僕の癒しはザリガニ……。
僕はゲームが好き。
最初はただ純粋にリアルな友達と遊ぶことが楽しくて、次にネットの中の友達と遊ぶことが楽しくて、その次は……上手くなることが楽しくかった。
僕はゲームが好き。 そして、人の話を聞くのが好き。
あの人が上手い、あの人が面白い、どこそこの景色が良い、あのコンテンツは楽しい、あの人のことが好き。
楽しいことを色々教えてくれる。 みんなで馬鹿な話をして盛り上がる。 それはそれは楽しいひと時。
僕はゲームが好き。 そして、面白い仮面も好き。
おどけた面であればあるほどいい。モンスターの仮面、道化師の仮面、フルフェイスの兜、季節限定のちょっとおどけた仮面、着ぐるみの頭。
仮面をつけておどける事で笑いあうことができた。
僕はゲームが好きだった。
自分が上手くなるのは楽しかったし、色々な人の話を聞けたし、面白い仮面もあったから。
僕はゲームが好き?
上手くなることが楽しくて楽しくて、でもその楽しさの先にあったものは……自分たちより下手な人に対する侮蔑の言葉だった。
装備が未熟な人、操作が未熟な人、或いは両方である人、そんな人たちを馬鹿にするような言葉。
僕たちだって最初から上手だったわけじゃないのに……君たちがそうであった時を僕は知っているのに……。
こんなことなら何も教えるんじゃなかった。 こんなことなら上手くなんてなるんじゃなかった。 こんなことなら……こんなことなら……。
僕はゲームが好き? そして、人の話を聞くのが好き?
何時の頃からか、個人チャットばかりしていた時期がある。 薄い赤色の文字で踊るのは下手な人に対する不平不満、楽しくないこと、嫌いなやつ、晒しスレの内容。
表では明るく見えるけど、裏はとてもどろどろしていて、それでも話を聞けば少しだけその人の気持ちは軽くなるのだろうなと思った。
沢山沢山、話を聞く、別に苦ではなくなる。 みんな似たようなものなのだと思い至る。
楽しくて、ゲームは楽しくて……楽しくて? とても疲れる気がする。 すごくすごく眠くなる。 夢を見ないほどに気を失うように眠る。
どうしてそんなことを言うのだろう。 どうして仲良くなったのだろう。 どうして……どうして……。
僕はゲームが好き? そして、面白い仮面も好き?
本当はなんでもいい、隠せるならなんだって……。
自身のどろどろとした思いが溢れるから、あふれ出ないように仮面をつける。 隠してないとまるで自分のキャラクターが泣いてるみたいで……。
自身のキャラクターの顔を忘れてしまうくらいに仮面は馴染んで……。
なんで上手くなることに夢中になったんだろう。 なんでみんな仲良くでき何だろう。 なんで……なんで……。
僕はゲームが好きだ。
自分が上手くなるのが楽しいし、色々な人の話を聞けるし、面白い仮面もあるから。
ねぇねぇ、それでもゲームは好き?
僕は……。