sunny place 〜彼女の隣が私の居場所〜   作:律乃

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連続更新です!

今回の話ですが…ヒナシノの惚気あり、陽菜荼の意外な趣味が書かれてます。そして、他のメンバーの皆様はまだ到着されません…もう暫くのお待ちを…(礼)

では、本編をどうぞ!

*今回は長めです


002 現実での女子会

まん丸なテーブルへと、里香・珪子・明日奈・直葉を案内した陽菜荼は四人を詩乃へと任せて、キッチンで自分はガチャガチャとお客用のコップをお盆へと並べている。

ガラッと冷凍室を開けた陽菜荼は均等に六人分へと氷を入れると、お盆とジュース数本を持って、リビングへと姿を現す。

そんな陽菜荼へと里香が茶々を入れる。陽菜荼はケラケラと笑うと力こぶを作ってみせる。

 

「ちょっと、陽菜荼!あんた、さっき起きたばっかなんでしょう?そんな重いの持って大丈夫なの?なんでもないとこで転ばないでよ」

「大丈夫、だいじょーぶ!これくらい、いつもしてることだし」

 

里香の横へと腰を下ろした陽菜荼はみんなのコップへとお好みのジュースを注いでいく。四人へと手渡しでジュースを渡すと、詩乃のマグカップと自分のマグカップを持つと再び立ち上がる。キッチンへと向かう途中で、詩乃へと振り返ると首を傾げて問いかける。

 

「詩乃もいつものでいい?」

「ええ」

「うん、りょーかい。少し待っててね」

 

アイコンタクトと『いつもの』という言葉で通じ合う二人は確かに長い間二人で過ごしてきたことを安易に想像出来た。四人はそんな二人をある者は羨望な眼差しで見つめ、ある者は眼差しに暖かい光を讃えて見つめていた。

何かキッチンがガチャガチャと何かを操る音が聞こえてくる中、明日奈が隣に座る詩乃へと問いかける。そんな明日奈へと意地悪な笑みを浮かべて、わざと曖昧に答える詩乃。

 

「詩乃のん、いつものって?」

「明日奈もそのジュースを飲んでみたらいいわ。とっても美味しいのよ」

「?」

 

可愛らしく小首をかしげる明日奈へ向かって微笑む詩乃へとキッチンから帰ってきた陽菜荼が詩乃へと右手に持ったマグカップを手渡す。

 

「はーい、詩乃。お待たせ」

「いつもありがとう、陽菜荼」

「いえいえ」

 

詩乃からのお礼を照れ臭そうに笑って、向かい側へと腰を下ろした陽菜荼は一息つくようにマグカップの中に入っている液体を体内へと流し込む。

 

「陽菜荼さんは何を飲んでるんですか?」

「んぅ?これ?」

 

左横に腰掛けている珪子が問いかけてくるので、陽菜荼はマグカップを机へと置くと珪子へ中身が見えるようにそちらへと傾ける。薄茶色の液体の中へと透明な氷がプカプカと気持ちよそうに漂っている。

中身を見ても分からなく、小首をかしげる珪子へと陽菜荼は中身がなんなのかを説明する。

 

「あたしがブレンドしたココアだよ。詩乃はコーヒーだけど…」

「もしかして、あんた。詩乃が飲んでるコーヒーもブレンドしたの?自分で!?」

 

里香が驚愕したように言うのを見て、陽菜荼は頭をかきながら問いかける。

 

「ん、だね。里香とアッスーが飲んでるのは市販のだけど。直葉と珪子が飲んでる赤いジュースはしそジュースって言ってね、昔父さんに習ったものなんだ」

「そうなんですか!?このしそジュース、とっても美味しいです!」

「へぇー、陽菜荼さん、凄いですねっ!あたしも作り方覚えたいです」

 

珪子とその隣へと腰掛けている直葉が身を乗り出して褒めてくるので、陽菜荼は照れたように笑いながら、後で作り方を二人に教えることを誓う。

 

「あはは、いいよ〜。良かったら、持って帰るといいよ…アッスーと里香の分も分けておくね」

「うん、ありがとう、陽菜ちゃん」

「ありがとうね、陽菜荼」

 

明日奈と里香からのお礼もくすぐったいようで、陽菜荼は茶化すような口調で手のひらを上に向けた状態で胸に添えると丁寧腰を折る。そんな陽菜荼へと、詩乃は呆れた様子で素早くツッコミを入れる。

 

「いえいえ。お客様は全身全霊を持っておもてなすのが香水家の家訓ですので」

「全くっ、どこからそんな真っ赤な嘘が湧いてくるのよ…香水家にそんな家訓ないでしょう。おじさんがすごくおもてなしてくれるのは事実だけど…」

「あれ?そうだっけ?」

 

とぼけた感じでそういう陽菜荼を見て、他の四人も詩乃と同じように苦笑いを浮かべる。その苦笑いを見た陽菜荼はプクーと頬を膨らませると、時計を見てから立ち上がる。

キッチンへと向かう陽菜荼の後をごく自然な様子で追いかける詩乃を他の四人が呆然とした様子で見る。キッチンへの入り口で立ち話する二人は本当に仲のいいカップルのような雰囲気が漂っている。ようなではなく、事実はそうなので…今更ながら、居心地の悪さというものを感じ始める四人へと二人の会話が自然と聞こえてくる。

 

「さてっ!そろそろ、みんな来そうだし…あたしはご馳走作りへと精を出すとします」

「陽菜荼、私も手伝うわよ」

「いいっていいって、詩乃はアッスー達のお話し相手をしていてよ」

「でも…」

「あたし一人でも大丈夫だよ。それにいくら、アッスー達だからって、詩乃の手料理をご馳走するわけにはいかないからねっ。あれはあたし専用なんだから」

「もぅ、陽菜荼ってば…」

「詩乃、顔が赤いよ。いつも以上に可愛い、チューしたいくらい」

「チュー!?」

「あはは、なんて顔してるの?そんな顔してると本当にしちゃうよ?」

「なっ、バカ!していいわけないでしょう!?」

 

キッチンの入り口から聞こえてくる甘々な言葉のキャッチボールに四人は頬を淡く赤く染めると身を寄せ合って、会話する。

 

「……あの二人、あたしたちが居ること忘れてるんじゃないでしょうね」

「……忘れてないですよ、多分」

「……仲がいいことはいいことだよ…うん」

「……あたしもいいことだと思いますよ」

 

こそこそと四人で話をしているうちに、四人の視線は自然と近くにあるベッドへと…そして、その上に無造作に放り投げれている橙の着物を見て、すぐさま視線をそらす。恐らくであるが、その着物はさっきまで陽菜荼が着ていたねまーー

 

“あれ?もしかして…これって…”

 

顔を背ける四人。そんな中に陽菜荼との甘々な会話を終えた詩乃がリビングへと帰ってくる。そして、ベッドの上に無造作に放ってある物に気づき、キッチンにいる同居人へと注意が飛ぶ。

 

「あっ、陽菜荼!みんなが来るから、ベッドにパジャマ置かないでって言ったじゃない!」

「あはは、ごめんごめん。つい癖でね」

「もう〜」

 

詩乃がベッドに放ってある橙の着物を丁寧に畳むのを見て、居た堪れなくなった珪子と直葉は同時に立ち上がるとキッチンへと歩いていく。

 

“うぅ…落ち着かない…”

 

「あたし、カナタさんのお手伝いしてきますねっ」

「あたしも!」

 

珪子と直葉がたちあがると陽菜荼がいる方へと歩いていく。向かった先には、陽菜荼が手慣れた手つきで次々とご馳走を完成させていっていた。普段から料理する直葉の目から見ても、陽菜荼の手際の良さは目を見張るもので…ついつい、珪子と共に見とれてしまう。

そんな二人の気配を感じ取ったのか、陽菜荼が後ろを振り返ってくる。

 

「お?珪子と直葉、どしたの?」

「いえ、座ったまんまっていうのもなんだが落ち着かなくて…」

「あたしたちに何かお手伝いさせてくれませんか?陽菜荼さん」

「そんなこと気にしなくたっていいのに〜。それじゃあ、二人にお手伝いお願いしようかな。珪子はそこにあるサラダのドレッシング作りをお願いしていいかな?作り方は教えるからさ。それと、直葉はここにあるものを炒めててくれると嬉しいな」

『はい、分かりました』

「いい返事です。それじゃあ、作ろうか」

 

テキパキと時折、笑い声を響かせながら、楽しそうに料理する三人組をリビングから座って見ている三人は微笑みながら、三人組の話をする。

 

「こうしてみるとあの三人って仲良し三姉妹って感じだよね〜」

「確かにそうね」

「じゃあ、陽菜ちゃんが一番お姉ちゃん?」

「陽菜荼が?」

「確かに身長的にはそうだけど…精神年齢が若いからね、陽菜荼は…」

「詩乃のんがいうなら…そうなのかな?じゃあ、直葉ちゃんが一番上ってことかな?」

「そうね。直葉が上がいいでしょうね」

「その次が陽菜荼ね」

「珪子はやっぱり、一番下よね」

「うん、そうだね」「えぇ、異論ないわ」

 

陽菜荼に教わりながら、カシャカシャとドレッシングをかき混ぜる珪子へ三人は視線を向ける。その時、ピンポーンと呼び出し音が部屋へと木霊した……




ドレッシングをカシャカシャ混ぜる珪子もといシリカさんは可愛いと思うのですよ、うん。
そして、直葉さんが見惚れる程の手際の良さを発揮する陽菜荼。普段からダラけているのが嘘のようです(笑)

そして、そんな三人組を母親のような感じで見ている三人衆。私の個人的な意見ですが…この三人衆は将来、いいお母さんになりそうですよね〜(笑)

そんないいお母さんになりそうな三人ではないですが…あの三人が一緒に料理してたら、癒されますよ…(微笑)

では、皆様は暑い日が続きますのでお気をつけて…

ではでは( ´ ▽ ` )ノ

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