生物の力 ー異世界では通用するのかー   作:≠RyO
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旅たち

ゴブリンをなんとか対処した俺らは、目的地点である赤石の墓石までたどりついた。

「全員お疲れさまだったな。ここが目的地だ。」

あのあと、モンスターが出てきても月と晋也によってバッタバッタと倒されていった。
目的地点では、既に到着しているチームが談笑を繰り広げている。
そして、どうやら最後のチームは正志の勇者チームだった。

「くそ、なぜ僕が……」

正志はそんなことを呟くと俺を見つけて近寄ってくる。

「なぜ君は無事なんだ?ええ?僕は怪我を負ったのによ!!」

正志の八つ当たりがまた始まった。
だが、今回はいつもと違い剣を持っている。それが俺に目掛けて降り下ろされた。
周りは止めようとも無理だろう。
自分でどうにかするしかない。
そう思い身構える。
だが、その瞬間歌声が聞こえる。
体がなぜか重く感じる。きっと、この歌声にはそういう効果あるのだろう。
だがその歌声はすぐに聞こえなくなった。気づくと俺と正志の間に瑠璃がたっていた。

「瑠璃さん、なんの真似かな?」
「それはこっちの台詞よ。何してるの?」
「そんなの見ればわかるじゃないか!僕は怪我を負ったのに彼は無傷そんなのはあってはならないんだよ。なぜなら僕は勇者だからだ!!」
「まったく理由になってないんだけど…。」
「とりあえずこいつの腕を1本切ってから話をしよう。君にもしっかりと説明してあげるよ。だから、邪魔はしないでくれるかな?」

彼らが大声で話してるなか俺は沸々とした怒りをついに爆発することにした。

「ざけんじゃねえ……。」
「あっ?」
「ふざけんじゃねえよ!!もう、うんざりなんだよ、お前のよくわかんねえ理由で殴られたり蹴られたりするのは!!」

俺は地面をいつのまにか思いっきり駆け出し正志に大きく振りかぶっていた。
その腕を正志は軽く受けとめ「フンッ」っと力を入れて俺の腹に思いっきり足蹴りをした。
そのおかげで、数メートル離れた木に俺は全身を強打した。

「ぐっ…うぅ…」
「まったく、勇者の僕に歯向かうこと事態がおかしいんだ。さっさと死ねよ。なあ!!」

正志は持っていたい剣を俺の心臓目掛けて投げた。
俺は最後の力を使って、その剣を避けようと、身体をなんとか横にずらす。

だが「ザシュッ」っという音と俺に今までの痛みとは比べ物にならない、大声を上げてしまうほどの痛みが俺を襲った。
その姿をみて、目を反らすものも入れば、仇を討つかのように正志を睨むやつもいた。
俺はそんななか、何回目かになるかわからない気を失った。


瑠璃side

正志が孝を気に入らないことは知っていた。
だけど、この世界に来てまでいじめがあるとは正直予想外だった。
いえ、それは嘘になるわね。
この世界に来ても私が止めればいいと思ってたわ。
もう、会社の事を気にすることも無いもの。
だから、これからは私が守る!!
そう覚悟していたはずなのに……。
孝と久々に話したのは彼が病室で目を覚ましたときだった。
だけど、そこで彼の本心を聞いちゃったのよね。
嫌われるのも当たり前だってことはわかってた。
だけど、もし、許してくれるなら…そんな淡い期待も持ちながら私の今までのことを話したわ。
まあ、結果はさんざんだったけど。
でも、これから彼の信用をどうにかして取り戻して、その時に次は許してもらえるように謝る!
それまで私は彼の命を必ず守る!そう決めたの。
だけど………今のこの状態……どういうこと……。
正志が彼に剣を投げつけて……孝を殺そうと……。
私の歌謡術でも…意識ない物体にはどうすることもできない。
だから、ただ見ることしかできなかった。
彼のを剣が突き刺さるところを。

瑠璃side out


ここはどこだ。
一面真っ赤な空間だ。
目しか動かせず、その他の部分は動かせない。
その後、テレビの砂嵐のような感じになった。
そして、俺は息苦しさで目を覚ました。

「なん…だったんだ…。」

外は暗く、回りを見ると、また病室だった。
なんとも情けない。
ルーネさんに頭を下げとこう。
そう思い、身体を起こしたところで急に冷たいものが首に触れた。

「動かないで貰える?殺しちゃうわよ?」

後ろから声が聞こえる!?
だが、後ろは壁だ。そんなはずはない。
じゃあ、どうやって?そんなことを考えていると、俺の目の間にそいつは姿を現した。

「ごめんなさいね。ビックリさせちゃって。あ、大声も出さないでね?いい?」
「あ、ああ……」

よく見ると、それは女性だった。
だが、片手には鎌を持っていて、いまだに鎌の刃は俺の首筋にある。

「まず最初に、あなたの左腕を見てほしいのだけれどいいかしら?」

言われるがままに、目を左手に向ける。だが、そこには…左手なんて元から無かったようになっていた。

「っっっ!!」

変わりにあるのは、左肩からある包帯。
ただそれだけだった。

「お前が……やったのか……?」

怒りを込めた目で俺はその女性を睨んだ。

「滅相もない。私はやりませんわ。やったのは勇者でしょう。と、言うより今日の事件が原因よ。」
「事件だと?」

そこで、頭がズキズキ痛みだした。
思い出した。
剣を投げられた時、俺は間一髪それをよけた。が、心臓ではなくなったものの変わりに肩に当たったんだった。

「あのあとは…。」
「剣を抜いたら、大出血で死んでしまうからあなたたちの仲間が回復させながら、苦渋の決断で腕を切り落としたわ。」
「……そう…か。」

俺は無いはずの左手を掴んだり離したりするような動きをする。
まるでそこに左手があるように動くが、実際は無い。なんとも表現がしづらい状況だ。

「……そ、そうだわ!自己紹介が遅くなったわね。私は、魔王直属の部下で四天王の一人、レイ・カプレ・サルザークよ。まあ、なに?魔族の幹部ってやつよ。よろしくね?」

彼女をもう一度しっかり見ると、中々の美女だ。
紫色の髪の色でそれを縛らずロングヘアーにしている。
出てるとこは出ていて、引っ込んでるところは引っ込んでいる。
少し、童顔ぽいがそれでも大人びた雰囲気をかもち出すには十分だ。
だが、やはり謎は残る。

「なんで、魔王直属の部下か、ここに来るんだよ。」

謎過ぎる。
そうすると彼女は

「色々あるのよ。…早速だけど、あなたは今から私が攫うわ。いいかしら?」

いや、多分、普通はダメなんだろうな。
だが、正直俺もここからは出たかった。
なぜなら、これ以上皆に迷惑をかけたくなかったからだ。
だから俺は頷いた。
彼女は少し申し訳なさそうな顔で、軽く頭を下げると、俺を抱えて空に飛び出していった。

目指すは多分、魔王城なんだろうな。






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