まずは
ユージオくん、誕生日おめでとうーーぉ!!!!!
いつもの穏やかで優しい君に癒され、アリスちゃんに一途な所にキュンキュンし、どんどん強くなっていく君に勇気をもらっていました。
そんなに君が生まれてくれたこの日に感謝を!!
その感謝の気持ちを込めて…今回の話は誕生日エピソードとなってます。
ドキドキはしないと思いますが……ユージオくんとカナタのやりとりに"くす"と笑ってもらえると嬉しいです!
では、本編をどうぞ!!
【修剣学院・上級修剣士寮】
人界暦380年4月10日。
その日、あたしは
大の大人が座ってもゆったりとくつろげるくらいに大きなソファに勢いよく腰掛けたあたしは腕を組むと勢いよく毒づく。
「あぁ〜ッ、あの貴族たちマジムカつくっ」
頬を憤怒でプク〜と膨らませ、思い出す度に湧き上がってくる生理的に無理な嫌悪感を床をブーツで蹴飛ばす事により発散する。
とある出来事から
鮮やかな青色のセントラル修剣学院の上級修剣士が着用している制服へと腕を通す心友は彼の性格がそのまま出ているような物静かな…穏やかな顔立ちへと苦笑いを滲ませるとあたしへと問いかけてくる。
「カナタがそんなに怒るなんて珍しいね。そんなに酷いことをされたのかい?あの二人に」
ユージオが指差す二人の人物は恐らくあたしと同じだろう。
やらしく曲がった金髪にニヤニヤと薄気味悪い強張った顔に真っ赤な上級修剣士の制服を身につけた首席のライオス。
青い髪をオールバックにし、やらしく型ばった顔立ちに真っ黄色な上級修剣士の制服を身につけた次席のウンベール。
どちらもあたしがこの学び舎に通いだしてからというもの…性格的にも外見的にも生理的にうけつけない人物なのだがーーその人物に今日、あたしは最も堪え難い辱めを受けたのだ。
これは誰かに聞いてもらわないと怒りが収まらない。
「それが聞いてよ、ユオ!」
身を乗り出すあたしを前に苦笑いを浮かべるユージオ、そのユージオにその出来事を話そうとしたそのときだったーー。
コンコンとドアをノックする音が聞こえ、入ってくるのは初等修剣士の制服に身を包む三人の少女達で緊張した面持ちで入ってきたかと思うと、ソファで向かい合うあたしとユージオを見て頬を瞬時に染めている。
しかもよくよく見るとみんなの口元に両手を可愛らしく添えて、コソコソと小声で話し合っていらっしゃる。
はてはて、一体何が彼女達の好奇心をくすぐっているのだろうか?
「……あっ」
「………?」
小首を傾げるあたしと違い、ユージオは彼女達が何を誤解しているのかにいち早く気付いたようで、自分の方へと身体を突き出しているあたしの肩へと手を置くと自分から遠ざける。
その仕草で自分が今のどんな状況なのかを知る。
二人がけのソファに座っているユージオは両手に教科書を持っており、そのユージオの右側にあるソファに腰掛けているあたしが机に両手を置いて、彼に向かって身を乗り出しているのでーー多分だが…彼女達が立っている位置から見るとこれから
だから、彼女達が入った瞬間に頬を赤く染めたというわけか。
「お〜ぉ、なるほど…あたしとユージオができちゃって…これからも接吻しようとしているように見えたというわけか…」
ふむふむ、と一人納得したようにうなづくあたしにユージオは終始頬を赤く染めて声を荒げる。
「何。冷静に状況解析してるんだよ!まずはティーゼ達の誤解を解く方が大事でしょ」
ユージオのあまりの慌てふためきにあたしの意地悪心が刺激され、ニンヤリ笑うとあたしは爆弾を落とす。
「そう?あながち、間違ってないでしょ。だって、あたし達って
「ちちく……ッ!!?」
彼女達の顔の赤さとユージオの慌てふためき具合が加速していく中、あたしは一人この
「みんなっ、カナタのは嘘だからね!」
「へー、あたしの胸をあんなに、激しく揉んだのに?」
「胸をもん……!!?」
おーおー、フレとロニは耳まで真っ赤に染めて、テゼに至っては驚きすぎて
「はぁ……ほら、みんな見て。カナタが実に楽しそうでしょう?こういう時はカナタの掌で転がされている時なんだよ」
そう深いため息をついたユージオがあたしを指差すと三人揃ってあたしを見てくる。
そして、ニヤニヤと堪え切れない笑顔をこぼしているあたしを見て、やっと自分たちがあたしの掌で転がされていたのに気付いて、羞恥で頬を染めながら、視線をカーペットへと向ける。
そんな三人へと左手をあげてながら、謝るあたしに疲れたようにため息をつくユージオ。
「からかっちゃってごめんね、みんな。みんなの反応がウブ可愛くて…ついつい意地悪したくなっちゃってね」
「もうちょっと反省の色を見せてもいいんじゃないか、カナタ」
「反省も何も乳繰りあったのは事実だしね…」
「もうカナタぁ!!あれは不可抗力だって何度も言ったじゃないか!」
「あははっ。ユオってば、からかうと面白いね」
「もう…」
あたしから視線を逸らしたユージオへと胸の前に腕を置いたティーゼがいつものように報告をする。
それに続くようにあたしへとフレニーカがいつものように報告してくれるので、
「カナタ上級修剣士殿、ご報告します。本日の掃除、滞りなく完了致しました」
「おつだよ、フレ」
「あっ…」
「ほれほれ〜、可愛い奴め。ここが弱いのだろう、ほれほれ〜」
「フレニーカが困っているだろ。やめろ!」
「ぐがぁ…」
乙女の命である髪をワシャワシャと乱しながら、髪の毛を撫でるあたしへと
「ティーゼもフレニーカもご苦労様。今日はこれで二人とも寮に帰ってもいいからね」
そこまで言の葉を紡いだユージオは一番端に立っているロニエを見ると苦笑いを浮かべる。
「ごめんね、ロニエ。あいつにはいつもの清掃が終わるまでに帰ってこいって言ってるんだけどね」
そこまで言った所で件の青年が窓から入ってくるのを頭を抑えながら見ていたあたしは三人が件の青年ことキリトから貰ったパイを嬉しそうに抱っこして帰った後、あたしは制服のポケットを探るとパイを齧るユージオへととあるものを差し出す。
「…これは?」
自分の掌に乗っかっているネックレスの先に青いザラザラした石が付いているものを不思議そうに見ているユージオへとあたしはそれがなんなのかを説明する。
「それは砥石っていってね。剣の切れ味を保つ為に使うものなんだ。ユオの布、もうボロボロだったでしょ?だからさ、折角なら長く使える方がいいかなーって思ってね」
そこで言葉を切ったあたしは嬉しそうに掌に乗っかる砥石を見つめるユージオの横顔を見つめながら、穏やかな声音でお祝いの言葉を言う。
「それに今日はユオの誕生日だし…これまでお世話になったお礼も言えなかったからね…。だから、これまでも今からもよろしく頼むね、心友」
「…うん、僕もよろしくね。カナタ」
ということで、ユージオくん誕生日記念のエピソードどうだったでしょうか?
この作中で出たライオスとウンベールから受けた堪え難い辱めと乳繰りあった出来事は後々明かしていこうと思います。
また、ネタバレきちゃいましたが…カナタのお側付きはフレニーカちゃんとなってます。
ウンベールのお側付きは考え中ですが……女の子がいいですよね、やはり…。