IS/勇者王ガオガイガー─白き翼の戦士と勇気ある者― 作:オウガ・Ω
神秘の力を操る人々が住まう巨大な大陸に存在した超古代のアトランティス文明は、何者かが創造した魔獣による人類殲滅の野望を阻止するために、 オリハルコンで錬成された巨大な甲羅状の「器」に神秘の力を収束させて守護神《ガメラ》を生み出した
神秘の力を振るい、業火で魔獣を焼き尽くす姿はまさに神だと超古代のアトランティス人は確信した
全ての魔獣は駆逐され、人類の滅びは免れた……いやソレが魔獣を生み出した者の真の企みであることだと知らずに
魔獣を駆逐した直後、守護神ガメラは暴走。魔獣神ガメラへ変貌し、自らを生み出したアトランティス大陸を、ソコに住まう人々を無差別に焼き殺そうとした
その時…魔獣神ガメラに立ち向かうモノが居た
ギリシャの神、外なる神々との戦いに備え、あるものを生み出すために古代アトランティス大陸に来訪した女神アテナ、アテナを守護する88人の少年、少女達
その中で最強を誇る13人の少年、少女の一人…《神鳴る力纏う獅子》の守護をもち、黄金に輝く鎧を纏う少年が立ちはだかったのだ
『GAAAAAAAAA!!』
分厚い硬い腕が少年の身体を叩き潰そうと迫る、しかし少年は身動きすらしない。激しい地揺れと共に押 しつぶされた光景をみた誰もが死んだと思った
しかし、僅かに押しつぶされた少年の周りが浮き始め、バチバチと青白い電光が漏れ出した瞬間、獅子のような叫びが木霊した
無数の雷光が煌めき、強固な外殻を持つ魔獣神ガメラの腕が噛み砕かれたよう吹きとび、たまらず地を奮わすような叫びを上げ、血が雨のように吹き出す中を歩く人影…黄金の鎧を纏う少年が真っ赤な髪を揺らし青白い電光を全身からバチバチならしガメラを見上げながら口を開いた
「アトランティス大陸の人々の想いが生み出した守護神ガメラよ。その高潔な魂を邪悪なモノに穢され苦しむおまえの魂を拳を通じてわかる……本意では無いと…」
『ーーーーーー!!』
少年の言葉に微かに身動ぐも、意思と関係なく口から業火球を撃ち放つガメラ…少年は大きく両腕を広げ動く様子を見せない。背後には無力なアトランティスの民がいる。その瞳から慟哭の涙《血涙》が伝い落ちるのをみて言葉は届いたと確信し、常人なら数百回も炭化、蒸発する巨大なプラズマを受け止め、やがて大空へ向け高く蹴り飛ばした
凄まじい勢いでプラズマ火球は空へ穿たれ、大気圏外へ押し出され霧散して消え去る光景に驚くアトランティス人は少年の身体になんのダメージ、火傷などがないことに驚愕した
「………偉大なる守護神ガメラよ。アナタに誓う…この世界に邪悪が溢れる時、我らの神、女神アテナと共に必ず守る事を……」
『ーーーーーー、ーーーーー』
「…
その蹴りは大地を割り、その拳は空をも斬り裂く、邪悪な神々からこの地に住まう生命を護る女神アテナを守護する戦士、聖闘士《セイント》
身に宿る力、小宇宙を高めて雷光と、黄金のオーラが膨れ上がり、背後に雷光纏う獅子が浮かび、あたりに光球が数百、幾千も現れ雷光がほとばしり、やがてガメラの周りをとり囲み、まるで銀河を形成していくよう広がる様に警戒し再びプラズマ火球を撃つ体勢を取った
「守護神ガメラよ!この輝きがオレの偽りなき魂、誓いの証だ!!………」
裂帛の叫びと同時にガメラを取り囲む雷光纏う光が煌めきが突き刺さり、全てが撃ち込まれるよう浸透していく…
雷光にも似た獅子の叫びがあたりに木霊した
「燐兄ちゃん、統夜兄ちゃん、はやく、はやく~」
「ごめん、ごめん。少し片づけに時間かかってね…じゃあ、一緒に」
「「「「「「いただきま~~~す」」」」」」」
手を合わせ元気な声が部屋いっぱいにひびくと、みんながいっせいに食べ始めた。
「ん、おいし~燐兄ちゃんのコンソメスープ」
「パンもふかふかして、柔らか~い」
「はふ、燐兄ちゃんの作るご飯、おいしいよ」
ははは、久しぶりに作ったけど大成功かな…っと、オレも食べようとしたら、統夜くんがジッと見てる
「……な、なあ燐、そんなに喰えるのか?」
「え?ああ、少し足りないぐらいかな……それよりも早くしないと無くなるよ?」
「そ、そうか……じゃいただきます……うまい!?」
オレの前にある山盛りのパン、土鍋並のグラタン二つ、山盛りサラダ、コンソメスープを見て驚いた顔で聞いてきた。まあ普通じゃないかも知れないけど、これだけ食べないと《喰われる》から。コンソメスープを飲んで感嘆の声を漏らす統夜くんを見てたら、いつの間にか束さんとシャルが両隣に座っていた
「リッくん、ケガしてるよね。ハイ、あ~ん」
「燐、ロールキャベツたべるよね、はい」
「た、束さん?それにシャル?大丈夫だから「はい、あ~ん」………………うう、あ、あ~ん」
束さんのコンソメスープを飲んで、シャルのミートパイを頬張った……スープが躰に染み渡り、ロールキャベツのキャベツの甘み、肉汁が溢れる食感…ん、美味しい
第二十一話 訪れた平穏、友の帰還(後編)
「「「「「「「ごちそうさまでした」」」」」」
子供達の元気な声が食堂にひびく、席を立つと食器を重ねワゴンに載せてる
「………食べた食べた。さて、片付けるかな」
「お、おい、ケガしてるんじゃ……」
「…大丈夫、もう治ったから……ほら、平気さ」
食器を洗うため、包帯を外してみせた。なんか驚いた顔をしてる。まあ、この身体になってからは美味しい食事をとれば大体の傷はすぐ治る。まあ、たくさん食べないといけないけど
大小様々な食器を分けて水に浸け洗い始め高速乾燥機に入れてふたを閉じたながら。みんな残さずきれいにたべてるなあと思った
「燐、この鍋は何処にしまったらいいかな?」
「リッく~ん、このお皿とナイフ、フォークは?」
「シャル、鍋は左から二番目の棚に置いて、束さん、お皿は四番目のキャビンに、ナイフ、フォーク、スプーンは右から一番最初の引き出しに入れて」
「馴れてるんだな燐」
「ん、よくココには来るんだ……よっと、これでラストだ」
洗い分けた最後の皿を纏めて水から引き上げ、高速乾燥機に入れ、シンク周りをきれいに拭き終えて軽く息をついた。ココの神父で院長のザッフィさん、牧師のマニゴルドさん、カルディアさんがみんなの食事を作るだけあって配置は非常に使いやすいから助かる
「シャル、束さん、統夜くんも手伝ってくれてありがと軽くティータ……「…燐様、サンジェルマン様がお呼びです」………って咲夜姉さん?」
白のメイドキャップ、イギリス調濃紺のメイド服に身を包み立つのは、サンジェルマン城に勤めるメイド達の長《咲夜》さん。名字はわからないけど伯爵に古くから仕えてるしかわからないけど、夜天教会の子供達からはお姉さんって慕われてて、神出鬼没で呼んだらすぐに来てくれる人だ……
「伯爵がオレを?でも……みんなの」
「ココは私達がメイド隊が引き継ぎます。それと不動統夜様もお招きしたいと申してます」
「俺も?」
「はい、あまりお待たせするといけませんので」
……伯爵が統夜くんに会うのはわかるけど、オレもなんて珍しい。今まで通信や文章でしかやり取りだけしか接点がない
なんでかわからないけど、伯爵はオレに直に会うのを避けていたし…まあ、とにかく咲夜さんの言うとおり待たせるの失礼だ、シャルと束さんにも説明すると納得したのか子供達と遊びながら待つって言ってくれたから、サンジェルマン城に向かったんだけど
「咲夜さん、ココでいいの?」
「はい、伯爵がこちらにお招きするようにとの言伝をいただいてます」
頭を下げる咲夜さんの先には大きく掲げられた《愚裸美温泉》と書かれた看板と湯暖簾が掛かった場所…サンジェルマン城の巨大温泉施設の前にいる
「あ、でも着替えが、それに統夜くんの着替えも用意してないだろ?」
「ああ」
「ご安心を。お召し物ならば、のちほど私どもが用意して参ります。さあご緩りと…伯爵も後ほどお見えになりますから」
「ち、ちょ咲夜さ………あ、もういない…とにかく行こうか…」
「そうだな」
あっというまに咲夜さんの姿が消え肩を落としながら、統夜くんと一緒に脱衣所へ入る、インタークーラーコートを脱いでハンガーにかけ脱ぎ終えタオルをてにし、磨き抜かれた飴色の床に樹木を柱に利用した造りの扉を開け放つた
自然石を利用した広大な石畳、日よけの檜造りの小屋、檜の絽から滾々と湧き出す琥珀色の湯と岩場、風に揺れるる竹林をもつ温泉にオレは目が奪われた
「スゴいな……」
「ああ、とりあえず入るか」
統夜くんの言葉に頷くと手桶に湯をすくい離れた場所で身体へかけた…少しピリピリとするけど心地いいなと思ってると視線を感じる…
「ああ、これ気になる?普段は気のコントロールとコートで冷やしてるから見えないけど、こんな感じで体温があがるとね」
「よく来たね獅童燐くん、不動統夜くん。偶羅美温泉へようこそ」
「サンジェルマン伯爵?」
静など凛とした声が木霊す中、サンジェルマン伯爵が岩肌が目立つ湯屋から姿を見せた…なんかわからないけど…昔から知ってるような感覚にとらわれた
「こうして直に会うのは初めてかな。今まで我が財団の運営を円滑に進めるために必要な手続きにかかりきりになっていてね」
「い、いや…そんなことは」
「咲夜とクッキー、トリアからも度々目に耳にしていた…ID5、GGGとしてバイオネットとの戦いに身を投じ数多くの人々、アフリカの解放点を守り抜いたことも感謝する」
「頭をあげてください伯爵。今までバイオネットとの戦いも、アフリカ解放点阻止にはココにいる不動統夜君とトリアさん達、力を貸してくれなかったら出来なかった…礼なら彼らにいってください」
そう、この勝利はサンジェルマン伯爵、束さん、シャルロット、凍也、トリアさん達を始めとしたメイド隊、GGG隊員、ガ・オーン、旧ガオーマシン、そして不動統夜くんの力が無ければもぎ取れなかった
「そうか、不動統夜くん。改めて君にも礼をいわせてくれ。本当にありがとう」
「あ、先にもいったけどそんなに頭を下げないでくれ……燐がいうように誰か一人が欠けてもバイオネットの企みを潰せなかったから…」
「たしかにそうだ…さ、ゆっくりとこの温泉を楽しもう…この湯はサンジェルマン城の地下から湧出した天然の温泉だ…疲労とキズによく効く」
「じゃあ入るかな、さっそく…」
ゆっくりと掛け湯し、統夜くんも入ろうとした時だ、サンジェルマン伯爵が行く手を阻むように手を出した
「待ちたまえ二人とも…手ぬぐいを湯船に入れるのはマナー違反だ」
「「あっ?」」
静かに指さされた湯につかりかけた手ぬぐいをみながら、互いに顔を見合わせ笑いだした…伯爵もつられるように笑みを浮かべ。慌て手ぬぐいをたたみ頭に乗せ湯船に浸かる…琥珀色の湯が全身を温め解すように流れ、湯気がふわりと立ち上った
ソレからしばらくして湯船から上がったオレと統夜くんはサンジェルマン伯爵からコーヒー牛乳を貰い一気飲みして、しばらくして晩餐会(正確には鍋。もちろんGGG隊員、トリアさん達も招いて)で会話を交えながら盛り上がった
そんな時、大河長官が統夜君に話しかけてきた
「不動統夜くん、バイオネット総帥とのやりとりを聞いたのだが…『女尊男卑の女性を精神崩壊させた』とあったのは事実かね?」
「…それに関しては否定しません、今さらだけどやり過ぎたって。でも今は悪夢で見るぐらいにまでにしましたけど」
「だがしかし、精神崩壊はやりすぎじゃろ?」
「あぁ~、それに関してなんですが」
統夜くんの世界にいる『GT』という組織から、世界情勢、彼が設立した『不動研究所』が有するテクノロジーを狙う各国諜報機関員による情報戦を含めた水面下での攻勢…ソレを聞いたGGGメンバーはやはりと思った
実は最近になってGGGが持つテクノロジーを簒奪しようと動くバイオネットとは違う第三国の影が見え隠れしていると諜報部から上がっていた。これらに対しては霧矢を始めとした善忍が対処している(記憶消去なども)
でも流石に精神崩壊は…体温が上がりはじめるのを感じたのかコートが冷却していく。まあ最後まで聞いてみよう
「それに、精神崩壊のネタって、ここでも平気で出来ますよ?あと最初に火麻参謀、謝っておきます」
『『『『『・・・はい?』』』』』
え?出来るの…回りの皆も驚いてる。でも何で火麻参謀に謝罪したのだろう?統夜君が静かに手を掲げた
「目を瞑って俺が今から言うのを想像して下さい。一応バケツとか紙袋とかを用意したほうがいいですよ。絶対に吐きますから。流石に言う側の俺も気持ち悪いんですから」
「・・・そ、そうなの」
「そりゃああまりの気持ち悪さに、SAN値がこれでもかと言う位は行きますからね」
む、そんなにヤバいのかな…GGGの皆も袋を用意して目を瞑った。オレも目をつぶる
「暗い部屋にいて、どこからか光と声が聞こえて来たので目をあけて見ると…」
一泊。間を置いた…回りの気配から何が起こるのが身構えてるのを感じ身を強張らせた時
「火麻参謀並の黒光りする筋肉をもつピンクのビキニをつけたオカマが自分に向けてウインクをして来た」
『『『『『ッ!?♪◑ф◆▲※◆◑@@*&&』』』』』
「その場から逃げようとしたら、今度はその目の前に同じようなマッチョで、しかもこれでもかと言うくらい股間の膨らみがあるオカマが現れて、抱擁しようとして来た」
な、なんて恐ろしいんだ。さらに紡がれた言葉に目を開けたオレの前にはGGG隊員が膝をつき、倒れ、悶えている何人かいる。ふらつきながら統夜くんをみるとスゴく申し訳ないの顔して、さらに
「そして、扉が見えたのでその扉をあけると、そこには世紀末覇者のような肉体を持ち、ゴスロリの魔法少女衣装で、おまけにネコミミ付きも付いていて、自分に向けて『何処に行くんにょ』と言うのが前にいた」
『『『『『ぎゃぁあ~~~!!!』』』』』
ドサッ…って音に振り返る…霧矢がビクビクと体を震わせながら倒れている…しかも白目むいて…
「き、霧也!!誰か医務室の人呼んできて!!クッキーさん」
「霧也様、しっかり…早くメディカルルームに!」
ダメ押しと言わんばかりの言葉に、辛うじて立っていた残りの隊員も体を震わし膝をついている、まさに阿鼻叫喚の地獄絵図…あたりをみると少し顔色が悪い大河長官、火麻参謀、じいちゃん、オレとシャルロットだけしかいない。少し離れた場所にいる伯爵達や、束さんやユーノ、凍也、セシリアさんが向こうにいるから無事だ
「と、統夜くん、君は大丈夫なのかね?」
「う、流石に堪えましたよ……もう二度とやりたくないですね」
「そ、そうじゃのう…すまないのう?とりあえずこの話は終わりじゃ」
さっきのを口にした統夜も少し想像してたみたいだ…足下が少し震えてる?まあ、こんな感じで夜はふけていった
そして翌日、オレは何時ものように朝稽古をするため城から出た…広大な草原を歩いていると巨大な石碑が見えインタークーラーコートを掛け、脚を肩まで広げ目を閉じた…感じるのは風、草木と土、朝露の匂い
「フッ!」
踏み込みと同時に拳が空を切る…風が巻き起こる。調息しながら氣を丹田へ集め全身に行き渡らせていく…
「はっ!せぃ!!」
肘打ちと同時に膝蹴り、空を舞いながら急降下し蹴りを放つと地面が大きくめくれあがる…氣をさらに練りあげていくとキラキラとした光が全身に浮かんでいる。この感覚を意識しながら踏み込み、穿ち、蹴打、拳打を繰り出す。そのたびに空気が震え稀に破裂音が響く
「よし、そろそろ切りあげるか……!」
肌に感じた強烈な違和感、この気配がするのは空からだ。GGGへコールと同時に固めた拳を構え向けた時、見慣れたモノが広がった
「こ、これは…統夜君が来た時と同じ現象……!?」
巨大な対極図を中心に無数の幾何学的円環が浮かんでは消える中、中心からガラスを割れ感じたことの無い氣が溢れだしてくる
氣の奔流に耐え捉えたのは氣の奔流に耐えながら目を向けた先には一人のトサカのような短めの黒髪に優しい翡翠色の眼、革ジャン姿の青年がいた…氣の感じから敵じゃないのはわかった。こちらに気づいたみたいだ
「ん、人か?……ッ!?」
なんか驚いてる…まあ、こんな躰見たら仕方ないか。枝からインタークーラーコートを羽織り改めて向きなおって彼をみた。さっきの現れ方は統夜君の時と同じだ
もしかしたらと思い話しかけてみる
「あの…もし違ったらすいません。不動統夜君の知り合いですか?」
「統夜を知ってるのか?」
「はい、彼は今、この先にあるサンジェルマン城にGGGの皆といます…オレはGGG機動IS部隊所属《獅童燐》といいます」
「オレは亀山玄武。出来ればこの世界について教えてくれないか?」
「この世界についてですか?いいですよ。少し長くなるから歩きながらでかまいませんか、亀山玄武さん」
「ああ」
で、歩きながらでこの世界について…地球規模防衛組織GGG《ガッツィ・ギャラクシー・ガード》、そしてバイオネット。この世界に統夜君が迷い込んでしまい誤解から霧也との諍い、疾風が視力を失い戦線を離れる中で、アフリカでバイオネットが企んだプラネットエナジー解放を防ぐために力を貸してくれた事も含めて全部を亀山さんに。
「そうか…燐、君たちと統也が…」
「はい、統夜君が力を貸してくれ無ければアフリカ大陸は……あ、着きましたよお~い!統夜くん!!」
サンジェルマン城地下から日本へ戻るために三式空中研究所、三段飛行甲板IS空母、水陸両用IS整備装甲車が資材搬入作業と整備メイド隊の誘導でリフトアップ作業する中、大河さん、火麻さん、じいちゃん、束さんと何か話してる統夜君に呼びかけるとこちらを向いた
「燐、どうした……げ、玄武さん!?」
「統夜、ようやくみつけたぞ」
「燐、彼は?」
大河さんが不思議そう訊ねてきた。彼、亀山玄武さんは統夜君の知り合いで修行中に起きた空間の捻れ?に巻き込まれたと知って様々な世界を探してまわってた事を話した
「てぇことは、不動は元の世界に帰れるって事だよな?」
「ふむ、間違いないじゃろうて…不動統夜君がこちらに転移した際の空間干渉ベクトルは亀山玄武君が現れた時と同じ数値じゃ…」
「うん、間違いないよ…マルチバース間の行き来を可能にするなんて。うんうん、コレならレプトントラベラーに応用出来るよ、先生」
「……………!何故、篠ノ之束が……」
「あれれ?束さんの事を知ってるのかな?亀山玄武くん?」
ああ~やっぱり驚くみたいだ。統夜君の世界にも束さんが居るなら、亀山さんの世界にもいるってことだ。ソレに嫌悪の色と何かを感じてるみたいだ。オレを見た時と同じなんだけど
「ああ、いや…なんでも無い(…全然別人じゃねえか…まともすぎる!…それに篠ノ之束から神の力、幻想郷の龍神よりも遙かな高みに座す神の力が…この世界の篠ノ之束は一体?)」
「どしたの?気分でも悪いの?」
首をかしげる束さんに冷や汗を流してる亀山さん…やっぱりギャップがありすぎるんだろうかな?そうしてるウチに三式空中研究所、三段飛行甲板空母、水陸両用整備装甲車へ必要資材とサンジェルマンファウンデーションからガオーマシンの補修パーツ一式が積み込み完了した。オレ、シャル、束さん、凍也、セシリアさん、じいちゃん、火麻さん、大河さんを初めとしたGGG隊員がずらりと並んだ。視線の先には亀山さん、そして統夜君がいる。大河さんが前へ出た
「不動統夜くん、君の協力でアフリカでのプラネットエナジー解放という未曾有の危機を乗り越えることが出来た。我々GGGは一生忘れなる事は無い…そしてありがとう」
「そんなことは無い…ここに居る全員が力を合わせなければ出来なかったですから…」
「そうかね…だが誓おう、我々GGGは君の世界に危機が訪れた時には必ず助けに来よう……世界は違えど必ず」
「統夜くん、これで帰ってしまうのはなんか寂しいな。もう少し話しをしたかったな…」
「まあ、コレが最期ってわけじゃ無いだろ?その時が来たら、ごちそうを山のように用意してまってるさ…」
「はは、楽しみにしてるよ…いつかバイオネットとの戦いが終わったら。そうだ教会の皆がコレをきみに」
「こ、これは…」
オレが手渡したのは夜天教会の子供達から渡してくれと頼まれた、たどたどし文字が目立つ寄せ書き、画用紙一杯に描かれた統夜君の似顔絵。亀山さんは笑顔を浮かべみてる。大事そうに手にした統夜君の顔にも笑みが浮かんでいる
「……さて、統夜、帰るとするか…」
「はい、燐……またな!」
対極図にもにた幾何学模様が空に広がり、亀山さんとファイバードを展開し纏った統夜君が空へあがる…大河さんをはじめとしたGGG隊員全員が見送来る中、二人の姿が陰陽対極図に飲まれ同時に消えた
「行っしまったね」
「ああ……無事に帰れたかな統夜君」
「大丈夫さ。彼は……「「「「「「「「勇者だからな」」」」」」
大河さん、火麻さん、じいちゃん、束さん、オレの声がハモった…顔を見合わせ静かに頷き三式空中研究所、三段飛行甲板空母、水陸両用整備装甲車と共に帰還するため空へ浮上、サンジェルマン城をあとにした
ガオーマシン強奪からはじまり、バイオネットによるプラネットエナジー解放を含めた一連の事件《悪夢の十日間》は異世界から来た不動統夜君と共に阻止する事で終わりを迎えた
でも、この時は知らなかった…臨海学校がはじまる前にオレ達GGG機動IS部隊が統夜君の世界へ飛ばされ…そしてバイオネットの魔の手が伸びてることを
君たちに最新情報を公開しよう!
悪夢の10日間、異世界転移を経て訪れた平穏、数日後に迫るIS学園臨海学校準備のために水着を買いに行こうとシャルに誘われた燐
一方でGGGではGクリスタルに封印されていたハズの《G》…ISジェネシック・ギャレオンの調査、不動統夜からもたらされた技術
果たして、勝利のカギとなり得るのだろうか!
IS/勇者王ガオガイガー─白き翼と勇気ある者─
第二十二.五話 平穏
次回もIS/勇者王ガオガイガー─白き翼の戦士と勇気ある者―にファイナルフュージョン承認!
─重力子+旧ガオーマシン─
コレが勝利のカギだ!