未来から帰って来た死神   作:ファンタは友達

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エピローグ
最終話


雨露姉弟との戦いから100年の月日が流れた。銀華零と狐蝶寺は護廷十三隊隊長を浮葉と山吹の2人にを譲る形で退き、北流魂街13地区【旭日焼(あさひやけ)】で隠居生活を謳歌していた。唯一護廷十三隊に残っている雷山は業務の合間を縫って2人の様子を見るために【旭日焼】に訪れていた

 

 

「…これで100年前に立て続けに起きた大きな出来事の話は終わりなんだが、今更こんな話をしてどうするんだ?」

 

雷山たちは囲炉裏を取り囲んでお互い向かい合う形で思い出話に耽っていた

 

「どうもしませんよ。ただ、こうやって思い出話をするのも良いかと思いまして」

 

「南美ちゃんが攫われたのって言うのも懐かしい話だよね。確か私たち3人で助けに行ったんだっけ」

 

「ああ、今ではそれを首謀した奴が隊長をやっているものだからな。本当に何が起きるか分かったものじゃない」

 

「…浮葉さん、元気にやっているでしょうか。真面目なんですけど不器用なところがあるので少し心配なんですよね」

 

「浮葉くんなら大丈夫だと思うよ。私と違って器用だし十三隊内でも人気があったし、それよりも私は山吹ちゃんの方が心配だよ。ちょっと頑固すぎるところがあるからなー」

 

「…まあ、あの2人なら大丈夫だろ。しばらく気にかけていたが、白と春麗の背中を間近で見ていた分のみこみが早かったからな。さて…」

 

そう言うと雷山は立ち上がり簾の垂れる入口へと向かった

 

「…もう戻るのですか?」

 

「ああ、今日はこれから新しい隊長の就任式がある。五番隊隊長である俺が出席しないわけにはいかないだろ」

 

銀華零は雷山の言った”新しい隊長の就任式”と言う言葉に引っかかった

 

「…雷山さん。一つだけ聞きますが、隊長を辞めるつもり…なんですか?」

 

「え…?白ちゃんそれってどういう…」

 

「あくまで私の予想ですが、雷山さんは五番隊隊長の座を南美ちゃんに譲る形で護廷十三隊を去ることにしたのでしょう。そしてその就任式があるのが今日この後…こんなところでしょうか」

 

少しの沈黙の後雷山は口を開いた

 

「やはり白には隠し事は出来ないな。まさに白の予想その通りだ」

 

銀華零は「やはりですか…」と呟き、狐蝶寺は驚愕の表情を浮かべていた

 

「…もう良いのですか?」

 

「ああ、いつまでも護廷十三隊に過去の存在がのさばっても仕方がないだろう。これからの瀞霊廷はこれからの死神が護っていくべきだと思うんだ」

 

「はぁ…本当に雷山さんは相変わらずですね。私たちにそのことを黙っているなんて」

 

「別に隠していた訳ではない。余計な心配をお前たちにさせたくなかっただけだ。これからの事はまた今度話すから少し待っていてくれ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それから数時間の後、新隊長着任の義を執り行うために一番隊隊舎に護廷十三隊全隊長が集められた

 

 

「…全員揃ったようじゃの。此れより護廷十三隊新隊長着任の義を執り行う!新隊長は中へ!」

 

元柳斎の言葉と共に隊首会議場の扉が開かれ、背中に”五”の文字が刻まれた隊長羽織を着た椿咲が立っていた

 

「五番隊隊長・椿咲南美!」

 

「は、はい!」

 

椿咲は緊張からぎこちない動きで隊首会議場内へと歩みを進めた

 

「そして新五番隊隊長・椿咲南美の就任を以て現五番隊隊長・雷山悟を護廷十三隊から除籍とすることとする!」

 

「…椿咲副隊長が五番隊隊長に昇進すると聞いた時に予想はしていたが、本当に護廷十三隊を去るとは…」

 

十一番隊隊長・大澄夜剣八が呟いた

 

「”過去の護廷十三隊”がいつまでも”現在の護廷十三隊”にのさばっていてどうする。遅かれ早かれ時代は変わるものだ。これからの尸魂界はこれからの死神が護っていくものだ。偉そうなことを言える立場ではないが、あとは任せるからな」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その後新隊長着任の義は何事もなく執り行われ終わりを迎えた。雷山は椿咲を連れて共に五番隊隊舎に向かい歩いて居た

 

 

「隊長としての仕事は教えた通りだ。あとは緊急の場合に臨機応変に対応できるかに尽きる」

 

「……」

 

「この一年俺はお前を隊長代理に任命して、いろいろさせて来た訳だが、センスは悪くない、むしろいい方だ。あとは経験を如何にして積めるかだな」

 

「……」

 

「…さっきからずっと黙っているが、ちゃんと聞いているのか?」

 

雷山は椿咲の顔を見たときに初めて椿咲が泣くのを必死に堪えているのに気が付いた

 

「…晴れて五番隊隊長に昇進すると言うのになんて顔してるんだ」

 

「雷山隊長…」

 

「なんだ?」

 

椿咲は駆け出し雷山と向かい会うで立ち止まった

 

「雷山隊長、私は必ず雷山隊長を超える隊長になって見せます!なので、安心して春麗さんたちと過ごしてください」

 

椿咲の言葉を受けた雷山は初めはきょとんとした顔をしていたが、すぐに嬉しそうに笑みを浮かべた

 

「ああ、お前の活躍を聞くのを楽しみにしているぞ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

~ 未来から帰ってきた死神 FIN ~

 

 




『未来から帰ってきた死神』は今回の”最終話”を以て終わりとなります。
拙い文章でしたが、今まで読んでいただきありがとうございました!

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