sunny place 〜彼女の隣が私の居場所〜   作:律乃

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更新、遅れました…!
今後の展開を考えていたり、アニメを見返していたら…こんな時間になってました(大汗)

しかし…まさかアリスちゃんの誕生日が4月9日だったなんて……(驚愕)

ちょ、ま…ユージオくんと1日違いじゃないですかっ!!?

ユージオくんは作中にて木剣を貰ってましたが、アリスちゃんはユージオくんとキリトくんに何を貰ったんでしょうね?
すっごい気になる…(目を輝かせる)

さて、今回の話ですが…ユージオくんのエピソードがネタバレしたので、こちらでもがんがんネタバレしていこうと思いますっ!

※4月9日からかなり遅れての更新となってしまい、すいません…(大汗)

作中にて"あの時の約束"が点滅しているのはカナタがその約束を後少しで思い出しそうでありながらも思い出せないという曖昧な事を表情する為です(敬礼)


木漏れ日と約束(アリス誕生日記念)

【雲上庭園・丘の上】

 

人界380年 5月 24日。

生い茂る葉っぱの間から木漏れが降り注ぐ中、丘の周りを流れる小川のせせらぎに身を委ねながら、あたしはのんびりと本日の訓練で疲れた心体を休める。

 

(…いい天気だよな)

 

背後にある金木犀(きんもくせい)の幹に背中を預け、上を見上げれば、ガラスで姿までは見えないがポカポカ暖かい光を天界へと注いでくれる太陽(ソルス)がこの上にあるのだろう。

ガラス越しに降り注ぐ(めぐみ)の光を全身に受けながら、あたしは左耳から聞こえてくる健やかな寝息に思わず頬を緩める。

 

「すぅ…すぅ…」

 

(…普段は凛々しい顔つきのアリも寝ている時は年相応な愛らしい顔になるんだな)

 

チラッと左側を見れば、あたしに寄りかかり左肩に顔を乗っけてスヤスヤと寝息を立てているアリスを起こさないように肩にかけるだけにしてある琥珀(こはく)色の羽織(はおり)をかけてあげる。

 

「いくら陽の光が暖かいからってこんなところで寝てしまったら風邪を引くだろ」

 

てか、そもそもあたしたち整合騎士は風邪を引くことがあるのだろうか?

"んーっ、んーっ"と(おとがい)に右手を添え、悩んでいると「…んっ」と妙に色っぽい声が聞こえたかと思うと切れ長な瞼に象られた長い金色のまつ毛がゆっくりと開き、ぷるっと潤った桜色の唇が震え、澄んだ鈴の()のようなに(おと)に乗せて、あたしの名前を呼ぶ。

 

「…カナタ…ですか?」

「ん。あたしだよ」

「…私は…寝ていたのですね」

 

目をこすりながら、身を起こすアリスが身動きするたびに華奢な身体に絡みつく黄金と青色の鎧がかっちんかっちんと鉄と鉄がぶつかる音が微かに聞こえる。

 

(…しかし、こんな重そうな鎧をつけながら…よくあんなに身軽に戦えるよな)

 

よく叔父さん…ベルクーリ閣下に見てもらいながら、アリスと剣の打ち合いをすることがあるのだが、見かけの重々しさには想像できないほどのスピードで一気に自分の間合いに入られてしまい、彼女の花たちに多々なる切り傷を負わさせるのが大体のあたしの負け方となっていた。

 

因みにあたしはアリスや他の整合騎士殿とは違い、叔父さんのような身軽な服装を好む趣向がある。

理由は恐らく、あたしの愛剣…いいや、愛刀が。あたしの戦い方が相手の懐に潜り込んでからの一撃必殺という超至近距離タイプだからだと思う。

 

そんな下らない事を思いながら、アリス…いいや、首元を守っている青の部分と女性らしい曲線美を描く金色の胸当ての部分を見ているとアリスが不思議そうに問いかけてきた。

 

「…私の方をジィーと見てどうしたのですか?カナタ」

「…へ?あ……ん、アリはすっごい美人だからずっと見てられるなぁ〜って思ってね」

 

流石に同性とはいえど"胸をジィーと見ていました"などとは言えるはずはなく、あたしはキョトンとしながら口からでまかせを言う。

 

「…カ、カナタ…っ。な、何をいってるんですかっ!?」

 

(おぉ〜っ、面白いほどに顔が真っ赤になっておりますな)

 

きめ細かい美しい白い頬を真っ赤へと瞬時に染めたアリスはあたしからプイッと顔を背けるとわざとらしく咳をこむ。

 

「ごほん。それよりもなんで私は寝ていたのですか?」

「へ…あぁ、君の金木犀とあたしの泉に陽の光を注いでいる間に世間話をしていた時にうとうととね」

 

もうちょいレアデレアリスを見ておきたかったと思いながらもそれを口にすると後で練習試合の時に数十倍になって返ってくるに違いないと苦笑いを浮かべる。

そして、アリスの方に向けていた視線をあたし達を優しく包み込んでくれている金木犀の木と丘の周りを流れている透き通った小川へと視線を向ける。

 

あたしの視線を辿った後に自分に掛かっている琥珀色の羽織を見た後にあたしへと問いかけてくる。

 

「…そうですか。それと…これはカナタのですか?」

「まあね。君が風邪引くといけないから」

「私たち整合騎士は風邪は引かないのではないですか?」

「そうかもだけど、念には念をね」

 

そこまで話したところでアリスの右手首に巻き付けられている古びた布を見つめ、淡く微笑む。

 

「それまだ大事にしてたんだ。もうボロボロだから捨てればいいのに」

 

細い手首に巻かれた卵色の何かの破片であろう布は記憶を失う前(・・・・・・)のあたしが整合騎士になりたてのアリスと共にダークテリトリーからの侵入者と対峙した時に巻いていたマフラーの一部だそう。

アリス曰くその時のあたしは今のアリスよりも超絶強くかっこよかったそう……ふむ、女性なのにかっこいいとはなかなか複雑な気分だが、不思議とアリスに言われるのなら悪い気はしない。

 

「そうはいきません。これは私にとって大切なものなんですから」

「そんなに?」

「ええ、この布は初めてカナタが私を守ってくれた…小さい頃の約束を守ってくれた証なのですから…」

 

大事そうに卵色のマフラーの一部を抱きしめるアリスへと恥ずかしそうに頬をかくあたしはどうやら記憶を失う前に色々と彼女へとギザったらしいセリフを吐いていたようで、時折その事を話題に上がられるたびに穴があれば入りたくなってしまう。

のだが、他の整合騎士達からよく言われるのは"今のカナタとそんなに大差ない"との事。

 

“あたし…そんなに普段からギザったらしいの…?”

 

意識してないし、周りのみんなとあまり変わらないと思うのだけども…。

そんなどうでもいい事を考えているとアリスが思いつめたような表現を浮かべて、あたしの両手を握ってくる。

鉄越しでも伝わってくるアリスの手の温もりと真剣な眼差しについつい身構えてしまう。

 

「そこでですが…!!カナタっ」

「…ん?何」

「あ…あの…と、きの約束はまだ有効なのですか?」

 

声を裏返らせながら問いかけてくるアリスが言う"あの時の約束"に残念ながら見覚えない。

なので、言いにくそうにその約束の内容を尋ねるあたしにアリスがハッとした表情を浮かべる。

 

「えっと…アリスさん、あの時の約束と申されますと…?」

「…えっ、あっ…っ、その…っ」

「その?」

 

小首を傾げるあたしを見ながら、そのあの時の約束とやらを思い出しているのか、頬を瞬く間に真っ赤に染めたアリスはスクッと立ち上がる。

 

「なんでもありませんっ」

 

怒ったようにそう言うとスタスタと歩き去ってしまうのだった。




次回から通常の更新に戻ります。

さてさて、記憶が失う前のカナタはアリスちゃんとどんな約束を交わしたのでしょうね?

そして、作中にて出た通り、整合騎士になったカナタの愛剣ならぬ愛刀はアリスの金木犀の側にあった"泉"が古い姿となっております。
リソースは【生命の癒し】と他は考え中となってます(微笑)

なぜ"癒し"かというと、近くに立つ金木犀や草木、村人へと潤いを与え、その命を癒したといえると思うので……こんな回のカナタは援護に回ることが多くなりそうです(微笑)

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