sunny place 〜彼女の隣が私の居場所〜   作:律乃

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第4弾となる今回は忘年会のシーンで、オリジナル会話が多めになるかもです(笑)

では、ここまでお付き合い頂きありがとうございます!

では、本編をどうぞ!!


025 A man of high caliber(完)

午後2時過ぎ頃、台東区御徒(おかち)町の《ダイシー・ カフェ》の中、あたしは何だか持ってきた鞄をがちゃんごちゃんしている和人の背後から手元を覗き込むが、何をしているのか一切分からない。

 

「ねぇ、直葉。和人は何やってるの?」

 

それは詩乃も同じことに疑問を持っているらしく、直葉の手伝いをしながら、尋ねるよりも先に---どうやら準備を終えたらしい和人が小型ヘッドセットを装着して話しかけたことによって分かる。

 

「どうだ、ユイ、ユウキ?」

『……見えます。ちゃんと見てるし、聞こえます。パパ!』

『……僕の方もバッチリだよ、キリト。シノン、カナタのさっきぶりだね』

 

和人が操作するPCのスピーカーから右側からユイの幼さが混じる可憐な声が聞こえ、左側からは元気一杯って感じのユウキの声が聞こえてきて、あたしは改めて分からぬままに設置させられた機材を見る。

店内に設置したのは四つのカメラ、ノート型PC…あぁ、なるほど。そういうことか。

 

“いいお父さんしてるな、和人は”

 

ユイと架空(バーチャル)でも現実(リアル)でも一緒に居たいからと学校の授業コースで《メカトロニクス》ってのを選んだらしい。あたしも一応、《SAO生存者(サバイバー)》なのだが、諸事情で学校には週ニか一ほど通っている。なので、風の噂で聞いた和人のコースがまさかこんな事をするところだったとは---娘思いの親友へとずっとニヤニヤしているあたしに和人は気味悪そうに振り返ってくる。

 

「なんだよ、陽菜荼。そんなにニヤニヤされるとやりにくいのだが」

「べっつにー、ユイちゃん愛されるなぁーってね」

 

ニヤニヤ笑顔のあたしに何か言いたげな和人。

 

「言っとくけどな。これだけじゃないんだからな!カメラを持った小型化して、肩とか頭に装着できるようになれば、どこでも自由に連れていけるしな…」

「だからそれら全てユー仕様じゃん」

「ぐっ…」

 

反論出来なくなってしまったのか、口ごもるキリトにニヤニヤ笑顔を浮かべ続けている中、次々と今回はクエスト参加したメンバーが集まってくる。

貸切状態となるダイジー・カフェの机という机を重ね合わせて、店長を合わせた13人+2名の忘年会が始まったのだった。

 

それぞれのグラスにノンアルコールと本物のシャンペンに注がれて、それを利き手に持ったみんなは和人の超短めの音頭に、全員が大きく唱和した。

 

「祝、《聖剣エクスキャリバー》とついでに《雷槌ミョルミル》ゲット!お疲れ、2025年!---乾杯!」

 

かっちんかっちん

 

と、グラスとグラスが音を当てて、ぶつかり合い、そして一口グラスに注がれた液体を飲み干して、始まった忘年会なのだが、あたしはもうすでに目の前に並んでいるご馳走に目がいっているのであった。

 

受け取り皿にご馳走を詩乃に乗っけてもらい、あたしはそれをかきこむように食べていく。

それを見ていたユウキが一言「カナタってそっちでも食いしん坊なんだね」と楽しそうに言ってた。"も"って何?もって。あたしそんな食いしん坊じゃないよ、これは普通だよ。

とあたしは思っているのだが、みんなが味わって食べている中、あたしは三回目のおかわりとなっている。

 

“食い過ぎ…なのかな?あたし”

 

何だか不安になっていき、食べるペースが遅くなると忽ちに周りからお世話されるあたし。

 

「こら、ポロポロ落としすぎ」

 

と詩乃はあたしの太ももに落ちている僅かに落ちてしまったご飯粒などを拾ってくれ

 

「陽菜荼様、頬にソース付いてます」

 

と左隣に座るひよりにはハンカチで頬を拭かれ

 

「はい、陽菜荼くん。この唐揚げ、陽菜荼くんの好物でしょう」

 

ひよりと左隣にいる虹架からは大皿から唐揚げを受け取り皿に乗っけてもらい

 

「ほら、陽菜荼。肉ばっかしじゃなくて、野菜も食べなさい」

 

虹架から受け取り皿を受け取った琴音はサラダを綺麗に盛り付けてくれて

 

「魚も食べなさいよね。好き嫌いダメよ」

 

里香からはお母さんのように骨を取られた魚の揚げ物が一つほど受け取り皿にのけられ

 

「陽菜荼さん、喉乾きませんか?あたしが飲み物注いできます」

 

と、珪子には空になったグラスへとノンアルコールを注いでもらい

 

あたしの周りをせっせっと動く女性陣を見て思う。

 

“これって至れり尽くせりってやつなんじゃ”

 

やつなんじゃ…でなく、まさに至れり尽くせり状態なのだが、それをあたしが気づく事なく、その後も世話され続けるのだった……




という事で、最後の忘年会でみんなに世話をしてもらう陽菜荼……まぁ、これも彼女の魅力なのでしょうね。つい世話してあげたくなるっていうだらし無さ…みたいな(笑)

さて、今回の話で終わりを迎えたキャリバー編ですが…時軸がごっちゃごっちゃになっているため、最後のキャリバーのくだりはカットさせてもらいました。
カットさせてもらった理由は、まだシノンさんがGGOをプレイしてないことなっているからです。

また、からはGGO…死銃事件を書いていこうと思います。フェイタル・バレットに登場するメンバーも登場すると思うので…楽しみにしててください!

では、再来週お会いしましょう!


ー捕捉ー

○この平行世界での時軸の流れ(簡単なもの)


シノンと共にガーディアンの誤作動によりSAOへダイブ
⬇︎
SAOを無事100層までクリアし、現実世界へ
⬇︎
病院で険しいリハビリの末、シノンと共にマンションへ帰る
⬇︎
仲間全員が退院したので、ダイジー・カフェにて退院祝い
⬇︎
女子会
⬇︎
リーファは教えてもらい、ALOをプレイ
⬇︎
ヨツンヘイムを救うクエスト&エクスキャリバー獲得
⬇︎
GGO、シノンと共にプレイ
⬇︎
死銃事件に巻き込まれる
⬇︎
オーディナル・スケール

以上、簡単な時軸でした。

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