sunny place 〜彼女の隣が私の居場所〜   作:律乃

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こんばんわ。
また、火曜日でも…キャリバー編でもなくて、すいません…(大汗)

キャリバー編も残すところ、あと3話となりました。
ので、メインストーリーへと入る前に…予習編といいますか、抜けていたところを補充するために…この話を書かせてもらいました。

その抜けていたものはというと…主人公の過去またはルクスさんの過去を書き忘れていたところがあるので…そう言ったところを補充出来ればと思っています!

今回は辛い話となりますが…本編をどうぞ!


2章029 カナタとルクスの過去話 前編

『陽菜荼。お前は魂ってどこにあると思う?』

 

そう言い、あたしの生えかけた栗色の髪を撫でながら…父は問う。

 

“…?”

 

だいたい、生後数ヶ月しか経ってない赤子にそんな事を聞いても答えられるはずがない。

ふっくらした頬を揺らし、首をかしげるあたしを見て…父は鮮やかに笑う。

 

『きっと、お前の魂も甘いんだろうな…小菜荼(こなた)の様に』

 

無垢な蒼い瞳と無機質な光を放つ蒼い瞳が互いを吸い込もうとしていくかの様に、ひかれあい、見つめ合う。

その後ろでガタガタと震えている癖っ毛の多い栗色の髪を腰まで伸ばした少女を置き去りにしてーー

 

 

γ

 

 

「マスター。オムライスとジンジャーエール」

「お前はここに来て、それしか頼まないな…。オムライスは作れるが、ジンジャーエールはないぞ」

「んじゃあ、らしいもので」

「了解。その代わり、蒼目の侍様行きつけの料理店っていう宣伝は任せたな」

「はいはい、それはマスターの腕次第ね」

「ちっ、つれねぇーな。蒼目の侍様はよぉ〜」

 

そう舌打ちして、自分の仕事場へと向かうマスターはこう見えても歴とした攻略組であったりする。

哀愁漂う二段腹を真っ白なエプロンで包み込み、黙々と料理を作っていくマスターの癖っ毛の多い髪を見つめながら…ふと、現実世界に置いてきてしまった育ての親を思い出してしまう。

 

“…父さん、ご飯とかちゃんと食べてるかな”

 

あの時、あの人が拾ってくれなければ…今のあたしは居ないであろう。いいや、ここに存在するしてなかったかもしれない。

なんか柄にもなく、辛気臭くなってしまったらしい。

パリパリと癖っ毛の多い栗色の髪をかくと、小さく背伸びする。

 

“さぁーて、いつまでも入り口に立ってるわけにもいきませんし…いつもの席に座っていましょうか”

 

通い慣れた名店ーーマスター曰くーーのカウンター席の一番左端へと腰掛け、あたしはついさっきまで見ていた夢の続きを思い出す。

あの今にも壊れてしまいそうな山小屋で暮らしていたのは、生まれてから三ヶ月という短い期間だったが…その三ヶ月の中で起こってきた出来事。その三ヶ月で囁かれてきた言葉は安易に思い出せる。

 

その囁かれてきた言葉の中で一番頻繁に耳にしていた言葉はーー《Soul、即ち魂》であった。

 

Your soul will be so sweet(君の魂は、きっと甘いだろう)

 

怯える母を押さえつけながら、あの男は何度も何度もそう囁き…母を汚してきた。

泣き叫ぶあたしの世話と…いつ如何なる時も嫌といっても襲いかかってくるあの男に精神的にも…肉体的にも母は参っていたのだろう。

そんな母があたしに嫌気がさして、あたしを捨てたことを誰が責められるか…否、誰も責められはしない。

そして、母を襲う時に呟いていたあの男のセリフは何を思って、囁かれていたのだろうか…?

 

「…今更、そんなことを考えても知るよしないか…」

 

小さく鼻で笑い、大人しく注文の品が来るのを待つ。その間も考えるはあの男と仲間たち。

 

“…ちっ、なんであんな奴らに頭を悩ませないといけない”

 

しかし、あの【PoH】という名でこの世界にログインしているあの男は間違いなくーーヴァサゴ・カザルスであった。

あの時、去り際にヴァサゴはあたし見て…ニンヤリと笑った。身の毛もよだつあの不気味な笑みを浮かべて、あたしを見つめてきたのだ。

それが意味することはただ一つだろう。

 

“あの男のことだ…。あたしを手中に収める為なら、どんな手でも使ってくるであろう”

 

「へい、お客様。そんな険しい顔をされると他のお客さんが怖がるんですが?」

「どーも。怖がるも何もお客様なんて来ないっしょ、こんなとこ」

 

どうやら、あたしは知らぬ間に酷い顔を浮かべていたらしい。

注文の品を運んでくるマスターに左手を軽くあげて答える。そして、黒いお盆の上に転がってるスプーンを左指でつまみ上げ、ボソッと皮肉を言う。

 

「こんなとこに毎日といっていいほど通い詰めてる常連さんはどこのどいつかなぁ〜?」

「ぐっ…ちょっとばっかし、オムライスが上手いからって調子に乗るんじゃないっ!」

「いやいや、そんなワンポイントな料理だけ出来ても…こっちは儲からないからな」

 

右手を横にブンブンと振って否定するマスターにあたしはニンヤリと意地悪に笑う。

 

「んだと思って、シノとかルーとか連れてきてあげてるんじゃん」

「その節はどうも。あのお二方以外にも…蒼目の侍様ご一行は当店の数少ない収入源にございます」

「でしょうでしょう」

 

深々と頭を下げてくるマスターにニヤニヤ笑いながら、あたしは好物のオムライスを一口ほうばる。

その途端、ふっわふわな卵が口いっぱいに広がり、その後を追いかけるようにシンプルな味付けが美味しいチキンライスが胃袋へと収まっていく。

黙々とスプーンを口へと含みながら、にっこりと幼子のように笑うあたしにマスターは片眉をあげる。

 

「んで、今日はそのお嫁さんはどうした?もしかして、夫婦喧嘩の真っ最中か?」

「…シノはアッスー達と攻略中。ついでにリトが集めたいっていってた素材を集めて帰るんだってさ。だから、今日は一人」

「そうかいそうかい。皆さん、仲良くっていいことでーーん?おい、カナタ。お前、その左薬指にはめてるのって…」

 

マスターがあたしの指の一点を見つめて、ポカーンとしてるので…あたしはナニゴトと眉を潜めて、その視線を追うと…そこにはキラリと光る銀色の輪っかがあり、あたしはパクっとオムライスを食べながら答える。

 

「…ん?あぁ、これ。結婚指環っすよ」

「いやいや、結婚指環っすよ…じゃねぇーよ!誰とした!!いつした!?なんで、俺に言わなかった!?」

 

カウンターからごっつい両手が伸びてきて、あたしの肩を揺さぶる。それをめんどくそうに追い払ったあたしはマスターの問いに淡々と答えていく。

 

「マスターには、そーなるから言わなかったんすよ」

「いや、言うべきだろ!お前のことは娘のように俺は思ってるんだぞ!」

「頼んでません」

「頼んでなくても思うのは勝手だろ!」

「いらぬお節介は嫌われるもとですよ?」

「このお節介は誰かさんから受け継いだものだからな。さーて、随分話をズラしてきたわけだが…お相手さんはどちらさん?」

「ちっ…マスターも言ってたでしょう、お嫁さんって」

 

小さく舌打ちするあたしの答えに、マスターにニヤニヤした笑みを浮かべてくる。そんな笑顔を見ながら、あたしは心の中で思うのだ。

 

“あぁ…うざい”と

 

「へぇ〜、ついにシノちゃんと結婚かぁ〜…ん?おい、この世界って同性婚認めてないだろう」

「マスターも聞いたことくらいはあるでしょう?【祝福の儀式】って」

「あぁ…あのややめんどくさいクエ」

 

食べ終わった口元をハンカチで拭いながら、ジンジャーエール風味の飲み物を一口飲み、マスターとの雑談を続ける。

 

「そのややめんどくさいクエを3日前にしたばったりなんすよ」

「あぁ、だから新婚さんと…って、こらこら話を逸らすんじゃない!なんで、そのクエをすることにしたんだ?」

「……シノがしたいって言うから」

「へー、ほーん、あの蒼目の侍様もお嫁さんの前では弱いと?」

「…そういうことです。あまりにも形が欲しいっていうから仕方なく受けて見て…クリアしたら、無事結婚出来たってわけです」

「しかし、あのクエも受けるのは男女のカップルくらいだろ?カナタとシノちゃん、よく目立たなかったな」

 

長引きそうなマスターとの雑談に肩を上下に動かすと、ジンジャーエール風味の飲み物を一気飲みする。

 

「そうでもないっすよ。システムエラーによって、結婚システムがゆるゆるになってるみたいなんですよ…」

「マジかよ…」

「マジっす。実際、ここに証拠が居ますから」

「あはは…、だな。よーし、新婚な蒼目の侍様にはこれからも頑張ってもらわないといけないからな。ほれ、これサービスだ」

 

そういって、あたしの好物を3品取り出すとマスターをキラキラした目で見つめると…親指を立てて、マスターがこう言う。

 

「出血大サービスだからな。今度は夫婦揃って、うちに来てくれ」

「了解っす、マスター!」

 

ビシッとマスターへと敬礼して、あたしは大盛りに積まれた二皿目となるオムライスへとがっついた……




………すいません、過去話を書こうと思ったら…惚気話と雑談が多くなってしまいました。

後編はお二人の過去話の話を書きますので…(汗)

しかし、本編を進めていない間にちゃっかりと結婚してしまってるヒナタとシノさんって………


そして、そのシノさんが大活躍する予定のキャリバー編なのですが…火曜日に更新できないかもです…。
余裕があれば、来週のどこかに更新したいと思っていますm(_ _)m




そういえば、再来週には【フェイタル・バレット】が発売となりますね(*´∇`*)
それに合わせて、次々と新しい情報が入ってきて…公式サイトを見ながら、主人公をどんなキャラに育てようかなぁ〜と思案してます(微笑)
多分ですが、前の後書きで書いた通りで…私のことなので、超攻撃よりのものとなることでしょう…。
代わりに、相棒となるアファシスは回復に専念してもらう形になるかなぁ〜(笑)
大概、無謀な特攻に出で…撃たれ死ぬのが多いでしょうから^_^

さて、そんなフェイタル・バレットも添い寝イベントがあるのですね!
複雑なのは…シノンがキリトモードでなければ、添い寝イベントが発生したいということですかね。
どうせなら、自分でカスタマイズした主人公と添い寝したかったです…シノンと…(しょんぼり)

個人的に主人公の方のストーリーの方を優先しようとしてるので…シノンとの添い寝はまた、遠くなりそうです…(苦笑)




また、最近ですが…【コード・レジスタ】の方を始めました。
シノンさんは二枚手に入ったのですが…、何故かガチャるとシリカちゃんかアスナさんのお二方が出てくるのです…。
お二方とも好きなキャラですので…いいのですが、やっぱりシノンさんかアリスさんが欲しいものですね(*´∇`*)



では、長くなってしまいましたが…読者の皆様お体にお気をつけて

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