IS/勇者王ガオガイガー─白き翼の戦士と勇気ある者―   作:オウガ・Ω

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六年前、バイオネット極秘研究所破壊から数時間後。
宇宙開発公団地下最新部

―Xルーム―


「…………………………………GSジェネレータ正常稼働確認、免疫抑制及び感情制御システム異常なし…束くん、峠は越したようじゃ…束くんも治療を」


「博士、リッ君はずっとこのままなの。目を覚ますよね」


「……五分五分といったところじゃ…じゃが目を覚ましたとして排熱が上手くできん、それに《受け入れられる》かどうかじゃ」


「レイジ博士、私、私が目を覚ましたリッ君に教えます…私、私のせい…で…リッ君は…」


「束くん、自分をそう責めるでない。むしろワシが責められるべきなんじゃ…」

「レイジ先生…」


「さあ、早く火傷の治療をせんとの。燐が目を覚まして君の手を見たらすごく心配するかもしれんからの」

「は、はい…またねリッ君…」


レイジの言葉にうなずきXルームから出る束の手は痛々しいほどまでに赤くなり皮が焼け爛れていた


だがそれ以上に束の心は深く傷ついていた





第六話 デート♪

IS学園より少し離れた湾岸部、巨大な浮遊島《ギガフロート》に建設されたアイランドシティ。その中央に高くそびえる高層建築、《宇宙開発公団本部ビル》

 

そこでは来るべき外宇宙へ進出へ向けての新たな技術開発及び新型シャトル、軌道衛星拠点建設に必要な新素材開発部門があるこの施設の地下2・5キロ下に建造された海中施設ヘキサゴン、その最重要区画エリアXでは燐の定期検診が行われていた

 

 

「……………ふむ、GSジェネレータ正常稼働68%…各値異常なし。OKじゃ燐」

 

 

「ふ~やっと終わったあ」

 

 

体につけられたパッチを外し《マニージマシン》から立ち上がる燐。ガオファー、ガオファイガーで戦うようなってから祖父であるレイジの手で月に一、二回の定期検診を受けていたのだ

 

「あとガオファーもオーバーホールするから渡してくれるかの」

 

 

「わかった、んじゃオレ食堂…」

 

 

「リ~~~~~~~~~~~~~~~~~~ッく~~~~~~ん♪♪」

 

 

「うわあ!?」

 

 

声と同時に前から思いっきりタックルされ倒れそうになるがこらえる。見るとIS開発者にして現在絶賛行方不明中の篠ノ之束がまるでウサギみたいに跳ねながらヒシッと抱きついてきた

 

「うんうん、久しぶりのリッ君の匂いだああああ♪お日様みたい♪♪」

 

 

「ち、ちょ?束さん?離れて(あ、あたってる?背中に柔らかいメロン?があたってるうう)」

 

 

柔らかな二つの膨らみを感じながら離れようとするもガッシリと抱きつかれ中々はなすことができない

 

「ああ~ゴホン。束君、あんまりイチャイチャされると」

 

 

「アリス(束の偽名)さんって年下趣味だったんだ」

 

 

 

「年下のかれを、自分好みに調教…ハア、ハア、ハア」

 

「しかも逆玉じゃないかしら…」

 

 

「がんばれ、アリスさ~ん」

 

女子職員の好奇の視線に気づき慌てる燐だが束はさらにギュウウウッ!と抱き締めてくる

 

「じ、じいちゃん、助けて~!!」

 

「仕方ないのう…束くん、少しよいかのゴニョゴニョゴニョ……」

 

 

苦笑いしながら軽く束に耳打ちした瞬間、ピンっとメカウサ耳が勢いよく立ちパッと離れた

 

 

「燐、ガオファーの調整に今日の夜までかかるから、久しぶりに街に出たらどうかの?」

 

 

「え、でも…セルン中央研究所迄の輸送ルートの打ち合わせは」

 

 

「それに関しては大河君と火麻君とやるから安心せい…そうじゃ束君も今日は午後から休みじゃったの」

 

 

「う、うん///」

 

 

「じゃあ二人にコレをあげよう」

 

と白衣の胸ポケットから取り出したのは最近リニューアルオープンした《ボトム・ザ・ワールド》のパス

「ま、息抜きがてら遊んでくるといい…ああ、いい忘れとったが今日までじゃからの…じゃ、ワシはこれで失礼するぞい」

 

 

「ち、ちょ…ああ、いっちゃった…しかもマジで今日までだし…」

 

 

「リッ君!」

 

「な、何?」

 

 

「い、今から一時間後にロビーで、ま、待ってて!」

 

「え?ちょ………行っちゃった………まあいいかな」

 

バタンって音と共に、すんごい早さで駆けてく束さんを見ながらオレは自分の部屋へと歩いていった…

 

 

―――――――――

――――――――

 

 

「早く来すぎたかな…」

 

 

私服に着替えロビーに来たんだけど束さんの姿がない…でも、久しぶりかな。こうゆっくりするのは

 

「リ~~~~ッ君♪おまたせ♪♪」

 

 

「た、束さ………ん」

 

 

声が聞こえ振り返る。水色のフリルが目立つワンピースに少し大きめな帽子に髪をツインテールした束さんが立ってる…な、なんかすごく

 

 

「……か、かわいい」

 

 

「!そ、そう!?じ、じゃ行こっか!レッッゴオオオ♪♪」

 

 

「ち、ちょ!ひっぱらな…」

 

そのまま束さんに引きずられながら公団のリニアに乗りしばらくして……ボトム・ザ・ワールドの入り口に到着した

 

 

「着いたよリッ君!じゃあ早速、あれに乗ろう♪♪」

「え?あ、アレに乗るの!?」

 

 

パスを提示して少し歩き指差したのはボトム・ザ・ワールド名物《ビッグチカチャンコースター》

 

 

「ほ、ホントに乗るの?」

 

「うん♪さっそくいってみよ~」

 

あっという間に最全席に座りロックされる、ガタンガタンと緩やかに上昇していくビッグチカチャン、やがて最頂部で止まり一気に降下した

 

 

「ぎ、ぎゃあああああああああ!?」

 

「ハハハハハ~楽し~い!」

 

すんごい速さでビッグチカチャンがレールを滑る中、叫び声がこだました

 

 

――――――――――

――――――――

 

 

「博士、燐の定期検診の結果は」

 

「GSジェネレーターは問題ない…じゃが」

 

 

空間投影スクリーンが形成され映し出されたのは燐の検査結果、そしてガオファーのメンテナンス状況。それを見て顔を曇らせる

 

「これはF・Fのダメージか?」

 

ライナーガオーⅡの内部断面図、細部に異常を示す数値が多数示されていた

 

「長官、コレはヘル・アンド・ヘブンのダメージじゃ…いくら絶対防御に守られてるとはいえ、いつか…」

 

 

「深刻な事態になるか…博士、セカンドシフト移行にはあとどれくらい要する?」

 

 

「…二ヶ月以内じゃ…」

 

 

言葉をつまらせるレイジ、ガオファイガーで戦うようになり数十回。その間に束と共に負担がかからないよう改良してはいた

 

だが予想を上回るダメージにレイジは頭を抱えていた

 

 

「…今回、学園にも現れたバイオネットISは高圧縮エネルギーを内包してたそうだ。博士、《アレ》の完成は」

 

「すでに完成しておる、しかし、テストをおこなっておらんからの。まだ実戦では使えんワイ」

 

 

「今後、学園にバイオネットISが現れる可能性が高い…一刻も早く実働テストを急いでくれ」

 

 

「そのつもりじゃ…」

 

 

二人はオレンジ色の巨大なマイナスドライバーのシュミレートデータ、構造概念図へ無言で目を向けた

 

 

―――――――――

――――――――

 

 

「すっごく楽しかったね~」

 

 

「う、うん…」

 

「次はあれに乗ろっか♪」

 

ビッグチカチャンコースターを降りるも次のアトラクションへ向かう…

 

「な、何でまた絶叫マシンなの!?」

 

「いいじゃん、いいじゃん♪」

 

 

にっこり笑顔を浮かべ有無を言わさずシートに座らされた直後、高さ150メートルまで上昇し体に浮遊感を感じた瞬間

 

「うっわあああああああああ!?」

 

 

「きゃははははははは♪♪たっのし~~♪」

 

 

「ヘルプミイイイイイ!?」

 

本日、二度目の燐の悲鳴と束の声がボトム・ザ・ワールドに響き渡った

 

 

「だ、だいじょうぶリッ君…」

 

 

「う、うん…平気だから……あ、少し動かないで……」

 

「え?」

 

あれから絶叫マシン巡りを終えベンチでぐったりしながらアイスハウスで買ったアイスを食べる燐は手を止めハンカチをとりだし頬についたアイスをふく

 

「よし、取れた…あれどうしたの束さん?」

 

 

「…ごめんね、ごめんリッ君…わたし、リッくんのこと全然考えてなくて…ごめ……え?」

 

「オレなら大丈夫だから…じゃ今度はあれに乗らない?」

 

 

ベンチに座りながら束の頭を優しく撫でながら指差したのは《ビッグチカチャン観覧車》だった

 

 

「え、ええ~い、いいの///」

 

 

 

「うん。ほら、行こう束さん」

 

 

アイスを食べ終えるとベンチを立ち、手を握るとそのままパスをカウンターに提示し観覧席に座る、ちょうど互いに向き合う形で

 

「/////////」

 

 

心なしか束の顔が赤い。目が合うとバッと顔をそらすを繰り返した。それ以上に燐も顔が熱くなるのを感じていた

 

 

「そ、そういえば、二人っきりでいるの久しぶりだね」

 

「う、うん…リ、リッ君。少し聞いていいかな」

 

 

「な、ナニ?」

 

 

「リッ君、リッ君は将来はやっぱり宇宙飛行士になるのかな?」

 

 

「うん、オレの夢だから…どうしたの束さ…んんんっ!?」

 

顔に柔らかな髪と胸元に温もり。見ると束が身を任せるように抱きついている

 

「…ねぇリッ君、リッ君の夢に、わ、わ、わ、私はいるかな?」

 

 

「…え?…」

 

「…い、いいの!い、今のは聞かなかったことで!……そ、そうだリッ君にこれあげる!!」

 

パッと身体から離れ小さな箱を取りだし手渡した

 

「開けていいかな」

 

 

「いいよ」

 

包装を剥がし蓋を開けると金色のニンジンロケット型のペンダント…取りだし手に乗せるとパチンと音と同時に蓋が開き満面の笑顔を浮かべる束の写真が入ってた

 

「コレって」

 

 

「…わ、わ、わ、わたしだと思って大事にし…大事にして」

 

 

言葉の最後あたりが小さくなる束、頭から湯気が立ち上ってるのが見える

 

「な、なんか恥ずかしいけど…ありがと束さん…」

 

 

「う、うん!あ、あれれ?」

 

 

急にふらつき始める束、咄嗟に燐はその身体を優しく受け止めるもピクリとも動かないかわりに穏やかな寝息が耳に聞こえてくる

 

「…まさかと思うけど、寝てなかったんだ束さん…まあいっかな」

 

束を抱き抱え隣に座らせる寝かせしばらくして観覧車が降り場へ着いた…だが

 

「束さん?た・ば・ね・さ~ん…………駄目だ起きないや…」

 

 

肩を揺らすも一向に目を覚まさない。昔から束は一度眠ると中々起きないことを思いだした燐は束を抱き抱え観覧車から降りる…いわゆる《お姫様だっこ》でだ

 

(うう~このままリニアには乗れないし…仕方ない歩いて帰るか)

 

 

そう決めると燐は地上ゲート…開発公団海岸線ルートに出るとオレンジ色の夕暮れに染まる空の下、砂浜を歩いていく

穏やかな潮風が流れ束の髪を揺らすと顔が見え穏やかな寝顔を浮かべる束。思わずドキドキしながらもまっすぐ開発公団へ向け歩きだした

 

 

……………しかし

 

(り、リッ君にお姫様、お姫様だっこされてる!?も、もう少し寝たふりし~とこ♪)

 

 

開発公団に向かう途中から起きていたことに燐は気づかず、数十分後に開発公団へ辿り着いた燐と束の姿をを見た職員達は終始暖かな視線を送り、その様子を見たレイジはコッソリと隠し取りしてたのは言うまでもなかった

 

 

第六話 デート♪

 

 

 




君達に最新情報を公開しよう。


先の事件で回収したISコアをスイスにあるセルン中央研究所へ向かう燐


途中、立ち寄ったフランスで一人の少年?と出会う…だがバイオネットのISが襲来する


街中で思うように戦えない燐、ガオファイガーはパリの街を守りきることができるのか?

IS《インフィニット・ストラトス》―白き翼の戦士と勇気ある者―


第七話 守りの左手


次回もファイナルフュージョン承認!



―ディバイディング・ドライバー―


Catch the Winning Key!
―これが勝利の鍵だ!―



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