最終回、ご覧ください(礼)
5/20〜誤字報告、ありがとうございます!!
「……」
白と黄緑の戦闘着に身を包む金髪をポニーテールにしている少女・リーファは一歩前を歩く橙の和服に身を包む癖っ毛の多い栗色の髪の少女・カナタと‘今だに繋がった’ままの右手を見つめていた。
“あぁ…あたし、何やってるんだろ…”
「ふふ〜ん♪」
「……」
右手から上を見上げれば、上機嫌に鼻歌を歌いながらズンズンとフィールドを進むカナタの姿がある。ニコニコと満面の笑顔を浮かべているその姿は非常に胸が高鳴るものであったが…リーファの気持ちは優れない。それもそのはずだろう、彼女は今 浮気と責められる行動を取っているのだから…。
カナタの鼻歌を聞きながら…ふと、リーファは思う。カナタはいつまで自分の手を握っているのだろうか?とーー
「ふふ、ふふ〜ん♪ふ〜♪ふ、ふ〜ん♪」
“ーーでも…いつまで、こうやって手を繋いで行くんだろ…?さっきからすれ違うプレイヤーたちの野次めいた視線が痛い…っていうか、あたしがカナタさんを止めなきゃだ!”
「あっ…あの、カナタ…さん…」
リーファの遠慮した声に振り返るカナタは可愛らしく小首を傾げている。最近自分にも見せてくれるようになった子供っぽい仕草と普段のカッコいい仕草のギャップにやられつつも…リーファはたどたどしく質問する。
「ん?何かな、リー」
「…いつまで、手を繋いだままなのかなぁ〜って…思いまして…」
リーファの質問に、難しい顔をして考えたカナタはあたふたするリーファへとにっこりと笑う。
「あぁ…、ん〜、そうだね…。目的地に着くまでかなぁ〜。手を離した途端、リー逃げそうだし…」
「に、逃げませんよ!」
「逃げるよぉ〜。リーとの付き合いも長いんだから、考えていることくらい分かる」
“ッ!…本当に…カナタさんってズルい…”
リーファは頬を染めつつ、逃げることやこの温泉行きを阻止することは出来ないと分かると…あとは時の流れに身を任せることにした。
「……分かりました…カナタさんについていきます」
「ん、それでいいと思うよ、リー」
二カッと笑うカナタに、リーファはもうひとつ疑問に思っていたことを聞くことにした。もう、どうせ回避出来ないのだ…それくらい聞いてもいいだろう。
「カナタさん、一つ聞いてもいいですか?」
「いいよ〜」
「なんで、シノンさんではなくて…あたしを誘ってくれたんですか?カナタさんって…こういうのって、シノンさんを真っ先に誘うじゃないですか?」
リーファの質問に、カナタは言葉を濁そうとするが…リーファの方をチラッと見ると溜息をついて、この温泉旅行の真の目的を話す。
「なんでって…。ん〜、確かにリーの言う通りで最初はシノンを誘おうって思ってたんだ。でもね…ある人が頑張ってる姿を見ていたら、その人と最初に行きたいなぁ〜って思っちゃったんだ」
「ある人?」
小首をかしげるリーファに、カナタは頷くと繋いでいた手を離すと素振りするような仕草を取る。
「リーがよく知ってる人だよ〜。毎晩ね、こうやって一人公園に出ては…素振りを繰り返してるんだ、その人。本当に頑張り屋さんなんだよ。そんな頑張り屋さんを応援したいって思うのは間違ってるのかな?」
「ーー」
“ウソぉ!?”
バレてた…。カナタや兄に少しでも近づきたいと、毎晩 片手直剣の素振りを繰り返しているのをバッチリと一番見られたくなかった人物に見られてしまっていた…
“あぁ…恥ずかしい…”
羞恥心から蹲るリーファの肩をトントンと叩いたカナタはニッコリと笑うと言う。
「そーいうこと♪あたしはリーが頑張ってる姿を見て…一緒に行って、温泉に入って…疲れをとって欲しいなぁ〜って思ったんだよ。なのに…リーってば、浮気とかわけわかんないことばっか言って、逃げようとすんだもん〜。あたしの作戦、終わったかな〜?って思ったもん」
「ご、ごめんなさいぃ…」
カナタの純粋な好意を別な意味に受け取ってしまったという羞恥心から、更にしょんぼりするリーファを引っ張り起こすとカナタは近くにある洞窟へと入っていく…
「さて、温泉もあと少しだよ。しっかり、楽しもうね〜」
「はい」
γ
カナタが入っていった洞窟の中には、温泉が広がっていた白く濁った水面に身を沈めたリーファはその丁度いい湯加減に思わず「ふぅ〜」と溜め息をついてしまう。そんなリーファのすぐ横には、カナタの姿があり…なぜか、その蒼い瞳は好奇心と衝撃でキラキラと輝いていた。その瞳の妙な熱にリーファはゆっくりと後ずさっていく。
「っ!?か、カナタさん…なんで、あたしの方に来るんですか?」
「まあまあ」
「いえ、まあまあではなくて…」
「リーはあたしに任せてくれればいいから…」
カナタの奇行に戸惑うリーファ。そんなリーファを追い詰めているということに…謎のゾクゾク感を味わっているカナタは遂に逃げ場のなくしたリーファの胸元へと両手を伸ばす。
もみもみとカナタがその情報量に驚いていると…顔を真っ赤にさせたリーファがカナタの両手を払う。カナタはそんなリーファに頬を膨らませる。
「ひゃあ!カナタさんっ!どこ触ってるんですか!!」
「どこって…リーの胸、だよ?ダメだったの?気持ちよかったのに〜」
「ダメですよ!何をやってるんですか!!それに…き、気持ちいいなんて」
カナタのその一言でパニックに陥るリーファに、カナタは更に身を寄せるとリーファの右手を自分の胸へと誘う。
「何をそんなに恥ずかしがってるの?あっ、自分だけ触られたのが嫌だった?あたしの触る?」
「ちょっ、カナタさん!?」
「んしょ…っと、どうかな?リーに比べて、小さいかもだけど…形はあたしの方がいいと思うんだよ〜。ね?」
右手越しに伝わるカナタの双丘の感触に、リーファの思考回路はショートしてしまい…目をクルクル回しながらも無意識にカナタの胸を揉んでいた。
「あわ、あわわ、あわわわ…」
「んぅ…リー、力が強いよ〜」
「わわわわわ、ご…ごめんな…」
“もう…ダメ…”
「謝らなくていいよ〜、あたしもリーの揉むから〜」
「ひゃあっ、やめ…やめて…」
その後、存分に温泉を味わった二人は…一人はぐったりとした様子で、もう一人はつやつやとした様子で帰って行ったのだった…
ー 温泉行こ? 完 ー
ということで、温泉に行こ?が終わりました〜。
まぁ、みなさんの想像通りの結果となりましたね…。結局、ヒナタには勝てないって事ですね…皆(笑)
リーファさんとの話は、あともう一話ほど書きたいなぁ〜と思ってます(礼)