なので、この話は84層にあるダンジョンをヒナタとルクスが攻略するという話です(礼)
そして、本格的に話が動くのはその2からなので…今回の話はあまりご期待に添えたものではないかと(汗)その代わりといってはなんですが…ヒナシノのやりとりが前半にありますので、そちらで百合要素を楽しんでいただければと思います(微笑)
それでは、遅くなりましたが…本編をお楽しみください(汗)
5/6〜誤字報告、ありがとうございます!
「はぁあ〜」
「こら、アクビしないの!そんな顔をしてる人には、せっかく作った朝ごはんあげないわよ?」
大きな口を開けて 眠そうに右目をこすっていると、あたしの左に座っている恋人に横腹をどつかれる。少し不機嫌そうに、そちらへと視線を向けると呆れた表情を作っている焦げ茶色の髪をショートヘアーに同色の大きめな瞳を持つ少女が腰をかけている。その少女の名は朝田 詩乃、アバターネームはシノン。現実ではあたしの幼馴染であり、恋人でもある少女である。そんな恋人の呆れ顔に不服なあたしは頬を膨らませて、シノの方へと反抗的な視線を向ける。
「だって〜、眠いんだもん。仕方ないじゃん…」
呆れ顔を微笑へと変えたシノンが、あたしの前に朝ごはんを差し出しながら言う。
「まったく、もうっ。ヒナタって、本当に朝が弱いんだから。でも、今日は寝てはダメよ。今からルクスと84層のまだ行ってないダンジョンを攻略してくるって、昨日言ってたじゃない」
「ぁ…」
“マズイ、忘れてた…”
小さく声を漏らすあたしに、ジト目を向けてくるシノンが僅かに俯くあたしの顔を覗き込んでくる。あたしは全力で首を横に振ると、それを見たシノが肩を上下に動かすと朝ごはんへと視線を向ける。
「もしかして、忘れていたんじゃないでしょうね?」
「なっ、忘れてない忘れてない!ちゃんと覚えてる!約束大事!」
「……必死なところを見ると怪しいけど…。まぁ、いいわ。今日はそういうことにしといてあげましょう。でも、ヒナタ 約束したことはちゃんと覚えていることよ。ルクス、すごく楽しみにしてたんだから。それに…私はヒナタには、人を裏切るような行動をとって欲しくないもの」
「ん、わかった…。ごめんね、シノ…」
「分かったならいいわ。ほら、朝ごはん食べちゃって。約束の時間まで、あと少しなんだから」
「はぁい」
間延びした返事をしたあたしは、シノが作ってくれた朝ごはんへと手を伸ばす。今日の朝ごはんはあたしの大好物のオムライスである。朝からオムライスはキツイ気もするが…あたしの恋人・シノ曰くヒナタとキリトにこのアインクラッドに住む人たちの命が掛かっているとの事で、そんな人が朝からパン一つとかではダメと怒られて、今ではシノに朝ごはんを全面的に任せている。
あたしはシノ手作りのオムライスをスプーンで掬って、口に含むと頬を綻ばせる。
「ん!おいしいぃ〜っ!美味しいよ!シノ!!」
「ふふ、そう?私もヒナタのその笑顔を見られて頑張った甲斐があったわ」
「あたしもシノみたいなお嫁さん貰えて嬉しいよ」
「なっ!?およめっ…さっ…。まだ、違うでしょう!」
あたしのお嫁さん発言に慌てふためくシノを見て、あたしはさっきの横腹をどつかれた仕返しが出来たと満足して、更にシノの可愛い表情を見るために彼女をからかう。
「あははっ、そんな顔を真っ赤にしなくてもいいじゃん。本当、シノって可愛いね〜。大好きだよ〜」
「そんなとってつけたような大好きもらっても嬉しくないわよっ。ヒナタ…あんた、私をからかってるの?」
シノの視線が細まるの見て、あたしはニヤニヤと意地悪な笑みを浮かべながら、更にからかうことにする。
「まっさかー。あたしはただ可愛いシノを愛でてるだけだよ?」
「それを世間ではからかってるっていうの!」
「あはは、そうとも言う〜」
「……本当に分かってるのかしら、この子…。あぁ…、なんかドッと疲れた気がするわ…」
そう隣で呟くシノに、あたしは心の中で少しからかいすぎたかなぁ〜と思ったのであった……
γ
待ち合わせの噴水の公園前に、見知った白銀のウェーブのかかったロングヘアーを見つけたあたしはその人物へと笑顔を浮かべて歩み寄る。
「ルー!」
「あっ、カナタ様。おはようございます」
あたしの声に気づいたその人物は振り返ると、礼儀正しく頭を下げてくる。あたしも彼女へと左手をあげて、挨拶する。
「ん、おはよう〜。よし!じゃあ、早速 84層へと出発しよう!」
「はい!」
その後、ルクスことルーと共に84層にある抉られた岩洞へと辿り着いたあたしはさっそくそのダンジョンを攻略することにした。
茶色い岩洞を歩きながら、あたしはルーへと話しかける。
「いやね〜。キリたちと攻略した時は、あたしは上の岩洞担当だったからね、こっちには来たことがないんだ」
「そうなんですか?私も初めてです」
恥ずかしそうにそう言うルーに、あたしはニコッと笑いかけて力こぶを作る。
「そっか〜。お互い、初めてだから。慎重に行かないとだね!それじゃあ、ここのダンジョン攻略 がんばろ〜!」
「はい!カナタ様っ」
元気良く頷くルーから視線を前に向けると、丁度その先に黒と焦げ茶色のシマシマに鋭い顎を持った赤い瞳を持つアリ型モンスター《Ant Worker Lv88》を見つけて、右腰から愛刀の江雪左文字を取り出し構える。ルーもあたしの行動に敵を発見したことを察して、腰から片手直剣を取り出して構える。そんなルーに近づき、小声でタイミングを伝える。
「1、2、3で斬りかかる。OK?」
「はい、いつでもOKですよ。カナタ様」
「ん、じゃあーー」
あたしは左手の人差し指、中指、薬指を立てるとゆっくりとおっていく。そして、最後となる人差し指をおると刀スキルの【卯月】を発動する。隣を見るとルーも片手直剣のソードスキルを発動しており、二人の刀身が赤い目を持つアリ型モンスターの胴体を切り裂いた……
ー その2へ続く ー
ということで、ルクスさんとのダンジョン攻略開始です!果たして、二人のこのダンジョン攻略はどうなるのか?とても楽しみですね〜。
そして、前半にあったヒナシノのやりとりは最近、メインヒロインとしてのシノンの立ち位置が霞みかけてるなぁ〜と……。もちろん、私の中です。更新した二話は、フィリアさんとのやりとりが多くて…(当然なんですが…)危うく、フィリアさんがメインヒロインみたいな立ち位置にいるような感覚に陥り、そのように書き進めてしまいそうになるんです…トレジャーハンター恐るべしです(汗)
なので、ヒナシノのやりとりが無性に書きたくなり…入れた次第です。ので、読んでる皆さんが少しでも楽しんでいただければなぁ〜と思ってます。
そして、次回からはカッコいいヒナタと可愛いルクスが見れるばすなので、乞うご期待です!では!!