sunny place 〜彼女の隣が私の居場所〜   作:律乃

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さて、いよいよ このホロウ・エリアでの話もあと少しです!今回も戦闘シーンは自信がありません…(微笑)ですが、一生懸命 書いたので…楽しんでもらえればなぁ〜と思います(礼)




6/4〜誤字報告、ありがとうございました!


ー少し補足ー

カナタのユニークスキル『二天一流(にてんいちりゅう)

このSAOの中で、攻撃力が一番高いプレイヤーへと送られるユニークスキルで…刀と小太刀出なくては使えない。その為、カナタはいつも腰に小太刀を下げています


2章016 ホロウ・PoH(カナタside)

「ーー」

 

変幻自在に角度を変えて、攻撃してくる片手直剣を愛刀で迎え撃ちながら…チラリと左上に浮かぶ自分のHPを見てみると、黄色のゾーンから丁度赤いゾーンへと移行したところだった。

 

“クッ。このままじゃあ…キリがないっ!そればかりか…あたしが死ぬことになる。このルーには悪いけど…あのユニークスキルを使って、決めさせてもらう!”

 

あたしは苦虫を噛んだような表情を浮かべると、いつも右腰に装備してある小太刀へと手を伸ばそうとしたところで…ホロウ・ヴァサゴが居る扉が勢いよく開く。近くにいるホロウ・ヴァサゴが目を見開く中、あたしの元へと三人の人影が走り込んでくる。その中の二人には見覚えがあった…今の今まで、安否を心配していた仲間たち…ルーことルクスとフィーことフィリアだ。そんな彼女らの近くにいる右側に大きな花の髪飾りを付けた可愛らしい雰囲気を漂わせているこの少女は誰だろうか…?

 

「カナタ様っ!」

「カナタっ!」

「くっ、ルー!?フィー!?なんで!!」

 

三人の乱入にも気付かずに、あたしへの攻撃を続けるホロウ・ルーに向かって…あたしが見たことがないその少女が大きな声で呼び止めた。その少女の声に、ホロウ・ルーは攻撃の嵐を止めると…ゆっくりとした動作でその少女へと振り返ると、まだ翳りがある垂れ目を大きくすると片手直剣を床へと落とすと少女へと抱きつく。

 

「ルクス!やめて!!」

「ーー!?…ロッサ…?」

「あたしは無事だよ。だから、その人を攻撃するのはやめよ、ね?」

「…ロッサ!」

 

攻撃をやめて、右側に大きな花の髪飾りを付けてる少女へと抱きついて…涙を流すホロウ・ルーを見て、ホロウ・ヴァサゴが舌打ちする。そして、あたしへと向き直ると手に持った友切包丁を構えると走り出す。

 

「ちっ、余計な真似を…あのボブっ。まぁ、いい。ここまでHPが減ってしまえば…あとは簡単だぁ〜。シネッ!カナタァアアアアアア!!!!!」

「させない!」

 

カッキーンと鉄と鉄が合わさる音が聞こえ、あたしの前にふわっと白銀の長い髪が舞う。それがルーの物だと気づいた頃には…あたしは後ろへと右手を引っ張られ、胸にピンク色の結晶を押し当てられていた。

 

「!?。おい、ルクス。どういうつもりだぁ〜?まさか、助けてやった恩すらも忘れたかぁ〜?」

「…私が今、心から仕えたいって思ってる方はカナタ様だけだ…。それに…何故、私の過去をあなたが知ってる」

「そんなこと…これから死ぬ奴に教える筋合いはないな!」

「ふん!」

 

一気にHPが緑のゾーンまで向かったのを見ると、あたしは目の前にいる金髪碧眼の少女・フィーへとお礼を言う。だが、そのお礼の後に呟かれたフィーの呟きが聞き取れず…あたしはフィーに怒鳴られる。

 

「カナタ、こっち。はいこれ、ヒール!」

「ぁ…ごめんね、フィー。大切な結晶使わせちゃった…」

「これくらい大丈夫よ。……結晶よりも…私はカナタの事が大切だもん…」

「???フィー、さっきはなんて?聞こえないよ」

「…なんで、大事なところが聞こえないのよっ。バカカナタ!」

「えぇええ!?なんで、怒られてるの!?」

「もう、くだらないことしてないで行くよ!ルクスの助っ人に行くよ」

 

不思議そうな顔をするあたしを見て、呆れた表情を浮かべるフィーはあたしへと手を伸ばすと起こしてくれる。フィーが背中を叩いて、気合いを入れてくれるので…あたしは胸を叩いて、刀を左手へと…小太刀を右手に持つと、ルーとホロウ・ヴァサゴが闘っている所へと向かった。

 

「あぁ!任せて!!もう部様な姿は見せない…。ここまで、小癪な手をとったんだ…。あたしは、あいつを絶対に許さない!!」

「そのいきだよ!カナタ」

「ん!」

「くっ!」

「ルー、スイッチ!」

「はい、カナタ様!」

 

ホロウ・ヴァサゴの友切包丁を上へと弾くと、あたしは両手に持った刀と小太刀でホロウ・ヴァサゴの身体を引き裂いた。横になぎ払った愛刀達を、今度は淡い光を刀身へと浮かばせると怒りの表情で顔を歪ませるホロウ・ヴァサゴの身体を斬ると…後ろへと下がる。すると、ルーとフィーがそれぞれの武器を輝かせると、ホロウ・ヴァサゴに向かって…ソードスキルを放った。

 

「ぐっ…、ふ…。卑怯と言ってたわりに…カナタぁ〜。貴様も卑怯だなぁ〜」

「…お前の口から聞きたくないけどなぁ…。でも、ここにいるそれぞれがお前に怒りをぶつけたいと思っていたって事だな。まぁ、日頃の行いの差だな…」

「ふ…。まぁ、いい…。さぁ、最後のPartyといこうぜぇ〜〜〜」

「あぁ」

 

あたしは、やけっぱちになって友切包丁を振り回すヴァサゴの隙をつき、このユニークスキルの奥義技をその身体へと叩き込む。二天一流スキル奥義技【天竺牡丹】、白い淡い光を放つ刀身がホロウ・ヴァサゴの身体に赤い線を数多に作り出し…その身体をポリゴンへと変えさせた…。

 

「っ…負けたか…。でも、これで終わりというわけじゃない…。せいぜい、俺から逃げ回ることからだなぁ〜」

 

そんな不気味な最後のセリフを呟いた後に、ポリゴンへとなったホロウ・ヴァサゴから背を向けたあたしはフィーとルーへと向き直る。

 

「…さて、これからどうしようか?」

「元凶は倒したんだし…ここを出るヒントくらいあってもいいのにね」

「ここに来る途中で、フィールドは殆ど 回ったからね。あと、回ってないところといえば…」

「…あそこか」

 

あたし達は、短い作戦会議を終えると…今まで助けてくれた二人にお別れをして…最後のダンジョンへと向かった……




ということで、次回は強敵として…あの人の登場です!その人との対戦で勝てるのか!?お楽しみにです(礼)

そして、明日の更新はお休みとさせてもらいます…。次回の更新は日曜日を予定してます。では!!

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