死を見る大空   作:霧ケ峰リョク

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ようやくおニューのPCが届きました!!
これでようやくもとに戻れます!!

にしても新PC性能が良いですね。


ダメツナの学校生活

山、海と自然に囲まれた上に動物園や大型ショッピングモールが建設されている町、並盛町。

その町には並盛中学校、略称並中と呼ばれる校舎が存在する。

曰く、その学校に在籍する風紀委員長はこの並盛町の表と裏、その双方の支配者であり、彼の決定一つで卒業すらせずにいる等、黒い噂や変な話に話題が欠かない学校でもある。

最も並中に在籍する生徒全員がそこまで破茶滅茶かと言われればそういうわけでもなく、基本的には名の通り大でもなく、小でもなく、並みなのだが。

 

「イェーイ!! ピースピース!!」

「おいおい。またロンシャンの奴馬鹿やってるぜ」

「本当にいつも能天気で良いよなあいつ。あー、俺もあいつ程能天気になれたらなー」

 

そんな学校の校舎では平凡な日常といっても差し支えがないくらいの賑やかさで生徒達が謳歌していた。

いくらとても怖い暴君としか形容出来ない風紀委員長がこの校舎を根城にし支配していたとしても、それが自分達に危害を向かなければどうでも良いのだ。

事実、生徒は平和を満喫していた。

 

「へぶ!!!?」

 

今年度からこの学校に入学した沢田綱吉以外はーーーー。

 

「おいおい。何やってんだよダメツナぁ〜」

 

顔面にボールが直撃し、その勢いで床に転んだツナに男子生徒は駆け寄りながら呆れた表情をする。

後頭部を打ったのか、頭の後ろに手を当てて涙目になっている。それに余程激しく転んだ為にいつも掛けているあの瓶底眼鏡が床に転がっている。

男子生徒はやれやれと言わんばかりに肩をすくめて転がっている眼鏡を手に取ってツナに渡す。

その時、一瞬だけツナの瞳がオレンジと蒼の色へと変化しているようにも見えたが、男子生徒は気の所為だと思い込んだ。

それから授業が終了し、男子生徒達はツナに箒を持たせて足早に体育館を去った。

 

曰く、お前のせいで負けたんだから責任取ってお前がやれ、と。

 

「うぅ、何で俺がこんな事をやんなくちゃいけないんだよ…………」

 

当然の事ながら何でそんなことを態々やらないといけないのかと言わんばかりに、ツナは眉間に皺を寄せて頭を抱えている。

まさかボールが顔面にぶつかるとは思わなかった。

心の中でそう吐き捨てながらツナは無理やり押し付けられた箒を忌々しそうに睨み付け、元あったロッカーに戻す。

 

「こんな事やってられないよ」

 

溜息をつきながらツナはさぼろうと教室に向かう。

今現在、時間はお昼を過ぎ昼食を取っている時間帯だろう。

ならば今なら鞄を持って帰ることも出来る、と普段は全くと言っても良いほど機能しないツナの頭が考えを纏める。

この思考を普段の勉強でも出来れば良いのにとは何度か思ったことはあったが、残念なことにそれは全く機能していない。機能するとしたら日常生活では絶対に必要のないことだろう。

その事実にツナは泣きたくなり、現実から目を逸らす。

 

「ん、あれは…………」

 

偶然にもツナは窓の外に居た人物を視界に収める。

 

「…………うちのクラスの笹川さんに、その友人の黒川、だよなぁ」

 

そう言ってツナは何気無しに笹川京子とその友人の黒川花を見つめる。

笹川京子、その女子生徒を一言で語るなら学校のマドンナ的存在だ。

非常に暑苦しいボクシング部の主将である笹川良平の妹で、兄に似ずとても可愛らしい容姿をしている。その上性格も悪くなくむしろ良い。と、いうか直球で言ってド天然だ。

そんな彼女を心配して友人として一緒に居る黒川花も、性格はちょっときついが人として優しい方だろう。

そんな二人が何であんな所に居るのだろうか、そう思うツナであったが二人に近づいていく男の姿を見て察した。

 

「あれって持田先輩?」

 

今近付いたのは持田剣介、ツナよりも一年上の上級生で先輩だ。

現在は剣道部の主将で笹川京子とは同じ委員会に所属している。

そして現在、笹川京子と付き合っているという噂があるのだが――――、

 

「あの噂って本当だったんだ」

 

確かに噂通りであっても納得は出来た。

持田剣介が笹川京子に好意を持っていてもおかしくはない。

 

「まぁ、だからどうしたって話なんだけどさ」

 

この学校で笹川京子を狙っていない男子生徒なんてほぼ居ない。

出来れば、あわよくば付き合いたい。彼氏になりたい。彼女になりたい、という少数派も居る。

それに含まれないのはこの学校の風紀委員、そして風紀委員長。彼女の兄である笹川良平や野球少年でクラスからの人望も熱い山本武くらいなものだろう。

当然ながらツナも笹川京子を狙っていない。

確かに可愛いとは思う。将来美人にもなるだろう。

だが付き合うとかそういう話はどうしても頭に浮かんでこない。

 

もしあの人に出会っていなければ彼女に惚れていたのかもしれないが。

 

「さて、帰るとするか」

 

そう宣言してツナは体育館を後にする。

その後姿を遠くから見つめている存在を知らずに――――。

 

  ×××

 

結論から言って、ツナが校舎から逃げ出すのは非常に楽な出来事だった。

この日は同じく授業をサボっている不良達と遭遇しなかったこと。そして風紀委員長に出会わなかったことだ。

故にツナの脱出という名のサボりはほぼ成功したことになるだろう。

 

「お前らぁ!! こっちに来たらこのガキの首を掻っ切ってやるぞ!!」

 

帰りに刃物を持った男に人質にされさえしなければ。

本当にどうしてこうなったのかと叫びたくなる不幸っぷり。思わず心の中で悪態をつく。

しかしだからと言ってどうすることも出来ずにツナはそのまま人質として男の腕の中に居た。

 

「ぐ、くそっ! その子を離せ! 今なら―――――」

「うるせぇええええええ!! 俺はもうおしまいなんだよ!! ちくしょう、あんな奴らの言うことを聞いたから!!」

 

警察官の忠告を男は耳にせず、そもそも全く理解していない様子で取り乱していた。

まるで薬でもやっているかのように、だ。

正直な話し、この男は明らかに正常な状態ではない。その腕には注射の痕らしきものが複数あった。

間違いなく、薬をやっているだろう。

 

「はぁ……………」

 

その事に対してツナは思わずため息を漏らす。

全く、どうしてこんな事に関わらなければいけないのだろうか。

確かにサボりはしたがここまで酷い目に合う必要はないだろう。

心の中で苛立ちを募らせたツナは眉間に皺を寄せる。

そして男がナイフを振り回した際に、自らも頭を垂れて掛けていた眼鏡を地面に落とした。

 

「…………あんたは、自分の弱さを他人のせいにして言い訳しているだけじゃないか」

「…………おい、ガキ。今何て言った?」

 

ツナの発言を聞いた男は明らかな怒りを見せながらツナの首にナイフをあてる。

首にあてられたナイフが皮膚を裂き、僅かに血を流す。

その様子を見ていた野次馬は息を飲み込み、悲鳴を上げたりする。

しかし、ツナは自らの意思を明確にさせながら男を睨み付け、宣言する。

 

「あんたがこうなったのも、全てあんたの自業自得だ。他人のせいにする前に、そうならないよう自分を戒めなかったから、すぐに手を出せる一時の快楽に手を出したんだろ!」

「て、てめぇ!!」

「お前が終わったのも全部お前の責任だ! とっととナイフを捨てて自首でもしろよ!!」

 

そう言ってツナは男が怒り狂う前に人差し指で男の身体をなぞる。

本来なら、そのような行動をしたところで効果なんて無く、そもその前に激高した男に首を切られていただろう。

 

だが、ツナは特別である。

 

以前死にかけた事によってツナはある異能を手に入れていた。

その名は『直死の魔眼』といい、物事の死を線として見ることができるようになる眼である。

ツナは己の瞳に映った男の死の線を一本指でなぞったのだ。

 

「なっ、がっ!!?」

 

その結果、ツナを抱えていた腕が突如として脱力したのである。

ツナはその隙を見逃さず、振り返って男の身体にある線が重なっている箇所に指を突き付けた。

次の瞬間、男の顔から狂気が消え失せ茫然自失となる。

 

「…………い、今だ! 確保!!」

 

人質であるツナが解放された事によって警察官達は全員でナイフを持った男を取り押さえ始める。

その光景を見ていたツナは首に出来た切り傷に指をあて、血を掬い取って舌で舐める。

 

「本当、この後が憂鬱だよ」

 

この後、間違いなく自分は警察署に連れていかれるだろう。

そうなったら母さんになんて言おう、ツナは自分の未来が青くなっていくのを実感していた。

だが彼は知らなかった。この後、今回の出来事が天国に感じるほどの不幸を味わうことを。

 

「ほぅ、中々度胸があるじゃねぇか。こりゃディーノよりは期待できそうだな」

「だから言ったじゃないですかおじ様! ツナさんは凄い人だって!!」

 

一連の行動を見ていた二人のことを、ツナは知らなかったのであった。




原作との相違点

ツナはダメツナだけど、異能を持っているせいで結構強気。
まぁ直死持っているからタフになりますよね。

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