IS/勇者王ガオガイガー─白き翼の戦士と勇気ある者―   作:オウガ・Ω

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GGGロシア支部、ここでは新型GーISー07《アリエス》の稼働試験が行われていた

『これより創世コンテナを形成!資材瞬間創世開始!』


巨大なスクリーンには灰色のISが衛星軌道上が待機、背後バックパックに長方形のユニットが縦一列に並ぶと様々な資材が瞬間創世され瞬く間に配置されやがて小規模なステーションが形成されていく最後に重力を発生させるリングが稼働した瞬間、管制室で見守る職員は立ち上がり拍手とクラッカーの破裂音、完成がわき起こり互いに抱き合う中、パンクなサングラスをかけた老人がマイクを握った

「これでテストは完了じゃ。さて次のテストはここで行うとするかの」


ホログラフィで作られた地球儀に指で指し示した場所…そこは日本、GGG本部がおかれているアイランイドシティを見ながらゆっくりとサングラスを外し懐かしそうな眼差しを向けた

「久しぶりだな日本、そして燐…………ユーノ君、次のテストは日本じゃ。そのまま日本へいってくれ」

『了解しました、オウマ教授。これより大気圏突入テストも兼ねて日本へ向かいます』


衛星軌道上で待機しているアリエス操縦者《ユーノ》はゆっくりと大気圏突入を始め日本へ向けて降下していった






第十四・五話 受け継がれる獅子の魂、偽りの面に秘めた心

富士山麓、樹海を抜けた先にある大きく開けた場所にでると焼けおちた道場の柱が墓標のように立つ中に人影が見える

 

白地に金の装飾が施された冷却用特殊コート《インタークーラコート》に身を包んだ赤い髪の少年がひざをつき手を合わせ拝む姿、やがてゆっくりとその目を開けた

 

第十四・五話 受け継がれた獅子の魂、偽りの面に秘めた心

 

 

二年前

 

「師匠!オリエ!!」

 

レグルス兄貴に言われ二人がいる場所へ木々を駆け抜ける。二人の氣はもう近い、でも何かイヤな予感がする……不安な気持ちを振り払いようやく到着したオレが眼にしたのは

 

『死ねモブキャラ!』

 

「グアッ!」

 

師匠が黒い鎧を着た奴に為すすべもなく切り裂かれ地面へ倒れるもオリエを守るために立ち上がる姿…その時ナニカがぶち切れ小宇宙を高め拳を構えると蒼白い雷がバチバチ鳴り迷わず撃ち放つ。

 

「師匠から離れろ!オオオ、ライトニング・プラズマー雷光放電ー!!」

 

 

『な?何!グアアアアア!』

 

蒼白い雷が無数の軌跡を描くと瞬く間に黒い鎧を着た奴は木偶状態になり為すすべもなく光に包まれ消える…今は師匠を、オリエを助けないと!

 

 

「師匠!オリ……!?」

 

オレがみたのは左肘から先と右足の付け根あたりがもがれたようになくなったオリエ、全身を切り裂かれ両脚をグシャグシャにされた師匠の姿にガタガタ震え出す

 

「オ、オリエ……嘘だよな……目を開けてくれよ。そうだ足と腕探さなきゃ…探さなきゃ…」

 

「り、燐……やめなさい。オリエはもう死んだ……」

 

 

「う、うそだ……眠っているだけだ。早く腕と腕を探してくっつけなきゃ、くっつけなきゃ」

 

「やめるんだ、君も解っているはずだ…オリエから命の氣が感じられないことを…オリエは死んだのです」

 

死んだ、その言葉が何度も木霊する。息も絶え絶えになりながらオレの腕を掴み言うと師匠は咳き込み口から血をあふれ出した…何でだよ。何でこんなことに

 

「無様なものだ。いかに鍛錬を重ね研鑽しても人ならざる者達《バイオネット》の前では無力に等しい…ゴホッ!何時の時代も人は過ぎた力を手にしたがる…バイオネットはその過ぎた力を手にし人を不幸にする…それは悪意ある力……だ…」

 

 

「お願いだからもうしゃべらないでよ、このままだと師匠が死んでしま…」

 

 

『やってくれたなバイオダイン!纏めて死んじまいなあ!』

 

怒声に思わず振り返る、さっきライトニングプラズマで粉みじんに砕いた筈の黒い鎧?が加速しながら太く鋭い槍を突き出し突進してくる。このまま避ければ師匠が死んでしまう

 

オレは二人から離れ真っ直ぐ突っ込んでくるそいつの前に立ちはだかる…鈍い衝撃と熱い痛みと共に胸奥から熱いものがこみ上げ口からあふれる

 

胸元には真っ黒な黒い槍が深々と貫いている。

 

「……ゴボ…」

 

「燐!」

 

 

薄れていく意識の中、レグルス兄貴の声が響く。みるとオレをみながら立ち尽くしている。それを最後にオレは意識を手放した

 

★★★★

 

 

『く、この出来損ないのバイオダインがモブキャラをかばいやがって!…ん…手前もこのモブキャラの仲間か!』

 

「………」

 

『オイ、なんかしゃべろよ?もしかしてお漏らしでもしましたかぁ?大層な金ピカ鎧を着たおチビちゃん?』

 

「……………お前が蓮童、オリエ、燐をやったのか」

 

 

『やっとしゃべりまちたね~おチビちゃ~ん、イエス♪イエス♪イエ~ス♪♪その通りだよ~出来損ないのバイオダインとモブキャラ二匹は俺様がやったんだよ~さてオシャベリタ~イムは此処まで!バイオダインを生きたまま回収するのが目的だったけど死んじまったからな……さてモブキャラのおチビちゃんも寂しくないようケツの穴から口先までこの槍で貫いていやるよ~』

 

 

下卑た笑い声を響かせながら槍に貫かれたままの燐ををまるでゴミを払う様に投げ捨て構えたとき、周囲が明るくなり始めた…黒い鎧?の周りに無数の球体が銀河を描くように漂い浮遊している

 

「………お前が傷つけた三人は俺の親友と弟子だ…今から放つこの技は俺の弟子…燐が編み出した」

 

 

『な、何だこの光は!』

 

背後に黄金の小宇宙を高まらせやがて黄金の獅子へ変わり手を前へかざす、球体がまるで煌めく星々のように輝きを増していき狼狽える黒い鎧へまるで吸い込まれるように疾走、すべてが体内へ入った

 

 

「銀河、いや星雲すべてを無に帰す、俺の後継者《獅子座レオの燐》の最大奥義…フォトン・バースト!ー光子破裂!ー」

 

 

『な、何だ内側から身体が原子レベルまで破壊されて、イ、イヤダ、まだ死にたくない!モブキャラキャラを殺して…殺して……ナ、ナハト様あああああああああ!!』

 

 

断末魔の叫びが響く前に内側から内包された攻撃的小宇宙が連鎖し破壊力が増大。超新星爆発いやそれ以上の圧倒的破壊力を秘めたフォトンバーストの前に跡形もなく消え去りクレータだけが残される

 

「レ、レグルス」

 

「れ、蓮童!しっかりしろ!!」

 

「ワ、私より燐を……まだ命の氣は消えていません…」

 

俺は近くの岩に倒れた燐を抱きかかえ目を背けてしまった……胸元に大きな貫かれた跡から見えるのは人工臓器、金属化した骨…今は蓮童にみてもらわないと   

「蓮童、燐は生きているんだよな?」

 

「…はい、おそらくは《Gストーン》と《細胞X》の力が辛うじて命を繋いでいます。ですが心臓が潰されてて細胞Xでも復元できません……獅童先生たちが来るまで持ちこたえられるか」

 

「………蓮童、心臓があればいいんだな」

 

 

「な、なにをするのですかレグルス!聖衣を脱いで?」

 

驚くなよ蓮童、今の状況を変えるにはやるしかないんだ。獅子座の黄金聖衣がオブジェ形態になるのを見届けゆっくりと心臓がある位置へ手を添え迷わず貫き通し無傷のまま取り出した心臓が黄金の輝きに包まれる

 

 

 

「な、なんてことを!あなたは死ぬ気ですか!?」

 

「………蓮童、俺はどのみちいつか消えてしまう。もしかしたら、この日の為に生きていたんじゃないかって思うんだ…」

 

身体が透けていくのを感じながら俺はオリエの亡骸へ近づくと頭を軽くなでた。まだまだ生きたかったよな、痛かったよな、苦しかったよな、守れなくてごめんオリエ…俺たちも直にそっちに逝くからな

 

「……蓮童、俺の心……臓を燐…に……お前の氣操術なら…」

 

「わかりました。燐、最後までアナタに教えることができずに申し訳ありません…ですが、これから先に何があろうとも乗り越えていけると信じています……ゴホッ…レグルス、先に逝ってオリエと待っててください…」

 

「ああ、……またな…蓮童……」

 

黄金の輝きを秘めた心臓から光があふれ燐を包むとレグルスは笑みを浮かべながら粒子へ変わり天へ昇るのを見届け蓮童は呼吸を整える。身体が輝きださせながら痛々しく貫かれた胸へ心臓を入れる。瞬く間に細胞Xが滲み出し融合する中、蓮童はスッと目を開くと右手を塞がりつつある傷の上へ置く

 

「………富士の霊峰に集まる氣よ…若き獅子に新たな命を!御鷹流《氣魂開闢》!」

 

 

辺りにすさまじい光が風と共に溢れやがて収まると空に獅子座が光り輝いた…数時間後。異常に気づいた大河、火麻、レイジ、束がみたもの

 

 

「師匠、師匠!目を開けてくれ!師匠!!」

 

獅子座の黄金聖衣が威嚇するように立つ背後でオリエと寄り添うように亡くなった蓮童、二人を前にし膝をつき涙を流す燐の姿だった

 

 

★★★★★★

 

「師匠、オリエ、レグルス兄貴。オレは三人の命をもらって今日も生きているよ…みんながオレのために託した命のおかげだよ………」

 

 

焼け落ちた道場から少し離れた場所に立つ燐の前には二つの墓標と黄金の獅子《獅子座の黄金聖衣》が鎮座

している

 

「………オレは師匠やレグルス兄貴のように強くはないけどバイオネットの連中のせいでオレたち以上に不幸になる人たちを守りたい…みんなから託された命、オレの身体はそのためにあるんだって思えるんだ……じゃあ時間だからIS学園に戻るね。今度来るときは皆の好きなものをもってくるよ……またね」

 

スッと立ち上がり軽く一礼、そのまま背を向け歩き出す燐…今日は燐にとって大事な人たちが亡くなった日。そして三人から命を託された忘れられない日…

 

三人と共に過ごした日々は燐の心を鍛えハーフサイボーグの身体を受け入れ、人としての生を歩み《勇者》として戦う決意、バイオネットから人々を守る《勇者王》として戦う運命が決められた日

 

 

 

★★★★★★★★

 

 

「社長、日本へ出発用意ができました」

 

「ああご苦労、しばらくお前に本社を任せた………さて一向にデータを送らん役立たずに私自ら催促せねばな、まあ期待もしていないがな……」

 

「……そうですか」

 

「…では行ってくる。くれぐれも彼らの機嫌を損ねるなよ…」

 

 

「いってらっしやいませアルベール社長」

 

深々と頭を下げる副社長に一瞥もせず専用ジェットに乗り込むのはデュノア社社長アルベール・デュノア。彼が向かうのは日本のIS学園で行われるクラスマッチを観戦と言う名目で向かう彼の表情は野心に満ちた先程とは打って変わり苦悩に満ち溢れている

 

(……あと少しだ……あと少しですべてが終わる…ソレまでは……)

 

心の中で呟いた言葉は誰にも聞こえない…彼以外に座るものがいないキャビンの天井を虚ろに眺め胸元から取り出したロケットへ目を移し乾いた音と共に開くと若い男女の姿が納められている

 

(…………まさかノワールの子と出会うとはな…これも運命か……)

 

まだ若い頃のアルベールとシャルルとよく似た金髪の女性、そして黒髪に前髪を切りそろえた眼鏡をかけた女性マヤ・ノワール…いや燐の母《獅童マヤ》の名を知るアルベールはやがて深い眠りへと誘われた

 

 

彼が見る夢……それは何かは誰も知らない

 

 

第十四・五話 受け継がれる黄金の魂、偽りの面に秘めた心

 

 

 

 




次回は本編です!

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