異空人/イクウビト   作:蟹アンテナ

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第106話  甲獣捕獲作戦

大陸中心部は山頂に霜が降りるほどの高い山脈に覆われており、唯一山脈が途切れている場所には巨大な森が広がっている。

 

大森林は、黄昏の荒野よりもはるかに高い密度の魔力に満ち溢れており、そこに生息する生物も強靭な肉体を持ち、激しい生存競争を生き抜くために更に鍛え上げられ、森の外にやって来たはぐれ個体でも周辺地域にとっては脅威となる。

 

なので、定期的に討伐隊が組まれ、間引きが行われる。

 

『今期の新人たちも大分育ってきてくれたおかげで仕事も楽になって来たな。』

 

羽飾りのついた額当てをつけた副隊長が装備の確認をしながら呟く

 

『馬鹿を言え、まだまだ卵の殻が引っかかっているようなモンだ。気を抜くとうっかり命を落とす奴は出てくるぞ。』

 

角付きメットを被った隊長が背嚢を背負い直しながら答える

 

『まぁ、調子に乗って身の丈に合わない事をやらかそうとした奴がいたら尻を蹴っ飛ばしてやるさ。』

 

 

二人は大森林の玄関口となる広間に新兵たちを誘導すると、先行していた工兵が設置した篝火に挟まれながら演説をする。

 

『出陣の回数を重ねてお前達も少しはマシな面構えになって来たが、決して油断をするな!此処は以前、火吹きトカゲが野営中に襲い掛かって来た場所でもある!此処は他よりはマシだが、この森に絶対安全な場所は存在しない!気を抜いたその瞬間命を失うものと思え!!』

 

『不寝番の奴は神経を研ぎ澄ませ、小さな物音も逃すなよ!魔物の気配に気づかず接近を許した場合は、火吹きトカゲの悲劇の再来だ、各自責任を持って任務に当たれ!』

 

 

『はっ!!』

 

 

既に広間は工兵によって野営用の天幕が設置されているので、新兵たちは明日の討伐作戦の為に武具の点検や、荷物の整理、作戦内容のおさらい、料理の下ごしらえなどを行っていた。

 

 

『あれ?コリン、変わった武器を持って来たね?赤く塗られた斧なんて・・・。』

 

『ん?あぁ、これは防火斧と言って、ニッパニアで使われる火事が起きた時に扉を破壊する為の斧らしいぞ?』

 

『えっ?火事用?・・・武器じゃなくて?』

 

『俺にも良く分からねーけど、どうも工具の類らしいぞ?でもこれ、隊長が使っている青銅斧よりも頑丈で威力も高けぇからコツコツ金を貯めてニッパニアから買ったんだ。あぁ、鉈の方も新調したぞ?』

 

『えぇ~?いいなぁ、僕は弓と短剣だからニッパニアのお店では買えないかも・・・あっ、短剣くらいなら置いてあるかな?』

 

『ニッパニアの飛び道具、すげぇ威力だから弓なんか使わないだろうしなぁ・・・あ、でも的当てが競技として残っているって聞いた事があるから、競技の用品店ならもしかしたら置いてあるかもな?』

 

『本当!?本当に本当!!?』

 

『だあぁぁっ!暑苦しいっ、そんなに近づくなよココル!』

 

『えへへぇ・・・ニッパニア産の道具って僕らの隊でも人気だから実はちょっと羨ましかったんだぁ。そっか、ニッパニアの弓かぁ・・・。』

 

 

『おいっ!そこ!私語は慎め!・・・ってまたお前らか、夜食の配給を減らされたいのか?』

 

『ひゃぁ!?ご・・ごめんなさい!!』

 

 

 

不寝番の新兵が時折ベースキャンプに近づく鎧虫を追い払い、特に問題らしい問題は起こらず一夜を過ごし、翌朝討伐作戦は開始された。

 

 

『うぉらぁ!作物荒らす虫はお前らかぁ!』

 

『小さいのは平気だけど、こうも大きいと不気味なものだね。』

 

森の一角の木々の葉が食いつくされ、禿げあがっている場所に鋭角なフォルムの鎧虫が彼方此方を跳ねまわっていた。それは、ショウリョウバッタの様な姿の中型犬ほどの大きさの鎧虫で、繁殖の時期になり食欲が旺盛になり、森からはぐれた一部の個体が街に侵入し、作物に甚大な被害を与えていた。

 

 

『所詮は唯の飛蝗だが、ココル油断するなよ!蹴られたら肉を抉られるぞ!』

 

『僕は弓だから蹴られる危険は少ないよ。っとと・・だからと言って油断する気は無いけど』

 

まるで砲弾のような勢いで突進してきたり、草むらから静かに近づき強靭な後ろ足で蹴り上げて来たり、鎧虫としては比較的小型の部類ながら気を付けてなければ大けがを負いかねない相手である。

特に、砲弾のような勢いで突進してくるときに、まともに直撃を食らえば鎧を着込んで盾を構えていても、その質量と勢いで吹き飛ばされてしまうだろう。更に、その外殻の強度は強化プラスチックに相当し、その硬さも相まって侮れない。

 

 

『っ!コリン!後ろっ!!』

 

草むらが揺れたと思うと、草木を真っ二つに引き裂きながら緑色の影が少年に突き進む

 

『甘いぜ!』

 

絶妙なタイミングで横薙ぎに振るわれた赤い斧が、突進してくる鎧虫の中心を捕え、何かが弾けるような音と共に外殻と肉片をまき散らしながら、少年の後方に鎧虫だった物が飛び散る。

 

『へぇ、凄いなぁコリン、腕を上げたね。その斧も凄い威力だよ。』

 

『重量バランスも硬さも丁度良いから扱いやすいんだよ、前のじゃ刃が曲がっていたかもな。』

 

『僕も早く弓を新調したいなぁ・・・・あれ?向こうはもう終わったみたいだね?』

 

『んぁ?ちと早くねーか?もっとうじゃうじゃ居た筈だろ?』

 

『んん~~・・・そう言えば虫の気配が無くなっているような・・・。』

 

 

少し離れて行動していた別のチームは、何か慌てた様子で二人の方に走って来る。

 

 

『・・・・?コリン、何か様子が変だよ?』

 

『あいつら顔色悪くね?』

 

別働隊の新兵たちは顔を真っ青に染めて、何か叫んでいる様だ。

 

 

『逃げろおおおおおぉぉ!!甲獣(グリプス)だぁぁぁぁ!!』

 

『ぐ・・・グリプス!!?』

 

 

突如、森の奥で轟音と共に土煙が上がる。

爆風の様に飛び散った木々に紛れて、先ほどの鎧虫たちがバラバラに粉砕されながら天高く吹き飛ばされ、鈍く輝く外殻を纏った巨大な獣が潰れて散らばった鎧虫をその長い舌で絡めとる。

 

 

くわぁぁぁぁぁぁ!!!

 

 

鎧虫の繁殖期に合わせて活発に動き始め、産卵のために丸々太った栄養満点の鎧虫を捕食する為に森の奥から甲獣が、事もあろうにベースキャンプ付近に現れたのであった。

 

 

『あ・・・アレがグリプス!?で・・・でも話に聞いたよりは小さいような・・・。』

 

『あの大きさでも十分にデカいわ!さっさと逃げるぞココル!』

 

ベースキャンプに急いで戻ると、必要最低限の荷物だけ回収し、少年たちは急いで森の外まで退避する。

 

誰に示し合わせたわけでも無く、森の入り口に集まった各隊は、森で起きた異常などの状況報告をし、短時間で現在の戦力では対処不可能と結論を出し街まで撤退した。

 

 

ミトラグリプス・・・・甲獣種の中でも比較的小型の部類であり、その脅威度も他の甲獣に比べて低いが、それでも成体ともなると象に匹敵する巨体となり正直な所、新兵には荷が重い相手である。

 

また、甲獣種特有の外殻の強度は小型ながら中型種と遜色なく強靭であり、暴れ出したら手のつけようもなく、その被害は象の比ではない。

 

 

 

そして、暫くして小型の甲獣の出現の報と、領主からの討伐依頼を受けて、日本から甲獣特別対策チームが派遣される事になった。

 

日本としては、捕獲と飼育が不可能及び、現実的ではないとされる巨体を持つ甲獣の生態は興味の対象であり、何とか飼育可能だと思われる小型種の出現は、学術的好奇心を刺激する情報であった。

 

 

『まさか、それは本気ですか!?』

 

『えぇ、我々はあの甲獣を捕獲する事にしました。』

 

『馬鹿な、あり得ない、あの巨体では飼育する為の建物自体を破壊されてしまいます!』

 

『木造やレンガで建築された施設ならそうなるでしょう、しかし、我々はあの甲獣と同じくらいの体格を持つ獣を長年飼育してきた実績があるのです。』

 

『甲獣と同じくらいの獣ですと!?・・・それは一体、いえ、本気で捕獲するつもりなのですか?』

 

『鎧のような外殻を身にまとっている以上は、一筋縄ではいかないでしょう。ですので、知っている限りの情報を提供して頂きたいです。』

 

『・・・・本気ですね。いいでしょう、我々が知り得る甲獣の情報を提供いたしましょう・・・しかし、甲獣は非常に危険な存在の為に、未知の部分が多く、満足いただけるほどの情報を提供できるかわかりません。』

 

『それでも構いません。』

 

 

そして甲獣の情報提供と協議を通し、作戦を練る事数週間が過ぎ、大森林に甲獣特別対策チームが派遣された。

 

 

「しっかし盲点だったなぁ、いつも学者連中が護衛付きで生態系調査している奥地じゃなくて、近くの集落に隣接した浅い場所に奴が出現するとはなぁ。」

 

「甲獣に関してはそうだろうけど、森の奥深くの調査で毎回学者連中が狂喜乱舞しているから、あれはあれで成果があるから良い事じゃないか。」

 

「ちらっと資料を見せて貰ったが、魔力が濃い地域は文字通り魔境だな、少し濃度が濃くなるだけで全然生態系が違う様だ。」

 

「甲獣とどっこいどっこいな危険生物も発見されてきているし、いよいよもって脅威だなこの森は・・・。」

 

 

「まだ例の甲獣は森の入り口に居座って鎧虫を捕食している様だ。まぁ、鎧虫の駆除の手間が省けるが、奴自体がそれ以上の脅威だ、放置するわけにもいかん。」

 

「小型種とはいえ、生きたままの個体を捕獲・観察できるならば、他の甲獣種の性質が一気に解明できるかもしれない、何としてでも捕獲を成功させねばな。」

 

 

 

捕獲チームは、甲獣が潜む入り口付近に到着すると、目標を取り囲む様に展開し、鎧虫を捕食し満腹になり動きが鈍った所を狙って麻酔を撃ち込むために麻酔銃を構えた。

 

 

くふぅぅぅ・・・ぐるるるる・・・。

 

 

まるでパワーショベルの様な腕と鋭い爪を振り回し、問答無用で鎧虫に叩き込み、長い舌で死骸を巻き取って口に運ぶ姿に恐怖を覚えるが、動きが緩慢になりつつある甲獣は隙が多く、そもそも自分が襲われる事なぞ欠片も思っていない食物連鎖の上位者特有の余裕が見て取れた。

 

「あの外殻では、麻酔針が弾かれる恐れがあるな・・・あの比較的柔らかそうな首筋付近を狙うか・・・。」

 

 

ごるるるる・・・?

 

 

「っったれぇ!」

 

押し殺した声と共に放たれた麻酔弾は、吸い込まれるように甲獣の首筋に着弾し、仰け反りつつも唸り声を上げ、警戒したように周囲を見渡す。

 

「よしっ・・・・だが、麻酔が効き始めるまでに時間がかかる。早く離脱しなければ・・・。」

 

 

意外と射程距離の短い麻酔銃は、目標にある程度近づかねばならず、かなり距離がある様に見えて動物によってはものの数秒で接近される恐れるのある距離だ。いかに位置を悟られずに移動できるかが、生死を分けるのだ。

 

くふしゅるるるるる・・・・。

 

身体を無造作に震わせると、硬質な音共に刺さった筈の麻酔弾が転がり落ちる。

よく見ると、先端の針がL字にひん曲がっており、頑丈な鱗に弾かれ麻酔が皮下に到達していなかった様だ。

 

「くっ・・・駄目だったか、しかし首周りの小さな鱗一枚であそこまで硬いのか?あの折れ曲がり方は流石に・・・。」

 

ごるっ!!

 

「くそっ!見つかったか!」

 

 

こちらが潜んでいる茂みを睨みつけると、足を踏み鳴らしながら突進の準備を開始するが、発砲音と共に前脚の鱗が弾け飛び、甲獣は悲鳴を上げる。

 

「万が一の為に、射殺の許可は得ているが、猟銃でも蚊に刺された程度かよっ!」

 

「文字通り化け物だな・・・殺処分するだけなら大砲やらで一発で済むんだろうが、捕獲するともなると骨が折れるな・・・。」

 

別の場所からの援護射撃に甲獣の注意は逸れるが、それでも早くこの場から離脱しなければ危険であり、麻酔銃を撃ち込んだ猟師は急いで射撃地点から離れる。

 

 

注意を引き付けた猟師は、比較的森の外側に位置し、近くにトラックを止めてあるがそれでもトラックの場所まで距離があり、既に甲獣に位置を知られているので直ぐにでもこちらに走って来るであろう。

 

 

ぐおおおおおおおぉぉぉっ!!!

 

森中にビリビリと響く咆哮を放ち、怒り狂った甲獣は木々を薙ぎ倒しながら猛烈な速さで自分を傷つけた二足歩行の動物に向かって突進を開始した。

 

「あの巨体でなんつー速さだ!まるで障害物なんて無いみたいだ!」

 

「急げ!急げ!トラックは何時でも発車可能だっ!荷台に飛び込め!!」

 

 

背後から甲獣に蹂躙され薙ぎ倒される木々の悲鳴が聞こえてくる。圧倒的な質量を感じさせる重い足音が、死の気配を纏って近づいてくる。

 

「早く乗れ!!奴に踏み潰されちまうぞ!!」

 

「わかってる!」

 

トラックは既にエンジンがかかっており、クリープ現象で僅かに前進を開始していた。

 

「うおおおおおおっ!!!」

 

身体を放り投げる様に、トラックの荷台に転がり込むと、エンジンがけたたましい雄叫びを上げ、草木を引き千切りながら走り出した。

 

「何とか間に合・・・。」

 

くわぉぉぉぉおぉっ!!!

 

森の境界を越え、低木や草むらが広がる外界に出ると同時に木片が甲獣の進行方向にはじけ飛ぶ。

そして、そのままの勢いでトラックを追跡するが、トラックと距離が中々離れない、悪路のせいでトラックの速度が上がらない事もあるが、その巨体からは想像もできない走行速度である。

 

「おいっ!?何とか引き離せないのか?」

 

「今やっている!・・・くそっ、これじゃ横転しかねない!」

 

トラックが激しく揺れ、何度か床に叩きつけられるが、何とかトラックの外に放り出されない様にしがみ付き、事態の打開のために思考を巡らせていた。

 

(何か・・・何かないか?俺に出来る事は・・・。)

 

ふと、視界の端に黒くて長い筒状の物が目に入る。

 

(こいつは確か試作品の・・・やらないよかマシか)

 

元々は惑星アルクスの各地に生息する鎧虫に有効な殺虫剤散布用に、日本の主要な拠点に広く配備されている投擲銃だが、構造の単純さから様々な薬品を込めた弾が開発され、今回の作戦の為にごく少数だけ試作された麻酔弾が込められていた。

 

「射程が短すぎるから結局トラックに置きっぱなしだったが、役に立ちそうだ。」

 

トラックは未だに激しく振動しており、障害物をよける為に左右に揺れるので、狙いも中々定まらない。

ついでに、甲獣は疲れを知らないかのように、地面に爪を食いこませながら速度を落とさずにトラックを追尾し続けている。

 

「流石に追いつかれたりはしないが、このままじゃ不味い!そっちからは何とかできないのか?」

 

「荷台に良い物を見つけた!少しだけでいい、直線コースを走れないか?」

 

「良さそうな場所がある、少し待っていろ!合図する!」

 

蛇行しながら木々を避け、開けた場所に出ると、多少上下に揺れる物の激しく左右に揺さぶられる事のない場所に出る。

 

「ここだ!10秒前後だけ直線だ!」

 

「十分だ!・・・よしっ・・・食らえっ!!」

 

鈍い音共に発射されたカプセル状の弾は、甲獣の正面の地面に着弾し、中に仕込まれていた薬剤が破裂音と共に着弾箇所周辺にまき散らされる。

 

 

ぐおおおおおおおっ!!?

 

 

甲獣は勢い余って全身に薬剤を浴び、かなりの量を吸引してしまったが、多少怯んだ程度で止まることは無かった。

 

 

「頼むから効いてくれよ?」

 

「何をしたのか判らんが上手くいったのか?」

 

「あぁ、全身に麻酔を浴びせてやった。薬が効き始めるまで逃げ回ってくれ!」

 

暫く甲獣を引き付けていると、次第に甲獣の動きが鈍くなり、遂に膝をつき蹲って動かなくなり、そして暫くしてその身を地面に横たえた。

 

「各員、決して油断するなよ!慎重に近づけ・・・。」

 

他のトラックに乗って退避していた捕獲チームのメンバーは、麻酔銃を構えながら慎重に甲獣に近づくと、甲獣に完全に麻酔が回っている事を確認し、手足を丈夫なワイヤーで縛り、特製の檻にクレーンを使って入れると大森林を後にした。

 

 

そして数か月後・・・・。

 

 

『ふわぁぁぁっ・・・み・・見てよコリン!』

 

『信じられねーな、こんなに精巧な甲獣の絵なんて見た事ねーよ・・・。』

 

日本ゴルグ自治区にある動植物研究所の飼育施設の中で、無心に餌の鎧虫を貪る様子を撮影された写真が、日本に情報提供した討伐隊に配られ、少年たちは驚きと興奮に包まれながら甲獣の写真を手に持って喜びの声を上げている。

 

『小さな絵だけど、とても綺麗・・・大切に取っておかないと!』

 

『馬鹿っ!これはもはや家宝だろ!額縁を特注しねーとな!』

 

年相応に飛び跳ね喜ぶ少年たちを尻目に、討伐隊の隊長と副隊長は複雑な表情で甲獣の写真を眺めていた。

 

『まさか本当に捕獲しちまうとはな・・・。』

 

『幾ら小型種とはいえ、軍隊が出動する程の相手だぞ?倒すなら兎も角、捕獲するとは・・・。』

 

『ニッパニアの連中からすれば甲獣すら知的好奇心を満たす程度の相手なんだろう、コイツよりもデカい古代重甲獣の首を跳ね飛ばしたと聞くぞ?』

 

『流石に古代重甲獣は捕獲できないみたいだが、それでも連中は甲獣の捕獲に成功した、そう・・・絶対的な力の象徴を・・・だ。』

 

『なぁ、隊長・・・俺達は事情を知っているから、唯の研究の為に捕獲したと理解しているが、他の国はどうなんだろうな・・・?』

 

『ニッパニアは今更甲獣なんかを軍事的に利用なんてしないんだろが、周辺国は特に警戒するだろうな・・・。』

 

『特に妙な野心を抱いている国はな・・・・連中が余計なちょっかいをかけなきゃ良いが・・・。』

 

 

日本の甲獣の捕獲成功の一報は、この大陸基準であるものの、早い速度で大陸各国に広まり驚きと共に疑問・感嘆・警戒など様々な感情が交わっていた。

 

日本が大陸に築いた一大拠点、日本ゴルグ自治区に大陸各国の密偵達が更に多く派遣されるのはそれから間もなくであった。

 

 

 

 

トランロクター 通称 楔飛蝗

 

和名:ダイオウイセカイショウリョウバッタ

 

地球でいう飛蝗に近い巨大昆虫であり、惑星アルクスに生息する小型種が濃い魔素に当てられ突然変異で巨大化し、定着した種である。

所謂鎧虫と呼ばれるカテゴリーに入れられており、硬質な外殻と強靭な脚部から繰り出される突進は金属の板をも凹ませる威力があり、非常に危険。

基本的に魔素の濃い地域にのみ分布するが、時折本来の生息域から外れた個体が、居住区に侵入することがあり、予想外の所で遭遇し、襲われる事がある。

草食性であり、低木や草の葉を主食とするが、栄養価の高い作物を狙って畑を荒らすことがあるので駆除の対象となっている。

また、厄介な事に、食糧の多い場所に産卵するので、放置していると作物に壊滅的な被害をもたらすので早急な発見と対処が求められる。

ちなみに、食用が可能で、後ろ足の筋肉は薄味のタラバガニに似る。(内臓は当たるので取り除く

 

 

 

ミトラグリプス 通称 軽鉄甲獣

 

和名:ヒメヨロヒムシクイ

 

大陸の中でも数少ない森の中に生息する小型の甲獣。

小型種とはいえ、その大きさは象に匹敵し、一たび暴れ出すと手が付けられない。

その外殻は、主に餌となる鎧虫の食性に影響され、金属を含む外殻を持つ鎧虫を多く食せば金属質に、キチン質の外殻を持つ鎧虫を捕食すれば角質化する。

その巨体からは想像できない程の速度で走行する事が可能で、また無尽蔵の体力もあって、かなりの距離を走ってもまるで疲れを見せない。最近の研究で魔素を利用した特殊な代謝により、かなり効率よくエネルギーを取り入れている事が判明し、この底なしの体力を裏付ける結果が出た。

比較的討伐が楽な本種は、古くから知られているが、この世界の軍隊が対応可能と言う程度で、危険な生物には変わりないので、その生態はあまり詳しく知られていない。

捕獲に成功した事で、大きく研究が進むであろう筈なので、研究結果が待たれる。

 

 

 

 

 

 


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