sunny place 〜彼女の隣が私の居場所〜   作:律乃

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1日遅れてしまいましたが、更新します。本当に申し訳ないです…。

さて、今回の話は台本式にしていた[自己紹介]をリメイクしたものです。長くなりそうだったので、前編と後編で二つに分けての更新となってます。

まずは前編の更新です。今回はお笑い要素が多めなので、読者の方に笑っていただけると嬉しいと思います。

では、本編をどうぞ!


2章020 自己紹介 前編

シノンとあたしを迎えにきてくれた大勢の老若男女はなんと、あの真っ黒な服装をこよなく愛する我が親友ことキリトが集めた仲間たちだそうで…それを愛する恋人殿から聞かされたあたしの顔を見せてあげられるのならあげたい、目がもう見事な円を描いていたことだろう。

 

“え…、え…マジっすか?

この世界って女性プレイヤーの層が少ないんですよね?ね?なんで、キリのとこだけそれが逆転してんの?バクってるの、キリ(そこ)だけ?”

 

なんて、失礼な事を思ってしまうほどに…あたしは驚きのあまり挙動不審になりかけていた。

だが、敵が現れれば…それとこれとは話が別で…キリトたちが武器を構える前に前のめりに駆け出し、先陣切って敵に殴り込み…いいや、辻斬りを行なっていく。

 

「ふん!はあっ!うっしゃー!!あたし、最高ー!!最強ー!!いぇーーい!!!」

 

バッサバッサと一振り、二振りでモンスターを葬る度にテンションが可笑しい方面に全力疾走しているあたしに援護に回ろうとしていたキリトを含めたアインクラッドチームは苦笑い。だが、それに気付かないあたしは辺りをポリコン片で埋め尽くしながら、左手には刀を持ち、もう一方には一回り小さな刀を持って…10メートル先にいるモンスターを指差し、ニコニコと笑いながら、難関ダンジョンを共に潜り続けていた心しれた仲間たちへと問いかける。

 

「ねぇ!ねぇ!あそこにもいるんだけど、倒しに行ってもいいかな?フィー、ルー」

 

その問いに対しての答えは、あたしが想像していたものよりも嬉しくなく痛いものだった。

 

「このおバカ!」

 

ニコニコ笑顔のあたしに駆け寄ってきたフィリアは走ってきた勢いのまま、右拳をあたしの頭へとねりこませる。

 

「いだ!?」

 

スナップを効かせた右げんこつによって、暴走状態だったあたしを見事鎮圧してみせたフィリアは迷いのない動きであたしの右腕を自分の左腕でがっしりホールドすると、その様子を見ていたルクスもあたしの右腕へと自分の右腕を絡めてみせた。

 

「そうですよ、カナタ様。今はその衝動を抑えてください」

「くっそー、離せー!!は・な・せー!!あのモンスターがあたしに倒して欲しいって言ってるんだーー!!」

「そんなわけないでしょう、ほらこっちだから。脚を動かす」

「フィリアのいう通りですよ、カナタ様。脚を動かさないとこけちゃいます。ほら、皆さんが待ってますし、早く行きましょう」

「ぬわぁ〜〜!!」

 

大暴れするあたしはそんな二人に連れられて…ううん、半ばひきづられながら…キリトのお仲間さんが経営している酒場まで来ていた。そして、貸し切り状態の酒場を右側をキリトが統べるアインクラッドチームが集結し、左側ではあたしを中心としたホロウ・エリアチームが集まる。

そんな中、あたしは不機嫌そうに頬を膨らますと両脇にいる二人を睨む。あたしに睨まれている二人はやれやれと肩を上下に動かす。

そんなホロウ・エリアチームの中に広がる不穏な空気を感じ取ってか、キリトがあたしの様子を伺うような仕草を取る。

 

「ーー」

「え…と、なんでカナタは頬を膨らませているんだ?」

「気にしないで、キリト。これも一種の病気だから」

「私たちが強引に連れてきたんで怒っているんですよ。本当はもう少し戦っていたかったらしくて…この酒場に連れてきてからずっとあの調子でして。すいません」

「あはは…俺もその気持ち分からないでもないからな…」

 

フィリアとルクスの説明を聞いて、頬をかくキリトがあたしへと話しかけてくる。

 

「おい、カナタ。そろそろ機嫌直せよ、気分転換に自己紹介しようぜ」

「…じゃあ、それが終わったら…ダンジョン攻略付き合ってくれる?」

「あぁ、任せろ!」

「ありがとうっ!」

 

お礼を言い、駆け寄ってくるあたしに両手を広がるキリト。周りにいる誰もがそのキリトへとあたしが抱きつくものと信じていた。だがしかし、そのキリトに抱きつく寸前で交わしたあたしはそのまま後方にいる愛する恋人殿へと飛びつく。

 

「きゃあ!?」

 

突然、抱きつかれた恋人殿は今まで聞いたことがないような可愛らしい声を上げる。その声にムラムラ…いや、いけない衝動に駆られるのを我慢しようと背中へと両手を回すとギュッと彼女の華奢な身体を抱き寄せる。抱き寄せた際にどさくさに紛れて、首筋や胸元に顔を押し付けるのはどうかご愛嬌と思って許してほしい。

 

「久しぶりのシノの匂い…落ち着く…」

「ヒナタっ!ちょっ、くすぐったいから、やめ…って、アバターに現実世界の私の匂いがするわけないでしょう!」

「あたしのシノ愛を見くびってもらっては困る。シノから漂うどんな些細な香りやシノが立てる些細な音なら何千キロ先だろうと嗅ぎ分けたり、聞き分けられる自信あるもの」

 

そう言って、胸を張るあたしに最愛なる恋人殿が引いていた。

何を引くことがあるのだろうか?それだけ、あたしはシノが大好きってことなのに。

 

「怖い、怖いから!?嬉しいを通り越して、恐怖しかないわよ、それ!」

 

そんなあたしたちのやりとりに寸前で交わされたキリトはガクッ肩を通す。それをジッと見ていた周りの人たちは同じ仕草で呆れると桃色のショートヘアーにそばかすが愛らしい少女がキリトへと話かける。

 

「何やってんのよ、あんたたち…。今はそんなコントしてる場合じゃないでしょう」

「だな。シノンとカナタもそろそろ」

 

キリトにそう言われ、シノンがあたしへと優しく語りかけるがあたしは首を横に振ると彼女に尚更強く抱きついた。

 

「えぇ、ほらヒナタ。あとでゆっくりと話をしましょう?ね?」

「やー」

「いやって…」

 

困った顔をしているシノンを見て、暫し成り行きを見ていたフィリアとルクスが顔を見合わせると慣れた手つきでシノンからあたしを引き剥がすと揃って、アインクラッドチームに頭を下げていた。

それに右手を軽く振って答えたキリトは周りを見渡すと酒場に響く声で言った。

 

「じゃあ、改めて自己紹介としようか」と。




久しぶりにシノンさん愛を爆発させるヒナタ。
最近の話は内容が暗かったり、変なクエストを受けて小さくなったりとシノンさんとの絡みが少なかったからですね…書いていて、懐かしい気持ちになりました(笑)

これから先もこうして、二人がただイチャイチャする話は暫し書けそうにないので…読者の皆さんも今回の話などで補給を(笑)

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