*5/1〜誤字報告、ありがとうございます!
ここは、76層のアークソフィアにあるリズベット武具店の店内にて、二人の少女が向かい合っている。手に持った道具で、カンカンと武器製作に勤しんでいるのが…この武具店の店主の桃色の髪をショートヘアーにしている少女・リズベットである。そのリズベットの右横にある椅子に座っているのが癖っ毛の多い栗色の髪と空のように透き通った瞳が特徴的な少女・カナタであるが…なぜか、その表情は駄々っ子のような表情になっている。
そんな表情の理由は、いたって簡単で…カナタがリズベットを呼んでいるのに、リズベットがこっちへと向いてくれないからである。作業を黙々と進めているリズベットにめげそうになりながらも、カナタはリズベットを呼び続ける。
「ねぇ〜、リト〜ぉ」
「ーー」
「ねえってば!少しはあたしの話も聞いてよ〜」
リズベットは一旦、手を止めると右横へと視線を向ける。そして、ため息をつくとカナタへと問いかける。
「はぁ〜、だから何よ、カナタ。さっきから煩くて、作業に集中出来ないじゃない」
「あはは…ごめんね、リト〜。でも、やっと リトの顔を正面から見ることが出来た気がする…。へへ〜♪なんだか、嬉しいなぁ〜」
にへらと砕けた笑顔を浮かべるカナタに、リズベットは無意識に自分の頬が赤くなるのを感じて、すぐに首を横に振る。瞬時に呆れ顔を作って、カナタを見ると問いただす。
「ねぇ、あんた。それ、素でやってんの?」
「素でって?」
「OK。無意識ってことがわかったわ」
「?」
小首をかしげるカナタに、リズベットが首を横に振る。そして、改めてカナタに向き直ると、カナタの要件を聞く。
「いいのよ、こっちの話だから…。で、さっきから あたしを呼んでるけど…用事は何かしら?」
「ん、リトにね。キリに作ってあげてたような武器をあたしにも作ってもらおうと思って…」
「作ってもらおうと思ってって……。カナタの武器だから…、刀だったかしら?」
「ん、そう」
“そんな表情されると…断るにも断れないじゃない”
リズベットの返事をニコニコと満面の笑顔で待っているカナタに、リズベットは覚悟を決めることにした。カナタへも首を縦に振ると答える。
「いいわ。カナタにも作ってあげるわ…、でもあたしの武器は他のよりも高いわよ?」
「ん、大丈夫!お金ならあるから!!」
元気よくそう答えるカナタに、リズベットは苦笑を浮かべざる終えない。
“そうと決まれば、早速 そういうクエストがないか。街に行きましょうかね”
作業を終えたリズベットは立ち上がると、カナタへと人差し指を向ける。
「さて、カナタ。分かってると思うけど…このあたしに武器をつくってもらうんだから。しっかり、素材集めから手伝うのよ」
意地悪のつもりで言ったその言葉を、カナタは真に受けて…左手でトンと胸元を叩くと、ニカッと笑う。
「ん、任せて!リトのことは、あたしが責任持って守るよ」
「〜〜ッ。あんたといい…キリトといい…、どうしてそんなセリフをサラッと言っちゃうのかしら」
カナタが発言したセリフが、黒髪の少年の言葉と重なり…リズベットは不覚にも頬を染めてしまう。その姿を見られないように俯くと、そんなリズベットを心配するカナタが顔を覗き込んでくる。
そして、間近まで迫った彼女の整った顔立ちに、思わずドキッと胸が高鳴りかけて…リズベットはカナタから距離を取る。
「リト、顔が赤いよ?大丈夫?」
「ッ!何でもないわよ。ほら、クエスト探しに行くわよっ」
「あっ、リトっ。待ってって!」
早足で店を出て行くリズベットの後を追うように、カナタが続く…
γ
「そこの若者たちよ」
「?」
もう殆どの場所を回り終わり、噴水がある公園で一息つこうとしていた時だったそのNPCに呼び止められたのはーー。
真っ黒なフードを目ぶかく被って、こちらを見ている人物の頭の上に浮かんでいるのが黄色いカーソルと気づいたカナタが、リズベットへと小声で相談する。
「この人、NPCだね。どうする?リト」
「ん〜、何か重要なクエストかもしれないし…やってみましょうか?」
リズベットがそう言うと、カナタが頷いて…真っ黒なフードのNPCへと話しかける。
「OK!あの…あたしたちになんか用ですか?」
「おお…。若者よ、私の話を聞いてくれるのか…」
「ええ」
その後、立派な白髭を生やした老人NPCの話を聞き終えたリズベットとカナタは何故か、どんよりと疲れた表情を浮かべていた。
「どんだけ話すのよ、あのNPCっ」
転移門に向けて、つかつかと怒りを込めて石畳を踏んづけて歩くリズベットに、カナタが苦笑いを浮かべて宥める。
「まあまあ、良かったじゃない。あのNPCの頭の上に金色のクエスチョンマークがついたんだからさ。きっと、成功したら…レアアイテムかなんかが手に入るよ」
「ええ、そうね。でも、あたし…話が長すぎて、結局何を集めてくればいいのか分かってないのよね」
「あはは…、殆ど自慢話みたいなもんだったもんね〜。でも、あたしの記憶が正しければ…二つ集めてこいって言ってたかな?」
「二つ?」
首を傾げるリズベットに、カナタが頷いて…二本の指を立てる。
「ん、まず最初に手に入れるのが…赤い龍に奪われた【ソーマ鉱石】。で、次が青い龍に奪われた【勇敢なる竜の光焔】じゃなかったかな?」
「あんた…凄いわね。よく覚えてたわね…、あたしにはそんなワードをあのNPCから聞いた覚えすらないわ」
「あはは…、最初の方にサラっと触れただけだからね。あとは、あのNPCの自慢話から…赤い龍と青い龍の居場所を割り当てるだけなんだけど…。流石に、そこまではね…。ごめんね、リト」
申し訳なさそうに謝るカナタに、リズベットが首を横に振る。
「いいわよ、カナタ。カナタのおかげで、二つの龍の居場所が分かりそうだから…。でも、確実ではないのよね〜。明日、改めて…集合ってことでいいかしら?」
「ん、あたしはいいよ。リトのやりやすい方で」
「じゃあ、明日ね」
カナタと別れたリズベットは、あのNPCの話を思い出しながら、候補となる場所を絞っていった……
ー その2へ続く ー
というわけで、リズベットさんとの素材集め探しが始まりました。はなして、この二人の旅の先に待つのは…何なんか?リズベットさんがヒナタハーレムに入会することはあるのか?
今後の二人に、乞うご期待です!(笑)
さて、ここから先はウラバナシといいますか…ヒナタさん制作秘話を話そうと思います(微笑)秘話って程の話じゃないんですけどね(苦笑)
まず最初に、この小説の初期設定では…主人公はヒナタさんではありませんでした。
最初の主人公は〈モニカ・ブルーアッシュ〉っていう、私がプレイさせていただいているスクールガールズストライカーズに登場する子なんですが…そのモニカという子を主人公にするつもりでした。ですが、彼女と本作のヒロイン・朝田 詩乃を引き会わせるのが…どう考えても難しく、あえなく断念。ですが、私はモニカとシノンのやりとりがどうしてもみて見たく…モニカの性格を受け継いだヒナタという主人公が生まれたというわけです(笑)
実をいうと、ヒナタの外見もモニカさんから貰ってるんですよ(苦笑)癖っ毛の多い髪とか、蒼い瞳とかも。写真もといカメラ好きというのも…モニカさんからですね。それ以外のヒナタさんの性格は…基本、私をモチーフにしてます。お恥ずかしながら…(笑)ガサツな所とか、ヒナタさんの好物は私の好物でもありますね〜(笑)なので、好物の話をしている時のヒナタのリアクションは、わたしのリアクションでもあるやもしれませんね…