sunny place 〜彼女の隣が私の居場所〜   作:律乃

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お待たせいましました!

今回は読者の皆様も楽しみにしていたであろう、あの王様ゲーム回です!

全員で9人の参加者となったこの女子会もいよいよ大詰めです!陽菜荼と共に一緒に残りを駆け抜けていきましょう!

では、本編をどうぞ!



今更ですが、参考になればと思い、並びをのせました(礼)
⬇︎
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九人の参加者の並び(右回り)は…

陽菜荼→珪子→直葉→琴音→明日奈→詩乃→里香→ひより→虹架

です。

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※8/29〜『愚民』→『迂愚|うぐ|』へと変更しました(礼)

そして、セリフの一部を変更しました(礼)




005 現実での女子会

みんなが里香が差し出す箱から次々と、割り箸を引き出す中、陽菜荼も戸惑いつつも割り箸を引く。

 

“ふーん、8ね…”

 

陽菜荼は自分の番号を確認し終わると、里香が丁度みんなへと声をかけているところだった。

 

「さて、みんな。せーので札を見せるわよ。いっておくけど、最初の王様…なんか、王様って嫌ね。女王…?王女様はあたしだからね。はい、せーのっ」

 

里香が一人で呼び名を考えている間、陽菜荼はこう思う。“もう、どっちだっていい”と…。“王女も女王も文字がひっくり返っただけなんだから”…と、普段ならそんなひねくれたことを考えもしないのに、そんなことを思ってしまったのは恐らく、これから始まるであろう波乱を敏感に第六感が感じ取ったからであろう。

里香の「せーのっ」に合わせて、割り箸の数字をみんなに見えるように見せる陽菜荼達だったが…陽菜荼は敏感に、否応なく数名の視線が自分の番号を注目していることに冷や汗がなぜか背中を流れる。

 

『!』

「なるほどね〜。じゃあ、8番が王女様の好きなところを十個述べること!はい、8番早く言いなさい〜」

 

冷や汗が背中を流れる中、ニヤニヤと意地悪な笑みを浮かべる里香は無情にも陽菜荼の番号を言う。そして、陽菜荼は勢いよく、里香を指差すと異論を唱えるが…それは理不尽な係を命じられそうになり、そのまま命令に従う。

 

「なして!?意味が分からん!!普通、王様ゲームって、王様?…いや、王女様か。その王女様と何番の人じゃなくてさ!何番と何番が丸々っていうのがオーソドックスだとおもーー」

「ーーそこの迂愚、煩いわよ!早く、命令に従いなさい!あと五秒を数えるうちに、命令に背いた場合は、ALOであたし専属の強化素材集め雑用係に任命するわよ!」

「何それ、理不尽以外のなんでもない!」

「ゴー、ヨーン、サーン、ニー」

「あぁ!?くっ…もうぉっ!

えーと、姉御肌なところ。仲間思いなところ。鍛治にかける思いが誰にも負けてないところ。自分に厳しいところ。ムードメーカーなところ。意地悪なところが多いけど、それ以上に優しいところ。なんだかんでいって、乙女なところ。あと、照れると可愛いところ…かな」

「うんうん。ほらほら、あと最後の10個目は何かしら〜?」

 

“もう全部言い終わったぞ…”

 

焦った陽菜荼は唇をぐっと噛み締めると、ニヤニヤしている里香を真っ直ぐに見つめると真剣な声音でその最後の答えを言う。その答えを聞いた里香はポカーンとしていたが。

 

「最後はそんな里香の全てが好きだよ」

「へ?」

「聞こえなかったの?仲間思いで、誰よりも乙女な里香全てがあたしは好きだよって言ったんだ。鍛治にかける思いが強いところも自分に厳しいところがあるから、あたしは自分の武器をーー唯一無二の相棒を、同じくらいそう思ってる里香へと託せる。それはあの世界に生きていた人も、ALOで暮らしている人も思ってることだよ。だから、そんな里香が大好きだよ。ここにいるみんなよりもあたしはそんな里香が大好きだよ」

 

大真面目な顔して歯の浮くセリフを言ってのける陽菜荼に、里香は瞬時に顔を真っ赤に染めると大きな声を出して、陽菜荼を指差す。だが、陽菜荼は首を静かに横に振ると真剣な顔のまま告げる。

 

「なっ!?あんた、バカにしてるの!?」

「バカにしてないよ、本当にそう思ってる。そう思ってなかったら、こんなこと言わない。それは里香が一番、しってるでしょう?」

「〜〜ッ!!?もう、いいわよ。十個クリア!次行くわよー」

 

最後に真剣な顔を崩して、微笑む陽菜荼から里香は顔を背けると全員から割り箸を回収する。その際、陽菜荼と里香へと…主に陽菜荼へと矢の如き視線が注がれていたが、陽菜荼は全力で真っ正面から視線を逸らす。このゲームに参加すると決めた時から何故か、真っ正面が見れなくなった陽菜荼であった…。

かくして、二回目の王様ゲーム元い王女様ゲームでは、陽菜荼は4番になり、王女様は琴音となった。

 

「そうね〜。四番が王女様ーー」

「だから、なして!?琴音まで里香の真似しなくてもいーー」

「そこの迂愚、煩いわ!今の王女様は私なの!私がルールなの!」

「そんな事をいう傲慢な王女様は誰にも支持されないと思うよ、あたし…。それと、琴音が変なキャラへとシフトチェンジしちゃってる気が…」

「じゃあ、その嫌われ者の王女様を四番が慰めてよ…」

「…へ?はい?」

 

自分なりの王女様になりきろうと思い、変なキャラへとなる琴音へとツッコミを入れる陽菜荼。そして、そんな変なキャラとなってしまった琴音王女様は、愚民元い陽菜荼へと横を向きながら…恥ずかしそうに命令する。それにアングリと空いた口が塞がらない感じの陽菜荼へとポンポンと自分の横を叩く琴音王女様。陽菜荼は大人しく王女様の命に従うことにした。

 

「その…居心地は如何でしょうか?琴音王女様」

「うん、凄くいいわ」

「はぁ…良かったです…」

 

陽菜荼の膝へと頭を乗っけている琴音の頭を撫でる。自分と同じくらい癖っ毛の多い髪の感触を味わうように撫でる陽菜荼へと気持ち良さそうに目を細めていた琴音が、目を開けるとチラチラとせわしなく陽菜荼を見る。

 

「ねぇ、陽菜荼…迂愚はさ」

「…なんで、迂愚と言い直したのかはあたしには理解できそうにないんだけど」

「まあ、いいじゃない、細かいことは。迂愚はこんな私のどこが好きなのよ」

「はい?」

「だから…里香ばっかり言ってもらえて羨ましいとか思ったんじゃないのよ。ただ、迂愚がどうしても私のいいところを言いたいって言うなら言わせてあげようかなって…」

「はぁ…」

 

“やっぱり、こうなるんだね…”

 

陽菜荼は自分に向けて突き刺さる視線を感じながら、琴音の頭を撫でながら告げる。

 

「…初心者のあたしを見捨てずにあそこまで育ててくれた優しさかな?一番は。あとは〜うーん、お宝に向ける情熱、かな。あと、戦闘で暴走気味のあたしを上手くフォローしてくれるところ…でどうでしょうか?王女様」

「そうね…もうひとーー」

 

琴音が何かを言いかける前に、里香が止めに入る。そして、陽菜荼と琴音を離すと箱を二人へと差し出す。

 

「ーーはーい、ストップ!ストッーープ!!それ以上はダメよ!これからなる王女様の楽しみがなくなるわ」

「それ以上って何!?あたし、これ以上何をやらさせるの!?」

「まあまあ、迂愚。黙って、この割り箸をひきなさいな」

「あんたもう王女様じゃないだろ!」

「迂愚様、落ち着いてください。ほら、怖いことなんてありませんから、割り箸をひいてください」

「まさかのひよりまで、あたしを裏切るの!?」

「陽菜荼…いいえ、違ったわ。迂愚、煩いわ。ひよりのいう通りにさっさと引きなさい。みんなが待ってるのよ」

「詩乃の迂愚が一番胸にくるよ…、うぅ…。はいはい、ひけばいいんでしょう!」

 

既に疲労困憊の陽菜荼を尻目に3回目の王様ゲーム元い王女様ゲームが開幕しようとしていた…




開始直後、波乱に巻き込まれる陽菜荼さん。そして、そんな陽菜荼さんへと矢の如き視線を送り続ける詩乃さん…。

本当に御愁傷様です…陽菜荼さん。恐らく、これから先もあなたは波乱へと身を投じることになるでしょう…(汗)

次回は、三回目、四回目、五回目をかけたらと思います。王様元い王女様は…果たして、誰でしょうね(笑)

ではでは〜( ´ ▽ ` )ノ

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