IS/勇者王ガオガイガー─白き翼の戦士と勇気ある者―   作:オウガ・Ω

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数年前

フランス南部

デュノア別邸


「お母さん、僕を一人にしないで…死なないでお母さん」


「シャルロット…泣かないで…あなたは一人じゃないわ」


そっと髪をすきながらお母さんは僕の首にかかったペンダントに手を添えてなにかちいさく呟きそっとはなした


「…私はあなたのそばにいるわ……もし、もしあなたが獅子様にあったら力を貸してあげなさい…」


「う、うん……でも獅子様ってどんな姿してるかわからいよ…」


泣きじゃくりながらベッドに顔を隠す僕にお母さんは優しくいってくれたんだ

「獅子様はあなたの《持つ石》と《同じ石》を持ってる…いつか…いつ…か…必ず会える…わ…」


優しく撫でてた手が止まる…お母さんは優しい笑みを浮かべていた


「お母さん…ねえお母さん…お母さん!!」


この日、僕は本当にひとりぼっちになってしまったんだ……





第十話 緑の髪の少女

IS学園に転入してきた世界で三番目にISを動かせる少年シャルル・デュノアと再会した燐

 

 

しかしタンカーと融合したバイオネットISが学園へ迫り燐、凍也、炎竜が出動。

 

 

苦戦し細胞抑制プログラムに損傷を受けるもファイナルフュージョンを敢行。

 

ディバィディング・ドライバーで海を割るガオファイガー、激戦の末ゾンダーISコアをえぐり抜いたガオファイガーの前に緑光の少女が再び姿を顕した!

 

「クーラ・ティオー・テネリタース・セクティオー・サルース・コクトゥーラ」

 

緑光の少女の手から光が溢れゾンダーISコアを包みグニャグニャと崩れやがて長い金髪の淑女が一筋涙を流しながら膝をつき隣には無傷のISコア。その光景に凍也、炎竜、三段飛行甲板空母にいる火麻、メインオーダールームにいる大河、レイジ、束もその光景に唖然としている

 

 

 

「…うう…あ、ありがとう…ありがとう……」

 

 

「…………………」

 

 

ISコアと人を分離した緑の髪の少女は無言でフワリとガオファイガーから離れはじめる

 

「ま、待ってくれ!君はいったい!!」

 

 

呼び止めるもそのまま空へ向かい光の奇跡を残し飛び去る少女を追おうとウルテクエンジンを開く…が光が明滅し再び閉じた

 

 

『燐、無理するな!』

 

 

「はあっ、はあっ…うっ!うぐあああああああ!?あ、う」

 

 

グラリと身体が揺れ全身のエネルギーが強制排出、そのまま倒れそうになる燐の身体に何かが支える。見るとパワーラダーとパワークレーンで炎竜、凍也が支えている

 

 

『燐、しっかりしろ!』

 

「いけない、熱暴走が始まってる」

 

 

―――――――――

―――――――

 

 

「リッ君の冷却システムが機能してない…このまま体温が下がらないと…リッ君が、リッ君が!?」

 

 

「慌てるでない束くん、燐はちょっとやそっとのことでは死にはせん…長官、水陸整備装甲車を向かわせてくれ」

 

 

「すでに現場に火麻くんが待機させてある…博士、あの少女を」

 

 

「問題ないワイ、あの子が放つ特殊なエネルギー波はガオファイガーのライブラリで登録済みじゃ…保安部に連絡を頼んだぞい」

 

二人のやり取りする間、束はモニターに示された燐のコンディションパラメーターを必死に冷却システムを遠隔操作を続けている

 

 

(リッ君、リッ君……リッ君!!)

 

 

――――――――――

―――――――――

 

 

空を緑の光が駆ける…やがてふわりと止まりそのままゆっくりと人気のない風力発電用のタワーが無数に立ち並ぶ平原へ降り立つ。光が収まり現れたのはプラチナブロンドの髪にアメジストの瞳、IS学園の制服姿のシャルル…ぼうっとしながら考えるのは黒いISガオファイガー、そしてあのコアを人に戻した力

 

 

「なんで、なんで僕にはこんな力が……」

 

手を見るも光はでない、変わりに胸にかけられたGストーンが淡く輝く

 

 

「この石ってなんなのかな…」

 

シャルルの母、顔も見ないうちに亡くなった祖母、曾祖母、先祖から大事に受け継いできた《緑の石》を母がなくなる前に『誰にも見せてはいけない』《勇気ある獅子》《おまじない》の事は誰に教えたらいけないといわれていたのを思い出す

 

「わからないよ僕は…IS学園に帰らな……きゃ!?」

 

 

いいかけた時、黒塗りのワゴンがまるでシャルルを囲むように止まり、扉が開くとGGG保安部職員が近づいてきた

 

「な、なに!」

 

 

無言で歩み寄る保安部職員に背を向け走り出すシャルル。が頭上からヘリがホバリングしながらその行く手を遮る

 

「うわあ」

 

ゆっくり迫る保安部職員、シャルルは後ずさる。が背後、左右からも迫るその姿に恐怖を感じる

 

 

「う、うわあああ!?」

 

 

シャルルの額に瞬きほどの瞬間、Gの幾何学模様が浮かんだ

 

 

――――――――――

―――――――――

 

 

水陸両用整備装甲車。先ほどの戦闘で意識を失い倒れたGIS《ガオファイガー》のファイナル・フュージョン・アウト、燐からガオファーを分離し終え、現在GIS整備ルームではメンテナンス作業を開始していた

 

 

「ガオーマシンの各チェック急げ!」

 

「…ガオファー、ファントムガオーへ変形。洗浄及び消毒を始めます」

 

 

バラバラに分離しアームへ固定されたガオーマシンはそれぞれ最終洗浄、消毒作業を進めるため洗浄及び消毒機材へ向かおうとした

 

「し、主任、ファントムガオーが!?」

 

 

「な、なんだと燐が居ないのになぜ起動している!!」

 

起動したG‐ISビークル形態のファントムガオーは消毒プールから飛翔すると、ウルテクスラスターを噴かしながら解放されたハッチから飛び出しそのままファントムイリュージョンを展開し消え去るのを整備スタッフはただ黙って見上げていた

 

――――――――

―――――――

 

「は、はなして」

 

「だいじょうぶ、我々は怪しいものじゃない」

 

「うそだ!」

 

 

「怖がる必要はないから、さあ」

 

 

「いや、いや…だれか、だれか助けて!!」

保安部職員に捕まれながら叫んだ瞬間、すさまじい突風が巻き起こりシャルルの回りにいた職員が芝生に転ぶ

 

 

「え、な、なに……!?」

 

シャルルの眼前にはG‐IS《ファントムガオー》がファントムイリュージョンを解除しまるで守るように浮遊してる

 

「ぼ、僕を守ってくれたの?」

 

まるでそうだと言わんばかりにシャッターを光らせ全体を揺らした瞬間、ファントムガオーが分解、シャルルを包みガオファーへ変わるとウルテクスラスター全開で空を飛翔し消え去った

 

「な、なんなんだあれ」

 

 

「とりあえず本部に連絡を取ろう」

 

 

唖然となりながら頷き職員達、やがて撤収していった

 

 

―――――――――

――――――――

 

水陸両用整備装甲車

 

同GIS精密検査エリア

 

「……いかんの。ライナーガオーⅡの耐久限界値がコンディション4じゃ」

 

 

「やはり、ヘル・アンド・ヘブンのダメージですか」

 

 

モニターを見るレイジの後ろにはオレンジ色の繋ぎを着た竜崎凍也が立ち、ライナーガオーⅡのダメージ値をチェックしている

 

 

「ふむ、リフレクションダンパーの総交換になるの……凍也くん、身体の調子はどうかの?」

 

 

「身体は異常はないです…博士、燐の所へはいかないのですか?」

 

 

「今、細胞抑制プログラムを束君が再構築しながら様子を見ておる。これが終わり次…」

 

 

―博士。格納庫へ来てください。ファントムガオーいえ、ガオファーが帰還しました―

 

 

「すまん凍也、ここを任せていいかの」

 

 

「わかりました。ライナーガオーⅡの部品交換を進めておきます」

 

 

そう言うとレイジは立ち上がると慌ただしくオペレートルームから出ていった

――――――――

―――――――

 

 

「…………………」

 

 

G-IS-01ガオファーを纏ったまま動かないシャルル、その回りにはGGG整備班、一般職員が不安な面持ちで見守る…がその中から一人の黒いコートを着た男性が出てきた

 

 

「君、怖がらなくていいよ。ここは国連直属の秘密防衛組織の施設なんだ。ここの皆は誰も君を傷つけはしないよ」

 

 

「あ、あの」

 

 

「ワシラは君の力を必要としている。頼む、君の力を貸してくれ…頼む」

 

 

「…え?」

 

幸太郎とレイジの言葉に心が動いたのを感じたのかガオファーが分離、ファントムガオーへ姿を変えゆっくりと浮かぶ

 

「行けっていってるの?」

 

シャルルの問いに答えるようにシャッターを開閉するのを見て皆の方を向くと笑顔で出迎えてくている。少しだけ笑みを浮かべ皆の方へ歩き出した

 

―――――――――

――――――――

 

 

 

 

「ああ~雲はいいなあ…」

 

 

 

一人の女性ががビルの屋上で大の字になり呟く。最近訓練に目標を見いだせなくなっていた。やる訓練はいつも同じことの繰り返し…パターン化してしまった訓練に飽きこうしてサボりながら雲を眺めていた

 

 

「ああ~一度でいいから雲になりたいなぁ…」

 

 

「雲になりたいのですかあぁぁ?」

 

 

「だ、誰!?ウワァ!?」

 

声が響き渡り起き上がった彼女は思わず後ずさる。なぜなら気色悪い仮面に赤紫色のピエロにも似た衣装をまとった存在がメカメカしいホウキに乗り飛んでいる。ISをまとってるならまだしもあり得ない光景だった

「雲になりたいあなたの願いを叶えてあげましょう」

 

スススッと音もなく近寄り女性の額に赤紫色に輝くゾンダーメタルを押し当てた

 

 

「う、うわあああああ…ゾ、ゾンダアアアアアアアアアアアア!?」

 

 

「フヒャハハハハ、さあ……雲になりなさあああああい」

 

 

ケタケタ笑いながら姿を変えるのを見届けたギムレットは軽く一礼し飛び去っていった

 

 

――――――――――――――――――

 

 

「……長官、検査が終わりました…我々と全く変わりがありません」

 

 

「うむ……すまなかったね。検査はもう終わりだよシャル……シャルル・デュノア君」

 

 

メディカルルームでの検査データに目を遠し柔らかな笑みを浮かべる大河にシャルルは恐る恐る口を開いた

 

「あ、あの…僕のことは」

 

「大丈夫、秘密にしておくさ…あと少しだけいてくれる事になるがいいかね」

 

 

「は、はい」

 

 

通信を閉じフウッと息を漏らし、別なウィンドゥを開き目を通す大河。その目からは強い意思が見えた

 

 

その頃、メディカルルームでは運び込まれた燐の細胞抑制プログラム及びマッチング作業を束は進めていた

 

「束君、どうかの燐の具合は?」

 

 

「破損した細胞抑制プログラムはマッチング中で、でも意識グラフが回復しなくて」

 

 

「なに、そのうち勝手に目を覚ますじゃろうて。昔からタフだったからの」

 

「!先生がリッ君にファイナルフュージョンをさせるからいけないんですよ!リッ君のことが心配じゃないんですか!!」

 

 

「孫の心配をしない祖父がどこにおる!」

 

 

あまりの剣幕に思わず体を震わせる束にゆっくりと口を開いた

 

 

「燐は六年前、バイオネットの奴等の改造で命が数時間しか持たなかった。だがGストーンのお陰で辛うじて命を繋いでおる…こうして生きているだけでワシは嬉しいんじゃ。バイオネットとの戦うと決めた燐の好きなようにやらせてあげたい…ワシはその手助けを可能な限りしたいんじゃよ」

「ご、ごめんなさい、ごめんなさい先生、先生が一番辛いのに…私」

 

 

「いいんじゃよ。束君がいるお陰で燐は安心して戦うことができるんじゃ」

 

 

「は、はい」

 

うつ向き泣き始める束にポンッと肩に手をおくレイジ…しかし警報が鳴り響く

 

―博士、たった今湾岸部上空に謎の巨大物体が出現、いえ?この反応は素粒子Z0です!!―

 

 

「な、なんじゃと!こんな短期間に!?」

 

 

『博士!燐は?』

 

 

「今は動かせん、細胞抑制プログラムのマッチングにあと十二時間はかかる…無理に動かせば燐の命が」

 

 

言いかけた時、メディカルルームの扉が開く、

 

 

「……………り、燐?」

 

 

振り替える束とレイジの前には不思議な衣装を着た髪を緑色に輝かせる少女…ゆっくりと燐が眠るベッドへ近づきGストーンに右手を添える、その瞬間まばゆい光があふれ出すと燐の瞼が微かに動きゆっくりと開いた

 

「う、うそ…マッチングが完了している」

 

 

「な、なんということじゃ…人類の演算能力を超えた力じゃわい」

 

 

「シ、シャルル?何でここに?それにその格好なんだ!?」

 

「え、あ、あの……そ、それより身体は大丈夫なの燐?」

 

 

「そ、そうだよ!リッ君。身体は何ともないの?」

 

 

「心配しなくていいよ束さん、シャルル、俺は…人類最強のサイボーグだ」

 

 

起き上がり立つと穏やかな笑みを向けインタークーラーコートを纏いメインオーダールームへと歩き出す燐。あっけにとられる三人だったが慌ててそのあとを着いていった

 

 

第十話 緑の髪の少女

 

 




君たちに最新情報を公開しよう


シャルルの力で完全に復調した燐、しかし湾岸部に巨大な物体が広がり太陽が遮られる


数日後、謎の巨大物体に突入した燐が見たものは?


IS《インフィニット・ストラトス》―白き翼の戦士と勇気ある者―


第十一話 空を征する者

次回もファイナルフュージョン承認!


―超竜神―


これが勝利の鍵だ!!

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