IS/勇者王ガオガイガー─白き翼の戦士と勇気ある者―   作:オウガ・Ω

44 / 48
「帰ろう父さん…母さんの所に…」

そうだな燐……大きくなったな。昔はあんなに小さかったのに、こんなに大きく成長した燐を見ることが出来て良かった…燐の隣を飛ぶ彼を見る…無理やりバイオネットのメインサーバへ接続された時に与えられた情報にあった異世界からの来訪者、ISファイバードを纏った不動統夜くんから後悔の念を感じた

「……………」


不動統夜くん……気に病むことはないよ。私が望んで二人を守ったんだ。ああ、なんか眠くなってきた……もうすぐ死ぬのか……マヤ…の…いる天国へ………いけるのかな………


燐に抱えられた身体から私は抜け、空へあがろうとした時、不思議な光が包み込んだ次の瞬間、緑色の暖かな温もりに満ちた空間に浮かんでいた、それ以上に身体が元に戻っている……ここが死後の世界かと思った
私の耳に懐かしい声が響いた

ーあなたー

ーそ、そんな……君は……ー

私の前に数年前、モジュール01で死んだはずの私の妻…マヤが穏やかな笑みを浮かべそっと近づいてきた…じゃあココは死後の世界なのか?


ー違うわ……ここはGクリスタル……数多の命が集い形をなした奇跡の象徴…ー


ーGクリスタル?じゃあ死後の世界じゃないのか……ー


ーええ、アナタ…ごめんなさい。本当はここにつれてきたくはなかった。ごめんなさいアナタが…燐と……止められなくて、見てるしか出来なくて、あんな想い……え?ー


ー…いいんだマヤ…こうして君にもう一度会えた………ー


ー…………ライ……もう二度と私を離さないでー


ーああ、もう離さない……ずっと一緒だマヤ……ずっとー

 
大粒の涙を流しながらマヤを私は強く抱きしめた……もう二度と離さない。互いのぬくもりを感じながら何時までも抱き続けた

そして、私は知ることになる……私とマヤがココでやるべきことを


束ちゃんがバイオネットへの憎悪を込め産み出した全てを破壊するIS《G》を………………に生まれ変わらせる為に


第二十一話 訪れた平穏、友の帰還(前編)

朝靄が立ち込める広大な森林に山肌を赤く染め上げ太陽が顔をみせ、ゆっくりと霧が晴れていく

 

朝露に濡れた草原に風が凪ぎ、森を抜けたさきには不思議な石造りの巨大な城。しかし城にしては建築学、構造学的に有り得ない趣を出す城…世界の富の三分の一を有する大富豪にしてサンジェルマン・ファウンデーションCEO《サンジェルマン》伯爵の居城

 

その無数にある一室、分厚い絨毯に一人が寝るには大きすぎるベッドに朝日が伸び、そこに眠る少年に光があたり微かにまぶたが動いた

 

「……ん……」

 

 

ぼうっとする頭で、辺りを見回した少年の目に映るのはささやかながらも装飾が施された机、椅子、かけられた毛布の心地よさに負けそうになりながらゆっくりと身体を起こした時、勇者を思わせる人物を中心に女神たちが祝福するように舞うタペストリーに思わず息をのんだ。少年はこの絵を知っていた…転生前から知っていた《ある作品》に登場する絵を間近で観たことに感動を覚えていた

 

 

「気がついたかね」

 

…夢中になる少年に穏やかかつ、まるで爽やかな風をも想わせるような静かな声と共に扉が開いた。白いシャツに黒のスーツ姿の青年《サンジェルマン伯爵》が近くまで歩いてきた

 

 

 

「サンジェルマン伯爵……ここは一体」

 

「私の居城…といえばわかるかね」

 

統夜も、絵を見ていたのでその可能性があったなぁと思ったのだが、それ以上に大事な事、アフリカがどうなったのか知らない事を思い出し、サンジェルマン伯爵に声をかけた。

ただし、物凄く焦っていたのもあり、サンジェルマン伯爵から落ち着くように言われてしまったが

 

「…丸1日寝てたのか…それに身体も軽い」

 

 

「……ディカやGGG医療スタッフの診断によると精神的苦痛、心因的なモノ、慣れない環境で極度のストレスが原因ではないかと言っていたが……おそらくは君が霧也から受けた技《天舞宝輪》が原因も大きな一因だ。結果として君は眠れぬ夜を過ごしてきた」

 

 

「……そうだ…」

 

 

「……すまなかった不動統夜くん…君が《転移》してきた事は知っていたが、《彼等》が不穏な動きをしていると《ショウヨウ》から聴き対処に追われていた……君からみたら私の言葉は言い訳に過ぎないが」

 

 

「あ、頭を上げてくれ……もう済んだことだ」

 

 

スッと目を閉じ頭を下げたサンジェルマン伯爵に慌てる統夜、最近眠れなかった理由は霧也の力で冥界へ飛ばされ、煉獄の炎で焼かれる母《不動あやめ》、《天舞宝輪》による苦痛と不眠。目を閉じる度に炎に焼かれる母の姿が浮かび寝付けず、GGGの理念にあったマシンの設計データ制作で気を紛らわしてきたのもあった。

 

 

…しかし、それ以上に気になることがあった。バイオネット総帥との戦いにおいて聞いた《ある単語》。今まで暗躍していたバイオネットが表に出てくると同時に現れた《サンジェルマン伯爵》。バラバラのピースが集まり形をなしていく。すこし迷いながら思い切って聞いてみることにした

 

 

「すこし話は変わるのですが………あなたはバイオネット総帥と顔見知りなんですか?」

 

 

「……なぜ、そう想うのかね?」

 

 

「……バイオネット総帥が勝手にバラした。《ジーク》、《ヒューギ》、そして伯爵の名前《サンジェルマン》は俺の知る知識(グラヴィオン)と一致している…いや少なからず僅かな差違がありますけどね」

 

 

「……あの僅かな会話から、答えに辿りついたのは君で《三人目》だ…心身共に優れない状態で《彼》とよくあそこまで戦えたね」

 

「…確かに今考えるとよくできたな……あいつってそんなに強くないのかバイオネットの総帥?」

 

 

「……………」

 

…地球の守護神ガメラでもある亀山玄武を師にもち、その弟子4人、幻想郷のメンバー。さらにはゴジラ・バトラ・モスラ、統夜より実力が遥かに格上の人?達と自身の能力を制御する特訓をつけて貰えたのもあった統夜はさらに続けた

 

 

「……一応会社の社長になる為の英才教育も受けてましたし、その影響もあると思いますよ。何しろ昔は白騎士事件を起こし、俺の母親を殺した篠ノ之束を恨んで、憎んで、篠ノ之束しか造れないはずのISコアを製造して、束を捕まえて裏社会に売り飛ばそうとしたほどの極悪人でもありますからね」

 

「…極悪人?君がかね」

 

「ええ。俺は燐達GGGのように『正義』を掲げるつもりはありませんよ。社長と研究所の所長の肩書きを持っている人間だと、時に『悪』を行なう必要がありますからね。まぁそれでも『外道』にはならないつもりですけど」

 

これに関しては仕方が無い。経営状況次第では、リストラ、各種経費カットだとかで、色々としなければいけない。結果として他人から罵倒され、罵られようが『悪』を行なう必要がある

 

それを含ませながら話す統夜の言葉を聞き、サンジェルマン伯爵はゆっくりと口を開いた

 

 

「…………ならば私は《永遠の咎人》だ。《沙華堂牙儖》を千年前に討つ事も叶わず《我が友》と引き換えに生き延びてしまうだけには止まらず世界を混沌へ向かわせてしまった私達兄弟は………話しがそれてしまったね。少しだけ訂正させて貰う、ヤツは本来の力《十分の一》しか出していない、いや出せないのだ。そして半分正解で半分誤りがある。私は《クライン・サンドマン》、《ジーク・エリクマイヤー》本人でもないし、ヒューギ兄さんは…本当の兄だ」

 

 

「半分誤り?一体どういう……」

 

 

「私とヒューギ兄さんは君と同じ《転生者》だ」

 

 

 

第二十一話 訪れた平穏、友の帰還(前編)

 

 

 

同時刻、サンジェルマン城近隣

 

 

「…………………」

 

古びた教会の鐘があたりに響く、ふわりと風が草原を流れ無数の石造りのプレートが地面に置かれた場所…墓石が四方に並ぶ中の一つの前に膝をつき祈る白いコートを纏い目を閉じ祈る少年…獅童燐

 

 

《MAYA・SHIDOU:Bone21xx~21xxdead》

 

 

色鮮やかな花が手向けられていたのは、燐の母マヤの墓、そして隣には真新しい墓石

 

 

《RAI・SHIDOU:Bone20xx~21xxdead》

 

 

先のガオーマシン強奪の際に現れたガイゴーにバイオネット総帥の卑劣な策により命を弄ばれ組み込まれ、アフリカで救い出すも統夜と燐をバイオネット総帥の半身からの攻撃から庇い命を落とした父《獅童ライ》の墓

 

七年前、宇宙開発実験施設モジュール01で死亡し、離れ離れだった二人はようやく同じ場所で眠りについている墓の前で膝をつき祈る燐の姿はまるで語りかけているように見えた…

 

 

(母さん、父さんを連れてきたよ……………)

 

……身体から陽炎が揺らめく。燐の体温がみるみる上昇していく。拳はギリギリと握りしめた時、インタークーラコートのスリットから冷却ガスが勢いよく噴出、瞬く間に冷やしていく身体。そのインナーの下にはまだ癒えぬ傷を隠すように包帯が巻かれている

 

 

(……ごめん…母さん…こんな形で……ごめん……父さんを助けられなくて……ごめん)

 

 

本来なら検査の為にGGG本部に戻らなければならなかった。しかしサンジェルマン・ファンデーションから医療メイド隊、GGG医療スタッフがすでに呼ばれており各種検査とメンテナンスをサンジェルマン城で終え真っ直ぐ向かったのはここだった

 

母マヤの墓の隣にある新しい墓石はサンジェルマン伯爵が手配したモノ…その下には父の遺体が眠る。しかしマヤの墓には遺体はない、替わりに愛用していた品々が納められている

 

モジュール01が消滅した日、母マヤが光に包まれ跡形もなく消え去った

 

でも遺品が収められた墓にはマヤは眠っている事に間違いない

 

(父さん、母さん……俺は戦うよ。命をもてあそび奪い、無関係の人たちを不幸にし続けるバイオネットを必ず倒す……こんな《想い》を《誰》にもさせないために……だれかが負うかもしれない、この痛みをしっかり胸に刻みつけて……だから見守ってて父さん、母さん)

 

 

ゆっくりと目を開き立ち上がる燐…しかし、その瞳が何かをとらえた。二人の墓から少し離れた場所に黒い髪を風になびかせかせ立つ白いワンピース姿の女の子が笑みを浮かべみている…ココには誰もいないはずと感じた時、風がふき花びらが舞うと少女の姿が消えていた

 

 

「い、今のは……センサーには反応が無い……気のせいか………」

 

 

軽く頭を下げ、コートを翻し歩き出した燐……その背中、瞳からはバイオネットと戦う強い意志があふれていた

 

 

☆☆☆☆☆☆☆

 

 

「束さん、ここって……」

 

 

「………リッ君の大事な人達……ライ先生とマヤ先生が眠ってるの……」

 

 

「燐のお父さんとお母さんの…」

 

 

「……うん……」

 

 

…アフリカの戦いが終わってから、束とシャルは統夜をサンジェルマン・ファンデーション医療メイド隊、GGG医療スタッフと共に診察、ファイナルフョージョンアウトを終えた燐のアジャスタと細胞抑制システムを終え休む間もなく訪れてた墓地の入り口で帰りを待っている

 

「………束さん、なんで燐ばっかりこんなに辛い目に遭わなきゃいけないの、こんなのヒドすぎるよ、あんまりだよ……報われないよ」

 

 

「………いわれない理不尽な暴力を受ける人の《痛み》を強く感じてしまうんだ。昔はすごく泣き虫で、痛がりで、コンニャクが嫌いで……でも、どんなに辛くても戦うことを止めない……私が止めててって言っても聞いてくれない…だから四年前に決めたんだ。リッくんがやりたいようにやらせてあげたいって」

 

 

「……束さんは強いんだね」

 

 

「強くなんかないよ…私なんかよりリッくん達が世界で一番強いから………それにシャルちゃんも」

 

 

「違うよ。ぼくが強いんじゃない……みんなからもらった勇気が強さをくれたんだ。もちろん束さんからもね」

 

 

「シャルちゃん…」

 

 

「あれ?束さん、それにシャルまでどうしてここに?」

 

 

声が聞こえ振り返る二人の前にいつもと変わらない燐が不思議そうにみてる、束とシャルは互いに顔を見合わせ燐の腕に抱きついた。突然の事に驚く燐

 

「燐を待ってたんだよ」

 

「うんうん、私もリッくんを待ってたんだ」

 

「え、そうなんだ……そういや今日はサンジェルマン伯爵領で1日休みもらえたんだっけ、ひさしぶりにアソコに行こう……ん?あれは……統夜君じゃないかな……お~~い統夜く~~ん」

 

 

反対側の道から歩いてきた統夜に声をかける燐、それに気づいたのか統夜は三人のいる場所へ歩いてきた

 

「もう体は平気なのかい?」

 

「ああ、まあ、最近あまり寝れてなかったしな」

 

 

 

シャルロット・束に腕を組まれながら聞いてきた燐に、サンジェルマン伯爵経由で俺がぶっ倒れた事を聞いてたらしい。立ち話しも何だし散策しながら原因が睡眠不足だと言ったら驚いていた

 

「……睡眠不足?どれだけしか寝てなかったんだ統夜君?」

 

「……霧也の野郎がした《天舞宝輪》だっけ、伯爵から技名を聞いたんだが、それが原因で、な。まぁ俺の場合、研究所で色々と仕事している側の人間だし、ISや武器作製とかで2日間ほど寝ないで徹夜した事あるから、ある意味慣れてるからな」

 

「………ちょっと待て統夜くん、君は技術開発とかの関係の人なの?」

 

「うん?……あぁ、そう言えば教えてなかったな。俺が使ってるファイバード、武装とかも全部開発したのは俺だぞ?あともう一つの専用機ISグランバードと合体してグレートファイバードにもなれるし、今は手元にないがさらに合体する事で性能をアップさせる支援型ISの開発もウチの研究所でやってるし………どうした?急に黙り込んで」

 

俺がそれを言うと、燐達に関しては完全に沈黙し、束に至っては、呆れながらも頬を引きつかせてる

 

「この話はココまでにしてだ、束。このデータにあるヤツはGGGでも使えるか?」

 

そう言って統夜は、束にGGGマークの入った端末を手渡した。因みにこの端末、統夜がGGGに色々あって保護された際、大河長官が統夜に『自分達の世界の事』を知ってもらう為に提供した端末で、GGGマークが入っている以外、この世界では普通にある端末である。束も、統夜から手渡された端末内のデータを見ていった。

 

「ん?どれどれ…………アフリカでリッくんが使ったアシストマシーンの完成系データ、もう一機のアシストマシーン!?それに別口だけどレスキュー用バスターマシンの概念設計図!?……いつの間にコレを!?」

 

アシストマシーン、バスターマシーンの全データをGGGの理念に基づく救助用ISのデータに目を通しやや興奮しながら聞いてきた束はデータにある概念設計図と運用形態を空間投影スクリーンを無数に展開しながら聞いてきた。

 

「ガオファーへの追加装備、戦闘力向上にともなって防御力も……でもバスターマシンとは合体出来ないんだ。でも他のISには支援ユニットとして装備可能……これならいけるよ!リッくんやみんなの力になれるよ!!短期間でこんなに沢山のバリエーションを作り出すなんて……でもいつ作ったの?」

 

束がそう言ってきたので、俺は少し頭を掻きながら事実を話す事にした。

と言うか、燐もシャルロットも束同様に、『教えて欲しい』と言えるような感じだったのも原因だが……

 

「………霧也の野郎が原因でバイオネットとの戦いまで寝れなかったんだよ、平均5分くらいしかな。食事と身体動かしたりした以外の時間で、俺の知っている『この地球を護った戦士達と共に戦った存在をモチーフ』にして設計していたんだが………お前等、どうしたんだ?」

 

「ご、5分って、それだけで睡眠大丈夫だったの?」

 

燐が余りの俺の睡眠時間に唖然としていたが、俺からすれば、科学者や開発関係の人間なら『この程度の睡眠時間はそれなりに当たり前だろ』と言ったら、燐や束に思い切り抗議された。

 

だがしかし、俺の場合は会社の次期後継者としての教育みたいなのが原因なのもあり、平均10分間くらい眠れば十分だし、冗談混じりで、この世界にも存在していたこ○亀の『72時間働けます』の男性を目指していたって言ったら燐たちは呆れた表情で見ていた

 

 

「統夜くん、いくら何でも少しは身体を労った方がいい。それで身体を壊したら元も子もないんだが」

 

 

「いや、俺からすれば燐には言われたくないぞ?お前、縫い合わせた傷が開いてIDスーツから血が垂れて、すぐに輸血しなければヤバかったってサンジェルマン伯爵から聞いたぞ?俺の睡眠時間よりも、お前の方が危険だと思うが、俺達の事なんてこれ以上言ってたら、内容自体が五十歩百歩だから辞めようぜ」

 

「はは、確かにそうかも……でももう平気…っ!?」

 

 

軽く胸板を押した瞬間、みるみるうちに顔色が青くなり、汗が吹き出しはじめる燐を見て心の中で盛大にため息をついた…たった1日で治る人間なんてGSの横島ぐらいだぞって言いたくなる

 

「…へ、平気、平気…こんなのご飯を食べれば何となるし。ちょうどいい機会だから一緒に皆でお昼しないか?」

 

 

「別にいいが…」

 

 

「なら決まりだ…さあ、思い立ったが吉日だ」

 

 

ってどこぞの青髪に左頬に三本傷の美食屋みたいな言葉を言い連れてこられたのは古びた教会、よく見ると古い作りながらどことなく高貴な空気を感じながら教会の前に広がる広場にでると年の頃、八歳から十二歳ぐらいの子どもたちが遊ぶ姿が目に入った、ふと一人の子供がじいっとこちらを見てパアアット笑顔になった

 

 

「りんお兄ちゃんとたばねお姉ちゃんだあああ!」

 

 

元気な声が真っ青な空の下で遊ぶ子供たちの耳に入り一気に駆け寄り束と燐に集まり抱きついた。怪我をしてるのに関わらず燐は一人一人に声をかけ頭を撫でている。束も同じようにして同じ目線に間でかがんで笑顔を向けていた

 

 

「りんお兄ちゃん、ぼく逆上がりできるようになったよ」

 

 

「束お姉ちゃん、みてみて私この前100点取れたよ」

 

 

「かけっこで一番とれたよ~スゴいでしょ」

 

 

「カケルはカケルはトリアお姉さんのお手伝いしたんだよ」

 

 

「燐にいさま、わたし今度、大検合格したんです……将来は宇宙開発公団に……夢を」

 

 

 

「逆上がりできるようになったんだな~エラいぞ。カケルはトリアさんのお手伝いか、すごいなあ…大検合格おめでとうなリアン」

 

 

「アキちゃんがんばったね。たくさんハクハグしてあげる♪」

 

 

 

子供たちの声に一人、一人しっかり耳を傾ける二人に呆気にとられてると何かに服が引っ張られた…目を向けると小さな子供が少しおどおどしながらみている

 

「お、おにいさんと、おねえちゃんはりんお兄ちゃんの……と、と、友達?……あ、あの…あの…」

 

 

 

 俺は小さな子の目線に合わせるよう少し身体を屈めた。一瞬だけ猛と面影が重なる。そういえば最近IS学園での出来事や研究所での激務、修行が重なり会っていなかった。帰ったら猛と久々に会おうと心の中で決め

 

「不動統夜って言います。燐お兄ちゃんと、束お姉ちゃん、そこにいるシャルロットお姉ちゃんと友達なんだ。君の名前は、何て言うんだい?」

 

そう言って、笑みを浮かべ小さな子からの返事を待った…みた感じ、引っ込み思案みたいだな。でもまっすぐみながら

 

 

「たける……《はつのたける》だよ……トウヤおにいちゃん」

 

 

「……!?たけるちゃんか…いい名前だね」

 

 

 

 

俺に誉められたのが嬉しかったのか満面の笑みを浮かべる「たける」。その隣でシャルロットも俺と同じように子供達と話をしながらあやしていたのだが

 

 

「ねえねえ、しゃるろっとおねえちゃんは《りんお兄ちゃん》のカノジョなの?」

 

 

「え?ええと……そ、そうだよ(言っちゃった…でも一緒の部屋にいるし裸見られちゃったし…いいよね)」

 

 

「ち、ちょシャル?俺はまだつ……タタタッ!束さん?」

 

 

「初耳だね。リッくんと付き合っててるなんて……リッくんはわ・た・しのだから

 

 

 

 

何気ない子どもの言葉に束とシャルロットの視線がぶつかり火花が見え、背後にゆらゆらと変なオーラが見えた、周りの子供達が怯えていたので、燐に軽く耳打する。二人に近づき小声でなんか言うとおさまった

 

ちなみに燐に『これ以上子供達を怯えさせると、一部を除いて話をしない』と二人に言うよう頼んだからだ。……………と言うかだ、何で俺が恋愛系主人公のフォローに回る不憫キャラにならなきゃいけないんだと思う俺を心配した子供達が慰めてくれたので、少し悲しくなった。

 

 

「あれ?ザフィーラさんとマニゴルドさん、カルディアさんは?」

 

 

「お父さんとマニおじさんはカル兄さんの林檎農園に収穫に出かけてまだかえってきてないんだ」 

 

 

(ザフィーラ?……他の人は分からないけど、まさか《リリなの》の守護獣か?まぁ名前が似ているだけだよな?)

 

 

 

ーーーーーーーーーーーー

 

 

「マニゴルド先生、収穫を手伝わないのですか?」

 

 

「あのなあザフィーラ、オレは国連本部から帰ってきたばかりなんだぞ?ガキんちょどもと遊ぶのはいいが、なんでカルディアの林檎の収穫手伝わないといけねぇんだよ」

 

 

「おい、お前たち早く手伝えよ。オレが改良した林檎《ミロ》は人気あるんだからな。さて、あとでクッキー達にもお裾分けしてやるか」

 

 

「わかったよ、ったく……ロゼばあさんの護衛はろくな事になんねえ(趣味悪い黒いIS…ゲシュペンスト…ゴキブリかっうの…オカマやろうと同じくらいしっけぇから積巳気鬼蒼炎で全部魂ごと燃やしたけどよ)……さっさと収穫しようぜ」

 

広大な敷地に林檎の木が並ぶ中を歩く三人は光速の動きで身を傷つけず手摘みで収穫していく。この林檎は《ミロ》と呼ばれる品種で甘さもだが、実に歯を当てただけで瑞々しい果汁が溢れる喉を潤わす

 

世界に流通するも余りの希少性に高値がつけられていた

 

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

 

「じゃあ、お昼誰か作らないと………よし、ひさしぶりに作るかな。束さん、シャル、統夜くんも少しだけ手伝ってくれるかな?かなりの量を作らないといけないから」

 

 

ーーーーーー

ーーーー

ーーー

 

 

「シャル、そっちの鍋の様子を見てアクとりを、束さんは取り分けたキャベツを軽く湯にくぐらせて」

 

「あ、ああ……こんな感じでいいのか?」

 

 

「ん…上出来だ……粘りもでてるし最高だね」

 

 

清潔感あふれる厨房でロールキャベツの下拵えをする俺がナツメグ、涙を流しながらみじん切りした玉ねぎこねた肉だねを一目見てサムズアップする燐…白のコックコートにチーフネクタイ姿で束やシャルロット、俺に的確に指示をしながら二、三品目を作ってる

…しかも洋食なのに関わらず中華包丁で器用に刻み、肉を叩く背中に《カ~カカカカカカ!》と笑う悪魔の料理人が見えた

 

 

厨房を軽く見回すと、高級レストランに匹敵する調理機材が並びピカピカに磨かれている…こうして料理を作るのはひさしぶりだ…っうか何故こうしているかというと、普段子ども達に食事を作るザフィーラ、カルディア、マニゴルドって奴が居ないからだ…

 

でも、こうやって子ども達の為に料理を作るのは楽しいと感じてるんだが…

 

 

「アクはとれた。あとはコレを入れて……シャルの馴染みに深い料理かも」

 

 

「え?」

 

 

卵白をふんわりと泡立てたそれを流し込み手早く取る…琥珀色の澄み切ったスープが顔を覗かせ湯気から濃厚で食欲をそそる香りに何故かゴクリと喉が鳴る。これはコンソメスープだってのがわかる…

 

「こ、これって」

 

 

「味見してみる?本場の味には負けるかもしれないかも」

 

「うん……………………っ?………ひっく」

 

 

「あ?ごめん!やっぱりくちにあわなかったかな?」

 

 

「……ち、ちがうよ……懐かしくて……美味しいよ。

燐、この味付けは誰から教わったの?」

 

 

「母さんから教わったんだ……前にも言ったけど母さんは日仏クォーターでフランスに長くすんでた時、親友から教わったんだって……さて、シャルからのお墨付きももらったし次はロールキャベツだ」

 

 

「う、うん!」

 

 

パアッと笑顔を見せるシャルロットに燐が笑顔で答える燐……っうか二人とも後ろから抱きつくような形でいる密着しすぎだ!みろ俺の後ろでゴゴゴゴゴ!って音を鳴らしながら羨ましそうに嫉妬のオーラを溢れさせて包丁を持つて笑顔な束が光がない瞳で見てるの気づけよ……あ?束が動くみたいだ

 

 

「……リッくん。料理に集中しようか?じゃないとO☆H☆A☆N☆A☆S☆H☆Iだよ♪」

 

 

 

「わ、わかたったから包丁をおいて束さん?さ、さあ残りも頑張って作ろう束さん!シャル、統夜くん」

 

 

……将来尻に敷かれそう未来が見えた…それからは目にも止まらない速さで調理を進めていく…俺がこねた肉だねを束が煮たキャベツに巻き戻しておいたカンピョウで巻き結ぶ、それを先ほどコンソメスープを作る際に使ったブイヨンにトマトを濾したモノをはった鍋へ入れ弱火でかけ蓋を落とした

 

 

「ふう、これでよし…統夜くん、次はサラダに合うドレッシングを頼めるかな、材料は目の前の棚の子だな二番目にあるから」

 

 

「あ、ああ…これでいいのか?」

 

 

棚からオリーブオイル、バルサミコ酢、黒胡椒を手にする…ラベルにはサンジェルマン伯爵の家紋が入ってる。色々な分野に手を広げてるのを感じながら適量をボウルへ入れ混ぜていく、その隣で大根を手にした燐が陶器製のおろしを使い大根おろしを作ると、こちらの様子を見計らいレタスとトマト、スプラウトを木皿へもり最後にクルトンをパラパラとふる

 

 

「よし、できた……束さん、シャル、コンソメスープとサラダをみんなのところにもっていってくれるかな?ロールキャベツとパンは少しでできるからさ」

 

 

「はいは~い♪束さんにお任せあれ~」

 

 

「ま、まってよ束さん!?そんなに急いだらこぼれるから!」

 

 

元気よく走る束、シャルロットを見送る俺の背後で鈍い音が聞こえる。まさかと思い振り返ると膝をつきながら立とうとする燐…よく見るとコックコートに血が滲んでいる

 

「はは、すこし張り切りすぎたかな…」

 

 

「あんまり無茶するなよ燐……ほらたてるな?」

 

 

手を貸し立たせながら火加減を見る燐を見ながら、サンジェルマン伯爵との会話を思い出していた…

 

 

ー転生者?サンジェルマン伯爵が……ヒューギ・ゼラバイアも?ー

 

 

ーそうだ。前世で事故死した私とヒューギ兄さん、巻き添えになった沙華堂は神に頼まれIS世界に転生した。だが時間にズレが起きてしまい今からおよそ千年前…中世ヨーロッパ、フランス王朝初期に来てしまった…ー

 

 

『大丈夫か?』

 

 

『兄さんこそ……あと君も大丈夫?』

 

 

『大丈夫だ。もしかして神様が言っていた他の転生者って君たちかな?』

 

 

『そうだ。オレの名前はヒューギ、ヒューギ・ゼラバイア、隣にいるのがジーク・エリクマイヤーだ』

 

 

『よろしく、僕はジーク・エリクマイヤーだ。君の名前は?』

 

 

『沙華堂牙儖だ…同じIS世界に転生したんだ、なかよくやろうぜ。ジーク、ヒューギ(………クヒッ!何がよろしくだ…クソ原作がはじまるまで千年、俺様の計画が狂っちまった。まあ良いか、コイツら屑共を利用して俺様が楽しく過ごせる世界に作り替えてやる……キヒッ、キヒヒヒヒ)』

 

 

 

ー思えば、あの日の出会いは永い戦いの始まりだった…私たちがヤツの本心に気づけなかったのも一因とも言える。その頃から世界中に戦争の機運が高まりを見せた時…沙華堂牙儖は笑ってその様をみていた。彼は危険だと悟り友《ヘリオス・オリンパス》いや《ギリアム・イェーガ》と共に、私は転生特典で貰ったISゴッドΣグラヴィオン、兄はISグレート・バーンガーンで奴に戦いを挑んだ…だが敗北しISを奪われてしまい死を覚悟した時、友が命がけで私達二人を助けヤツと相打ちになったー

 

 

 

『ヘリオス!』

 

 

『にげろ!ジーク、ヒューギ、コイツは私が相手をする!!』

 

 

『じゃまをするなよヘリオス~お前がどんなに足掻いても俺様には勝てないんだよ。ゲシュペンスト如きで俺様の《冥王》にはなあ?キヒッキヒヒヒヒ!!』

 

 

『……そうかな、わすれたか私がどんな存在かを?』

 

 

『貴様!まさか!!』

 

 

 

『ヘリオス!やめろ!それを使えば君は………』

 

 

『………ジーク、ヒューギ…後は頼む………システムXN起動……コード・コキュートス!!』

 

 

 

『じ、次元連結ジョイントが?エネルギーが反転?ぎ、ぎゃああああああああああ!?』

 

 

白き冥王を羽交い締めにしたゲシュペンストから不可視の光があふれ空間がゆがみはじめ弾け飛ぶように《この世》から消えるのをただ見ているしか出来なかった

 

 

ー……我が友ヘリオス・オリンパスの命と引き替えに救われた私達は奴がいつの日か復活する事を予見していた…それに対しての備えをするべく私はサンジェルマン、兄はガッシュと名前を変え奴が残した戦争の火種を消し、破滅的な事態に陥るのを瀬戸際で防ぎながらサンジェルマン商会を設立した…そして知ってしまったのだ。このIS世界は原作とは違い多種多様な勢力が存在し破滅から戦う存在《女神アテナの聖闘士》、地球の意志《オーリン》、《アトランティス》……ヘリオスの言葉が真実味をましてきたのだー

 

 

『……ジーク、ヒューギ、もし君たちが言っていた事実が本当ならば、この世界は《実験室のフラスコ》だ。本来存在し得ない転生者、私がいることで有り得ない結果が起こりうる可能性が大だ

 

 

実験室のフラスコ、ヘリオス・オリンパス…その言葉は間違いなくOGのギリアムと同じだ。まさかこの世界に来ていたのか!?

 

 

ー永い時をかけ私はサンジェルマン商会の規模を世界中に拡大し、それに伴い各国王族ならびに為政者とのパイプをつなき名前をサンジェルマン・ファウンデーションへ変えた。そして八十年前、恐れていた時が来てしまった……奴が遥か彼方の宇宙《ボイド》から帰還したのだ。同時に余りの危険思想を持ってるがゆえに学界から追放された科学者達、最も危険な科学者《リュウノスケ・F・ゾンダー》をスカウトしバイオネットを創設。某国機業を取り込んだ…GGGアーカイブを閲覧した君なら、あとの事は知っているはずだー

 

 

…霧也の技をうけてから不眠症一歩手前になりながら、アシストマシーン設計とGGGの理念に添う形での仕様変更をする傍ら、GGGアーカイブを閲覧しバイオネットの成り立ちから世界中の紛争地域へな武器や開発した試作品供与、政府要人の誘拐拉致と洗脳…数えればきりがない程の悪事の数々は怒りを覚える。もしこいつらが俺の世界に来たらと考えるとゾッとしていた…しかし疑問が俺の中にあった

 

 

今まで公の場に姿を見せなかったサンジェルマン伯爵が表に出てきたのかがだ。アフリカでの解放点活性化時にGGG本部に整備メイド隊と共に現れ、中国に保管されていた旧ガオーマシンをありとあらゆる手段を使い燐に届けた……バラバラのピースが合わさり一つの結論へと導いた

 

 

ーサンジェルマン伯爵、一つ聞いていいですか?今までアナタは表舞台には極力でないようにしていた。なのに関わらずアフリカでの解放点活性化の際に本部に現れ大陸間弾道軌道に到達しアフリカに向かう装備提供を、GGG中国に掛け合って短時間で旧ガオーマシンを手配した……ー

 

 

ーなにが言いたいのかね?ー

 

 

ー伯爵が表舞台に出た理由……燐の為ですか?ー

 

 

これはあくまでも仮定の域を出ない。しかし伯爵はGGG…表舞台に姿を初めて見せ俺の言葉に微かに動揺する伯爵をみて確信した…しかし燐とどんな関係かがと気になった時、伯爵がゆっくりと口を開いた

 

 

ー……君の言うとおりだ…ー

 

 

わずかな沈黙のあと、目を閉じ苦しげに漏らした伯爵は静かに窓辺にたちながらある方向へ視線を向けた。まるでつられるよう見た先には、伯爵と年老いた白髪混じりの赤髪の老人、その手には生まれたばかりの黒髪の赤子を抱いている姿が収められた写真立て

 

赤髪の老人は俺がよく知る人物と似てる…いや間違いない。老人は伯爵の兄ヒューギ・ゼラバイア。おかしい、伯爵と同じG因子を永久新陳代謝抑制に回していたはずなのに関わらず年を取っている

 

それ以上に腕に抱かれている赤子は…って考えてた俺の疑問に答えるよう伯爵は静かに窓を開けはなった

 

ーヒューギ兄さんが《ガッシュ・ノワール》と名前を変えてからサンジェルマン.ファウンデーションの新たな支社を作るために100年前訪れたフランスで、ある日本人女性と恋に落ち結ばれた…その時G因子の永久新陳代謝抑制を解いた。同じ時を生きる為に…娘が生まれ、そして孫も生まれたが娘は産後の経過が悪く数日後に命を落とし夫も後を追うようこの世を去った。それから一年過ぎた頃、今から40年前、兄さんが私の所へ尋ねてきたー

 

 

『ジーク、俺はもう長くない……頼みがある。孫を、マヤの事を見守ってはくれないか?……奴の動きが気にかかるのはわかる…あの子が本当に困った時に力になれるのはお前しかいない……頼む』

 

 

『頭をあげてくれ兄さん…私も同じ気持ちだ……必ずマヤを守ると約束するよ…』

 

 

『すまない、すべてをお前に押しつける形ですまない………ジーク』

 

 

 

ーそれから二年後、ヒューギ兄さんは天へ還った……私は兄との約束通りマヤを見守っていた……兄さん譲りの頭脳、そして若くして生体医学の頂点を極めた、ゆくゆくは世界十大頭脳へ選ばれるのではないかと。さらに学を修めるために日本へ留学したマヤは運命の出会いを果たした。世界十大頭脳の一人息子《獅童ライ》と。年が離れていたが互いの人柄に惹かれ二人は結ばれ元気な男の子が産まれたー

 

 

ー………燐…と言うわけかー

 

 

ー…だが、私は兄との約束を守りきれなかった、マヤを死なせたばかりか夫のライ、マヤの子である燐に生き地獄を……今まで私達兄弟が奴の影を恐れ放置してきたしわよせが…燐に…ー

 

☆☆☆☆☆☆☆☆☆

 

 

「統夜くん?急に黙り込んでどうかしたのかい?」

 

 

「い、いや何でもない。それよりもう出来たんだろ?はやく運ばないと子供達がお腹をすかせて待ちわびてるぞ」

 

 

 

「そうだった。じゃあいこうか。今日のは力作だよ」

 

 

血で汚れたコックコートを脱ぎ、いつものふくに着替えていた燐は手早くカーゴに出来上がったロールキャベツを載せ先を歩いていく姿

 

サンジェルマン伯爵の兄ヒューギ・ゼラバイアの曾孫だったのには驚いた。だが伯爵からはこの事は胸のうちに隠すよういわれた、まあいきなり親戚だと言われたら燐が混乱するのが目に見える。本人から秘密にするように頼まれたのもある…それにもう一つ驚くべき事もきいていたからだ

 

燐はサンジェルマン伯爵の兄ヒューギ・ゼラバイアのG因子を隔世遺伝という形で受け継いでいる。それも二人のをも上回るほどに強力で、今回の検査でさらに強くなってる事もわかった

 

 

………もし、この世界が俺が知るギリアム・イェーガ…ヘリオス・オリンパスが言ったように《実験室のフラスコ》…様々なファクターが混在するこの世界に訪れる実験結果は………いや、今は早急に結論をだすわけにはいかない

 

(………バイオネットの総帥、牙儖の本当の専用機が、伯爵との話し合いで俺の知っているのと違うが《ゼオライマー》な上に、この世界に来たギリアムが所持していた空間と次元転移《システムXN》が敵の手にある上に、システムを完全に性能を引き出す為の《道具》としてギリアムさんは《生きているって扱い》だろうが、状況的に見てもバイオネットの方が分が良すぎる……)

 

そう、幾らGGGのバックにサンジェルマン伯爵が就いているとしても、バイオネットの方がどう考えても分が良すぎるのだ。

 

俺の予想だがバイオネットのパトロンの中には、国連に顔の利く存在がいる。

それも、GGGの運営そのものを『停止』させる事が出来るほどの存在がいる事は間違いない。

 

もしもバイオネットが本当の意味でGGGを壊滅させる気なら、今のように真綿で首を〆るような真似はせず、一気に刈り取る可能性が高いが、それをしないのは恐らく……

 

(サンジェルマン伯爵に対しての復讐と、自身の完全回復までの時間稼ぎ、同時に《新たなる薬品の投与》か……)

 

俺はこの《実験室のフラスコ》とも言える世界に、GGGや俺も『この世界に偶然来てしまった』のではなく、さまざまな意思が原因で、俺と言う存在を『この世界に来る事にされた』という事であったならば、俺がこの世界でになってしまった可能性が高いには

 

(GGGと一緒に牙儖を倒す事。その為の存在として、この世界に呼ばれた可能性か………)

 

サンジェルマン伯爵には、GGGの上層部(束を除くが)にのみ、俺がこの世界に来る羽目になった理由を語ったが、その可能性が高いとも思いつつも、勇者の背を見ながら、俺は前を見据える事にしておいた。

 

 

「統夜くん?やっぱり調子が悪いのかい?」

 

 

「い、いや、少し考え事をしてただけだ。冷めないうちに運ぼうぜ」

 

 

 

「ああ、わかってるさ」

 

 

……明るい笑顔を向け頷いた燐のあとをおうように歩みをすすめた

 

 

第二十一話 訪れた平穏、友の帰還(前編)

 

 

 

 

 




君たちに最新情報を公開しよう。

サンジェルマン伯爵領にある夜天教会で子供たちと食卓を囲みながら料理に舌鼓を打つ一同

国連本部から伯爵領へ訪れた大河長官、GGGメンバーと共に穏やかな時を過ごした統夜

そして楽しいときは過ぎていき別れの時がくる


ISーインフィニット・ストラトスー白き翼と勇気ある者

第二十一話 訪れた平穏、友の帰還(後編)


次回の投稿にファイナル・フュージョン承認!


next・winning・the・key!


亀山玄武ーGAMERAー


コレが勝利の鍵だ!!





▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。