sunny place 〜彼女の隣が私の居場所〜   作:律乃

145 / 205
この話はリクエスト頂いたアスナとの話となってます。ifストーリーというわけではないんですが…、私が考えられるヒナタの可愛さをふんだんに盛り込んだので…アスナと共にキュンキュンしてもらればと思います!

では、ご覧ください(礼)

*お気に入り嵐・250名 ありがとうございます!

4/18〜誤字報告、ありがとうございます!


意外と大変なカナタ世話係(アスナside)

「え〜と、ここでよかったわよね?シノのんの部屋…」

 

栗色の髪を腰のところまで伸ばしている少女・アスナは、焦げ茶色の髪をショートヘアーにしている少女・シノンから頼まれたある事を果たすために、彼女の部屋へと訪れていた。

 

そのある事とは…、シノンが出掛ける前まで時間を遡らなければならない。

アスナと婚約している黒髪の少年・キリトたちと共に、最前線を攻略へと向かうために早めに起きたシノンは、今回は苦手なモンスターが出るために攻略を休ませてもらっているアスナへと歩み寄ると話しかける。その髪と同色の瞳に詰まっているのは、沢山の心配事の様だった。

 

『アスナ。私が攻略から帰ってくるまで…カナタのこと、お願いできるかしら?』

 

そんな瞳で此方を伺いつつ、頭を下げるシノンに驚きつつもアスナは微笑んで、そのお願い事を承諾した。しかし、承諾したものの、そこまでカナちゃんことカナタが世話がかかるとはどうも思えない。

 

“でも、なんで そんなにカナちゃんのことが心配なんだろう?”

 

シノンがカナタのことを世話焼いているのは…、彼女たちと暮らしていれば、自ずとわかってくるものだし…時折、恋人のようなスキンシップを取るのも…彼女たちなりのコミュニケーションだと思い、アスナ的には微笑ましくもあったのだが…シノンの表情から、どうやら彼女の心配事はアスナの想像している以上に沢山あるようで、アスナは眉を顰める。

 

『うん、いいけど…どうして?カナちゃん、しっかりしてるし…わたしは、必要ないように思えるけど…』

『そうだといいんだけどね、本当はそうじゃないのよ。あの子…朝がどうしても弱くて、ね。他のところも、随分抜けてるところがあるし…一人で居させるのが、なんだが不安で…。

………それにほっておくと、またどっかから女の子を連れてくるかもしれないし……。………アスナなら、キリトがいるから…、フィリアやリーファよりかは大丈夫なはずだし…。ヒナタもそれを理解してるはずだから…、たらしみたいな事はしないはずよね……?でも…、アスナはヒナタのあれに耐えられるかしら?大丈夫よ…ね……?…アスナはしっかりしてるし、キリトので慣れてるはずだから…』

 

心配事を述べた後に、ブツブツと小声で何かを言ってるシノンにアスナは心配になり、その僅かにうつむいている顔を覗き込もうとする。すると、シノンはアスナの行動に気づき、淡く微笑むと頭を下げる。

 

『シノのん?』

『ごめんなさい、なんでもないわ。とりあえず、アスナになら安心して…あの子のこと任せられるから。お願いできるかしら?』

『うん、任せて!シノのんっ。シノのんが、帰ってくるまで責任持って、カナちゃんのこと面倒みるね!』

『えぇ、お願いね。夕方くらいには帰ってくるから…。それとあの子はまだ私の部屋で寝てると思うわ』

『うん、わかった。いってらっしゃい』

 

胸を軽く叩くアスナに、微笑んだシノンはキリトたちが待つ方角へと歩き出した…

 

“そこまで…、カナちゃん世話がかかるとは思わないんだけど…”

 

って、あの時は思ってたんだけど…これはシノのんも心配するばすね。

シノンに言われた時間になり、彼女の部屋へと足を踏み入れたアスナは、今だに布団を頭のところまですっぽり被り…眠りこけている塊に嘆息する。その塊の近くへと跪くと、ゆさゆさとその塊を揺さぶる。

 

「カナちゃん、起きて。朝だよ」

「ん…ぅ…」

 

しばらく、揺さぶっていると癖っ毛の多い栗色の髪が姿を現す。それに気づいたアスナは、その隙間へと手を入れると布団を剥がす。しかし、剥がそうとしようにも力が強く観念したアスナは、根気強く布団の塊ーーカナタを揺さぶり続ける。

 

「カナちゃん〜、起きて〜。朝ごはん、一緒に食べましょう?」

「ぅ…?」

 

“あっ、起きてくれた?”

 

アスナの気持ちが通じたのか、布団からこちらを見ている空のように透き通った蒼い瞳と視線があい、アスナは微笑む。

 

「…もぉうっ、しの〜ぉ、どこにいってたの〜ぉ?あたし、まってたんだよ〜ぉ」

 

“へ?ちょっ…”

 

甘えた声を出したカナタは布団から触れれば折れてしまいそうな二本の腕がアスナの肩を揺すっていた右手を掴むと、そのまま布団へと引っ張る。

突然の出来事に抵抗もできず…布団の中へとダイブするアスナを抱きしめたカナタは、甘えてくる子犬のようにスリスリと顔をアスナの胸へとすり寄せる。

 

「へっへっ〜♪しののにおい〜。いいかおりだね〜、おちつく〜ぅ」

「ひゃっ、ちょっと…カナちゃんっ。どこ匂ってっ、くすぐったいからっ」

「ん?し…の…?いつもとちがうにおいをつけてるのぉ?でも、こっちのにおいもあたしはすきだよぉ〜、へへ〜♪」

 

“もしかして、寝ぼけているの!?カナちゃん”

 

トロンとした瞳でアスナに甘えるカナタのセリフに違和感を覚えたアスナは、強く抱きしめてくるカナタへと呼びかける。

 

「カナちゃん、よく見て…わたしよ、アスナ。シノのんじゃないわ!」

「ん?あしゅな…?」

 

トロンとした目でアスナをジィ〜と見ていたカナタは、次第に蒼い瞳が大きくなっていく。そして、強く抱きしめていた力も緩み、頬が朱色に染まり始める。それを近くで見ていたアスナは思う。

 

“あっ、かわいい”と…

 

普段、戦闘時ではクールというか格好良さが目立つ彼女の滅多に見れない可愛さに触れた瞬間、アスナの胸は少しばかり高鳴った気がした。

 

「……あっ、ほんとだ…あっすーだ。あれぇ?しのは?」

「シノのんなら、攻略に行っちゃったよ。それより、カナちゃん…いつまで、その姿勢なのかな?わたし恥ずかしいんだけど…」

「ああ…、ごめんね、アッスー。つい癖で…すぐに離れるから…」

 

アスナから離れたカナタは背伸びして、アスナへと頭を下げる。

 

「ん〜っ!!改めて、おはよう アッスー。さっきはごめんね、突然抱きついたりして…」

「いいのよ。カナちゃん、寝ぼけていたんだし。いつも、ああやってシノのんと寝てるの?」

「ん、シノンも抱きついていいって言ってくれてるから。その方が落ち着くし…。あたし、暗いところや寒いところが嫌いだからね…あはは…」

 

癖っ毛の多い栗色の髪を撫でながら、苦笑いを浮かべるカナタに、アスナは微笑む。

 

「でも、わたしはうらやましいって思うよ。カナちゃんとシノのんの関係…、現実ではわたしの事を本当の意味で理解してくれる人はいなかったから…」

「…意外だな、アッスーってそういうの得意だと思ってた…」

「それほどでもないよ。それより、朝ごはん食べよう?」

「ん、わかった」

 

アスナの言葉に頷いたカナタは素早く着替えると、下の酒場へと降りていった…

 

 

γ

 

 

朝ごはんを食べ終わったアスナたちは、アークソフィアの街へ繰り出していた。

その目的は、シノンを驚かせるプレゼントか衣装(カナタが着る)を選ぶというもので…乗り気ではないカナタをアスナが引っ張っている。前方に見えたお気に入りの店を指差しながら、隣を見たアスナはそこに浮かんでいる表情に怒る。

 

「ねっ、カナちゃん。あそこの店とかどう?」

「……」

 

その表情とはウェ〜と苦虫を噛んだ時みたいなもので、おそらく女の子が浮かべるべきものではないだろう。そんな表情をしているカナタに頬を膨らませるアスナ。

 

「こらっ。女の子がそんな顔しちゃダメだよ。カナちゃん、折角の美人さんなのに〜」

「あたしよりアッスーの方が綺麗だって…。そんなことよりさ、あたしそういうの…別にいいのに…」

「ダーメっ。シノのんをびっくりさせるんでしょう?店でカナちゃんもシノのんのびっくりした顔を見たいって言ってたよね?」

「うっ、そうだけどさ…。わかったから…アッスーの言う通りにする」

「わかればよろしい。ほら、いくよ」

 

カナタはアスナに弱いところをつつかれ、うなだれるように撃沈する。うなだれるカナタの左手を握って、先をいくアスナはお気に入りの店の中へと入ると、商品が並んでいる商品棚へとカナタを連れてきたアスナは目の前にあるネックレスを指差す。

 

「これとかどう?カナちゃん」

 

アスナとネックレスを交互に見ながら、カナタは難しい表情を浮かべると頭をかく。

 

「ん〜、あたしにはそういうのわからないから…アッスーが選んでよ」

「もう〜、カナちゃんが選ばないとシノのん嬉しくないでしょう?」

 

頬を膨らませるアスナに、カナタは弱った様子で頷くと…アスナにアドバイスを受けながら、シノンが喜びそうなものを選んでいく。

 

「そうだね…。ん〜、これは効果があるし…これがいいかな?すみませーん、これ欲しいんですけど…」

 

無事、シノンへとプレゼントを買い終えたカナタはなぜか疲れた表情を浮かべていた。しかし、それくらいで女子のショッピングが終わるわけがなく…つぎの店を目指して歩き出すアスナに、カナタはあからさまに嫌そうな顔をする。

 

「それじゃあ、カナちゃん…次はあそこに行きましょう!」

「え〜っ、まだ行くの〜?」

 

まるで、タダをこねる子供のように宿屋の方へと歩き出そうとするカナタをアスナは何とか引き止める。

 

「いくのっ。宿屋に戻ってもすることないでしょう?わたしのいうことを聞いてくれたから、次はカナちゃんの言うことを聞いてあげるから」

「ほんと?」

「うん、ほんと。だから、いこ?」

「ん、わかった…」

 

アスナの条件を飲んだカナタは、その後…ヘタヘタになるまでショッピングに付き合わされるのであった…

 

 

γ

 

 

宿屋についたアスナたちは、酒場の椅子に座ったきり動かないカナタの為にと…アスナが酒場の厨房を借りて、何かを作っている。机に顔を伏せているカナタの鼻に、美味しい匂いが漂ってくる…ゆっくり顔を上げたカナタの目の前に、真っ黄色な薄焼き卵の上にデミグラスソースがかかっている料理が差し出される。

 

「はい、おまたせ。カナちゃん」

「わ〜っ!?オムライス?なんで…アッスー、あたしがオムライス好きなの知ってたの?」

 

大好物に満面の笑顔を浮かべるカナタに、アスナがホッとしたような笑顔を浮かべる。スプーンを差し出しながら、カナタへと話しかける。

 

「うん、シノのんから…カナちゃんはオムライスが好きだからって聞いたからね。作って見たよ、カナちゃんの好みがわからなかったから…わたしの好みで味付けしちゃったけど…」

「ううん、いいよ。作ってくれただけでも…うれしいよ。あんがとね、アッスー」

 

その時浮かべた笑顔が、まるで幼い子供のように無邪気でアスナの胸がまた僅かに高鳴り…母性をくすぐった。大口を開けて食べるカナタを見て、自然と笑みがこぼれていく。

 

「どう?美味しい?」

「ん〜っ、美味しいよ!アッスーっ、これすっごく美味しいっ!!お店のより美味しい!!」

「それは褒めすぎだよ、カナちゃん…」

 

カナタの褒め言葉に頬を染めるアスナは、オムライスをかき込むように食べていくカナタの頬に黄色と赤茶色のものが付いているのに気づいた。右手をスライドして、ハンカチをオブジェクト化すると、子供のようにはしゃいで食べているカナタの頬の汚れを拭き取っていく。

 

「あ、あっすーぅ?」

「急いで食べ過ぎだよ、カナちゃん。まだあるから、ゆっくり食べてね?」

「ん、わかった…」

 

自分の頬から汚れを拭き取ったアスナを見たカナタの蒼い瞳がキラリと意地悪な光を放つ。スプーンを置くと、自分の分を食べ進めているアスナを見つめる。そんなカナタを見て、小首をかしげるアスナだが…次の瞬間、カナタが放った言葉に赤面することになる。

 

「ねぇ、アッスー。アッスーはあの時、自分の言うことを聞いてくれたら…あたしのいうことも聞いてくれるって言ったよね?」

「うん、言ったよ」

「なら、アッスーにお願い事していい?」

「いいけど…、そのお願い事って?」

「それはねーー」

「それは?」

「ーーあたしの残りのオムライスを、アッスーにたべさせてもらいたいなぁ〜って、ダメ?」

 

可愛らしく上目遣いでそう言うカナタに、あんなことをいった手前断ることもできずに、アスナはそのお願い事を聞くことにした…。この後に、待っている修羅場の怖さも分からずに……。

カナタから残りのオムライスとスプーンを受け取ったアスナは、大口を開けているカナタの中へとオムライスを投入する。

 

「んっ!美味しいっ。アッスーにあ〜んしてもらえて、オムライスが数倍美味しく感じる!」

「そ、そうかな?でも、わたしもカナちゃんに喜んでもらえて…嬉しいよ、はい あ〜ん」

 

カナタの言葉に、頬を染めながら…困った表情を浮かべるアスナは、とりあえず オムライスを食べさせることに専念するらしく…カナタへとスプーンを差し出す。それをパクッと満面の笑顔を浮かべて食べるカナタの頬が、時折汚れると拭いてあげながら…アスナはカナタにオムライスを食べさせてあげていた。途中から、アスナ自身もカナタに食べさせることを楽しく感じており、ノリノリでカナタへと食べさせていると…ふと、カナタの後ろに見知った赤と黄緑色の戦闘着が見え、次に聞こえた声にアスナは完全に固まった。

 

「アス…ナ……」

 

焦げ茶色の瞳がアスナと目の前に座る癖っ毛の多い栗色の髪の少女を交互に見ており、その瞳に映る色が驚きから呆れへ、呆れから怒りへと変わっていく。それに気づいたアスナは、瞳と同色の髪を持つ少女・シノンへと言い訳しようとする。だがーーにっこりと、目が笑ってないという不思議な笑顔を浮かべたシノンから放たれるオーラに言葉を詰まらせてしまう。

 

「あっ、シノのん…。違うんだよ…これはっ」

「…大丈夫よ、アスナ。こんな事態になった全ての元凶に、私は心当たりがあるもの。さて…今日という今日は、どんな風に懲らしめてあげましょうかね…」

「し…シノのん…」

 

そんなシノンの変化に気づかない癖っ毛の多い栗色の髪の少女・カナタはアスナの視線に気づくと、その視線を辿って…後ろに立つのが誰なのかに気づくと、微笑む。そんなカナタに微笑みかけるシノンは、カナタを宿屋の外へと呼び出す。

 

「おかえりなさい、シノン〜」

「えぇ、ただいま、カナタ。少しいいかしら?」

「ん?別にいいけど…、今日のシノン…いつも以上におっかないね…」

「そうかしら?カナタの気のせいよ、それよりこっちに来て」

 

椅子から立ち上がって頭を下げるカナタに、アスナは忠告と無事を祈るしかできない…

 

「うん、いいけど…。アッスー、ごめんね?少し席を立つね」

「えぇ、カナちゃん」

「ん?」

「…気をつけてね」

「?わかったぁ?」

「カナタ、行くよ」

「あっ、今行くよ!シノっ」

 

外へと出たカナタは姿の見えないシノンを探しているようで、辺りをキョロキョロとしているがーー次の瞬間、自分目掛けて飛んできた矢に目を丸くする。

 

『ちょっ、シノ!?なんで、弓を構えーー危なっ!?』

『チッ』

『シノっ、さっき舌打ちしたよね!?だから、危ないって!やめっ、うお!??』

 

弓を構えて矢を放つシノンに、カナタは謝罪しながら…矢を避けたそう……

 

 

ー完ー




と、こんな感じで良かったでしょうか?

アスナさんはどちらかというと…お母さん的な立場で、カナタハーレムへと入会していただければと…思います。入会するかどうかは、アスナさん自身の判断なんですが……(笑)

そして、ついにシノさんに追い回させるヒナターーまぁ、仕方ないですよね…。今までが今までだったので…シノさんも堪忍の尾が切れてしまったのでしょう。

次回もつづけて、リクエスト頂いた話を書こうと思います。では!!

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。