IS/勇者王ガオガイガー─白き翼の戦士と勇気ある者― 作:オウガ・Ω
―重力ブロック異常!降下食い止められません!―
―スタッフを脱出ポッドへ急いで!!―
―隔壁が突破されます!あなた達だけでも逃げてください!!―
―……ダメだ全員で生きて帰…―
―アッハハハハハハ~いけませんねぇ~コレがどうなってもいいんですかあああ獅童博士♪アハッ♪♪―
閑話 イタミ―PAIN―
ハジマルヨ
痛い…
最初に感じたのはそれだった
目に入るのは無機質な壁…薄暗い部屋にいるってのがわかる
四方の壁から大小彩り様々なケーブルがナニかに繋がってる
「ア~ッハハハハハハ~今日も楽しい実験の始・ま・り・だよ~」
奇抜なファッションに身をまとったピエロが笑いながらズイッと無機質な仮面から覗く瞳で顔を見てくる
怖い…ただそう感じる…今日も『痛い』ことをやるんだろうか
―やめて―
声を出そうとするけど口が動かない…
何でここにいるんだろう?
名前も思い出せない。覚えてるのは《熱》を伴った《痛み》と誰かに抱き抱えられる感覚だけ
ぼんやりと思い出した瞬間、視界に火花が散り身体がビクンッと跳ね痛みが走る
「うあああああ!ああああああああああ!!」
「おやおや~まだ声をあげる元気があったみたいですねぇ~《痛覚遮断》はうまくいかなかったみたいですねぇ♪」
「あ、ああ…や、やめ…ああああああああああ!」
「更に倍増し♪いやあイイ声ですねぇ~最高ですよおお――――くん…ア~ッハハハハハハ~♪」
リモコンを片手に無機質な仮面から笑い声をあげてる
やめてよ…痛いよ…イタイ…イタイ…
「ギムレットくん、あまりお遊びしたらいけないだろ~せっかくの作品を壊したら元も子もない」
「あぁ~コレはいけませんねぇ~失~礼しまし~た…」
「…さて痛覚遮断手術を始めるか…さあ出て行きたまえ、ギムレットくぅ~ん」
「アッハハハハハハ~では失礼…フヒヒヒヒ」
仰々しく頭を下げスッと部屋を出る彼を見届け、にんまりと笑顔を浮かべる小太りな男性が手をあげると暗い室内に光がつく、壁や床に黒い染み状のナニかが飛散している
「フフフ、今日は君にとって最高の日かもね~我が《バイオネット》最高傑作として私自らが改造するのだからね…まあ麻酔なしだが・ねぇ」
両手をかざすと指がワキワキ動く…いや裂け始め中からメスや鉗子がガシャガシャと近づいてくる
イヤだ
やめてよ…イタイのは…
そんな願いも虚しく痛みが走る…メスがスウッと入るのが目に見えた
「ああああああああああ!ああああああああああ!!」
「あぁ~イイ声だ///内臓もピンク色で中々の健康体だ…」
「ああああああああああ!!あっ!ああああああああああ!!」
「さあ、もっと聞かせておくれ…さしずめ第九といった方がイイ声だああねぇ~」
「う、うう…うあああああああああああ!!」
叫び声が壁に反響し響くも外へは一切漏れない…男性が腕を動かす度、ナニかが砕け、削るような音と共に床にはおびただしいほど赤いナニかが無機質な床とケーブルへ垂れ落ちてくのは真っ赤な血
近くの台には赤いナニかがのせられその数を増やしていき彼の手が止まる
「痛覚遮断完了…フヒヒ…綺麗な心臓だ…リズムよく動くのはまさに芸術品。そう思うだろ、ん?気絶したか…残念だなあああ…じゃあ電気ショオオック!!」
白衣が膨れ上がり破け、その背中から二つの電極が円上の手術台の年端もいかない子供の手に刺さッた瞬間、カッと目を見開き再びビクンと身体が跳ね上がり叫んだ
『ウワ、ウアアアアアアアアアアア!!ウアアアアアアアアアアア!!!』
『ふむ、痛覚遮断手術は完璧ではないようだ…再手術開始といこうか…』
『うぐああああああああ!うあああああああ!!』
「…あんまりやり過ぎたらダメですよおお~でないと死んでしま…壊れちゃいますからねぇ~ああ、私も言えた義理じゃないですねえ~これが上手くいけば世界中の紛争地域と各国の軍から注文が殺到するでしょう♪」
『神経節、切除…む、まだ切れないか…だがこの神経節見れば見るほど美しいなあああああ』
メス、鉗子、レーザーメスが舞うと叫びは増し、血が飛び散り壁や床に染みを作る様子を分厚いガラス越しから椅子に座り呟くギムレットは用意された血よりも赤い紅茶が注がれたカップに口をつけ飲み干した
「…最高の音楽と楽しむ紅茶は最高ですねぇ~アッハハハハハハ~」
『う、うう…ウアアアアアアアアアアア!!』
無機質な仮面から覗く狂気に彩られた瞳は泣き叫びながら手術される姿をただ眺めるギムレットの狂気にも似た声に必死の叫びはかきけされた
閑話 イタミ―PAIN―(一)
了