IS/勇者王ガオガイガー─白き翼の戦士と勇気ある者―   作:オウガ・Ω

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六年前

バイオネット極秘研究所破壊から半年後


「ID5を解散ですか!!」


「な、なんだよそれ!俺たちは…」

「落ち着くんだ激坊主、今回は命令なしでバイオネットの極秘研究所を破壊したからね…まあ表向きは解散。でも日本政府の秘密組織に組み込まれるがね。幸太郎坊や、激坊主、千冬嬢ちゃんと束嬢ちゃんを頼んだよ」


「は、はい」


「しゃあねぇな」


「幸太郎、束嬢ちゃんは今どこに?」


「今、Xルームで《G》の封印作業中です」


「…束嬢ちゃんがGクリスタルを用いて産み出した《最強の破壊神》…既存のISを超えたISだね…」


スクリーンには赤い髪を靡かせ禍々しい黒い体躯、刺々しいヘッドギアに胸には金色の獅子を付けたISの姿。その姿に思わず息を飲んだ


―――――――――
――――――――


「束くん、準備はできたぞい!」


「はい、Gクリスタルへアクセス開始…マニュピレートアーム定位置…ファイナルシーリングモード完了」

「よし、封印作業完了じゃ…君たちも協力ありがとうの」

「いえ、色々勉強になります…でもすいません」


「なるほどコレがGクリスタルか~うんうん、普通のエネルギーとは未知の波動も感じるね」


様々な検査機械と空間投影スクリーンを展開、様々な角度から解析をはじめる金髪にメカウサ耳をつけた少女を見てため息をつくポニーテールの少女…今回の封印作業に個人的(今回のコラボのため)に頼み込んみ、各種作業はスムーズに進んだ


「でも、この波動はわからないね。まるで心臓の鼓動にも似てるし」


「さすがに束君(テッカマン)でもわからんか…せめて《Gファイル》のプロテクトが解除できればいいんじゃが」


「じゃ、私に貸して…ふむふむ、多重攻勢防壁か……これぐらいなら簡単簡単♪…アレレ今度はバイオマトリクス認証…ならゲノムパターン解析を……よし突破……あ、アレレ」


軽快に動いていた指が止まるのを見てスクリーンを覗く、画面にはただ一節が書かれていた


―命あるものが最初に発するものは?―


「…なんじゃこれは?」


「なんなんだろ~命あるものが最初に発するものは?…………………う~わからないや箒ちゃん(テッカマン)はわかる?」


「わ、私に聞かれても…」

三人同時に考え込むも何も答えが浮かばない…


「あ、あの、先生…私リッ君の」


「ん、ああ、かまわんよ。」


軽く頭を下げXルームから出た束が向かったのは隣接するメディカルルーム、カードキーを差し込むと自動で扉が開いた


「…こんにちはリッ君」


様々な検査機器から流れる電子音が響く室内に置かれた円形のベッドに眠る燐にそっと歩み寄ると椅子に腰掛け左手を握った


「今日はね、別世界の人が来たんだ。私と同じぐらいに頭がよくてね」


助け出され直ぐにレイジと束によって緊急手術を受け半年が過ぎるも、燐の意識は一向に回復しなかった

それでも言葉は届くはずと信じ、毎日のように時間が許す限り此処へ訪れていた


「…でね今日はアルバムを持ってきたんだ…あ、みれないよね、ごめんねリッ君、ごめんなさい…うぅ」


束の瞳からポタポタと燐の手に涙が数滴落ちる。ほんの僅だGストーンが淡く輝いた


――――――――――
――――――――


ここはどこ?からだが重くて力がでない


暗い空間を漂いながら少年は思った…暗くて光もない


体に力がこもらないと感じた時、暖かな緑の光に包まれた

暖かい、でもドコかでこの暖かさを知ってる


―…ん…………りん……―


だれ?


呼び掛けるも返事がない…ただその声は温かく優しさに満ちていた


第七話 守りの左手

五月後半。雲ひとつない空、黒を基調としたステルス戦闘機を背負うようにグレー地に青緑色の装甲、緑色の宝石を輝かせるIS《ガオファー》が超音速で空を翔る

 

『燐、もうそろそろしたらフランス領空に入る。そろそろ降下準備に入るんじゃ』

 

 

「了解」

 

 

『ところで燐、ステルスガオーⅢのウルテクスラスターの具合はどうかの?』

 

 

「異常なしかな。じゃあセルン中央研究所についたら連絡するから…ところで束さんは?」

 

 

『束君ならさっき仮眠を取りに部屋に戻ったぞ…最近徹夜続きだったからの。燐、くれぐれもバイオネットには気を付けるんじゃぞ』

 

 

「わかった」

 

 

通信をきると目の前にはパリの街並みが見える。燐はゆっくりと空を旋回しつつ《ファントム・イリュージョン》を展開、ハイパーセンサーで人気のない事を確認し、空き地へ音もなく降り立つとガオファーを解除した

 

 

「此所からは陸路か…んじゃいくか」

 

 

軽く背伸びし燐は巨大なトランクを量子変換しガオーブレスに納め歩き出した

 

 

第七話 守りの左手

 

 

数時間前、???内ミラーカタパルト

 

 

「燐、ISコアをセルン中央研究所まで頼んだぞ」

 

 

「何かあったらすぐに連絡寄越せよ燐」

 

「燐君、必ず無事に戻ってくるんだ」

 

 

「火麻さん、大河さん、じいちゃん、じゃあ行ってきます…ファントムガオー!ガオッ・ファー!!」

 

 

 

光と共にIS《ガオファー》が纏われ同時にステルスガオーⅢが現れ背中にドッキング、燐はカタパルトデッキに立つとクラウチングスタートの構えをとる

 

 

―ミラーコーティング始めるよリッ君♪―

 

 

束の声がカタパルトデッキに響くと銀色の粒子がガオファーの回りを漂い蒸着、やがて銀色に染まる

 

―ミラーコーティング完了だよ♪…え、えとねリッ君…お土産はいいからね…う、浮気したらダメだからね!!―

 

「浮気って!?そんなことしないし。それに俺女の子にモテな………」

 

 

―……………………………………ガオファー、ステルスガオーⅢ装備モード。イミッション!!―

 

 

「い、やあああああああ!?」

 

 

少し怒気が混じった声を聞いたのを最後にミラーカタパルトから勢いよく射出され大空をまるで弾丸の様に駆け抜けた

 

浮気って…俺モテないんだけどな

 

 

んで今に至るんだけど、フランスの中央にあるセルン中央研究所直通リニアの発着ターミナルへ向かい足早に歩く。じいちゃん達からはゆっくりして良いと言われてるんだけどバイオネットが何時またIS学園を狙うかわからない

し……

 

 

「きゃっ!?」

 

「うわ?」

 

胸に鈍い衝撃…踏みとどまるけどぶっかった相手が倒れそうになる。あわてて手を掴んだ…ふう、ギリギリセーフだ

 

「だ、大丈夫か?…あ」

 

「…………………………」

 

金髪を首の後ろで束ねた中性的な子がジッと自身の手と俺の手を見て…いやその視線はインタークーラーコートの袖がめくれ上がり淡い緑光を発する《Gストーン》に注がれてる…あわてて隠した

 

 

「あ、あのさ…今見たの黙って…あ、日本語わかんないよな…」

 

 

「…あ、あの。僕、日本語わかります」

 

 

 

 

少しおどおどしながら口を開き出た日本語にホッと胸を撫で下ろした…でも日本語うまいな

 

 

「…日本語うまいな君、あ、俺は獅童燐って言うんだ」

 

「シドー…リン?なんかすごく不思議な響きだね。じゃあ僕も…シャルル・デュノアです」

 

 

「シャルルか、さっきぶつかってごめんな。痛いとこ無いか?」

 

 

「え、僕なら大丈夫だよ…でもシドー君は?」

 

 

「大丈夫、こう見えて毎日鍛えてるから平気だ」

 

「へぇ~なんか羨ましいな…でもシドーはなんでフランスにいるの?」

 

「え。観光かな(本当はセルン中央研究所までいくんだけど)」

 

 

「なら僕が街を案内してあげるよシドー」

 

 

「え?シャルル!?俺あんまり時間が…」

 

 

「いいから、いいから」

 

ぐいっと左手をつかまれ俺はシャルルに強引に引きずられながらパリ市街を歩きだした

 

街中を歩く度に左腕のGストーンが暖かくなるのを感じながら

 

 

――――――――――

――――――――

 

 

メインオーダールーム

 

 

「はっ!リッ君に悪い虫がついた気がする!!」

 

ガシャンッとメカウサ耳がピンと立たせる束…その目から光が消えてるのを見た大河、火麻、獅童は冷や汗を流していた

 

 

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―――――――――

「いろんな場所に案内してくれてサンキューなシャルル」

 

 

「いいんだよシドー君。でもさ…そんなに食べれるの?」

 

 

「ああ、シャルルは食べないのか?たくさん食べないと大きくなれないぞ、男の子なんだしさ?」

 

「ぼ、僕は良いよ(…あんまり大きくなると肩こりがひどくなるから)」

 

 

なんか妙に落ち込んでるシャルル…街中をいろいろ案内して貰い少しだけ互いのこと話したりしたんだけどシャルルが男だって聞いた時マジ驚いた。でも男にしちゃ体が細いし、それに女の子っぽい仕草が見えるけど気のせいだな

 

んで今、俺とシャルルはオープンカフェのテーブルに座り軽めな食事をとってた…ん、このコーヒー上手いな

 

「あ、あのさ、シドー君…シドー君の左腕の石ってなんなの?」

 

 

「…………」

 

 

石…多分Gストーンの事だろう…でもなんで聞くんだ?って考えた時、シャルルが胸元から取り出したモノを見て思わずコーヒーカップを落としかけた

 

金の鎖に繋がれた台座に填められた石…緑よりも深く淡い光を湛え《G》とも読める幾何学模様が輝く石…Gストーンを何故シャルルが持ってるんだ?

 

 

 

「…シドー君の石と同じだよ…」

 

 

シャルルが言いかけたその時、爆発音が響き空気が震えると同時に悲鳴が上がる。シャルルを庇うように目を向けた先には赤い蒸気機関車を模した全長6メートル前後のISが辺りに火炎彈を撒き散らし建物を破壊する姿

「シャルル、早くここから逃げるんだ!」

 

 

「え、シドー君はどうするの?」

 

 

「…いいから早く逃げるんだ!」

 

 

それだけ言うとシャルルをその場に残し走り出すと、左腕を大きく掲げ叫んだ

 

「ファントム・ガオー!ガオッファー!ウオオオオオ!!」

 

 

量子変換されたファントムガオ―がバラバラになり燐の体に装着、ISガオファーが姿を見せ赤い蒸気機関車を模したISにファントムクローを展開と共に殴る…だが絶対防御とは違う不可視の障壁が展開し防いだ

 

 

「な、なに!」

 

 

《!\%?*?%!@\\\!!》

 

 

言葉にも著せないような雄叫びをあげ両腕、円形状の筒を向けると中央が乾いた音と共に開き、無数の火炎彈を撃ってくる。なんとか回避するも背後にある建物に当たり爆発、ガラガラと倒壊していく

 

 

「不味い、このまま戦ったら街にいる人達が…ステルスガオー!」

 

 

叫ぶと同時に音もなく飛翔するステルスガオーⅢはそのまま蒸気機関車ISに体当たり、たまらず体勢が崩れた地響きをあげ倒れた

 

―――――――――

――――――――

 

 

「た、大河さん!リッ君からファイナルフュージョン要請シグナルが来てるよ!!」

「な、なに!博士!?」

 

 

「慌てるでない、今にスクリーンに……な、こ、これは!?」

 

 

空間投影スクリーンには赤い蒸気機関車を模したISと戦うガオファーの姿に言葉を失うも、大河は迷わず拳を突きだし叫ぶ

 

 

「束君、ファイナル・フュージョン承認!!」

 

 

「了解!ファイナルフュージョン…プログラムウゥッドラアアアアイブッ!!」

素早くコマンド入力と共に大きく振り上げた束の拳がクリアパネルごと赤いボタンを叩く。正面に各コマンドがコンプリート、明滅しながら赤い文字が大きく現れた

 

 

 

―GAOFIGHGAR―

 

 

――――――――――

―――――――――

 

 

「よし、ファイナルフュージョ……ぐああああ!!」

承認シグナルを受けファイナルフュージョンしょうとした燐の背中が爆発…いや何かに撃たれプログラムリングが消失する

 

 

『国籍不明のISに次ぐ、直ちに戦闘行為を止め投降せよ!』

 

 

燐、ガオファーと蒸気機関車ISの回りにフランス軍に所属しているであろう《ラファール・リヴァイブ》数機が囲むようにガトリング砲、アサルトライフルを向け展開している

 

(しまった、ここは日本じゃないんだった…迂闊に戦えば国際問題に…でも)

燐、ガオファーの周囲にはラファールリヴァイブ、後方には蒸気機関車ISがうかがうように見ている

 

 

(く、どうすればいい…どうすれば!?)

 

 

―――――――――

――――――――

 

 

「長官!このままだと燐の奴がアブねぇぞ!!」

 

 

「じゃが下手に動けば国際問題になる…ワシらは日本政府の秘密防衛組織じゃからの…海外においての防衛行動は不可能じゃ」

 

 

「し、じゃあリッ君は…レイジ博士!わたしが」

 

「ダメじゃ!今、君が出ればヤツラの思うツボじゃ…」

 

束は現在行方不明になってることにされてるが実際は日本政府直属秘密防衛組織のメンバー《アリス》として居る。もし彼女が表に出れば更なる混乱を招く事を思い出した一同が諦めかけたその時、スクリーンが切り替わり壮年の老女が姿を見せ大河が思わず立ち上がった

 

「ロ、ロゼ議長!?」

 

 

『大変なことになってるみたいだねぇ、幸太郎坊や、激坊主、レイジ、束嬢ちゃん…地球防衛会議が宣言します。本日、現時刻をもち地球規模特殊犯罪軍需組織バイオネットによる国境を越えた驚異から防衛を目的とする地球勇者防衛隊《Gutsy・Galaxy・Guard》GGG(スリジー)設立をここに宣言します!《旧ID5》メンバー各員は速やかにGGGへ着任し、現在フランスでのバイオネットの破壊行動から防衛行動を許可します!!』

 

 

 

 

「よっしゃあ!長官!!」

 

「うむ。束君、ファイナル・フュージョン!テイク2承認!!」

 

 

「ファイナル・フュージョンテイク2…プログラムウゥッドラアアアアイブッ!!」

 

再び拳が降り下ろされ砕けたパネルを叩いた

 

 

――――――――――

―――――――――

 

 

「…よし、ファイナル!フュージョオォォン!!」

 

 

叫ぶと同時に胸部リングジェネレーターからEMTを発生させるとプログラムリングを展開する

 

量子変換されたパッケージマシン《ガオーマシン》三機がガオファーの回りを旋回しながらプログラムリング上を走りやがて合体が始まる

 

まずはドリルガオーⅡが脚へ進入し固定、続けてライナーガオーⅡが胴体へ進入、しかし肩に触れる寸前で量子化と同時に肩を構成、最後にステルスガオーⅢが背中へと接続。二基のエンジンブロックが火花と共に上昇し量子変換され腕にロック、シャッターが開き勢いよく拳が飛び出す

 

最後に脇腹と胸に肩部装甲が競り上がり移動固定し最後にヘッドギアが装着しマスクが閉じGストーンが競り上がりGGGとも読める刻印がみえ瞳に赤い光が走る

 

「ガァアオッ!」

 

左腕にGとも読める刻印が輝き

 

「ファアイッ!」

 

両腕を大きく広げその手から緑の稲妻が迸り

「ガアアアァッ!!」

 

再び大きく交差し両腕を腰辺りに構えると同時にステルスガオーⅢの左右の翼が一部スライド展開、緑に輝きウルテク・エンジンが展開した

 

 

バイオネットの驚異から人類を守るため産み出されたファイティング・インフィニット・ストラトス

 

その名も勇者王

 

ガオ・ファイ・ガー

 

 

『す、姿が変わった?隊長!?』

 

『…各隊員に次ぐ、これよりあの黒いISへの攻撃を停止、黒…いや地球勇者防衛隊GGG所属ISガオファイガーの援護をする!各機展開!!』

 

 

隊長機の指示にしたがい左右に散開、アサルトライフルで赤い蒸気機関車ISへ攻撃する…だが絶対防御と謎の障壁で弾かれ唖然となる一機のラファール・リヴァイブ目掛け火炎弾を放つも黒い影がよぎり左腕をかざし叫んだ

 

「プロテクト・ウォール!!」

 

着弾と同時に爆発し、すさまじい衝撃がガオファイガーの体に伝わる…だが爆発せず弾かれた火炎弾が街中へ落ち爆発する

 

 

「な、何!」

 

プロテクト・ウォールを解除しそのまま火炎弾を体に受けるガオファイガー…プロテクトウォールを使えばさっきと同じことになる、あのISの狙いは自分のはず、ならば体で防ぐしかないと考えた結果だった

 

「ぐ、ぐううう」

 

「あ、あなた何で?」

 

「…この街にはたくさんの人がすんでるだろ……ヤツの火炎弾をプロテクトウォールで防いだらさっきみたいになって家と大事な人たちを失うことになる…ヌウオオオ!!」

 

相手の攻撃に耐えながら話す燐の声に苦しみが混じるのを感じた隊員は何もできないと事に歯噛みするしかなかった

 

 

―――――――――

―――――――――

 

 

 

「ガオファイガー、表面装甲ダメージレベル及びシールドエネルギー残量50%…これ以上攻撃を受けたら!」

 

 

座席から長官席に座る大河に束が訴える

 

 

「このままでは燐が、長官!」

 

 

悲鳴にも似たレイジの叫びを聞き閉じていた目をかっと見開き叫んだ!

 

「ディバイディング・ドライバー射出!!」

 

「「「な、何/いい/ですって!」」」

 

「ま、まだ動作テストもしてないんだ!」

 

「も、もし失敗したら……」

 

 

「このままではパリの街もガオファイガー、そこに住む人々の明日が失われてしまう!今使わないでどうするんだ!!」

 

 

長官の言葉に黙り混む一同…

 

「全責任は私がとる…皆の明日を守るために!」

 

 

「わかった。束君、ディバイディングドライバー射出用意!」

 

 

「は、はい、ディバイディングドライバー。ミラーカタパルトにスタンバイ…」

 

海中からミラーカタパルトデッキが浮上。内部でミラーコーティングがされオレンジ色のドライバーが白銀に輝く

 

「ディバイディングドライバー射出!」

 

 

瞬間的に電磁的反発力が産み出され勢いよく射出され大空を駆け抜けていくディバイディングドライバー

 

 

―リッ君!ディバイディングドライバーを使って!!―

 

『デ、ディバイディングドライバー?』

 

 

―説明とサポートはわたしがするから早く!―

 

 

『あ、ああ! ウオオオオオ!!』

 

 

スラスター最大出力で空へと飛翔するガオファイガー、やがて厚い雲を抜け背後から白銀に輝き物体が迫りコーティングが剥がれオレンジ色のドライバーが姿を現す

 

 

―相対速度を合わせて…今だよリッ君!!―

 

 

「うおおおお!!」

 

 

左腕を突きだしそのままゆっくりと装着ロックされ、最大加速と上昇と共にディバイディング・ドライバーの先端《-》状のユニットに光が溢れた

 

 

「ディバァイディングッドライバアアアアアアアア!!」

 

 

急加速降下し叫びながら赤い蒸気機関車ISの足元へ《-》状のユニットを叩きつけた瞬間弾丸を打つような音とシリンダーが軋ませた瞬間、地面に光が走る

 

光が走った部分が地響きをあげ裂けるが何かが違う、まるで風船が膨らみように円径に押し広げていき、赤い蒸気機関車ISはその中へ落ちていく

 

 

『こ、これは一体?周囲の状況は』

 

 

『周辺地域に異常なし…でも空間干渉値が変動しています!!』

 

ラファールリヴァイブ部隊は眼前で起こる不可解な現象に驚く中、ガオファイガーはゆっくりとその空間に降りたった

 

「な、なんだこれ?」

 

 

―ディバイディング・フィールドだよ。リッ君、この中だったら思う存分戦えるよ!!―

 

 

「ありがとう…いくぞバイオネット!!」

 

 

ガタンッとディバイディングドライバーを外しウルテクスラスター全開で接近するが蒸気機関車ISは再び火炎弾を撃ちガオファイガー爆発に包まれた

 

 

「ブロウクウゥンッ!フアンットオォォム!!」

 

 

爆炎を掻き消すよう現れた光輪を纏った拳が蒸気機関車ISの顔面をとらえ放電現象を起こしながら装甲を砕き辺りに破片を撒き散らしながら貫いた

 

 

《%?*$@\\&&%%$$##&&!?》

 

「まだまだああ!はあッ!!」

 

 

ぐらりと体勢を崩すもすぐさま頭部が再生する…だがいつの間にかに間合いを摘めたガオファイガーのドリルニーに胴体を貫かれ、大きくよろめく

 

「ふん!」

 

さらに右腕部分の間接を決め力任せに引きちぎり投げ捨てるが腕が再生し始めた

 

「く、学園に現れたISと同じタイプか。なら…ヘル・アンド・ヘブン!!」

 

 

両腕を交差し大きく左右に広げた腕、その拳に光が溢れだす

 

 

「ゲム・ギル・ガン・ゴー・グフォ……ムン!」

 

 

呪文を唱えながら攻撃のGエネルギー、防御のGエネルギー溢れさせる右手と左手を徐々に近づけ胸の前で突きだした形で組んだ瞬間、緑色の竜巻《EMT》が発生。蒸気機関車ISを包み動きを止めた

 

 

「うおおおおおおお!!」

 

 

ウルテクエンジンを展開し四基のGSライド最大出力で地を抉りながら突進、そのまま両拳を蒸気機関車ISの胴を貫く、上半身がまるで風船みたいに弾け周囲に金属片とオイルを撒き散らしながらメキメキとコアを抉り抜く

 

「…ムウウン、セヤアアアア!!」

 

抜き取った瞬間、蒸気機関車ISが光に包まれ爆発、凄まじいまでの爆風が辺りに溢れやがて収まり、ガオファイガーが通常より大きなISコア?持ち無傷でたつ姿

 

「な、なんだこのコアは今までと違う…だが爆発する前に!」

 

 

紫色のエネルギー光を発するコアを握る両手に力を込めたときだった

 

 

『ダメ!それを壊したらダメ!!』

 

「え?」

 

突然響いた声に目を向けると緑色の球体、いや背中から八枚の翼を広げ降りたソイツは俺が握るISコアに手をかざした

 

『…クーラ・ティオー・テネリタース・セクティオー・サルース・コクトゥーラ』

 

 

緑色の長い髪を揺らしながら優しく手をかざし、その指先から暖かな光が溢れ包み込むとISコア?がグニャグニャと崩れはじめた顕した姿…ボロボロのISスーツを着た黒い髪でまるで憑き物が落ちたかのような表情を浮かべ大粒の涙を流す一人の少女だった

 

「ぐす、ありがとう…ありがとう…ひくッ」

 

 

「に、人間が取り込まれてたのか」

 

 

『………………………』

 

 

「!ま、待ってくれ君は一体!?」

 

 

燐が呼び止めようとするもフワリと浮かびまるで流星の様に空をかけ消え去った

 

 

「あの子は一体…」

 

―リッ君、あと数分でディバイディングアウトするよ!ディバイディングドライバーを回収してそのままその子と一緒にセルン中央研究所に向かって!―

 

 

「わ、わかった…しっかり捕まってろよ」

 

 

涙を流しながらうなずくのを見て、両翼部ウルテクスラスターを展開飛翔するガオファイガー。その直後ディバイディングフィールドが波立ち徐々にアレスティングフィールドが縮小しやがてなにもなかったかの様に消滅する様をみて驚く燐に通信が入った

 

 

『地球勇者防衛隊所属ISガオファイガー、先程は攻撃をしてしまいすまなかった。深く謝罪したい』

 

 

「別にいいさ、いきなり国籍不明のISが現れたらそうなるって…だからあまり気にしないでください」

 

 

『本当にすまない…今度出会うときは共に戦うと約束する……あと隊員とこの街を守ってくれてありがとう』

 

 

ラファールリヴァイブ部隊の隊長機、隊員が敬礼するのを目にしながらゆっくりとセルン中央研究所に向かって大空を駆けていくガオファイガー

 

だが燐はISコア?から泣き止み眠ってしまった女の子を元に戻した八枚の翼を広げた《光》について考えていた

 

 

(あの光にいたのは俺と年が変わらない女の子だった…それにGストーンがすごく暖かくなったし…あの子は一体)

考えるも答えがでない…燐は頭の片隅に追いやるとセルン中央研究所へ最速で空を駆けた

 

この日、《緑光を纏う天使》と命の宝石《Gストーン》を携えし少年が出会いを果たした

 

 

この出会いが新たなる勇者王伝説の始まりになるとは、まだ誰も知るよしもなかった

 

 

――――――――――

―――――――――

 

 

「いけませんねぇ~せっかく産み出した商品が破壊されるとは」

 

 

「しかたないようギムレットくぅん。何せ今まで無人で動かしていたアレに初めて《パーツ(人)》を組み込んだんだから不具合は起きるものだぁ~」

 

 

「ですがぁGGG、忌々しいですねぇ…我々に対する組織をあのババァが準備していたとはね」

 

 

「まあいいさぁ、次なる実験の場は決まってるしねぇ…フフフ楽しみだなあ…」

 

いびつな笑みを浮かべ見るモニターには、九歳前後の五人の子供達。その一つを拡大し舐めるように見る

 

赤い髪に顔を覆い隠すようなバイザー、黒のボディースーツを着た子供の画像を狂気が入り交じった目で見つめている

 

 

「あの時の声は最高だったよぉ…また聞きたいなぁ。絶望、苦痛に満ちた最高の音楽を奏でてくれるかなぁ……シドオオオリイィイン……アヒャハハハハハハハハハハハハハ♪」

 

 

「そうですねぇフリールくぅん。さて行きましょうか日本へ……フヒヒヒヒヒ」

 

口を耳元まで吊り上げ歓喜に満ちた声をあげる小太りな中年男性《フリール・ルコック》とギムレットはやがて闇に溶けるように消え去った

 

 

第七話 守りの左手 了




君たちに最新情報を公開しよう。


日本へ帰るもフランスでの戦闘じに現れた謎の少女の事が気になる燐


上の空の燐を心配した一夏の親友の祖父が経営する食堂で思わぬ再会をはたした

IS《インフィニット・ストラトス》~白き翼の戦士と勇気ある者~


第八話 兄妹


次回もファイナルフュージョン承認!


―五反田蘭―


これが勝利の鍵だ!!


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