今まで風邪をひいても長引いたり、高熱が出たりはしなかったのですが…今回の風邪は違いました…(汗)
何とか治ったので、更新をしました!
ほんと、毎回遅れてすいません…(あせあせ)
「困ったわね…」
「うん、困ったね…」
「…?」
蒼いマフラーをはためかせながら、シノンちゃんがその形良い眉を顰めます。そんなシノンちゃんを見ている私も同じような表情だと思います。そんな私たちを空のように透き通った蒼いまん丸の瞳が不思議そうに見上げてます。そんな瞳に視線を向けられないほどに私とシノンちゃんは困り果てていました。
なので、つい抱き上げている両手の力を緩めてしまい、私たちを不思議そうに見上げているヒナちゃんをずり落としそうになってしまいます。それに気づいた私は「よいしょっ」とヒナちゃんを抱き直した私はつい先程のことを思い出します。
『でも、私の知ってるその人はこの層より下にいるから…頼めないかも…。ごめんね、力になれなくって…何かいい情報がわかったら、レインちゃんにメッセージ飛ばすから』
そういうアスナちゃんは本当に申し訳なさそうで、私もシノンちゃんもそれ以上は何も言えず、とりあえず『子供服関連』のクエストがないものか?と転移門の近くにいるNPCに尋ねてみようということになり、とぼとぼと転移門がある広場に向かって歩いている時でした。
「あれ?そこにいるのはレインとシノン?不思議な組み合わせだね〜」
そう言って、ひょっこり建物の隙間から現れるのは薄い紫色の髪の毛をショートヘアーにしている女性で、私はすぐに彼女に気づき、名前を言おうとするのですが……
「あっ、ストレ・・・」
「わぁ〜ぁ!!レインが抱っこしているその子小さい〜、可愛い〜!預かってる子?」
「あ、うん、そ・・・」
「本当に可愛い〜、ね!ね!だっこしていい?」
「「・・・」」
“どうしよ…全然、私たちの話聞いてくれない…”
思わず、引きつった笑顔を浮かべる私の襟首を引っ張るヒナちゃんもどうやら、私やシノンちゃんの戸惑いを感じてしまっている様子です。
「…ま、ま…、このおねぇちゃん…ゃ…」
親…と言っても本当のじゃないけど、周りの人が醸し出している雰囲気というものに子供は敏感らしくて、私の腕の中にいるヒナちゃんも困り顔の私を見つめて、ニコニコ顔で自分に近づいてくるストレアちゃんを恐れている様子で、これはのちにストレアちゃんを見て、ヒナちゃんが逃げ出し…ストレアちゃんが悲しむようなことになりかねません。
そんなことにならないようにストレアちゃんに対する恐怖はここで絶っておかねばなりません、という事で私はヒナちゃんを抱き直すとその空のように透き通った蒼い瞳をまっすぐ見つめます。
「ヒナちゃん、このお姉ちゃんもママのお友達なんだよ。だから、そんなに怖がらなくて大丈夫」
「…ほんと?」
「本当本当」
ニコニコと笑って見せれば、ヒナちゃんも納得した様子でストレアちゃんの腕の中へと向かいます。しかし、開始数秒でヒナちゃんの顔が梅干しみたいな酸っぱいものを食べているような顔になってしまいました。
“あはは…ヒナちゃんもストレアちゃんのハグ攻撃には参ってる様子かな…?”
心なしか涙目になってきているまん丸な蒼い瞳に《たすけて、まま》と浮かんだ気がしまして、私はまだ足りなさそうなストレアちゃんからヒナちゃんを引き取ります。そして、抱き直すとダメ元でストレアちゃんにも聞いてみます。
「ねぇ、ストレアちゃん。この子が着れるくらいの服ってどこか売ってないかな?」
「うーん」
腕を組んで、悩むストレアちゃん。
暫くして、私の腕に抱かれているヒナちゃんを見るとコクリとうなづきます。
その仕草に首をかしげる私とシノンちゃんにもにっこり笑って、ストレアちゃんは衝撃の一言を繰り出すのです。
「売ってるのは知らないけど、その子が着れるくらいの服なら…あたし、持ってるよ」
「ーー」
“はい?”
思わず、目が丸くなる私とシノンちゃんにストレアちゃんはもう一度それを言います。
「だ・か・ら、あたし、その子が着れるくらいの服持ってるよ。ほら」
そう言って、ストレージから出してくれる可愛らしいフリルのついた淡い藤色のワンピースは確かにヒナちゃんにぴったりのサイズです。ぴったりすぎて、逆に怖いくらいに。
驚く私とシノンちゃんにストレアちゃんがこの洋服を何故作ったのかを教えてくれました。
「へへ〜、あたしって自分の部屋に置いてある小物とか作ってるんだ。その中にね、この子と同じくらいの大きさのクマのぬいぐるみがあってね、その子に着せようと思っていた洋服の余りなんだよ、これって」
“な…なるほど、ヒナちゃんくらいのクマさんのぬいぐるみ・・・・・デカッ!?”
恐らく、抱き枕用で作ったにしても…ヒナちゃんくらいの大きさは流石に大きいのではないだろうか…?
思わず、苦笑いの私と違い、シノンちゃんはその形良い眉をひそめ、腕を組むとボソボソと独り言をつぶやいていました。
「…なるほど、裁縫スキルを鍛えれば…そんなことも出来るのね。ということは、陽菜荼…カナタのぬいぐるみとかも作れたりするのかしら…?…そしたら、いつも一緒だし…寂しくもないかも…。それに縫い物って、神経が研ぎ澄まされそうだし…やってみる価値はありそうよね…?」
“シノンちゃんは私欲に忠実なのか、真面目なのか…分かんないや…”
その独り言を意識せずに全部聞き取ってしまった私は腕の中にいるヒナちゃんへと視線を向けます。
早速、ストレアちゃんに貰った淡い藤色のフリルのついたワンピースを着用したヒナちゃんは可愛かったです。私もぬいぐるみ作り、頑張ってみようかな?っと思ってしまいました。
「…まま、どしたの?」
「ううん、なんでないよ。服をもらったお姉ちゃんにお礼しようか?」
「ん」
ヒナちゃんにお礼を言われたストレアちゃんはニコニコと笑いながら、もう一回ヒナちゃんを抱っこしようとしましたが…ヒナちゃんが拒否した為、しぶしぶ自分の家に帰っていきました。
そして、今まで私をサポートしてくれていたシノンちゃんもどうしても手が離せない用事があるそうで…結果として、私とヒナちゃんだけとなり、特に何をすることもなかったので私たちも自分の家に向かって帰りました…
一番の難関だと思っていた服探しですが…まさかの助っ人登場で難なくクリア。
ヒナちゃんも喜んでくれて様子でレインさんも嬉しそうです(笑)
この話『まま、だいすきっ!』ですが…恐らく、全7話となると思うので…残り3話、皆様がドキドキハラハラ出来る展開を考えつつ、ヒナちゃんとレインさんに癒される話が書ければなぁ〜と思います(敬礼)
*R-18版は水か木のどちらかに更新します。もちろん、日曜日も更新します。
こちらも遅れて、すいません…汗