sunny place 〜彼女の隣が私の居場所〜   作:律乃

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お待たせしました!後編の更新ですっ(o^^o)

さて、逃げてしまった歌姫とは誰なのか?なんで、歌姫は逃げてしまったのか?

本編をどうぞ!


6/21〜間違っていたところを直しました

6/22〜誤字報告、ありがとうございます!


2章028 歌姫と蒼目の侍 後編(カナタside)

カーリアナの街を一人の少女が駆け抜けていく。夜風に頭の上に乗っかってる帽子の羽根とボロボロのマントがはためき、さらさらと少女の薄焦げ茶色のロングヘアーが揺れる。

走りながら、少女は何かを気にするように後ろを振り向きながら器用にかけていくと疲れたのか…近くにあったベンチへと腰を下ろす。

 

「はぁ…はぁ…。ッ…」

 

激しく上下する胸元へと右手を添えて、少女・レインは先程 出会った人物を思い出していた。

夜風に揺れるのは、癖っ毛の多い栗色の髪と羽織っている橙の着物。こちらを見つめる瞳は、ジッと見つめていると吸い込まれてしまいそうなくらい美しい光を放つ蒼でーー

 

“ーー好きになってしまった…。初めて会った…初めて見た人に…”

 

そこまで考えて、レインは頭を左右に振る。その仕草は、まるでさっきまで考えていた自分の考えを追い払おうとしているかのようだった。

しかし、レインの目論見は件の人物により邪魔されることになる。小さく呟くレインの言葉を遮って、はにかみながら…レインへと話しかける人物にレインは固まる。

 

「…ううん、そんなわけーー」

「ーーやっと、見つけた。君って、足が速いんだね」

「ッ!?」

「隣いいかな?」

「あ…その…。どうぞ!」

「あはは、あんがと」

 

肩をピクッとするレインの驚きっぷりに、クスクス笑いながら…その人物はレインの横へと腰掛けた。改めて、人物ーー彼…なんだろうか?を見てみると、レインよりも身長は10cmか5cmくらい高い。華奢な身体を黄・橙系統の和服で包み込み、袖からは触れれば折れてしまいそうな腕が覗いている。此方をニコニコと笑いながら見てくる顔つきは、綺麗系で…総合的に美男子というところだろうか。

 

「君はなんで、さっきあたしから逃げたの?」

 

レインは顔を覗き込んでくる美男子?・カナタから視線を逸らすと…小さくカナタの問いに答える。

 

「それは…」

「?」

「…ぼれ…して…」

「聞こえないよ」

「一目惚れ…。君に一目惚れしてしまったんです」

 

レインの告白に目を丸くするカナタは、頬を染めつつ…グイグイと距離を詰めてくるレインに頬をかく。

 

「君は好きな人がいるの…かな?」

「そうだね…。確かに、あたしには大好きで大切な人がいる」

「そっか…。君、カッコいいもんね〜。じゃあ、その人の下は?」

 

カナタに好きな人がいることにがっかりした様子のレインは、何かをひらめいたように顔を上へとあげると…カナタへと問いかける。

 

「下?」

「その人が一位なら…二位は誰なのかなぁ〜って」

「二位…?二位…」

 

腕を組んで考えるカナタへと、レインが爆弾発言をする。

 

「もし、居ないなら…わたし、君の二位にエントリーしてもいいかな?」

「へ!?それって…愛人…ってこと?」

「そうかも…。でも、それでもいいんだ…。

一位じゃなくてもいい…。ちょっと、わたしの事を気にしてるくらいでいいから…。君の側…ううん、隣に居たいの」

「えっと…それは…」

「ダメ…かな?」

「ーー」

 

頼み込むレインとさっきまでのやりとりを頭の中で繰り返しながら…カナタは頷くと、レインを連れて…リーファが待つ待ち合わせ場所へと向かった…

 

 

 

γ

 

 

 

一日、カーリアナに泊まった三人は、レインをみんなに紹介するためにエギルの店へと向かった。隣に立つレインを指差しながら、カナタがレインの自己紹介を行う。頭を下がるレインに、エギルの店に集まったみんなも頭を下げる。

 

「ということで、レインだよ。みんな、宜しくね」

「宜しくね、みんな」

『よろしく』

 

みんなが頭を下げる中、若干二名ほどカナタを睨むものがいた。カナタは、その若干二名から視線を逸らして苦笑いを浮かべると…隣に立つレインへと話しかける。

 

「そうだ、他にみんなに言っておきたい事ある?レイ」

「ん〜、そうだね…」

 

考え込むような仕草をしたレインは、隣に立つカナタへと突然 抱きつくと満面の笑顔を浮かべて…みんなに宣言する。

 

「私、カナタ君の愛人になります!」

「ちょっ、レイ…っ」

 

爆弾発言するレインの耳元へと囁くカナタに、レインは小首をかしげる。

 

「カナタ君、二番目のエントリー引き受けてくれたよね?」

「いや…そうだけどさ…。こんな大勢の前で…そんな事ーー」

「ーー流石、カナタね。もうこんな可愛い子を手懐けてるんだ…」

「ひゃあう!?」

 

近づくカナタとレインの間へと割り込んだ金髪碧眼の少女・フィリアの目が笑ってない不思議な笑顔を視界に収めた瞬間…カナタはフィリアから漂ってくるオーラにガタガタと震える。

 

「さて、カナタ。二番目ってどういうことかな?」

「いや…どういうことと申しますと…」

 

弱ったように呟くカナタと遠くにいる焦げ茶色のショートヘアーの少女・シノンを交互に見たフィリアはレインが抱きついてない方へと抱きつくと戸惑うカナタへと不敵に笑う。

 

「二番目ってシノンの次ってことよね…。なら、この世界に来て以来ずっと一緒にいるわたしの方が二番目を獲得するに相応しいわよね?カナタ」

「フィー!?なんで…フィーまで抱きついてくんの!」

 

左右の腕をレイン・フィリアに掴まれてしまったカナタは、周囲の痛い視線を一身に受けながら…此方を複雑な表情で見ている愛弟子の名前を呼ぶ。

 

「…むー」

「ルー!助けてぇ〜」

 

しかし、愛弟子は何かを悩むような仕草を浮かべて…結果的に、カナタが望んでない方向へと動いてしまう。小さく呟いて、決意の表情を浮かべたルーことルクスは後ろからカナタへと抱きつくと、カナタに密着するためにプニプニと自身の胸元をカナタの後頭部へと押し付ける。

 

「……私もカナタ様の隣に立ちたい。そのためになら、二番目の女でも…愛人にでもなる…!」

「なんで、ルーまで抱きついてるの!それに、柔らかいの!柔らかいのがあたってるから!!」

 

頭を抱えるカナタへと正面から抱きつくのは、こちらも決意の表情を浮かべたリーファである。頬を赤く染めながら、レインの時と同格くらいの爆弾を大きな声で放ち…シノンが右手を横にスライドして、弓と矢をオブジェクト化したのを認知したカナタは、首を横に高速で振る。“それだけはご勘弁を”という気持ちを込めてのものだったが…シノンの何処か冷たい笑顔を目のあたりにした瞬間、カナタは自身の命がここまでと知る。

 

「あたしもカナタさんの二番目の彼女…愛人になりたいです!」

「リーまで、なに爆弾発言してるの!」

 

しかし、この場にスアことストレアが居てくれたおかげで…カナタは命拾いをする。四人の女性に抱きつかれているカナタを見て、“面白そう”と判断したストレアは残りの女性メンバーを連れて…カナタへと抱きつく。

 

「わ〜、楽しそう!アスナ、リズ、シリカもしようよ!シノンもほら!」

「ちょっ」

「ちょっ…ぐふ…」

 

カナタの姿は大勢の女性陣の波へと埋れていった。助けを求めて、左手を空に向けてパタパタと振るカナタを遠くから見ている男性陣とアルゴはそれぞれにコメントすると、この騒ぎが終わるのをただジッと見ていた…

 

「くぅーっ、羨ましい限りだぜ!カナタよっ。なんで、おめぇとキリトばっかモテるんだろうなぁ〜」

「俺もか?」

「キー坊は自覚なしカ。まぁ、カー坊もだがナ」

「おいおい、お前ら。騒ぐんならーー」

「ーー助け…むぐ…ぐはっ…。もう…しにゅ…」

 

空へ向けてまっすぐ伸びていたカナタの手がコテっと力なく折れて女性陣の中へと埋れていった…




ということで、ヒナタハーレム一気に入会者が増えました(o^^o)

もともと、加入していたフィリアさんに…出会って、すぐに入会されたレインさん。レインさんの挑発?に乗ってしまったルクスさんにリーファさん。他の方々は、後々ということで…(微笑)

そして、歌姫・レインさんが逃げた理由ですが…単純に、あの場の空気に耐えられなかった…。と、カナタに見つめれて恥ずかしかったのだと思います(o^^o)
わかりにくかったので…補足です!

次回からは、長らくお休みしていた【息抜き編】の方を集中的に更新したいと思います!私、息抜き編で『おままごと』のイベントを書いてみたかったんですよっ(o^^o)
ですが、人数が…ですからね…(汗)どうしようかなぁ〜と迷っているところです(笑)

それでは、最後まで読んで頂きありがとうございます(礼)

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