聞こえただけで変化起きないね。欠陥お尻だったのかな?

 

「どう? 開きそう? 開きそうにないなら捨て置いて、こいつらを奴隷として売り払うまで持ち帰れるだけでも満足しとくけど?」

「う~ん・・・鍵穴みたいな凹みの形と、この人のお尻が合致していませんねー。少し形が変わるようイジってみます。ん、しょっと」

 

 ぐいっと、エリス様はお尻ちゃんの両足首を掴んでから左右に少しだけ引っ張ってガニ又状態にしちゃう。その状態でお尻ちゃんのお尻を門に押しつけてみたところーー

 

 

 

 ふぁんふぁんふぁんふぁん・・・・・・・・・

 

 

 お尻と門の接触している箇所から放射状に青いウェーブみたいなのが、門全体に流されてく光景! 世界の絶景100選! お尻の洞窟にあるお尻の門でお尻からウェイブ! かっこいい!

 

「あうっ! ・・・あ、あ、あ・・・・・・・・・あふぅん・・・・・・(がっくりと脱力する音)」

 

「あ、今一瞬意識戻ったけど、また失っちゃったわ。でも、口からヨダレ垂らしてるし気持ちよかったみたいね」

「お尻を鍵として使われる際に、快感でも得られる仕組みになっているんでしょうか?

 破廉恥です。イヤラシいです。クリスさんは女の人にそう言うことしちゃダメですからね? 絶対ですよ?」

「もっちろんだよエリス様! むしろボクは自分のお尻を使って欲しいレベルだよ!」

「・・・・・・・・・救いようのない変態ね・・・」

「今更過ぎますけどね・・・。ああ、それよりほら、門が開きましたよ。中には結構な数の宝物が入ってるみたいですけど、見たことない物ばかりで価値が分かりませんね。

 とりあえず手頃なサイズのを何個か見繕ってから、彼女たちが来ていた服を袋代わりにして詰め込んで彼女たち自身に運ばせましょう。自分たちが着て帰るためにも破いたり、粗末に扱ったりはしないはずです」

「それが良いわね。じゃあ、クリス。捕まえた女どもが来ている衣服を全部脱がして袋を作ってちょうだい。出来たらこいつらを拘束しておく紐とかもあると便利なんだけど・・・」

「あっ! だったらこれ使えばいいよ、こーれ! ボクのお気に入りアイテム『手錠』だよっ! これさえあれば他の装備なしでもダイジョーぶい!」

「・・・何でアンタそんなもの持ち歩いてんのよ・・・怖いわね」

「やだなー、心配しなくても大丈夫だよアクア様~。これはボクが掛けてもらうために持ち歩いてるだけだから、人に掛けたりしないよー。勿体ないし、使い方間違えてるからね!」

「・・・いや、うっかり納得しかけちゃったけど、正しいわよねその使い方!? むしろ手錠って本来、人にかける物じゃなかったかしら!?」

「え? でも、エリス様がボクに教えてくれたんだよ? 手錠の正しい使い方はこういうのですって、ボクの体で実践して見せながら・・・」

「エリスーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーっ!?」

「アクア先輩!!」

「(びくっ!)な、何よいきなり大声だして・・・ちょっとだけビックリしちゃったじゃないのよ・・・」

 

 大声に気をもまれちゃったのか、アクア様はちょっとびくびく。

 おかげで誤魔化されちゃったね! 残念女神様だねアクア様! エリス様もだけど!

 

「先ほどから見ていれば忙しない人ですね。少しは落ち着いてください。この非常時にうろたえ騒ぐだなんて、同じ女神として恥ずかしいです」

「う・・・は、反省してます」

「だったら早くそこで転がってる女の人たちを全員ハダカに剥いてから手錠を掛けて、猿ぐつわを噛ませちゃってください。こんな所にいつまでもジッとしてたらモンスターに襲われかねません。まだ私たちが出会ってないだけで、今いる未知の大陸にもモンスターはいるかもしれないんですよ?」

「あー・・・言われてみれば確かに一理あるような・・・無いような・・・?」

「襲われたら困るでしょ? 困りますよね? はい、困るって事で決定です。

 では、これより皆さん一緒に街へと向かいます。グズグズしている人は連れてってあげません。置いていきます、このお尻神殿に」

「お、お尻神殿!? この神殿って、そんな名前だったの!?」

「お尻神殿において行かれた先輩は、お尻の女神様です。末永く奉られててください、お尻の女神アクア様」

「いやーーーーーーーっ!!! ノーパンでお尻の女神呼ばわりは嫌すぎるーーーっ!

 四十秒で支度するから、お願い私をお尻神殿に置いてかないでぇーーーっ!!」

「三十秒です。それ以上は待ってあげません。ほら、急いで! さぁ早く!」

「はいーーーーーーーーーっ!!

 おら、アンタたちも早く起きなさいよ、脱ぎなさいよ脱がされなさいよ拘束されなさいよねグズども。遅れたりしたら、お尻引っ叩くわよ!」

 

 う~ん・・・。エリス様のサバイバル女王様適応能力が無駄に高すぎてて困るなぁ~。

 ーーでもま、別にいっか! 女王様がいて困ることってボクにはないしウェルカムだし! お尻万歳! おっぱい万歳! お尻女神様もお尻神殿もお尻の新大陸もみんな纏めてドント来いだ!

 

 

 と言うわけで新章突入?です。番外編として終わる可能性もあるよ! お楽しみにね!



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番外編?「めぐみんちゃんが飛ばされちゃった新大陸の『もしも』話だよっ!」

久しぶりの更新となりますが、残念ながらも番外編です。
今回は、めぐみんが飛ばされてった先の新大陸でのお話(?)です。

最後にオチが付きますが、夢落ちよりかはマシだと信じたい内容になってますので気楽にお楽しみください。

なお、改めてお伝えしておきますが原作とは異なる展開になり過ぎてます。
原作をモデルにした別世界の出来事だと割り切れる方のみ閲覧していただけることを強く希望いたしますので、お手柔らかに。

追記:
一部書き忘れていた分を書き足しときました。


 駆け出し冒険者の街アクセルのある大陸以外にも、この異世界には複数の大地が存在していた。

 と言っても女神が治める世界である。ましてや同じ女神であってもノーパン駄女神とパンツ盗まれやすい女神とでは事務力が異なる。管理運営能力の一点に置いて女神アクアが女神エリスに勝ることは決して出来ない。

 それは、この素晴らしく不条理な異世界において唯一つ共有すべき真理であったが、何事にも例外という物が存在しているのも又事実。

 女神エリスといえども万能ではないことは、毎度のように盗賊スキルでパンツ盗まれてる美少女盗賊を仮の姿に使っている時点で自明すぎることであろう。(この世界には変態のせいで女神と女盗賊が同時系列に併存しちゃってるため適用外の理屈だが)。

 

 そんな女神エリスが把握してない大陸の一つに、空高く浮かぶ幻の天空大陸が存在していた。

 遙か古代に滅びたとされる魔術師たちの王国は、高度な魔術文明によって島さえも空へと浮かべていたと伝承には残っているが実物を見た物が一人もいないため長らく伝説の地とされてきた場所だ。

 

 現在、その空中大陸には滅び去った魔術王国の遺産を基にして新たな文明を築いた王朝が栄えていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 その日、空中大陸全土を統べるバストライン帝国の王城グレート・ヒップの大広間には武官・文官問わず国の重臣たち全員が参集し、国政の未来を決める重要な式典が行われていた。

 

 空中大陸に住む人々の人種的特徴として青髪青目が上げられるが、それ以外にも多くの部分で共通点が見受けられる彼女たちは等しく誰もが皆、同じ女神を祖に持つ女神の末裔たちであり、天の御国に住まうとされている偉大なる一柱の女神の教えを受け継ぐ天空人たちでもあった。

 

 

 そんな彼女たちが集められた理由は他でもない。

 女王国制の国を治める次の王位を巡って相争う二人の王位継承者、第一王女のアクアン姫と、第二王女のリリス姫。

 どちらの方が次代の王に相応しいか、家臣一同総出で論じあって決める王位継承者決定会議を開催するためである。

 

 

「陛下、会議などする必要はありません。国政については我らが担い、アクアン姫様が導き手となってくださっておられます。

 生きとし生ける全てのモノを拳で殴って黙らせんとする王女の猛々しさは、我ら国防を担う武官一同にとって支えにもなっております。必ずや良い女王に成られることでしょう」

 

 ミニスカートにノーパンが基本の軍服を纏った武官の代表、ネリス・モモが女王からの問いかけ「どちらの方が相応しいと思うか?」に対して報答した内容がそれであった。

 

 ただし、報答した後で「あくまで個人的な見解にすぎませんが・・・」と建前論を述べてから本命である主張として、こうも告げる。

 

「ですので、是非とも軍事費の拡大と軍閥化を。それが成った暁には大陸民全てにパンツの永久放棄とノーパンの義務化を法律として試行してくださいますよう強く願うところであります」

 

 武官たち(全員ネリスと同じでミニスカ、ノーパンが標準装備の上級士官たちである)が一人残らず「うんうん、全く以てその通りだ」と大きくうなずいていた。

 

 

「・・・猛々しさ? ネリス、あなたは本当にこの平和なバストライン大陸を統べる次代の王にそんなモノが必要だとでも思っているというの・・・?」

 

 冷ややかな視線と声音でネリスに問いかけてきたのは同期のミリア・ウード。ロングスカートの下にショートパンツを履くのを規則としている文官たちの代表格である。

 

 彼女の主張はこうである。

 

「陛下、神話にある地上世界との大戦時ならいざ知らず、今の時代に軍事力など大して役に立たない穀潰しであり給料泥棒を大量生産してしまうだけのこと。内政にこそ力を注ぐべきかと存じまする。

 その為にもまず民たちに範を示すため、礼儀正しくお淑やかであり、薔薇小説という人の生み出した文化の極みたる文学を愛好しておられるアイリス姫様を次の王に指名すべきと臣は愚考いたしますが如何に御座りましょうや・・・?」

 

 続けて、こうも主張する。

 

「つきましては大陸のあらゆる役職の採用基準に、学業の優秀さと高学歴とを規定する法整備をご提案させていただければ幸いに存じます」

 

 高学歴、好成績、美人、性格だって良いはすなのに、この歳まで異性と付き合った経験がないことをコンプレックスにしている文官代表の超私的感情入りまくった提案であった。

 

 

 

 ーー実の所、この空中大陸は外壁が存在しない代わりに大気の膜がフィルター代わりに作用しており、寒さと酸素不足には無縁であった。

 また、住人たちの生命がかかっているため、強力な飛行系モンスターの接近に反応して大陸船の向かう先を自動で変更する安全装置には何重にもセキュリティが掛けられていたため未だに機能不全を起こしておらず太陽電池を動力にした異世界に優しいエコ設計であるのも手伝って外敵というモノがほとんど存在していない。

 

 その為に敵対勢力としては魔術師たちが実験に使っていたキメラが逃げ出したことで野生化し、遺伝子改造体であるが故の繁殖力の劣悪さを補うために種別を問わない交配で種の保存を繰り返した結果として生まれたキメラっぽい見た目を持った雑魚モンスターぐらいしか存在しておらず、武官たちが率いている軍隊が戦う相手と言えばもっぱら反政府勢力だけであり大半の騎士階級は給料泥棒と化していた。

 

 

 また、文官たちの最たる仕事は物資の流通を制御したり、法律や儀典を滞りなく進めることであったが、他と隔絶した空飛ぶ大陸(しかも誰にも知られてない)では生産量そのものが大したことなく、適当な性格しているミニスカ派と、生真面目だけどマニュアル人間で自分たちだけでは新しい法律を制定できないロングスカート派は法律や儀典も覚えてしまってからはやることが激減してしまい、天下りの温床と化してしまっていたりする。

 

 

 ぶっちゃけちゃうと末期である。末期っ黄な世情に覆われた天空に浮かぶ平和国家バストライン帝国。それが見栄えだけは美しい空中大陸の正体だったのである。

 

 女性は女神に似た美女・美少女しか生まれない反面、男性は多種多様だが絶対数が余りにも少なく同性同士の取り合いが発生しやすい。

 この場合、当たり前のことながら取り合うのは数が多い側であり、数が少ない被支配者階級は自分を取り合ってくれてる女性が泥沼の戦いに勝利して勝ち残った後に景品としてお持ち帰りされるのが常である。

 

 歪みすぎて複雑骨折した国家体制が倒錯した恋愛観を好む風潮を生み、百合や薔薇に走る者が後を絶たない中で仕事のない支配階層もまた堕落と退廃の一途を辿っている。

 

 それでも彼女たちは、この牢獄から逃げ出せない。生まれたときから空中大陸に居住していた先祖たちの血筋を受け継ぐ彼女たちには地上世界に関する記憶と知識が一切合切残っていない。

 何も知らない、知らされない中で何十世代にも渡ってバトンリレーを繰り返してきた彼女たちにとって空中大陸こそが世界の全てだ。ここ以外に存在している大陸など、子供の頃に親から寝物語として聞かされていた地上と呼ばれる魔界ぐらいしか有り得そうにないだろうと、彼女たちは本気で信じ込んでいたのである。

 

 

 最高責任者である女王陛下が「ん~、私としては~、お友達のネリスが言ってることも分かるし~、でもミリアの言うことも尤もだと思うの~」と、要するに誰でもいいから自分以外が決定して実行しろと言外に責任丸投げの意志を込めた発言をしたことで纏まるものも纏まらなくなり三日三晩に渡って延々と続けられることになる。

 

 途中、文官の一人と武官の一人がそれぞれの部下から「放棄されていたはずの古代遺跡から出てきた不審者を拘束した」報告を受けてはいたのだが、会議の結果如何で今後の栄達と天下り先のランクが決定づけられてしまうため意識もそぞろで聞き流し「とりあえず王城の地下にある牢屋に放り込んでおいて」と命じたきり存在自体を忘却の彼方に放り込んで蓋を閉めてから地中深くに埋めてしまったのだった。

 

 それが丁度2日と半日前の出来事。

 あれから約3日が経ち、そろそろ会議の結果が朧気にぐらいは見えてこないもんかな~と、広間にいる誰かが高い天井を見上げたまさにその時!

 

 

 バンッ!!

 

「た、大変であります! 皆様方、至急避難して頂きたい! 賊が・・・賊が城内に侵入いたしましたーーっ!!」

 

 

 ミニスカ姿の青髪青目美少女騎士が扉を開けて駆け込んできながら大声で危機を呼びかけたが、反応は芳しくなかった。大半の者が会議中に許可なく入ってきた無礼を咎める視線で騎士を睨みつけていた。

 中でも文官・武官の代表格ネリス・モモとミリア・ウードは激しい怒りを込めて無礼な騎士を痛烈に罵倒してくる。

 

「いったい何があったのだ! 分かるように説明しろ!」

「そうよそうよ! その通りだわ! ホウレンソウも出来ないおバカさんが騎士やってるから軍隊はバカばっかりになるのよ!」

「何だと貴様! やるのか!?」

「なによバカパイ! アンタこそ私とやろうって言うんじゃないでしょうね!?」

「くけーーっ!!」

「きしゃーーーっ!!」

「・・・ああもう! 分かりました! ご説明いたしますからお二方とも落ち着いて! 落ち着いてください! この時間がない緊急事態にまで、お願いだから喧嘩し始めないでー!」

 

 なんか苦労してそうな騎士美少女が涙を湛えながら説明してくれた内容によると、先日来から投獄されていた『人とは思えない外観的特徴を持った禍々しきナニカ』が牢を破って脱獄し、城の食堂へと乱入すると「ごーはーんーーーっ!!!」と大声で奇声を発しながら突撃してきて貪るように平らげた後、ふと目に付いたらしい自分を取り囲む兵士たちの姿に視線を固定したまま数秒が経ち、ポカーンとした表情のまま硬直していたはずが徐々に憤怒の表情へと顔つきが変わっていった末に悪鬼羅刹へと生まれ変わってバーサーカーの如き傍若無人で滅茶苦茶な攻撃を繰り返しながら城内にいる天空人の女性たちを次々と襲ってはイジメ尽くしているらしいとの事だった。

 

 

「どうにも胡散臭すぎる話ではあるが・・・一応聞くぞ? その人ではないナニカは単独犯なのであろう? ならば剣士であれ魔法使いであれ数をそろえれば余裕で打ち倒せるはずだ。なぜそれをしなかったのだ? 怠慢か? それとも油断かな?」

「将軍様、どちらも違います。我々ではどうにも成らないほど強力な魔法を連発してくるから数が活かせないだけであります。この部屋には会議用に防音魔法が行き届き過ぎていた様で、爆発音が聞こえてこなかったのでありましょうが・・・」

 

 この答えに眉をしかめたのは戦士系の前衛ジョブであるネリスではなく、後方の支援魔法職ミリアだった。彼女は自分のついてるジョブ『エルダー・ウィザード』の知識から敵の使っているとおぼしき幾つかの魔法を想定しておき対処法を考えながら報告役の騎士に確認のため問いかける。

 

「強力な魔法攻撃で爆発・・・それは高位な魔法使いのみが操れると言われている上級の爆裂魔法でしょう? 魔法の種別は確認できましたか?」

「はっ! どうやら《エクスプロージョン》のようであります!」

「・・・・・・バカバカしい・・・」

 

 あり得ない、なに言っちゃってんのですか、このアホは。そう言いたそうな視線で家臣をひと撫でしたあと専門分野である魔法について説明するために講義口調を作って見せる。

 

「いいですか? 爆裂魔法は上級魔法をも越える最強の攻撃魔法です。熟練者でも二発撃てばヘロヘロになり、半端者では一発撃てるか撃てないかと言うほどに高度な魔法。

 そんな超上級魔法を数で押し切れないくらいに連発してくる・・・?

 ありえない、絶対にありないわ。そんな訳わかんない事態が起き得るはずが(どがぁぁぁっん!)うっひゃーーーっん!?」

 

 

 不意打ちの形で突然とどろく大爆発音と大爆発そのもの。

 広間のすぐ近くに逃げ込んできた兵士がいたため、彼女を狙って撃たれた爆裂魔法が広間の扉を巻き込んだ末に吹っ飛ばし、目の前にいた報告役の騎士も含めて何人かの女性特権階級たちが着ている服諸共に吹き飛ばされていくのをノンビリ見物しながら悲鳴を上げる以外に出来ることは皆無だったのである。

 

「な、なんですか一体!? 一体全体なにが起きたって言うんです!?」

「分からん! だが、敵襲であることは間違いないようだが・・・一体どこに敵勢力が存在し・・・うひゃあっ!?」

「??? どうしたのネリ・・・す・・・き、きゃあああああああああああああっ!?」

 

 近くにいた特権階級たちが吹っ飛ばされながら素っ裸にされて気絶していく中で、比較的上等な拵えで出来ていたために何とか大事な部分を覆う箇所だけは死守できてたミリア・ウードと、扉から少し離れていた位置にいたお陰で服的には無傷だった煤だらけネリスが《それ》を見て恐怖の悲鳴を上げる。

 

 釣られるようにして次々とあがる恐怖と絶望の雄叫び。

 

 あり得ない、そんなはずはない。こんな生物、在ってはならない。

 

 自分たちの知るあらゆる既存生態系の中から逸脱しすぎた謎の存在。

 青髪、青目以外の色をした髪色と瞳の色の持ち主がいない中で、黒髪紅瞳は確かに異様ではあっただろう。

 だが、それは“別にいい”。数少ない男性たちの中には黒髪もいれば赤目もいる。

 

 両方を兼備している人間は男性であっても聞いたことはないが、それでも彼女たち女性から見た未知の存在“男性”には何でもありなトンデモ法則が適用されることを彼女たちは知っている。主に薔薇小説に書いてあった知識から!

 

 だが、しかし。しかしである。

 その生き物は見た感じ、どう頑張って贔屓目に見比べても自分たちと同じ女性体としか思えないのに、女性である事を示す一番大事で超重要なセクシーアピールポイント、女の価値の部分が全く存在していなかったのである・・・!

 

「あ、ありえない・・・。あり得ないぞ・・・!!!」

 

 ネリスが恐れ慄きながら一歩後退し、剣の柄に置いた手をブルブルと震わせながら目の前の現実を否定するかのようにイヤイヤと何度も何度も首を振る。

 

「そんな・・・そんなバカなことが・・・ああ、我らが偉大なる女神アクエリアス様・・・!!

 どうか迷い戸惑う我ら哀れな子羊たちを人外の徒よりお救いください・・・・・・!!!」

 

 ミリアが思わず天を仰いで逆十字を切り、神に救いを求めてしまうほどにあり得ない異形なる見た目を持った禍々しき生物。

 

 それの特徴を的確に言い表すならば、次の一言に尽きるであろう。

 

 ーー曰く。

 

「「女のはずなのに・・・・・・胸が―――無い!!!!!

  私たち人間種族にはあり得ない事だ!(だわっ!)化け物だ!(よっ!)」」

 

 

 

『舞台設定の解説:

 空中大陸には女神アクア様にそっくりな巨乳美女・美少女と、女神エリス様にそっくりな巨乳美女・美少女しか女性は存在していなかったりする』

(注:ただし胸がデカくなった分だけ性格はアクア様の要素が強く出てしまっている)

 

 

 

 そう叫んだ二人の巨乳が恐怖のあまりブルルンと震えて揺れまくるのを見た瞬間、人外の化け物扱いされた貧乳少女の中でナニカが盛大に音を立てて断裂しまくった!

 

 

 

 

 ぶちぃぃぃぃぃぃぃぃっ!!!!!!!!

 

 

「う、うおおおおおおおおおおおおおおおおおおつ!!!!!!!!!!!

 燃え滾るがいいのです! 私の女としての魂ィィィィィィ!!!!!!!(要するに、なけなしのプライド)」

 

 

 

 魔力バースト、エネルギー充填完了。

 ーー魔導めぐみん砲、発射準備ヨロシ。

 

「エクス・プローーーーーーーージョーーーーーーーーン!!!!!!」

 

 

 ドッゴーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーッン!!!!!!

 

 

『き、きゃああああああああああああああああああああああっ!!!!!!』

 

 

 広場にいた全員を纏めて吹っ飛ばす今まで生きてきた中でも最高威力の爆発力!

 

 ・・・だが、今の彼女に己が成し遂げた偉業を喜ぶ気持ちは欠片も沸いて来てはいなかった。

 なまじゲス男に惚れて処女を捧げてもいいと想えるほど乙女らしい優しさを持っていたのが仇となり、彼女にはどんなに憎たらしい相手だろうと人間を殺すことは出来ずに吹き飛ばしてお仕置きしてやる程度で勘弁してやろうという甘さが存在していた。

 

 それが原因で彼女の唱える爆裂魔法は、威力がどんなに高くなっても致命的な一撃を与えることを本能的に避けてしまう傾向があり、怒りに我を忘れて限界までをも突破した超魔導生命体めぐみんと化した今この現状においてさえ優しさとお仕置きを両立できてしまう優れすぎた計算力を持ち合わせてもいた。

 

 

 ーーその結果、彼女の放つ爆裂魔法は空中大陸の中限定で、着ている服と共に相手を吹っ飛ばしてボロボロにするだけのスッポンポン爆裂魔法《エクス・ポロリジョン》として使用不可能になってしまっていたのである!

 

 なので敵を自分の魔法で吹っ飛ばしたりすると服が破れて、揺れます。ブルルンと、盛大に。揺れて揺れて揺れまくりながら色っぽい声で「イヤ~ン♪」とか叫びながら満更でもない顔して吹っ飛ばされてくのを見ていると彼女的には物スッゲェ腹立ちます。

 

 もぎ取ってやりたい程に、もいで自分の貧相なのと交換してやりたくなるほどに。

 

 でも、無理です。出来ません。爆裂魔法しか使えないし修得する気もない彼女には、肉体の部分強化や移植と言った外科的な魔法を使えるようになる日は未来永劫訪れないのです。

 なので彼女が空中大陸で生活している間に怒りを抑えて魔王モードから脱却するためには、自らの努力と運と偶然によって奇跡的な可能性を手にした末に、理由はよくわかんないけど気がついたら“巨乳”になっていた! ・・・と言う、ある意味ではTS転生とあんまし変わんないレベルの神様的奇跡現象が必要不可欠であったり無かったり。

 

 

 

「う、うわあああああああああああああああああああああああんっ!!!!!!!

 エクス・プロージョン! エクス・プロージョン! エクス・プロージョン! エクス・プロージョン! エクス・プロージョン! エクス・プロージョン! エクス・プロージョン!

 エクス・プローーーーーーーーーーじょうううううううううんんんんん!!!!!」

 

 

 ズドーン! ずどーん! ズドドドドーーーーーッン!!!!

 

『きゃあああああああっ!? 私たちの着ている服がーーーー♪』

 

 ぶるるん、ぷるるん、ぶるるのるん♪

 

 

「ぎゃおおおおおおおおおおおおおおおっすすすすす!!!!!!(魂からの慟哭)」

 

 

 

 こうして(巨乳への)憎しみに心蝕まれ、人々への(巨乳に対する)憎しみにより無限に魔力が供給され続ける魔王メグミンと化しためぐみんと巨乳天空人との長きにわたる戦いの歴史が幕を開ける。

 空中大陸の歴史上初となる大戦、人類(巨乳)VS人外(貧乳)との大戦争が勃発したのである。

 

 後に『乳(ちち)戦争』と呼ばれる大乱は、この様にして始まった!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ク「てな感じで執筆活動してみたよ! 暇だったから!」

ア「暇だったなら出口探すの手伝いなさいよね! アンタ得意でしょ!? 盗賊なんだから!」

エ「あ~ん、宝箱がありそうな気がしたから入ってみたダンジョンの中から迷子になって出られませ~ん! 誰でもいいので早くここから出してくださ~い!(ToT)」

 

つづく・・・かも?




空中大陸人のウソ設定

 実は彼女たちは純粋な人間種ではない。魔術王国の魔術師たちが神の姿を真似て作り出したホムンクルスの末裔たちである。
 人の望みの頂点は自分たち自身が神の座に立つ事である、と確信していた彼らは自分たちの魂の身のならず肉体をも改造して神の座を女神どもから奪い取ろうと画策していた。その為に女神の目から逃れられる様設計された研究施設が空中大陸の正体である。

 彼女たち空中大陸人は自らの肉体を改造する前に作り上げていた実験体でありプロトタイプでもある。男にとって永遠の願望である『女は巨乳に限るね!』が多分に影響しまくった容姿をしているのは99,9パーセントそれが理由だ。
 施設を管理していた魔術師たちが強大な魔術の実験に失敗して力を失うとともに脱走して野生化し、衰退していく魔導文明が彼女たちの頭でも使いこなせるレベルにまで落ち込んでから這い出して来て大陸の支配者となり君臨し続けている。

 実は男たちの方こそ純粋な意味での人間たちであり、魔法の使えなくなった魔術王国の生き残りが細々と生き残ってきた末裔たちだったりする。
 当然ながら彼らに当時の記録や記憶は伝わっていないが「落ちぶれた加害者が、それまで痛めつけてきた被害者側に抱く恐怖」は遺伝子レベルで本能的に受け継いでるため基本的には従順で大人しく、受け手側に立ちたがる性質を生まれ持っている。

 尚、百合はミニスカ派同士、ロングスカート派同士でしか成立できず、薔薇はロングスカート派に属する腐女子たちの妄想の中にしか存在してない架空の世界の住人ポジション。



ク「――以上、ボクが今思いついた内容を組み合わせて作ってみただけのウソ設定だよ!」
ア・エ「「適当ね!(ですね!)いつもの事だけど!(ですけどね!)」」


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番外編その2「空中大陸・悪女帝国編」

昨日出した「空中大陸編」を書いてる最中に心変わりして本編のと差し替えた、既存の物とは異なる空中大陸編におけるバリエーション展開のひとつです。

巨乳でおバカなお色気悪女キャラが多数登場する系の作品をモチーフにしておりますので、「このすば」原作よりも装備品に現実味が無くなっております。

今作のと言うか、『悪女』と聞いて思い浮かべる対象が問答無用で「NG騎士ラムネ&40」のレスカ様しか居ないため彼女をバリエーション展開したようなキャラたちしか思い浮かばんのですよ。申し訳ない。

注:変更点があったことを忘れてたので本来の形で投稿し直しておきました。


 遙か古代に栄えていた魔術師たちの王国では竜族を使役し、今とは桁が異なる偉大なる魔力で以て島をも空に浮かべていたと伝承にあるが、実物を見た者は一人もいない。

 

 だが、天空に浮かぶ幻の空中大陸は厳然たる事実として実在していた。

 

 嘗て、繁栄の絶頂期にあった魔法王国から何らかの理由によって移り住んできていた者たちの内、地上との行き来に使用していたゲートが故障したことにより生まれ故郷へ帰れなくなった者たちを祖先に持つ民たちの住まう空の地である。

 

 その大陸は、本来の所有者たちが謎の種的衰退から文明諸共に滅び去った後も機能の大半が停止した状態で大空の海を飛翔し続け、現代の地上人からは目視できる高度に無いため存在すら知られぬまま何百年、何千年物永きにわたって空を漂い続けていた。

 

 

 現在、その空中大陸には滅び去った魔術王国の遺産を基にして幾つかの新たな王朝が栄えている。

 

 

 

その内の一国『ア=イァン=ダメエン女王国』

 

 

 

 

 ダンッ!

 

「どうしたことじゃ! このふざけた内容の報告書の山は!」

 

 王座の肘掛けに右の拳を打ち下ろし、豪奢な造りの謁見の間には大きな音が響きわたった。広間に集っていた文官・武官問わず家臣一同は肩を「ビクッ」と震わせながらも顔を俯かせて、主の怒りが自分の方へと八つ当たりで向けられるのを回避しようとする。

 

 その場にいるのは王国内でも最高権力の府に近い位置にいる者たちだけであり、その事実を知らしめるかのように全員が同じコスチュームの色違いバージョンを着用していた。

 身分や役職、果たすべき役割に合わせて微妙なカスタマイズが成されてはいるが、基本的にはベースとして採用されているボンデージ風のハイレグレオタード(後ろはTバックオンリー)に増加パーツや見栄えをよくする目的での装飾による飾りつけが主で、防御力が云々言うよりも攻撃を受けたときに破けてポロリしちゃわないか心配する方が現実的である気がしてならないお色気装備の美女・美少女軍団たちである。

 

 自らの配下であるエロ装備を着た巨乳軍団を見下ろしながら、贅を凝らした王座に座す少女は「ふんっ!」と吐き捨てるように鼻を鳴らす。

 居丈高な態度で足を組み直し、王座の背もたれにふんぞり返って深く沈み込む。

 

 金髪ドリルお嬢様ヘアーの上に氷塊を連想させる銀の王冠を載せて、王族が常時着用するには露出過剰すぎて恥女としか思われない銀色のラメ入りレオタード(当然うしろはTバック)を誇らしげに着こなす彼女は、目前にひざまづいて報答していた女将軍を睥睨する。

 

「・・・で?」

 

 ようやく報告の続きを促された、主や同僚たちと同じく露出度高めの黒カラー・ハイレグレオタード衣装を着こなした若い美女将軍は「は、ははっ!」と額に頭をこすりつけんばかりに平伏し、恐縮を顕わにしながら報告を再開する。

 

 ーー恐怖政治を敷く女王陛下に対して、敗戦の報告を。

 

「せ、先日、我が国辺境部の空に不吉な光の柱が立ったことで国民共が動揺し狼狽し、「すわ、予言の書にあった魔王の復活か!?」と騒ぎ出している醜態を見かね、我らが敬愛し信服する偉大なる『しこうのじょおう(ハイ・クイーン)』陛下が調査団を派遣されましたのはご記憶に新しきことと存知奉ります。誠にご英断であられたと、臣は感服させられた次第に御座いまする」

「うむ! あれは妾が今月中に下した下知の中でも100番目ぐらいには位置するぐらいナイスなアイデアであったからな! 賞賛されるのは当然のこととではあるが、余も悪い気はせぬぞ! もっと褒め讃えることを許して使わす故感謝せよ!」

「ははぁっ! ありがたき幸せに存じ上げまするぅぅぅっ!!!」

 

 精一杯頭を下げて下げて下げまくりながらも女将軍は、下から見上げると顔は見えず、胸しか見えない暴君女王のロケットおっぱいを見つめながら賞賛の言葉を機関銃のように乱れ撃ちまくる。

 

 その一言一言を聞く度に「もっとじゃ! もっともっともーーーーーっと余を褒め称えよ!愚かで阿呆な愚民ども!」と、大きな胸をばいんばいん、ゆっさゆっさと揺らしまくりながら大喜びで自惚れまくる頭の軽い女王さまはご機嫌な様子で有頂天になっており、今なら多少不愉快な話題を出しても罰せられる確率は低そうだと女将軍を確信させる。

 

 そうしてようやく本題へと入った。

 

 ーー恐怖政治を敷く悪女な女王さまに敗軍の将として、敗北をご報告するのである。

 

 

「ですが、その時に調査隊が発見できたのは、無人の古代遺跡から這い出てきた「最強魔王を越える魔力を持った偉大なる魔法使い」を自称する頭のおかしい小娘一人のみであり、魔王の痕跡などどこにも見つけられずに虚しく帰還してくるという無様すぎるものありましたが・・・」

「ーーおお、そうであったな。女王としての公務が忙しくてスッカリ忘れておったが、確かにそのような不届き者が居ったような気がするの。

 おい、大臣。妾の信頼を裏切った無能者共は、その後どうしておるのじゃ?」

「はっ! その件につきましては法務大臣を拝命させていただきました、このわたくしの口からご説明させていただきたいと思います!」

 

 将軍が口を開こうとした瞬間、タイミングを見計らっていたかのように主の傍らに控えていた文官の列から一人が前に出ると、眼鏡のブリッジを「くいっ」と持ち上げて見せる。

 

 いかにも『出来る女』といった雰囲気をした、どっかの国の美女役人さんを連想させられなくもないブルーのハイレグレオタード姿の美女が自分の間合い内に入ってきたことで女王様は眼を細めてギラリと怪しい光りを灯らせる。

 

 相手の視界に入らないよう、意識野の外からソーッと接近させながら獲物の背後へと近づけていく。

 やがて絶好の狩り場ポイントの中へと侵入してきた獲物が声を張り上げ、出世のための売り込みを開始しようとした瞬間。

 

「陛下の期待を裏切り、親近を騒がせした不忠者には相応の報いが必要であると判断しましたわたくしめは、即日の内に処罰の内容をぉぉうぉっ!?」

 

 むぎゅうううううっ!!!!

 

 ・・・そんな効果音が聞こえてきそうな勢いで左側の尻タブを鷲掴みされた法務大臣は軽くおとがいを跳ねさせてピーンと爪先立ちになって両目を見開き、魚のように口をぱくぱく開けたり閉じたりしている様をクスクス笑いながら面白そうに見物していたハイ・クイーンは自分に仕える家臣を詰問口調でなぶり出す。

 

「どうしたのじゃ? 法務大臣。早よう報告せぬか。余が与えてやった法務大臣の仕事を果たせぬのなら、余の期待に裏切ったのと同じ事じゃぞ?」

「そ、そのようなことは決してぇぇ~ん・・・御座いませぬぅぅぅがぁぁぁああんぅ・・・」

「ならば早く役目を果たせ。サボれば汝ら二人とも同罪じゃ。コスチューム没収の上、ふんどし一丁で町の清掃業務を担わせる故そのつもりでおれ」

「そ、そんにゃぁぁぁぁ~~~あんあんあん・・・・・・」

「役職名はそうじゃな~・・・うむ! そうじゃ!あれがよい! 『便所大臣』じゃ! 遙か古代の偉大なる遺産にして民の健康を守る最重要インフラ『公衆便所』の清掃業務を一手に任せる! 名誉であろう! 喜べ!」

「お、お許しをぉ~・・・それだけはどうかお許しをおおぉんお~ん♪」

 

 女王の魔手から尻を遠ざけるため距離をとろうとする大臣を片手一つで御してしまえる陛下の御手! これが彼女の地位と絶対的な権力の源泉であった。

 まさに! 嗜好の女王(バイ・クイーン)の異名に嘘偽りなし! すべての女の子を愛し!

 すべての女の子をイジメるためにペット化するという野望を掲げて空中大陸全土の統一を目指す若き覇王女! 其れが彼の暴君女王の二つ名の内のひとつであったのだ!

 

 

 ちなみにだが、彼女が持ってる他の二つ名には「おっぱいバカクイーン」「胸だけクイーン」「大陸最強のおっぱい」「胸以外に取り柄なし!」等々がある。

 

 

 実のところ空中大陸には男という生き物が存在していない。

 元々はいたのだが、進化の過程で社会問題が生じて滅んでしまっていたのである。

 

 

 ーー地上へと続く門が閉じた当時、空中大陸に居住していた出産可能年齢に達している女性の数は男性の労働人口の半分以下しか居らず、本国から離れた飛び地にある関係上、その大半が夫と子供を持った移住家族の妻たちであった。

 

 当然、男たちの大半は余る。

 

 余った男たちが頑張って仕事しながら夜の酒場で飲む一杯のビールを人生で唯一の喜びとしている疲れ果てた中年サラリーマンとなっていく一方、妻帯者たちは仕事に疲れて家へと帰りついた途端、柔らかい笑顔を浮かべた妻と子供たちから「おかえりなさい、あなた、パパ」と呼んでもらえて一日の疲れも吹っ飛び「さぁ、明日もか族のために頑張って仕事するか!」な気分で熟睡してから出勤する妻子持ちサラリーマン。

 

 ーーこれでは労働の成果と結果の差が出るのは致し方なく、余所からの補給が利かないためにリソース数が限られすぎてるから成果主義、格差社会が生じてしまうのもやむを得ない状況とはいえ、やはり男も人である。感情の生き物、人間なのである。

 

 必然的な帰結として抗争が勃発し、一人の女を巡って数人の男同士が取っ組み合いの殴り合いに勝利したところを他の所で負けた男が不意打ちして横から掠め取り、またその横から掠め取られる。それを極めて短期間の間だけとはいえ延々と繰り返していった先に待っていたのは負傷者と傷病者しか残っていない男たちと無傷で健康そのものな女たちだけであった。

 

 働き手が片腕なくなってたり、両足動かなくなってたりする状況の中、これからどうしようと嘆き悲しみ悲哀にくれる女性たちの前に女神が降臨してこう言った。

 

“いい男、貢ぎ物にしちゃえばいいじゃナ~イ♪

 女だけで生きていける女神の祝福、男捧げて購っちゃえばいいじゃナ~イ♪”

 

 

 ・・・・・・迷わず女たちは男どもを一人残らず売り払い、女たちだけで繁殖可能な種族特性を手に入れた。こうして空中大陸は女系国家となり、自分たちを救ってくれた女神“アクマ”様を救世主として今でもお供えものを欠かしていない。

 

 

 生き残るための生存競争が必要なくなった大陸民たちの間では、いつしか女神から与えられた繁殖能力とは関係しない心と心の繋がり合いを重視するようになり、それ故にこの大陸では強さの基準が魔力よりも腕力よりも知力よりも『魅力値』によって決定づけられるという平和ボケしまくって意味不明になってしまった強者と弱者との共存関係が成立してしまっていたのであった。

 

 

 

 

「・・・ふむ。すると最初に主が言っていた古代神殿から連れてきた異様な風体の小娘が牢から脱走し、「巨乳死すべし」などと訳の分からんことを言いながら果てなく尽きぬ魔力でもって爆裂魔法を乱発しまくっている。手柄ほしさに其奴を討伐にいったら返り討ちにあったと。・・・そういうことじゃな?」

「はい! その通りにございます陛下!」

 

 我が意を得たりと、輝く笑顔でうつむけていた顔を上げる美女将軍。

 

「・・・んで、それらの件についての報告書作成を命じられた文官であるお主は、「これは出世に利用できる。体力バカの武官に責任押しつけて陛下に取り入るためにも数値を偽造しなければ」と、そういうことか法務大臣?」

「はい~♪ その通りでごじゃまひゅ陛下~ん♪ あっ★ そこ! そこがいい! そこがいいの! もっと! もっと踏んで! 変態マゾ豚のセレナのお尻、ハイヒールの踵で踏み踏みしまくってぇ~んえんえん♪」

 

 

 

 ・・・・・・・・・ブチィッ!!!!!!!

 

 

 

「アァァァァァァァァァァァァホか、己等ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっっっ!!!!」

 

 

 ぐいっ!

 

 ガコンッ!!

 

 ぽっかりッ!!

 

 

 

『き、きゃあああああああああああああああああっ!!!!!!

 お、落ちる! 落ちちゃう! お仕置きとして奈落の底に落とされちゃうーーっ!!

 イヤ~~~~~~~~ッン★ 落とされてく時のポーズが恥ずかしい~~~っい☆』

 

「お前らの存在そのものの方が遙かに恥ずかしいわボケ茄子どもーーーーーっ!!!」

 

 キィィィィィィ・・・・・・・・・ぱたん。

 

 

 ・・・・・・はぁはぁはぁはぁはぁ・・・。

 

「あ、あれだけ長ったらしい話を聞かされ終えた果てに待っていたオチがこれなどとは・・・万死に値する無能どもじゃ! 絶対許さぬ! 恥刑じゃ恥刑! 全員一人残らず恥刑に処してやるから覚悟しておくのじゃな!

 言っておくが、そこから出てくることが出来るのは王座の横にある『お仕置きボタン(見た目ロープだけど語呂的にはボタンが好きヨン♪)』を引っ張るしかない故、妾が許してやらぬ限り絶対、出てくることは出来ぬ!

 死ぬほどの恥辱と屈辱の最下層で己が罪を悔い改めるがよい!」

 

「ほー、この『お仕置き用』と書かれた紙が張ってあるロープにそんなスゴい名前と機能と権限が付与されてるんですかぁ~。知らなかったです、教えていただけてありがとうございました」

「ん? いやなに、気にすることではない。妾は支配者として愚かな愚民どもをよりよく導いてやらねばならぬ義務があるのでな。その勤めを果たしたまでじゃ。

 故に妾には大いに感謝するがよいぞ、幼い年齢に似つかわしくないミニスカ履いてる幼女よ」

「・・・・・・・・・・・・」

「そなたが何処の誰で、どうやって無礼にも城内に不法侵入してきたかさえ妾は問わぬ。何故なら、その方はまだ子供。人は誰しも幼き頃には過ちを犯すもの故な。

 子供が犯した過ちを許してやるのが大人というものであり、大人になっても過ちを犯すバカを奈落の底へと突き落とし、反省するまでお仕置きしてやるのが大人の果たすべき勤めと言うものじゃて」

「・・・・・・・・・・・・」

「・・・それにしてもお主、歳に似合わぬほど小さくて貧相な胸元をしておるの~。妾が五歳の時には既に達していた大きさよりも小さいではないか。

 一体なにを食べて育てば、そこまで度を超した貧乳に育つのじゃ? あまりにも常軌を逸しすぎておる故、思わず手を差し伸べたくなるほど同情的な気分になるではないかえ」

「・・・・・・・・・・・・」

「そうじゃ! 確か昔バアヤから寝物語として『好きな人に揉んでもらえば巨乳になれる』と聞かされたことがある。あの時点で十分に実っていた妾には必要なかったが、お主であれば多少なりとも救いにならなくもないじゃろう!」

「・・・・・・・・・・・・」

「さぁ、遠慮はいらぬ! 妾を愛し! 妾の胸に飛び込んでくるが良い! さすれば民を愛し慈しむ責務を負った王である妾は、そなたをも愛し慈しんだ末に、哀れみを持って貧相すぎる胸をモミモミしてしんぜよう!

 ーーところで何故さっきから、一切合切すべての感情を損失したような真っ黒くて空虚な瞳で妾を見つめながら『お仕置きボタン』を握りしめて離そうとしておらぬのじゃ? 危ないではないか、早く離すが良いぞ。それは子供が持って良いものではない故な。

 もしも万が一のことがあった場合に、妾がお仕置き穴に落っことされて一生でてこれなくなったら大変はずかちぃことになーー」

 

 

 

 ぐい。

 

 

 

 がこん。

 

 

 

 

「きゃああああああああああああああああああああああっ!?」

 

 

 

 

 ひゅーーーーーーーーーーーーーっん・・・・・・・・・・・・・・・・・・・パタン。

 

 

 

 

 

 

 ーーザッ、ザッ、ザッ、ザッ・・・・・・(静かに歩み去ってく時の効果音)

 

 



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6話「新しい街から始め直そうよ! 1から・・・ううん、牢屋から!」

更新遅れてごめんなさい! 書く内容が決まっている作品は後回しに後回しにと優先順位を下げすぎてしまいまくるのは私の悪癖です! 自覚してますし直そうと努力してみてるんですけどねー・・・。

内容については新しく増えた設定説明会に費やすつもりだったのですが、予想していたよりもはるかに間が開きすぎちゃったせいでテンパりすぎてて落ち着いてちゃんと書ける自信がありませんでした。
なので前半の街に着く部分までの話に+αする程度の回に縮めさせていただきました。その分ネタをテンコ盛りにしておいたのでお許しくださいませ!

久々の牢屋ネタ話です、どうぞ~。


「あっるっこ~♪ あっるっこ~♪ お尻~ま~る出し~の女の人たちと~♪

 歩くの~、大好き~♪ ボックは女盗賊~♪」

「「語呂が悪い!!」」

「ツッコむ所はそこなのかぁ~」

 

 和やか笑顔でほんわか雰囲気。縛り上げたオッパイおっきな女の人たちを先頭と最後衛とパーティー両翼に配置した最硬の防御力を以てして未知の大陸を踏破する、ボクたちお尻大陸探検隊!

 

「枝とか藪とか、歩くのに邪魔になる物ぜんぶをこいつらに引き受けさせてるから安全な旅で助かってるけど・・・いつになったら着くのよ、町に。もう三時間以上も歩きっぱなしなんですけど~?」

「あなたたちが罠を仕掛けている可能性もありましたし、その為のカナリヤ役でもあったわけですが、ここまでは誰一人として駒が失われていないところを見ると杞憂だったみたいで良かったなと感謝はしています。

 ですが、私もそろそろ疲れてきたのも事実ではあるので、単刀直入にお尋ねしますね。――まだですか?」

「・・・地平線上に見えてる町なんて、遠いに決まっているであろうが! たった三時間かそこらで到着できる遙か遠くに微かに見える町など、この世に存在しておらん!」

「「む・・・むぅぅ・・・」」

 

 二人の女神様、裸の捕虜に論破されるの巻~♪ ちゃんちゃん☆

 

「え、えぇぇい! 黙れ黙れ黙らっしゃい! 勝った方が正義で正しいんだから、負けて捕らわれてるアンタたちは悪党! 私たちは勝ったから正義!

 勝ちさえすれば選択肢の選び間違いも無かったことに出来るのが大昔から続く世界の真理なのよ! タクティクス・オウガだってそうだったでしょう!?」

「そうです!その通りです!アクア先輩は今、良いことを言いました!

 ルート分岐と言いつつも最終チャプターとして行き着けるのはたった一つだけで、エンディングもカチュアさんが生きてるか死んでるかだけでハッピーとバッドが確定してたじゃないですか!

 つまり! メインヒロインが無事のままラスボス勝てたら世界は幸せハッピーエンド!

 メインヒロインが死んでしまったら彼女以外の誰も死ななくたって世界は闇へと沈むことになると言うこと!

 美少女女神である私たちが無事なだけで今はハッピー! 絶対正義ということなんですよ!」

「何の話をしているんだお前たちは!?」

 

 二人の女神様はレトロゲーム好き~♪ ボクもレトロは大好きです~♪

 ハイレグアーマー、ビキニアーマー、ふんどしTバックアーマーで最前線に出てくる美少女戦士に魔道師、魔法剣士とか色々いたよね! 懐かしいな~。

 

「とにかく! 私たちは疲れてるんだから、もっと急ぎなさい。毒の沼地だろうとバリア床だろうと落とし穴だろうと突き進むのよ! 大丈夫だから!

 アンタたちは他に四人もいるんだし、一人や二人減ったところで大したことないわ。私が許可する! 逝きなさい」

「鬼ーーっ!!! 悪魔ーーーーっ!!!! 人でなしーーーーーーーっ!!!!」

「ああ、もう! うっさいわね! とにかく歩く! 早く歩く! でないと丸出しのお尻を引っ叩くわよ!?」

「ひどい! そして理不尽! 何で私たちがこんな目にーーーーっ!!(>ュ<。)ビェェン」

 

 ありゃりゃ、お色気ビキニなお姉さんが泣き出しちゃった。子供みたいで可愛いね~♪

 実際にはバインバインでボインボインな美人さんがお尻どころか全部丸出しで縛られながら歩かされてて、後ろから青髪美人の履いてないプリースト様がぺちぺち天罰お尻ペンペンしている微陵辱シーンではあるけどね!

 

「アクア先輩、それは流石にやりすぎですよ。この人たちが可哀想です。もう少し優しくしてあげてください」

 

 おお、ここでまさかの女神様からの施しが! やっぱりエリス様は優しいな~♪

 いったい、今日の優しさの担保は何で賄わされるんだろうね!? お金かな!? お金かな!? それともお金なのかなぁ!?

 

「ほら、あなたも。人生が辛く苦しいからと言って、泣いたりしてはいけません。天は地上にすむ全ての人々を優しく見守っていてくださるのですから・・・」

「ぐすっ、ぐすっ・・・あ、ありがとーー」

「で? 本音は本音はエリス様~♪」

「ジャングルの奥地みたいな森の中で立ち止まられると困るので、泣いてる暇があったら早く立ち上がって私たちを町に案内するためにも歩き出して欲しいなーと」

「やっぱりコイツも同類だったぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!!!!」

「えーーーっい! うるさいです!シャラップです! 女神は正義で、女神の敵は魔王=悪! 即ち私たちを襲ったあなたたちは極悪非道な大悪人になること確定してるんですから働きなさい! 私たち女神のために!」

「人権の侵害だぁぁぁ!! 人道に則って捕虜の待遇改善を要求するぅぅぅっ!!!」

「悪人に人権なんていりません! ただ裁きだけが悪人を反省させて更正させるのに必要不可欠なものなんです!」

 

 リナ・インバース強化バ~ジョ~ン♪ 今日も女神エリス様は絶好調なのですよ! グッジョブ!

 

 

 

「ふぅ~、ようやく着いたわね街の入り口に」

「ですね、本当に疲れました。お箸よりも重い物を持ったことのないお嬢様育ちの私が、よくぞここまで歩いて到着できましたよね。スゴいです私! 女神はやっぱりスゴいのです!(キラキラ)」

 

 夢見る乙女なエリス様~。メイン武装は拳とナックル。

 ボクたちパーティーの武器は知恵よりも勇気よりも友情よりも力! パワー! ストレングス‼ ・・・な感じの女神様二人が主力で、サポート要因+1編成だよ~♪

 

「「「「・・・ぜぇ、はぁ、ぜぇ、はぁ・・・・・・」」」」

 

 めっちゃお疲れのご様子の奴隷売買されてこられた悪のオッパイちゃんたち。可哀想だね不憫だね、羨ましいね代わってあげたいね。

 なにはともあれ、縛られて歩かされてるむき出しオッパイぷるんぷるん歩行は絶景でした! ごっつぁんです!

 

「さて、それじゃあ現地住民にご対面といきましょうか。コイツ等と違って話が分かる奴だといいんだけど」

「難しいでしょうね。この人たちのような知性も品格もないオッパイ蛮族である可能性が高いですし、いきなり襲いかかられても大丈夫なように戦闘準備をしておきましょう。・・・クリスさん」

「はいはーい! なになにエリス様~? ボクに何かご用かな~? それとも何かのお願い事かな~?」

「両方です。私はアーク・プリーストと言う回復要員のため、戦闘が始まると前線で壁となって戦うタンクさんに回復魔法をかけなければならなくなります。

 その関係上、距離を置いて安全に戦わざるを得ませんので護衛と警備と肉の盾と、いざとなったらトカゲの尻尾役をお願いします」

「わーい♪ ボクってば丁のいい捨て駒扱い~♪」

「クリスさん・・・私にはあなたが必要なんです! 自分自身を守る盾として!」

「素直なエリス様って素敵! そこに痺れちゃう憧れちゃう~☆」

「・・・おーい、そろそろ帰ってこーい。門開けさせちまうぞー」

「「はーい」」

 

 アクア様園長先生に率いられたボクたちは、おっきな門を開けてもらって街の中へ。

 どことなくって言うよりかは完全に瓜二つのアクセルの街もどきな作りみたいだったから、道には迷わずまっすぐ直進。

 目指すは犯罪者を捕まえたときに突き出して恩賞もらう場所、街の中央区にある警察署in牢屋付きだよ!

 

「ところでさー、アクア様にエリス様~。おロープ頂戴されちゃった元ビキニ美女ちゃん・現すっぽんぽん美女ちゃんたちを縛り付けた縄の先を握りしめてる二人に対して今更言うことでもないだろうなーとは思っているんだけどさー」

「??? なによ、アンタにしては妙に煮え切らない言い草ね。無駄に時間かけた喋り方してないでさっさと言っちゃえばいいじゃないの」

「そうですよ、クリスさん。あなたに持たせると何やらかすのか分からなくて危険だから私たちが持ってあげて、悪女さんたちには素っ裸で昼日中から町中散歩を強制しているおかげで安全性は確保できてます。多少のことなら怒ったりしませんから、早く言ってしまってください。

 もう警察署は目の前なんですから、ほら早く。衛兵さんたちが受け取りに来ちゃいますよ?」

「うん、わかった。それじゃあ言わせてもらうね。ーーここの大陸だと新参者で身元不明で住所不定で国籍も不明な、ないない尽くしの普通に見たら犯罪容疑者間違いなしで確定的なボクたちが現地住民の女の人を素っ裸にひん剥いて路上町中でお散歩させてたらタイーホされちゃって牢屋生活味あわされたりしないのかな~?」

「「・・・・・・(ピタッ)」」

 

 

 

 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。

 

 

 

 

 ーーーーーーーーーーーーどどどどどどどどどっ!!!!!

 

 

『そこの三人組止まりなさい! 武器を捨てて両手を頭の後ろに組んでから、こちらにお尻を向けなさい! 抵抗する人には、もれなく牢屋の中で過ごす臭いご飯はおいしくない生活一年間への招待券を鉄の輪っかと一緒にプレゼントしちゃいますからね!』

 

 だってさ。

 

「ーーやったねアクア様とエリス様! 今回はボクも一緒に牢屋に入れてもらえるみたいだよ! 同じ独房だとスッゴくスッゴく嬉しいし楽しそうだよね! 楽しみだな~(^o^)」

「「クゥゥゥゥゥリィィィィィィスゥゥゥゥゥゥ!!!!!! 今日という今日は、絶対に許してなんかやらないんだからねぇぇぇぇぇぇぇぇっ!!!!!(あげませんからねぇぇぇぇぇぇっ!!!!!」」

 

 

 

 

 

 ガッチャン!!!!

 

 

「「RE:ゼロからに戻されても牢屋から始めさせられる私たちの異世界生活in全裸ぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!!(>ュ<。)ビェェン」」

 

「そして毎回のように原因作っているのに何故か牢屋に入れられないで済む、今のボクは女盗賊のクリスだよ!」

 

つづく



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「本来のボクが原作介入してた場合の『クリスだよっ!』だよっ!」

追記:文章を書き足しましたので、完全版となりました。

長い間更新が止まっている三作品『今の私は盗賊のクリスだよっ!』『IS学園のマシンガンラバー』『『この女神にメイドが祝福を!「ずっと目覚めなければよかったのに」「やめてよね!?」』』を更新させることにしました。
最初の一作目は『クリス』です。

新章書いておきながら時間軸を原作に戻した『キャベツ回』を出してしまって申し訳ございません。

前々回で申しあげました通り、自分と原作者様の作風の違い(お互いに変なところで個性が強い気がしています)により原作の流れを意識しすぎると書けなくなるので思い切って自分なりの勝手な介入の方へと舵を切ってた元々の案で書かせて頂きました。
『お尻大陸編』は辞めるつもりはありませんが、元々あれ自体が独立したオリジナル作品として企画していた作品でしたので完全版を別作品として別けさせていただくつもりでおります。

我が侭に振り回してしまって申し訳ございませんが、正直やり辛かったので・・・。


 ーー拝啓。お父さん、お母さん。僕が亡くなっちゃった後も夫婦二人、お元気にハッスルしてらっしゃいますか?

 ボクは今、異世界にボク好みの美少女女神さま二人と一緒に来ています。

 お父さんたちとは血の繋がらない赤の他人になっちゃう代わりに、銀髪巨乳の美少女に生まれ変われたので毎日がスゴくスゴく愉しいです!

 家は賃貸で、仕事も日雇いの派遣しか見つかってませんけど、元気とやる気だけはオッパイいっぱい胸一杯に詰まりまくっていますから大丈夫です! 心配しないで良いですからね!

 

 では、また近い内にお手紙書きます。届きませんし、出すこともできませんけど、こう言うのは気持ちが大事な問題です。文字は手で書く習慣はなるべく続けたいですよね! 敬具。

 

PS.

PSってなんかかっこいい感じで書きたくなるって言ってた坂本辰馬さんの気持ちが今わかったよ!

 

 

 

 ウーーッ! ウーーーッ!! ウーーーッ!!! ウーーーーッ!!!!

 

「・・・ん? なんだろうねこの警報? なんだか聞き覚えがあるような?」

 

 ボクは昼食を食べてる手を止めて、フォークを口にくわえながら警報を流してるアナウンスに耳を傾けるよ。

 

 

『緊急クエスト! 緊急クエスト! 街の中にいる冒険者の各員は、至急冒険者ギルドに集まってください! 繰り返します。街の中にいる冒険者の各員は、至急冒険者ギルドに集まってください!』

 

 

 ・・・・・・季節は夏。

 4月が終わって5月に入り、一般的には「そろそろ夏がくる季節よね~」なんて言われ始める時期・・・と言うことは!

 

「アクア様! エリス様!」

「クリス! ・・・遂に・・・遂に来たわねこの時が!」

「ええ、先輩! 待ちに待ったこの季節が! 一年に一度のお祭りの時間がやってきたのです!」

 

 二人の女神さまたちも、殺る気満々だね! これは今年も荒れそうだぜぃっ!!

 

 

 ジャキィィィッン!!!

 緊急クエストを受領しました!

 

クエスト難度EX

《街に飛来したキャベツを全て収穫せよ》

 

内容

 タイトル読めば解んだろ。読めよ。

 

報酬

 品質次第ではあるが最低でも一玉1万エリスは保証されている。

 物によっては品質の良い高価な物も混じっています。それらが穫れた場合には買い取り額も上乗せされますので、皆さんがんばって収穫してください。

 

注意事項

 時折安いレタスが混じっている事があるので、間違えないように気を付けましょう。

 

 

 

 ーーつまり!

 

「キャベツ狩りだぁぁぁぁぁ『『飛んでくるキャベツが食べ放題になる日が来たのね!(来たんですね!)』』ぁぁぁぁぁ・・・・・・・・・」

 

 ・・・うん、途中で遮られちゃったねボクの台詞。

 お腹を年中空かせてる欠食貧乏女神さまのお二人に。

 

「マヨネーズ買って来るわよーーーーーーーーっ!!!!」

「先輩! 確かいま、裏街の盗品マーケット屋さんがバーゲンをしてました! 開始から3分過ぎちゃってるのは大きいですけどまだ行けます! 早く走って! 時間がありませんよ!」

 

 年々スケールが小さくなってきている気がする女神様たち。

 ちなみに今日の二人が食べてる昼御飯はメザシ一本です(二人で均等に分けてます)

 

 いや~、貧乏って本当に怖いですよねー。

 

 

 

 

 ・・・一面のって程じゃないけど、かなり広い範囲をカバーしながら空を征くキャベツの兵団。

 行く手を阻む一騎当十か当五くらいの冒険者たちを薙ぎ倒しながら、食べられないために、生きるために、死なないために、殺されて食卓に乗せられて美味しく「いただきます!」をされちゃわないために彼らは征く。

 国を駆け抜け、町中をバウンドしながら飛んで走って女の子のスカートをめくり、誰にも食べてもらえないまま自分の命が腐ってキャベツから生ゴミにジョブチェンジするまでキャベツは走り続ける。

 

「・・・やがて土に還ったキャベツを栄養素にしてバクテリアや微生物たちが大地に命を芽吹かせて、広大な土地が土壌に富んだ良い土となっていくのであった。

 キャベツに手を出してはならぬーー(ぱこん。バコンっ!)ーー冗談なのになぁ~」

「「オババ様の語りを変なネタに使わない! 大地が怒りに満ちたらどうするのっ!?(どうするんですかっ!?)」」

 

 毎年毎年オタクなボクたち~♪

 

 

 

 

「なんじゃこりゃああああああああああああああっ!?」

「お? カズマは知らねぇのかよ、キャベツのことを。常識だぞ? 仕方ねぇなぁ、特別の俺様が教えてやるとするか。感謝しろよ?

 いいか? キャベツってのはな。飛ぶんだよ。その理由はーー」

「・・・キャベツはね、カズマ。飛ぶ物なのよ。味を濃縮して収穫の時期が近づいてくると、「簡単に食べられて堪るか! ワタシ達だって生きていたんだ!」って思っているかのようにーー」

「ちょっ、リーンさん!? 今オレが説明してたよね? してましたよね新人さんに?

 てめ、人が折角てにいれた数少ない目上相手にえばり散らせる絶好の機会を棒に振らせやがって・・・ゆるせねぇ!

 見てやがれよ、今日こそお前の穿いてるミニスカートを脱がすことで衆目の眼前にクマさんパンツを晒させてやーーあっ、嘘です、ごめんなさいごめんなさい、リーンの隠れファンな男衆が寄ってたかってオレのズボンを脱がせようとしないでください! ごめんなさいごめんなさい! リーンのパンツをオレにも見せてください!」

「ダスト、お前・・・いくらなんでも正直すぎるだろ。もう少しオブラートに包んで言えよ、オブラートに。

 あと、ついでに教えておくとリーンのパンツの柄はクマさんじゃなくて苺がーーあ、嘘です嘘ですごめんなさいリーンさん、昨日の晩に盗んだパンツを返しますので許してくださ・・・ぎゃあああああああああああああああっっ!!!!!!!!」

 

 

 ーーおっ、カズマくんと愉快なテイラーさんたちの混合パーティーだ。来てたんだー。

 ・・・さっそく三人離脱しちゃったみたいだけども。

 

『皆さん、突然のお呼びだしすいません! もうすでに気づいてる方が何組もいらっしゃるようですが、キャベツです! 今年もキャベツの収穫時期がやって参りました!

 今年のキャベツは特別な事情もあって出来がすこぶる良く、本来ならば一玉一万エリスの所を倍額で二万エリスでの買い取りを実施しております!

 すでに街中の住人は家に避難して頂いておりますので皆さん、できるだけ多くのキャベツを捕まえて、ここに納めてください!

 なお、冒険者は自己責任が基本ですので、くれぐれもキャベツに逆襲されて怪我をしない様にお願いいたします! クエスト中に起きた戦闘での負傷および戦闘不能に関して当冒険者ギルドはいっさい賠償責任を持ち合わせておりませんので、そのおつもりで!』

 

 ーーうん? 今年のルナさんによるアナウンスは妙に具体的だった気がするなぁ~?

 何かあったのかなぁ~? あったんだろうなぁ~。・・・よし、しばらくの間は様子見だけして見物していようっと。

 

 

『てりゃあああああああっ!!!!!』

 

 む、冒険者軍団の第一陣が敵の先鋒と正面からぶつかり合ったみたいだね!

 

「無駄に走って死ぬしかない命なら、一玉でも多く捕まえて美味しく食べてあげるが我が使命! 見事討ち果たして見せようぞ!

 食らえ! 今日この日のために編み出した究極の対キャベツ必殺剣!

 《キャベンディッシュ・ブレー・・・》あばべばばばばっ!?」

 

『キャベーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーッツ!?

 ・・・じゃなかった、キャベンディーーーーーーーーッシュ!?』

 

 

 おお、さっそく一人目の犠牲者がでたね! 今年のキャベツも強いぜぃ!

 

 ・・・って、あれ? あの見た目ってキャベツはキャベツでもなんか違・・・そうか!わかったぞ! 謎はすべて解けた! 真実の鏡はいつのドラクエでもひとつしか出ないラーの鏡の事だ!

 

「クリス、ちょうど良い機会だ。会って間もないお前にも私のクルセイダーとしての実力、その目で確かめさせてやろう。見ているが良い・・・はぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」

 

 この前仲良くなったばかりのオッパイナイト・ダクネスさんが騎士らしく剣を抜いて、敵に向かって走って近づいていくんだけども。

 

 ・・・あのキャベツって通常のじゃないと思うんだよねぇ~。止めた方がいいのかなぁ~? でもダクネスさんドMだしなぁ~。むしろ悦んでもらえるかもだし、放っておいても構わないよね!

 

 

「たあああああああああああああっ!!!

 はぁっ! てぇやぁぁぁっ!!! でりゃああああああああっ!!!!!」

 

 う~ん、やっぱり当てられてないなぁ~。まぁ見た感じからして斬るよりも斬られる方を望んでそうだし求めてそうだしハァハァさせてして欲しかったみたいだし、ま、いいか。

 

「なんの! 正義の騎士は悪に決して屈しない! 次こそ本気で放つ全力の一撃!

 食らえ! 我が神聖剣! セイクリッドぉぉぉぉぉぉぉーーーーー」

「あ、ダクネスさん。その敵相手にジッとしてたら危ないかも?」

「――ソォォォォォォォ(バギィッ!)ォォォおひぃん♪ ダメぇっ♪ やめてぇっ♪ これ以上はララティーナ、もう戦えなぁい♪

 降参☆ 降参☆ 女神エリス様に仕える誇り高い聖騎士、キャベツに負けて無様にこうしゃぁぁぁぁっん♪」

 

 ・・・弱いっ! 神に仕える聖騎士ヨワすぎる!

 必殺の突撃打ち破られて、あっさり鎧壊されてアーマーブレイクされた後で、自分からカッコ付けて前のめりに倒れたら、空飛ぶキャベツたちに交代交代でお尻ペンペン体当たりを食らわされ続けちゃってる! 負けた女ボスがお仕置きされちゃうシーンだ! ぜんぜん正義の味方じゃない姿だね! 羨ましいよ、どっちとも!

 

「はうっ! ほうっ! おうっ! き、騎士が戦いに負けて無様に敵からお尻ペンペン~・・・・・・ああ、ダメだ! 気持ちいいーっ! 堪らなぁっい! もっとーっ! もっとーぉん! もっと負け犬騎士のダクネスにお仕置きしてぇぇっん☆」

 

 

「・・・やだ、あの人もしかして、お尻叩かれて感じちゃってるの・・・?」

「穢らわしい・・・最低、気持ち悪い。反吐が出そうだわ・・・」

「同じ騎士職にある者として、恥ずかしい限りだな・・・」

「雌豚が・・・貴様ごとき牛乳が騎士を名乗るなど烏滸がましいにも程がある!

 分際をわきまえよ!」

「早くやられちゃえデカパイ女ーーーーーーーっ!!!!」

 

 

 冒険者のみんなから有らん限りの罵声が飛び交いまくっているね! キャベツに負けちゃった騎士様には当然の報いかもしれないけど、さすがに言葉がヒドすぎるぞ?

 女の子を言葉責めするときには優しく罵倒してあげようね♪ 東京デン子ちゃん☆

 

 

「み、見られている! むくつけき男たちが、私の剥き出しになってしまったから先っぽだけでも見えないように草むらに押しつけて隠している、私のでっかいオッパイを見ようとして興奮している・・・なんという辱め!

 け、穢らわしい! 破廉恥な! た、堪らんっ!!!」

 

 

「いや、誰よりも穢らわしくて破廉恥なのはお前じゃねぇか」

「あ。カズマ君、復帰してきてたんだ。包帯まみれのマミー状態だけど大丈夫?」

 

 

「ああ、そんな! 上級職であるクルセイダーの私が! たかだか最低辺に位置する基本職でしかない《冒険者》の、それも最近ギルドに登録したばっかりで鎧すら買う金もないまま変な服着て馬小屋で寝泊まりしている馬糞臭いブサイク男にまで見下されてしまうほど落ちぶれるだなんて!?

 ヒドい! ヒドすぎる! あんまりだ! これほどの屈辱を受けてはもう、騎士として生きて行けなぁぁぁぁぁぁぁっっい☆」

 

「いや、お前の方がよっぽどヒドいだろ!? あと、一応は顔だけでもオレ好みな美人から顔について悪し様に罵られまくったオレの方が生きていけないほど辛く苦しいわっ!」

 

「ああああああぁぁぁぁぁっんんんん!!!

 ま、まさか止めとして人生負け犬ロード一直線なダメ男から同類認定されてしまったぁぁぁっ☆ もう、もう、もう私ダメぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっっん☆☆☆☆」

 

「人のトラウマをおかずに使って勝手にイくなーーーーーーっ!!!(`Д´)怒」

 

 

 

 ・・・・・・はい、うちのパーティーの壁役さん戦闘不能と。

 

 次は誰が逝くのかな~? それともイかされちゃったりするのかなぁ~?

 

 

 

 

「我が必殺の爆裂魔法を前に於いて、何者も抗うことなど叶わず!」

 

 おお! 期待のつるぺたロリ厨二ミニスカ魔道師のめぐみんちゃんだね! 期待してるよ! 見事に負けて散って無様な醜態晒しちゃってください最強の爆裂魔法使い様っ!

 

「ふっふっふっふ・・・あれほどの敵の大群を前にして爆裂魔法を放つ衝動を抑えられようか・・・? いや、ない!」

 

 うん、悦に浸りたい気持ちは厨二としてスゴく良く解るんだけどさ。敵、近づいて来ちゃってるよ? 撃たなくていいの? 爆裂魔法。

 カッコ付けることを優先して、爆裂魔法を放つ衝動を押さえ込んじゃってるよ? 

 

「光に覆われし漆黒よ、夜を纏いし縛炎よ、紅魔の名の基に原初の崩壊を顕現せよ。

 終焉の王国の地に、力の根元を陰徳せし者。我が前に統べーーあ、ちょっと、止めてください、私の真横を猛スピードで通り過ぎないで片足立ちしているせいでバランス悪いの倒れそうなの。

 ちょっとでも余計な圧力かかるとバランス崩して崩壊せざるを得ないのが格好の良いポーズなんですから、私に魔法を撃たれる敵は私に気を使って呪文の詠唱が終わるまでは攻撃してこないと言う不文律なお約束というものがあってですね・・・・・・誰か! 助けてください! 私このままだとキャベツにお腹一杯お仕置きとして自分たちの身体をご馳走されてしまいそうなのですあぶぶぶぶぶぶっ!!!!」

 

 おお・・・。見事に食べさせられちゃってるね、キャベツを。

 

 マニアックな例えになるけど、ルパン三世パート2で不二子ちゃんがアフリカで穫れた生コンニャクをちっちゃくて可愛らしいお口に突っ込まれてヒッドイ不細工な顔にされちゃってたのを思い出すよ。

 

 

「ぐわっ!?」

「ぐぅおっ!?」

「ほげぇっ!?」

「ひでぶぅっ!?」

 

「こ、今年のキャベツはなんかいつもより強くなってねぇかぁっ!?」

 

 

 ーーそうこうしている合間に次々とやれらちゃってく《駆け出し冒険者の街 アクセル》に住んでる冒険者たち。

 

 でも、さすがにこれは強すぎるよね。何があったんだろう? ちょっとルナさんとこに聞きにいこっと。

 

 

「おーい、ルナさーん。ちょっと聞いてもいーい?」

「あら、クリスさん。収穫したキャベツの持ち込み・・・じゃ、ないみたいですね。手ぶらですし」

「え? ちゃんと服は着てきてるよ?」

「手のひらでオッパイを隠すという意味の隠語で言ったんじゃありません。

 で? 捕まえたキャベツの持ち込みじゃないないなら、いったい何をしに本部まで戻ってこられたんですか? 他の方々はみなさんは最前線で無駄な努力とも知らずに足掻き続けているのに」

「うん、その言葉を聞いて前線に戻りたがるのは『味方がピンチに陥ってると知らされるまでぶーたれてた癖に、知ったとたん人格変わって良い人になる系統』のツンデレ味方キャラぐらいなものだよね。

 で? ホントの裏事情とかって有るの? 有ったとしたら教えてくれちゃっても大丈夫なこと?」

 

 ボクの質問にルナさんは少しだけ悩んでから「内緒ですからね?」と前置きした後で。

 

「実はあのキャベツは毎年うちの街へ押し寄せてきている物ではありません。もっと西の方から進軍し続けてきた歴戦のキャベツさんたちなんです」

「??? もしかして飛来された街の冒険者さんたちが取り逃し続けて来ちゃってたの?」

「はい。そもそも私たちの住む街アクセルは、魔王の城から一番遠い辺境に、しかも駆け出し冒険者しか住んでいない街です。

 ここまで辿り着くためには途中でいくつもの難関を突破しなければならず、まして魔王軍と対峙している昨今の情勢下で、キャベツとは言えあれほどの数を備えた民間人に被害が及ぶかもしれない大軍をみすみす国内の奥深くまで侵入されてしまうバカな為政者などいるはずがありません」

 

 まぁ、普通はそうだよね。

 魔族と戦争してるから人手が足りなくて、民間人守るのに兵割く余裕がないから冒険者に任せちゃってるけど、さすがにこの数が空をビュンビュン飛び回りながら街や草原を疾走しまくり、大陸を渡って海まで越えられちゃってたら問題有りすぎだからねぇ、国防的にも民心の安定的にも。冒険者にばかり仕事やらせて兵士たちはなにやってるの?になっちゃうかもしれないかも。

 

 兵士の仕事は、毎日歌って踊ること♪ 後の仕事は下層階級の庶民どもに! ・・・だなんて嫌すぎる世界観だからね。妄想でもやめておこう。

 

「基本的にキャベツを栽培する場所は、収穫する街ごとに決まっておりまして、現地で穫れた野菜を地元で消費する治産地消を統治基本に据えているのが我がベルゼルグ王国なのですが、こういった政治に関する知識というのは庶民の方々には知らされませんし、知ったところで理解できません。そう言ったことに関しての教育は法律で禁止されていますから」

 

 あー、そう言えばここって王様が統治してる中世っぽい王国だったっけ。そりゃ、王様の一族による支配永続が一番重要な国策になるよね、当たり前だね当然だね基本だよね~。

 

「国が作った物を現地で採って現地で買い取る。私たち冒険者ギルドと国家権力が互いの領分には不介入なんて真っ赤な嘘っぱち。

 だいたい国内外に敵対勢力がいる中で数千人規模の武力集団を民間に委託するなんてあり得ません。ナンセンスです」

 

 う~ん、知りたくもない現実が群雄割拠の雨霰。さすがにボクも困惑中。

 この話って、いったいどこに落ち着くのん?

 

「そんな中、とある街でヘマを仕出かしたギルド職員がおりまして。彼が情報を上司に伝え忘れていたせいでキャベツの対する備えが一日遅れてしまい、三割強の数に街を抜かれてしまうという大失態をやらかしてくれたのです。

 最悪なことにその街は比較的最前線に近く、魔物も強力なのが出没する地域ですので住んでる冒険者の皆様方も高レベルなのが当たり前。1万エリス程度の端金では動いていただけませんので強力なキャベツを作って飛ばして討伐させて、レベルも上がり報酬は国家経済へと還元される。そう言う筋書きだったのが破綻してしまった末に、国内最奥部のアクセルにまで到達されてしまうという大惨事に相成りました次第です」

「はぁ」

「かくなる上は今年のキャベツ収穫祭はあきらめて来年分に計上し、今年の分は今回のこれだと言うことにして通り抜けさせることで地の果てで誰にも食べられないまま腐りは果て頂こうという、ギルドからの保身的な愛情に満ち満ちた緊急討伐クエストだった訳でして」

「鬼ですか、アンタらは」

 

 それにしても疑問が残るよね。

 いや、キャベツに関することじゃなくてボクのことで。

 

「でも、そんな危ないことをボクなんかに教えちゃっても大丈夫なの~? 自分で言うのもなんだけどボクって結構ノリと勢いで秘密を暴露しちゃうタイプだよ? ルナさん危ない立場にならないの?」

「あらあら、うふふふ・・・・・・クリスさん、“あなただからいったんですよ”?」

 

 うわ~、殺し文句だー。正真正銘本物の、嘘ついたら針千本地獄の底にまで落とされちゃう殺す文句の殺し文句だ~。

 

「イエス・マム! ボクは御国のため民の平穏な暮らしを維持するため、政治の腐敗を許容できる物わかりの良い大人になりたいと常々思って生きております!」

「うふふ、やっぱりあなたは良い子ですねクリスさん。これからも私と仲良くしていきましょうね? よしよし」

「あんっあんっ♪」

 

 人としての誇りや尊厳なんて家畜として生きていくのに必要ないね!

 ボクはただ、かわいくて色っぽい巨乳なルナお姉さんのワンちゃんとして生きていけたらそれで良いのだ!

 

 

「・・・あ、でもそう言えば忘れてたんだけど、今回のキャベツは地の果てに着くまでには死に絶えちゃってると思うよ?」

「え? なぜですか? あれは通常の最弱キャベツである『春キャベツ』と違って、最前線での栽培用に品種改良が施されている最高レベルの『冬キャベツ』です。

 いくら相手への殺害禁止コードを刻印で植え付けてあるとは言え、アクセルの街に住む冒険者程度のランクではどう足掻いたって勝ち目なんか・・・」

「いやー、実はさー」

 

 悪戯を見つかっちゃった子供みたいにバツが悪い気持ちで最前線にいる二人の事を指さしながらボクは言う。

 

 

「アクア様とエリス様、今日のご飯が三日ぶりなんだよね」

 

 

 

 

 

 

『『ご飯! 私たちのご飯を逃げる前に置いて逝きなさい!

 そのキャベツ置いてけーーーーーーっ!!!!!!(置いて逝きなさーい!)』』

 

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

「生き延びるために何でもやるになった人たちって、本当スゴいものだよねっ♪」

 

 

クエスト達成。

 飛来したキャベツを全て“食い終わりました”。

 報酬額:二人の女神がお腹一杯。「「私たちは満足じゃ~(^o^)(です~(^o^))」」

 

つづく




残りの二作品も含めて全部をリニューアルし終わってから活動報告にて報告させて頂きたいと思っております。


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「正義のお姫様旅に同行しちゃった場合のクリスだよっ!」

本編を進めるつもりで戻したのに。結局は番外編的半オリジナルストーリーになってしまった半端者の私です。これなら「お尻大陸編」を進めてた方が良かったような気もしている今この時です。

原作における10巻と、スピンオフ「悪魔に相談を!」を併用した話となっております。
ゲストヒロインは「アイリス」姫様です。

どうでもいい話になりますが、ネタ集めの為に「魔術師オーフェン無謀編」とかの旧作ギャグ作品を読み返してたら「アクセルの街の住人たちって意外とまともな部類に入ってたんだなー」と感じてしまった、ジェネレーションギャップな今の私の心理状態です。


 この世界を統べている女神様から魔王討伐の使命を授かってるボクたちは、辺境にあるアクセルの街から遠く離れたこの国の王都までやってきていた。

 そうして王様に会うためにお城までやってきたボクたちは、お城の門番さんたちから胡散臭いものでも見るような目で行く手を阻まれた。

 

「止まれ! この先には用のない者は立ち入り禁止だ、冒険者が近づいて良い場所ではないぞ!」

「用ならあるよ!」

「なんだと・・・っ!?」

 

 高圧的な態度で接してきた兵士さんに、ボクは大きな胸を更にバイーン!と反らして偉そうな口調で(元)男らしく言ってのける!

 

「う、嘘を付くな! お前なんかが王様の住む城に用向きなどあるはずがない! デタラメを口にするのは許さんぞ!?」

「デタラメなんかじゃないさ! ボクにはお城に入りたいキチンとした用件がある!

 それはーーボクがお城の中に入って探検してみたいという用事だよ!」

 

『ーーいやそれ、お前が入りたいってだけだろ!? 俺たち関係なくないか!?』

 

「さっき自分で『用のない者は立ち入り禁止だ』って言ってたじゃん! つまり用さえあれば入っていいって意味なんでしょ!? だったら、お城に入ってみたいって用事があるボクには入る権利があるって事じゃないか!」

「う・・・。そ、それは・・・・・・いや! 違う!違うぞ!そうじゃないぞ! 俺はその後に続けてこう言っていたはずだ! 『冒険者が近づいて良い場所ではない』と! だから冒険者であるお前はこの城に入る資格を持ってはいないのだ!

 資格なき者はいれない通さない入ろうとしたら邪魔をする! それが俺たち門番いとってのジャスティス!」

 

 勝ち誇ったドヤ顔かまして偉そうに胸を張る門番さん。

 ふっ。甘い、甘すぎる。天津甘栗よりも甘すぎるって、なんかのマンガで見たことあるぐらいの甘さだよ!

 

「君の目は節穴かい門番さん!? ボクは冒険者ではあるけれど・・・それ以前に冒険者をやってるだけの『盗賊』だ! 本来なら、お城の中に不法侵入して財宝とか鍵とかを盗んでくる側の職業なんだよ!

 だからボクは、お城の中に通しちゃいけない冒険者さんには当てはまらない!」

 

『そ、そんな!? そんな、バカなぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!??』

 

 

 ・・・門番たちは膝から崩れ落ちた。精神的ショックから立ち直ることができない。

 

 ーークリスは門番たちを倒してしまった!

 

 

「ちゃっちゃら~♪ ビクトリ~☆」

 

 ・・・ドゴン!

 

「「勝ってない(です)バカやってないで早く行く(行きますよ)お姫様が待っているから(待たれていますから)」」

 

 勝利のVだ! Vサインをしているボクに背後からの痛いツッコミ。

 溜めなし、技名叫ぶのなし、発動までのタイムラグもなしなゴッド・ブローツッコミを、いつの間にか撃てるようになってたらしい女神さまズ。

 これでボクとの強弱関係がさらに確かなものになったね! 戦ったら負けるね!勝てないね! 敗者は勝者に一生服従させられるんだろうね! 悦しみだな~♪

 

 

 そんなことを思いつつも片足首もたれてズルズル引きずられていくボク。意外とお城の冷たい床の感触が気持ちいいかも?

 それはともかく、今日ボクたちがお城に来た理由は只ひとぉつ!

 魔王を倒して世界を救いたいけれど、王女様の身分だからお外に出れないお姫様の『非公式』世直し旅に『非公式同行』して、悪人とかを『非公式粛正』しながら国内行脚する水戸の印籠御老公様な放浪記に護衛として付いてくためだよ! その為にお城まで『非公式会談』に来てるんだから!

 

 

 

 

 ーーと、言うような内容をお姫様連れ出しちゃった後に二人に話したら、女神様二人による天罰を受けさせられちゃったボク。

 良い事するために悪い事するとこうなりますって見本だよね! ボクは良い子たちが悪い子にならないためなら全力で悪い子の見本になりましょう!

 

「「上手いこと言ったつもり!?(ですか!?)

  全然上手くも何ともないわーっ!(ですよー!)」」

 

 ぎゃっふん♪

 今日もキッツくお仕置きされて、美少女女神様たち二人の前で地に伏せさせてもらえるボクってチアワセ♪

 あ~、癒されるな~。ローアングルから見上げた先にある、エリス様のフリル付き水色おパンティは♪

 

 

「ああああ・・・・・・どうすんのよ、この依頼・・・。報酬が三日で300万エリスなんて話が上手すぎるとは思っていたけど、まさか王族拉致の片棒を担がされることになるだなんて・・・。本当に、どうすればいいのよエリスぅぅぅ~(ToT)」

「・・・どうするもこうするもありませんよ、先輩。報酬は前払いで半額いただいちゃってますし、内半分は借金の返済に充てて残りは元手を増やそうとして違法賭博場で全額スっちゃった後ですし・・・もはや成功報酬で次のレースに賭けるしかないでしょう!?」

「だから私は言ったじゃないの! 違法はやめときなさいって! せめて合法カジノだったら収入に合わせた賭け金の上限がランク毎に決められてるのに!」

「『私たちの生活水準じゃ勝っても雀の涙程度しか儲からないから違法賭場へ!』って、最初に言い出したのはアクア先輩じゃないですか! 私はその誘いに乗って競走馬に回復魔法を掛けてあげてただけです!

 疲れてるのに走らされてる可哀相なお馬さんを癒してあげる、女神らしい女神活動していただけの私が責められる謂われはありません!」

「やっぱりアンタとは女神としての在り方で意見が合わないわね! 次のレースで勝って配当金を山分けし終えたらコンビは解散よ!

 所詮、わたしたち女神は互いのことを認められないまま戦い続ける宿命をもって生まれてきた種族なのだから!」

「望むところです! 人と人の正義がぶつかり合うのと同じように、私たち女神もまた相容れない正義と信念、そして理を教え貫く普遍性の象徴にして世界の代表者。決して相容れない、線と線でしかありません・・・」

「故に!」

「だからこそ!」

 

 

『次のレースこそ絶対くるわ!(来ます!)ケンタウルスホイミ!!』

 

 

 この世界でも現役だったのかい! ケンタウルスホイミ! もう、本家本元のケイローン先生より長生きしちゃってないかい!? 一体いつまで大物から金を巻き上げる魅力ある失踪を続ける気なんだい!?ホイミ!(馬!)

 

 

 ーーま、それはそれとして置いといて。自己紹介といこうじゃないか!

 新人ニューフェイスのアイリスちゃんで~す♪ 

 

「皆様方! はじめまして。今日からしばらくの間ご一緒させていただく王族n・・・コホン。王侯貴族とは縁もゆかりもない大商家の一人娘でアイリ・・・コホン。イリスと申しますわ。

 なにぶんにも、箱庭のように限られた世界の窓から外の世界を眺めながら育てられた世間知らずの箱入り娘ですので、色々とご迷惑ばかりおかけすることになるとは思いますが、一生懸命みなさまの負担にならぬよう努力するつもりです。

 どうか、クリスさん。そしてアークプリーストのお二方ともにご指導ご鞭撻のほどをよろしくお願いいたします」

 

 

「お、おおぅ・・・。なんなのよ、この正統派美少女オーラは・・・女神であるこの私の方が、思わずひざまずいて懺悔したい気分になりそうで焦っちゃったじゃないのよ・・・」

「ま、まったくですよね。不謹慎ですし、不信心きわまりない愚かな人類種族の方ですよね。

 私たち女神に自身の穢れを自覚させようとするなんて、罰当たりにも程があります。人として許されざる禁断の域に、この方は手を掛けられました!」

 

 存在X理論? 暴君になったエリス様とアクア様に支配された世界になら、ボク幼女の姿で生まれ変わりた~い♪

 

 

 まぁ、そんな感じでイリスちゃんです。

 年齢は12歳から13歳くらい。金髪碧眼ロングヘアーのTHEお姫様な見た目をしている女の子。特徴はかわいい。そして、純粋無垢。騙しやすいし騙されやすそう。守ってあげたくなる年下ヒロイン、この異世界でのナンバーワンはイリスちゃんで決まりだね!

 

 あ、装備に関してなんだけど、蒼色の頑丈そうな軽装鎧の上衣に、下はフリル付きミニスカートで鉄製のブーツも履いてるよ! 姫騎士だね! 持ってる剣が鎧の色と同じで『なんとかカリバー』な所なんか特にそうだね! 最高だね! エクスカリパー! 1のダメージしか与えられない!

 

「・・・実は今日、わたくしが皆様方を雇い、お城を無断で抜け出してまで世直し旅を痛いと思ったのには深い事情があるのです・・・。

 アクア様、エリス様。私のお話を聞いていただけませんでしょうか?(うるうる)」

 

「うっ!? こ、このガキ・・・大人が絶対に子供のお願いを断れなくするスキルなんか、一体どこの誰から習得して・・・考えるまでもないことだったわよね」

「ですね。そんなの王族のお姫様に仕込むバカな方なんて、異世界広しといえども一人か、多くとも二人を越えることは無いでしょうからね」

 

 チャラーッン☆

 

 

 

 

 

「ーーぶえっきしっ!!」

「?? どうしたのカズマ? 風邪でも引いた?」

「うう・・・ズルズル、誰かが俺の噂をしていやがるな。人気者は辛いぜ」

「バカなこと言ってないで早くご飯食べちゃいなよ、この後みんなで討伐クエスト行く予定なんだから」

「おう、すまないリーン。ちょっと待っててくれ。今、ハンカチだして鼻水ふくから。

 えっと・・・ハンカチハンカチはーっと・・・あったあったーーって、え? こ、これはまさかこの前スティールの練習中に手に入れた、リーンの大当たりなお宝ぱんtーー」

「ふんっ!!」

「ぐえほはぁっっ!?」

「おーい、何してんだカズマー? 置いてくぞー・・・って、置いてった方が良さそうですね。失礼しましたー(キィィィィ・・・・・・バタン)」

 

 

 

 

 

 

 

「ーーなんか今ボク、ものすごいお宝レアアイテムを見逃しちゃって損した気分になってるんだけど、何でかな!? みんなわかる!?」

「「「わかりません(わからないわよ)」」」

 

 ですよねー。

 

 ま、それはともかくアイリスちゃん・・・じゃなかった、イリスちゃんが世直し旅に出たがってる理由についての説明を続けるみたいだよ!

 

「・・・わたくしが世直しの旅へとどうしても出なければならなかった理由とは・・・それは・・・」

「「それは・・・・・・?(ごくり・・・)」

「それは・・・・・・正義を世に知らしめるためにです!

 正義! それは、愛! 正義! それは、清きこと! 正義! それは、わたくしです!

 正義の名の下、悪人の皆様方を法を無視して裁いて回るのが正義の味方さんたちにとっての勧善懲悪!

 待っていてくださいませ! 悪の帝王でもある宿敵ホームラン女さん! わたくしは今、正義の復活を貴女を倒すことで証明して差し上げましょう!」

 

「なに教えた!? なに教えやがりましたか、この世間知らずで騙されやすい箱入りお姫様になんて物のことを教えちまいやがりましたか、この元男はーーーっ!!!!」

「あはははは~っ。いやー、まさか本当にこんな話を信じるだなんて思っていなくて、マジびっくりだよね。ボクもびっくりしてるから被害者同盟に入れてもらえる権利もっているよねエリスさmーー」

 

 ぼこり。

 

「・・・・・・あるとでも思いましたか?」

「あるわけ、ないですよね~・・・・・・」

 

 うん、わかってました。わかってたけど聞いてみたくなったの。一人だけ仲間外れは寂しかったから!

 

「さぁ! みなさん! 出動です! 出陣です! 悪を成敗しに行く旅にです!

「いや、あの、王女様・・・じゃなくって、イリス様? 悪を成敗する旅にって、その成敗するべき悪は一体どこに・・・?」

「エリス様、わたくしのことはどうかイリスと呼び捨てでお呼びくださいませ。様づけは不要ですわ。わたくし、皆様方とは本当の意味で対等のお友達になりたいんですの」

「あ、はい。わかりました、イリスさん・・・。ーーで? 倒すべき悪はどこの誰をさしておられるのでしょうか? 事と次第と相手の地位縁故家柄等によっては、私たちは今すぐアクセルの町へと帰らせていただきたいんですけども・・・」

 

 エリス様が、ヘタレて日和りみた! 正義と信念と理を貫き通す覚悟が持ちきれなくなったんだね! 心の中にある神や悪魔の姿をした自分と違って、心弱いね! 実在の神様は! 女神様だからなのかな~?

 

 

 ーーんで、イリスちゃんからエリス様へのお返事はと言うと。

 

「悪なんて、どこにでも転がっている程度の代物でしょう!? そう言った世の不条理に苦しめられてる人々を救うため、世の中の秩序を正すため!

 正義に必要な力を振るうことを、わたくしは恐れたりなど致しませんわ!」

 

「「帰らせていただきます」」

 

 即座に回り右して逃げ出そうとしている二人。

 

 ーーでもね?

 

 

「お待ちください。アクア様、エリス様。

 わたくしは王族です。

 ですのでーー」

 

 イリスちゃんが服の中から取りだした魔導具らしい何かを放り投げて出てきたのはーー大根の挟まってるギロチン台。

 

 

 

「言うことを聞いて頂けない場合には―――死刑です」

 

 

 スパン。(刃が落ちて、大根が真っ二つになる音)

 

 

「―――わかりましたね?」

 

「「アンタ(あなた)いったい、なんのキャラをどんな風にして教え込んじゃったのよーっ!?(たんですかーっ!?)(ToT)!!!」」

 

 

 答え:昔のラノベやアニメです。

 意外と怖い、旧作作品群だよ! みんなで見よう! 結構エロい!



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「妄想は爆発! 煩悩なら大爆発!! お尻大陸を大冒険するよっ!」

原作者様!ごめんなさい! 私には結局こう言うのしか書けませんでした!

・・・ですので今更ですが以前思いついてた妄想を飾ることなく合理性も無く理屈も無いまま、ただただ妄想してたまま書いた作品です。
妄想の具現化でしかありませんので読み難いと思いますけど、今回はお許しを。


あと、今回の件で『自分には真面目なエロって好きだけど書くのには向いてないんだな~』と思い知りましたので、今まで思いついてたけど恥ずかしくて書けなかった作品を書いて投稿を目指してみますね。では。


「貴女たち、見ない顔だけど冒険者になりにきた新米さんなのでしょう?

 どちらの国から来たのかはわからないけど、初陣からビキニ魔女三人を捕まえてくるなんてスゴいじゃない! 大手柄よ! 彼女たちのことは私が責任をもって『お仕置き場』まで引っ立てておくから、あなたたちは先に冒険者ギルドに行って特別報酬の受領と、冒険者登録をしてもらうといいわ。

 本来だったら登録料として1000アリス支払ってもらうシステムなんだけど、貴女たちには特例として登録料は国が負担してくれるように通達しておくわね」

 

「ーーあ、それからこれを忘れていたわ。当たり前すぎる常識とはいえ、常識だからこそ規則は遵守しないとダメだものね。それじゃあ改めましてーーコホン。

 ようこそ新米冒険者の街アナセルへ! 我々アナセルの住人一同は、あなたたちを心から歓迎いたします!」

 

 

 ブンブンと手を振りながら笑顔で町中に迎え入れてくれた、若い女性の門番さん。

 

 ーーなんだかとっても爽やかイケメンタイプの人だったよね!

 

 

 

「・・・でも、駆け出し冒険者の街アクセルとよく似た新米冒険者の街アナセルか~・・・。

 ――つまり! この街は新米冒険者の街アナーーぐふぁっ!?」

『『下品禁止!!』』

 

 溜めなしツッコミ・ゴッドブロー。今日も威力は通常運行です♪(つまりメチャクチャ痛気持ちいい)。

 

 

 

「それにしても名前だけじゃなくて、建物や住んでる人たちもアクセルの街と酷似している街ですよね。

 ・・・ただその、あの・・・女の人たちがみんなエッチな服着て歩いてる以外はですけど・・・(////)」

「女の人たちはみーんなビキニアーマー装備だもんねー。男の人はほとんどが普通の服着てるのに、女の人だけビキニアーマー。 これってなにかの文化なのかな~?

 エッチなのは良いことだと思います!」

「「やかましい!(です!)」」

 

 怒られちった☆

 

 でもアクセルの街の住人、青髪青目スタイル良しバージョン(女の人オンリーだけね♪)な人たちがみーんなビキニアーマー着て町中歩いてる光景ってなんだか新鮮。

 

 これは冒険者ギルドも期待できるのかな!?

 

 

 

 

「ーーはい、確認完了です。確かに『ビキニ脱がし証書』で間違いないですね。これが討伐報酬の100万アリスとなってますので、ご確認ください」

 

 ルナさんに似たオッパイ大きな冒険者ギルドの受付嬢ルーナさん(もちろんビキニアーマー装備☆)が、ぷるんぷるんオッパイを揺らしながら百万金貨を三枚手渡してくれたよ!

 胸元が開放的だからなのか、気持ちも性格も開放的で笑顔がまぶしい! そしてオッパイぷるんぷるん♪ お色気装備は良いものだぁーっ!

 

「それから、こちらが冒険者登録用の書類となりますのでご記入をお願いしますね。登録料1000アリスは国が支払うよう先ほどの手紙に明記してありましたので不要です。安心してお書きくださいね♪」

 

 明るいルナさん(みたいなルーナさん。カワユス)が差し出してくれた書類に必要事項を記入していったら、不思議な項目を見つめたよ。

 

「「「出身国を三つの内から選んで○を付けてください?」」」

 

「ああ、その項目はですね。形式的に残してあるだけですので適当に選んでしまっても大丈夫ですよ?

 どうせこの大陸には三つしか国がない上に、街にある冒険者ギルドに登録しにきてる時点で『街に住む人』以外にはあり得ませんからね。

 まぁ、伝説の中の出来事とはいえ大陸外にも人がいるのは間違いない事実ですからね。いつの日か再びその人たちと接触する日がこないとも限りませんから残しておこうというのが国の方針なんですよ。面倒かもしれませんが、形式という事で語納得していただけると助かりますわ」

 

「「「・・・・・・」」」

 

「お客様? どうかされましたか? お顔の色が悪いようですけれど・・・・・・」

 

 ルーナさんが頭上に?マークを浮かべながらオッパイを一回ぷるん。

 せっかくだから話してみちゃおっか?

 

 

 

 

 

「ーーええっ!? あなた方は本当に大陸外からきている方々だったのですか!?

 ・・・確かに少しだけ不思議な服装をしてらっしゃるなぁ~と、一目見た瞬間から思ってはいたんですけども・・・・・・。

 そうですか・・・数百年ぶりにゲートが起動してたんですね・・・大陸住人として感慨深いです」

「アタシたちにしてみたら、アンタたちの服装の方がよっぽど不可思議にしか見えないんだけどね・・・」

「ええ、本当に・・・。不可思議というかエッチというか露出狂と言うべきなのか、もしくはただの変態さんーー」

「エリス様、最近けっこうヒドいこと連発してるよね~・・・」

 

 悪い影響受けまくりな幸運を司ってる万年貧乏女神のエリスさま。・・・あれ? もしかしなくても矛盾してたりする?

 

 ボクが驚いてる間にルーナさんは逆に冷静さを取り戻してたらしくて、コホンと咳払いしてから背筋を伸ばす。

 

「ーー失礼しました。まさか未だに再起動できるゲートが現存していたとは思っていなかったものですから、つい・・・」

「いや、謝ってもらったところで私たちにはゲートがどうとか大陸に関すること全部がわからない事だらけなんだけどね?」

「ですよねー。謝罪してくれる誠意は伝わってくるんですけど、それよりかは1からとは言いませんので0から全てを教えてもらえる方が私たち的にはありがたいですし、より誠意の伝わる謝り方だと思わなくもなかったりするかもしれませんよ?(にっこり)」

「エリス様、エリス様。最近、笑顔に悪意がなくても怖いねーーへぶしっ!?」

「・・・なるほど、確かにそうですね。私としてもギルドの受付として数百年ぶりに外から訪れてくださった皆様方に私たちの住む大陸のついてご説明したい気持ちでいっぱいなのですが、やはり私はあくまで受付嬢にすぎません。

 大陸の説明をしようとするなら歴史について語らざるを得ません。専門ではない分野での説明は間違いがあった場合に取り返しのつかない事態におちいる可能性があり、わからない事があった場合に質問されても正しく答えられない可能性が高いと思われます。

 ですので、歴史を説明する専門家に説明していただけるよう手配させて頂きます。しばらくお待ちください」

「お、おう・・・」

「この大陸の人たち手際良いですよね。事務方の人たちが特に」

 

 文化の違いを実感している女神さまーズのお二人。・・・なんか普通のと違わない?

 

「・・・はい、書き終わりましたよ。これを持って向かえば問題ないはずです。地図は用意してありますので、こちらをお持ち帰りください。

 返却は不要です。不要になった場合にはゴミ箱に捨ててしまっても問題ありませんよ」

「あ、ども。・・・てゆーか私、知力平均値より低いんだけど歴史なんて面倒くさい分野を、ちゃんと理解できるように説明できるんでしょうねソイツは」

「先輩って、昔からバカでしたもんねー・・・・・・ごふぅっ!?(見えない机の下で腹ブローされてる女神エリス苦痛の悲鳴)」

「あ、それについては安心してくれて大丈夫ですよ? 大陸の歴史は記録として残されてる物が存在してたことがありませんので、歴史の専門家=語り部が兼任しちゃってるんですよ。

 ですので、学校の先生が子供たちに語り聞かせてる授業内容がだいたい大陸の歴史ぜんぶを網羅しちゃってます。最低でもお子さま学生水準の知力さえあれば100点満点が取れちゃうレベルの知識にすぎませんから、あなた方の年齢だったら問題なく大丈夫です。

 専門家を紹介したのはあくまで念のためにすぎませんからね♪」

 

 お花が咲き乱れるみたいな満面の笑顔のルーナさん。悪意も他意も一切感じられない爽やかすぎる笑顔だったのに、なぜだかアクア様だけは「う・・・」とうめき声をあげている。どうしてだろうね? 不思議だね。

 

「あ~、アクア先輩ったら自信ないんですねー♪ ぷぷぷぅー♪ ・・・ってふぐぁっ!?」

「・・・さ、行くわよ二人とも。伝説の語り部の住まう地へ。この世界の真実を知るために!(ズルズルズル・・・・・・*何か思い物を引きっている音)」

「あ、まってよアクア様たちー。それじゃあ待たね、ルーナさん!ア・イ・シ・テ・ル・ゾ★ ちゅっ☆(投げキッスした音、80年代風)」

「ご利用ありがとうございました。またのお越しをお待ちしております。・・・あ、この大陸の冒険者として一番重要な『ケツ力』と『性鍵』について説明し忘れちゃってたわ、どうしましょう・・・。

 ーーう~ん・・・。ま、いっか。遺跡の門を開ける鍵なんだし、これも大陸の歴史に関連づけて考えるべき事柄なんだから問題ないとしておきましょう。

 でも、後でもう一度来てもらえるように宿屋には連絡すませておこ~っと♪」

 

 

 

 

 ーーそんなこんなで、アクセルの街にはなかった施設の学校に向かって移動中のボクたち。・・・今思うとアクセルの子供たちってどこで読み書きとか教えてもらってたんだろうね? 不思議だね。リーンちゃんが「魔法学校」がどうとか言ってたことがあるから、街の外にあるのかな?

 ・・・モンスターの出没するフィールドをエンカウントしながら登下校か・・・。アクセルに住む人たちが逞しくなるのも納得だね。

 がんばれ負けるな、アクセル・チルドレン! ゲームじゃないから、一度でも負けると死んじゃうゾ★

 

 

“この世界での外出は、ゲームっぽいだけで遊びでやると冗談抜きで死ぬ。”By茅場クリスだよっ!

 

 

 

 

 ーーと、言うわけで学校前についたよ! 如何にもこの大陸にある、この街の学校らしい学業風景だね! ちっちゃな女の子たちが子供用ビキニアーマー着て仲良く遊んでるね! 欲情はしないけど萌えるよね! オタク的に! ロリコン的にもだけど!

 

「・・・日本に住んでる、おっきなお友達はつれてきたら不味そうな場所ね・・・」

「・・・はい・・・確かに。ここは絶対、日本の方をつれてきたりしちゃダメな場所です・・・」

 

 ここにいるボク、元日本人~♪(ボク、ドラえもん風に発音するよ♪)

 

「さて、と。手紙を渡すのは学校の学園長サマって人だったっけ? その人に手紙わたせば専門家の語り部のもとまで連れて行ってもらえるのよね?」

「そうなってますけど・・・連れて行ってもらえるまでは無理だと思いますよ? 手紙によると学園長さん、子供たちの半径50メートル以内に近づいちゃダメな罰則を受けたばかりみたいですから・・・」

「・・・いったい、何しでかしたのよ? その学園長は・・・」

 

 何ってそりゃもちろんナnーーーぶふぅっ!?

 

『下品な妄想も禁止!!』

 

 ダブルゴッドブロー・サンドイッチ詰め放題。もぐもぐ、ごっくん。ごちそうさまでした。

 

 と言うわけで学校に突入開始ー!

 わーい♪ 探検♪ 探検♪ がっこう、たーんけん♪

 

 

 

 

「さて。この教室であってるわよねエリス?」

「はい、そのはずです。ーーそうですよねクリスさん? ちゃんと合っていますよね?」

「ムグムグ(頷いて了承しているよ。女の子に猿轡かまされて、後ろ手縛りで歩かされるの気持ちいいー♪)」

「合ってるそうです」

「そ。じゃ、入りましょっか。失礼するわよー・・・・・・」

 

 

『先生! 今日も一日ありがとうございました! また明日もよろしくお願いしまっす!』

 

「はーい、先生もまた明日みんなと会えるのを楽しみにお待ちしてますからね~」

 

 

 

「「・・・・・・」」

 

 爽やかな空気に立ちすくむ女神さまーズ・リターンズ。

 それにしてもビキニアーマー女子小学生がランドセル背負って学校の廊下走ってる風景ってエロリくて可愛いな~♪

 

 

「・・・・・・」

 

 ぎゅ~~~~~~~~~。

 

 

「・・・さぁ、行きますよクリスさん。私たちに今一番必要なのは情報ですから」

「いひゃいいひゃいよ、えりすはま。ひっぱへもいいへど、せめへほっぺひゃにして。したをひっぱはへるのははふはにまずひ。いはいいはい、ほんほにいはふぎまふへす」

 

 人体の急所のひとつを掴んで引きずる女神さまの嫉妬心。さすがは神話に登場する女神さまのやることはエゲツ無いよね! 人間の女の子たちとでは陰湿さが違いすぎました!

 

 

 

「ーーまぁ! それでは貴女たちは大陸の外からいらした方たちなのですね!? ・・・どうにで不思議な服装をしておられるなーと・・・」

「「あ、それもういいです。さっきやりましたので」」

「・・・・・・そうでしたか・・・ちょっと残念ですけど、すみません・・・・・・」

 

 シュンとなりながら俯いたことでオッパイ、どたぷるん♪ ルーナさん以上の巨乳を、ルーナさん以上にエロいデザインのビキニアーマーブラで包み込んでる語り部兼歴史の先生兼大陸でも伝説になってる大魔法使いのお姉さんで、名前はリズさんだよ!

 なんとなくアクセルの街で『ウィズ魔法道具店』を切り盛りしてる店主さんに似ている人だね! かわいいね! エッチなコスチュームだね! エロエロいいね!

 

 ずっと昔から続いてきた語り部の家系の現当主さまでもあるらしいんだけど、何十年か前に不治の病を患っちゃって、歴史書がないから口伝でしか歴史を伝え残せないこの大陸だと、語り部さんは一人でも減っちゃうと大変になるかもしれない事態に!

 

 教わったって、語り部になりたがる人は少なそうだからねー。後継者不足はどこの世界でも大変です。

 

 んで、結局リズさんは自分自身に呪いの魔法をかけてアンデッド化しちゃって、死ぬまで後継者となる子供が産めなくなる代わりに、自分が永遠に生き続けることで語り部役を永続するって決意したんだって。

 感動的だね! ドラマチックだね! ロマンティックあげたいよね!

 

 

 ・・・・・・あ、人の街にアンデッドが住んでても問題ない理由の説明は、彼女の歴史語りの中でね。

 

 

 

「では、僭越ながら私がこの大陸の歴史についてお話しさせていただきます。ーーとは言え、所詮は一子相伝の口伝形式で伝え残してきた遠い昔の出来事についての記録。真実とは異なる部分も存在しているかもしれませんけど、それは私にも知る術のないこと。どうか、ご容赦の上でお聞きください」

 

 

「まず、この大陸について知っておいていただきたい根本的な部分についてなのですが、この大陸は元々から独立した大陸として存在していたわけではなく、遙か遠い時代には遠い遠い北の海に浮かぶ大陸と地続きでつながっていたと伝えられています。

 当時の世界には二柱の女神様がおられたそうでして、その方を崇める宗教がこの地にもあったのだと祖母から教わりました。

 とは言え大陸北方には太古の昔から峻厳な峰嶺に覆われていたそうですので、この地にあった宗派は当時の時点で他の地域のそれとは異なっていたようですけどね」

 

 

「この地にあった信仰の形は、神へと祈りを捧げる祈祷を行い祭事を司るシャーマンと呼ばれていた人々を中心として成立していたと聞き及んでおります。

 彼女たちは二柱の女神にあわせて二種類が存在し、それぞれの祈り方と加護の得方が違っていたようです。

 その時に彼女たちが神への祈りの場として使っていたのが大陸各地にある遺跡と呼ばれている神殿です。中には高位のシャーマンたちが神から力を借り受けて創り出したとされるマジックアイテムが大量に眠っているらしいのですが、当時の封印が未だに効果を発揮し続けており、現代の魔法使いでは到底歯が立ちません。

 彼女たちシャーマンの文化が途絶えた今、あの封印を解いて門を開けるためには彼女たちの決めた取り決めに従い手順を守る以外にはなくなっているのです」

 

 

「シャーマン文化が途絶えた理由は竜魔族の大陸侵攻にあったと、この大陸の語り部たちには伝えられています。

 当時の世界には魔族を支配する魔王が世界征服のため各地を侵略していましたが、それとは別に魔王以上の力を持つ竜魔王と呼ばれる邪神がこの地には侵略を開始しておりました。

 彼らの力は強大で、現代の大魔法使いでは及びも付かない大魔術をいとも容易く行使できるシャーマンたちでさえ敵を足止めする以上のことは不可能でしたが、その事実を受け入れた彼女たちは自分たちすべての命を使って女神さまの奇跡を再現し、大陸に住む人々を竜魔族から守り抜いたのです。

 それは、大陸を北方から切り離し遠く南の海の彼方まで移動させ、更には周囲を竜族でさえ飛び続けることが叶わない高さにまで伸ばした山々で取り囲み、完全に他の地域と分断することに成功したのです」

 

 

「ですが、この奇跡には一つの弊害がありました。他の地域から入って来れないと言うことは、自分たちの方からも大陸から出ることができなくなると言うこと。

 一時的な侵略阻止のために未来永劫の孤立を許容するほどシャーマンたちは無欲ではなかったらしく、あらかじめいくつかの大陸移動手段を遺跡の中に設置しておきました。これがあなた方が通ってきたゲートと呼ばれるアーティファクトです。

 シャーマンたちの掛けてくれた魔法は強力で、その後百年近くの間ゲートは稼働し続けて、竜魔族の目を盗んで大陸間を移動し各地の人々がまだ健在であることを私たちの先祖に教え続けてくれました」

 

 

「ですが、それにも限界が訪れます。ゲートに掛けた魔法の魔力が欠乏し始めたのです。

 当時の私たちの先祖たちは悩み悩んだ末、まだ魔力が残っていて使えるゲートをすべて封印し、微かでも他の大陸に生きる人々とつながれる可能性を祖先たちのため残しておくことに決めたそうです」

 

 

「それから数百年もの間、私たちは他の大陸に住む方々と交わったことがありません。

 子供の頃、母から寝物語に聞かされる当時に伝わってきていた英雄たちの伝説だけが私たちの知る他大陸人についての全てなのです。

 私たちがあなた方の服装をいぶかしみながらも、特に悪意や偏見を持つことなく接していられるのはその為です」

 

 

「シャーマンたちの文化は途絶えましたが、彼女たちの使っていた魔法の残滓は私のようなウォーロックを始めとする祈祷魔法に残されています。

 ただし、私たちの大陸には他大陸の伝説に出てくる魔法使いのような詠唱魔法は伝えられておりません。あくまで女神さまへ祈りを捧げて加護を願い、力を借り受ける形式をとっている古い時代の魔法だけなのです」

 

 

「この魔法には伝説に出てくる魔法使いたちと異なり、いくつかの利点とデメリットが存在しています。

 まず、女神さまへ祈りを捧げて力を借り受ける巫女としての存在がシャーマンたちであった以上、祈れる女神も二柱の内どちらか一方だけです。

 また、祈りであるが故に巫女としての資質が大きく効果に作用します。

 女神様たちに近づくことで、より深く彼女たちを理解し敬えると信じていたシャーマンたちは自らの肉体にも手を加え、女神さまに似た姿を手に入れたと言われており、私たちは彼女らの血をわずかながらでも引いているため似たような髪色と瞳の色になるのだと言われてもいます」

 

 

「これらの事情により、現在この大陸には当時の二つのシャーマンたち・・・二柱の女神さまの加護と力を受けることができていた者たちの子孫たちが別々になって暮らしていて、お恥ずかしいことに大変仲が悪い関係を何百年間も続けて来ちゃってるのです。

 原因は文化の違いではなくて、自らの身体に手を加えたことにより女神さま方の特徴を悪い意味で受け継いでしまったからだと母からは聞かされました。

 “女神さまたちは、どちらも大変にお美しかったから互いに嫉妬しあって仲が悪かったのかもしれないよ”って」

 

 

「私たち町に住む人たちは、二柱の内のお一方であらせられるスレンダーでキュートなボディーが魅力的な女神さまを信奉していたシャーマン族の血を色濃く継いでおり、彼女の象徴である『綺麗で形のよいヒップ』が魔法を使う上では重要となります。

 お尻が綺麗なほどに美尻の女神さまからお力を授かりやすいのです。

 ・・・・・・ただ、極々たまに先祖返りを起こす者がでたりしまして、その人たちには巨乳でデカ尻の女神さまーー私たちがビキニ魔女族と呼んでいる森に住む狩猟民族の先祖であるシャーマンたちの血の方が強く影響し、見た目にも現れてしまい街に住む上では大変で不便です。

 そのため先祖返りをした者たちには高い攻撃魔法の才能がありながら、後方で大人しく無害に暮らす者の方が多いのというのがーー私たち『先祖返り』してしまった者たちなりの生き方となっております・・・ううう、お尻大きくってごめんなさいいぃぃ・・・・・・」

 

 

 

「・・・ぐっすん。ーー先ほどビキニ魔女族は森に住んでいると言いましたが、この大陸はそもそもかが古代時代の大陸を切り離して移動させてきてからは他の地域の人々が入ってきた事がほとんどありません。ゲートを使って偶然にも迷い込んできた方がいたという話も耳にはしますが本当だったのかどうかは分からずじまいなのばかりなんです。

 そのために太古より人口がほとんど増えておらず、未だに大半の土地が森林地帯に覆われたままで、大陸中央にある数少ない開けた広い土地に三つの国をつくり、か細い連絡用の道をそれぞれ一本ずつ繋ぎ合い三角形を形成し『お尻国家連合』と称する連合体を形成する事で、三角形の外側全てを覆っている森の部族ビキニ魔女から身を守ることに成功しています」

 

 

 

「ビキニ魔女たちは自らの身を着飾ることを好み、贅沢な食べ物や飲み物を強奪してでも飲み食らいたいと言う願望を女神さまから受け継いでいるのだと根も葉もない陰口を叩く者がいるほど意地汚くて強欲で、不定期的に街を襲っては目をつけた女の人を浚って去ってゆく習性を持っている人たちです。

 彼女たちがなぜ街に住む女の人たちを浚うのか? それは遺跡に眠るマジックアイテムを手に入れるためであり、その封印の鍵となる高い『ケツ力』を持った女性のお尻を門に押しつけることで『お尻認証キー』を作動させ、門を開ける鍵として使うためです」

 

 

 

「私たち大陸の民たちは、美尻の女神さまを崇めていたシャーマンの子孫『国に住む民』、「胸がデカい奴が偉い!」と言い張るビキニ魔女族を問わずケツ力の高い女性のお尻を、古代からの封印を解く聖なる鍵『性鍵』と呼び、性鍵を持つ女性のことを敬意を込めて『鍵の乙女』とお呼びしています。

 現在この地にある三つの国の女王さまたちは、鍵の乙女の血を引く直径の子孫たちが勤めておられます」

 

 

 

「ビキニ魔女たちは攻撃系の魔法を得意とし、『国に住む民』『街に住む人たち』である私たちは回復魔法を得意とするのが一般的な種族特性であると考えられておりまして、それぞれの加護がより得やすいように信仰の対象でもあるお尻を晒した歩けるビキニアーマーを身に付けるのが大陸の女性たちの間では常識となっていったと言う背景が存在するのです」

 

 

 

「攻撃を得意とするビキニ魔女に対して回復魔法だけではジリ貧になってしまうのは確実です。その為に『街に住む人々』は冒険者と呼ばれる特殊技能者の育成と支援をすることにより、対魔女対策としての鏃の任を担ってもらっています。

 他にも『お尻遺跡』に眠っているマジックアイテムを発掘するためには魔女たちのすむ森を抜けなければいけませんし、冒険者自身の中には希にですが強いケツ力を秘めた性鍵の持ち主、天然の『鍵の乙女』も交じっている場合もありえます。

 遺跡に眠るマジックアイテムは魔女たちから身を守るのにも日常生活に流用するにも役に立つ超レアアイテムですので、それらの発掘を手伝ってくれたり護衛してくれたり自分自身で門を開けてまでくれる冒険者たちは、新人であっても貴重な人的資源として優遇してもらえるんですよ」

 

 

 

「ただし、冒険者になった人たちには絶対に気を付けて頂かないといけない事がひとつだけあります。

 それは、ビキニ魔女族を捕えたとしても殺してはいけないと言うこと。

 彼女たちは自尊心が強く、協調性がないからこそ部族ごとにバラバラで行動し団結することはありませんけど、私たち町に住む民が彼女たちの誰かを殺してしまったりすると明確な敵と見なされて団結して襲い掛かってくる危険性があるからです。

 回復魔法が得意な私達では攻撃魔法の使い手ばかりで、凶悪で凶暴でもあるビキニ魔女族の総攻撃から街の人たちを守りきるのは不可能です。

 ですから、捕えても殺すまではしてはいけないのです」

 

 

 

「と言っても、無罪放免すると言う訳ではありません。彼女たちには私たちにしてきたことへの償いとして罰を受けてもらいます。

 冒険者が魔女を捕まえてきたときには刑場を兼ねている裁判広場で『お仕置き裁判』が行われ、被告人たちには街の住人たち全員が傍聴するなかで自分たち自身を弁護してもらい、裁判官が妥当と考えた判決を下します。

 彼女たちが捕えられるのは現行犯以外にありえませんので、無罪判決はお仕置き裁判には存在しません。実刑のみです」

 

 

「判決が下された魔女たちは刑場に引っ立てられていき、他の魔女族にも見えやすい場所でお仕置きを受けさせられます。

 魔女たちは自分が罰を受けるのは物凄く嫌がりますけど、他人が罰を受けてる姿を観て楽しむ性悪な性癖を持っていますから、お仕置きで罰を与える分には他の魔女たちから恨まれませんし団結される恐れもありませんから。

 お仕置きには魔女の犯した罪の重さよりも、しでかした悪事の種類によってえらばれる決まりとなってるんですよ。

 最近だと、身体の自由を奪って一日中トイレ掃除の刑とか見ていて面白かったですよ?」

 

 

 

「えっと・・・・・・とりあえず今ので大体の説明は終わったんですけど、何かわからなかった部分ってあったりしますでしょうか? 私、一応先生ですので分からないことがあった子供たちに教えるの得意ですし聞いていただければ何でもお答えしまーーーー」

 

 

 

 

 

 

『『なんっでそうなるん(ですかーー!!)だーーーーーーーーーーっ!!!!!』』

 

 

 

 

 

 

 

「きゃあっ!? な、なに? なにが・・・何が起こったんですか!? お二人の身にいったい何が・・・・・・っ!?」

「あー、いや。今はそうっとして置いてあげた方がいいと思うよ。たぶんだけどね?

 人間、叫んだり喚いたり暴れたりするぐらいしか怒りの発散相手がいなくなってる場合だってあるんだし」

「は、はぁ・・・?」

「あと、できれば避難した方がいいかもしれないかなー。それも可能な限り遠くの土地まで。

 そう! たとえるならば大陸を出て未知なる次の大陸に向けて出航だーーっ!

 目指せ、グランドライン!」

「なんの話ですか!? どこですかそこ!? そして、大陸から外へでるにはあなた方が来るときに壊しちゃったというゲートが必要不可欠なんですけど!?」

 

 

 

 

『『うがーーーーーーっ!!!!

  だ~れ~が~デカ尻(貧乳)女神じゃーーー!!!(ですかーーー!!!)』』

 

 

 

「きゃーーーーーーーーーーーーーーっ!!!!???」

 

 

 逃げまどうリズさん。追いかける二柱のデカ尻女神さまとスレンダーでキュートなボディーが魅力的な貧乳(この部分だけ自称してたねエリス様)女神さま。

 

 

 人と女神さまとの戦い、女神大戦勃発! 果たして人類は生き残れるのか!?

 

 次回へ続く。(これ、一度でいいから言ってみたかったの!)



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今後の作風紹介用の小話「女王アンリエッタの、才人が日本に還ってから物語。」

クリス出てない上に全然関係してこない『ゼロ魔』の二次創作です。
本来であるなら『試作品集』に入れて出すのが筋なのだろうと私も思ったのですが、次話からのクリスはこんな調子で書きたいなと言う作風を知っておいてもらいたかったのでクリスの方に投稿させて頂きました。

時間軸としては最終巻後のアンリエッタ様が主役のお話です。



 

 ハルケギニアを救った英雄ヒラガサイトが女ルイズ・フランソワーズを伴侶として選び、関係者全員参加による拍手喝采に包まれながら元の異世界へと帰還してから約一年後。

 彼の仲間たちはそれぞれの道を模索しながら成長していき、サイトと過ごした思い出を大切な宝物として胸にしまい込みつつも明日に向かって今日を生きているなか。

 

 ・・・・・・一人だけ過去の黒歴史を掘り起こし、忘れ去ったはずの悪癖を再熱させてしまったダメ人間がいた。トリステイン女王のアンリエッタである。

 

 途中からずっと惚れっぱなしだったサイトが目の前から消えていなくなってしまったせいで生来の悪癖『惚れっぽさ』と『男癖の悪さ』『自己陶酔しやすい恋愛脳』

 

 これら三種の神器にである。

 

 

 

 

 彼女としては慣れた行為であり、大したことではないと思い込んでいたのかもしれない。サイトがいた時は余程のことでもない限り問題おきたことなかったし、家臣たちもおおらかで自分の性癖として半笑いしながらも受け入れてくれていた。

 

 が。よく考えてみなくとも主君が家臣の恋人を誘惑して奪ってしまおうなど、紛れもなく暴君の所行である。

 時代的にみた場合には、未婚で婚約話を持ちかけた側の女性が別の男性に想いを寄せていたと言うのも超問題視されること間違いなしの大スキャンダルだ。

 

 これらが黙認されていた頃を基準にして『ちょっとした火遊びを楽しんでいた』ところを目撃され、世間に噂が流れ出したら次から次へと問題行為のオンパレードが出るわ出るわで、あっさり失脚。

 

 自然豊かな辺境にある静かな湖城で波乱のない余生をと願う家臣たちの想いは主君に伝わることなくスルーされ、湖畔に立つ木こり小屋にやってきた若く美しい漁師の若者と出会い清純な恋愛を楽しんでいただけのつもりで法律違反。裁判沙汰になってしまった。

 

 

 

 ここまで来ると家臣たちも理解せざるを得ない。

 

 

『ああ・・・この人は能力云々よりも先に性癖が原因で王族にはまったく向いてないんだな』ーーと。

 

 

 とは言え、王族の一員である限り必ず問題をおこすからと言っても、王族辞めて生きていけるような才能も能力も持たない箱入り育ちな貴人としての経歴と出生地の持ち主でもある。

 

 どうしたものかと頭を抱える老家臣たちに、戦後に任官した女性大臣が一言。

 

「ふつうに裁判を受けていただき、適当に都合の良さそうな罰をお与えになればよろしいのでは?」

 

 ・・・・・・言われてみれば確かに、と。老臣たちは納得したのだが、いざ探してみると当然のように都合の良い法律などそうそう簡単には見つからない。

 

 結局、彼らが選んだのは本当に存在してたのかどうかも怪しい限りなお伽噺じみた過去の逸話を掘り起こして埃を払い落とし屁理屈のこじつけによるごり押しで特例として裁判長に採用させることに何とか成功したのだった。

 

 

 そういう事情から、サイト帰還後のアンリエッタはトリステインの女王ではない。

 『傾国の悪女罪』により『裸の女王様の刑』が言い渡され、城も家臣も服すら奪われた無一文すかんぴん。

 スッポンポンの丸裸で生活していくことを義務づけられる羽目に陥らされてしまうが『王様として見てもらえるから、純潔と死ぬ心配だけはしなくていい』身分を与えられれて、市井で生きていけるようにしてもらってはいる。

 当初抱いていた願いの半分は叶えられたからいい・・・・・・のかな?

 

 

 

 

 

 

 丁度そのころ、トリステイン城下町の一角にある小さな忘れられた公園で、トンテンカンテン金槌で釘を打ち付けて日曜大工を誰かが作っている音が響いていたりする。

 

 

 トンテンカンテンダンダンダンーーーードンッ!

 

「ーーーっ、痛ったぁい! 指を間違えて打ち付けてしまいましたわ~・・・(; ;)ホロホロ」

「・・・大丈夫ですか? 陛下・・・じゃなかった、元陛下。気をつけてくださいね?

 私は法律により手助けするのは許されておらず、こうして不審な男に元陛下の全裸を拝ませないよう肉の壁ならぬ服の壁をつくるのが精一杯なのですから」

「だいたい、なんでわたくしがーートリステインの女王であるわたくしが、こんな所で大工仕事していなければならないのですか!?」

「失業されたからでは?」

「~~~~~~~っ!!!!!(だんだんだん!(注地団駄する音。全裸で)」

「何でもいいですから、はやくご自分の新たなお住まいである『女王小屋』を完成させてしまってください。それが完成したら元陛下でも保釈金を稼げるような仕事がないか探しに行く予定なのですからね。

 三食食べれて住む場所にも一応は困らない。最低限度の生活で暮らしていけるよう保証されてるだけの生活なんて刑務所と同じです。

 人間、お金がないなら働いて稼ぎ出すのが一番なのですよ。健康にもいいですから」

「あー、もー! わたくしにシェイクアップは必要ありませんわ! 今のままで十分美しさを誇っておりますのにーっ!

 アニエスには、この素晴らしく形の整ったバストとヒップが目に入らないのですか!?」

「・・・・・・いや、ポージングとかいいんで早く小屋を完成させてください。只でさえ今の格好でそれやったら変質者の痴女にしか見えないんですから急ぎましょうよ・・・」

「ーーああ! 毎度わたくしにのみ降りかかる七難八苦・・・これも今は亡きあなた方がお与えになった愛の試練なのでしょうか・・・?

 ウェールズ様・・・、サイト様・・・。わたくしは今でもあなた達のことを心より愛しているのです・・・・・・・・・って、あ、あら?あら? 足場のバランスが悪くなってきて両足がそれぞれ逆法にーーーーいやぁぁぁぁぁぁぁっっ!? 見ないでアニエス! こんな姿のわたくしを見ちゃイヤっ!」

「見ていません。見たくもありませんしね、夢が壊れるだけですから」

「あ、あ、落ちる! 落ちちゃいそうです! 王位と一緒に杖も取り上げられて得るから魔法使えないまま地面に向かって落ちちゃいそうですわ! アニエスお願い、見ないままで助けてー!」

「・・・・・・いや、アンタそれさすがに無理やて・・・・・・」




なぜだか私がギャグ作で書くアンリエッタ様はお色気恋愛脳なバカキャラになっちゃいますね(苦笑)
ちなみに、真面目に書くと戦争犯罪人ルート一択です。好きなキャラなのにこれは酷い。

後はルイズがサキュバス覚醒してアンリエッタを拉致とかか・・・気に入ったキャラは不幸にしたい病の患者なんですかね? 私って・・・。


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この魔法陣「このすば」にコラボ作品を!

原作通りだと書き辛く、完全に無視しようとすると罪悪感に縛られる。
どうすれば良いかで八方ふさがりの結果、コラボ展開始めました!『魔法陣グルグル』です。

基本的にストーリーはグルグルの方を踏襲して、特定の主要キャラだけ「このすば」から拝借してくるつもりでおります。

最初の時点では称号『勇者』で本職は盗賊の主人公『ニケ』の代わりをクリスが務め、
ミグミグ族の設定に一部変更を加えた一族の生き残りの魔法使い『ククリ』がエリス様と交代してます。原作の二人は出てきませんのであしからず!


「○○○○さん、ようこそ死後の世界へ。あなたはつい先ほど不幸にも亡くなり、この世界での人生は終わってしまったのです」

 

 いきなり真っ白な部屋の中にいたボクは、目の前で椅子から立ち上がって手を合わせている綺麗な女の人から、そんなことを告げられた。

 

「私はあなたに新たな道を案内する女神、エリス。この様な不幸に心を痛めるあまり、せめてもの救いをあなたにもたらすため天界より降りてきた者です。

 悲しき偶然によって命を奪われた心優しき人・・・・・・せめて私の力で次は平和な時代の日本で裕福な家庭に生まれ、なに不自由なく暮らせるように転生させてあげましょう。

 あなたが望むなら、私はどんな願いでも叶えてあげたい・・・・・・」

 

 慈愛に満ちた心優しい微笑みとともに言い切る女神エリス様は、まさに女神様の理想型。男の夢の極地。この人を前にしてヤローが望むべき物は只一つのみ!

 

 

 

「はいっ! 転生とかどうでもいいので女神様の穿いてる生パンティ、おーくれっ!」

 

 

 

 

 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。

 

 

 

 ウーロンを彷彿とさせる(と思う)ボクの発言に、女神様は一瞬前まで浮かべていた笑顔を凍り付かせたまま停止してしまう。

 やがて再起動したときには、明らかに挙動不審になってしまってた。

 

「い、いえあの、私、そういう願いはちょっと・・・・・・あ、あれ~? お、おかしいなー・・・。アクア先輩がいなくなったから労せず手に入った生活の気楽さに心がダラケちゃってたのかな~・・・? こういう反応は想定外って言うか、マニュアルに記載されてないと言った方がいいのか・・・・・・あ、あれ? あれ? あれあれあれれ~?」

 

 なんだか混乱具合が著しいね! 混乱している女僧侶っぽい格好している美少女女神様ってかわいいよね! 大好き!

 

 でも! 今はそれより何よりパンツが欲しい! パンツ!パンツ!おパンツ!

 

「どうしたの女神様? 早くボクに穿いてるパンツを脱いで差し出して! 脱いだ直後の生パンツがボクはとっても欲しいんだよ! 第二の人生や転生よりもずぅっとね!」

「うっ・・・。そう言われてしまうと、女神としては非常に断りづらいんですけど・・・。

 悪魔だったら等価交換に見せかけた不平等契約が基本だし、人の魔術師だったら互いの求める物が別次元過ぎてますし、神様が人間に与えるときには何も対価を求めないのが基本・・・。

 求めるときには罰則つきでの強制執行以外はすべて特例認定されちゃうし・・・ああ、どうしよう!」

 

 大混乱♪ 大混乱♪ 大根を両手に持って踊りまくるよ! 大混乱♪

 

「う~~~~・・・・・・。わ、わかりました! 私も女神です! 一度言ってしまった神託を取り消すような女神失格行為は犯しません!

 ○○○○さん! 私はあなたにパンツを渡・・・・・・さない代わりとして、超優遇措置を施した天界規定違反のチート転生権をプレゼントして差し上げましょう!」

「ーーーあれ? 今さっき自分で一度言ったことは取り消さないって・・・・・・」

「さぁ、いきますよ! 遠慮なさらないでください!

 大丈夫、あっちの異世界には私ソックリの下品な胸をした先輩女神がいった後ですから『女神の穿いてたパンツ』を今無理して手に入れる必要性は0以下です! だから大丈夫!」

 

 うわ~。女神様、すっごくテンパってるぅ~。

 

「では、行きます! 転生の呪文詠唱開始!

《パ、パ、パンプキン、ポン。

 デンデケデンデン、デン。ハッ》!」

 

 うん、女神様。それって明らかに『ラストバイブルⅢ』のルディだよね? 

 

 

 何はともあれ、こんな訳分かんない呪文によってボクは異世界に飛ばされたのでした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 かつて せかいは やみのまおうのきょうふに おおわれた

 

 ひとびとが あきらめかけた そのとき

 

 ふしぎなまほう 「このすば」をつかう いちぞくによって

 

 まおうは ふういんされ せかいは へいわを とりもどした

 

 

 やがて ひとびとから かれらのきおくは うしなわれ

 

 いまや 「このすば」のことを おぼえているものは ほとんどいない・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

「ーーって、なんですか↑のプロローグは!? あれ? 私がもともと担当していた異世界って、こんな感じでしたっけ!?」

「呪文が適当すぎたみたいだね~。

 うーん、魔法の発動失敗して女神様も一緒に巻き込まれてるから、ルーラ唱えた人より下に位置する弱い人間はスカートの中のパンツを見上げ放題、ノゾキ放題だから気持ちがいいなぁー」

「ぎゃあああああああああっ!? 舞い上がって変な気起こしちゃうじゃなかったーーーっ!! うわーん! 私のバカバカ、おっぱい美乳ーーーっ!!(>ュ<。)ビェェン」

 

 泣いてるし慌ててるのに、小さいとは決して言わない意地っ張りな女神様モエ~ん。

 

 

 

 

 

 

 

 ーー都から遙か西、『ジミナ村』という小さな村に奇妙な幻獣の伝説があった。

 村人たちはそれを『このすば』と呼び、起こしてはならない神として恐れ、丁重に祀っていた・・・・・・。

 

 

 

 ある日の朝の『ジミナ村』で。

 

 

『勇者募集!!

 魔王を倒した者に金5万を与え、

 コーダイ国の王子とする。

          コーダイ国王』

 

 

 朝早くお城からきた兵士さんが立てていった看板に書いてある文字。

 それを見るため村の入り口付近に集まっていた村人たち数名が、なにやら世間話をし始めている。

 

「あやー、都の王様のおふれだ。ーーーでも、マオウって何だべ?」

「立派な木の立て札だべなぁ。風呂の薪にでもすべぇか」

「そりゃ待つべ。勇者マニアのバドさんが見たら喜ぶべよ」

 

 立て札の関しては『判断保留』と結論づけた村人たちは、魔王や勇者なんて言う非日常レベルの話題から実生活での仕事と収入という現実的な日常へと心を帰還させて話題の方向性を変える。

 

「さぁ、メケメケの世話に戻るべ。勇者よりオマンマだべよ」

 

 世界を滅ぼす魔王退治より、近く納品予定の家畜たちの世話。

 貧しい農民たちは、世界中から商品が集まってくるコーダイ城のウルガ13世よりも、お金に関してはシビアだった。

 

「なまけていると「このすば」様に祟られるべ」

「ハハハ! 「このすば」様は迷信だべ!」

 

 村人たちが楽しそうに笑い合って、仕事合間の息抜きをしていたところ。

 

 

 

 

『「このすば」は迷信ではないぞよ!!』

 

 

 

 

 空気を読まない魔法オババがあらわれた!

 

 

 ・・・・・・だけで何もせずに去っていった・・・・・・。

 

 

 

 

「「「・・・っくりしたー! 村はずれの魔法オババでねぇか。相変わらず変わり者だべなー」」」

 

「んだんだ。ーーそして、相変わらず空気読めてないべ」

 

「「んだんだ、まったく持ってその通りだ」」

 

 

 話していたら大声を上げて乱入してくる空気読めないバアサンの登場により、村人たちが団結力を高めていく。

 

「あ、バドさんが来たべ」

 

 いつもいつでも空気読めない魔法オババが立ち去った後、次にあらわれたのは『毎日じゃないけど趣味が絡むと空気読めなくなるマニア趣味の持ち主』の村人(男)バドだった。

 

「いい知らせだよバドさん。この立て札を見てみるといいべ」

「ん!? これは・・・・・・っ!!!」

 

 ズボッ! ずどどどどどどどっ!!!!!

 

 

「・・・やっぱ立て札ごと引っこ抜いて持って行っちまっただよ。

 薪にするために運んでる途中でなくて良かったべなー」

「んだんだ。ーーんだけど、こりゃあ奥さんのレナさんも災難だべなー。また『超勇者大戦』の調停役やらされるだべから」

「んだんだ、ほんに勇者なんてモンに関わり合うべきじゃねぇべ。オラたち農民は畑作ってメケメケ世話して売って、オマンマ食いあげられなきゃそれでいいべ」

「「まったくだぁ、まったくだぁ」」

 

 

 世界が変わり、時代や社会が如何に移ろおうとも、農民たちが逞しいという真理だけは変わりようがないらしい・・・・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

「おーい! クリス! クリスはいるかーーーーーーーーーーっ!!!」

 

 どかん! どたどたばたん!

 

 バドは自分が購入した自宅の扉を蹴り飛ばして開き、生まれたその日に勇者としての素質を見いだした愛しき娘の名を大声で叫ぶように呼んだ。

 

 

「勇者クリスよ! ついに旅たちの時が来たぞ! お前は今日から勇者になるのだ!」

 

「いやだ! ボクは勇者になんかならない! ボクがなりたいのは『盗賊』だから!」

 

 

 

 

 ・・・どかばかぼかすか、ズタボロバキン!

 

 

 

 

「・・・はぁ、はぁ・・・また腕を上げたな勇者よ・・・ワシはお前の父として誇らしい気持ちでいっぱいだぞ・・・」

「・・・ひぃ、ふぅ・・・お父さんもね・・・。銀髪の巨乳盗賊美少女の娘を持つ、勇者志望だった父親にしては少しぐらい出来るじゃないか・・・」

 

 

「・・・・・・・・・」

「・・・・・・・・・」

「・・・・・・」

「・・・・・・」

「・・・」

「・・・」

 

 

 

「「やはりお前(キミ)とは今ここで決着をつけなくてはいけないようだな!(だね!)勇者よ!(盗賊の父親よ!)」」

 

 

 

 再び対決!! そして遂に決着!!!

 勇者(他称)VS銀髪の巨乳盗賊美少女(志願者)!!!

 

 相容れない正義を掲げる二人の対決! 決着は如何に!?

 

 

 

「やめなさいって、バカ父娘ども」

 

 どっかーーーーーーっん!!!

 

 勇者(盗賊)の母レナは爆裂魔法『エクスプロージョン』を唱えた。

 

 勇者(修行したことあるだけ)と、銀髪の巨乳盗賊美少女(生まれ変わる際に見た目だけ好み通りになった)は家の半分ごと吹っ飛ばされていった。

 

 

「まったく、何かというと勇者か巨乳盗賊がいいかで揉めまくるんだから。少しは私みたいに生活上の必要性から爆裂魔法を覚えられる魔法使いの修行でもしたらどうなの?」

「う、うう・・・見事なエクスプロージョンだった・・・腕を上げたな、我が永遠の宿敵にして世界征服をもくろむ悪の大魔法使いレナよ・・・」

 

 《エクスプロージョン》

 

「(どっかーーっん!)うおわぁぁっ!? 今度はワシだけなのかぁっ!!」

「人を悪人呼ばわりした罰よ」

 

 勇者の(盗賊の)父親(だけ)は空の彼方へ飛んで行かされてしまった。

 

 

 ・・・・・・そして全速力で走って帰ってきた!

 

「ぜぇ、はぁ・・・おーいクリス! ・・・げほっ、ごほっ。・・・クリスはいるかー!」

 

 勇者になりたかった親父は最初からやり直した!

 勇者マニアによる勇者への憧れは半端じゃなさそうだ!

 

「もー、お父さんはどうしていつも盗賊をバカにするのさ! 盗賊ってすごくイイじゃん! なんとなくだけど!」

「バカモノ! わしはな・・・若い頃、勇者になるつもりだった・・・修行もした・・・だが肝心の魔王がいなかったのだ! 今の世は魔王がいる! 幸せだーーーーっ!!!」

 

 勇者になりたかったのに村人になってしまった中年親父は夢やぶれた原因を他人のせいにした! さらには娘に叶わなかった自分の夢の代償行為をするよう求めだした!

 これでも彼は若い頃に勇者を目指して修行していた過去を持つ男である!

 

「何を言ってるんだい父さん!? はじめるのに遅いなんて事はないんだ! 昔叶えられなかった夢を今叶えたっていいじゃないか!?

 勇者になりたかったけどなれなかった親父が、年をとってから勇者を目指して旅に出て魔王を倒す勇者にまで成長する! 格好良すぎる展開だよ!」

「なっ!?」

 

 勇者(盗賊成分のほうが多め)は特技《口八丁手八丁》を使った! 勇者の親父は心揺さぶられそうになっている!

 

「わ、ワシが勇者・・・本当に・・・本当にワシが勇者として旅立つときが来たというのか!?」

「そうだよ父さん! 諦めなければいつかきっと夢は叶うんだ! そう信じて生きてさえいればね!」

 

 勇者(盗賊志望にしてTS転生者)は固有スキル《前世知識》を使った!

 魔王にして勇者でもある大日本帝国陸軍大尉の言葉は、効果抜群だ!

 

「だから止めなさいってバカ父娘。稼ぎ頭が勇者になるために旅立ったりしたら、我が家の家計はどうなるの」

 

 レナの魔法《エクスプロージョン》。

 家内最強の魔法使いの前に勇者父娘は全滅させられてしまった・・・・・・。

 

 

「ま、まぁ、そんなことよりもだ。ーー勇者よ、わしは空から流れ星が落ちてきた夜にお前を授かり確信したのだ。この子は将来、絶対に勇者として大成するから育成方針は勇者でいくべきなのだと・・・!!

 ーーそれなのに、お前はどうして盗賊などになろうとする!? なぜ勇者になろうとしない!? どうしてワシが制作した勇者の胴着を着てくれないのだっ!?」

「ダサすぎるから!」

 

 ・・・勇者(志願者だった落伍者親父)は即死攻撃を受けて死んでしまった・・・。

 

「ボクはやっぱり盗賊こそ最高職だと思うの♪

 だって、女の子のパンツ盗めまくるし♡」

「まぁ、クリス! 母さん、盗賊なんて許しませんよはしたない」

 

 レナお母さんも娘の夢には反対らしい。

 「パンツ盗みたいから盗賊になりたい」などと言い出す娘の夢を応援する母親がいたら最低すぎるので、良いことかもしれないけれど。

 

「冒険の主役はなんといっても勇者よ! 競争率は高いけど、勇者でカル~ク一発当てれば将来安心なんだから! 母さんの老後生活的にも一押しの最高職は勇者しかないわ!」

 

 家計を預かるお母さんの金銭感覚はシビアだった。

 しかし、自宅の屋根が吹き飛んでいるのはレナお母さんの使った魔法が原因だ!

 

「え~、ボク競争したくな~い。もっと楽した~い。

 じ~んせ~い、らーくー好ーきー、苦ーはいーやーだー♪」

「・・・もう、まったく。この子のこう言うところは誰に似たんだか・・・」

 

 

 

 

 ・・・その後、レナ母さんのヘソクリから400リンを前金として払ってもらい、ひとまずは勇者として旅立ってみることを承諾したクリスは昼食の後、旅立ちの昼を迎えていた。

 

「よかったわ、行く気になってくれて」

「・・・いや、あの、レナさん? 払ったお金がお前のヘソクリって事になってるけど、あれはワシの隠してたヘソクリ・・・ぶほぉっ!? つ、強くなったな我が愛しき人よ・・・ワシは伴侶として誇りに思・・・う・・・ぐふっ」

 

 バドさんは妻の肘鉄でたおされた。

 

「クリスや、まず魔法オババの家に寄りなさい。村を出るときは魔法オババの家にあいさつに行くのがしきたりなのよ。なんでかは誰も知らないんだけどね。

 所詮、古くから続いてるしきたりなんて惰性で守り続けるものだから意味なんて知らなくても守っておけば問題起きなくて楽でいいのよ」

「うん、わかったー。そうするー」

 

 勇者は、閉鎖的な価値基準を持つ村で生きていくためのコツを伝授されて旅だった。

 さぁ! まずは同じ村の中にある魔法オババの家に行くところからだ! 村から一歩も外に出てないけど、旅立つ決意をしたところから旅だったことになるものだからだ!

 

 ガンバレ勇者(盗賊かもしれないけど)! 負けるな勇者(盗賊以下略)!

 異世界がキミに救われる日を待っている!

 

 

 

 

 

 

 

 ・・・・・・そうこうしている間に到着していた。

 『魔法オババの家』の玄関ちかく。

 

 

 蔓草が生い茂り、お化けでも出て来そうなオドロオドロシい雰囲気が辺り一帯に漂っている・・・。

 

 

「ごめん下さーーーーーーーっい!!!

 遊びに来たのでお茶とお菓子でもてなしてもらいに来ましたーーーっ!!!」

「図々しすぎるガキじゃな!!」

 

 ・・・しかし、盗賊勇者(もう合体させちゃえ、面倒くさいから)には関係なかった!

 堂々と門を開け放ち、魔女っぽく驚かそうと隠れていた魔法オババがツッコミ入れるために出てこざるを得なくなるほど潔くて元気がある挨拶の仕方だった! しかし礼儀作法的には0ポイントである!

 

 

「ほぅ~~~、お前が勇者か!」

「銀髪の巨乳盗賊美少女です!」

「・・・・・・ほ、ほう。そうかぇ、そうかぇ。その歳で勇者か盗賊として旅立とうなんて、命が惜しくないのかぇ・・・ケッケッケ」

「あ! 忘れてたけど、ボクの一人称による地の文自己紹介は旅だった後の本番戦からね☆」

「誰にむかって宣伝しとるんじゃ!?」

 

 空気読まない魔法オババは、魔女らしい言動にはこだわりを持っていた。

 それをガン無視してくる盗賊勇者との相性は非常に悪いようだ!

 

「・・・まぁ、良いわ。使命が果たせて肩の荷を降ろせると言うのであるなら、この程度の無礼は大目に見てやるとしよう・・・。

 ーーさて、勇者よ。おぬしには、この村に伝わる「このすば」を授けよう!」

「??? なんで?」

 

 

 シーーーーーーーーーーーーーーッン・・・・・・。

 

 

 盗賊勇者の一言で時が止まってしまった・・・。

 

「い、いや「なんで」と聞かれると答えづらいのじゃが・・・・・・とにかく! この村が今日まで隠し通してきた古代の魔法「このすば」をお主に授ける!

 よいな!? わかったな!? いまさらイヤとか言って帰ろうにも扉は閉めてしまったから受け取るまで帰れんからな!?」

「あー、なるほどー。勢いで退路ふさいじゃったから、引き下がることが出来なくなっちゃったんですね~。わかりますー」

「・・・察しのいいガキは嫌いじゃよ・・・」

 

 盗賊勇者は皮肉られたが、誉められたと思っておくことにした。

 

「「このすば」って、魔法だったの?」

「さよう。「このすば」はその昔、天から降りてきて人と暮らすようになった古の民たちが使っていた古き魔法。

 己の体内に眠っている神の血を呼び覚まし、天から力を借りることで本来もっていた神としての力を一時的に回復することが出来るのじゃ。

 神の血を引く者たちにしか使えぬ魔法故にその威力はすさまじく、人々の欲望を刺激して多くの悪人たちから狙われる秘術として封印しなければならなくなるほどに。

 ・・・その古の一族最後の生き残りをワシは13年前に託されて、今日までこの家で育ててきたのじゃ。

 じゃが、託していった者の予言によれば13年後の今日この日にワシの家を勇者として訪ねてくる13歳の盗賊になりたい願望を持つ少女は世界を救う勇者じゃから、託された最後の生き残りを預けて楽隠居しちゃっても構わないとの事じゃったような、違っていたような内容じゃったから勇者として旅立つお主に預ける。よいな? わかったな?」

「うん。とりあえず、早いところ押しつけて楽になりたいって気持ちだけは、もの凄くよく分かったよお婆さん」

「ごほん。余計な言葉がめちゃくちゃ引っかかるが、わかって引き受けてくれるならそれでよい。今連れてくるから待っておれ」

 

 たったった・・・バタン。

 

 ーーーーきぃ~~~~~~~・・・・・・っ

 

 

「待たせたのぉ。この子が古の一族、最後の生き残りにして女神の血を受け継ぐ純血の巫女『エリス』じゃ」

 

 

 

 扉が開いて魔法おばあちゃんと共に出て来たのは、銀髪ロングヘアーに羽根飾りのついたシスター服。控えめだけど形のいいオッパイと、優しそうな青色のタレ目をしている女の子。

 

 遙かな昔、この異世界に転生させてもらった時に生き分かれたはずの女神エリス様がーーー手錠と鉄球付きの足枷で拘束されながら出て来てボクと目があった。

 

 

 

「うふ。うふふふふふ、うふふふふふふふふふふふふふひひひひひひひひひひひひひ」

 

 

 暗い暗い穴の底で長い間、くるべき人を待ち続けて狂気に走っちゃった人の重い想いが、その笑い声には込められてたんだ。

 

 

 

 

 

 

「・・・とまぁ、そういう理由によりあの子は人目に触れさせることなく育てねばならず、誰かに見られたらマズいので『倒すべき人を倒せば、私はいるべき場所に帰れるはずなんです!』と叫んで外に出たがるあの子を、ワシは13年間ずっと隔離し続けなければならなかった訳じゃ。

 ・・・大変だったんじゃぞ~? 毎日のように脱走しては誰かを倒しにいこうとするのを魔法使った全力戦闘で倒して地下牢へと戻さなくてはならない日々・・・。

 おまけにあの子は魔力がバカ高く、ワシ程度の魔法で拘束し続けるのも倒し続けるのも限界に達してきておる。

 温厚な性格故に攻撃魔法が得意ではなかったから良かったものの、それさえ使いこなせるようなってしまえばワシどころか魔王でさえも危うい少女など老い先短い年寄りに預け続けるものではない。

 ーーだから、頼む勇者よ。あの子を引き取ってワシを幸せにしてやってはもらえぬか・・・? この通りじゃ・・・」

 

「旅立つ時から一緒に過ごすヒロイン枠の美少女プリーストから命を狙われながらのスタートか~。うーん、斬新だなー」

 

 

 ボクと魔法オババさんの二人は瓦礫の山と化したオババさんちの屋根(だった物)に座って感慨深げに話してた。

 

 エリス様は久しぶりの再会でハシャぎ疲れたのか、ボクの足下でグルグル巻きになって「うー!うー!」言ってる。盗賊サイキョー!

 

 

「いや~、前途多難な旅のはじまりだー。どうなることやら不安と心配で押しつぶされそうだよね、うんうん」

「・・・そう言うのであれば、縛られて動けないエリスのスカートめくって尻を撫でるの止めてやったらどうなのじゃ・・・? 完全に恨み度MAX越えすぎとるじゃろ、エリスからお主への好感度・・・」

 

 う~ん、この手触り・・・イイねぇー♪

 

 

 

「うー!うー! ううううぅぅーーーっ!!(お尻の仇は必ず取りますからねーっ!)」



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復帰回「原作回帰の2巻目1章目のお話だよ♪」

めちゃくちゃ久しぶりに更新しました。話の内容自体はめっちゃ前から思いついてたんですけど、なぜか書けずにいたんですよね…迷走してたのがトラウマになってたのかもしれません。いつまでも思いついてるネタをデジャブるのも面倒ですので書いて出してスッキリしたいと思います。
原作2巻が元ネタの話ですが、別物としてお読みください。


 ゆ~き~や~コンコン♪ アラレや~コンコン♪

 降って~も、降って~も、ま~だ~降~り止~まぬ♪

 い~ぬ~は喜び、庭駆け回り~♪

 ボ~クは嬉しくなって走り出す!!!

 

 

 ――と言うわけで雪だよ! 冬だよ! 駆け出し冒険者の街アクセルにも雪の降る冬の季節がやってきたんだよ! テンション上がるね! 楽しいね!

 今のボクは箸が転んでも雪が降っても楽しくて笑える銀髪の巨乳盗賊クリスだよ☆

 

「わーっ♪ 見てみてアクア様にエリス様ーっ! 雪だよ雪! 綺麗だね~・・・。

 なんだか雪って見てるだけで元気が出てくると思わない?」

 

 ボクがいつも通りに半ズボン姿で街の中を駆けずり回ってから到着した冒険者ギルドの食堂のいつもの席で座ってる二人の女神様にそう話しかけたところ。

 

 

 

「「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(ズ~~~~~~~~~~~~~ン・・・・・・・・・・・・)」」

 

 

 

 ・・・あれあれ~? なんかスッゴく暗い雰囲気に包まれちゃってるよー? これだとボクってもしかして浮いちゃってな~い?

 

「いえ、大丈夫ですクリスさん。貴女はいつどこでだろうと確実に浮いてる人ですから」

「ナイスツッコミ! さすがはルナさん、寒いときでもキャラを崩さない萌えポイントに痺れる! あこがれ~る♪

 ――と言うわけなんで、雪中デートしてください。お金払う準備は出来てますから」

「・・・その潔すぎる変態さんなところを直してくれたら、少しだけ考えて差し上げます。では、失礼」

 

 相変わらずクールなルナさんは、通りすがりでツッコミ入れて仕事に戻っていっちゃった。うーん、残念。後ちょっとでイケたと思うんだけどなぁ。

 まぁ、いいや。変態なところを直したら考えてくれるって言ってたし、それぐらいなら少しだけの努力で余裕でイケるよね!? ボク真面目でいい子だから! ちょっとだけ変態さんなところがあるだけだから!

 

「・・・っと、忘れてた忘れてた。めっがみ様~☆ どうしたのー? 元気ないよー? なにか悩み事あるの? あったら聞くよ? ボクはこれでもクラスのご意見番として相談を受けること多かったからね! 今一番ホットなパンツの柄はなんだと思いますかとかの質問をさ!」

「・・・・・・・・・いのよ」

「ん?」

「・・・・・・・・・ないのよ」

 

 うつむいてる二人の内、アクア様の方がうつむいたまま声だけ答えを返してくれた。意味は分からなかったけどね。

 

「ないって・・・・・・何が?」

 

 

「お金と仕事以外に私たちが求める物が他にあると思ってんのアンタは―――――っ!?」

 

 

 どっか―――っん!

 アクア様大爆発! 大激怒! でも大魔神がお仕置きに来る気配はありません! よかったね☆

 

「・・・って、仕事? 仕事ないって・・・どゆこと?」

 

 ?マークを頭の上に乱舞させながらボクが聞くと、アクア様が暗い顔してクエストが張り出してあるギルドの掲示板を指さすから見に行ってみる。

 

 ドラドラ?

 

「牧場を襲う白狼の群れの討伐、百万エリス。

 冬眠から覚めてしまった一撃熊が畑に出没。討伐なら二百万、追い払うなら五十万・・・。

 なるほどね~。確かにこれはアクア様とエリス様の二人じゃキツそうだね~。まぁ、ボクがいたってあんまり変わりそうにないけども」

 

 ぶっちゃけ二人って、討伐依頼には向いてないアークプリーストコンビだもんね。どっちかだけでもアークウィザードを選んでいたら別だったんだけど、アクア様は知力低いし、エリス様は女神っぽい聖職者にこだわりもってるしで選べる余地最初からなかった。

 選べなかったんじゃ―、しゃーないしゃーない。諦めてお鍋でもつついて冬を仲良く乗り切りましょー♪

 

「・・・そうなのよ・・・このままだと借金が・・・未払いが・・・借り入れた冬服のローンの支払い期限がもうすぐそこまで迫ってきてるって言うのにーっ!?」

「いつも思うんだけど、なんでそんなにまでして借金増やすことに精を出そうとしてるの? アクア様って」

 

 普通に考えたら、もう少し計画的にお金の貸し借りするようになるぐらい失敗してきたよね? 知力が低すぎるからって理由で繰り返すには限度がある回数をそろそろ超えすぎてるよね? 割と本気でなんでなのん?

 

 

「うふ、ウフ、うふふふふふふ・・・・・・借金・・・貧乏、極貧生活・・・この私が、この幸運の女神である女神エリスが借金まみれの貧乏人生活を送っているなんて・・・うふふ、あははは・・・・・・」

「ちょ、ちょっとエリス・・・? 大丈夫なの? アンタまた暗黒面に落ちかかってるわよ?

 お嬢様暮らしで耐性なかったって言っても、いい加減慣れてきてもいい頃合いだろうし、今度は暴走したりしないで欲しいんだけど・・・?」

「うふふ・・・大丈夫ですよ先輩・・・私はただ、この前路地裏で見つけた道具屋さんに『今履いてるパンツを売ってくれたら五万エリス払ってあげてもいい』って言われたから、パンツすら持ってない可愛そうなお爺さんに慈悲を与えに行ってくるだけ・・・決して暗黒面に落ちたりなんか私はしませ―――」

「正気に戻れバカ女神! 道を踏み外すにも程があるぞ!(バゴォッ!!)」

「ぐほぁっ!? ・・・って、はっ!? わ、私はいったい今なにを・・・そしてここはどこですか!? 私は誰ですか!? もうこれ以上は食べられませんよ先輩!?」

「・・・もう一発いく?」

「・・・・・・すいません。反省しております・・・」

 

 それまで黙りこくって俯いていたエリス様が、ここへ来てようやく発言した内容が上記のコレ。

 うん、軽く末期っちゃってるねぇー。最近だといつものことだけど。

 

「・・・・・・仕方ありません。こうなるとは思っていませんでしたが・・・こうなってしまってはやむを得ないでしょう。先輩、最後の手段に出るときです」

「エリス!? 何かいい打開策を思いついたの!?」

 

 なにか策士って言うか軍師っぽいノリで言い出してるけど、ボクと出会って途中からのエリス様って、けっこう脳筋で頭悪い猪突猛進に走り出しまくってるイメージがあるんだけども。今回は例外だったりするのかな~?

 

「片っ端から報酬が高いクエストを全部引き受けましょう! たとえ一つしか達成できなかったとしても、キャンセル料を含めて他の全部を払い終えてなお一定額は残るようなハイ難度クエストなら、一発で今までの失敗すべてをチャラに出来ます!

 追い詰められたからには、最後の賭けに打って出るべきなんです! 私たちにはそれ以外に道は残っていません!」

「それ、完全敗北フラグの頂点に位置する言葉なんじゃない?」

 

 大河ドラマとか、アルスラーン戦記とか、三国志とか。あと、フレーゲル男爵とかさ。

 

「!!!! ・・・ええ、そうねエリス。私は今ようやく本来の自分と再会した気分だわ。これほど高揚した自分に出会うのは何ヶ月ぶりかしら・・・? 久しぶりに切れちまって本気を出したくなるほどに・・・」

 

 え~? さっきのアレで覚醒しちゃうのアクア様? どんだけー?

 

「そうよ、私たちは女神! 天高く、地の果てまでその名を轟かせた全てを統べる女神二人が手を組んで恐れるものなどあるはずがない!」

「そうです先輩! 私たち女神の前ではどんな大軍だろうと裸足で逃げ出し、あらゆる魔王が許しを乞うのが当然の結果なんです! 私たちはただ眼前に立ちふさがる敵をゴッドブローで打ち砕く! それだけでいいんです! 簡単な話じゃないですか!? もはや勝ったも同然です!」

「ええ! まったくその通りだわエリス! だって私たちは至高の存在! 女神!!」

 

 

「「勝利とは、我らが唯一進み征く道の名前なり!! いざ尋常にクエスト受領――っ!!」」

 

 

 どどどどどどどど―――っ!!!!

 

 ・・・砂塵轟かせながら行っちゃった~、冬なのにね。

 うーん、こういうのってなんて言うものなんだろうね? 所謂ひとつの・・・・・・。

 

 

 

「「・・・・・・・・・全部、ダメでした・・・(だったわ・・・)」」

 

 

 ・・・破滅するおバカフラグ?

 

「ああ~・・・、これでホントの本気で後がなくなっちゃったわ、どうしようーっ!?

 明日までに最低でも五万エリスを納めないと私の肝臓片方なくなっちゃうかもしれないのにーっ!?

 ・・・いや、有りかもしれないわねコレ。無くなっても私アークプリーストだから魔法で再生できるし、人工臓器売買イケそうなんじゃない?」

「普通に捕まると思うよ?」

 

 むしろ、タダ働きで人工臓器製造マシーンをやらされちゃいそうな予感。ダークなエンディングのエロゲは、ボク好みじゃないのでやめてください。

 

「こ、こうなったらやはりパ、パンツを売るしか他に手はないのでしょうか・・・?」

「だから落ち着け変態女神! 冷静になれ! アンタは誇りだけじゃなくパンツまで売り払っちゃったら本気でなんも残らないわよ!?」

「人は誇りで生きていくことは出来ません! 誇りは食べることが出来ないんです先輩! 食べ物を得るため、時に人は自らのパンツを売り払うときだってあるんです!」

「生きるために売るパンツって何!? てゆーか、パンツを売って生きながらえた命でアンタなにして生きるつもりなのよ!?」

「パンツがなくても私は死にません―――っ!!!」

 

 突如始まった、美少女女神さま二人によるおパンツ会議。

 女の子二人が「パンツ、パンツ」言い合うのを聞いてるのって気持ちがいいし、楽しいよね~♪ 癒やされるわ~♡

 

 んー・・・、でも確かにこのままだとエリス様かアクア様のどちらかが肝臓とパンツのどっちかを売らなくちゃいけなくなっちゃいそうだな。それはイヤだな。すごく、すごくイヤな展開だな。

 エリス様のおパンツはボクだけの物なんだい! アクア様の生オケツはボクだけが見続けていたんだい! ――あれ? アクア様の場合は肝臓だからオケツは失われないのかな? ま、別にいっか。難しいことは気にしない! ボク馬鹿だから!

 

「んじゃ、そういう訳なんで。ちょっと行ってきまーす。お留守番よろしく~☆」

「え? あ、ちょっと待っ――行っちゃったわね・・・・・・」

「クリスさん、どこへ行かれたんでしょう?」

「さぁね。まぁあのバカのことだから心配するだけ無駄だろうし、どうせおバカなとこしか行かないだろうし。それに何より早く済ませて帰ってくるわよきっとね。

 アイツ、なんだかんだ言って私たちにベタ惚れしてることだけは嘘じゃないんだから―――」

「ただいま! いま帰ってきたよ!!!」

「早すぎるわ! アンタ本当に早すぎるわね帰ってくるの! マジでビックリ仰天させられるわよ!」

 

 怒られちった。ま、別にいいや。女の子に怒られるのは、気持ちいいしね☆

 

「そんなことよりお土産だよ! ほら! 五万エリス! 手に入れてきてあげたから、これでエリス様のおパンツも、アクア様の肝臓も売らなくて済むよね!?」

「え!? 嘘!? ・・・あ、本当に五万エリス入ってる!? しかも二人分ずつだから10万エリスだし!? アンタこれ一体どこで手に入れ――――」

 

 

「この前見つけた路地裏の道具屋さんにパンツ売って払ってもらった!! 一週間以上履き続けた脱ぎたてホヤホヤおパンツだったら倍額だすって前から言われてたし、10万エリスぐらい余裕のよっちゃんだよ!!」

 

 

 スパコ―――――――――――――ッン!!!!!

 

 

「アンタに羞恥心と人として最低限の誇りとプライドは存在しないのか―――っ!?」

「失敬な! そう言うのがあるからこそ、恥ずかしくって屈辱的で気持ちいいんじゃん!?

 羞恥心のない巨乳美少女の全裸なんてちっとも萌えないよ! ただ起っちゃうだけだよ!」

「同じだ―――――――――っ!!!!!」

「ご、五万エリスということは・・・、一週間履き続けて10万エリスと言うことは・・・、もし、もしも一ヶ月間履き続けたパパ、パンティーだったら・・・いったい、いくらの値段に・・・(ゴクリ)」

「この駄女神! 変態女神! 正気に戻れノーパン女神志望の露出狂信者女神――っ!!」

「現役ノーパン女神の先輩にだけは言われたくないですよ―――――っだ!?」

 

 やいのやいの。

 雪の降る寒い冬になっても、駆け出し冒険者の街アクセルに住んでる二人の女神様は元気みたいです。

 

 

つづく




ちなみにクリス自身は働けない冬に備えて、冬前から貯蓄してました。
変なところだけまともなTS主人公です。


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