blaine・stop   作:cl.

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今回は三人称視点で書いてみました。

どちらが見やすいか言って頂けると幸いです


詰み-Checkmate-

涼太は悩んでいた。

 

そして悩んでいた理由は勉強でも部活でも、はたまたブレインバーストの事でもなかった。

 

厳密に言うとブレインバーストの事だったが。

 

それはさておき、それなら何故涼太は悩んでいるのか。

 

それは数分前にまでさかのぼる。

 

━━━━━━━━━━━━━━

 

4限の終わりを告げる鐘の音に耳をすませながら、涼太は今日の昼食に何を食べようかと悩んでいた。

 

カレーやラーメンなど、考えただけでもヨダレが止まらない定番メニューを頭に浮かべていると、ふと教室のドアがガラッと開いて、そこからツインテールの良く似合った巨乳美人が入ってきた。

 

その美人は周囲が騒めいているのに目もくれず、コツ、コツと音を立てながら涼太の席まで歩いてきた。

 

周囲はさらに騒めき、涼太は背中に冷や汗を流す。

 

彼女の名は『高野内 琴』青のレギオン、レオニーズの幹部の1人であるLv.7で青の王『ブルー・ナイト』の側近。

 

彼自身今日知ったのだが彼女はその容姿からリアルでは人気が高いらしい。

 

それと今更になるが、何故同じ学校にバーストリンカーが居たにも関わらず、何故彼はこの5年間対戦をふっかけられなかったのかと言うと、涼太は加速世界有数のプログラマーも生業としていた。

 

そして加速世界から引退する時に作った専用MOD『インビジブル』を作成した。

 

これは単純にClarinet・clockの名前を対戦リストから見えなくする物だった。

 

それだけ見ればとても便利かつ卑怯に思える代物だが、実際はそんな事は無く、使用する際にはそれなりに面倒くさい条件や弱点がある。

 

それは使用中、他のアプリケーション等の使用を殆ど制限される事や、リストに見えないだけで実際はリスト内に名前は存在し、それに気づかれたら終わり、という物だ。

 

そして今回のアップデートでインビジブルは完全に使用不可になり、前回の様な行動を取ったりした。

 

「涼太さん、一緒にお昼食べませんか?」

 

涼太は今気づいた様に振り向き、雪の目を見る。

 

「あ、あぁ高野内さん、こんにちは、俺が貴女と一緒にお昼だなんて、冗談がキツイですよ」

 

引き攣った笑を浮べながらタダの知り合いを装うが、雪はふっと微笑みながら玉砕する。

 

「冗談なんかじゃないですよ。それに私の事は琴って呼んでくださいって言いましたよね?」

 

その微笑みと発言は男共の嫉妬心を煽るには十分で、溢れ出る殺意と突き刺さる様な嫉妬の眼差しは涼太に一つの確信を知らしめた。

 

(俺は今日死ぬかもしれん)

 

「わかりました。で、何処で昼食を取るんですか?」

 

断れば琴が出ていった瞬間リンチになるので、少しでも生存時間を延ばすために大人しく着いて行く事にした。

 

「ラウンジです。そこでもう一人待っていますので早く行きましょうか」

 

俺は「さてと」と立ち上がると、彼女は涼太の手を握り、急かすかのように早足で涼太を引っ張った。

 

そして再び肥大化する殺意。

 

(よし、後で襲われたらフルバースト使お...)

 

そう心に決めた涼太は今はこの手の温かみを精一杯感じようと手をすこし強く握った。

 

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ラウンジに着き、「何か買ってきますか?」と言われた涼太はカウンターへ行き、醤油ラーメンを注文し、それを受け取るとすぐに周りをグルッと見渡すし彼女のいる席を探した。

 

すると奥の方の席に、雪と、雪にそっくりのポニーテールの女の子がいた。

 

(あっアレがマンガンかぁ...(察し))

 

片方の存在を知っていると、分からない方がおかしい程酷似しており、逆にこれ程の美人達の存在を気にとめていなかった自分にすこし心配になる。

 

そんな思考を振り払いながら2人の座ってる席に座ると、目の前に同じ弁当箱に混ぜるようにラーメンを置いた。

 

すると今度は琴が直結用ケーブルを差し出してきた。そしてよく見ると彼女等も直結をしている、

 

そして再び涼太は頭の中で頭を抱えた。

 

何故ならこんなのはたから見たら二股の現場だ。

 

こんなのした日には今まで特に目立たなく、それでいて平穏だった日々が一転、色んな奴から悪目立ちする挙句、毎日嫉妬に狂った奴らとの戦いの日々が始まってしまう。

 

だが、もしも繋がなかった場合は、恐らく加速世界でぶちのめされた後に無理矢理はめさせられるのだろう。

 

その瞬間涼太の頭によぎったのは、この状況を打破する妙案でも何でもなかった。

 

(────詰んだ)

 

今にも叫びたい衝動を抑えつつ、涼太は震える手でケーブルを嵌めたのだった。

 


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