sunny place 〜彼女の隣が私の居場所〜   作:律乃

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今回でレンちゃん・ユウキちゃんの誕生日記念エピソードが終わりです。

しかし、かなり短めですので…あまり満足出来ないかもしれないですが、楽しんで読んでもらえると嬉しいです!

では、本編をどうぞ!


002 とある日の騒動(ユウキ&レン誕生日記念)

【SBCグロッケン】

 

タチの悪いユウキのイタズラに引っかかってしまったあたしは今だに目の前に居座る《ピンクの悪魔》と呼ばれている150㎝にも満たない小柄な肢体を真っピンクというよりも少し茶色が混ざったピンクの軍服で身を包んだプレイヤー・レンへと溜息まじりに話しかける。

 

「はぁ……それならレンもあたしらと一緒に来る?」

「くるって?」

 

“だから、なんでいちいちあたしにつってかかるんだ……”

 

折角可愛らしい顔立ちをしているというのに…あたしが話しかけた瞬間に剣呑な顔つきになるから、横を通る野次馬達が顔を青ざめているじゃないか。

あたしではレンの相手は無理だと判断したのか、今まであたしの一歩後ろでなりゆきを見ていたユウキが人懐っこい笑顔を浮かべて、腰を折るとレンへと話しかけている。

 

「ボクとカナタでこれからクエストをする予定なんだ! クエストの最中や素材集めの時はカナタはきっとエネミーの方に注意がいってるから後ろから狙う絶好のチャンスだと思うんだ。ねぇ? カナタ」

「あぁ、そうだね………ん? ねぇ、ユキ。さっきなんて言った?」

 

あたしの聞き間違いで解説違いではなければ、ユウキのその言い方だと"あたしがクエストや素材集めに夢中になっている時に後ろから狙い撃て"と聞こえるのだけど? ねぇ、間違いだよね? ユキはそんな悪魔みたいな考え方を敵へと教えたりしないよね? 塩を送らないよね?

 

「わかった。わたしも貴女達と一緒にクエストと素材集めする」

「ってうおおおおい!! あんたはそれでいいのか!?」

「あんたに仕返し出来るならなんだっていい」

 

“レン……君のあたしへの怨みはそこまでつのっていたのか……”

 

呆れよりもあたしがそれほどまで彼女を辱める行為を行っていたことに慄き、同時に今度からは出来る限り周りをよく見ようと思うのだった。

そう、だった……つまり、過去形なのだ。起こってしまった出来事はどうしようも出来ないし、過去を巻き戻すためのタイムマシンなんてあたし達が生まれ落ちたこの世界に悲しきことかな……まだ存在しない。

故にあたしの目の前で繰り広げられている悲劇は巻き戻せはしない。

 

「……っ」

「……あー、えー、うー」

 

ぽちゃぽちゃと水滴があちらこちらに滴り、青い発光色を放つ水溜まりが出来ている湿った洞窟でユウキが使っている武器を強化する為にある素材をドロップするエネミーが出現するとの事で、あたしとユウキ、レンは其々自分の相棒を抱きしめて、ヌルヌルと湿っている岩道を走り抜けていた。

のだが、前方から突然現れたエネミーの群れに気を取られてしまい、足元にあった水溜まりの溝につま先を引っかかってしまったレンが水溜まりに尻餅を付かないように庇ったのだが、運悪くあたしが咄嗟に手をついた所もヌメっており、右腕に支えていたレンと共に水溜まりへとダイブした上にあたしはレンを押し倒す形でその成長期も迎えてないであろう僅かな膨らみを持つ双丘の右側へと手を添えていた。

 

「ーー」

「おー、いー……」

 

下にある水溜まりのせいで濡れて、ピンクの軍服から下に着込んでいる下着が薄く透けて見える可愛らしい容姿を持った幼女の胸を鷲掴みにした上にのしかかっている巨体を赤いロングコートで隠した焼けた肌を保つ見た目男性がいる……はたから見れば、かなりの犯罪臭が漂っている空間をあたしは自らの手で作り出していた。

 

“ハッ!? 殺気ッ!?”

 

プルプルと震えているレンから転がるように逃げたあたしを追いかけるように銃弾が岩道を傷つけ、修羅の笑顔を見せている絶剣様の低い声を響かせた。

 

「あ行の発音練習? レンにこんなことしておいて、よくふざけられるよね」

「なっ!? ユキ、本当に危ないから! 撃つの禁止ッ!」

 

躊躇いなく銃を撃ってくるユウキの攻撃を交わしながら、両手をクロスして無闇な殺生を止めるように伝えるのだが、目の前であんな光景を見てしまった絶剣様を止められる者はここには居ない。

 

「撃つの禁止って言ってもカナタは撃たれてもいいことをしてる事自覚ある?」

「いやいや、不可抗力だから!? 手が滑ってしまってのだから」

「不可抗力なら女の子の胸触っていいの? そんなの可笑しいよね?」

「やはり弁解の余地なし!?」

 

その後、あたしは数分前に頂戴した『背後から撃てばいいよ』のセリフ通り、背後から響く銃弾に当たってしまい、あたしの亡骸は無残にも洞窟の入り口に転がるのだった。




という事で、終始ギャグ展開で終わってしまったユウキちゃんとレンちゃんの誕生日記念エピソード。
やはりこれだと私自身も読者の皆さんに申し訳ないので、時間が空いた時に【レンちゃん・ユウキちゃん・レインちゃん】の三人娘に加えて、カナタかシノンちゃんのどちらかを付けた話を書こうと思います。
すっごい時間かかっちゃうと思いますが、待っていてくださると嬉しいです!(土下座)

また、次回から中断していたアリシゼーションの本編を書き進めていこうと思います!(敬礼)
ゆったりしたら、10月まであと3か月しかない……早いな……(軽く絶望と目眩)

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