後悔はしていませんが、やってしまった感は否めないかもです…(苦笑)
※この話は???が前回のPoHとカナタの戦いを見ているという所です…
5/19〜誤字報告、ありがとうございます!
“なんだぁ〜、あの女”
最初に俺があの女を見かけた時に感じたのは、そんなことだった…
スゥ〜と細められた青い瞳は静かな闘志と殺意が浮かんでおり、自然と力が抜けた太刀筋はオーラが立ち昇っていて、女の手元で光る刀は女の意思を宿しているように見えた…
“やべぇ〜、ここに立ってるだけで鳥肌が立ってくるって感じはよぉ〜っ!!!ゾクゾク…、そうゾクゾクする……。あぁ〜っ、俺はなんであそこにいねぇ〜んだ!”
俺がいるべきそこには、黒ポンチョに身を包む俺と瓜二つの男が居る。その男も…いや、〈アインクラッドの俺〉も女から発せられるオーラの違いをヒシヒシと感じて、喜んでいやがる…チッ、代われよなぁ!!
“その女は俺が殺る。殺すっ!!!痛ぶって…惨めに泣き喚くその姿をこの目で拝んだその末に殺してやる…。殺してやりたい…”
「…いい表情じゃあねぇ〜かぁ〜〜っ!そうこなくっちゃなぁ〜〜〜。さぁ〜嬢っ!本気の殺し合いってのを楽しもうぜぇ〜〜〜!!イッツ・ショウ・タ〜〜〜〜イム〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!!!」
「殺し合いって、お前を殺してもいいのか?あたしは容赦しないぞ」
蒼い瞳が目の前にいるアインクラッドの俺を一瞥する。その目力に…発せられる殺意に俺は身震し、歓喜の笑みを浮かべた。この女は俺にとって最高の…本当に最高の獲物と書いてTargetだぜぇ。
「嬢に出来るのかよぉ〜。俺を殺すってことはーーそこに居る奴らの仲間入りってことだぜぇ〜〜〜」
そんなTargetをこんな腑抜けたことを抜かすアインクラッドの俺が相手するなんて…くそぉっ、つまらない展開だぁ〜、これ以上は見なくても結果など分かるーー
“あぁ〜、今だけアインクラッドの俺になりたい気分だぜぇ〜”
ーー結果はあの女の勝ちだろう。
そして、その俺の予想は当たり…腑抜けのアインクラッドの俺はその場を無様に逃げ去っていった。その姿は俺とは思いたくないほど…情けなく惨めなものだった。
“あれが俺かぁ〜?”
…考えただけで、反吐が出る。あんな奴と一緒にするなぁ〜、目の前であんな最高のTargetを前にして負けた挙句ノコノコと逃げ延びるなんて俺じゃねぇし、coolでもねぇ〜。本来の俺なら…もっと上手く、あの女の弱みを握るはずだ…
「フィー?何をさっきから怒ってるのさ?」
「怒ってない!」
「怒ってるよぉ…。ねぇ、ルー?」
「え…あぁ、そうだね…。フィリアはおこーー」
「ーー」
「ひぃ!?」
「こら、フィー!ルーは入ったばっかなんだから…そんな目しない!」
「……何よ…、あんな約束したくせに…。もう破るつもりなの…カナタは……。………わたしはただ、カナタと一緒に居たい……隣に居たいだけなのに……」
「??? フィー?」
「……知らない」
「えぇええ!?あたし、悪いことした!?」
「うるさい」
「………フィーが急に怖い…」
「………あはは…」
ワイワイと賑やかな声を響かせる3人娘の中にいる橙の和服姿の少女・カナタへと視線を向けた深緑色のポンチョの男・PoHは薄気味悪い笑みを浮かべるとニンヤリと嗤う。
“まずは…女の両端にいる奴らを誑かすことから始めるかぁ〜。クッククク…楽しみだなぁ〜!嬢…いや、カナタぁ!!
ーーアインクラッドの俺では味わえなかった本当の恐怖…本物の殺し合いってのさぁ〜、この俺が教えてやるよぉ!”
「さぁ、さぃぃぃこぉぉぉぉおうのpartyの始まりだぜぇ〜〜〜〜。イッツ・ショウ・タイ〜〜〜〜ム〜〜〜〜〜〜〜ッッッ!!!!!」
その叫び声は、暫くの間 誰もいなくなった廊下に響いては床へと沈んでいった…
次回は、こちらも久しぶりの〈シノ編〉を書こうと思います!