本当にすいませんでした…
そして、今回はかなり短いめです。
私の幼馴染は性格的には残念なところが目立つが、それ以外は完璧と言わずとも、人々が思い描く理想像には限りなく近いであろう。
透き通った空のように大きな瞳は見る者全てを惹きつけるであろうし、顔立ちも幼さこそあるものの、整っている方であろう。それに加え、その場を盛り上げるムードメーカーというのだろうか?
そういう役割も彼女は補っていたため、まぁ…その年頃の男の子は彼女に惹かれるのは当たり前といえば、当たり前なのかもしれない…
しかし、ならば、毎回毎回私へと報告してくるのは…一体、何の嫌がらせなのだろうか?
うっとおしいし、やめて欲しいのだが…まぁ、それくらいの相談には乗ろう。その倍くらい、私は彼女へと相談しているのだから……
γ
小学校を卒業して、近くにある中学校へと進学した私たちはというと、相変わらず クラスメイト達から避けられていた。なので、小学校の頃と変わらない生活を送っていたのだが…中学校二年となったある日の事。
「ねぇ、詩乃ってさ。一年生の田崎って子知ってる?」
「何よ、唐突に…」
小学校の頃から、利用させてもらっている屋上には小学校と変わらない景色が広がっていた。
なので、私たちは早々と屋上に居座り、居場所を作ったのであった。放課後は必ず利用させてもらっているベンチに座って、時間を潰しているとふいに陽菜荼が私へと問いかけてきた。
そのいつになく真剣な表情に、私はびっくりしつつも陽菜荼へと視線を向ける。陽菜荼は照れた様子で、ポツリポツリと話し始める。
「いやぁ〜、詩乃が日直の仕事をしてる最中に呼ばれちゃってさ…。言われるがままに着いて行ったら、告られて…どうしようかと……」
「ーー」
「あの〜、詩乃さん?」
“はぁ?イワレルガママニツイテイッタラ、コクラレテ?”
余りにも、衝撃的な出来事にフリーズしている私へと右手を目の前で振る陽菜荼。そんな陽菜荼の肩を掴んで、私は声を荒げる。
「知らない人に着いて行ってはダメと教わらなかったのっ!?」
「いやぁ…詩乃こそ何言っての…、後輩なんだら知らない人じゃないでしょうに…」
呆れ顔の陽菜荼に、私は興奮気味に問い詰める。
「一年生の田崎なんて知らないわよ。陽菜荼、騙されてるんじゃないの!?」
「いやいや。学校中の嫌われ者のあたしに誰がそんなサプライズをーー」
「ーーそのサプライズかもしれないじゃないっ」
「いやいや。詩乃が何故にそんな興奮してるのか…あたしには分からん」
私の質問に、終始呆れ顔の陽菜荼は両肩を掴む私の手を外すと私の背中を撫でる。
「少しは落ち着いた?詩乃」
「えぇ、まぁね」
「で、どうしたらいいと思う?」
可愛らしく小首を傾げて尋ねてくる陽菜荼に、私は絶句して…溜息を着くと静かに答える。
「……陽菜荼の好きにしたら?」
「あら、割と冷たい回答だわ。あたしの親友」
「正論でしょう?それ以外になんて言えばいいのよ…、私が断りなさいって言って、断るとも思えないしね、あなた」
「あはは……」
そう言って、横を流し見ると苦笑いを浮かべる陽菜荼の表情が見える。私の鋭い視線から逃れるように、視線を泳がせる陽菜荼。
「まぁ、これだけは言っておいてあげる。
その田崎って子が真剣に告白してきたんだから、陽菜荼も真剣に答えるべきね」
「……そうだね…」
私の言葉にコクンと頷いた陽菜荼は、その後 真剣に考えて出した答えは結局、付き合えないとお断りしたらしい。それはどうしてなのかと、私が陽菜荼へときいても、陽菜荼がその理由を答えることはなかった…
変な終わり方ですが、これで中学時代お終いです