異空人/イクウビト   作:蟹アンテナ

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第31話   亜人娘のガールズトーク

日本が転移してきて暫く立ち、在日異世界人も少しずつ増えて来た。

主に駐在大使やその家族、ごく少数観光などで日本に訪れており、日本の彼方此方を見物している。

 

 

「プリシラ!遅いよー!」

 

「待ってよミーティア、車椅子だと人ごみを進むのは辛いのよ!」

 

とある日本の大学で出会ってから暫くして、大分打ち解けあった亜人の少女たちは、新宿でショッピングを楽しんでいた。

 

「ウルスラちゃんは、今日も学校?」

 

「えぇ、ニホンの教育水準の高さには驚きだわ、学者でも知らない事を私と同い年くらいの子が普通に知っているし、算術もすごく速いの。」

 

「プリシラは、学校行かないの?確か、海の国の難民の為に、大人用の特別教室を開いていると聞いたけど?」

 

「とっても興味深いんだけど、私も海の国の為に色々とやらなきゃいけない事が多いのよ、はぁ、その内知識でウルスラに負けちゃうわね。」

 

「あら、それは勿体ない話ね、はぁ、いいなぁ、ソラビトにも特別教室開かないかなぁ・・・。」

 

ため息をつきながら、空を眺めるミーティア

 

「私たちは保護してもらう代わりに、知っている限りの情報を提供しているからねぇ。」

 

「ソラビトも色々空から見た事をニフォンに教えているよ!はぁ、在日のソラビトが増えたら開くかなぁ、特別教室・・・。」

 

「きっとその内開かれるわよ!今の所、ニホンと親しい国は、大陸の一部の国と、空中大陸と私たち位だもん。」

 

「そう・・・ね、他の国に差をつけられないうちにニフォンと交流を深めておかないと・・・。」

 

「ところで、ミーティア、その服装動きやすそうね。」

 

プリシラが、ミーティアの服装をまじまじと眺める、露出の多い服だが、仕立てがしっかりしており、日本製の物と思われる。

 

「服?あぁ、短パンとキャミソールって言うらしいわ、翼とかに引っかからないから、とても動きやすいのよ。」

 

「いいなぁ、ウミビトが着れる水に丈夫な服無いかなぁ?」

 

「陸地で活動する分なら、別に普通の服で良いんじゃない?そう言えばウミビトって布をどこで調達しているの?」

 

「えっと、昔はリクビトと交流があったから布が手に入ったんだけど、今は沈没船の帆くらいしか入手経路無かったし困っていたのよ。」

 

「ふぅん?ニフォンに感謝しないとね、ウミビトがたまに水竜のヒレで作った中途半端に透けた下着つけているのは、そう言う趣味じゃなかったんだ。」

 

「う・・ウミビト全員露出狂みたいに言わないでよ!・・・く・・苦肉の策だったんだから・・・。」

 

赤面しながら、プリシラが反論するが、笑いながらミーティアが、まーまーと手(翼?)を突き出す。

 

「全員分まかなえる程布が手に入らなかったのね・・・その点、ソラビトは大陸を空に浮かせる前に布が作れる植物を他所から持ち込んでいて助かったわね。」

 

「備えあれば患いなし、と言うことわざがニホンにあるらしいわ、全く持ってその通りね。」

 

「・・・ところで、リクビトと交流を持つ前のウミビトは、どういう服を着ていたの?」

 

「原点回帰というか・・相変わらず水竜のヒレや海藻よ、特に海藻は何枚も重ねておかないと使い物にならなったから直ぐに廃れたわ」

 

赤面しつつ俯きながら、未だにウミビトの一般的とされる服装を思い描きながら、説明するプリシラ。服を作る技術はあるが、まともな素材が手に入らない現状を彼女なりに憂慮していた。

そんな所、日本と交流を得た事で、一応の深刻な布不足が解決したのは喜ぶべきことだが、海中で布の代替品の模索はウミビト達にとって重要な課題となっている。

 

「ウミビトの原点というか、海に住み着く前は、ヘビビトだったらしいわね、何を思って海に適応したのかしら?」

 

「言い伝えでは、とても大きな地揺れがあって、住んでいる所が水没してしまったからだそうよ、あと、厳密にいえばヘビビトとウミビトと別れる前の種族らしいわね?」

 

「ふぅん?きっと今はもう、存在しない種族なんだろうけど、どんな人達だったのかしら?とても興味深いわね。」

 

「情報が古すぎて私たちも知らないの、でも、ニホンの学者さん達があっという間に解明しちゃうかも知れないわね、ニホンは知識を持った人がとても多いから。」

 

「そうね・・・っと、暑くなってきたから近くのお店で飲み物でも買わない?一休みしたらニシモト教授の所に行くわよー!」

 

「賛成、陸地でこの暑さはウミビトにはきついわ・・・。」

 

 

彼女が一休憩をした後、大学の研究室に戻ると、大陸奥地からの来訪者が訪れていたのは別の話・・・。

 


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