sunny place 〜彼女の隣が私の居場所〜   作:律乃

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ホロウ・PoHの罠に嵌められたルクスとフィリア。二人は果たして、無事にこのダンジョンから脱出することが出来るのか!?それともーー

本編をどうぞ!


※ルクフィとはルクスとフィリアを略したものです



6/2〜誤字報告、ありがとうございます!


2章015 強敵との戦闘を越えて(フィリア&ルクスside)

「はぁ…はぁ…」

 

薄暗い通路を走り抜けて、私は一息つくと辺りを見渡す。私の数メートル先にある部屋からは、モンスターが武器を引きずって歩く音やドッシンドッシンといった足音が聞こえてくる。

 

“…ここは一体、何処なんだろう?カナタや本物のルクスとも離れ離れだし…。それに…ここまで暗いと、どこに行ったらいいか分からないわ”

 

壁に寄りかかり、腕を組んで考え込む私の肩を誰かがトントンと叩く。その瞬間、腰にある短剣を引き抜き…その誰かに向けて、刀身を向ける。

 

「ッ!?」

「やぁ…フィリア」

 

向けた先には、両手を上げた白銀のウェーブのかかったロングヘアーと同色の垂れ目に、何処かのほほ〜んとした雰囲気が漂うこの少女には見覚えがあったーーというか、さっきまで安否を心配していた仲間の一人のルクスに違いない。

しかし、さっきの出来事から…目の前にいるこのルクスが本物かどうかが分からない。疑いの視線を向ける私に、ルクスは少し傷ついた表情を浮かべる。

 

「…ルク…ス…、よね?本物の…ルクスよね?」

「…私だよ。なんで、そんなに疑うの?………まだ、信用されてないかなぁ…」

「ルクス、ちっ違うの!今のあなたが私の知ってるルクスって事は分かったよ。でもね、私…あなたに突き落とされて、ここに来たのよ」

「へ!?私、フィリアにそんな事しないよっ。それは多分ーー」

「ーーえぇ、この世界のルクスって事ね」

「凄いね、二人とも。もうそんな事が分かったんだ」

「「!?」」

 

突然、響いたその声に私とルクスは同時に振り返る。そして、その声の主をルクスが視界に収めた瞬間…目を丸くして…身体を震わせる。

そんなルクスを見て、優しく微笑むのは背中の真ん中まで明るく茶色の髪を伸ばした少女で、可愛らしい顔つきと左側についている大きな花の髪飾り、頭の先からチョロンと伸びるアホ毛やらが更に彼女を子供らしく思わせる。何処か翳りのある赤く大きな瞳も彼女が可愛らしく思える要素なのかもしれない…。

そんな少女は、私たちの近くまで歩いてくるとルクスに向けて、右手を軽くあげる。

 

「へ…なんで…」

「やぁ、ルクス。久しぶりだね…って、言っても ここに居るあたしはあなた達の言う通りで〈ホロウ・データ〉…その名の通り、本物のあたしをデータ化したAIなんだけどね。さっきは突き落としちゃったりしてごめんね…、ルクス。本当は、こんなことしたくなかったんだけど…。あの子…この世界のルクスを人質に取られちゃって…ついね」

 

両手を顔の前で重ねて、可愛らしく舌を出して…頭を下げる少女にルクスは震える声で問いかける。その問いに答えた少女は、可愛らしく小首をかしげる。

 

「教えて、ロッサ。あの男…PoHは何を考えてるの?」

「…あなたが尊敬する人の抹殺。…って言ったら、分かる?」

「!?」

「待って。あいつは…カナタを殺すために、こんな大掛かりなことをしてるってこと?なんで!?」

 

少女…ホロウ・ロッサの答えに私は叫ぶ。だって…そんなのおかしいっ。

 

“たった一人を罠…殺すために、多くの人を巻き込むなんて…”

 

「あの男が行う殺しに理由なんてないよ。自分が面白おかしく感じる展開に持ち込めたら最高。あの男にとって…あなた達がここで亡くなって、あのカナタって人の心が壊れて…自分の望む展開になれば、なんだっていいんだよ…。それで、あたしが死んだって…ルクスが死んだって…ね」

 

肩をすくめたホロウ・ロッサは、その虚ろな瞳に何処か怒りの炎を浮かばせた。そんなホロウ・ロッサの様子にルクスは低い声で問いかける。

しかし、ルクスの問いかけにホロウ・ロッサはニッコリと微笑むと首を横に振る。

 

「…だから、君は私たちを邪魔するの?ロッサ。あの男の言いつけ通り…」

「まさか、逆だよ。あたしの願いはただ一つだもん。こっちのルクスと最後の瞬間を一緒に居たい。…だって、ルクスってば。いつも深刻そうな顔してるんだもん…どうにかしたいって思うじゃない?」

 

ホロウ・ロッサの言葉に、頬を朱色に染めるルクスを可愛らしく思いつつ…私もホロウ・ロッサに習い、ルクスをからかう。すると、ホロウ・ロッサも乗っかってくれる。二人して、ルクスをからかうとルクスが遂に耐えきれなくなり…その場を早足で脱出する。

 

「ふ。わかるよ、ロッサちゃん。ルクスって、辛気臭いもんね〜」

「あっ、あなたも同じなんだね〜。お互い苦労するね〜」

「ね〜」

「っ!?フィリア!ロッサ!今はそんな事言ってる場合じゃ無いよっ!カナタ様を助けに行かないと」

「あっ、照れてる?ルクスってば、可愛い〜」

「照れてない!もう…行くよ!」

 

一人、ズカズカとこのダンジョンの出口に向かって歩いていくルクスの先の方から、何故か知らないが…嫌な予感がする。肌に取り付く粘っこい嫌な雰囲気に、私はルクスが向かって行った方を見ると小さいがピカッと何かが光る物が見える。

 

“…!?何この威圧感…”

 

それが片手直剣と気づいた瞬間、私はルクスに向かって叫ぶ。ホロウ・ロッサも同じ思いらしく…彼女はルクスの手を掴もうと、ルクスへと走り出す。

 

「ルクス!危ない!!」

「ルクス!横!!」

「!?」

 

私達の叫び声に気づいたルクスが、横から伸びた斬撃を素晴らしい反射神経でサッと構えて防御すると私達の所まで下がる。すると、さっき ルクスへと攻撃を加えた襲撃者が姿を現す。

 

「ーー」

 

“…え…嘘ぉ…”

 

短く切りそろえられた黒い髪に、男性にしては大きめの黒い瞳はナイーブな顔つきによって…少年らしさと少女らしさの両方を出している。そして、全身を黒の一色で統一し…剰え、両手に持っている片手直剣までもが黒という徹底っぷりーーここまで、真っ黒なプレイヤーは一人しかいない。

 

「…キリト?」

「…まさか、〈黒の剣士〉キリトさんまで…ホロウ・データ化されてたなんて…」

 

驚愕する私たちは、怪しいオーラをたちのぼらせるホロウ・キリトの攻撃に備えるように…其々の愛剣を構える。そんなホロウ・キリトを見つめながら…ホロウ・ロッサが憎らしく吐き捨てる。

 

「あの男、考えてることが酷いね。あたしだけじゃあ…信用なかったのかなぁ…。それとも、はなからあたしもろとも殺す気だったか…?ルクス!え…と、フィリアちゃん?

その黒い人を倒さないと…ルクス達の大切な人までは辿り着けない」

「うん、分かった!ロッサちゃんっ。ルクス、行ける?」

「うん、いつでも…っ。正直、あの〈黒の剣士〉に勝てるかどうかは分からないけど…」

「弱気なのは、ルクスの得意分野だもんね〜」

「ロッサっ!それは酷いよ!!」

 

最初に、ホロウ・ロッサがホロウ・キリトへと細剣スキル【リニアー】を打ち込む。だが、それはホロウ・キリトの防御により…対した、攻撃とまではいかなかった。そんなホロウ・ロッサに向けて、攻撃しようとするホロウ・キリトに向けて…次は、ルクスが片手直剣スキル【スラント】を放つ。しかし、それもホロウ・キリトの左手に持った片手直剣により攻撃を阻まれる。

その後も隙あらば、攻撃を仕掛けるが…見事な反射神経により、逆にこちらがカウンターを喰らい、HPを深く持っていかれる。だが、そんな攻撃しては攻撃させるという攻防戦の結果…ホロウ・キリトのHPを三分の二まで削ることが出来た。しかし、そこまで向かう途中で使ったポーションとハイポーションの数は正直いって…数えたくもない。

ホロウ・キリトから距離を一旦取った私達は、最後の作戦会議を行う。

 

「流石、キリトだね。強い…っ」

「でも、負ける訳にはいかない!カナタ様も今、頑張ってる筈だから!」

「二人とも!畳み掛けるよ!ルクス、少しでいいから…あの人の隙を作って!」

「了解だよ、ロッサ!」

 

ホロウ・ロッサの指示に、ルクスが素早く反応して…二刀流スキルを使うホロウ・キリトとの攻防を繰り広げる。お互いの片手直剣が重なり合う度に、火花が飛び…辺りを少し明るくする。私達も加わった三十分近い攻防戦の後、ルクスの片手直剣スキル【バーチカル・スクエア】を受けたホロウ・キリトが麻痺状態に陥る。

 

“ここ!”

 

私とホロウ・ロッサはお互いの愛剣を其々の色に染めながら、ホロウ・キリトへと其々の武器の奥義技を繰り出す。

 

「やァああああ!!!」

「うォおおおお!!!」

「いっけェえええ!!!」

 

短剣スキル奥義技【エターナル・サイクロン】、片手直剣スキル奥義技【ファントム・レイブ】、細剣スキル奥義技【フラッシング・ペネトレイター】。其々の刀身がホロウ・キリトの身体を斬り裂き…ホロウ・キリトは力無くその場に倒れると、その身をポリゴンへと姿を変えた…。天井に向かって…飛んでいく青白いポリゴンを三人で見送った後、ホロウ・ロッサに連れられるままに…カナタが囚われているという部屋の前に辿り着いた。

ホロウ・ロッサが振り返ると、私たちへと問いかけてくる。

 

「こっちだよ、フィリア、ルクス。この先に二人の大切な人が居るよ。準備はいい?」

「うん、今度は私がカナタを守る番だもん」

「私は大丈夫だよ、ロッサ。私は、カナタ様を信じてるから」

「うん、じゃあ…開けるね」

 

ホロウ・ロッサは扉に手をかけ、勢い良く その扉を開け放った……




ということで、次回はいよいよ…ホロウ・PoHとの最終決戦です!ルクスとフィリアは間にあったのでしょうか?カナタとホロウ・ルクスとの対戦の結果は…?
次回をお楽しみにです!



そして、久しぶりの雑談コーナーです。
私、ずっと前に『ロスト・ソング』『ホロウ・リアリゼーション』『ソードアート・オンラインvsアクセル・ワールド 千年の黄昏』を買ったのですが…

つい先日、『千年の黄昏』をクリアしました(微笑)最後の最終戦で凄く手こずり…私はつくづく、デュエルが苦手なんだなぁ〜と思いました…(汗)
そう考えると…キリト達やハルユキ達の凄さが分かります…。私がもし、あの世界に行っていたら…真っ先に死んじゃいそうですから…(涙)

そして、そんな『千年の黄昏』ですが…沢山のいい一枚絵が有りました(笑)まだ、全部は見れてないのですが…その中でも心に乗っている一枚絵が二枚ありまして…。

その一枚絵の一つ目が…パドさん、あきらさん、シノンのイベントで現れた一枚絵で。
この時のシノンの可愛さはどんなキャラクターよりもすば抜けてました!(笑)頬を染めて、水色のしっぽを逆立てて…一生懸命、二人のセリフにツッコミを入れてるシノンが最高に可愛すぎて…っ(興奮)
このイベントのシノンのセリフは何回も再生しては…一人、ニヤニヤしてた記憶があります(笑)

そして、二つ目はメイドさんの皆のイベントシーンが好きでしたね(笑)
一枚絵も可愛らしかったんですが…、セリフ最中の皆のメイドさん姿が可愛らしすぎました!!(興奮)
個人的には、AWチームで好きだったメイド服は黒雪姫先輩で…SAOチームでは、シノンも良かったんですが…リズさんのメイド服のデザインが好きでしたね(笑)

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