雁夜おじさんが○○を召喚しました (残月)
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破壊大帝

 

 

間桐家の屋敷の地下に二人の男の姿があった。

 

 

一人は黒いパーカーを着た白髪の男。

 

もう一人は和服を着たどこか化け物染みた雰囲気を纏った老人。

 

白髪の男は魔法陣らしきものに手をかざしながら呪文のようなものを詠唱していた。

 

 

「ぐっ……がっ……」

 

 

呪文の言葉を詠唱する度に、白髪の男『間桐雁夜』の体に激痛が走った。

 

 

体の至る所から血を流し、端から見ている者の方が気分を害してしまう程に。

 

 

しかし雁夜は詠唱をやめなかった。

 

雁夜には果たさねばならない誓いが有った。

 

叶わなければならぬ願いが思いが有った。

 

守らねばならぬ少女が居た。

 

 

それら全てが雁夜を突き動かし、今にも壊れそうな体を支えていた

 

唱えていた呪文が終わり、地下室に描かれた陣から光が増し、地下室を照らした。

 

召喚に上手くいっていたのか隣に居た老人『間桐臓硯』は皺だらけの顔を歪ませ笑った。

 

 

光が収まり、描かれた陣の中心には自身が召喚したサーヴァントが居た。

 

 

「ん~……?何処だ此処?」

「なっ!?」

 

 

召喚したサーヴァントは雁夜や臓硯の予想を遥かに上回る存在だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◆◇◆◇

 

 

 

 

 

 

 

 

 

日が沈みきった倉庫街にて二人の騎士がお互いの技と力をぶつけ合っていた

 

一人は長短異なる二本の槍を操るランサー。

対するは小柄で可憐な少女でありながらも最優のセイバー。

どちらも互いに英雄を関する名を持つサーヴァント。

戦いは一進一退の互角。

 

 

「流石だな、セイバー。最優のサーヴァントの名に違わぬ見事な力だ」

「貴殿の槍捌きこそ称賛に値する。貴方のような騎士との勝負に名乗りすら許されないことが悔やまれる」

「それは光栄だなセイバー」

 

 

互いの技を讃え合うセイバーとランサー。

しかし、その戦いに更なる乱入者が現れた。自分のマスターを引き連れて(無理矢理)現れたライダーである。

そしてライダーは驚くべき提案をする。

なんとライダーはセイバーとランサーを配下に加えようと勧誘したのだ。

 

 

「俺が聖杯を捧げると決めたマスターはただ一人。それは断じて貴様ではないぞライダー!」

「そもそも貴様はそんな事を言いに現れたのか。戯れ言が過ぎるぞ!」

 

 

ライダーの勧誘に二人の英霊は怒りと共にそれを断る。

その時だった。

 

 

「え~事、言うなぁ!」

 

 

ズシンズシンと地鳴りがするほどの足音と共にこの場に居る者以外の声が鳴り響いたのだ。

 

 

「ホップ!ステップ!ジャーンプ!うむ、見事な着地だ俺様10.00」

 

 

その場に居た者は呆然とするしかなかった。

突然、紫色の巨大なティラノサウルスがジャンプしながら来て、喋って、自分で自分のジャンプの得点をつけて評価してるのだから。

 

 

「征服王、アレに誘いは掛けんのか?」

「流石の余も恐竜は従えた事が無いのぅ」

 

 

ランサーの問い掛けに髭を弄りながら呟くライダー。

 

 

 

「き、貴様何者だ!?」

 

 

セイバーは警戒を露わにして剣を構える。

 

 

「ガッハッハッ、 俺様を知らぬか!良かろうならば名乗ろう俺様は破壊大帝メガトロン様だ!ガーハッハッハッ!カーッペッ!」

 

 

セイバーの問いに何故かテンションが上がった恐竜は大声で自己紹介した後に痰を吐いた。

 

 

「……濃いわね」

「……濃いなぁ」

 

 

アイリスフィールとウェイバーのマスターコンビは溜息を吐きながら同じ意見を出した。

 

 

「破壊大帝メガトロンか、そりゃあ面白い!」

 

 

メガトロンの態度にライダーは豪快に笑い返した。

 

 

「さぁて、戦争を始めるか。メガトロン変っ身、ウオオォォォォォォッ!」

 

 

メガトロンは叫ぶ声と共に変身を開始する。

恐竜のボディが割れたかと思えば中から機械部分が飛び出し、人型に変形した。

 

 

「なっ!?」

「面妖なっ!?」

「機械っ!?」

「なんなんだよ、コイツ!?」

「豪快だのう」

 

 

ランサー、セイバー、アイリスフィール、ウェイバー、ライダーの順に言葉が漏れる。

 

第四次聖杯戦争に異世界の破壊大帝が降臨し、今回の聖杯戦争が一体の恐竜に振り回されたのは言うまでも無い。




今回は以前、書いた短編を移植しました。
ビーストウォーズより『メガトロン』


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甦る銃剣

間桐家の屋敷の地下に二人の男の姿があった。

 

一人は黒いパーカーを着た白髪の男。

 

もう一人は和服を着たどこか化け物染みた雰囲気を纏った老人。

 

白髪の男は魔法陣らしきものに手をかざしながら呪文のようなものを詠唱していた。

 

 

「ぐっ……がっ……」

 

 

呪文の言葉を詠唱する度に、白髪の男『間桐雁夜』の体に激痛が走った。

体の至る所から血を流し、端から見ている者の方が気分を害してしまう程に。

 

 

しかし雁夜は詠唱をやめなかった。

 

雁夜には果たさねばならない誓いが有った。

 

叶わなければならぬ願いが思いが有った。

 

守らねばならぬ少女が居た。

 

 

それら全てが雁夜を突き動かし、今にも壊れそうな体を支えていた。

唱えていた呪文が終わり、地下室に描かれた陣から光が増し、地下室を照らした。

召喚に選んだのは『狂化』のステータスを付属できるバーサーカーだった。

召喚に上手くいっていたのか隣に居た老人『間桐臓硯』は皺だらけの顔を歪ませ笑った。

 

 

しかし、それも束の間。

 

地下室に本のページのようなものが光を巻き上げながら渦を巻いて地下室の壁や床に貼り付いていく。

 

 

「な、なんだコレは!?」

 

 

雁夜が驚きの声を上げると渦の中心から人が歩み寄る。

その姿は教会の神父の格好で丸眼鏡を掛けた男性だった。

しかし彼から迸る殺気は只の神父で無いことを物語っていた。

 

「ほほぅ……雁夜ごときが召喚したにしては中々のサーヴァントの様じゃな」

 

 

臓硯は愉快そうに笑みを浮かべていた。しかし浮かべた笑みは直ぐに消える事になる。

召喚したサーヴァントは手に持つ銃剣で臓硯の身体を引き裂いたのだから。

 

 

「カカカッ!サーヴァント風情がワシを殺そうとするとはな」

 

 

皺だらけの顔を歪ませ笑う臓硯にサーヴァントは初めて口を開く。

 

 

「ガタガタ喋るな。無事で済むと思うなよ、化け物共にも劣る蟲が!」

 

 

サーヴァントは憎しみ籠もった声で臓硯を睨むと手にした銃剣で再度、臓硯を切り裂く。

 

 

「無駄じゃ無駄じゃ!ワシは不死身じゃ!」

 

 

愉快そうにサーヴァントの行動を笑う臓硯だったが、その直後。

臓硯は悲鳴を上げた。

 

 

「ば、馬鹿な!?何故再生されん!?」

 

 

なんと臓硯の体が崩れ始めた。

臓硯の体を構成する蟲達が苦しみ始め、体を保てなくなってきたのだ。

 

 

「貴様の様なフリークス(化物)を殺すための結界と神の加護を受けた銃剣だ。貴様の言う不死身など、あの吸血鬼に比べれば塵も同然よ」

 

 

どちらが悪役か解らなくなる様な笑みを浮かべるサーヴァントはトドメとばかりに無数の銃剣を臓硯に投擲する。

 

自身の視界を埋め尽くす程の銃剣。

それが間桐臓硯が見た最後の光景となった。

それに対して雁夜は呆然としていた。

 

まさか自分が召喚したサーヴァントが自分が憎む対象の一人を殺してしまったのだから

 

 

 

「お、お前はバーサーカー……なのか?」

「正解です、マスター」

 

 

雁夜の質問に先程とは打って変わり和やかに対応するサーヴァント。

 

 

「しかし私がキミを『マスター』と呼ぶのは今ので最後。私とキミは令呪の契約で主従となったが私が仕えるのは我が神のみ」

「バーサーカー……お前はいったい何者なんだ?」

 

 

何度目かになる雁夜の疑問にサーヴァントは二刀の銃剣を組み合わせ、十字架を象る。

 

 

「私は……ヴァチカン法王庁第13課イスカリオテ、アレクサンド・アンデルセン」

 

 

そして宣言する。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

──我らは神の代理人──

 

 

 

 

──神罰の地上代行者──

 

 

 

 

──我らが使命は我が神に逆らう愚者を──

 

 

 

 

──その肉の最後の一片までも絶滅すること──

 

 

 

 

 

──amen──

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

冬木の地に銃剣は蘇った。

 

 

 

 

 

アレクサンド・アンデルセンという銃剣が。

 

 

 




今回は『ヘルシング』より『アレクサンド・アンデルセン』でした。


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バーサーカーの冷徹

 

 

 

間桐家の屋敷の地下に二人の男の姿があった。

 

一人は黒いパーカーを着た白髪の男。

 

もう一人は和服を着たどこか化け物染みた雰囲気を纏った老人。

 

白髪の男は魔法陣らしきものに手をかざしながら呪文のようなものを詠唱していた。

 

 

「ぐっ……がっ……」

 

 

呪文の言葉を詠唱する度に、白髪の男『間桐雁夜』の体に激痛が走った。

体の至る所から血を流し、端から見ている者の方が気分を害してしまう程に。

 

 

しかし雁夜は詠唱をやめなかった。

 

雁夜には果たさねばならない誓いが有った。

 

叶わなければならぬ願いが思いが有った。

 

守らねばならぬ少女が居た。

 

 

それら全てが雁夜を突き動かし、今にも壊れそうな体を支えていた。

唱えていた呪文が終わり、地下室に描かれた陣から光が増し、地下室を照らした。

召喚に選んだのは『狂化』のステータスを付属できるバーサーカーだった。

召喚に上手くいっていたのか隣に居た老人『間桐臓硯』は皺だらけの顔を歪ませ笑った。

しかし、ここで予想外の出来事が起きた。

 

 

「……………………あ?」

 

 

召喚されたバーサーカーは鬼だった。

何を言っているか意味不明になるだろうが目の前に居るのは何処からどう見ても『鬼』だ。

 

頭から生えた一本の角に黒い着物。鋭い目付きに足元には巨大な金棒がある。

何故か、大量の巻物や書類を抱えたまま召喚されたバーサーカーは雁夜を視認してから0.3秒でメンチ切りをしてきた。

 

 

「何処ですか此処は?」

「な、喋った!?」

 

 

バーサーカーが喋った事に雁夜は驚愕し絶望した。バーサーカーならば理性など無い筈だ。

しかしこのバーサーカーは辺りの様子を眺め、何かを思案しているように見える。更に持っていた書類や巻物を読み返してフムフムと考え事をしている。バーサーカーなら本来ならば理性など無いはず。つまり狂化が失敗した、もしくはバーサーカーではない他のクラスのサーヴァントを召喚してしまった事に他ならない。

 

 

「哀れじゃのう、雁夜。召喚もマトモに出来ぬとは」

「ぐ……この……」

「ええ、そうです。現世に喚ばれてしまいまして。それはそうと閻魔大王、以前作成したブラックリストに……」

 

 

臓硯が皮肉たっぷりに雁夜を笑う。悔しさに歯軋りを鳴らそうとした雁夜だがその場の違和感に気付く。

バーサーカーが臓硯の後ろで携帯電話で話をしているのだ。

しかも会話の中に『閻魔大王』と危険なキーワードがさらりと混ざっていた。

 

 

雁夜をバカにしていた臓硯はその事に気付かずに召喚されたサーヴァントに近寄り、じろじろと見る。

バーサーカーは話が終わったのか携帯電話を懐に仕舞うと臓硯を見返すだけだった。

 

 

「雁夜が喚びだしたサーヴァントらしいは、このボンクラが……」

「アナタ……間桐臓硯さんですね?」

 

 

臓硯が目の前のサーヴァントをバカにしようとした時、会話を遮る様にサーヴァントが口を開いた。まだこちらの名前すら話していないのになぜこのサーヴァントは知っているのか。雁夜は驚き、臓硯も同様に驚いたのだが眉をピクリと上げただけで騒ぎはしなかった。

 

 

「ほお………儂の名を知っているとは……貴様、何者じゃ」

「申し遅れました。私は閻魔大王の補佐官を勤めています『鬼灯』と申します」

 

臓硯の問い掛けにサーヴァント改めて『鬼灯』は自己紹介をした。

その自己紹介に雁夜も臓硯も開いた口が塞がらない状態となった。

 

 

「え、閻魔……大王の補佐官?」

「官房長官みたいなもんですよ、地味地味」

 

 

雁夜の呟きに鬼灯は手を振りながら謙遜なのか自慢なのか分からない対応をする。

 

 

「ほほぅ……閻魔大王の補佐官と言い張るか。まさか、かの閻魔大王が実在するのか?」

「ええ、よく仕事をサボる怠慢なヒゲです」

「いや、お前の上司じゃないのか!?」

 

 

臓硯の呟きに私情100%の見解を答える鬼灯に雁夜はツッコミを入れた。仮に地獄が存在するとして、そのトップの閻魔大王をヒゲ呼ばわりする姿勢は上司と部下の関係を逸脱していた。

 

 

「ふん、まあよい。精々、聖杯戦争に励むがよいわ」

「ああ、それなんですが」

 

 

吐き捨てる様に臓硯は鬼灯に告げる。戯れ言には付き合わないと言う意味なのか。

それを見た鬼灯は袖から巻物を取り出すと広げて読み始める。

 

「およそ、60年に一度の割合で冬木で聖杯戦争をしていますね?その度に死因がハッキリしない亡者が出てきて困ってるんですよ。それに事実の隠蔽をしているから罪も加算されていますよ」

「待て、バーサーカー……それは?」

 

 

鬼灯が巻物を読み上げると過去にあった聖杯戦争で死んだ者やその時に行われた事態について描かれていた。その内容に臓硯ですら言葉を失っている。

 

 

「これは所謂る『閻魔帳』です。コレには間桐臓硯さんの罪が記載されています。それも臓硯さん、アナタ寿命を外法で伸ばしてますね。困るんですよ定められた寿命を改竄するのは……その事も含めて間桐臓硯さん、アナタの死後は阿鼻地獄が決定されています。死後はお楽しみに」

 

 

※阿鼻地獄は地獄の最下層にある最も恐ろしいところ。重罪人が裁かれる中でも最大にキツい地獄と言われている。

 

 

「な、なんじゃと!?待て貴様……」

「さて、間桐雁夜さん」

 

 

狼狽する臓硯を無視して鬼灯は雁夜と向かい合う。

 

 

「不本意ながら私はアナタのサーヴァントとして召喚されました。真名は『鬼灯』クラスは『バーサーカー』聖杯戦争の間だけのお付き合いとなりますが、どうぞヨロシクお願いします」

「あ、ああ。俺は間桐雁夜、キミのマスターだ」

 

 

名乗りながら差し出された右手に雁夜は咄嗟に握手を返す。

最初はどうなる事かと心配した雁夜だがこれは当たりなサーヴァントを引き当てたのではと思い始めていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

しかし雁夜は知らなかった。この鬼の所業を。

上司にあたる閻魔大王にも容赦ない制裁を加え、サタンやベルゼブブ、イザナミ等の他国の重鎮、上位者に対しても媚びることなく丁寧にさりげなく格下にあしらうなど、誰に対してもドSで情け容赦ない態度で接する鬼神である事を。

当たりなサーヴァントどころかパンドラの箱を引き当てたと、雁夜が思うのはまだ先のお話。




今回は『鬼灯の冷徹』より『鬼灯様』でした。


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妖怪、首置いてけ

 

間桐家の屋敷の地下に二人の男の姿があった。

 

一人は黒いパーカーを着た白髪の男。

 

もう一人は和服を着たどこか化け物染みた雰囲気を纏った老人。

 

白髪の男は魔法陣らしきものに手をかざしながら呪文のようなものを詠唱していた。

 

 

「ぐっ……がっ……」

 

 

呪文の言葉を詠唱する度に、白髪の男『間桐雁夜』の体に激痛が走った。

体の至る所から血を流し、端から見ている者の方が気分を害してしまう程に。

 

 

しかし雁夜は詠唱をやめなかった。

 

雁夜には果たさねばならない誓いが有った。

 

叶わなければならぬ願いが思いが有った。

 

守らねばならぬ少女が居た。

 

 

それら全てが雁夜を突き動かし、今にも壊れそうな体を支えていた。

唱えていた呪文が終わり、地下室に描かれた陣から光が増し、地下室を照らした。

召喚に選んだのは『狂化』のステータスを付属できるバーサーカーだった。

召喚に上手くいっていたのか隣に居た老人『間桐臓硯』は皺だらけの顔を歪ませ笑った。

 

 

「あ……なんじゃあ此処は?」

「……なっ!?」

 

 

雁夜は絶句した。呼び出した筈のサーヴァントは明らかに日本の武者だったのだから。

 

 

「……何だ。どこだ!此処は、お前は誰だ!」

「ま、待て……」

 

苦しむ雁夜を一別するとサーヴァントが手を前に突き出しなが雁夜の方へ向い、雁夜の襟首を掴み締め上げる。

 

 

「俺は帰るのだ、薩州へ!」

「薩州……貴様何者だ?」

 

 

サーヴァントに苦しめられる雁夜をニヤニヤと見ていた臓硯だがサーヴァントの発した『薩州』のフレーズに口を挟んだ。

 

 

「おいは……島津!島津豊久、島津家久が子じゃ!」

「島津豊久……?」

 

 

サーヴァントの叫びに雁夜は首を傾げた。島津豊久と言う名の英霊に心当りがなかったからだ

 

 

「島津……?誰?」

 

 

雁夜は島津と言われてピンと来ないまま首を傾げている。

 

 

「……島津……ああ、九州の?はじっこの?ものすごいド田舎の!?」

 

 

どうやら臓硯は長年蓄えた知識から日本の武者の名を思い出した様子で知識の棚から思い出した情報を少しずつだが出していく。

そんな様子を見た豊久は怒りと共に刀を構えていた。

 

 

「待て……少しだが思い出してきたぞ島津の家系を……」

 

 

雁夜の言葉に、豊久は「む!」と声を上げながら反応し、振り替える。

 

 

「たしか九州のはじっこの方の一族だったな。ははぁ……代々田舎の方々だな」

 

 

しかし、雁夜の口から出たのはフォローの言葉などではなく追い打ちの言葉だった。

 

 

「子孫代々、一族郎党、馬鹿にされた……全、員、殺、す!!」

「落ち着けバーサーカー!」

 

 

刀を振り回す豊久に雁夜は宥めようとするが意味はなさそうだ。

 

 

「貴様等の首を島津の墓の前にお供えにしてくれるわー!首置いてけー!」

「落ち着け、妖怪首置いてけ!」

「妖怪はお前だ爺!」

 

 

豊久に追いかけ回される臓硯と雁夜。

臓硯は豊久を『妖怪・首置いてけ』と言うが実際の所、妖怪は臓硯であり、雁夜は叫びながらツッコミを入れた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

オマケ

 

 

聖杯戦争が進む中、キャスターは何を思い違いをしたのか、セイバーをジャンヌ・ダルクと完全に思い込み、己の物にしようとつけ回していた。そして今、ここアインツベルン城にまで侵入してきたのだ。

 

 

(人質など———卑怯なッ)

 

内心に憎悪を爆発させ、セイバーが奥歯を砕かんばかりに噛み締める。キャスターに、数十人ものまだ幼い子供たちが朧気な表情で付き従っていた。魔術で操られているに違いない。罠を発動すれば、子どもたちを犠牲にしてしまう。キャスター一人を狙うことのできる指向性の罠などほとんどないし、あってもサーヴァントには痛くも痒くもないものだ。とどのつまり、この状況は人質を利用してセイバーを誘いだすためのものに他ならない。

こちらの逡巡を見透かし、再度笑みを浮かべたキャスターがパチンと指を鳴らす。途端、子どもたちは正気に戻って邪悪な男に怯え始める。

 

 

「さぁさぁ坊やたち、鬼ごっこを始めますよ。ルールは簡単。この私から逃げ切ればいいのです。さもなくば……」

「ひぃっ……」

 

 

言い終わらない内に、ローブの裾から手をするりと差し伸ばし、手近な所にいた一人の少年の頭に手を載せようとする。少年は怯え竦んだまま動けない。

 

 

「まさか……!?」

 

 

セイバーの鋭い直感スキルは、魔術師とは思えないその筋肉質な腕に最悪の事態を想像させる。同じ想像をしたのであろうアイリスフィールが息を呑んで目を見張る。

 

 

「やめ———!」

 

 

「やめろ」とセイバーが悲鳴じみた叫びを上げかけた、間に合わない。城の中に居るのでは助けに行く事も叶わない。

 

 

 

「オオオオオオオオオオオオオオオオオオオオァァァァァァァァァァァァァァァァァァッ!!」

「なっ!?」

「え?」

 

 

今まさに少年の頭を握り潰そうとしたキャスターだったが獣の様な叫び声にビクリと体を震わせて動きを止めてしまう。

それと同時に森の中から鉄砲玉の如く豊久が刀を振りかぶりキャスターに突進してきた。

その鋭い斬激に子供の頭を掴んでいたキャスターの片腕は切り落とされる。子供を庇い直ぐにキャスターから引き剥がすと豊久は切られた腕を押さえるキャスターを指差した。

 

「首置いてけ、なぁ!」

「き、貴様ぁ……」

 

鬼のような表情で叫び声を上げる豊久に、キャスターは怒りを露にしていた。

キャスターは支離滅裂な言葉を豊久に投げ掛けるが、豊久には何を言っているかは分からない。そもそもセイバーをジャンヌと間違えている段階でキャスターにマトモな思考は無いのだが豊久には知るよしもない。

 

 

「わがんねぇよぅ。何言ってんのかさっぱりわがらねぇ。日本語、日の本の言葉喋れよう」

 

 

そう言ってキャスターに迫る豊久は人のものではない。まるで鬼や妖怪の類いだ。

 

 

「日本語喋れねぇんなら……死ねよ」

「ぐぅ……おのれ、狂犬め……覚えていろよ!」

 

 

豊久のプレッシャーに負けたのかキャスターは魔道書を片手にその場から逃げ出した。

 

 

「ふん。子供を盾にしなきゃ戦えぬ奴の首なんかいらぬ」

 

 

鼻を鳴らしてキャスターの逃げた方角を睨む豊久。

そして豊久はクルリと振り返ると助けた子供達に微笑みかけた。

 

 

「おう、大丈夫だったかぁ?」

 

 

そう言って豊久は子供に笑いかける。

その笑みに子供達は少し驚いた。この人は怖いけどこんな顔もできるんだ、と。

 

 

「その子達は良いのかな?その子等も怯えて日の本語なんか喋れてないぞ。心の中じゃ「死ね」じゃないのか?」

 

 

茂みに隠れて場を見守っていた雁夜は茂みから姿を現してそう言う。そんな雁夜に、豊久は返す言葉がない。

すると豊久は一度、何かを悩む仕草を見せてから子供に向かって何かを教え始める。

 

 

「タスケテー。ほらくり返せってんだ、タスケテー」

 

 

突然の事に子供達は小首を傾げるか頭の上に?が浮かんでいる様だ。

 

 

「タスケテー、タスケテー!ほら言え!」

「タ、タスケテッ!」

「タスケテケテ—ッ、タスタスタスケテ—!」

 

 

豊久の剣幕に子供達は揃って「タスケテー」を繰り返した。

子供達数十人による「タスケテー」大合唱に豊久は満足したのかウムと自身の腕を組み。

 

 

「一、件、落、着!」

 

 

と叫んだ。

 

 

 

 

「凄いゴリ押しだな」

「一向衆並の凄い言いくるめを見ました」

 

 

そんな豊久の強引っぷりに、雁夜や現場に到着したセイバーは若干引き気みに豊久を見ていた。

 

 




今回は『ドリフターズ』より『島津豊久』
もう生粋のバーサーカーです。凶化スキル無しにバーサーカーです。


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婦警と精霊

 

 

 

 

間桐家の屋敷の地下に二人の男の姿があった。

 

一人は黒いパーカーを着た白髪の男。

 

もう一人は和服を着たどこか化け物染みた雰囲気を纏った老人。

 

白髪の男は魔法陣らしきものに手をかざしながら呪文のようなものを詠唱していた。

 

 

「ぐっ……がっ……」

 

 

呪文の言葉を詠唱する度に、白髪の男『間桐雁夜』の体に激痛が走った。

体の至る所から血を流し、端から見ている者の方が気分を害してしまう程に。

 

 

しかし雁夜は詠唱をやめなかった。

 

雁夜には果たさねばならない誓いが有った。

 

叶わなければならぬ願いが思いが有った。

 

守らねばならぬ少女が居た。

 

 

それら全てが雁夜を突き動かし、今にも壊れそうな体を支えていた。

唱えていた呪文が終わり、地下室に描かれた陣から光が増し、地下室を照らした。

召喚に選んだのは『狂化』のステータスを付属できるバーサーカーだった。

召喚に上手くいっていたのか隣に居た老人『間桐臓硯』は皺だらけの顔を歪ませ笑った。

 

しかし次の瞬間雁夜はポカーンと口を開いて自身が呼び出したサーヴァントを見る事になる。

召喚されたサーヴァントの姿はストッキングにスカート、上は作業着らしき服。胸元には、赤と黒のバッチを付けている。

髪は金髪でショートヘア、顔は年相応らしい顔つきをしてサーヴァントも呆気にとられた表情で雁夜を見ていた。

 

 

「え、えっと……何処ですか……此処?」

「しゃ、喋った!?」

 

 

呼び出したサーヴァントが口を聞いた事に驚く雁夜。雁夜が呼び出したサーヴァントはバーサーカーの筈。バーサーカーは『狂化』で通常のサーヴァントよりも高い力を得る。その代償としてバーサーカーは理性を失う筈なのだ。にも拘わらずバーサーカーが喋ったと言う事は召喚は失敗。若しくは『狂化』のスキルが付随されなかったのかもしれない。

対するサーヴァントも「え、私何か悪いことしました?」と不安気な表情で雁夜を見つめていた。

 

「あ~……コホン……キミは俺が召喚したサーヴァント……でいいのかな?」

「あ、はい。サーヴァント、バーサーカー召喚に応じました」

 

 

雁夜の問いに敬礼をしながら答えるバーサーカー。雁夜はその光景に貧弱なサーヴァント。しかも女性を呼び出したと溜め息を吐きたくなった。

 

 

「私の名はセラス。セラス・ヴィクトリア……吸血鬼です」

「ああ、俺は間桐雁夜。キミのマスターだ。そうか……吸血鬼か」

 

 

握手を交わしながらまずは互いの情報交換を始める雁夜とセラス。

 

 

「…………………って……え、吸血鬼?」

「はい。元は人間だったんですけど……噛まれちゃいました」

 

 

思考がクリアになった雁夜はセラスが吸血鬼だと言う事を再度、口にする。

対するセラスは吸血鬼の証明とばかりに笑顔になり牙を見せ、服のボタンを胸元まで外し首筋を見せた。其処には確かに吸血鬼に噛まれた後がクッキリと残っていた。

 

因みに胸元まで外したセラスの胸を見て雁夜は少し胸を見詰めてしまったのは仕方のない事だろうと雁夜は自問自答で自己完結した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

情報交換をするには夜も遅くなり過ぎたので一先ず、雁夜とセラスは休む事にした。

そして雁夜が眠りについた時、奴は現れた。

 

 

『雁夜…起きなさい……雁夜…』

「……ん……んうぅ……………」

 

 

寝静まった頃に呼び掛けられて雁夜は寝ぼけたまま起き上がる。其処には怪しげなオッサンが居た。

ハァー、ハァーと息を荒立てながら手をパタパタと動かしながら空を飛んでいた。

 

 

「…………アンタ………誰?」

『私はアナタのサーヴァントの宝具「ハルコンネン」の精です』

 

 

子供の夢をぶち壊しかねない精霊の登場に雁夜は叫びを上げながら逃げ出した。

 

 

「うわぁぁぁぁぁぁぁぁっ!?」

『ああッ逃げないで逃げないでっ!逃げないでって言うか引かないでっ!今日はガンバル雁夜に、このワタクシ応援をしにまいりました。さあこの精霊様になんでも言ってみんさい』

 

 

任せなさいと言わんばかりに自身の胸を叩く精霊。その際に口から心臓が飛び出たが何事の無かったかの様に話は進む。

 

 

「そ、それじゃ精霊さま……一つだけ聞きたいことがあります。俺の人生はもう不幸続きでヒドイ有様です……この先もずっと不幸にまみれる人生なのでしょうか……」

『……………………まーね』

 

 

雁夜の質問に精霊は鼻をほじりながら適当に答えた。

 

 

「うわああああん!」

『ま、待ちなさい雁夜!今のナシッ!ウソ!ノーカン!ノーカン!』

 

 

精霊のあまりに適当且つ希望も持てない言い様に雁夜は泣きながら走り去ろうとするが精霊はパニくりながらも雁夜を落ち着かせようとする。

 

 

『そんな事よりも雁夜。よくお聞き、寝ている場合じゃないのよ。今、君たちにはゴイスーなデンジャーが迫っているのだよ』

 

 

その場から逃げ出そうとしていた雁夜だが精霊の言葉に足を止めて振り返る。

 

 

「え、ゴイスーって?」

『すんごいって事』

「デンジャーって?」

『危険な事』

 

 

先程と違って雁夜の質問に答える精霊。しかもマジなのか目がグルグルと渦を巻き、雁夜に迫って行った。

 

 

 

「う、うわぁぁぁぁぁぁぁぁっ!?」

 

 

そこで雁夜は目を覚ました。

体が重く感じるのは寝汗でびっしょりと濡れたシャツの性なのか今ほど見たとんちんかんな悪夢の性なのか。

そう言えばマスターとサーヴァントは魔力のパスで繋がれているからサーヴァントの過去を夢として見ると聞いた事があると雁夜は思い出した。

ならば今のはソファの上で眠り、鼻提灯を作り『すやすや、すぴー』と幸せそうに涎を垂らしているサーヴァントの過去と言う事になる。

 

幸せそうに眠るセラスに雁夜は「本当にこんな可愛い娘で聖杯戦争に勝てるのかよ」と一抹の不安に駆られながら夜を過ごす事になった。

 

しかし雁夜は知らなかった。

セラス・ヴィクトリアがバーサーカーの名に恥じぬ程の存在である事を。




今回は『ヘルシング』より『セラス・ヴィクトリア』と『ハルコンネンの精』でした。


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紙袋の闇医者

 

間桐家の屋敷の地下に二人の男の姿があった。

一人は黒いパーカーを着た白髪の男。

もう一人は和服を着たどこか化け物染みた雰囲気を纏った老人。

白髪の男は魔法陣らしきものに手をかざしながら呪文のようなものを詠唱していた。

 

 

「ぐっ……がっ……」

 

 

呪文の言葉を詠唱する度に、白髪の男『間桐雁夜』の体に激痛が走った。

体の至る所から血を流し、端から見ている者の方が気分を害してしまう程に。

しかし雁夜は詠唱をやめなかった。

雁夜には果たさねばならない誓いが有った。

叶わなければならぬ願いが思いが有った。

守らねばならぬ少女が居た。

 

 

それら全てが雁夜を突き動かし、今にも壊れそうな体を支えていた

唱えていた呪文が終わり、地下室に描かれた陣から光が増し、地下室を照らした。

召喚に上手くいっていたのか隣に居た老人『間桐臓硯』は皺だらけの顔を歪ませ笑った。

 

 

光が収まり、描かれた陣の中心には自身が召喚したサーヴァントが居た。

 

 

「ん、ここ何処だ?」

 

 

魔法陣の中心に現れたのは白衣を纏い、妙に身長が高い男。それ以上に際立っているのがサーヴァントの顔だった。

サーヴァントは顔に何故か紙袋を被っているのだ。

 

 

「はて……此処は……おや、そこのアナタ!」

「え……お、俺?」

 

 

サーヴァントは雁夜の姿を視界に納めるとツカツカと歩みより、雁夜の顔に手を添える。

 

 

「顔の半分以上が壊死しています。他にも体の節々にガタが来てますね……」

「お前……わかるのか!?」

 

 

一目見ただけで雁夜の体の様子を把握したサーヴァントに雁夜は驚愕した。

確かに雁夜の体は刻印虫で内外問わずにボロボロになっている。

 

 

「私は医者ですからネ。では、早速手術をしなければ!」

「え、いや!?ちょっと待て!」

 

 

言うや否やサーヴァントは雁夜の手を引いて何もない空間から扉を出して、その中へと入ってしまう。そして扉を閉めると同時に扉はスッと姿を消した。

その光景に驚いたのはその場に残された臓硯だった。

 

何もかもがイレギュラー。

そう言わざるを得なかった。

まず召喚したのがバーサーカーなら狂化のスキルで喋ることは出来ない筈。にも拘らず先程のサーヴァントは普通に喋る。と言うか寧ろ饒舌だった。

他にも雁夜の体を一瞬で診察し、何もない空間から扉を出現させて別の場所に移動するなど大魔術の領域だ。

それを先程のサーヴァントは事無げもなくごくナチュラルに使用したのだ。

これを驚かずして何を驚けと言うのか。

 

 

「はーい!手術完了です。保険証はいりませんよ?」

「し、信じられない……まさか体が元に戻るなんて……」

「な、なんじゃと!?」

 

 

そして臓硯は更に驚かされる事になった。なんと雁夜の体が元に戻っているのだ。雁夜の体には刻印虫と呼ばれる虫が寄生している。それが雁夜の魔術回路を形成しているのだが、このバーサーカーは刻印虫を取り除いた上に魔術回路のみを残すと言うビックリ手術を成功させているのだ。最早、出鱈目の領域である。

 

 

「そ、そうだバーサーカー!この家に助けたい娘が居るんだ!お前のその医者としての腕前に頼みたい!」

「そう言われて医者として断れませんネ。そして患者がいるなら赴くのが医者の本分です!」

 

 

そう言うと雁夜とサーヴァントは地下室から出ていってしまう。臓硯はビックリ手術を完工したサーヴァントに驚いたまま呆然としていた。

これが臓硯の命運を分けた瞬間だった。

 

雁夜とサーヴァントは寝ていた桜を起こすと簡単に事情説明。その後、即手術となった。

そして桜の体を治すと桜の体からとんでもない物が出てきた。虫である。

桜の心臓と同化する様に虫が寄生していたのだ。それを確認したサーヴァントは蟲を除去し、桜の心臓を蘇生した。

一方の雁夜は臓硯が桜を苦しめる為に虫を仕込んだと判断し、苛つきと共に桜に寄生していた虫を殺した。

 

 

「ぎ、ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!?」

「な、なんだっ!?」

 

 

雁夜が虫を殺すと同時に地下室に居た筈の臓硯の悲鳴が轟く。雁夜は知らなかった事だが桜の心臓に寄生していた虫は臓硯の体を形成している虫達の本体。つまりは臓硯唯一の弱点だったのだ。臓硯はそれを誰の目の届かない場所へと隠そうとしたのだが今回はそれが仇となった。

雁夜は知らぬ内に憎い敵の一人を討ったのだった。

 

 

「ふぃー……手術完了です」

「!桜ちゃんは!?」

 

 

紙袋の上から汗を拭う仕草を見せるサーヴァントに詰め寄る雁夜。

 

 

「もう大丈夫ですヨ。あの娘の中の虫は全て取り除きました。今は麻酔で眠っていますが起きれば元気になる筈です。しかし……」

「……何かあるのか?」

 

 

何処か含みのあるサーヴァントの発言に雁夜は眉を潜める。

 

 

「心の病は外科医じゃ治せません。後はアナタ次第ですヨ」

「…………やはり桜ちゃんは……」

 

 

先程、桜を起こした時にサーヴァントは桜に幾つかの問診をしていた。その時に桜の心が壊れかけている事に気づいたのだ。

 

 

「やはり桜ちゃんは葵さんの所に返すべきなんだ……」

「……それは違いますヨ」

 

 

グッと拳を握った雁夜だがサーヴァントはそれを否定した。

 

 

「あの娘……桜さんが今まで壊れなかったのは雁夜さん、アナタが居たからなんですよ。今さら、元の家に返したから治るとは思えません」

「なら……どうすれば良いんだ!?」

 

 

サーヴァントの発言に雁夜は声を荒立てる。するとサーヴァントは雁夜の肩に手を置いた。

 

 

「それはこれから見付けましょう。聖杯戦争の間なら私もお手伝いしますヨ」

「お前……」

 

 

紙袋を被っているから表情は伺えないが……雁夜には目の前のサーヴァントが微笑んでる気がした。

 

 

「おっと……そう言えば名乗ってませんでしたね」

 

 

雁夜に『お前』と呼ばれたサーヴァントは思い出した様に自分の手のひらにポンと拳を落とした。

 

 

 

「私の名は『ファウスト』クラスはバーサーカーです。こんな成りですが医者ですヨ?」

 

 

ここに契約は完了した。

闇医者のバーサーカーはこの聖杯戦争に何をもたらすのか。

今夜はその物語の序章に過ぎなかった。

 

 




今回は『GUILTY GEAR』シリーズより『ファウスト』でした


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金髪のアフロでサングラス

 

 

間桐家の屋敷の地下に二人の男の姿があった。

 

 

一人は黒いパーカーを着た白髪の男。

 

もう一人は和服を着たどこか化け物染みた雰囲気を纏った老人。

 

白髪の男は魔法陣らしきものに手をかざしながら呪文のようなものを詠唱していた。

 

 

「ぐっ……がっ……」

 

 

呪文の言葉を詠唱する度に、白髪の男『間桐雁夜』の体に激痛が走った。

 

 

体の至る所から血を流し、端から見ている者の方が気分を害してしまう程に。

 

 

しかし雁夜は詠唱をやめなかった。

 

雁夜には果たさねばならない誓いが有った。

 

叶わなければならぬ願いが思いが有った。

 

守らねばならぬ少女が居た。

 

 

それら全てが雁夜を突き動かし、今にも壊れそうな体を支えていた

 

唱えていた呪文が終わり、地下室に描かれた陣から光が増し、地下室を照らした。

 

召喚に上手くいっていたのか隣に居た老人『間桐臓硯』は皺だらけの顔を歪ませ笑った。

 

 

光が収まり、描かれた陣の中心には自身が召喚したサーヴァントが居た。

 

 

「問うぞ、お前が俺のマスターか?」

「…………誰?」

 

 

 

雁夜の目の前には謎のサーヴァントが佇んでいた。

サングラスを掛け、妙に発達した筋肉。何より、一番目立つのは頭の金髪のアフロである。

 

 

「お、お前は何者なんだ……」

「俺か……ふ、俺はな……」

 

 

雁夜の問いにサーヴァントはニヤリと笑みを浮かべた。

 

 

「俺の名はボーボボ。ボボボーボ・ボーボボだ!」

「……………謎、多し」

 

 

ボーボボの叫びに雁夜は意識を失った。

 

 

「フン、所詮はクズか。マトモなサーヴァントも呼べぬとわ」

 

 

ボーボボを見た臓硯は鼻を鳴らし、雁夜を侮辱した。確かにサーヴァントを呼び出すつもりが得たいの知れない男を呼び出したのだから当然とも言えるかも知れないが。

 

 

「呆れたのはこっちだな。俺を呼び出した段階で聖杯戦争は勝ったも同然」

「な、なんじゃと!?」

 

 

ボーボボは雁夜を肩に担ぐと地下室から出て行こうとする。

 

 

「フン、貴様の様な凡才のサーヴァントに何ができる?」

「そう言うアンタは相手の力も見抜けないバカか」

 

 

睨み合うボーボボと臓硯。そんな中で雁夜が呻き声を上げる。

 

 

「勝てるのか……ボーボボ?聖杯戦争に?」

「勝てるさ。共に勝利を」

「フン、ならばワシは高みの見物とさせて貰おうかの」

 

 

雁夜の問いに勝てると断言したボーボボ。その言葉に雁夜は笑みを浮かべ、臓硯はやれるものならやってみろと笑った。

 

 

「ただし臓硯、テメーは駄目だ」

「え、なんで!?今の流れからしてOKじゃないの!?」

 

 

ボーボボはそのまま振り返らずに地下室を出ていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

オマケ

 

 

 

深夜の倉庫街で戦っていたセイバーとランサー。そこに乱入してきたライダーに何故かその場に普通に交ざったボーボボが居た。

そして姿を現したアーチャー。彼はアーチャーを見ていたボーボボを見つけると怒りを露にして宝具を展開した。宙に浮く二本の剣にその場の誰もが注目していた。

 

 

「貴様、誰の許しを得てこの我を見ている道化が。せめて散りざまでこの我を興じさせよ」

「フン、この程度か。この程度ならハレクラニの金の方がよっぽと恐かったぜ」

 

 

迫り来る剣を前にボーボボは鼻毛を伸ばして剣を打ち落とした。

 

 

「バカなっ!?」

「あの男、鼻毛で!?」

 

 

セイバーとランサーの顔が驚愕に染まる。今、目の前で起きた事が信じられないのだろう。

 

 

「おい、いったい何が起こったんだよ!?」

「見てわからんか、奴め鼻毛で宝具を弾きよったのよ。面白い事をする奴だ」

 

 

何が起きたのか呆然としたウェイバーにライダーが解説をする。ライダーも驚いたようだが面白さが勝った様だ。

 

 

「貴様っ!この我の財を鼻毛で弾くだとっ!?許さんぞ、その不敬万死に値するっ!」

「な、なんだよアレっ!?」

 

 

ボーボボのした事に憤怒と共にアーチャーの背後から無数の剣や斧、槍が顔を出す。あまりにも絶望的なアーチャーの力にウェイバーが叫んだ。

 

 

「フハハハハハハハッ!絶望しろ道化!」

「……………………」

 

 

アーチャーの笑い声に表情を崩さないボーボボ。サングラスで表情は窺えないが本当に絶望したのだろうか?その場に居た者達がそう思った時、ボーボボのアフロがパカッと開いた。

 

 

「ふん、ふふん……ふんふーん……」

 

 

何故か、開いたアフロの中にはピアノが設置されており、更に中で紙袋を被り、黒のビキニ一丁の男がピアノを鼻唄混じりに演奏していた。

 

 

「ふん、ふー……絶望ォォォォォッ!?絶望ォォォォォッ!!」

 

 

すると紙袋の男はピアノを弾き損ねたのか鍵盤に指を挟んだ。かなり痛そうである。

ボーボボは未だに叫ぶ紙袋の男を無視してパタンと開いたアフロを閉じた。

 

 

「………………なんだ、今のは?」

「絶望君だ」

 

 

その場がなんとも言えない空気に支配されている。その空気を破ったのはやはりアーチャーだった。

 

 

「ちっ……何だと時臣………貴様ごときの諫言で……いいだろう退いてやる。雑種共、次会う時には間引いておけ」

 

 

アーチャーは一方的に話を打ち切るとその場から退散してしまった。

 

 

「ふ……逃げたか。俺と対峙した奴は大抵、倒されるか、ああなる」

「ほう、腕に自信有りか?」

 

 

ボーボボの言葉にライダーが反応する。確かにこの得たいの知れないサーヴァントが何者なのか皆も知りたいのだろう。

 

 

 

「俺はかつての戦いでマルハーゲ帝国と戦い勝利を納めた。その中で勝てなかった相手は『しじみ』と『カレンダーの6月7日』だけだ」

「いや、むしろ弱いんじゃないのアナタ?」

 

 

ボーボボは何処か懐かしむ様に語るがアイリスフィールがツッコミを入れた。それはその場に居た全員が思った事だろう。




『ボボボーボ・ボーボボ』より主人公『ボーボボ』でした。
どこでオチにするか悩んだ挙げ句グダグダに……
連載初期のボーボボが『しじみ』に負けるシーンが個人的にツボでした。


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ターバンのガキ

 

 

 

 

間桐家の屋敷の地下に二人の男の姿があった。

 

一人は黒いパーカーを着た白髪の男。

 

もう一人は和服を着たどこか化け物染みた雰囲気を纏った老人。

 

白髪の男は魔法陣らしきものに手をかざしながら呪文のようなものを詠唱していた。

 

 

「ぐっ……がっ……」

 

 

呪文の言葉を詠唱する度に、白髪の男『間桐雁夜』の体に激痛が走った。

体の至る所から血を流し、端から見ている者の方が気分を害してしまう程に。

 

 

しかし雁夜は詠唱をやめなかった。

 

雁夜には果たさねばならない誓いが有った。

 

叶わなければならぬ願いが思いが有った。

 

守らねばならぬ少女が居た。

 

 

それら全てが雁夜を突き動かし、今にも壊れそうな体を支えていた。

唱えていた呪文が終わり、地下室に描かれた陣から光が増し、地下室を照らした。

召喚に選んだのは『狂化』のステータスを付属できるバーサーカーだった。

召喚に上手くいっていたのか隣に居た老人『間桐臓硯』は皺だらけの顔を歪ませ笑った。

 

 

「…………」

「こ、子供っ!?」

 

 

現れたサーヴァントに雁夜は驚愕する。現れたのは10歳ほどの少年で頭にターバンを巻いていた。

 

 

「かかかっどうやら外れを引いたようだの雁夜」

「ま、待てジジィ!」

 

 

呆気に取られていた雁夜だが臓硯の一言でフリーズから解ける。臓硯は地下室から外へと出ようとしていたのだ。

 

 

「かかかっ……雁夜よ、笑わせるな。ワシが桜の教育を止めると言ったのは貴様が勝つ可能性があるからじゃ。だがそんな屑サーヴァントでは一人も倒せずに終わるじゃろう。ならば無駄にした時間の分、桜の教育を進めねばならん」

「待てジジィ!って……アレ?」

 

 

臓硯の発言に雁夜は怒りを露にするがそこで自身が呼び足した少年サーヴァントが居ない事に気がつく。

その瞬間だった。

 

 

「えいっ!」

「ギャァァァァァァァァァッ!?」

 

 

なんと先程の少年サーヴァントが臓硯の右足に鋭利な刃物の様な物を突き刺していたのだ。

 

 

「ば、バカな……ワシの体は複数の虫で構成されておる……にも拘らず、普通に刃物を突き刺しおった……貴様、何者だ!」

 

 

臓硯の叫びに少年サーヴァントはただ無言だった。

 

 

 

 

 

 

◆◇倉庫街◇◆

 

 

 

「雑種共が……誰の許しを得て我を睨み付けている!」

 

 

人里離れた倉庫街でサーヴァント達の戦いが始まっていた。

セイバーとランサーの戦いは互角、そこに乱入したライダー。そして更にライダーの叫びにアーチャーが姿を現していた。

一触即発の雰囲気の中、アーチャーに品定めの視線を送っていたライダーがアーチャーの逆鱗に触れた。

次の瞬間、アーチャーの背後には無数の剣や槍が頭を覗かせる。それら全てがアーチャーの宝具であり、それがライダーに向けられていた。

 

 

「せめて散り様で我を興じさせよ雑種!」

 

 

アーチャーの叫びと共に剣や槍が射出されようとしたその時だった。

 

 

「えいっ!」

「ぐあっ!?」

 

 

小さな掛け声と共にアーチャーの右足に激痛が走る。視線を落とせばそこには頭にターバンを巻いた少年がアーチャーの右太ももに鋭利な刃物の様な物を突き刺していたのだ。

 

突然の攻撃、今この場に居ないのはアサシン、キャスター、バーサーカーの三体。ならばそのどれかの不意討ちだと思うのが当然であろう。

その攻撃の主は、アサシンでもなくキャスターでもなく突如現れたバーサーカークラスで召還されたターバンの少年だった。

場が凍りつき、誰も……その場で一番豪胆なライダーですら言葉を発せなかった。

 

 

「ふん……中々、やるではないか……だがっ!」

「アイツッ……何を……」

 

 

傷つけられた事に更に怒るかと思えばアーチャーは目を見開くとバッと懐から何かを取り出した。その仕草にライダーのマスターのウェイバーは警戒を強めた。そしてアーチャーの取り出した、それは……

 

 

「……これでよし」

「って、絆創膏かいっ!?」

 

 

アーチャーは懐から絆創膏を取り出すと刺された部分に貼り付ける。ウェイバーは恐怖を忘れて本気でツッコんだ。

 

 

 

 

 

 

 

◇◆アインツベルン城◇◆

 

 

 

聖杯戦争が進む中、キャスターは何を思い違いをしたのか、セイバーをジャンヌ・ダルクと完全に思い込み、己の物にしようとつけ回していた。そして今、ここアインツベルン城にまで侵入してきたのだ。

 

 

(人質など———卑怯なッ)

 

内心に憎悪を爆発させ、セイバーが奥歯を砕かんばかりに噛み締める。キャスターに、数十人ものまだ幼い子供たちが朧気な表情で付き従っていた。魔術で操られているに違いない。罠を発動すれば、子どもたちを犠牲にしてしまう。キャスター1人を狙うことのできる指向性の罠などほとんどないし、あってもサーヴァントには痛くも痒くもないものだ。とどのつまり、この状況は人質を利用してセイバーを誘いだすためのものに他ならない。

こちらの逡巡を見透かし、再度笑みを浮かべたキャスターがパチンと指を鳴らす。途端、子どもたちは正気に戻って邪悪な男に怯え始める。

 

 

「さぁさぁ坊やたち、鬼ごっこを始めますよ。ルールは簡単。この私から逃げ切ればいいのです。さもなくば……」

「ひぃっ……」

 

 

言い終わらない内に、ローブの裾から手をするりと差し伸ばし、手近な所にいた一人の少年の頭に手を載せようとする。少年は怯え竦んだまま動けない。

 

 

「まさか……!?」

 

 

セイバーの鋭い直感スキルは、魔術師とは思えないその筋肉質な腕に最悪の事態を想像させる。同じ想像をしたのであろうアイリスフィールが息を呑んで目を見張る。

 

 

「やめ———!」

 

 

「やめろ」とセイバーが悲鳴じみた叫びを上げかけた、間に合わない。城の中に居るのでは助けに行く事も叶わない。

その瞬間だった。

 

 

「えいっ!」

「ギャァァァァァァァァァッ!?」

 

 

なんと子供達に紛れていたターバンの少年が飛び出してキャスターの右足を鋭利な刃物の様な物を突き刺していたのだ。

子供による突然の反撃にキャスターは断末魔に近い悲鳴を上げた。

 

 

「ぐう……うううぅぅぅぅぅぅ……まさか私の右足をマシーンの如く、貫くとは……貴様、まさか聖女ではないなっ!?」

「聖女云々以前にお前、馬鹿だろ」

 

 

キャスターの叫びにキャスター討伐の為に現れたランサーがツッコミを入れた。

 

 




『北斗の拳イチゴ味』より『ターバンのガキ』でした。
恐らく作中最強のキャラに分類される少年。
原作ではモブだったがイチゴ味ではサウザー、ケンシロウ、ラオウ、羅将ハン等の名だたる強豪がターバンのガキの餌食となっている。


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金色の獣

 

 

 

間桐家の屋敷の地下に二人の男の姿があった。

 

一人は黒いパーカーを着た白髪の男。

 

もう一人は和服を着たどこか化け物染みた雰囲気を纏った老人。

 

白髪の男は魔法陣らしきものに手をかざしながら呪文のようなものを詠唱していた。

 

 

「ぐっ……がっ……」

 

 

呪文の言葉を詠唱する度に、白髪の男『間桐雁夜』の体に激痛が走った。

体の至る所から血を流し、端から見ている者の方が気分を害してしまう程に。

 

 

しかし雁夜は詠唱をやめなかった。

 

雁夜には果たさねばならない誓いが有った。

 

叶わなければならぬ願いが思いが有った。

 

守らねば成らぬ少女が居た。

 

 

それら全てが雁夜を突き動かし、今にも壊れそうな体を支えていた。

唱えていた呪文が終わり、地下室に描かれた陣から光が増し、地下室を照らした。

召喚に選んだのは『狂化』のステータスを付属できるバーサーカーだった。

召喚に上手くいっていたのか隣に居た老人『間桐臓硯』は皺だらけの顔を歪ませ笑った。

しかし次の瞬間、激しい稲妻が走り地下室をまるごと吹き飛ばした。

意識を失う瞬間、雁夜が見たのは体長が三メートルはあるであろう金色の獣だった。

 

 

 

「……う……あ?」

 

 

目覚めた雁夜は辺りを見渡す。目覚めた場所は地下室ではなく、自信の部屋だった。ベッドから起き上がると雁夜は寝惚けた頭で先程の事を思い出す。

地下室で、サーヴァントを召喚したまでは良かったがその後の記憶がブッツリと途切れていたのだ。

 

 

「あ、そうだ!召喚したサーヴァントは!?」

「………白面の者と戦った後、ワシは死んで冥界の門を潜ったのかと思ったが……」

 

 

雁夜がサーヴァントの事を思い出して声を上げると無い筈の返事が返ってきた。

雁夜が振り替えると其処には記憶が途切れる寸前に見た金色の獣が佇んでいた。

 

 

「う、うわっあ!?なんだ、お前は!?」

「やれやれ……喧しい人間だな。まあ、いい……問うぜ、おめぇがワシのマスターか?」

 

 

ベッドから落ちそうになるほど狼狽した雁夜だが目の前の金色の獣は落ち着いた、そして何処か呆れた様子で雁夜に問い掛ける。

 

 

「お、お前……まさかバーサーカーなのか?」

「座の名前なんぞで呼ぶな……ワシの名は『とら』だ」

 

 

雁夜は目の前の金色の獣を『バーサーカー』だと確信したが金色の獣は何処かイラついた様子で自身の真名を明かした。

 

 

「バー……とら、お前は聖杯に何を望むんだ?」

「ワシは……何もねぇな。ワシはもう腹いっぱいさ」

 

 

とらをバーサーカーと呼びそうになった雁夜だがギリギリで訂正し、とらの聖杯に掛ける願いを聞こうとしたが、とらは

何処か満足そうにそう告げた。

 

 

「そうか……だが俺は聖杯を望む……桜ちゃんを捨てた遠坂時臣を殺す!」

「……憎しみは何も実らせないぜマスター」

 

 

雁夜はギリッと憎しみに顔を歪ませるが、とらは悟った様子でポツリと呟いた。

 

 

 

 

オマケ

 

 

 

倉庫街での最初の戦闘となり、とらは雁夜と共に戦場に来ていた。来ていたのだが予想外のイレギュラーが発生していた。

 

 

「おい……聖杯戦争ってのはサーヴァント同士の戦いじゃなかったのか?」

「ああ……モフモフだ……」

 

 

セイバーはとらの背中に張り付いて、とらの毛皮を堪能していた。

何故この状況になったかと言えば、セイバーとランサーが戦っている所にライダーが乱入。

どうせなら全員来いと叫ぶと挑発に乗ったアーチャーと、とらが姿を現す。

セイバーがとらを見ると同時に駆け寄りモフモフ。そして今に至る。

 

 

「セイバーったら可愛いわ」

「いや、聖杯戦争なんだが」

 

 

アイリスフィールはそんなセイバーを愛でており、ランサーは「戦わないの?」と言った心境である。

 

 

「ふーむ、人語を理解する獣か。こりゃあ面白い!」

「いや、アレは絶対配下になら無いタイプだろ」

 

 

ライダーは自身の髭を弄りながら、とらを面白そうに見ており、ウェイバーはライダーがとらを勧誘する気満々な事に溜め息を溢す。

 

 

「…………我は無視か雑種ども」

 

 

一人、街灯の上に立っていたアーチャーは自身に注目が集まっていない事に苛立ちを感じていた。

 

 

「これで良いのか聖杯戦争……」

 

 

その光景を見ていた雁夜は一人呟く。その呟きに答える者はいないが、良いかと問われればダメなのだろう。

 

 

「憎しみは何も実らせない……か」

 

 

雁夜はとらが言っていた言葉が気にかかり、聖杯への関心が薄れていた事は本人も気づかぬ事であった。




今回は『うしおととら』より『とら』でした


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ファイティングコンピューター

 

 

 

 

間桐家の屋敷の地下に二人の男の姿があった。

 

一人は黒いパーカーを着た白髪の男。

 

もう一人は和服を着たどこか化け物染みた雰囲気を纏った老人。

 

白髪の男は魔法陣らしきものに手をかざしながら呪文のようなものを詠唱していた。

 

 

「ぐっ……がっ……」

 

 

呪文の言葉を詠唱する度に、白髪の男『間桐雁夜』の体に激痛が走った。

体の至る所から血を流し、端から見ている者の方が気分を害してしまう程に。

 

 

しかし雁夜は詠唱をやめなかった。

 

雁夜には果たさねばならない誓いが有った。

 

叶わなければならぬ願いが思いが有った。

 

守らねば成らぬ少女が居た。

 

 

それら全てが雁夜を突き動かし、今にも壊れそうな体を支えていた。

唱えていた呪文が終わり、地下室に描かれた陣から光が増し、地下室を照らした。

召喚に選んだのは『狂化』のステータスを付属できるバーサーカーだった。

召喚に上手くいっていたのか隣に居た老人『間桐臓硯』は皺だらけの顔を歪ませ笑った。

そして召喚の義を見守りに来ていた桜は光の灯らぬ瞳でそれを見ていた。

 

 

と思われたが召喚した筈のサーヴァントは存在していなかった。

 

 

「なっ……いないのか!?」

「ふん、失敗しおったか」

 

 

詠唱は間違っていなかった筈だがサーヴァントはその場にいない。

雁夜は絶望に顔を歪ませ、臓硯は鼻を鳴らした。

 

 

「雁夜よ、桜の教育を一時期中断していたのは貴様が聖杯を間桐に齎すとほざきよったからじゃ。じゃが、サーヴァントすら召喚も出来ぬ様なら聖杯なぞ夢のまた夢。此度の聖杯戦争は期待せずに桜を教育して次回に掛けるとする」

「ま、待てジジィ!」

 

 

臓硯は雁夜に見切りをつけると桜の手を引いて地下室にある虫の苗床に桜を投げ入れ様としていた。それを見た雁夜は慌てて臓硯を止めようとするが虫に侵された体では止める事すら叶わない。

 

 

「ククク……憐れよな雁夜!」

「さ、桜ちゃぁぁぁぁぁぁぁんっ!」

 

 

臓硯は無慈悲に桜を蟲の苗床へと投げ入れる。桜は重力に引かれて落下していく。桜は光の灯らぬ瞳で自身の落下地点の蟲蔵を見つめていた。『ああ、私はこれから虫に……』何処か他人事の様に思っていた桜だが、その光景は一瞬で覆された。

 

 

「トゥアアアアアアアアアッ!」

 

 

蟲蔵の地面が何故か正方形に開く。そもそも此処は地下室なのに何故、更なる地下室が存在するのか。更にその地下から謎の人物が飛び出してきたのか。

 

その人物は黒ずくめのボディに頭全体を覆うヘルメット、素顔を隠すためのマスクを付けている。

「コーホー」という機械的な呼吸音を発しながら蟲蔵に落下していく桜を片手で受け止めた後に雁夜の下へ降り立った。

 

 

「お、お前は……俺が召喚したサーヴァント……バーサーカーなのか?」

「………ああ。俺はバーサーカーのクラスで召喚されたサーヴァントだ」

 

 

黒ずくめのサーヴァントは桜を横抱きに抱えながら雁夜の問いに答えた。

 

 

「……サーヴァントなの?」

「ああ……俺の名はウォーズマン。ファイティングコンピューターだ」

 

黒ずくめのサーヴァント『ウォーズマン』はマスターである雁夜や桜の前で自身の真名を明かした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◆◇NGシーン◇◆

 

 

何故か対峙する事になったウォーズマンとケイネス。

ウォーズマンはケイネスにベアークローを向けて放つ。ケイネスは自身の礼装である水銀でガードしようとするがベアークローは水銀の壁を突き抜け、ウォーズマンはケイネスに迫る。

 

 

「そっそんな、私の魔力を込めた水銀が……ウッウッウァァァァッ!」

 

 

ケイネスはこめかみに四つの穴を持つ中国超人のような叫びを上げ、ウォーズマンの爪がケイネスのこめかみに突き立てられた。

 

数日後、ケイネスは車椅子に乗り、物言わぬ身となってソラウとランサーの前に現れた。

この事態を重く見たランサーはケイネスの為に最高の医者を探しに行くとソラウに言い残して日本を離れた。

数ヵ月後、そこにはマスク(霊命木製)をつけて時計塔の講師をするケイネスの姿が見られたとか。




今回はファイティングコンピューター事ウォーズマンでした。
恐らく『狂化』が付与されるとウォーズマンスマイルが発動されます。

ウォーズマンが桜を救ったシーンはウォーズマンが超人墓場から復活してミート君を助けたシーンです。


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最恐の運び屋

 

 

 

 

間桐家の屋敷の地下に二人の男の姿があった。

 

 

一人は黒いパーカーを着た白髪の男。

 

もう一人は和服を着たどこか化け物染みた雰囲気を纏った老人。

 

白髪の男は魔法陣らしきものに手をかざしながら呪文のようなものを詠唱していた。

 

 

「ぐっ……がっ……」

 

 

呪文の言葉を詠唱する度に、白髪の男『間桐雁夜』の体に激痛が走った。

 

 

体の至る所から血を流し、端から見ている者の方が気分を害してしまう程に。

 

 

しかし雁夜は詠唱をやめなかった。

 

雁夜には果たさねばならない誓いが有った。

 

叶わなければならぬ願いが思いが有った。

 

守らねば成らぬ少女が居た。

 

 

それら全てが雁夜を突き動かし、今にも壊れそうな体を支えていた

 

唱えていた呪文が終わり、地下室に描かれた陣から光が増し、地下室を照らした。

 

召喚に上手くいっていたのか隣に居た老人『間桐臓硯』は皺だらけの顔を歪ませ笑った。

 

 

光が収まり、描かれた陣の中心には自身が召喚したサーヴァントが居た。

 

 

「ふむ、聖杯戦争とは……私に依頼をなされるからには それなりに楽しませてもらいますよ。仕事の過程を……ね」

「バーサーカー……なのか?」

 

 

 

其処に居たのは黒い帽子にラテックスの手袋、黒衣に身を包み、涼しげな風貌に微笑を浮かべる男性だった。しかし問題なのは其処ではなくバーサーカーが口を利いたという事である。バーサーカーは狂化のスキルで能力の底上げを行うのだが理性があるという事は狂化が失敗した事に他ならない。

 

 

「かかかっ……狂化の付与も録に出来ぬ出来損ないのサーヴァントか。雁夜よ、此度の聖杯戦争は絶望じゃの」

「このクソ爺ぃ……」

 

 

臓硯は雁夜の聖杯戦争における苦難を想像して笑みを溢し、雁夜は体を蝕む痛みも手伝って顔を歪ませた。その時だった。

 

 

「な、なんじゃ……あ、が……あ?」

「やれやれ……見知らぬ土地に未知の戦い。どの様な結末を見れるのかと胸を踊らせていたのですが……良い気分が台無しですよ」

「な……バーサーカー!?」

 

 

気が付けば臓硯の体は十七分割されていた。バーサーカーの手にはいつの間にか手術で使用されるメスが握られており、バラバラになった臓硯をゴミでも見るかのような視線を送るバーサーカーに雁夜は恐怖を覚えた。

 

 

「こ安心を。マスターであるキミは殺しません。それに貴方を見ているのも楽しそうですし」

 

 

バーサーカーは細目を更に細めて愉快そうに微笑んだ。整えられた顔立ちからその顔は美しいとさえ思えるのだが雁夜にはその笑みが悪魔のようにも見えた。

 

 

「それと……ご挨拶が遅れました私の名は赤屍蔵人。こうみえても医者です」

 

 

バーサーカー・赤屍蔵人はニコリと笑みを浮かべて雁夜に微笑んだ。

雁夜は後にこう語る『アレは人の手に納められるサーヴァントではない』と。




『赤屍蔵人』
通称Dr.ジャッカル。本人曰くこう見えて医者。
『GetBackers-奪還屋』の登場人物で作中きっての最強キャラ。運び屋を生業とするのも依頼品に釣られた「獲物」との戦闘を目的としている。史上最強・最悪の運び屋。
作品の垣根を越えて強いキャラランキングをした場合、上位に確実に食い込む程の強さとチートっぷりを持つ。


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特戦隊勢揃い

 

 

 

間桐家の屋敷の地下に二人の男の姿があった。

 

 

一人は黒いパーカーを着た白髪の男。

 

もう一人は和服を着たどこか化け物染みた雰囲気を纏った老人。

 

白髪の男は魔法陣らしきものに手をかざしながら呪文のようなものを詠唱していた。

 

 

「ぐっ……がっ……」

 

 

呪文の言葉を詠唱する度に、白髪の男『間桐雁夜』の体に激痛が走った。

 

 

体の至る所から血を流し、端から見ている者の方が気分を害してしまう程に。

 

 

しかし雁夜は詠唱をやめなかった。

 

雁夜には果たさねばならない誓いが有った。

 

叶わなければならぬ願いが思いが有った。

 

守らねば成らぬ少女が居た。

 

 

それら全てが雁夜を突き動かし、今にも壊れそうな体を支えていた

 

唱えていた呪文が終わり、地下室に描かれた陣から光が増し、地下室を照らした。

 

召喚に上手くいっていたのか隣に居た老人『間桐臓硯』は皺だらけの顔を歪ませ笑った。

 

すると魔法陣の中から何故か光が溢れだし始める。あまりの眩しさに雁夜も臓硯も目を細め、眩しさに耐えながらサーヴァントを見ようとした。

それと同時に何故か地下室に妙なBGMが流れ始めた。

 

 

「………おい、爺。なんだこれは?」

「ふむ……奇妙なサーヴァントを引き当ておったか?しかし……とくせんたいと言っておるのか?」

 

 

何が起きているのか分からない雁夜は臓硯に訪ねるが臓硯も

事態の把握には至っていない様だ。そして臓硯の言う様に、耳を済ませると、このBGMは『トクセンタイ』と言っている様にも聞こえた。

 

やがて光が収まり始めると魔法陣を中心に人影が見え始める。逆光で姿は確認できないが間違いなく何かは其処に存在しているのだ。

 

 

「うぉぉぉぉぉぉっ!リクーム!」

「ケーケッケッケッ!バータ!」

「はぁぁぁぁぁぁっ!ジース!」

「ふぉぉぉぉぉぉっ!グルド!」

「はぁぁぁぁぁぁっ!あ、ギニュー!」

 

 

そして光の中から五人の人影が現れたかと思えば各人が奇妙なポーズと共に自己紹介を始めた。

あまりにも唐突な事態に雁夜も臓硯も呆気に取られている。

 

 

「み」「ん」「な」「そろっ」「て」

「「「「「ギニュー特戦隊!!!」」」」」

 

 

そして五人組は息ピッタリと最後に決めポーズをして〆にした。ポーズを決めた瞬間に五人組の背後にバラの花が咲いた様に見えたのは雁夜の気のせいでは無いだろう。

 

 

「うむ……頑張れよ雁夜」

「いや、コイツ等を連れて行けってか?明らかに英霊じゃないだろう」

 

 

タラリと汗を流した臓硯は雁夜に激励を送る。明らかに厄介事を押し付ける気満々である。

そして雁夜の言い分も尤もである。英霊を呼び出そうとしたにも関わらず現れたのは英霊どころか地球人ではなく宇宙人なのだから。

 

 

「行くぞー、ギニュー!」

「「「「ファイトーッ!!!」」」」

「こんなの連れて聖杯戦争に行くのか……」

 

 

何故か体育会系のノリで掛け声を掛けるサーヴァント達に雁夜は一抹の不安を覚えるのだった。

しかし雁夜は後に思い知る。ギニュー特戦隊の戦闘力に全く問題がないことに。その反面、他でふざけて、暴走しがちな事に。

 




今回はドラゴンボールよりギニュー特戦隊でした。


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蝶素晴らしいサーヴァント

 

 

 

間桐家の屋敷の地下に二人の男の姿があった。

 

 

一人は黒いパーカーを着た白髪の男。

 

もう一人は和服を着たどこか化け物染みた雰囲気を纏った老人。

 

白髪の男は魔法陣らしきものに手をかざしながら呪文のようなものを詠唱していた。

 

 

「ぐっ……がっ……」

 

 

呪文の言葉を詠唱する度に、白髪の男『間桐雁夜』の体に激痛が走った。

 

 

体の至る所から血を流し、端から見ている者の方が気分を害してしまう程に。

 

 

しかし雁夜は詠唱をやめなかった。

 

雁夜には果たさねばならない誓いが有った。

 

叶わなければならぬ願いが思いが有った。

 

守らねば成らぬ少女が居た。

 

 

それら全てが雁夜を突き動かし、今にも壊れそうな体を支えていた

 

唱えていた呪文が終わり、地下室に描かれた陣から光が増し、地下室を照らした。

 

召喚に上手くいっていたのか隣に居た老人『間桐臓硯』は皺だらけの顔を歪ませ笑った。

 

すると魔法陣の中から何故か光が溢れだし始める。あまりの眩しさに雁夜も臓硯も目を細め、眩しさに耐えながらサーヴァントを見ようとした。

段々と光が収まり、サーヴァントの輪郭が見え始めた頃、雁夜は口を開いた。

 

 

「お前は俺のサーヴァントなのか、バーサーカー?」

「ノンノン……俺を呼ぶ時はバーサーカーじゃなくて、もっと愛を込めてパピヨンと呼んでくれなきゃな」

 

 

其処に居たのは蝶々の仮面を付けたタイツ姿の変態だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

◆◇◆◇

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

日が沈みきった倉庫街にて二人の騎士がお互いの技と力をぶつけ合っていた

 

一人は長短異なる二本の槍を操るランサー。

対するは小柄で可憐な少女でありながらも最優のセイバー。

どちらも互いに英雄を関する名を持つサーヴァント。

戦いは一進一退の互角。

 

 

「流石だな、セイバー。最優のサーヴァントの名に違わぬ見事な力だ」

「貴殿の槍捌きこそ称賛に値する。貴方のような騎士との勝負に名乗りすら許されないことが悔やまれる」

「それは光栄だなセイバー」

 

 

互いの技を讃え合うセイバーとランサー。

しかし、その戦いに更なる乱入者が現れた。自分のマスターを引き連れて(無理矢理)現れたライダーである。

そしてライダーは驚くべき提案をする。

なんとライダーはセイバーとランサーを配下に加えようと勧誘したのだ。

 

 

「俺が聖杯を捧げると決めたマスターはただ一人。それは断じて貴様ではないぞライダー!」

「そもそも貴様はそんな事を言いに現れたのか。戯れ言が過ぎるぞ!」

 

 

ライダーの勧誘に二人の英霊は怒りと共にそれを断る。その時だった。

 

 

「んー蝶素晴らしい。流石は歴史に名を刻んだ英雄達だ」

 

 

上空から掛けられた声に、その場に居た者達は空を見上げた。其処に居たのは……

 

 

「パピ☆ヨン!」

「「へ、変態だーっ!?」」

 

 

黒い翼で空を舞うパピヨンの姿だった。それを見たセイバーとランサーは大声で叫ぶ。

 

 

「あら、蝶々の妖精さんね」

「貴女は蝶素晴らしいセンスをしているね」

「気を確かにしてください、アイリスフィール!」

 

 

ヒラリと地面に着地したパピヨンにアイリスフィールは、のほほんと言うがセイバーにツッコまれていた。

 

 

「蝶々の妖精は兎も角、セイバー達の言い分も尤もだぞバーサーカー。マスクだけにしろ、それならオシャレだ」

「お前のオシャレも間違っているぞライダー!ふざけるのは格好だけにしろ!」

 

 

バーサーカーのオシャレを指摘するライダーだが、やはり何処かズレており、セイバーのツッコミを受ける羽目となる。

 

 

「ふざける?何処が?このまま舞踏会に駆け付けられる程の素晴らしい一張羅じゃないか」

「出れるわけ無いだろう、舞踏会を甘く見るな!」

「先ずはそのマスクを外せ!」

 

 

指を指して指摘するセイバーの台詞の意味が分からないとパピヨンは綺麗な笑顔で言う。しかしランサーとセイバーは二人揃ってツッコミを入れた。

そしてセイバーの言葉にパピヨンは先程までの雰囲気とはガラリと変わって濁った瞳でセイバーとランサーを睨み付けた。

 

 

「それは出来ない。このマスクは俺が人間を止めた証だ」

「いつまでジャレ合っている雑種共が」

 

 

パピヨンがマスクを外す事を否定したと同時に倉庫街の該当の上に人影が現れた。黄金の鎧を身に纏ったアーチャーである。アーチャーは戦いもせずにジャレている、この場の者達に苛立ちを隠せんとばかりに姿を現したのだ。

そしてアーチャーはパピヨンを視界に納めると口端を吊り上げて笑った。

 

 

「ほぅ……これはエレガントなバーサーカーも居たものだ」

「なんだ、サーヴァントにもわかる奴が居るんじゃないか」

 

 

アーチャーとパピヨンの会話に一同は言葉を失った。高圧的なアーチャーがパピヨンの姿をエレガントと認めたのだ。

 

 

「蝶は美しいが羽がなければ飛べぬ存在。せめて美しく散るがいい」

「ふん、俺は何処であろうがとんで見せる。それを邪魔する奴は……ニアデスハピネスで吹き飛ばすまでだ」

 

 

アーチャーは背後にゲートオブバビロンを展開して剣や槍をパピヨンに向けて構えた。

それに対してパピヨンは自身の宝具『ニアデスハピネス』を発動させる。

黒色の蝶々がパピヨンの周囲に展開され、黄金と黒色。互いの武器が睨みあっていた。

 

 

「…………ちっ、時臣め。貴様ごときの諫言で退かねばならんとはな」

「こっちもだ。マスターが帰ってこいって言ってる。実に残念」

 

 

一触即発の雰囲気だったが互いのマスターが退却を命じたのか二人は渋々ながらに退く事を決めた様だ。

 

 

「雑種共、次までに有象無象を間引いておけ。我と見えるのは真の英雄のみで良い……だがパピヨン貴様は別だ。貴様はこの我自らが相手をしてやろう」

「良いだろう。俺も貴様が相手なら羽ばたけそうだ」

 

 

英雄王と蝶天才のホムンクルスの戦い。

これが後に蝶聖杯戦争と呼ばれる戦いの始まりだった。




『武装錬金』より『パピヨン』でした。
人間からホムンクルスになった後のテンションは正にバーサーカー。


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情熱のHK

 

間桐家の屋敷の地下に二人の男の姿があった。

 

 

一人は黒いパーカーを着た白髪の男。

 

もう一人は和服を着たどこか化け物染みた雰囲気を纏った老人。

 

白髪の男は魔法陣らしきものに手をかざしながら呪文のようなものを詠唱していた。

 

 

「ぐっ……がっ……」

 

 

呪文の言葉を詠唱する度に、白髪の男『間桐雁夜』の体に激痛が走った。

 

 

体の至る所から血を流し、端から見ている者の方が気分を害してしまう程に。

 

 

しかし雁夜は詠唱をやめなかった。

 

雁夜には果たさねばならない誓いが有った。

 

叶わなければならぬ願いが思いが有った。

 

守らねば成らぬ少女が居た。

 

 

それら全てが雁夜を突き動かし、今にも壊れそうな体を支えていた

 

唱えていた呪文が終わり、地下室に描かれた陣から光が増し、地下室を照らした。

 

召喚に上手くいっていたのか隣に居た老人『間桐臓硯』は皺だらけの顔を歪ませ笑った。

 

すると魔法陣の中から何故か光が溢れだし始める。あまりの眩しさに雁夜も臓硯も目を細め、眩しさに耐えながらサーヴァントを見ようとした

 

 

「あれ……ここは?」

「なっ……」

「ふん……失敗か」

 

 

其処に居たのは到底バーサーカーとは思えぬ普通の青年だった。

彼の名は色丞狂介。話を聞けば彼は別段英霊と呼べる存在ではなかった。ごく普通の学生であり、父親が刑事の彼は将来、自身も刑事になりたいのだという。

 

そんな彼だが雁夜は落胆した。死ぬ思いでサーヴァントを召還したのにバーサーカーどころか普通の好青年。これでは聖杯戦争を勝ち抜くなど不可能だ。

落胆した雁夜だが逆に狂介は気合いが入っていた。父親譲りの正義の心が雁夜、そして桜の境遇を知り、助けたいと申し出たのだ。

 

しかし、その一言が雁夜を冷静にさせた。彼は聖杯戦争に関わらせてはいけないと思ってしまったのだ。雁夜は表向きは狂介をサーヴァントとして認めたふりをして彼を聖杯戦争から遠ざけるために家の雑務を命じたのだ。

 

食事、掃除、洗濯などをやらせて聖杯戦争への介入を防いだのだ。桜を救う方法は別に考えようと雁夜は心に誓った。

 

しかし、雁夜がそう思っても聖杯戦争が始まってしまう。夜の倉庫街で戦いが始まった事を察知した狂介だが雁夜から行かなくていいと言われてしまったのだ。

 

その言葉を聞いた狂介は雁夜の命令に従うしかなかった。聖杯戦争が如何に危険なものかを聞いていたからだ。

 

 

「僕には……何もできないのか」

 

 

間桐邸の外で夜風に当たりながら悔しそうに拳を握る狂介。その時、狂介の手の中にほんのりと柔らかい布の感触が伝わったのだ。

 

狂介が手にしていた物は女性用の下着だった。サイズが小さいことから子供用の物だと判断される。

 

 

「な、なんで桜ちゃんの……あ、そうか洗濯物を取り込んだときに僕の服のポケットに入ったのか……」

 

 

何故、下着が自身の服のポケットから出てきたのか謎は解けた。しかし狂介は何故か微動だにせず下着を見つめる。

 

 

「ば、馬鹿な……僕は何を考えているんだ……これは桜ちゃんの……」

 

 

狂介の脳裏には儚げな少女の顔が浮かぶ。だが、それと同時に頭の中に妙な思考が走った。

 

 

 

───何を迷う───

 

 

 

「う、うう……だ、駄目なのに……僕は何を悩んでいるんだ……」

 

 

手がプルプルと震えながら下着をしっかりと握り顔に近づけ始める。

 

 

 

───解き放て───

 

 

 

「ぼ、僕は……」

 

 

 

 

───理性の鎖を───

 

 

 

 

次の瞬間、狂介は下着を顔面に押し付けた。

本来人類は潜在能力のおよそ30%しか発揮できないとされている。

しかし、色丞狂介は頭部顔面に女性下着を装着することによって、潜在能力を100%発揮させるが可能になり……変態仮面となるのだ。

 

 

「フォオオオオオオオオオオォォォォォォォッ!」

 

 

狂介の口から狼のような遠吠えが発せられ……

 

 

「クロス・アウッ!」

 

 

掛け声と共に着ていた衣服を一瞬で脱ぎ捨て、脱ぎ捨てられた衣服が夜空に舞う。

そして変態仮面は現在、聖杯戦争が行われている倉庫街へと走り去って行き、間桐邸の前に狂介の服だけが残されていた。

 

 

 

 

◆◇◆◇

 

 

 

所変わって倉庫街では激しい戦いが繰り広げられていた。

二人の騎士がお互いの技と力をぶつけ合っていて、一人は長短異なる二本の槍を操るランサー。

対するは小柄で可憐な少女でありながらも最優のセイバー。

どちらも互いに英雄を関する名を持つサーヴァント。

戦いは一進一退の互角。

 

 

「流石だな、セイバー。最優のサーヴァントの名に違わぬ見事な力だ」

「貴殿の槍捌きこそ称賛に値する。貴方のような騎士との勝負に名乗りすら許されないことが悔やまれる」

「それは光栄だなセイバー」

 

 

互いの技を讃え合うセイバーとランサー。

しかし、その戦いに更なる乱入者が現れた。自分のマスターを引き連れて(無理矢理)現れたライダーである。

そしてライダーは驚くべき提案をする。

なんとライダーはセイバーとランサーを配下に加えようと勧誘したのだ。

 

 

「俺が聖杯を捧げると決めたマスターただ一人。それは断じて貴様ではないぞライダー!」

「そもそも貴様はそんな事を言いに現れたのか。戯れ言が過ぎるぞ!」

 

 

セイバーとランサーに断られたライダー。そしてそこに新たにアーチャーまで現れたのだ。黄金の鎧を身に纏ったアーチャーは『王の財宝』から無数の宝具を撃ち放ち始め、セイバー、ランサー、ライダーを追い詰め始める。圧倒的な力の前に満身創痍になり始めたセイバー達を見てアーチャーは鼻を鳴らしながら興味が失せた様に『王の財宝』に手を伸ばした。

 

 

「貴様等如きに我が宝を見せてやる事を光栄に思うが良い……最後は我の手で斬ってやろう」

 

 

そう言ってアーチャーは『王の財宝』から何らかの宝具を出した……筈だった。

 

 

「何だ?この妙に柔らかく生温かい感触のモノは?」

 

 

それは片手ほどの白い塊であり、アーチャーの記憶にはないモノだった。こんな物が『王の財宝』の中にあっただろうか?

悩むアーチャーの背後から白い塊の声の主が解答を教えた。

 

 

「それは私のおいなりさんだ」

 

 

アーチャーが触れていたモノは変態仮面の股間だった。

 

 

「いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!?」

 

 

普段なら絶対に出さないような悲鳴を上げつつ、触れていた手を瞬時に引っ込めさせてぷらぷらさせるアーチャー。

 

 

「き、貴様っ!何者だ!?」

「私は貴様のような汚れたサーヴァントを倒す為……バーサーカーのクラスで現界したサーヴァント……変態仮面だ!」

 

 

アーチャーの問いにポーズを決めながら答える変態仮面。その光景を見た他のマスターやサーヴァントはかなり引いていた。

しかし、その時だった。アーチャーに動きが見えた。

 

 

「時臣め。貴様ごとき諌言……いや、逃げるチャンス!」

「逃がすか、変態奥義!フライング亀甲縛り!&地獄のタイトロープ!」

 

 

逃げようとするアーチャーに変態仮面が迫る。何処からか取り出したロープでアーチャーを変態的に縛ると変態仮面はそのロープに股間を擦り付けながらアーチャーの顔面へと降っていく。

 

 

「う、うーん……」

「しっかりしてくださいアイリスフィール!と言うか、この状況で私を一人にしないで下さい!」

 

 

悪夢の様な光景にセイバーのマスターであるアイリスフィールはフラりと気絶しそうになるがセイバーがギリギリの所で意識を繋ぎ止めていた。尤もアイリスフィールが気絶して、この状況に取り残される事を恐れての事だろうが。

 

これが後に聖杯戦争の悪夢と呼ばれる戦いの序章でしかない事を誰も予想する事すら出来なかった。

 

 

 

 




『究極!!変態仮面』より『色丞狂介/変態仮面』でした。
もう素でバーサーカーですね。


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麗しき仙人

 

 

間桐家の屋敷の地下に二人の男の姿があった。

 

 

一人は黒いパーカーを着た白髪の男。

 

もう一人は和服を着たどこか化け物染みた雰囲気を纏った老人。

 

白髪の男は魔法陣らしきものに手をかざしながら呪文のようなものを詠唱していた。

 

 

「ぐっ……がっ……」

 

 

呪文の言葉を詠唱する度に、白髪の男『間桐雁夜』の体に激痛が走った。

 

 

体の至る所から血を流し、端から見ている者の方が気分を害してしまう程に。

 

 

しかし雁夜は詠唱をやめなかった。

 

雁夜には果たさねばならない誓いが有った。

 

叶わなければならぬ願いが思いが有った。

 

守らねば成らぬ少女が居た。

 

 

それら全てが雁夜を突き動かし、今にも壊れそうな体を支えていた

 

唱えていた呪文が終わり、地下室に描かれた陣から光が増し、地下室を照らした。

 

召喚に上手くいっていたのか隣に居た老人『間桐臓硯』は皺だらけの顔を歪ませ笑った。

 

すると魔法陣の中から何故か光が溢れだし始める。あまりの眩しさに雁夜も臓硯も目を細め、眩しさに耐えながらサーヴァントを見ようとした

すると突如部屋の中の灯りが消え、スウッと元々暗かった部屋が真っ暗になった。 

 

 

「………歌声?」 

「妙だの……今までのサーヴァント召喚でこんな事は……」

 

 

どこからか多数の人間の歌声が響き、天から芳しい花弁と羽毛が降り注ぐ。この奇妙な状態に雁夜は首を傾げて臓硯は己の持つ知識から今まで、こんな事はなかったと自身の記憶を辿っていた。

そして次の瞬間、雁夜と臓硯は驚愕した。

 

なんも間桐家の地下室の地面から、踊り子風の衣装をしたケバい化粧の女性達が、整然と並んでせり上がって来たのだ。手にはリボンつきの丸い手楯を持ち、人形のように硬直した笑顔とポーズを取っている。

 

しかも彼女たちは劇場のセットのような『ひな壇』の上に列を作り、その中央上方を指している。 

ニュッとひな壇の一番上に台がせり出し、どこからともなくスポットライトが当たる。 

その強い光は、怪しいシルエットを浮かび上がらせた。

 

 

「誰だ……俺が召喚したサーヴァントなのか!?」

 

 

雁夜の叫びに、そのシルエットは、手を広げてポーズを取った長身の男のようだ。肩のところに二本、線のような影も見える。一昔前のテレビ演出の様だと雁夜は思っていると影は台の上に降り立った。

スポットライトが男の足元に照射され、そこで終わったかと思った瞬間、ドラムロールが流れ、男の顔にライトが当たる。 

 

その容姿は金髪碧眼の甘いマスクに、凛々しい眉毛と長い睫毛。長身で整った美しい体型。 

マントのような上着には大きなボタンと飾り紐が付けられ、体にフィットしたエレガントな衣服と靴。 

腰のベルトには乗馬用と思われるの鞭が吊るされていた。

 

 

「諸君、はじめまして。僕の名は趙公明。今回はバーサーカーなんてクラスで喚ばれたがバラの運命に生まれた気高き騎士さ!」

「戦えるのか……バーサーカー?」

 

 

ハッキリ言って戦いとは無縁の優男が聖杯戦争で戦えるのだろうか。そんな疑問を抱く雁夜に趙公明は笑みを浮かべた。

 

 

「任せたまえ、小羊の死をロココ調に演出してあげるから………さあっ、戦おうじゃないか!」

 

 

趙公明は背後から大量の山百合を咲かせ、花びらを散らせながら宣言した。

 

 

「うむ、雁夜よ。最早、今回は諦めよ」

「いや、桜ちゃんの事があるから諦めるなんて出来ないし」

「はーっははははっ!」

 

 

雁夜と臓硯の会話に趙公明は高笑いをしていた。



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嫉妬の炎は父心

本当は2月14日までに仕上げようと思っていましたが間に合いませんでした。


 

 

間桐家の屋敷の地下に二人の男の姿があった。

 

 

一人は黒いパーカーを着た白髪の男。

 

もう一人は和服を着たどこか化け物染みた雰囲気を纏った老人。

 

白髪の男は魔法陣らしきものに手をかざしながら呪文のようなものを詠唱していた。

 

 

「ぐっ……がっ……」

 

 

呪文の言葉を詠唱する度に、白髪の男『間桐雁夜』の体に激痛が走った。

 

 

体の至る所から血を流し、端から見ている者の方が気分を害してしまう程に。

 

 

しかし雁夜は詠唱をやめなかった。

 

雁夜には果たさねばならない誓いが有った。

 

叶わなければならぬ願いが思いが有った。

 

守らねば成らぬ少女が居た。

 

 

それら全てが雁夜を突き動かし、今にも壊れそうな体を支えていた

 

唱えていた呪文が終わり、地下室に描かれた陣から光が増し、地下室を照らした。

 

召喚が上手くいったのか隣に居た老人『間桐臓硯』は皺だらけの顔を歪ませ笑った。

 

すると魔法陣の中から何故か光が溢れだし始める。あまりの眩しさに雁夜も臓硯も目を細め、眩しさに耐えながらサーヴァントを見ようとした。そこには筋肉質で悪役プロレスラーの様なマスクを被った男が立っていた。

 

 

「ふっふっふっ……問おう貴様が俺のマスターか?」

「な、こ……コイツは!?」

 

 

雁夜は驚愕した。召喚したバーサーカーが喋ったのだ。バーサーカーは狂化のステータスで理性が無く意思の疎通など本来は不可能。にも拘らず、目の前のバーサーカーは普通に喋り始めたのだから。

 

 

「感じるぞ……貴様の中から凄まじい嫉妬エナジーがな!」

「し、嫉妬エナジー?魔力じゃなくて?」

 

 

バーサーカーの発言の中の『嫉妬エナジー』に疑問を抱く雁夜。バーサーカーはそんな雁夜の話も聞かずに力を滾らせていた。

 

 

「マスターよ。憎いのだろう?恨むがいい……妬むがいい。それが俺の力になるのだ!」

「な、なんだかよくわからんが頼もしいぞバーサーカー!」

 

 

雁夜はバーサーカーが妙に自身を推してくれている事に頼もしさを感じる雁夜。この二人の相性、実はかなり良いのである。

 

 

 

◆◇◆◇

 

 

 

 

 

 

日が沈みきった倉庫街にて二人の騎士がお互いの技と力をぶつけ合っていた

 

一人は長短異なる二本の槍を操るランサー。

対するは小柄で可憐な少女でありながらも最優のセイバー。

どちらも互いに英雄を関する名を持つサーヴァント。

戦いは一進一退の互角。

 

 

「流石だな、セイバー。最優のサーヴァントの名に違わぬ見事な力だ」

「貴殿の槍捌きこそ称賛に値する。貴方のような騎士との勝負に名乗りすら許されないことが悔やまれる」

「それは光栄だなセイバー」

 

 

互いの技を讃え合うセイバーとランサー。

しかし、その戦いに更なる乱入者が現れた。自分のマスターを引き連れて(無理矢理)現れたライダーである。

そしてライダーは驚くべき提案をする。

なんとライダーはセイバーとランサーを配下に加えようと勧誘したのだ。

 

 

「俺が聖杯を捧げると決めたマスターはただ一人。それは断じて貴様ではないぞライダー!」

「そもそも貴様はそんな事を言いに現れたのか。戯れ言が過ぎるぞ!」

 

 

セイバーとランサーに断られたライダー。そしてそこに新たにアーチャーまで現れたのだ。黄金の鎧を身に纏ったアーチャーは『王の財宝』から無数の宝具を撃ち放ち始め、セイバー、ランサー、ライダーを追い詰め始める。圧倒的な力の前に満身創痍になり始めたセイバー達だが次の瞬間、アーチャーの背後に気配も感じさせずに突如、一つの影が舞い降りた。

 

 

「フライング……チェアードロップ!」

「がふっ!?」

 

 

アーチャーの背後からバーサーカーが手に持ったパイプ椅子でアーチャーの頭を思いっきり殴ったのだ。全身を黄金の鎧で固めているアーチャーだが、頭だけは鎧を装着していなかった為にパイプ椅子攻撃は効いた様だ。

 

 

「貴様……バーサーカーか?」

 

 

あまりにも突然の事態にその場に居た全員が呆気に取られていたが、いち早く正気を取り戻したライダーが場を代表して口を開いた。

 

 

「……それは世の為に」

「なに?」

 

 

口を開いたバーサーカーはパイプ椅子をポイッと投げ捨てると、背を見せる様に立ち上がる。その発言にランサーは眉を潜めた。

 

 

「……それはブサメン達の為に」

「お、おい……何を言って……」

 

 

此方に反応もせずに語りを続けるバーサーカーにセイバーが話し掛けようとするが、バーサーカーは自身に与えられた役を全うするのみ。それは彼が生前から生業としていた事に他ならない。

 

 

「……悪と戦い今日も行く」

「ほほぅ……」

 

 

怒りと悲しみとその他諸々の想いが込められたマスクを被る運命の戦士……その男の名は……

 

 

 

「愛と正義と希望の戦士……しっとマスク、ただ今参上!全国のモテない男たちの想いを背に、お前達の罪を裁きに来たぞ!」

 

 

己の真名を叫ぶバーサーカー改め、しっとマスクの背後に炎が舞い上がる。

 

 

「この世のモテない男達よ、お前達の強い嫉妬の炎を俺に分けてくれ!この身を嫉妬の炎で包み込み、イケメン&モテる男を、そしてアベックを殲滅してくれるぞ!」

「いや、聖杯は!?」

 

 

聖杯戦争となんら関係の無い事を叫ぶ、しっとマスクにウェイバーがツッコミを入れた。

 

 

「聖杯……なんでも願いが叶うんだったな。ならばイケメン共を駆逐させるか」

「最低だ!最低の願いを引っ提げて聖杯戦争に来てるよコイツ!」

 

 

しっとマスクの願いにツッコミが追い付かないウェイバー。

 

 

 

「ク、ククッ……フハハハハハハハハハハハハハッ!!」

 

 

そんな中、漸くパイプ椅子のダメージが収まったアーチャーが高笑いをしながら立ち上がる。

 

 

「つまりは嫉妬か?惨めだなぁ雑種!男の醜い嫉妬というものは!まぁ、俺は誰もが羨む美男!貴様のような下賤な者が羨むのも仕方ないかもしれん……だが。まさか、我にこんなことをしてただで帰れるとは思ってないだろうなぁ?」

「……関係ないな。このしっとマスクが来たからにはやることはただ一つ。イケメンとモテる男の殲滅だ」

 

 

王の財宝から剣や槍を射出する体勢を取るアーチャーに、しっとマスクは覆面の炎が本当に燃えているかの様な闘志を燃やす。

因にだが、しっとマスクがアーチャーを真っ先に狙ったのはイケメン&モテる男+雁夜の時臣を恨み妬む嫉妬エナジーがしっとマスクに流れている為であり、それが無ければ、しっとマスクはランサーを標的としていただろう。

 

 

 

「貴様にはエヌマ・エリシュをくれてやる!受けとるがいい!」

「俺のこの手が恨んで叫ぶ!イケメン潰せと狂って妬む!嫉妬究極天驚拳!」

 

 

 

アーチャーは乖離剣エアを抜き放ち、しっとマスクは嫉妬エナジーと嫉妬の炎を混ぜ合わせた色んな意味で危ない技を放っていた。

 

 

 

これが後に嫉妬戦争と呼ばれる最悪の聖杯戦争となる事を誰も知る術はなかった。

 

 

 




『しっとマスク』
「突撃パッパラ隊」「逆襲パッパラ隊」の登場キャラ。宮元幸弘が、モテない自分の境遇への憤りと、アベックへの強烈な嫉妬心により変身した姿で見た目は完全に悪役レスラー。
当初は単なるプロレス技でイケメンやモテる男、アベックを潰していたが段々、超人的な力や技を使い始めた(バイオ3のネメシスの様にバズーカや触手を駆使した)最終的には石破天驚拳の様な物を放つまでに至り、死んでも嫉妬の炎に呼ばれて復活する事も可能らしく突撃→逆襲までで100年以上経過したにも係わらず地獄(本人は天国と言い張った)から復活を遂げた。


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男のメイド……その名は

 

 

間桐家の屋敷の地下に二人の男の姿があった。

 

一人は黒いパーカーを着た白髪の男。

 

もう一人は和服を着たどこか化け物染みた雰囲気を纏った老人。

 

白髪の男は魔法陣らしきものに手をかざしながら呪文のようなものを詠唱していた。

 

 

「ぐっ……がっ……」

 

呪文の言葉を詠唱する度に、白髪の男『間桐雁夜』の体に激痛が走った。

 

 

体の至る所から血を流し、端から見ている者の方が気分を害してしまう程に。

 

しかし雁夜は詠唱をやめなかった。

 

雁夜には果たさねばならない誓いが有った。

 

叶わなければならぬ願いが思いが有った。

 

守らねば成らぬ少女が居た。

 

それら全てが雁夜を突き動かし、今にも壊れそうな体を支えていた

 

唱えていた呪文が終わり、地下室に描かれた陣から光が増し、地下室を照らした。

 

召喚が上手くいったのか、隣に居た老人『間桐臓硯』は皺だらけの顔を歪ませ笑った。

 

すると、魔法陣の中から何故か光が溢れだし始める。あまりの眩しさに雁夜も臓硯も目を細め、眩しさに耐えながらサーヴァントを見ようとした。

 

 

「バーサーカー……なのか?」

「ヌウ……ここはどこだ?」

 

雁夜の呟きに答えたのは野太い声を発した一人の男だった。

背の高さは推定でも優に二メートルは越えるだろう。身長が173㎝の雁夜でさえ見上げるほどである。

更に剥き出しになった二の腕は、雁夜の物よりも明らかに太くプロレスラーを思わせる程だ。鋼のようなその筋肉は見せ掛けではないことが一目でわかる。 

ボサボサの髪は長く背中まで届いていて、まるでそれ自体が一つの生き物であるかのように蠢く。

大きな口から覗く歯は不釣合いなほど白く、そして鮫のようにギザギザと尖っている。

その瞳には、内に潜む凶暴さが滲み出てくるような鋭さがある。

それら全てが総じて野生的と評したくなるような独特の気配が全体から漂ってくる。まさにバーサーカー呼ぶに相応しい存在と言えた……言える筈だった。

 

問題なのはバーサーカーの服装であった。

漆黒のスカート。純白のエプロン。顔の半分を覆いつくす仮面と一体化したヘッドドレス。その服装がバーサーカーの肉体と相まって、より一層の違和感を際立たせていた。

 

 

「ククク……俺の名はコガラシ!バーサーカーのクラスで召喚されたメイドガイのコガラシだ!」

「メイドガイ……メイド?」

 

 

メイドガイと言う単語に聞き覚えのない雁夜は首を傾げた。あまりメイドに詳しくない雁夜でも、目の前の人物が正しくない存在なのは十分理解していた。

雁夜はメイドという言葉からイメージを思い浮かべる。

 

『質素なドレスに、清潔なエプロンを身に纏い甲斐甲斐しく主人の世話をする可愛いらしい少女』これが正しいメイドの在り方だろう。

「凛ちゃんや桜ちゃんは将来、メイド服の似合う素敵な娘に成長するんだろうなぁ……」と関係の無い思考に逃げかけたが、雁夜は頭を振って意識を戻す。

 

 

「バーサーカー……お前のマスターは俺だ」

「ほう……ならば貴様が俺の新たなご主人か。数多あるであろうサーヴァントの中から。このメイドガイを呼び出すとは、なんという運の良さ!」

 

 

「むしろ外れを引いた気分だよ」と言いそうになったが、雁夜は寸での所で言葉を飲み込んだ。

そして、それからコガラシの行動は早かった。

コガラシは先ずは身の回りの事からと家の掃除を始めた。

間桐邸と言えば、近所からも忌避され、近づく者もいない不気味な屋敷として有名だ。放置され生い茂る木々や外壁を覆い隠す蔦によって年中陰鬱とした間桐邸は、その不吉で威圧的な様相から半ば幽霊屋敷のような扱いを受けていた。

しかしコガラシはその間桐邸を一晩で綺麗にしてしまった。何処から調達してきたのか、チェーンソーやら芝刈機を駆使して腰の高さまで生い茂っていた雑草だらけの芝生もまるで絨毯にように均等に切り揃えられ、植物の蔦や葉で覆われていた外壁もすっかり綺麗になり、まるで建造したばかりのような鮮やかな色彩を魅せつけている。

更にコガラシは家の中も完璧に掃除し、更に『虫が居るのでは掃除にならん』と地下の蟲蔵に籠っていた蟲を全て処分した。この時の臓硯の呆然とした表情を見た雁夜は、少しだけ胸の空く思いになったのは秘密である。

 

そしてコガラシは雁夜や桜の衣類にも手を出した。基本的に着た切り雀な雁夜と桜だが、コガラシが洗濯をしてからと言うもの家にあった衣類全てが新品同様と化していた。しかしコガラシはここで余計な事を口走る。

 

 

「ご主人よ。小娘の下着にシミができているぞ」

「っ!?」 

「ちょっと待てバーサーカー」

 

 

コガラシが桜を指差しながらある事を指摘し、桜は顔を赤らめて雁夜はコガラシの髪をガシッと握る。

 

 

「メイドガイアイは透視力!いかなる汚れも見逃さない、この目を持ってすれば造作も無いこと。この屋敷の掃除もその賜物よ!」

「待てバーサーカー……お前まさか、そのメイドガイアイって奴を常に使ってるんじゃ……」 

「はい、雁夜おじさん」

 

 

コガラシの発言から常に裸を覗かれている事が判明した雁夜は、何時ものように桜からバットを受け取った。

 

 

「ククク……如何にも。おはようからおやすみまで貴様の暮らしを見つめるメイドガイ。ご主人のことは何一つ見逃さん。そしてメイドガイアイで貴様の部屋の机から遠坂葵とやらの写真が……ヌオッ!何をするご主人!」

「プライバシーもクソも無いなバーサーカー!」

 

 

手にしたバットでコガラシの脳天を打ち据える雁夜。この数日でほぼ毎日のやり取りとなっていた。そろそろバットを釘仕様にしてしまおうかと思いつつある雁夜だが、ハッキリ言ってしまうとコガラシは超が付くほど有能なのだ。服装と言動さえ除けば最高のメイドと言えるだろう。

コガラシは家事能力もさることながら普段から怪しげな能力を使う。主に『メイドガイ○○』と付く技の数々は宝具なのかは知らないが、明らかに人知を越えた事をしでかす。実はキャスターなんじゃないだろうかと何度思った事か。

 

 

「だが……バーサーカーが居れば聖杯戦争も勝ち抜ける」

「ククク……任せろご主人。貴様の手に聖杯をくれてやる」

 

 

やる気を見せる雁夜に同意しながら頼もしげに笑うコガラシに雁夜も安堵した。

しかし雁夜は知らない。コガラシの行動で聖杯戦争が乱れに乱れる事を。

雁夜は甘く見ていた。コガラシの奇怪な行動が今後は時臣を苦しめる番だと思っているが、コガラシの行動は敵味方問わず被害が及ぶ事を。

 

 




『コガラシ』
「仮面のメイドガイ」の主人公。
言ってしまえばメイド服を着た男性だが人並みはずれた身体能力、透視や催眠、飛行などの超能力、五感を含む計37の感覚器官など、超人的な能力の数々を有する。
生命力も極めて高く、100年以上を生き、外的要因で死亡したとしても「メイド神の加護」によって即座に復活するなど、あらゆる点で人間離れした存在。
正義感が強く家事全般のスキルは超一流であり、頭脳明晰だが相手の人権やプライバシーを一切無視した行動を取るので作中で主に女性キャラが被害に合い、その度に制裁を加えられている。
それでも信頼されているので困ったときに咄嗟に頼られる場面も多い。


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闇の三兄弟

 

 

 

間桐家の屋敷の地下に二人の男の姿があった。

 

一人は黒いパーカーを着た白髪の男。

 

もう一人は和服を着たどこか化け物染みた雰囲気を纏った老人。

 

白髪の男は魔法陣らしきものに手をかざしながら呪文のようなものを詠唱していた。

 

 

 

 

 

「ぐっ……がっ……」

 

 

 

 

 

呪文の言葉を詠唱する度に、白髪の男『間桐雁夜』の体に激痛が走った。

 

体の至る所から血を流し、端から見ている者の方が気分を害してしまう程に。

 

しかし雁夜は詠唱をやめなかった。

 

雁夜には果たさねばならない誓いが有った。

 

叶わなければならぬ願いが思いが有った。

 

守らねば成らぬ少女が居た。

 

 

それら全てが雁夜を突き動かし、今にも壊れそうな体を支えていた。

 

唱えていた呪文が終わり、地下室に描かれた陣から光が増し、地下室を照らした。

 

召喚に上手くいっていたのか、隣に居た老人『間桐臓硯』は皺だらけの顔を歪ませ笑った。

 

光が収まり、描かれた陣の中心には自身が召喚したサーヴァントが居た。

 

すると、魔法陣の中から何故か光が溢れだし始める。あまりの眩しさに雁夜も臓硯も目を細め、眩しさに耐えながらサーヴァントを見ようとした。

 

 

「ふふふ……まさか我等にまたも出番が来るとはな」

「なっ……お前等は!?」

 

 

そこに居たサーヴァントに雁夜は驚愕と落胆を感じた。

 

 

 

 

 

 

 

 

◆◇◆◇

 

 

 

 

 

 

 

日が沈みきった倉庫街にて、二人の騎士がお互いの技と力をぶつけ合っていた

 

一人は長短異なる二本の槍を操るランサー。

対するは小柄で可憐な少女でありながらも最優のセイバー。

どちらも互いに英雄を関する名を持つサーヴァント。

戦いは一進一退の互角。

 

「流石だな、セイバー。最優のサーヴァントの名に違わぬ見事な力だ」

「貴殿の槍捌きこそ称賛に値する。貴方のような騎士との勝負に名乗りすら許されないことが悔やまれる」

「それは光栄だなセイバー」

 

 

互いの技を讃え合うセイバーとランサー。

しかし、その戦いに更なる乱入者が現れた。自分のマスターを引き連れて(無理矢理)現れたライダーである。

そしてライダーは驚くべき提案をする。

なんとライダーはセイバーとランサーを配下に加えようと勧誘したのだ。

 

 

「俺が聖杯を捧げると決めたマスターはただ一人。それは断じて貴様ではないぞライダー!」

「そもそも貴様はそんな事を言いに現れたのか。戯れ言が過ぎるぞ!」

 

ライダーの勧誘に二人の英霊は怒りと共にそれを断る。その時だった。ライダーのマスターであるウェイバーを脅す声が鳴り響く。それはランサーのマスターであるケイネスの声だった。ケイネスの脅しに怯えるウェイバーだったが、ライダーはウェイバーの肩にポンと手を置くと叫ぶ。

 

 

「おう、魔術師よ!察するに貴様はこの坊主に成り代わって余のマスターになる腹だったらしいな。だとしたら片腹痛いのぉ。余のマスターたるべき男は余とともに戦場を馳せる勇者でなければならぬ!姿を晒す度胸さえ無い臆病者など役者不足も甚だしいぞ!!」

 

 

ライダーの言葉に震えていたウェイバーがライダーを見上げる。自然と震えは止まっていた。

そしてライダーはスウッと息を吸うと大声を張り上げる。

 

 

「おいこら!他にもおるだろうが、闇に紛れて覗き見しておる連中が!!」

「ど、どういうことだライダー?」

 

 

 

ライダーの言葉にウェイバーが戸惑った様子でライダーに問う。

 

 

「セイバー、それにランサーよ。貴様等の真っ向切っての競い合い、誠に見事であった!あれほど清澄な剣戟を響かせては惹かれて出てきた英霊がよもや余一人ということはあるまいて」

 

 

腕を振り上げて拳を握るとライダーは振り払う様に地に流す。

 

 

「聖杯に招かれし英霊は今ここに集うがいい!なおも顔見世を怖じるような臆病者は征服王イスカンダルの侮蔑を免れぬものと知れ!!」

 

 

ビリビリとライダーの声が倉庫街に鳴り響く。その時だった。倉庫街の暗闇に三つの紅色の光が灯った。

 

 

「その様な名乗りをされては負ける訳にはいくまい!我こそは闇軍団にその名を轟かす、古殺駆なりぃ!」

「力なら誰にも負けんぞ、今殺駆だぁ!」

「闇軍団一の色男、新殺駆よぉ!」

 

 

姿を表したのは一つ目で着ぐるみの様な姿をした三体の武者。それぞれがポーズを決めながら真名を明かしていく。

 

 

「「「我ら殺駆三兄弟っ!!!」」」

「ほぅ……面白い連中だ」

 

 

最後にビシッとポーズを決める明らかに人ではないサーヴァントに誰も声が出せなくなっていた。ただ一人ライダーは面白そうに殺駆三兄弟を見ていた。

 

 

「き、貴公等はサーヴァントなのか?」

「ふっふっふっ……当然よ。俺達に勝てるかな?」

 

 

ランサーが警戒を強めながら殺駆三兄弟に問うと、古殺駆が含み笑いをしながら睨みを効かせる。それを見たランサーやセイバーは武器を握る手に力が入る。

 

 

「よし、ではスイカ割りで勝負だ!」

「聖杯戦争をなんだと思ってるんだ貴様は!?」

 

 

今殺駆の提案にランサーはズッコケてセイバーがツッコミを入れた。

 

 

「兄者、スイカなら此処に!」

「ほう、面白そうな催しのようだな」

 

 

新殺駆が何処からかスイカを取り出すと、ライダーは子供の様な笑みを浮かべて面白そうにスイカの準備をする殺駆三兄弟を眺めていた。




『殺駆三兄弟』
武者ガンダムシリーズに登場するキャラクターである。憎めない悪役キャラでド○ンボー一味の様な悪事を働く。
何気に闇軍団内での地位は高く他の武者達に命令を下すシーンが多い。スイカ割りが趣味。


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復活の死神

 

 

間桐家の屋敷の地下に二人の男の姿があった。

 

一人は黒いパーカーを着た白髪の男。

 

もう一人は和服を着たどこか化け物染みた雰囲気を纏った老人。

 

白髪の男は魔法陣らしきものに手をかざしながら呪文のようなものを詠唱していた。

 

 

 

 

 

「ぐっ……がっ……」

 

 

 

 

 

呪文の言葉を詠唱する度に、白髪の男『間桐雁夜』の体に激痛が走った。

 

体の至る所から血を流し、端から見ている者の方が気分を害してしまう程に。

 

しかし雁夜は詠唱をやめなかった。

 

雁夜には果たさねばならない誓いが有った。

 

叶わなければならぬ願いが思いが有った。

 

守らねば成らぬ少女が居た。

 

 

 

 

 

それら全てが雁夜を突き動かし、今にも壊れそうな体を支えていた。

 

唱えていた呪文が終わり、地下室に描かれた陣から光が増し、地下室を照らした。

 

召喚に上手くいっていたのか、隣に居た老人『間桐臓硯』は皺だらけの顔を歪ませ笑った。

 

 

 

 

光が収まり、描かれた陣の中心には自身が召喚したサーヴァントが居た。

 

 

『ちっ……面倒な所に喚ばれたらしいな』

「な、なんだ……コイツは……」

 

 

雁夜は光の中から現れたサーヴァントに眉を潜めた。

その姿はフードを被り巨大な鎌を担いだ文字通りの死神のような様相。だが、そのフードの下に見える顔はまるで骸骨。否、骸骨そのものだった。

 

 

『なんだコイツはねぇだろ。喚び出しておいてよ』

「体が機械で出来て……ロボットなのか!?」

 

 

バサリとフードを脱いだサーヴァントの体を見て雁夜は驚愕した。過去の英霊を召喚する儀式をしたのに現れたのが何故かロボットなのだから。

 

 

『ちっ……バーサーカーか。俺の生きざまに嫌な因縁が重なったか』

「かかかっ……まさかロボットの英霊とはな」

 

 

その最中、今まで口を閉じていた臓硯が口を開いた。

 

 

「待て、ジジイ!」

「かかかっ……何もせんぞ雁夜よ。約束通り、貴様が聖杯戦争を勝ち抜けば桜は解放しよう。勝てればの話だがな」

 

 

臓硯が何かしようとしているのを察知した雁夜は臓硯を止めようとしたが、臓硯は笑みを浮かべるだけだった。

 

 

「そもそも、遠坂に棄てられた小娘を救おうなぞ……笑わせよるわ。貴様が間桐の家から逃げねば桜もこの様な目には合わなかっただろうに」

「黙れ!俺は桜ちゃんを救う!時臣も許さない!お前もだジジイ!お前が余計な事をしなければ桜ちゃんは苦しまずに済んだ!」

『ほぅ、棄てられた……ね』

 

 

臓硯の挑発にアッサリと乗る雁夜は、自身の心情を吐露すると共に叫んだ。そしてそのやり取りを見ていたバーサーカーは『棄てられた』と言う言葉に反応を示した。

 

 

『おい、棄てられたってのはどういう意味だ』

「バーサーカー?」

 

 

ガシッと力強く雁夜の肩を掴むバーサーカーに、雁夜は振り向きながら驚愕した。バーサーカーの瞳からは明らかなほどの怒りが溢れていたからだ。

 

 

「桜ちゃんは遠坂の家から間桐の家に売られたんだ。魔術師の家において二人目の子供は後継者争いが発生するなんて理由だけで!」

「それが魔術師の家に生まれた者の宿命よ。もっともワシが桜の力を調整する為に蟲蔵に放り込んだ事は否定せんがな」

『どんな理由であれ……棄てられたってのに変わりはねぇな』

 

 

雁夜の言葉にバーサーカーは掴んでいた雁夜の肩から手を離した。

 

 

『こんなくだらねぇ戦いなんざゴメンだったが気が変わった。その桜ってのを救う戦いに俺も入れろ。一方的に棄てられる気持ちは分かるんでな』

「やってくれるのかバーサーカー!」

 

 

バーサーカーの発言に雁夜は喜んだ。まさかこんなにも真っ直ぐに話を受け入れてくるとは思わなかったからだ。

 

 

『だが……テメェは別だ。話を聞くと桜が苦しんでるのはテメェが原因だろ』

「ぐおっ!?」

 

 

するとバーサーカーは手を臓硯の方に向ける。その手の甲から銃口が現れ、光が放たれると臓硯の体は四散した。バーサーカーの手の甲から銃口から煙が立ち上がる中、雁夜は顎が外れるくらい口が開いていた。まさかこんなにも早く臓硯を殺す機会が現れるとは思わなかったからだ。

 

 

「無駄じゃ無駄じゃ!ワシはこの蟲達で体を構成しとる。その銃の威力がいくら高かろうがこの場の蟲を全て殺すことなぞ……」

『なら纏めて消してやるさ』

 

 

しかし、体を蟲で作ってる臓硯には大したダメージにはなっていなかった。それどころかこの場の蟲がいる限り、死なないと公言したのだ。たが、それに対してバーサーカーはボソリと一声出すと、体の中からはガシャンと機関砲が現れたのだ。それも十六門も。そしてそこから弾が飛び出すと部屋の中の蟲達を一斉に破壊し始めたのだ。

 

 

「な、待て!止めろ!」

『知らなかったのか?俺は破壊者だ』

 

 

臓硯の制止の声を無視してバーサーカーは破壊を続けた。蟲蔵を全て破壊し尽くすまで。

因みに雁夜はバーサーカーの後ろでその光景を嫌と言う程にまで見せ付けられていた。

そして全てが終わった後にバーサーカーと雁夜は蟲蔵から外に出た。途中から臓硯の声も聞こえなくなったので恐らくは死亡したのだろう。

 

 

「バーサーカー……ジジイは死んだが俺は聖杯戦争をやらなきゃならない。桜ちゃんの為に」

『なら約束しろ。聖杯戦争とやらには勝ってやるが、お前は桜を一方的に棄てんとな』

 

 

雁夜の言葉にバーサーカーは約束を取り付けた。自分自身が棄てられた記憶のあるバーサーカーの桜に対する優しさが垣間見えた。

 

 

『それと……俺の事はバーサーカーと呼ぶな。俺の名はスカルマン。兄弟達が呼んでくれた名だ』

 

 

雁夜とバーサーカーの契約は繋がれた。一度は死んだ死神が復活した瞬間である。

 

 

 




『スカルマン(有賀ヒトシ版)』
ロックマン4のボス。武器は両腕のバスターにスカルバリア。内部に機関砲十六門が仕込まれている。
コサックがワイリーに脅迫されていた時に作ったロボット。ロックマン4の事件の後にその力の暴走を恐れてコサックに封印されるが、その事によって彼は長年に渡り孤独を味わう。
ワイリーによって開放された際には自分を封印したコサックを誘拐、更にカリンカとロールをも誘拐。
復讐が目的だと思われたが、本当はコサックに優しい言葉をかけて欲しかっただけであった。
ロックマンの一撃によって大破し、仲間に見守られながら機能を停止した。
その後に起こったスペースルーラーズとの戦いにおいては、幻影となりリングマンを助けた。

有賀ヒトシ版ロックマンではキャラの心情や葛藤がシリアスに描かれており、特にスカルマンの話は屈指のエピソードとなっている。


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破壊のプリンス

 

 

間桐家の屋敷の地下に二人の男の姿があった。

 

 

一人は黒いパーカーを着た白髪の男。

 

 

もう一人は和服を着たどこか化け物染みた雰囲気を纏った老人。

 

 

白髪の男は魔法陣らしきものに手をかざしながら呪文のようなものを詠唱していた。

 

 

「ぐっ……がっ……」

 

 

呪文の言葉を詠唱する度に、白髪の男『間桐雁夜』の体に激痛が走った。

 

 

体の至る所から血を流し、端から見ている者の方が気分を害してしまう程に。

 

 

しかし雁夜は詠唱をやめなかった。

 

 

雁夜には果たさねばならない誓いが有った。

 

 

叶わなければならぬ願いが思いが有った。

 

 

守らねば成らぬ少女が居た。

 

 

それら全てが雁夜を突き動かし、今にも壊れそうな体を支えていた。

 

 

唱えていた呪文が終わり、地下室に描かれた陣から光が増し、地下室を照らした。

 

 

召喚に上手くいっていたのか、隣に居た老人『間桐臓硯』は皺だらけの顔を歪ませ笑った。

 

 

光が収まり、描かれた陣の中心には自身が召喚したサーヴァントが居た。しかし、光が収まるに連れてサーヴァントの影が妙に小さい事に気づく雁夜。

 

 

「なんだ……小さいのか?」

 

よく目を凝らし、その影が何なのかを確認する雁夜。

小さな影が、俯せになっている。頭には大きな三角の耳。お尻の辺りには尻尾。

 そこにいたのは、まるで影のような漆黒の毛をまとった、猫だった。

 

 

「……猫?」

 

 

雁夜はサーヴァントの召喚には確かに成功した。そこは素直に喜ぶべき点である。

 

しかし蓋を開けてみれば、召喚したのは小さな黒猫。当然、英霊でもなければ幻獣などではない。どこにでもいる、普通の、雑種の黒猫だった。

 

 

「そ、そんな……」

 

 

雁夜が抱いていた喜びと希望が、途端に絶望へと変わっていく。こんなサーヴァントでは桜を救うなど到底不可能だ。雁夜はこの黒猫がそもそもサーヴァントなのか?と言う疑問すら沸き上がってくる。サーヴァントの召喚には失敗して、此処に居るのは迷い混んだ近所の野良猫だという方が確率が高い気がしていた。

 

 

「カカカ……雁夜よ。貴様の才に多少なりと期待はしておったがとんだ肩透かしよの。サーヴァントどころか野良猫を召喚するとは。此度の聖杯戦争を勝ち抜けるとは到底思えぬわ」

「くそ……黙れジジイ!」

 

 

召喚された黒猫の首筋をヒョイと摘まんで持ち上げる臓硯。期待していたと言う言葉とは裏腹に愉快そうに笑っていた。馬鹿にされている事だけは伝わっている雁夜は苦痛と怒りに顔を歪ませていた。

 

 

「んだよ……また異世界か?」

 

 

しかし、その会話を絶ち切る様に雁夜と臓硯以外の者の声が聞こえる。この場には二人しかいないし桜は地下室には居ない。となれば導き出される答えは一つ。

 

 

「サーヴァント!?何処に居るんだ!?」

 

 

雁夜は自身の召喚が実は成功していたのかと周囲を見渡すが誰も居ない。そこで雁夜は気付いた。先程、自分は何を召喚したつもりになっていた?そしてソレは誰の手にある?

 

 

「つーかよ……さっきからオイラを摘まみ上げてんじゃねー!!」

「へぶっ!?」

「や、やっぱりか!?」

 

 

 

臓硯が摘まみ上げていた黒猫は、器用にも摘ままれた状態から臓硯のボディに重い一撃を与えていた。妙に腕が延びていた様に見えたのは雁夜の錯覚では、なかろうかといわんばかりだ。

 

 

「こ、この……畜生の分際で……は?」

 

 

殴り飛ばされた臓硯は目の前の黒猫に悪態をつこうとしたが言葉を失う。何故ならば目の前の黒猫は自身の腹をボコンと開けると、腹の中からドラム缶状のガトリング銃を腕に嵌め込んだのだから。

 

 

「オイラを怒らせると……どうなるか思いしれやぁぁぁぁっ!」

「ギャァァァァァァ!?」

 

 

そして、そのガトリングから放たれた銃弾は臓硯を撃ち抜いていく。地下室にはガトリングの銃声と臓硯の悲鳴で埋め尽くされ、雁夜はそれを呆然と見ていた。

 

 

「よっし。こんだけ脅しておけば当分は立ち直れないだろ」

「二度と立ち直れないの間違いだと思うけどな……」

 

 

散々ガトリングを撃った黒猫は満足そうにガトリングを腹の中へ戻した。実は臓硯には一発も当てておらずその周囲を撃っていたのだが、至近距離で銃弾を突き付けられる恐怖を散々味わわされた臓硯は口から泡を吹いて気絶していた。その姿を見た雁夜は胸がすく思いだったがそれは根本的な解決には至らない。

そう思った雁夜はバーサーカーに聖杯戦争は何かを語り、そして自身の戦う理由を明かした。

 

聖杯そのものには興味を示さなかったバーサーカーだが、複数の者を相手に暴れまわれると聞いた辺りからバーサーカーの笑みが変わった。そう、本来なら可愛らしい黒猫の筈なのに悪魔のような笑みを浮かべていたのだ。そしてソレは互いの為にとなる契約だった。

 

 

 

「俺の名は雁夜。バーサーカー、君の名は?」

「オイラの名はクロ。サイボーグのクロだ」

 

 

雁夜とクロは握手を交わした。

雁夜は桜を救う為、クロは気ままに暴れる為に。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

余談だが後にクロと戦う事となるテロリストのK・Eはこう語る。

 

 

「え、アレが可愛い黒猫だって?冗談はよしてくれ。アレと対峙した時は心底震えたよ。一匹の猫が一個師団に匹敵する銃器を所持してるなんて誰が予想できる?はは……聖杯戦争の為に色々と準備していた自分が馬鹿らしくなったよ」

 




『クロ』

コミックボンボンで連載されていた『サイボーグクロちゃん』の主人公。
元はただの猫だったが物語冒頭でサイボーグに改造させられる。
自由気ままに生きていて、時折他人におせっかいを焼くこともあるが、決して「正義のヒーロー」には成り切れない存在である。
基本的に暴れるのが大好きで、誰かの手助けをする理由の半分は自分が暴れたい為。

腕はロケットパンチで尻尾からは小型ミサイルが飛ぶ。
腹の中にかなりの量の重火器を仕込んでいてガトリング銃やマシンガン等。更に巨大剣が入っている。
サイズ的には明らかにクロの体の許容範囲を越えていた。


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衝撃の……

 

 

 

間桐家の屋敷の地下に二人の男の姿があった。

 

一人は黒いパーカーを着た白髪の男。

 

もう一人は和服を着たどこか化け物染みた雰囲気を纏った老人。

 

白髪の男は魔法陣らしきものに手をかざしながら呪文のようなものを詠唱していた。

 

 

「ぐっ……がっ……」

 

 

呪文の言葉を詠唱する度に、白髪の男『間桐雁夜』の体に激痛が走った。

 

体の至る所から血を流し、端から見ている者の方が気分を害してしまう程に。

 

しかし雁夜は詠唱をやめなかった。

 

雁夜には果たさねばならない誓いが有った。

 

叶わなければならぬ願いが思いが有った。

 

守らねば成らぬ少女が居た。

 

 

 

それら全てが雁夜を突き動かし、今にも壊れそうな体を支えていた。

 

唱えていた呪文が終わり、地下室に描かれた陣から光が増し、地下室を照らした。

 

召喚に上手くいっていたのか、隣に居た老人『間桐臓硯』は皺だらけの顔を歪ませ笑った。

 

 

光が収まり、描かれた陣の中心には自身が召喚したサーヴァントが居た。

 

 

「ふん……まさか、この様な地に呼ばれるとはな……」

「………バーサーカー……なのか?」

 

 

光の中から現れたのは葉巻を咥えた黒いスーツ姿の男だった。雁夜の問いにバーサーカーはそれに反応するように葉巻を吸う。

 

 

「バーサーカー……か。確かにワシは奴との決着を付ける為に戦いに身を投じすぎた……バーサーカーと言われても仕方ない事よな」

 

 

フゥーと紫煙を吐いていくバーサーカー。その姿は理知的でバーサーカーとはかけ離れた存在に思えた。

 

 

「かかか……マトモにサーヴァントを召還出来ぬクズめ。その外れバーサーカーと共に勝てぬ聖杯戦争に励むが良いわ」

「気に食わんな……」

 

 

臓硯がしわくちゃの顔を歪ませながら雁夜を笑うが、バーサーカーはその臓硯を見て、顔を顰める。

 

 

「貴様の物言い……気に入らんな。その態度もだ」

「ふん、会ったばかりの貴様がワシの何を理解する?」

 

 

バーサーカーの態度に臓硯はバーサーカーに興味を覚えたのか、愉快そうに訪ねた。

 

 

「貴様の纏う雰囲気……孔明同様に物事に余計な口を挟む傍観者気取りの気に入らない存在よ」

「ならば、どうする傀儡よ?貴様がワシを殺せると……」

 

 

目の前の爺が気に食わないと話すバーサーカーに臓硯は鼻で笑っていたが、最後まで言葉を発する事が出来なかった。何故ならばバーサーカーが手を翳した瞬間、掌から赤い風の様な物が発生し、臓硯の体を粉々に打ち砕いたからだ。

 

 

「ふん……十傑集を舐めるな」

「す、凄いな……バーサーカー」

 

 

事なきもなく臓硯をアッサリと始末したバーサーカーに雁夜は唖然としていた。

 

 

「この程度、造作もない。さて……聖杯とやらがあれば何でも願いが叶うのだろう?今度こそ、奴と……戴宗と決着を付けてくれるわ」

「そう言えば……真名を聞いてなかったな。なんて英霊なんだ?」

 

 

葉巻を再び咥えるバーサーカーに雁夜は真名を問う。それに対してバーサーカーはニッと笑みを浮かべた。

 

 

「ワシの名はアルベルト……衝撃のアルベルトだ」

 

 

その不遜な態度の笑みに雁夜はゾクリと恐怖と安心を味わう事となる。

この後の戦いにて、とあるテロリストは特別な銃弾を素手で受け止められた挙げ句、弾を打ち返される。とある時計塔の講師は自慢の魔術を衝撃波で消し飛ばされる。とある殺人鬼は子供を拐う前に見つかって捕まり、とある愉悦神父は身体能力の差を見せつけられてプライドがズタボロになるなど、多方面に影響を及ぼすのだが現段階で彼等にそれを知る術はない。

 

 

 

 




『衝撃のアルベルト』

「ジャイアントロボ THE ANIMATION~地球が静止する日~」のキャラ。
犯罪組織「ビッグファイア団」(BF団)のエージェントにして、大幹部「十傑集」の一人。

右目にモノクルを装備し、スーツ姿に葉巻を咥え、髭を生やしたダンディな中年。
その名の通り「衝撃波」を繰り出す事が得意で身体能力も高く、走れば車にあっという間に追いつき、攻撃すれば一撃で複数の人間を吹き飛ばす、衝撃波を利用して空を飛ぶ等、かなり人間をやめている人。
単身で敵基地に乗り込み、楽々と壊滅させる程の戦闘力を誇る。

中の人のネタでGガンダムの東方不敗と共通点が非常に多い。

『スーパーロボット大戦α』では第三の使徒サキエルと生身で戦うと言う行為をやってのけ、プレイヤーに『衝撃』を与えた。因みにそれ以前のシナリオでMSを生身で倒している。

『スーパーロボット大戦64』では東方不敗と夢の共演を果たす。


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史上最凶最悪と呼ばれた仮面の戦士

間桐家の屋敷の地下に二人の男の姿があった。

 

一人は黒いパーカーを着た白髪の男。

 

もう一人は和服を着たどこか化け物染みた雰囲気を纏った老人。

 

白髪の男は魔法陣らしきものに手をかざしながら呪文のようなものを詠唱していた。

 

 

「ぐっ……がっ……」

 

 

呪文の言葉を詠唱する度に、白髪の男『間桐雁夜』の体に激痛が走った。

 

体の至る所から血を流し、端から見ている者の方が気分を害してしまう程に。

 

しかし雁夜は詠唱をやめなかった。

 

雁夜には果たさねばならない誓いが有った。

 

叶わなければならぬ願いが思いが有った。

 

守らねば成らぬ少女が居た。

 

 

 

それら全てが雁夜を突き動かし、今にも壊れそうな体を支えていた。

 

唱えていた呪文が終わり、地下室に描かれた陣から光が増し、地下室を照らした。

 

召喚に上手くいっていたのか、隣に居た老人『間桐臓硯』は皺だらけの顔を歪ませ笑った。

 

 

光が収まり、描かれた陣の中心には自身が召喚したサーヴァントが居た。

そのサーヴァントは蛇柄のジャケットを纏った金髪の男だった。

 

 

「ククッ……ハハハ……アーハッハッハッ!また……祭りが始まるってか!クハハハハハハハハハハハハッ!!」

 

 

その男は召喚され、この地に降りたばかりだと言うのに自身に何が起きたのか理解した様な口振りだった。

 

 

「おい……テメェが俺のマスターってんなら戦わせろ!」

「ぐ、お……」

 

 

男はイラついた様子で雁夜の胸ぐらを掴み上げる。首を絞められた雁夜は苦しそうに呻き声を上げた。

 

 

「ちっ……テメェが死んだら祭りが終わるか……」

「がはっ!?」

 

 

男は舌打ちをすると雁夜を突き飛ばす。突き飛ばされた雁夜は頭を打って気絶した。

 

 

 

 

 

 

 

 

◆◇◆◇

 

 

 

倉庫街では激しい戦いが繰り広げられていた。

二人の騎士がお互いの技と力をぶつけ合っていて、一人は長短異なる二本の槍を操るランサー。

対するは小柄で可憐な少女でありながらも最優のセイバー。

どちらも互いに英雄を冠する名を持つサーヴァント。

戦いは一進一退の互角。

 

 

「流石だな、セイバー。最優のサーヴァントの名に違わぬ見事な力だ」

「貴殿の槍捌きこそ称賛に値する。貴方のような騎士との勝負に名乗りすら許されないことが悔やまれる」

「それは光栄だなセイバー」

 

 

互いの技を讃え合うセイバーとランサー。

しかし、その戦いに更なる乱入者が現れた。自分のマスターを引き連れて(無理矢理)現れたライダーである。

そしてライダーは驚くべき提案をする。

なんとライダーはセイバーとランサーを配下に加えようと勧誘したのだ。

 

 

 

「俺が聖杯を捧げると決めたマスターただ一人。それは断じて貴様ではないぞライダー!」

「そもそも貴様はそんな事を言いに現れたのか。戯れ言が過ぎるぞ!」

 

 

セイバーとランサーに断られたライダー。そしてそこに新たにアーチャーまで現れたのだ。黄金の鎧を身に纏ったアーチャーは『王の財宝』から無数の宝具を撃ち放ち始め、セイバー、ランサー、ライダーを追い詰め始める。圧倒的な力の前に満身創痍になり始めたセイバー達を見てアーチャーは鼻を鳴らしながら興味が失せた様にトドメを刺そうとした……その時だった。

 

 

「うらぁっ!」

「何っ!?ぐわぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!?」

 

 

突如、現れた紫色の仮面を纏った戦士がアーチャーを襲ったのだ。その戦士はアーチャーを地面に叩き落とした。

 

 

「此処か……祭りの場所は……うらあっ!」

 

 

突如、現れた紫色の仮面の戦士は首をゴキッと鳴らしながら回すと、その背中を手にしたベノサーベルで何度も滅多打ちにし始める。

 

 

「ぐ……この雑種が……があっ!?」

「どうした?……英霊なんだろ、お前?」

 

 

紫色の仮面の戦士は、起き上がろうとしたアーチャーの頭を掴み上げると自分の顔の前に持ってきて睨み付ける。

当然、そんな侮辱を与えられたアーチャーは即座に紫色の仮面の戦士を倒そうとしたが何かに気付き、舌打ちをした。

 

 

「時臣め。この我が此処までの侮辱を与えられて退けだと……諌言、高くつくぞ……」

「おい……何処へ行く!?」

 

 

霊子化して逃げていくアーチャーに紫色の仮面の戦士はイラついた様子で叫び。

 

 

「狂犬……貴様は我が滅ぼす……覚えておけ……」

「だったら今、戦えっ!」

 

 

姿が消えたアーチャーに紫色の仮面の戦士は近くに落ちていた鉄パイプを投げるが、完全に消えたアーチャーには当たらずに鉄パイプはコンテナに当たる。

 

 

「ゼァァァァァァァァッ!」

 

「な、何なんだアイツは!?」

「うむ、まごうことなきバーサーカーだな」

 

 

怒りに身を任せて暴れる紫色の仮面の戦士にライダーのマスターであるウェイバーは怯えた様子で見つめ、ライダーはあからさまなバーサーカーだな、と観察していた。

 

 

「おい、征服王。アレには誘いは掛けんのか?」

「アレは明らかな狂人。無理に引き込もうとすれば、此方が食われかねんな」

 

 

ランサーの皮肉にライダーは顎髭を弄りながら答える。基本的に会話が成立しないバーサーカーだが、紫色の仮面の戦士は別の意味で話が通じなさそうだった。

因にだが、セイバー陣営はアーチャーが退いた段階で同じく退いていた。それと言うのも切嗣がバーサーカーの危険性を感じとり、即座にアイリスフィールとセイバーに撤退を指示したからである。

 

 

「金ぴかのも居なくなったし、我等も退くとするか」

「此方も主から撤退命令が来た。去らばだ」

「逃げるなぁぁぁぁぁぁぁっ!」

 

 

ライダー陣営やランサーも撤退してしまい、一人で倉庫街に残された紫色の仮面の戦士は雄叫びを上げるが、それを聞くものは誰もいない。

 

 

「俺をイライラさせるなぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」

 

 

紫色の仮面の戦士はその体が鏡が割れるかの様に砕け散り、中からは間桐邸で召喚されたバーサーカーが現れた。

バーサーカーの真名は浅倉威。別の世界で仮面ライダー史上最凶のライダーと呼ばれた男である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

オマケ

 

 

 

倉庫街の戦いから暫くした後。

 

 

「おい……浅倉、なんだそれ?」

 

 

雁夜は間桐邸の庭で焚き火をしている浅倉に話し掛ける。

焚き火の回りには串に刺した何かが地面に刺してあり、それを焚き火で炙っているというのが分かる。見た目も明らかに不気味なそれに雁夜の背後で隠れてそれを見ていた桜は怖がって見ていた。

 

 

「………食うか?」

「おい、待て……それって、もしかして……」

 

 

浅倉は焚き火で炙っている串を一本引き抜くと雁夜に差し出す。差し出され、間近でそれを確認した雁夜は串に刺されていた何かの正体に気づいた。

不気味なタコのような触手。

 

 

「まさか……キャスターの召喚した海魔か、これ……」

「……お……おおぅ……」

「……食べてる」

 

 

雁夜は浅倉が焼いている物がキャスターの召喚した海魔である事に気づき、桜は海魔を美味しそうに頬張る浅倉を見て、引いていた。

 

 




『浅倉威』

仮面ライダー龍騎の登場人物。
戦いが進まない事を快く思わなかった神崎士郎に戦いの活性剤として選ばれ、ベノスネーカーと契約して仮面ライダー王蛇となった男。仮面ライダー史上最凶最悪の人物とさえ言われている。


余談ではあるが『Fate/Zero』の雨生龍之介、『魔法少女まどか☆マギカ』の佐倉杏子など、バトルロワイヤルモノ作品の多くに『浅倉威』として意識したキャラクターが多く作られる事となった。


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十字架を背負ったテロ牧師

 

 

 

間桐家の屋敷の地下に二人の男の姿があった。

 

一人は黒いパーカーを着た白髪の男。

 

もう一人は和服を着たどこか化け物染みた雰囲気を纏った老人。

 

白髪の男は魔法陣らしきものに手をかざしながら呪文のようなものを詠唱していた。

 

 

「ぐっ……がっ……」

 

 

呪文の言葉を詠唱する度に、白髪の男『間桐雁夜』の体に激痛が走った。

 

体の至る所から血を流し、端から見ている者の方が気分を害してしまう程に。

 

しかし雁夜は詠唱をやめなかった。

 

雁夜には果たさねばならない誓いが有った。

 

叶わなければならぬ願いが思いが有った。

 

守らねば成らぬ少女が居た。

 

 

 

それら全てが雁夜を突き動かし、今にも壊れそうな体を支えていた。

 

唱えていた呪文が終わり、地下室に描かれた陣から光が増し、地下室を照らした。

 

召喚に上手くいっていたのか、隣に居た老人『間桐臓硯』は皺だらけの顔を歪ませ笑った。

 

 

 

「なんや、ここ……けったいな場所やな」

「……ぼ、牧師?」

 

 

其処に居たのは何故か関西弁を話すガラの悪い牧師だった。牧師は布に包まれた巨大な十字架を背負っていた。

 

 

「ワイの名はニコラス・D・ウルフウッド。バーサーカーなんて牧師のワイには合わんでまったく……」

「いや、その出で立ちで牧師とか言われても……」 

 

 

バーサーカー、ウルフウッドの自己紹介に雁夜は牧師ともバーサーカーらしくもないと感じていた。

 

 

 

 

◆◇◆◇

 

 

 

 

 

 

日が沈みきった倉庫街にて二人の騎士がお互いの技と力をぶつけ合っていた

 

一人は長短異なる二本の槍を操るランサー。

 

対するは小柄で可憐な少女でありながらも最優のセイバー。

 

どちらも互いに英雄を関する名を持つサーヴァント。

 

戦いは一進一退の互角。

 

 

 

 

 

「流石だな、セイバー。最優のサーヴァントの名に違わぬ見事な力だ」

「貴殿の槍捌きこそ称賛に値する。貴方のような騎士との勝負に名乗りすら許されないことが悔やまれる」

「それは光栄だなセイバー」

 

 

 

互いの技を讃え合うセイバーとランサー。

しかし、その戦いに更なる乱入者が現れた。自分のマスターを引き連れて(無理矢理)現れたライダーである。

そしてライダーは驚くべき提案をする。

なんとライダーはセイバーとランサーを配下に加えようと勧誘したのだ。

 

 

「俺が聖杯を捧げると決めたマスターはただ一人。それは断じて貴様ではないぞライダー!」

「そもそも貴様はそんな事を言いに現れたのか。戯れ言が過ぎるぞ!」

 

 

 

ライダーの勧誘に二人の英霊は怒りと共にそれを断る。その時だった

 

 

「なんや、殺しあいと聞いてたんやけど交渉もありかいな」

「誰だ!」

 

 

暗闇にシュボッと火を灯す音とこの場にいる誰でもない声にセイバーが叫ぶ。他のマスターやサーヴァント達の警戒心も羽上がった。

 

 

「まあ、落ち着きや嬢ちゃん。そっちのイスカンダルちゅーのが言ったみたいに、まずは話し合いや」

「チ……チンピラ?」

 

 

暗闇からコツコツと足音を鳴らしながら歩いてきた人物は漸く明かりに照らされて、その姿を表す。

その風貌は着崩した黒ずくめのスーツにボサボサの髪型に無精髭、更に咥えたタバコがチンピラを思わせる姿だった。しかし、それ以上に目立つのが彼が背負っている大きな十字架だろう。

 

 

「誰がチンピラや坊主。ワイは職業は牧師やで」

 

 

男の自己紹介に、その場に居た者達は顔を見合わせた後に口を開いた。

 

 

「貴殿の姿から神に仕える身とは思えんのだが」

「そもそも神父や牧師がタバコを吸うな」

「と言うか牧師は職業じゃないよな」

「面白い男だな!」

「主よ、世間は偏見と思い込みに満ちています」

 

 

セイバー、ランサー、ウェイバー、ライダーの順番にコメントを溢し、ウルフウッドは嘆きとも拗ねた様にも聞こえる愚痴を溢した。

それをクスクスとアイリスフィールは笑ってみていた。

 

 

「なんや、姉ちゃん。ワイがそんなに面白ろいんか?」

「ああ、うん。違うの……知ってる人に凄く似てると思ったら、つい……アナタ程、お喋りな感じじゃないのに……不思議ね」

 

 

ウルフウッドの問い掛けにアイリスフィールはやんわりと否定をしつつ笑みを溢した理由を話す。

ウルフウッドと自身の夫である衛宮切嗣が何処と無く似ていると感じていたアイリスファール。

実際にそれは間違いではなく、どちらも幼い頃から血と硝煙の臭いのする場所で生きていたという事実がある。尤もウルフウッドの方が過酷な環境にいた事は知る由もないのだが。

 

因みに仲睦まじく話すウルフウッドとアイリスフィールを狙撃用のライフルのスコープから見ていた切嗣はウルフウッドに照準を合わせて狙撃しようとしていたりする。もっとも狙い撃ちした所でウルフウッドは確実に避けるのだが。

 

今回の聖杯戦争において切嗣は最大の敵となるウルフウッドをまだ甘く見ていた。

 

 

 




『ニコラス・D・ウルフウッド』

「TRIGUN MAXIMUM」において、主人公ヴァッシュ・ザ・スタンピードの相棒にしてもう一人の主人公と言える存在。エセ関西弁を喋り巨大な十字架を担ぎ、牧師業をしながら旅をしている。牧師を自称しているが劇中でそれらしい振る舞いはかなり少ない。通称『テロ牧師』


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東で敗けを知らない爺様

 

 

 

 

間桐家の屋敷の地下に二人の男の姿があった。

 

一人は黒いパーカーを着た白髪の男。

 

もう一人は和服を着たどこか化け物染みた雰囲気を纏った老人。

 

白髪の男は魔法陣らしきものに手をかざしながら呪文のようなものを詠唱していた。

 

 

「ぐっ……がっ……」

 

 

呪文の言葉を詠唱する度に、白髪の男『間桐雁夜』の体に激痛が走った。

 

体の至る所から血を流し、端から見ている者の方が気分を害してしまう程に。

 

しかし雁夜は詠唱をやめなかった。

 

雁夜には果たさねばならない誓いが有った。

 

叶わなければならぬ願いが思いが有った。

 

守らねば成らぬ少女が居た。

 

 

 

それら全てが雁夜を突き動かし、今にも壊れそうな体を支えていた。

 

唱えていた呪文が終わり、地下室に描かれた陣から光が増し、地下室を照らした。

 

召喚に上手くいっていたのか、隣に居た老人『間桐臓硯』は皺だらけの顔を歪ませ笑った。

 

 

 

「ほほう、このワシをバーサーカーのクラスで召喚せし者は貴様というわけか。ワシは東方不敗!マスターアジア!」

「お、お前は俺が召喚したサーヴァントなのか。し、しかしバーサーカーなのに会話が成り立つなんて……」

 

 

 

魔方陣の中から現れたのは銀髪のおさげ髪の老人だった。しかし、その老人の体は異常なまでに鍛えられた者であると、雁夜は一目で理解した。

 

 

「与太者にワシは狂っていると評されたから、あながち間違いではないか。して、マスター……いや、ややこしいな名を教えろ」

「あ、ああ……アンタも名前にマスターが付いてるならややこしいな。俺は間桐雁夜……お前のマスターだ」

 

 

東方不敗の問いに雁夜は名乗ると同時に自身の令呪を見せる。

 

 

「ならば、雁夜よ。ワシのマスターたる貴様に問おう。貴様は聖杯に何を望む?」

「お、俺は……桜ちゃんを助けたい……そして桜ちゃんを売った遠坂に復讐を望む!」

 

 

雁夜の叫びに東方不敗は瞳を閉じ、思案する様に口を閉じた。そんな雁夜の叫びを嘲笑うように臓硯は笑い声を抑えられなかった。

 

 

「貴様に雁夜の何が分かる……この叫びは魂の叫び、それが分からぬ愚か者が口を挟むでない、馬鹿者」

「使い魔ごときがほざきよるわ。精々、ワシを楽しませるが良いわ」

 

 

東方不敗と臓硯はバチバチと睨みあう。東方不敗は臓硯をウォンと同じく、利が一致している限りは協力関係にあるが決して心を許してはいけない存在と認識し、臓硯は東方不敗を只のサーヴァントではなく、この聖杯戦争最大の驚異と認識していた。

 

 

 

◆◇◆◇

 

 

 

 

 

 

 

倉庫街では激しい戦いが繰り広げられていた。

二人の騎士がお互いの技と力をぶつけ合っていて、一人は長短異なる二本の槍を操るランサー。

対するは小柄で可憐な少女でありながらも最優のセイバー。

どちらも互いに英雄を冠する名を持つサーヴァント。

戦いは一進一退の互角。

 

 

 

 

「流石だな、セイバー。最優のサーヴァントの名に違わぬ見事な力だ」

「貴殿の槍捌きこそ称賛に値する。貴方のような騎士との勝負に名乗りすら許されないことが悔やまれる」

「それは光栄だなセイバー」

 

 

 

 

 

互いの技を讃え合うセイバーとランサー。

しかし、その戦いに更なる乱入者が現れた。自分のマスターを引き連れて(無理矢理)現れたライダーである。

そしてライダーは驚くべき提案をする。

なんとライダーはセイバーとランサーを配下に加えようと勧誘したのだ。

 

 

「俺が聖杯を捧げると決めたマスターただ一人。それは断じて貴様ではないぞライダー!」

「そもそも貴様はそんな事を言いに現れたのか。戯れ言が過ぎるぞ!」

「よくぞ、言った!それでこそ人類史に名を残す偉大な英霊と言うものよ!」

 

 

 

ライダーの誘いを断ったランサーとセイバーの言葉を褒め称える大声。突如、会話に加わった人物にセイバーとランサーの警戒心が上がる。

 

 

「何者だ!」

「我が名は東方不敗マスターアジア!バーサーカーのサーヴァントよ!貴様等の闘いぶり実に見事なものよ。武人として血が沸き上がったわ!」

 

 

セイバーの問いかけに笑いながら答える東方不敗。ライダー同様に闘いに乱入されたという思いが強かったが、東方不敗は闘いそのものを誉めていた為にさほど反感は買っていなかった。

 

 

「ほう、強そうな爺様だ。どうだ、爺様も我が軍勢に加わらぬか?」

「ワシを従わせたくばワシに打ち勝ち、膝を折らせてみせよ。尤もワシに土を着けたのは我が弟子だけだがな」

「ひ、ひぃぃぃぃっ!?」

「くっ……なんて圧だ……」

「東方不敗とは知らぬ名だが、この気配、ただ者じゃない……」

 

 

ライダーはセイバーとランサーに断られた直後にもかかわらず、東方不敗を自分の部下に誘おうとした。東方不敗はそれを断ると同時に闘気を高める。それを間近で浴びたウェイバーは腰を抜かし、セイバーとランサーは東方不敗が改めてただ者ではない事を再認識していた。

 

 

「いつまで、じゃれあっている雑種が。天上天下で唯一の王たる俺を差し置いて、その不敬。万死に値する」

「貴様がワシを殺すだと?直接向かい合うのが怖くて離れた位置から話し掛ける臆病者がか?ヌハハハハハハハっ!!」

 

 

一連のやりとりを見ていたアーチャーのサーヴァント、ギルガメッシュは高い鉄塔の上から東方不敗達を見下ろしていたが東方不敗に指摘された事にビキッとこめかみに青筋が走る。

 

 

「不敬を詫びるどころか笑い嘲るその態度、せめて散り様で俺を興じさせよ」

「やってみせい、未熟者が!この程度でワシを殺すとはな!笑止千万!」

 

 

怒りに震えるギルガメッシュはゲートオブバビロンから数多の宝具を解き放つ。しかし、一同はあり得ない物を見る事となる。

 

 

「フッハハハハハハハハハハハッ!!」

「飛んできた武器を足場にして空を駆けている!?」

「どんな修練を積めばあんな事が出きるんだ!?」

「爺様め、相当の英霊と見受けるぞ」

「めちゃくちゃだ!」

 

 

東方不敗は飛来する剣や槍、斧、矢……様々な宝具を足場に走り抜け、ギルガメッシュに肉薄する。

高笑いしながら空を駆ける東方不敗にセイバー、ランサー、ライダー、ウェイバーの順にコメントを溢す。

 

 

「な、なんだとっ!?」

「でぇぇぇいやぁぁぁぁぁっ!!」

 

 

更に東方不敗は腰に巻いた布を振るうとギルガメッシュの背後の宝具を払い落とす。と同時に、鉄塔に立っていたギルガメッシュを蹴り落とす。

 

「でりゃぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」

「ぐほぉぁ!!?」

 

 

東方不敗は鉄塔から地面に叩き落とされたギルガメッシュを追って追撃の手刀を叩き込んだ。その威力はギルガメッシュは愚か、コンクリートの地面にすらクレーターを作る程だった。

 

 

「ふん、飛び道具にばかり頼るから、その様よ。トドメじゃ!!!」

「許さんぞ!許さんぞっ!我に傷をぉぉ!!!貴様は塵も残さん!エヌマ……」

《令呪をもって命ずる。王よ、撤退です。今すぐその場を離れて下さい》

 

 

 

東方不敗がギルガメッシュにトドメを刺そうとし、ギルガメッシュは自身の最大宝具を使おうとしたが、ギルガメッシュのマスターである時臣は令呪を使い、強制的に撤退をさせた。

 

 

「ふん、退いたか。手負いの獣は厄介になるから仕留めておきたかったが……貴様等はどうする?」

 

 

姿を消したギルガメッシュに舌打ちをしながら東方不敗は残ったセイバー、ランサー、ライダーに問い掛ける。

 

 

 

「今夜は退かせていただきたい。我がマスターも少々、気圧されてしまった様だ」

「主より、撤退を指示された。俺も退かせてもらおう」

「余も今夜は満足させて貰った。マスターも爺様の強さに気絶してしまったのでな」

「引き際を誤らぬも武人には大切な事よ。この決着は次の機会につけてくれる。貴様等、サーヴァント全員を倒した暁には東西南北中央不敗のスーパーアジアと名乗ってくれよう!」

 

 

セイバー、ランサー、ライダーに続戦の意思はなく、東方不敗も満足げに頷いた。更に東方不敗は過去に名乗ろうとした完全無欠の名を再び名乗ろうとしていた。

 

 

これが後に聖杯ファイトと呼ばれる聖杯戦争の始まりの夜だった。

 

 

 

 

 




『東方不敗/マスターアジア』
機動武闘伝Gガンダムの登場人物。
主人公ドモン・カッシュの師匠で流派東方不敗という拳法の流派を完成させた武道の達人で、その拳法の冴えは生身の体と腰布のみでモビルスーツを粉々に破壊するほどである。
全てのアニメキャラを強さでランキングした際に最強人類に確実にピックアップされるお方。

スーパーロボット大戦Fでは素手で機械獣を破壊するなど原作のインパクトをプレイヤーに与える。

新スーパーロボット大戦では異星人である事をカミングアウトした(今作のみのオリジナル設定)

スーパーロボット大戦Jに至っては生身で戦闘に乱入しアークエンジェルにダメージを与え、ナデシコに飛び移って攻撃を仕掛けるといったコーディネーターもビックリな事を仕出かす。
余談だがナデシコのディストーションフィールドを生身で突破したのは歴代シリーズでも東方不敗のみ。


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一撃必殺男

アンケート投票ありがとうございます。
次回のアンケートも設置しましたので、お願いします。


 

 

 

間桐家の屋敷の地下に二人の男の姿があった。

 

一人は黒いパーカーを着た白髪の男。

 

もう一人は和服を着たどこか化け物染みた雰囲気を纏った老人。

 

白髪の男は魔法陣らしきものに手をかざしながら呪文のようなものを詠唱していた。

 

 

「ぐっ……がっ……」

 

 

呪文の言葉を詠唱する度に、白髪の男『間桐雁夜』の体に激痛が走った。

 

体の至る所から血を流し、端から見ている者の方が気分を害してしまう程に。

 

しかし雁夜は詠唱をやめなかった。

 

雁夜には果たさねばならない誓いが有った。

 

叶わなければならぬ願いが、思いが有った。

 

守らねば成らぬ少女が居た。

 

 

 

それら全てが雁夜を突き動かし、今にも壊れそうな体を支えていた。

 

唱えていた呪文が終わり、地下室に描かれた陣から光が増し、地下室を照らした。

 

召喚に上手くいっていたのか、隣に居た老人『間桐臓硯』は皺だらけの顔を歪ませ笑った。

 

 

 

「なんだ、此処?暗いな」

「な……誰?俺が召喚したバーサーカーなのか!?」

 

 

そこに現れたのは、やる気の無さそうな表情をした、つるっぱげの男だった。

 

 

「俺はサイタマ。趣味でヒーローをしている者だ」

「なんだ、その適当な設定は……」

 

 

雁夜は改めてその男の姿を見た。服装は黄色。手足に赤い手袋とブーツ。そして白いマント。子供のころに見たアニメの主人公のようだった。そんなふざけた格好の男は自身をヒーローと称した。

 

 

 

 

 

◆◇◆◇

 

 

 

倉庫街では激しい戦いが繰り広げられていた。

二人の騎士がお互いの技と力をぶつけ合っていて、一人は長短異なる二本の槍を操るランサー。

対するは小柄で可憐な少女でありながらも最優のセイバー。

どちらも互いに英雄を冠する名を持つサーヴァント。

戦いは一進一退の互角。

 

 

 

「流石だな、セイバー。最優のサーヴァントの名に違わぬ見事な力だ」

「貴殿の槍捌きこそ称賛に値する。貴方のような騎士との勝負に名乗りすら許されないことが悔やまれる」

「それは光栄だなセイバー」

 

 

互いの技を讃え合うセイバーとランサー。

しかし、その戦いに更なる乱入者が現れた。自分のマスターを引き連れて(無理矢理)現れたライダーである。

そしてライダーは驚くべき提案をする。

なんとライダーはセイバーとランサーを配下に加えようと勧誘したのだ。

 

 

「俺が聖杯を捧げると決めたマスターただ一人。それは断じて貴様ではないぞライダー!」

「そもそも貴様はそんな事を言いに現れたのか。戯れ言が過ぎるぞ!」

 

 

セイバーとランサーに断られたライダー。そしてそこに新たにアーチャーまで現れたのだ。黄金の鎧を身に纏ったアーチャーは『王の財宝』から無数の宝具を撃ち放ち始め、セイバー、ランサー、ライダーを追い詰め始める。圧倒的な力の前に満身創痍になり始めたセイバー達を見てアーチャーは鼻を鳴らしながら興味が失せた様にトドメを刺そうとした……しかし、此処で不運な事が起きる。アーチャーから放たれた宝具の槍の一本がセイバーのマスターであるアイリスフィールに向かって放たれてしまったのだ。それを放ったアーチャーは我関せず。セイバーは助けに行こうとしたが追い詰められた体力では僅かに間に合わない。

 

その瞬間だった。誰も感知できない程の速度で何者かがアイリスフィールの前に立ち、飛んできた槍を片手で受け止めたのだ。

 

 

「た、誰……何者なの、お兄さん」

「俺はサイタマ。趣味でヒーローをしているバーサーカーだ」

 

 

そう槍を受け止めたのはサイタマだった。アイリスフィールは尻餅を付き、立ち上がれないままサイタマに質問し、サイタマは槍を捨てながら答えた。

 

 

「貴様、汚らわしい手で我が財に触れるか!」

「逃げて、ハゲ兄さん!助けてくれたのは嬉しいけど、あれだけの宝具を受けたら一溜まりも無いわ!」

「なんで、呼び方に『ハゲ』が付いたのか不思議だけど大丈夫だ」

 

 

アーチャーの怒号と共に再び放たれようとしている数多の剣や槍にアイリスフィールは逃げるように叫ぶがサイタマからは、どうでもいい返答が返ってきた。

 

 

「我が圧倒的な力の前に散るが良い!!」

「アイリスフィール!離脱します!」

「キャアッ!?」

 

 

再び放たれたゲート・オブ・バビロンからの数多の宝具がサイタマを襲い、セイバーはアイリスフィールを連れて、その場から安全圏まで移動した。

宝具が着弾した地点は砂煙が舞い、辺りは何も見えなくなった。アーチャーは勝利を確信しているのか鼻を鳴らし、満足そうに笑みを浮かべた。

 

 

「ふん、呆気ないものだな。圧倒的な我の力の前では何者も塵芥に等しい」

「ああ、俺もそう思うよ」

 

 

誰もがサイタマの敗けを考え、アーチャーをどう倒すか知謀を巡らせていた。

しかし、此処で異常事態が起きた。砂煙の中からサイタマが現れ、その跳躍力で鉄塔の頂点に立つ、アーチャーに肉薄していたのだから。そしてサイタマは右拳を引き絞り、アーチャーの顔面に一撃を叩き込んだ。

 

 

「圧倒的な力ってのは……虚しいもんだ」

「バ、バカなぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!?」

 

 

サイタマに殴られたアーチャーは、そのまま宙を舞い、霊器が保てなくなったのか、アーチャーの体は光の粒子となり霧散した。

 

 

「あ、あわわわ……アーチャーを一撃で……」

「なんという力だ……」

 

 

最強とも思われたアーチャーを拳の一撃で倒してしまったサイタマ。ウェイバーは恐怖で腰を抜かし、ランサーはあり得ないパワーを秘めたサイタマを警戒する。これは他のマスターやサーヴァントも同様だった。

 

 

 

「また……ワンパンで終わっちまった……」

 

 

 

しかし、そんなマスター達とサーヴァントを尻目にサイタマは握った拳を見詰めながら呟いた。

 

 

 

「くそったれぇぇぇぇぇぇぇぇっ!!」

 

 

 

夜の倉庫外にサイタマの叫びが木霊した。これが後に『ワンパンマン』と呼ばれるヒーローの始まりの戦いだった。

 



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オカマ拳法

 

 

間桐家の屋敷の地下に二人の男の姿があった。

 

一人は黒いパーカーを着た白髪の男。

 

もう一人は和服を着たどこか化け物染みた雰囲気を纏った老人。

 

白髪の男は魔法陣らしきものに手をかざしながら呪文のようなものを詠唱していた。

 

 

「ぐっ……がっ……」

 

 

呪文の言葉を詠唱する度に、白髪の男『間桐雁夜』の体に激痛が走った。

 

体の至る所から血を流し、端から見ている者の方が気分を害してしまう程に。

 

しかし雁夜は詠唱をやめなかった。

 

雁夜には果たさねばならない誓いが有った。

 

叶わなければならぬ願いが思いが有った。

 

守らねば成らぬ少女が居た。

 

 

 

それら全てが雁夜を突き動かし、今にも壊れそうな体を支えていた。

 

唱えていた呪文が終わり、地下室に描かれた陣から光が増し、地下室を照らした。

 

召喚に上手くいっていたのか、隣に居た老人『間桐臓硯』は皺だらけの顔を歪ませ笑った。

 

 

「アン、ドゥ、オラァ!」

 

 

すると何故か地下室には謎の歌声が響いてきた。

 

 

「な、なんだ……この歌は……」

「アン、ドゥ、クラァ!」

 

 

雁夜の呟きにその歌声の主は光の中から姿を現した。

 

 

「ジョーダンじゃ、ないわよう!」

「なんだ、お前!?バーサーカーかっ!?」

 

 

魔方陣から現れたのはバレリーナの用な格好をした大柄な男だった。

 

 

「がーはっはっはっ!そうよ、アチシはMr.2ボンクレー!バーサーカーとして喚ばれたわん!」

「オ、オカマ?」

 

 

雁夜はボンクレーの喋り方や仕草から思わず頭を過った単語を口にしてしまう。しかし、それはボンクレーを怒らせる言葉ではない。

 

 

「あーはっはっはっ!そうよ、アチシはオカマ!オカマは男であり女である=最強なのよーうっ!」

「こ、こんなんで戦えるのか……」

 

 

バカにされた筈の言葉に同意し、尚且つ自身を最強と叫ぶボンクレーに雁夜は不安しか抱けなかった。

 

 

 

 

◇◆◇◆

 

 

 

 

倉庫街では激しい戦いが繰り広げられていた。

二人の騎士がお互いの技と力をぶつけ合っていて、一人は長短異なる二本の槍を操るランサー。

対するは小柄で可憐な少女でありながらも最優のセイバー。

どちらも互いに英雄を冠する名を持つサーヴァント。

戦いは一進一退の互角。

 

 

「流石だな、セイバー。最優のサーヴァントの名に違わぬ見事な力だ」

「貴殿の槍捌きこそ称賛に値する。貴方のような騎士との勝負に名乗りすら許されないことが悔やまれる」

「それは光栄だなセイバー」

 

 

互いの技を讃え合うセイバーとランサー。

しかし、その戦いに更なる乱入者が現れた。自分のマスターを引き連れて(無理矢理)現れたライダーである。

そしてライダーは驚くべき提案をする。

なんとライダーはセイバーとランサーを配下に加えようと勧誘したのだ。

 

 

「俺が聖杯を捧げると決めたマスターただ一人。それは断じて貴様ではないぞライダー!」

「そもそも貴様はそんな事を言いに現れたのか。戯れ言が過ぎるぞ!」

 

 

セイバーとランサーに断られたライダー。そしてそこに新たにアーチャーまで現れたのだ。黄金の鎧を身に纏ったアーチャーは『王の財宝』から無数の宝具を撃ち放ち始め、セイバー、ランサー、ライダーを追い詰め始める。圧倒的な力の前に満身創痍になり始めたセイバー達だが次の瞬間、アーチャーに迫る一つの影があった。

 

 

「白鳥……アラベスク!」

「ぐはあっ!?」

 

 

突如現れた人物に蹴り飛ばされたアーチャーは立っていた鉄塔から蹴り落とされる。現れたのはバーサーカーとして召還されたボンクレーだった。

 

 

「貴様……バーサーカーか。分かりやすい道化だな」

「あーら、かわいい顔して言うじゃないのよセイバーちゃん!」

 

 

突如、現れたのボンクレーが間違いなくバーサーカーだと判断したセイバー。これでキャスターだったらセイバーは間違いなく見る目がないだろう。

 

 

「この道化が……よくも我の顔に汚ならしい脚を叩き込んでくれたな!」

 

 

そう叫んだアーチャーの背後に数多の宝具が展開される。その光景にセイバー、ランサー、ライダー、ウェイバー、アイリスフィールも驚愕した。

その圧倒的な力に絶望したかと思えばボンクレーはコートを棚引かせながら背を向けた。

 

 

「……ここで逃げるは オカマに非ず!命を賭けて娘を助けようとしているダチを見捨てて、明日食うメシが美味ェかよ!」

「なんと……」

「他の誰かの為に命を懸ける……騎士その物ではないか……」

「なんと見事な男……いや、漢か」

 

 

ビシッとポーズを決めて叫ぶボンクレー。その義侠心にセイバー、ランサー、ライダーは感嘆に心を震わせていた。

 

 

「かかって、こいや」

「不愉快だ。せめて散り様で我を楽しませろ」

 

 

睨みを効かせたボンクレーが気に入らなかったのかアーチャーは宝具を放ち、放たれた宝具は次々にボンクレーの居た地点に着弾し、砂埃を舞わせる。

これはボンクレーの敗北は必須だろう、とそれを見ていた者全員が同じ感想を抱いていた。

 

 

「ジョーダンじゃ……ないわよぅ……」

「ほう……中々に頑丈なようだな」

 

 

数多の宝具を浴びて血だらけになりながら立ち上がるボンクレー。そのボンクレーをアーチャーは少し愉快な物を見た様に楽しそうにしていた。

 

 

「だが、無様だな。男にも女にも成りきれない愚かで、ちっぽけな存在にすぎん」

「無様でも構わないわん……でもねェ……アチシは助けたいのよ、桜ちゃんを……親に見捨てられて……捨てられた先でも苦しい思いをしていた、あの娘をね……」

 

 

フラフラと立ち上がったボンクレーは再び、ポーズを決めた。

 

 

男の道をそれるとも

女の道をそれるとも

踏み外せぬは人の道

散らば諸共、真の空に

咲かせてみせようオカマ道

 

 

そのポーズとセリフに何故かセイバー、ランサー、ライダーは涙が止まらなかった。何故かは分からないがボンクレーの言葉が心に響いたらしい。

 

 

「雑種……名を聞こうか?」

「Mr.2ボンクレー……親しい友達はボンちゃんって呼ぶわ」

 

 

アーチャーの問い掛けにボンクレーはオカマ拳法の構えを取りながら答えた。それが合図だったかのようにボンクレーとアーチャーの戦いが火蓋を斬って落とされた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

散らば水面に いとめでたけれ友の華

 

 

 

 

 

 

 




『Mr.2 ボンクレー』
「ONE PIECE」に登場するオカマ。オカマの上に珍妙な格好や言動をしているためイロモノキャラ……と思いきや漢気溢れる性格をしている。

悪魔の実の能力は『マネマネの実』の物真似人間。
戦闘向きの能力では無い為に、その実力は身体能力のみで培われている。しかし、その強さは主人公各と勝るとも劣らない。


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地獄兄弟

 

 

 

 

間桐家の屋敷の地下に二人の男の姿があった。

 

一人は黒いパーカーを着た白髪の男。

 

もう一人は和服を着たどこか化け物染みた雰囲気を纏った老人。

 

白髪の男は魔法陣らしきものに手をかざしながら呪文のようなものを詠唱していた。

 

 

「ぐっ……がっ……」

 

 

呪文の言葉を詠唱する度に、白髪の男『間桐雁夜』の体に激痛が走った。

 

体の至る所から血を流し、端から見ている者の方が気分を害してしまう程に。

 

しかし雁夜は詠唱をやめなかった。

 

雁夜には果たさねばならない誓いが有った。

 

叶わなければならぬ願いが思いが有った。

 

守らねば成らぬ少女が居た。

 

 

 

それら全てが雁夜を突き動かし、今にも壊れそうな体を支えていた。

 

唱えていた呪文が終わり、地下室に描かれた陣から光が増し、地下室を照らした。

 

召喚に上手くいっていたのか、隣に居た老人『間桐臓硯』は皺だらけの顔を歪ませ笑った。

 

 

 

「何処だ……此処は?」

「兄貴……俺たち、どうなったんだ?」

 

 

光の中から現れたのはホームレスかと思うようなボロボロのコートを纏った二人組の男だった。彼等は辺りを見回すと此処が何処か分からずに戸惑っている様だった。

 

 

「ふん、マトモなサーヴァントも喚べぬとは……情けないな雁夜よ」

「何だと……」

「おい……今、俺達を笑ったか?」

「最低は最高なんだよ……ジジイ」

 

 

臓硯が雁夜を鼻で笑うと反応したのは何故か召喚した二人組の方だった。

片方の男が臓硯を殴り飛ばすと、もう片方の男は雁夜を蹴り飛ばそうとしたが、蹴りは雁夜の目の前で止まった。

 

 

「ほぅ……瞳に闇が見える……お前も絶望を味わった身か」

「へぇ……俺達と同じなんだ……」

 

 

雁夜の心の中の闇を感じ取った二人組の男達は先程までの危険な雰囲気から一転。雁夜に対して笑みを溢した。

 

 

 

 

 

 

 

◆◇◆◇

 

 

 

 

 

 

倉庫街では激しい戦いが繰り広げられていた。

二人の騎士がお互いの技と力をぶつけ合っていて、一人は長短異なる二本の槍を操るランサー。

対するは小柄で可憐な少女でありながらも最優のセイバー。

どちらも互いに英雄を冠する名を持つサーヴァント。

戦いは一進一退の互角。

 

 

「流石だな、セイバー。最優のサーヴァントの名に違わぬ見事な力だ」

「貴殿の槍捌きこそ称賛に値する。貴方のような騎士との勝負に名乗りすら許されないことが悔やまれる」

「それは光栄だなセイバー」

 

 

互いの技を讃え合うセイバーとランサー。

しかし、その戦いに更なる乱入者が現れた。自分のマスターを引き連れて(無理矢理)現れたライダーである。

そしてライダーは驚くべき提案をする。

なんとライダーはセイバーとランサーを配下に加えようと勧誘したのだ。

 

 

「俺が聖杯を捧げると決めたマスターただ一人。それは断じて貴様ではないぞライダー!」

「そもそも貴様はそんな事を言いに現れたのか。戯れ言が過ぎるぞ!」

 

 

セイバーとランサーに断られたライダー。そしてそこに新たにアーチャーまで現れたのだ。黄金の鎧を身に纏ったアーチャーは『王の財宝』から無数の宝具を撃ち放ち始め、セイバー、ランサー、ライダーを追い詰め始める。圧倒的な力の前に満身創痍になり始めたセイバー達。

 

すると倉庫街にギャリギャリ何処か耳障りな音が鳴り響く。その場に居た者の視線が音が鳴り響いた方に向けられ、音の発生源を確認すると其処にはボロボロのコートに拍車のついた靴という妙なファッションをした男は踵の拍車で地面を削って火花を出しながら立ち上がる。

 

 

「お前等は良いよなぁ……どうせ、俺なんて……」

「俺も……英霊なんて呼ばれてみたいよ……」

 

 

カチャンカチャンと靴の拍車を鳴らしながら歩み寄る男は『矢車想』と倉庫街のコンテナの影から現れた顔に傷のあるもう一人の男『影山瞬』が現れる。

 

突然の乱入者に戸惑う一同だったが真っ先に我に返ったのはアーチャーだった。

 

 

「ふん……何者かと思えば、みすぼらしい連中だ。視界に入れるのも不愉快だ。失せろ」

「お前……今、俺を笑ったか?」

「やっちゃおうよ……兄貴」

 

 

アーチャーがに侮蔑の視線を送りながら罵倒すると矢車と影山はアーチャーを睨む。それと同時に何処からかビョンビョンと音を鳴らしながらメタリックなバッタが二人の手に収まった。

 

 

「「変身」」

「な、なんだっ!?」

「鎧……なのか?」

「ほほぅ……珍妙だが、面白い」

 

 

二人がバッタをベルトに装着するとそれぞれ緑と灰色のバッタを象った鎧が装着され、セイバー、ランサー、ライダーの順に感想が溢れた。セイバー達は知らない事だがこの姿こそZECTで開発された対ワーム様装備マスクドライダーシステムの番外『仮面ライダーキックホッパー』『仮面ライダーパンチホッパー』なのである。

 

 

「行くぜ……相棒」

「兄貴となら何処までも行くよ」

「虫が……我に逆らうな!」

 

 

変身を遂げたキックホッパーとパンチホッパーは鉄塔の上に佇むアーチャーに襲い掛かった。

この戦いが後に『聖杯戦争を書き乱した地獄兄弟』として語り継がれる事となる。

 

 

 





『地獄兄弟』


仮面ライダーカブトの登場人物。
元はZECTのエリートだったが、それぞれ紆余曲折を経て失脚し、闇の世界の住人となった『矢車想』と『影山瞬』のコンビの事。


『キックホッパー/パンチホッパー』

ZECTが極秘裏で開発したライダーシステムであり、キックとパンチの2タイプある『ホッパー』のライダー。
マスクドフォームを持たず直接ライダーフォームに変身する。
ゼクターの形は同一で色がリバーシブルになっており、緑ならキックホッパー。灰色ならパンチホッパーへと変身する。


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糖尿を患った侍

 

 

 

間桐家の屋敷の地下に二人の男の姿があった。

 

一人は黒いパーカーを着た白髪の男。

 

もう一人は和服を着たどこか化け物染みた雰囲気を纏った老人。

 

白髪の男は魔法陣らしきものに手をかざしながら呪文のようなものを詠唱していた。

 

 

「ぐっ……がっ……」

 

 

呪文の言葉を詠唱する度に、白髪の男『間桐雁夜』の体に激痛が走った。

 

体の至る所から血を流し、端から見ている者の方が気分を害してしまう程に。

 

しかし雁夜は詠唱をやめなかった。

 

雁夜には果たさねばならない誓いが有った。

 

叶わなければならぬ願いが思いが有った。

 

守らねば成らぬ少女が居た。

 

 

 

それら全てが雁夜を突き動かし、今にも壊れそうな体を支えていた。

 

唱えていた呪文が終わり、地下室に描かれた陣から光が増し、地下室を照らした。

 

召喚に上手くいっていたのか、隣に居た老人『間桐臓硯』は皺だらけの顔を歪ませ笑った。

 

その直後だった。光の中から何故かスクーターに乗った白髪頭の男性が飛び出してきたのだ。

男はスクーターに乗ったまま地下室の壁に激突し、痛みから地面をのたうち回っていた。

 

 

「ぐあっ!痛ってぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!?なんでジャンプ買った帰り道が急に地下室?」

「おい……これがほんとうに英霊なのか?」

 

 

無様に転げ回る白髪頭の男に雁夜は不安しか感じなかった。

 

 

 

◆◇◆◇

 

 

 

「つまりなんだ……その聖杯戦争って奴で六人ぶっ殺しゃ願いが叶うってか?どんな物騒なドラゴンボールだよ」

「そんな世界中の大冒険みたいな話じゃない。兎に角、聖杯戦争に勝ち進まなきゃ俺の願いは叶わないし、お前も元の世界には帰れないぞ」

 

 

雁夜は自身が召喚したサーヴァント『坂田銀時』に聖杯戦争の何たるかを教えていた。通常、召喚された段階で聖杯戦争や現代の事は頭の中に教えられる筈だが、何らかの不備で銀時には情報が与えられなかったのだろうと雁夜は考える。

それらの理由があり、雁夜は銀時に聖杯戦争や魔術師の事を説明したが銀時は鼻をほじっていたので真面目には聞いていなかったのだろう。だが、帰れないと聞いた銀時は怒り狂う。

 

 

「ふざけんなよ、おい!呼び出した時点で強制契約って魔太郎でもしねぇわ!大体、なんだよ聖杯戦争って!中2病患者の集まりか!」

「俺だって、まさかお前みたいのを喚び出すだなんて思わなかった!なんだよ、江戸の町に宇宙人が闊歩してる世界って!」

 

 

叫ぶ銀時に雁夜も叫んだ。聖杯戦争の事を教えた後に銀時の正体が何者なのか確認した所、全くの異世界みたいな所から来たと言うのだ。

 

時代は江戸で宇宙人の来襲により侍は滅んだ。

天人と呼ばれる宇宙人が江戸の町を開拓し、ちょんまげのサラリーマンが町を行き交い、江戸の空には宇宙船が飛んでいるのだと。

 

この話を聞いた雁夜は三流SF映画の設定みたいだ、と思ったが銀時の説明から絵空事とは思えなくなってしまった。

 

 

「早く帰らないとマズいんだよ!TSUT○YAで借りてるDVD明日までに返さないと延滞料金が掛かっちまう!」

「それどころじゃないのはこっちだ!早く、聖杯を得ないと桜ちゃんが……」

 

 

銀時のふざけた発言にキレ気味の雁夜は口を滑らせてしまった。この事は黙っていようと思っていたので雁夜も口にしてから、しまったと手で口を塞いだが時既に遅し。

 

 

「そういや、何でも願いが叶うのに、雁夜の事は聞いてなかったな……あれ、聖杯の力を使って童貞捨てて大人になろうと……」

「話すから真面目に聞いてくれ……」

 

 

茶化そうとしてくる銀時を一発殴った後に雁夜は口を開いた。

 

 

間桐。蟲を使った魔術。桜。臓硯。遠坂。逃げ出した自分。桜を救うべく聖杯戦争に参加した経緯。脆弱な魔力回路を補うため、滅茶苦茶な修行を続け体がボロボロになった事の全てを。

全てを話し終えた雁夜が一息つくと、銀時は溜め息混じりで息を吐いた。

 

 

「なんつーか……初恋拗らせ過ぎだろ、アンタ。それに願いにしたって……桜を助ける、葵に笑顔を取り戻すだったよな。その為に時臣を殺すってんなら、完全に矛盾してねぇか?時臣は葵の旦那で、桜のオヤジなんだろ。ソイツを殺しちまって、本当にソイツ等が幸せに暮らせると思うか」

「そ、れは……」

 

 

銀時が指摘したのは雁夜の持つ矛盾した心だった。桜や凛、葵の幸せを願う為に父親を殺す。それは絶対に叶う事の無い願いである事を誰も指摘しなかった。否、出来なかった事だ。

 

臓硯は雁夜の苦しむ姿に愉悦を感じて何も言わなかった。心が折れた桜は何かを望む心が失われ、願望を口にしなかった。その環境下で雁夜に間違いを指摘する者が居なかったのだ。故に雁夜の思考は暴走した。

 

 

「ったく……坊主憎けりゃ傘まで憎いってか?」

「銀時……言いにくいが『傘』じゃなくて『袈裟』だ」

 

 

真面目な顔をした銀時に雁夜はツッコミを入れた。

 

 

「……………………まあ、アレだ。時臣を殺った所で事態は何も変わりゃしねーよ」

「だったら……俺はどうしたら……」

 

 

自分の間違いを全力で無かった事にしようとしてる銀時に雁夜はすがる思いで問いかける。

 

 

「アンタが桜の希望になってやりゃ良いんじゃねーか?雁夜オジさんよ。遠坂の家でマダオの親父の下に居るより童貞のオジさんに幸せにして貰えばよ」

「言葉のチョイスをちゃんとしてくれたら感動してたよ、間違いなく」

 

 

マトモな説得に掛かった筈の銀時の言葉は途中から茶化しと下ネタが混在していた。だが、そんな雰囲気も雁夜には頼もしく思えた。

 

 

「頼まれりゃ何でもするのが万事屋銀ちゃんだ。聞くぜ……雁夜、アンタの願いは何だ?」

「俺の、願いは………桜ちゃんの幸せだ」

 

 

雁夜の初恋や時臣への恨みを抜きにした純粋な想い。それを聞いた銀時はニッと笑みを浮かべた。

 

 

「そんじゃあよ、いっちょやってみるか……暗黒武術会って奴をよ。トロフィーの聖杯目指してな」

「聖杯戦争だ……どんどん離れてるぞ」

 

 

銀時が腰の木刀に手を添えて頼もしい雰囲気でそう告げた。雁夜はそんな銀時に笑みを溢さずにはいられなかった。

 



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京都焼き討ち木乃伊男

 

 

 

間桐家の屋敷の地下に二人の男の姿があった。

 

一人は黒いパーカーを着た白髪の男。

 

もう一人は和服を着たどこか化け物染みた雰囲気を纏った老人。

 

白髪の男は魔法陣らしきものに手をかざしながら呪文のようなものを詠唱していた。

 

 

「ぐっ……がっ……」

 

 

呪文の言葉を詠唱する度に、白髪の男『間桐雁夜』の体に激痛が走った。

 

体の至る所から血を流し、端から見ている者の方が気分を害してしまう程に。

 

しかし雁夜は詠唱をやめなかった。

 

雁夜には果たさねばならない誓いが有った。

 

叶わなければならぬ願いが思いが有った。

 

守らねば成らぬ少女が居た。

 

 

 

それら全てが雁夜を突き動かし、今にも壊れそうな体を支えていた。

 

唱えていた呪文が終わり、地下室に描かれた陣から光が増し、地下室を照らした。

 

召喚に上手くいっていたのか、隣に居た老人『間桐臓硯』は皺だらけの顔を歪ませ笑った。

 

 

 

「地獄での国盗りの最中に呼び出されるとはな……いや、此処も地獄みたいなもんか」

 

 

 

現れたのは着物姿に全身を包帯で巻いたミイラ男だった。腰には刀を差している。

 

 

「なんとも無様なサーヴァントを喚び出しおったな。ま、精々頑張る事じゃな」

「ああ……アンタは俺が嫌いな種類の人間だな。消えちまいな」

 

 

臓硯の発言にミイラ男はゆっくりと刀を鞘から引き抜く。その刃はノコギリの様にギザギザと波打っていた。

 

 

「ふん、儂を斬ろう言うのか?無駄じゃ無駄じゃ!儂は不死身……」

「五月蝿ぇよ、糞爺」

 

 

臓硯が全ての言葉を言いきる前にミイラ男はその刀を鞘に押し当てながら一気に振り抜く。すると、炎が生まれ、刀に纏わりつく様に炎の渦が立ち上る。その有り様はまるで……

 

 

「地獄の……炎……」

「ククッ……正解だ」

「なんだ、この炎は……儂の体を……ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」

 

 

雁夜の溢した言葉にミイラ男は満足そうに呟き、臓硯はその炎に身を焦がし悲鳴と共に消し炭になった。

 

 

「つ、強い……この強さなら……」

「所詮、この世は弱肉強食……テメェはどっちだ?」

 

 

刀を肩に担ぎ、不適な笑みを浮かべるミイラ男の名は『志々雄真実』嘗て、この日本で国盗りを考え抜刀斎に敗れた男の名。

 

 

「俺は……弱者でも構わない。奴に……桜ちゃんを捨てた遠坂時臣に復讐するまで俺は立ち止まる訳にはいかないんだ!」

「ククッ……所詮、この世は弱肉強食。強ければ生き、弱ければ死ぬ。お前の目……気に入ったぜ」

 

 

雁夜の叫びに志々雄は自身の信念にして真理の言葉を放った。そして志々雄は雁夜の瞳の中にある遠坂時臣を恨む憎しみの炎を見逃さなかった。

 

 

「俺は志々雄真実……アンタの名を聞こうか?」

「俺は雁夜……間桐雁夜だ。頼むぞ、バーサーカー」

 

 

 

間桐雁夜と志々雄真実。復讐に燃える男と強き者を好む男が手を組んだ。

 

 

 

 





『志々雄真実』
『るろうに剣心』の登場人物。 『京都編』の最終ボスにて最強の敵と揶揄される男。
主人公、剣心と同格の強さとされ純粋な強さにおいては剣心を一番苦しめた雪代縁よりも上とされている。

『所詮、この世は弱肉強食。強ければ生き、弱ければ死ぬ』を心情としており、敵味方問わず強い者を好む性格。


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時よ、止まれ

非常にお待たせしました。今回は難産でした。


 

 

 

間桐家の屋敷の地下に二人の男の姿があった。

 

一人は黒いパーカーを着た白髪の男。

 

もう一人は和服を着たどこか化け物染みた雰囲気を纏った老人。

 

白髪の男は魔法陣らしきものに手をかざしながら呪文のようなものを詠唱していた。

 

 

「ぐっ……がっ……」

 

 

呪文の言葉を詠唱する度に、白髪の男『間桐雁夜』の体に激痛が走った。

 

体の至る所から血を流し、端から見ている者の方が気分を害してしまう程に。

 

しかし雁夜は詠唱をやめなかった。

 

雁夜には果たさねばならない誓いが有った。

 

叶わなければならぬ願いが思いが有った。

 

守らねば成らぬ少女が居た。

 

 

 

それら全てが雁夜を突き動かし、今にも壊れそうな体を支えていた。

 

唱えていた呪文が終わり、地下室に描かれた陣から光が増し、地下室を照らした。

 

召喚に上手くいっていたのか、隣に居た老人『間桐臓硯』は皺だらけの顔を歪ませ笑った。

 

 

「クククッ……まさか、私が呼ばれるとはね。しかし、召喚する場所が地下で助かるよ。私は太陽が苦手なのでね」

「バ、バーサーカーなのか……?」

 

 

光の中から現れたのは金髪の英国人の様な男。黄色を基調とした服にハートの形の飾りが散りばめられた服。そして何よりも異様に感じる妙な色気が感じられた。雁夜は思わず、自身が召還したサーヴァントに跪こうとすら思ってしまう程のカリスマを感じさせた。

 

 

「そう。私の名はDIO。ディオ・ブランドーだ、マイマスター」

「あ、ああ……俺は間桐雁夜だ」

 

 

和かに、穏和な口調で雁夜に歩み寄るDIO。先程までカリスマを感じさせたDIOだが、今の雁夜は違う印象を与えていた。

 

 

「魔術か……このDIOも知らない『力』だ。どうだろう、一つソレを私に見せてみてはくれないかい?」

 

 

DIOの語り掛けてくる言葉は雁夜のささくれた心に入り込む様だった。心が安らぎ……危険な甘さがあると雁夜は直感的に感じてしまったのだ。

 

 

「あ、あ、ああ……」

「無様よな、雁夜よ。DIOと申したな。ワシが雁夜の代わりにマスターとして……」

「下がれ、下郎が。力ある者に擦り寄ろうとするクズめ」

 

 

DIOの恐るべしカリスマに恐怖して動けない雁夜に代わり、臓硯が歩み寄った。あわよくば目の前のサーヴァントを都合よく動かそうとしているのは明らかだった。しかしDIOは臓硯の欲に塗れた表情に嫌悪を示し、拒絶した。

 

 

「ふん、プライドが高い様だな。だが、ワシの命令に背け……がっ!?」

「私の『世界』は何者の支配も受けん」

 

 

突如、臓硯の体に穴が開く。ビデオ再生のコマ落としの様に突如、まるで拳に貫かれた様な形に抉られたのだ。端から見ていた雁夜ですら、何が起きたか理解不能だった。

そんな雁夜の恐怖心を感じ取ったのかDIOは雁夜に諭す様な口調で語り掛ける。

 

 

「雁夜よ。恐怖を克服することが「生きる」事なのだよ。私に仕えたまえ。何、不安がる事はない。私に仕えるだけで他の全ての安心が手に入るのだぞ」

「あ、ああ……」

 

 

雁夜は既にDIOから視線を晒す事が出来なくなっていた。DIOの発言が既に主従を逆転させる提案である事に雁夜は気付かず、その言葉に引き寄せられていた。

 

 

「私に任せたまえ。私に仕え、悩みを解消してくれる聖杯さえ有れば私はキミの願いを叶えてやれる。何を悩む事がある?永遠の安心感を与えてやろう。私の止まった『時』の中にキミも入れてやろうじゃないか」

 

 

DIOの語らいに雁夜は争う術を持たなかった。DIOのカリスマ。そして普通の人間では視認する事ができない筈のDIOの背後に浮かび上がる『スタンド』の姿を見てしまった雁夜に断ると言う選択肢は存在しなかった。

 

 

 

 

 

この契約は後に世界最狂のサーヴァントの誕生として受け継がれる事となる。

 

 

 




『ディオ・ブランドー』

『ジョジョの奇妙な冒険』シリーズの黒幕的な存在。
見た目は英国紳士だが、内面は冷徹にして冷酷。石仮面を被り、吸血鬼と化してからは人を殺す事に躊躇いを感じなくなり、力による支配を目論む様になる。

また、悪のカリスマと称され、彼の力に引き寄せられた者も少なくない。
部下に寛容に接している風に見えるが実際には自身に逆らえない様に『肉の芽』と呼ばれる枷を植え付けるなど側近以外は信用をしていない。
第三部ではスタンド能力に目覚め、『時間を止める』能力を持つ『ザ・ワールド』で世界を支配しようと目論んだ。

ジョースター家と深い因縁があり、ジョナサン・ジョースターと死闘を繰り広げ(この際、相打ちになった)孫(ジョセフ)玄孫(承太郎)とも戦う。最後は承太郎に敗北し、吸血鬼の弱点である日の光を浴びせられ死亡。


どのシリーズでもDIOの影響が少なからずあり、物語の全ての元凶とも言える。


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ロリコン神父

めちゃくちゃ難産でした。


間桐家の屋敷の地下に二人の男の姿があった。

 

一人は黒いパーカーを着た白髪の男。

 

もう一人は和服を着たどこか化け物染みた雰囲気を纏った老人。

 

白髪の男は魔法陣らしきものに手をかざしながら呪文のようなものを詠唱していた。

 

 

「ぐっ……がっ……」

 

 

呪文の言葉を詠唱する度に、白髪の男『間桐雁夜』の体に激痛が走った。

 

体の至る所から血を流し、端から見ている者の方が気分を害してしまう程に。

 

しかし雁夜は詠唱をやめなかった。

 

雁夜には果たさねばならない誓いが有った。

 

叶わなければならぬ願いが思いが有った。

 

守らねば成らぬ少女が居た。

 

 

 

それら全てが雁夜を突き動かし、今にも壊れそうな体を支えていた。

 

唱えていた呪文が終わり、地下室に描かれた陣から光が増し、地下室を照らした。

 

召喚に上手くいっていたのか、隣に居た老人『間桐臓硯』は皺だらけの顔を歪ませ笑った。

 

 

「ああん?なんだ此処は?」

「し、神父?」

 

 

そこに現れたのは妙な格好をした銀髪の男だった。黒衣の布衣の様な物は着てはいるが前ははだけており、サングラスと首の鋼鉄のチョーカーが異質な雰囲気を際立たせていた。

 

 

「かかか、バーサーカーのクラスで呼び出したにも関わらず狂化が付与されなかったようじゃな。貴様の様な落ちこぼれに桜が救うなぞほざいたものよ」

「黙れクソジジイ!俺は桜ちゃんを助けるのを諦めない!」

「成る程……大体事情は分かった」

 

 

召喚したバーサーカーが大した力を持っていない事を確信した臓硯は雁夜の哀れな姿に笑みを零し、雁夜は悔しそうにする。すると口を噤んでいたバーサーカーが口を開いた。

 

 

「貴様が桜とかいう幼女を誑かしているって事だな!そして、其処の死にかけの奴がそれを助けようとしているってことだな、許せん!」

「なんで、一瞬でそこまで理解してんだ!?逆に怖い!」

「かかか、バーサーカーといえど神父という事か。ならば貴様の欲に語りかけるとしようかの。貴様の望みはなんじゃ?ワシに協力するならば貴様の望みは叶うぞ。金なんだろうがなんだろうがな」

 

 

ロリコンセンサーがフル活動したバーサーカーは臓硯が桜にしている仕打ちを察知した。その事に雁夜が別の意味で恐怖を感じていた。

臓硯は意外にもバーサーカーの目利きが効きそうだと感じたからか懐柔しようと動いていた。しかし、バーサーカーはグッと拳を握り一歩前に出た。

 

 

「馬鹿者!人は金に縋って生きるのではない!」

「ぬうっ!?」

 

 

クワッと叫びながらバーサーカーは臓硯に詰め寄る。雁夜は神父とだけあって諭すのだろうと感じた。

 

 

「例えば……彼女とか、お姉様とか……」

「………はい?」

「なんじゃと?」

 

 

震えながら力説を始めたバーサーカーに雁夜と臓硯は呆気に取られる。

 

 

「あと特に妹とか!」

「ダメだ病気だ!?」

 

 

諭すのではなく謎の主張を張り上げながら臓硯を殴り飛ばしたバーサーカーに雁夜の目は違った意味で死んだ。こんな奴に桜ちゃんの運命を任せて良いのだろうかと雁夜は本気で悩み始めていた。




『アダム・ブレイド』
『NEEDLESS』の主人公。神父でありながらチンピラみたいな風貌で神父らしい事をほぼ言わない破壊神父。口は悪いもののそれなりに仲間思いではある。
戦闘中に仲間を見捨てる「ギド」仲間を盾にする「クルス」仲間を爆弾扱いで敵に投擲する「照山」等、主人公にあるまじき行動が多い。

また極度の女好きで重度のロリコン。対象は敵味方問わずで戦闘中でありながら敵の少女にデレデレするのは当たり前。

敵の能力を覚える能力「ZERO」を持っており、敵が強ければ強い程自身も強くなる。また身体能力も高いので力でねじ伏せるパターンも多い。


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俺の名前を言ってみろ!

 

 

間桐家の屋敷の地下に二人の男の姿があった。

 

一人は黒いパーカーを着た白髪の男。

 

もう一人は和服を着たどこか化け物染みた雰囲気を纏った老人。

 

白髪の男は魔法陣らしきものに手をかざしながら呪文のようなものを詠唱していた。

 

 

「ぐっ……がっ……」

 

 

呪文の言葉を詠唱する度に、白髪の男『間桐雁夜』の体に激痛が走った。

 

体の至る所から血を流し、端から見ている者の方が気分を害してしまう程に。

 

しかし雁夜は詠唱をやめなかった。

 

雁夜には果たさねばならない誓いが有った。

 

叶わなければならぬ願いが思いが有った。

 

守らねば成らぬ少女が居た。

 

 

 

それら全てが雁夜を突き動かし、今にも壊れそうな体を支えていた。

 

唱えていた呪文が終わり、地下室に描かれた陣から光が増し、地下室を照らした。

 

召喚に上手くいっていたのか、隣に居た老人『間桐臓硯』は皺だらけの顔を歪ませ笑った。

 

 

「おい……俺の名前を言ってみろ」

「………は?」

 

 

そこに現れたのは装飾されたヘルメットを被り、裸に肩にトゲ付き革ジャンを着た人物だった。しかも胸には七つの傷があった。

 

 

「テメェ、俺の傷を見ても誰だか分からないのか!?」

「いや、わからん……」

「………ぬぅ」

 

 

サーヴァントにとって真名を悟られる事は死活問題だが、このサーヴァントは様々な特徴があるにも拘らず、真名が全く分からないのだ。数多の知識を持つ臓硯ですら頭を悩ませる以上、本当にわからないのだ。

 

 

「え……わからないの?マジで?」

「あ、ああ……わからん」

 

 

先程の高いテンションから急にテンションが下がったバーサーカーはゴロンと寝転んだ。

 

 

「やっぱそうなんだよなぁ……どんだけ目立とうとしてもケンシロウみたいに活躍出来ないし、兄者達みたいに強かないからさぁ……今更鍛えても上には上がいるし……」

「……よくわからんが……その、頑張れよ」

 

 

ヘルメットの奥からサーヴァントの涙がキラリと光った。雁夜はどう対処したものかと悩んだが励ます事を選んだ。

 

 

「で、何?聖杯戦争?いいよ、やってやる……聖杯とやらで今度こそ俺は北斗神拳伝承者になってやろうじゃないか!」

「おお、頼もしいぞバーサーカー!」

 

 

召喚された際に聖杯戦争に関する知識を得ていたジャギは気持ちを切り替えて聖杯戦争に挑む事を宣言した。やる気に満ち溢れたバーサーカーの態度に雁夜も先程までのテンションの低さに抱いた不安な気持ちが払拭されていた。

 

 

「俺の名はジャギ……北斗神拳伝承者候補の一人よ」

「頼むぞ、ジャギ!」

「ククッ……コヤツらしいサーヴァントと見た」

 

 

頼もしげなジャギに雁夜は安心していたものの臓硯はジャギが北斗神拳伝承者候補止まりだった事を見抜いており、ある意味で雁夜らしいサーヴァントだと思い始めていた。

 

 

◆◇◆◇

 

 

日が沈みきった倉庫街にて二人の騎士がお互いの技と力をぶつけ合っていた

 

一人は長短異なる二本の槍を操るランサー。

対するは小柄で可憐な少女でありながらも最優のセイバー。

どちらも互いに英雄を関する名を持つサーヴァント。

戦いは一進一退の互角。

 

 

「流石だな、セイバー。最優のサーヴァントの名に違わぬ見事な力だ」

「貴殿の槍捌きこそ称賛に値する。貴方のような騎士との勝負に名乗りすら許されないことが悔やまれる」

「それは光栄だなセイバー」

 

 

互いの技を讃え合うセイバーとランサー。

しかし、その戦いに更なる乱入者が現れた。自分のマスターを引き連れて(無理矢理)現れたライダーである。

そしてライダーは驚くべき提案をする。

なんとライダーはセイバーとランサーを配下に加えようと勧誘したのだ。

 

 

「俺が聖杯を捧げると決めたマスターはただ一人。それは断じて貴様ではないぞライダー!」

「そもそも貴様はそんな事を言いに現れたのか。戯れ言が過ぎるぞ!」

 

 

ライダーの勧誘に二人の英霊は怒りと共にそれを断る。その時だった。激しい爆音と共にバイクが倉庫街に侵入してきたのだ。

 

 

「な、なんだコイツ……」

「ほぅ、面白そうな奴よな」

「近代風なサーヴァントなのね」

「貴様……何者だ!?」

「テメェ……」

「ん、俺か?」

 

 

突如現れたジャギにウェイバー、ライダー、アイリスフィール、セイバーが驚きながらも警戒し、ジャギは一同を見渡した後でランサーに目を付けた。睨まれたランサーは警戒をしながらもジャギが何を言おうとしているのか身構えた。

 

 

「テメェの耳が弟に似てやがる……気に入らねぇ!」

「なっ……くっ!」

「何の躊躇いもなく撃った!?」

 

 

ジャギは腰のホルダーに収められていたショットガンを引き抜いて構えると躊躇いもなくランサーを撃った。ランサーはジャギの動きの流れから攻撃が来ると察して何とか避けた。

 

 

「貴様、騎士道は……なさそうだな!?」

「何が騎士道だ!戦いってのは勝ちゃいいんだよ!負けちまったら何にもならねぇ!」

「正々堂々と戦う事も出来ない卑怯者め!」

 

 

セイバーがジャギを咎めようとしたがジャギの今の行動からそれは無いと断定し、ジャギも言葉を重ねてランサーの反感を買っていた。

 

 

「正々堂々ね……正々堂々と真面目にやっていても……俺は何も得られなかった……だったら何をしてでも泥を啜っても力で勝ち取るしか……ねぇじゃないか……」

「貴殿は……いや、何も言うまい。我が槍がお相手しよう」

 

 

ジャギはショットガンを握り締めながら何かに思いを馳せる様に空を仰いだ。雲もない星空はジャギが目指した七星が見えたのかも知れない。

 

 

「貴殿の無念が何なのかは私にはわからん……だが我が主の為に倒させて貰うぞ!」

「ならば貴様に北斗神拳の真髄を見せてくれるわ…… 北斗羅漢撃!」

 

 

ランサーが二つの槍を構えた事でジャギは自身の最大奥義を放つ構えになった。そんな二人の戦いを見守るセイバー達の他にアーチャーは天翔ける王の御座に乗りながら見下ろしていた。見るものが見ればサウザーの様だと語った事だろう。

 




『ジャギ』
『北斗の拳』に登場する北斗四兄弟の三男。
北斗神拳伝承者候補の一人で『勝つ為には手段は選ばない』スタイルであり、拳法家でありながら含み針やショットガン等を平然と使用する。移動手段としてバイクを使用している。

『兄より優れた弟など存在しない』とジャギが作中で放った台詞の通りジャギは弟が兄より優れている等あり得ないと言う理念をもっており、自身より未熟な弟であるケンシロウが北斗神拳継承者になった事に激怒し、ケンシロウに対して発せられた。しかし、この後ジャギは自身の発言が間違っていた事を、その身を持って味わう事となる。

世紀末になった後は北斗神拳伝承者となったケンシロウを貶める為にケンシロウの名を語り悪事を重ね、南斗聖拳のシンを唆しユリアを攫わせる。更に南斗聖拳のレイの両親を殺害し妹を誘拐する等、策略家としての面も持ち合わせていた(実際にジャギの企み通りケンシロウはジャギを探し回る事になる)
この企みの最中、悪事の度に胸の傷と共に「俺の名を言ってみろ」「俺は北斗神拳伝承者ケンシロウ様だ!」と度々主張してケンシロウの名を貶めた。
重ねた悪事の数に流石のケンシロウも堪忍袋が切れたのかジャギを探し当て、慈悲もなくジャギを葬った。

余りにも突き抜けた悪役っぷりから北斗の拳を代表する悪役として取り上げられると共に人気キャラとなっている。北斗四兄弟の中では一番世紀末向きの人物とされている。
ケンシロウはジャギに対して「不意打ちや闇討ちが得意な貴様が……」と言っていたが北斗神拳は暗殺拳なので不意打ちや闇討ちは寧ろ好都合であり、しかも伝承者に選ばれたばかりのケンシロウの背後を取るなど拳法家としてはジャギは未熟だったのかもしれないが暗殺者としてのジャギは優秀だったのかもしれない事が示唆されている。ジャギとの戦いに赴くケンシロウはレイに「今度は生きて帰れるかもわからない」と言う辺り、警戒はしていた模様。
北斗神拳の他にも南斗聖拳を見様見真似で会得しており、格下に見られがちだが拳法家としての才能はある(と言うかラオウ、トキ、ケンシロウの才能が高すぎるだけである)

意外にも部下に慕われており、正体が露見して部下に見捨てられたアミバと違い、親しみのある接し方をしたり食事の用意をしたりと良い上下関係だった模様。


『北斗の拳イチゴ味』ではケンシロウへの逆恨みが無意味で虚しいものである事を自覚しており、
『このまま悪事を続けるか悩む』
『変わる事が出来ない自分に涙を流す』
『北斗神拳VS南斗聖拳の全軍デスマッチの際にはダイナマイトで自爆しようとするシバに「世紀末なら通じたかもはしれないけど多分、それ今はやっちゃダメな奴だからな!」と嗜める』
『シンのケンシロウに対する危険な想いを察して周囲には黙る』等、原作とは違って真人間として描かれている。また意外にもツッコミ役に回る事が多い。またリュウガから「千の兵を連れるより力になる」と評される。

『極悪ノ華』ではジャギの半生が描かれており、実はリュウケンの養子である事が判明した。リュウケンと本当の親子の様に生活していたがラオウ、トキ、ケンシロウが北斗神拳の伝承者として寺に招かれた事から彼の運命が変わり始める。アンナという恋人もいた。
少年漫画の主人公のようなジャギが、挫折と決定的な絶望により、極悪に反転するストーリーであり、この作品を読むとジャギがあそこまで悪人になるのも無理はないとすら思えてしまう。




『北斗羅漢撃』
ジャギが作中で使用した北斗神拳奥義の一つ。
両手を前に突き出す構え、螺旋を描く様な腕の動きから無数の高速の突きを繰り出す技。
『極悪ノ華』では師父・リュウケン自らがジャギに伝授した技とされ「全ての雑念を取り払ったものにしか使えない」と語っていた。 リュウケンやラオウ、トキの口から北斗神拳の奥義の中でも高位の技だった事が語られている。
しかし、この技を使用したジャギはケンシロウへの憎しみ・恨み・妬み・嫉みの感情全てをコンプリートしていた為に技は不完全なものだったと推測される。
当然ながら不完全なジャギの北斗羅漢撃はケンシロウには通用しなかった。


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んちゃ!

本来ならアンケートの中から書いていくのですが個人的な心情からこちらを投稿させて貰いました。


 

 

 

 

 

間桐家の屋敷の地下に二人の男の姿があった。

 

一人は黒いパーカーを着た白髪の男。

 

もう一人は和服を着たどこか化け物染みた雰囲気を纏った老人。

 

白髪の男は魔法陣らしきものに手をかざしながら呪文のようなものを詠唱していた。

 

 

「ぐっ……がっ……」

 

 

呪文の言葉を詠唱する度に、白髪の男『間桐雁夜』の体に激痛が走った。

 

体の至る所から血を流し、端から見ている者の方が気分を害してしまう程に。

 

しかし雁夜は詠唱をやめなかった。

 

雁夜には果たさねばならない誓いが有った。

 

叶わなければならぬ願いが思いが有った。

 

守らねば成らぬ少女が居た。

 

 

 

それら全てが雁夜を突き動かし、今にも壊れそうな体を支えていた。

 

唱えていた呪文が終わり、地下室に描かれた陣から光が増し、地下室を照らした。

 

召喚に上手くいっていたのか、隣に居た老人『間桐臓硯』は皺だらけの顔を歪ませ笑った。

 

 

「ほよよ……ここ何処?」

「こ、子供!?」

 

 

魔法陣の中から現れたのは凛や桜とそう変わらない年齢に見える少女だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

◆◇◆◇

 

 

日が沈みきった倉庫街にて二人の騎士がお互いの技と力をぶつけ合っていた

 

一人は長短異なる二本の槍を操るランサー。

対するは小柄で可憐な少女でありながらも最優のセイバー。

どちらも互いに英雄を関する名を持つサーヴァント。

戦いは一進一退の互角。

 

 

「流石だな、セイバー。最優のサーヴァントの名に違わぬ見事な力だ」

「貴殿の槍捌きこそ称賛に値する。貴方のような騎士との勝負に名乗りすら許されないことが悔やまれる」

「それは光栄だなセイバー」

 

 

互いの技を讃え合うセイバーとランサー。

しかし、その戦いに更なる乱入者が現れた。自分のマスターを引き連れて(無理矢理)現れたライダーである。

そしてライダーは驚くべき提案をする。

なんとライダーはセイバーとランサーを配下に加えようと勧誘したのだ。

 

 

「俺が聖杯を捧げると決めたマスターはただ一人。それは断じて貴様ではないぞライダー!」

「そもそも貴様はそんな事を言いに現れたのか。戯れ言が過ぎるぞ!」

 

 

ライダーの勧誘に二人の英霊は怒りと共にそれを断る。その時だった。

 

 

「キィーン!んちゃ!」

「こ、子供!?」

 

 

突如猛スピードで深夜の倉庫街を一人の少女が駆け抜けてセイバー達の前に急停車し、その場の空気に合わぬほど明るい挨拶をしたのだ。

 

 

「貴公……いや、キミはサーヴァントなのか?」

「うん。アタシ、バーサーカーのアラレだよ!」

「いつまで戯れあっている雑種どもが!」

 

 

ランサーが控え目にバーサーカー……則巻アラレにサーヴァントか否かを問うとアラレはアッサリと答えた。ただの少女にしか見えない子供がサーヴァントなんてあり得るのだろうか?と一同が疑問に思っていると、その場に怒鳴り声が鳴り響く。

 

 

「キャハハッ!おっちゃん、金ピカ!」

「貴様……我を笑うとは死を持って詫びろ!」

「下がって下さいアイリスフィール!」

 

 

アラレは突如現れたアーチャーの鎧が金を纏っていた事が笑いのツボに入ったらしく爆笑した。その事に怒りの沸点が低いアーチャーはゲートオブバビロンから二本の剣を放った。突然の事態にマスター連れで来ていたセイバーは咄嗟にマスターのアイリスフィールを庇いながら退がる。

アラレはポヤンとしたまま迫り来る剣を避ける事もなかった。そして剣がアラレに着弾すると同時に深夜の倉庫街は爆音に包まれ、土埃が舞い上がる。

 

 

「ふん、せめて散り様で我を楽しま……なっ!?」

「く、首が……」

「う、うわぁ……」

 

 

宝具の一撃に跡形も無く消し飛んだかと思われたアラレだったが、その場にはアラレの首と胴体がバラバラの位置に倒れていた。見ようによってはバラバラ殺人現場の様な状態にアイリスフィールとウェイバーは引き気味だ。

しかし更に衝撃的な事が起こる。

 

 

「ほよよ……おっちゃんつおいね」

「い、生きてる!?」

「戦うのか!?」

「って言うか首が!」

「くっ付いた!?」

「面白い体をしておるのぅ」

 

 

何事もなく起き上がったアラレの体はフラフラと立ち上がると首を拾い上げてペタリと首を体の上にセットするとアラレは普通にアーチャーに話しかけた。

 

 

「あ、ありえん……まさか奴はギャグ漫画の……」

「今度はアラレの番ね。アラレキィーック!」

 

 

危険な発言をしようとしたアーチャーをアラレがドロップキックで上空へと吹っ飛ばした。

 

 

「キィーン!とうっ!!」

「ば、馬鹿なァァァァァァァァッ!?」

 

 

更にアラレは走ってそれに追い付くと頭突きを追撃し、アーチャーはギャグ漫画の様にクルクルと回転しながらキラーンと星になった。

 

 

「あ、貴女……強いのね」

「うん、アラレつおいよ」

 

 

誰もが唖然とする最中、アイリスフィールがアラレに話しかけ、アラレはピースをしながら笑顔で答えた。

 

 

聖杯戦争という凄惨な戦いが一人の少女によってドタバタ劇に改変されたのは言うまでもない。

 

 





『則巻アラレ』
『Dr.スランプアラレちゃん』シリーズの主人公。
原作、アニメ、ドクタースランプで微妙に設定や容姿が違うがギャグ時空も関係してか漫画界最強候補の一人。
則巻千兵衛が作り上げた人間型ロボットで原作、初代アニメでは千兵衛がノリで作った設定だったがドクタースランプではナイスバディの家政婦ロボを作ろうとしたが落雷でプログラムがバグり、少女の姿になってしまった経緯がある。
眼鏡はファッションや伊達ではなく本当に視力が悪い。因みに『眼鏡っ子』の語源はアラレちゃん。
原作、初代アニメでは紫色の髪だがドクタースランプでは茶髪になっている。

天真爛漫を絵に描いたよう様な性格で極端に言えば喜怒哀楽の喜楽しか無い。極度の天然だが頭が悪いわけではなく、高度な数学の問題集を一目見ただけで解いた事がある。口調や性格からすると知識に対して知恵が追いついていないと言った表現が正しい。

ギャグで物理法則を無視した強さを持ち、最強としか言いようがない性能で『拳で地球を真っ二つにする』『小石を投げて山を削る』『岩を投擲して月を砕く』『車が衝突しても車の方が大破する』等、規格外の強さを誇る。
千兵衛が装備させたのかは不明だが『んちゃ砲』と言うビームが口から出る。破壊力は言うまでもなく最強クラスで敵対するロボを一撃で破壊し、月を欠けさせた事もある。

ドラゴンボールにもゲスト出演をしておりブルー将軍を瞬殺。劇場版では桃白々のどどん波が直撃してもノーダメージ。超ではベジータの一撃にもほぼ無傷で生還し、ドロップキックと頭突きでベジータを遥か彼方へと吹っ飛ばした。


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