sunny place 〜彼女の隣が私の居場所〜   作:律乃

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今週の火曜日、8月21日はこの小説のメインヒロインこと朝田詩乃さんの誕生日でした〜!
遅くなりましたが、詩乃さん誕生日おめでとうございます!!

そして、そんな詩乃さんの誕生日にまつわる話をオマケとして、この本編に載せておりますので…宜しければ、ご覧ください。

では、本編をどうぞ!


003 現実での女子会

ピンポーンと呼び出し音が部屋の中で木霊する中、野菜を炒めていた陽菜荼が出来上がった料理を盛り付けている直葉へと声をかける。陽菜荼から声をかけられた直葉は菜箸を受け取ると野菜を炒め始める。

 

「直葉、これ見ててくれるかな?」

「はい、分かりました、陽菜荼さん」

「ん、任せたからね、直葉」

「はい、任せてくださいっ」

 

直葉に声をかけてから、玄関へと小走りで走っていった陽菜荼はガチャっと、年季の入ったドアを開けるとそこにはーー

 

「はいはーい」

 

ーー茶色いショートヘアーに水色の瞳が特徴的な少女・竹宮琴音とおっとりした雰囲気とふわりと緩やかなカーブを描くロングヘアーが特徴的な少女・柏坂ひよりが横に並んで立っていた。

そして、ドアの向こうからひょっこり顔を出している陽菜荼のラフな姿に二人は頬をほんのりと赤く染めると互いの両手をパチンパチンと何度も重ねあった。その際に、二人の手から響く効果音が廊下へと響き渡り、陽菜荼は苦笑いを浮かべる。

 

「ごめんね、遅れちゃった…って!?カナタ!?あんた、前髪あげてるの!?」

「あっ、本当ですね〜。カナタ様、すごく可愛いです〜」

「たくっ、この二人は…」

 

これ以上は近所迷惑になりかねないと判断した陽菜荼は、右手でコンコンとリズミカルに横に並んでいる二人組へと手刀を落としていった。

そして、手刀で頭を叩かれた琴音とひよりは眉を顰めると痛そうに叩かれた頭を抑える。そんな二人に視線を向けながら、陽菜荼は腰に右手を添えると怒ったような顔を浮かべる。

 

「いった〜」

「痛いですよ…」

「今のあたしはカナタじゃなくて…香水陽菜荼だって。だから、カナタじゃなくて陽菜荼って呼んでって言ったよね?このやりとり、何回やればいいのかな?」

 

陽菜荼の呆れ顔を見て、琴音とひよりは同時に頭を下げる。

 

「あはは、ごめんね、陽菜荼」

「ごめんなさい、陽菜荼様…」

「…ひよりはその様づけも直してくれればいいんだけど…まぁ、いいか。よし、二人とも入って入って。今、珪子と直葉に手伝ってもらって、ご馳走作ってるんだからっ」

「へ?そうなの?」

「それは楽しみです」

 

陽菜荼の脇を通って入ってくる琴音とひよりは、其々空いてるところへと腰を下ろす。そして、料理組とまだ着てない参加者を待つ間に楽しく会話を楽しむ。

そして、そんな二人・琴音とひよりが加わる前のリビングの様子が以下の通りだ。陽菜荼が琴音・ひよりへと手刀を落としている様子を遠くから見ていた三人は、明日奈と里香の間に挟まられ座っている詩乃の顔がだんだん険しくなっていくのを見て、すかさずにフォローを入れる。里香はポンと詩乃の背中を叩くと親指を立てると笑いかける。

 

「むー」

「大丈夫よ、詩乃。そんなに頬を膨らませなくたって…陽菜荼はいつだって、あんたにぞっこんなんだから。どーんと構えてなさいって、ね?」

「うんうん、里香の言う通りだよ」

「…えぇ、そうね…ありがとう、里香、明日奈」

 

明日奈と里香がフォローを入れていたおかげで、ことなきを終えたこの詩乃の嫉妬騒動だが、その二人との絡みはまだまだ序の口であった。

 

例えば、料理を終えた三人組・陽菜荼、珪子・直葉が出来上がった料理を運んでいる最中のこと。

 

「皆さん、お待たせしました〜!…わ!?」

「ちょっ!?珪子!?」

 

手に持ったサラダごと床へと、ペシャンとうつ伏せの状態で倒れそうになる珪子を陽菜荼が寸前のところで支える。それはもう拍手ものであり、詩乃の嫉妬心を大いに掻き立てるものであったーー簡単に言えば、ダンスのワンシーンを切り取ったような格好を二人はしていたのだから、それ故に二人の顔の距離がかなり近いーー。

右手で落ちそうになっていたサラダを器用に空中キャッチした陽菜荼は、左腕で傾いている珪子の身体を支えている。背中へと回している左腕によって、グッと距離が縮まった陽菜荼と珪子の距離はあと数センチ動けば、キスが出来そうなくらいでーー珪子は、その状況に目をグルグルと回す。しかし、陽菜荼は気にしていない様子みたいでーー

 

「ふぅ…、大丈夫?珪子」

「…あ…はい…」

「そっか、なら良かった」

 

ーーと言って、珪子を立たせてあげると陽菜荼はサラダを珪子へと差し出す。

 

「…そのありがとうございます…陽菜荼さん…」

 

頬を赤く染めた珪子が礼を言うのを聞いて、陽菜荼は少し呆れたような表情を浮かべると優しい声音で珪子へと話しかける。陽菜荼のセリフに頷く珪子。

 

「もう、なんでもないとこで転ぶなんて…ドジっ子なんだから、珪子は。慌てなくていいから。慎重に持っていける?」

「はい…いけます」

「ん、いい子」

 

珪子の髪をぐしゃぐしゃと、まるで姉が妹にするような感じで優しく撫でる陽菜荼。そんな珪子と陽菜荼を見ていた詩乃の頬が再度膨らんでいく、それも凄まじいスピードで…それを見て、両脇に座っている明日奈と里香が苦笑いを深くする。

 

「むーー」

「こっちに戻ってきて、陽菜ちゃんの無自覚たらしっていうのかな?それが強くなったよね…うん…」

「あはは、詩乃の嫉妬の数もね」

「あの頃よりも無駄に優しいしカッコいいからね、陽菜荼は」

「はい、この世界に帰還して始めてお会いした時に見た陽菜荼様が思った以上に大きくてびっくりしました」

「ひよりのいうとおりね。あたしもあの身長の高さにはびっくりしたわ…。ねぇ、陽菜荼〜。あんたって身長何cmなの?」

 

里香に呼ばれて、丁度料理を持ってきた陽菜荼は眉を顰める。そして、最後の料理を置いた陽菜荼は空いてる席へと腰掛けると里香へと向き直る。

 

「いきなり、どうしたのさ…里香」

「いやね〜、みんながあんたの身長を知りたいって言ってたから」

「あたしの身長って…みんなも不思議なものを知りたがるね。まぁ、いいけどさ…確か、身長は170…ん〜、2…?くらいだったかな?でもさ、そんなに大きくはないでしょう?」

『……』

「えっと…その沈黙は悲しくなるな…、ねえってば、みんな!なんでもいいんで、コメント下さいよ!お願いします!!」

『……』

「なんでみんな喋ってくれないのさ!そんなにあたしの身長がショックだったの!?」

 

陽菜荼の身長に度肝を抜かれたみんなは暫し、沈黙を保ち…そんな沈黙に耐えられなかった陽菜荼の悲鳴がみんなが正常に戻るまで続いたそう…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〜*〜オマケ〜*〜

 

『とある日の夏休みの事』

 

夏休み真っ最中、私は夏休みの勉強を終えると…最近ハマっている本を読む。

親友から勧められたその本は最初から私の心をがっしり掴んで離さず、もうこれで3回目となる程、この本を繰り返し読んでいた。その勧めてくれた親友はというと、夏休みの初日からお父さんと旅行へ行っている。

 

“おじさんも陽菜荼も写真が好きだからな…”

 

旅行へ出かける前に、親友はとてとてと私へと走り寄るとただ一言こう言った、『帰ったら、写真見せる』。その一言に私は頷き、親友を送り出したのだった。

 

“宿題してるかな…陽菜荼。陽菜荼って、ズボラだから…なんだか、忘れてそう。帰ってきたら、宿題写させてあげようかな…”

 

私はカンカンと照りつける太陽と青い空を見つめながら、今頃色んなところで楽しい思い出を作っているであろう親友へと思いを馳せる。

 

「…陽菜荼、元気かな…」

「元気だよ、詩乃」

「わ!?」

「…?」

 

突然響くアルト寄りの声に、私は大きな叫び声をあげて、声がした方へと顔を向ける。

すると、そこには大声を上げた私を不思議そうに見ている癖っ毛の多い栗色の髪と空のように透き通った蒼い瞳が特徴的な少女がいた。

その少女はさっきのさっきまで、私が思いを馳せていた親友の香水陽菜荼であった。

 

「もう陽菜荼!急に現れて驚かさないでよ!?…って、陽菜荼!?なんで、ここにいるの?」

「なんでって…さっき帰ってきたから。それとこれ、驚かせちゃったお詫び」

 

私の問いを淡々と答えた陽菜荼は小さい左手で掴んでいたものを私へと差し出す。それを両手を差し出して受け取った私はそれを見て、眉を顰める。

 

「?これって」

「栞」

 

私の問いに一言で答えた陽菜荼の言うとおり、それは栞であった。緑色を基調としたもので、端の方に数本花が描かれている。

それを見て、私はもう一度陽菜荼へと問いかける。

 

「…それだけ?ここに描いてる花は?」

「内緒」

「内緒って…」

 

呆れ顔を浮かべる私の隣へと腰掛けた陽菜荼は、私が読んでいる本へと視線を落とすと私を見てくる。

 

「これ、面白い?」

「うん、面白いよ」

「そっか。んじゃあ、あたしは帰ろうかな」

 

そう言って、立ち上がった陽菜荼は私へと向き直ると家に向かって帰ろうとする。

 

「へ?もう帰るの?」

「ん、お父さんに何も言わないまま来ちゃったし…。それに、お土産を近所の人に配らないといけないから」

「…そっか…」

「…」

 

残念そうな顔をする私へと、とてとてと走って近づいてきた陽菜荼は俯いている私の頭をよしよしと撫でると、優しい声音で話しかけてくる。

 

「…明日、約束した写真持ってくるから。じゃあね」

「うん、じゃあね」

 

そんな出来事があってから、数年後でも私はその栞を大事に使っている。私の誕生になると、増えていくその栞に描かれた花と同じ柄のプレゼントと共にーー

 

 

〜*〜完〜*〜




本当は、オマケは三本立てにする予定でしたが…時間上と文字上やむ負えず。他の二本も近いうちに公開出来ればと思います(笑)

オマケの時間軸は、小学校三年生の時の夏休みの時の話です。
そして、ごめんなさい!陽菜荼が詩乃へと送っている花に関しては、明日改めて…この下書きへと書こうと思います!お楽しみにです(笑)

次回は、まだ登場してないメンバーを出せればなぁ〜と思います。

ではでは( ´ ▽ ` )ノ






ーオマケ補足ー

陽菜荼が詩乃へとプレゼントした栞には、下の花が描かれていました。

・ヒャクニチソウ 【花言葉 : 深い友情】
・スターチス 【花言葉 : 変わらぬ心】
・ペチュニア 【花言葉 : 心安らぐ】
・アンモビウム 【花言葉 : 固い約束】

以上の四つの花ですが…花言葉の見てもらうとお分かりの通り、陽菜荼から詩乃へとメッセージが隠れております(o^^o)
読者の皆様なら解読出来る筈です!!

そして、これから先には余談なんですがーー
詩乃と付き合いだした陽菜荼なんですが…詩乃には気付かれないように、一本ずつ増やしていってるんです、花の柄を(笑)

その花というとーー【ひまわり】、【ブーゲンビリア】。その他のものは後々増えていくことでしょう(笑)

あえて、この二本の花言葉は書きません!
気になった方は調べてみてください。詩乃への愛情がたくさん詰まってますから(笑)
しかし、調べちゃった人は少し引いちゃうかもしれませんね…陽菜荼の愛に…(苦笑)

では、長々とすいませんでした(礼)

ではでは( ´ ▽ ` )ノ

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