艦これ 10Ves出撃   作:二等市民

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ある日

 

 朝靄の立ち込める中、時雨はカメラを収めたカバンを肩に掛けて基地の外に出た。

 数百メートル歩き、田畑の真ん中を通る舗装道路を行く。やがて登り始めた朝日の光を朝靄が反射して、世界が金色に染まる。

 目当ての場所に着いたらしい時雨は道端にしゃがみ込み、カバンからカメラを取り出した。

 

 蓮根畑に浮かぶ蓮の葉。その上に置く白露に逆さまの世界が映る。

 霞の向こうに朧気に見える基地遠景が入るように、時雨は位置を変えながら何度もシャッターを切った。

 

 

 

 衣谷はゆっくり、ゆっくりと水底へ引きずり込まれて行く。もがこうにも水圧に押し潰され、何かに手足を絡め取られたかのように身動きが取れない。

「ぐぅ、ぐはッ⁉︎」

 唐突に視界がクリアになる。

 そこは水底などではなく、見慣れたリシュリュー艦内の部屋。簡易ベッドで寝ている衣谷に、寝巻き姿の五月雨がしがみついていた。

 隣のベッドが空になっており、その向こうでは涼風が寝息を立てている。衣谷の従兵として泊まり込んだ2人だが、五月雨はどうやら夜中に寝惚けたかして衣谷のベッドに潜り込んでしまったのだろう。

 

「最悪の夢見で、最高の目覚めだな」

 これで同衾相手が五月雨ではなく千歳みたいなグラマラスな美人だったならなお良しなのだが、などと最低なことを考えながら衣谷はベッドを抜け出し、静かに部屋を出る。

 

 そこは提督執務室でも衣谷の私室でもない。リシュリューは修理中なので電気や蒸気が通っていない部分があり、衣谷の私室も修繕中のため部屋を移している。

「あ、今日は休みか」

 洗濯物を干している空調室に向かいながら、衣谷は休日を与えられていることを思い出し、いつも通りの時間に起きたことを損したように感じてしまうのだった。

 

 干していた洗濯物を回収した衣谷は調理室へと向かい鍋でお湯を沸かす。レトルトカレーのパウチを温め、パスタを茹でていると起き出してきた五月雨と帰ってきた時雨が調理室へ顔を出す。

「提督、おはようございます」

「おはよう提督」

「ああ、おはよう。君らもパスタ食べるか?」

 鍋を指差す衣谷に、時雨と五月雨は顔を見合わせる。

「言ってくれれば僕たちで朝食を作るのに。……提督の料理ってどうなのかな」

「私は食べたことないです。レトルトみたいですし、大丈夫だと思いますけど」

「おいおい、茹でるだけ温めるだけで失敗するワケがないだろ」

 不安そうにする2人に、心外だという衣谷。

 

 一応、衣谷は料理ができる。それに今回はパスタにレトルトカレーをかけるだけという料理とは呼べないモノだ。

「不味かったらメーカーの責任だ」

「それはヒドイよ提督」

 鍋にパスタを投じ、新たにカレーのパウチを取り出しながら言った衣谷に、時雨はおざなりに諫言した。

 

 

 涼風も起きて着替えを済ませ合流し、皆で朝食を摂る。

 茹で上がったパスタにレトルトカレーをかけただけという適当な代物に野菜ジュースという朝食。

 なんとなくこの後の展開が予想できた時雨は、紙ナプキンを折って簡単な前掛にして五月雨と涼風に渡す。

 予想通りにカレールーが飛び散ったが、五月雨も涼風も白い制服にシミを作らずに済んだ。

 

 

 衣谷が適当な料理を食べ終え、時雨に淹れてもらったコーヒーを飲んでいるとノソノソと動きの鈍いアイオワが現れた。

「Good morning. Coffeeの良い匂いがするわね」

「おはようアイオワ。コーヒー飲むかい?」

「ええ。お願いするわ」

 寝起きでボイラーの蒸気圧が上がりきらないらしいアイオワに、衣谷がコーヒーを淹れてやろうとするのだが、それを涼風が止める。

「コーシーならあたいが淹れてあげるよ。提督もお代わりするだろ?」

「あー、お願いしようかな」

 

 衣谷はカフェインの摂り過ぎではないかと思う。

 

 ホットコーヒーに砂糖を大量投入して飲み、内部温度を上昇させたアイオワに衣谷が言う。

「ちょっと生活が乱れ過ぎじゃないか。昨夜も遅くまで起きていたんだろ」

「Un-huh、秋雲たちと、ザンボット3について語り合っていたらつい」

「……打ち解けているみたいで何よりだよ」

 アイオワはアメリカの艦娘なので孤立したりはしないかと衣谷は心配していたのだが、うまく馴染んでいるようだ。

 

 しかしそれも当然かもしれない。軍艦同士は所属する国家同士が敵対していたから矛を交えただけで、戦争が終わってしまえばいがみ合う理由の大半が消滅する。 ──何事にも例外はあるが。

 むしろ、艦娘では味方同士の方がしこりを残したり気を使ってギクシャクしてしまいがちだ。これは日本艦だからということもあるかもしれない。

 

「Meは秋雲から一方的に引き摺られているだけだったわ」

 打ち解けたといえば打ち解けてはいるが、アニメの話にはあまりついて行けなかったというアイオワ。

 世の中には色々な秋雲がいるが、第10船舶隊の秋雲は巨大ロボットと漢同士の暑苦しい友情が大好物なのだ。アイアンマンやキャプテン・アメリカが好きなアイオワとは好みが違う。

 

「まあ、趣味の話ができるのは良いじゃないか」

 涼風の淹れてくれたコーヒーを飲みながら衣谷が言う。無趣味よりよほど良いし、そういった話ができる相手が居るのは良いことだ、と。

 

「趣味で思い出したんだけど」

 黒砂糖を口に含みながらコーヒーを飲んでいた時雨が口を挟む。

「この前、提督が配っていたアンケートの回収が済んでいるらしいよ」

「ああ、アレか」

 艦娘の福利厚生改善のためのアンケート、というものを衣谷は実施している。その回答用紙の回収が完了したと大淀が時雨に伝えたのだ。

 

 福利厚生の充実のためといって基地の方の執務室を改装してBarのようにしているのだが、非番の日にそこに入り浸る艦娘も多い。

 生きるか死ぬかの鉄火場に身を置いている以上、刹那的に愉しむのも酒に逃避するのもある程度しかたない。

 だが、秘蔵の酒をくすねた隼鷹から『提督の身体を思いやってこの酒は処分してやるよ』などと言われたりすると、少々締めてやろうという思いと同時に、もっと健全な楽しみを見つけさせたいと衣谷は考えるのだ。

 

「時間がある今日のうちに目を通しておくか」

「提督は今日、仕事休みじゃねぇのかい」

 早速予定を入れた衣谷に、涼風が突っ込む。

「上役の人間が休み無しってーのァ、下の(もん)からしたらちょいとばかしやり辛いぜ?」

 上官が休まないと下っ端は休み難い。それは衣谷もよく分かっている。

 もっとも、衣谷は自らを兵隊と考えていて、艦娘の上よりは横に立ちたいと、もっというと(さき)に立ちたいと思っているのだが。

 

「涼風。俺が君達を気にかけるのは仕事だからってわけじゃない」

 衣谷と艦娘の関係は仕事上の付き合いというわけではない。

「言うなれば、個人的な厚意と受け取ってくれ」

「好意って、ってやんでぃ、照れるじゃねーか!」

 涼風が字面を間違えて受け止め、顔を赤くする。しかしこれは衣谷が厚意の使い方を間違えているので仕方ない。

「表現がStraightね、Admiral」

「ん? ああ」

 なぜか目を輝かせるアイオワに、何か間違えたかと思う衣谷。好感を持たれたようなので良しとしよう。

 

 

 

 

《娯楽(趣味を含む。)は、常に健全かつ適度のものでなければならない。また、これを利用する隊員は、自律の精神をもってそれのみに溺れないように心掛ける必要がある。娯楽を提供する目的は、隊員に適度の慰安と休養を与えて元気を回復するとともに、気力の充実増強とこれらの調節を図るにある。これは同時に次の活動への意欲の再生又は増進という創造的、建設的な役割を果たし、ひいては品性の陶治にも役立つものである。 ──服務一般より引用》

 

「というわけで、だ。休養日課だから非番だからと寝て過ごしたり居室でスマホいじったり、酒を浴びるように飲んだりはいかんのだ」

 執務室にて。アンケート用紙の束を受け取りながら言った衣谷に対し、大淀は恨み言を吐く。

「私はその休養がほとんどないんですけどね。誰かさんのせいで」

「艦隊司令部のせいだな。舞鶴はブラック鎮守府だな」

「イジワル言わないで業務をなんとかしてくださいよぉ」

 珍しく大淀に泣きが入った。

 

 大淀については、残念ながら艤装の一部しか顕現していないので第10船舶隊の戦力として組み込まれていない。

 半端に顕現した艤装を持つ艦娘というのは非常に稀で、大本営でも艦隊に正式配属させてよいか任務娘の業務を続けさせるべきか判断に迷っている。

 その結果、衣谷の指揮下に組み込まれながら出撃はできず、任務娘としての業務と部隊の業務が重複する──簡単に説明すると、24時間待機の無線監視と日勤の座学や教練が重なったりする──ハードな勤務体制になってしまっている。

 

「どうにかしてやりたいのは山々だがな」

 なんだかんだ言って大淀は衣谷にとって最初に言葉を交わした艦娘で、時雨と同じくらいの時間を共に過ごしている。ハードなスケジュールはなんとかしてやりたい。

 しかし、大淀が提督の監視や無線情報の収集をしているのは大本営からの密命で、公然の秘密というものだ。それを気遣って1人だけ部隊の業務から外しては、上級部隊から問い合わせが来るだろう。

『貴様の部隊は大淀だけ勤務時間が少ないが、どういった事由からか?』

『はっ。大本営からの秘密任務に従事する時間を差し引いて勤務に就かせております』

 次の日には、任務娘は同じ顔をした別個体にすげ替えられている。

 

「ふうむ、仕方ない。大淀、座学の教官はクビだ。しばらく俺の補佐に専念しろ」

「はい?」

「察しろ」

 補佐をさせていることにして、キツい時は休ませる。あまり褒められた行為ではないが、大淀が倒れるよりはマシだと衣谷は判断した。

 

 

「それで、そのやりとりを僕たちに見せつけて何がしたいのかな」

 時雨は、目の前で行われた衣谷と大淀のやり取りにイライラした様子で訊いた。

 執務室には時雨の他に五月雨と涼風が残っている。アイオワは、他の艦娘と早く打ち解けさせようと衣谷から金剛主催のティーパーティー参加を命じられてこの場にはいない。

 残っている面子に、衣谷は薄笑いを浮かべて言う。

「みんなで幸せになろうよ」

「うわぁ」

 ヒキ気味のうわぁ、だ。シチュエーションが違ったなら時雨も喜ぶのだろうが、サボタージュの共犯に引きずり込まれたのだから悲鳴もあげようというものだ。

 

 

 なにはともあれアンケートの集計である。

 

 主に余暇、休日の過ごし方に関するアンケートは無記名で、一応は誰の回答か分からないようになっているが──。

「これは足柄さんだね」

 時雨が鼻をすんすんと鳴らしながら言う。

「カレースパイスの香りと、カツの油の匂いがするよ」

 筆跡ではなくアンケート用紙に着いた匂いで誰の書いた物か判断するというのは、なかなか斬新な話だ。

「なるほど」

 衣谷も試しに匂いを嗅いでみると、紅茶の香りのする物と花の香りが漂う物があり、内容を見てみれば『余暇はティーセットのカタログを眺めたりしている』とか『料理の研究や後輩の指導』と記入してある。

 

「金剛と鳳翔さんか。イメージ通り良い匂いだ……ん?」

 衣谷は時雨達から剣呑な視線を向けられていることに気付く。

「提督、今のはなんていうか、変態臭いよ」

「へんッ⁉︎」

 時雨の言葉に地味にダメージを受ける衣谷。

 固まってしまった衣谷を他所にアンケートの集計は進められるのだった。

 

 

「やはり街に出る際の移動手段がネックだな」

 固まってしまっていた衣谷が気を取り直してアンケートの集計から見えてきた問題点を挙げる。

 艦娘が引き篭もりがちになるのは、どうやら基地近傍に見所が無いためだとわかった。

 

 近場の商店街はいわゆる田舎町の商店が並ぶ、ちょっとお店が密集している通り程度のモノで、店一軒一軒を見ても消耗品や日用雑貨を買うにはいいのだが、ブランドの直営店や全国チェーンの量販店に品揃えで劣る。

 街まで出れば量販店やブランド品店も多数あるが、直線距離でも片道10km以上ある。

 となるとバスかタクシーを使うことになるが、バスは空襲を警戒したりで運行しておらず、タクシーは料金が高くつく。

 

「提督がトラックで運ぶにしても、数が数ですからね」

「出撃で居ない日もありますし」

 大淀が現在の第10船舶隊所属艦娘数をトラックの輸送人数で割って苦笑いし、五月雨が続けて言う。

「北上さんたちがトラックを触っていましたけど、運転してもらえないんでしょうか」

「残念ながら免許が無い。公道の走行はさせられないよ」

 艦娘が車の運転をすることについては禁じられていないが認められてもいない。もし、艦娘が車を運転していて事故を起こしたら、車の管理者が責任を問われる。つまり衣谷が捕まる。

 

「自転車はどうなんだ?」

 涼風が意見を出すが、衣谷はすぐに却下する。

「自転車で山越えはキツイぞ。この辺りは急勾配だし」

 どうするか、と言って腕組みをする衣谷だが、移動手段についてはもう『こうなって欲しい』という考えは固まっていた。

 ただ、その話を進めると色々と面倒になるのが嫌なのだ。

 

「仕方ない、か。午後イチで市役所の交通課に行くから大淀は……やっぱり時雨、一緒に出るぞ」

「うん。私服で出ればいいかな?」

「ああ」

 市にバスの運行と基地前にバス停設置を求めることに決めた衣谷。

 大淀を同行させようとしたのだが、時雨がドス黒いオーラを発したので変更。2人連れて行けばいいと思わないでもないが、提督が艦娘を何人も連れて訪ねると無用な警戒感を抱かせる可能性が高い。

 

「提督と上陸。それも2人きりで、かぁ。ふふっ」

 嬉しそうにする時雨だが、五月雨と涼風がやや呆れを含んだ生温かい目で見ていることには気付かないのだった。

 

 

 

 

「では、バスの運行についてはこちらで検討いたします」

「お願いします」

 市役所で担当者と話をして、公営バスの再開について前向きに検討するという返事をもらった衣谷。

 自治体との交渉となると舞鶴鎮守府にも話を通さなければならないので、要望を伝える程度にとどめているが、市としても市民からもバスの運行再開を願う声があるらしいので話は早くまとまりそうだった。

 

「交通課じゃなくて交通局だったな」

 首尾よく話が運び上機嫌でトラックに乗り込んだ衣谷を先に乗っていた時雨が迎える。

「提督、お疲れ様」

「ああ。まあ、まだここから鎮守府の艦隊を巻き込んで、沿岸部の警戒シフト組まなきゃいけないんだけどな」

 万が一にもバスが攻撃されないように哨戒を厳にしなくてはならない。それには、第10船舶隊だけでは手に余る。

 あまり艦隊司令部には借りを作りたくないんだが、と衣谷は溜息をついた。

「なんか気疲れしたな。ちょっと寄り道していいか?」

「うん、いいよ。今日は休みだから」

 休みの日に連れ回しても文句1つ言わない時雨に感謝して、衣谷はハンドルを切った。

 

 

 ──市内にある親水公園。

 数組の親子が遊ぶ公園の片隅で、場違いな2人組が水辺の岩に腰掛けている。

 

「提督は上着をよく脱ぐね」

「私服着てるからな。陸自と空自は上着を脱ぐ文化だ。海自は違うが」

 上着を脱いでリラックスした衣谷が、自衛隊三幕での差異を経験談を交えて語る。

 

「頭中も、かしぃーらぁー・なかッ! と、かしらーぁッ・なかッ! だからな」

「ざす、みたいに意味が分からなくはならないんだね」

「空自は、ざすが万能だからな」

 

 話をしながら時雨は少し寂しくなった。

 話せば話すほどに、自分の知らない衣谷 仁が現れるのだ。

 衣谷は自分のことを深く知ってもらおうと話しているのだが、時雨はそうとは知らず勝手に沈み込んでいた。

(どうして僕は、もっと早くから提督と歩めなかったんだろう)

 時雨は、衣谷の人生で自分がいない時間が存在するということが許せない。

 

 時雨は考える。

 提督は艦娘に死ねと命令できる。衣谷は、死ねと命令するにしても『一緒に死んでくれ』と命令するだろう。そして、一緒にと言っておきながら先に死のうとするはずだ。

 駆逐艦の時雨は、提督を死なせたくない。しかし、時雨は衣谷に一緒に死んで欲しい。

 時雨は衣谷のいない世界に1秒だって耐えられない。そして、自分のいない世界で衣谷が生きていくことも耐えられない。

 

 駆逐艦、時雨という艦娘が多数存在するということもあり、自分が衣谷や他のみんなから忘れ去られて違う時雨が──。そこまで考えて時雨はようやく自分の心の内を理解した。

 

(そうか。僕は駆逐艦 時雨じゃなくて、僕なんだ)

 

 

【挿絵表示】

 

 

 水面に第10船舶隊の識別帽が落ちた。

「時雨、帽子が落ちたぞ」

「うん」

「取るか?」

「ううん。自分で拾うよ」

 時雨は靴と靴下を脱ぎ、近くに落ちていた枝を拾うと水面に顔を出していた岩に乗って帽子を引っ掛けて拾い上げる。

「濡れちゃったね」

「そのうち乾くだろう」

「足も濡れたよ。このまま靴を履くわけにはいかない」

 乾くまでこうしていようか、それとも運んでくれるかと問う時雨に、衣谷は脱いだ上着を枕にして横になって答える。

 

「30分ほど昼寝でもしよう。寝てるあいだに乾くだろう」

「うん」

 時雨は衣谷の腹を枕にした。重いと苦情を言わない衣谷はひどく優しい人物だ。

 しばらく頭の置き場所を調整して、時雨は言う。

「提督」

「うん?」

「僕は、時雨。これからよろしくね」

「ああ、よろしく……?」

 

 白露型駆逐艦という部分を抜いた挨拶にどのような意味があるのか、衣谷は知らずにいた。




一口メモ:「ざす」
 ざす、とは航空自衛隊の万能挨拶である。航空自衛隊は通信や対空監視、スクランブル要員などシフト勤が多く、上番者と下番者が判かりにくい。
 これから勤務上番しようとする人間に「お疲れ様でした」は失礼であり、下番して退勤する者に「お疲れ様です」も失礼である。全員の勤務を把握するのも大変である。
 そこで考え出されたのが『とりあえず【ざす】って言っとけ』である。

「おはようございます」→ぉあざぁす→ざす
「お疲れ様です」→つぁれっす→つぁぇっす→ざす
「お疲れ様でした」→つぁえっした→つぁぇぃった→つぁっ→ざす

 とりあえず「ざす」と言っておけばいいのだ。

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